(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)泥土混合槽内で建設発生土と再生骨材と水とを攪拌混合する泥土混合工程と、該泥土混合工程で得られた泥土の中から一定径以上の大固形物を除去する大固形物除去工程と、前記大固形物が除去された泥土中に含まれた建設発生土と再生骨材とが水中に分散化されるよう前記泥土混合工程の攪拌速度よりも速い速度で攪拌混合する泥土攪拌工程と、該泥土攪拌工程で得られた泥土を既設の生コン製造用プラントに泥土専用として新設した泥土計量容器内に移送する泥土移送工程と、前記泥土計量容器内の泥土をアジテータ車のミキシングドラム内へ投入するミキシングドラム投入工程と、を備えた泥土系の工程と、
(b)前記生コン製造用プラントでセメントと水とを混合してセメントペーストを得るセメントペースト化工程と、前記セメントペーストをアジテータ車のミキシングドラム内へ投入するミキシングドラム投入工程と、を備えたセメント系の工程と、
(c)前記アジテータ車のミキシングドラム内で投入された前記セメントペーストと泥土とを攪拌混合しつつ埋め戻し現場へ運搬する攪拌運搬工程と、
からなることを特徴とする生コン製造用プラントを用いた流動化処理土の製造方法。
(a)セメント及び砂利等の生コン原料を原料別に貯蔵する原料貯蔵容器、該原料貯蔵容器毎に設けた計量機、該計量機で計量した原料を投入し水加えて攪拌混合するミキサ、該ミキサで攪拌混合して得た生コンをアジテータ車に積み込むための積込みホッパ及びその下の荷受け空間を、プラント塔の上部から下部へ順に備えた既設の生コン製造用プラントと、
(b)前記生コン製造用プラントの外部に設けられ、
建設発生土と再生骨材と水とを攪拌混合可能な混合手段を備えた泥土混合槽と、含まれた前記建設発生土と再生骨材とが水中で分散化された泥土を得る攪拌手段を備えた泥土攪拌槽と、前記泥土混合槽から泥土攪拌槽へ泥土を移送可能に前記泥土混合槽と泥土攪拌槽との間に設けられた泥土移送手段と、該泥土移送手段により移送された泥土の中から大固形物を除去可能に前記泥土移送手段と泥土攪拌槽との間に設けられた大固形物除去機と、
(c)前記生コン製造用プラントの内部に泥土専用として新設され、
前記荷受け空間の上方に設けた泥土計量容器と、該泥土計量容器に上端部を接続すると共に下端部を前記積込みホッパの放出口近傍に開口させた泥土積込みパイプと、
(d)前記生コン製造用プラントの内部と外部との間に設けられ、
基端部を前記泥土攪拌槽に接続すると共に前記泥土計量容器に末端部を接続し、前記泥土攪拌槽内の泥土を前記泥土計量容器へ圧送可能な圧送ポンプを備えた泥土圧送パイプと、
からなることを特徴とする請求項1に記載の流動化処理土の製造方法を実施するための流動化処理土の製造装置。
【背景技術】
【0002】
建設、土木等の工事現場では大量の土が掘り出され、その後、埋め戻されることがあるが、その際、埋め戻し材として、土と水と固化材とを混合した流動化処理土が使用されている。
該流動化処理土が埋め戻し材として使用される理由は、水によって流動性が高まり、効率良くポンプでの埋め戻し作業ができ、狭小な隙間にも流し込むことができ、敷均し転圧作業が不要となり、又固化材によって埋め戻された後に土が固化されて不等沈下の防止などの地盤強化となるためである。
該流動化処理土は、通常、下記特許文献1の如く、土と水を混ぜた泥土と、固化材とを混合して製造されるが、原料として工事現場から得られる建設発生土を使用する場合には、土以外に大小様々な石やコンクリート片等も含まれることがあり、均一で高品質な流動化処理土を得ることが困難であった。
これに対して、安定した品質の流動化処理土を得るため、下記特許文献2の如く、骨材プラントで製造された骨材を原料にして生コン製造用プラントを利用した製造技術が提案されている。
該特許文献2で使用する原料土は、工事現場で発生する建設発生土を使用するものではなく、主として原石山で採取され、工場の骨材プラントで製造された原料が使用され、又固化材は生コン製造用プラントで製造した生モルタルが使用されるので、均質性の高い流動化処理土が得られる。
しかしながら、該特許文献2の発明では、建設現場等から掘り出された土を有効に再利用するというリサイクル思想がない。このため掘り出された多量の残土は無駄に捨てられてしまうこととなってしまうばかりではなく、捨てられた残土によって海や野山の環境が破壊される可能性があることが全く考慮されていない。
【0003】
一方、従来の生コン製造用プラントでは、塔上部の容器内にセメントや砂利等の生コン原料を夫々貯蔵して置き、それらの各原料の配合量を計量して攪拌容器に投入し、水を加えて攪拌混合して生コンが製造されているが、この搭状の生コン製造用プラントをそのまま利用して流動化処理土も製造することが行われている。
生コン製造用プラントで得られる生コンには、砂利、砂、セメントなど含まれる成分がJIS規格で規定され、その規格に合った原料以外の異物の混入した生コンは商品として販売することができない。
このため、生コン製造用プラントで生コンを製造し、且つ流動化処理土も製造しようとする場合、生コンの生産を維持するためには、土やセメントを入れた攪拌タンク内を生コンにとっての規格外の異物(土等)が残らないように流動化処理土の製造に使用した部分の装置内を綺麗に洗浄する必要があり、この洗浄作業が生産効率を大幅に低下させていた。
又、従来の生コン製造用プラントでは厳格な品質管理を必要とする生コンの製造の方が優先されるため、流動化処理土の製造に関しては装置が充実しておらず、均一で高品質の流動化処理土を提供することが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、既設の生コン製造用プラントを用いて、生コンと流動化処理土とが効率の良く交番して製造でき、且つ建設発生土等の原料から均一的で高品質の流動化処理土が製造できる方法と、その方法を実施するための装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の生コン製造用プラントを用いた流動化処理土の製造方法は、(a)泥土混合槽内で建設発生土と再生骨材と水とを攪拌混合する泥土混合工程と、該泥土混合工程で得られた泥土の中から一定径以上の大固形物を除去する大固形物除去工程と、前記大固形物が除去された泥土中に含まれた建設発生土と再生骨材とが水中に分散化されるよう前記泥土混合工程の攪拌速度よりも速い速度で攪拌混合する泥土攪拌工程と、該泥土攪拌工程で得られた泥土を既設の生コン製造用プラントに泥土専用として新設した泥土計量容器内に移送する泥土移送工程と、前記泥土計量容器内の泥土をアジテータ車のミキシングドラム内へ投入するミキシングドラム投入工程と、を備えた泥土系の工程と、(b)前記生コン製造用プラントでセメントと水とを混合してセメントペーストを得るセメントペースト化工程と、前記セメントペーストをアジテータ車のミキシングドラム内へ投入するミキシングドラム投入工程と、を備えたセメント系の工程と、
(c)前記アジテータ車のミキシングドラム内で投入された前記セメントペーストと泥土とを攪拌混合しつつ埋め戻し現場へ運搬する攪拌運搬工程と、からなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1の生コン製造用プラントを用いた流動化処理土の製造方法を実施するめの流動化処理土の製造装置であって、(a)セメント及び砂利等の生コン原料を原料別に貯蔵する原料貯蔵容器、該原料貯蔵容器毎に設けた計量機、該計量機で計量した原料を投入し水加えて攪拌混合するミキサ、該ミキサで攪拌混合して得た生コンをアジテータ車に積み込むための積込みホッパ及びその下の荷受け空間を、プラント塔の上部から下部へ順に備えた既設の生コン製造用プラントと、(b)前記生コン製造用プラントの外部に設けられ、建設発生土と再生骨材と水とを攪拌混合可能な混合手段を備えた泥土混合槽と、含まれた前記建設発生土と再生骨材とが水中で分散化された泥土を得る攪拌手段を備えた泥土攪拌槽と、前記泥土混合槽から泥土攪拌槽へ泥土を移送可能に前記泥土混合槽と泥土攪拌槽との間に設けられた泥土移送手段と、該泥土移送手段により移送された泥土の中から大固形物を除去可能に前記泥土移送手段と泥土攪拌槽との間に設けられた大固形物除去機と、(c)前記生コン製造用プラントの内部に泥土専用として新設され、前記荷受け空間の上方に設けた泥土計量容器と、該泥土計量容器に上端部を接続すると共に下端部を前記積込みホッパの放出口近傍に開口させた泥土積込みパイプと、(d)前記生コン製造用プラントの内部と外部との間に設けられ、基端部を前記泥土攪拌槽に接続すると共に前記泥土計量容器に末端部を接続し、前記泥土攪拌槽内の泥土を前記泥土計量容器へ圧送可能な圧送ポンプを備えた泥土圧送パイプと、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の流動化処理土の製造方法は、セメント系の工程においては、既設の生コン製造用プラントでセメントと水とが混合されてセメントペーストが作られ、一方、泥土系の工程においては、前記生コン製造用プラントの外部で建設発生土と再生骨材と水とが混合されると共に大固形物が除去されて、原料が水中に分散化された泥土が作られる。該泥土は前記生コン製造用プラントに新設した泥土専用の泥土計量容器に移送される。
そして、前記生コン製造用プラントで得られたセメントペーストと泥土計量容器内の泥土とは別々にアジテータ車の同じミキシングドラムの中に投入され、更に、攪拌運搬工程においては、アジテータ車のミキシングドラム内でセメントペーストと泥土の2種の流体を混合した時にみられる拡散現象を利用すると同時に攪拌を行い、攪拌混合されつつ埋め戻し現場へ運搬される。
【0009】
前記セメント系の工程では、既設の生コン製造用プラントの生コン製造ラインでセメントペーストを得るが、用いるセメントと水とは生コンの製造にも用いられる原料であり、この工程中には生コンにとって排除すべき異物は全く含まれない。
一方の泥土系の工程では、生コンにとって排除すべき異物である泥土が製造されるが、該泥土系の工程は前記セメント系の工程とは別の系統としたので、既設の生コン製造用プラントの生コン製造ラインには全く係わらない。
従って、生コン製造ラインに関連した装置が泥土で汚れることがないので洗浄などの後処理をせずに、流動化処理土を製造した直後でも、そのままで継続して高い品質の生コンを製造することができる。
そして、この結果、生コンの製造と流動化処理土の製造とを同じ生コン製造プラントで交番して連続的に行うことが可能となり、生コンの製造及び流動化処理土の製造効率を格段に高めることが可能となる。
又、攪拌運搬工程では、アジテータ車で運搬中に該アジテータ車のミキシングドラムの中でセメントペーストと分散化された泥土とが継続的に攪拌混合され、該アジテータ車が埋め戻し現場に到着前において、アジテータ車のミキシングドラムの中で流動化処理土が完成されることとなるので、埋め戻し現場には、高品質の流動化処理土をセメントの硬化が始まる前の適度のタイミングで流動性が高い状態で提供することができる。
更に、大固形物除去工程では、一定径以上の大きな石や廃コンクリート等の流動化処理土にとって不適な異物が除去されることで、製造中の泥土の移送では圧送ポンプへの過度の負荷を防止すると共に移送用のパイプを詰まらせることなく泥土を速やかに移送させることが可能となり、更に、埋め戻しに適した大固形物を含まない高品質の流動化処理土が得られ、埋め戻し場所では大固形物に拠って流し込み経路が妨害されることなく小さな隙間まで確実に流動化処理土を流し込むことが可能となる。
又、建設発生土は発生地によって種々多様のものとなるが、大固形物除去工程によって、建設発生土に含まれていた流動化処理土にとって不要な大きな固形物が除去されるので多様な建設発生土の使用が可能となり、この結果、廃棄されて環境破壊の原因となり得る多量の建設残土を埋め戻しに再利用することが可能となる。
更に、リサイクルされて分粒管理された再生骨材を適量混合することで、埋め戻し現場で要求される性能に応じた最適な品質の流動化処理土を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の流動化処理土の製造装置においては、既設の生コン製造用プラントの生コン製造ラインを使用してセメントペーストが製造され、泥土混合槽、攪拌混合槽及大固形物除去機等を使用して泥土が製造される。
前記泥土混合槽、攪拌混合槽及大固形物除去機等は生コン製造用プラントの外部に設けたので、大固形物が除去され、原料が水中に分散化された泥土を生コン製造用プラントの生コン製造ラインには全く入れずに製造することが可能となる。
そして、生コン製造用プラントには生コン製造ラインとは全く別に泥土専用として新設した泥土計量容器が設けられ、該泥土計量容器へ生コン製造用プラントの外部の攪拌混合槽から泥土移送手段を介して泥土が移送され、その泥土は泥土積込みパイプから、アジテータ車のミキシングドラム内へ投入されることとなる。
一方、生コンの製造ラインを使用して作られたセメントペーストは生コン製造ラインの積込みホッパを介してアジテータ車のミキシングドラム内へ投入され、セメントペーストと泥土は該アジテータ車のミキシングドラム内で初めて一緒となる。
以上の如く、泥土は生コン製造用プラントの生コンの製造ラインに全く混入させずに製造することができる。
そして、生コン製造用プラントの生コンの製造ラインではセメントペーストが製造されるが、セメントは生コン製造の際の洗浄すべき異物の対象とはならないので、生コンの製造と流動化処理土の製造の交番時に生コン製造用プラントの装置内をその都度洗浄することなく、同一の生コン製造用プラントを使用して、生コンも流動化処理土も共に継続的に製造可能となる。その結果、流動化処理土の製造効率を大幅に高めることが可能となる。
又、大掛かりな流動化処理土専用の製造用プラントを新たに建設する必要がないので製造装置の建設コストが大幅に削減可能となる。
そして、本製造装置により上記製造方法が確実に実施可能となり、効率良く高品質な流動化処理土が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、生コン製造用プラントを用いた流動化処理土の製造方法と、その製造方法を実施するための流動化処理土の製造装置であり、先ずその製造方法について説明する。
本発明の流動化処理土の製造方法は、
図1に示すように、(a)泥土系の工程である、泥土混合工程、大固形物除去工程、泥土攪拌工程、泥土移送工程及びミキシングドラム投入工程と、(b)セメント系の工程である、セメントペースト化工程及びミキシングドラム投入工程と、(c)攪拌運搬工程とで構成される。
前記泥土系の工程とセメント系の工程は、
図1中の一点鎖線で別々に囲って示され、セメント系の工程と泥土系の工程とは交わることなく別系統で行われることを示すものである。
又、破線で囲った工程は生コン製造用プラントの内部で行われる工程を示し、破線の外側の生コン製造用プラントの外部で行われる工程を区別している。
【0013】
これらの工程を前記泥土系の工程から以下詳しく説明する。
前記泥土系の工程中の前記泥土移送工程以前の工程は既設の生コン製造用プラントの外部で行う工程である。
前記泥土混合工程は、該生コン製造用プラントの外部近傍に設けられた泥土混合槽内で建設発生土と再生骨材と水を攪拌混合する工程である。
【0014】
本発明の流動化処理土とは、上記の如き建設、土木等の工事現場で埋め戻し用に使用されるもので、流し込み可能となるよう流動性が高く、且つ埋め戻された土が固化後一定の強度を発現する材料のことであり、再生骨材及び建設発生土の原料を水とセメントに混合して製造されたものをいう。
【0015】
本発明の原料である建設発生土は、建設現場の基礎工事や土木現場の土地掘削工事等の際に発生する再生利用が可能な土砂のことであり、それらの現場によって含まれる物質が異なり、砂、砂質土、赤土等の土の他に、大小や形状が様々な石やコンクリート片等の土砂とは言えない異物が混入することもある。
【0016】
本発明では、それら異物のうちポンプで圧送されパイプを通過できない大きな石や、埋め戻し現場で所望される排除したい石やコンクリート片等の大きな固形物を「大固形物」と呼ぶ。
埋め戻し作業は、圧送パイプで現場の窪み内等に流動化処理土を流し込んで行われるが、圧送パイプを流れ難い大きいな石等の大固形物は時間当たりの流出量を低下させ、又流し込まれた場所が小さな隙間である場合、その隙間への流路を塞いでしまい、その結果、流し残し箇所が発生してしまうおそれもあるので好ましくない。
【0017】
又、本発明の原料である再生骨材とは、建築解体工事等で発生するコンクリート等の廃棄物を破砕して小片や粒子状にし、これを分粒した骨材のことである。
本発明では、粒子の径が30mmアンダー、20mmアンダー、10mmアンダー等に分粒した骨材を適宜選択して使用し、通常、埋め戻し工事で使用される圧送パイプでは最大40mmアンダーの再生骨材が使用可能である。
【0018】
又、水は、井戸水、水道水、河川水等が使用でき、製造工程で得られる上澄水も再利用できる。
【0019】
上記各原料の配合量は、使用される埋め戻し現場によって自由に選択することが可能であるが、例えば、粒子の径が20mmアンダーの再生骨材を選択し、この選択した再生骨材と建設発生土とを同重量で混合することが可能である。また例えば、再生骨材と建設発生土とは重量で8対2や2対8等に自由に割合を選択して使用することが可能である。
【0020】
該泥土混合工程での攪拌混合の方法は、例えば、原料置き場にある原料を泥土混合槽に掬い入れるショベルカーのショベルを泥土混合槽に入れてゆっくりと掻き混ぜる方法が可能である。これで得られた泥土には、上記の如く建設発生土に含まれる大きな石やコンクリート片等の大固形物が混入することもあるので、泥土化することで、建設発生土の中の固形物を洗い出し、次の大固形物除去工程において容易に該固形物の中から一定径以上の大固形物を選別して除去できるようになる。
【0021】
次の大固形物除去工程では、上記の如く建設発生土には大きな石やコンクリート片等の大固形物が混入することもあるので、その原料の建設発生土に中に含まれていた一定径以上の大径の固形物を前記泥土混合工程で得られた泥土の中から除去する。
その方法は、例えば、一定径以上のものが残り、それ以下のものが通過する網を備えた篩いに入れることによって行うことができる。
又、使用される再生骨材の中にも除去したい径の骨材が含まれた場合には、この工程で除去することができる。
そして、得られた一定径以上の大径の固形物が除去され泥土は前記生コン製造用プラントの外部に設けた泥土攪拌槽内へ送られる。
【0022】
次の泥土攪拌工程は、前記大固形物除去工程で得られた一定径以上の大径の固形物が除去され泥土を、生コン製造用プラントの外部に設けた泥土攪拌槽内で、泥土中の建設発生土と再生骨材とが水中に分散されるまで十分に攪拌混合する工程である。
該泥土攪拌槽内の攪拌機は、例えば、建設発生土と再生骨材とが水中に分散化できるスクリュー回転式の攪拌機が使用でき、該攪拌機では速く回転させたスクリューによって建設発生土と再生骨材とが均一的に分散化されるまで十分に攪拌混合可能となる。
【0023】
なお、使用される再生骨材の粒径が小さい場合には、前記大固形物除去工程で除去される再生骨材がないので、前記泥土混合工程には投入せずに、再生骨材を直接泥土攪拌工程へ投入しても良い。
【0024】
次の泥土移送工程は、前記生コン製造用プラントに設けた高い位置にある泥土計量容器内に前記生コン製造用プラント外部の泥土攪拌槽内の分散化された泥土を圧送パイプの中を所要分量圧送ポンプで圧送する工程である。
圧送ポンプでは40mm径程度の石も泥土と共に圧送できるが、圧送ポンプの圧送能力応じて上記大固形物除去工程における20mmアンダー、10mmアンダー等の篩い目のサイズを選択することもできる。
【0025】
次のミキシングドラム投入工程は、前記生コン製造用プラント内で計量された泥土計量容器内の計量された泥土をアジテータ車のミキシングドラム内へ投入する工程である。
以上の泥土系の工程では既設の生コン製造プラントでの生コンの製造工程とは全く交わらない、このため生コンを製造する際に生コンへの泥土の混入が起こらないので生コン製造プラント内のミキサや積込みホッパ等を洗浄せずに生コンが継続的に製造することが可能となる。
【0026】
次に前記セメント系の工程を詳しく説明する。
該セメント系の工程は全て生コン製造用プラントの内部で行う工程である。
その内、前記セメントペースト化工程は、既設の生コン製造用プラントの内部に備わる装置でセメントと水とを原料にしてセメントペーストを作る工程である。
この工程では、生コン製造用プラントの内部に設けられた原料貯蔵容器内のセメントを計量された泥土計量容器内の泥土に対する所要量が計量され、その計量されたセメントを投入し適合量の水を加えてミキサでペースト状となるまで攪拌混合する。この工程で得られるセメントペーストはセメントミルクとも呼ばれている。
前記泥土系の工程で得た泥土に対するセメントの量は、セメントの割合を多くすればするほど、埋め戻した後の土が固く締まることとなり、その配合割合は埋め戻し現場の要望に応じて決める。
【0027】
次のミキシングドラム投入工程は、前記セメントペーストをアジテータ車のミキシングドラム内へ投入する工程である。
以上のセメント系の工程は既設の生コン製造プラントで泥土系の工程とは交わらないように行われ、原料のセメント及び水は生コンの製造に使用される材料であり、生コンに対する異物にとはならないので、この直後に使用した装置内を洗浄せずに続けて生コンを製造することができる。
【0028】
次に、以上の泥土系の工程と前記セメント系の工程の次に行う攪拌運搬工程を説明する。
該攪拌運搬工程では、前記アジテータ車のミキシングドラム内に荷受されたセメントペーストと泥土とが初めて一緒となり、流体が持つ特徴一つである拡散現象と該ミキサの回転によって両者が攪拌混合される。
この攪拌混合は搬送中に継続して行われ埋め戻し現場に到着して最終的な大固形物が除去され粒子が均一に分散化された高品質の流動化処理土が完成するので、埋め戻し現場に到着した流動化処理土は流し込まれてからセメント成分の固化が始まることとなる。
このため流動性が一番高い状態で効率良く埋め戻し作業が行え、その流動化処理土の高い流動性によって泥土が流入され難い狭小な隙間まで漏れなく充填されることとなる。
【0029】
以上、流動化処理土の製造方法について説明したが、次にその製造方法を実施するための流動化処理土の製造装置について説明する。
本製造装置は、既設の生コン製造用プラントの内部の設けられた部分と、該生コン製造用プラントの外部に設けられた部分と、両者を繋ぐ部分の設けられた部分とに大別される。
【0030】
先ず既設の生コン製造用プラントの内部構造につて説明する。
本発明では生コン製造用プラント1の内部の部分は、既設の一般的な生コン製造用プラントが使用される。
その生コン製造用プラントには、例えば、
図2及び
図3に示すように、フレーム28等で構築されたプラント塔27の上部から下部へ、ブロア41で圧送されたセメント36とベルトコンベア40で送られた砂等の生コン原料をターンヘッド25で振り分けられて投入される原料別容器2、該原料別容器2の下部の放出口に装着された原料の放出量を計量する計量器3、計量された放出原料を入れる計量容器4、該計量容器4内の原料を投入すると共に前記プラント塔27に設けた水供給部5から投入された水を加えて攪拌混合するミキサ6、該ミキサ6の下部に設けた積込みホッパ7、及び該積込みホッパ7の放出口7aから放出された生コンをアジテータ車9のミキシングドラム10内に供給可能な荷受け空間8が順に備わる。
なお、
図2中の符号26はアジテータ車9を入れる駐車ゲート26とであり、符号23は泥土を放出する開閉弁23である。
そして、以上の既設の生コン製造用プラントで生コンも製造されるので、その生コン製造のために使用される装置はそのまま維持して生コンが製造できるようにし、且つ、生コン製造用プラントのプラント塔27に生コンの製ラインとは全く別個にアジテータ車9のミキシングドラム10内に泥土を投入するための装置を設けることで流動化処理土の製造にも該生コン製造用プラントが利用可能となる。
【0031】
流動化処理土の製造では、泥土にセメントペースト39が混合されるが、そのうちセメントペースト39の製造には上記既設の生コン製造用プラント1の生コン製造用の装置がそのまま使用される。
そして、生コン製造用プラント1の内部でセメント36と水37を原料にしてセメントペースト39が作られる。
該セメントペースト39は、
図2に示す、生コン製造用プラント1の内部に設けられた前記原料貯蔵容器2内のセメント36を計量器3で前記泥土計量容器21内の泥土に対する所要量が計量され、その計量されたセメント36を前記ミキサ6に投入し、同時に適合量の水37を加えて該ミキサ6でペースト状となるまで攪拌混合されて作られる。
該セメントペースト39は前記ミキサ6の下部に設けた積込みホッパ7の放出口7aから待機していたアジテータ車9のミキシングドラム10内に放出される。
【0032】
前記セメントペースト39に混合する泥土については前記生コン製造用プラント1の外部で製造されるが、その製造された泥土は、前記アジテータ車9のミキシングドラム10内に上記セメントペースト39と同時に投入できるように前記プラント塔27の一部を使用して前記生コンが製造装置の製造ラインとは別に新たに設ける。
【0033】
次にその泥土用に既設の生コン製造用プラント1内に設ける新設部分について、
図2を参照して説明する。
生コン製造用プラント1のプラント塔27内の上記ミキサ6よりも上方に前記生コン製造用プラント1の外部で製造された泥土を所要量の計量をして入れる泥土計量容器21を設ける。
図2中の符号22は泥土計量容器21の上部に設けられ、該泥土計量容器21に入れる泥土を計量する計量器22である。
そして更に、該プラント塔27内に該泥土計量容器21内の泥土をアジテータ車9のミキシングドラム10内へ落下させて送り出す泥土排出パイプ24を開閉弁23を介して設ける。
該泥土排出パイプ24は上部を該泥土計量容器21に接続し、下部の排出口24aが荷受け空間8の前記積込みホッパ7の放出口7a近傍に設け、駐車したアジテータ車9のミキシングドラム10の投入ガイド部11に前記排出口24aを近づけるようにする。
【0034】
以上既設の生コン製造用プラントと、該生コン製造用プラント内に新たに設けた泥土用装置の構造について説明したが、次に前記生コン製造用プラント1の外部に設ける泥土の製造装置について説明する。
【0035】
前記生コン製造用プラント1の外部の近傍には、
図2及び
図3に示すように、前記泥土混合槽14と前記泥土攪拌槽15とを設け、該泥土混合槽14と泥土攪拌槽15との間には大固形物除去機17を配設する。
更にその近傍には建設発生土30と再生骨材31の原料置き場を設ける。
【0036】
前記泥土混合槽14と前記泥土攪拌槽15は、
図2に示すように、土地を掘り込んだ水槽や鉄板を箱状に形成した地上の水槽等が使用可能である。
【0037】
そして、前記泥土混合槽14には建設発生土30と再生骨材31を水中で混合して混合された泥土を得る混合手段12を備える。
該混合手段12は汚泥混合槽14内に投入した原料を水32中でゆっくりと掻き混ぜて泥土化するもので、例えば、
図2及び
図3に示すように、原料置き場に野積みした建設発生土30及び再生骨材31を、ショベルカーのショベルで掬い上げて泥土混合槽14内に投入し、泥土混合槽14にショベルカーのショベル部分を入れてゆっくりと動かして原料を攪拌し、建設発生土30と再生骨材31が混合された泥土を得ることができる。
なお、前記混合手段12としては、前記ショベルカー以外に、モータで回転される棒状や板状の回転体等も使用可能である。
前記泥土混合槽14で得られた泥土33は原料の建設発生土30に含まれる大きな石やコンクリート片等の大固形物が混入することもある。この原料を泥土化することで、建設発生土30の中の固形物を洗い出し、これを前記大固形物除去機17に送って該固形物の中から一定径以上の大固形物が選別除去できるようになる。
【0038】
前記泥土混合槽14と後述の泥土攪拌槽15との間には、
図2に示すように、泥土33を圧送する圧送パイプ16を、基端部を前記泥土混合槽14に配すると共に先端部の排出口16aを前記泥土攪拌槽15の上方に配し、該圧送パイプ16には泥土33を圧送可能な能力のある圧送ポンプ18を設ける、
そして、前記圧送パイプ16の排出口16aの下方に大固形物除去機17を配設する。
該大固形物除去機17は、前記泥土攪拌槽15の上方で圧送パイプ16の排出口16aから排出される泥土を受けて該泥土の中から水32で洗われた大きな石やコンクリート片等の一定径以上の大径固形物34を選別除去し、大径固形物34が除去された泥土35を下方の泥土攪拌槽15に投入可能な装置であり、該大径固形物34を選別除去するために、一定径以上のものが残り、それ以下のものが通過する網を備えた篩いが使用できる。
例えば、前記篩いは20mmアンダーのサイズを選択すれば、20mmより大きな固形物を排除することができる。
【0039】
次に、前記泥土攪拌槽15は、前記大固形物除去機17で一定径以上の大径の固形物が除去され泥土を更に原料が水中に分散化されるまで該攪拌手段13で攪拌混合するものである。
そのため、該泥土攪拌槽15には攪拌手段13を設ける。
該攪拌手段13は、例えば、建設発生土30と再生骨材31とが水32中に分散化できるモータを動力としたスクリュー回転式の攪拌機が使用でき、該攪拌機では速く回転させたスクリューによって建設発生土30と再生骨材31とが水中32に分散化されるまで十分に攪拌混合可能となる。そして、混合物が均一的に分散化された泥土35が得られる。
【0040】
そして、前記泥土攪拌槽15内の分散化された泥土35を前記生コン製造用プラント1に新設した泥土計量容器21へ必要量を送るために、基端部を前記泥土攪拌槽15に配し、先端部を前記泥土計量容器21の上部に設けた計量機22に接続した泥土圧送用の圧送パイプ20を設け、該圧送パイプ20には前記土計量容器21へ泥土を圧送可能とした能力のある圧送ポンプ19を付設する。
【0041】
上記流動化処理土の製造装置で流動化処理土を製造するに当たっては、前記泥土計量容器21内の泥土35は前記泥土排出パイプ24を通ってアジテータ車9のミキシングドラム10内へ落下させ、一方、前記積込みホッパ7内のセメントペース38は放出口7aから放出させて、アジテータ車9のミキシングドラム10内に投入されることとなる。
そして更に、運搬中にアジテータ車9のミキシングドラム10内で十分に攪拌混合されて流動化処理土が得られる。
従って、泥土の製造や移送等の泥土系の工程を行うに際して、生コン製造用プラント内の生コン攪拌用のミキサ6や積込みホッパ7等、既設の生コン製造ラインは全く使用されないので、生コン製造ライン内に生コンにとって異物である泥土成分が残存することがなく、流動化処理土の製造後に生コン製造のための洗浄を行うことが不要となる。
このため生コンも流動化処理土もそれぞれを効率良く製造することが可能となる。
【0042】
なお、前記泥土計量容器21をプラント塔27のミキサ6よりも上方に設けると共に該泥土計量容器21内の泥土をミキサ6へと送り出し可能に別の泥土排出パイプを前記泥土排出パイプ24の隣に並設することもできる。この並設した泥土排出パイプを利用する場合、生コン製造用プラントは内の前記ミキサ6でセメントペースト39と泥土が混合されることなり、生コンを製造する際にミキサ6や積込みホッパ7を洗浄することが必要となるが、埋め戻し現場が近過ぎて、アジテータ車9のミキシングドラム10内での攪拌時間を十分に取れない場合での供給に備えて予備的に設けることができる。