(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワークの一方の面を露出させた状態で前記ワークを保持する保持ユニットを移送させると共に、所定の位置で前記保持ユニットを反転させて前記ワークの他方の面を露出させる移送装置であって、
所定方向に走行する走行体を含む走行ユニットと、
前記走行体に固定され、前記保持ユニットを支持する少なくとも1つの支持部材と、
前記保持ユニットを案内する案内ユニットと、
を備え、
前記保持ユニットは、
前記ワークの他方の面の少なくとも一部を露出させた状態で保持する本体部と、
該本体部から延出する被連結部と、
該被連結部の先端側に設けられ、前記案内ユニットに案内される被案内部と、
を備え、
前記支持部材は、
前記走行体に固定される固定部と、
該固定部と一体に設けられ、前記保持ユニットを回転自在に支持する軸受部と、
を備え、
前記案内ユニットは、
前記本体部を反転させる反転部と、
前記被案内部を案内する案内部と、
走行方向に対して直交する方向における前記走行体の移動を規制する規制部と、
を備え、
前記走行体は、無端走行部材であり、
前記走行ユニットは、前記無端走行部材を循環駆動させる循環駆動機構をさらに含み、
前記無端走行部材は、その長手方向に所定間隔で形成された溝部を備え、
前記固定部は、前記無端走行部材及び前記規制部をその短手方向から係合して前記溝部と嵌合する嵌合部を備えることを特徴とする移送装置。
前記軸受部は、回転軸を中心として前記無端走行部材の短手方向と平行な平面で分割された第一分割部材及び前記固定部が設けられる第二分割部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の移送装置。
ワークの一方の面を露出させた状態で前記ワークを保持する保持ユニットを移送させると共に、所定の位置で前記保持ユニットを反転させて前記ワークの他方の面を露出させる移送装置であって、
所定方向に走行する走行体を含む走行ユニットと、
前記走行体に固定され、前記保持ユニットを支持する少なくとも1つの支持部材と、
前記保持ユニットを案内する案内ユニットと、
を備え、
前記保持ユニットは、
前記ワークの他方の面の少なくとも一部を露出させた状態で保持する本体部と、
該本体部から延出する被連結部と、
該被連結部の先端側に設けられ、前記案内ユニットに案内される被案内部と、
を備え、
前記支持部材は、
前記走行体に固定される固定部と、
該固定部と一体に設けられ、前記保持ユニットを回転自在に支持する軸受部と、
を備え、
前記案内ユニットは、
前記本体部を反転させる反転部と、
前記被案内部を案内する案内部と、
走行方向に対して直交する方向における前記走行体の移動を規制する規制部と、
を備え、
前記走行体は、無端走行部材であり、
前記走行ユニットは、前記無端走行部材を循環駆動させる循環駆動機構をさらに含み、
前記反転部は、
前記被案内部をガイドする一方ガイド部材と、
前記被案内部をガイドする他方ガイド部材と、
を備え、
前記被案内部は、
前記案内部に案内される第一及び第二転動体を備えた転動連結部を備え、
前記一方ガイド部材は、前記本体部を反転させるべく、前記案内部のガイド面より下方へ前記第一転動体をガイドする一方ガイド部を備え、
前記他方ガイド部材は、前記一方ガイド部と協働して前記本体部を反転させるべく、前記第一転動体をガイドして、前記ガイド面に連続して設けられる他方ガイド部を備えることを特徴とする移送装置。
前記本体部は、中央部が開口された矩形状の枠と、前記ワークを前記枠上に支持する支持部材と、前記ワークを前記支持部材上に固定する可動保持部材とを備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の移送装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同じ参照符号は、同様の要素を示し、紙面に対する上下左右方向を、本実施形態における装置の上下左右方向として、本文中の説明の際に用いることとする。
【0011】
<作業システム1>
図1は、本発明の一実施形態に係る作業システム1の正面図を示す。
図2は、作業システム1の上面図を示す。作業システム1は、一方の面及び他方の面を備えるワークWを搬送中に、ワークWを反転させてワークWの両面に対して作業を行うものである。ワークWとしては、プリント基板等の電子基板、半導体装置等の電子部品等を例示することができる。ワークWの両面に対して行う作業としては、撮像装置11による検査作業、インクジェットプリンタによる印字作業、部品の取付作業等を例示することができる。本実施形態においては、ワークWとして電子基板を採用し、作業として撮像装置11による検査作業を採用した例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0012】
図1に示す作業システム1は、ワークWを移送する移送装置100と、ワークWの一方の面と他方の面とに対して作業を行う作業ユニット10と、ワークWを移送装置100へ移載する第一及び第二移載装置20、30とを備える。
【0013】
<移送装置100の概略>
移送装置100は、ワークWの一方の面を露出させた状態でワークWを保持する複数の保持ユニット120を移送させると共に、所定の位置でワークWを反転させてワークWの他方の面を露出させる。移送装置100は、さらに、保持ユニット120を移送装置100内で循環移送させる無端走行部材の走行体111と、走行体111を循環駆動させる循環駆動機構である走行ユニット110とを備える。保持ユニット120は、走行体111によって移送装置100内を循環移送されるとともに、後述する案内ユニット140に案内されて移送される。
【0014】
<作業ユニット10>
作業ユニット10は、ワークWの両面に対して作業を行う作業ツールとしての撮像装置11と撮像装置11(作業ツール)を移動させる作業移動機構12とを備える。本実施形態においては、作業ツールとして、ワークWの表面を撮影する撮像装置11を採用した例を示す。撮像装置11としては、例えば、ラインセンサカメラや、エリアセンサカメラ等のビジョンセンサを採用することができる。また、撮像装置11としては、可視光線、赤外線、紫外線等を検出できる光学センサを採用でき、撮像素子としてCCD、CMOSセンサ等から構成されるものを採用してもよい。例えば、
図2中二点鎖線の円で示す撮影領域SRで撮影可能な撮像装置11を採用することができる。
【0015】
作業ユニット10は、
図1に示すように、移送装置100の上方に撮像装置11を配置する。撮像装置11は、移送装置100内でのワークWの移送方向と平行な方向(
図1及び
図2中X方向)である図中M1方向に作業移動機構12によって移動可能である。また、撮像装置11は、移送装置100に設定された第一作業領域WA1及び第二作業領域WA2で停止または通過するワークWを撮影可能とするため、それぞれの領域に対応した第一作業位置WP1及び第二作業位置WP2を往復移動することができる。なお、撮像装置11の上記移動は、往復移動に限定されることはなく、一方向のみの移動でもよい。第一作業位置WP1は、撮影対象のワークWの一方の面に作業を行う第一作業領域WA1に対応した位置である。第二作業位置WP2は、ワークWの他方の面に作業を行う第二作業領域WA2に対応した位置である。なお、第一作業領域WA1と第二作業領域WA2との間には、後述するワークWを反転させる第一反転領域IA1が設定される。また、第二作業領域WA2の下流側(ワークW移送方向の下流側)には、第二反転領域IA2が設定される。
【0016】
<移載装置20、30>
移送装置100の
図1中左側には、ワークWを第一搬送路TP1から移送装置100へ移載する第一移載装置20が配置される。第一搬送路TP1は、
図1中X方向左側から右側へワークWを搬送する。第一移載装置20は、第一搬送路TP1上を流れてきたワークWを把持する第一アーム部21と、第一アーム部21を
図1中X方向のM2方向及びZ方向のM3方向へ移動させる第一駆動機構22とを備える。第一アーム部21は、第一搬送路TP1上のワークWを把持した後に、M3方向に上昇し、M2方向右側へ移動して、M3方向に下降して、後述する移送装置100内の保持ユニット120上にワークWを載置する。
【0017】
移送装置100の
図1中右側には、ワークWを移送装置100内の保持ユニット120から第二搬送路TP2へ移載する第二移載装置30が配置される。第二移載装置30は、後述する検査作業を終えたワークWを把持する第二アーム部31と、第二アーム部31を
図1中Z方向であるM4方向及びX方向であるM5方向へ移動させる第二駆動機構32とを備える。第二アーム部31は、保持ユニット120上のワークWを把持した後に、M4方向に上昇し、M5方向における右側方向へ移動して、M4方向に下降して、第二搬送路TP2上にワークWを載置する。第二搬送路TP2は、
図2に示すように、
図2中Y方向にワークWを搬送する。
【0018】
<作業システム1の動作>
以下に作業システム1の動作について説明する。再び
図1を参照して、不図示の移送装置により第一搬送路TP1上をX方向における右側へ移送されてきたワークWは、第一移載装置20の第一アーム部21によって把持される。第一アーム部21は、ワークWを把持したまま、移送装置100へと移動して、移送装置100内で図中左側端の位置P1に位置する保持ユニット120上へワークWを移載する。移載されたワークWは、保持ユニット120により保持される。ワークWを保持した保持ユニット120は、走行体111によってX方向における右側方向へ移送される。この保持ユニット120が第一作業領域WA1に対応した位置P2に到達した際に、第一作業位置WP1に位置する撮像装置11によってワークWの一方の面が撮影される。
【0019】
次いで、第一反転領域IA1で保持ユニット120が反転され、保持ユニット120は第二作業領域WA2に到達する。このとき、保持ユニット120における開口部121d(後述)を介して、ワークWの他方の面が上向きに露出される。また、撮像装置11は、第一作業領域WA1での作業終了後、M1方向右側へ移動して、
図1及び
図2中二点鎖線で示す第二作業位置WP2に到達する。したがって、保持ユニット120が第二作業領域WA2に対応した位置P3に到達した際に、撮像装置11によってワークWの他方の面が撮影される。保持ユニット120は、第二作業領域WA2を通過後、第二反転領域IA2において再び反転される。したがって、ワークWは、第一移載装置20の第一アーム部21に把持されたときと同じ面(一方の面)が上を向く状態となる。次いで、保持ユニット120が移送装置100内の図中右側端の位置P4に到達した際に、第二移載装置30の第二アーム部31は、保持ユニット120からワークWを取り出す。ワークWを把持した第二アーム部31は、第二搬送路TP2へワークWを移送する。第二搬送路TP2に載置されたワークWは、不図示の移送ユニットにより
図2に示すY方向へ搬送される。なお、撮像装置11の移動する方向は、上記保持ユニット120の移動する方向に限定されない。撮像装置11は、保持ユニット120の移動方向と平行に、換言すると
図1中のM1方向における両方向に移動することができる。
【0020】
<移送装置100の詳細>
図3及び
図4を参照して、第一実施形態に係る移送装置100を説明する。移送装置100は、筐体101と、循環駆動機構(例えば、ベルト駆動機構、チェーン駆動機構)を構成する走行ユニット110と、保持ユニット120と、保持ユニット120を支持する支持部材130と、保持ユニット120を案内する案内ユニット140とを備える。移送装置100は、ワークWの一方の面を露出させた状態でワークWを保持する保持ユニット120を移送させると共に、所定の位置で保持ユニット120を反転させてワークWの他方の面を露出させる。筐体101は、底壁101aと底壁101aから立設する一対の第一及び第二側壁101b、101cとを備える。なお、本実施形態において、筐体101は、底壁101aと一対の側壁101b、101cとを備えた構成としたが、これに限定されるものではなく、走行ユニット110等を配置可能であれば底板101aが無くてもよく、また、フレームを備えた形態等でもよい。
【0021】
<走行ユニット110>
図4を参照して、走行ユニット110について説明する。
図4は、
図3に示す移送装置100において保持ユニット120及び支持部材130の図示を省略した図である。本実施形態において、走行ユニット110は、一対の無端状の走行体111と、走行体111を循環移動可能に軸支する複数の転動部材112a、112b...と、転動部材112aを駆動させる駆動機構113(
図2参照)と、駆動機構113に接続された駆動シャフト114とを備え、循環駆動機構を構成する。
【0022】
図4中奥側の第一側壁101bの筐体101内側には、一対の走行体111の一方である第一走行体111aと、複数の転動部材の一部である第一駆動側転動部材112a及び第一従動側転動部材112bとが配置される。また、
図4中奥側の第一側壁101bの筐体101外側には、駆動機構113が配置される(
図2参照)。
図4中手前側の第二側壁101cの筐体101内側には、一対の走行体111の他方である第二走行体111bと図示しない転動部材が配置される。したがって、一対の走行体111及びそれらを駆動する複数の転動部材112a、112b...が、第一側壁101b及び第二側壁101cのそれぞれに配置される。なお、走行体、転動部材、駆動機構の数や配置は、
図4に示すものに限定されず、適宜その数や配置が変更されてもよい。走行体として採用しているベルト部材は、内側面の短手方向に連続して形成された溝部(後述する谷部111v)が長手方向に所定間隔で複数設けられた歯付ベルト部材であり、歯付ベルト部材を転動可能に支持している転動部材として採用しているプーリは、歯付ベルト部材の溝部(後述する谷部111v)に係合する歯部が外周面に複数所定間隔で設けられている歯付プーリである。
【0023】
第一走行体111aは、無端環状部材であり、内側面に長手方向に所定間隔で形成された複数の溝部を備える。第一走行体111aは、例えば、無端の歯付ベルト等を例示することができる。
【0024】
第一走行体111aは、第一駆動側転動部材112a及び第一従動側転動部材112bに架け渡される。第一駆動側転動部材112a及び第一従動側転動部材112bは、共に同一の形状の転動部材であり、第一走行体111aの内側面に形成された上記溝と係合する複数の歯部112cを外周面に備える。さらに、第一駆動側転動部材112a及び第一従動側転動部材112bの外周側の軸方向両端部には、周方向へ連続して形成された、段部112dがそれぞれ形成される。つまり、歯112c及び歯112cが形成された外周面の軸方向における幅は、軸支された中央部の幅より狭くなる。また、転動部材112a、112bの外周面の幅は、第一走行体111aの幅より狭い幅に設定される。こうすることで、走行体に係止される後述する支持部材130の一部(係止部)が走行体111と係合した状態で転動部材112a、112bと干渉せずに移動することができる。
【0025】
第一駆動側転動部材112aと第一従動側転動部材112bとは、第一側壁101bの筐体101内側に互いに第一側壁101bの長手方向に離間して配置される。第一駆動側転動部材112aは、シャフト114に装着され、シャフト114は、一対の側壁101b、101cに回転可能に軸支される。シャフト114は、第一側壁101b側の一端部が第1側壁101bを貫通して突出して配置され、突出した端部に駆動力が伝達される従動側プーリ113cを備える。駆動機構113は、
図2に示すように、駆動モータ113aと、駆動モータ113aに接続された駆動側プーリ113bと、シャフト114に装着された従動側プーリ113cと、駆動側プーリ113bと従動側プーリ113cとを接続する駆動ベルト113dとを備える。したがって、本実施形態においては駆動機構113から入力された回転駆動力が、第一駆動側転動部材112aに伝達され、第一走行体111aを循環駆動させる。また、駆動機構113は、不図示の駆動制御ユニットにより、所定の移動範囲(隣接して配置される保持ユニット120同士の距離)を移動する駆動状態と、所定の移動を行った後、所定の時間(作業ユニット10による作業に必要な時間)停止状態と、を繰り返す間欠移動制御がなされる。なお、本実施形態においては、駆動機構113として、モータとプーリとを採用したものを例示したが、これに限定されることはなく、例えば、歯車を組み合わせた駆動機構や駆動モータ113aを第一駆動側転動部材112aに直接接続したダイレクト駆動機構としてもよい。
【0026】
なお、図示省略するが、第二走行体111b及びそれに架け渡される転動部材も、第一走行体111aと第一駆動側転動部材112a及び第一従動側転動部材112bと同様の構成を採用することができる。第二走行体111bも、第二側壁101cと平行な平面上を所定方向に走行する。第二走行体111bが巻回される図示しない転動部材と、第一駆動側転動部材112aとには、駆動シャフト114が接続される。駆動シャフト114は、第一走行体111aと、これと対称に対向して配置された第二走行体111bとを互いに駆動する。したがって、第一走行体111aと第二走行体111bとは、共通の駆動シャフト114を介して、互いに同期して循環駆動される。
【0027】
<保持ユニット120>
図3に示すように、一部の保持ユニット120は、二点鎖線で示すワークWを保持して第一側壁101b及び第二側壁101cとの間に架け渡されて配置される。ここで、
図5及び
図6を参照して、保持ユニット120の詳細について説明する。
図5(A)は、支持部材130を備えた保持ユニット120の上面図を示す。
図5(B)は、支持部材130を備えた保持ユニット120の側面図を示す。
図5(C)は、
図5(A)中矢印A方向からみた保持ユニット120の一部と支持部材130との側面図であって、支持部材130の下方部分は走行体111と係合した状態を説明するための断面図とする。
図6は、保持ユニット120の分解斜視図を示す。
【0028】
保持ユニット120は、ワークWを保持する本体部121と、本体部121から延出する被連結部122と、被連結部122の先端側に設けられ、後述する案内ユニット140に案内される被案内部123a、123bとを備える。本体部121は、本体部121上に載置されたワークWの他方の面の少なくとも一部を露出させた状態で保持するように、中央部が開口された矩形状の枠121aを備える。枠121aは、外形が平面視長方形状の板状部材であり、その中央部分に矩形状の開口部121dが形成される。また、本体部121は、枠121a上における開口部121dの各角部に臨む部分にワークWを枠121a上に支持する複数の第一及び第二ワーク支持部材121b(121b1、121b2)と、ワークWを第一及び第二ワーク支持部材121b上に固定する複数の可動保持部材121cとを備える。また、本体部121は、枠121aの長手方向両端部に、被連結部122が挿通固定される挿通穴121eを備えた一対の支持壁部121fを備える。なお、本実施形態において、枠121a及び開口部121dの形状は、平面視長方形状または矩形状としたが、これらに限定されず、ワークWの形状等に応じて適宜変更可能である。
【0029】
<第一及び第二ワーク支持部材121b>
本体部121は、枠121aの開口部121dの四つの隅にそれぞれワークWを案内支持する第一ワーク支持部材121b1と第二ワーク支持部材121b2とをそれぞれ一つずつ備える。二つの第一ワーク支持部材121b1は、本体部121の短手方向に互いに対向して配置され、合計四ヶ所に配置される。また、二つの第二ワーク支持部材121b2は、本体部121の長手方向に互いに対向して配置され、合計四ヶ所に配置される。第一及び第二ワーク支持部材121b1、121b2は、上面が平坦面に形成された直方体であり、その上面に、ワークWを載置する際にワークWのガイド、位置決めを行うガイド突起121b3を備える。本実施形態において、第一ワーク支持部材121b1と第二ワーク支持部材121b2とは、開口部121dに対して、本体部121上に配置された位置が異なる。
図5(A)に示すように、第一ワーク支持部材121b1は、その端部が開口部121dの縁に沿って配置される。一方、第二ワーク支持部材121b2は、開口部121dの輪郭より内方へ一部が突出して配置される。また、第一ワーク支持部材121b1及び第二ワーク支持部材121b2のガイド突起121b3は、
図5(A)に示すように、直方体の上面において、開口部121dの縁に臨む位置に配置される。そして、第一及び第二ワーク支持部材121b1、121b2に対して、ワークWを載置する際には、ワークWは、開口部121dの内方へ突出した第二ワーク支持部材121b2の直方体の一部の上面に設けられた載置部に、第一及び第二ワーク支持部材121b1、121b2に設けられたガイド突起121b3によりガイドされつつ載置される。
【0030】
<可動保持部材121c>
可動保持部材121cは、本体部121の長手方向に互いに対向するように二か所に配置される。可動保持部材121cは、枠121aに固定された固定基礎部121c1と、固定基礎部121c1に回動可能に接続された可動部121c2と、可動部121c2を回動させるための凸部121c3とを備える。可動部121c2は、枠121aの短手方向に延びる軸を介して固定基礎部121c1に接続され、固定基礎部121c1の上方を覆う上面と、一対の側面と、上面から下方に向けて手前側に傾斜され、ワークWに当接する傾斜部(前面)121c4と、を備えた形状である。可動部121c2の支持壁部121f側の端部には、上記した第一及び第二移載装置20、30の第一及び第二アーム部21、31に装着された解除部Rによって下方向に押される凸部121c3が設けられる。
【0031】
図5(B)の右側の可動保持部材121cを参照して、可動保持部材121cの動作について説明する。なお、
図5(B)において、説明に用いる右側の可動保持部材121cの図中手前側に配置される第一及び第二ワーク支持部材121b1、121b2の図示は省略している。また、後述する可動保持部材121cがワークWを保持した状態を一部拡大図として示す。ワークWを可動保持部材121cに保持させる際には、例えば、ワークWを保持した第一アーム部21が保持ユニット120の上方から垂直に降下する場合を想定する。このとき、可動保持部材121cの凸部121c3には、その上方から第一アーム部21に設けられた解除部Rが
図5(B)中矢印B方向における下側方向に下降してきて、凸部121c3に当接し、凸部121c3を図中下方へ押し下げる。すると、可動保持部121cの可動部121c2は、開口部121d側の端部が上昇するように
図5(B)中矢印Cで示す方向に回動軸を中心に傾動する。このとき、可動部121c2に設けられた傾斜部121c4は、ワークWを収容可能なように対向する傾斜部121c4,121c4が互いに反り合うように傾動することで両者の間隔が広がり、第一アーム部21と共に上方から下降してきたワークWが、傾斜部121c4,121c4の間に位置され、第二ワーク支持部材121b1の上面となる載置部に載置される。次に第一アーム部21がワークWの保持を解除して上昇して保持ユニット120から離れることで、第一アーム部21の解除部Rが可動部121c2の凸部121c3を図中下方へ押し下げる動作が解除される。可動部121c2内には、図示しないばね等の付勢部材が配置されており、この付勢部材の付勢力によって、可動部121c2は、
図5(B)中矢印C方向と反対の方向へ回動軸を中心に回動して元の状態へ戻る。このとき、ワークWは、傾斜部121c4の一部が当接する(詳細には、対向する傾斜部121c4,121c4がそれぞれ当接する)ことにより第二ワーク支持部材121b2の上面の載置部に押し付けられて保持される。なお、保持ユニット120からワークWを取り出す際には、上記した過程を逆の順序で行うことになる。
【0032】
<支持壁部121f及び被連結部122>
支持壁部121fの挿通穴121eには、被連結部122が挿通され、固定される。被連結部122は、円柱状部材である。支持壁部121f及び被連結部122は、本体部121の長手方向端部にそれぞれの被連結部122、122の軸心を一致させた状態で一対配置される。被連結部122と支持壁部121f及び枠121aを含む本体部121とは、それぞれ互いに固定され、一体となっている。被連結部122には、後述する支持部材130が接続される。また、支持部材130と後述する被案内部123a、123bとの間の被連結部122上には、被案内部に対する支持部材130内の後述する軸受Bの内輪位置を規定する軸受用段部122aが形成される。支持部材130を挟んで、軸受用段部122aの反対側の被連結部122上には、支持壁部121fに対する支持部材130内の軸受Bの内輪位置を規定するスペーサSが取り付けられる。
【0033】
<被案内部123a、123b>
保持ユニット120の被連結部122、122のそれぞれの外方端部には、被案内部123a、123bが設けられる。したがって、被連結部122、122及び被案内部123a、123bは、保持ユニット120が移動するそれぞれの搬送面と平行な走行方向と直交する方向において本体部121の対向する端部にそれぞれ設けられる。本実施形態においては、後述する案内ユニット140の反転部142と協働して、保持ユニット120を反転させる第一被案内部123aと、反転の動作に寄与しない第二被案内部123bとの二種類の被案内部123a、123bを備える。
【0034】
第一被案内部123aは、後述する案内ユニット140に案内される第一及び第二転動体123a1、123a2を備えた転動連結部123a3を備える。転動連結部123a3は、平面視長方形状の板状部材で、その長手方向中間部分に被連結部122が接続され、長手方向両側部にそれぞれ第一転動体123a1と第二転動体123a2とが設けられる。したがって、第一転動体123a1と第二転動体123a2とは、被連結部122に対して対称となるように互いに所定距離離間して、転動連結部123a3に設けられる。なお、第一被案内部123aは、被連結部122を回転軸とし、後述する支持部材130に回転可能に支持される。第二被案内部123bは、被連結部122と同軸に配置された一つの転動体を備える。
【0035】
<支持部材130>
図5、
図6にさらに
図7を参照して、支持部材130の詳細について説明する。
図7(A)は、支持部材130の斜視図である。
図7(B)は、支持部材130の断面図である。
図7(C)は、支持部材130を分解した分解斜視図である。
図7(D)は、
図7(C)のD方向矢視図(側面図)である。
図7(E)は、
図7(D)のE−E線矢視図である。
【0036】
支持部材130は、保持ユニット120の被連結部122を回動自在に支持する軸受Bを備えるとともに、走行体111に固定して設けられる。こうすることで、支持部材130は、所定の走行方向に走行する走行体111と共に走行しつつ、ワークWを保持する保持ユニット120を支持することができる。そして、支持部材130が、走行体111の移動に伴って移動することで、保持ユニット120もまた移動される。
【0037】
図7(A)を参照して、支持部材130は、保持ユニット120の被連結部122を回転自在に支持する後述の軸受Bが装着される軸受部131と、軸受部131と一体に設けられ、走行体111に固定される固定部132、132とを備える。軸受部131は、
図7(E)に示す側面視において、中央部に被連結部122を軸方向に挿通可能な挿通開口部131aを備える。また、軸受部131の外形は、
図7(E)において挿通開口部131aの中心部より上半分を円形(半円状)とし、下半分を矩形状として、軸方向に厚みを有した形状となっている。言い換えると、軸受け部131は、
図7(E)に示すように、平面視が半角丸長方形状を呈しており、内部に半円形部と同心円の挿通開口部131aを有する立体である。
【0038】
固定部132、132は、軸受部131における半長方形部から突出させて設けられる。具体的には、支持部材130における軸方向(厚み方向)の両端において、半長方形部における下端部132dの中央に一対の突出部(基部)133が設けられる。各突出部133、133は先細りの突条であり、相対向する面にそれぞれ突起134、134が設けられる。各突起134は、平面視台形状の突条であり、相対向する面がそれぞれ被規制部132a、半長方形部における下端部132dと対向する部分がそれぞれ嵌合部132bである。それぞれの固定部132の間、すなわち半長方形部における下端部132d、突出部133、及び両嵌合部132bで囲まれた部分に走行体111が装着される。詳細には、突出部133により走行体111の両端部が規定され、下端部132dにより走行体111の上面が規定され、嵌合部132bにより走行体111の下面が規定される。本実施例の場合、固定部132が走行体111をその短手方向から挟み込むように係合している。
【0039】
図7(B)に、支持部材130の縦断面図を示す。支持部材130の内部には、被連結部122が挿通される二つの軸受B、Bが隣接して配置される。本実施形態においては、二つの軸受B、Bを並べて配置しているが、これに限定されるものではなく、一つの軸受を採用してもよい。なお、軸受Bは、一つでもよいが、二つにすることでスラスト方向の負荷耐性を高めることができる。
図7(B)に示すように軸受部131の挿通開口部131aの内部には挿通開口部131aより小さい径の保持段部131bが、後述する第一分割部130aから第二分割部130bに亘って形成される。保持段部131bの軸方向長さは、軸受B、Bの軸方向長さの全長と同じとされ、軸受B(の軸方向一側部と外周面と)が保持段部131bに着座され、第一分割部130a及び第二分割部130bにより挟持される。なお、
図6に示す被連結部122に形成された軸受用段部122aは、軸受B(詳細には、内輪一側部)の軸方向の一側部と当接し、被連結部122に装着されたスペーサSは、一端部が軸受Bの他側部(詳細には、内輪他側部)と当接し、他端が支持壁部121fと当接して配置される。
【0040】
図7(C)に支持部材130の分解斜視図を示す。本実施形態において、支持部材130は、挿通開口部131aの軸方向と直交する平面で非等分分割され、一方側の第一分割部130a及び他方側の第二分割部130bを備える。これは、支持部材130が走行体に装着された際に、支持部材130が走行体111の走行方向と直交する幅方向において分割されることになる。また、支持部材130を分割する上記平面は、支持部材130の中央より一方側端部にオフセットして設定(非等分で分割)される。したがって、
図7(D)に示すように、第一分割部130aの軸方向幅は、第二分割部130bの軸方向幅より長く設定される。詳細には、第二分割部130bの軸方向幅は、装着する軸受Bの軸方向の長さよりも短く設定される。支持部材130が第一分割部130a及び第二分割部130bのように不等分で分割されることで、それぞれの内部に一つの軸受Bを配置(軸受Bの外周面にそれぞれ当接)することができ、第一分割部130aおよび第二分割部130bに設けられたそれぞれの挿通開口部131a、131aの中心軸を確実に容易に一致させることができる。
【0041】
支持部材130を走行体111に装着する際には、第一分割部130a及び第二分割部130bを走行体111の幅方向から挟み込むように装着する。第一分割部130a及び第二分割部130bは、互いにつき合わされた状態で、適宜ネジ等の締結部材で締結される。このとき、第一分割部130a及び第二分割部130bのそれぞれに形成された固定部132が、走行体111を幅方向から挟持する一方挟持部及び他方挟持部となる。固定部132の
図7(A)中下方に形成された被規制部132aは、後述する案内ユニット140の規制部である規制部材143の一部を挟み込むように係合され、走行体111の走行方向と直交する方向における支持部材130の移動を規制し、直進のためのガイドを行う。また、
図5(C)に走行体111及び走行体111に固定された支持部材130の一部断面図(下方部分)を示すように、固定部132(の上方部分)に形成された嵌合部132bは、走行体111にその短手方向から係合され、走行体111の谷部111vと嵌合する。したがって、支持部材130の軸受部131の下端部132dが、走行体111の表面である平滑面と当接し、嵌合部132bが走行体111の裏面である歯付き面の谷部111vに入り込み搬送方向のズレを防止している。さらに、固定部132の被規制部132aが後述する規制部材143の側部に摺接することで、走行体111の走行方向と直交する方向における支持部材130の移動を規制する(位置を規定する)。
【0042】
なお、本実施形態においては、第一分割部130a及び第二分割部130bを共に軸受Bを保持可能な幅を有する部材としたが、軸受Bを保持する保持段部131bは、一方の分割部材にのみ形成し、他方の分割部材には、保持段部131bを設けなくてもよい。また、本実施形態においては、支持部材130が、軸方向と直交する平面で分割された第一分割部130a及び第二分割部130bを備える構成を例示したが、支持部材130は、例えば、
図7(D)中D−D線で切断して分割した分割部材を備えてもよい。つまり、支持部材130は、軸受部131を軸受Bの回転軸を中心として走行体111の短手方向を含み、走行方向と平行な平面で分割して、軸受部131の上半分を備える第一分割部と、軸受部の下半分及び固定部132を備える第二分割部とを備える構成でもよい。こうすることで、軸受Bの上側部分を第一分割部が収容し、軸受Bの下側部分を第二分割部が収容する。これによって、固定部132を走行体111から離脱させることなく、第一分割部と第二分割部とを分割させるだけで、軸受Bまたは軸受Bに装着された保持ユニット120を取り外すことができ、メンテナンスが容易となる。また、走行体111は、湾曲可能な部材(例えば、樹脂部材や弾性部材等)で形成されているものを採用してもよい。このような材質の走行体111を採用することで走行体111を湾曲変形させて固定部132の嵌合部132bに装着(挟持)させることができる。
【0043】
<案内ユニット140>
再び
図4を参照して、
図4中奥側の第一側壁101bに配置された案内ユニット140を例に、案内ユニット140について説明する。案内ユニット140は、保持ユニット120の第一被案内部123aを案内する案内部141と、第一被案内部123aと協働して保持ユニット120の本体部121を反転させる反転部142と、走行方向に対して直交する方向における支持部材130の移動を規制する規制部材143とを備える。
【0044】
案内部141は、第一側壁101bの筐体内側面に配置される。ここで、第一駆動側転動部材112a及び第一従動側転動部材112bは、第一側壁101bの筐体内側面から離間して回転自在に配置される。したがって、案内部141は、第一側壁101bの筐体内側面であって、第一側壁101bと第一駆動側及び受動側転動部材112a、112bとの間に配置される。案内部141は、第一駆動側転動部材112aに隣接して配置される第一案内部141aと、第一従動側転動部材112bに隣接して配置される第二案内部141bと、走行体111の下方に配置される第三案内部141cとを備える。第一案内部141a及び第二案内部141bは、それぞれ、走行体111の、第一駆動側及び受動側転動部材112a、112bに巻回された部分に対応した曲線部分と、走行体111の、第一駆動側及び受動側転動部材112a、112b間の上側の直線部分に対応した直線部分とを備える。第三案内部141cは、直線状の部材であり、走行体111の下側の直線部分よりも下方に配置され、走行体111の下側の直線部分に対応した直線部分を備えている。
【0045】
図4中奥側の案内ユニット140において、第一案内部141a及び第二案内部141bのそれぞれの直線部分の間であって、第一駆動側及び受動側転動部材112a、112bの間に対応した位置には、反転部142が配置される。反転部142は、例えば、
図1及び
図2に示す作業システムに適用された際の第一反転領域IA1、第二反転領域IA2に相当する領域に設定される。反転部142は、第一被案内部123aの第一転動体123a1をガイドする一方ガイド部142aを備えた一方ガイド部材144と、同じく第一転動体123a1をガイドする他方ガイド部142bを備えた他方ガイド部材145と、を備える。他方ガイド部材145は、第一案内部141aと第二案内部141bとの間に設けられる。V字形のガイド面である他方ガイド部142bは、第一案内部141aの上面及び第二案内部141bの上面と連続する面を形成している。一方ガイド部材144は、逆三角形状を呈しており、他方ガイド部142bに対応するV字形の一方ガイド部142aを備える。第一転動体123a1は、一方ガイド部142aと他方ガイド部142bとで挟まれるようにして、その転動がガイドされる。一方ガイド部142aと他方ガイド部142bとでガイド溝が形成され、一方ガイド部142a及び他方ガイド部142bは、それぞれ下り側のガイド面及び上り側のガイド面を有する。
【0046】
循環的に連続走行する走行体111と共に移動する保持ユニット120が反転部142に侵入した際に、後述する第一被案内部123aの第一転動体123a1は、一方ガイド部142a及び他方ガイド部142bの下り側のガイド面と当接される。その後、第一転動体123a1が一方ガイド部142aと他方ガイド部142bとで挟まれながら下方へ移動することで、水平状態であった保持ユニット120が徐々に傾動し、直立する。次に、第一転動体123a1は、一方ガイド部142a及び他方ガイド部142bの上り側のガイド面と当接される。その後、第一転動体123a1が一方ガイド部142aと他方ガイド部142bとで挟まれながら上方へ移動することで、直立状態であった保持ユニット120が徐々に傾動し、元の状態から反転した状態で水平に戻る。
【0047】
本実施例では、保持ユニット120の反転部142における不用意な遊転移動を防止するべく、遊転規制部が、反転部142の一方ガイド部142aおよび他方ガイド部142bのそれぞれのガイド面に対向させて、かつ、離間させて、一方ガイド部材144および他方ガイド部材145に設けられている。遊転規制部は、第一および第二ガイド部142a、142bによる第一転動体123a1のガイド移動時の遊転移動を規制する。ガイド規制部は、支持部材130に遊転防止機能(例えば、付勢部材によりブレーキ機能)が設けられているのであれば、設けなくてもよい。
【0048】
規制部材143は、上側を走行する走行体111における直線部分の下方に設けられ、走行体111に固定された支持部材130の固定部132と係合される。規制部材143の水平面内での幅は、走行体111の幅より短く設定され、例えば、上記した転動部材の外周面に形成された段部112dの幅と同じ長さに設定することができる。本実施形態において、規制部材143は、第一駆動側及び従動側転動部材112a、112bに巻き回された走行体111の上側の直線部分の下方全域にわたって配置されている。なお、規制部材143は、走行体111の上側の直線部分の下方全域にわたって配置されるものに限定されず、少なくとも作業ユニット10が作業を行う作業領域に配置されてもよい。なお、本実施形態における
図1及び
図2に示す移送装置100では、反転部142を二か所に設けた例を示したが、
図3及び
図4においては、説明を簡略にするために、反転部を一か所に設けた例を示している。また、本実施形態においては、反転部142は、後述する反転駆動の動作を考慮して、第一被案内部123aが案内される案内ユニット140に設けられればよく、例えば、
図4中手前側の第二側壁101c側の案内ユニット140に設けなくてもよい。
【0049】
<支持部材130の走行体111への取付け>
図8を参照して、走行体111に取り付けられた支持部材130と、案内ユニット140の案内部141及び規制部材143との位置関係について説明する。
図8は、移送装置100において、保持ユニット120の第一被案内部123a側の支持部材130に隣接する装置の断面図を示す。この支持部材130の固定部132は、被規制部132aが規制部材143の側面と摺接し、嵌合部132bが走行体111に固定される状態を示している。そして、第一被案内部123aの第一転動体123a1は、案内部141上に載置される。こうすることで、本実施形態によれば、支持部材130が、走行体と係合すると共に規制部材143と摺接して保持ユニット120の移動を規制する。これによって、後述する走行体111の移動中による保持ユニット120の反転を可能とし、作業位置における保持ユニットの搬送方向と直交する方向の位置を規制することができ、装置の小型化に寄与するとともに、効率よくワークを反転させつつ位置決めして作業を行うことができる。本実施例において被規制部132aおよび嵌合部132bの規制部材143側の面は、連続した平面となっているが、段差を設けて異なる面としてもよい。
【0050】
<反転駆動の動作>
図9を参照して、保持ユニット120の本体部121が反転される動作について詳細に説明する。
図9には、
図4に示す反転部142の一方ガイド部142a及び他方ガイド部142bを模式的に示す。また
図9には、保持ユニット120の本体部121と第一被案内部123aの第一転動体123a1と第二転動体123a2とを実線で示し、支持部材130を二点鎖線で示す。保持ユニット120は、反転した状態の理解を容易にするため、図示のように上面USと下面LSと示す。さらに、支持部材130は、図示しない走行体111に固定されており、矢印F方向(図中左側から右側)へ水平に移動するものとする。
【0051】
図9のST1に示す状態は、図中の矢印F方向に移動する保持ユニット120が第二案内部141bから反転部142に到達(移動)した状態(反転ガイド開始状態)を示す。このとき、第一被案内部123aの第一及び第二転動体123a1、123a2は、共に第二案内部141bの上面を移動する。
【0052】
図9のST2に示す状態は、保持ユニット120の走行方向前方側に位置する第一軸受部123a1が、一方ガイド部142a及び他方ガイド部142bと当接した状態、すなわち一方ガイド部142a及び他方ガイド部142bの下り側のガイド面で挟み込まれた状態で、支持部材130の移動によって図中の矢印F方向に移動することで、一方ガイド部142aに沿って図中下方へ案内される(押し下げられる)様子を示す。このとき、第一被案内部123aは、支持部材130に対して相対回転可能であるから、走行体111に固定された支持部材130は図中水平移動を続けることができる。また、第一被案内部123aと一体に固定された保持ユニット120の本体部121は、支持部材130の移動に伴い、徐々に傾動し始める。したがって、上面USが、水平状態から徐々に起き上がるように傾動し始める(反転開始)。
【0053】
図9のST3に示す状態は、一方ガイド部142a及び他方ガイド部142bに沿って下方へ移動した第一軸受部123a1が、一方ガイド部142aの終点位置(反転部142の最下点位置)まで移動を完了した状態(直立状態)を示す。このとき、第一被案内部123aの第二軸受部123a2は、一方ガイド部142aの終端位置に対応した上方に位置する。つまり、第一被案内部123a、すなわち本体部121は、案内部142の水平面に対して垂直となった直立状態となる。またこのとき、本体部121の上面USは、図中の矢印F方向の前方を向いた状態である。
【0054】
図9のST4に示す状態は、支持部材130がさらに移動することで、第一軸受部123a1が、一方ガイド部142a及び他方ガイド部142bの上り側のガイド面で挟み込まれた状態で移動される。この時、第一軸受部123a1は、一方ガイド部142a及び他方ガイド部142bによりガイドされて下方から上方へ移動される。これにより、水平状態から起き上がるように傾動されて直立状態となっていた本体部121が、徐々に前のめりに倒れ込むように傾動される。その結果、本体部121の上面USは下方を向き、本体部121の下面LSは上方を向くことになる。
【0055】
図9のST5に示す状態は、支持部材130がさらに移動を続け、本体部121の前のめりに倒れ込む傾動が完了し、元の水平状態から反転した状態で再び水平状態に戻ったである。このとき本体部121の下面LSは、上を向いて、水平な状態となる。もちろん本体部121の上面USは、下を向いて、水平な状態となる。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、反転部142と第一被案内部123aとが支持部材130の移動に伴って協働することで、ワークWを保持した本体部121を反転させることができる。また、本実施形態における保持ユニット120の一連の反転動作は、駆動機構113による間欠移動動作の駆動状態のときに行われる。また、本実施形態では、保持ユニット120が反転部142において反転動作を行っている際に、支持部材130の固定部132が規制部材143と係合してガイドされることで、保持ユニット120は水平面における搬送方向と直交する方向への移動(横揺れや蛇行)が規制される。
【0057】
<反転部の他の実施形態>
図10及び
図11に他の実施形態における反転部150を示す。
図10に示すように、反転部150は、上記一実施形態における反転部142と同様に、案内部141に隣接して配置される。本実施形態では、二つの反転部150a、150bを並べて配置する。なお、移送装置100の走行ユニット110、保持ユニット120及び支持部材130は、上記一実施形態と同様の構成である。
【0058】
図11に示すように、反転部150は、反転体151と、反転体151を回動させる反転駆動部152と、反転体151及び反転駆動部152を筐体101の第一側壁101bへ取り付ける枠体153と、枠体153に設けられたストッパ154(ストッパ部材154a、154b及び緩衝部材154c)とを備える。本実施形態における反転部150は、第一側壁101bの一部を切欠いて、反転部150を配置する構成となっている。反転体150は、一方ガイド部151aと他方ガイド部151bとを備え、全体として角丸長方形状を呈しており、第一側壁101bの厚み方向に所定の厚さを有している。一方ガイド部151aのガイド面と他方ガイド部151bのガイド面とは、それぞれ対向して、互いに間隔を隔てて平行に配置される。これら両ガイド面間に、保持ユニット120における第一及び第二転動体123a1、123a2が案内され、挟み込まれて保持される。反転体151は、平行に配置された一対のガイド面の間であって、反転体の中心を通る軸A11に対して、図中矢印G、H方向に回動可能で、第一側壁101bの外側方向に隣接して配置された回転駆動部152によって回動される。反転駆動部152は、反転体151を案内部141のガイド面と他方ガイド部151bのガイド面とがガイド方向に連続して平行に配置された状態(
図11に示す状態)から、反時計回り(矢印G方向)または時計回り(矢印H方向)に180°回転することができる。これにより、案内部141のガイド面と反転体151における一方ガイド部151aのガイド面とがガイド方向に連続して平行に配置された状態となる。回転体151は、回転駆動部152による回転の終了時点において、一方ガイド部151aと他方ガイド部151bのガイド面のいずれか一方が、案内部141のガイド面と同一平面上に配置される。
【0059】
反転体151は、
図11中上下方向両端部に、一方ガイド部151aと他方ガイド部151bのガイド面と平行な平面部151cをそれぞれ備える。また、反転体151は、上下方向における一方ガイド部151a側(
図11中では上側)で、搬送方向における下流側(
図11中の矢印J方向における右側)の角丸部と長方形部との境界にであって、かつ、反転駆動部152側(
図11中の奥側)の位置に、周方向に延びる切欠き151dが形成される。そして、この切欠き151dと対応して、図中反転体151の上方に位置する枠体153には、反転部151の反転を規制するストッパ部材154a、154bが二つ配置される。ストッパ部材154a、154bは、搬送方向(
図11中の矢印J方向)に離間して2本設置される。ストッパ部材154a、154bの外周面には雄ネジが切られており、枠体153に設けた雌ネジに螺合、回転させることで、ストッパ部材の軸方向に移動可能で反転体151の平面部151cとの距離を調節できる。なお、本実施形態においては、図中左側のストッパ部材154aが反転体151の平面部151cと当接することで、反転体151の回動限界の位置を規定または調整し、案内部141のガイド面と一方及び他方ガイド部151a、151bのガイド面との面調整をする規制部材あるいは調整部材として機能する。例えば、
図11に示す案内部141のガイド面と他方ガイド部151bのガイド面とがガイド方向に連続して平行に配置された反転体151の位置から、反転体151が矢印H方向へ回動することを防止する。一方、反転体151が矢印G方向へ回動する際には、ストッパ部材154bが切欠き151d内を通過することで、ストッパ部材154bと反転体151(平面部151c)とが衝突することがない。また、ストッパ部材154aの下端部には、樹脂等で形成された緩衝部材154cが配置される。なお、反転駆動部152の駆動源としては、電動モータやアクチュエータを例示することができる。
【0060】
<反転駆動の動作>
図10に示すように、走行体111が保持ユニット120を矢印J方向へ移送させる場合、上流側を第一反転部150aとし、下流側を第二反転部150bとする。
【0061】
<第一反転部150aの動作>
まず、走行体111を駆動させて、第一反転部150aに対して、未作業のワークWを保持した保持ユニット120を配置する。このとき、保持ユニット120の第一被案内部123aの第一及び第二軸受部123a1、123a2は、第一反転部150aの反転体151の一方ガイド面151a及び他方ガイド面151bとの間の空間に収容される。また、支持部材130は、固定部132が規制部材143に係合し、搬送面に対して平行な搬送方向と直交する方向に規制され、第一反転部150aの反転体151内に保持ユニット120が載置された状態で、走行体111の移動は停止される。また、第一被案内部123aの第一転動体123a1と第二転動体123a2との一方側が、反転体151の他方ガイド面151bに当接することで搬送面と直交する方向の位置が規制されると共に平行な状態に保持ユニット120が維持される。このように保持ユニット120の位置が規制された状態で一度、例えば
図1に示す作業ユニット10は、ワークWの一方の面に対して作業を行う。
【0062】
次いで、走行体111の移動が停止された状態で、第一反転部150aの反転駆動部152は、反転体151を、例えば
図11中矢印G方向へ180°回転させる。そうすると、保持ユニット120の上下が反転し、ワークWの他方の面が上を向いた状態で露出される。また、支持部材130は、固定部132が規制部材143に係合して搬送面に対して平行な搬送方向と直交する方向に規制され、第一被案内部123aの第一転動体123a1と第二転動体123a2との他方の側が、反転体151の一方ガイド面151aに当接することで搬送面と直交する方向の位置が規制されると共に平行な状態に保持ユニット120が維持される。この状態で作業ユニット10はワークWの他方の面に対して作業を行う。こうして対象となるワークWの両面について検査が完了することになる。
【0063】
<第二反転部150bの動作>
次に、走行体111を駆動させ、作業が完了したワークWを隣の第二反転部150bへ移送する。第二反転部150bは、上記した第一反転部150aと同様な動作を行うことができる。第二反転部150bは、作業が完了したワークWに対してさらに作業を行うために、第二反転部150bに移送された保持ユニット120の状態に応じて、保持ユニット120を反転させることができる。
【0064】
以上のように、本実施形態では、反転部一つで保持ユニット120を搬送方向に移動させることなく反転させることができる。このため、撮像装置11を移動させることなく、ワークWのそれぞれの面に対する作業を一箇所で行うことができ、更に装置の小型化に寄与するとともに、効率よくワークを反転させつつ位置決めして作業を行うことができる。また、作業内容に応じて反転動作を行わせてもよく、反転動作を行わせなくてもよい。