特許第6395446号(P6395446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395446
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】車両のドアロック制御システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/78 20140101AFI20180913BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20180913BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20180913BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20180913BHJP
【FI】
   E05B81/78
   E05B49/00 J
   B60R25/24
   B60R25/01
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-111084(P2014-111084)
(22)【出願日】2014年5月29日
(65)【公開番号】特開2015-224501(P2015-224501A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】岡田 高裕
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−193725(JP,A)
【文献】 特開2008−150897(JP,A)
【文献】 特開2001−82011(JP,A)
【文献】 特開2008−75329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0216817(US,A1)
【文献】 国際公開第2006/001263(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 81/78
E05B 49/00
B60R 25/01
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外壁部に配置された接触検知センサと、
車両のドアの開閉状態を検出するドア開閉検出センサと、
前記接触検知センサにおける接触検知、および利用者の所持する携帯器に対する認証成立を条件にドアロック装置を施錠操作する施錠制御部とを有し、
前記施錠制御部は、前記接触検知センサによる接触検知からドア開閉検出センサによるドア閉状態の検出までの間の接触検知センサによる接触解除検知の有無を施錠操作の条件とし、接触検知センサへの接触による施錠操作をドア閉操作までの接触検知センサによる接触解除検知の有無によりキャンセル可能にした車両のドアロック制御システム。
【請求項2】
前記施錠制御部は、前記接触検知センサによる接触検知からドア開閉検出センサによるドア閉状態の検出までの間の接触検知センサによる接触解除検知を施錠操作の条件とする請求項1記載の車両のドアロック制御システム。
【請求項3】
前記施錠制御部は、ドア開閉検出センサによるドア閉状態への移行検出が、前記接触検知センサによる接触解除検出から所定時間内に行われたことを条件として施錠操作を実行する請求項2記載の車両のドアロック制御システム。
【請求項4】
前記施錠制御部は、ドア閉状態における接触検出を施錠操作の条件とする請求項1、2または3記載の車両のドアロック制御システム。
【請求項5】
前記施錠制御部は、施錠完了後に適宜の施錠完了確認手段に対する動作信号を出力する請求項1から4のいずれかに記載の車両のドアロック制御システム。
【請求項6】
前記接触検知センサがドアハンドル装置表面の適宜位置に組み込まれる請求項1から5のいずれかに記載の車両のドアロック制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアロック制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動ロック装置を有する車両のドアロックを制御するための車両のドアロック制御システムとしては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、車両外部にはロックスイッチが配置されており、ドアの施錠は、ロックスイッチを押下した後、開扉状態のドアを閉じることにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-59650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来例において、ドアの施錠に際してロックスイッチへの操作というドア閉塞動作に不要な操作を要するために、使い勝手が悪いという欠点がある。
【0005】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、使い勝手の良好な車両のドアロック制御システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば上記目的は、
車両の外壁部に配置された接触検知センサ1と、
車両のドアの開閉状態を検出するドア開閉検出センサ2と、
前記接触検知センサ1における接触検知、および利用者の所持する携帯器3に対する認証成立を条件にドアロック装置4を施錠操作する施錠制御部5とを有し、
前記施錠制御部5は、前記接触検知センサ1による接触検知からドア開閉検出センサ2によるドア閉状態の検出までの間の接触検知センサ1による接触解除検知の有無を施錠操作の条件とし、接触検知センサ1への接触による施錠操作をドア閉操作までの接触検知センサ1による接触解除検知の有無によりキャンセル可能にした車両のドアロック制御システムを提供することにより達成される。
【0007】
本発明において、ドア表面を含む車両の外壁部には、接触検知センサ1が配置され、開扉状態において接触検知センサ1に触れた後の接触解除操作により施錠操作の有無が決定される。この結果、例えば、接触解除を施錠条件とした場合、接触検知センサ1に触れたままでドアの閉扉操作が行わても施錠操作は行われず、実質的なキャンセル操作が行われたのと同様の効果を発揮させることができ、反対に接触継続を施錠条件とした場合には、ドア閉扉操作中の接触解除がキャンセル操作に相当する。
【0008】
したがって、本発明において、利用者の一連の閉扉操作において、接触検知センサ1への接触継続、接触解除操作を行うだけで施錠指示、あるいは単なる閉扉操作を選択することが可能になるために、利用者の使い勝手が向上する。
【0009】
上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記施錠制御部5は、前記接触検知センサ1による接触検知からドア開閉検出センサ2によるドア閉状態の検出までの間の接触検知センサ1による接触解除検知を施錠操作の条件とする。
【0010】
上述したように、本発明において、接触検知センサ1に対する接触解除操作によって施錠の有無を判定することによりキャンセル操作が容易になるが、本態様のように、接触解除操作を施錠条件とすると、例えば、掌等により接触検知センサ1を含むドアの領域を閉扉方向に勢いを付けて押し込み、閉扉完了前に手をドアから離すような一般的な一連の閉扉動作により自動的に施錠意思を現すことができるために、使い勝手が向上する。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記施錠制御部5は、ドア開閉検出センサ2によるドア閉状態への移行検出が、前記接触検知センサ1による接触解除検出から所定時間内に行われたことを条件として施錠操作を実行する。
【0012】
本態様において、上述した一連の動作が連続的に行われた場合にのみ施錠動作が行われ、接触検知センサ1による接触解除検出から閉扉状態検出までのしきい時間を通常の操作によりドアが閉まる程度の十分に短い時間に設定しておくと、例えば、接触検知センサ1に触れた後、接触検知センサ1との接触を解除し、この後、他の部位を押し込んで閉扉動作を行った場合には施錠動作が行われない等、閉扉操作自体でのキャンセル操作も可能になる。
【0013】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記施錠制御部5は、ドア閉状態における接触検出を施錠操作の条件とする。
【0014】
本態様において、接触検知センサ1は、ドア閉状態では通常の施錠指示用のスイッチを兼ねるために、追加的なスイッチを設ける必要がなく、通常の施錠操作を行うことが可能になる。
【0015】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記施錠制御部5は、施錠完了後に適宜の施錠完了確認手段6に対する動作信号を出力する。
【0016】
施錠完了確認手段6としては、ハザードランプ、ブザー等、車両に既設の表示手段を流用することが可能であり、施錠完了をこれら施錠確認手段により利用者に知らせると、動作信頼性を向上させることが可能になる。
【0017】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記接触検知センサ1がドアハンドル装置7表面の適宜位置に組み込まれる。
【0018】
接触検知センサ1は、車両外壁の適宜箇所に配置することが可能であるが、ドアハンドル装置7に組み込むと、車両のパネルに別途装着部を設ける必要がなくなる上に、車両への装着はドアハンドル装置7の装着により完了するために、組み付け効率も向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、施錠操作に閉扉後の特別な操作を要しないために、使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の機能ブロック図である。
図2】本発明の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、ドアロック制御システムは、接触検知センサ1、ドアの開閉を検出するためのドア開閉検出センサ2、施錠完了確認手段6としてのハザードランプ、あるいはブザー、および施錠制御部5を有して構成される。
【0022】
車両のドアにはドア外壁に取り付けられるドアハンドル装置7と、ドア内に固定されてラッチ部4aを車体に係止させて閉扉状態を維持するドアロック装置4が配置されており、ドアハンドル装置7を操作することによってラッチ部4aの係止を解除して開扉操作を行うことができる。また、ドアロック装置4には、ロック部4bが設けられており、該ロック部4bを本システムにより制御してロック状態とすることにより、ハンドル装置7によるラッチ解除動作を禁止することができる。
【0023】
接触検知センサ1には静電容量センサが使用される。後述するように、上記施錠制御部5は、接触検知センサ1への接触と、閉扉完了前の接触検知センサ1への接触解除を条件とするために、接触検知センサ1は、利用者が閉扉操作を行う際に容易に接触、接触解除操作を行うことのできる車両外面の位置に配置される。
【0024】
本例において、接触検知センサ1は上記ドアハンドル装置7に取り付けられており、ドアハンドル装置7表面の適宜箇所に配置しておくと、掌等でドアを押し付けて閉扉動作を行う際に、接触検知センサ1を含む領域を掌で押し付けた後、閉扉完了前の適宜タイミングで手を離す動作を行うことにより接触、接触解除状態を容易に実現することが可能である。
【0025】
また、例えば、利用者が人差し指から小指までの4本の指で握って開閉操作する所謂グリップタイプの操作ハンドルを備えたハンドル装置の場合、操作ハンドルを握った状態で親指が当たる位置、あるいは、人差し指から薬指までを掛けて開閉操作する所謂プルアップタイプの操作ハンドルを備えたハンドル装置の場合、指を掛けた状態で親指が当たる位置に接触検知センサ1を設けると、ハンドルに手を掛けたまま閉扉動作を行う際にも、容易に接触検知センサ1に対する接触、接触解除操作を行うことが可能になる。
【0026】
施錠制御部5は、制御部5aにより制御されて動作する認証部5b、上記接触検知センサ1からの出力を監視するセンサ出力監視部5c、タイマー5d、ロック駆動部5e、および警報信号出力部5fを有する。
【0027】
認証部5bは、利用者の所持する携帯器3から出力される固有のID情報を予め保管されたIDと照合し、一致する場合に認証成立信号を出力するもので、利用者が携帯器3に配置される操作ボタン(図示せず)を操作することにより携帯器3から出力されるID情報を認証する所謂アクティブ認証動作に加え、認証部5bから出力されるID要求信号を受信した際に携帯器3から自動的に出力されるID情報を認証する所謂パッシブ認証動作も可能に構成される。
【0028】
施錠動作時におけるパッシブ認証動作での認証部5bからのID要求信号の出力タイミングは利用者による接触検知センサ1への接触操作がトリガとされ、さらに、本例において、解錠操作時のID要求信号の発信トリガを得るために、操作ハンドルの手掛け部に別途静電容量センサ(図示せず)が配置される。
【0029】
センサ出力監視部5cは、上記接触検知センサ1、およびドア開閉検出センサ2からの出力を監視して制御部5aに出力する。接触検知センサ1からの接触検知が検出されて制御部5aに出力されると、制御部5aはスマートキーシステムを起動した後、認証部5bから携帯器3に向けてID要求信号を出力して携帯器3からのレスポンス(ID情報)を待ち受ける。
【0030】
また、センサ出力監視部5cは、接触検知センサ1が該接触検知センサ1への接触解除を検出した際にも制御部5aへの信号出力が行われ、センサ出力監視部5cから接触解除信号を受領した制御部5aは、タイマー5dによる計時を開始する。
【0031】
ロック駆動部5eは、制御部5aからの施解錠指令信号に基づいてドアロック装置4のドライブ信号を生成し、ロック部4bを駆動するアクチュエータに出力する。
【0032】
警報信号出力部5fは、制御部5aからの警報出力指令に基づいてハザードランプ、あるいはブザー等の施錠完了確認手段6を作動させ、利用者に施錠完了を知らせる。
【0033】
図2の本システムの動作を示す。まず、システムが起動すると、センサ出力監視部5cによる接触検知センサ1の出力監視が開始される(ステップS1)。ステップS1で接触検知センサ1からの検出信号が検出されると、制御部5aはスマートキーシステムを駆動した後(ステップS2)、認証部5bから携帯器3に向けてID要求信号を送信し、携帯器3から送信されたID情報を認証する(ステップS3)。
【0034】
ステップS3で認証が成立しなかった場合、スマートキーシステムの駆動を停止した後、接触検知センサ1の監視モードに復帰し、認証が成立した場合には、ドア開閉検出センサ2の出力からドア開閉状態を判定した後(ステップS4)、接触検知センサ1の出力の非接触状態への遷移を監視する(ステップS5)。
【0035】
ステップS5で接触検知センサ1が接触状態信号を出力している場合、制御部5aは、ドア開閉検出センサ2の出力から閉扉状態への移行を確認し(ステップS51)、閉扉状態が検出された場合には、接触検知センサ1を触れたまま閉扉操作が完了したものとして、施錠動作を行うことなく制御を終了する。
【0036】
一方、ステップS5で接触状態非検出へ遷移した場合、タイマー5dをスタートして(ステップS6)、閉扉完了までの時間を計測し、閉扉動作が所定の時間内に行われた否かを判定し(ステップS6、S7、S8)、所定時間内に閉扉動作が完了しないとき(ステップS7)、キャンセルされたものとして施錠動作を行うことなく制御を終了する。
【0037】
また、ステップS7、S8で所定時間内に閉扉状態が検出された場合、タイマー5dによる計時を終了した後(ステップS9)、他のドア全てが閉塞しているか否かを確認し(ステップS10)、開扉状態のドアが検出された場合には警報信号を出力した後(ステップS101)、施錠動作を行うことなく制御を終了する。
【0038】
これに対し、ステップS10ですべてのドアが閉扉状態であると判定された場合には、所定時間経過後(ステップS11、S12)ロック駆動部5eに施錠信号を出力して施錠動作を行い(ステップS13)、次いで、警報信号出力部5fに施錠完了信号を出力してハザードランプの点滅等により利用者に施錠完了を知らせ(ステップS15)、制御を終了する。
【0039】
また、本例において、接触検知センサ1は通常の施錠操作スイッチとしても利用可能であり、携帯器3に対する認証成立後、ステップS4で閉扉状態が確認された場合には、通常の施錠操作スイッチとしての操作として、ステップS10以下の動作が行われる。
【符号の説明】
【0040】
1 接触検知センサ
2 ドア開閉検出センサ
3 携帯器
4 ドアロック装置
5 施錠制御部
6 施錠完了確認手段
7 ドアハンドル装置
図1
図2