【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、設置が容易でなおかつ設置後に剥がれ落ちる等の脱落を防止可能な配管内流体の識別具を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る配管内流体の識別具は請求項1に記載したように、配管内を流れる流体の種別を識別するための配管内流体の識別具において、
材軸方向に沿ってスリットが形成された弾性材料からなる筒状部材で構成され、前記スリットが拡がるように前記筒状部材を弾性変形させることにより、前記配管を吊持する配管支持用吊りボルトが前記スリットを介して前記筒状部材の内側空間に挿入されるとともに、該筒状部材が弾性変形前の状態に戻ろうとする復元力で前記配管支持用吊りボルトに保持されるようになっており、前記筒状部材をその横断面が楕円状となるようにかつその長軸上に前記スリットが位置するように形成したものである。
また、本発明に係る配管内流体の識別具は、前記筒状部材の内周面であってその短軸上に該筒状部材の材軸に沿って延びる断面湾曲状の嵌合溝を対向配置したものである。
また、本発明に係る配管内流体の識別具は請求項3に記載したように、配管内を流れる流体の種別を識別するための配管内流体の識別具において、
材軸方向に沿ってスリットが形成された弾性材料からなる筒状部材で構成され、前記スリットが拡がるように前記筒状部材を弾性変形させることにより、前記配管を吊持する配管支持用吊りボルトが前記スリットを介して前記筒状部材の内側空間に挿入されるとともに、該筒状部材が弾性変形前の状態に戻ろうとする復元力で前記配管支持用吊りボルトに保持されるようになっており、前記筒状部材の前記スリットを挟む対向縁部に対向面が互いに60゜以上80゜以下の角度をなすように縦リブをそれぞれ設けたものである。
また、本発明に係る配管内流体の識別具は請求項4に記載したように、配管内を流れる流体の種別を識別するための配管内流体の識別具において、
材軸方向に沿ってスリットが形成された弾性材料からなる筒状部材で構成され、前記スリットが拡がるように前記筒状部材を弾性変形させることにより、前記配管を吊持する配管支持用吊りボルトが前記スリットを介して前記筒状部材の内側空間に挿入されるとともに、該筒状部材が弾性変形前の状態に戻ろうとする復元力で前記配管支持用吊りボルトに保持されるようになって
おり(該配管支持用吊りボルトの雄ネジに係合される構成を除く)、前記スリットの幅が前記筒状部材の所定部位から端部にかけて徐々に大きくなるように前記筒状部材を形成したものである。
また、本発明に係る配管内流体の識別具は請求項5に記載したように、配管内を流れる流体の種別を識別するための配管内流体の識別具において、
材軸方向に沿ってスリットが形成された弾性材料からなる筒状部材で構成され、前記スリットが拡がるように前記筒状部材を弾性変形させることにより、前記配管を吊持する配管支持用吊りボルトが前記スリットを介して前記筒状部材の内側空間に挿入されるとともに、該筒状部材が弾性変形前の状態に戻ろうとする復元力で前記配管支持用吊りボルトに保持されるようになっており、前記筒状部材の各端に
該筒状部材の外方に向けて突設されてなる鍔状の環状リブを設けたものである。
【0010】
また、本発明に係る配管内流体の識別具は、前記スリットの幅が前記筒状部材の所定部位から端部にかけて徐々に大きくなるように前記筒状部材を形成したものである。
【0011】
また、本発明に係る配管内流体の識別具は、前記筒状部材の外観によって配管の流体種別を識別するように構成したものである。
【0012】
また、本発明に係る配管内流体の識別具は、前記外観を流体の種類に関連付けられた色としたものである。
【0017】
本発明に係る配管内流体の識別具においては、その装着先を、配管や吊りバンドではなく、配管を吊持する配管支持用吊りボルトとした上、材軸方向に沿ってスリットが形成された弾性材料からなる筒状部材で構成してあり、このスリットを拡げることにより、よく詳しくは、このスリットが拡がるように筒状部材を弾性変形させることにより、該スリットを介して配管支持用吊りボルトが筒状部材の内側空間に挿入されるとともに、筒状部材がその拡径状態からの復元力で、よく詳しくは弾性変形前の状態に戻ろうとする復元力で配管支持用吊りボルトに保持されるようになっている。
【0018】
このようにすると、配管支持用吊りボルトへの装着作業が瞬時に完了するとともに、装着後に脱落するおそれもないため、配管の流体種別が識別可能な状態を効率よく実現できるとともに、該識別可能状態を確実に維持することも可能となる。
【0019】
スリットは、その幅が筒状部材の一端から他端まで概ね同一となるように形成されるのが典型例となるが、かかるスリットは、筒状部材の材軸方向に沿って形成される限り、必ずしも一端から他端まで同一幅に形成される必要はない。
【0020】
特に、スリットの幅が筒状部材の所定部位から端部にかけて徐々に大きくなるように筒状部材を形成した構成においては、スリットの幅が筒状部材の端部で最大となるため、該端部を配管支持用吊りボルトの周面に当接させた姿勢で、筒状部材を配管支持用吊りボルトに押し込むようにすれば、スリットの幅が大きい分、挿入に要する力が小さくて済み、装着時の作業性が向上する。
【0021】
この構成において、スリットのうち、筒状部材の材軸方向に沿って幅が一定となる長さ範囲を標準スリット部、幅が徐々に大きくなって末広がりとなる長さ範囲を拡開スリット部とすると、拡開スリット部は、筒状部材のいずれか一端に設けるようにしてもよし、各端に設けるようにしてもよい。ちなみに、標準スリット部と拡開スリット部の境界が上述した筒状部材の所定部位となる。
【0022】
配管の流体種別が識別可能な状態は、例えば筒状部材に突設されたフックに、配管内流体の種類が識別できるように構成された識別プレートをぶら下げることでも可能であり、かかる場合には、筒状部材は、識別プレートを配管支持用吊りボルトに取り付けるための取付け機能のみを果たし、識別機能は識別プレートが受け持つことになるが、筒状部材の外観によって配管の流体種別を識別するように構成したならば、筒状部材は、取付け機能と識別機能とを兼ね備えることとなり、流体種別の識別可能状態をさらに効率よく実現することが可能となる。
【0023】
筒状部材の外観には、長さや太さといった形状も包摂されるが、これを流体の種類に関連付けられた色としたならば、離れたところからでも容易に視認できるとともに、形状は均一にできるため、製作を低コストで行うことが可能となり、保管や運搬の際の取り扱いにも優れる。
【0024】
着色構成としては例えば、冷水用を青、冷温水用を黄緑、温水用を黄赤、冷却水用を紺、補給水用を緑、給湯用をうすい赤紫、給水用を水色、消火用を赤とすることができる。
【0025】
筒状部材は、スリットを介して内側空間に配管支持用吊りボルトを挿入可能で、弾性変形前の状態に戻ろうとする復元力で配管支持用吊りボルトに保持可能である限り、長さや太さは任意であるし、横断面の形状も限定されるものではなく、円形状の横断面でもかまわないが、筒状部材をその横断面が楕円状となるようにかつその長軸上にスリットが位置するように形成したならば、横断面を円形状とした場合よりも、配管支持用吊りボルトの外周面をより広く覆うことができるため、筒状部材の視認性が高くなり、ひいては配管の流体種別を確実に識別することが可能となる。
【0026】
ここで、筒状部材の内周面であってその短軸上に該筒状部材の材軸に沿って延びる断面湾曲状の嵌合溝を対向配置したならば、配管支持用吊りボルトが細径であっても、該配管支持用吊りボルトが嵌合溝に嵌り込むため、筒状部材は、がたつきや遊びが生じることなく、遊び配管支持用吊りボルトにしっかりと保持される。
【0027】
また、筒状部材の各端に鍔状の環状リブを設けたならば、本発明に係る配管内流体の識別具を配管支持用吊りボルトに段状に複数個装着する場合、筒状部材の端部同士が重なることがないため、装着時の作業性低下を防止することができる。
【0028】
また、筒状部材のスリットを挟む対向縁部に対向面が互いに60゜以上80゜以下の角度なすように縦リブをそれぞれ設けたならば、該縦リブの対向面を配管支持用吊りボルトの外周面に摺動させながら押し込むことができるため、該配管支持用吊りボルトを筒状部材の内部空間に容易に挿入することが可能となる。
【0029】
ここで、対向面を60゜以上80゜以下としたのは、この角度範囲だと、縦リブの対向面を配管支持用吊りボルトの外周面に当接させやすくなるからである。