(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明で用いる成分(A)において、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントは、オルガノポリシロキサンセグメントを構成する任意のケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して少なくとも2つ結合している。さらに、上記オルガノポリシロキサンセグメントの両末端を除く1以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることが好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることがより好ましい。即ち、成分(A)のオルガノポリシロキサンは、側鎖として、少なくとも2つ以上の前記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを有する、グラフトポリマーである。
【0013】
ヘテロ原子を含むアルキレン基は、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの連結基として機能する。かかるアルキレン基としては、例えば、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が例示され、中でも下記式(i)〜(vii)のいずれかで表される基が好ましく、下記式(i)又は(ii)で表される基がより好ましく、更に下記式(i)で表される基が好ましい。なお、式中、An
-は4級アンモニウム塩の対イオンを示し、例えば、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオンが例示される。
【0015】
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを構成するN−アシルアルキレンイミン単位において、一般式(1)中、R
1における炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基、又は炭素数3の分岐状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0016】
一般式(1)においてtは2又は3の数を示し、オルガノポリシロキサン製造時の原料入手の観点から、2であることが好ましい。
【0017】
質量比(a/b)は、65/35〜90/10の範囲であり、肌への密着性に優れ、肌の皮溝及び皮丘にしっかりと均一な皮膜を形成し、又、手や布、ティッシュペーパー等で擦っても色落ちすることを抑制する点から、68/32〜80/20が好ましく、72/28〜78/22がより好ましい。
なお、本明細書において、質量比(a/b)は、成分(A)のオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(
1H-NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0018】
成分(A)のオルガノポリシロキサンにおいて、隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(以下、単に「MWg」ともいう)は1000〜40000の範囲であり、化粧料の皮膜の柔軟性の点から、10000〜35000が好ましく、15000〜32000がより好ましい。
【0019】
本明細書において、「隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式(2)に示すように、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR
2SiO単位と、1つのR
3と、y+1個の(R
2)
2SiO単位とから構成されるセグメントをいう。また、「ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント」とは、上記R
3に結合する−Z−R
4をいう。
【0021】
上記一般式(2)中、R
2はそれぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基又はフェニル基を示し、R
3はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、−Z−R
4はポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、R
4は重合開始剤の残基を示し、yは正の数を示す。
【0022】
MWgは、上記一般式(2)において破線で囲まれた部分の分子量であるが、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができる。なお、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの官能基がポリ(N−アシルアルキレンイミン)で100%置換されると、変性オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)と一致する。
【0023】
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量は、N−アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度から算出するか、又はゲル浸透クロマトグラフィ(以下、単に「GPC」ともいう)測定法により測定することができる。なお、本発明においては、後記の測定条件で行なったGPC測定により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(以下、単に「MNox」とも言う)をいうものとする。MNoxは、化粧料の皮膜の柔軟性と溶媒への溶解性を高める点から、500〜4000の範囲が好ましく、800〜3500がより好ましく、1000〜3000がさらに好ましい。
【0024】
また、上記MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(質量%)(以下、単に「Csi」ともいう)を用いて、下記式(I)により求めることができる。
MWg=Csi×MNox/(100−Csi) (I)
【0025】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(以下、単に「MWsi」とも言う)は15000〜200000であり、化粧料の柔軟性と皮膚への付着性の点から、好ましくは50000〜170000、より好ましくは70000〜150000である。また、成分(A)のオルガノポリシロキサンは、水などの極性溶媒に溶解することにより、種々の製品に容易に配合することができる。主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と略同一である。なお、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、後記の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0026】
成分(A)のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量(以下、単に「MWt」ともいう)は、皮膚への付着性に優れる観点から、好ましくは15000〜200000、より好ましくは50000〜170000、更に好ましくは70000〜150000である。MWtは、後記の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算した値である。
【0027】
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、高い弾性率と大きな変形可能量に加え、50〜220℃といった温度領域に加熱すると、著しく塑性が向上して柔らかくなり、加熱をやめて室温に戻る過程で直ぐに弾力性を取り戻すという特徴的な熱可塑性を有する。
【0028】
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、例えば、下記一般式(3)
【0030】
(式中、R
2は前記と同じ意味を示し、R
5及びR
6はそれぞれR
2と同一の基を示すか、又は下記式(viii)〜(xiii)
【0032】
のいずれかで表される1価の基を示し、R
7は上記式(viii)〜(xiii)で表される1価の基を示し、dは91.5〜1255.0の数を示し、eは2.0〜62.5の数を示す〕
で表される変性オルガノポリシロキサンと、下記一般式(4)
【0034】
(式中、R
1及びtは前記と同じ意味を示す)
で表される環状イミノエーテルを開環重合して得られる末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造される。
【0035】
一般式(4)で表される環状イミノエーテル(以下、単に「環状イミノエーテル(4)」ともいう)の開環重合には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、求電子反応性の強い化合物、例えば、ベンゼンスルホン酸アルキルエステル、p-トルエンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロ酢酸アルキルエステル、硫酸ジアルキルエステル等の強酸のアルキルエステルを使用することができ、中でも硫酸ジアルキルエステルが好適に使用される。
【0036】
重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド等の非プロトン性極性溶媒を使用することができ、中でも酢酸エステル類が好適に使用される。溶媒の使用量は、通常、環状イミノエーテル(4)の100質量部に対して20〜2000質量部である。
【0037】
重合温度は通常30〜170℃、好ましくは40〜150℃であり、重合時間は重合温度等により一様ではないが、通常1〜60時間である。
【0038】
環状イミノエーテル(4)として、例えば、2−置換−2−オキサゾリンを用いれば、前記一般式(1)において、t=2のポリ(N−アシルエチレンイミン)が得られ、2−置換−ジヒドロ−2−オキサジンを用いれば、上記一般式(1)において、t=3のポリ(N−アシルプロピレンイミン)が得られる。
【0039】
環状イミノエーテル(4)をリビング重合して得られるポリ(N−アシルアルキレンイミン)は、末端に反応性の基を有している。よって、このポリ(N−アシルアルキレンイミン)の末端の反応性基と、一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンが有する前記(viii)〜(xiii)で示される反応性基とを反応させることで、成分(A)のオルガノポリシロキサンを得ることができる。
【0040】
前記のリビング重合による製造方法は、下記に示す理論式(II)のように、環状イミノエーテル(4)と重合開始剤の使用量で重合度を容易に制御でき、しかも通常のラジカル重合よりも分子量分布の狭い略単分散のポリ(N−アシルアルキレンイミン)が得られる点で有効である。
【0042】
環状イミノエーテル(4)の使用量及び重合開始剤の使用量は、式(II)におけるMNiが500〜4000になる量とするのが好ましく、800〜3500になる量とするのがより好ましく、1000〜3000になる量とするのが更に好ましい。
【0043】
一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、得られるオルガノポリシロキサンの水等の極性溶媒への溶解性と溶解後の取り扱いやすさの観点から、15000〜220000が好ましく、より好ましくは50000〜190000、更に好ましくは70000〜170000である。
【0044】
また、一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンの官能基当量には、成分(A)のオルガノポリシロキサンの質量比(a/b)及びMWgを満たすために、上限が存在する。この観点及び主鎖に適度な疎水性を持たせる観点から、官能基当量は、1000〜40000であることが好ましく、10000〜35000であることがより好ましく、15000〜32000であることが更に好ましい。ここで、一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンの官能基当量とは、一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量を、該変性オルガノポリシロキサンが一分子あたりに有するR
7の数の平均値で除した値を言う。
【0045】
一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンと、前記末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)の使用量は、その質量比(変性オルガノポリシロキサン/末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン))が65/35〜90/10の範囲の値とすることが、得られるオルガノポリシロキサンの弾性率及び変形可能量の観点から好ましく、肌への密着性に優れ、肌の皮溝及び皮丘にしっかりと均一な皮膜を形成し、手や布、ティッシュペーパー等で擦っても色落ちすることを抑制する点から、68/32〜80/20がより好ましく、72/28〜78/22が更に好ましい。
【0046】
なお、本発明において、各オルガノポリシロキサンの合成では、以下の測定条件に従って各種分子量を測定した。
【0047】
<変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量の測定条件>
カラム:Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0048】
<MNox及びMWtの測定条件>
カラム:K‐804L(東ソー社製)2つを直列につないで使用。
溶離液:1mMジメチルドデシルアミン/クロロホルム
流量 :1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
サンプル:50μL
【0049】
また、質量比(a/b)算出のための
1H−NMR測定は、下記の条件で行なった。
<
1H−NMR測定条件>
得られたポリマーの組成は
1H−NMR(400MHz Varian製)により確認した。
サンプル量0.5gを測定溶剤(重クロロホルム)2gで溶解させたものを測定した。
PULSE SEQUENCE
・Relax.delay: 30秒
・Pulse: 45degrees
・積算回数: 8回
確認ピーク 0ppm付近: ポリジメチルシロキサンのメチル基、
3.4ppm付近: エチレンイミンのメチレン部分。
各積分値よりシリコーンとポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)の比率を算出した。
【0050】
成分(A)のオルガノポリシロキサンとしては、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン等が挙げられる。
【0051】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、その含有量は、肌への密着性に優れ、肌の皮溝及び皮丘にしっかりと均一な皮膜を形成し、又、手や布、ティッシュペーパー等で擦っても色落ちすることを抑制する点から、全組成中に0.1質量%以上であり、0.4質量%以上が好ましく、0.6質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、1.8質量%以下がより好ましく、1.6質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.1〜10質量%であり、0.4〜3質量%が好ましく、0.6〜1.8質量%がより好ましく、1.0〜1.6質量%がさらに好ましい。
【0052】
成分(B)の揮発性シリコーン油において、揮発性とは、35〜87℃の引火点を有するものである。
成分(B)の揮発性シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0053】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、その含有量は、成分(A)の溶解・分散性、肌への密着性に優れ、肌の皮溝及び皮丘にしっかりと均一な皮膜を形成し、又、手や布、ティッシュペーパー等で擦っても色落ちすることを抑制する点から、全組成中に1質量%以上であり、10質量%以上が好ましく、14質量%以上がより好ましく、17質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、22質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に1〜40質量%であり、10〜30質量%が好ましく、14〜25質量%がより好ましく、17〜22質量%がさらに好ましい。
【0054】
本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、肌への密着性に優れ、肌の皮溝及び皮丘にしっかりと均一な皮膜を形成し、又、手や布、ティッシュペーパー等で擦っても色落ちすることを抑制し、さらに、パウダーファンデーションを重ね付けした場合においても、肌への密着性に優れ、均一な皮膜を形成し、落ちにくいものであり、また、これらの効果が長時間持続する点から、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましく、0.045以上がよりさらに好ましく、1以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましく、0.09以下がよりさらに好ましい。また、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、0.01〜1が好ましく、0.02〜0.2がより好ましく、0.03〜0.1がさらに好ましく、0.045〜0.09がよりさらに好ましい。
【0055】
本発明で用いる成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、前記一般式(5)で表されるものである。
式中、R"は、炭素数1〜15のアルキル基が好ましい。また、gは0〜15の数、hは1〜40の数、iは10〜200の数、jは1〜50の数、kは1〜50の数が好ましい。
【0056】
成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、特開平4-272932号公報に記載の方法により製造することができる。
また、成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、揮発性炭化水素油に希釈又は分散されたものが好ましく、揮発性炭化水素油としては、ポリイソブテンがより好ましい。
【0057】
成分(C)としては、例えば、KSG−210、KSG−240(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー);KSG−310、KSG−320、KSG−330((PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー);KSG−340((PEG−10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー及び(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー)(以上、信越化学工業株式会社)等の市販品を用いることができる。
【0058】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、その含有量は、油中水型乳化化粧料の肌への密着性に優れ、パウダーファンデーションを重ね付けした場合においても、肌への密着性に優れ、均一な皮膜を形成する点から、全組成中に0.1質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、4質量%がより好ましく、3.3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.1〜20質量%であり、1〜10質量%が好ましく、1.5〜4質量%がより好ましく、2〜3.3質量%がさらに好ましい。
【0059】
本発明において、成分(A)及び(C)の質量割合(A)/(C)は、肌への密着性に優れ、肌の皮溝及び皮丘にしっかりと均一な皮膜を形成し、又、手や布、ティッシュペーパー等で擦っても色落ちすることを抑制し、さらに、パウダーファンデーションを重ね付けした場合においても、密着性に優れ、均一な皮膜を形成し、落ちにくいものであり、また、これらの効果が長時間持続する点から、0.02以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましく、0.4以上がよりさらに好ましく、2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましく、0.6以下がよりさらに好ましい。また、成分(A)及び(C)の質量割合(A)/(C)は、0.02〜2が好ましく、0.1〜1がより好ましく、0.3〜0.8がさらに好ましく、0.4〜0.6がよりさらに好ましい。
【0060】
成分(D)の球状有機粉体は、粒子径10〜50μmのものであり、毛穴目立ちを抑制し、使用感に優れる点から、粒子径20〜40μmのものが好ましい。その形状は、真球、略球状、回転楕円体を含み、表面に凹凸がある球状粉体等であっても良い。
粉体の粒子径は、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定機によって、測定される。具体的には、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(例えば、堀場製作所製、LA−920)で測定する。
【0061】
成分(D)の球状有機粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、これらの球状有機粉体に、通常の方法により着色顔料、色素、染料、金属イオン等を被覆、内包処理し、着色したものであってもよい。
かかる球状有機粉体としては、球状ポリアミド樹脂、球状ポリメタクリル酸メチル樹脂、球状ポリウレタン樹脂、球状シリコーン樹脂、球状ポリエチレン樹脂、球状ポリスチレン樹脂、球状セルロース系樹脂等が挙げられ、中でも、球状ポリメタクリル酸メチル樹脂、球状ポリウレタン樹脂、球状シリコーン樹脂が好ましい。
【0062】
成分(D)のうち、毛穴目立ちを抑制し、使用感に優れ、肌への密着性に優れる点から、ゴム弾性を有する球状有機粉体が好ましく、ゴム弾性5〜80の球状有機粉体がより好ましく、ゴム弾性20〜75のものが更に好ましい。ここで、ゴム弾性は、JIS K 7215に従い、デュロメータAにより測定されるものである。
成分(D)のうち、このようなゴム弾性を有する球状有機粉体としては、球状シリコーン樹脂、球状ポリウレタン樹脂が好ましい。また、球状シリコーン樹脂として、シリコーンKSP−101(信越化学工業社;粒子径7〜20μm、ゴム弾性30)、シリコーンKSP−102(信越化学工業社;粒子径10〜50μm、ゴム弾性30)等;球状ポリウレタン樹脂として、ダイミックビーズUCN−8150CMクリヤー(大日精化工業社;粒子径15μm、ゴム弾性74)等の市販品を用いることができる。
【0063】
成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、その含有量は、油中水型乳化化粧料の肌への密着性に優れ、パウダーファンデーションを重ね付けした場合においても、肌への密着性に優れ、均一な皮膜を形成する点から、全組成中に0.05質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下であり、6質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.05〜10質量%であり、0.1〜6質量%が好ましく、0.5〜4質量%がより好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。
【0064】
本発明において、成分(A)及び(D)の質量割合(A)/(D)は、油中水型乳化化粧料の肌への密着性に優れ、肌の皮溝及び皮丘にしっかりと均一な皮膜を形成し、手や布、ティッシュペーパー等で擦っても色落ちすることを抑制し、さらに、パウダーファンデーションを重ね付けした場合においても、肌への密着性に優れ、均一な皮膜を形成し、落ちにくいものであり、また、これらの効果が長時間持続する点から、0.05以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましく、0.4以上がよりさらに好ましく、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましく、2以下がよりさらに好ましい。また、成分(A)及び(D)の質量割合(A)/(D)は、0.05〜10が好ましく、0.2〜5がより好ましく、0.3〜2.5がさらに好ましく、0.4〜2がよりさらに好ましい。
【0065】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、(E)不揮発性油を含有することができ、使用感・化粧持続性を向上させることができる。
ここで、不揮発性とは、油剤1gを直径48mmのガラスシャーレに広げ、25℃、常圧で24時間放置後の質量減少率が1%以下のものをいう。
成分(E)の不揮発性油としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、エステル油、高級アルコール、炭化水素油、シリコーン油等が挙げられる。
【0066】
エステル油としては、25℃で液状のものが好ましく、例えば、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、エルカ酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、アボガド油、ヒマワリ油、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル等が挙げられる。
【0067】
高級アルコールとしては、例えば、2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の分岐又は不飽和の高級アルコールが挙げられ、炭素数16〜24の高級アルコールが好ましい。
また、炭化水素油としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、ワセリン等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0068】
成分(E)としては、使用感・化粧持続性に優れる点から、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジメチルポリシロキサン、フッ素変性シリコーンが好ましい。
【0069】
成分(E)は、1種又は2種以上を用いることができ、その含有量は、使用感・化粧持続性に優れる点から、全組成中に0質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、成分(E)の含有量は、全組成中に0〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
【0070】
本発明において、成分(B)及び(E)の合計質量に対する成分(B)の質量割合(B)/((B)+(E))は、肌への密着性に優れ、肌の皮溝及び皮丘にしっかりと均一な皮膜を形成し、又、手や布、ティッシュペーパー等で擦っても色落ちすることを抑制する点から、0.4以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましく、1以下が好ましく、0.95以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましい。また、成分(B)及び(E)の合計質量に対する成分(B)の質量割合(B)/((B)+(E))は、0.4〜1が好ましく、0.5〜0.95がより好ましく、0.6〜0.9がさらに好ましい。
【0071】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、(F)粒子径1〜10μm未満、好ましくは、粒子径2〜8μmの球状粉体を含有することができ、塗布時の滑り性に優れることができる。その形状は、真球、略球状、回転楕円体を含み、表面に凹凸がある球状粉体等であっても良い。
粉体の粒子径は、成分(D)と同様にして測定される。
【0072】
成分(F)の球状粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば、無機球状粉体、有機球状粉体のいずれでもよく、またこれらの球状粉体に、通常の方法により着色顔料、色素、染料、金属イオン等を被覆、内包処理し、着色したものであってもよい。
かかる球状粉体としては、例えば、球状シリカ、球状アルミナ、球状チタニア等の無機球状粉体;球状ポリアミド樹脂、球状ポリメタクリル酸メチル樹脂、球状ポリウレタン樹脂、球状シリコーン樹脂、球状ポリエチレン樹脂、球状ポリスチレン樹脂、球状セルロース系樹脂等の有機球状粉体;更に、体質顔料や着色顔料等を通常の方法により球状に造粒したものなどが挙げられる。これらの球状粉体のうち、球状シリカ、球状アルミナ、球状ポリアミド樹脂、球状ポリメタクリル酸メチル樹脂、球状シリコーン樹脂が、使用感等の点から好ましい。
【0073】
成分(F)は、1種又は2種以上を用いることができ、その含有量は、使用感の点から、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。また、成分(F)の含有量は、全組成中に0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜7質量%がさらに好ましい。
【0074】
本発明において、成分(D)及び(F)の合計質量に対する成分(D)の質量割合(D)/((D)+(F))は、油中水型乳化化粧料の肌への密着性に優れ、肌の皮溝及び皮丘にしっかりと均一な皮膜を形成し、又、手や布、ティッシュペーパー等で擦っても色落ちすることを抑制する点から、0.02以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、1以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましい。また、成分(D)及び(F)の合計質量に対する成分(D)の質量割合(D)/((D)+(F))は、0.02〜1が好ましく、0.05〜0.8がより好ましく、0.1〜0.6がさらに好ましい。
【0075】
本発明において、水は、仕上がりの点から、全組成中に1〜80質量%含有するのが好ましく、10〜70質量%がより好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい。
【0076】
また、本発明の油中水型乳化化粧料には、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の油性成分、前記以外の粉体、界面活性剤、香料、保湿剤、美容成分、薬効成分、紫外線吸収剤、増粘剤、殺菌剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を含有させることができる。
【0077】
本発明で用いる粉体は、いずれも、そのまま使用することができ、更に、これらの1種又は2種以上が疎水化処理されたものを用いることもできる。
疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、シリコーン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、レシチン処理、N−アシルアミノ酸処理、金属石鹸処理、フッ素化合物処理等が挙げられる。これらのうち、シリコーン処理が好ましい。
【0078】
本発明の油中水型乳化化粧料は、通常の方法により製造することができ、乳液、クリーム、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、リップクリーム、頬紅、アイシャドウ、マスカラ等の皮膚化粧料として好適である。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0079】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1);
【0081】
(式中、R
1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、tは2又は3を示す)
で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンであって、
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が500〜4000であり、
隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1000〜40000であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が15000〜200000であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜90/10であるオルガノポリシロキサン 0.1〜10質量%、
(B)揮発性シリコーン油 1〜40質量%、
(C)次の一般式(5)
【0083】
(式中、各Rは、メチル基又はフェニル基を示し、各R'は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又はアシル基を示し、各R"は炭素数1〜30のアルキル基若しくはアシル基、又はケイ素原子1〜30のシロキサン基を示す。dは1〜20の数を示し、e及びfは0〜200の数を示し、e及びfが同時に0となることはない。gは0〜30の数を示し、hは1〜100の数を示し、iは10〜2000の数を示し、jは1〜1000の数を示し、kは1〜1000の数を示す)
で表される架橋型ポリエーテル変性シリコーン 0.1〜20質量%、
(D)粒子径10〜50μmの球状有機粉体 0.05〜10質量%
を含有する油中水型乳化化粧料。
【0084】
<2>成分(A)において、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が、好ましくは、68/32〜80/20であって、72/28〜78/22がより好ましい前記<1>記載の油中水型乳化化粧料。
<3>成分(A)において、隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が、好ましくは、10000〜35000であって、15000〜32000がより好ましい前記<1>又は<2>記載の油中水型乳化化粧料。
<4>成分(A)において、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が、好ましくは、800〜3500であって、1000〜3000がより好ましい前記<1>〜<3>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<5>成分(A)において、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が、好ましくは、50000〜170000であって、70000〜150000がより好ましい前記<1>〜<4>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0085】
<6>成分(A)のオルガノポリシロキサンが、好ましくは、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサンである前記<1>〜<5>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<7>成分(A)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.4質量%以上であって、0.6質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましく、3質量%以下が好ましく、1.8質量%以下がより好ましく、1.6質量%以下がさらに好ましい前記<1>〜<6>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<8>成分(B)の揮発性シリコーン油が、好ましくは、引火点35〜87℃のものである前記<1>〜<7>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
引火点を有するものである。
<9>成分(B)の含有量が、好ましくは、全組成中に10質量%以上であって、14質量%以上がより好ましく、17質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、22質量%以下がさらに好ましい前記<1>〜<8>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0086】
<10>成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)が、好ましくは、0.01以上であって、0.02以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましく、0.045以上がよりさらに好ましく、1以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましく、0.09以下がよりさらに好ましい前記<1>〜<9>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<11>成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンが、好ましくは、揮発性炭化水素油に希釈又は分散されたものであって、ポリイソブテンに希釈又は分散されたものがより好ましい前記<1>〜<10>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<12>成分(C)の含有量が、好ましくは、全組成中に1質量%以上であって、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、4質量%がより好ましく、3.3質量%以下がさらに好ましい前記<1>〜<11>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0087】
<13>成分(A)及び(C)の質量割合(A)/(C)が、好ましくは、0.02以上であって、0.1以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましく、0.4以上がよりさらに好ましく、2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましく、0.6以下がよりさらに好ましい前記<1>〜<12>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<14>成分(D)の球状有機粉体が、好ましくは、粒子径20〜40μmのものである前記<1>〜<13>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<15>成分(D)の球状有機粉体が、好ましくは、ゴム弾性を有する球状有機粉体であって、ゴム弾性5〜80がより好ましく、ゴム弾性20〜75が更に好ましい前記<1>〜<14>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<16>成分(D)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、6質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい前記<1>〜<15>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0088】
<17>成分(A)及び(D)の質量割合(A)/(D)が、好ましくは0.05以上であって、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましく、0.4以上がよりさらに好ましく、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましく、2以下がよりさらに好ましい前記<1>〜<16>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<18>さらに、(E)不揮発性油を含有することができ、好ましくは、エステル油、高級アルコール、炭化水素油、シリコーン油を含有し、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジメチルポリシロキサン、フッ素変性シリコーンがより好ましい前記<1>〜<17>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<19>成分(E)の含有量が、好ましくは、全組成中に0質量%以上であって、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい前記<18>記載の油中水型乳化化粧料。
【0089】
<20>成分(B)及び(E)の合計質量に対する成分(B)の質量割合(B)/((B)+(E))が、好ましくは、0.4以上であって、0.5以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましく、1以下が好ましく、0.95以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましい前記<18>又は<19>記載の油中水型乳化化粧料。
<21>さらに、(F)粒子径1〜10μm未満の球状粉体を含有することができ、好ましくは、粒子径2〜8μmの球状粉体を含有する前記<1>〜<20>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<22>成分(F)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい前記<21>記載の油中水型乳化化粧料。
【0090】
<23>成分(D)及び(F)の合計質量に対する成分(D)の質量割合(D)/((D)+(F))が、好ましくは、0.02以上であって、0.05以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、1以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましい前記<21>又は<22>記載の油中水型乳化化粧料。
<24>水の含有量が、好ましくは、全組成中に1〜80質量%であって、10〜70質量%がより好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい前記<1>〜<23>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【実施例】
【0091】
合成例1(ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの製造)
硫酸ジエチル19.0g(0.12モル)と2−エチル−2−オキサゾリン81.0g(0.82モル)を脱水した酢酸エチル203.0gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、1100であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)300gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を、淡黄色ゴム状固体(390g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は質量75%であり、重量平均分子量は40000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約20モル%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0092】
合成例2(ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの製造)
硫酸ジエチル3.2g(0.021モル)と2−エチル−2−オキサゾリン92.8g(0.98モル)、脱水した酢酸エチル205gから、数平均分子量5200のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量50000、アミン当量3800)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(188g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は51質量%であり、重量平均分子量は98000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約24モル%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0093】
合成例3(ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの製造)
2−エチル−2−オキサゾリン3.63g(0.036モル)と酢酸エチル8.46gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ(ゼオラムA−4、東ソー社製)0.6gで、28℃15時間脱水を行った。
また、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(KF−8015、信越シリコーン社製、重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gと酢酸エチル203gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ15.2gで、28℃15時間脱水を行った。
上記の脱水2−エチル−2−オキサゾリンの酢酸エチル溶液に硫酸ジエチル0.54g(0.0035モル)を加え、窒素雰囲気下8時間、80℃で加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。GPCにより測定した数平均分子量は1200であった。
この末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)溶液を、上記の脱水した側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン溶液を一括して加え、10時間、80℃で加熱還流した。
反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を白色ゴム状固体(102g)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は96質量%であり、重量平均分子量は104000であった。
【0094】
合成例4(ジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)シロキサン共重合体の製造)
(1)STEP−1:シリコーン鎖の両末端にシリコーン鎖中の他のアルキル基とは異なるアルキル基を有するテトラメチルジシロキサンの合成:
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン44.8g、Spiers触媒1.0g(2質量%塩化白金酸の2−プロパノール溶液)を三ツ口フラスコに加え、70℃に加温した。窒素雰囲気下に70℃で、α−オレフィン(三菱化学社製「ダイアレン168」、炭素数16及び18の1/1(質量比)混合物))174.2gを滴下した後、2時間撹拌を行った。冷却後、水酸化ナトリウム水溶液で反応系内を中和し、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の
1H−NMRスペクトル(400MHz)より、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有する1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン誘導体(下記式)であることを確認した(22.1g、収率;85%)。
【0095】
【化10】
【0096】
(2)STEP−2:シリコーン鎖の両末端にシリコーン鎖中の他のアルキル基とは異なるアルキル基を有し、シリコーン鎖中にケイ素-水素結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合成:
(1)で合成した両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有する1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン誘導体44.8g、デカメチルシクロペンタシロキサン78.6g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン19.8g、n−ヘプタン50g、活性白土5gを三ツ口フラスコに加え12時間環流した。冷却後、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の
1H−NMRスペクトルより、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体(下記式;p=23,q=4)であることを確認した(132.8g、収率;95%)。
【0097】
【化11】
【0098】
(3)STEP−3:両末端をアルキル基で置換し、かつ、側鎖をグラフト状にアルキルグリセリルエーテル基で変性したポリシロキサンの合成:
(2)で合成した両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体50.0g、10−ウンデセニルグリセリルエーテル61.0g、5質量%白金担持カーボン触媒0.25gを三ツ口フラスコに加え70℃で3時間撹拌を行った。冷却後、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の
1H−NMRスペクトルより、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)シロキサン共重合体(下記式;p=23,q=4)であることを確認した(63.0g、収率;95%)。
【0099】
【化12】
【0100】
合成例5(フッ素変性シリコーンの製造)
【化13】
【0101】
C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 の合成:
温度計、冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに、FA−6(ユニマッテク社製)800g(2.2mol)と粒状NaOH(和光純薬社製)175.78g(4.4mol)を加えた。窒素雰囲気下で、テフロン(登録商標)製12cm三日月攪拌翼にて200rpmにて攪拌しながら、加熱し、フラスコ内温度を60℃とした。そこへ臭化アリル(和光純薬社製)398.73g(3.3mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間、80℃で1時間撹拌した。その後130℃に昇温し、過剰の臭化アリルを除去した。60℃まで冷却後、イオン交換水800gを入れ、30分間攪拌、その後静置して分層させた。上層の水層を抜き出し、さらにイオン交換水800gを入れ、再度攪拌、静置、水層除去を行った。60℃/5KPaにて脱水し、100℃/2KPaにて蒸留し、留分として、C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 774.9gを得た(収率88%)。
【0102】
温度計を備えた300mLの四つ口フラスコに、下式で表されるハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製)52.89g(111mmol)を加え、窒素雰囲気下、テフロン(登録商標)製8cm三日月翼にて200rpmで攪拌し、2質量%塩化白金酸6水和物/イソプロピルアルコール0.66gを加え、110℃に昇温した。
【0103】
【化14】
【0104】
C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 197.11g(488mmol)を2時間で滴下した。滴下終了後、110℃で2時間撹拌した。その後、70℃まで下げた。0.1%NaOH溶液25.07gを加え、2時間攪拌した。60℃/5KPaにて脱水し、脱水終了後、同温度にてカルボラフィン3(日本エンバイロケミカルズ社製)2.51gを加え、2時間攪拌した。0.1μm PTFEメンブランフィルターにてろ過し、ろ液を100℃/5KPa、水62.5gを用いて水蒸気蒸留し、目的化合物(化合物B1)206.3gを得た(収率89%)。
【0105】
実施例1〜10及び比較例1〜5
表1に示す組成の油中水型乳化化粧料を製造し、肌への密着性、肌上での化粧塗膜の均質性、毛穴の目立ちにくさ、指で擦ったときの落ちにくさ、並びに、パウダーファンデーション塗布後における、肌への密着性、肌上での化粧塗膜の均質性及び指で擦ったときの落ちにくさ、並びに、パウダーファンデーション塗布4時間後における、指で擦ったときの落ちにくさを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0106】
(製造方法)
実施例1〜10、比較例1〜5について、全量を100gのスケールで計量を行う。成分(A)、(B)、(C)及び(E)を含む油相(活性剤含)について、ディスパー(1500r/min、5分)を用いて予備分散を行う。次に、成分(D)及び(F)を含む粉体相を油相中に分散(2000r/min、5分)させ、粉体相が均一に分散したことを確認する。粉体相が均一になった油相を用い、ディスパー(3000r/min、5分)で攪拌しながら徐々に水相を加えて乳化を行い、乳化保持をした後、ホモミキサーで粘度調整(5800r/min、5分)を行い、脱泡して、油中水型乳化化粧料を得た。
【0107】
(評価方法)
(1)肌への密着性:
5名の専門パネラーが、各化粧料を顔面に塗布したとき、肌への密着性について、以下の基準で官能評価した。結果を5名の積算値で示した。
5;肌への密着性が非常に良い。
4;肌への密着性が良い。
3;肌への密着性がやや良い。
2;肌への密着性があまり良くない。
1;肌への密着性が良くない。
【0108】
(2)肌上での化粧塗膜の均質性:
5名の専門パネラーが、各化粧料を顔面に塗布したとき、肌上での化粧塗膜の均質性について、以下の基準で官能評価した。結果を5名の積算値で示した。
5;粉体の凝集がなく、均一にむらのない化粧塗膜である。
4;粉体の凝集が少なく、均一にむらのない化粧塗膜である。
3;粉体の凝集があり、やや不均一な化粧塗膜である。
2;粉体の凝集があり、不均一な塗化粧塗膜である。
1;明らかに粉体の凝集があり、むらが目立ち、不均一な塗化粧塗膜である。
【0109】
(3)毛穴の目立ちにくさ:
5名の専門パネラーが、各化粧料を顔面に塗布したとき、毛穴の目立ちにくさについて、以下の基準で官能評価した。結果を5名の積算値で示した。
5;毛穴が目立たない。
4;毛穴がほとんど目立たない。
3;毛穴があまり目立たない。
2;毛穴がやや目立つ。
1;毛穴が目立つ。
【0110】
(4)指で擦ったときの落ちにくさ:
各化粧料について、黒色人工皮革に0.152mmのコーターにて化粧塗膜を調製し、12時間乾燥した。その後、専門パネラー5名が右手中指一本を用いて、前記化粧塗膜を軽くこすったとき、化粧塗膜が擦りとれないかどうか、以下の基準で評価した。結果を5名の積算値で示した。
5;擦っても、化粧塗膜が取れない。
4;擦っても、化粧塗膜がほとんど取れない。
3;擦ると、やや化粧塗膜が取れる。
2;擦ると、化粧塗膜が取れる。
1;擦ると、化粧塗膜が剥がれ落ちる。
【0111】
(5)パウダーファンデーション塗布後における、肌への密着性:
5名の専門パネラーが、各化粧料を顔面に塗布し、次いで、パウダーファンデーションを重ね付けした後、肌への密着性について、以下の基準で官能評価した。結果を5名の積算値で示した。
5;肌への密着性が非常に良い。
4;肌への密着性が良い。
3;肌への密着性がやや良い。
2;肌への密着性があまり良くない。
1;肌への密着性が良くない。
【0112】
(6)パウダーファンデーション塗布後における、肌上での化粧塗膜の均質性:
5名の専門パネラーが、各化粧料を顔面に塗布し、次いで、パウダーファンデーションを重ね付けした後、肌上での化粧塗膜の均質性について、以下の基準で官能評価した。結果を5名の積算値で示した。
5;粉体の凝集がなく、均一にむらのない化粧塗膜である。
4;粉体の凝集が少なく、均一にむらのない化粧塗膜である。
3;粉体の凝集があり、やや不均一な化粧塗膜である。
2;粉体の凝集があり、不均一な塗化粧塗膜である。
1;明らかに粉体の凝集があり、むらが目立ち、不均一な塗化粧塗膜である。
【0113】
(7)パウダーファンデーション塗布後における、指で擦ったときの落ちにくさ:
5名の専門パネラーが、各化粧料を顔面に塗布し、次いで、パウダーファンデーションを重ね付けした後、右手中指一本を用いて、前記化粧塗膜を軽くこすったとき、化粧塗膜が擦りとれないかどうか、以下の基準で評価した。結果を5名の積算値で示した。
5;擦っても、化粧塗膜が取れない。
4;擦っても、化粧塗膜がほとんど取れない。
3;擦ると、やや化粧塗膜が取れる。
2;擦ると、化粧塗膜が取れる。
1;擦ると、化粧塗膜が剥がれ落ちる。
【0114】
(8)パウダーファンデーション塗布4時間後における、指で擦ったときの落ちにくさ:
5名の専門パネラーが、各化粧料を顔面に塗布し、次いで、パウダーファンデーションを重ね付けした。4時間経過後、右手中指一本を用いて、前記化粧塗膜を軽くこすったとき、化粧塗膜が擦りとれないかどうか、以下の基準で評価した。結果を5名の積算値で示した。
5;擦っても、化粧塗膜が取れない。
4;擦っても、化粧塗膜がほとんど取れない。
3;擦ると、やや化粧塗膜が取れる。
2;擦ると、化粧塗膜が取れる。
1;擦ると、化粧塗膜が剥がれ落ちる。
【0115】
【表1】