特許第6395738号(P6395738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395738
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】MRI安全装置手段
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20180913BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   A61B5/055 362
   H05K9/00 H
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-562550(P2015-562550)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公表番号】特表2016-511051(P2016-511051A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】IL2014050245
(87)【国際公開番号】WO2014141246
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年2月13日
(31)【優先権主張番号】61/778,499
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508135530
【氏名又は名称】アスペクト イメージング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(72)【発明者】
【氏名】ラポポルト,ウリ
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−289670(JP,A)
【文献】 特開2000−312088(JP,A)
【文献】 特開2008−017989(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0242817(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0194790(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製物体が磁気共鳴装置(MRD、110)の磁場によって引き寄せられて当該MRDの開口(102)を通り開放ボア(103)に向かって侵入するのを回避するために前記MRD(110)と組み合わせて使用するための磁気遮蔽機構(MSM、200)であって、前記MSM(200)が前記MRD(110)の外に前記MRDの開口(102)から距離Lに付着されている少なくとも1つの磁石を備えていることを特徴するMSMにおいて、前記少なくとも1つの磁石(200)によって生成される磁場(BMSM)の強度は、金属製物体が前記MRD(110)の前記開放ボア(103)の中へ引き寄せられてゆくのではなしに前記MSM(200)に向かって引かれることになるように、前記距離Lでの前記MRD(110)によって生成されるフリンジング磁場(BF/L)の強度より大きくなるように選択されている、MSM。
【請求項2】
前記MSMは、前記開口を少なくとも部分的に取り囲むリムとして構成されている、請求項1に記載のMSM。
【請求項3】
前記MSMは、前記リムの円周の少なくとも一部に沿って配置されている複数の磁石のアレイを備えている、請求項2に記載のMSM。
【請求項4】
前記MSMは、前記開放ボアの主長手方向軸に沿っ可逆的に往復動するように構成されている、請求項1に記載のMSM。
【請求項5】
前記MRDとの通信手段を更に備えている請求項1に記載のMSM。
【請求項6】
前記MSMは、ゲートと、前記MRDと通信しているゲート警報機構と、を更に備えており、前記ゲート警報機構は金属製物体が前記ゲートを介して侵入すると起動される、請求項1に記載のMSM。
【請求項7】
属探知機と通信するための通信手段をさらに備える、請求項1に記載のMSM。
【請求項8】
前記MSMは、当該MSMを1つより多い既定場所に位置付けできるように前記MRDの開口に対して可動である、請求項1に記載のMSM。
【請求項9】
磁気共鳴装置(MRD、110)であって、開放ボア(103)と、開口(102)と、金属製物体が前記MRD(110)の磁場によって引き寄せられて前記開口(102)を通り前記開放ボア(103)に向かって侵入するのを回避するための少なくとも1つの磁気遮蔽機構(MSM、200)と、を備えているMRDにおいて、前記MSM(200)が前記開放ボア(103)の外に前記MRDの開口(102)から距離Lに付着されている少なくとも1つの磁石を備えていることを特徴しており、前記少なくとも1つの磁石によって生成される磁場(BMSM)の強度は、前記金属製物体が前記MRD(110)の前記開放ボア(103)の中へ引き寄せられてゆくのではなしに前記MSM(200)に向かって引かれることになるように、前記距離Lでの前記MRD(110)によって生成されるフリンジング磁場(BF/L)の強度より大きくなるように選択されている、MRD。
【請求項10】
前記MSMは、前記開口を少なくとも部分的に取り囲むリムとして構成されている、請求項に記載のMRD。
【請求項11】
前記MSMは、前記リムの円周の少なくとも一部に沿って配置されている複数の磁石のアレイを備えている、請求項10に記載のMRD。
【請求項12】
前記MSMは、前記開放ボアの主長手方向軸に沿って可逆的に往復動するように構成されている、請求項に記載のMRD。
【請求項13】
請求項に記載のMRDと、前記MRDと少なくとも1つのMSMの間の通信手段と、を備えているMRDシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのMSMは、ゲートと、前記MRDと通信しているゲート警報機構と、を更に備えており、前記ゲート警報機構は金属製物体が前記ゲートを介して侵入すると起動される、請求項13に記載のMRDシステム。
【請求項15】
前記MSMは金属探知機と通信するための通信手段を備えている、請求項に記載のMRD。
【請求項16】
前記MSMは、当該MSMを1つより多い既定場所に位置付けできるように前記MRDの開口に対して可動である、請求項に記載のMRD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、撮像処置中の磁場に関係する安全に、より厳密にはMRI診断に関わる人員及び機器の保護に、関連する。
【背景技術】
【0002】
[0002]一般にMRIシステム内の静磁場は約0.5Tより大きく、その様なシステムには3Tを上回る静磁場を有するものもある。これらの磁場は静磁石の近傍の金属物体を引き寄せようとする。分析したい被写体を進入させる開口部の様なMRIの開口部の近傍に物体があれば、当該物体はMRIの内部から取り出すのに非常な困難を来たすことになりかねない。なお悪いことに、病院内に配置されている患者撮像用のMRIでは、その様な磁気フリンジング場は、患者にとって致命的ではないにしても身体上危険となり得る。
【0003】
[0003]高い場強度からのフリンジ場は、概算で方程式X=αBによって求められる距離に伸びていることもあり、ここにαは磁石ボアサイズ及び磁場構成に依存する定数である。非遮蔽1.5T磁石は、磁石の中心からの距離〜9.3mに1mTのフリンジ場、11.5mに0.5mT場、14.1mに0.3mT場を有する。磁気フリンジ場の広がりを小さくするのに、受動的磁気遮蔽(磁石に近接の厚肉金属壁)及び能動的磁気遮蔽(磁石ハウジング内に設置される電磁石システム、超伝導磁石、米国特許第5,883,558号、米国特許第5,565,831号、が適用されている。MRD開口部の周囲の遮蔽されたフリンジ場の距離は約2m又はそれ以下まで小さくなる。
【0004】
[0004]磁気フリンジ場境界の実現可能な縮小にもかかわらず、その様な場の存在はMRD近傍での上述されている危険の余地を与える。それ故に、解放されている金属物体がフリンジ場及びMRDボアに進入するのを防ぎ患者を金属製器械から保護する自動的で安全な手段を提供することが長年に亘って切実に必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,883,558号
【特許文献2】米国特許第5,565,831号
【発明の概要】
【0006】
[0005]本発明の一目的は、金属製物体がMRI装置(MRD)の開口を通って磁場(B)が最大化されている開放ボアに向かって侵入するのを回避するための磁気遮蔽機構(MSM)のためのシステムにおいて、MRDは開口からの距離(L)増加に伴って減少するフリンジング磁場(BF/L)を発生させており、MSMは磁場BMSMを有する少なくとも1つの磁石を備えており、MSMはMRDの開口から距離LMSMに付着されており、ここに、任意の距離Lにて、BMSM>>BF/Lである、磁気遮蔽機構のためのシステムを開示することにある。
【0007】
[0006]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMSMが、開放ボアを少なくとも部分的に取り囲むリムとして構成されている、というところにある。
【0008】
[0007]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMSMが、リムの円周の少なくとも一部に沿って配置されている複数の磁石のアレイを備えている、というところにある。
【0009】
[0008]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMSMが、開放ボアへの同ボアの主長手方向軸に沿った出入りを可逆的に往復動式に操縦するように構成されている水平患者ベッド又はガントリー(ひとまとめに「ガントリー」と定義)と関連付けられており、MSMは、(i)ガントリーの少なくとも一部分を取り囲んでいる、(ii)ガントリーへ接続して配置されている、(iii)ガントリーの少なくとも一部分の内に又は上に備えられている、及びそれらの組合せ、から成る群のうちの1つへ適合されている、というところにある。
【0010】
[0009]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMSMが、複数の磁石を備えている、というところにある。
【0011】
[0010]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMSMが、アレイ状に提供されている複数の磁石を備えている、というところにある。
【0012】
[0011]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMSMが、医療装置、針、及び外科用器械、実験用品、衣類、衣料品、及び履物、鉄ベースの材料、ニッケル合金、及びフェライト系及びマルテンサイト系結晶構造のステンレス鋼、及びそれらの何れかの組合せ、から成る群より選択されている金属製物体を備えている、というところにある。
【0013】
[0012]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMSMが、通信手段を備えていて、それによりMRDとの遠隔接続を提供している、というところにある。
【0014】
[0013]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMSMが、少なくとも1つのMSMと通信している警報機構と関連付けられており、更には、少なくとも1つのMSMがゲートへ接続して提供されていて金属製器械がゲートを介して侵入すると警報が発せられる、というところにある。
【0015】
[0014]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMSMが、MRD防護機構(GM)と関連付けられていて、GMは、(i)MRDの開口遮断機構、(ii)磁場シャッター、(iii)1つ又はそれ以上のMSM、及びそれらの何れかの組合せ、からなる群より選択されており、警報機構は金属製器械がゲートを介して侵入するときGMと通信している、というところにある。
【0016】
[0015]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMSMが金属探知機と通信している、というところにある。
【0017】
[0016]本発明の別の目的は、上記MSMの何れかに定義されているMSMが可搬式である、というところにある。
【0018】
[0017]本発明の別の目的は、MRDであって、金属製物体がMRDの開口を通って磁場(B)が最大化されている開放ボアに向かって侵入するのを回避するための1つ又はそれ以上の磁気遮蔽機構(MSM)を備えているMRDにおいて、MRDは開口からの距離(L)増加に伴って減少するフリンジング磁場(BF/L)を発生させており、MSMは磁場BMSMを有する少なくとも1つの磁石を備えており、MSMはMRDの開口から距離LMSMに付着されており、更に、任意の距離Lにて、BMSM>>BF/Lである、MRDにある。
【0019】
[0018]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMRDが、開放ボアを少なくとも部分的に取り囲むリムとして構成されている、というところにある。
【0020】
[0019]本発明の別の目的は、MRDが、リムの円周の少なくとも一部に沿って配置されている複数の磁石のアレイを備えている、というところにある。
【0021】
[0020]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMRDにおいて、MRDが、開放ボアへの同ボアの主長手方向軸に沿った出入りを可逆的に往復動式に操縦するように構成されている水平患者ベッド又はガントリーを追加的に備えており、MSMは、(i)ガントリーの少なくとも一部分を取り囲んでいる、(ii)ガントリーへ接続して配置されている、(iii)ガントリーの少なくとも一部分の内に又は上に備えられている、及びそれらの組合せ、から成る群のうちの1つへ適合されている、というところにある。
【0022】
[0021]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMRDが、MSMを備えており、MSMが複数の磁石を備えている、というところにある。
【0023】
[0022]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMRDが、MSMを備えており、当該MSMでは複数の磁石がアレイ状に提供されている、というところにある。
【0024】
[0023]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMRDにおいて、金属製物体が、医療装置、針、及び外科用器械、実験用品、衣類、衣料品、及び履物、鉄ベースの材料、ニッケル合金、及びフェライト系及びマルテンサイト系結晶構造のステンレス鋼、及びそれらの何れかの組合せ、から成る群より選択されている、というところにある。
【0025】
[0024]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMRDが、以上に定義されているMSMと遠隔に関連付けられている、というところにある。
【0026】
[0025]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMRDが、少なくとも1つのMSMと通信している警報機構を備えており、少なくとも1つのMSMはゲートへ接続して提供されていて金属製器械がゲートを介して侵入すると警報が発せられる、というところにある。
【0027】
[0026]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMRDが、MRD防護機構(GM)を更に備えていて、GMは、(i)MRDの開口遮断機構、(ii)磁場シャッター、(iii)1つ又はそれ以上のMSM、及びそれらの何れかの組合せ、からなる群より選択されており、警報機構は金属製器械がゲートを介して侵入するときGMと通信している、というところにある。
【0028】
[0027]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMRDが、金属探知機と通信しているMSMと関連付けられている、というところにある。
【0029】
[0028]本発明の別の目的は、上記の何れかに定義されているMRDにおいて、MSMが可搬式である、というところにある。
【0030】
[0029]本発明及びその実際の実施形をより深く理解するために、これより複数の実施形態を専ら非限定的な例として添付図面を参照しながら説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】[0030]最大磁場が印加されている関心体積(103)を有する開放ボアと、ボアに隣接するMSM(200)と、を有しているMRI装置(110)の概略断面(側面図)を描いており(上側の図を参照)、下側の曲線は、VOIの中心(103、最大磁場104が印加されているところ)とボアの開口部を完全に通って提供されている理論上の線(102、はるかに小さいフリンジング磁場即ち磁石自体の外の磁場105が印加されているところ)と、MRDの周囲の外部環境(106、ゼロ磁場107が印加されているところ)の間の距離の関数としての磁場の強度を示している。
図2a】[0031]本発明の数例の実施形態による幾つかのMSMの概略前面図を描いたうちの1つである。
図2b】[0031]本発明の数例の実施形態による幾つかのMSMの概略前面図を描いたうちの1つである。
図2c】[0031]本発明の数例の実施形態による幾つかのMSMの概略前面図を描いたうちの1つである。
図2d】[0031]本発明の数例の実施形態による幾つかのMSMの概略前面図を描いたうちの1つである。
図2e】[0031]本発明の数例の実施形態による幾つかのMSMの概略前面図を描いたうちの1つである。
図2f】[0031]本発明の数例の実施形態による幾つかのMSMの概略前面図を描いたうちの1つである。
図3】[0032]本発明の他の実施形態の概略斜視図を描いており、MRD(110)は患者(1)がMRD内部での撮像前に載せられるガントリー(300)と関連付けられており、MSM(200)はガントリーと関連付けられている。
図4】[0032]本発明の他の実施形態の概略斜視図を描いており、MRD(110)は患者(1)がMRD内部での撮像前に載せられるガントリー(300)と関連付けられており、MSM(200)はガントリーと関連付けられている。
図5】[0033]MRD(110)及び/又はMRDのキャビネットへのゲート(400)を描いており、ゲートはMSM(200)と関連付けられている。
図6】[0034]1つ又はそれ以上の既定場所に構成することのできる可搬式又はそれ以外のやり方で動かすことのできるMSMと関連付けられているMRD(101)を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[0035]次に続く説明は、本発明の全ての章に平行して、当業者が発明を利用できるようにするために提供されており、この発明を実施する形態として発明者によって企図される最良の形態を示している。とはいえ、本発明の一般原理は、金属製物体がMRI装置の開口を通り開放ボアに向かって侵入するのを回避するための手段及び方法を提供するべく具体的に定義されているので、当業者には様々な修正が自明のものとなろう。
【0033】
[0036]「金属製物体」という用語は、これ以降、印可磁場に応えて磁場を発生させる、強磁性及びフェリ磁性金属の様な、何れかの金属を指す。
【0034】
[0037]これより図1を参照すると、最大磁場が印加されている関心体積(103)を備える開放ボアを有するMRI装置(110)の概略断面(側面図)が描かれている。ボアは開口(102)を有しており、そこを介して患者は検査される。図1は、更に、VOIの中心(103、最大磁場104が印加されているところ)とボアの開口部を完全に通って提供されている理論上の線(102、はるかに小さいフリンジング磁場即ち磁石自体の外の磁場105が印加されているところ)と、MRDの周囲の外部環境(106、ゼロ磁場107が印加されているところ)の間の距離の関数としての磁場の強度を示している(下側の曲線を参照)。図1は、更に、本発明の1つの実施形態により、ボアの開口部(102)のリムに隣接してMRDの外部分に配置されているリング形状の磁気遮蔽部材(MSM、200)を描いている。MSMの磁気強度(101、下側の曲線を参照)は、MRDのフリンジング磁場(同箇所、105)より有効に高い。過って開口部102に隣接して提供された金属製器械は、而して、磁力で引き寄せられて開放ボア内に配置されているMRDの磁石に向かって侵入してゆくのではなしに安全なやり方でMSM200に向かって磁力で引き寄せられることになる。
【0035】
[0038]なおも図1を参照して本発明の一例を示す。磁気シールド機構(MSM、200)は、手術道具、医療装置、及び鋭利な器械の様な金属製物体が、MRI装置(MRD、110)の開口(102)を通って磁場(B、104)が最大化されている開放ボア(103)に向かってゆく危険な侵入を回避するよう特別に適合されている。MRDは、開口(102)からの距離(L、曲線のx軸)増加に伴って減少するフリンジング磁場(BF/L、105)を備えている。MSM(200)は、磁場BMSM(101)を有する少なくとも1つの磁石を備えている。MSMは、MEDの外に当該MRDのVOIから距離LMSMに付着されており、ここでは例えば開口とMSMの間の距離は大凡ゼロであり、ここに、任意の距離Lにて、BMSM>>BF/Lである。
【0036】
[0039]次に、本発明の実施形態の幾つかの概略前面図を描いている図2aから図2fを参照する。図2aは、一例として上側の磁石201及び/又は下側の磁石202を備えるMSM(200)の1つの構成を提示している。図2bは、複数の磁石(201、202、等)を備えるMSM(200)の別の構成を提示している。図2bは、1つ又はそれ以上の連続した形状の磁石(201)を備えるMSM(200)の別の構成を提示している。図2bは、ボアの開口(102)の外に配置されている1つ又はそれ以上の磁石(201、202)を備えるMSM(200)の別の構成、すなわちゲート様MSM、を提示している。図2e及び図2fは、限定するわけではないが、MSM(200)の他の構成を提示しており、ここでは、リング様MSMが、MRDのガントリーの水平患者寝台(300)の上方に又は少なくとも部分的に取り巻いてなどにより提供されている。
【0037】
[0040]次に本発明の別の実施形態の概略斜視図を描いている図3を参照する。MRD(110)は患者(1)がMRD内での撮像前に載せられるガントリー(300)と関連付けられている。本発明のこの実施形態によれば、MSM(200)はガントリーと関連付けられていて、例えばMRDの開口(102)とは反対側に位置付けられている。MSMの磁気強度(101)は、その場所のフリンジング磁場(107)より有効に強く、VOI中に印加されている磁場(104)より有意に弱い。その上、MSMの磁場曲線(101)は非常に鋭い。磁性ガントリー(300)の上面図が図300Aに与えられている。
【0038】
[0041]次に、本発明の別の実施形態の概略斜視図を描いている図4を参照する。MRD(110)は、別の型式のガントリー(300)と関連付けられている。本発明のこの実施形態によれば、以上に説明されている様に、MSM(200)は当該ガントリーと関連付けられていて、例えばMRDの開口(102)とは反対側に位置付けられている。上の概略図に別途示されている様に、ガントリー300Dは、ガントリーの非磁性部分(300C)の周囲に磁性リム(300B)を備えている。MSMの磁気強度(101)は、その場所のフリンジング磁場(105−107)より有効に強く、VOI中に印加されている磁場(104)より有意に弱い。MSMの磁気曲線(101)は広い形状を有している。
【0039】
[0042]次に、本発明の別の実施形態の概略斜視図を描いている図5を参照する。MRD(110)及び/又はMRDのキャビネットへのゲート(400)がMSM(200)と関連付けられている。撮像されることになっている患者は、MRDの隣接環境に接近する前に当該MSMを通過するよう案内される。ゲート(400)内の磁場(101)は、当該場所の磁気フリンジング場(107)より有意に大きい。
【0040】
[0043]次に、発明の別の実施形態の概略斜視図を描いている図6を参照する。MRD(101)は、1つ又はそれ以上の既定場所に構成することのできる可搬式又はそれ以外のやり方で動かせるMSMと関連付けられている。本発明の1つの例では、MSMは、MEDのボア開口部に近接して(例えば、ボアの開口に、又は開口に隣接して)場所200Aに、又はMRDのガントリー(300)に沿って場所200bに、及びガントリーの端に近い別の遠隔場所200cに、位置付けられる。本発明の1つの実施形態では、MSMは、入れ子式の機械的機構を用いて、又は1つ又はそれ以上のレバー又は変換手段によって、又は何れかの他の有用な機構で、可逆的に往復動される。
【符号の説明】
【0041】
1 患者
101 MSM(磁気遮蔽機構)の磁気強度
102 開口、開口部
103 関心体積
104 最大印可磁場
105 フリンジング磁場
106 MRDの周囲の外部環境
107 フリンジング磁場、ゼロ磁場
110 MRD(MRI装置)
200 MSM(磁気遮蔽機構)
200a、200b、200c MSM位置付け場所
201 上側の磁石
202 下側の磁石
300、300A、300D ガントリー
300B ガントリー周囲の磁性リム
300C ガントリーの非磁性部分
400 ゲート
B 磁場
L 開口からの距離
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3
図4
図5
図6