(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トラクタを前記セミトレーラに対して角度θ1で旋回させたとき、前記車軸はセミトレーラに対して角度θ2で回動し、このときθ1>θ2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセミトレーラ自動車。
【背景技術】
【0002】
長尺物(14〜24m;通常の通行許可は22m)のトラック輸送は、ポールトレーラで行われている。ポールトレーラは、保安基準緩和車両であり、分割不能な単体物のみ輸送が可能である。保安基準緩和車両とは、道路運送車両法の道路運送車両の保安基準で定められた基準内の車両では輸送できない寸法、重量の物品を輸送するために保安基準の緩和が特別に認められた車両である。
【0003】
ポールトレーラは、単体物輸送専用車両なので、輸送効率が悪い。またポールトレーラは、荷受け点が2点しかないので、安全性に難がある。以上のことからポールトレーラに代わり、長尺物を安全に輸送することができる車両の開発が待たれている。
【0004】
セミトレーラを使用すれば、物品を安全に輸送することができるが、従来のセミトレーラは、荷台部分の長さが短く、長尺物を運送することができない。荷台を長くすれば長尺物を運送することができるが、公道を走行するには、道路運送車両法、車両制限令等の法令に適合させる必要がある。
【0005】
上記問題を解決すべく本発明者は、トラクタの全長を長くし、かつトレーラのフロントオーバーハング部を長くすることで長尺物を運送可能とするセミトレーラ自動車を開発した(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のセミトレーラ自動車を使用すれば、安全に長尺物を運送することができるが、従来以上の長さの長尺物及び/又は重量物を積載したいとの要望も大きい。この場合、車両の回転半径も問題となる。
【0008】
セミトレーラの回転半径は、トレーラのホイールベースに比例するため回転半径を小さくするには、トレーラのホイールベースを短くする必要がある。トレーラのホイールベースは、連結装置中心(キングピン)から車軸の中心までの距離である。2軸の場合、車軸の中心は、前後の車軸の中心となるため、トレーラのホイールベースを短くするには、車軸はできるだけキングピン側に移動させることが好ましい。
【0009】
一方、トレーラへの積載重量は、最遠軸距(連結装置中心から最後車軸中心までの距離)に比例して大きくなるため積載重量を大きくするには、最遠軸距を大きく、つまり車軸をできるだけトレーラの後端側に移動させることが好ましい。
【0010】
以上のようにセミトレーラの回転半径と積載重量とは、相反する関係にあるため、回転半径を小さくし、かつ積載重量を大きくすることは容易ではなく、従来の構造(考え方)では解決することができない。
【0011】
本発明の目的は、回転半径が小さく、かつ従来以上の長尺物及び/又は重量物を輸送可能なセミトレーラ自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
カプラを
備えセミトレーラを牽引するトラクタと、シャシーフレームに回動自在に固定され
2軸の車軸を支持する足廻りフレームと、
前記車軸を操舵可能な操舵装置とを備えるセミトレーラと、を有し、
前記操舵装置は、キングピンの上端に固着され、前記セミトレーラのシャシーフレームに回動自在に固定されたキングピンプレートと、連結時に前記カプラに挟み込まれ前記カプラと前記キングピンプレートとを一体化させる固定具と、前記キングピンプレートの動きを前記足廻りフレームに伝達す
るリンクアーム、レバー及び
一対の連結ロッドと、を有し、
前記レバーは、前記リンクアームに連結するステアリングレバー
と、前記連結ロッドの中間部に配置される中間レバーと、前記足廻りフレームに固定される末端レバーと、を含み、前記リンクアームは、一端が前記
キングピンプレートの中心から偏心した位置に回動自在に連結され、他端が前記ステアリングレバーの一端に回動自在に連結され、前記一対の連結ロッドは、前記各レバーの両端に回動自在に連結され、前記セミトレーラは、前記キングピンから車両後端までの長さが法令で規定される最長値
であり、また最遠軸距が法令で規定するセミトレーラ車両総重量の最大値を満足する最小値
であり、前記2軸の車軸は、両軸とも操舵可能であり、前記カプラに対して前記キングピンプレートを回動不能に固定し、前記トラクタの旋回に伴い前記操舵装置を介して前記セミトレーラの車軸を
2軸同時に同じ量だけ回動させ
ること
が可能なセミトレーラ自動車である。
【0013】
本発明のセミトレーラ自動車は、セミトレーラの荷台部が長く、かつ最遠軸距が法令で規定するセミトレーラ車両総重量の最大値を満足するように設定されているので、従来のセミトレーラに比較し、より長い長尺物及び/又はより重い重量物を輸送することができる。一方で、最遠軸距が法令で規定するセミトレーラ車両総重量の最大値を満足する最小値、かつ
セミトレーラの車軸を2軸同時に同じ量だけ回動させることが可能なため従来のセミトレーラに比較し
て回転半径が小さい。
【0015】
本発明のセミトレーラ自動車に装着された操舵装置は、機械的にセミトレーラの車軸を回動させるので構造が単純で信頼性が高い。一方、本発明のセミトレーラ自動車のようにセミトレーラの前後の車軸間距離を長くすると、車軸を旋回(回動)させる際に操舵装置に大きな荷重が加わる。このため操舵装置の構成部品、特にキングピンプレートの動きをレバーに伝達する機構の損傷が懸念されるが、本発明では、キングピンプレートの動きをリンクアームを介してレバーに伝達する機構を採用するので、構造が単純で信頼性が高く、機械式操舵装置であっても耐久性に優れる。
【0016】
また本発明において、
前記セミトレーラのフロントオーバーハング部の長さが2.81mであり、前記車軸間距離が、1600mmであることを特徴とする。
【0017】
本発明のセミトレーラ自動車は、セミトレーラのフロントオーバーハング部の長さが長いので従来のセミトレーラに比較し、より長い長尺物を輸送することができる。また従来のセミトレーラの前後の車軸間距離は、一般的に約1300mmであるので、本発明のセミトレーラ自動車は、従来のセミトレーラに比較してホイールベースを約150mm短くすることができる。
【0018】
また本発明のセミトレーラ自動車は、前記トラクタを前記セミトレーラに対して角度θ1で旋回させたとき、前記車軸はセミトレーラに対して角度θ2で回動し、このときθ1>θ2であることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、トラクタを旋回させたとき、トラクタのセミトレーラに対する旋回角度θ1に比較して、車軸のセミトレーラに対する旋回角度θ2が小さく設定されているので、本発明の操舵装置を好適に使用することができる。
【0020】
また本発明において、前記トラクタは、全長が法令で規定される最長値であり、かつ
リアオーバーハング部の長さがフロントオーバーハング部よりも長いことを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、寸法関係が既存のポールトラクタと合致するので、既存のポールトラクタにカプラを取付けるなど簡単な改造で本セミトレーラ自動車のトラクタを得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のセミトレーラ自動車は、回転半径が小さいにもかかわらず従来以上の長さの長尺物及び/又は従来以上に重い重量物を輸送することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態であるセミトレーラ自動車1の全体図である。
図2は、セミトレーラ31に装着する操舵装置51の構成を説明するための図、
図3は、
図2のA部の詳細を示す半断面図ある。
図4は、セミトレーラ自動車1の旋回時の操舵装置51の動き及びセミトレーラ31の車軸41の動きを説明するための図である。なお
図1と
図2及び
図4との縮尺、寸法関係は、必ずしも一致していない。
【0025】
セミトレーラ自動車1は、長尺物及び/又は重量物を輸送可能なセミトレーラ31と、セミトレーラ31を牽引するトラクタ11とを含む。
【0026】
トラクタ11は、前方にキャビン17を、キャビン17の後方にカプラ27が装着されたシャシー21を有する。キャビン17の下方に前輪23、シャシー21の中央部より少し後方に後輪25を備え、公知のトラクタと同様にエンジンを含む駆動装置(図示省略)及び操舵装置(図示省略)を備える。後輪25の軸数は、2軸である。
【0027】
カプラ27は、セミトレーラ31を連結する連結装置であり、セミトレーラ31に設けられたキングピン43が嵌り込むジョー(図示を省略)及びロック機構(図示を省略)を備える。カプラ27は、中心部が後輪25の前後の車軸の中心Aから僅かに前方(カプラーオフセット)となるようにシャシー21に固定されている。
【0028】
トラクタ11の基本的構成は、上記の通り公知のトラクタと同一であるが、トラクタ11は、以下に説明するようにホイールベース長W1など寸法に特徴がある。
【0029】
トラクタ11のホイールベース長W1は、従来のセミトラクタのホイールベース長に比較して長い。これはセミトレーラ31のフロトンオーバーハング部FO2の長さを十分に確保するためである。なお、セミトレーラ自動車1を運行する際、セミトレーラ31のフロトンオーバーハング部FO2がキャビン後端部(含むケールブル類)19に接触しないように、カプラ27とキャビン後端部19との間に距離が設けられていれば、ホイールベース長W1を必要以上に長くする必要はない。
【0030】
またトククタ11の全長L1は、セミトレーラ31を牽引するトラクタ(いわゆるセミトラクタ)でありながら、従来のセミトラクタの全長に比較してかなり長い。これは上記のホイールベース長W1を確保するためである。また本実施形態に示すトラクタ11は、既存のポールトラクタをベースとしているため、トククタ11の全長L1は、法令で規定される最長値一杯に設定されている。ここで最長値一杯とは、最長値と同一であることの他、最長値よりも僅かに短いが最長値と同一視できる長さを含む。現行法令下では、道路運送車両法の道路運送車両の保安基準により最大全長は、12mと規定されているので、トラクタ11の全長L1は、11,500〜12,000mmの範囲である。
【0031】
本実施形態では、3軸のトラクタ11を示したが、本実施形態で示すホイールベース長W1を設定することができるのであれば、2軸のトラクタであってもよい。また本実施形態に示すトラクタ11は、既存のポールトラクタをベースとしているためフロントオーバーハング部FO1に比較して長さの長いリアオーバーハング部RO1を有するが、リアオーバーハング部RO1は短くてもよく、リアオーバーハング部RO1を省略してもよい。フロントオーバーハング部FO1は、前輪23の車軸の中心Bからトラクタ11の先端部13、リアオーバーハング部RO1は、後輪25の車軸の中心Aからトラクタ11の後端部15までをいう。要すれば、トラクタ11は、セミトレーラ31を連結した際に、セミトレーラ31のフロトンオーバーハング部FO2の長さを十分に確保することができればよい。
【0032】
セミトレーラ31は、平床式トレーラであり、後方に2軸の車軸41(41a、41b)を有する。キングピン43は、シャシー37の前方寄りの下部に装着され、シャシー37のほぼ中央の下部には、ランディング装置45が設けられている。さらにシャシー37を構成する上下のシャシーフレーム39の間に、車軸41を回動させる操舵装置51が取付けられている。
【0033】
セミトレーラ31は、荷台36の長さL3を長くするためにキングピン43から車両後端35までの長さが法令で規定される最長値一杯に設定され、かつフロントオーバーハング部FO2の長さが従来のセミトレーラに比較して長く設定されている。これにより従来のセミトレーラに比較し、より長い長尺物を輸送可能とする。
【0034】
ここで最長値一杯とは、最長値と同一であることの他、最長値よりも僅かに短いが最長値と同一視できる長さを含む。現行法令下では、セミトレーラ31の全長L2とされるキングピン43から車両後端35までの長さは、道路運送車両法の道路運送車両の保安基準により最長で12mと規定されているので、
セミトレーラ31の全長
L2は、11,500〜12,000mmの範囲である。
【0035】
フロントオーバーハング部FO2は、キングピン43から車両先端33までの長さであり、フロントオーバーハング部FO2を長くすることで荷台36の長さL3を長くすることができる。一方で、フロントオーバーハング部FO2を長くすると、セミトレーラ自動車1を旋回させるとき、フロントオーバーハング部FO2のはみ出し量が多くなり、さらに第5輪荷重が大きくなる。第5輪荷重とは、セミトレーラ自動車1に荷物を積載したときカプラ27にかかる荷重である。上記点を考慮し、フロントオーバーハング部FO2の長さを決定すればよい。後述の実施例にセミトレーラ自動車1の好ましい寸法を示した。
【0036】
セミトレーラ31の最遠軸距L4は、法令で規定するセミトレーラ車両総重量の最大値を満足する最遠軸距のうち最小値に設定されている。最遠軸距L4は、連結装置であるキングピン43の中心から最後車軸である後車軸41bの中心までの距離である。現行法令下では、道路運送車両法の道路運送車両の保安基準によりセミトレーラ車両総重量は、最遠軸距L4に比例して大きくなり、最遠軸距L4が9.5m以上でセミトレーラ車両総重量は28tonである。よって現行法令下では、セミトレーラ31の最遠軸距L4は、9.5mとなる。
【0037】
セミトレーラ31の軸間距離L5は、従来のセミトレーラの軸間距離に比較して長く設定されている。軸間距離L5は、前車軸41aの中心点と後車軸41bの中心点との間隔をいう。従来の2軸のセミトレーラの軸間距離は、1300mm程度であるが、セミトレーラ31の軸間距離L5は、例えば1600mm程度に設定される。後車軸41bの位置を起点とし軸間距離L5を長くすれば、車軸の中心点がキングピン43側に移行するので、セミトレーラ31のホイールベースW2が短くなる。
【0038】
車軸41は、足廻りフレーム47に支持され、足廻りフレーム47は、旋回ベアリング49を介してシャシーフレーム39に回動自在に固定され、操舵装置51を介して回動する。前車輪41a及び後車輪41bは、同じ足廻りフレーム47に固定されているため一緒に回動する。
【0039】
操舵装置51は、セミトレーラ31の車軸41を機械的に回動させる機械式の操舵装置であり、キングピン43の上端に固着されたキングピンプレート53と、キングピンプレート53をカプラ27に対して一体化させるステアリングウェッジ55と、キングプレート53の動き(回動)を足廻りフレーム47に伝達するレバー57、リンクアーム59及び連結ロッド61とを有する。
【0040】
キングピンプレート53は、シャシーフレーム39に回動自在に固定され、キングピン43を支持する。ステアリングウェッジ55は、キングピンプレート53とカプラ27とを一体化させる固定具であり、カプラ27にキングピン43を連結したときカプラ27に挟み込まれ、キングピンプレート53とカプラ27とを一体化させる。カプラ27は、トラクタ11に固定されており、さらにキングピンプレート53は、ステアリングウェッジ55を介してカプラ27と固定されるので、トラクタ11が旋回するとキングピンプレート53も一緒に旋回する。
【0041】
レバー57は、キングピンプレート53の動きを足廻りフレーム47に伝達する部材の一部であり、キングピンプレート53の近くに配置されたステアリングレバー57aと、キングピンプレート53と足廻りフレーム47との中間に配置された2つの中間レバー57b、足廻りフレーム47に固定された末端レバー57cとからなる。
【0042】
ステアリングレバー57a及び中間レバー57bは、中心部に支持ピン63を有し、該支持ピン63を介してシャシーフレーム39に回動自在に固定され、支持ピン63を中心に左右に回動することができる。末端レバー57cは、足廻りフレーム47の中心部に固定され、足廻りフレーム47と一体的に回動する。
【0043】
リンクアーム59は、キングピンプレート53とステアリングレバー57aとを連結し、キングピンプレート53の動き(回動)をステアリングレバー57aに伝達する部材である。リンクアーム59の一端は、連結ピン65を介して、キングピンプレート53の中心から外れた位置に回動自在に連結され、リンクアーム59の他端は、連結ピン65を介してステアリングレバー57aの一端部に回動自在に連結されている。
【0044】
連結ロッド61は、ステアリングレバー57aと中間レバー57b、中間レバー57bと末端レバー57cとを連結し、キングピンプレート53の動き(回動)を足廻りフレーム47に伝達する。連結ロッド61は、各レバー57の両端部に連結ピン65を介して回動自在に連結されている。
【0045】
以上の構成からなる操舵装置51を備えるセミトレーラ自動車1の使用例を説明する。セミトレーラ31をトラクタ11に連結し、ステアリングウェッジ53を介してキングピンプレート53とカプラ27とを一体化させる。トラクタ11を直進させる場合は、
図2に示すように従来のセミトレーラ自動車と何ら変わりない。
【0046】
図4に示すようにトラクタ11を旋回させると、リンクアーム59を介してキングピンプレート53に連結するステアリングレバー57aが回動する。ステアリングレバー57aの動きは、連結ロッド61を介して中間レバー57b、末端レバー57c及び足廻りフレーム47に伝達され、最終的に車軸41が回動する。これによりセミトレーラ31は、トラクタ11の軌跡を追従するように旋回走行し、内輪差を少なくすることで道路所要幅が狭い道路を通過することができる。
【0047】
このときセミトレーラ自動車1の最小回転半径が法令で規定する最小回転半径を満足することは当然である。現行法令下では、道路運送車両法の道路運送車両の保安基準により、トクラクとトレーラとを連結した状態で、最小回転半径は、最外側のわだちについて12m以下である。
【0048】
本実施形態では、トラクタ11をセミトレーラ31に対してθ1の角度で旋回させたとき、車軸41は、セミトレーラ31に対してθ2の角度で旋回する。このときθ1>θ2である。
【0049】
トラクタ11をセミトレーラ31に対してθ1の角度で旋回させたとき、車軸41がセミトレーラ31に対して旋回する角度θ2は、キングピンプレート53及びステアリングレバー57aの大きさ、キングピンプレート53とステアリングレバー57aとの間隔、リンクアーム59の長さにより制御することができる。トラクタ11のセミトレーラ31に対する旋回角度θ1及びそのときのセミトレーラ31の車軸41のセミトレーラ31に対する旋回角度θ2は、特定の値、割合に限定されるものではなく、運転性、安全性、回転半径等から適宜決定すればよい。
【0050】
本実施形態に示す操舵装置51は、機械式の操舵装置であるので構造が単純で信頼性が高い。一方、本セミトレーラ31のように前後の車軸間距離L5を長くすると、車軸41を旋回(回動)させる際に操舵装置51に大きな荷重が加わる。本実施形態では、キングピンプレート53の動きをリンクアーム59を介してステアリングレバー57aに伝達する機構を採用するので耐久性に優れる。
【0051】
同じ機械式の操舵装置であっても、伝達機構によっては、伝達部品が破損する。
図5は、比較例としての操舵装置101のキングピンプレート53の動きを伝達する伝達機構を示す半断面図である。
【0052】
操舵装置101では、本実施形態に示す操舵装置51のステアリングレバー57aに代え、イコライザー103を、リンクアーム59に代え、イコライザー103に噛み合うスライドロッド105を有する。他の構成は、操舵装置101と操舵装置51とで同じである。
【0053】
イコライザー103は、ステアリングレバー57aと同様に中心部に支持ピン63を有し、該支持ピン63を介してシャシーフレーム39に回動自在に固定され、支持ピン63を中心に左右に回動することができる。またイコライザー103の両端部には、連結ロッド61が回動自在に連結されている。スライドロッド105は、キングピンプレート53の中心部に固定された連結具107を介して連結する。スライドロッド105と連結具107とは、連結ピン65を介して回動自在に連結されている。
【0054】
以上からなる操舵装置101を製作し、本操舵装置51に代え、セミトレーラ31に搭載し走行テストを実施したところ耐久性が不十分であった。
【0055】
以上のように本セミトレーラ自動車1は、セミトレーラ31のフロントオーバーハング部FO2を長くすることで荷台36を長くし長尺物を輸送可能とし、最遠軸距L4を法令で規定するセミトレーラ車両総重量の最大値を満足するに設定することで、重量物の輸送可能とし、さらに最遠軸距L4を法令で規定するセミトレーラ車両総重量の最大値を満足する最遠軸距のうち最小値に設定し、かつ軸間距離L5を長くすることでセミトレーラ31のホイールベースW2を短くし、回転半径を小さくする。
【0056】
さらにセミトレーラ31は、操舵装置51を搭載するので回転半径をより小さくすることができる。また本セミトレーラ自動車1は、セミトレーラ31の2軸の車輪41を旋回させるとき、2軸を同時に同じ量だけ変位させるので、本セミトレーラ自動車1を後退させるとき車輪41を見やすく後退が容易となる。
【0057】
本発明に係るセミトレーラ自動車は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。また後述の実施例の寸法に限定されるものでもない。
【実施例】
【0058】
第1実施形態に示すセミトレーラ自動車1の考え方に基づき、好ましい寸法に設定されたセミトレーラ自動車を製作した。トラクタは、市販のポールトラクタを改造し使用した。セミトレーラ自動車の構成は、第1実施形態に示すセミトレーラ自動車1と同一である。以下、好ましい寸法を表1に示す。これにより長尺物及び/又は重量物を小さい回転半径で輸送可能なこと、操舵装置51が耐久性に優れることを確認した。
【0059】
【表1】