(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された加熱用調理器は、加熱用容器となる金属製食品加熱トレイの開口部に延出形成された左右一対の端部にしか断熱性の取っ手が設けられていないため取り回しが悪く、特に大口径の加熱用調理器を庫内の所定位置に配置する際に手間がかかり、また加熱後の加熱用調理器を庫内から取り出す際に注意深く断熱性の取っ手を把持する必要があり、不用意に加熱用調理器に触れると火傷する虞があるという問題があった。
【0007】
また、加硫により金属トレイに接着されたゴムが劣化して断熱機能を発揮し得ない程度までゴムが剥がれると、最早使用に耐え得ず加熱用容器自体に損傷がない場合でも廃棄せざるを得ないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、取り回しが良く、安全性に優れ、長期に渡り使用可能な加熱用調理器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明による加熱用調理器の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、調理材を投入する開口部と前記開口部から投入された調理材を収容する収容部とを備えている加熱用容器と、前記加熱用容器を加熱する発熱体と、前記加熱用容器を囲繞するように配置され、前記加熱用容器を支持可能な支持部を備えた断熱部材と、を備えて構成されている点にある。
【0010】
支持部を構成する断熱部材が加熱用容器を囲繞するように配置されているので、加熱用容器の周囲のどの位置から接触しても火傷することなく安全に且つ容易く把持または挟持することができる。そのため、例えば電子レンジのような限られたスペースの庫内であっても、加熱用調理器の取り回しが容易になる。
【0011】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記支持部は少なくとも前記加熱用容器の開口部を囲繞するように配置されている点にある。
【0012】
調理材が収容された加熱用容器の重心は開口部より下方にあり、そのような加熱用容器を支持する支持部が開口部を囲繞するように配置されているため、支持部を把持または挟持することにより、重量のある加熱用調理器を手で吊り下げるような状態になり、安定姿勢で高温の加熱用容器を支持できる。
【0013】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記断熱部材は前記収容部の外側面の少なくとも一部を覆う保護部をさらに備えている点にある。
【0014】
断熱部材を支持する際に高温となった加熱用容器の側壁に誤って手が触れても火傷を負うことが無く安全性が確保できるようになる。
【0015】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第三の特徴構成に加えて、前記加熱用容器は前記開口部から径方向外側に延出形成された延出部を備え、前記支持部は前記延出部を囲繞するように前記開口部の径方向外側に延出形成され、平面視で前記保護部より径方向外側に張出形成されている点にある。
【0016】
開口部の径方向外側に延出形成された支持部の下方から手指を宛がうことで、調理材が収容された高温の加熱用容器を持ち上げるように支持することができ、容易に且つ安全に持ち運びることができる。
【0017】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第四の特徴構成に加えて、外周に沿って上方に突出する突出部が前記支持部に形成されている点にある。
【0018】
加熱用容器を挟んで左右側方から支持部を把持する際に、突出部が親指に引っ掛かるので不注意で滑り落ちるようなことが回避でき安全性が向上する。また、正面から支持部を把持して手前側に引き寄せる際も滑り止めとして機能するようになる。
【0019】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第三から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記保護部と前記収容部の外側面との間に間隙が形成されている点にある。
【0020】
保護部と収容部の外側面との間の間隙には空気による断熱層が形成されるため、断熱部材がより低温に維持でき、加熱処理後の加熱用調理器の取り扱いの安全性が向上する。また、加熱用調理器を洗浄する際に断熱部材と加熱用容器の隙間に水が浸入しても容易に水切りでき衛生的でもある。
【0021】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記発熱体が誘電加熱発熱体である点にある。
【0022】
電子レンジ用の加熱用調理器として用いることができ、狭い庫内でも火傷することなく容易くまた安全に加熱用調理器を出し入れできる。
【0023】
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記発熱体が誘導加熱発熱体である点にある。
【0024】
IHクッキングヒータ用の加熱用調理器として、火傷することなく安全に用いることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した通り、本発明によれば、取り回しが良く、安全性に優れ、長期に渡り使用可能な加熱用調理器を提供することができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明を構成する加熱用容器、加熱用容器保持具及び加熱用調理器の一例を図面に基づいて説明する。
図1(a)〜(c)及び
図2(a),(b)に示すように、加熱用調理器1は鍋状または皿状に形成された金属製の加熱用容器2と、加熱用容器2を囲繞するように配置された樹脂製の加熱用容器保持具9と、同じく金属製の蓋体23とを備えて構成されている。
【0028】
当該加熱用調理器1は加熱用容器2に投入された調理材を電子レンジやIHクッキングヒータを用いて加熱するために用いられる調理器で、加熱用容器2の底部2Aの裏面には厚さが数mm程度の円盤状の発熱体5が固着され、発熱体5で生じた熱が金属製の加熱用容器2を伝わって内部の調理材を加熱するように構成されている。
【0029】
発熱体5を誘電加熱発熱体で構成することにより電子レンジ用の加熱用調理器1として機能し、発熱体5を誘導加熱発熱体で構成することによりIHクッキングヒータ用の加熱用調理器1として機能する。
【0030】
加熱用容器2は調理材を投入する開口部3と、開口部3から投入された調理材を収容する収容部4とを備え、収容部4を含む開口部3の内縁及び蓋体23は平面視で真円形状に構成されている。加熱用容器2及び蓋体23は熱伝導性に優れ且つ軽量材質のアルミニウムで構成されているが、同様の熱伝導特性を備えた銅等の他の金属で構成されていてもよい。
【0031】
図3(a)〜(d)及び
図4(a)〜(c)に示すように、加熱用容器2は開口部3から開口部3の径方向外側に僅かに延出した縁部7と、縁部7より径方向外側に大きく延出した突片部8とを備えた延出部6が収容部4と一体に形成されている。
【0032】
縁部7及び突片部8は開口部3の外周に間隔を隔てて縁部7同士及び突片部8同士が対向するように一対ずつ点対称に形成され、縁部7の外周部及び突片部8の外周部は同心円状に形成されている。従って、開口部3の中心から突片部8の外周部までの長さが一定となる。さらに、縁部7の内周部及び突片部8の内周部は同じ長さに形成されている。
【0033】
図1(a)〜(c)及び
図2(a),(b)に示すように、加熱用容器保持具9は支持部11と保護部12を備えた断熱部材10で構成されている。加熱状態にある高温の加熱用容器2に手指や掌が触れることなく加熱用容器2を支持するために、加熱用容器2の開口部3を囲繞するように支持部11が設けられている。
【0034】
支持部11を手指で把持し或いは掌で挟持する際に、手指や腕等が加熱用容器2の収容部4の外側面つまり側壁に触れて火傷しないように、加熱用容器2の収容部4の外側面沿って底部2A近傍まで垂下するように支持部11から下方に連続するように保護部12が支持部11と一体に形成されている。
【0035】
断熱部材10として耐熱温度が260℃のポリ四フッ化エチレン(PTFEテフロン(登録商標))、耐熱温度が300℃のシリコン樹脂、耐熱温度が270℃のシンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)等の耐熱温度の高い樹脂を好適に用いることができる。
【0036】
これらの樹脂は何れも誘電率が小さくマイクロ波の透過特性に優れているので電子レンジ用の加熱用容器保持具9としても優れ、また調理器具として高温加熱が繰り返される環境下でも劣化し難く優れた断熱効果を発揮する。
【0037】
支持部11は少なくとも加熱用容器2の開口部3に形成された延出部6を囲繞するように開口部3の径方向外側に延出形成され、平面視で加熱用容器2の側面外方に沿う保護部12より径方向外側に張出するように形成されている。さらに支持部11には支持部11の外周に沿って上方に突出する突出部17が形成されている。
【0038】
図5(a)〜(c)及び
図6(a),(b)に示すように、加熱用容器保持具9は互いに分離可能な一対の断熱部材10と各断熱部材10同士を連結する連結部14とを備え、連結部14により互いが連結された状態で加熱用容器2を囲繞して加熱用容器2を支持可能な断熱性の支持部11として機能するように構成されている。
【0039】
各断熱部材10は平面視で左右対称形状に形成され、一対の支持部11により加熱用容器2を左右側方から挟持するように配置され、連結部14で連結された状態で平面視真円形状になるように加熱用容器2と同心状に配置される。
【0040】
各断熱部材10は加熱用容器2に形成された凸部つまり延出部6(7,8)(
図2(a)参照、以下「凸部」も符号6で示す。)と係合する凹部13を備え、凸部6に凹部13が係合した状態で一対の断熱部材10同士が連結部14で連結可能に構成されている。
【0041】
加熱用容器2の周部に沿って形成された凸部6に外嵌するように、各断熱部材10の内周側から外周側に凹部13として機能する溝部(以下「溝部」も符号13で示す。)が窪み形成されている。
【0042】
溝部13は加熱用容器2の縁部7の上下方向位置を規制する一対の第1リブ18と、加熱用容器2の突片部8の左右方向位置を規制する一対の第2リブ19と、突片部8の上下方向位置を規制する一対の第3リブ20を備えている。
【0043】
第1リブ18は溝部13の下面から上面に向けて突出形成され、第2リブ19は溝部13の下面から上面に延出形成され、第3リブ20は溝部13の下面から上面に向けて突出形成されている。
【0044】
溝部13のうち一対の第2リブ19で案内される領域に加熱用容器2の突片部8が嵌め込まれる。その際に第3リブ20によって突片部8の上下方向位置が規制されるとともに第2リブ19によって突片部8の左右方向位置が規制され、さらに突片部8を溝部13に完全に嵌め込んだ状態で第1リブ18によって加熱用容器2の縁部7の上下方向位置が規制される。
【0045】
このようにして加熱用容器2に形成された延出部6(7,8)のうち縁部7が溝部13と浅く係合し、縁部7よりさらに径方向外側に延出形成された突片部8が溝部13と深く係合し、互いの連結部14同士が当接するようになる。
【0046】
第1リブ18及び第3リブ20によって加熱用容器2に形成された延出部6と支持部11との間に空気による断熱層として機能する空隙が形成されるので、手指に伝達される熱が一層低減できるようになる。
【0047】
連結部14は各断熱部材10の一端側に形成されたネジ固定部15と各断熱部材10の他端側に形成されたネジ挿入部16とを備え、ネジ挿入部16からネジ固定部15に挿入したネジ22で両者を締付固定するように構成されている。
【0048】
断熱部材10と同一材質のネジ22を用いるのが好ましいが、断熱部材10と同程度の断熱性を有する樹脂製のネジを用いてもよく、セラミック製のネジを用いてもよい。尚、断熱部材10の耐熱温度以上にネジが加熱される場合を想定すると、連結部14が軟化して締付状態が緩む虞があるため金属製ネジの使用は避けた方が好ましい。
【0049】
加熱用容器2に形成された凸部6と断熱部材10に形成された凹部13とが確実に係合された状態で初めて連結部14で連結可能になるので、加熱用容器保持具9が加熱用容器2に不十分な状態で取り付けられるようなことが無く十分な安全性が確保できる。つまり、係合不良な状態で連結され、調理中に誤って加熱用容器保持具9が加熱用容器2から離脱し、火傷等の事故が発生するような虞が無い。
【0050】
しかも、断熱部材10同士がネジ22で締付固定されるので、不用意な操作で簡単に離脱するようなことが無く安全性に優れ、連結部14による連結状態を解除することにより、加熱用容器2から断熱部材10を離脱して洗浄することができ、調理器具の衛生状態を良好に保つことが可能になる。
【0051】
さらには、繰返し使用によって加熱用容器保持具9が劣化した場合でも加熱用容器2を再利用して支持部11のみ交換できるようになる。しかも、加熱用容器2に対して装着または離脱可能な加熱用容器保持具9を最少部品点数で安価に構成することができるようになる。
【0052】
加熱用容器2の周部に沿って形成された凸部6を単に断熱部材10の溝部13に嵌入するというシンプルな操作で確実に係合状態に移行できるようになり、火傷を負う恐れなく加熱用容器2の周囲360°何れの方向からも加熱用調理器1に接触し、さらに支持することができるようになる。
【0053】
図6(b)に示すように、加熱用容器2に加熱用容器保持具9を取り付けた状態で、加熱用容器2の収容部4と保護部12との間に間隙Gが形成されるように、保護部12の内側面に単一または複数に分割されたリブ21が形成されている。
【0054】
保護部12と収容部4の外側面との間の間隙Gによって空気による断熱層が形成されるため、断熱部材10がより低温に維持でき、加熱処理後の加熱用調理器1を取り扱う際の安全性が向上する。
【0055】
また、断熱部材10と加熱用容器2の間隙Gに食材が挟みこまれても、洗浄水により容易に離脱でき、また容易に水切りできるので衛生的でもある。尚、保護部12の肉厚が十分である場合等、ある程度の強度を備えていればリブ21が無くてもよい。
【0056】
保護部12は微細なメッシュ状や極細のストライプ状の手指が入り込めないような隙間のある断熱性の板状体で構成されていてもよい。
【0057】
保護部12の該表面がエンボス加工されていれば、両手で保護部12を挟むように支持する場合でも、加熱用調理器1が容易に手から滑り落ちるようなことが無い。
【0058】
図7(a)〜(c)に示すように、蓋体23は蓋体本体24と断熱用の樹脂製の取っ手25とを備えて構成されている。蓋体本体24は円盤状のアルミ板の中央部に凹部28が形成され、周部に垂下するスカート部26が形成されるようにプレス成型されている。凹部28に取っ手25が嵌め込まれてボルトで着脱自在に固定されている。蓋体本体24には調理中に加熱用容器2内で生じた蒸気を逃がす小径の複数の通気孔27が形成されている。
【0059】
以上説明した加熱用調理器1を電子レンジ用加熱調理器として構成する場合には、発熱体5として磁性粉含有焼結体や磁性粉混練樹脂成型体等の誘電加熱発熱体を用いることができ、例えばMg系フェライト粉を焼結した磁性粉含有焼結体やMg系フェライト粉をシリコン樹脂に混練した磁性粉混練樹脂成型体を好適に用いることができる。
【0060】
図10には、Mg系フェライト粉を焼結した磁性粉含有焼結体のマイクロ波による昇温特性の一例が示されている。マイクロ波のパワーにもよるが、マイクロ波を印加して約20秒で250℃程度に昇温し、30秒程度経過すると270〜280℃程度に昇温される。
【0061】
図2(b)に示すように、加熱用調理器1を電子レンジで使用する場合に、加熱用容器2の開口部3の縁と蓋体23のスカート部26とのギャップで放電が生じる虞がある。そこで、当該ギャップでの放電を回避するために、少なくとも加熱用容器2の開口部3の周部を覆うとともに加熱用容器2と蓋体23とに介在するパッキンとしても機能する非金属製の断熱部材30が配置される。
【0062】
断熱部材30として可撓性のシリコン樹脂で成形されたリング状部材が好適に用いられる。リング状部材の上面が支持部11の上面位置より僅かに下方に位置するようにリング状部材の厚みが調整され、加熱に生じる蒸気の圧力で蓋体23が浮いた場合でも、蓋体23が支持部11を乗り越えて移動することが無いように、支持部11の内側エッジで移動が規制されるように構成されている。
【0063】
リング状部材の具体的な形状は
図2(b)に示したような形状に限らず、リング状部材自身の形状で蓋体23の位置を規制する位置規制部31を備えた形状であってもよい。
【0064】
図8(c)に示すように、断面がL字状に形成されたリング状部材で断熱部材30が構成され、蓋体23のスカート部26を受け止める平坦部30Aと、平坦部30Aの外周部で垂直に立ち上がり蓋体23の移動を規制する位置規制部31として機能する立上り部31Aとを備えて構成されていてもよい。即ち、位置規制部31は断熱部材30のうち蓋体23の外周部に対向する位置に形成されている。
【0065】
図8(a),(b)に示すように、断熱部材30は加熱用容器保持具9と一体に形成されていることが好ましい。
図8(a)には、位置規制部31が支持部10と一体に形成され、開口部3の径方向外側から開口部3に向けて垂下した垂下壁31Bで構成された例が示されている。
図8(b)には、位置規制部31が支持部10と一体に形成され、開口部3から開口部3の径方向外側に向けて隆起した隆起壁31Cで構成された例が示されている。
【0066】
以上、説明したように、加熱用調理器1は加熱用容器2と加熱用容器保持具9が同心円状で真円に形成されているので、容積が限られた電子レンジの庫内であっても火傷することなく周囲のどの位置からでも支持できるので、庫内で容易に位置決め及び取り回しが可能になるとともに、平面視で収容部4の面積を十分に確保できるようになる。
【0067】
また、支持部11が加熱用容器2の開口部3を囲繞するように配置されていると、調理材が収容されて重心が開口部3より下方に移動した加熱用容器を安定姿勢で支持できるようになり、支持部11の外周に沿って上方に突出形成された突出部17に指を係止することができ、電子レンジの庫内で加熱用調理器1を手前側に容易く引き出すことができ、また支持部11を把持した場合でも滑り落ちるようなことが回避できる。
【0068】
さらに、断熱部材10に形成された溝部13に嵌入する縁部7及び突片部8が開口部3の外周に間隔を隔てて一対形成されているので、支持部11が手指で支持される場合でも加熱用容器2及び調理材の重量が樹脂製の支持部11のみで受け止められるのではなく、縁部7及び突片部8で十分に受け止められる。
【0069】
支持部11の強度を考慮すると、開口部3の全周に延出長さの短い縁部7のみを配置する場合には支持部11の延出長さも短くなり、加熱用調理器1を支持し辛くなるが、延出長さの長い突片部8を設けることにより支持部11の延出長さも十分に確保でき、加熱用調理器1を支持し易くなり、しかも開口部3の全周に突片部8を配置する必要が無いので材料費を低減できるようになる。
【0070】
さらに、縁部7の外周部及び突片部8の外周部は同心円状に形成されているので、材料の無駄を生じることなく効率的にプレス加工することができ、加熱用容器2の電子レンジの庫内での収容部4の位置確認も容易になる。さらに、開口部3の中心から突片部8の外周部までの長さが一定に且つ収容部4と同心状に形成されているので、電子レンジの庫内のサイズによる制限を受けながらも、平面視で収容部4の面積を十分に確保するように構成することが可能になる。
【0071】
以下、本発明の別実施形態を説明する。
上述した実施形態では、加熱用容器保持具9の支持部11が加熱用容器2の開口部3を囲繞するように配置された例を説明したが、支持部11は加熱用容器2を囲繞するように配置されていればよく、加熱用容器2の側壁または底部を囲繞するように配置されていてもよい。
【0072】
上述した実施形態では、加熱用容器保持具9の保護部12が加熱用容器2の収容部4の外側面沿って底部2A近傍まで垂下するように構成された例を説明したが、保護部12は収容部4の外側面全周に配置されている必要は無く、不用意な火傷を回避できるのであれば部分的に配置されていてもよいし、その形状も特に制限されることはない。即ち、保護部12は収容部4の外側面の少なくとも一部を覆うように配置されていればよい。
【0073】
上述した実施形態では、加熱用容器保持具9が支持部11及び保護部12を備えた対称形状の一対の断熱部材10で構成された例を説明したが、二つ以上の複数に分割構成されていてもよい。例えば、平面視で中心角120°で三分割された構成であってもよいし、中心角90°で四分割された構成であってもよい。
【0074】
上述した実施形態では、加熱用容器保持具9に形成された溝部13に、延出部6の上下方向位置を規制する第1リブ18及び第3リブ20が当該溝部13の下面から上面に突出形成された例を説明したが、第1リブ18及び第3リブ20が当該溝部13の上面から下面に突出形成されていてもよい。
【0075】
図9(a),(b)には、第3リブ20が溝部13の上面から下面に突出形成された例が示されている。この場合、加熱用容器2の延出部6が支持部11の下面で空間を隔てることなく安定して受け止められるようになる。
【0076】
また、
図9(a)に示すように、第1リブ18及び第3リブ20が溝部13の上面から下面に突出形成される場合には、支持部11の上面から開口部3に向けて垂下した垂下壁31Bにより蓋体23の移動を規制する位置規制部31を構成することができ、垂下壁31Bから水平方向に延出する平坦部30Aで蓋体23のスカート部26を受け止め、蓋体23と加熱用容器2との間でのスパークの発生を回避することができるようになる。
【0077】
上述した実施形態では、加熱用容器保持具9に形成された溝部13に嵌入する凸部6が加熱用容器2の開口部3の外周に連続的に形成された例を説明したが、凸部6が加熱用容器2の開口部3の外周に間隔を隔てて形成されていてもよい。同様に、加熱用容器保持具9に形成された溝部13が各凸部6に対応して間歇的に形成されていてもよい。
【0078】
上述した実施形態では、断熱部材10に形成された溝部13に嵌入する縁部7及び突片部8が開口部3の外周に間隔を隔てて一対形成された例を説明したが、夫々複数対形成されていてもよいし、縁部7及び突片部8が一つずつ形成されていてもよい。それらに対応して加熱用容器保持具9に形成された溝部13に、第1リブ18から第3リブ20の夫々が形成されていればよい。
【0079】
上述した実施形態では、保護部12と収容部4の外側面との間の間隙Gが形成された例を説明したが、保護部12と収容部4の外側面とが密着するように構成されていてもよい。
【0080】
上述した実施形態では、加熱用容器2及び加熱用容器保持具9が平面視で同心円状に配置される真円形状の加熱用調理器1を説明したが、真円形状に限ることはなく平面視で長円形状であってもよいし平面視で方形形状であってもよい。平面視で方形形状である場合には角部が面取りされ、局面が形成されていることが好ましい。加熱用容器2及び加熱用容器保持具9の何れか一方が円形で他方が方形に形成されていてもよい。
【0081】
上述した実施形態では、発熱体5として誘電加熱発熱体を用いた電子レンジ用加熱用調理器1を説明したが、IHクッキングヒータ用の加熱用調理器1として構成する場合には発熱体5として誘導加熱発熱体を採用すればよい。IHコイルから発生する磁力線により渦電流が流れて発熱するステンレスや鉄等の磁化され易い金属を好適に用いることができる。
【0082】
以上説明した加熱用容器、加熱用容器保持具及び加熱用調理器は、本発明の一実施形態に過ぎず、該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、本発明の作用効果を奏する範囲で各部の具体的な構造、形状、大きさ、材料等は適宜変更設計することができることはいうまでもない。