(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395496
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】ショートアーク放電ランプおよび光源装置
(51)【国際特許分類】
H01J 61/36 20060101AFI20180913BHJP
H01J 61/30 20060101ALI20180913BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20180913BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20180913BHJP
【FI】
H01J61/36 B
H01J61/30 Q
F21S2/00 311
F21Y101:00 300
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-163543(P2014-163543)
(22)【出願日】2014年8月11日
(65)【公開番号】特開2016-39115(P2016-39115A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(72)【発明者】
【氏名】細木 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小平 宏
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 幸男
【審査官】
右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−057177(JP,A)
【文献】
特開2001−216938(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2001/0010447(US,A1)
【文献】
特開2004−022452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に一対の電極を備えた発光管と、
前記電極を支持する電極芯棒と、
前記発光管に連設して前記電極棒に対して封着する封止管とからなり、
前記封止管は、
前記発光管に連設する外側封止管と、
前記外側封止管に連設し、外径がランプ軸方向外側に縮径する外側封止管縮径部と、
前記外側封止管縮径部に連設し、前記外側封止管縮径部の電極芯棒側にランプ径方向に沿った外側封止管端部と、
前記外側封止管端部の発光管側に連設する内側封止管と、
前記内側封止管に連設して前記電極棒と封着する段継ぎガラスとからなるショートアーク放電ランプにおいて、
前記外側封止管端部のランプ軸方向外側端面には、
前記外側封止管の内径よりもランプ径方向内側にランプ径方向に沿った第1の平坦面を有し、
前記外側封止管端部の電極芯棒側内周面の一部には、
前記外側封止管端部のランプ軸方向外側端面の内径より大きい内径を有したランプ軸方向内側に拡径する拡径部を有し、
前記外側封止管端部の、前記拡径部を有する電極芯棒側内周面のランプ軸方向断面形状がV字状である
ことを特徴とするショートアーク放電ランプ。
【請求項2】
前記第1の平坦面は、
前記外側封止管の内部を伝播する光を前記封止管外部へ放射する第1の光放射面であり、
前記拡径部は、前記外側封止管端部の内部をランプ径方向内側に向かって伝播する光をランプ軸方向に反射する光反射面である
ことを特徴とする請求項1に記載のショートアーク放電ランプ。
【請求項3】
前記外側封止管端部のランプ軸方向外側には、
前記電極芯棒側内周面と内表面が連続する管状の光誘導部を有し、
前記管状の光誘導部のランプ軸方向外側端面には、
ランプ径方向に沿った第2の平坦面を有し、
前記第2の平坦面は、
前記光反射面で反射され、前記光誘導部の内部を伝播する光を外部に放射する第2の光放
射面である
ことを特徴とする請求項2に記載のショートアーク放電ランプ。
【請求項4】
前記前記外側封止管端部の電極芯棒側内周面において、
前記拡径部の最大内径を有する部分が、
前記外側封止管端部のランプ軸方向中心より前記発光管側にある
ことを特徴とする請求項2乃至3に記載のショートアーク放電ランプ。
【請求項5】
前記ショートアーク放電ランプと、
前記ショートアーク放電ランプを囲むように配置され、
一方が開口している楕円状の反射鏡とよりなり、
前記反射鏡の開口側に、
前記外側封止管端部のランプ軸方向外側端面に平坦面を有する前記封止管を有するように
請求項1乃至4に記載のショートアーク放電ランプを備えた
ことを特徴とする光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置や投影装置等の光源に好適なショートアーク放電ランプおよびショートアーク放電ランプを用いた光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から投影装置の光源として、
図2に示すような発光管3内にキセノンガス等の希ガスを主成分とした放電ガスを封入したショートアーク放電ランプが知られている。
【0003】
このショートアーク放電ランプは、石英ガラス製の発光管3の両端に石英ガラス製の封止管4が続いて形成され、発光管3内には、タングステンもしくはモリブデンを主成分とする一対の電極5が配置され、この電極5はタングステンもしくはモリブデンを主成分とする電極芯棒6に接合されることによって保持される。
【0004】
また、このショートアーク放電ランプ(以下 ランプ)は、点灯中の発光管内部の放電ガス圧力を非常に高くすることで、輝度を高くしている。あわせて、発光管内部に水銀を封入していないため、ランプ点灯時にランプに流す電流値は、水銀を封入したショートアーク水銀放電ランプよりも高くなる。よって、高い封入ガス圧でも封止管4が破損せず、かつ電極5に大電流を供給するために、電極5に接合されている電極芯棒6を封止管端部から突出させ、封止管4の内部で電極芯棒6と封止管4を段継ぎガラス7を介して封着する段継ガラス封止構造を用いている。
【0005】
封止管4には口金8が設けられる場合がある。さらに口金8は電極芯棒6と電気的に接続されている場合がある。口金8はたとえばランプを保持する、または電極芯棒6に点灯電流を供給する配線を取り付ける等の機能を有する。
【0006】
発光管3に放電ガスとしてキセノンガスが大気圧以上で封入されており、ランプに点灯電力を供給すると、電極間の放電によりアークが発生し、アークより可視光を中心とした紫外光から赤外光までの幅広い領域の光が放射される。
図1に示すようにランプ2は、一方が開口しアークを焦点としている楕円状の反射鏡1内に配置される。ランプより放射された光は反射鏡1によって集光されることで利用される。
【0007】
しかし、アークより放射された光の一部は、発光管3および発光管3と連設した封止管4の内部を、光ファイバーの内部を光が全反射するように伝播する(以下 光ファイバー効果)。また、アークは一定の広がりを有するものであり、反射鏡1の焦点から外れた位置のアークから放射された光は、反射鏡1によって適切に集光されず、発光管3や封止管4に照射されてしまう。照射された光の一部は光ファイバー効果で発光管3および封止管4の内部を伝播する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図4は従来の封止管4と電極芯棒6とを段継ガラス7を介して接合した段継ガラス封止構造の断面図である。封止管4はランプ軸方向外側に弧を描くような突出部9を介して段継ガラス7と接合する。一般にこのような封止管の形状は、熔融等により加工、変形して製造するため、製造時に微小な加工歪みが封止管4の突出部9に残留する。
【0009】
アークより放射された光の一部L1は、封止管4の内部をランプ軸方向端部に向かって伝播し、封止管4の突出部9に集中する。放電によって発生する光は紫外線から赤外線までの幅広い領域の光であり、紫外線は、封止管4を構成する石英ガラスの分子結合を切ってしまい、石英ガラスを劣化させる。特に封止管4の突出部9のような歪のある部分に紫外線が集中することによって、歪部分の分子結合が切れ、石英ガラスが脆化することで、やがてクラックが発生する。クラックが発生した状態でランプを点灯させると、高圧状態の放電ガスによってクラックを起点としてランプが破裂する恐れがある。
【0010】
同様に赤外線が封止管4の突出部9に集中し、封止管の突出部9が加熱される。これにより突出部9にさらに熱による歪が発生し、上記の紫外線集中によるクラックが発生しやすくなる。また、突出部9を含む封止管が加熱されることによって、電極芯棒6を保持している段継ガラス7も加熱される。段継ガラス7の温度が歪点を上回ると、段継ガラス7に歪が発生し、併せて段継ガラス7の温度が長時間にわたって歪点を上回ることによって、段継ガラス7は僅かずつ変形する。さらに段継ガラス7の温度が軟化点を上回ると、短時間で段継ガラス7は大きく変形する。段継ガラス7は点灯中の高圧状態の放電ガスによってランプ軸方向外側に変形し、電極芯棒が支持している電極の位置も段継ガラスに伴って移動してしまう。このため、アークの位置が反射鏡の焦点からずれ、放射する光の利用効率が低下してしまう。併せて電極間距離の変動によるランプの点灯電力の特性の変化によって、ランプが正常に点灯できなくなる場合がある。
【0011】
これに対し、封止管4の外表面に光反射部材を備えることによって、封止管4に光が照射されることを防止することができる。しかし、封止管4はランプ点灯中において数100度に加熱される。その結果、たとえば封止管4と光反射部材とのによる熱膨張差によって封止管4に応力が加わることで封止管4が破損する、または光反射部材の成分が封止管4と反応し、封止管4の強度が劣化することで封止管4が破損する等の弊害が生じる可能性があった。加えて、光反射部材では封止管内部を伝播する光を防ぐことはできない。さらに、このような数100度の温度環境に耐久できる光反射部材を封止管表面に備えるとランプ製造コストが上昇してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のショートアーク放電ランプは、内部に一対の電極を備えた発光管と、前記電極を支持する電極芯棒と、前記発光管に連設して前記電極棒に対して封着する封止管とからなり、前記封止管は、前記発光管に連設する外側封止管と、前記外側封止管に連設し、外径がランプ軸方向外側に向けて縮径する外側封止管縮径部と、前記外側封止管縮径部に連設し、前記外側封止管縮径部の電極芯棒側にランプ径方向に沿った外側封止管端部と、前記外側封止管端部の発光管側に連設する内側封止管と、前記内側封止管に連設して前記電極棒と封着する段継ぎガラスとからなるショートアーク放電ランプにおいて、前記外側封止管端部のランプ軸方向外側端面には、前記外側封止管の内径よりもランプ径方向内側にランプ径方向に沿った第1の平坦面を有し、前記外側封止管端部の電極芯棒側内周面の一部には、前記外側封止管端部のランプ軸方向外側端面の内径より大きい内径を有したランプ軸方向内側に拡径する拡径部を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載のショートアーク放電ランプは、請求項1に記載のショートアーク放電ランプであって、前記第1の平坦面は、前記外側封止管の内部を伝播する光を前記封止管外部へ放射する第1の光放射面であり、前記拡径部は、前記外側封止管端部の内部をランプ径方向内側に向かって伝播する光をランプ軸方向に反射する光反射面であることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載のショートアーク放電ランプは、請求項2に記載のショートアーク放電ランプであって、前記外側封止管端部のランプ端側には、前記電極芯棒側内周面と内表面が連続する管状の光誘導部を有し、前記管状の光誘導部のランプ軸方向外側端面には、ランプ径方向に沿った第2の平坦面を有し、前記第2の平坦面は、前記光反射面で反射され、前記光誘導部の内部を伝播する光を外部に放射する第2の光放射面であることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載のショートアーク放電ランプは、請求項2または請求項3に記載のショートアーク放電ランプであって、前記拡径部の最大内径を有する部分が、前記外側封止管端部のランプ軸方向中心より前記発光管側にあることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の光源装置は、請求項1乃至請求項4に記載のショートアーク放電ランプを備えた光源装置であって、前記ショートアーク放電ランプと、前記ショートアーク放電ランプを囲むように配置され、一方が開口している楕円状の反射鏡とよりなり、前記反射鏡の開口側に、前記外側封止管端部のランプ軸方向外側端面に平坦面を有する前記封止管を有するようにショートアーク放電ランプを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、封止管の内部を伝播する光が封止管の端部に集中することを抑制するとともに、封止管の内部を光ファイバー効果で伝播する光をランプ軸方向外側に放射することができ、光に含まれる紫外線および赤外線によって、ランプが破損する、もしくは電極の位置がずれることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】外側封止管端部に平坦面を有するランプの封止構造断面説明図
【
図6】外側封止管縮径部を有するランプの封止構造断面説明図
【
図7】本発明の実施形態である拡径部を有する封止構造断面説明図
【
図8】本発明の実施形態である光誘導部を有する封止構造断面説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面に基づいて本発明の実施形態を具体的に説明する。
図2は本発明のランプの構造を示す概略断面図である。
【0020】
このランプは内部に一対の電極5を備えた発光管3と、電極5と接合され、電極5を支持する電極芯棒6と、発光管3の両端に連設し、段継ガラス7を介して電極芯棒6を封着する封止管4とから構成される。封止管の端部には口金8が設けられる場合がある。発光管3には放電ガスとしてキセノンガスが大気圧以上で封入されているショートアーク放電ランプである。
【0021】
本発明のランプの封止構造について、本発明の実施形態の封止構造断面図を示した
図3を用いて説明する。
【0022】
封止管4は発光管3に連設する外側封止管401と、外側封止管401に連設し、外径がランプ軸方向外側に向けて縮径する外側封止管縮径部402と、外側封止管縮径部402に連設し、外側封止管縮径部402の電極芯棒側にランプ径方向に沿った外側封止管端部403と、一端を外側封止管端部403の発光管側に連設し、もう一端を段継ガラス7と連設する内側封止管404で構成される。
【0023】
外側封止管端部403のランプ軸方向外側端面には、外側封止管の内径よりも内側に、後述する外側封止管の内部を伝播する光を外部へ放射する光放射面として、ランプ径方向に沿った平坦面(第1の光放射面)405を有する。外側封止管端部403の電極芯棒側内周面406の一部には、後述する外側封止管端部403の内部をランプ径方向内側に向かって伝播する光をランプ軸方向に反射する光反射面として、外側封止管端部403のランプ軸方向外側端面の内径R1より大きい内径R2を有したランプ軸方向内側に拡径する拡径部407を有し、この拡径部407の最大内径を有する部分は、外側封止管端部403のランプ軸方向中心M1より発光管側に有する。ランプ軸方向中心M1は、第1の光放射面405を有する外側封止管端部403のもっとも肉厚が薄い部分のランプ軸方向における肉厚中間である。
【0024】
外側封止管端部403のランプ軸方向外側には、電極芯棒側内周面406と内表面が連続する管状の光誘導部408を有し、管状の光誘導部408のランプ軸方向外側端面には、後述する光反射面である拡径部407で反射され、光誘導部408の内部を伝播する光を外部に放射する光放射面として、ランプ径方向に沿った平坦面(第2の光放射面)409を有する。
【0025】
図1および
図2より、ランプに点灯電力を供給すると、電極5間の放電によりアークが発生し、アークより可視光を中心とした紫外光から赤外光までの幅広い領域の光が放射される。放射された光は発光管3より外部に放射され、ランプ周辺にアークを焦点にするように備えられた反射鏡1によって、集光することで利用される。しかし、アークより放射された光の一部は、光ファイバー効果によって発光管3および封止管4の内部を伝播する。併せて反射鏡1の焦点から外れた位置のアークから放射された光の一部は、反射鏡によって発光管3や封止管4に照射され、光ファイバー効果によって発光管3および封止管4の内部を伝播する。
【0026】
図5に外側封止管端部に平坦面を有するランプの封止構造断面説明図を示す。
図5に示すように外側封止管端部403のランプ軸方向外側端面すべてを平坦面(第1の光放射面)405とすることで、外側封止管401内を伝播する光L1の全反射を抑制して、光L1を外部に放射させることができる。しかし、外側封止管端部403において封止管の厚さが極端に厚くなる部分10ができ、この部分に、ランプ点灯消灯時の加熱冷却具合の差によって熱歪が発生してしまう。その結果、外側封止管401内を伝播してきた光L1が第1の光放射面405から放射されるまえに、熱歪の発生している部分10に伝播し、光L1に含まれる紫外線によって熱歪の分子結合を切断してしまう。その結果、熱歪が生じた部分10にクラックが発生し、最終的にランプが破損する恐れがあった。
【0027】
そのため、
図6に示すように、外側封止管401の外径を外側封止管401の内径以下に縮径する外側封止管縮径部402を、外側封止管401と外側封止管端部403の間に設け、外側封止管401の内径よりランプ径方向内側に第1の光放射面405を設ける。これにより、外側封止管端部403の極端な肉厚増加による熱歪の発生が抑制され、かつ外側封止管401内を伝播する光L1を外部に放射することができる。
【0028】
しかし、外側封止管縮径部402の外表面は曲面であり、これによって外側封止管401内を伝播してきた一部の光L2は第1の光放射面405から外部に放射されずに、外側封止管端部403内をランプ径方向内側に向かって伝播し、外側封止管端部403の電極芯棒側内周面406から放射され、電極芯棒6に照射される。これにより光L2に含まれる赤外線によって、電極芯棒6の赤外線が照射された部分601が加熱され、温度が上昇する。
【0029】
本発明のショートアーク放電ランプに用いられる電極芯棒6と段継ぎガラス7を封着する段継ガラス封止構造は、電極芯棒に金属箔を溶接し金属箔を封止管で封着する金属箔封止構造と比較して、電極芯棒の温度に弱い封止構造である。これは、段継ガラスが封止管に使用されている石英管と比較して歪点および軟化点が低く、耐熱性が低いためである。
【0030】
段継ガラス7は、点灯によって電極が加熱され、その熱が電極から電極芯棒を介して伝わることによって加熱される。電極芯棒6の赤外線が照射された部分601の温度が上昇すると、電極からだけでなく、赤外線が照射された部分601側からも熱が伝わることで段継ガラス7はさらに加熱され、より高温になる。
【0031】
発光管3内には放電ガスとしてキセノンが大気圧以上に封入されており、放電ガスと接している段継ガラス7は、ランプ点灯および消灯中に関わらず、常に発光管内側から外側に向けて圧力を受けている。そのため、赤外線が照射された部分601側からも熱が伝わることで段継ガラス7がさらに加熱され、温度が歪点さらには軟化点を上回ると、段継ガラス7は発光管外側に膨れるように変形し、段継ガラス7に保持される電極芯棒6、および電極芯棒6に支持される電極5の位置が移動する。この結果、電極間距離が増えることによるランプの点灯電力特性の変化や、電極に発生するアークが反射鏡1の焦点からずれることによる照度低下等の不具合が生じる。さらに、アークが反射鏡1の焦点からずれると、反射鏡1によって封止管4に照射される光の量が増加し、さらに上記不具合が深刻化する場合がある。
【0032】
図7に本発明の実施形態である拡径部を有する封止構造断面説明図を示す。
図7のように、外側封止管端部403の電極芯棒側内周面406の一部に、ランプ径方向内側に向かって伝播する光L2をランプ軸方向に反射させる反射面として、外側封止管端部のランプ軸方向外側端面の内径R1より大きい内径R2を有したランプ軸方向内側に拡径する拡径部407を設ける。これにより光L2が電極芯棒側内周面406から電極芯棒6に向かって放射されることを抑制し、電極芯棒601の加熱を防止できる。
【0033】
ただし、光反射面である拡径部407を設けることによって、光L2の一部がランプ軸方向内側、すなわち発光管側に反射され、反射された光L2の一部は内側封止管404内を伝播する。これにより光L2が段継ガラス7まで伝播し段継ガラス7の温度を上昇させる、または光L2が内側封止管404から電極芯棒6に放射され、電極芯棒6の温度を上昇させる。この結果、上記の段継ガラス7の温度が歪点さらには軟化点を上回ることに起因する不具合が発生する恐れがある。
【0034】
そこで拡径部407において最も拡径している、つまり最も内径が大きい部分を外側封止管端部403のランプ軸方向中心M1より発光管側に設ける。これにより、外側封止管端部403をランプ径方向内側に向かって伝播する光L2の大部分をランプ軸方向外側に反射することができ、段継ガラス7の温度上昇を抑制することができる。このように、電極芯棒601側に光L2を放射させずに、ランプ軸方向外側に光を反射させるには、拡径部407を有する電極芯棒側内周面406のランプ軸方向断面形状が略V字状になることが望ましい。
【0035】
図8に本発明の実施形態である光誘導部を有する封止構造断面説明図を示す。
図8に示すように、外側封止管端部403のランプ軸方向外側端面に電極芯棒側内周面406と内表面が連続する管状の光誘導部408を備え、光誘導部408のランプ軸方向外側端面には平坦面409(第2の光放射面)を設ける。外側封止管端部403をランプ径方向内側に向かって伝播する光L2は光反射面である拡径部407によってランプ軸方向外側に向かって反射され、光誘導部408内を伝播する。光誘導部408内を伝播した光L2は第2の光放射面409より外部に放射される。
【0036】
光誘導部408が無いと、第1の光放射面405から放射された光が電極芯棒601近辺に照射される場合がある。しかし、光誘導部408内に光L2を伝播させ、外側封止管端部403から離れた第2の光放射面409から放射させることによって、外部に放射された光が電極芯棒601近辺に照射させることを防止し、電極芯棒6に放射された光を照射させない、もしくは電極芯棒のよりランプ軸方向外側に照射させることができる。これにより、封止管4より放射された光に起因した段継ガラス7の温度上昇を抑制することができる。
【0037】
また、外側封止管端部401内を伝播する光L1が外側封止管端部403の発光管側端面410から内側封止管404や段継ガラス7に照射されることを抑制するために、発光管側端面410は曲面であることが望ましい。ただし、外側封止管端部403の肉厚差を抑制するために、発光管側端面410にもランプ径方向に沿った平坦面を設ける必要がある場合には、その平坦面の面積は少なくとも第1の光放射面405より小さいことが望ましい。
【0038】
図1に示すようにランプは一方が開口し、アークを焦点としている楕円状の反射鏡1の内部に配置される。そのため反射鏡の開口側の封止管は、反射鏡の焦点から外れた位置のアークから放射された光が反射鏡1によって照射されることによって、もう一方の封止管と比較して封止管内部を伝播する光による封止管の破損や、段継ガラスの変形等の不具合の発生率が高くなる。そのため、上記に記載した封止管内部を伝播する光を外部に放射する構造を有する封止管は、少なくとも反射鏡の開口側の封止管に用いられることが望ましい。
【符号の説明】
【0039】
1:反射鏡
2:ランプ
3:発光管
4:封止管
401:外側封止管
402:外側封止管縮径部
403:外側封止管端部
404:内側封止管
405:平坦面(第1の光放射面)
406:電極芯棒側内周面
407:拡径部
408:管状の光誘導部
409:平坦面(第2の光放射面)
5:電極
6:電極芯棒
7:段継ガラス
8:口金
9:封止管の突出部
10:熱歪が生じた部分
M1:外側封止管端部のランプ軸方向中心
R1:ランプ軸方向外側端面の内径
R2:拡径部の最大内径