特許第6395767号(P6395767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395767
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】架設構造
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/08 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   E21D11/08
【請求項の数】2
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-138879(P2016-138879)
(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公開番号】特開2018-9357(P2018-9357A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2017年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】515069392
【氏名又は名称】本清鋼材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592086880
【氏名又は名称】丸栄コンクリート工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515256729
【氏名又は名称】ゲートアップ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 明夫
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 肇
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−021196(JP,A)
【文献】 特開2008−266960(JP,A)
【文献】 特公昭48−023389(JP,B1)
【文献】 特開平10−266788(JP,A)
【文献】 特開2015−135040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00−19/06
E21D 23/00−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの横断方向に1列以上隣接して設置され、自らの上面にトンネルの軸方向に所定間隔で配置されかつ下端を該上面に埋め込んで鉛直方向に立設するフープ筋を備える中柱と、
前記中柱を挟んで当該中柱と前記トンネルの両側それぞれの側壁とを渡して設置される2組のPca床版と、
前記Pca床版の前記トンネルの軸方向の幅を超える長さを有しかつ前記フープ筋に内接させて前記トンネルの軸方向に配筋した複数の軸方向鉄筋および前記2組のPca床版の向かい合うトンネルの横断方向に向いた側面から突出する鉄筋に対してコンクリート打設により構成される前記中柱と前記Pca床版との接合部と
を一体化した架設構造。
【請求項2】
請求項1に記載の架設構造であって、
前記側壁における支点は、当該Pca床版の下面と前記側壁の上面との間に支承ゴムを挟みアンカーバーで固定される支承である
ことを特徴とする架設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの軸方向(長手方向)に連続する両側2列の側壁支点と1列以上の中柱支点とにより支持される床版を用いた架設構造、当該構造を構成するPca床版、Pca中柱、Pcaフーチング及び床版接合型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大断面化する道路や鉄道用のシールドトンネルが大断面化するに当たって、路盤荷重を受ける床版は、両側2列の側壁支点とその間の中柱支点において、支点側のアンカーバー孔とこれに合う床版側の貫通孔にアンカーバーを挿入し、モルタルで固定しつつ支承ゴムを挟んで支持していた。
ここで、支承ゴムは、床版の変形を許容する概ピン構造を形成することを目的とし、それにより、断面力並びに床版仕様を低減し、応力集中を緩和して振動などに対する疲労耐久性を向上する効果を奏する。
【0003】
また、縦断ライン位置の継手はなく横断ライン位置の継手はループ継手によって、複数の床版を軸方向(長手方向)に一体化し、一定延長毎にはループ継手を配せず、これに代え施工継目を設け、一定延長毎の軸方向(長手方向)の長手矩形の一体化構造の集合体としている。ここで、ループ継手は、疲労耐久性に問題はないが、曲げ性能が形状によってばらつきがあり評価できない。そもそもPca床版は、トンネル横断に輪切り構造だから、トンネル軸方向(長手方向)の長手矩形の一体化構造であっても、トンネル軸方向(長手方向)に桁構造を形成することができない。また、路盤荷重を受ける床版は、あくまでトンネル横断方向に多径間連続梁構造として構造照査するのが通例である。
【0004】
従来多くのPca床版において、側壁とインバートコンクリートは、セグメントに対しここから突出するせん断キーを鉄筋コンクリートで巻き込んで固定し、中柱は、インバートコンクリートに対し内部鉄筋の定着を行わず簡易なアンカーにて固定していた。
全体としては、一定延長毎の軸方向(長手方向)の長手矩形の床版が、側壁及び中柱に対して、支承ゴムを介して変形を許容されつつ固定され、また、床版荷重は、支圧荷重として、側壁及び中柱を通じインバートコンクリートからセグメント側へ伝達する構造である。さらに、中柱は矩形にて、連続する壁を形成する。要するに、個々の部材を順に積み重ねて構成するものである。
【0005】
このような構成とすれば、個々の部材を別々に設計照査すればよく、全体構造として設計照査する必要がなく、設計が簡便となる。さらに、土圧耐荷体であるセグメントに曲げ応力が波及することはなく、トンネル覆工構造は安定する。この背景には、トンネル内における床版構造は、従来、地震動の影響を考慮しなくてよいことから、個々の部材を順に積み重ねた構成でも差支えなかったという事情もある。
【0006】
従来技術と本発明とを比較するために、Pca床版及び中柱の2径間及び3径間の構造比較を図1及び図2に示し、また、シールド掘進に伴う構築手順の比較を図3に示す。
図1は、2径間のPca床版及び中柱の構造を示す図で、矢印より上側部分に、従来技術によるPca床版及び中柱の構造を示す断面図(支持部及び開口部)並びに側面図を示し、矢印より下側部分に、本発明に係るPca床版及び中柱の構造を示す断面図(支持部及び3つのタイプの開口部)並びに3つのタイプの側面図を示す。なお、ここで従来技術として示すPca床版の設置構造については、非特許文献1に一例が示されている。
【0007】
同様に、図2は、3径間のPca床版及び中柱構造を示した図で、図1と同様の形態で、従来技術と本発明の断面図(支持部及び開口部)並びに側面図を示す。
図1及び図2に示す、従来技術のPca床版は、支承ゴムを挟んで側壁と中柱に支持され、左右分割架設するから、中柱上でアンカーバーは倍列必要となる。
【0008】
また、図3は、シールド掘進に伴いPca床版及び中柱等を構築していく順序について、矢印より上側部分に、従来技術による構築手順を示し、矢印より下側部分に、本発明に係る構築手順を示す。従来技術においては、シールド機の後方で、後続台車用に必要な枕木及びレールを打って返しで使用して作業を進めることとなる。
なお、図1〜3において本発明に係るところは、発明の詳細な説明において後述する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】コンクリート工学 Vol.49 (2011) No.12 P.12〜40 首都高速中央環状品川線トンネルセグメント・床版の設計施工
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般にPca床版は、シールドトンネルが小断面の場合、横断方向一体の多径間連続桁構造とする。しかし、Pca床版の横断方向一体の長さが10mを超える大断面の場合、運搬や架設の利便上、Pca床版を各径間の分割構造とする必要が出てくる。そうすると、中柱上では、左右両方のPca床版の突き合わせ配置となるので、Pca床版を固定するためのアンカーバーが倍列必要となり、併せて中柱の幅も増大することから、コスト増大の問題が出てくる。
【0011】
ここで、シールドトンネルが小断面の場合、Pca床版が、支承上で可動を許す横断方向一体の連続桁構造であるのは、単径間個別構造よりも断面力並びに床版仕様を低減できるからである。
しかし、シールドトンネルが大断面化されると、Pca床版が横断方向一体の構造では、運搬、架設に支障が出てくる。したがって、Pca床版は、支承上で分割する単径間個別構造となるため、結果として断面力は増大しアンカーバーも倍列必要となり、床版や中柱の厚みや幅が増大する。このことは、Pca床版として、単径間分割架設して横断方向一体化する構造や施工方法が見い出せないことから、解決できない問題である。
【0012】
また、本来、横断方向に輪切りにしたPca床版をPca中柱と剛結できれば、中柱と床版が大きなT断面(2径間)やπ断面(3径間)を構成し、全体に剛性を上げられ、耐久性が向上する。しかし、この様な中柱と床版の一体構造では、運搬や架設に支障が出てくるので、実現困難である。このことは、Pca床版やPca中柱を個別に運搬の上設置し両者を剛結できる構造や施工方法が見い出されていないことから、この点も解決できない問題である。
【0013】
さらに、Pca中柱を立設して形成する壁に開口が必要な場合、支承としての機能を喪失できない関係から、開口の大きさや配置に制約があり、大きな開口の設置は困難であった。また、3径間以上の中央側の床版に開口が必要な場合、トンネル断面方向に輪切りで、横断ライン継手はループ継手で接合する床版構造においては、路盤荷重に対し均一な剛性や変形で耐荷できないと、クラック発生や耐久性が低下するから、同様に、開口の大きさや配置に制約があり、大きな開口の設置は困難であった。このことは、Pca中柱の開口部やPca床版が欠損することで形成する開口部外郭に、開口補強構造を配し、周囲のPca床版を剛結できる構造や施工方法が見い出されていないことから、この点も解決できない問題である。
【0014】
以上、従来のシールドトンネル内で用いる床版・中柱の構造の問題を述べたところ、以下にこれらをまとめる。
1)シールドトンネルが大断面化する場合、Pca床版を単径間分割架設して横断方向一体化する構造やその施工方法が見い出せない。そのため、Pca床版は支承上にて突合せ配置となり、アンカーバーや支承ゴムは倍列必要となり、断面力は増大する。したがって、床版や中柱の厚みや幅が増大する。
2)横断方向輪切りのPca床版とPca中柱を剛結できる構造や施工方法が見い出せず、全体に剛性を上げることができない。したがって、構造上の合理性に欠き、コストアップするか耐久性が低下する。
【0015】
3)Pca中柱において、その上端は、支承ゴムとアンカーバー固定による変形を許容する概ピン構造とし、その下端は、構造筋のインバートへの定着のない簡易なアンカー固定によるピン構造とする、すなわち上下端ともピン構造とするのが通例である。したがって、倍列のアンカーバーが必要なことから、大重量化するPca中柱には、地震動により大きな慣性力が働くことになり、Pca中柱には、Pca床版を破損させつつ上方に突き抜けたり転倒するなどの構造上の脆弱性があった。
4)Pca中柱を、より安定に固定するために、インバートへのアンカー定着構造とするにも、アンカーを保持できるフーチング構造が、従来のクラック防止に留まる最小鉄筋量の配筋が通例のインバートにはない。そもそも狭隘な後続台車下方の施工となるフーチング構築やこれに伴うこのようなフーチング用鉄筋の組立は、施工サイクル上、難しい。
【0016】
5)Pca中柱が開口を必要とする場合、Pca床版とPca中柱の取り合いを剛性の高い桁構造とし、これを、支承機能を喪失しない開口補強構造とする構造や施工方法が見い出せていない。したがって、開口の大きさや配置には、Pca中柱内に開口補強筋を具備しつつ収めるという制約があり、大きな開口は設置できない。
6)3径間以上の中央側のPca床版が開口を必要とする場合、Pca床版とPca中柱の取り合いを剛性の高い桁構造とし、これを開口補強構造する構造や施工方法が見い出せていない。したがって、Pca床版は、トンネル断面方向に輪切りで横断ライン継手をループ継手で接合するため、路盤荷重に対し均一な剛性や変形で耐荷するには、開口の大きさや配置には、Pca床版内に開口補強筋を具備しつつ収めるという制約があり、大きな開口は設置できない。
【0017】
7)床版が、直接輪荷重を受けない路盤コンクリートを介在する場合、経年において、損傷は少ない。にもかかわらず、床版の分離撤去や交換を前提とした高価な支承構造が画一的に採用されていることは、不経済であった。
8)床版としては、シールドの高速施工が今日一般的であるところ、Pca床版の使用が通常であり、安価な現場打構築の部分が少ないことからコストアップをもたらしていた。
【0018】
9)中柱を、インバートに配するフーチングに対して、より剛性や耐久性の高い剛結接合とする場合、シールド掘進に伴うセグメントやインバートコンクリート搬送に支障を来さない構築方法が見い出されておらず、工事費の高騰を招いていた。
10)従来、インバートコンクリート打設は、シールド機へのセグメント搬送に用いる軌条を保持するために、後続台車の下方で行う必要があった。これが遅延するとシールド掘進は停止せざるを得ず、工程遅延の潜在要因となっていた。
【0019】
11)インバートコンクリート打設を全域プレキャスト化しシールド機直後に設置すれば、往復のセグメント台車と共に後続台車もこの上に配する軌条を走行でき、工程遅延の潜在要因が解消され効率化するところ、コストアップが著しく、難しかった。
12)シールド機への往復のセグメント台車搬送に用いる軌条を保持するために、枕木は、従来、後続台車走行用の枕木以外に別途、硬化後のインバートコンクリート表面に必要となり、この点において無駄であった。
【0020】
13)枕木は、インバートコンクリート上に設置して往復のセグメント台車搬送に用いる軌条を保持するところ、間断のない中柱に分断されるため、固定が煩雑かつ不安定となり、手間がかかり維持には危険が伴った。
14)床版が3径間以上の場合、本来左右にセグメント搬送空間がとれることから、中央部のみを現場打で構築すれば、フルプレキャストに対しコストダウンができる。しかし、従来、養生期間中の型枠支保工は、解体・脱型できないことから、狭隘な軸方向(長手方向)の空間を、打って返ししつつの施工ができないため、実現しなかった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、本発明に係る床版及び中柱は、以下の手段を講じるものである。
1)両側2列の側壁と、トンネル横断方向に隣接する1列以上の中柱に、向かい合って架設する二組みのPca床版と中柱を、3者それぞれから3者の接合部に突出する鉄筋に、少なくともトンネル軸方向(長手方向)に複数の軸方向鉄筋を現場配筋した上で、接合部を介してコンクリート打設し一体化構造とする。
2)床版は、両側2列の側壁における支点を、Pca床版下面と側壁上面の間にゴム板を挟みアンカーバーで固定することで、変形を許す支承とする。
【0022】
3)二組みのPca床版と中柱を、3者それぞれから3者の接合部に突出する鉄筋に、Pca床版と中柱の交差部において、少なくともトンネル軸方向(長手方向)鉄筋と、これを内接に拘束し軸方向(長手方向)に所定間隔に配すフープ筋とを現場配筋した桁構造を、接合部に包含させコンクリート打設し一体化構造とする。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明に係るPca床版は、以下の手段を講じる。
1)Pca床版は、トンネル横断方向に長手矩形状で、少なくとも横断ライン側面2面及び中柱側の縦断ライン側面1面の3方に、鉄筋を突出し、トンネル軸方向長手に、中柱上面の横断方向全域には及ばないが中柱上面の縁端部に、Pca床版荷重を載荷するための載荷面を有する。
【0024】
2)Pca床版は、その載荷面の縁端の少なくとも所定幅には、鉛直に下る下り壁を中柱側に突出する。
3)Pca床版は、側壁取り合いにおいて、予め支承ゴムを取り付けておき、ここを鉛直に貫通し、予め側壁に設けておくアンカー孔に合う貫通孔を設け、ここにアンカーバーの配置とモルタル充填にて固定する。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明に係るPca中柱は、以下の手段を講じる。
1)Pca中柱は、支柱部と張出部から構成し、トンネル軸方向(長手方向)に逆L字状とし、鉛直上方には支柱部の内在する鉄筋が突出する。
2)Pca中柱は、張出部における隅角部にはハンチを配し、ハンチの隅切りの勾配に合わせたハンチ筋が、ハンチ部付近の躯体内より斜め上方に突出する。
【0026】
3)Pca中柱は、トンネル軸方向長手に、Pca床版側の、横断方向全域には及ばないが中柱上面の縁端部に、Pca床版の載荷面を受ける被載荷面を上面に配しつつ、Pca床版の下り壁を拘束しその脱落を抑止する上り壁を有する。
【0027】
4)Pca中柱は、その上端において、軸方向(長手方向)に所定間隔に配するフープ筋の概1辺を埋め込み、概3辺側を上方へ突出する。
5)Pca中柱は、その下端において、主筋の端部に、フーチング側より突出する鉄筋に接続できる鉄筋を有する。
【0028】
上記課題を解決するために、本発明に係るPcaフーチングは、以下の手段を講じる。
1)Pcaフーチングは、トンネル軸方向(長手方向)に所定間隔で立設する中柱の支柱部を覆工セグメント側に支持する箇所にて、同じ所定間隔にて間欠に配し、形状を概円弧状として、覆工セグメント側に円弧状面を応接し、弦側の上面はPca中柱に接続する鉄筋を配する。
【0029】
2)Pcaフーチングは、4方の側面の少なくとも横断の2側面には、現場打インバートコンクリート側に水平に突出する鉄筋を配する。
3)Pcaフーチングは、覆工セグメント側に円弧状面を応接する面において、額縁状内側に薄層の凹み空間を設け、ここを設置後モルタル充填することで、覆工セグメント側に密着させ固定する。
【0030】
上記課題を解決するために、本発明に係る3径間以上の場合の床版接合型枠は、接合部の型枠を埋め殺しにする場合に以下の手段を講じる。
1)床版接合型枠は、軸方向(長手方向)に一定長一体に工場製作した、スキンプレートとその躯体側の内側面と一体の横断方向に所定間隔に配す水平の水平リブと、この水平リブを介しこの水平リブに接続する形で、接合部のコンクリート荷重を向かい合う中柱に載荷する鉛直の鉛直リブを配する。そして、スキンプレートは、中央の水平部とその両端において下方に所定角度に屈曲するハンチ部と、さらに所定角度屈曲し中柱上面より下方に下がる形状で中柱の側面に応接する応接面とから構成し、水平リブ及び鉛直リブと一体で埋め殺しにする。
2)床版接合型枠の鉛直リブは、中柱上端において途絶し、この鉛直リブ先端よりコンクリート荷重を向かい合う中柱に載荷する。
【発明の効果】
【0031】
本発明において、向かいあって架設する二組のPca床版と、逆L字状の中柱と、中柱の支柱部と同じ間隔で立設するフーチングとを剛結に一体化する。そして、側壁の支点は、支承ゴムを挟み、ここの変形を許す。これにより、次のような効果を奏することができる。
1)床版は、横断方向輪切りのPca床版とPca中柱を剛結一体化して、大きなT断面(2径間)やπ断面(3径間)を構成するから、全体に剛性を上げることができ、構造を合理化し、耐久性が向上する。
2)床版は、両側2列の側壁に、支承ゴムを挟み変形を許し支持するから、支承において、衝撃荷重は緩和されモーメントは発生せず、床版及び覆工セグメントの耐久性を損なわない。
【0032】
3)Pca床版は、単径間分割架設とでき、大断面化においても運搬や架設の施工性を低下させず、また、中柱との交差部を剛結一体化するから、この部分のアンカーバーや支承ゴムは不用となり、その分コスダウンする。
4)直接輪荷重を受けない路盤コンクリートが介在する場合、本発明のPca床版の構造にて、高価な支承構造を排除し、維持保守においてコストダウンする。
【0033】
5)床版は、向かいあって架設する二組の高価なPca床版以外の、安価な現場打の接合部が増大するから、コストダウンする。
6)向かいあって架設する二組のPca床版の存在から、下方に往復のセグメント搬送空間がとれ、上方には往復のPca床版自体と接合部コンクリートの搬送空間がとれ、構築工事が掘進工程を遅延させない。
【0034】
7)Pca床版とPca中柱の交差部を桁構造として剛結一体化し、これを開口補強構造と支承とを兼ねることから、Pca中柱の幅を超え、大きな壁開口を設置できる。
8)3径間の場合、Pca床版とPca中柱の交差部を桁構造とし剛結一体化し、ここを床版の開口補強構造とできるから、Pca床版の幅を超え、大きな床開口を設置できる。
【0035】
9)接合部にて、縦断ライン側面からは相対するPca床版同士が鉄筋を突出しつつ重ね継手にて接合し、横断ライン側面からはループ継手の鉄筋を突出し、同ループ継手の内在筋が前記接合部内へ定着し、中柱からは鉛直に鉄筋が突出するから、Pca床版同士と中柱が接合部にて縦横鉛直に強固に一体化し、耐荷力を高め耐久性が向上する。
10)軸方向に逆L字状にPca中柱を立設することから、大きな開口を設けることができ、プレキャスト総量を低減しコストダウンする。
【0036】
11)軸方向に逆L字状にPca中柱を立設するに際し、予めインバートにPca中柱の支柱部の間隔に合わせ、間欠に配するPcaフーチングに接続すれば、フーチング配筋の品質に不安はなく、根元のモーメントに耐荷する安定した構造とできる。
12)逆L字状のPca中柱を、張り出し部の突き合わせの離隔を空け現場構築区間を設けることで、さらに大きな壁開口を設置できる(図1に示すType3)。3径間の場合、工事中に大きな壁開口を設け、完成系ではこの接合部に現場打の支柱部を後施工すれば、中央の床版開口と合わせ、シールド到達後の床版上の路盤や機械設備工事において、材料搬入経路を自在に設置でき、工事全体工程を短縮する。
【0037】
本発明に係るPca床版は、中柱上面に載荷する載荷面を有し、載荷面は中柱側面位置から水平に所定幅でもって配置され、その縁端には所定幅に鉛直に下る下り壁を中柱側に突出し、側壁取り合いにおいて予め支承ゴムを配置し、アンカーバーを床版側の貫通孔と側壁側のアンカーバー孔に挿入し固定する。また、本発明に係るPca中柱は、逆L字状とし、支柱部の内在筋を鉛直上方に、ハンチ筋を斜め上方に突出させ、上面縁端に、その上面にPca床版の載荷面を受ける被載荷面を有する、Pca床版の下り壁を拘束する上り壁を持つ。以上の構造から、次のような効果を奏することができる。
【0038】
13)Pca床版の下り壁はPca中柱の上り壁に位置を拘束されるから、アンカーバー孔と床版側の貫通孔にアンカーバーを挿入すればここよりPca床版は脱落することがなく、作業を安全に行える。
14)Pca床版の載荷面はPca中柱の上り壁上面の被載荷面に支持されるから、Pca床版自体の運搬架設に伴う荷重も確実に保持できる。
【0039】
15)Pca床版の下り壁は、中柱との交差部の桁構造を構成するフープ筋と内接する軸方向鉄筋の間に、突出できるから、フープ筋の幅は最大化し、その桁剛性を最大とでき耐久性も向上する。
16)Pca中柱は、Pca床版との交差部の桁構造を構成するフープ筋の狭隘に内在筋を鉛直上方に突出させて定着するから、強固に接合でき、耐久性が向上する。
【0040】
17)逆L字状のPca中柱は、キャンティ状に張り出す張り出し部に対し、隅角部にはハンチを配し、ハンチの隅切りの勾配に合わせたハンチ筋をハンチ部付近の躯体内より斜め上方に突出させるから、開口部隅角に出現するクラックなどを効果的に防止できる。
18)床版のスパンが10mを下回るような、横断方向に多径間一体のPca床版を一括架設できる場合、逆L字状のPca中柱の上端の上り壁を上面両端に配し、上面内部をU字状空間と成し、ここに軸方向鉄筋を配筋の上コンクリート打設し、両載面を連続に支承として構成すれば、ここにゴム板を介してPca床版を架設できる。これにより、接続部を不要とし、さらに工期の短縮が図れる。
【0041】
19)Pca中柱のキャンティ状に張り出す張り出し部の形状を概アーチ状にすれば、アーチアクション効果にて、ハンチ筋や開口補強筋を省くことができる。
20)大きな開口を形成する逆L字状のPca中柱であっても、支持部の下端において、内部の縦筋下端にモルタル充填式のスリーブ継手を配すれば、Pcaフーチング上面の縦筋をここに包含固定でき、その根元を曲げモーメントに耐荷する強固な剛結構造とでき、耐久性が向上する。
【0042】
21)逆L字状のPca中柱は、トンネル軸方向(長手方向)にキャンティ状の張り出し部同士と背合わせの支柱部同士を、ボルト接合しつつ、根元はモルタル充填式のスリーブ継手を仮固定しつつ、連続的に立設すれば、単なる中壁ではなく、大きな開口を有する中柱とでき、プレキャストボリュームを縮減し、コストダウンできる。
22)Pca中柱は、トンネル軸方向(長手方向)に所定間隔にて配するフープ筋の概1辺をその上端に埋め込み、概3辺側を前記接合部に包含される桁構造内へ定着することにより、フープ筋を現場で組み立てる手間が軽減し、トンネル軸方向(長手方向)にはこれに内接する複数の軸方向鉄筋を容易に現場配筋でき、配筋作業は省力化する。
【0043】
本発明に係るPcaフーチングは、トンネル軸方向(長手方向)に間欠に配し、トンネル横断方向に概円弧状の形状とし、覆工セグメント側に円弧状面を応接し、弦側の上面はPca中柱の内在筋に接続する鉄筋を配置する構造とする。これにより、Pcaフーチングは、次のような効果を奏することができる。
【0044】
23)セグメントの円弧状の内面に当設するから安定し、距離程さえ合わせれば、水平に設置すると位置が決まるので、設置効率がよい。
24)シールド機の直後において容易に設置でき、その上面には簡便に枕木や軌条を設置できる。よって、ここを即座に後続台車やセグメント台車が走行でき、両者の枕木も共有できることから、シールド掘進に伴う作業を効率化する。また、枕木下面に応接し、フーチングに支持される軸方向(長手方向)の枕木を、予めフーチングに設けたインサートに固定すれば、結果としてフーチングの位置を正しく設置できる(図3の矢印より下側部分、参照)。
【0045】
25)Pca中柱の支柱部と同じ所定間隔に配置するから、煩雑なフーチングの配筋や構築作業をプレキャスト化にて最小化し、工期短縮する。
26)それ単体は高価であるところ、Pca中壁の支柱部に対し、必要最小限に配置し、その狭隘は安価な現場打インバートコンクリートによって構成するから、コストの上昇を抑え、構造上の機能を向上させる。
【0046】
27)上面に中柱の内在筋に接続する鉄筋を配置してここに中柱を剛結でき中柱と一体化することにより、剛性の高い逆T状の床版支持構造を形成し、耐久性が向上する。
28)安定のよい逆T状の床版支持構造として、これを構成する、スリムなPca中柱と、重心が低く現場打ちインバートコンクリートを挟んで間欠配置するPcaフーチングとを、剛結する構造を採用する。加えて、Pcaフーチングを、覆工セグメントに対し、これと一体の現場打ちインバートコンクリートのせん断キーを介し固定することにより、覆工セグメントにおいて、曲げモーメントが伝達せず、支圧荷重を安定かつ分散して伝達でき、耐久性を損なわない。また、逆T状の床版支持構造は、このせん断キーにより、直下型地震においても覆工セグメントから離端せず、また、Pcaフーチングに剛結されるPca中柱はスリム軽量だから床版を突き破る破壊をおこさない。
【0047】
29)Pcaフーチングは、4方の側面のうち少なくとも横断の2側面は、覆工セグメントとせん断キーを介し一体化する現場打ちインバートコンクリートに、接続、定着する鉄筋を突出させここに併せて一体化するから、フーチングは滑動することなく安定する。ここで、Pcaフーチングのサイズが小さくその側方にも現場打ちインバートの鉄筋が必要な場合、4方の側面に接続する鉄筋を配置すればよい。また、このことは、プレキャスト総量を縮減しコストダウンでき、現場打ちインバートの鉄筋組立は効率化する。
30)覆工セグメント側に応接する円弧状面に、額縁状内側に薄層の凹み空間を設け、ここを設置後モルタル充填する。これにより、覆工セグメントに段差があっても密着させて固定でき、フーチングを安定支持し、ここに応力集中などの構造上の弱点を生じさせない。
【0048】
本発明に係る3径間以上の場合の床版接合型枠は、接合部を埋め殺しにする場合において、トンネル軸方向(長手方向)に一定長一体のスキンプレート、内側面に配す水平リブ及び水平リブに接続する鉛直リブを配置し、鉛直リブは中柱上端で欠損することで中柱に支持し、スキンプレートは、中央の水平部と両端のハンチ部と中壁に応接する応接部とから構成する。そして、床版接合型枠は、埋め殺しにするから、次のような効果を奏することができる。
【0049】
31)鉛直リブは、中柱の上端で途絶し支持するから、ここでコンクリート荷重を中柱に載荷でき、型枠支保工を不要とできる。また、スキンプレート応接面と合わせ平面視T字状を形成し、スキンプレート応接面の中ほどかつ中柱上面で途絶し、途絶箇所先端で、中柱はこの形状に拘束されるから、向かい合う応接面に水平にサポートジャッキを配すれば、床版接合型枠は中柱より脱落することがなく、コンクリート打設による荷重を安定して保持できる(図14、参照)。
【0050】
32)構造材として、スキンプレート及びこれと一体の横断方向の水平リブが、接合部において梁断面の最外縁に配置できるから、構造合理性に優れ、配筋作業を最小化し、工期短縮する。
33)水平リブは、接合部に包含される現場打床版部において、水平に並ぶ鉄筋孔を有し、その中をPca床版の幅を超えて軸方向鉄筋を貫通させて配置し、相対するPca床版の端部及び中柱の上端部から突出する鉄筋の定着を受け入れるから、向かい合うPca床版と中柱を剛結し、π断面の合理的なRC構造を構成する。
【0051】
34)従来、養生期間中の型枠支保工は解体・脱型できないことから、狭隘な軸方向(長手方向)の空間を打って返ししつつの施工ができないため、当該箇所での施工が成立しなかったが、水平リブとこれに接続する鉛直リブにて接合部のコンクリート荷重を中柱上端で支持でき、支保工が不要とでき、接合部において安価な現場打構築が可能となる。
35)床版接合型枠は、工期に余裕がなくシールド掘進に遅れられない場合は、高速施工が可能な本発明の埋め殺し方式にすればよく、余裕がある場合は、遅延するものの安価な従来の型枠支保工方式を採用でき、工程条件に柔軟に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は、従来技術及び本発明に関して、2径間のPca床版及び中柱の構造を示す図である。
図2図2は、従来技術及び本発明に関して、3径間のPca床版及び中柱の構造を示す図である。
図3図3は、従来技術及び本発明に関して、シールド掘進に伴いPca床版及び中柱等を構築していく順序について説明する図である。
図4図4は、シールド掘進に伴う構築手順の工程を示す図である。
図5図5は、本発明に係るPcaフーチング、Pca中柱及びPca床版を示す図である。
図6図6は、Pcaフーチング上にPca中柱を載置し立設する組立ての様子、及び、他のPca中柱の構成例を示す図である。
図7図7は、Pca中柱上にPca床版を載置する組立ての様子を示す図である。
図8図8は、Pca中柱上にPca床版を載置する組立ての拡大図である。
図9図9は、「Pcaフーチングの設置」、「枕木と軌条の設置」及び「後続台車の通過と側壁構築」の各工程を示す模式図である。
図10図10は、「インバートコンクリートの打設」及び「Pca中柱の設置」の各工程を示す模式図である。
図11図11は、「Pca中柱の設置」、「Pca床版の設置」及び「接合部の桁筋の組立てとリング継手筋の組立て」の各工程を示す模式図である。
図12図12は、「接合部型枠の組立てと接合部床版筋の組立て」、「接合部コンクリートの打設」及び「枕木の撤去と両サイドへのインバートコンクリートの打設」を示す図である。
図13図13は、床版の接合部型枠の構造を示す図である。
図14図14は、3径間の中央部分に接合部床版を設けた様子の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明を実施するための形態として、以下図面を参照にしながら、本発明に係る実施例を3径間の場合を例に説明する。また、本発明に係る、床版、中柱、フーチング及び床版接合型枠については、図4及び図9〜12に基づき、シールド掘進に伴う構築手順を説明していく中で、併せて説明する。
【0054】
本発明は、2径間の場合には、図1の矢印より下側部分に示すように、Pca床版を中柱に設置してからその交差部を剛結一体化し、大きなT断面を形成するものである。また、3径間の場合には、図2の矢印より下側部分に示すように、Pca床版を中柱に設置してからその交差部を剛結一体化し、大きなπ断面を形成するものである。よって、2径間及び3径間であっても、アンカーバーは不用となり、中壁幅は半減し、逆に剛性が上がり、剛結一体化する桁剛性に応じた開口を設けることができる。
【0055】
さらに、本発明は、図3の矢印より下側部分に示すように、Pca床版と開口を有するPca中柱とPcaフーチングの剛結一体化の結果必要となる、中柱の根元に発生する曲げモーメントや軸力に耐荷するためのPcaフーチング27を、シールド機後方で設置する。よって、これに始まるPca中柱7やPca床版1の構築手順により、後続台車に必要な枕木及びレールの打って返しを省き、Pcaフーチング27の狭隘にインバートコンクリート40を打設する作業が、シールド掘進の工程に遅延影響を与えることがない、後続台車後方で行えるなど、シールド掘進との親和性を高め工程遅延を防止することができる。
【実施例】
【0056】
図4は、本発明に係る床版、中柱等をシールド掘進に伴って構築する手順を示した工程図で、図3の矢印より下の部分に示す手順(番号)に対応するものである。また、図9〜12は、図4で(1)〜(11)で記した各工程に関して具体的な模式図を示したもので、図9では(1)〜(3)、図10では(4)及び(5)、図11では(6)〜(8)、図12では(9)〜(11)について順に示している。以下、それらに沿って各工程を順に説明する。
【0057】
(1)Pcaフーチングの設置
最初の工程として、図9の(1)に示すように、Pcaフーチング27をトンネル内の下部の覆工セグメント39の上面に設置する。
ここで設置するPcaフーチング27の構造を、図5の(a)に示す。
【0058】
図5の(a)に示すとおり、Pcaフーチング27は、トンネル軸方向(長手方向)に所定間隔で立設するPca中柱7の支柱部をインバートに接合する箇所にて、同じ所定間隔で間欠に配置する。また、Pcaフーチング27は、概円弧状の形状であり、覆工セグメント側に円弧状面23を応接し、弦側の上面にはPca中柱7に接続する鉄筋24を上方に突出する形で配置する。この鉄筋24をPca中柱7に、剛結に接続することで、Pca中柱7を剛結して一体化する。剛結接続には、モルタル充填式のスリーブ継手などが有効であるが、ネジ式の機械式継手でも差支えない。
【0059】
Pcaフーチング27は、覆工セグメント側に応接する円弧状面23において、額縁状内側に薄層の凹み空間25を設ける。設置後この凹み空間25にモルタルを充填することにより、覆工セグメントに段差があっても密着させて固定することができる。ここでモルタル充填は、予め注入管を凹み空間25の最下端に配管し、その額縁状外縁はコーキングにて漏出防止し、凹み空間25の最上端の4方にはエア抜きを配して、該注入管から一気にモルタルポンプにて充填する(図示せず)。
【0060】
さらに、Pcaフーチング27の側面には、横断方向及び軸方向(長手方向)に、現場打ちインバートに接続するための鉄筋を水平に突出する。図5の(a)では、Pcaフーチング27のサイズが小さい場合として4方の側面に鉄筋を突出する構成を示しているが、少なくとも横断方向の2側面に鉄筋を設ける。
Pcaフーチング27は、シールド機の直後において容易に設置でき、その上面に枕木や軌条を即座に設置することができる。
【0061】
(2)枕木と軌条の設置
次の工程として、図9の(2)に示すように、(1)で設置したPcaフーチング27上に、枕木及び軌条(レール)を設置する。
図9の(2)の場合、枕木は、トンネル横断に貫通する、中央部枕木34及び両側の側部枕木33と、中央部枕木34の下端を支持しPcaフーチング上面で当接しここに支持される軸方向(長手方向)に配する枕木35(以下では、「長手方向枕木35」という。また、この長手方向枕木35については図3の矢印より下側部分、参照。)と、側部枕木33をトンネルの覆工セグメント39から支持する枕木支持材36とから構成される。
【0062】
そうすると、3径間の場合、Pcaフーチング27が欠損する箇所は、長手方向枕木35は、Pcaフーチング上面で当接し支持できないから安定を欠くので、側部枕木33をトンネルの覆工セグメント39から支持する枕木支持材36が必要となる。
【0063】
一方、Pcaフーチング27が存在する箇所では、中央部枕木34がPca中柱の設置に支障を来たすことから、Pca支柱設置の段階で、中央部枕木34を撤去する。そのため、同様に安定を欠くので、側部枕木33をトンネルの覆工セグメント39から支持する枕木支持材36が必要となる。
【0064】
逆に言えば、中央部枕木34がPca中柱の設置に支障を来たす箇所では、中央部枕木34が両側の側部枕木33より分離、離脱できるから、設置に際し問題はない。Pca中柱の設置に支障を来さない箇所は、そのまま横断に一体に配せるから、往路復路の軌条を常に安定して保持することができる。
また、これら枕木は、後続台車用及び資材運搬台車用を兼用する形で使用する。
【0065】
さらに、Pcaフーチング上面で当接し支持される軸方向(長手方向)に配する長手方向枕木35を、予めPcaフーチング上面の所定位置に配する固定用インサートに固定することにより、結果としてPcaフーチング27のレベル、横断位置や相互間隔など、設置精度を向上し、品質を確保する。
【0066】
(3)後続台車の通過と側壁の構築
次の工程として、図9の(3)に示すように、(2)で敷設した軌条上を後続台車が通過し、また、トンネルの両壁面には側壁を構築する。
【0067】
(4)インバートコンクリートの打設
次の工程として、図10の(4)−1に示すように、配筋を含めてインバートコンクリート40を打設する。すなわち、(4)−1では、Pcaフーチング27が配置されていない、Pca中柱7の張出部9側の開口部(図5の(b)及び図6、参照)下方に、インバートコンクリート40の打設を行う(図3の最下段の図、参照)。一方、(4)−2では、Pca中柱7の支柱部8に剛結するPcaフーチング27の存在により、インバートコンクリート40の打設を行わない状況を示す。
【0068】
(5)Pca中柱の設置
次の工程として、図10の(5)に示すように、Pcaフーチング部に対してPca中柱7を設置する。資材運搬台車を使って運搬したPca中柱7を、Pca中柱設置用クレーンを使用して吊り上げて横断方向に移動させ、Pcaフーチング27上の所定の位置に載置し、設置済のPca中柱に、トンネル軸方向(長手方向)にキャンティ状の張り出し部同士と背合わせの支柱部同士を、ボルト接合しつつ、根元はモルタル充填式のスリーブ継手を仮固定して、連続的に立設する。
ここにおいて、Pca中柱7の構造及びPcaフーチング27に対するPca中柱7の組立てについて説明する。
【0069】
図5の(b)に、Pca中柱7の構造を示す。Pca中柱7は、支柱部8と張出部9から構成され、トンネル軸方向(長手方向)に逆L字状の形状である。図1〜3で矢印より下側に図示されるように、トンネル軸方向(長手方向)に支柱部8を背合わせに、張出部9を突き合わせに、ボルトにより締結することで、開口部を形成する。背合わせ部及び突き合わせ部とも相互に平面視、凹凸に噛み合うよう形成してあるから、ボルトにより締結すれば、もはや位置ずれをおこさない。
【0070】
また、Pca中柱7は、張出部9における隅角部にはハンチ11を配置し、ハンチ11の隅切りの勾配に合わせたハンチ筋12が、ハンチ部付近の躯体内より斜め上方に突出する構造となっている。これにより、開口隅角におけるクラックの発生を抑える効果がある。
加えて、支柱部の鉛直上方には内在する鉄筋が鉛直上方に突出する。これにより、鉛直上方の接合部に包含される桁構造との剛結を行う。
【0071】
Pca中柱7の上面には、鉛直方向に立設するフープ筋5を、その下端を埋め込んでトンネル軸方向(長手方向)に所定間隔で配設する。これにより、Pca床版設置後に、フープ筋に内接する複数の軸方向鉄筋を容易にPca床版の幅を超えて現場配筋でき、配筋作業を省力化する。
【0072】
なお、後述するが、Pca中柱7のPca床版側の上面縁端には、Pca床版1の載荷面14を受ける被載荷面20を有する(図8、参照)。また、Pca中柱7の被載荷面20の下方には、Pca床版1の下り壁16を拘束し、Pca床版1の脱落を防ぐ上り壁21を有する(図8、参照)。
【0073】
図6に、Pcaフーチング27上にPca中柱7を載置し立設する組立ての様子を示す。
図6に示すように、Pca中柱7の支柱部8に設けた円筒状スリーブ継手26に、Pcaフーチング27上の鉄筋24を挿入する形で、Pca中柱7をPcaフーチング27上に立設し、仮固定する。
【0074】
次に、図示しないが、Pca中柱7は、予めレベルを合わせたPcaフーチング上スペーサーに静置し、隣接するPca中柱7同士は、支柱部8を背合わせにし、張出部9を突き合わせにして、ボルトにて締結する。これにより、設計位置に正しく設置でき、位置が定まる。
【0075】
(6)Pca中柱の固定
次の工程として、図11の(6)に示すように、Pcaフーチング部に対してPca中柱7を本固定する。
Pca中柱7の支柱部8に設けた円筒状スリーブ継手26に、挿入されたPcaフーチング27上の鉄筋24を、ここに無収縮モルタルを充填することで接合する。
同時に、Pcaフーチング上スペーサー(図示せず)により空く隙間にも、無収縮モルタルを充填することで、Pcaフーチング部に対してPca中柱7を本固定する作業が完了する。
【0076】
(7)Pca床版の設置
次の工程として、図11の(7)に示すように、Pca中柱及び側壁を渡す形で、両側に向かい合う二組みのPca床版1を設置する。Pca床版設置用クレーンを使用して、資材運搬台車を使って運搬したPca床版1を横断方向に移動させ、Pca床版1の横断方向の両端が、それぞれPca中柱7および両側の側壁上に載置するようにして設置する。ここで、両側の側壁は、支承ゴムを挟み変形を許す支承とする。これにより、衝撃荷重に対しても、セグメントはこれを受けることがない。
ここにおいて、Pca床版1の構造及びPca中柱7に対するPca床版の組立てについて説明する。
【0077】
図5の(c)に、Pca床版1の構造を示す。Pca床版1は、トンネル横断方向に長手矩形状で、少なくとも横断ライン側面の2面及びPca中柱側の縦断ライン側面1面の3方から突出する鉄筋を設け、Pca中柱側端部には、図8に示すように、Pca中柱7に対して中柱側面位置から水平に所定幅を有する載荷面14(中柱の上面全域ではない)及び鉛直にPca中柱側に突出しつつ下る形状を有する下り壁16を備える。
【0078】
また、Pca床版1は、側壁取り合いにおいて予め支承ゴム(図示せず)を取り付け、これを鉛直に貫通し予め側壁に設けておくアンカー孔(図示せず)に合う貫通孔2を設ける。側壁への設置時に、構造上の必要性に合わせ所定ピッチにて、この貫通孔2を介してアンカーバーを配置し、モルタル充填にて固定する。
【0079】
図7及び図8図7の円囲み部分を拡大したもの)に、Pca中柱7上にPca床版1を載置する組立ての様子を示す。Pca床版1の下面側の載荷面14を、Pca中柱7のPca床版側に設けた上り壁21の上面の被載荷面20に載置して支持する。ここで、アンカー孔(図示せず)に合う貫通孔2にアンカーバーを配置すれば、もはやPca床版1の下り壁16は、Pca中柱7の上り壁21に位置を拘束され、ここよりPca床版1が脱落することはない。また、載荷面14及び被載荷面20は軸方向に連続するから、接合部のコンクリートはここから漏出することがない。さらに、下り壁16は、軸方向の所定幅、所定箇所に、鉛直にPca中柱側に突出しつつ下る形状なので、Pca中柱上端のフープ筋と内接する軸方向の桁筋双方の障害を避けることができ、フープ筋の幅と桁剛性を最大化でき、耐久性を向上させる。
【0080】
(8)接合部桁筋の組立てとリング継手筋の組立て
次の工程として、図11の(8)に示すように、Pca床版1とPca中柱7との接合部に桁筋及びリング継手筋を組み立てる。
図7の右側図及び図8図7の円囲み部分を拡大したもの)に示すように、Pca床版1の下面側の下り壁16を、Pca中柱7のフープ筋5の狭隘に挿入しつつ、その載荷面14を被載荷面20に静置する。その後、Pca中柱7上端のフープ筋5に、内接する複数の軸方向鉄筋及びPca床版の横断方向のリング継手筋を組み入れることにより、軸方向には桁構造6を接合部に構成し、横断方向にはリング継手部の桁構造を構成して、ここにPca中柱の支柱部の上方への突出する鉄筋を受けるから、Pca床版1とPca中柱7の交差部を剛結に結合する。
【0081】
また、床版のスパンが10mを下回り、横断方向に多径間一体のPca床版を一括架設できる場合、Pca中柱7の構成例として、逆L字状のPca中柱の上端の上り壁を上面両端に配し、上面内部をU字状空間とする構成を採ることができる。図6の(b)に、この場合の構成例を示す。そして、このU字状空間に、軸方向鉄筋を配筋の上コンクリート打設し、両載面を連続に支承として構成すれば、ここにゴム板を介してPca床版を架設することができる。
更にまた、Pca中柱のキャンティ状に張り出す張り出し部の形状を概アーチ状にすれば、アーチアクション効果にて、ハンチ筋や開口補強筋を省くことができる。図6の(c)に、この場合の構成例を示す。
【0082】
(9)接合部型枠の組立てと接合部床版筋の組立て
次の工程として、図12の(9)に示すように、3径間の中央部分に接合部床版を設けるために、床版の接合部型枠32を組み立て、続いて接合部床版筋を組み立てる。
【0083】
図13に、床版の接合部型枠32の構造を示す。床版接合型枠32は、主に工場にて軸方向(長手方向)に一定長一体に製作される。スキンプレート28は、中央の水平部、その両端において下方に所定角度に屈曲するハンチ部、さらに所定角度屈曲し中柱の側面壁に応接する応接面31から構成される構造体であり、最終的に埋め殺しとなる。
【0084】
水平方向のスキンプレート28に対して軸方向(長手方向)に所定間隔に複数の水平リブ29を平行に設け、鉛直方向のスキンプレート28に対して鉛直方向に所定間隔に複数の鉛直リブ30を平行に水平リブ29に接続して設ける。
鉛直リブ30の下端部は、中柱上面で欠損する。これにより、床版接合型枠32は、鉛直リブ30の下端とスキンプレートの応接面31に拘束され、Pca中柱7より脱落しない。
【0085】
また、トンネル横断に配する水平リブ29は、所定間隔の鉄筋孔を有し、その中を接合部の床版の軸方向鉄筋である複鉄筋の下筋を貫通させて配筋し、その上側に上筋を配筋し、相対するPca床版端部及び中柱の上端部から突出する鉄筋の定着を受け入れる。
【0086】
図14に、3径間の中央部分に接合部床版を設けた様子を拡大して示す。3径間の中央部の接合部型枠32の脱落防止のために、サポートジャッキ38を、応接部に配し、ここを拘束している。
【0087】
前述した(8)の「接合部桁筋の組立て及びリング継手筋の組立て」の後に、(9)の「接合部型枠の組立て」、続いて、「接合部床版筋の組立て」を行う手順となるところ、「接合部桁筋の組立て及びリング継手筋の組立て」は、「接合部型枠の組立て」後ではもはや手が入らず組み立てることはできない。また、「接合部型枠の組立て」は、接合部の床版の軸方向鉄筋を接合部型枠の水平リブに貫通させる関係から、「接合部床版筋の組立て」後ではもはや組み立てることはできない。
また、接合部床版筋は、接合部型枠の水平リブに貫通させる軸方向下筋及び、その上側の上筋、向かい合うPca床版から突出する複鉄筋同士を重ね継手にて接続する横断方向の鉄筋を、下筋から上筋へと順次組み立てる。
【0088】
(10)接合部コンクリートの打設
次の工程として、図12の(10)に示すように、3径間の中央部分の接合部にコンクリートを打設する。ここで、載荷面14及び被載荷面20は軸方向に連続するから、接合部のコンクリートはここから漏出することがない。
【0089】
(11)枕木の撤去と両サイドへのインバートコンクリートの打設
最後の工程として、図12の(11)に示すように、敷設した枕木を撤去し、その後に、未施工箇所のインバートコンクリート40を打設する。尚、前述の(4)の「インバートコンクリートの打設」にて、間欠に配するPcaフーチング27の狭隘はシールド掘進中に打設済である。必要に応じて、Pcaフーチング27及びインバートコンクリート40の側面及び上面に、必要厚の仕上げコンクリートを打設してもよい。これらの打設は、多くの場合、シールド到達後に実施する。
【符号の説明】
【0090】
1 Pca床版、2 貫通孔、5 フープ筋、6 桁構造、7 Pca中柱、
8 支柱部、9 張出部、10 鉄筋(鉛直上方に突出)、11 ハンチ、
12 ハンチ筋(斜め上方に突出)、14 載荷面、16 下り壁、20 被載荷面、
21 上り壁、23 円弧状面(応接)、24 鉄筋(弦側の上面)、
25 薄層の凹み空間、26 円筒状スリーブ継手、27 Pcaフーチング、
28 スキンプレート、29 水平リブ、30 鉛直リブ、31 応接面、
32 床版の接合部型枠、33 側部枕木、34 中央部枕木、35 長手方向枕木、
36 枕木支持材、38 サポートジャッキ、
39 覆工セグメント、40 インバートコンクリート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14