(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して本発明の第1実施の形態におけるインシュレータ1について説明する。
図1(a)は第1実施の形態におけるインシュレータ1の正面図であり、
図1(b)は
図1(a)のIb−Ib線におけるインシュレータ1の断面図であり、
図1(c)は
図1(a)のIc−Ic線におけるインシュレータ1の断面図である。
【0015】
図1(a)から
図1(c)に示すように、インシュレータ1は正面視が略長円形状の部材であり、自己潤滑性を有するゴム状弾性体から一体に構成されている。自己潤滑性を有するゴム状弾性体としては、脂肪酸アミド等の潤滑剤がゴム状弾性体の表面にブリードして、表面の摩擦係数を低減して潤滑性を発揮するものが用いられる。なお、後述するインシュレータ11,21,31,41,51,61,71,81,91,101も、自己潤滑性を有するゴム状弾性体から一体に構成されている。
【0016】
インシュレータ1は、車体(図示せず)側に取り付けられる第1部分2と、排気管(図示せず)に取り付けられる第2部分4と、第1部分2及び第2部分4を連結する一対の連結部6とを備えている。第1部分2は円形の第1取付孔3が形成され、第2部分4は円形の第2取付孔5が形成される。車体に取り付けられたピン(図示せず)を第1取付孔3に挿入し、エンジン(図示せず)から延びる排気管に取り付けられたピン(図示せず)を第2取付孔5に挿入する。これにより、インシュレータ1を介して排気管が車体に吊り下げ支持される。なお、排気管は、それに接続される消音器や排気ガス浄化装置を含むものである。
【0017】
第1部分2及び第2部分4は、互いに内側を向く内側ストッパ面6aが形成された一対の連結部6によって互いに離隔して配置される。その結果、互いに対向する第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aが、第1部分2及び第2部分4にそれぞれ形成される。第1ストッパ面2aは、平坦面状に形成される面であり、平坦面状に形成された側面2bと垂直に交わる。側面2bは、連結部6に形成された平坦面状の内側ストッパ面6aと隙間をあけて対向する。
【0018】
第2ストッパ面4aは、円柱側面の一部(ほぼ半周分)である曲面形状(半円柱状)に形成される面であり、凹面状に形成された終端部4bと両側縁が連なる。第2ストッパ面4aは、終端部4b近くの部分(円柱側面の一部)が、連結部6に形成された平坦面状の内側ストッパ面6aと隙間をあけて対向する。
【0019】
このインシュレータ1によれば、エンジンの振動や車両の走行に伴って排気管(図示せず)が上下動すると、第1部分2、第2部分4及び連結部6が上下に伸縮して振動を吸収する。第1部分2及び第2部分4は自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、少なくとも第1取付孔3及び第2取付孔5の内周面は、自己潤滑性を有している。その結果、第1取付孔3や第2取付孔5に挿入されたピン(図示せず)と、第1取付孔3や第2取付孔5の内周面とが擦れるときに生じる異音を抑制できる。
【0020】
また、インシュレータ1に大きな上下の圧縮力が作用すると、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aが相互に当接して、インシュレータ1の過大な変形が抑制される。第2ストッパ面4aは円柱側面の一部の曲面形状に形成されているので、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aの当接時に、第1部分2及び第2部分4に非線形特性をもたせることができる。
【0021】
即ち、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aの変形により、第2ストッパ面4a(円柱側面)の周方向に沿って第1ストッパ面2aに接する面積が次第に大きくなる。第2ストッパ面4aの中央から円柱側面の周方向に沿って密着領域が広がっていくので、第1ストッパ面2aと第2ストッパ面4aとの間に空気が封じ込められることを抑制できる。その結果、当接時に生じる異音(騒音)を軽減できる。
【0022】
また、密着した第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aの離着時にも、第1部分2及び第2部分4に非線形特性をもたせることができる。即ち、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aの変形により、第2ストッパ面4a(円柱側面)の周方向に沿って第1ストッパ面2aに接する面積が次第に小さくなる。第2ストッパ面4aの両側から円柱側面の周方向に沿って密着領域が狭められていくので、密着した平坦面同士が一気に離着する場合と比較して、離着時に生じる異音を軽減できる。
【0023】
さらに、第2ストッパ面4aは円柱側面の一部である曲面形状に形成されているので、平坦面の一部が隆起した突起と比較して、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aの当接時(圧縮変形時)の応力を緩和できる。そのため、応力が集中する突起と比較して疲労(塑性流動、所謂へたり)を生じ難くすることができ、異音の抑制効果を長期間確保できる。
【0024】
また、第2ストッパ面4aと当接する第1ストッパ面2aを平坦面状に形成することで、第1ストッパ面2a(平面)と第2ストッパ面4a(曲面)とが当接することになる。曲面同士が当接する場合と比較して応力を緩和できるので、第1部分2及び第2部分4を疲労し難くできる。よって、インシュレータ1の耐久性を確保できる。
【0025】
さらに、第1部分2及び第2部分4は、表面(第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4a)が自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、第1ストッパ面2aと第2ストッパ面4aとが当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。
【0026】
なお、車体に対して排気管が横揺れすると、連結部6が屈曲して第1部分2と第2部分4とが横方向(
図1(a)左右方向)に相対変位する。この相対変位により側面2b及び内側ストッパ面6a、第2ストッパ面4a及び内側ストッパ面6aが相互に当接して、連結部6の過大な変形が抑制される。このとき、第2ストッパ面4aは円柱側面の一部の曲面形状に形成されているので、第2ストッパ面4a及び内側ストッパ面6aの当接時に、第2部分4及び連結部6に非線形特性をもたせることができる。
【0027】
即ち、内側ストッパ面6aと第2ストッパ面4aとが当接するときには、第2ストッパ面4a(円柱側面)の周方向に沿って内側ストッパ面6aに接する面積が次第に大きくなる。第2ストッパ面4aの円柱側面の周方向に沿って密着領域が広がっていくので、内側ストッパ面6aと第2ストッパ面4aとの間に空気が封じ込められることを防止できる。その結果、当接時に生じる異音を軽減できる。
【0028】
また、密着した内側ストッパ面6a及び第2ストッパ面4aの離着時にも、第2部分4及び連結部6に非線形特性をもたせることができる。即ち、離着時は第2ストッパ面4a(円柱側面)の周方向に沿って内側ストッパ面6aに接する面積が次第に小さくなる。密着した平坦面同士が一気に離着する場合とは異なり、第2ストッパ面4aの円柱側面の周方向に沿って密着領域が狭められていくので、離着時に生じる異音を軽減できる。
【0029】
また、第2ストッパ面4aは円柱側面の一部の曲面形状に形成されると共に、凹面状に形成された終端部4bと両側縁が連なるので、終端部4bの曲率を、第1部分2の側面2bと内側ストッパ面6aとが連なる終端部と比較して小さくできる。その結果、第1部分2の終端部と比較して、終端部4bに加わる応力を小さくできる(分散できる)。よって、インシュレータ1に加わる外力に起因する亀裂を終端部4bに生じ難くできる。その結果、インシュレータ1の耐久性を高めることができる。
【0030】
さらに、連結部6は、表面(内側ストッパ面6a)が自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、内側ストッパ面6aと側面2bとが当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。同様に、内側ストッパ面6aと第2ストッパ面4aとが当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。
【0031】
次に
図2を参照して第2実施の形態について説明する。第2実施の形態では、内側ストッパ面6aに凸起12が形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図2(a)は第2実施の形態におけるインシュレータ11の正面図であり、
図2(b)は
図2(a)のIIb−IIb線におけるインシュレータ11の断面図である。
【0032】
図2(a)に示すようにインシュレータ11は、第1部分2の側面2bと対向する内側ストッパ面6aの一部に複数の凸起12が形成されている。凸起12は、第1部分2の側面2bへ向かって突出する部位であり、
図2(b)に示すように、第2ストッパ面4a(円柱側面の一部)の軸方向(
図2(b)左右方向)と平行に内側ストッパ面6aの全長に亘って設けられている。
【0033】
このインシュレータ11を用いて車体(図示せず)に弾性支持された排気管(図示せず)が横揺れすると、連結部6が屈曲して第1部分2と第2部分4とが横方向(
図2(a)左右方向)に相対変位する。この相対変位により側面2b及び内側ストッパ面6a、第2ストッパ面4a及び内側ストッパ面6aが相互に当接して、連結部6の過大な変形が抑制される。このとき、内側ストッパ面6aに凸起12が設けられているので、側面2b及び内側ストッパ面6aが密着する前に突起12を介在させることができる。凸起12が潰れた後に側面2b及び内側ストッパ面6aが密着するので、側面2b及び内側ストッパ面6a間(平坦面間)に空気を封じ込ませ難くできる。よって、側面2b及び内側ストッパ面6aの当接時に生じる異音を抑制できる。また、凸起12や側面2bの自己潤滑性により、それらが互いに擦れて生じる異音を抑制できる。
【0034】
ここで、上下(
図2(a)上下)を軸にした回転(ヨー)方向の力がインシュレータ11に入力されると、上下を軸にして連結部6が捩じられる。凸起12は内側ストッパ面6aの全長に亘って設けられているので、側面2b及び内側ストッパ面6aが密着する前に突起12を介在させることができる。よって、ヨーイングによって連結部6が捩じられた場合も、側面2b及び内側ストッパ面6aの当接時に生じる異音を抑制できる。
【0035】
なお、連結部6の内側ストッパ面6aに凸起12が設けられた場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1部分2の側面2bに凸起を設けることは当然可能である。この場合も、上記実施の形態と同様の作用・効果を実現できる。
【0036】
次に
図3を参照して第3実施の形態について説明する。第1及び第2実施の形態では、第1部分2に形成された第1ストッパ面2aが平坦面形状に形成される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、第1部分22に形成された第1ストッパ面22aが円柱側面の一部である曲面形状に形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図3(a)は第3実施の形態におけるインシュレータ21の正面図であり、
図3(b)は
図3(a)のIIIb−IIIb線におけるインシュレータ21の断面図であり、
図3(c)は
図3(a)のIIIc−IIIc線におけるインシュレータ21の断面図である。
【0037】
このインシュレータ21に大きな上下の圧縮力が作用すると、第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aが相互に当接して、インシュレータ21の過大な変形が抑制される。第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aはいずれも円柱側面の一部(ほぼ半周分)の曲面形状(半円柱状)に形成されているので、第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aの当接時に、第1部分22及び第2部分4に非線形特性をもたせることができる。
【0038】
即ち、第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aの変形により、第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4a(円柱側面)の周方向に沿って、互いに密着する面積が次第に大きくなる。第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aの中央から円柱側面の周方向に沿って密着領域が広がっていくので、第1ストッパ面22aと第2ストッパ面4aとの間に空気が封じ込められることを防止できる。第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aはいずれも円柱側面の一部の曲面形状に形成されているので、一方のストッパ面が平坦面状に形成される場合と比較して、空気の封じ込めを防ぐ効果を向上できる。その結果、当接時に生じる異音の軽減効果を向上できる。
【0039】
また、密着した第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aの離着時には、第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aの変形により、第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4a(円柱側面)の周方向に沿って互いに密着する面積が次第に小さくなる。第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aの両側から円柱側面の周方向に沿って密着領域が狭められていくので、一方のストッパ面が平坦面状に形成される場合と比較して、離着時に生じる異音の軽減効果を向上できる。
【0040】
さらに、第1ストッパ面22aは円柱側面の一部である曲面形状に形成されているので、内側ストッパ面6a(平坦面)及び第1ストッパ面22a(円柱側面の一部)の当接時および離着時の異音を軽減できる。
【0041】
また、第1部分22及び第2部分4は、表面(第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4a)が自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、第1ストッパ面22aと第2ストッパ面4aとが当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。
【0042】
次に
図4を参照して第4実施の形態について説明する。第4実施の形態では、第1実施の形態で説明したインシュレータ1(
図1参照)の第2ストッパ面4aに突部(第1突部32)が形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図4(a)は第4実施の形態におけるインシュレータ31の正面図であり、
図4(b)は
図4(a)のIVb−IVb線におけるインシュレータ31の断面図であり、
図4(c)は
図4(a)のIVc−IVc線におけるインシュレータ31の断面図である。
【0043】
図4(a)に示すようにインシュレータ31は、第1ストッパ面2aに最も近い第2ストッパ面4aの一部(頂部)に第1突部32が設けられている。第1突部32は、第2ストッパ面4aより曲率が大きい半円柱状の断面形状を有し、第2ストッパ面4a(円柱側面)の軸方向(
図4(b)左右方向)と平行に延在しつつ、対向する第1ストッパ面2aへ向かって突出する突条状に形成されている。第1突部32は、第2ストッパ面4aのほぼ全長に亘って設けられている。
【0044】
このインシュレータ31に大きな上下の圧縮力が作用すると、第1ストッパ面2aに第1突部32が最初に当接する。第1突部32が潰れた後に第1ストッパ面
2a及び第2ストッパ面4aが密着する。第1突部32は第2ストッパ面4aより曲率が大きいので、第1ストッパ面2aと第2ストッパ面4aとが当接する場合と比較して、第1ストッパ面2aと第1突部32との間に空気を封じ込ませ難くできる。よって、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aの当接時に生じる異音(騒音)の抑制効果を向上できる。
【0045】
また、左右(
図4(a)左右)を軸にした回転(ピッチ)方向の力がインシュレータ31に入力されると、左右を軸にして連結部6が捩じられる。第1突部32は第2ストッパ面4aのほぼ全長に亘って設けられているので、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aが密着する前に第1突部32を介在させることができる。よって、ピッチングによって連結部6が捩じられた場合も、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aの当接時に生じる異音の抑制効果を向上できる。
【0046】
さらに、第1突部32は表面が自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、第1ストッパ面2aと第1突部32とが当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。
【0047】
次に
図5を参照して第5実施の形態について説明する。第5実施の形態では、第3実施の形態で説明したインシュレータ21(
図3参照)の第2ストッパ面4aに突部(第1突部32)が形成される場合について説明する。なお、第3及び第4実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図5(a)は第5実施の形態におけるインシュレータ41の正面図であり、
図5(b)は
図5(a)のVb−Vb線におけるインシュレータ41の断面図であり、
図5(c)は
図5(a)のVc−Vc線におけるインシュレータ41の断面図である。
【0048】
図5(a)から
図5(c)に示すようにインシュレータ41は、第1ストッパ面22aに最も近い第2ストッパ面4aの一部(頂部)に第1突部32が設けられている。これにより、第4実施の形態で説明したインシュレータ31と同様の作用・効果を実現できる。
【0049】
次に
図6を参照して第6実施の形態について説明する。第6実施の形態では、第5実施の形態で説明したインシュレータ41(
図5参照)の第1ストッパ面22aに突部(第1突部52)が形成される場合について説明する。なお、第5実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6(a)は第6実施の形態におけるインシュレータ51の正面図であり、
図6(b)は
図6(a)のVIIb−VIIb線におけるインシュレータ51の断面図であり、
図6(c)は
図6(a)のVIIc−VIIc線におけるインシュレータ51の断面図である。
【0050】
図6(a)に示すようにインシュレータ51は、第2ストッパ面4aに最も近い第1ストッパ面22aの一部(下部)に第1突部52が設けられている。第1突部52は、第1ストッパ面22aより曲率が大きい半円柱状の断面形状を有し、第1ストッパ面22a(円柱側面)の軸方向(
図6(b)左右方向)と平行に延在しつつ、対向する第2ストッパ面4aへ向かって突出する突条状に形成されている。第1突部52は、第2ストッパ面4aに設けられた第1突部32と対向しつつ、第1ストッパ面22aのほぼ全長に亘って設けられている。
【0051】
このインシュレータ51に大きな上下の圧縮力が作用すると、第1突部32,52同士が最初に当接する。第1突部32,52が潰れた後に第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aが密着する。第1突部52は第1ストッパ面22aより曲率が大きいので、第1ストッパ面2aと第1突部32とが当接する場合と比較して、第1突部32,52間に空気を封じ込ませ難くできる。よって、第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aの当接時に生じる異音の抑制効果を向上できる。
【0052】
さらに、第1突部52は表面が自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、第1突部32,52同士が当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。
【0053】
次に
図7を参照して第7実施の形態について説明する。第7実施の形態では、第4実施の形態で説明したインシュレータ31(
図4参照)の第2ストッパ面4aに突部(第2突部62)が形成される場合について説明する。なお、第4実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図7(a)は第7実施の形態におけるインシュレータ61の正面図であり、
図7(b)は
図7(a)のVIIb−VIIb線におけるインシュレータ61の断面図であり、
図7(c)は
図7(a)のVIIc−VIIc線におけるインシュレータ61の断面図である。
【0054】
図7(a)に示すようにインシュレータ61は、第2ストッパ面4aに設けられた第1突部32と交差する第2突部62が、第2ストッパ面4aに設けられている。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第2突部62は、第1突部32と交差する部分の第2ストッパ面4aからの突出高さが、第1突部32の突出高さと同一に設定されている。
図7(c)に示すように第2突部62は、第2ストッパ面4a(円柱側面)の軸方向(
図7(c)上下方向)と直交して延在しつつ、対向する第1ストッパ面2aへ向かって突出する突条状に形成される。第2突部62は、第2ストッパ面4aの軸方向の中央に位置し、第2ストッパ面4aの周方向のほぼ全長に亘って設けられている。第2突部62は、周方向の両端部分の第2ストッパ面4aからの突出高さが、終端部4bへ向かうにつれて次第に小さくなり、周方向の端部の突出高さが0に設定される。
【0055】
大きな上下の圧縮力が作用したときのインシュレータ61の動作は、第4実施の形態におけるインシュレータ31と同様なので説明を省略する。このインシュレータ61によれば、第4実施の形態におけるインシュレータ31と同様の作用・効果を実現できる。
【0056】
また、前後(
図7(a)紙面垂直)を軸にした回転(ロール)方向の力がインシュレータ61に入力されると、前後を軸にして連結部6が捩じられる。第2突部62は第2ストッパ面4aの周方向のほぼ全長に亘って設けられているので、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aが密着する前に第2突部62を介在させることができる。よって、ローリングによって連結部6が捩じられた場合も、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面4aの当接時に生じる異音の抑制効果を向上できる。
【0057】
また、第2突部62は、周方向の両端部分の第2ストッパ面4aからの突出高さが、終端部4bへ向かうにつれて次第に小さくなり、周方向の端部の突出高さが0に設定される。その結果、車体に対して排気管が横揺れして、第2ストッパ面4aと内側ストッパ面6aとが相互に当接する場合に、第2突部62(特に周方向の端部)に荷重を入力させ難くできる。これにより第2突部62を塑性流動(疲労)させ難くできるので、第2突部62の寿命を長くすることができる。
【0058】
さらに、第2突部62は表面が自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、第1ストッパ面2aと第2突部62とが当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。
【0059】
次に
図8を参照して第8実施の形態について説明する。第8実施の形態では、第7実施の形態で説明したインシュレータ61(
図7参照)の第2ストッパ面4aに形成された第2突部62に代えて、第2突部72が形成される場合について説明する。なお、第4実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図8(a)は第8実施の形態におけるインシュレータ71の正面図であり、
図8(b)は
図8(a)のVIIIb−VIIIb線におけるインシュレータ71の断面図であり、
図8(c)は
図8(a)のVIIIc−VIIIc線におけるインシュレータ71の断面図である。
【0060】
図8(a)に示すようにインシュレータ71は、第2ストッパ面4aに設けられた第1突部32と交差する第2突部72が、第2ストッパ面4aに設けられている。
図8(a)及び
図8(b)に示すように、第2突部72は、第1突部32と交差する部分の第2ストッパ面4aからの突出高さが、第1突部32の突出高さと同一に設定されている。
図8(c)に示すように第2突部72は、第2ストッパ面4a(円柱側面)の軸方向(
図8(c)上下方向)と直交して延在しつつ、対向する第1ストッパ面2aへ向かって突出する突条状に形成される。第2突部72は、第2ストッパ面4aの軸方向の中央に位置し、第2ストッパ面4aの周方向のほぼ全長に亘って設けられている。第2突部72は、周方向の両側の端部72aが、第2ストッパ面4aから内側ストッパ面6aへ向かって突出している。
【0061】
大きな上下の圧縮力や回転(ロール)方向の力が作用したときのインシュレータ71の動作は、第7実施の形態におけるインシュレータ61と同様なので説明を省略する。このインシュレータ71によれば、第7実施の形態におけるインシュレータ61と同様の作用・効果を実現できる。
【0062】
第2突部72は、周方向の両側の端部72aが、第2ストッパ面4aから内側ストッパ面6aへ向かって突出している。その結果、車体に対して排気管が横揺れして、第2ストッパ面4aと内側ストッパ面6aとが相互に当接する場合に、第2ストッパ面4a及び内側ストッパ面6aが密着する前に端部72aを介在させることができる。端部72aが潰れた後に第2ストッパ面4a及び内側ストッパ面6aが密着するので、第2ストッパ面4a(円柱側面)及び内側ストッパ面6a間(平坦面間)に空気を封じ込ませ難くできる。よって、第2ストッパ面4a及び内側ストッパ面6aの当接時に生じる異音の抑制効果を向上できる。
【0063】
さらに、第2突部72は表面が自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、第1ストッパ面2aと第2突部72とが当接したときや、内側ストッパ面6aと第2突部72(端部72a)とが当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。
【0064】
次に
図9を参照して第9実施の形態について説明する。第9実施の形態では、第5実施の形態で説明したインシュレータ41(
図5参照)の第2ストッパ面4aに突部(第2突部62)が形成される場合について説明する。なお、第5及び第7実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図9(a)は第9実施の形態におけるインシュレータ81の正面図であり、
図9(b)は
図9(a)のIXb−IXb線におけるインシュレータ81の断面図であり、
図9(c)は
図9(a)のIXc−IXc線におけるインシュレータ81の断面図である。
【0065】
図9(a)から
図9(c)に示すようにインシュレータ81は、第2ストッパ面4aに設けられた第1突部32と交差する第2突部62が、第2ストッパ面4aに設けられている。これにより、第7実施の形態で説明したインシュレータ61と同様の作用・効果を実現できる。
【0066】
次に
図10を参照して第10実施の形態について説明する。第10実施の形態では、第9実施の形態で説明したインシュレータ81(
図9参照)の第1ストッパ面22aに突部(第1突部52及び第2突部92)が形成される場合について説明する。なお、第6及び第7実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図10(a)は第10実施の形態におけるインシュレータ91の正面図であり、
図10(b)は
図10(a)のXb−Xb線におけるインシュレータ91の断面図であり、
図10(c)は
図10(a)のXc−Xc線におけるインシュレータ91の断面図である。
【0067】
図10(a)に示すようにインシュレータ91は、第2ストッパ面4aに最も近い第1ストッパ面22aの一部に第1突部52が設けられている。第1突部52は、第1ストッパ面22aより曲率が大きい半円柱状の断面形状を有し、第1ストッパ面22a(円柱側面)の軸方向(
図10(b)左右方向)と平行に延在しつつ、対向する第2ストッパ面4aへ向かって突出する突条状に形成されている。第1突部52は、第2ストッパ面4aに設けられた第1突部32と対向しつつ、第1ストッパ面22aのほぼ全長に亘って設けられている。
【0068】
また、インシュレータ91は、第1突部52と交差する第2突部92が、第1ストッパ面22aに設けられている。
図10(a)及び
図10(b)に示すように、第2突部92は、第1突部52と交差する部分の第1ストッパ面22aからの突出高さが、第1突部52の突出高さと同一に設定されている。第2突部92は、第1ストッパ面22a(円柱側面)の軸方向(
図10(a)紙面垂直方向)と直交して延在しつつ、対向する第2ストッパ面4aへ向かって突出する突条状に形成される。第2突部92は、第1ストッパ面22aの軸方向の中央に位置し、第2ストッパ面4aに設けられた第2突部62と対向しつつ、第1ストッパ面22aの周方向のほぼ全長に亘って設けられている。第2突部92は、周方向の両端部分の第1ストッパ面22aからの突出高さが、終端部22bへ向かうにつれて次第に小さくなり、周方向の端部の突出高さが0に設定される。
【0069】
このインシュレータ91に大きなロール方向の圧縮力が作用すると、前後(
図10(a)紙面垂直)を軸にして連結部6が捩じられる。第2突部62,92は、それぞれ第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aの周方向のほぼ全長に亘って設けられているので、第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aが密着する前に第2突部62,92を介在させることができる。よって、ローリングによって連結部6が捩じられた場合も、第1ストッパ面22a及び第2ストッパ面4aの当接時に生じる異音の抑制効果を向上できる。
【0070】
さらに、第2突部92は表面が自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、第2ストッパ面4aと第2突部92とが当接したときや、第2突部62,92同士が当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。
【0071】
次に
図11を参照して第11実施の形態について説明する。第1から第10実施の形態では、第1ストッパ面2a,22a、第2ストッパ面4aの少なくとも一方が円柱側面の一部である曲面形状に形成される場合について説明した。これに対し第11実施の形態では、第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面102aがいずれも平坦面状に形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図11(a)は第11実施の形態におけるインシュレータ101の正面図であり、
図11(b)は
図11(a)のXIb−XIb線におけるインシュレータ101の断面図であり、
図11(c)は
図11(a)のXIc−XIc線におけるインシュレータ101の断面図である。
【0072】
インシュレータ101は、一対の連結部6によって第1部分2及び第2部分102が連結されている。第2部分102は、第1ストッパ面2aに対向する第2ストッパ面102aが形成されている。第2ストッパ面102aは、平坦面状に形成される面であり、平坦面状に形成された側面102bと垂直に交わる。側面102bは、連結部6に形成された平坦面状の内側ストッパ面6aと隙間をあけて対向する。
【0073】
このインシュレータ101によれば、第1部分2及び第2部分102は自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、第1取付孔3や第2取付孔5に挿入されたピン(図示せず)と、第1取付孔3や第2取付孔5の内周面とが擦れるときに生じる異音を抑制できる。
【0074】
また、第1部分2及び第2部分102は、表面(第1ストッパ面2a及び第2ストッパ面102a)が自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、第1ストッパ面2aと第2ストッパ面102aとが当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。さらに、連結部6は、表面(内側ストッパ面6a)が自己潤滑性を有するゴム状弾性体から構成されているので、内側ストッパ面6aと側面2b,102bとが当接したときに、互いに擦れて生じる異音を抑制できる。
【0075】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、インシュレータ1,11,21,31,41,51,61,71,81,91,101の全体や各部の形状、凸起12の形状や数量等は適宜設定することが可能である。
【0076】
上記各実施の形態では、インシュレータ1,11,21,31,41,51,61,71,81,91,101の全体の形状が正面視で略長円形状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。インシュレータの全体を正面視で略円形状、角丸矩形状、略半円形状等の周知な形状にすることは当然可能である。
【0077】
上記各実施の形態では、第1部分2,22及び第2部分4,102にそれぞれ一つずつ円形の第1取付孔3、第2取付孔5が形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。車体や排気管に取り付けられるブラケットやピンの形状や数量に応じて、第1取付孔3や第2取付孔5の形状や数量を適宜設定することは当然可能である。
【0078】
上記各実施の形態では、上下方向へ直線状に延びるように一対の連結部6が平板状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連結部6を湾曲板状に形成することは当然可能である。
【0079】
上記第1実施の形態から第10実施の形態では、第2部分4の第2ストッパ面4aが、円柱側面の一部である曲面形状に必ず形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1部分22の第1ストッパ面22aを円柱側面の一部である曲面形状に形成し、第2部分の第2ストッパ面を平坦面等の種々の形状に形成することは当然可能である。この場合も、第1部分22の第1ストッパ面22aが円柱側面の一部である曲面形状に形成されることで、インシュレータに上下の大きな圧縮力が作用したときの第1ストッパ面および第2ストッパ面の当接時および離着時の異音を防止できる。
【0080】
上記第1実施の形態から第10実施の形態では、第2突部62,72,92が設けられる場合に、それと交差する第1突部32,52が必ず設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1突部32,52を省略して、第2突部62,72,92を設けることは当然可能である。第2突部62,72,92を設けることで、インシュレータに大きなロール方向の圧縮力が作用したときの異音の抑制効果を向上できる。
【0081】
上記第2実施の形態では、平坦面状に形成された第1部分2の側面2bに対向する内側ストッパ面6aに凸起12が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。円柱側面の一部である曲面形状に形成された第2ストッパ面4aに対向する内側ストッパ面6aに凸起12を設けることは当然可能である。凸起12により、第2ストッパ面4a(円柱側面)と内側ストッパ面6aとが当接するときの異音の抑制効果を向上できる。
【0082】
上記実施の形態では説明を省略したが、インシュレータ1,11,21,31,41,51,61,71,81,91,101は、異材質成形(複数種の材料を成形工程で接着させることにより一体化する方法)により製造することが可能である。例えば、第1ストッパ面2a,22a(第1部分2,22)と第2ストッパ面4a(第2部分2)とを異材質にすることで、第1ストッパ面2a,22aと第2ストッパ面4aとが当接するときに生じる異音の抑制効果を高めることができる。
【0083】
上記各実施の形態では、自己潤滑性を有するゴム状弾性体からインシュレータ1,11,21,31,41,51,61,71,81,91,101が一体に成形される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1取付孔3及び第2取付孔5の内周面およびその周囲を、異材質成形により、自己潤滑性を有するゴム状弾性体で成形することは当然可能である。これにより、第1取付孔3や第2取付孔5に挿入されたピン(図示せず)と第1取付孔3や第2取付孔5の内周面とが擦れて生じる異音を抑制できる。
【0084】
また、第1部分2,22及び第2部分4,102を、異材質成形により、自己潤滑性を有するゴム状弾性体で成形することは当然可能である。これにより、第1取付孔3や第2取付孔5に挿入されたピン(図示せず)と第1取付孔3や第2取付孔5の内周面とが擦れて生じる異音を抑制できるのに加え、第1ストッパ面2a,22aと第2ストッパ面4a,102aとが互いに当接したときに、擦れて生じる異音を抑制できる。