(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
装着者のための呼吸可能空気ゾーンを画定するマスク本体であって、2つ以上の呼吸用空気源部品を受け入れるように構成された2つ以上の入口ポートを有する、マスク本体と、
閉位置と開位置との間で動作可能な遮断弁と、を含み、
閉位置では、前記遮断弁によって前記2つ以上の入口ポートのうちの少なくとも1つと前記呼吸可能空気ゾーンとの間の流体連通が妨げられ、前記遮断弁は力が加えられていない場合に開位置に戻るように構成されており、
前記遮断弁はアクチュエータを含み、前記アクチュエータが押し下げられたときに前記遮断弁は閉位置にある、呼吸マスク。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述した図では、開示した主題の種々の実施形態について説明しているが、他の実施形態も考えられる。すべての場合において、本開示は、制限条件としてではなく、代表的な例として開示される主題を提供する。本開示の原則の範囲及び趣旨内に入る、多数の他の変更及び実施形態が当業者によって考案され得ることが、理解されるべきである。
【0011】
本開示によって、装着者のための呼吸可能空気ゾーンを画定するマスク本体であって、1又は複数の呼吸用空気源部品を受け入れるように構成された1又は複数の入口ポートを有するマスク本体を含む呼吸保護装置が提供される。閉位置と開位置との間で動作可能な遮断弁が設けられて、装着者が陰圧フィットテストを容易に行なえるようになっている。閉位置では、遮断弁によって、1又は複数の入口ポートのそれぞれと呼吸可能空気ゾーンとの間の流体連通が妨げられる。呼吸保護装置が適切にフィットされ適切なシールが実現されている場合には、装着者による吸気により、マスク内に負の内圧が生じる。
【0012】
図1a〜
図1dに例示するのは、鼻部及び口部を覆って呼吸可能空気を装着者に送ることができる例示的な呼吸保護装置100である。呼吸保護装置100は、1又は複数の入口ポート(例えば第1の入口ポート103及び/又は第2の入口ポート104)を含むマスク本体120を含んでいる。1又は複数の呼吸用空気源部品がマスク本体120の1又は複数の入口ポートに位置付けられても良い。例示的な実施形態では、第1及び第2の呼吸用空気源部品101、102が設けられている。これらは、第1及び第2の入口ポート103及び104に取り付けられるように構成されたフィルタカートリッジを含んでいる。フィルタカートリッジ101、102は、外部環境から受け取った空気を濾過することを、空気がマスク本体内の内部空間内に入って装着者に送達される前に行なう。
【0013】
マスク本体120は、剛性又は半剛性部分120aと柔軟な顔面接触部分120bとを含んでいても良い。マスク本体の柔軟な顔面接触部分が従順に作られているのは、例えば、マスク本体を人の鼻部及び口部上方で快適に支持できるようにするため、並びに/又は装着者の顔面との適切なシールを実現してマスク本体120の内部への望ましくない空気侵入を制限するためである。顔面接触部材120bは内曲したカフを有していてもよく、それにより、マスクは装着者の鼻部の上方で及び装着者のほおに接触して、快適かつぴったりとフィットすることができる。剛性又は半剛性部分120aによってマスク本体120に対する構造的完全性が得られるため、剛性又は半剛性部分120aによって呼吸用空気源部品(例えば、フィルタカートリッジ101、102など)を適切に支持することができる。様々な例示的な実施形態では、マスク本体部分120a及び120bを一体的に設けても良いし、又は別個に形成された部分として設けた後、永続的又は取り外し可能な方法で互いに接合しても良い。
【0014】
呼気ポート130によって、装着者による呼気中に空気をマスク本体内の内部空間からパージすることができる。例示的な実施形態では、呼気ポート130はマスク本体120の中心に配置される。呼気弁を呼気ポートにフィットさせて、呼気時にマスク本体120内に形成される陽圧によって空気が出られるようになっているが、外部空気の侵入は防がれている。一部の例示的な実施形態では、呼気ポート130は、マスク本体120上のもっと低い位置(例えば装着者の鼻部及び口部の下方)に位置付けられる。
【0015】
ハーネス又は他の支持部材(図示せず)を設けて、マスクを装着者の鼻部及び口部の周りの所定の位置に支持しても良い。例示的な実施形態では、ハーネスとして、装着者の頭部の後方を通る1又は複数のストラップを含むものを設ける。一部の実施形態では、ストラップを、装着者の頭部上に支持された冠部材、安全帽のサスペンション、又は別のヘッドカバーに取り付けても良い。
【0016】
マスク本体120の1又は複数の入口ポートは、1又は複数の呼吸用空気源部品を受け入れるように構成されている。2つ以上の呼吸用空気源部品を含む例示的な実施形態では、
図1aに示すように、マスク本体120は、第1及び第2の入口ポート103、104をマスク本体120の両側に含んでおり、マスク本体120のほお部分に隣接していても良い。第1及び第2の入口ポート103、104は相補的なはめ合い特徴部(図示せず)を含んでいて、第1及び第2の呼吸用空気源部品101、102がマスク本体120に確実に取り付けられることができるようになっている。当該技術分野で既知の他の好適な接続部を設けても良い。はめ合い特徴部によって取外し可能な接続部が得られて、呼吸用空気源部品の耐用年数の終わりに又は異なる呼吸用空気源部品を用いることが要求された場合に、呼吸用空気源部品101、102の取り外し及び交換を行えるようになっていても良い。代替的に、接続を永続的なものにして、例えば、呼吸用空気源部品に損傷を与えることなく呼吸用空気源部品を取り外すことができないようにしても良い。
【0017】
呼吸保護装置100は、流体取入連通部品を閉じるための遮断弁150を含んでいる。例示的な実施形態では、遮断弁150は閉位置と開位置との間で動作可能である。閉位置では、遮断弁150によって、1又は複数の呼吸用空気源部品(例えば、フィルタカートリッジ101及び/又は102)のそれぞれとマスク本体120の呼吸可能空気ゾーンとの間の流体連通が妨げられている。
【0018】
遮断弁150によって、装着者は陰圧フィットチェックを行なって、マスク本体の周縁に漏れが存在する表示を得ることができる。遮断弁150が閉位置にあるとき、空気がマスク本体120の呼吸可能空気ゾーンに入ることが妨げられる。遮断弁が閉位置にある間に装着者による吸気があると、マスク内に陰圧が生じ、例示的な実施形態では、適切なシールがマスク本体と装着者の顔面との間に実現されている場合には、装着者の吸気がより困難になるか又は柔軟な顔面接触部材が内側に撓むことが起こることがある。適切なシールが実現されていない場合、吸気が起きると、外部環境からの空気がマスク本体の周縁部と装着者の顔面との間の呼吸可能空気ゾーンに入る場合がある。このように、適切なシールが呼吸保護装置100と装着者の顔面及び/又は頭部との間で実現されているかを判定するために、呼吸保護装置100を着用している装着者が、陰圧フィットチェックを容易に行なうことが可能である。
【0019】
図1bに示すのは、マスク本体120の中央部分を通して見た、例示的なマスク本体120典型的な断面図である。例示的なマスク本体120は、第1のチャンバ121と第2のチャンバ122とを含んでいる。呼吸可能空気ゾーンが第2のチャンバ122によって画定されている。一部の実施形態では、第1及び第2の呼吸用空気源部品101、102(例えば、フィルタカートリッジ)を、第1及び第2の入口ポート103、104に取り付けても良い。第1及び第2の入口ポート103、104は第1のチャンバ121と流体連通している。その結果、第1の呼吸用空気源部品101を通った後に第1の入口ポート103を通ってマスク本体120に入った空気は、第2の呼吸用空気源部品102を通った後に第2の入口ポート104を通ってマスク本体120に入った空気と連通する。したがって、第1及び第2の呼吸用空気源101、102からの空気は、マスク本体120の第2のチャンバ122によって画定される呼吸可能空気ゾーンに送達される前に、第1のチャンバ121内で混合されることが可能である。
【0020】
例示的な実施形態では、第1及び第2のチャンバ121、122は、流体取入連通部品140を有する内壁124によって分離されている。流体取入連通部品140は1又は複数の開口部を含んで、第1のチャンバ121と第2のチャンバ122との間の流体連通を実現している。流体取入連通部品140は、第1のチャンバ121と第2のチャンバ122との間の流体連通を選択的に可能にするための吸気弁を含んでいても良い。これについては後で詳述する。
【0021】
第1のチャンバ121は、マスク本体120の1又は複数の壁によって画定されており、任意の望ましい形状を示しても良い。例示的な実施形態では、第1のチャンバ121は、部分的に、マスク本体120の外壁である外壁123と内壁124とによって画定される。第1のチャンバ121は外部環境から実質的にシールされているが、外壁123を通って延びる1又は複数の入口ポート(例えば第1及び第2の入口ポート103、104)は例外である。
【0022】
少なくとも部分的にマスク本体120の壁によって画定され、かつマスク本体120又は剛性若しくは半剛性部分120aと一体的に形成されるチャンバは、マスク本体120の構造内のチャンバであって、チャンバがマスク本体とは別個の場合に付随する可能性がある余分な嵩又は重量を最小限にするように構成され得るチャンバとなる。更に、チャンバを装着者の頭部に極めて接近して設けて、呼吸保護装置の輪郭がそれほど大きくならないようにすることができ、その結果、装着者の頭部から離れたところで生じる大きな慣性モーメントが最小限になる。このような慣性モーメントは知覚されて、頸部の痛み又は他の不快感を装着者に対して引き起こす可能性がある。
【0023】
第2のチャンバ122は、1又は複数のマスク本体120の壁によって同様に画定されており、装着者の鼻部及び口部の周りの呼吸可能空気ゾーンを画定する任意の好適な形状を示しても良い。例示的な実施形態では、第2のチャンバ122は、内壁124、外壁123の一部、及び、呼吸保護装置100が装着者上で使用位置にあるときには、装着者の顔面及び/又は頭部の一部によって部分的に画定される。種々の実施形態では、外壁123が画定する内部空間が内壁124によって第1のチャンバ121と第2のチャンバ122とに分離され、例えば、外壁123の、内壁124の前方の部分は、第1のチャンバ121を部分的に画定し、外壁123の、装着者の顔面により近い部分は、第2のチャンバ122を部分的に画定する。
【0024】
例示的な実施形態では、第1のチャンバ121は、空気を、1又は複数の入口ポート(第1及び/又は第2の入口ポート103、104など)から、例えば、マスク本体120内の異なる位置に送るダクトとして機能しても良い。従来の多くの呼吸マスクでは、清浄な空気は、カートリッジから入口ポートを通して、入口ポートの位置のマスク本体内に送達されるが、第1のチャンバ121によって、1又は複数の入口ポート103、104の位置を流体取入連通部品140とは概ね無関係にすることができる。例示的な実施形態では、入口ポート103、104は、マスク本体120のほお部分の近くに位置付けられ、流体取入連通部品140は中心に位置付けられる。例えば、流体取入連通部品の位置は、マスクを通って延びる中心軸であって、マスク本体120を架空の左及び右半分に分割する中心軸(例えば軸190)に隣接している。このような部品は、部品の一部が軸190の各側面上に位置する場合には、中央に位置すると言っても良い。1又は複数の入口ポート103、104がほお部分の付近に位置する一方で、流体取入連通部品140が中央に位置する構成では、呼吸用空気源部品の受け入れを望ましい位置及び/又は配向で行なうことが可能となり得る(例えば装着者の顔面に沿って後方に延びて視界に対する妨害を最小限にするか又はカートリッジの質量中心をマスク本体120及び/又は装着者の顔面に極めて接近させて維持するなど)。しかし、流体取入連通部品140を、依然として中心に位置付けて、清浄な空気を装着者の鼻部及び口部に極めて近いところに送達しても良く、例示的な実施形態では上部中心位置に設けられる。こうして、第1のチャンバ121によって、例えば、第1及び第2の呼吸用空気源部品を、望ましい人間工学的特性が得られるように位置付けることができ、流体取入連通部品140を、望ましい空気流が装着者に送られるように位置付けることができる。更に、第1のチャンバ121によって、第1及び第2の入口ポートを単一の流体取入連通部品と流体連通させることができる。呼吸保護装置が2つ以上の呼吸可能空気源部品及び単一の流体取入連通部品を有している場合、製造コストを低減することができ、かつより堅固な呼吸保護装置を得ることができる。コストのかかる流体取入連通部品を最小限にすることができ、比較的脆いダイアフラム又はフラップの使用を減らしても良い。
【0025】
図1c及び1dに示すのは、呼吸保護装置100の例示的な遮断弁150を示す部分断面図である。前述したように、マスク本体120は、内壁124によって分離されている第1及び第2のチャンバ121及び122を含む。例示的な実施形態では、内壁124は、吸気ポート141を含む流体取入連通部品140を含んで、第1のチャンバ121と第2のチャンバ122との間の流体連通を可能にしている。流体取入連通部品140によって、空気を、吸気中に第1のチャンバ121から第2のチャンバ122内に引き込むことができるが、空気が第2のチャンバ122から第1のチャンバ121内に進むことはできない。例示的な実施形態では、流体取入連通部品140はダイアフラム又はフラップ143を含んでいる。ダイアフラム又はフラップ143を、例えば、1又は複数の中央ピン若しくはフランジによって中心位置144に固定しても良いし、又は周辺端部若しくは当該技術分野で知られた別の好適な位置に固定しても良い。マスク本体120の第2のチャンバ122内に陰圧がない場合、例えば装着者の呼気中などは、ダイアフラムは流体取入連通部品(例えば、シールリング145)の表面の方に付勢される。装着者による吸気中に、第2のチャンバ122内に陰圧、すなわち外部大気の圧力よりも低い圧力があると、ダイアフラム又はフラップ143は開位置となり、空気が第2のチャンバ122に第1のチャンバ121から入ることができる。すなわち、ダイアフラム又はフラップ143が曲がるか又はシールリング145から離れて、空気が第2のチャンバ122内に進んで装着者に吸気され得るようになっている。複数の例示的な実施形態では、流体取入連通部品140は、複数の吸気ポート及び/又は2つ以上のダイアフラム若しくはフラップ143を含んで、第2のチャンバ122内の圧力が負のときに第1のチャンバ121から第2のチャンバ122までの流体連通を選択的に可能にしても良い。
【0026】
例示的な実施形態では、マスク本体120の遮断弁150はアクチュエータ151とシーリングパッド152とを含んでいる。閉位置では、シーリングパッド152は内壁124に接触して吸気ポート141をブロックし、2つ以上の呼吸用空気源と第2のチャンバ122によって画定される呼吸可能空気ゾーンとの間の流体連通を妨げる。遮断弁150が閉位置にあるとき、呼吸用空気源部品101、102からの空気は、第1のチャンバ121と流体連通しているが、第2のチャンバ122によって画定される呼吸可能空気ゾーンに流体取入連通部品140を通って入ることはできない。例示的な実施形態では、シーリングパッド152は、吸気ポート141を囲むシール面146と接触している。シール面146を内壁124から外側に延びる隆起部又は突出部の形態にして、適切なシールを吸気ポート141の周辺に実現できるようにしても良い。
【0027】
シーリングパッド152を軟質又は弾性材料で形成して、シーリングパッドがシール面146と接触した時に曲がることができるようにしても良い。例示的な実施形態では、シーリングパッド152は着座機構(例えば、角度付き又はフランジ付きリップ(図示せず))を含んで、シール面146との適切なシールを容易にしている。またシーリングパッド152の全部又は一部が、シール面146と接触するときに関節構造を呈するか又は回転しても良い。シーリングパッドが曲がる及び/若しくは関節構造を呈するか又は回転することがあると、適切なシールを吸気ポート141の周囲に形成することが容易となり得る。
【0028】
例示的な実施形態では、シャフト154はシーリングパッド152をガイドし、シーリングパッド152が開位置と閉位置との間で直線的に動くときに、シーリングパッド152を吸気ポート141と適切に位置合わせされた状態に維持する。シーリングパッド152は、突起、フランジ、又は他の突出部153であって、更にシーリングパッド152の回転又は位置合わせ不良を防ぐ働きをするものを含んでいても良い。シャフト154は、内壁124から(例えば流体取入連通部品140の中央部分から)延びている。他の種々の例示的な実施形態では、例えば、シャフト154はマスク本体120の他の部分から延びていても良い。
【0029】
遮断弁150を、開位置(
図1c)と閉位置(
図1d)との間で切り換わるように動作させても良い。例示的な実施形態では、アクチュエータ151はボタン(例えばオーバーモールドされたエラストマー製押しボタン、スライド可能ボタンなど)であり、このボタンは、内側に直線的に押圧されると、シーリングパッド152がシール面146に接触するまでシーリングパッド152を流体取入連通部品140の方に移動させることができる。
図1cに示す開位置では、ダイアフラム又はフラップ143が許す範囲で、空気が吸気ポート141を通って、第2のチャンバ122によって画定される呼吸可能空気ゾーン内に入ることができる。
図1dに示す閉位置では、シーリングパッド152はシール面146と密封係合して、空気が吸気ポート141を通ることを妨げる。アクチュエータ151が装着者によって解放されると、弾性部材がシーリングパッド152を、シール面146との密封係合から離れる方向に付勢することにより、アクチュエータ151が開位置に戻る。
【0030】
例示的な実施形態では、エラストマー製ボタンの形態のアクチュエータ151が弾性部材として働き、この弾性部材は、例えば、力が印加されていない場合に、シーリングパッドを、シール面146との密封係合から離れる方向に開位置に向けて付勢する。アクチュエータ151は、アクチュエータ151を支持する及び/又は遮断弁150を開位置まで付勢するための、マスク本体120の外壁123(
図1a、1b)に取り付けられた可撓性織物156を含んでいてもよい。織物を形成しているのは、可撓性の又は柔軟な材料であって、アクチュエータ151を装着者が内方に押圧したときに弾力的に変形する材料である。これを例えば
図1dに示す。閉位置では、可撓性織物156は湾曲及び/又は変形して、シーリングパッド152がシール面146の方に移動するのを可能にする。可撓性織物156が、遮断弁150が開位置にある本来の構成に繰り返し戻ることができるように、可撓性織物156の湾曲及び/又は変形は、弾性領域に限定されるのが望ましい。
【0031】
他の弾性部材を可撓性織物の代わりに又はそれに加えて設けても良い。様々な例示的な実施形態では、コイルバネ、板バネ、エラストマーバンド、又は当該技術分野で既知の他の好適な弾性部材を設けて、アクチュエータ151及び/又はシーリングパッド152を開位置まで付勢しても良い。その代わりに又はそれに加えて、バネ押し部材をシーリングパッド152の表面上に設けて、アクチュエータ151及び遮断弁150をシール面146から離れるように開位置の方に付勢しても良い。一部の例示的な実施形態では、コイルバネ159がシャフト154の周りに設けられて、アクチュエータ151及びシーリングパッド152をシール面146から離して開位置まで付勢する。1又は複数の更なる弾性部材(例えば前述したエラストマー織物)の代わりに又はそれに加えて、アクチュエータ151及びシーリングパッド152を付勢する力を、コイルバネが提供しても良い。
【0032】
例示的な実施形態では、例えばアクチュエータをマスク本体120上にオーバーモールドすることによって、アクチュエータ151とマスク本体120との間にシールが形成されるようにアクチュエータ151がマスク本体120に取り付けられる。他の好適なシールを、ガスケット、フランジ、接着剤、締まり嵌め、成形技術、音波溶接、及び当該技術分野で既知の好適な技術を用いて設けて適切なシールを得て、外部環境からの空気及び汚染物質が、アクチュエータ151に隣接するマスク本体120に入ることができないようにしても良い。外部環境からの空気及び汚染物質の侵入を防ぐ適切なシールが存在することが望ましいのは、マスク本体120の内部の遮断弁150の部分を囲む体積が、呼吸可能空気ゾーン122と流体連通しているからである。したがって、アクチュエータ151に隣接するシールが十分であれば、遮断弁150が開位置、閉位置、又は中間位置のときの呼吸可能空気ゾーン122内の空気の呼吸可能性が保護される。
【0033】
流体取入連通部品140及び遮断弁150は、圧力低下に対する悪影響(装着者が自由に呼吸できることを妨害する可能性がある)を最小限にするように構成されている。様々な例示的な実施形態では、シーリングパッド152の位置は、遮断弁150が開位置にあるときに、シール面146から約8mm〜1mm、約6mm〜2mm、又は約3mmである。すなわち、シーリングパッド152は、開位置から閉位置まで約8mm〜1mm、又は約6mm〜2mm、又は約3mm移動する。このような距離であれば、比較的コンパクトである一方で開位置にあるときに空気が通る十分な間隔を与えることができる遮断弁が得られる。
【0034】
様々な例示的な実施形態では、遮断弁150はマスク内の陰圧によって閉位置に留まっている場合がある。すなわち、陰圧フィットチェックを行なう間、装着者がアクチュエータ151を内側に押すことによってアクチュエータ151を閉位置まで動かし、吸気し、そしてアクチュエータ151を解放しても良い。装着者がアクチュエータ151を解放した後、弾性部材は、シーリングパッド152に印加される第2のチャンバ122内の陰圧に打ち勝たない場合がある。したがって、装着者が呼気するか又は第2のチャンバ122内の圧力がもはや弾性部材の力に打ち勝つのに十分ではなくなるまで、遮断弁150は閉位置に留まってもよい。弾性部材によって、アクチュエータ151を装着者が解放した後であっても遮断弁150が閉位置に留まれるのであれば、より正確なフィットチェックが可能になる場合がある。なぜならば、装着者は、アクチュエータ151に、マスク本体120と装着者の顔面との間のシールに影響する可能性がある力を加えてはいないからである。しかし、弾性部材によって遮断弁150が閉位置に留まることがマスク本体120の呼吸可能空気ゾーン内の陰圧によって可能である間も、装着者がアクチュエータ151に更に力を加えることなく、遮断弁が開位置に自動的に戻る場合がある。マスク本体内の圧力が増加したときに(例えば、装着者の呼気によって生じる)、遮断弁150が開位置に戻って装着者が自由に呼吸できるようになる場合がある。このような特徴部によって、アクチュエータ151に更に力を加えて遮断弁150を開位置に戻すことをせずに、装着者は安全に呼吸することが可能となる。
【0035】
他の例示的な実施形態では、遮断弁150は、第2のチャンバ122内の圧力とは関係なく閉位置に留まっても良く、装着者が更に力を加えた時に開位置に戻っても良い。
【0036】
図2a及び2bに例示するのは、自己整合シーリングパッドを有する遮断弁250の例示的な実施形態である。例示的な実施形態では、遮断弁250はアクチュエータ251とシーリングパッド252とを含んでいる。閉位置では、シーリングパッド252は内壁224に接触して吸気ポート241をブロックし、2つ以上の呼吸用空気源と第2のチャンバ222によって画定される呼吸可能空気ゾーンとの間の流体連通を妨げる。遮断弁250が閉位置にあるとき、呼吸用空気源部品201、202(図示せず)からの空気は、第1のチャンバ221と流体連通しているが、第2のチャンバ222によって画定される呼吸可能空気ゾーンに流体取入連通部品240を通して入ることはできない。例示的な実施形態では、シーリングパッド252は、吸気ポート241を囲むシール面246と接触している。シール面246を、内壁224から外側に延びる隆起部又は突出部の形態にして、適切なシールを吸気ポート241の周辺に実現できるようにしても良い。例示的な実施形態では、シール面246は、吸気ポート241の外側周縁部を囲む第1のシール面246a部分と、吸気ポート241の内側周縁部を囲む第2のシール面部分246bとを含む。
【0037】
シーリングパッド252を軟質又は弾性材料で形成して、シーリングパッド252がシール面246との接触時に曲がることができるようにしても良い。例示的な実施形態では、シーリングパッド252は着座機構255(例えば、角度付き又はフランジ付きリップ)を含んで、シール面246との適切なシールを容易にしている。またシーリングパッド252の全部又は一部が、シール面246と接触するときに関節構造を呈するか又は回転しても良い。曲がる及び/若しくは関節構造を呈するか、又は回転することができるシーリングパッドは、適切なシールを吸気ポート141の周囲に形成するのを容易にし得る。
【0038】
例示的な実施形態では、シーリングパッド252は、アクチュエータ251に取り付けられて、これによって支持されている。流体取入連通部品240から突き出るシャフト上を移動するのではなくて、例えば、シーリングパッド252はアクチュエータ251によってガイドされている。一部の例示的な実施形態では、シーリングパッド252とアクチュエータ251とを単体部品として一体的に形成しても良い。着座機構245によって、シール面246との適切な位置合わせ及び/又は適切なシールが容易になる。一部の実施形態では、着座機構245は、シーリングパッド252をシール面246と位置合わせする相補的な特徴部を含んでいても良い。
【0039】
遮断弁250を、開位置(
図2a)と閉位置(
図2b)との間で切り換わるように動作させても良い。例示的な実施形態では、アクチュエータ251はボタン(例えば、オーバーモールドされたエラストマー製押しボタン、スライド可能ボタンなど)であり、このボタンは、装着者によって内側に押圧されると、シーリングパッド252がシール面246に接触するまでシーリングパッド252を流体取入連通部品240の方に移動させることができる。
図2aに示す開位置では、ダイアフラム又はフラップ243が許す範囲で、空気が吸気ポート241を通って、第2のチャンバ222によって画定される呼吸可能空気ゾーン内に入ることができる。
図2bに示す閉位置では、シーリングパッド252はシール面246と密封係合して、空気が吸気ポート241を通ることを妨げる。シーリングパッド252の少なくとも一部が、アクチュエータ251に印加された力が原因で湾曲及び/又は圧縮し、このような湾曲及び/又は圧縮によって適切なシールが容易になる場合がある。アクチュエータ251が装着者によって解放されると、弾性部材がシーリングパッド252を、シール面246との密封係合から離れる方向に付勢することにより、アクチュエータ251が開位置に戻ることができる。一部の例示的な実施形態では、例えば遮断弁150について前述したように、装着者が呼気するか又は第2のチャンバ222内の圧力がもはや弾性部材の力に打ち勝つのに十分ではなくなるまで、遮断弁250はマスク内の陰圧によって閉位置に留まってもよい。
【0040】
例示的な実施形態では、エラストマー製ボタンの形態のアクチュエータ251が弾性部材として働き、この弾性部材は、シーリングパッド252を、シール面246との密封係合から離れる方向に開位置に向けて付勢する。アクチュエータ251は、アクチュエータ251を支持する及び/又は遮断弁250を開位置まで付勢するための、マスク本体220の外壁223に取り付けられた可撓性織物256を含んでいてもよい。可撓性織物256を形成しているのは、可撓性の又は柔軟な材料であって、アクチュエータ251を装着者が内方に押圧したときに弾力的に変形する材料である。閉位置では、可撓性織物256が湾曲及び/又は変形してシーリングパッド252をシール面246の方に移動させることができる。可撓性織物256が、遮断弁が開位置にある本来の構成に繰り返し戻ることができるように、可撓性織物256の湾曲及び/又は変形は、弾性領域に限定されるのが望ましい。
【0041】
他の弾性部材を、可撓性織物256の代わりに又はそれに加えて設けても良い。様々な例示的な実施形態では、コイルバネ、板バネ、エラストマーバンド、又は当該技術分野で既知の他の好適な弾性部材を設けて、アクチュエータ251及びシーリングパッド252を開位置まで付勢しても良い。その代わりに又はそれに加えて、バネ押し部材をシーリングパッド252の表面上に設けて、アクチュエータ251及び遮断弁250をシール面246から離れるように開位置まで付勢しても良い。
【0042】
図3a及び3bに例示するのは、旋回シーリングパッドを有する遮断弁350の例示的な実施形態である。例示的な実施形態では、遮断弁350はアクチュエータ351とシーリングパッド352とを含んでいる。
図1a〜
図1dを参照して前述した呼吸保護装置100と同様に、遮断弁350を、例えば、第1のチャンバ321と、第2のチャンバ322によって画定される呼吸可能空気ゾーンとを含む呼吸保護装置内に組み込んでも良い。例示的な実施形態では、第1及び第2のチャンバ321、322は、流体取入連通部品340を含む内壁324によって分離されている。流体取入連通部品340は1又は複数の開口部を含んで、第1のチャンバ321と第2のチャンバ322との間の流体連通を実現している。流体取入連通部品340は、第1のチャンバ321と第2のチャンバ322との間の流体連通を選択的に可能にするための吸気弁を含んでいても良い。例示的な実施形態では、流体取入連通部品340はダイアフラム又はフラップ(図示せず)を含んでいて、空気が、吸気中に第1のチャンバから第2のチャンバ内に引き込まれる場合はあるが、空気が第2のチャンバから第1のチャンバ内に進むことはないようになっている(これは、例えば流体取入連通部品140を参照して前述した通りである)。
【0043】
例示的な実施形態では、遮断弁350は、アクチュエータ351とシーリングパッド352とを含んでいる。閉位置では、シーリングパッド352は内壁324に接触して吸気ポート341をブロックし、2つ以上の呼吸用空気源と第2のチャンバ322によって画定される呼吸可能空気ゾーンとの間の流体連通を妨げる。遮断弁350が閉位置にあるとき、呼吸用空気源部品(図示せず)からの空気は、第1のチャンバ321と流体連通しているが、第2のチャンバ322によって画定される呼吸可能空気ゾーンに流体取入連通部品340を通って入ることはできない。例示的な実施形態では、シーリングパッド352は、吸気ポート341を囲むシール面346と接触している。シール面346を、内壁324から外側に延びる隆起部又は突出部の形態にして、適切なシールを吸気ポート341の周辺に実現できるようにしても良い。
【0044】
遮断弁350を、開位置(
図3a)と閉位置(
図3b)との間で切り換わるように動作させても良い。例示的な実施形態では、アクチュエータ351はボタン(例えば、オーバーモールドされたエラストマー製押しボタン、スライド可能ボタンなど)であり、このボタンは、装着者によって内側に押圧されると、シーリングパッド352がシール面346に接触するまでシーリングパッド352を旋回位置359で旋回させることができる。
図3aに示す開位置では、例えば、ダイアフラム又はフラップが許す範囲で、空気が吸気ポート341を通って、第2のチャンバ322によって画定される呼吸可能空気ゾーン内に入ることができる。
図3bに示す閉位置では、シーリングパッド352はシール面346と密封係合して、空気が吸気ポート341を通るのを妨げている。シーリングパッド352の少なくとも一部が、アクチュエータ351に印加された力が原因で湾曲及び/又は圧縮しても良く、このような湾曲及び/又は圧縮によって適切なシールが容易になる。アクチュエータ251が装着者によって解放されると、弾性部材がアクチュエータ351を開位置まで付勢することにより、アクチュエータ351が開位置に戻ることができる。一部の例示的な実施形態では、例えば遮断弁150について前述したように、装着者が呼気するか又は第2のチャンバ322内の圧力がもはや弾性部材の力より大きくなくなるまで、遮断弁350はマスク内の陰圧によって閉位置に留まってもよい。
【0045】
例示的な実施形態では、エラストマー製ボタンの形態のアクチュエータ351が弾性部材として働き、この弾性部材は、シーリングパッド352を、シール面346との密封係合から離れる方向に開位置に向けて付勢する。アクチュエータ351は、アクチュエータ351を支持する及び/又は遮断弁350を開位置まで付勢するための、マスク本体320の外壁(図示せず)に取り付けられた可撓性織物356を含んでいてもよい。織物356を形成しているのは、可撓性の又は柔軟な材料であって、アクチュエータ351を装着者が内方に押圧したときに弾力的に変形する材料である。これを例えば
図3bに示す。一部の例示的な実施形態では、アクチュエータ351はシーリングパッド352に取り付けられていない。弾性部材(例えば可撓性織物356)はアクチュエータ351を開位置まで付勢し、1又は複数の更なる部材(例えばバネ部材357)は、シーリングパッド352を開位置まで付勢する。バネ部材357は、シーリングパッド352を開位置まで付勢する任意の好適なバネを含んでいても良い。該バネとしては、例えば、コイルバネ、板バネ、エラストマーバンド、又は当該技術分野で既知の好適な弾性部材が挙げられる。他の例示的な実施形態では、アクチュエータ351がシーリングパッド352に取り付けられており、弾性部材(例えば、可撓性織物及び/又はバネ部材357)が、アクチュエータ351とシーリングパッド352との両方を開位置まで付勢する。
【0046】
シーリングパッド352は軟質又は弾性材料の少なくとも一部を含んでいて、シーリングパッド352の少なくとも一部がシール面346との接触時に湾曲又は圧縮する場合があるようにしても良い。シーリングパッド352の少なくとも一部を剛性又は半剛性にして、アクチュエータ351からの力が、シーリングパッド352の、シール面346と接触する部分全体に伝達される場合があるようにしても良い。アクチュエータ351がシーリングパッド352を閉位置まで動かしたときにシーリングパッド352が過剰に湾曲すると、シーリングパッド352とシール面346との間にギャップが生じ、その結果、空気の侵入によって、正確な陰圧フィットチェックを行なうことができなくなる可能性がある。
【0047】
図4a及び4bに例示するのは、旋回シーリングパッドと、回転可能なアクチュエータとを有する遮断弁450の例示的な実施形態である。
図1a〜
図1dを参照して前述した呼吸保護装置100と同様に、遮断弁450が、例えば、第1のチャンバ421と、第2のチャンバ422によって画定される呼吸可能空気ゾーンとを含む呼吸保護装置に組み込まれていても良い。例示的な実施形態では、第1及び第2のチャンバ421、422は、流体取入連通部品440を含む内壁424によって分離されている。流体取入連通部品440は、1又は複数の開口部を含んで、第1のチャンバ421と第2のチャンバ422との間の流体連通を実現している。流体取入連通部品440は、第1のチャンバ421と第2のチャンバ422との間の流体連通を選択的に可能にするための吸気弁を含んでいても良い。例示的な実施形態では、流体取入連通部品440はダイアフラム又はフラップ(図示せず)を含んでいて、空気が、吸気中に第1のチャンバから第2のチャンバ内に引き込まれる場合はあるが、空気が第2のチャンバから第1のチャンバ内に進むことはないようになっている(これは、例えば流体取入連通部品140を参照して前述した通りである)。
【0048】
例示的な実施形態では、遮断弁450は、回転可能なアクチュエータ451とシーリングパッド452とを含んでいる。閉位置では、シーリングパッド452は内壁424に接触して吸気ポート441をブロックし、2つ以上の呼吸用空気源と第2のチャンバ422によって画定される呼吸可能空気ゾーンとの間の流体連通を妨げる。遮断弁450が閉位置にあるとき、呼吸用空気源部品(図示せず)からの空気は第1のチャンバ421と流体連通しているが、第2のチャンバ422によって画定される呼吸可能空気ゾーンに流体取入連通部品440を通って入ることはできない。例示的な実施形態では、シーリングパッド452は、吸気ポート441を囲むシール面446と接触している。シール面446を、内壁424から外側に延びる隆起部又は突出部の形態にして、適切なシールが吸気ポート441の周辺に実現できるようにしても良い。
【0049】
遮断弁450を、開位置(
図4a)と閉位置(
図4b)との間で切り換わるように動作させても良い。例示的な実施形態では、アクチュエータ451は、第1の位置と第2の位置との間で回転する場合がある回転可能なアクチュエータである。回転可能なアクチュエータ451が第1の位置にあるときに遮断弁450は開位置にあり、回転可能なアクチュエータ451が第2の位置にあるときに遮断弁450は閉位置にある。例示的な実施形態では、回転可能なアクチュエータ451は開位置と閉位置との間で90度だけ回転する。他の例示的な実施形態では、回転可能なアクチュエータ451は開位置と閉位置との間で45度、180度、又は他の好適な角度だけ回転する。回転可能なアクチュエータ451はカム458を含んでいる。回転可能なアクチュエータ451が回転すると、カム458がシーリングパッド452をシール面446の方に押し、カム458が旋回位置459で旋回することが、シーリングパッド452がシール面446に接触するまで行なわれる。
図4bに示す閉位置では、シーリングパッド452はシール面446と密封係合して、空気が吸気ポート441を通るのを妨げている。シーリングパッド452の少なくとも一部が、アクチュエータ451に印加された力が原因で湾曲及び/又は圧縮しても良く、このような湾曲及び/又は圧縮によって適切なシールが容易になる。例示的な実施形態では、回転可能なアクチュエータが装着者によって解放されると、回転可能なアクチュエータ451は、弾性部材(図示せず)によって開位置に戻る。弾性部材は、例えば、ねじれバネ又は当該技術分野で既知の他の好適な弾性部材であっても良い。他の例示的な実施形態では、回転可能なアクチュエータ451が開位置に戻るのは、装着者が更に力を加えたときのみである。アクチュエータ451は、例えば装着者がアクチュエータ451を第1の位置まで回転させるまで第2の位置に留まって、遮断弁450が閉位置にあるようにする。バネ部材457は、シーリングパッド452を開位置まで付勢する。バネ部材457は、シーリングパッド452を開位置まで付勢する任意の好適なバネを含んでいても良い。該バネとしては、例えば、コイルバネ、板バネ、エラストマーバンド、又は当該技術分野で既知の好適な弾性部材が挙げられる。
【0050】
シーリングパッド452は、軟質又は弾性材料の少なくとも一部を含んで、シーリングパッド452の少なくとも一部が、シール面446との接触時に湾曲又は圧縮する場合があるようにしても良い。シーリングパッド452の少なくとも一部を剛性又は半剛性にして、アクチュエータ451からの力が、シーリングパッド452の、シール面446と接触する部分全体に伝達される場合があるようにしても良い。開位置と閉位置との間を所定の角度で回転することができる回転可能なアクチュエータ451であって、シーリングパッド452を閉位置まで移動させるカム458を有するアクチュエータ451であれば、シーリングパッド452が閉位置に動く度に、一様な力がシーリングパッド452まで伝達される。こうして、望ましいシールを形成する適切な力が容易かつ常に実現される。
【0051】
回転可能なアクチュエータは、使いやすさ、及び陰圧フィットチェックの実行中に生じるマスク本体のフィットに対する影響の軽減といった、いくつかの利点を提供すると考えられる。回転可能なアクチュエータが回転するには、装着者の顔面に向かう方向の力は必要ではない。そのため、マスク本体と装着者の顔面との間の自然接触が変わらない場合がある。したがって、正確な陰圧フィットチェックを実現することができる。
【0052】
図5a〜5cに例示するのは、鼻部及び口部を覆って呼吸可能空気を装着者に送ることができる例示的な呼吸保護装置500である。呼吸保護装置500はマスク本体520を含み、マスク本体520は第1及び第2の入口ポート503及び504を含んでいる。第1及び第2の呼吸用空気源部品(図示せず)は、マスク本体520の対向する側面上に位置付けられても良い。例示的な実施形態では、第1及び第2の呼吸用空気源部品は、第1及び第2の入口ポート503及び504に取り付けられるように構成されたフィルタカートリッジである。フィルタカートリッジは、外部環境から受け取った空気を濾過することを、空気がマスク本体内の内部空間内に進んで装着者に対する送達を行なう前に行なう。
【0053】
マスク本体520は、剛性又は半剛性部分520aと、柔軟な顔面接触部分520bとを含んでいても良い。マスク本体の柔軟な顔面接触部分が従順に作られているのは、例えば、マスク本体を人の鼻部及び口部上方で快適に支持できるようにするため、並びに/又は装着者の顔面との適切なシールを実現してマスク本体520の内部への望ましくない空気侵入を制限するためである。顔面接触部材520bは内曲したカフを有していても良く、それにより、マスクは装着者の鼻部の上方で及び装着者のほおに接触して、快適かつぴったりとフィットすることができる。剛性又は半剛性部分520aによってマスク本体520に対する構造的完全性が得られるため、剛性又は半剛性部分520aによって呼吸用空気源部品(例えば、フィルタカートリッジなど)を適切に支持することができる。複数の例示的な実施形態では、マスク本体部分520a及び520bを一体的に設けても良いし、又は別個に形成された部分として設けた後、永続的又は取り外し可能な方法で互いに接合しても良い。
【0054】
呼気ポート530によって、装着者による呼気中に空気をマスク本体内の内部空間からパージすることができる。例示的な実施形態では、呼気ポート530はマスク本体520の中心に配置されている。呼気弁を呼気ポートにフィットさせて、呼気時にマスク本体520内に形成される陽圧によって空気が出られるようになっているが、外部空気の侵入は防がれている。
【0055】
第1及び第2の入口ポート503、504は、第1及び第2の呼吸用空気源部品を受け入れるように構成されている。
図5aに示す例示的な実施形態では、マスク本体520は、第1及び第2の入口ポート503、504をマスク本体520の両側に含んでおり、マスク本体520のほお部分に隣接していても良い。第1及び第2の入口ポート503、504は相補的なはめ合い特徴部を含んでいて、第1及び第2の呼吸用空気源部品(図示せず)がマスク本体520に確実に取り付けられることができるようになっている。当該技術分野で既知の他の好適な接続部を設けても良い。はめ合い特徴部によって取外し可能な接続部が得られて、呼吸用空気源部品の耐用年数の終わりに又は異なる呼吸用空気源部品を用いることが要求された場合に、呼吸用空気源部品の取り外し及び交換を行えるようになっていても良い。代替的に、接続を永続的なものにして、例えば、呼吸用空気源部品に損傷を与えることなく呼吸用空気源部品を取り外すことができないようにしても良い。
【0056】
呼吸保護装置500は、複数の流体取入連通部品を閉じるための遮断弁550を含んでいる。例示的な実施形態では、遮断弁550は閉位置と開位置との間で動作可能である。閉位置では、遮断弁550によって、入口ポート503及び504における両方の呼吸用空気源部品と、マスク本体520の呼吸可能空気ゾーンとの間の流体連通が妨げられている。
【0057】
遮断弁550によって、装着者は陰圧フィットチェックを行なって、マスク本体の周縁に漏れが存在する表示を得ることができる。遮断弁550が閉位置にあるとき、空気がマスク本体520の呼吸可能空気ゾーンに入ることが妨げられる。遮断弁が閉位置にある間に装着者による吸気があると、マスク内に陰圧が生じ、一部の例示的な実施形態では、マスク本体と装着者の顔面との間に適切なシールが実現されている場合には、柔軟な顔面接触部材を内側に撓ませる場合がある。適切なシールが実現されていない場合、吸気が起きると、外部環境からの空気がマスク本体の周縁部と装着者の顔面との間の呼吸可能空気ゾーンに入る場合がある。このように、適切なシールが呼吸保護装置500と装着者の顔面及び/又は頭部との間で実現されているかを判定するために、呼吸保護装置500を着用している装着者が、陰圧フィットチェックを容易に行なうことが可能である。
【0058】
第1及び第2の呼吸用空気源部品(例えばフィルタカートリッジ)を第1及び第2の入口ポート503、504に取り付けても良い。それに応じて、第1の呼吸用空気源部品を通った後に第1の入口ポート503を通ってマスク本体520に入った空気は、第1の流体取入連通部品540aを通って呼吸可能空気ゾーン522に入る場合があり、第2の呼吸用空気源部品を通った後に第2の入口ポート504を通ってマスク本体520に入った空気は、第2の流体取入連通部品540bを通って呼吸可能空気ゾーン522に入る場合がある。したがって、第1及び第2の呼吸用空気源501、502からの空気は、異なる流体取入連通部品540a、540bを通って呼吸可能空気ゾーン522に入る。第1及び第2の流体取入連通部品540a、540bはそれぞれ、1又は複数の開口部を含んでいて、第1及び第2の入口ポート503、504と呼吸可能空気ゾーン522との間の流体連通を実現している。第1及び第2の流体取入連通部品540a、540bはそれぞれ、第1及び第2の入口ポート503、504と呼吸可能空気ゾーン522との間の流体連通を選択的に可能にするための吸気弁を含んでいても良い。
【0059】
例示的な実施形態では、遮断弁550は、アクチュエータ551と、第1及び第2のシーリングパッド552a、552bとを含んでいる。アクチュエータが押し下げられると、第1及び第2のシーリングパッド552a、552bが第1及び第2の吸気ポートをブロックして、2つ以上の呼吸用空気源と呼吸可能空気ゾーン522との間の流体連通を妨げる。例示的な実施形態では、第1及び第2のシーリングパッド552a、552bは作動面547a、547bを含んでおり、アクチュエータ551はこれら作動面に接触して、シーリングパッド552a、552bに第1及び第2の吸気ポートをブロックさせる。例示的な実施形態では、シーリングパッド552a、552bは、それぞれ、第1及び第2の吸気ポート541a、541bを囲む第1及び第2のシール面546a、546bと接触している。シール面546a、546bを、マスク本体520又は第1及び第2の流体取入連通部品540a、540bの内面から外側に延びる隆起部又は突出部の形態にして、適切なシールを吸気ポート541a及び541bの周辺に実現できるようにしても良い。
【0060】
遮断弁550を、開位置(
図5b)と閉位置(
図5c)との間で切り換わるように動作させても良い。例示的な実施形態では、アクチュエータ551は、ボタン(例えば、オーバーモールドされたエラストマー製押しボタン、スライド可能ボタンなど)であり、このボタンは、装着者によって内側に押圧されると、第1及び第2のシーリングパッド552a、552bが第1及び第2の流体取入連通部品540a、540bのシール面546a、546bに接触するまで、第1及び第2のシーリングパッド552a、552bを旋回位置559a、559b(図示せず)の周りで旋回させることができる。
図5bに示す開位置では、ダイアフラム又はフラップ(図示せず)が許す範囲で、空気が吸気ポート541a、541bを通って呼吸可能空気ゾーン522内に入ることができる。
図5cに示す閉位置では、シーリングパッド552aはシール面546aと密封係合して、空気が吸気ポート541aを通るのを妨げている。アクチュエータ551が装着者によって解放されると、弾性部材がアクチュエータ551を開位置まで付勢することにより、アクチュエータ551が開位置に戻ることができる。一部の例示的な実施形態では、例えば遮断弁150について前述したように、装着者が呼気するか又は呼吸可能空気ゾーン522内の圧力がもはや弾性部材の力より大きくなくなるまで、遮断弁250はマスク内の陰圧によって閉位置に留まってもよい。
【0061】
例示的な実施形態では、エラストマー製ボタンの形態のアクチュエータ551が弾性部材として働いて、アクチュエータ551を開位置の方に付勢する。アクチュエータ551は、アクチュエータ551を支持する及び/又は遮断弁550を開位置まで付勢するための、マスク本体520の外壁523に取り付けられた可撓性織物556を含んでいてもよい。可撓性織物556を形成しているのは、可撓性の又は柔軟な材料であって、アクチュエータ551を装着者が内方に押圧したときに弾力的に変形する材料である。これを例えば
図5cに示す。閉位置では、可撓性織物556が湾曲及び/又は変形してシーリングパッド552a、552bを旋回させることが、例えば作動タブ547a、547bに接触することによって行なわれる。エラストマー織物が、遮断弁が開位置にある本来の構成に繰り返して戻ることができるように、エラストマー織物の湾曲及び/又は変形は、弾性領域に限定されるのが望ましい。
【0062】
例示的な実施形態では、アクチュエータ551はマスク本体520に取り付けられていて、シールがアクチュエータ551とマスク本体520との間に形成されるようになっている。例えば、アクチュエータ551の一部をマスク本体520に接合して適切なシールを得ることを、例えばオーバーモールドによって行なっても良い。他の好適なシールを、ガスケット、フランジ、接着剤、締まり嵌め、成形技術、音波溶接、及び当該技術分野で既知の好適な技術を用いて設けても良い。アクチュエータ551に隣接するシールが十分であれば、遮断弁550が開位置、閉位置、又は中間位置のときに外部環境から未濾過の空気が侵入するのが妨げられる。
【0063】
他の弾性部材を、アクチュエータ551の可撓性織物の代わりに又はそれに加えて設けても良い。一部の例示的な実施形態では、アクチュエータ551はシーリングパッド552a、552bに取り付けられていない。弾性部材(例えば可撓性織物556)がアクチュエータ551を開位置まで付勢し、1又は複数の更なる部材(例えばバネ部材558a、558b)がシーリングパッド552a、552bを開位置まで付勢する。バネ部材558a、558bは、シーリングパッド552a、552bを開位置まで付勢する任意の好適なバネを含んでいても良く、例えば、コイルバネ、板バネ、エラストマーバンド、又は当該技術分野で既知の好適な弾性部材が挙げられる。一部の例示的な実施形態では、アクチュエータ551がシーリングパッド552a、552b及び弾性部材(例えば可撓性織物)に取り付けられており、並びに/又は1若しくは複数のバネ部材558a、558bによってアクチュエータ551及びシーリングパッド552a、552bが両方とも開位置に向かって付勢される。
【0064】
本開示による呼吸マスクによっていくつかの利点が得られる。閉位置と開位置との間で動作可能な遮断弁によって、装着者は陰圧フィットテストを容易に行なうことができる。入口ポートを閉じる遮断弁によって、例えば、適切なシールがマスクの周縁部とユーザの顔面との間に存在することを検証するための、従来の陽圧フィット装置と比べてより効果的で再現可能なフィットチェックが実現されると考えられる。したがって、本開示による呼吸マスクは、例えば従来の多くの装置ではアクセス不可能で容易には閉じなかった入口弁を閉じることに対する解決方法を提供することができる。前述した呼吸マスクによって、陰圧フィットテストを単一の弁を閉じることによって行なうことが、マスクが複数の呼吸用空気源部品又はより多くの入口ポートを含む場合があったとしても可能であり、例えば、装着者が複数のアクチュエータと嵌合することも、各入口ポート又は呼吸用空気源部品に対して個々の試験を行なうことも必要としない。本明細書で説明した遮断弁は、ハーフフェイス人口呼吸器、フルフェイス人口呼吸器、動力付き又は陽圧人口呼吸器、及び他の好適な呼吸保護装置に適している場合がある。
【0065】
上記の詳細な説明及び実施例は、理解を明確にするためにのみ示したものである。詳細な説明及び実施形態から不必要な限定が何らなされることはない。当業者には明らかであるように、本開示の範囲から逸脱することなく、説明した実施形態において多くの変形を行なうことができる。上記の実施形態のいずれかに関して記載されたいずれかの特徴又は特性は、個別に、又は他のいずれかの特徴又は特性と組み合わせて組み込むことができ、単に説明を明瞭にするために上記の順番及び組み合わせで提示されている。したがって、本開示の範囲は、本明細書で説明した厳密な詳細及び構造に限定されるべきではなく、むしろ請求項の言葉で説明されている構造及びこれらの構造の均等物によって限定されるべきである。