(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
−実施形態1−
図1は、本実施形態の油圧緩衝装置1の全体構成図である。
なお、以下の説明においては、
図1に示す油圧緩衝装置1の軸方向における図中下側を「一方側」と称し、図中上側を「他方側」と称する。また、油圧緩衝装置1の半径方向の中心を「中央側」、半径方向の外側を単に「外側」と称する。
【0010】
<油圧緩衝装置1の構成・機能>
図1に示すように、油圧緩衝装置1(圧力緩衝装置)は、シリンダ部10と、他方側がシリンダ部10の外部に突出して設けられるとともに一方側がシリンダ部10の内部にスライド可能に挿入されるロッド部20と、ロッド部20の一方側の端部に設けられるピストン部30と、シリンダ部10の一方側の端部に配置されるボトムバルブ部60とを備えている。
そして、油圧緩衝装置1は、例えば四輪自動車や二輪自動車等において車体と車軸との間に設けられて、シリンダ部10に対するロッド部20の振幅運動の減衰を行う。
【0011】
シリンダ部10は、シリンダ11と、シリンダ11の外側に設けられる第2シリンダ12と、第2シリンダ12の一方側の端部に設けられる底部13とを備えている。そして、本実施形態では、シリンダ11と第2シリンダ12との間にオイルが溜まるリザーバ室R(液溜室)が形成される。
また、シリンダ部10は、シリンダ11の他方側の端部に設けられるロッドガイド14と、第2シリンダ12の他方側の端部を閉じるシール部材15とを有している。
【0012】
ロッド部20は、本実施形態では、軸方向に延びて形成されるロッド部材21と、ロッド部材21の一方側の端部に設けられる一方側取付部21aと、ロッド部材21の他方側の端部に設けられる他方側取付部21bとを有する。また、ロッド部材21は、内部に軸方向に貫通する貫通孔21Hを有する。
ロッド部材21の一方側取付部21aは、ピストン部30を保持する。また、ロッド部材21の他方側取付部21bには、油圧緩衝装置1を自動車などの車体などに連結するための連結部材(不図示)が取り付けられる。さらに、貫通孔21Hは、後述するソレノイド機構部59に電気的に接続するケーブル(不図示)を通すための空間を形成する。
【0013】
ピストン部30は、ハウジング31(区画部)と、ハウジング31の軸方向の中央部に設けられる中間室形成部36と、ハウジング31内であってハウジング31の一方側に設けられる減衰ユニット40と、ハウジング31内であって減衰ユニット40の他方側に設けられる減衰力調整部50と、を有する。
そして、本実施形態ではピストン部30のハウジング31は、シリンダ11内の空間のオイルを収容する第1油室Y1と第2油室Y2とに区画する。本実施形態では、ハウジング31の一方側に第1油室Y1が形成され、ハウジング31の他方側に第2油室Y2が形成される。
なお、ピストン部30、減衰ユニット40および減衰力調整部50の各構成については後に詳しく説明する。
【0014】
ボトムバルブ部60は、軸方向に貫通する複数の圧側油路611および圧側油路611よりも半径方向外側にて軸方向に貫通する複数の伸側油路612を有するバルブボディ61と、バルブボディ61の一方側に設けられる圧側バルブ621と、バルブボディ61の他方側に設けられる伸側バルブ622とを備える。また、伸側バルブ622は、半径方向において圧側油路611に対応する位置に油孔622Rを有する。
そして、ボトムバルブ部60は、油圧緩衝装置1の一方側の端部に設けられて、第1油室Y1とリザーバ室Rとを区分する。
【0015】
そして、本実施形態に係る油圧緩衝装置1の概略構成を説明する。
図1に示すように、実施形態1の油圧緩衝装置1(圧力緩衝装置)は、オイル(液体)を収容するシリンダ11と、シリンダ11内において軸方向に移動可能に設けられ、シリンダ11内の空間を第1油室Y1(第1液室)と第2油室Y2(第2液室)とに区画するハウジング31(区画部)と、ハウジング31の移動に伴って第1油室Y1と第2油室Y2との間を流れるオイルの流路を形成する後述のバルブシート41(流路形成部)と、バルブシート41の流路の流路口を開閉し、流路におけるオイルの流れを制御する後述の減衰バルブ43(バルブ)と、オイルを収容するとともに収容したオイルの圧力を変更可能な後述の圧力室50Cと、圧力室50Cの圧力によって減衰バルブ43が流路口を閉じる方向に減衰バルブ43を押し付ける後述の押付部51とを備える。
以下、これらの構成について詳述する。
【0016】
〔ピストン部30の構成・機能〕
図2は、実施形態1のピストン部30の断面図である。
図3は、実施形態1の中間室形成部36、減衰ユニット40および減衰力調整部50の斜視断面図である。
図4は、実施形態1の減衰ユニット40の分解斜視図である。なお、
図4は、減衰ユニット40を他方側から見た図である。
【0017】
[ハウジング31]
図2に示すように、ハウジング31は、一方側が開口し、他方側が閉じられた中空の部材である。そして、ハウジング31は、ハウジング31の他方側の端部であって半径方向の中央側に設けられる接続部32と、ハウジング31の軸方向の中央部に配置される第1ハウジング油路33と、ハウジング31の一方側に設けられる第2ハウジング油路34と、ハウジング31の一方側であって半径方向の外側に設けられるピストンリング35とを備えている。
【0018】
接続部32は、軸方向に貫通した部分である。この接続部32には、ロッド部20の一方側の端部が挿入される。そして、接続部32は、ロッド部材21の一方側取付部21aに固定される。
【0019】
第1ハウジング油路33は、周方向において複数(本実施形態では例えば8つ)形成される。そして、第1ハウジング油路33は、第2油室Y2とハウジング31の内側とを連絡する。
第2ハウジング油路34は、周方向において複数(本実施形態では例えば8つ)形成される。そして、第2ハウジング油路34は、第2油室Y2とハウジング31の内側とを連絡する。
【0020】
ピストンリング35は、ハウジング31の外周に装着される。また、ピストンリング35は、シリンダ11の内周面にスライド可能に接触して設けられる。そして、ピストンリング35は、シリンダ11との間の摩擦抵抗を低減する。
【0021】
[中間室形成部36]
図2に示すように、中間室形成部36は、チェックバルブシート37と、チェックバルブシート37の他方側に設けられる中間チェックバルブ38と、チェックバルブシート37の半径方向の中央側であって軸方向に伸びて設けられる保持ボルト391と、保持ボルト391の一方側に設けられるナット392とを有する。
【0022】
チェックバルブシート37は、略円柱形状に形成された部材である。そして、
図3に示すように、チェックバルブシート37は、半径方向の中央側に、軸方向に貫通する開口部37Hを有する。開口部37Hには、保持ボルト391が挿入される。また、
図2に示すように、本実施形態では、チェックバルブシート37は、ハウジング31の内側に圧入され、ハウジング31に固定される。
また、
図2に示すように、チェックバルブシート37は、開口部37H(
図3参照)よりも半径方向の外側に、複数(本実施の形態では6つ)の流路37Rを有する。流路37Rは、一方側にて中間油室Y3に連絡し、他方側にて第2油室Y2に連絡可能に構成される。
【0023】
図3に示すように、中間チェックバルブ38は、半径方向の中央側に保持ボルト391を通すボルト孔38Hを有する略円盤状の部材である。そして、中間チェックバルブ38は、チェックバルブシート37の他方側に押し付けられる。そして、中間チェックバルブ38は、流路37Rを開閉可能にする。
【0024】
図2に示すように、保持ボルト391およびナット392は、中間チェックバルブ38、チェックバルブシート37、後述の圧力室形成部材53および後述の圧力室チェックバルブ55を挟み込む。そして、保持ボルト391およびナット392は、チェックバルブシート37に対して中間チェックバルブ38を押さえつける。また、保持ボルト391およびナット392は、圧力室形成部材53に対して、圧力室チェックバルブ55を押さえつける。
また、
図3に示すように、保持ボルト391は、半径方向の中央側にて、軸方向に貫通する貫通孔391Hを有する。貫通孔391Hには、後述するプランジャ591およびシャフト58が、軸方向に移動可能に設けられる。
【0025】
[減衰ユニット40]
図2に示すように、減衰ユニット40は、バルブシート41と、バルブシート41の一方側に設けられるチェックバルブ42と、バルブシート41の他方側に設けられる減衰バルブ43と、バルブシート41の軸方向に延びて設けられる固定ボルト44と、固定ボルト44の一方側に設けられるナット45とを有する。
【0026】
(バルブシート41)
図4に示すように、バルブシート41は、概形が略円柱形状に形成された部材である。そして、本実施の形態では、
図2に示すように、バルブシート41は、ハウジング31の内側に圧入され、ハウジング31に固定される。
図4に示すように、バルブシート41は、一方側の端部に形成される第1端部面411と、他方側の端部に形成される第2端部面412と、第2端部面412よりも一方側に形成される第1段差部413と、第1段差部413よりも一方側に形成される第2段差部414とを有する。そして、バルブシート41は、半径方向の中央側に、軸方向に貫通する開口部41Hを有する。また、バルブシート41は、開口部41Hよりも半径方向外側に、圧側油路47と、第1伸側油路48と、第2伸側油路49とを有する。
【0027】
第1端部面411は、半径方向の中央側に開口部41Hを有する略円形の面である。そして、第1端部面411は、第1端部面411における他の箇所と比較して窪む凹部411Nを有している。また、第2端部面412は、中央側に開口部41Hを有する略円形の面である。
第1段差部413は、他方側を向く略環状の面を有する第1環状部413Pを備える。また、第2段差部414は、他方側を向く略環状の面を有する第2環状面414Pと、第2環状面414Pの半径方向の中央側に形成される環状溝414Tとを備える。環状溝414Tは、第2環状面414Pよりも一方側に向けて窪む環状の溝によって構成される。
【0028】
図4に示すように、圧側油路47は、バルブシート41を軸方向に貫通するように、軸方向に延びて形成される。また、圧側油路47は、複数(本実施形態では3つ)設けられる。そして、各圧側油路47は、一方側に第1油路口47P1を有し、他方側に第2油路口47P2を有する。本実施の形態では、
図2に示すように、第1油路口47P1が第1油室Y1に対向し、第2油路口47P2が中間油室Y3に対向する。
【0029】
図4に示すように、第1油路口47P1は、第1端部面411の凹部411Nに形成される。つまり、各第1油路口47P1は、第1端部面411よりも突出高さが低い位置に形成される。また、第2油路口47P2の周囲には、第2油路口47P2を囲うように第1ラウンド47Rが形成される。この第1ラウンド47Rは、軸方向の他方側に向けた突出高さが第2端部面412と等しく形成される。
【0030】
第1伸側油路48は、バルブシート41において軸方向に伸び、かつバルブシート41の半径方向に伸びる。即ち、第1伸側油路48は、略L字状に形成される。また、第1伸側油路48は、複数(本実施形態では3つ)設けられる。そして、第1伸側油路48は、一方側に第3油路口48P3を有し、軸方向の中央部に第4油路口48P4を有する。本実施の形態では、
図2に示すように、第3油路口48P3が第2油室Y2に対向し、第4油路口48P4が中間油室Y3に対向する。
【0031】
図4に示すように、第3油路口48P3は、半径方向を向くように形成される。即ち、第3油路口48P3は、バルブシート41の外周部に形成される。そして、第3油路口48P3は、第2段差部414を構成する第2環状面414Pや環状溝414Tの一部と連続する。また、第4油路口48P4の周囲には、第4油路口48P4を囲うように第2ラウンド48Rが形成される。この第2ラウンド48Rは、軸方向の他方側に向けた高さが第2端部面412と等しく形成される。
【0032】
第2伸側油路49は、バルブシート41を軸方向に貫通するように、軸方向に延びて形成される。また、第2伸側油路49は、複数(本実施形態では6つ)設けられる。そして、各第2伸側油路49は、一方側に第5油路口49P5を有し、他方側に第6油路口49P6を有する。本実施の形態では、
図2に示すように、第5油路口49P5が第1油室Y1に対向し、第6油路口49P6が中間油室Y3に対向する。
【0033】
図4に示すように、第5油路口49P5は、軸方向の一方側に向けた高さが第1端部面411と等しく形成される。また、第6油路口49P6は、半径方向の中央側となる一部の突出高さが第2端部面412と等しく形成される。さらに、第6油路口49P6は、半径方向の外側となる一部の突出高さが第1環状部413Pと等しく形成される。
【0034】
以上のように構成されるバルブシート41(流路形成部)において、圧側油路47(第1流路)は、ハウジング31(区画部)の軸方向における一方向の移動に伴って第1油室Y1から第2油室Y2に向かうオイルを特定方向(本実施形態では軸方向に沿って一方側から他方側に向かう方向)に流して、バルブシート41の端部に配置される第2油路口47P2(第1流路口)から流出させる。
また、バルブシート41において、第1伸側油路48(第2流路)は、ハウジング31の軸方向における他方向の移動に伴って第2油室Y2から第1油室Y1に向かうオイルを上記の特定方向に沿って流して、バルブシート41の端部に配置される第4油路口48P4(第2流路口)から流出させる。
【0035】
そして、後述するように、バルブシート41の他方側の端部にそれぞれ配置される第2油路口47P2および第4油路口48P4に対して、単一の減衰バルブ43を用いてオイルの流れの制御を行う。このようにして、本実施形態では、バルブシート41の片側(本実施形態では他方側)にて伸張行程時および圧縮行程時におけるオイルの流れを制御することで、装置の簡略化を図っている。
【0036】
(チェックバルブ42)
図4に示すように、チェックバルブ42は、半径方向の中央側に固定ボルト44を通すボルト孔42Hを有する略円盤状の部材である。そして、チェックバルブ42は、バルブシート41の第1端部面411および第3ラウンド49Rに押し付けられる。そして、
図2に示すように、チェックバルブ42は、第2伸側油路49の第5油路口49P5を開閉可能にする。なお、圧側油路47の第1油路口47P1の一部は、第1端部面411よりも突出高さが低い凹部411Nに形成されている。従って、チェックバルブ42は、第1油路口47P1を常に開放する。
【0037】
(減衰バルブ43)
図4に示すように、減衰バルブ43は、半径方向の中央側に固定ボルト44を通すボルト孔43Hを有する略円盤状の部材である。そして、減衰バルブ43は、バルブシート41の第2端部面412、第1ラウンド47Rおよび第2ラウンド48Rに押し付けられる。そして、減衰バルブ43は、
図2に示すように、圧側油路47の第2油路口47P2および第1伸側油路48の第4油路口48P4を開閉可能にする。なお、
図4に示すように、第2伸側油路49の第6油路口49P6の一部は、第2端部面412よりも突出高さが低い第1環状部413Pと同じ高さに形成されている。従って、減衰バルブ43は、第6油路口49P6を常に開放する。
【0038】
(固定ボルト44,ナット45)
図2に示すように、固定ボルト44およびナット45は、チェックバルブ42、バルブシート41および減衰バルブ43を挟み込む。そして、固定ボルト44およびナット45は、バルブシート41に向けて、チェックバルブ42および減衰バルブ43をそれぞれ押さえつける。なお、固定ボルト44およびナット45は、チェックバルブ42および減衰バルブ43において油路(圧側油路47,第1伸側油路48,第2伸側油路49)の油路口(第1油路口47P1〜第6油路口49P6)が対向する箇所を押さえつけないようにしている。
【0039】
[減衰力調整部50]
図2に示すように、減衰力調整部50は、押付部51と、シャフト58と、ソレノイド機構部59とを備える。
(押付部51)
押付部51は、押付部材52と、圧力室形成部材53と、シール部材54と、圧力室チェックバルブ55と、第1スプリング56と、第2スプリング57とを有する。
【0040】
図3に示すように、押付部材52は、底部521と、底部521の一方側に設けられる拡径部522と、底部521の他方側に設けられる円筒部523とを有する。
底部521は、略円盤状に形成された部分であって、押付部材52の軸方向の中央部に設けられる。
拡径部522は、底部521側である他方側から一方側に向けて内径および外径が拡がるように形成される。そして、拡径部522は、一方側の端部に、略円環状に形成された接触部522Pを有する。
円筒部523は、外周面523Wが軸方向に沿って延びるように形成される。外周面523Wは、圧力室形成部材53の後述する内周面532Wと対向する。そして、円筒部523は、圧力室形成部材53の軸方向における移動を可能にする。また、円筒部523の他方側を向く面積は、シャフト58の一方側を向く表面積よりも大きくしている。
【0041】
圧力室形成部材53は、他方側に形成される流路部531と、流路部531の一方側に形成される圧力室第1円筒部532と、圧力室第1円筒部532の一方側に形成される圧力室拡径部533と、圧力室拡径部533の一方側に形成される圧力室第2円筒部534とを有する。
【0042】
流路部531は、略円盤状に形成された部分である。そして、流路部531は、半径方向の中央側に開口部531Hと、開口部531Hよりも半径方向の外側に形成される流路531Rと、他方側の形成される微少流路531Vとを有する。
開口部531Hには、保持ボルト391が貫通して設けられる。流路531Rは、一方側にて後述する圧力室50Cに連絡し、他方側にて微少流路531Vに連絡する。さらに、微少流路531Vは、流路部531の他方側の端部において半径方向の中央側から外側に延びる溝によって形成される。そして、微少流路531Vは、チェックバルブシート37との間において半径方向のオイルの流路を形成する。
【0043】
圧力室第1円筒部532は、内周面532Wが軸方向に沿って延びるように形成される。内周面532Wには、円筒部523の外周面523Wが対向する。そして、圧力室形成部材53の圧力室第1円筒部532は、押付部材52(接触部材)の円筒部523とともに圧力室50Cを形成する。そして、圧力室50Cには、シリンダ11内のオイルが充填されている。圧力室50Cは、シリンダ11内のオイルとは区画されてオイルを収容するととともに、後述するように、収容したオイルの圧力を変更可能な空間として形成される。
【0044】
そして、本実施形態では、圧力室50Cにおいて押付部材52(接触部材:底部521,円筒部523)がオイルに接する面積(受圧面積)は、同様に圧力室50Cにおいてシャフト58(進退部材)がオイルに接する面積(受圧面積)よりも大きく構成されている。
また、圧力室第1円筒部532(
図3参照)の外径は、ハウジング31の内径よりも小さく形成される。これによって、
図2に示すように、本実施形態では、ハウジング31内に中間油室Y3が形成される。
【0045】
図3に示すように、圧力室拡径部533は、他方側から一方側に向けて外径および内径が拡がるように形成される。さらに、圧力室拡径部533と拡径部522との間には、隙間50Sが形成される。また、圧力室拡径部533は、略半径方向に貫通する貫通孔533Hを有している。貫通孔533Hは、一方側にて隙間50Sに連絡し、他方側にて中間油室Y3(
図2参照)に連絡する。
【0046】
圧力室第2円筒部534の内径は、押付部材52の拡径部522の外径よりも大きく形成される。従って、圧力室第2円筒部534と拡径部522との間においても、隙間50Sが形成される。また、圧力室第2円筒部534の外径は、ハウジング31の内径と同じに設定される。そして、本実施形態では、圧力室第2円筒部534にて、圧力室形成部材53がハウジング31(
図2参照)の内側に圧入される。
【0047】
シール部材54は、押付部材52の円筒部523の外周に取り付けられる。そして、シール部材54は、押付部材52と圧力室形成部材53との間の封止を行う。
【0048】
圧力室チェックバルブ55は、半径方向の中央側に保持ボルト391を通すボルト孔55Hを有する略円盤状の部材である。そして、圧力室チェックバルブ55は、流路部531の一方側の端部に押し付けられる。そして、圧力室チェックバルブ55は、流路531Rを開閉する。そして、圧力室チェックバルブ55(チェックバルブ)は、流路531R(流路部)における、圧力室50Cの内側から外側へのオイルの流れは制限し、圧力室50Cの外側から内側へのオイルの流れを許容する。
【0049】
さらに、
図2に示すように、圧力室チェックバルブ55は、半径方向の外側にて、中央側に向けた切り欠きであるオリフィス55Fを有している。オリフィス55Fは、圧力室50Cの内側と外側との間における微少なオイルの流れを可能にする。
【0050】
第1スプリング56は、一方側が押付部材52に接触し、他方側がシャフト58に接触する。そして、第1スプリング56は、シャフト58に対してシャフト58が他方側に向かう力を付与する。
第2スプリング57は、一方側がシャフト58に接触し、他方側がナット392に接触する。そして、第2スプリング57は、シャフト58に対してシャフト58が一方側に向かう力を付与する。
【0051】
そして、本実施形態では、第1スプリング56(保持部材)および第2スプリング57(保持部材)によって、シャフト58(進退部材)の圧力室50Cに対する位置を保持する。例えば、後述するようにシャフト58がソレノイド機構部59によって操作を受けていない状態にて、シャフト58の一方側の先端部が、圧力室50Cの軸方向における中央部に位置するようにしている。なお、
図2においては、この状態では、ナット392の一方側の端部を基準として、シャフト58の一方側の先端部までの長さが距離X1になるようにしている。
【0052】
なお、第1スプリング56および第2スプリング57の何れか一方を備えるようにしても構わない。ただし、本実施形態では、シャフト58の一方側および他方側にそれぞれ第1スプリング56および第2スプリング57を設けることによって、シャフト58の移動を安定させている。
【0053】
(シャフト58)
図3に示すように、シャフト58は、軸方向に延びる棒状の部材である。上述のとおり、シャフト58の一方側の端部は、圧力室50Cの内部に位置するように設けられる。また、シャフト58は、他方側において、保持ボルト391の貫通孔391Hに挿入される。そして、貫通孔391Hにおいて軸方向に移動可能に保持される。さらに、シャフト58の他方側の端部は、ソレノイド機構部59の後述するプランジャ591(
図2参照)に接続される。
以上のように構成されるシャフト58は、ソレノイド機構部59によって軸方向に移動し、圧力室50Cにおける一方側の端部の挿入量が変化する。そして、シャフト58(進退部材)は、圧力室50Cのオイルの圧力を変更する。
【0054】
(ソレノイド機構部59)
図2に示すように、ソレノイド機構部59は、プランジャ591と、磁性体592と、コイル593と、を有する。そして、ソレノイド機構部59(駆動部)は、シャフト58(進退部材)を圧力室50Cに対して進退させる。
プランジャ591は、軸方向の延びる棒状の部材であって、軸受591Bによって軸方向に移動可能に支持されている。また、プランジャ591の一方側の端部は、シャフト58の他方側の端部に固定されている。
磁性体592は、プランジャ591の他方側に固定されている。磁性体592は、コイル593が形成する磁界によって、軸方方向に移動する。この移動に伴って、磁性体592は、プランジャ591を軸方向に移動させる。
コイル593は、不図示の導線が接続され、導線を介して通電を受けることで磁界を発生させる。そして、コイル593は、発生させた磁界によって、磁性体592を軸方向に移動させる。なお、コイル593に対する通電の制御は、例えば不図示の制御部によって行われる。
【0055】
<油圧緩衝装置1の動作>
図5(a)および
図5(b)は、実施形態1の油圧緩衝装置1の動作を説明するための図である。なお、
図5(a)は圧縮行程時のオイルの流れを示す図であり、
図5(b)は伸張行程時のオイルの流れを示す図である。
まず、油圧緩衝装置1の圧縮行程時のオイルの流れを説明する。
図5(a)に示すように、ピストン部30が、白抜き矢印のようにシリンダ11に対して軸方向の一方側へ移動すると、ピストン部30の移動により第1油室Y1内のオイルが押され、第1油室Y1内の圧力が上昇する。
【0056】
そして、第1油室Y1のオイルは、第1油路口47P1から圧側油路47に流れる。その後、オイルは、減衰バルブ43を開きながら、第2油路口47P2から隙間50Sに流れ出る。このように、圧縮行程時では、オイルは、圧側油路47において軸方向の一方側から他方側への特定方向に流れる。また、この圧側油路47および減衰バルブ43をオイルが流れる際に生じる抵抗によって、圧縮行程時における減衰力が生じる。
【0057】
さらに、オイルは、隙間50S、貫通孔533Hおよび中間油室Y3を通って、流路37Rに流れる。そして、オイルは、中間チェックバルブ38を開き、第1ハウジング油路33を通って、第2油室Y2に流れ出る。
以上のようにして、本実施形態の油圧緩衝装置1では、ピストン部30の一方向の移動に伴って、第1油室Y1から第2油室Y2へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れを圧側油路47および減衰バルブ43によって制御することで減衰力を発生させる。
【0058】
また、
図1に示すように、ボトムバルブ部60においては、ピストン部30の軸方向の一方側への移動によって高まった第1油室Y1のオイルは、伸側バルブ622の油孔622Rを通って、圧側油路611にオイルが流れる。そして、オイルは、圧側バルブ621を押し開きながら、リザーバ室Rに流れ出る。
【0059】
次に、油圧緩衝装置1の伸張行程時のオイルの流れを説明する。
図5(b)に示すように、ピストン部30が、白抜き矢印のようにシリンダ11に対して軸方向の他方側へ移動すると、ピストン部30の移動により第2油室Y2内のオイルが押され、第2油室Y2内の圧力が上昇する。
【0060】
そして、
図5(b)に示すように、第2油室Y2のオイルは、ハウジング31の第2ハウジング油路34を通り、第3油路口48P3から第1伸側油路48に流れる。その後、オイルは、減衰バルブ43を開きながら、第4油路口48P4から流れ出る。このように、伸張行程時では、軸方向の他方側から一方側への方向に流れてきたオイルは、第1伸側油路48において反転し、軸方向の一方側から他方側への方向に沿って流れる。即ち、オイルは、伸張行程時においても、上述した圧縮行程時の圧側油路47における特定方向の流れに沿って流れる。また、この第1伸側油路48および減衰バルブ43をオイルが流れる際に生じる抵抗によって、伸張行程時における減衰力が生じる。
【0061】
このとき、第2油室Y2の圧力に対して、中間油室Y3の圧力が相対的に高く、中間チェックバルブ38はチェックバルブシート37の流路37Rを閉じたままである。従って、流路37Rを介したオイルの流れは生じない。従って、第4油路口48P4を流れ出たオイルは、第6油路口49P6から第2伸側油路49に流れる。本実施形態では、
図4に示すように、バルブシート41の周方向において、第1伸側油路48の一方と他方とにそれぞれ第2伸側油路49が設けられる。従って、第1伸側油路48から流れ出たオイルは、一方と他方とに設けられる第2伸側油路49にそれぞれ流れ込む。そして、
図5(b)に示すように、オイルは、チェックバルブ42を開きながら、第5油路口49P5から第1油室Y1に流れ出る。
【0062】
以上のようにして、本実施形態の油圧緩衝装置1では、ピストン部30の他方向の移動に伴って、第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れを第1伸側油路48および減衰バルブ43によって制御することで減衰力を発生させる。
【0063】
また、
図1に示すように、ボトムバルブ部60においては、ピストン部30の軸方向の他方側への移動によって第1油室Y1のオイルの圧力は、リザーバ室Rと比較して相対的に低くなる。その結果、リザーバ室Rのオイルは、圧側油路611に流れる。そして、オイルは、伸側バルブ622を押し開きながら、第1油室Y1に流れ込む。
【0064】
以上のようにして、本実施形態の油圧緩衝装置1では、ピストン部30の軸方向の移動に応じて、圧縮行程時および伸張行程時において減衰力がそれぞれ発生する。
【0065】
〔減衰ユニット40における減衰力の変更制御について〕
図6は、実施形態1の減衰力調整部50の動作を説明するための図である。
次に、減衰力調整部50による減衰ユニット40における減衰力の変更の制御について詳細に説明する。
まず、減衰ユニット40にて発生させる減衰力を大きくする場合、ソレノイド機構部59を動作させて、シャフト58を
一方側に移動させる。
図6に示す例では、この状態では、ナット392の一方側の端部を基準として、シャフト58の一方側の先端部までの長さが距離X2(X2>X1(
図2参照))になるようにしている。これによって、圧力室50Cに進入するシャフト58の体積量は、進入前の状態と比較して多くなる。その結果、圧力室50C内のオイルの圧力が高くなる。そして、圧力室50Cを形成する押付部材52自体に高い圧力がかかる。そして、押付部材52が減衰バルブ43を閉じる方向に減衰バルブ43を押し付ける力が大きくなる。これによって、上述した圧縮行程時および伸張行程時においてオイルの流れを制御していた減衰バルブ43が開きにくくなり、油圧緩衝装置1にて発生する減衰力が高くなる。
【0066】
そして、
図6に示すように、押付部材52の他方側に形成される底部521および円筒部523が圧力室50Cにてオイルに接する面積は、シャフト58が圧力室50Cにてオイルに接する面積と比較して大きくなっている。従って、ソレノイド機構部59がシャフト58を押す力は、押付部材52が減衰バルブ43を押し付ける力よりも小さくなる。逆に、ソレノイド機構部59がシャフト58にかける力よりも大きな力によって、押付部材52が減衰バルブ43を押し付けることができる。
このように、本実施形態では、ソレノイド機構部59によってシャフト58を操作し、圧力室50Cを介して減衰バルブ43を押し付ける。これによって、例えばソレノイドのような発揮される力が比較的小さいような駆動源によっても、減衰バルブ43を十分に押し付けることができる。
【0067】
また、減衰ユニット40にて発生させる減衰力を小さくする場合、ソレノイド機構部59を動作させて、シャフト58を
他方側に移動させる。これによって、圧力室50Cに進入するシャフト58の体積量は、進入前の状態と比較して小さくなる。その結果、圧力室50C内のオイルの圧力が低くなる。そうすると、押付部材52が減衰バルブ43を閉じる方向に減衰バルブ43を押し付ける力が小さくなる。これによって、上述した圧縮行程時および伸張行程時においてオイルの流れを制御していた減衰バルブ43が開きやすくなり、油圧緩衝装置1にて発生する減衰力が小さくなる。
【0068】
以上のようにして、ソレノイド機構部59によってシャフト58を進退させることで、押付部材52が減衰バルブ43を押し付ける力を変化させることで、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力を変更することができる。
【0069】
なお、ソレノイド機構部59によるシャフト58の駆動を止めると、第1スプリング56および第2スプリング57によってシャフト58が元の位置に戻る(例えばX1(
図6参照)の位置)。
また、圧力室50C内のオイルが圧力室50C外に流れ出て、圧力室50C内のオイルが不足する場合も想定される。このような場合、中間油室Y3のオイルが、流路部531の微少流路531Vを通って流路531Rを流れ込む。そして、流路531Rのオイルは、圧力室チェックバルブ55を開きながら、圧力室50C内に流れ込む。その結果、圧力室50C内のオイル量を元の状態に回復させることができる。
【0070】
なお、本実施形態では、シャフト58を軸方向に移動させるのにソレノイド機構部59を用いる例について説明したが、ソレノイド機構部59に限定するものではない。例えば、電圧をかけることで体積が変化するピエゾ素子(圧電素子)や、回転運動を並進運動に変換する例えばボールねじなど、軸方向にシャフト58を移動させるものであれば、他の駆動源を用いても構わない。
【0071】
また、本実施形態では、ハウジング31内に、減衰ユニット40や減衰力調整部50が設けられてユニット化されている。このように、単一のハウジング31内において、減衰ユニット40や減衰力調整部50などの複数の構成部を取り付けることで、組み付け精度の向上や組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0072】
−実施形態2−
次に、実施形態2が適用される油圧緩衝装置1について説明する。
図7は、実施形態2の油圧緩衝装置1の全体構成図である。
図8は、実施形態2のボトムバルブ部230の断面図である。
なお、実施形態2において、上述した実施形態1と同様な構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、以下の説明では、実施形態1と異なる構成について詳細に説明する。
【0073】
まず、実施形態2の油圧緩衝装置1の概略を説明する。
図7および
図8に示すように、実施形態2の油圧緩衝装置1(圧力緩衝装置)は、オイル(液体)を収容するシリンダ11(第1シリンダ)と、シリンダ11の外側にオイルが溜まるリザーバ室R(液溜室)を形成する第2シリンダ12(第2シリンダ)と、シリンダ11内において軸方向に移動可能に設けられ、シリンダ11内の空間を第1油室Y1(第1液室)と第2油室Y2(第2液室)とに区画するピストン部80(区画部)と、シリンダ11の端部に取り付けられ、ピストン部80の移動に伴って第1油室Y1と第2油室Y2およびリザーバ室Rとの間を流れるオイルの流路を形成するバルブシート41(流路形成部)と、バルブシート41の流路の流路口を開閉し、流路におけるオイルの流れを制御する減衰バルブ43(バルブ)と、オイルを収容するとともに収容したオイルの圧力を変更可能な圧力室50Cと、圧力室50Cの圧力によって減衰バルブ43が流路口を閉じる方向に減衰バルブ43を押し付ける押付部51と、を備える。
以下、これらの構成について詳細に説明する。
【0074】
図7に示すように、実施形態2の油圧緩衝装置1は、シリンダ11と、シリンダ11の外側に設けられる第2シリンダ12と、シリンダ11と第2シリンダ12との間に設けられる第3シリンダ16とを備えている。また、実施形態2の油圧緩衝装置1は、第3シリンダ16の端部に設けられるボトムピース17と、ハウジング31と第3シリンダ16との間に設けられるボトムチェック部70とを有する。さらに、実施形態2の油圧緩衝装置1は、実施形態1のピストン部30に代えてピストン部80を有し、実施形態1のボトムバルブ部60に代えてボトムバルブ部230を有する。
【0075】
実施形態2のシリンダ11は、ロッドガイド14に形成された溝と共に、他方側に第1開口部11Hを形成する。第2シリンダ12は、シリンダ11の外側であって、本実施形態では第3シリンダ16との間に、オイルを溜めるリザーバ室Rを形成する。第3シリンダ16は、薄肉円筒状の部材である。そして、第3シリンダ16は、シリンダ11の外側であって、本実施形態ではシリンダ11との間に、第1油室Y1と第2油室Y2との間におけるオイルの経路となる連絡路Lを形成する。
【0076】
図8に示すように、ボトムピース17は、ハウジング31と第3シリンダ16とボトムチェック部70とともに第4油室Y4を形成する。また、ボトムピース17は、第4油室Y4とリザーバ室Rとを連絡する複数のボトムピース油路17Rを有している。
【0077】
ボトムチェック部70は、チェックバルブシート71と、ボトムチェックバルブ72と、シール部材73とを有する。そして、ボトムチェック部70は、ボトムバルブ部230の軸方向において第1ハウジング油路33と第2ハウジング油路34との間に配置される。
チェックバルブシート71は、軸方向に貫通する複数の油路71Rを有している。
ボトムチェックバルブ72は、チェックバルブシート71の他方側に設けられる。ボトムチェックバルブ72は、連絡路L側から第4油室Y4側へのオイルの流れを抑制し、第4油室Y4側から連絡路L側へのオイルの流れを許容する。
シール部材73は、チェックバルブシート71の外周に取り付けられる。そして、シール部材73は、チェックバルブシート71と第3シリンダ16との間の封止を行う。
【0078】
図7に示すように、ピストン部80は、ロッド部材21の一方側の端部に取り付けられる。そして、ピストン部80は、ロッド部材21の一方側および他方側の移動に伴って、第1油室Y1と第2油室Y2との間におけるオイルの流れを生じさせる。
【0079】
図8に示すように、ボトムバルブ部230は、実施形態1のピストン部30と基本構成が同じである。ただし、ボトムバルブ部230は、シリンダ11の一方側の端部に対する
接続箇所を形成する接続部230Jと、ハウジング31とシリンダ11との間に設けられるシール部材230Sとを有している。また、実施形態2のボトムバルブ部230は、実施形態1の中間室形成部36のチェックバルブシート37および中間チェックバルブ38を備えていない。
【0080】
<実施形態2の油圧緩衝装置1の動作>
次に、実施形態2の油圧緩衝装置1におけるオイルの流れを説明する。
実施形態2の油圧緩衝装置1では、圧縮行程時に、ピストン部80(
図7参照)が一方側に向けて移動する。そして、
図8に実線の矢印で示すように、第1油室Y1のオイルは、ボトムバルブ部230の圧側油路47を流れ、減衰バルブ43を開きながら、中間油室Y3に流れ出る。また、中間油室Y3に流れたオイルは、第1ハウジング油路33から第4油室Y4に流れ出る。そして、第4油室Y4のオイルは、ボトムピース油路17Rを通じてリザーバ室Rに流れ込む。また、第4油室Y4のオイルは、ボトムチェック部70の油路71Rを通じて、連絡路Lに流れ込む。連絡路Lに流れたオイルは、第1開口部11Hを通じて第2油室Y2(
図7参照)に流れ出る。
以上のように、実施形態2の油圧緩衝装置1は、圧縮行程時に、第1油室Y1から第2油室Y2およびリザーバ室Rにオイルが流れる際に、ボトムバルブ部230にて減衰力が発生する。
【0081】
実施形態2の油圧緩衝装置1では、伸張行程時に、ピストン部80(
図7参照)が他方側に向けて移動する。第2油室Y2のオイルは、第1開口部11H(
図7参照)を通じて連絡路Lに流れ込む。そして、
図8に破線の矢印で示すように、連絡路Lに流れたオイルは、第2ハウジング油路34を通じて第1伸側油路48に流れ込む。そして、オイルは、減衰バルブ43を開きながら第2伸側油路49に流れ、第1油室Y1に流れ出る。一方で、リザーバ室Rのオイルは、ボトムピース油路17Rを通じて、第4油室Y4に流れ込む。そして、第4油室Y4に流れたオイルは、第1ハウジング油路33を通じて、中間油室Y3に流れ込む。その後、中間油室Y3のオイルは、第2伸側油路49を通じて第1油室Y1に流れ込む。
以上のように、実施形態2の油圧緩衝装置1は、伸張行程時に、第2油室Y2およびリザーバ室Rから第1油室Y1にオイルが流れる際に、ボトムバルブ部230にて減衰力が発生する。
【0082】
そして、以上のように構成される実施形態2の油圧緩衝装置1においても、ボトムバルブ部230にて、減衰力調整部50を用いて減衰バルブ43を押し付ける押付力を調整することによって、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力を変更することができる。
【0083】
−実施形態3−
次に、実施形態3が適用される油圧緩衝装置1について説明する。
図9は、実施形態3の油圧緩衝装置1の全体構成図である。
なお、実施形態3において、上述した他の実施形態と同様な構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0084】
実施形態3の油圧緩衝装置1は、減衰力発生部330を有する。減衰力発生部330は、実施形態2のボトムバルブ部230と基本構成が同じであり、ハウジング31と、減衰ユニット40と、減衰力調整部50と、ボトムチェック部70とを有する。また、減衰力発生部330は、シリンダ11、第2シリンダ12および第3シリンダ16の軸方向に対して交差するように半径方向に延びて設けられる。
【0085】
そして、実施形態3に係る油圧緩衝装置1の概略構成を説明する。
図9に示すように、実施形態1の油圧緩衝装置1(圧力緩衝装置)は、オイル(液体)を収容するシリンダ11と、シリンダ11内において軸方向に移動可能に設けられ、シリンダ11内の空間を第1油室Y1(第1液室)と第2油室Y2(第2液室)とに区画するピストン部80(区画部)と、ピストン部80の移動に伴って第1油室Y1と第2油室Y2との間を流れるオイルの流路を形成するバルブシート41(流路形成部)と、バルブシート41の流路の流路口を開閉し、流路におけるオイルの流れを制御する減衰バルブ43(バルブ)と、オイルを収容するとともに収容したオイルの圧力を変更可能な圧力室50Cと、圧力室50Cの圧力によって減衰バルブ43が流路口を閉じる方向に減衰バルブ43を押し付ける押付部51とを備える。
【0086】
具体的には、
図9に示すように、減衰力発生部330は、減衰ユニット40における減衰力調整部50とは反対側に第1外部油室C1が形成され、ボトムチェック部70における第4油室Y4とは反対側に第2外部油室C2が形成され、外側に第3外部油室C3が形成される。
そして、第1外部油室C1は、シリンダ11内(本実施形態では第1油室Y1)に連絡する。また、第2外部油室C2は、本実施形態では連絡路Lに連絡する。そして、第3外部油室C3は、本実施形態ではリザーバ室Rに連絡する。
【0087】
以上のように構成される実施形態3の油圧緩衝装置1においても、ピストン部80の移動に伴って生じる減衰力を、簡易な構成である減衰力発生部330によって変更可能にすることができる。
【0088】
−実施形態4−
次に、実施形態4が適用される油圧緩衝装置1について説明する。
図10は、実施形態4の油圧緩衝装置1の全体構成図である。
なお、実施形態4において、上述した他の実施形態と同様な構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0089】
実施形態4の油圧緩衝装置1では、減衰力発生部430を有する。減衰力発生部430は、実施形態2のボトムバルブ部230と基本構成が同じであり、ハウジング31と、減衰ユニット40と、減衰力調整部50と、ボトムチェック部70とを有する。また、減衰力発生部430は、シリンダ11、第2シリンダ12および第3シリンダ16に対して別体に設けられる。さらに、本実施形態の減衰力発生部430は、シリンダ11、第2シリンダ12および第3シリンダ16に対して並列に設けられる。
【0090】
そして、実施形態4に係る油圧緩衝装置1の概略構成を説明する。
図10に示すように、実施形態1の油圧緩衝装置1(圧力緩衝装置)は、オイル(液体)を収容するシリンダ11と、シリンダ11内において軸方向に移動可能に設けられ、シリンダ11内の空間を第1油室Y1(第1液室)と第2油室Y2(第2液室)とに区画するピストン部80(区画部)と、ピストン部80の移動に伴って第1油室Y1と第2油室Y2との間を流れるオイルの流路を形成するバルブシート41(流路形成部)と、バルブシート41の流路の流路口を開閉し、流路におけるオイルの流れを制御する減衰バルブ43(バルブ)と、オイルを収容するとともに収容したオイルの圧力を変更可能な圧力室50Cと、圧力室50Cの圧力によって減衰バルブ43が流路口を閉じる方向に減衰バルブ43を押し付ける押付部51とを備える。
【0091】
具体的には、
図10に示すように、減衰力発生部430は、減衰ユニット40の一方側に第1外部油室C1が形成され、ボトムチェック部70の一方側に第2外部油室C2が形成され、減衰力発生部430における半径方向外側に第3外部油室C3が形成される。
そして、第1外部油室C1は、シリンダ11内(本実施形態では第1油室Y1)に連絡する連絡口11Pに接続される。また、第2外部油室C2は、本実施形態では、連絡路Lに連絡する連絡口16Pに接続される。そして、第3外部油室C3は、本実施形態では、リザーバ室Rに連絡する連絡口12Pに接続される。
【0092】
以上のように構成される実施形態4の油圧緩衝装置1においても、ピストン部80の移動に伴って生じる減衰力を、簡易な構成である減衰力発生部430によって変更可能にすることができる。
【0093】
なお、上記の実施形態1の油圧緩衝装置1は所謂二重管構造であり、実施形態2〜実施形態4の油圧緩衝装置1は所謂三重管構造であるが、これらに限定するものではない。例えば実施形態1の油圧緩衝装置1を三重管構造とし、実施形態2〜実施形態4の油圧緩衝装置1を二重管構造としても良い。さらに、実施形態1〜実施形態4は、いわゆる単筒式構造である単一管構造に適用しても良い。
さらに、実施形態1のボトムバルブ部60や実施形態2〜実施形態4のピストン部80についても、上記の実施形態で示した構造に限らず、減衰機構としての機能を満たすのであれば、他の形状・構成でも良い。
【0094】
また、上記の実施形態1〜実施形態4のバルブシート41に設けられてオイルの流れを折り返す流路である第1伸側油路48の形状は、本実施形態に限定されず、他の形状でも良い。また、押付部51に設けられる第1スプリング56および第2スプリング57は、何れか一方のみが設けられても良い。さらに、第1スプリング56および第2スプリング57は、必ずしも設ける必要はない。
【0095】
さらに、上述した実施形態1および実施形態2では、圧縮行程時と伸張行程時との両方においてそれぞれ生じるオイルの流れに対し、単一の減衰バルブ43を用いて制御を行うようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、圧縮行程時に生じるオイルの流れを制御する第1バルブと、伸張行程時に生じるオイルの流れを制御する第2バルブとを設けても良い。この場合に、第1バルブおよび第2バルブに対し、上述の減衰力調整部50をそれぞれ設けても構わない。さらには、第1バルブおよび第2バルブのうち何れか一方に減衰力調整部50を設けるようにしても良い。