(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように互いに隣接するパネル体同士を回動自在に連結する間仕切り装置においては、パネル体は、ストッパやその他の部材に突き当たることで、パネル体の回動範囲が規制される。パネル体同士の連結部には、パネル体がストッパやその他の部材に突き当たる生じる衝撃が作用する。この衝撃による力を受けるため、連結部は強固に構成する必要があり、連結部が大型化する傾向がある。
【0007】
また、パネル体が、その回動範囲の端部においてストッパやその他の部材に突き当たるときには、その衝撃により、騒音が生じることがある。
そこでなされた本発明の目的は、パネル体同士の連結部を簡便な構成としつつ、パネル体を回動させたときに衝撃や騒音が生じるのを抑えることのできる間仕切り装置、什器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
この発明に係る間仕切り装置は、床面上に立てた状態で設置される第一パネル体および第二パネル体と、前記第一パネル体に対し、前記第二パネル体を、前記第一パネル体の一方の側面に沿う第一の位置と前記第一パネル体の前記一方の側面から離間する方向に移動した第二の位置との間で相対的に回動可能に連結する連結部と、を備え、前記第一パネル体の前記一方の側面を形成する表層部は、前記第二パネル体が前記第二の位置から前記第一の位置に向かって相対的に回動したときに前記表層部に突き当たる前記第二パネル体側の部位よりも軟質な材料で形成されていることを特徴とする。
【0009】
このように表層部側が軟質であるので、第二パネル体が前記第一パネル体に沿う第一の位置に向かって相対的に回動し、第一パネル体の表層部に第二パネル体側の部位が突き当たった際の衝撃を抑えることができる。
また、第二パネル体側の部位が第一パネル体の表層部に突き当たるときの衝撃を表層部で抑えることによって、表層部で衝撃を抑えない構成に比較し、連結部に要求される強度が低くて済み、連結部を簡便な構造とすることができる。
【0010】
また、この発明に係る間仕切り装置は、前記第二パネル体には、該第二パネル体と前記連結部とを連結するパネル固定部が設けられ、前記第二パネル体側の部位は、前記パネル固定部であることが好ましい。
このように構成することで、第一パネル体の表面層に突き当たるのは、第二パネル体に設けられた連結部である。よって、第二パネル体自体が第一パネル体に突き当たり、第二パネル体が損傷したりすることを抑制することができる。
【0011】
また、この発明に係る間仕切り装置は、上記間仕切り装置において、前記第一パネル体の側端部に、前記第一パネル体の内方に向けて凹んだ溝が形成され、前記連結部は前記溝内に固定されているようにしてもよい。
このように、連結部を溝内に固定することにより、連結部を第一パネル体に容易かつ確実に固定することができる。また、第一パネル体に対する連結部の固定部位が露出するのを抑えることができ、外観を向上させることができる。
【0012】
また、この発明に係る間仕切り装置は、上記間仕切り装置において、前記連結部は、前記第一パネル体に対して前記第二パネル体を回動自在に支持する支持軸を備え、前記支持軸は、前記溝の外方であって、前記溝と前記第一パネル体の前記一方の側面との間に配置されているようにしてもよい。
このように構成することで、溝内に連結部を固定した構成においても、第二パネル体を第一パネル体の一方の側面に沿う第一の位置と第二の位置との間で、第一のパネル体に干渉することなく回動させることができる。
【0013】
また、この発明に係る間仕切り装置は、上記間仕切り装置において、前記支持軸は、前記第一パネル体の側端部に近接して配置されているようにしてもよい。
このように構成することで、支持軸と第一パネル体の側端部との隙間を小さくすることができる。
【0014】
また、この発明に係る間仕切り装置は、上記間仕切り装置において、前記第二パネル体は、透光性を有する材料で形成されているようにしてもよい。
このように構成することで、第二パネルの一方側および他方側において、明るさを確保しつつ、視線を遮ることができる。
【0015】
また、この発明に係る間仕切り装置は、上記間仕切り装置において、前記第一パネル体は、パネル状の基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられた前記表層部と、を備え、前記表層部は、前記第二パネル体側の部位よりも軟質な材料で形成された軟性材と、前記軟性材を覆う表皮材と、を有するようにしてもよい。
このように構成することで、第二パネル体側よりも軟質な表層部を容易に形成することができる。また表皮材の色彩や質感を選択することで、使用者の好みに合わせた第一パネル体を形成することができる。
【0016】
また、この発明に係る什器は、上記したような間仕切り装置と、前記第一パネル体の他方の側面側において、前記第一パネル体の高さの中間部に設けられた天板と、備えることを特徴とする。
このように構成することで、天板を、例えばデスクやカウンター、物品を収納したり展示したりする台等として用いることができる。
【0017】
また、この発明に係る什器は、上記什器において、前記第一パネル体は、前記天板に利用者が対向する前端部以外の外周部を取り囲むように設けられ、前記第二パネル体は、前記天板の前記前端部の前方の空間を仕切る前記第二の位置と、前記第一の位置との間で、回動可能とされているようにしてもよい。
このように構成することで、第一パネル体により、天板上に、周囲から比較的閉鎖されて音や光が侵入するのを抑えたスペースを形成することができる。さらに、第一の位置と第二の位置との間で回動可能な第二パネル体によって、天板の前方の空間を開閉自在に仕切ることが可能となる。これにより、天板の前方の空間に側方から出入りするための動線を容易に確保することができる。また、天板上の空間や天板の前方の空間への光や音の進入度合いを、利用者の好みで調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る間仕切り装置、什器によれば、パネル体同士の連結部を簡便な構成としつつ、パネル体を回動させたときに衝撃や騒音が生じるのを抑えることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明による間仕切り装置、什器を実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0021】
図1は、この発明の一実施形態に係る間仕切り装置、什器の全体構成を示す斜視図である。
図2は、上記什器の平面図である。
図1、
図2に示すように、ブース型什器(什器)1は、間仕切り部(間仕切り装置)10と、天板60と、サイドパネル70と、を備えている。
なお、以下の説明において、利用者U(
図2参照)が、ブース型什器1の天板60に対向する側を前方、その反対側を後方、前方と後方を結ぶ方向に対して水平面内で直交する方向を幅方向と称する。
【0022】
(間仕切り部)
間仕切り部10は、平面視すると、背部直線状部10aと、背部直線状部10aの両側に形成された側部湾曲部10b,10bと、側部湾曲部10b,10bのそれぞれに連続して、背部直線状部10aに直交する方向に直線状に延びる側部直線状部10c,10cと、を備えている。このような間仕切り部10は、例えば同一の平面視湾曲形状を有した2枚のパネル体(第一パネル体)11,11を幅方向に対称に配置し、互いに連結することで形成されている。
【0023】
(パネル体)
図3は、上記間仕切り装置を形成するパネル体の構成を示す斜視展開図である。なお、この
図3おいては、パネル体11を平板状として図示しているが、実際のパネル体11は、
図1、
図2に示すように、平面視湾曲している。その場合、後述するフレーム20の上下の枠材21C,21Dを,パネル体11の形状に合わせて湾曲させる。
図3に示すように、間仕切り部10を構成する各パネル体11は、パネル基材(基材)12と、パネル基材12の両面に沿って設けられたクッション材(軟性材)13と、パネル基材12およびクッション材13を覆う表皮材14と、固定部材30と、を備えている。
【0024】
(パネル基材)
パネル基材12は、パネル状の芯材15と、芯材15の外周部に沿って設けられたフレーム20と、芯材15およびフレーム20の両面を覆うように設けられたベースシート18と、を備えている。
【0025】
芯材15は、例えば紙系材料、樹脂系材料、木質系材料等から形成されている。この芯材15は、なるべく軽量とするのが好ましい。そこで、本実施形態では、芯材15は、紙系材料から形成され、板厚方向に貫通する孔15hが多数並設された、例えば断面六角形状の孔15hが複数千鳥状に組み合わされたハニカム構造とされている。
【0026】
(フレーム)
この芯材15の外周部には、フレーム20が設けられている。フレーム20は、芯材15の四辺に沿って設けられた枠材21A,21B,21C,21Dを備えている。各枠材21A,21B,21D,21Dは、金属系材料、樹脂系材料等から形成されている。
枠材21A,21Bは、芯材15において互いに対向する2辺に沿って上下方向に延在し、パネル体11の幅方向両側に設けられている。枠材21C,21Dは、枠材21A,21Bに直交して横方向に延在し、パネル体11の上下方向両側に設けられている。これら枠材21A,21Bと枠材21C,21Dとは、L字状のブラケット22を介し、ボルト(不図示)、あるいは溶接、接着等によって接合されている。これら枠材21A,21B,21C,21Dによって、全体として矩形状をなしたフレーム20が形成されている。
【0027】
各枠材21A,21B,21C,21Dは、断面略U字状で、パネル体11の内方に向けて凹んだ溝25を有している。このようにして、パネル体11は、その外周端部に沿って連続し、パネル基材12の内方に向けて凹んだ溝25を有している。
【0028】
フレーム20および芯材15を覆うように、芯材15の両面には、シート状のベースシート18が設けられている。ベースシート18は、例えばボール紙等から形成されている。
【0029】
(クッション材)
クッション材13は、パネル基材12の表面を形成するベースシート18に沿って設けられている。クッション材13は、ベースシート18を介して、芯材15の全体を覆うように設けられている。
このクッション材13は、柔軟性および弾性を有した材料、例えば発泡ウレタン材等から形成されている。
【0030】
クッション材13には、複数の貫通孔16が形成されている。貫通孔16は、例えば、上下方向を長軸方向とした長円形状とされている。そして、クッション材13の外表面13fには、複数の貫通孔16が、上下方向および上下方向に直交する横方向に、間隔を空けて配列されている。
各貫通孔16は、クッション材13においてパネル基材12とは反対側を向く外表面13fからパネル基材12側に対向する対向面13gまで、クッション材13の厚さ方向に貫通して形成されている。
【0031】
(表皮材)
表皮材14は、クッション材13の全体を覆うよう設けられている。表皮材14が、クッション材13に形成された複数の貫通孔16に沿うことで、パネル体11の表面には、複数の長円形状の凹部17(
図1参照)が形成されている。そして、各凹部17において、表皮材14は、貫通孔16を通して、パネル基材12の表面を形成するベースシート18に接着されている。
ここで、表皮材14は、例えばポリエステル等、弾性変形可能な材質で形成され、伸長した状態でクッション材13及びパネル基材12を覆っている。
【0032】
上記クッション材13および表皮材14により、パネル基材12の表面を覆う、パネル体11の表面を形成する表層部19が構成されている。
【0033】
(固定部材)
固定部材30は、溝25に嵌め込まれている。クッション材13および表皮材14の外周端部は、溝25の内側に巻き込まれている。固定部材30は、溝25内側に巻き込まれたクッション材13および表皮材14の外周端部を、溝25の内周面と固定部材30の外周面との間に挟み込んでいる。これにより、クッション材13および表皮材14の外周端部をフレーム20に固定している。
【0034】
ここで、固定部材30は、矩形状のパネル基材12の外周部の直線部分12Sに配置される直線部固定部材30Sと、矩形状のパネル基材12の外周部のコーナー部12Cに配置されるコーナー部固定部材30Cと、を備えている。
【0035】
パネル体11の上部両端部においては、コーナー部固定部材30Cは、溝25に対し、コーナーキャップ40によって固定されている。
コーナーキャップ40は、ボルト45により、コーナー部固定部材30C、枠材21C、ブラケット22と一体に締結されている。
【0036】
また、パネル体11の下部両端部のコーナー部に配置されるコーナー部固定部材30Cには、下方に向けて延びる支持脚取付部50が形成されている。この支持脚取付部50の下端部には、
図1に示すように、床面に接地するキャスター部材51が取り付けられている。これにより、パネル体11、およびこのパネル体11によって構成されたブース型什器1は、床面上で移動可能とされている。
【0037】
間仕切り部10において互いに隣接するパネル体11,11は、一方のパネル体11の側端部11tと他方のパネル体11の側端部11tとが、図示しない連結部材によって互いに連結されている。
【0038】
(天板)
図1、
図2に示すように、天板60は、間仕切り部10の湾曲方向内方に配置されている。天板60は、一定の厚さを有した板状で、その平面視形状は、後端部(外周部)60rおよびその両側の側端部(外周部)60s,60sが、間仕切り部10の背部直線状部10aと、側部湾曲部10b,10bと、側部直線状部10c,10cとに沿うよう形成されている。
また、天板60の前端部60fは、幅方向両側に形成された膨出部61,61と、膨出部61,61の間に形成された凹入部62とを備えている。
膨出部61は、側端部60sから連続して、利用者Uが着座する側である前方に向かって膨出し、天板60の幅方向内方に向かって湾曲して形成されている。
凹入部62は、幅方向両側の膨出部61,61から連続し、利用者Uが着座する側とは反対側の後方に向かって凹入して形成されている。
【0039】
天板60は、間仕切り部10の上端部10tと下端部10sとの中間部の高さに配置されている。天板60は、支柱63および支持ブラケット65により支持されている。
【0040】
支柱63は、天板60の幅方向両側の側端部60s,60sの下側に配置されている。各支柱63は、間仕切り部10を構成するパネル体11の内側面11fに沿って上下方向に延びるよう設けられている。支柱63は、その上下の端部が、パネル体11に図示しないステー等を介して固定されている。支柱63の上端部には、パネル体11の内側面11fから間仕切り部10の湾曲方向内方に向けて突出する支持プレート64が一体に設けられている。支持プレート64は、天板60の下面に、図示しないビス等によって固定されている。
【0041】
支持ブラケット65は、天板60の幅方向両側の側端部60s,60sおよび後端部60rの下側にそれぞれ設けられている。各支持ブラケット65は、間仕切り部10を構成するパネル体11に図示しないステー等を介して固定されている。支持ブラケット65は、パネル体11の内側面11fから間仕切り部10の湾曲方向内方に向けて突出するよう設けられている。支持ブラケット65は、天板60の下面に図示しないビス等によって固定されている。
【0042】
(サイドパネル)
図4は、間仕切り装置を構成する第一パネル体と第二パネル体との連結部の構成を示す平面図である。
図5は、連結部の構成を示す斜視展開図である。
図4、
図5に示すように、サイドパネル70は、パネル本体(第二パネル体)71と、ヒンジ部材(連結部)72と、を備えている。
【0043】
パネル本体71は、平板状で、例えば樹脂系材料、ガラス系材料、金属系材料等から形成されている。パネル本体71は、透明または半透明で、光透過性を有しているのが好ましい。パネル本体71は、上下方向に長い長方形状で、例えば、間仕切り部10を構成するパネル体11と略同じ高さを有している。
パネル本体71の一端部には、上下方向に間隔をあけて貫通孔71h,71hが形成されている。
【0044】
図4に示すように、ヒンジ部材72は、ヒンジロッド73と、ブッシュ74と、軸受部材75と、パネル支持部材76と、パネル固定部材(パネル固定部)77、パネル固定部材78と、を備えている。ここで、ブッシュ74、軸受部材75、パネル支持部材76、パネル固定部材77,78は、ヒンジロッド73の上下にそれぞれ設けられている。
【0045】
ヒンジロッド73は、上下方向に延びる円筒状をなしている。ヒンジロッド73は、例えば金属系材料等から形成されている。
【0046】
ブッシュ74は、上下方向に延びる貫通孔74hを有した円筒状で、上下方向の一端部に外周側に拡径したフランジ部74sが一体に形成されている。このブッシュ74は、フランジ部74sとは反対側の他端部74t側が、ヒンジロッド73の上下端部73a,73bにそれぞれ挿入される。ブッシュ74は、フランジ部74sがヒンジロッド73の上下端部73a,73bに突き当たるまで押し込まれる。
ブッシュ74は、ヒンジロッド73および後述する支持軸81よりも軟質で摩擦係数の小さい樹脂系材料等によって形成されている。
【0047】
軸受部材75は、例えば樹脂系材料、金属系材料等から形成され、ベース部79と、固定プレート部80と、支持軸81と、を一体に備えている。
【0048】
ベース部79は、平面視L字状をなした平板状で、ヒンジロッド73の中心軸方向(上下方向)に直交する水平面内に位置するよう設けられている。ベース部79は、角部79cから一方向に延びる第一プレート部79aと、角部79cから第一プレート部79aが延びる一方向に直交する他方向に延びる第二プレート部79bと、を備えている。
【0049】
固定プレート部80は、ベース部79の第一プレート部79aの先端部に連続している。固定プレート部80は、板状で、第一プレート部79aが延びる一方向に直交する面内に位置するよう形成されている。この固定プレート部80には、ボルト挿通孔80hが形成されている。
【0050】
支持軸81は、ベース部79の第二プレート部79bの先端部に設けられている。支持軸81は、第二プレート部79bが位置する平面に直交する方向に延びるよう設けられている。支持軸81は円柱状で、その外径がブッシュ74の貫通孔74hの内径よりもわずかに小さく形成されている。
この支持軸81は、前記固定プレート部80に対し、固定プレート部80が位置する面に直交する方向と、固定プレート部80が位置する面に平行な方向とに、それぞれオフセットして配置されている。
【0051】
この軸受部材75は、支持軸81が、ヒンジロッド73の上下端部73a,73bにそれぞれ挿入されたブッシュ74の貫通孔74h内に挿入される。また、
図4に示すように、固定プレート部80は、パネル体11の側端部11tにおいて、溝25にコーナー部固定部材30Cを固定するコーナーキャップ40に突き当てた状態で、ボルト82により締結固定されている。このボルト82は、固定プレート部80のボルト挿通孔80hを通し、コーナーキャップ40に形成された雌ネジ孔30hにねじ込まれている。
ここで、コーナーキャップ40に固定された軸受部材75において、支持軸81は、溝25の外部に位置している。さらに、支持軸81は、パネル体11のパネル体11の側端部11tに近接し、かつ溝25と、パネル体11の外側面(一方の側面)11gとの中間部に位置している。
【0052】
図4、
図5に示すように、このようにしてパネル体11の側端部11tに軸受部材75が固定されることにより、ヒンジロッド73は、上下端部が、ブッシュ74,74を介して支持軸81,81により、その中心軸周りに回動自在に支持されている。
【0053】
パネル支持部材76は、ヒンジロッド73の上下にそれぞれ設けられている。パネル支持部材76は、鋼板を平断面視L字状に折り曲げて形成したもので、ヒンジロッド73の外周面から接線方向に延びる基部76aと、基部76aの先端部から基部76aに直交する方向に延びるパネル支持部76bと、を一体に備える。パネル支持部76bには、その両面を貫通する貫通孔76hが形成されている。
【0054】
パネル固定部材77,78は、パネル支持部材76のパネル支持部76bを一方の側と他方の側とで挟み込むように配置されている。
一方のパネル固定部材77は、パネル支持部76bに平行なベースプレート部77cと、ベースプレート部77cの外周部から他方のパネル固定部材78側に立ち上がる立ち上がり壁部77dと、を一体に備えている。パネル固定部材77の一端側には、ベースプレート部77cの両面を貫通するボルト挿通孔77hが形成されている。ベースプレート部77cには、ボルト挿通孔77hの外周側に、後述するボルト83の頭部83aを収める凹部77eが形成されている。また、パネル固定部材77の他端側には、立ち上がり壁部77dよりもさらにパネル固定部材78側に突出した突起部77f,77fが形成されている。
パネル固定部材77は、例えば樹脂系材料、金属系材料等、パネル体11の表層部19よりも硬質な材料から形成されている。
【0055】
他方のパネル固定部材78は、例えば樹脂系材料、金属系材料等から形成され、パネル支持部76bに平行なベースプレート部78cと、ベースプレート部78cの外周部からパネル固定部材77側に立ち上がる立ち上がり壁部78dと、を一体に備えている。ベースプレート部78cにおいて、パネル固定部材77に対向する側には、円柱状のボス78eが形成されている。このボス78eには、雌ねじ穴78hが形成されている。また、パネル固定部材78の他端側には、立ち上がり壁部78dよりもさらにパネル固定部材78側に突出した突起部78f,78fが形成されている。
【0056】
このようなパネル支持部材76、パネル固定部材77,78に対し、パネル本体71は、パネル支持部材76に沿わせた状態で、パネル固定部材77とパネル固定部材78との間に挟み込まれて固定される。パネル固定部材77とパネル固定部材78とは、突起部77fと突起部78fとが互いに突き当たる。そして、パネル固定部材77の立ち上がり壁部77dと、パネル固定部材78の立ち上がり壁部78dは、パネル本体71の両面に突き当たる。パネル固定部材78のボス78eは、パネル支持部材76の貫通孔76h、およびパネル本体71の貫通孔71hに挿入される。そして、パネル固定部材77のボルト挿通孔77hに、ボルト83の雄ネジ部83bを挿入し、ボス78eの雌ねじ穴78hにねじ込む。これによって、ボルト83の頭部83aとボス78eとの間に生じる締結力により、パネル本体71は、ヒンジ部材72を介し、パネル体11の側端部11tに回動自在に連結されている。
【0057】
このようにして、
図2に示すように、サイドパネル70は、間仕切り部10の側部直線状部10cの延長線上に位置する閉状態位置P2と、間仕切り部10の側部直線状部10cにおいて天板60が設けられている側とは反対側の、パネル体11の外側面11gに沿う開状態位置(第一の位置)P1との間で、開閉自在とされている。
【0058】
図4に示すように、サイドパネル70が開状態位置P1にあるときには、パネル本体71を支持するパネル固定部材77が、間仕切り部10の側部直線状部10cを形成するパネル体11に突き当たる。つまり、サイドパネル70は、パネル固定部材77がパネル体11に突き当たることによって、開方向への回動範囲が規制される。パネル体11の外側面11gは、表皮材14およびクッション材13からなる表層部19により形成されているため、パネル固定部材77よりも軟質であり、かつ弾性を有する。したがって、サイドパネル70を開方向に回動させ、パネル固定部材77がパネル体11に突き当たったときの衝撃をパネル体11の表層部19で吸収することができる。
【0059】
また、
図2に示すように、サイドパネル70が開状態位置P1にあるときには、間仕切り部10の側部直線状部10c,10cの前方が開放される。これにより、間仕切り部10および天板60の前方の空間S1に対し、側方から出入りするための動線Mが容易に確保される。
サイドパネル70が閉状態位置P2にあるときには、天板60に対向する利用者Uからみると、両側方がサイドパネル70によって仕切られるので、天板60の前方の空間S1および天板60上の空間S2における、幅方向側方からの視線や光、音等を遮断あるいは緩和することができる。
【0060】
上述したような構成によれば、間仕切り部10は、床面上に立てた状態で設置されるパネル体11およびパネル本体71と、パネル体11に対し、パネル本体71を、パネル体11の外側面11gに沿う開状態位置P1とパネル体11の外側面11gから離間する方向に展開する閉状態位置P2との間で相対的に回動可能に連結するヒンジ部材72と、を備える。パネル体11は、外側面11gを形成する表層部19が、パネル本体71側において表層部19に突き当たる部位であるパネル固定部材77よりも軟質な材料で形成されている。
これにより、パネル本体71がパネル体11に沿う開状態位置P1に向かって相対的に回動し、パネル体11の表層部19にパネル本体71側のパネル固定部材77が突き当たった際の衝撃を抑えることができる。その結果、パネル本体71を回動させたときに衝撃や騒音が生じるのを抑えることが可能となる。
また、パネル本体71側のパネル固定部材77が突き当たるときの衝撃を表層部19で抑えることによって、表層部19を硬質な材料で形成して前記衝撃を抑えない構成に比較すると、ヒンジ部材72に要求される強度が低くて済む。したがって、ヒンジ部材72を簡便でありながら、パネル体11とパネル本体71とを強固に連結することが可能となる。
【0061】
また、パネル体11の表層部19に突き当たるのは、サイドパネル70のパネル固定部材77である。よって、サイドパネル70のパネル本体71自体がパネル体11に突き当たり、パネル本体71が損傷したりすることを抑制することができる。
【0062】
また、ヒンジ部材72は、パネル体11の側端部11tに設けられた溝25内に、コーナーキャップ40を介して固定されている。これにより、ヒンジ部材72をパネル体11に容易かつ確実に固定することができる。また、パネル体11に対するヒンジ部材72の固定部位が露出するのを抑えることができ、外観を向上させることができる。
【0063】
さらに、ヒンジ部材72は、パネル体11に対してパネル本体71を回動自在に支持する支持軸81を備え、支持軸81は、溝25の外方であって、溝25とパネル体11の外側面11gとの間に配置されている。このように構成することで、パネル体11の外側面11gと溝25との間に、厚みを持った表層部19を備えたパネル体11において、溝25にヒンジ部材72を固定した構成であっても、パネル本体71を、表層部19と干渉することなく、パネル体11の外側面11gに沿う開状態位置P1と、閉状態位置P2との間で回動させることができる。
【0064】
また、支持軸81は、パネル体11の側端部11tに近接して配置されている。このように構成することで、支持軸81とパネル体11の側端部11tとの隙間を小さくすることができる。これにより、パネル体11とパネル体本体71との連結部分の体裁を向上させることができる。また、支持軸81とパネル体11の側端部11tとの隙間に物品等が挟まるのを抑えることができる。
【0065】
さらに、パネル本体71は、透光性を有する材料で形成することによって、パネル本体71の一方側および他方側において、明るさを確保しつつ、視線を遮ることができる。
【0066】
また、パネル体11は、パネル基材12と、表層部19と、を備え、表層部19は、パネル本体71側の部位よりも軟質な材料で形成されたクッション材13と、クッション材13を覆う表皮材14と、を有する。このように構成することで、パネル本体71側よりも軟質な表層部19を容易に形成することができる。また表皮材14の色彩や質感を選択することで、使用者の好みに合わせたパネル体11を形成することができる。
【0067】
また、上述したような構成のブース型什器1によれば、上記したような間仕切り部10と、パネル体11の内側面11f側において、パネル体11の高さの中間部に設けられた天板60と、を備える。このように構成することで、天板60を、例えばデスクやカウンター、物品を収納したり展示したりする台等として用いることができる。
【0068】
さらに、パネル体11は、天板60に利用者Uが対向する前端部60f以外の外周部である後端部60rおよび側端部60s,60sを取り囲むように設けられ、パネル本体71は、天板60の前端部60fの前方の空間S1を仕切る閉状態位置P2と、開状態位置P1との間で、回動可能とされている。
このように構成することで、パネル体11によって間仕切り部10の一方の側と他方の側とで空間を区画し、天板60上に、周囲から比較的閉鎖されて音や光が侵入するのを抑えた空間S2を形成することができる。さらに、開状態位置P1と閉状態位置P2との間で回動可能なパネル本体71によって、天板60の前方の空間S1の側方を開閉自在に仕切ることが可能となる。これにより、天板60の前方の空間S1に出入りするための動線Mを容易に確保することができる。また、天板60の前方の空間S1への光や音の進入度合いを、利用者Uの好みで調整することが可能となる。
【0069】
(その他の実施形態)
なお、本発明の間仕切り装置は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、パネル本体71が閉状態位置P2から開状態位置P1に向かって相対的に回動したときに、パネル本体71側でパネル本体71を支持するパネル固定部材77が表層部19に突き当たるようにしたが、これに限らない。表層部19に突き当たるパネル本体71側の部位は、例えばパネル本体71自体であってもよいし、パネル本体71の先端部に、表層部19に突き当たるパッド等を設けても良い。
【0070】
また、上記実施形態では、間仕切り部10の幅方向両側にサイドパネル70を備えるようにしたが、少なくとも幅方向一方を回動可能なサイドパネル70とし、幅方向他方は、固定されたパネルや壁等によって閉塞するようにしても良い。
【0071】
また、ブース型什器1を構成する間仕切り部10の平面形状は、上記したような背部直線状部10a、側部湾曲部10b,10b、側部直線状部10c,10cを有するものに限らない。例えば、平面視コ字状、U字状、半円弧状、L字状等としてもよい。
【0072】
また、間仕切り部10を構成するパネル体11に対し、サイドパネル70に代えて、他のパネル体11やその他のパネルを回動自在に連結するようにしてもよい。
さらに、ブース型什器1に限らず、他の間仕切り装置においても、上記と同様の構成を適用することが可能である。
【0073】
また、上記実施形態では、パネル体11の構造を示したが、いかなる構造のものであってもよい。例えば、上記実施形態で示したような、クッション材13および表皮材14からなる表層部19は、パネル基材12の両面に形成するとは限らず、パネル基材12の一面側にのみ形成するようにしてもよい。
【0074】
加えて、上記実施形態では、クッション材13、表皮材14を備えるようにしたが、これらは必須の構成ではない。クッション材13、表皮材14を備えず、サイドパネル70側よりも軟質な材料のみでパネル体11の表皮部を形成してもよい。そのような軟質な材料としては、例えば、ゴム系材料、軟質樹脂材料等の他、フェルト、不織布等を用いることができる。
【0075】
また、上記実施形態では、第二の位置として、サイドパネル70が間仕切り部10の側部直線状部10cの延長線上に位置する閉状態位置P2にある場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。第二パネル体が第一パネル体の一方の側面から少なくとも離間するする位置まで回動可能な構成であればよく、サイドパネル70が閉状位置P2よりもさら回動してもよく、あるいは閉状位置P2まで回動しなくてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。