特許第6395624号(P6395624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6395624リニアアクチュエータの製造方法およびリニアアクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395624
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータの製造方法およびリニアアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20180913BHJP
   H02K 15/14 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H02K33/16 A
   H02K15/14 Z
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-16594(P2015-16594)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-144250(P2016-144250A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊之
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−74860(JP,A)
【文献】 特開2001−239211(JP,A)
【文献】 特開2009−80217(JP,A)
【文献】 特開2012−247654(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0093266(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0375147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
H02K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状に巻回される駆動用コイルと、前記駆動用コイルの内周側に配置される駆動用磁石と、前記駆動用コイルを保持する筒状のコイル保持体と、前記駆動用磁石を保持する磁石保持体と、前記駆動用コイルの巻回の軸方向へ前記コイル保持体に対して前記磁石保持体が直線的に相対移動可能となるように前記コイル保持体と前記磁石保持体とを繋ぐバネ部材とを備え、
前記コイル保持体に対する前記磁石保持体の相対移動方向を第1方向とすると、
前記磁石保持体は、前記コイル保持体の少なくとも一部の外周側を囲むように配置されるとともに、前記第1方向に分割された筒状の第1筒部と第2筒部とを備え、
前記バネ部材は、前記コイル保持体に固定されるコイル側固定部と、前記コイル側固定部よりも外周側に配置され前記磁石保持体に固定される磁石側固定部と、前記コイル側固定部と前記磁石側固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備え、
前記磁石側固定部は、前記第1方向における前記第1筒部と前記第2筒部との間に配置されているリニアアクチュエータの製造方法であって、
前記磁石側固定部の外周側に配置され前記磁石側固定部に繋がる枠状の枠部と前記磁石側固定部との接続箇所をレーザで切断しながら前記第1筒部の端面に前記磁石側固定部をレーザ溶接で固定する切断溶接工程と、前記切断溶接工程後に前記第1筒部の端面と前記第2筒部の端面とを当接させた状態で前記第1筒部と前記第2筒部とをレーザ溶接で固定する筒部溶接工程とを備えることを特徴とするリニアアクチュエータの製造方法。
【請求項2】
前記切断溶接工程の前に、前記第1筒部の端面に前記磁石側固定部をレーザ溶接で固定するバネ溶接工程を備えることを特徴とする請求項1記載のリニアアクチュエータの製造方法。
【請求項3】
前記バネ溶接工程では、前記磁石側固定部の前記腕部との連結箇所を前記第1筒部の端面にレーザ溶接で固定することを特徴とする請求項2記載のリニアアクチュエータの製造方法。
【請求項4】
前記切断溶接工程では、前記磁石側固定部の前記腕部との連結箇所を前記第1筒部の端面にレーザ溶接で固定することを特徴とする請求項1または2記載のリニアアクチュエータの製造方法。
【請求項5】
略筒状に巻回される駆動用コイルと、前記駆動用コイルの内周側に配置される駆動用磁石と、前記駆動用コイルを保持する筒状のコイル保持体と、前記駆動用磁石を保持する磁石保持体と、前記駆動用コイルの巻回の軸方向へ前記コイル保持体に対して前記磁石保持体が直線的に相対移動可能となるように前記コイル保持体と前記磁石保持体とを繋ぐバネ部材とを備え、
前記コイル保持体に対する前記磁石保持体の相対移動方向を第1方向とすると、
前記磁石保持体は、前記コイル保持体の少なくとも一部の外周側を囲むように配置されるとともに、前記第1方向に分割された筒状の第1筒部と第2筒部とを備え、
前記バネ部材は、前記コイル保持体に固定されるコイル側固定部と、前記コイル側固定部よりも外周側に配置され前記磁石保持体に固定される磁石側固定部と、前記コイル側固定部と前記磁石側固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備え、
前記磁石側固定部は、前記第1方向における前記第1筒部と前記第2筒部との間に配置され、
前記第1方向における前記第1筒部と前記第2筒部との境界部分には、前記磁石側固定部の外周側に配置され前記磁石側固定部に繋がっていた枠状の枠部と前記磁石側固定部との接続箇所がレーザで切断されながら前記磁石側固定部が前記第1筒部の端面にレーザ溶接で固定された跡である切断溶接箇所が外周側に突出するように形成されるとともに、前記第1筒部と前記第2筒部とがレーザ溶接で固定された跡である筒部溶接箇所が形成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1方向における前記第1筒部と前記第2筒部との境界部分には、前記磁石側固定部の前記腕部との連結箇所が前記第1筒部の端面にレーザ溶接で固定された跡であるバネ溶接箇所が形成されていることを特徴とする請求項5記載のリニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記切断溶接箇所は、前記第1筒部および前記第2筒部の周方向において前記バネ溶接箇所の両側に形成されていることを特徴とする請求項6記載のリニアアクチュエータ。
【請求項8】
前記切断溶接箇所は、前記第1筒部および前記第2筒部の周方向において等間隔で複数形成されていることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のリニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記バネ部材は、前記第1筒部および前記第2筒部の周方向において分割される複数の前記磁石側固定部を備え、
前記第1筒部の端面には、前記磁石側固定部が配置される凹部が形成されていることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載のリニアアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動用コイルと駆動用磁石とを備えるリニアアクチュエータの製造方法に関する。また、本発明は、駆動用コイルと駆動用磁石とを備えるリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の動作対象物を所定方向へ直線的に移動させるためのリニアアクチュエータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のリニアアクチュエータは、駆動用コイルと、駆動用磁石部と、駆動用コイルを保持するコイル保持体と、駆動用磁石部を保持する磁石保持体と、コイル保持体と磁石保持体とを繋ぐ板バネとを備えている。磁石保持体は、コイル保持体に対して直線的に相対移動可能となっている。この磁石保持体は、コイル保持体に対する磁石保持体の相対移動方向(上下方向)に分割された2個のケース体を備えている。2個のケース体は軟磁性材料で形成されている。また、2個のケース体は、略有底円筒状に形成されており、2個のケース体が上下方向に重なった状態で互いに溶接固定されることで磁石保持体が形成されている。板バネは、コイル保持体に固定されるコイル側固定部と、コイル側固定部よりも外周側に配置され磁石保持体に固定される磁石側固定部と、コイル側固定部と磁石側固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備えている。磁石側固定部は、2個のケース体の間に挟まれた状態で磁石保持体に固定されている。
【0003】
また、従来、レンズを保持するレンズ保持部材と、レンズ保持部材をレンズの光軸方向へ移動可能に保持するベース部材およびヨークと、ベース部材およびヨークに対してレンズ保持部材を光軸方向へ駆動する磁石およびコイルと、レンズ保持部材とベース部材とを繋ぐ下板バネと、レンズ保持部材とヨークとを繋ぐ上板バネとを備えるレンズ駆動装置が知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のレンズ駆動装置では、下板バネは、一対のバネ片によって構成されている。バネ片は、ベース部材に固定される外側板部と、レンズ保持部材に固定される内側板部と、外側板部と内側板部とを接続する蛇行形状のバネ板部とを備えている。レンズ駆動装置の組立前においては、一対のバネ片は、外側板部の外周側に配置される枠部(フープ材)によって連結されており、レンズ駆動装置の組立時に、枠部がレーザで切断されて除去されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−8573号公報
【特許文献2】特開2012−247655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載のレンズ駆動装置のように、レンズ駆動装置の組立前の下板バネに枠部が設けられていると、組立前の下板バネを取り扱う際に、外側板部、内側板部およびバネ板部を把持しなくても枠部を把持すれば、組立前の下板バネを取り扱うことができる。そのため、このレンズ駆動装置では、組立前の下板バネを取り扱う際の外側板部、内側板部およびバネ板部の変形や損傷を防止することが可能になる。したがって、本願発明者は、たとえば、特許文献1に記載されているリニアアクチュエータにおいて、リニアアクチュエータの組立前の板バネに枠部を設けることを検討している。しかしながら、リニアアクチュエータの組立前の板バネに枠部を設けると、リニアアクチュエータの組立時に、板バネから枠部を切断除去する工程が必要となり、リニアアクチュエータの製造工程が煩雑になる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、駆動用コイルを保持するコイル保持体と、駆動用磁石を保持する磁石保持体と、コイル保持体と磁石保持体とを繋ぐバネ部材とを備えるリニアアクチュエータにおいて、リニアアクチュエータの組立前のバネ部材に枠状の枠部が設けられていても、リニアアクチュエータの製造工程を簡素化することが可能なリニアアクチュエータの製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、駆動用コイルを保持するコイル保持体と、駆動用磁石を保持する磁石保持体と、コイル保持体と磁石保持体とを繋ぐバネ部材とを備えるリニアアクチュエータにおいて、リニアアクチュエータの組立前のバネ部材に枠状の枠部が設けられていても、リニアアクチュエータの製造工程を簡素化することが可能となるリニアアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のリニアアクチュエータの製造方法は、略筒状に巻回される駆動用コイルと、駆動用コイルの内周側に配置される駆動用磁石と、駆動用コイルを保持する筒状のコイル保持体と、駆動用磁石を保持する磁石保持体と、駆動用コイルの巻回の軸方向へコイル保持体に対して磁石保持体が直線的に相対移動可能となるようにコイル保持体と磁石保持体とを繋ぐバネ部材とを備え、コイル保持体に対する磁石保持体の相対移動方向を第1方向とすると、磁石保持体は、コイル保持体の少なくとも一部の外周側を囲むように配置されるとともに、第1方向に分割された筒状の第1筒部と第2筒部とを備え、バネ部材は、コイル保持体に固定されるコイル側固定部と、コイル側固定部よりも外周側に配置され磁石保持体に固定される磁石側固定部と、コイル側固定部と磁石側固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備え、磁石側固定部は、第1方向における第1筒部と第2筒部との間に配置されているリニアアクチュエータの製造方法であって、磁石側固定部の外周側に配置され磁石側固定部に繋がる枠状の枠部と磁石側固定部との接続箇所をレーザで切断しながら第1筒部の端面に磁石側固定部をレーザ溶接で固定する切断溶接工程と、切断溶接工程後に第1筒部の端面と第2筒部の端面とを当接させた状態で第1筒部と第2筒部とをレーザ溶接で固定する筒部溶接工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のリニアアクチュエータの製造方法では、切断溶接工程において、磁石側固定部と枠部との接続箇所をレーザで切断しながら第1筒部の端面に磁石側固定部をレーザ溶接で固定している。すなわち、本発明では、第1筒部の端面に磁石側固定部をレーザ溶接で固定する際に、枠部をレーザで切断して除去している。そのため、本発明では、リニアアクチュエータの製造時に、枠部を除去するための工程を別途設ける必要がない。したがって、本発明では、リニアアクチュエータの組立前のバネ部材に枠部が設けられていても、リニアアクチュエータの製造工程を簡素化することが可能になる。
【0009】
本発明のリニアアクチュエータの製造方法は、切断溶接工程の前に、第1筒部の端面に磁石側固定部をレーザ溶接で固定するバネ溶接工程を備えることが好ましい。このように構成すると、切断溶接工程において、磁石側固定部と枠部との接続箇所をレーザで切断しながら第1筒部の端面に磁石側固定部をレーザ溶接で固定する場合であっても、切断溶接工程における磁石側固定部のずれを防止することが可能になる。
【0010】
本発明において、バネ溶接工程では、磁石側固定部の腕部との連結箇所を第1筒部の端面にレーザ溶接で固定することが好ましい。また、本発明において、切断溶接工程で、磁石側固定部の腕部との連結箇所を第1筒部の端面にレーザ溶接で固定しても良い。このように構成すると、腕部の根元を第1筒部の端面に固定することが可能になるため、腕部のバネ力を適切に作用させることが可能になる。
【0011】
また、上記の課題を解決するため、本発明のリニアアクチュエータは、略筒状に巻回される駆動用コイルと、駆動用コイルの内周側に配置される駆動用磁石と、駆動用コイルを保持する筒状のコイル保持体と、駆動用磁石を保持する磁石保持体と、駆動用コイルの巻回の軸方向へコイル保持体に対して磁石保持体が直線的に相対移動可能となるようにコイル保持体と磁石保持体とを繋ぐバネ部材とを備え、コイル保持体に対する磁石保持体の相対移動方向を第1方向とすると、磁石保持体は、コイル保持体の少なくとも一部の外周側を囲むように配置されるとともに、第1方向に分割された筒状の第1筒部と第2筒部とを備え、バネ部材は、コイル保持体に固定されるコイル側固定部と、コイル側固定部よりも外周側に配置され磁石保持体に固定される磁石側固定部と、コイル側固定部と磁石側固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備え、磁石側固定部は、第1方向における第1筒部と第2筒部との間に配置され、第1方向における第1筒部と第2筒部との境界部分には、磁石側固定部の外周側に配置され磁石側固定部に繋がっていた枠状の枠部と磁石側固定部との接続箇所がレーザで切断されながら磁石側固定部が第1筒部の端面にレーザ溶接で固定された跡である切断溶接箇所が外周側に突出するように形成されるとともに、第1筒部と第2筒部とがレーザ溶接で固定された跡である筒部溶接箇所が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のリニアアクチュエータでは、第1方向における第1筒部と第2筒部との境界部分に、磁石側固定部と枠部との接続箇所がレーザで切断されながら磁石側固定部が第1筒部の端面にレーザ溶接で固定された跡である切断溶接箇所が外周側に突出するように形成されている。すなわち、本発明では、リニアアクチュエータの製造時に、磁石側固定部と枠部との接続箇所をレーザで切断しながら第1筒部の端面に磁石側固定部をレーザ溶接で固定しており、第1筒部の端面に磁石側固定部をレーザ溶接で固定する際に、枠部をレーザで切断して除去している。そのため、本発明では、リニアアクチュエータの製造時に、枠部を除去するための工程を別途設ける必要がない。したがって、本発明では、リニアアクチュエータの組立前のバネ部材に枠部が設けられていても、リニアアクチュエータの製造工程を簡素化することが可能になる。
【0013】
本発明において、第1方向における第1筒部と第2筒部との境界部分には、磁石側固定部の腕部との連結箇所が第1筒部の端面にレーザ溶接で固定された跡であるバネ溶接箇所が形成されていることが好ましい。このように構成すると、腕部の根元が第1筒部の端面に固定されているため、腕部のバネ力を適切に作用させることが可能になる。
【0014】
本発明において、切断溶接箇所は、第1筒部および第2筒部の周方向においてバネ溶接箇所の両側に形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1筒部に対する磁石側固定部の固定強度を高めることが可能になる。また、このように構成すると、磁石側固定部を第1筒部に対してバランス良く固定することが可能になる。
【0015】
本発明において、切断溶接箇所は、第1筒部および第2筒部の周方向において等間隔で複数形成されていることが好ましい。すなわち、リニアアクチュエータの製造前においては、磁石側固定部と枠部との接続箇所が第1筒部および第2筒部の周方向において等間隔で複数形成されていることが好ましい。このように構成すると、リニアアクチュエータの製造前に枠部を把持したときのコイル側固定部、磁石側固定部および腕部の撓みを抑制することが可能になる。したがって、リニアアクチュエータの製造前のコイル側固定部、磁石側固定部および腕部の変形や損傷を防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、バネ部材は、第1筒部および第2筒部の周方向において分割される複数の磁石側固定部を備え、第1筒部の端面には、磁石側固定部が配置される凹部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1方向における第1筒部と第2筒部との間に磁石側固定部が配置されていても、第1筒部の端面と第2筒部の端面とを確実に当接させることが可能になる。したがって、第1筒部と第2筒部とを容易にレーザ溶接で固定することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明では、駆動用コイルを保持するコイル保持体と、駆動用磁石を保持する磁石保持体と、コイル保持体と磁石保持体とを繋ぐバネ部材とを備えるリニアアクチュエータにおいて、リニアアクチュエータの組立前のバネ部材に枠状の枠部が設けられていても、リニアアクチュエータの製造工程を簡素化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態にかかるリニアアクチュエータの斜視図である。
図2図1のE−E断面の断面図である。
図3図1に示すリニアアクチュエータの分解斜視図である。
図4図1に示すリニアアクチュエータの組立手順を説明するための分解斜視図である。
図5図4に示す第1ケース体およびバネ部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(リニアアクチュエータの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるリニアアクチュエータ1の斜視図である。図2は、図1のE−E断面の断面図である。図3は、図1に示すリニアアクチュエータ1の分解斜視図である。
【0021】
本形態のリニアアクチュエータ1(以下、「アクチュエータ1」とする)は、たとえば、携帯電話等において着信等があったことを振動によって知らせるための装置であり、携帯電話等に搭載されて使用される。このアクチュエータ1は、全体として、扁平な略円柱状に形成されている。また、アクチュエータ1は、小型のものであり、たとえば、アクチュエータ1の外径は、10mm〜30mm程度であり、アクチュエータ1の厚さは、5mm〜10mm程度である。
【0022】
アクチュエータ1は、駆動用コイル2と、駆動用磁石3と、駆動用コイル2を保持するコイル保持体4と、駆動用磁石3を保持する磁石保持体5と、コイル保持体4と磁石保持体5とを繋ぐバネ部材としての板バネ6とを備えている。磁石保持体5は、コイル保持体4に対して直線的に相対移動可能となっている。すなわち、板バネ6は、コイル保持体4に対して磁石保持体5が直線的に相対移動可能となるようにコイル保持体4と磁石保持体5とを繋いでいる。また、本形態では、駆動用コイル2および駆動用磁石3等によって、コイル保持体4に対して磁石保持体5を相対移動させる駆動機構が構成されている。
【0023】
以下の説明では、コイル保持体4に対する磁石保持体5の相対移動方向(図1等のZ方向)を上下方向とする。また、Z方向のうちのZ1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。本形態の上下方向は、コイル保持体4に対する磁石保持体5の相対移動方向である第1方向となっている。
【0024】
コイル保持体4は、樹脂材料で形成されている。また、コイル保持体4は、筒状に形成されている。具体的には、コイル保持体4は、底部4aと筒部4bとを有する略有底円筒状に形成されている。筒部4bは、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。筒部4bの上端側には、筒部4bの径方向の外側へ広がる略円環状の鍔部4cが形成されている。底部4aは、筒部4bの下端を塞ぐように形成されている。底部4aの中心には、上下方向に貫通する円形状の貫通孔4dが形成されている。駆動用コイル2は、筒部4bの外周面の、鍔部4cの下側に巻回されている。また、駆動用コイル2は、筒部4bの外周面に沿って巻回されており、上下方向を巻回の軸方向として略円筒状に巻回されている。本形態では、コイル保持体4に対する磁石保持体5の相対移動方向と駆動用コイル2の巻回の軸方向とが一致している。
【0025】
駆動用磁石3は、扁平な円柱状に形成されており、その軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、駆動用磁石3は、コイル保持体4の筒部4bの内周側に配置されている。すなわち、駆動用磁石3は、駆動用コイル2の内周側に配置されている。磁石保持体5は、駆動用磁石3の上面が固定される円板状の磁性板9と、駆動用磁石3の下面に固定される円板状の磁性板10と、磁性板9、10および駆動用磁石3の外周側を囲むとともに磁性板9の上面を覆うケース体11とを備えている。ケース体11は、上下方向に分割された第1ケース体12と第2ケース体13とから構成されている。
【0026】
磁性板9、10、第1ケース体12および第2ケース体13は、軟磁性材料で形成されている。また、磁性板9、10、第1ケース体12および第2ケース体13は、金属材料で形成されている。本形態の磁性板9、10、第1ケース体12および第2ケース体13は、磁気回路を形成するためのヨークとなっている。
【0027】
第1ケース体12は、扁平な有底円筒状に形成されており、第1ケース体12の外周面を構成する円筒状の筒部12aと、第1ケース体12の上端面を構成する円板状の端面部12bとを備えている。端面部12bは、磁石保持体5の上端面を構成している。端面部12bの下面には、磁性板9の上面が固定されている。筒部12aの下端面には、板バネ6を構成する後述の磁石側固定部6bが配置される凹部12cが形成されている。本形態では、筒部12aの下端面の3箇所に、筒部12aの周方向において等間隔で凹部12cが形成されている。すなわち、筒部12aの下端面には、筒部12aの周方向において一定のピッチで段差が形成されている。
【0028】
第2ケース体13は、扁平な略円筒状に形成されており、第2ケース体12の外周面を構成する円筒状の筒部13aと、筒部13aの下端から筒部13aの径方向の内側へ広がる円環状の底部13bとを備えている。筒部13aの内径は、筒部12aの内径と等しくなっており、筒部13aの外径は、筒部12aの外径と等しくなっている。第1ケース体12と第2ケース体13は、筒部12aの下端面と筒部13aの上端面とが当接している状態でレーザ溶接されることによって固定されている。筒部12a、13aは、コイル保持体4の上端側部分の外周側を囲むように配置されている。本形態の筒部12aは、第1筒部であり、筒部13aは、第2筒部である。以下の説明では、筒部12a、13aの周方向(円周方向)を「周方向」とする。
【0029】
板バネ6は、コイル保持体4に固定されるコイル側固定部6aと、磁石保持体5に固定される磁石側固定部6bと、コイル側固定部6aと磁石側固定部6bとを繋ぐ複数の腕部6cとを備えている。コイル側固定部6aは、略円環状に形成されている。磁石側固定部6bは、略円弧状に形成されている。すなわち、板バネ6は、周方向において分割される複数の磁石側固定部6bを備えている。本形態の板バネ6は、120°ピッチで配置される3個の磁石側固定部6bを備えている。また、磁石側固定部6bは、その中心角が略60°となる円弧状に形成されている。3個の磁石側固定部6bは、コイル側固定部6aよりも外周側に配置されている。また、略円弧状に形成される磁石側固定部6bの外径は、筒部12a、13aの外径と略等しくなっており、磁石側固定部6bの内径は、筒部12a、13aの内径と略等しくなっている。
【0030】
腕部6cは、3個の磁石側固定部6bのそれぞれとコイル側固定部6aとを繋いでいる。すなわち、本形態の板バネ6は、120°ピッチで配置される3本の腕部6cを備えている。腕部6cは、略円弧状に形成されており、コイル側固定部6aの径方向において、コイル側固定部6aと磁石側固定部6bとの間に配置されている。また、腕部6cは、周方向における磁石側固定部6bの中心部分に繋がっている。
【0031】
コイル側固定部6aは、コイル保持体4の上端面に固定されている。たとえば、コイル側固定部6aは、溶着によってコイル保持体4の上端面に固定されている。磁石側固定部6bは、第1ケース体12の下端面(すなわち、筒部12aの下端面)に固定されている。上述のように、筒部12aの下端面には、磁石側固定部6bが配置される凹部12cが形成されている。この凹部12cの上下方向の深さは、磁石側固定部6bの厚さ(上下方向の厚さ)とほぼ等しくなっており、周方向における凹部12cの幅は、周方向における磁石側固定部6bの長さよりもわずかに広くなっている。磁石側固定部6bは、凹部12cの中に配置された状態でレーザ溶接されることで筒部12aの下端面に固定されており、上下方向において、筒部12aと筒部13aとの間に配置されている。
【0032】
アクチュエータ1では、所定方向へ流れる電流が駆動用コイル2に供給されると、磁石保持体5がコイル保持体4に対して上方向へ相対移動し、逆方向へ流れる電流が駆動用コイル2に供給されると、磁石保持体5がコイル保持体4に対して下方向へ相対移動する。なお、コイル保持体4の底部4aの下面には、平板状に形成される固定板(図示省略)が固定されており、この固定板と磁性板10との間には、粘弾性を有する緩衝材(図示省略)が配置されている。この緩衝材は、たとえば、シリコーン系の粘弾性組成物によって形成されており、磁石保持体5の振動を減衰させる機能を果たしている。また、この緩衝材の下端側部分は、コイル保持体4の底部4aの貫通孔4dの中に配置されている。
【0033】
(リニアアクチュエータの製造方法)
図4は、図1に示すリニアアクチュエータ1の組立手順を説明するための分解斜視図である。図5は、図4に示す第1ケース体12および板バネ6の平面図である。
【0034】
以下、アクチュエータ1の組立手順を説明する。なお、アクチュエータ1の組立前の板バネ6には、磁石側固定部6bの外周側に配置される枠状の枠部6dが設けられている。枠部6dは、円環状に形成されている。また、枠部6dは、枠部6dの内周側へ突出する複数の接続部6eを介して磁石側固定部6bに繋がっている。本形態では、周方向において等間隔に配置される6個の接続部6eが組立前の板バネ6に形成されている。すなわち、60°ピッチで配置される6個の接続部6eが組立前の板バネ6に形成されている。また、図5に示すように、6個の接続部6eのそれぞれは、周方向における磁石側固定部6bの両端のそれぞれに繋がっている。具体的には、枠部6dの径方向における接続部6eの内側端が周方向における磁石側固定部6bの両端のそれぞれに繋がっている。上下方向から見たときに、枠部6dの径方向における接続部6eの内側端部分では、径方向の内側に向かうにしたがって径方向に直交する方向における接続部6eの幅が次第に狭くなっている。
【0035】
アクチュエータ1を組み立てるときには、まず、第1ケース体12に磁性板9、10および駆動用磁石3を固定して磁石組を組み立てる。また、コイル保持体4に駆動用コイル2を巻回するとともにコイル保持体4の上端面に板バネ6のコイル側固定部6aを固定してコイル組を組み立てる。その後、磁性板10の下面が上側を向くように磁石組を配置するとともに、コイル保持体4の内周側に駆動用磁石3および磁性板10が配置されるように、かつ、第1ケース体12の凹部12cに板バネ6の磁石側固定部6bが配置されるように、コイル組を上側から磁石組に被せる。
【0036】
その後、磁石側固定部6bを第1ケース体12の筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定する。具体的には、まず、磁石側固定部6bの腕部6cとの連結箇所P1に図4の上側(Z2方向側)かつ外周側からレーザを照射して、磁石側固定部6bの腕部6cとの連結箇所P1を筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定する(バネ溶接工程)。板バネ6は、3個の磁石側固定部6bおよび腕部6cを備えているため、バネ溶接工程では、3箇所をレーザ溶接で固定する。
【0037】
その後、磁石側固定部6bと枠部6dとの接続箇所(具体的には、枠部6dの径方向における接続部6eの内側端と磁石側固定部6bとの接続箇所)P2に図4の上側かつ外周側からレーザを照射して、接続箇所P2をレーザで切断しながら磁石側固定部6bを筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定する(切断溶接工程)。本形態では、磁石側固定部6bと枠部6dとが6箇所で繋がっているため、切断溶接工程では、6箇所の接続箇所P2をレーザで切断しながら磁石側固定部6bを筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定する。切断溶接工程が完了すると、筒部12aの下端面への磁石側固定部6bの固定が完了する。
【0038】
その後、第2ケース体13の筒部13aの上端面が筒部12aの下端面に当接するように第2ケース体13を被せてから、筒部12aの下端面と筒部13aの上端面とを当接させた状態で筒部12aと筒部13aの外周側からレーザを照射して、筒部12aと筒部13aとをレーザ溶接で固定する(筒部溶接工程)。上述のように、凹部12cの上下方向の深さは磁石側固定部6bの厚さとほぼ等しく、かつ、周方向における凹部12cの幅は周方向における磁石側固定部6bの長さよりもわずかに広くなっており、筒部12aの下端面の、凹部12cが形成されていない部分と筒部13aの上端面とが当接している。そのため、筒部溶接工程では、筒部12aの下端面の、凹部12cが形成されていない部分と筒部13aの上端面とが当接している箇所にレーザを照射して、筒部12aと筒部13aとを固定する。具体的には、周方向における3個の凹部12cのそれぞれの間において、2箇所にレーザを照射して、筒部12aと筒部13aとを固定する。すなわち、合計6箇所にレーザを照射して、筒部12aと筒部13aとを固定する。また、筒部溶接工程が完了すると、アクチュエータ1の組立が完了する。
【0039】
上述のように、バネ溶接工程において、磁石側固定部6bの腕部6cとの連結箇所P1が筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定されるため、組立後のアクチュエータ1では、上下方向における筒部12aと筒部13aとの境界部分に、連結箇所P1が筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定された跡であるバネ溶接箇所17が形成されている(図1参照)。具体的には、3個のバネ溶接箇所17が周方向において等間隔で(すなわち120°ピッチで)形成されている。
【0040】
また、筒部溶接工程において、筒部12aと筒部13aとがレーザ溶接で固定されるため、組立後のアクチュエータ1では、上下方向における筒部12aと筒部13aとの境界部分に、筒部12aと筒部13aとがレーザ溶接で固定された跡である筒部溶接箇所18が形成されている(図1参照)。具体的には、6個の筒部溶接箇所18が形成されている。
【0041】
さらに、切断溶接工程において、磁石側固定部6bと枠部6dとの接続箇所P2がレーザで切断されながら磁石側固定部6bが筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定されるため、組立後のアクチュエータ1では、上下方向における筒部12aと筒部13aとの境界部分に、接続箇所P2がレーザで切断されながら磁石側固定部6bが筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定された跡である切断溶接箇所19が形成されている(図1参照)。具体的には、6個の切断溶接箇所19が周方向において等間隔で(すなわち60°ピッチで)形成されている。また、切断溶接箇所19は、周方向においてバネ溶接箇所17の両側に形成されている。また、切断溶接箇所19は、外周側に突出するように形成されている。具体的には、バネ溶接箇所17および筒部溶接箇所18よりも外周側へわずかに突出するように形成されている。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、切断溶接工程において、磁石側固定部6bと枠部6dとの接続箇所P2をレーザで切断しながら磁石側固定部6bを筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定している。すなわち、本形態では、筒部12aの下端面に磁石側固定部6bをレーザ溶接で固定する際に、枠部6dをレーザで切断して除去している。そのため、本形態では、アクチュエータ1の組立時に、枠部6dを除去するための工程を別途設ける必要がない。したがって、本形態では、アクチュエータ1の組立前の板バネ6に枠部6dが設けられていても、アクチュエータ1の製造工程を簡素化することが可能になる。
【0043】
本形態では、切断溶接工程の前のバネ溶接工程において、磁石側固定部6bの腕部6cとの連結箇所P1を筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定している。そのため、本形態では、切断溶接工程において、磁石側固定部6bと枠部6dとの接続箇所P2をレーザで切断しながら筒部12aの下端面に磁石側固定部6bをレーザ溶接で固定する場合であっても、切断溶接工程における磁石側固定部6bのずれを防止することが可能になる。
【0044】
本形態では、バネ溶接工程において、磁石側固定部6bの腕部6cとの連結箇所P1を筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定しており、上下方向における筒部12aと筒部13aとの境界部分には、連結箇所P1が筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定された跡であるバネ溶接箇所17が形成されている。すなわち、本形態では、腕部6cの根元が筒部12aの下端面に固定されているため、腕部6cのバネ力を適切に作用させることが可能になる。
【0045】
本形態では、切断溶接箇所19は、周方向においてバネ溶接箇所17の両側に形成されている。そのため、本形態では、筒部12aに対する磁石側固定部6bの固定強度を高めることが可能になる。また、本形態では、磁石側固定部6bを筒部12aに対してバランス良く固定することが可能になる。
【0046】
本形態では、筒部12aの下端面に磁石側固定部6bが配置される凹部12cが形成されている。また、本形態では、凹部12cの上下方向の深さは磁石側固定部6bの厚さとほぼ等しく、かつ、周方向における凹部12cの幅は周方向における磁石側固定部6bの長さよりもわずかに広くなっている。そのため、本形態では、上下方向における筒部12aと筒部13aとの間に磁石側固定部6bが配置されていても、筒部12aの下端面と筒部13aの上端面とを確実に当接させることが可能になる。したがって、本形態では、筒部12aと筒部13aとを容易にレーザ溶接で固定することが可能になる。
【0047】
本形態では、アクチュエータ1の組立前の板バネ6に、周方向において等間隔に配置される6個の接続部6eが形成されている。そのため、本形態では、アクチュエータ1の組立前に枠部6dを把持したときのコイル側固定部6a、磁石側固定部6bおよび腕部6cの撓みを抑制することが可能になる。したがって、本形態では、アクチュエータ1の組立前のコイル側固定部6a、磁石側固定部6bおよび腕部6cの変形や損傷を防止することが可能になる。
【0048】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0049】
上述した形態では、切断溶接工程の前にバネ溶接工程が設けられているが、切断溶接工程の前にバネ溶接工程が設けられていなくても良い。この場合には、上述した形態において組立前の板バネ6に形成されていた6個の接続部6eに代えて、120°ピッチで配置される3個の接続部6eが組立前の板バネ6に形成されるとともに、この3個の接続部6eのそれぞれは、磁石側固定部6bの腕部6cとの連結箇所P1のそれぞれに繋がっていることが好ましい。すなわち、磁石側固定部6bの腕部6cとの連結箇所P1のみを切断溶接工程で切断しながら溶接して、固定することが好ましい。また、上述した形態において組立前の板バネ6に形成されていた6個の接続部6eに加えて、120°ピッチで配置される3個の接続部6eが組立前の板バネ6に形成されるとともに、この3個の接続部6eのそれぞれは、磁石側固定部6bの腕部6cとの連結箇所P1のそれぞれに繋がっていても良い。これらの場合には、3箇所において、連結箇所P1と接続箇所P2とが一致している。
【0050】
このように構成すると、切断溶接工程において、接続箇所P2をレーザで切断しながら磁石側固定部6bを筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定する際に、連結箇所P1が筒部12aの下端面にレーザ溶接で固定される。すなわち、バネ溶接工程が設けられていなくても、腕部6cの根元が筒部12aの下端面に固定される。したがって、バネ溶接工程が設けられていなくても、腕部6cのバネ力を適切に作用させることが可能になる。なお、上述した形態において組立前の板バネ6に形成されていた6個の接続部6eに代えて、120°ピッチで配置される3個の接続部6eが組立前の板バネ6に形成される場合には、周方向における磁石側固定部6bの長さを短くすることが好ましい。
【0051】
上述した形態では、板バネ6は、円弧状に形成される3個の磁石側固定部6bを備えているが、板バネ6が備える磁石側固定部6bの数は、2個であっても良いし、4個以上であっても良い。また、板バネ6は、円環状に形成される1個の磁石側固定部6bを備えていても良い。また、上述した形態では、組立前の板バネ6に形成される6個の接続部6eは、周方向において等間隔に配置されているが、6個の接続部6eは、周方向において等間隔に配置されていなくても良い。また、組立前の板バネ6に形成される接続部6eは、6個でなくても良い。また、上述した形態では、アクチュエータ1は、略円柱状に形成されているが、アクチュエータ1は、四角柱状等の多角柱状に形成されても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 アクチュエータ(リニアアクチュエータ)
2 駆動用コイル
3 駆動用磁石
4 コイル保持体
5 磁石保持体
6 バネ部材(板バネ)
6a コイル側固定部
6b 磁石側固定部
6c 腕部
6d 枠部
12a 筒部(第1筒部)
12c 凹部
13a 筒部(第2筒部)
17 バネ溶接箇所
18 筒部溶接箇所
19 切断溶接箇所
P1 磁石側固定部の腕部との連結箇所
P2 枠部と磁石側固定部との接続箇所
Z 第1方向(駆動用コイルの巻回の軸方向)
図1
図2
図3
図4
図5