【実施例】
【0056】
図4は、本発明に係る床版、中柱等をシールド掘進に伴って構築する手順を示した工程図で、
図3の矢印より下の部分に示す手順(番号)に対応するものである。また、
図9〜12は、
図4で(1)〜(11)で記した各工程に関して具体的な模式図を示したもので、
図9では(1)〜(3)、
図10では(4)及び(5)、
図11では(6)〜(8)、
図12では(9)〜(11)について順に示している。以下、それらに沿って各工程を順に説明する。
【0057】
(1)Pcaフーチングの設置
最初の工程として、
図9の(1)に示すように、Pcaフーチング27をトンネル内の下部の覆工セグメント39の上面に設置する。
ここで設置するPcaフーチング27の構造を、
図5の(a)に示す。
【0058】
図5の(a)に示すとおり、Pcaフーチング27は、トンネル軸方向(長手方向)に所定間隔で立設するPca中柱7の支柱部をインバートに接合する箇所にて、同じ所定間隔で間欠に配置する。また、Pcaフーチング27は、概円弧状の形状であり、覆工セグメント側に円弧状面23を応接し、弦側の上面にはPca中柱7に接続する鉄筋24を上方に突出する形で配置する。この鉄筋24をPca中柱7に、剛結に接続することで、Pca中柱7を剛結して一体化する。剛結接続には、モルタル充填式のスリーブ継手などが有効であるが、ネジ式の機械式継手でも差支えない。
【0059】
Pcaフーチング27は、覆工セグメント側に応接する円弧状面23において、額縁状内側に薄層の凹み空間25を設ける。設置後この凹み空間25にモルタルを充填することにより、覆工セグメントに段差があっても密着させて固定することができる。ここでモルタル充填は、予め注入管を凹み空間25の最下端に配管し、その額縁状外縁はコーキングにて漏出防止し、凹み空間25の最上端の4方にはエア抜きを配して、該注入管から一気にモルタルポンプにて充填する(図示せず)。
【0060】
さらに、Pcaフーチング27の側面には、横断方向及び軸方向(長手方向)に、現場打ちインバートに接続するための鉄筋を水平に突出する。
図5の(a)では、Pcaフーチング27のサイズが小さい場合として4方の側面に鉄筋を突出する構成を示しているが、少なくとも横断方向の2側面に鉄筋を設ける。
Pcaフーチング27は、シールド機の直後において容易に設置でき、その上面に枕木や軌条を即座に設置することができる。
【0061】
(2)枕木と軌条の設置
次の工程として、
図9の(2)に示すように、(1)で設置したPcaフーチング27上に、枕木及び軌条(レール)を設置する。
図9の(2)の場合、枕木は、トンネル横断に貫通する、中央部枕木34及び両側の側部枕木33と、中央部枕木34の下端を支持しPcaフーチング上面で当接しここに支持される軸方向(長手方向)に配する枕木35(以下では、「長手方向枕木35」という。また、この長手方向枕木35については
図3の矢印より下側部分、参照。)と、側部枕木33をトンネルの覆工セグメント39から支持する枕木支持材36とから構成される。
【0062】
そうすると、3径間の場合、Pcaフーチング27が欠損する箇所は、長手方向枕木35は、Pcaフーチング上面で当接し支持できないから安定を欠くので、側部枕木33をトンネルの覆工セグメント39から支持する枕木支持材36が必要となる。
【0063】
一方、Pcaフーチング27が存在する箇所では、中央部枕木34がPca中柱の設置に支障を来たすことから、Pca支柱設置の段階で、中央部枕木34を撤去する。そのため、同様に安定を欠くので、側部枕木33をトンネルの覆工セグメント39から支持する枕木支持材36が必要となる。
【0064】
逆に言えば、中央部枕木34がPca中柱の設置に支障を来たす箇所では、中央部枕木34が両側の側部枕木33より分離、離脱できるから、設置に際し問題はない。Pca中柱の設置に支障を来さない箇所は、そのまま横断に一体に配せるから、往路復路の軌条を常に安定して保持することができる。
また、これら枕木は、後続台車用及び資材運搬台車用を兼用する形で使用する。
【0065】
さらに、Pcaフーチング上面で当接し支持される軸方向(長手方向)に配する長手方向枕木35を、予めPcaフーチング上面の所定位置に配する固定用インサートに固定することにより、結果としてPcaフーチング27のレベル、横断位置や相互間隔など、設置精度を向上し、品質を確保する。
【0066】
(3)後続台車の通過と側壁の構築
次の工程として、
図9の(3)に示すように、(2)で敷設した軌条上を後続台車が通過し、また、トンネルの両壁面には側壁を構築する。
【0067】
(4)インバートコンクリートの打設
次の工程として、
図10の(4)−1に示すように、配筋を含めてインバートコンクリート40を打設する。すなわち、(4)−1では、Pcaフーチング27が配置されていない、Pca中柱7の張出部9側の開口部(
図5の(b)及び
図6、参照)下方に、インバートコンクリート40の打設を行う(
図3の最下段の図、参照)。一方、(4)−2では、Pca中柱7の支柱部8に剛結するPcaフーチング27の存在により、インバートコンクリート40の打設を行わない状況を示す。
【0068】
(5)Pca中柱の設置
次の工程として、
図10の(5)に示すように、Pcaフーチング部に対してPca中柱7を設置する。資材運搬台車を使って運搬したPca中柱7を、Pca中柱設置用クレーンを使用して吊り上げて横断方向に移動させ、Pcaフーチング27上の所定の位置に載置し、設置済のPca中柱に、トンネル軸方向(長手方向)にキャンティ状の張り出し部同士と背合わせの支柱部同士を、ボルト接合しつつ、根元はモルタル充填式のスリーブ継手を仮固定して、連続的に立設する。
ここにおいて、Pca中柱7の構造及びPcaフーチング27に対するPca中柱7の組立てについて説明する。
【0069】
図5の(b)に、Pca中柱7の構造を示す。Pca中柱7は、支柱部8と張出部9から構成され、トンネル軸方向(長手方向)に逆L字状の形状である。
図1〜3で矢印より下側に図示されるように、トンネル軸方向(長手方向)に支柱部8を背合わせに、張出部9を突き合わせに、ボルトにより締結することで、開口部を形成する。背合わせ部及び突き合わせ部とも相互に平面視、凹凸に噛み合うよう形成してあるから、ボルトにより締結すれば、もはや位置ずれをおこさない。
【0070】
また、Pca中柱7は、張出部9における隅角部にはハンチ11を配置し、ハンチ11の隅切りの勾配に合わせたハンチ筋12が、ハンチ部付近の躯体内より斜め上方に突出する構造となっている。これにより、開口隅角におけるクラックの発生を抑える効果がある。
加えて、支柱部の鉛直上方には内在する鉄筋が鉛直上方に突出する。これにより、鉛直上方の接合部に包含される桁構造との剛結を行う。
【0071】
Pca中柱7の上面には、鉛直方向に立設するフープ筋5を、その下端を埋め込んでトンネル軸方向(長手方向)に所定間隔で配設する。これにより、Pca床版設置後に、フープ筋に内接する複数の軸方向鉄筋を容易にPca床版の幅を超えて現場配筋でき、配筋作業を省力化する。
【0072】
なお、後述するが、Pca中柱7のPca床版側の上面縁端には、Pca床版1の載荷面14を受ける被載荷面20を有する(
図8、参照)。また、Pca中柱7の被載荷面20の下方には、Pca床版1の下り壁16を拘束し、Pca床版1の脱落を防ぐ上り壁21を有する(
図8、参照)。
【0073】
図6に、Pcaフーチング27上にPca中柱7を載置し立設する組立ての様子を示す。
図6に示すように、Pca中柱7の支柱部8に設けた円筒状スリーブ継手26に、Pcaフーチング27上の鉄筋24を挿入する形で、Pca中柱7をPcaフーチング27上に立設し、仮固定する。
【0074】
次に、図示しないが、Pca中柱7は、予めレベルを合わせたPcaフーチング上スペーサーに静置し、隣接するPca中柱7同士は、支柱部8を背合わせにし、張出部9を突き合わせにして、ボルトにて締結する。これにより、設計位置に正しく設置でき、位置が定まる。
【0075】
(6)Pca中柱の固定
次の工程として、
図11の(6)に示すように、Pcaフーチング部に対してPca中柱7を本固定する。
Pca中柱7の支柱部8に設けた円筒状スリーブ継手26に、挿入されたPcaフーチング27上の鉄筋24を、ここに無収縮モルタルを充填することで接合する。
同時に、Pcaフーチング上スペーサー(図示せず)により空く隙間にも、無収縮モルタルを充填することで、Pcaフーチング部に対してPca中柱7を本固定する作業が完了する。
【0076】
(7)Pca床版の設置
次の工程として、
図11の(7)に示すように、Pca中柱及び側壁を渡す形で、両側に向かい合う二組みのPca床版1を設置する。Pca床版設置用クレーンを使用して、資材運搬台車を使って運搬したPca床版1を横断方向に移動させ、Pca床版1の横断方向の両端が、それぞれPca中柱7および両側の側壁上に載置するようにして設置する。ここで、両側の側壁は、支承ゴムを挟み変形を許す支承とする。これにより、衝撃荷重に対しても、セグメントはこれを受けることがない。
ここにおいて、Pca床版1の構造及びPca中柱7に対するPca床版の組立てについて説明する。
【0077】
図5の(c)に、Pca床版1の構造を示す。Pca床版1は、トンネル横断方向に長手矩形状で、少なくとも横断ライン側面の2面及びPca中柱側の縦断ライン側面1面の3方から突出する鉄筋を設け、Pca中柱側端部には、
図8に示すように、Pca中柱7に対して中柱側面位置から水平に所定幅を有する載荷面14(中柱の上面全域ではない)及び鉛直にPca中柱側に突出しつつ下る形状を有する下り壁16を備える。
【0078】
また、Pca床版1は、側壁取り合いにおいて予め支承ゴム(図示せず)を取り付け、これを鉛直に貫通し予め側壁に設けておくアンカー孔(図示せず)に合う貫通孔2を設ける。側壁への設置時に、構造上の必要性に合わせ所定ピッチにて、この貫通孔2を介してアンカーバーを配置し、モルタル充填にて固定する。
【0079】
図7及び
図8(
図7の円囲み部分を拡大したもの)に、Pca中柱7上にPca床版1を載置する組立ての様子を示す。Pca床版1の下面側の載荷面14を、Pca中柱7のPca床版側に設けた上り壁21の上面の被載荷面20に載置して支持する。ここで、アンカー孔(図示せず)に合う貫通孔2にアンカーバーを配置すれば、もはやPca床版1の下り壁16は、Pca中柱7の上り壁21に位置を拘束され、ここよりPca床版1が脱落することはない。また、載荷面14及び被載荷面20は軸方向に連続するから、接合部のコンクリートはここから漏出することがない。さらに、下り壁16は、軸方向の所定幅、所定箇所に、鉛直にPca中柱側に突出しつつ下る形状なので、Pca中柱上端のフープ筋と内接する軸方向の桁筋双方の障害を避けることができ、フープ筋の幅と桁剛性を最大化でき、耐久性を向上させる。
【0080】
(8)接合部桁筋の組立てとリング継手筋の組立て
次の工程として、
図11の(8)に示すように、Pca床版1とPca中柱7との接合部に桁筋及びリング継手筋を組み立てる。
図7の右側図及び
図8(
図7の円囲み部分を拡大したもの)に示すように、Pca床版1の下面側の下り壁16を、Pca中柱7のフープ筋5の狭隘に挿入しつつ、その載荷面14を被載荷面20に静置する。その後、Pca中柱7上端のフープ筋5に、内接する複数の軸方向鉄筋及びPca床版の横断方向のリング継手筋を組み入れることにより、軸方向には桁構造6を接合部に構成し、横断方向にはリング継手部の桁構造を構成して、ここにPca中柱の支柱部の上方への突出する鉄筋を受けるから、Pca床版1とPca中柱7の交差部を剛結に結合する。
【0081】
また、床版のスパンが10mを下回り、横断方向に多径間一体のPca床版を一括架設できる場合、Pca中柱7の構成例として、逆L字状のPca中柱の上端の上り壁を上面両端に配し、上面内部をU字状空間とする構成を採ることができる。
図6の(b)に、この場合の構成例を示す。そして、このU字状空間に、軸方向鉄筋を配筋の上コンクリート打設し、両載面を連続に支承として構成すれば、ここにゴム板を介してPca床版を架設することができる。
更にまた、Pca中柱のキャンティ状に張り出す張り出し部の形状を概アーチ状にすれば、アーチアクション効果にて、ハンチ筋や開口補強筋を省くことができる。
図6の(c)に、この場合の構成例を示す。
【0082】
(9)接合部型枠の組立てと接合部床版筋の組立て
次の工程として、
図12の(9)に示すように、3径間の中央部分に接合部床版を設けるために、床版の接合部型枠32を組み立て、続いて接合部床版筋を組み立てる。
【0083】
図13に、床版の接合部型枠32の構造を示す。床版接合型枠32は、主に工場にて軸方向(長手方向)に一定長一体に製作される。スキンプレート28は、中央の水平部、その両端において下方に所定角度に屈曲するハンチ部、さらに所定角度屈曲し中柱の側面壁に応接する応接面31から構成される構造体であり、最終的に埋め殺しとなる。
【0084】
水平方向のスキンプレート28に対して軸方向(長手方向)に所定間隔に複数の水平リブ29を平行に設け、鉛直方向のスキンプレート28に対して鉛直方向に所定間隔に複数の鉛直リブ30を平行に水平リブ29に接続して設ける。
鉛直リブ30の下端部は、中柱上面で欠損する。これにより、床版接合型枠32は、鉛直リブ30の下端とスキンプレートの応接面31に拘束され、Pca中柱7より脱落しない。
【0085】
また、トンネル横断に配する水平リブ29は、所定間隔の鉄筋孔を有し、その中を接合部の床版の軸方向鉄筋である複鉄筋の下筋を貫通させて配筋し、その上側に上筋を配筋し、相対するPca床版端部及び中柱の上端部から突出する鉄筋の定着を受け入れる。
【0086】
図14に、3径間の中央部分に接合部床版を設けた様子を拡大して示す。3径間の中央部の接合部型枠32の脱落防止のために、サポートジャッキ38を、応接部に配し、ここを拘束している。
【0087】
前述した(8)の「接合部桁筋の組立て及びリング継手筋の組立て」の後に、(9)の「接合部型枠の組立て」、続いて、「接合部床版筋の組立て」を行う手順となるところ、「接合部桁筋の組立て及びリング継手筋の組立て」は、「接合部型枠の組立て」後ではもはや手が入らず組み立てることはできない。また、「接合部型枠の組立て」は、接合部の床版の軸方向鉄筋を接合部型枠の水平リブに貫通させる関係から、「接合部床版筋の組立て」後ではもはや組み立てることはできない。
また、接合部床版筋は、接合部型枠の水平リブに貫通させる軸方向下筋及び、その上側の上筋、向かい合うPca床版から突出する複鉄筋同士を重ね継手にて接続する横断方向の鉄筋を、下筋から上筋へと順次組み立てる。
【0088】
(10)接合部コンクリートの打設
次の工程として、
図12の(10)に示すように、3径間の中央部分の接合部にコンクリートを打設する。ここで、載荷面14及び被載荷面20は軸方向に連続するから、接合部のコンクリートはここから漏出することがない。
【0089】
(11)枕木の撤去と両サイドへのインバートコンクリートの打設
最後の工程として、
図12の(11)に示すように、敷設した枕木を撤去し、その後に、未施工箇所のインバートコンクリート40を打設する。尚、前述の(4)の「インバートコンクリートの打設」にて、間欠に配するPcaフーチング27の狭隘はシールド掘進中に打設済である。必要に応じて、Pcaフーチング27及びインバートコンクリート40の側面及び上面に、必要厚の仕上げコンクリートを打設してもよい。これらの打設は、多くの場合、シールド到達後に実施する。