【実施例】
【0019】
図1に示されるように、電子部品装着システム1は、複数の生産ライン2及び複数の生産ライン2と通信可能なホストコンピュータ3を備える。電子部品装着システム1は、生産納期を順守しながら、複数の生産ライン2を利用してジョブグループを実行する。
【0020】
生産ライン2の各々は、プリント基板の搬送経路に沿って配置されている複数の装着関連機を備える。複数の装着関連機は、はんだ印刷機、複数の電子部品装着機、基板外観検査機及びリフロー炉を含む。生産ライン2は、搬送経路に沿ってプリント基板を搬送し、これらの装着関連機を利用して複数の電子部品をプリント基板に装着する。
【0021】
ホストコンピュータ3は、複数の生産ライン2を総括制御する。ホストコンピュータ3の1つの機能は、ジョブグループをどの生産ライン2で行うかの割り付け作業を行うことである。この割付作業は、ホストコンピュータ3が有する割付装置が実行する。
図2に示されるように、ホストコンピュータ3が有する割付装置100は、入力装置12、表示装置14及び管理装置20を備える。
【0022】
入力装置12は、ユーザインターフェースであり、例えば、マウス及びキーボードを有する。表示装置14は、ディスプレイを有しており、後述する生産順序計画データが表す生産順序計画をディスプレイに表示する。作業者は、必要に応じて、表示装置14のディスプレイに表示された生産順序計画を、入力装置12を介して修正することができる。
【0023】
管理装置20は、処理装置21及び記憶装置22を有する。処理装置21は、中央演算装置を有しており、記憶装置22に記憶されている複数のデータを所定のプログラムに沿って演算処理する。処理装置21は、特許請求の範囲に記載の特定処理部及び割付処理部を含む。
【0024】
管理装置20の記憶装置22は、ジョブグループデータ23、生産プログラムデータ24、パートデータ25、生産ライン能力データ26、予定終了時刻データ27及び生産順序計画データ28を記憶可能に構成されている。
【0025】
ジョブグループデータ23は、生産納期、生産品目及び生産数量に係る情報を含むデータである。生産予定の複数のジョブグループの情報を、作業者が入力装置12を介して管理装置20に入力すると、ジョブグループデータ23が記憶装置22に記憶される。
【0026】
生産プログラムデータ24は、プリント基板に装着すべき複数の電子部品の種類とその個数及び各々の電子部品を装着すべきプリント基板上の位置に係る情報を含むデータであり、それらの情報が生産品目毎に特定されている。
【0027】
パートデータ25は、電子部品装着機が電子部品を装着するときの動作条件に係る情報を含むデータであり、その情報が電子部品の種類毎に特定されている。
【0028】
生産ライン能力データ26は、生産ラインに配置されている装着関連機の種類、台数及び配置順序等に係る情報を含むデータであり、その情報が生産ライン毎に特定されている。
【0029】
予定終了時刻データ27は、ジョブグループを生産ラインに割り付けたと仮定したときに、そのジョブグループの装着作業が終了する予定の時刻に係る情報を含むデータであり、後述するように、生産順序計画データ28を作成するときに一時的に計算されるデータである。
【0030】
生産順序計画データ28は、ジョブグループをどの生産ラインでどのような順序で実行するかの情報を含むデータである。生産順序計画データ28は、管理装置20によって作成されるデータである。管理装置20は、後述する第1の割付方法又は第2の割付方法を実施することによって、生産順序計画データ28を作成(又は更新)する。
【0031】
以下では、管理装置20が、同一の生産納期の複数のジョブグープを生産ラインに割り付けるときに実行する割付方法について説明する。本実施例の管理装置20は、作業者の指示に基づいて、下記する第1の割付方法及び第2の割付方法のいずれかを、選択的に実行することができる。なお、他の実施形態として、管理装置20は、第1の割付方法と第2の割付方法の一方のみを実行可能であってもよい。
【0032】
(第1の割付方法)
先ず、第1の割付方法について説明する。
図3に示されるように、ステップS11において、管理装置20の処理装置21は、ジョブグループデータ23、生産プログラムデータ24、パートデータ25及び生産ライン能力データ26に基づいて、予定終了時刻データ27を作成する。
図4に、予定終了時刻データ27を表すテーブルを例示する。第1の割付方法で作成される予定終了時刻データ27は、ジョブグループを生産ラインに割り付けたと仮定したときに、そのジョブグループの装着作業が終了する予定の時刻を、ジョブグループと生産ラインの全ての組合せについて記述するデータである。例えば、ジョブグループ1を生産ライン1に割り付けた仮定した場合、予定終了時刻は次のように計算される。まず、処理装置21は、ジョブグループデータ23、生産プログラムデータ24、パートデータ25及び生産ライン能力データ26に基づいて、ジョブグループ1で指定されている装着作業を生産ライン1で実行したときに要する作業時間(サイクルタイムともいう)を計算する。次に、処理装置21は、生産ライン1が生産を開始することが可能な予定開始時刻に計算された作業時間を加算し、予定終了時刻T(1,1)を計算する。処理装置21は、このような計算をジョブグループと生産ラインの全ての組合せについて実行することで、予定終了時刻データ27を作成する。
【0033】
次に、ステップS12において、処理装置21は、ジョブグループの各々について、生産ライン毎に特定された予定終了時刻を早い順にソートする。ソート順の結果に基づいて、処理装置21は、ジョブグループの各々について、最も早い予定終了時刻とその生産ラインを特定する。これにより、処理装置21は、ジョブグループ毎に最優先の生産ラインを特定することができる。
【0034】
次に、ステップS13において、処理装置21は、ジョブグループ毎に特定された最も早い予定終了時刻を遅い順にソートする。ソート順の結果に基づいて、処理装置21は、ジョブグループ毎に特定された最も早い予定終了時刻のなかで最も遅い予定終了時刻に係るジョブグループとその生産ラインを特定する。
【0035】
次に、ステップS14において、処理装置21は、ステップS13で特定されたジョブグループとその生産ラインを割り付け、生産順序計画データ28に記述する。これにより、処理装置21は、作業時間が長いジョブグループを最優先の生産ラインに優先的に割り付けることができる。
【0036】
次に、ステップS15において、処理装置21は、ステップS14で割り付けられた生産ラインにおけるジョブグループ毎の予定終了時刻を再計算し、予定終了時刻を更新する。例えば、
図5に示されるように、ステップS14でジョブグループ2が生産ラインbに割り付けられたとする。この場合、処理装置21は、ジョブグループ2についてのデータを予定終了時刻データ27のテーブルから削除し、生産ラインbにおけるジョブグループ2以外のジョブグループの予定終了時刻を再計算し、計算された予定終了時刻を更新する。このように、割り付けられた生産ラインについての予定終了時刻のみを再計算することで、割付作業の処理速度が向上する。
【0037】
次に、ステップS16において、処理装置21は、全てのジョブグループの割り付けが完了したか否かを判定する。全てのジョブグループの割り付けが完了していれば、割り付け作業が終了する。全てのジョブグループの割り付けが完了していなければ、ステップS12に戻る。
【0038】
上記したように、第1の割付方法は、ステップS12を行うことで、ジョブグループ毎に装着作業を最も早く完了できる最優先の生産ラインを特定することができる。このような最優先の生産ラインを割付対象の条件とすることで、第1の割付方法は、1つの生産ラインのみにジョブグループが割り付けられることを防止し、複数のジョブグループを複数の生産ライン間でバランスよく割り付けることができる。さらに、第1の割付方法は、ステップ13を行うことで、特定されたジョブグループと最優先の生産ラインの組合せのなかで予定終了時刻の最も遅いものを特定することができる。第1の割付方法は、ステップ14において、このようにして特定されたジョブグループと最優先の生産ラインの組合せを優先的に割り付けることができる。
図6に、複数のジョブグループが生産ラインに割り付けられた様子を示す。ハッチングが施された矢印は、割付方法を実行するのに先立って割り付けが完了していたジョブグループを示す。ハッチングが施されていない矢印が、上記の割付方法で割り付けられたジョブグループを示す。
図6に示されるように、上記の割付方法によれば、予定終了時刻の遅い、即ち、作業時間が長いジョブグループが最優先の生産ラインに優先的に割り付けられるので、割り付け作業が進むにつれて、作業時間が短いジョブグループが残存する。作業時間が短いジョブグループは、生産ラインの生産終了時刻を細かく調整することができる。このため、上記の割付方法は、複数の生産ライン間の生産終了時刻を均一化することができる。
【0039】
(第2の割付方法)
次に、第2の割付方法について説明する。
図7に示されるように、ステップS21において、管理装置20の処理装置21は、複数の生産ラインの予定開始時刻を早い順にソートする。このソート順の結果に基づいて、処理装置21は、複数の生産ラインのなかで予定開始時刻が最も早い生産ラインを特定する。これにより、処理装置21は、全てのジョブグループに共通する最優先の生産ラインを特定することができる。
【0040】
次に、ステップS22において、処理装置21は、ジョブグループデータ23、生産プログラムデータ24、パートデータ25及び生産ライン能力データ26を利用して、ステップS21で特定された生産ラインにおける予定終了時刻データ27を作成する。
図8に、予定終了時刻データ27を表すテーブルを例示する。第2の割付方法で作成される予定終了時刻データ27は、ジョブグループを特定された生産ライン(この例では、生産ラインX)に割り付けたと仮定したときに、そのジョブグループの装着作業が終了する予定の時刻を、ジョブグループと特定された生産ラインの全ての組合せについて記述するデータである。
【0041】
次に、ステップS23において、処理装置21は、ジョブグループ毎に特定された予定終了時刻を遅い順にソートする。このソート順の結果に基づいて、処理装置21は、ジョブグループ毎に特定された予定終了時刻のなかで最も遅い予定終了時刻に係るジョブグループとその生産ラインを特定する。
【0042】
次に、ステップS24において、処理装置21は、ステップS23で特定されたジョブグループとその生産ラインを割り付け、生産順序計画データ28に記述する。これにより、処理装置21は、作業時間が長いジョブグループを最優先の生産ラインに優先的に割り付けることができる。
【0043】
次に、ステップS25において、管理装置20は、全てのジョブグループの割り付けが完了したか否かを判定する。全てのジョブグループの割り付けが完了していれば、割り付け作業が終了する。全てのジョブグループの割り付けが完了していなければ、ステップS21に戻る。
【0044】
上記したように、第2の割付方法は、ステップS21を行うことで、予定開始時刻が最も早い最優先の生産ラインを特定することができる。このような最優先の生産ラインを割付対象の条件とすることで、第2の割付方法は、1つの生産ラインのみにジョブグループが割り付けられることを防止し、複数のジョブグループを複数の生産ライン間でバランスよく割り付けることができる。さらに、第2の割付方法は、ステップS22及びステップS23を行うことで、特定された最優先の生産ラインで予定終了時刻の最も遅いジョブグループを特定することができる。第2の割付方法は、ステップS24において、このようにして特定されたジョブグループと最優先の生産ラインの組合せを優先的に割り付けることができる。第2の割付方法によれば、予定終了時刻の遅い、即ち、作業時間が長いジョブグループが最優先の生産ラインに優先的に割り付けられるので、割り付け作業が進むにつれて、作業時間が短いジョブグループが残存する。作業時間が短いジョブグループは、生産ラインの生産終了時刻を細かく調整することができる。このため、第2の割付方法は、生産ライン間の生産終了時刻を均一化することができる。
【0045】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。