(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。全図を通じて同一の要素には同一の符号を付す。実施の形態の説明で用いる前、後、左、右、上、下の用語は、方向を示すために用いるのであって、本発明を限定する趣旨ではない。
【0016】
本発明の一実施の形態に係る箱容器100は、
図1の蓋部116を閉めた状態での斜視図及び
図2の蓋部116を開けた状態での斜視図に示すように、概ね直方体をなす箱状の容器である。
図2では、蓋部116の一部を切り欠いて示している。
【0017】
箱容器100は、シート状の部材を折り曲げることによって組み立てられており、概ね、底部101と、側壁部102〜105と、側方フラップ106〜109と、係止片110〜113と、上方フラップ114,115と、蓋部116と、蓋止めフラップ117とを備える。本実施の形態に係る箱容器100は、左右対称に、すなわち前後方向及び上下方向で規定される面(前後−上下面)に関して対称に構成されている。
【0018】
底部101は、
図1に示す箱容器100を上方から見た場合に、前方の辺(前辺)と左方の辺(左辺)と後方の辺(後辺)と右方の辺(右辺)との4辺を外縁に有する長方形である。従って、本実施の形態に係る底部101は、4組みの連続する辺(前辺と左辺、左辺と後辺、後辺と右辺、右辺と前辺)とを有する。
【0019】
なお、例えば、本実施の形態に係る前辺、左辺、後辺、右辺は、それぞれ、第1の辺、第2の辺、第3の辺、第4の辺に相当すると考えることができるが、底部101は、長方形或いは四角形に限られない。底部101は、少なくとも1組の連続する辺(第1の辺及び第2の辺)を有する形状であればよい。
【0020】
側壁部102〜105は、底部101が有する前辺、左辺、後辺及び右辺にそれぞれ接続しており、底部101の前辺、左辺、後辺及び右辺のそれぞれから上方へ延びる。これにより、側壁部102〜105の上端は、上部に開口を形成する。
【0021】
本実施の形態では、側壁部102〜105は、各々の法線方向から見た場合に、概ね矩形である。前方の側壁部102と左方の側壁部103とは、底部101が有する連続する辺である前辺と左辺のそれぞれから互いに隣接して上方へ延びる。左方の側壁部103と後方の側壁部104、後方の側壁部104と右方の側壁部105、右方の側壁部105と前方の側壁部102についても同様に、底部101が有する連続する辺(左辺と後辺、後辺と右辺、右辺と前辺)のそれぞれから互いに隣接して上方へ延びる。
【0022】
従って、本実施の形態に係る側壁部102〜105では、前方の側壁部102と後方の側壁部104とが対をなして互いに対向し、また、左方の側壁部103と右方の側壁部105とが対をなして互いに対向する。
【0023】
なお、例えば、本実施の形態に係る前方の側壁部102、左方の側壁部103、後方の側壁部104、右方の側壁部105は、それぞれ、第1の側壁部、第2の側壁部、第3の側壁部、第4の側壁部に相当すると考えることができる。
【0024】
側方フラップ106〜109は、隣接する側壁部102と103,103と104,104と105,105と102のうちの一方の側壁部である前方の側壁部102又は後方の側壁部104に接続している。また、側方フラップ106〜109は、隣接する側壁部102と103,103と104,104と105,105と102のうちの他方の側壁部である左方の側壁部103又は右方の側壁部105の内面に対向する。
【0025】
詳細には、左前方の側方フラップ106は、前方の側壁部102(隣接する側壁部102と103のうちの一方の側壁部)が有する左右の両側端のうちの左方の側端(左端)に接続しており、その左端から後方へ延びる。この側方フラップ106が有する2つの主面のうちの外面(左方を向く主面)は、左方の側壁部103(隣接する側壁部102と103のうちの他方の側壁部)の内面(右方を向く主面)に対向する。
【0026】
ここで、前方の側壁部102と左方の側壁部103とは、底部101の連続する辺に接続されて隣接して上方へ延びており、左前方の側方フラップ106は、前方の側壁部102の左端に接続している。そのため、左前方の側方フラップ106の外面と左方の側壁部103の内面とは、概ね、各々の全体が当接するか、各々の一部又は全部が僅かなすき間で位置付けられる。このすき間は、例えば、箱容器100に収容される物が外に出ない程度であればよい。
【0027】
左後方の側方フラップ107は、後方の側壁部104(隣接する側壁部103と104のうちの一方の側壁部)が有する左右の両側端のうちの左方の側端(左端)に接続しており、その左端から前方へ延びる。この側方フラップ107が有する2つの主面のうちの外面(左方を向く主面)は、左方の側壁部103(隣接する側壁部103と104のうちの他方の側壁部)の内面(右方を向く主面)に対向する。
【0028】
左後方の側方フラップ107の外面と左方の側壁部103の内面とは、上述の左前方の側方フラップ106の外面と左方の側壁部103の内面と同様に、概ね、各々の全体が当接するか、各々の一部又は全部が僅かなすき間で位置付けられる。
【0029】
右前方の側方フラップ108と右後方の側方フラップ109とは、それぞれ、上述の左前方の側方フラップ106と左後方の側方フラップ107とを、前後−上下面に関して対称に配置した構成を備える。すなわち、右前方の側方フラップ108は、上述の左前方の側方フラップ106に関する説明において概ね左右を入れ替えた構成を備える。また、右後方の側方フラップ109と、上述の左後方の側方フラップ107に関する説明において概ね左右を入れ替えた構成を備える。
【0030】
なお、例えば、本実施の形態に係る左前方の側方フラップ106、左後方の側方フラップ107、右前方の側方フラップ108、右後方の側方フラップ109は、それぞれ、第1の側方フラップ、第2の側方フラップ、第3の側方フラップ、第4の側方フラップに相当すると考えることができる。
【0031】
係止片110〜113は、それぞれ、側方フラップ106〜109の上端から上方へ延設されている。左前方の係止片110と左後方の係止片111とは、それぞれが延設される側方フラップ106,107が対向する左方の側壁部103の上端よりも、上方へ突き出す。右前方の係止片112と右後方の係止片113とは、それぞれが延設される側方フラップ108,109が接する右方の側壁部105の上端よりも、上方へ突き出す。
【0032】
なお、本実施の形態では、係止片112,113が側方フラップ108,109の各々に1つずつ設けられる例により説明するが、係止片112,113は、側方フラップ108,109の各々に1つ以上設けられていればよい。例えば、係止片112,113は、側方フラップ108,109の各々に2つ以上設けられていてもよい。
【0033】
詳細には、左前方の係止片110は、左前方の側方フラップ106の上端のうちの後方端部を含んで上方へ突き出す、左方から見て長方形の小片である。左後方の係止片111は、左後方の側方フラップ107の上端のうちの前方端部を含んで上方へ突き出す、左方から見て長方形の小片である。
【0034】
左前方の係止片110と左後方の係止片111とは、いずれも、上述のように長方形である。そのため、左前方の係止片110において、前方の側端(前端)は、左前方の係止片110が延設される左前方の側方フラップ106の上端に対して垂直に形成されている。また、左後方の係止片111において、後方の側端(後端)は、左後方の係止片111が延設される左後方の側方フラップ107の上端に対して垂直に形成されている。
【0035】
ここで、左前方の係止片110の前端と左後方の係止片111の後端とは、それぞれ、係止片110,111が有する前後の両側端のうち、係止片110,111が延設される側方フラップ106,107が接続する側壁部102,104に近い側端である。
【0036】
右前方の係止片112と右後方の係止片113とは、それぞれ、上述の左前方の係止片110と左後方の係止片111とを、前後−上下面に関して対称に配置した構成を備える。すなわち、右前方の係止片112は、上述の左前方の係止片110に関する説明において概ね左右を入れ替えた構成を備える。また、右後方の係止片113と、上述の左後方の係止片111に関する説明において概ね左右を入れ替えた構成を備える。
【0037】
なお、例えば、本実施の形態に係る左前方の係止片110、左後方の係止片111、右前方の係止片112、右後方の係止片113は、それぞれ、第1の係止片、第2の係止片、第3の係止片、第4の係止片に相当すると考えることができる。
【0038】
上方フラップ114,115は、隣接する側壁部102と103,103と104,104と105,105と102のうちの他方の側壁部である左方の側壁部103又は右方の側壁部105に接続している。
【0039】
左方の上方フラップ114は、左前方の側方フラップ106と左後方の側方フラップ107との上方に延びて設けられている。右方の上方フラップ115は、右前方の側方フラップ108と右後方の側方フラップ109との上方に延びて設けられている。なお、例えば、本実施の形態に係る左方の上方フラップ114、右方の上方フラップ115は、それぞれ、第1の上方フラップ、第2の上方フラップに相当すると考えることができる。
【0040】
詳細には、左方の上方フラップ114は、2つの係止スリット118,119と2つの可撓部122,123とを有し、右方の上方フラップ115は、2つの係止スリット120,121と2つの可撓部124,125とを有する。
【0041】
係止スリット118〜121は、それぞれ、係止片110〜113が挿入されるように係止片110〜113に対応付けて設けられた孔であり、上方から見て概ね矩形である。
【0042】
係止スリット118〜121の幅は、それぞれ、挿入される係止片110〜113の幅よりも広く、係止片110〜113が挿入された状態で幅方向にすき間を有する。
【0043】
例えば、係止スリット118の幅は、挿入される係止片110の幅に、係止片110の高さの2〜3倍を加えた長さに相当するものである。この場合、係止片110が挿入された状態で係止スリット118が幅方向に有するすき間は、係止片110の高さの2〜3倍になる。ここで、係止片110の高さは、挿入される係止片110が側方フラップ106の上端から上方へ突き出す長さに相当する。係止スリット111〜113の幅についても、同様であってよい。
【0044】
係止スリット118〜121の各々の厚さ方向の長さは、それぞれ、係止片110〜113の厚さより大きい。例えば、係止スリット118の厚さ方向の長さは、係止片110の厚さの2倍程度である。係止スリット119〜121の厚さ方向の長さについても、同様であってよい。
【0045】
ここで、係止スリット118〜121の幅は、それぞれ、係止スリット118〜121の長手方向の長さを意味し、本実施の形態では前後方向の長さである。係止スリット118〜121の厚さ方向の長さは、それぞれ、係止スリット118〜121の短手方向の長さを意味し、本実施の形態では左右方向の長さである。
【0046】
また、係止片110〜113の幅は、係止片110〜113が突き出す方向(上方)と厚さ方向(箱容器100の材料であるシート状の部材の厚さに対応する方向であって、本実施の形態では左右方向)とに垂直な方向の長さを意味し、本実施の形態では前後方向の長さである。
【0047】
このような係止スリット118〜121に挿入された係止片110〜113は、係止スリット118〜121を囲む部分によって前後左右の移動範囲が制限され、その結果、係止スリット118〜121の中に係止される。
【0048】
より詳細には、左前方の係止スリット118と左後方の係止スリット119との各々を囲む部分は、右方、前方、後方の各々が左方の上方フラップ114であり、左方が左方の側壁部103である。右前方の係止スリット120と右後方の係止スリット121との各々を囲む部分は、左方、前方、後方の各々が右方の上方フラップ115であり、右方が右方の側壁部105である。
【0049】
なお、例えば、本実施の形態に係る左前方の係止スリット118、左後方の係止スリット119、右前方の係止スリット120、右後方の係止スリット121は、それぞれ、第1の係止スリット、第2の係止スリット、第3の係止スリット、第4の係止スリットに相当すると考えることができる。
【0050】
可撓部122,123は、それぞれ、左方の側壁部103と交差する方向へ対をなして延び、かつ、係止片110,111の幅以上の間隔で各々が係止スリット118,119に接続する切れ込みによって形成される。可撓部124,125は、それぞれ、右方の側壁部105と交差する方向へ対をなして延び、かつ、係止片112,113の幅以上の間隔で各々が係止スリット120,121に接続する切れ込みによって形成される。
【0051】
本実施の形態では、左前方の可撓部122の各々を形成する切れ込みは、左右に平行に対をなして延びており、係止スリット118の幅方向の両端の各々に接続する。可撓部123〜125についても、同様に構成される。
【0052】
これにより、左前方の可撓部122と左後方の可撓部123は、右端部が固定されて支持された固定端となり、左端部(先端部)が自由端となる。右前方の可撓部124と右後方の可撓部125は、左端部が固定されて支持された固定端となり、右端部(先端部)が自由端となる。従って、可撓部122〜125の各々は、先端部の位置を上下方向に変化させるように容易に撓むことができる。
【0053】
可撓部122〜125は、それぞれ、係止片110〜113が挿入された状態で係止スリット118〜121が有する幅方向のすき間の少なくとも一部を塞ぐ突出部126〜129を有する。
【0054】
詳細には、左前方の突出部126と左後方の突出部127とは、それぞれ、可撓部123,124の先端のうち、前方の側壁部102に近い端(前端)と後方の側壁部104に近い端(後端)とを含んで突き出す。
【0055】
これにより、左前方の突出部126は、左前方の突出部126を有する左方の上方フラップ114が接続する左方の側壁部103と、左前方の突出部126に関連付けられる前方の側壁部102とが離間する方向への左前方の係止片110の移動を制限する。また、左後方の突出部127は、左後方の突出部127を有する左方の上方フラップ114が接続する左方の側壁部103と、左後方の突出部127に関連付けられる後方の側壁部104とが離間する方向への左後方の係止片111の移動を制限する。
【0056】
ここで、左前方の突出部126と前方の側壁部102とは、左前方の突出部126が塞ぐ係止スリット118により係止される係止片110が延設される左前方の側方フラップ106が接続する側壁部として、関連付けられる。また、左後方の突出部127と後方の側壁部104とは、左後方の突出部127が塞ぐ係止スリット119により係止される係止片111が延設される左前方の側方フラップ106が接続する側壁部として、関連付けられる。
【0057】
右前方の突出部128と右後方の突出部129とは、それぞれ、上述の左前方の突出部126と左後方の突出部127とを、前後−上下面に関して対称に配置した構成を備える。すなわち、右前方の突出部128は、上述の左前方の突出部126に関する説明において概ね左右を入れ替えた構成を備える。また、右後方の突出部129と、上述の左後方の突出部127に関する説明において概ね左右を入れ替えた構成を備える。
【0058】
なお、例えば、本実施の形態に係る左前方の可撓部122、左後方の可撓部123、右前方の可撓部124、右後方の可撓部125は、それぞれ、第1の可撓部、第2の可撓部、第3の可撓部、第4の可撓部に相当すると考えることができる。
【0059】
蓋部116は、複数の側壁部102〜105のうちの少なくとも1つの側壁部104の上端に接続している。蓋部116は、複数の側壁部102〜105の上端により形成される開口の上方を塞ぐ。蓋部116は、例えば1枚の打ち抜かれたシート状部材から箱容器100を組み立てるためには、上方フラップ114,115が接続されない側壁部の上端に接続することが望ましく、本実施の形態では、後方の側壁部104の上端に接続する。
【0060】
蓋止めフラップ117は、蓋部116の先端から延設されている。蓋止めフラップ117は、概ね左右の軸を中心に前後へ搖動するように、切れ込みにより形成された差込片130を有する。
【0061】
本実施の形態では、差込片130は、左右方向の概ね中央において左右に延びる切れ込みと、切れ込みの両端の各々から左右の間隔を広げるように傾斜して下方へ延びる切れ込みとによって、形成される。
【0062】
蓋部116が接続する後方の側壁部104に対向する側壁部である前方の側壁部102は、差込片130が差し込まれて係止される差込口131を有する。本実施の形態に係る差込口131は、概ね左右に延びる切れ込みによって形成される。これによって、概ね左右に延びる開口を前方の側壁部102に形成することができるので、差込口131の開口に差込片130を差し込むことで、差込片130は差込口131に係止される。
【0063】
蓋止めフラップ117には、下方へ延びる切れ込みの下端を通る折り目が設けられており、それによって、蓋止めフラップ117を容易に揺動させることができる。また、前方の側壁部102には、左右に延びる切れ込みの両端から、中央へ向けて傾斜しつつ下方へ延びる切れ込みと、この切れ込みの下端を接続する折り目が設けられている。これによって、差込口131の開口を容易に開くことができる。これらによって、差込片130を差込口131に容易に差し込むことが可能になる。
【0064】
これまで、本発明の一実施の形態に係る箱容器100の構成について説明した。ここから、本実施の形態に係る箱容器100の組み立て方法の一例について説明する。
【0065】
本実施の形態に係る箱容器100は、例えば、
図4に示すような形状で打ち抜かれたブランク132を、予め定められた手順で折り曲げることで組み立てられる。
【0066】
ブランク132は、予め定められた形状に打ち抜かれた紙であって、フィルムの接着、コーティングなどが適宜施されてもよい。例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)が紙にラミネートされてもよく、さらに、厚さ50〜150Å程度でアルミニウムがPETに蒸着されていてもよい。折り曲げたり係止させたりするなどの組み立ての容易さ、組み立てられた箱容器100の強度などの観点から、例えば260〜270g/m2程度の紙が好適に採用される。箱容器内面にアルミニウムなどの蒸着層を設けることで、例えば箱容器100の内部に食べ物を入れて電子レンジで加熱すると、内部の食べ物に焦げ目を付けることができる。
【0067】
なお、箱容器100に組み立てられる部材は、シート状のものであればよく、例えば樹脂を主たる材料としてもよい。
【0068】
ブランク132には、予め定められた箇所で容易に折り曲げることができるように、折り目が設けられるとよい。
図4では、線状のプレスにより設けられた折り目を細線で表し、破線状に設けられた切れ込みにより設けられた折り目を点線で表す。なお、折り目の付け方は、これに限られず、ハーフカットなどが適宜採用されてもよい。
【0069】
ブランク132は、前方の側壁部102と後方の側壁部104の各々を底部101に対して上方へ起立させるように、底部101が有する左右に延びる各辺で折り曲げられる。
【0070】
ブランク132は、左前方の側方フラップ106と右前方の側方フラップ108との各々が後方へ向かうように、前方の側壁部102が左右に有する各側端で折り曲げられる。また、ブランク132は、左後方の側方フラップ107と右後方の側方フラップ109との各々が前方へ向かうように、後方の側壁部104が左右に有する各側端で折り曲げられる。これによって、ブランク132は、
図5に示す第1の状態になる。
【0071】
ブランク132は、左方の側壁部103と右方の側壁部105の各々を底部101に対して上方へ起立させるように、底部101が有する前後に延びる各辺で折り曲げられる。これによって、ブランク132は、
図6に示す第2の状態になる。同図に示すように、第2の状態では、底部101と4つの側壁部102〜105とによって、内部の空間が概ね形成された箱状の箱容器100となる。
【0072】
ここで、
図7は、
図6に示す第2の状態の箱容器100を左方から見た図である。本実施の形態では係止スリット118,119の幅は可撓部122,123の幅に相当するところ、同図に示すように、係止スリット118,119の幅は、係止片110,111の幅よりも広い。すなわち、係止スリット118,119は、上述のように、係止片110,111が挿入された状態で幅方向にすき間を有する。このすき間が設けられることによって、係止片110,111の前後の位置を
図6に示す位置に正確に固定していなくても、係止片110,111を係止スリット118,119に挿入することができる。従って、箱容器100を容易に組み立てることが可能になる。
【0073】
なお、第2の状態の箱容器100において、右方の側壁部105、右方の上方フラップ115、右前方の側方フラップ108及び係止片112、右後方の側方フラップ109及び係止片113などの位置関係は、
図7を概ね左右対称にしたものとなる。
【0074】
図6に示す第2の状態の箱容器100の左方の上方フラップ114は、左方の側壁部103の上端を折り目として、箱容器100の内側に折り曲げられる。詳細には、左方の上方フラップ114は、左前方及び左後方の側方フラップ106,107を左方の側壁部103との間に挟むように、左方の側壁部103との境目、すなわち、左方の側壁部103の上端で折り曲げられる。
【0075】
これにより、左前方及び左後方の係止スリット118,119が形成されるとともに、形成される係止スリット118,119のそれぞれに係止片110,111が挿入される。
【0076】
また、係止片110,111の前後の位置を、
図7に示す位置に位置付けることによって、係止片110,111の左右の移動と、左前方の係止片110の後方への移動と、左後方の係止片111の前方への移動とは、係止スリット118,119を囲む部分で係止される。同時に、左前方の係止片110の前方への移動は、左前方の突出部126によって制限され、左後方の係止片111の後方への移動は、左後方の突出部127によって制限される。
【0077】
ここで、
図8(a)〜(e)を参照して、左前方の係止片110が左前方の係止スリット118に挿入される工程を説明する。左後方の係止片111も、以下の説明で括弧を付した参照符号により示すように、左前方の係止片110と概ね同時に左後方の係止スリット119に挿入される。
【0078】
図8(a)は、
図7に示す第2の状態の箱容器100の、I−I線における断面図である。
図8(a)の矢印に示す方向の力が左方の上方フラップ114に加えられる。これにより、
図8(b)に示すように、左方の上方フラップ114が右方へ傾斜し、可撓部122(123)は係止片110(111)に押されて上方へ撓み、係止片110(111)とそれが延設される側方フラップ106(107)とは、可撓部122(123)からの反力によって右方へ撓む。
【0079】
さらに、
図8(b)の矢印に示す方向の力が左方の上方フラップ114に加えられると、
図8(c)に示すように、可撓部122(123)は、係止片110(111)に押されて上方へ大きく撓み、係止片110(111)とそれが延設される側方フラップ106(107)との右方への撓みも大きくなっている。
【0080】
このとき、左方の側壁部103の上端は、
図7に示されるように、下方へ凹んだ部分と上方へ突き出た部分とで構成される凹凸部を2つ含む。凹凸部は、それぞれ、左方の上方フラップ114が右方を向くと、左方の上方フラップ114の係止スリット118,119となる。同時に、左方の側壁部103の上端の凹んだ部分は、それぞれと相補的な形状をなす突出部126,127として、可撓部122,123の先端に連続して接続することになる。
【0081】
また、可撓部122(123)の撓みが大きくなっているので、可撓部122(123)からの反力は、係止片110(111)を左方へ押すようになる。そのため、可撓部122(123)は係止片110(111)を係止スリット118(119)へ移動させることになる。これによって、係止片110(111)は、容易に係止スリット118(119)へ導かれる。可撓部122(123)が撓むことで、可撓部122(123)から係止片110(111)に加わる力は弱められるので、係止片110(111)が折れ曲がることなどによって脆弱になる可能性も低い。
【0082】
そして、
図8(d)に示すように、左方の上方フラップ114が内側へ大きく折り曲げられると、係止片110(111)が係止スリット118(119)に挿入される。このとき、大きく撓んだ可撓部122(123)に加わる力が急激になくなって概ね平坦に戻るので、組み立てる可撓部122(123)が弾かれる音、クリック感などが生じる。これにより、箱容器100を組み立てる作業者は、係止片110(111)が係止スリット118(119)に挿入されたことが分かる。
【0083】
ここで、係止スリット118(119)の幅は、上述のように、係止片110(111)の幅よりも広い。そのため、例えば、係止片110と係止片110とが、完成時の位置(例えば、
図3参照)よりも前後に離間していても、それぞれは、係止スリット118と係止スリット119に挿入される。これにより、係止片110(111)を係止スリット118(119)に容易に挿入することができる。
【0084】
係止片110と係止片111とのそれぞれは、係止スリット118と係止スリット119に挿入された後に、係止片110と係止片111との前後方向の位置が調整されるとよい。詳細には、係止片110は、係止スリット118の中で突出部126よりも後方に位置するように調整されるとよい。係止片111は、係止スリット119の中で突出部127よりも前方に位置するように調整されるとよい。
【0085】
係止片110と係止片111とは、それぞれ、左前方の側方フラップ106と左後方の側方フラップ107とに接続している。そのため、係止片110と係止片111との前後方向の位置は、前方の側壁部102と後方の側壁部104との間隔を調整することによって、容易に調整することができる。
【0086】
図8(e)に示すように、左方の上方フラップ114が概ね右方を向くように、左方の上方フラップ114の位置が修正される。これによって、左前方の係止片110が左前方の係止スリット118に挿入される工程は、終了する。
【0087】
なお、係止スリット118,119のそれぞれに係止片110,111を挿入する工程は、例えばブランク132の強度、箱容器100の大きさなどに応じて、適宜変更されてもよい。例えば、左前方の係止片110と左後方の係止片111とが順次、左前方の係止スリット118と左後方の係止スリット119とのそれぞれに挿入されてもよい。
【0088】
続けて、箱容器100の右方の上方フラップ115は、右前方及び右後方の側方フラップ108,109を右方の側壁部105との間に挟むように箱容器100の内側へ、右方の側壁部105の上端を折り目として折り曲げられる。これにより、右前方及び右後方の係止片113のそれぞれが、右前方及び右後方の係止スリット121に挿入される。この工程の詳細は、左方の側壁部103の上端で折り曲げて、左前方及び左後方の係止片110,111のそれぞれを左前方及び左後方の係止スリット118,119に挿入する工程の上述の説明において、概ね左右を入れ替えたものとなる。
【0089】
そして、係止片112,113の前後の位置を、予め定められた位置(
図7を左右対称にしたものに対応する位置)に位置付けることによって、係止片112,113の左右の移動と、右前方の係止片112の後方への移動と、右後方の係止片113の前方への移動とは、係止スリット120,121を囲む部分で係止される。同時に、右前方の係止片112の前方への移動は、右前方の突出部128によって制限され、右後方の係止片113の後方への移動は、右後方の突出部129によって制限される。
【0090】
箱容器100は、蓋部116が複数の側壁部102〜105の上端で形成される開口を塞ぐように、後方の側壁部104の上端で折り曲げられる。箱容器100は、蓋止めフラップ117が前方の側壁部の前方に位置するように、蓋部116の前端で折り曲げられる。差込片130が差込口131に差し込まれ、差込片130は差込口131に係止される。これにより、蓋部116が開かないように係止されて、箱容器100が完成する。
【0091】
本実施の形態によれば、箱容器100に可撓部122〜125が設けられている。そのため、上述のように、係止片110〜113を係止スリット118〜121へ挿入する際に、係止片110〜113が脆弱になることを防ぎ、また、係止片110〜113を係止スリット118〜121へ移動させることができる。従って、箱容器100を容易に組み立てることが可能になる。
【0092】
本実施の形態に係る箱容器100では、係止片110〜113のそれぞれが係止スリット118〜121によって係止されることで、隣接する側壁部102と103,103と104,104と105,105と102が互いに離れないように係止される。そのため、内部から力が加わったとしても、隣接する側壁部102と103,103と104,104と105,105と102が開放し難い。従って、強度が強い箱容器100を得ることが可能になる。
【0093】
ここで、箱容器100に内部から力が加わる例として、箱容器100の中にパン生地を収容して発酵させる際、パン生地を入れた箱容器100を電子レンジで加熱する際などに、パンが膨らむ場合を挙げることができる。
【0094】
本実施の形態によれば、箱容器100に突出部126〜129が設けられている。これによって、係止片110〜113の挿入を容易にするために、係止スリット118〜121の幅を広くしても、係止片110〜113が、係止スリット118〜121の中で移動する範囲を制限することができる。そのため、箱容器100の前方又は後方の側壁部102,104に内部からの力が加わった際に前方又は後方の側壁部102,104が容易に開放することを防ぐことができる。従って、箱容器100の組み立てを容易にしつつ、箱容器100の強度を強くすることが可能になる。
【0095】
実施の形態では、左前方の係止片110の前端と左後方の係止片111の後端と右前方の係止片112の前端と右後方の係止片113の後端とが、それぞれ、係止片110〜113が延設される側方フラップ106〜109の上端に対して垂直に形成される。
【0096】
これにより、左前方の係止片110及び右前方の係止片112の前端は、それぞれ、側方フラップ106,108の上端に対して鈍角に形成されている(すなわち、後方へ傾斜しつつ上方へ延びる)場合よりも、前方の側壁部102が内部から力を受けても係止スリット118,120を移動し難くなる。同様に、また、左後方の係止片111及び右後方の係止片113の後端とは、それぞれ、側方フラップ107,109の上端に対して鈍角に形成されている(すなわち、前方へ傾斜しつつ上方へ延びる)場合よりも、後方の側壁部104が内部から力を受けても係止スリット119,121を移動し難くなる。
【0097】
そのため、係止片110〜113と係止スリット118〜121とによる係止が解かれ難くなる。これにより、箱容器100が内部から受ける力によって容易に開放することを防ぐことができる。従って、強度が強い箱容器100を得ることが可能になる。
【0098】
本実施の形態によれば、差込片130が差込口131に差し込まれて係止され、その結果、蓋部116が開かないように係止される。このとき、蓋部116を介して、前方及び後方の側壁部102,104が拘束されるので、内部から力が加わったとしても、前方及び後方の側壁部102,104が開放し難くい。従って、強度が強い箱容器100を得ることが可能になる。
【0099】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。しかし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、例えば、次のように変形されてもよい。
【0100】
(変形例1)
例えば、実施の形態では、左前方の係止片110の前端と左後方の係止片111の後端と右前方の係止片112の前端と右後方の係止片113の後端とが、それぞれ、係止片110〜113が延設される側方フラップ106〜109の上端に対して垂直に形成される例を説明した。
【0101】
しかし、左前方の係止片110の前端と左後方の係止片111の後端と右前方の係止片112の前端と右後方の係止片113の後端との一部又は全部は、それぞれ、係止片110〜113が延設される側方フラップ106〜109の上端に対して、鋭角に形成されていてもよい。すなわち、左前方の係止片110の前端と右前方の係止片112の前端との一方又は両方が、前方へ傾斜しつつ上方へ延びてもよい。また、左後方の係止片111の後端と右後方の係止片113の後端との一方又は両方が、後方へ傾斜しつつ上方へ延びてもよい。
【0102】
これにより、左前方の係止片110及び右前方の係止片112の前端は、それぞれ、前方の側壁部102が内部から力を受けても、係止スリット118,120を移動し難くなる。また、左後方の係止片111及び右後方の係止片113の後端とは、それぞれ、後方の側壁部104が内部から力を受けても係止スリット119,121を移動し難くなる。そのため、係止片110〜113と係止スリット118〜121とによる係止が解かれ難くなる。従って、箱容器100が内部から受ける力によって容易に開放することを防ぐことが可能になる。
【0103】
(変形例2)
例えば、箱容器200の蓋を開いた状態での斜視図である
図9に示すように、上方フラップ233,234の各々は、前方の側壁部102に設けられてもよく、上方フラップ214,215,233,234の各々は、1つの係止スリット218〜221及び可撓部222〜225を有してもよい。また、係止片210,212を有する側方フラップ206,208が、それぞれ、左方及び右方の側壁部103,105に設けられてもよい。
【0104】
係止片210,212は、それぞれ、係止スリット218,220に挿入されることによって係止され、係止片111,113は、それぞれ、係止スリット219,221に挿入されることによって係止される。その結果、隣接する側壁部102と103,103と104,104と105,105と102は、互いに開放しないように係止される。
図9では、蓋部116の一部が切り欠いて示されている。本変形例に係る箱容器200を組み立てるためのブランク232の一例を
図10に示す。本変形例によっても、実施の形態と同様の効果を奏する。
【0105】
なお、本変形例では、例えば、前方の側壁部102と左方の側壁部103とについて見ると、側方フラップ206が接続する左方の側壁部103が第1の側壁部に相当し、上方フラップ233が接続する前方の側壁部102が第2の側壁部に相当すると考えることができる。
【0106】
また例えば、後方の側壁部104と左方の側壁部103とについて見ると、それぞれが、第1の側壁部、第2の側壁部に相当すると考えることができ、後方の側壁部104と右方の側壁部105とについて見ると、それぞれが、第1の側壁部、第2の側壁部に相当すると考えることができ、右方の側壁部105と前方の側壁部102とについて見ると、それぞれが、第1の側壁部、第2の側壁部に相当すると考えることができる。
【0107】
(変形例3)
例えば、箱容器300の蓋を開いた状態での斜視図である
図11に示すように、上方フラップ314,315の各々に設けられた1つの係止スリット318,320に、2つの係止片310と311,312と313が挿入され、それによって、係止片310と311,312と313が係止されてもよい。
【0108】
詳細には、本変形例に係る箱容器300は、
図11に示すように、実施の形態と同様の底部101、側壁部102〜105、差込口131及び蓋部116などを備える。また、箱容器300は、側方フラップ306〜309と、係止片310〜313と、上方フラップ314,315とを備える。
【0109】
側方フラップ306〜309は、それぞれ、前方の側壁部102又は後方の側壁部104に接続し、かつ、側壁部103又は右方の側壁部105の内面に対向することは、実施の形態に係る側方フラップ106〜109と同様である。また、側方フラップ306〜309は、それぞれ、側方フラップ106〜109と同様に係止片110〜113が上端から上方へ延設されている。
【0110】
側方フラップ306〜309は、前後方向の長さが、実施の形態に係る側方フラップ106〜109と異なっており、
図11に示すように、側方(左方又は右方)から見て、側方フラップ306と側方フラップ307とが互いに重なり合い、側方フラップ308と側方フラップ309とが互いに重なり合う。
【0111】
そして、係止片310〜313のそれぞれは、実施の形態に係る係止片110〜113と同様に、側方フラップ306〜309の上端から上方へ突き出している。また、係止片310〜313のそれぞれは、実施の形態に係る係止片110〜113と同様に、左前方の側方フラップ306の後方端部、左後方の側方フラップ307の前方、右前方の側方フラップ308の後方端部、右後方の側方フラップ309の前方端部を含む位置に設けられる。
【0112】
そのため、左前方の係止片310と左後方の係止片311とは、互いに平行に配置されて、側方(すなわち、例えば左方の側壁部103の法線方向)から見て、少なくとも一部が互いに重なり合う。また、右前方の係止片312と右後方の係止片313とは、互いに平行に配置されて、側方(すなわち、例えば右方の側壁部105の法線方向)から見て、少なくとも一部が互いに重なり合う。
【0113】
上方フラップ314,315は、それぞれ、実施の形態に係る上方フラップ114,115と同様に、左方の側壁部103、右方の側壁部105に接続する。上方フラップ314は、実施の形態に係る上方フラップ114と同様に、左前方の側方フラップ306と左後方の側方フラップ307との上方に延びて設けられている。上方フラップ315は、実施の形態に係る上方フラップ115と同様に、右前方の側方フラップ308と右後方の側方フラップ309との上方に延びて設けられている。
【0114】
上方フラップ314は、実施の形態に係る上方フラップ114とは異なる係止スリット318、可撓部322及び突出部326,327を有する。上方フラップ315も、実施の形態に係る上方フラップ115とは異なる係止スリット320、可撓部324及び突出部328,329を有する。上方フラップ315は、上方フラップ314と概ね左右対称に構成されるので、説明を簡明にするため、上方フラップ314が有する係止スリット318、可撓部322及び突出部326,327について詳細に説明する。
【0115】
係止スリット318は、上述のように互いに重なり合った係止片310と係止片311とが挿入されるように、互いに重なり合った係止片310と係止片311とに対応付けて設けられた孔であり、上方から見て概ね矩形である。
【0116】
係止スリット318の幅は、挿入される係止片310,311の全体の幅よりも広く、係止片310,311が挿入された状態で幅方向にすき間を有する。
【0117】
ここで、係止片310,311の全体の幅とは、係止片310,311の全体の左右の長さであり、係止片310,311の各々が有する側端(前端及び後端)のうち、前方の側壁部102に最も近い側端と後方の側壁部104に最も近い側端との前後方向の距離である。
【0118】
例えば、係止スリット318の幅は、挿入される係止片310,311の全体の幅に、係止片310,311の高さの2〜3倍を前後それぞれに加えた長さに相当するものである。この場合、係止片310,311が挿入された状態で係止スリット318が幅方向に有するすき間は、前後それぞれに、係止片310,311の高さの2〜3倍になる。
【0119】
係止スリット318の厚さ方向の長さは、係止片310,311の重なり合った部分の厚さより大きく、例えば、係止片310,311の重なり合った部分の厚さの2倍程度である。
【0120】
このような係止スリット318に挿入された係止片310,311は、係止スリット318を囲む部分によって前後左右の移動範囲が制限され、その結果、係止スリット318の中に係止される。より詳細には、係止スリット318を囲む部分は、右方、前方、後方の各々が左方の上方フラップ314であり、左方が左方の側壁部103である。
【0121】
可撓部322は、左方の側壁部103と交差する方向へ対をなして延び、かつ、係止片310,311の全体の幅以上の間隔で各々が係止スリット318に接続する切れ込みによって形成される。本変形例では、可撓部322の各々を形成する切れ込みは、左右に平行に対をなして延びており、係止スリット318の幅方向の両端の各々に接続する。
【0122】
これにより、可撓部322は、実施の形態に係る可撓部122と同様に、右端部が固定されて支持された固定端となり、左端部(先端部)が自由端となる。従って、可撓部122は、先端部の位置を上下方向に変化させるように容易に撓むことができる。
【0123】
可撓部322は、係止片310,311が挿入された状態で係止スリット318が有する前後それぞれのすき間の少なくとも一部を塞ぐ突出部326,327を有する。
【0124】
詳細には、左前方の突出部326と左後方の突出部327とは、それぞれ、可撓部322の先端のうち、前方の側壁部102に近い端(前端)と後方の側壁部104に近い端(後端)とを含んで突き出す。
【0125】
これにより、左前方の突出部326は、左前方の突出部326を有する左方の上方フラップ314が接続する左方の側壁部103と、左前方の突出部326に関連付けられる前方の側壁部102とが離間する方向への左前方の係止片310の移動を制限する。また、左後方の突出部327は、左後方の突出部327を有する左方の上方フラップ314が接続する左方の側壁部103と、左後方の突出部327に関連付けられる後方の側壁部104とが離間する方向への左後方の係止片311の移動を制限する。
【0126】
なお、例えば、本変形例に係る係止スリット318は、第1の係止スリットに相当し、本変形例に係る可撓部322は、第1の可撓部に相当すると考えることができる。
【0127】
本変形例に係る箱容器300を組み立てるためのブランク332の一例を
図12に示す。本変形例によっても、実施の形態と同様の効果を奏する。
【0128】
さらに、本変形例によれば、1つの係止スリット318(320)に2つの係止片310と311(312と313)が挿入されて、係止される。そのため、上方フラップ314(315)に設ける係止スリット318(320)、可撓部322(324)の数を実施の形態よりも少なくすることができる。その結果、箱容器300を簡易な構成にすることが可能になる。また、箱容器300を組み立てるためのブランク332の加工を減らすことが可能になる。
【0129】
さらに、本変形例によれば、係止片310と311(312と313)の少なくとも一部が重なり合う。これによって、係止片310と311(312と313)の強度を強くすることができる。そのため、可撓部322(324)が当接しても、係止片310と311(312と313)が折れ曲がったり、曲げ癖が付いたりして、係止片310と311(312と313)が脆弱になる可能性を低くすることができる。従って、箱容器300を容易に組み立てることが可能になる。
【0130】
(変形例4)
例えば、蓋部116には、左右に延びる切取線が設けられてもよい。切取線を設けることで、差込片130の係止を解くことなく、蓋部116を前後に分離して開くことができる。従って、蓋部116を容易に開くことが可能になる。
【0131】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。