(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395698
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】化粧品容器の包装体
(51)【国際特許分類】
A45D 44/00 20060101AFI20180913BHJP
B65D 75/04 20060101ALI20180913BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
A45D44/00 B
B65D75/04
B65D77/04 E
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-250867(P2015-250867)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-113212(P2017-113212A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年10月24日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・刊行物「プレスリリース』」 頒布日:平成27年6月30日 ・出願に係る「化粧品容器の包装体」を自社の店舗及び代理店の店舗にて販売(販売日:平成27年7月1日)
(73)【特許権者】
【識別番号】397063833
【氏名又は名称】株式会社シーボン
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】新見 英典
【審査官】
青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−003724(JP,A)
【文献】
特開2007−238159(JP,A)
【文献】
特開2003−137340(JP,A)
【文献】
特開2007−197059(JP,A)
【文献】
特開2005−024954(JP,A)
【文献】
特開2003−205928(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0256492(US,A1)
【文献】
特開平09−108026(JP,A)
【文献】
特開2002−019833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/00
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形乃至は角筒形の化粧品容器を被覆する包装体において、
該包装体が、前記化粧品容器の側面を周面方向に少なくとも1周巻き付けられた状態で被覆可能な天地開放状態の円筒形乃至は角筒形を形成するシート体から形成されており、
該シート体が、二つ折りに畳まれた1枚の和紙から成り、
この和紙の折畳み構成が、和紙表の平滑な側の面である和紙平滑面部が内向きに拝み合さった状態で、且つ和紙裏の粗面な側の面である和紙粗面部が露出した状態であり、
この二つ折り構成のシート体が、前記化粧品容器の側面に密着した状態で巻き付けられた状態で、該巻き付け端部が止着固定部材によってを着固定されて前記化粧品容器が被覆された構成、
であることを特徴とする化粧品容器の包装体。
【請求項2】
二つ折り構成の前記シート体が、前記化粧品容器に巻き付けられた状態において内側になる内側シート部の外寸法が、前記化粧品容器に巻き付けられる際に外側になる外側シート部の内寸法に合わせた構成であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品容器の包装体。
【請求項3】
前記化粧品容器に巻き付けられた状態で被覆する前記シート体の天地開放部分の各々に、前記化粧品容器の天地の各々を跨ぐように、又は前記化粧品容器の天地の各々の少なくとも一部に被さるように配設される被冠部材を付加した構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧品容器の包装体。
【請求項4】
二つ折り構成の前記シート体が、
前記化粧品容器の側面に接する内側シート部の和紙粗面部に、前記化粧品容器の内容物に関する説明を表示する説明表示部が設けられ、
二つ折りに畳まれて内側に拝み合さる外側シート部の和紙平滑面部及び内側シート部の和紙平滑面部の両面には、表示部が設けられていない構成であること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧品容器の包装体。
【請求項5】
前記止着固定部材が、裏面に接着層が設けられた合成樹脂製又は紙製のシートから成り、表面に化粧品の成分・容量や製造者名を含む化粧品の情報を表示する情報表示部が設けられた構成であること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧品容器の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品容器の包装体に関し、詳しくは化粧液や化粧水等を充填した化粧品容器を包装する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品容器などの包装形態として、省資源化や環境適正の面から昨今は過剰包装が敬遠されており、省資源化対応した包装資材・包装体構成・包装方法等による簡易包装が推奨されている。
【0003】
特に、化粧品分野では豪華仕様とも云える過剰包装がこれまで多く採用されるのが通例であったが、かかる化粧品分野においても省資源化に対応したパッケージへの変更が強く望まれ始めている。
【0004】
各種化粧品容器の内、化粧液や化粧水の如き液体化粧品を充填する容器としては、円筒形(本明細書においては楕円形や扁平形等を含む)や角筒形(本明細書においては角丸の筒形を含む)の容器が一般的である。化粧品容器ではないが、同様の筒形容器を簡易化した構成で包装する技術としては、例えば、特許文献1に記載されたものを挙げることができる。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、天地部分が共に閉塞された円筒形を有するパッケージであって、蓋体部と本体部とが弱い繋ぎ部を介して一体的に形成されており、開封時には前記弱い繋ぎ部に連接されたリップ部を引き剥がした後に蓋体部と本体部とを互いに反対方向にねじることで前記弱い繋ぎ部を切断して開封する構成である。また、当該特許文献1に記載の技術では、リップ部が引き剥がされているか否か、及び弱い繋ぎ部が切断されているか否か、の両者が一目瞭然であるため、パッケージの開封状態(未開封であるか既開封であるか)を極めて容易に判別することができる。
【0006】
そこで本出願人は、省資源化に対応した装着被覆が簡便且つ確実な技術を先に提案した(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−103456号
【特許文献2】実用新案登録第3164581号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人は、液体化粧品の包装用パッケージとして、より省資源化に対応した環境適正に優れた技術について研究を更に続けたところ、更なる省資源化を図ることにより包装構成を簡略化していくと化粧品容器の包装体としての高級感・清潔感・高品質感が薄れてしまうことが判った。
【0009】
そこで本発明の課題は、省資源化を図りながらも高級感・清潔感・高品質感を損なわない化粧品容器の包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0011】
1.円筒形乃至は角筒形の化粧品容器を被覆する包装体において、
該包装体が、前記化粧品容器の側面を周面方向に少なくとも1周巻き付けられた状態で被覆可能な天地開放状態の円筒形乃至は角筒形を形成するシート体から形成されており、
該シート体が、二つ折りに畳まれた1枚の和紙から成り、
この和紙の折畳み構成が、和紙表の平滑な側の面である和紙平滑面部が内向きに拝み合さった状態で、且つ和紙裏の粗面な側の面である和紙粗面部が露出した状態であり、
この二つ折り構成のシート体が、前記化粧品容器の側面に密着した状態で巻き付けられた状態で、該巻き付け端部が止着固定部材によってを着固定されて前記化粧品容器が被覆された構成、
であることを特徴とする化粧品容器の包装体。
【0012】
2.二つ折り構成の前記シート体が、前記化粧品容器に巻き付けられた状態において内側になる内側シート部の外寸法が、前記化粧品容器に巻き付けられる際に外側になる外側シート部の内寸法に合わせた構成であることを特徴とする上記1に記載の化粧品容器の包装体。
【0013】
3.前記化粧品容器に巻き付けられた状態で被覆する前記シート体の天地開放部分の各々に、前記化粧品容器の天地の各々を跨ぐように、又は前記化粧品容器の天地の各々の少なくとも一部に被さるように配設される被冠部材を付加した構成であることを特徴とする上記1又は2に記載の化粧品容器の包装体。
【0014】
4.二つ折り構成の前記シート体が、
前記化粧品容器の側面に接する内側シート部の和紙粗面部に、前記化粧品容器の内容物に関する説明を表示する説明表示部が設けられ、
二つ折りに畳まれて内側に拝み合さる外側シート部の和紙平滑面部及び内側シート部の和紙平滑面部の両面には、表示部が設けられていない構成であること、
を特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の化粧品容器の包装体。
【0015】
5.前記止着固定部材が、裏面に接着層が設けられた合成樹脂製又は紙製のシートから成り、表面に化粧品の成分・容量や製造者名を含む化粧品の情報を表示する情報表示部が設けられた構成であること、
を特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の化粧品容器の包装体。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に示す発明によれば、省資源化を図りながらも高級感・清潔感・高品質感を損なわない化粧品容器の包装体を提供することができる。
【0017】
特に、包装体が二つ折りに畳まれた和紙から成るシート体から形成され、このシート体を化粧品容器の側面に巻き付けて被覆するという簡易な構成であるため、省資源化に対応した環境適正の高い包装体となり、しかも和紙繊維の素材感が立体的に表れる和紙粗面部を露出させた状態で被覆する構成であるため、和紙の素朴でありながら高級感・清潔感・高品質感を感じさせる外観及び触感(手触り感)を得ることができる。
【0018】
更に、和紙粗面部が化粧品容器の側面に密着した状態で巻き付けられる構成によって、粗面を形成する和紙の繊維質が化粧品容器の側面への密着状態を保持する作用が生じるため、天地開放状態の巻き付け包装という極めて簡易な被覆包装でありながら、被包装物である化粧品容器の包装体からの抜け落ちが極めて生じ難いという効果を発揮する。
【0019】
請求項2に示す発明によれば、化粧品容器に密着状態で巻き付けた際に二つ折り構成のシート体の弛みの発生を抑制することができるので、より密着した状態での巻き付け被覆が可能となる。
【0020】
請求項3に示す発明によれば、開放状態の天地からの化粧品容器の抜け落ちを確実に防止することができる。
【0021】
請求項4に示す発明によれば、化粧品容器の内容物に関する表示部が二つ折り構成の最も内側に設けられるため、印刷された文字等が透け易い特性を有する和紙であっても外側から透視されてしまうことを防止することができる。
【0022】
請求項5に示す発明によれば、包装体の止着固定が可能であると共に化粧品の情報を外側から容易に認識・把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る化粧品容器の包装体の一実施例を示す5面図(平面図、左側面図、正面図、右側面図、背面図)
【
図2】
図1に示す化粧品容器の包装体の展開図(粗面な裏面を示す図)
【
図3】
図1に示す化粧品容器の包装体の展開図(平滑な表面を示す図)
【
図4】化粧品を本発明の包装体によって包装する状態を説明する3面図(正面図、平面図、背面図)
【
図5】化粧品を本発明の包装体によって包装する状態を説明する3面図(正面図、平面図、背面図)
【
図6】化粧品を本発明の包装体によって包装する状態を説明する3面図(正面図、平面図、背面図)
【
図7】化粧品を本発明の包装体によって包装する状態を説明する3面図(正面図、平面図、背面図)
【
図8】化粧品を本発明の包装体によって包装した状態を示す背面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付の図面に従って本発明を詳細に説明する。
【0025】
図1〜
図3に示すように、本発明に係る化粧品容器の包装体(以下、単に包装体と言うこともある。)は、円筒形乃至は角筒形(本実施例では角筒形を示す。)の化粧品容器を被覆するための包装体であり、
本発明の包装体は、
図4〜
図7に示すように、前記化粧品容器2の側面を周面方向に少なくとも1周巻き付けられた状態で被覆可能な天地開放状態の円筒形乃至は角筒形(本実施例では角筒形を示す。)を形成するシート体1から形成されており、
このシート体1は、
図2及び
図3に示す形状の和紙を、
図1に示すように折畳線13において二つ折りに畳んだ構成を有し、
この和紙の折畳み構成が、和紙表の平滑な側の面である和紙平滑面部1Aが内向きに拝み合さった状態で、且つ和紙裏の粗面な側の面である和紙粗面部1Bが露出した状態であり、
この二つ折り構成のシート体1が、
図4〜
図7に示すように前記化粧品容器2の側面に密着した状態で巻き付けられ、
図7の背面図に示すように巻き付け終わった後はこの巻き付け端部12Aを
図8に示すようにシールの如き止着固定部材3によって止着固定されて前記化粧品容器2が被覆された構成、
を有するものである。
【0026】
シート体1を構成する和紙としては、麻、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)、檀(まゆみ)、苦参(くじん)等の繊維を紙漉きの技法(手漉き、機械漉き)によって製紙した公知公用の和紙を用いることができる。和紙の特徴として、和紙の表面側である「和紙表」が平滑であり、和紙の裏面側である「和紙裏」が粗面に仕上がっている。本明細書では、平滑な和紙表の側を「和紙平滑面部1A」、粗面な和紙裏の側を「和紙粗面部1B」と言うこととする。
【0027】
また、二つ折り構成のシート体1の化粧品容器2に巻き付けられた状態において内側になる部分を内側シート部11と言い、外側になる部分を外側シート部12と言う。
【0028】
そして、外側シート部12の和紙粗面部1Bには化粧品容器2の内容物である化粧品の名称やメーカー名等の記載である商品名部14が表示され、内側シート部11の和紙粗面部1Bには化粧品の成分・容量・使用方法・注意事項等の説明が表示された説明表示部15が表示されている。
【0029】
更に、二つ折りに畳まれて内側に拝み合さる外側シート部12の和紙平滑面部1A及び内側シート部11の和紙平滑面部1Aの両面、即ち、シート体1が二つ折りに畳まれることによって内側になる二つ面には、説明の表示である表示部が設けられていないことが好ましい。かかる構成によれば、化粧品容器2の内容物に関する説明表示部15が二つ折り構成の最も内側に設けられるため、印刷された文字等が透け易い特性を有する和紙であっても外側から透視されてしまうことを防止することができる。
【0030】
尚、外側シート部12及び/又は内側シート部11の和紙平滑面部1Aに印刷や彩色等の手段により模様を施すことによって、この模様を透かし模様のように外部に浮き立たせる構成とすることもできる。かかる構成によれば、内側から滲み出るような淡い模様の現出を演出することができるので包装体としての幻想性や趣向性を生じさせることができ高付加価値を創出することができる。
【0031】
巻き付け端部12Aを止着する止着固定部材3は、裏面に接着層が設けられた合成樹脂製又は紙製のシートから成り、表面に化粧品の成分・容量や製造者名を含む化粧品の情報を表示する情報表示部31が設けられた構成である。
【0032】
以上の構成を有する本発明の包装体によれば、該包装体が二つ折りに畳まれた和紙から成るシート体1から形成され、このシート体1を化粧品容器2の側面に巻き付けて被覆するという簡易な構成であるため、省資源化に対応した環境適正の高い包装体となり、しかも和紙繊維の素材感が立体的に表れる和紙粗面部を露出させた状態で被覆する構成であるため、和紙の素朴でありながら高級感・清潔感・高品質感を感じさせる外観及び触感(手触り感)を得ることができる。
【0033】
更に、和紙粗面部1Bが化粧品容器2の側面に密着した状態で巻き付けられる構成によって、粗面を形成する和紙の繊維質が化粧品容器2の側面への密着状態を保持する作用が生じるため、天地開放状態の巻き付け包装という極めて簡易な被覆包装でありながら、被包装物である化粧品容器2の包装体からの抜け落ちが極めて生じ難いという効果を発揮する。
【0034】
本発明の包装体は上記した実施例に示すような構成を有するが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において種々の態様を採ることができる。
【0035】
例えば、二つ折り構成の前記シート体1を、前記化粧品容器2に巻き付けられた状態において内側になる内側シート部11の外寸法を、外側シート部12の内寸法に合わせた構成とすることによって、化粧品容器2に密着状態で巻き付けた二つ折り構成のシート体1の弛みの発生を抑制することができるので、より密着した状態での巻き付け被覆が可能となる。
【0036】
また、
図9に示すように、化粧品容器2に巻き付けられた状態で被覆する前記シート体1の天地開放部分の各々(
図9では天側の開放部分のみを示す。)に、前記化粧品容器2の天地の各々を跨ぐように、又は前記化粧品容器の天地の各々の少なくとも一部に被さるように配設される被冠部材4を付加した構成を採ることも好ましい。係る構成によれば、開放状態の天地からの化粧品容器2の抜け落ちを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 シート体
1A 和紙平滑面部
1B 和紙粗面部
11 内側シート部
12 外側シート部
12A 巻き付け端部
13 折畳線
14 商品名部
15 説明表示部
2 化粧品容器
3 止着固定部材
31 情報表示部
4 被冠部材