(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔遊技機の基本構成〕
図1は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100の概略正面図である。
図1に示す遊技機の一例としてのパチンコ遊技機100は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたものである。このパチンコ遊技機100は、遊技球が打ち出される遊技盤110と、遊技盤110を囲む枠部材150とを備えている。遊技盤110は、枠部材150に着脱自在に取り付けられている。
【0010】
遊技盤110は、前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域111と、下方から発射された遊技球が上昇して遊技領域111の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材112と、遊技領域111の右側に遊技球を案内する案内部材113とを備えている。
本実施の形態では、遊技者により視認され易い遊技領域111の位置に、演出のための各種の画像を表示する画像表示部114が配設されている。この画像表示部114は、液晶ディスプレイ等による表示画面を備え、遊技者によるゲームの進行に伴い、例えば、図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知するための装飾図柄を表示したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像や後述の保留表示を用いた演出画像を表示したりする。
また、遊技盤110の前面に、各種の演出に用いられる可動役物115および盤ランプ116を備えている。可動役物115は、遊技盤110上で動作することにより各種の演出を行い、また、盤ランプ116は、発光することで各種の演出を行う。
【0011】
遊技領域111には、遊技球が落下する方向に変化を与えるための図示しない遊技くぎおよび風車等が配設されている。また、遊技領域111には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。また、遊技領域111には、遊技領域111に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかったものを遊技領域111の外に排出する排出口117が配設されている。
【0012】
本実施の形態では、入賞や抽選に関する種々の役物として、遊技球が入賞すると特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する第1始動口121および第2始動口122と、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する始動ゲート(以下、単にゲートと呼ぶ)124と、が遊技盤110に配設されている。なお、
図1において、ゲート124は、遊技領域111の左右にそれぞれ設けられており、左側のゲート124は124Lと記載し、右側のゲート124は124Rと記載している。また、ここにいう第1始動口121および第2始動口122とは、予め定められた1の特別図柄表示器の作動契機となる入賞口をいう。具体的には、第1始動口121および第2始動口122には、入賞の際に遊技球の通過を検知するスイッチ(後述の第1始動口スイッチ211および第2始動口スイッチ212)が設けられている。そして、第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞した際にこのスイッチが遊技球の通過を検知することが、特別図柄表示器を作動させる契機となる。
【0013】
第2始動口122は、チューリップの花の形をした一対の羽根が電動ソレノイドにより開閉すると共に点灯する普通電動役物としての電動チューリップ(開閉部材)123を備えている。電動チューリップ123は、羽根が閉じていると、遊技球が第2始動口122へ入り難い一方で、羽根が開くと第2始動口122の入口が拡大して遊技球が第2始動口122へ入り易くなるように構成されている。そして、電動チューリップ123は、普通図柄抽選に当選すると、点灯ないし点滅しながら羽根が規定時間(例えば0.15秒ないし1.8秒間)および規定回数(例えば1回ないし3回)だけ開く。
【0014】
パチンコ遊技機100は、遊技状態として、大当たり抽選の当選確率に基づき、当選確率の低い低確率状態と、低確率状態よりも当選確率の高い高確率状態とを有している。そして、所定の条件に基づいて低確率状態と高確率状態とのいずれかの状態に制御される。なお、上記の低確率状態と高確率状態の他に、特別図柄抽選の当選確率が低確率状態よりも高く高確率状態よりも低い中確率状態を設定することも可能である。この場合、パチンコ遊技機100は、所定の条件に基づいて低確率状態、中確率状態および高確率状態のいずれかの状態に制御される。
また、パチンコ遊技機100は、第2始動口122への入賞機会が少ない時短無状態と、時短無状態よりも第2始動口122への入賞機会が多い時短状態とを有している。そして、所定の条件において、時短無状態と、時短状態とのいずれかの状態に制御される。時短状態とは、たとえば、特別図柄変動時間および普通図柄変動時間を短縮すること、電動チューリップ123の開時間を延長すること、普通図柄抽選の当たり当選確率を高確率にすること、のいずれか一つまたは複数の組合せによって制御される遊技状態である。
【0015】
また、本実施の形態では、入賞や抽選に関するその他の役物として、特別図柄抽選の結果に応じて開放する特別電動役物としての大入賞口125と、遊技球が入賞しても抽選を行わない普通入賞口126と、が遊技盤110に配設されている。そして、大入賞口125には、大入賞口125を開閉する大入賞口扉125Dが設けられている。以下の説明において、大入賞口扉125Dによって開閉状態や開閉動作のことを、便宜的に、大入賞口125の開閉状態や開閉動作として説明する場合がある。
本実施の形態では、遊技盤110の右下の位置に、抽選結果や保留数に関する表示を行う表示器130が配設されている。
【0016】
また、遊技盤110の裏面には、特別図柄の当選の判定等を行う遊技制御基板、演出を統括的に制御する演出制御基板、画像および音による演出を制御する画像制御基板、各種のランプおよび可動役物115による演出を制御するランプ制御基板などの図示しない各種の基板等が取り付けられる。また、遊技盤110の裏面には、供給された24VのAC電源をDC電源に変換して各種の基板等に出力するスイッチング電源(不図示)が配設されている。
【0017】
枠部材150は、遊技者がハンドル151に触れてレバー152を時計方向に回転させる操作を行うとその操作角度に応じた打球力にて遊技球を所定の時間間隔(例えば1分間に100個)で電動発射する発射装置(不図示)を備えている。また、枠部材150は、遊技者のレバー152による操作と連動したタイミングで発射装置に遊技球を1つずつ順に供給する供給装置(不図示)と、供給装置が発射装置に供給する遊技球を一時的に溜めておく皿153と、を備えている。この皿153には、例えば払い出しユニットによる払出球が払い出される。
なお、本実施の形態では、皿153を上下皿一体で構成しているが、上皿と下皿とを分離する構成例も考えられる。また、発射装置のハンドル151を所定条件下で発光させる構成例も考えられる。
【0018】
また、枠部材150は、発射装置のハンドル151に遊技者が触れている状態であっても遊技球の発射を一時的に停止させるための停止ボタン154と、皿153に溜まっている遊技球を箱(不図示)に落下させて取り出すための取り出しボタン155と、を備えている。
また、枠部材150は、パチンコ遊技機100の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりするスピーカ156および枠ランプ157を備えている。スピーカ156は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行う。枠ランプ157は、LED等の発光体で構成され、点灯・点滅によるパターンや発光色の違い等で光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ157については、光の照射方向を変更する演出を行うことを可能にする構成例が考えられる。
また、枠部材150は、遊技盤110を遊技者と隔てるための透明板(不図示)を備えている。
【0019】
図2は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100を説明する図であり、
図2(a)は、遊技盤110の右下に配設された表示器130の一例を示す拡大図であり、
図2(b)は、パチンコ遊技機100の部分平面図である。
パチンコ遊技機100の表示器130は、
図2(a)に示すように、第1始動口121の入賞に対応して作動する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122の入賞に対応して作動する第2特別図柄表示器222と、ゲート124の通過に対応して作動する普通図柄表示器223と、を備えている。第1特別図柄表示器221は、第1始動口121の入賞に基づき、特別図柄を変動表示した後に停止表示させて抽選結果を表示する。第2特別図柄表示器222は、第2始動口122の入賞に基づき、特別図柄を変動表示した後に停止表示させて抽選結果を表示する。普通図柄表示器223は、遊技球がゲート124を通過したことに基づき、普通図柄を変動表示した後に停止表示させて抽選結果を表示する。本実施の形態では、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222は、各々LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって特別図柄抽選の抽選結果が表示される。同様に、普通図柄表示器223も、LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって普通図柄抽選の抽選結果が表示される。
【0020】
また、表示器130は、第1特別図柄表示器221での保留に対応して作動する第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄表示器222での保留に対応して作動する第2特別図柄保留表示器219と、普通図柄表示器223での保留に対応して作動する普通図柄保留表示器220と、を備えている。本実施の形態では、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220は、各々LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって保留数が表示される。
【0021】
ここで、保留について説明する。特別図柄の変動表示動作中(入賞1回分の変動表示が行なわれている間)にさらに第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞した場合、特別図柄が変動中であるために、後の入賞に基づく特別図柄の変動表示動作を開始することができない。そのため、後の入賞は規定個数(例えば4個)を限度に記憶され、その入賞した遊技球に対する特別図柄を始動させるための権利が、先に入賞した遊技球に対する変動表示動作が終了するまで、保留される。
なお、普通図柄に関しても、特別図柄と同様の処理を行う。このような保留がなされていることおよびその保留の数(未変動数)が、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220に表示される。
【0022】
さらに、表示器130は、パチンコ遊技機100の状態を表示する状態表示器224を備えている。本実施の形態では、状態表示器224は、3個のLEDを配列した表示装置で構成されている。3個のLEDのうち1つは、パチンコ遊技機100の状態が、特別図柄抽選の当選確率が高確率である高確率状態となっているか否かを点灯により報知するものである。また、他の1つは、パチンコ遊技機100の状態が、第2始動口122に入賞しやすい時短状態となっているか否かを点灯により報知するものである。さらに他の1つは、右打ちすることによって(遊技球の打球力を変更することによって)遊技者に有利な状態となっているか否かを点灯により報知するものである。
【0023】
なお、状態表示器224が表示するパチンコ遊技機100の状態は上記の例に限らず、他の状態を表示することができる。例えばパチンコ遊技機100の状態として低確率状態よりも当選確率が高く高確率状態よりは当選確率が低い中確率状態が設定される場合、状態表示器224は、中確率状態となっているか否かを点灯により報知しても良い。
【0024】
また、表示器130は、特別図柄抽選の抽選結果に応じて行われる大当たり遊技において大入賞口125が作動される際のラウンド数を表示するラウンド数表示器225を備えている。なお、大当たり遊技については後述する。ラウンド数表示器225は、LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって大当たり遊技における大入賞口125の作動ラウンド数が表示される。
【0025】
パチンコ遊技機100の枠部材150は、遊技者が演出に対する入力を行うための入力装置を備えている。
図2(b)に示すように、本実施の形態では、入力装置の一例として、演出ボタン161と、演出ボタン161に隣接し、略十字に配列された複数のキーからなる演出キー162と、が枠部材150に配設されている。図示の例において、複数の画像の中から1つの画像を選択する操作を受け付ける演出を行う場合を考える。この場合、例えば、遊技者が十字に配列された4つのキーからなる演出キー162を操作することにより、画像表示部114に表示されている複数の画像のいずれかを指示し、演出ボタン161を操作することにより、指示した画像を選択するような演出を行うことができる。また、入力装置の形態としては、図示した演出ボタン161および演出キー162の他、レバーやダイヤル等、演出の内容等に応じて様々な入力形態を採用することができる。
【0026】
〔制御ユニットの構成〕
次に、パチンコ遊技機100での動作制御や信号処理を行う制御ユニットについて説明する。
図3は、本実施の形態のパチンコ遊技機の制御ユニットの内部構成を示すブロック図である。
図4は、本実施の形態の画像/音響制御部およびランプ制御部の説明図である。
【0027】
図3に示すように、制御ユニットは、メイン制御手段として、特別図柄の当選の判定等を行う遊技制御部200を備えている。また、サブ制御手段として、演出を統括的に制御する演出制御部300と、払出球の払い出し制御を行う払出制御部330と、を備えている。
【0028】
〔遊技制御部の構成・機能〕
遊技制御部200は、特別図柄の当選の判定等を行う際の演算処理を行うCPU201と、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM202と、CPU201の作業用メモリ等として用いられるRAM203と、を備えている。
【0029】
遊技制御部200は、パチンコ遊技機100の遊技状態を、高確率状態または低確率状態のいずれか、時短無状態または時短状態のいずれかで制御する。これにより、パチンコ遊技機100の遊技状態は、高確率状態および時短状態である高確率時短遊技状態、低確率状態および時短状態である低確率時短遊技状態、高確率状態および時短無状態である高確率時短無遊技状態、低確率状態および時短無状態である低確率時短無遊技状態のいずれかとなる。そして、遊技制御部200は、所定の条件に基づき、高確率状態と低確率状態とを切り替え、時短無状態と時短状態とを切り替える。また、遊技制御部200は、時短状態において、時短無状態よりも普通図柄抽選の当たり当選確率を高確率にする、普通図柄変動時間を短縮する、電動チューリップ123の開時間を延長する等の制御を行う。
【0030】
遊技制御部200は、第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞したことを契機として特別図柄抽選を行う。そして、特別図柄抽選の判定結果に応じて大当たり遊技等の特別遊技を行う。特別遊技において、遊技制御部200は、特別電動役物である大入賞口125が所定条件(例えば29.5秒経過または遊技球10個の入賞)を満たすまで開状態を維持するラウンドを所定回数だけ繰り返すように制御する。そして、遊技制御部200は、大当たり大入賞口125が開く際の開閉動作間隔を制御する。
【0031】
また、遊技制御部200は、ゲート124を遊技球が通過したことを契機として普通図柄抽選を行う。そして、普通図柄抽選の判定結果に応じて電動チューリップの作動を制御する。
また、遊技制御部200は、特別図柄変動中に遊技球が第1始動口121または第2始動口122へ入賞したことにより発生する保留や、普通図柄変動中に遊技球がゲート124を通過したことにより発生する保留の設定を行う。
さらに、遊技制御部200は、特別図柄抽選および普通図柄抽選の判定結果、高確率状態と低確率状態の変更情報、時短無状態と時短状態の変更情報、保留の設定情報等の遊技制御に伴う情報を、後述するコマンドにより演出制御部300に送る。
【0032】
さらに、遊技制御部200は、第1始動口121、第2始動口122、大入賞口125および普通入賞口126に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1つの遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出制御部330に対する指示を行う。例えば、第1始動口121に遊技球が入賞すると3個の賞球、第2始動口122に遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口125に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口126に遊技球が入賞すると10個の賞球をそれぞれ払い出すように、払出制御部330に指示命令(コマンド)を送る。なお、ゲート124を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しは払出制御部330に指示しない。
払出制御部330が遊技制御部200の指示に従って賞球の払い出しを行った場合には、遊技制御部200は、払い出した賞球の個数に関する情報を払出制御部330から取得する。それにより、払い出した賞球の個数を管理する。
【0033】
遊技制御部200には、検知手段として、
図3に示すように、第1始動口121への遊技球の入賞を検出する第1始動口検出部(第1始動口スイッチ(SW))211と、第2始動口122への遊技球の入賞を検出する第2始動口検出部(第2始動口スイッチ(SW))212と、電動チューリップ123を開閉する電動チューリップ開閉部213と、ゲート124への遊技球の通過を検出するゲート検出部(ゲートスイッチ(SW))214と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、大入賞口125への遊技球の入賞を検出する大入賞口検出部(大入賞口スイッチ(SW))215と、大入賞口125の大入賞口扉125Dを閉状態と突出傾斜した開状態とに設定する大入賞口扉開閉部216と、普通入賞口126への遊技球の入賞を検出する普通入賞口検出部(普通入賞口スイッチ(SW))217と、が接続されている。
【0034】
また、遊技制御部200には、特別図柄の変動中に第1始動口121へ入賞した未変動分の保留個数を表示する第1特別図柄保留表示器218と、特別図柄の変動中に第2始動口122へ入賞した未変動分の保留個数を表示する第2特別図柄保留表示器219と、普通図柄の変動中にゲート124を通過した未変動分の保留個数を表示する普通図柄保留表示器220と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により行われる特別図柄の変動表示および特別図柄抽選の結果を表示する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122への遊技球の入賞により行われる特別図柄の変動表示および特別図柄抽選の結果を表示する第2特別図柄表示器222と、普通図柄の変動表示および普通図柄抽選の結果を表示する普通図柄表示器223と、パチンコ遊技機100の状態を表示する状態表示器224と、が接続されている。
【0035】
そして、第1始動口スイッチ211、第2始動口スイッチ212、ゲートスイッチ214、大入賞口スイッチ215および普通入賞口スイッチ217にて検出された検出信号が、遊技制御部200に送られる。また、遊技制御部200からの制御信号が、電動チューリップ開閉部213、大入賞口扉開閉部216、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219、普通図柄保留表示器220、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222、普通図柄表示器223および状態表示器224に送られる。それにより、遊技制御部200は、上記した払い出し賞球数に関連する各種制御を行う。
【0036】
さらに、遊技制御部200には、ホールに設置されたホストコンピュータ(不図示)に対して各種の情報を送信する盤用外部情報端子基板350が接続されている。そして、遊技制御部200は、払出制御部330から取得した、払い出した賞球数に関する情報や遊技制御部200の状態等を示す情報を、盤用外部情報端子基板350を介してホストコンピュータに送信する。
【0037】
〔払出制御部の構成・機能〕
払出制御部330は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行うCPU331と、CPU331にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM332と、CPU331の作業用メモリ等として用いられるRAM333と、を備えている。
そして、払出制御部330は、遊技制御部200から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。
具体的には、払出制御部330は、遊技制御部200から、遊技球が入賞した場所(第1始動口121等)に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部334を制御する。ここでの払出駆動部334は、遊技球の貯留部から遊技球を送り出す駆動モータで構成される。
【0038】
また、払出制御部330には、払出駆動部334により遊技球の貯留部から実際に払い出された賞球の数を検出する払出球検出部335と、貯留部(不図示)での遊技球の貯留の有無を検出する球有り検出部336と、遊技者が遊技する際に使用する遊技球や払い出された賞球が保持される皿153が満タン状態に有るか否かを検出する満タン検出部337と、が接続されている。そして、払出制御部330は、払出球検出部335、球有り検出部336および満タン検出部337にて検出された検出信号を受け取り、これらの検出信号に応じた所定の処理を行う。
さらに、払出制御部330には、ホールに設置されたホストコンピュータに対して各種の情報を送信する枠用外部情報端子基板340が接続されている。そして、払出制御部330は、例えば払出駆動部334に対して払い出すように指示した賞球数に関する情報や払出球検出部335にて検出された実際に払い出された賞球数に関する情報等を枠用外部情報端子基板340を介してホストコンピュータに送信する。また、遊技制御部200に対しても、同様の情報を送信する。
【0039】
〔演出制御部の構成・機能〕
演出制御部300は、演出を制御する際の演算処理を行うCPU301と、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM302と、CPU301の作業用メモリ等として用いられるRAM303と、日時を計測するリアルタイムクロック(RTC)304と、を備えている。
演出制御部300は、例えば遊技制御部200から送られる特別図柄抽選での当選か否かの判定結果および変動パターンに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン161または演出キー162を用いたユーザからの操作入力を受けて、操作入力に応じた演出内容を設定する場合もある。この場合、例えば演出ボタン161等のコントローラ(不図示)から操作に応じた信号(操作信号)を受け付け、この操作信号により識別される操作内容を演出の設定に反映させる。
また、演出制御部300は、遊技が所定期間中断された場合には、演出の一つとして客待ち用の画面表示の設定を指示する。
さらには、演出制御部300は、遊技制御部200より受信した高確率状態と低確率状態の変更情報、時短無状態と時短状態の変更情報に基づいて演出内容を設定する。
また、演出制御部300は、設定した演出内容の実行を指示するコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送る。
【0040】
さらに、演出制御部300には、画像および音響を用いた演出を制御する画像/音響制御部310と、各種のランプおよび可動役物115を用いた演出を制御するランプ制御部320と、が接続されている。
【0041】
〔画像/音響制御部の構成・機能〕
画像/音響制御部310は、
図4に示すように、演出内容を表現する画像および音響を制御する際の演算処理を行うCPU311と、CPU311にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM312と、CPU311の作業用メモリ等として用いられるRAM313と、VDP(Video Display Processor)314と、CGROM315と、SNDROM316とを備えている。
【0042】
そして、画像/音響制御部310は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、画像表示部114に表示する画像およびスピーカ156から出力する音響を制御する。
具体的には、CGROM315には、画像表示部114において遊技中に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。また、SNDROM316には、画像データと同期させて、または画像データとは独立にスピーカ156から出力させる楽曲や音声、さらにはジングル等の効果音等といった各種音響データが記憶されている。
CPU311は、演出制御部300から送られた保留数コマンドもしくは変動開始コマンドに基づいて、アニメーションパターンの解析や、描画に関するコマンドをまとめたディスプレイリストの作成、およびディスプレイリストのVDP314への送信などを行う。
【0043】
VDP314は、CPU311から受信したディスプレイリストに基づいて、CGROM315やSNDROM316にそれぞれ記憶された画像データや音響データを読み出す。さらには、VDP314は、読み出した画像データを用いて背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等のための描画処理と、読み出した音響データを用いた音声処理とを行う。そして、VDP314は、描画処理された画像データにより画像表示部114での画面表示を制御する。また、VDP314は、音声処理された音響データによりスピーカ156から出力される音響を制御する。
なお、本実施の形態では、VDP314が描画処理に併せて音声処理も行うよう構成しているが、これに限定されず、音声処理を専用で行うプロセッサを別途設けても構わない。
【0044】
〔ランプ制御部の構成・機能〕
ランプ制御部320は、盤ランプ116や枠ランプ157の発光、および可動役物115の動作を制御する際の演算処理を行うCPU321と、CPU321にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM322と、CPU321の作業用メモリ等として用いられるRAM323と、を備えている。
そして、ランプ制御部320は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ116や枠ランプ157の点灯/点滅や発光色等を制御する。また、可動役物115の動作を制御する。
【0045】
具体的には、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた盤ランプ116や枠ランプ157での点灯/点滅パターンデータおよび発光色パターンデータ(発光パターンデータ)が記憶されている。CPU321は、ROM322に記憶された発光パターンデータの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、ランプ制御部320は、読み出した発光パターンデータにより盤ランプ116や枠ランプ157の発光を制御する。
また、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた可動役物115の動作パターンデータが記憶されている。CPU321は、可動役物115に対しては、読み出した動作パターンデータによりその動作を制御する。
【0046】
なお、本実施の形態では、遊技制御部200、演出制御部300、画像/音響制御部310、ランプ制御部320、および払出制御部330各々は、遊技盤110の後面に配設されたメイン基板としての遊技制御基板、サブ基板としての演出制御基板、画像制御基板、ランプ制御基板、および払出制御基板において個別に構成されている。
【0047】
〔遊技制御部の機能構成〕
続いて、遊技制御部200の機能構成を説明する。
図5は、遊技制御部200の機能構成を示すブロック図である。
図5に示すように、遊技制御部200は、各種抽選処理を実行する機能部として、乱数取得部231と、普通図柄判定部232と、特別図柄変動制御部233と、特別図柄判定部234と、普通図柄変動制御部236と、を備えている。
また、遊技制御部200は、特別図柄変動に伴う処理を実行する機能部として、変動パターン選択部235を備えている。
さらに、遊技制御部200は、各種役物の動作制御や賞球等に関するデータ処理を実行する機能部として、大入賞口動作制御部237と、電動チューリップ動作制御部238と、賞球処理部239と、出力制御部240と、乱数制御部241と、を備えている。
【0048】
乱数取得部231は、特別図柄抽選に用いられる乱数値と、普通図柄抽選に用いられる乱数値とを取得する。特別図柄抽選に用いられる乱数値の場合、具体的には、第1始動口121や第2始動口122に遊技球が入賞したことを条件として、乱数の種類ごとに、所定の範囲の数値の中から1つの数値(乱数値)が選択(取得)される。取得された乱数値は、特別図柄判定部234による判定に用いられる。詳しくは後述するが、特別図柄抽選に用いられる乱数としては、大当たりか否かを示す大当たり乱数、大当たりの種類を示す図柄乱数、変動パターン乱数、リーチ乱数等が有る。
また、普通図柄抽選に用いられる乱数値の場合、具体的には、ゲート124を遊技球が通過したことを条件として、所定の範囲の数値の中から1つの数値(乱数値)が選択(取得)される。取得された乱数値は、普通図柄判定部232による判定に用いられる。なお、普通図柄抽選に用いられる乱数としては、当たりか否かを示す当たり乱数の他、当たりの種類を示す図柄乱数や変動パターン乱数等が設定される場合もある。
特別図柄変動制御部233は、特別図柄抽選が行われた場合に、抽選結果に応じて、第1特別図柄表示器221または第2特別図柄表示器222における特別図柄の変動を制御する。
【0049】
特別図柄判定部234は、特別図柄の変動開始時に、
図20に示すような乱数テーブルを用いて、特別図柄抽選の抽選結果が「大当たりか否か」、「大当たりに当選した場合の大当たりの種類」、「大当たりに当選していない場合での小当たりかはずれか」を判定する。すなわち、乱数取得部231は、検知手段である第1始動口スイッチ211または第2始動口スイッチ212により遊技球の通過が検知されたことを契機として特別図柄に関する乱数値を取得し、特別図柄判定部234は、取得した乱数値に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技(大当たり遊技等)を行うか否かを判定する。なお、前述した特別図柄の抽選(大当たり抽選)は、乱数取得部231および特別図柄判定部234における処理のことをいう。
【0050】
ここで、「大当たり」は、大当たり遊技の終了後に発生する遊技状態に応じて複数の種類に分けられる。具体的には、時短無状態か時短状態か、および高確率状態か低確率状態かの組み合わせによって大当たりの種類が決まる。すなわち、大当たり遊技の終了後に発生する遊技状態に基づく大当たりの種類としては、大当たり遊技の終了後に、高確率時短遊技状態となる大当たり(以下、高確率時短遊技状態の大当たり)、低確率時短遊技状態となる大当たり(以下、低確率時短遊技状態の大当たり)、高確率時短無遊技状態となる大当たり(以下、高確率時短無遊技状態の大当たり)、低確率時短無遊技状態となる大当たり(以下、低確率時短無遊技状態の大当たり)が有り得る。これらの大当たりは、各々個別の特別図柄に対応付けられており、特別図柄抽選において当選した特別図柄の種類に応じて大当たりの種類が確定する。
【0051】
また、「大当たり」は、大当たり遊技の時間が長く多量の遊技球の払い出しが期待できる大当たりと、大当たり遊技の時間が短く遊技球の払出がほとんど期待できない大当たりとに分けられる場合がある。前者は「長当たり」と呼ばれ、後者は「短当たり」と呼ばれる。例えば、「長当たり」では、大入賞口125の開状態が所定条件(例えば29.5秒経過または10個の遊技球の入賞)を満たすまで維持されるラウンドが所定回数(例えば15回)繰り返される。また、「短当たり」では、一定時間(例えば0.1秒)だけ大入賞口125が開状態となるラウンドが所定回数(例えば15回)繰り返される。
【0052】
また、大当たりに当選していない場合の「小当たり」は、例えば0.1秒だけ大入賞口125が開状態となる態様が所定回数(例えば15回)行われる小当たり遊技が行われる。なお、小当たり当選時には、小当たり遊技が終了した後においても小当たり当選前の遊技状態を継続する。すなわち、小当たり当選時の遊技状態が高確率時短遊技状態である場合には、小当たり遊技の終了後においても高確率時短遊技状態が継続され、遊技状態は移行しない。同様に、小当たりの当選時の遊技状態が低確率時短無遊技状態である場合には、小当たり遊技の終了後においても低確率時短無遊技状態が継続され、遊技状態は移行しない。
また、「小当たり」は、「はずれ」の一種であり、遊技者に有利となる上記の遊技状態の何れも設定されない。
【0053】
変動パターン選択部235は、第1特別図柄表示器221や第2特別図柄表示器222にて表示する特別図柄の変動パターン(変動時間)を選択する。具体的には、変動パターン選択部235は、大当たり遊技を行うか否かの判定結果およびリーチを行うか否かの判定結果等に基づいて、変動パターンを決定する。そして、変動パターン選択部235により選択された変動パターンに基づいて、特別図柄変動制御部233が特別図柄の変動を制御する。変動パターン選択部235および特別図柄変動制御部233の動作の詳細については後述する。
ここで、「リーチ」とは、後述する装飾図柄において遊技者に大当たりを期待させるための演出である。
【0054】
普通図柄判定部232は、普通図柄の変動開始時に、後述する
図20(d)に示すような乱数テーブルを用いて、普通図柄の抽選結果が「当たりか否か」を判定する。すなわち、普通図柄判定部232は、乱数取得部231により取得された普通図柄抽選用の乱数値に基づいて、電動チューリップ123を開閉作動させる補助遊技を行うか否かを判定する。また、普通図柄抽選において複数の種類の当たりが設定される場合は、普通図柄判定部232は、判定結果が当たりであった場合の「当たりの種類」を判定する。なお、普通図柄抽選は、乱数取得部231および普通図柄判定部232により行われる処理である。
普通図柄変動制御部236は、普通図柄抽選が行われた場合に、抽選結果に応じて、普通図柄表示器223による普通図柄の変動を制御する。
電動チューリップ動作制御部238は、普通図柄判定部232により普通図柄抽選において「当たり」と判定された場合に、電動チューリップ123を規定時間および規定回数だけ開放し、第2始動口122に遊技球が入賞容易となる状態を発生させる。また、「はずれ」と判定された場合には、電動チューリップ123のこのような開放状態を発生させない。
【0055】
大入賞口動作制御部237は、特別図柄判定部234により特別図柄抽選において「大当たり」と判定された場合に、大当たり遊技として、当選した大当たりの種類に基づいて特定される作動パターンで大入賞口125の開放動作を制御する。また、大入賞口動作制御部237は、特別図柄判定部234により特別図柄抽選において「小当たり」と判定された場合に、小当たり遊技として、規定時間および規定回数だけ大入賞口125を開放する。
賞球処理部239は、入賞や抽選に関する種々の役物への入賞個数の管理および入賞に応じた賞球の払い出しの制御用コマンドをセットする。
出力制御部240は、遊技制御部200から演出制御部300および払出制御部330へ制御用コマンドの出力を制御する。
乱数制御部241は、乱数取得部231が所定のタイミングで取得する各種の乱数値を更新する。
【0056】
〔遊技機の基本動作〕
次に、パチンコ遊技機100の基本動作を説明する。
パチンコ遊技機100の遊技制御部200は、電源が投入されると、起動時の基本処理として、各種装置の初期化や初期設定を行う。そして、基本処理を行った後、遊技制御部200は、遊技の進行に関する一連の処理である主制御処理を繰り返し実行する。また、電源を遮断する際には、遊技制御部200は、一連の電源遮断時処理を実行する。
【0057】
図6は、遊技制御部200による基本処理の動作を示すフローチャートである。
遊技制御部200は、パチンコ遊技機100の電源が投入されると、まず、RAM203(
図3参照)へのアクセスを許可する(ステップ(以下、ステップを「S」と記載する)601)。そして、遊技制御部200は、RAM203をクリアするためのRAMクリアスイッチがONとなっているか否かを判断する(S602)。
RAMクリアスイッチがOFFである場合(S602でNo)、次に、遊技制御部200は、電源遮断時の動作に関するバックアップフラグがONとなっているか否かを判断する(S603)。
バックアップフラグがONである場合(S603でYes)、次に、遊技制御部200は、電源遮断時に作成されたチェックサムが正常か否かを判断する(S604)。
チェックサムが正常である場合(S604でYes)、次に、遊技制御部200は、復帰処理を実行する(S605)。この復帰処理において、遊技制御部200は、電源が遮断された状態からの復帰に伴う、演出制御部300等のサブ制御手段の設定を行う。具体的には、遊技制御部200は、電源が遮断される際におけるパチンコ遊技機100の遊技状態(大当たり遊技中か否か、高確率状態と低確率状態のいずれか、時短状態と時短無状態のいずれか)を反映させるように、サブ制御手段を設定するためのコマンドを演出制御部300へ出力する。また、この復帰処理において、遊技制御部200は、バックアップフラグをOFFにする。
【0058】
一方、RAMクリアスイッチがON(S602でYes)、バックアップフラグがOFF(S603でNo)、チェックサムが異常(S604でNo)のいずれかに該当する場合、次に遊技制御部200は、初期化処理として、RAM203の記憶内容をクリアし(S606)、RAM203の作業領域を設定する(S607)。そして、遊技制御部200は、サブ制御手段を設定(初期化)するためのコマンドを演出制御部300へ出力し、サブ基板(サブ制御手段)の設定を行う(S608)。サブ基板の設定には、各サブ基板に搭載されているRAM303、RAM313、RAM323をクリアすること等が含まれる。
【0059】
復帰処理(S605参照)が終了した後、またはサブ基板の設定(S608参照)が終了した後、遊技制御部200は、遊技制御に用いられる各種のカウンタおよびタイマーを設定する(S609)。そして、遊技制御部200は、割り込み許可(S610)、割り込み禁止(S611)、図柄乱数制御処理(S612)、初期値乱数更新処理(S613)、電源遮断フラグがONとなっているか否かの判断(S614)をループ処理として繰り返し実行する。
ここで、割り込み許可(S610)および割り込み禁止(S611)は、このループ処理(S610〜S614)の実行中に割り込み処理の実行を可能とするために設けられている。本実施の形態では、この割り込み処理により、遊技制御における主制御処理が実行される。主制御処理の詳細については後述する。
図柄乱数制御処理(S612)において、遊技制御部200は、特別図柄抽選で用いられる変動パターン乱数の更新を行う。
初期値乱数更新処理(S613)において、遊技制御部200は、遊技制御において用いられる各種の乱数値の初期値を更新する。
電源遮断フラグの判断において、電源遮断フラグがOFFである場合(S614でNo)、パチンコ遊技機100の電源は遮断されず、遊技制御部200は、ループ処理(S610〜S614)と共に割り込みによる主制御処理を繰り返し実行する。一方、電源遮断フラグがONである場合(S614でYes)、遊技制御部200は、パチンコ遊技機100の電源を遮断するための処理(電源遮断時処理)を開始する。
【0060】
図7は、遊技制御部200による電源遮断時処理の動作を示すフローチャートである。
電源遮断時処理において、遊技制御部200は、まず、各種の出力を行うための出力ポートの設定をクリアする(S701)。次に、遊技制御部200は、チェックサムを作成し、RAM203に格納する(S702)。次に、遊技制御部200は、バックアップフラグをONにし(S703)、RAM203へのアクセスを禁止して(S704)、無限ループに移行する。
【0061】
〔遊技機の主制御処理〕
次に、パチンコ遊技機100の主制御処理を説明する。
遊技制御部200は、主制御処理において、パチンコ遊技機100における遊技を制御すると共に、サブ制御手段である演出制御部300に対して演出の制御を指示し、払出制御部330に対して賞球の払い出しの制御を指示する。
【0062】
図8は、遊技制御部200の主制御処理を示すフローチャートである。
主制御処理は、遊技制御における一連の処理からなり、予め設定された一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行される。本実施の形態において、遊技制御部200は、予め設定された一定時間ごとに割り込みを発生させ、
図6に示すループ処理の中で割り込みが許可(S610参照)されると、割り込み処理として主制御処理を実行する。
図8に示すように、主制御処理では、乱数更新処理、スイッチ処理、図柄処理、電動役物処理、賞球処理、出力処理が順次実行される(S801〜S806)。
【0063】
乱数更新処理(S801)では、遊技制御部200は、乱数制御部241の機能(サブルーチン)を呼び出し、遊技制御部200による遊技制御で用いられる各種の乱数の値を更新する。乱数の設定および乱数値の更新の詳細については後述する。
【0064】
スイッチ処理(S802)としては、始動口スイッチ処理、ゲートスイッチ処理が行われる。
始動口スイッチ処理では、遊技制御部200は、乱数取得部231の機能(サブルーチン)を呼び出し、
図3の第1始動口スイッチ211および第2始動口スイッチ212の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、特別図柄抽選のための処理を実行する。また、詳しくは後述するが、第1始動口スイッチ211および第2始動口スイッチ212において事前判定処理を行う場合は、特別図柄判定部234、変動パターン選択部235の各機能(サブルーチン)を呼び出し、事前判定のための処理を実行する。
ゲートスイッチ処理では、遊技制御部200は、乱数取得部231の機能(サブルーチン)を呼び出し、
図3のゲートスイッチ214の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、普通図柄抽選のための処理を実行する。
これらのスイッチ処理の詳細な内容については後述する。
【0065】
図柄処理(S803)としては、特別図柄処理、普通図柄処理が行われる。
特別図柄処理では、遊技制御部200は、特別図柄変動制御部233、特別図柄判定部234、変動パターン選択部235の各機能(サブルーチン)を呼び出し、特別図柄変動およびこの図柄変動に伴う処理を実行する。
普通図柄処理では、遊技制御部200は、普通図柄判定部232および普通図柄変動制御部236の機能(サブルーチン)を呼び出し、普通図柄変動およびこの図柄変動に伴う処理を実行する。
これらの図柄処理の詳細な内容については後述する。
【0066】
電動役物処理(S804)としては、大入賞口処理および電動チューリップ処理が行われる。
大入賞口処理では、遊技制御部200は、大入賞口動作制御部237の機能(サブルーチン)を呼び出し、所定の条件に基づいて特別電動役物である大入賞口125の開放動作を制御する。
電動チューリップ処理では、遊技制御部200は、電動チューリップ動作制御部238の機能(サブルーチン)を呼び出し、所定の条件に基づいて普通電動役物である電動チューリップ123の開放動作を制御する。
これらの電動役物処理の詳細な内容については後述する。
【0067】
賞球処理(S805)では、遊技制御部200は、賞球処理部239の機能(サブルーチン)を呼び出し、入賞個数の管理および入賞に応じた賞球の払い出しの制御用コマンドをセットする。
【0068】
出力処理(S806)では、遊技制御部200は、出力制御部240の機能(サブルーチン)を呼び出し、演出制御用のコマンドを演出制御部300へ出力し、払い出し制御用のコマンドを払出制御部330へ出力する。演出制御用コマンドは、S802からS804までの各処理において生成され、RAM203に設けられた制御用コマンドの格納領域に格納(セット)される。払い出し制御用コマンドは、S805の処理において生成され、RAM203に設けられた制御用コマンドの格納領域に格納(セット)される。RAM203には、制御用コマンドの種類ごとに格納領域が設定されている。
【0069】
出力制御部240は、RAM203の各制御用コマンドの格納領域を順に調べ、個々の格納領域に制御用コマンドが格納されていれば(すなわち、S802〜S805の処理で制御用コマンドが生成されていれば)、その制御用コマンドを読み出し、出力先(演出制御部300または払出制御部330)へ出力する。
【0070】
本実施の形態では、
図8に示したように、一連の主制御処理の最後に出力処理を行う。すなわち、第1の処理手段としての上記各機能によるS802〜S805の各処理において生成されたコマンドを、その各処理においてはRAM203の対応する格納領域に格納しておく。そして、これらの処理の後に、第2の処理手段としての出力制御部240が、RAM203の格納領域に蓄積された、各処理で生成されたコマンドをまとめて出力する。言い換えれば、本実施の形態では、主制御処理を1サイクル実行すると、その1サイクルの実行において生成されたコマンドが、その1サイクルの実行における最後のコマンド生成が行われた後に、出力される。
【0071】
〔遊技機の基本動作の変形例〕
なお、
図6乃至
図8を参照して説明した動作例では、基本処理におけるループ処理の部分で割り込みを許可し、割り込み処理として一連の処理からなる主制御処理を実行した。しかしながら、主制御処理は、一定時間ごとに繰り返し実行されるように構成されていれば良く、具体的な実現手段(実行手順)は、
図6乃至
図8に示した例には限定されない。例えば、基本処理の一連の動作の中に主制御処理を組み入れておき、所定のタイミングで経過時間を計測し、一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに主制御処理へ戻る構成としても良い。また、基本処理の一連の動作の中に主制御処理を組み入れる一方で、
図6乃至
図8を参照して説明した動作と同様に、一定時間ごとに割り込みを発生させ、割り込みが発生したならば基本処理中に組み入れられた主制御処理へ戻る構成としても良い。
【0072】
また、基本処理で生成されたコマンドを出力する場合は、原則として、コマンドを生成する度に、RAM203のコマンド格納領域に格納し、第2の処理手段である出力制御部240の機能を呼び出して出力する。基本処理は、遊技の進行に関わる主制御処理とは異なり、電源投入時にのみ行われる初期動作等の特別な処理である。また、基本処理は、電源投入時のパチンコ遊技機100の状態等の条件に基づく分岐により処理手順が変動する場合があるため、出力処理に漏れが無いように、生成したコマンドを速やかに出力する処理である。なお、関連する複数の処理により連続的にコマンドが生成される場合等、具体的な処理の要請に応じて、複数のコマンドをRAM203のコマンド格納領域に格納し、まとめて出力する処理手順を採っても良い。
【0073】
〔遊技制御部による乱数更新処理〕
特別図柄抽選等の遊技制御における各種の抽選に用いられる判定情報としての乱数値は、カウンタによって計数され、所定の初期値から始まって、
図8に示す主制御処理の乱数更新処理(S801)が行われるたびに1ずつ加算される。そして、各抽選が行われた時点の値が始動口スイッチ処理(
図9)およびゲートスイッチ処理(
図10)で取得され、特別図柄処理(
図11)や普通図柄処理(
図16)で使用される。この乱数値のカウンタは無限ループカウンタであり、計数された乱数値が、設定されている乱数の最大値(例えば、後述する
図20(a)に示した大当たり乱数では299)に達した後は、再び初期値に戻る。また、乱数更新処理は一定時間ごとに行われるため、各乱数の初期値が特定されてしまうと、更新間隔や初期値の情報に基づいて当選値が推定される恐れがある。そこで、主制御処理から
図6に示す基本処理に戻った後、S613の初期値乱数更新処理において、各乱数の初期値をランダムに変更する。
【0074】
〔遊技制御部による始動口スイッチ処理〕
図9は、
図8のS802に示したスイッチ処理のうちの始動口スイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
この始動口スイッチ処理は、第1始動口121における入賞に対する処理と、第2始動口122における入賞に対する処理とが順次行われる。
図9を参照すると、遊技制御部200は、まず、第1始動口121に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ211がONとなったか否かを判断する(S901)。第1始動口スイッチ211がONとなったならば、次に遊技制御部200は、第1始動口121の入賞における未変動分の保留数U1が上限値未満か否かを判断する(S902)。
図9に示す例では、上限値を4個としている。保留数U1が上限値に達している場合は(S902でNo)、それ以上未変動分の入賞を保留することができないので、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。
【0075】
一方、保留数U1が上限値未満である場合(S902でYes)、遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による判定のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(S903)。ここでは、第1始動口121の入賞なので、特別図柄抽選のための乱数値が取得される。このとき取得される乱数値は、S801の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により、後の特別図柄処理において特別図柄抽選の結果が確定される。ここにいう乱数値としては、大当たり、小当たりまたははずれを決定する大当たり乱数値、大当たりの種類(大当たり遊技の終了後における時短状態か時短無状態、高確率状態と低確率状態、長当たり、短当たり)を決定する図柄乱数値(大当たり図柄乱数値)、図柄変動における変動パターンを特定するための変動パターン乱数値、はずれのときに後述のリーチ有り演出をするか否かを決定するリーチ乱数値、等が含まれる。
【0076】
次に、遊技制御部200は、事前判定処理を行う(S904)。事前判定処理とは、始動口における入賞により乱数の取得が既に行われているが後述する特別図柄処理によって乱数の判定が未だ行われていない入賞球(保留球)について、特別図柄処理によって乱数が判定されるよりも前にその乱数の判定を行う(事前判定)処理である。
【0077】
そして、本実施の形態の演出制御部300は、事前判定処理によって判定された乱数の判定結果(事前判定結果)に基づいて、特別図柄処理によって乱数が判定され、その判定結果が報知されるよりも前に、その判定結果を示唆する予告演出を行うことができる。この予告演出は、例えば、始動口における入賞により乱数の取得が既に行われているが特別図柄処理によって乱数の判定が未だ行われていない入賞球(保留球)の発生に応じて、画像表示部114に表示される保留表示演出(後述)等を用いて行われる。この事前判定に基づく予告演出により、予告演出に係る事前判定に対応する保留球に関して、その後に特別図柄処理による乱数の判定が行われた際の判定結果が遊技者に示唆される。これによって、遊技者は、保留球に対して期待を抱きながら遊技を行うことができる。事前判定に基づく予告演出の詳細については後述する。
【0078】
そして、遊技制御部200は、保留数U1の値を1加算する(S905)。
この後、遊技制御部200は、事前判定結果を演出制御部300に通知するために、S904の事前判定処理による事前判定情報を含む事前判定結果コマンドをRAM203にセットする(S906)。
さらに、遊技制御部200は、S905による保留数U1の増加を演出制御部300に通知するための保留数増加コマンドをRAM203にセットし(S907)、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。
【0079】
次に、第2始動口122における入賞に対する処理が行われる。
図9を参照すると、次に遊技制御部200は、第2始動口122に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ212がONとなったか否かを判断する(S908)。第2始動口スイッチ212がONとなったならば、次に、遊技制御部200は、第2始動口122の入賞における未変動分の保留数U2が上限値未満か否かを判断する(S909)。
図9に示す例では、上限値を4個としている。保留数U2が上限値に達している場合は(S909でNo)、それ以上未変動分の入賞を保留することができないので、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。
【0080】
一方、保留数U2が上限値未満である場合(S909でYes)、遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(S910)。ここでは、第2始動口122の入賞なので、上記のS903と同様に、特別図柄抽選のための乱数値(大当たり乱数値、大当たり図柄乱数値)、リーチ乱数値、変動パターン乱数値など)が取得される。このとき取得される乱数値は、S801の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により後の特別図柄処理において特別図柄抽選の結果が確定される。
【0081】
次に、遊技制御部200は、事前判定処理を行う(S911)。この事前判定処理の内容は、上記のS904と同様である。
そして、遊技制御部200は、保留数U2の値を1加算する(S912)。
この後、遊技制御部200は、事前判定結果を演出制御部300に通知するために、S911の事前判定処理による事前判定情報を含む事前判定結果コマンドをRAM203にセットする(S913)。
さらに、遊技制御部200は、S912による保留数U2の増加を演出制御部300に通知するための保留数増加コマンドをRAM203にセットし(S914)、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。
【0082】
〔遊技制御部によるゲートスイッチ処理〕
図10は、ゲート124を遊技球が通過した場合のゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
このゲートスイッチ処理において、遊技制御部200は、まず、ゲート124を遊技球が通過してゲートスイッチ214がONとなったか否かを判断する(S1001)。ゲートスイッチ214がONとなったならば、次に遊技制御部200は、未変動分の保留数Gが上限値未満か否かを判断する(S1002)。
図10に示す例では、上限値を4個としている。保留数Gが上限値に達している場合は(S1002でNo)、それ以上未変動分の入賞を保留することができないので、ゲートスイッチ処理を終了する。
【0083】
一方、保留数Gが上限値未満である場合(S1002でYes)、遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(S1003)。ここでは、ゲート124の入賞なので、普通図柄抽選のための乱数値(当たり乱数値など)が取得される。
【0084】
次に、遊技制御部200は、保留数Gの値を1加算する(S1004)。
S1004で保留数Gの値が加算された後、遊技制御部200は、S1004による保留数Gの増加を演出制御部300に通知するための保留数G増加コマンドをRAM203にセットし(S1005)、ゲート124における入賞に対する処理を終了する。
【0085】
〔遊技制御部による特別図柄処理〕
図11は、
図8のS803に示した図柄処理のうちの特別図柄処理の内容を示すフローチャートである。
この特別図柄処理において、遊技制御部200の特別図柄変動制御部233は、まず、RAM203においてセットされるフラグの設定(以下、フラグ設定)において大当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S1101)。ここで、大当たり遊技フラグは、特別図柄抽選の結果が大当たりであることを識別するためにセットされるフラグである。大当たりの種類に応じて、長当たり遊技フラグ、短当たり遊技フラグの何れかがセットされる。本実施の形態では、これらを総称して大当たり遊技フラグと呼ぶ。
【0086】
大当たり遊技フラグがONである場合、既にパチンコ遊技機100は大当たり中であるので、特別図柄変動を開始することなく特別図柄処理を終了する(S1101でYes)。一方、大当たり遊技フラグがOFFである場合(S1101でNo)、次に特別図柄変動制御部233は、パチンコ遊技機100の現在の状態が特別図柄変動中か否かを判断する(S1102)。特別図柄変動中でない場合(S1102でNo)、次に特別図柄変動制御部233は、特別図柄の未変動分の保留数U1、U2(
図9参照)に関する処理を行う(S1103〜S1106)。本実施の形態では、第1始動口121の入賞に係る保留数U1と第2始動口122の入賞に係る保留数U2とを区別しているので、この処理も対応する始動口ごとに個別に行う。
【0087】
具体的には、特別図柄変動制御部233は、まず第2始動口122の入賞に係る保留数U2が1以上か判断する(S1103)。保留数U2が1以上である場合(S1103でYes)、特別図柄変動制御部233は、保留数U2の値を1減算する(S1104)。一方、保留数U2=0である場合は(S1103でNo)、特別図柄変動制御部233は、次に第1始動口121の入賞に係る保留数U1が1以上か判断する(S1105)。保留数U1が1以上である場合(S1105でYes)、特別図柄変動制御部233は、保留数U1の値を1減算する(S1106)。一方、保留数U1=0である場合は(S1105でNo)、特別図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、特別図柄変動を開始せず、別ルーチンの客待ち設定処理を実行して処理を終了する(S1116)。
なお、本実施の形態では、第2始動口122の入賞に係る保留数U2に関する処理を優先させて行った。すなわち、保留数U2が1以上である場合は保留数U2に関する処理を行い、保留数U2=0である場合に保留数U1に関する処理を行っている(S803〜S806参照)。これに対し、第1始動口121と第2始動口122のどちらの入賞かに関わらず、入賞した順に保留数U1、U2を減算していくような制御とすることも可能である。
【0088】
S1104またはS1106で保留数U1または保留数U2を減算した後、特別図柄変動制御部233は、RAM203のフラグ設定においてセットされた客待ちフラグをOFFとする(S1107)。客待ちフラグは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを識別するためのフラグであり、客待ち設定処理(S1116、
図15参照)においてセットされる。
【0089】
次に、特別図柄変動制御部233は、別ルーチンによる大当たり判定処理および変動パターン選択処理を実行する(S1108、S1109)。詳しくは後述するが、この大当たり判定処理および変動パターン選択処理によって、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222に変動表示される特別図柄の変動用の設定情報(大当たり図柄、遊技状態、変動パターン等)が決定される。なお、これらの情報は演出制御部300に送られる変動開始コマンドに含まれる。
【0090】
この後、特別図柄変動制御部233は、大当たり判定処理および変動パターン選択処理で決定された設定内容に基づき、
図2に示す第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222により表示される特別図柄の変動を開始する(S1110)。そして、この設定内容を示す設定情報(大当たり図柄、遊技状態、変動パターン等)を含んだ変動開始コマンドを生成し、RAM203にセットする(S1111)。S1111でセットされた変動開始コマンドは、
図8のS806に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0091】
S1102で特別図柄変動中と判断された場合(S1102でYes)、またはS1111で変動開始コマンドがセットされた後、特別図柄変動制御部233は、変動時間を経過したか否かを判断する(S1112)。すなわち、S1110で特別図柄の変動を開始してからの経過時間がS1109の変動パターン選択処理で設定された変動時間に達したか否かが判断される。変動時間を経過していなければ(S1112でNo)、特別図柄変動が継続されるので、そのまま特別図柄処理が終了する。
【0092】
一方、変動時間を経過した場合(S1112でYes)、特別図柄変動制御部233は、まず、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222における特別図柄の変動をS1108の大当たり判定処理で決定された図柄で停止する(S1113)。後述する装飾図柄を停止させるための変動停止コマンドをRAM203にセットする(S1114)。そして、別ルーチンの停止中処理を実行する(S1115)。停止中処理の内容については後述する。S1114でセットされた変動停止コマンドは、
図8のS806に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0093】
〔遊技制御部による大当たり判定処理〕
図12は、大当たり判定処理(
図11のS1108)の内容を示すフローチャートである。
この大当たり判定処理において、遊技制御部200の特別図柄判定部234は、まず、今回の特別図柄抽選における大当たり乱数値の判定を行い(S1201)、大当たりまたは小当たりしたか否かを判断する(S1202、S1205)。大当たりまたは小当たりしたか否かは、
図9のS903またはS910で取得した大当たり乱数の値が、大当たりの当選値として設定された値または小当たりの当選値として設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される(
図20(a)参照)。
【0094】
S1201の乱数判定の結果が大当たりだった場合(S1202でYes)、次に特別図柄判定部234は、大当たり図柄乱数値の判定を行う(S1203)。この判定の結果に応じて、大当たりの種類(高確率状態か低確率状態、時短状態か時短無状態、長当たり、短当たり)が決定される。何れの大当たりとなるかは、
図9のS903またはS910で取得した大当たり図柄乱数の値が、大当たりの種類ごとに予め設定された値のうちの何れと一致したかによって決定される(
図20(b)参照)。
【0095】
以上の判定の後、特別図柄判定部234は、大当たり図柄乱数の判定により決定された大当たりの種類を表す図柄(大当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(S1204)。
【0096】
S1201の乱数判定の結果が小当たりだった場合(S1202でNo、S1205でYes)、次に特別図柄判定部234は、小当たりであることを表す図柄(以下、小当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(S1206)。
【0097】
S1201の乱数判定の結果が大当たりでも小当たりでもない場合(S1202、S1205でNo)、次に特別図柄判定部234は、抽選にはずれたことを表す図柄(以下、はずれ図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(S1207)。
【0098】
〔遊技制御部による変動パターン選択処理〕
図13は、変動パターン選択処理(
図11のS1109)の内容を示すフローチャートである。
この変動パターン選択処理において、遊技制御部200の変動パターン選択部235は、まず、パチンコ遊技機100の遊技状態(時短無状態か時短状態か、および高確率状態か低確率状態か)を参照する(S1301)。そして、大当たり判定処理(
図12)のS1202の判断結果を用いて今回の特別図柄抽選で大当たりしたか否かを判断する(S1302)。そして、大当たりだった場合(S1302でYes)、変動パターン選択部235は、大当たり用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(S1303)。
【0099】
一方、大当たりしなかった場合(S1302でNo)、次に変動パターン選択部235は、遊技者に大当たりを期待させるためのいわゆるリーチ演出を行うか否かを決定するための乱数値の判定を行う(S1304)。リーチ演出を行うか否かは、
図9のS903またはS910で取得したリーチ乱数の値が予め設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される(
図20(c)参照)。
乱数値を用いた判定の結果、リーチ演出を行う場合(S1305でYes)、変動パターン選択部235は、リーチ用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(S1306)。また、リーチ演出を行わない場合(S1305でNo)、変動パターン選択部235は、はずれ用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(S1307)。
ここで、変動パターンテーブルとは、予め用意されている複数の変動パターン(変動時間3秒、7秒、13秒、15秒、30秒、60秒、90秒など)と変動パターン乱数の値とを対応付けたテーブルである。
【0100】
次に、変動パターン選択部235は、
図9のS903またはS910で取得した変動パターン乱数値およびS1303、S1306、S1307でセットされた変動パターンテーブルを用いて、変動パターン乱数値の判定を行う(S1308)。すなわち、変動パターン選択部235は、RAM203にセットされた変動パターンテーブルを参照し、変動パターン乱数の乱数値に応じた変動パターンを選択する。したがって、同じ乱数値が取得された場合でも、パチンコ遊技機100の遊技状態(時短状態か時短無し状態か、および高確率状態か低確率状態か)、特別図柄抽選の結果(大当たりしたか否か、大当たりしていない場合はリーチ演出を行うか否か)等の違いに応じて参照される変動パターンテーブルが異なるので、決定される変動パターンが異なる。
【0101】
この後、変動パターン選択部235は、S1308で選択した変動パターンを設定情報としてRAM203にセットする(S1309)。S1309でセットされた変動パターンの設定情報は、
図11のS1111でセットされる変動開始コマンドに含まれ、
図8のS806に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。本実施の形態で選択される変動パターンおよびその設定の詳細については後述する。
【0102】
〔遊技制御部による停止中処理〕
図14は、停止中処理(
図11のS1115)の内容を示すフローチャートである。
この停止中処理において、遊技制御部200は、まず、RAM203のフラグ設定において時短状態であることを示すフラグ(以下、時短フラグ)がONになっているか否かを調べる(S1401)。時短フラグがONである場合(S1401でYes)、遊技制御部200は、時短状態での抽選回数(変動回数)Jの値を1減算し(S1402)、抽選回数Jが0になったか否かを調べる(S1403)。そして、抽選回数J=0であれば(S1403でYes)、時短フラグをOFFにする(S1404)。なお、時短フラグをONにする操作と、抽選回数Jの初期値の設定は、後述の大入賞口処理(
図17)における遊技状態設定処理(
図18)で行われる。
【0103】
時短フラグがOFFであった場合(S1401でNo)またはS1404で時短フラグをOFFにした後、あるいはS1402で減算した後の抽選回数Jの値が0でない場合(S1403でNo)、次に遊技制御部200は、RAM203のフラグ設定において高確率状態であることを示すフラグ(以下、確変フラグ)がONになっているか否かを調べる(S1405)。なお、この確変フラグと先の時短フラグが共にONである場合は、高確率時短遊技状態であり、確変フラグがONであり時短フラグがOFFである場合は、高確率時短無遊技状態である。
【0104】
確変フラグがONである場合(S1405でYes)、遊技制御部200は、高確率状態での抽選回数(変動回数)Xの値を1減算し(S1406)、抽選回数Xが0になったか否かを調べる(S1407)。そして、抽選回数X=0であれば(S1407でYes)、確変フラグをOFFにする(S1408)。なお、確変フラグをONにする操作と、抽選回数Xの初期値の設定は、後述の大入賞口処理(
図17)における遊技状態設定処理(
図18)で行われる。
【0105】
確変フラグがOFFであった場合(S1405でNo)またはS1408で確変フラグをOFFにした後、あるいはS1406で減算した後の抽選回数Xの値が0でない場合(S1407でNo)、次に遊技制御部200は、今回の特別図柄抽選で大当たりしたか否かを判断する(S1409)。そして、大当たりだった場合(S1409でYes)、次に遊技制御部200は、大当たりの種類が長当たりか否かを判断する(S1410)。
【0106】
ここで、大当たりか否かの判断は、大当たり判定処理(
図12)の判定結果に基づいて判断することができる。例えば、後述する
図20(b)の図表に示す図柄の何れかがセットされているならば、S1409でYesである。大当たり判定処理によりRAM203に、はずれ図柄または小当たり図柄がセットされているならば、S1409でNoである。
【0107】
大当たりの種類が長当たりであった場合(S1410でYes)、遊技制御部200は、長当たり遊技フラグをONにする(S1411)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が、大当たりの種類が長当たりである大当たり遊技状態(長当たり遊技状態)となる。なお、ここでは長当たりにおいて、高確率状態か低確率状態かを区別していない。高確率状態となるか低確率状態となるかは、後述の大入賞口処理(
図17)における遊技状態設定処理(
図18)で該当するフラグをONにすることによって特定される。
【0108】
大当たりの種類が長当たりでなかった場合(S1410でNo)、遊技制御部200は、短当たり遊技フラグをONにする(S1412)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が、大当たりの種類が短当たりである大当たり遊技状態(短当たり遊技状態)となる。長当たりの場合と同様、短当たりの場合も高確率状態か低確率状態かを区別していない。
【0109】
S1411またはS1412で大当たり遊技フラグをONにした後、遊技制御部200は、抽選回数J、Xの値を初期化する(S1413)。また、遊技制御部200は、S1401において時短フラグがONであって、S1403において抽選回数Jが0でなかった場合に、時短フラグをOFFにする(S1414)。同様に、S1405において確変フラグがONであって、S1407において抽選回数Xが0でなかった場合に、確変フラグをOFFにする(S1414)。
【0110】
S1413で抽選回数J、Xの値を初期化した後、遊技制御部200は、オープニング動作を開始する(S1417)。ここで、オープニング動作の内容は、S1411、S1412の何れで当たり遊技フラグがONとなったかに応じて異なる。すなわち、大当たり遊技フラグの状態に応じて、長当たり遊技、短当たり遊技の各遊技状態において設定されたオープニング動作の何れかが行われることとなる。
この後、遊技制御部200は、演出制御部300において大当たり遊技フラグに応じたオープニング動作における演出を行うためのオープニングコマンドをRAM203にセットして(S1418)、停止中処理を終了する。このオープニングコマンドは、
図8のS806に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0111】
これに対し、今回の特別図柄抽選の結果が大当たりでなかった場合(S1409でNo)、次に遊技制御部200は、今回の特別図柄抽選の結果が小当たりであったか否かを判断する(S1415)。小当たりでなかった場合は(S1415でNo)、停止中処理を終了する。
一方、小当たりであった場合(S1415でYes)、遊技制御部200は、小当たり遊技を開始する(S1416)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が小当たり遊技状態となる。なお、小当たり遊技では、前述したように、大入賞口125を所定回数開閉し、所定時間経過後に終了する。
【0112】
〔遊技制御部による客待ち設定処理〕
図15は、客待ち設定処理(
図11のS1116)の内容を示すフローチャートである。
この客待ち設定処理において、遊技制御部200は、まず、RAM203のフラグ設定において客待ちフラグがONになっているか否かを調べる(S1501)。ここで、客待ちフラグは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを識別するためにセットされるフラグである。
【0113】
客待ちフラグがONである場合、パチンコ遊技機100は客待ち状態であるので、そのまま処理を終了する(S1501でYes)。一方、客待ちフラグがOFFである場合、遊技制御部200は、客待ちコマンドを生成してRAM203にセットし(S1502)、客待ちフラグをONにする(S1503)。S1502でセットされた客待ちコマンドは、
図8のS806に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。なお、客待ちフラグとは、特別図柄の変動が停止して、保留が無い状態でセットされるものである。
【0114】
〔遊技制御部による普通図柄処理〕
図16は、
図8のS803に示した図柄処理のうちの普通図柄処理の内容を示すフローチャートである。
この普通図柄処理において、遊技制御部200の普通図柄変動制御部236は、まず、RAM203のフラグ設定において補助遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S1601)。ここで、補助遊技フラグは、普通図柄抽選で当選した場合にセットされるフラグである。補助遊技フラグが設定されている状態は、電動チューリップ123が後述の電動チューリップ処理(
図19)にしたがって開放され、第2始動口122に入賞し易い状態である(補助遊技状態)。
【0115】
補助遊技フラグがONである場合、既に補助遊技状態となっており、普通図柄が停止している状態なので、普通図柄変動を開始することなく普通図柄処理を終了する(S1601でYes)。一方、補助遊技フラグがOFFである場合(S1601でNo)、次に普通図柄変動制御部236は、パチンコ遊技機100の現在の状態が普通図柄変動中か否かを判断する(S1602)。普通図柄変動中でない場合(S1602でNo)、次に普通図柄変動制御部236は、普通図柄の未変動分の保留数G(
図10参照)が1以上か判断する(S1603)。保留数G=0である場合は(S1603でNo)、普通図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、普通図柄変動を開始せずに処理を終了する。
【0116】
これに対し、保留数Gが1以上である場合(S1603でYes)、普通図柄変動制御部236は、保留数Gの値を1減算する(S1604)。そして、普通図柄判定部232が、今回の普通図柄抽選における当たり乱数の判定を行って、普通図柄抽選に当選したか否かを判断する(S1605)。当選したか否かは、
図10のS1003で取得した当たり乱数の値が、後述する
図20(d)に示すテーブル等において当選値として設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される。
【0117】
次に、普通図柄変動制御部236は、普通図柄抽選の結果に応じて普通図柄の設定を行う(S1606)。すなわち、普通図柄抽選に当選した場合は、当選したことを表す図柄(以下、当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする。一方、普通図柄抽選に当選しなかった場合は、抽選にはずれたことを表す図柄(以下、はずれ図柄)を設定情報としてRAM203にセットする。
【0118】
次に、普通図柄変動制御部236は、普通図柄の変動時間の設定を行う(S1607)。この変動時間は、
図14におけるS1404、S1414、後述の
図18におけるS1804、S1807等の処理で設定される時短フラグに基づいて設定される。すなわち、S1607による設定の際に時短フラグがONである場合は、短時間(例えば1.5秒)に設定され、時短フラグがOFFである場合は、長時間(例えば4.0秒)に設定される。この設定の後、普通図柄変動制御部236は、S1607の設定内容に基づき、
図2(a)および
図3に示す普通図柄表示器223における普通図柄の変動を開始する(S1608)。なお、普通図柄の変動パターンを抽選により決定することもできる。この場合、例えば、遊技球がゲート124を通過した際に、乱数取得部231が普通図柄の変動パターン乱数値を取得し、S1607において、普通図柄変動制御部236が普通図柄の変動パターン乱数値を判定することにより、変動時間が設定される。
【0119】
S1608で普通図柄の変動を開始した後、またはS1602で普通図柄変動中と判断された場合(S1602でYes)、普通図柄変動制御部236は、変動時間を経過したか否かを判断する(S1609)。すなわち、S1608で普通図柄の変動を開始してからの経過時間がS1607で設定された変動時間に達したか否かが判断される。変動時間を経過していなければ(S1609でNo)、普通図柄変動が継続されるので、そのまま普通図柄処理が終了する。
【0120】
一方、変動時間が終了した場合(S1609でYes)、普通図柄変動制御部236は、普通図柄表示器223における普通図柄の変動を停止する(S1610)。そして、普通図柄変動制御部236は、S1605の判定結果が当選であったか否かを判断する(S1611)。当選であったならば(S1611でYes)、補助遊技フラグをONにする(S1612)。一方、抽選にはずれたならば(S1611でNo)、補助遊技フラグをONにすること無く普通図柄処理を終了する。
【0121】
〔遊技制御部による大入賞口処理〕
図17は、
図8のS804に示した電動役物処理のうちの大入賞口処理の内容を示すフローチャートである。
この大入賞口処理において、遊技制御部200の大入賞口動作制御部237は、まず、RAM203のフラグ設定において大当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S1701)。大当たり遊技フラグがOFFである場合、大入賞口125への入賞はないので、大入賞口処理を終了する(S1701でNo)。一方、大当たり遊技フラグがONである場合(S1701でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、パチンコ遊技機100が停止中処理(
図14)で開始された大当たり時の動作制御におけるオープニング動作の最中か否かを判断する(S1702)。
【0122】
パチンコ遊技機100がオープニング中である場合(S1702でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、予め設定されたオープニング動作が行われるべき時間(オープニング時間)を経過したか否かを判断する(S1703)。オープニング時間を経過していないならば、大入賞口125でのオープニング動作が継続されるので、大入賞口処理を終了する(S1703でNo)。一方、オープニング時間を経過したならば(S1703でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、大入賞口125の作動設定を行い(S1704)、入賞個数Cを初期化(C=0)し(S1705)、大入賞口125の作動のラウンド数Rの値を現在の値から1加算して(S1706)、大入賞口125を作動開始(開放)する(S1707)。
【0123】
S1704の作動設定では、大入賞口125の作動パターンと、その作動パターンで作動させるラウンド数(作動ラウンド数)とが設定される。大入賞口125が作動する場合としては、特別図柄抽選で、長当たりまたは短当たりの大当たりであった場合と、小当たりであった場合がある。作動パターンおよびラウンド数は、これらの当たりの種類に応じて様々に設定される。なお、大当たり遊技においては、大入賞口125の作動を複数回(複数ラウンド)連続して行うことが規定されている。一例としては、長当たりの場合、例えば、15ラウンド(15R)作動させ、1ラウンドでは29.5秒の開放を1回行う。短当たりの場合、例えば、15ラウンド(15R)作動させ、1ラウンドでは0.1秒の開放を1回行う。小当たりの場合、例えば、1ラウンド(1R)作動させ、この1ラウンドで0.1秒の開放を15回行う。ここで、短当たりでの作動と小当たりでの作動を上記の例で比較すると、共に0.1秒の開放が15回行われることとなる。すなわち、遊技者から見える大入賞口125の動作は、短当たりの場合と小当たりの場合とで同じであり、遊技盤110上の大入賞口125の動作のみから短当たりと小当たりとを区別することはできない。
【0124】
また、別の例としては、長当たりでは、15ラウンド(15R)作動させ、1ラウンドでは29.5秒の開放を1回行い、短当たりでは、2ラウンド(2R)作動させ、1ラウンドでは0.9秒の開放を2回行い、小当たりでは、1ラウンド(1R)作動させ、この1ラウンドで0.9秒の開放を2回行う。この場合も、短当たりでの作動と小当たりでの作動を比較すると、共に0.9秒の開放が2回行われることとなり、遊技者から見える大入賞口125の動作は、短当たりの場合と小当たりの場合とで同様となる。
【0125】
なお、小当たりの際には、大入賞口125の開放累積時間が1.8秒以内に設定されなければならないことが法令により定められている。一方で、大当たり(長当たりまたは短当たり)の際には、大入賞口125を複数回連続開放させなければならない。そこで、上記のように小当たりでの作動と短当たりでの作動を外見上区別し難くしようとする場合、小当たりでは、1作動での開放累積時間が1.8秒以内を満たす範囲で、大入賞口125が2回以上開放する作動形態が設定され、短当たりでは、小当たりの開放回数と同数のラウンド数が設定される。
【0126】
次に、大入賞口動作制御部237は、S1704で設定された作動パターンにおける開放時間を経過したか否かを判断する(S1708)。大入賞口125での開放状態が開放時間を経過していない場合(S1708でNo)、次に大入賞口動作制御部237は、大入賞口125への入賞個数Cが規定の個数(例えば9個)以上か否かを判断する(S1709)。開放時間を経過しておらず、かつ入賞個数Cが規定個数未満である場合は、大入賞口125の作動状態(開放状態)が継続されるので、大入賞口処理を終了する(S1709でNo)。一方、開放時間を経過したか(S1708でYes)、または入賞個数Cが規定個数に達した場合(S1709でYes)、大入賞口動作制御部237は、大入賞口125を作動終了(閉口)する(S1710)。
【0127】
次に、大入賞口動作制御部237は、大入賞口125の作動のラウンド数RがS1704で設定された最大値に達したか否かを判断する(S1711)。そして、最大値に達していないならば、残りの作動が行われるため、大入賞口処理を終了する(S1711でNo)。
【0128】
大入賞口125の作動のラウンド数Rが最大値に達したならば(S1711でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、エンディング動作を開始する(S1712)。ここで、エンディング動作の内容は、長当たり遊技、短当たり遊技の各遊技において設定されたエンディング動作のうち、大当たり遊技フラグの状態に対応するものとなる。
この後、大入賞口動作制御部237は、演出制御部300において大当たり遊技フラグに応じたエンディング動作における演出を行うためのエンディングコマンドをRAM203にセットする(S1713)。このエンディングコマンドは、
図8のS806に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0129】
次に、大入賞口動作制御部237は、大入賞口125の作動のラウンド数Rを0にリセットした後(S1714)、エンディング動作の開始からの経過時間が予め設定されたエンディング動作が行われるべき時間(エンディング時間)を経過したか否かを判断する(S1717)。エンディング時間を経過していないならば、エンディング動作が継続されるので、大入賞口処理を終了する(S1717でNo)。一方、エンディング時間を経過したならば(S1717でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、遊技制御部200による遊技状態設定処理を経た後(S1718)、大当たり遊技フラグをOFFにして、大入賞口処理を終了する(S1719)。遊技状態設定処理の内容については後述する。
【0130】
S1702で、パチンコ遊技機100がオープニング中ではないと判断した場合(S1702でNo)、次に大入賞口動作制御部237は、エンディング中か否かを判断する(S1715)。そして、エンディング中であるならば(S1715でYes)、上記S1717以降の動作を実行する。
【0131】
一方、パチンコ遊技機100がエンディング中でもないならば(S1715でNo)、次に大入賞口動作制御部237は、大入賞口125が作動(開放)中か否かを判断する(S1716)。そして、作動中でないならば(S1716でNo)、上記S1705以降の動作を実行し、作動中であるならば(S1716でYes)、上記S1708以降の動作を実行する。
なお、前述した小当たり遊技で行われる演出は、短当たり遊技で行われる演出と同様であり、演出から短当たりと小当たりとを区別することはできない。
【0132】
〔遊技状態設定処理〕
エンディング時間が経過した場合(S1717でYes)に実行される、遊技制御部200による遊技状態設定処理(S1718)の内容を
図18に示す。
遊技状態設定処理が行われる場合、前提として、
図17のS1701で大当たり遊技フラグがONとなっている。そこで、
図18に示すように、遊技制御部200は、まず、その大当たりの種類を判断する(S1801、S1802、S1803、S1806)。これらの判断は、例えば大当たり判定処理(
図12)でRAM203に設定情報としてセットされた図柄の種類に基づいて判断することができる。なお、これらの判断は大当たり判定処理(
図12)のS1202、S1203、S1205と概ね同様であるので、S1202、S1203、S1205の判断結果を用いても良い。
【0133】
小当たりである場合(S1801でYes)、遊技状態は変更しないので、遊技状態設定処理を終了する。
大当たりの種類が低確率時短遊技状態の大当たりである場合(S1801でNo、S1802、S1803でYes)、遊技制御部200は、時短フラグをONにする(S1804)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が低確率時短遊技状態となる。また、遊技制御部200は、抽選回数Jの初期値を設定し(S1805)、遊技状態設定処理を終了する。抽選回数Jの初期値は、図示の例では100回である。したがって、低確率時短遊技状態における抽選が100回行われたならば、低確率時短遊技状態が終了し、低確率時短無遊技状態となる。
【0134】
一方、大当たりの種類が低確率時短無遊技状態の大当たりである場合(S1801でNo、1802でYes、S1803でNo)、遊技制御部200は、時短フラグ、確変フラグともONにせずに処理を終了する。したがって、この大当たりの後の遊技に対するRAM203の遊技状態の設定は、低確率時短無遊技状態となる。
【0135】
大当たりの種類が高確率時短遊技状態の大当たりである場合(S1801、S1802でNo、S1806でYes)、遊技制御部200は、時短フラグをONにし(S1807)、抽選回数Jの初期値を設定する(S1808)。この場合の抽選回数Jの初期値は、図示の例では10000回である。また、遊技制御部200は、確変フラグをONにし(S1809)、抽選回数Xの初期値を設定する(S1810)。抽選回数Xの初期値は、図示の例では10000回である。これにより、RAM203の遊技状態の設定が高確率時短遊技状態となる。そして、この高確率時短遊技状態における抽選が10000回行われたならば、高確率時短遊技状態が終了し、低確率時短無遊技状態となる。
【0136】
一方、大当たりの種類が高確率時短無遊技状態の大当たりである場合(S1801、S1802、S1806でNo)、遊技制御部200は、確変フラグのみをONにし(S1809)、抽選回数Xの初期値(10000回)を設定する(S1810)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が高確率時短無遊技状態となる。そして、この高確率時短無遊技状態における抽選が10000回行われたならば、高確率時短無遊技状態が終了し、低確率時短無遊技状態となる。
【0137】
〔遊技制御部による電動チューリップ処理〕
図19は、
図8のS804に示した電動役物処理のうちの電動チューリップ処理の内容を示すフローチャートである。
電動チューリップ処理において、遊技制御部200の電動チューリップ動作制御部238は、まず、RAM203のフラグ設定において補助遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S1901)。補助遊技フラグがOFFである場合、電動チューリップ123は開放しないため、電動チューリップ処理を終了する(S1901でNo)。一方、補助遊技フラグがONである場合(S1901でYes)、次に電動チューリップ動作制御部238は、電動チューリップ123が作動中か否かを判断する(S1902)。
【0138】
電動チューリップ123が作動中でない場合(S1902でNo)、電動チューリップ動作制御部238は、電動チューリップ123の作動パターンの設定を行い(S1903)、設定した作動パターンで電動チューリップ123を作動させる(S1904)。ここで、作動パターンは、
図14におけるS1404、S1414、
図18におけるS1804、S1807等の処理で設定される時短フラグに基づいて設定される。例えば、S1903による設定の際に時短フラグがOFFである場合は、0.15秒の開放時間で1回開放する作動パターンが設定され、時短フラグがONである場合は、1.80秒の開放時間で3回開放する作動パターンが設定される。このように、通常、時短フラグがONであるとき(時短状態のとき)は、電動チューリップ123が長時間、複数回開放され、第2始動口122に入賞し易くなる入賞サポート(電チューサポート)が行われる。なお、時短フラグがONの場合またはOFFの場合における電動チューリップ123の作動パターン(補助遊技の種類)を複数用意し、普通図柄処理(
図16参照)で判定される当たりの種類に応じて、作動パターンを設定するように構成しても良い。
【0139】
S1902で電動チューリップ123が作動中と判断された場合(S1902でYes)、またはS1904で電動チューリップ123を作動させた後、電動チューリップ動作制御部238は、設定されている作動パターンにおける開放時間が経過したか否かを判断する(S1905)。開放時間を経過していなければ、電動チューリップ123の作動状態(開放状態)が継続されるので、電動チューリップ処理を終了する(S1905でNo)。一方、開放時間を経過したならば(S1905でYes)、電動チューリップ動作制御部238は、補助遊技フラグをOFFとして、電動チューリップ処理を終了する(S1906)。
【0140】
〔乱数による判定の手法〕
ここで、大当たり判定処理(
図12)、変動パターン選択処理(
図13)、普通図柄処理(
図16)等で行われる、乱数による判定の手法について詳細に説明する。
図20は、本実施の形態において特別図柄抽選および普通図柄抽選で用いられる乱数(判定テーブル)の構成例を示す図である。
図20(a)には特別図柄抽選で用いられる大当たり乱数の構成例、
図20(b)には特別図柄抽選で用いられる大当たり図柄乱数の構成例、
図20(c)には特別図柄抽選で用いられるリーチ乱数の構成例、
図20(d)には普通図柄抽選で用いられる当たり乱数の構成例が、それぞれ示されている。
【0141】
図20(a)を参照すると、大当たり乱数の判定値として、大当たり判定時のパチンコ遊技機100の遊技状態が低確率状態の場合の大当たりと大当たり判定時の遊技状態が高確率状態の場合の大当たりの2種類と、小当たりとが設定されている。乱数(大当たり乱数)の値の範囲は、何れも0〜299の300個である。低確率状態の特別図柄抽選(大当たり抽選)の場合、当選値は1つだけが設定され、当選確率は1/300である。また高確率状態の特別図柄抽選の場合、当選値は10個設定され、当選確率は10/300(=1/30)である。すなわち図示の例では、高確率状態で始動口121、122に入賞し特別図柄抽選が行われると、低確率状態で特別図柄抽選が行われる場合に比べて、当選確率が10倍となる。また、小当たりの当選値は、低確率状態か高確率状態かに関わらず3個設定され、当選確率は3/300(=1/100)である。
【0142】
図20(b)を参照すると、大当たり図柄には、低確率図柄A、低確率図柄B、高確率図柄A、高確率図柄B、潜確図柄の5種類が用意されている。ここで、低確率図柄Aおよび低確率図柄Bは、低確率状態の大当たりであることを表す図柄であり、このうち低確率図柄Aは長当たり(低確率時短遊技状態)、低確率図柄Bは短当たり(低確率時短無遊技状態)をそれぞれ表す。高確率図柄Aおよび高確率図柄Bは、高確率状態の大当たりであることを表す図柄であり、このうち高確率図柄Aは長当たり(高確率時短遊技状態)、高確率図柄Bは短当たり(高確率時短無遊技状態)をそれぞれ表す。潜確図柄は、高確率時短無遊技状態の大当たりであることを表す図柄である。したがって、高確率図柄Bと潜確図柄とは大当たり遊技後の遊技状態が同じであるが、潜確図柄は、高確率状態であることを遊技者に明確に報知しない潜伏演出を行う条件とするために高確率図柄Bとは分けて設けられている。乱数の値の範囲は0〜249の250個である。また、大当たり図柄乱数では、特別図柄抽選が行われる契機となる第1始動口121と第2始動口122の各々について当選値が設定される。
【0143】
低確率図柄Aでは、第1始動口121および第2始動口122ともに、当選値として35個の値が割り当てられている。したがって、大当たりに当選した場合に低確率図柄Aでの当選となる確率は、35/250(=7/50)である。
低確率図柄Bでは、第1始動口121および第2始動口122ともに、当選値として15個の値が割り当てられている。したがって、大当たりに当選した場合に低確率図柄Bでの当選となる確率は、15/250(=3/50)である。
【0144】
高確率図柄Aでは、第1始動口121に入賞した場合の当選値として25個の値が割り当てられている。したがって、第1始動口121に入賞したことによって開始された特別図柄抽選において大当たりに当選した場合に高確率図柄Aでの当選となる確率は、25/250(=1/10)である。
一方、第2始動口122に入賞した場合の当選値として175個の値が割り当てられている。したがって、第2始動口122に入賞したことによって開始された特別図柄抽選において大当たりに当選した場合に高確率図柄Aでの当選となる確率は、175/250(=7/10)である。
【0145】
高確率図柄Bでは、第1始動口121に入賞した場合の当選値として75個の値が割り当てられている。したがって、第1始動口121に入賞したことによって開始された特別図柄抽選において大当たりに当選した場合に高確率図柄Bでの当選となる確率は、75/250(=3/10)である。
一方、第2始動口122に入賞した場合の当選値として25個の値が割り当てられている。したがって、第2始動口122に入賞したことによって開始された特別図柄抽選において大当たりに当選した場合に高確率図柄Bでの当選となる確率は、25/250(=1/10)である。
【0146】
潜確図柄では、第1始動口121に入賞した場合の当選値として100個の値が割り当てられている。したがって、第1始動口121に入賞したことによって開始された特別図柄抽選において大当たりに当選した場合に潜確図柄での当選となる確率は、100/250(=2/5)である。
一方、第2始動口122には潜確図柄での当選値が割り当てられておらず、第2始動口122に入賞した場合に潜確図柄での当選となることはない。
【0147】
以上のように、
図20(b)に示す例では、第1始動口121に入賞した場合の大当たりは、高確率時短無遊技状態の大当たり(高確率図柄B、潜確図柄)となる確率が高く、第2始動口122に入賞した場合の大当たりは、高確率時短遊技状態の大当たり(高確率図柄A)となる確率が高い。このように、第1始動口121に入賞した場合と第2始動口122に入賞した場合における大当たりの種類の当選確率を相違させることにより、様々な遊技性を持たせることができる。また、遊技盤110における第1始動口121と第2始動口122の配置を工夫し、特定の状態(モード)では第1始動口121と第2始動口122の何れか一方を狙い易くなるように構成することによって、遊技者にさらに積極的な遊技への参加を促すことも可能である。
【0148】
次に、リーチ乱数の判定について説明する。
図20(c)を参照すると、乱数の値の範囲は0〜249の250個であり、リーチ演出を行う抽選結果(リーチ有)に22個の乱数値が割り当てられ、リーチ演出を行わない抽選結果(リーチ無)に228個の乱数値が割り当てられている。すなわち図示の例では、特別図柄抽選で大当たりしなかった場合に、22/250(=11/125)の確率でリーチ演出が行われる。ここで、リーチ演出は、特別図柄変動時に画像表示部114において行われる演出である。以下、リーチ演出を行わない特別図柄変動時の演出をリーチ無し演出と呼び、これに対応してリーチ演出をリーチ有り演出とも呼ぶ。
【0149】
多くの場合、特別図柄変動時には、第1特別図柄表示器221および第2特別図柄表示器222(以下、これらを区別しない場合は特別図柄表示器221、222と記載)の表示制御に連動させて、画像表示部114において装飾図柄を用いた演出が行われる。装飾図柄は、例えば、1〜9の数字が縦方向に連続して記された数列からなる図柄が三列表示されて構成される。そして、特別図柄表示器221、222における特別図柄の変動表示が開始されるのと同時に、画像表示部114に表示された装飾図柄がスクロールを開始する。また、特別図柄の変動表示の開始(装飾図柄のスクロール開始)から所定時間経過後、特別図柄が停止表示されるのと同時に、装飾図柄も停止する。一般に、特別図柄抽選の判定結果が大当たりである場合、装飾図柄の停止表示では、横または斜めにわたる一直線上に同一の数字が三つ揃って並ぶ。この特別図柄の変動表示に伴って行われる装飾図柄を用いた演出を変動演出と呼ぶ。
【0150】
リーチ有り演出においては、変動演出として、装飾図柄に関して次のような動作が行われる。まず、装飾図柄のスクロールが停止して各図柄を停止表示する際に、まず、いずれか2つの図柄(数列)が先に停止する。このとき、横または斜めにわたる一直線上に同一の数字が停止表示される。次に、最後の一列がスクロール速度を徐々に遅くして、一直線上に同一の数字が三つ揃うのではないかという期待感を遊技者に与える。このようなリーチ有り演出では、最後の1列のスクロールが停止する前に、さまざまなキャラクタが登場したり、ストーリーが展開したりするいわゆるSP(スーパー)リーチ演出やSP・SPリーチ演出が行われる場合がある。また、後述する
図21に示すように、本実施の形態では、変動時間がより長い(例えば90秒や60秒)場合に、SPリーチやSP・SPリーチ演出を実行するように設定している。なお、リーチ有り演出と共に行われる上記の変動演出をリーチ時変動演出とも呼ぶ。
一方、リーチ無し演出においては、リーチ有り演出のような遊技者に期待感を与える演出がなされることなく、横または斜めにわたる一直線上に同一の数字が揃わない状態で図柄が停止表示する。
【0151】
このように、リーチ乱数は、大当たり乱数の判定の結果がハズレであった場合に、画像表示部114においてリーチ有り演出を行うか、リーチ無し演出を行うかを決定するためのもので、所定の確率でリーチ有り演出が出現するようにして、遊技者に対して適度に期待感を与えるようにしている。
付言すると、大当たりに当選した場合には、リーチ有り演出が行われ、最終的に横または斜めにわたる一直線上に、同一の数字が揃った状態で装飾図柄が停止表示する。これに対して、小当たりに当選した場合やハズレの場合のリーチ有り演出は、上記一直線上に、同一の数字が揃わない状態で装飾図柄が停止表示する。
【0152】
次に、普通図柄抽選に用いられる当たり乱数の判定について説明する。
図20(d)を参照すると、乱数の値の範囲は0〜9の10個であり、時短フラグOFFのときの当選値として1個の値が割り当てられ、時短フラグONのときの当選値として9個の値が割り当てられている。したがって、時短無状態のときにゲート124を遊技球が通過して普通図柄抽選が行われると、1/10の確率で当選する。これに対し、時短状態のときにゲート124を遊技球が通過して普通図柄抽選が行われると、9/10の確率で当選する。
また、特に図示していないが、普通図柄抽選で当たりと判定された場合に行われる補助遊技の内容(電動チューリップ123の開放パターン)が異なる複数の当たりを設定することができる。この場合、例えば、特別図柄抽選における大当たりの種類を特定する大当たり図柄乱数(
図17(b)参照)と同様に、普通図柄抽選における当たりの種類を特定するための当たり図柄乱数が設定される。そして、遊技制御部200は、乱数取得部231により、ゲートスイッチ処理(
図7参照)で当たり乱数の乱数値と共に、当たり図柄乱数の乱数値を取得し、普通図柄判定部232により、取得された乱数値に基づいて当たりの種類を特定する。
なお、
図20の各乱数の構成例に示した乱数の範囲、当選値の割合、当選値の各値は例示に過ぎず、図示の値に限定されるものではない。
【0153】
〔変動パターンの設定例〕
次に、
図13に示した変動パターン選択処理において用いられる変動パターンとテーブルの設定例について説明する。
図21は、
図13に示した変動パターン選択処理において用いられる変動パターンとテーブルの設定例を示す図である。なお、
図21には、第1始動口121に遊技球が入賞した場合であって、遊技状態が低確率時短無遊技状態もしくは高確率時短無状態の場合に選択される設定例を示している。
【0154】
なお、本実施の形態では、図示を省略しているが、変動パターン選択処理に用いられる変動パターンの設定として、遊技状態が低確率時短遊技状態もしくは高確率時短遊技状態の場合に選択される変動パターンも存在する。そして、それらの変動パターンを選択する際に参照される時短状態用の変動パターンテーブルが設けられており、時短無状態用の変動パターンテーブルとは異なる設定内容となっている。さらに、第2始動口122に遊技球が入賞する場合に関して、変動パターン選択処理において選択される変動パターンの設定のテーブルが個別に設けられてもよいし、第1始動口121に遊技球が入賞した場合に参照するテーブルを共用して参照するようにしてもよい。
【0155】
図21に示すように、変動パターンA〜Dは、特別図柄抽選の判定結果が大当たりの場合(
図13のS1302でYesの場合)に選択される変動パターンである。また、変動パターンE〜Hは、特別図柄抽選の判定結果がはずれであってリーチ演出が行われる場合(
図13のS1305でYesの場合)に選択される変動パターンである。そして、変動パターンI〜Kは、特別図柄抽選の判定結果がはずれであってリーチ演出が行われない場合(
図13のS1305でNoの場合)に選択される変動パターンとして設定されている。なお、特別図柄抽選の判定結果が大当たりのときには必ずリーチ演出を行うように構成しているため、変動パターンA〜Dが選択される場合においてリーチ演出の有無は参照されない。
【0156】
図21に示す例では、特別図柄抽選の判定結果が大当たりであった場合(
図13のS1302でYesの場合)の変動パターンとして、4種類の変動パターンA〜Dが設定されている。また、特別図柄抽選の判定結果がはずれ(
図13のS1302でNoの場合)であった場合の変動パターンとして、7種類の変動パターンE〜Kが設定されている。変動時間は、変動パターンAが90秒、変動パターンBが60秒、変動パターンCが30秒、
変動パターンDが15秒、変動パターンEが90秒、変動パターンFが60秒、変動パターンGが30秒、変動パターンHが15秒、変動パターンIが13秒、変動パターンJが7秒、変動パターンKが3秒にそれぞれ設定されている。
【0157】
また、
図21に示すように、乱数(変動パターン乱数)の値の範囲は、何れも0〜249の250個である。
そして、特別図柄抽選の判定結果が大当たりであった場合において、変動パターンAには、100個の乱数値が割り当てられ、100/250の確率で90秒の変動時間が設定される。また、変動パターンBには、75個の乱数値が割り当てられ、75/250の確率で60秒の変動時間が設定される。さらに、変動パターンCには、50個の乱数値が割り当てられ、50/250の確率で30秒の変動時間が設定される。そして、変動パターンDには、25個の乱数値が割り当てられ、25/250の確率で15秒の変動時間が設定される。
つまり、特別図柄抽選の判定結果が大当たりであった場合に選択される変動パターンA〜Dのうち、最も高い割合で変動パターンAが選択され、次に高い割合で変動パターンBが選択され、次に高い割合で変動パターンCが選択され、最も低い割合で変動パターンDが選択されるように設定することができる。そして、大当たりに当選した場合、比較的長い時に亘っての変動演出が実行されやすくなっている。
【0158】
また、特別図柄抽選の判定結果がはずれであってリーチ有り演出が行われる場合、変動パターンEには、25個の乱数値が割り当てられ、25/250の確率で90秒の変動時間が設定される。また、変動パターンFには、50個の乱数値が割り当てられ、50/250の確率で60秒の変動時間が設定される。さらに、変動パターンGには、75個の乱数値が割り当てられ、75/250の確率で30秒の変動時間が設定される。そして、変動パターンHには、100個の乱数値が割り当てられ、100/250の確率で15秒の変動時間が設定される。
つまり、特別図柄抽選の判定結果がはずれであってリーチ有り演出が行われる場合に選択される変動パターンE〜Hのうち、最も高い割合で変動パターンHが選択され、次に高い割合で変動パターンGが選択され、次に高い割合で変動パターンFが選択され、最も低い割合で変動パターンEが選択されるように設定することができる。そして、はずれであってリーチ有り演出が行われる場合には、比較的短い時間に亘っての変動演出が実行されやすくなっている。
【0159】
そして、特別図柄抽選の判定結果がはずれであってリーチ無し演出が行われる場合、変動パターンI〜Kには、250個の乱数値が割り当てられる。そして、変動パターンIは保留数が0個であるとき、変動パターンJは保留数が1または2個であるとき、変動パターンKは保留数が3個または4個であるときに、それぞれ選択される変動パターンとして設定されている。すなわち、はずれであってリーチ無し演出が行われる場合、特別図柄抽選における判定の保留数が多いほど、図柄変動の平均時間が短くなるように設定されている。
【0160】
遊技制御部200は、遊技球が始動口121、122に入賞した際に取得した変動パターン乱数値(
図9のS903、S910参照)と、パチンコ遊技機100の遊技状態、リーチ演出の有無、保留数等の条件とに基づいて特別図柄の変動パターンを決定する。そして、決定された特別図柄の変動パターンの情報は、変動開始コマンドに含まれて、遊技制御部200から演出制御部300へ送られる。演出制御部300では、後述するように、特別図柄変動時の演出として、変動開始コマンドに含まれる変動パターンの情報に基づいて特定される変動時間に対応する(その変動時間で実行可能な)演出が選択されて実行される。
【0161】
〔事前判定に基づく予告演出を行うための遊技制御部のRAMおよび演出制御部のRAMの構成〕
続いて、事前判定に基づく予告演出を実行するための、本実施の形態における遊技制御部200のRAM203および演出制御部300のRAM303の構成について説明する。
図22は、本実施の形態に係る遊技制御部200のRAM203(
図3参照)の構成例を説明するブロック図である。
図22(a)は、記憶領域204の構成を示すブロック図であり、
図22(b)は、
図22(a)に示す記憶部の各々の構成を示すブロック図である。
【0162】
図22(a)に示すように、RAM203は、大当たり乱数抽選により取得した大当たり乱数を記憶する特別図柄保留記憶領域としての記憶領域204を備えている。この記憶領域204は、第1始動口121の保留数と第2始動口122の保留数の最大値に対応する8つの記憶部を有している(各保留数の上限値が4の場合)。具体的に説明すると、記憶領域204は、第1記憶部204a、第2記憶部204b、第3記憶部204c、第4記憶部204d、第5記憶部204e、第6記憶部204f、第7記憶部204g、第8記憶部204hを有している。
【0163】
また、
図22(b)に示すように、これらの記憶部204a〜204hの各々は、入賞した始動口(第1始動口121または第2始動口122)の別を表す情報が記憶される領域と、取得された大当たり乱数が記憶される領域と、図柄乱数が記憶される領域と、リーチ乱数が記憶される領域と、変動パターン乱数が記憶される領域と、を有する。すなわち、記憶部204a〜204hの各々には、大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。
【0164】
ここで、各乱数は、第1記憶部204aから順に記憶していく。より具体的に説明すると、例えば、第1記憶部204a〜第8記憶部204hの何れにも乱数が記憶されていないときには、取得した乱数が第1記憶部204aに記憶されることになる。また、例えば、第1記憶部204a〜第4記憶部204dに乱数がすでに記憶されているときには、取得した乱数が第5記憶部204eに記憶されることになる。
【0165】
図23は、本実施の形態に係る演出制御部300のRAM303(
図3参照)の構成例を説明するブロック図である。
図23(a)は、保留記憶領域305、306の構成を示すブロック図であり、
図23(b)は、
図23(a)に示す記憶部の各々の構成を示すブロック図である。
図23(a)に示すように、RAM303は、保留球が保留されている状況を記憶する保留状況記憶領域としての第1保留記憶領域305および第2保留記憶領域306を備えている。この第1保留記憶領域305および第2保留記憶領域306は、第1始動口121への入賞に対する保留および第2始動口122への入賞に対する保留にそれぞれ対応しており、各々4つの記憶部を有している。具体的には、第1保留記憶領域305は、第1記憶部305a、第2記憶部305b、第3記憶部305c、第4記憶部305dを有している。また、第2保留記憶領域306は、第1記憶部306a、第2記憶部306b、第3記憶部306c、第4記憶部306dを有している。
【0166】
また、
図23(b)に示すように、これらの記憶部305a〜305d、306a〜306dの各々は、保留フラグをON/OFFする保留フラグ記憶領域と、報知フラグをON/OFFする報知フラグ記憶領域と、を有している。保留フラグは、各記憶部305a〜305d、306a〜306dごとに保留球の有無を識別するためのフラグである。すなわち、例えば第1始動口121への入賞による保留数が3である場合、第1〜3記憶部305a、305b、305cの3つの保留フラグ記憶領域において、保留フラグがONとなる。報知フラグは、個々の保留球に関して事前判定結果に基づいて予告演出を行うか否かを設定するためのフラグである。本実施の形態のパチンコ遊技機100では、演出制御部300において、遊技状態や演出の状況に応じて事前判定結果に基づく予告演出を行うか否かを設定可能としている。そこで、予告演出を行う場合には報知フラグをONとし、予告演出を行わない場合には報知フラグをOFFとする。例えば上記3つの保留球のうち3番目の保留球に対して予告演出を行う場合は、第3記憶部305cの報知フラグ記憶領域において、報知フラグがONとなる。
【0167】
すなわち、RAM203およびRAM303は、遊技制御部200および演出制御部300において、所定数を限度として所定の始動条件の成立に基づく始動情報である保留情報を記憶する記憶手段として機能する。また、遊技制御部200は、この始動情報である保留情報に基づいて、この始動情報に対応する前記始動条件の成立を契機とする特別図柄判定部234の判定が行われる前に、特別遊技状態に移行するか否かに関する事前判定処理を行う事前判定手段である。演出制御部300は、事前判定結果を予告(示唆)するための予告演出を行う演出制御手段である。
【0168】
また、特に図示しないが、
図22(a)に示した構成とは別に、RAM203は、事前判定情報が記憶される領域(以下、事前判定情報格納領域)を有する。事前判定情報とは、上記の各乱数に基づく事前判定処理(
図9のS904、S911参照)によって得られた情報である。事前判定情報の内容は、特別図柄処理(
図11参照)における各種の判定結果として得られる情報と同様であり、具体的には、大当たりしたか否か(および小当たりしたか否か)、大当たりであった場合にはその大当たりの種類、演出の内容はリーチ有り演出であるのかリーチ無し演出であるのか、変動パターン(変動時間)の内容といったことを示すための情報である。事前判定情報格納領域に格納された事前判定情報は、事前判定処理が行われた入賞球(保留球)に対応する保留に関する情報(以下、保留情報)と共に、あるいはこの保留情報とは別に独自のタイミングで、事前判定結果コマンドに含められて遊技制御部200から演出制御部300へ送られる。
【0169】
〔事前判定処理〕
次に、事前判定処理(
図9のS904、S911参照)について詳細に説明する。
本実施の形態における事前判定処理では、遊技制御部200では、
図20や
図21を参照しながら説明した乱数の構成例と同様の乱数テーブルを用いて以下のとおり事前判定を行う。
【0170】
図24−1は、本実施の形態に係る事前判定処理(
図9のS904、S911)の内容を示すフローチャートである。
図24−1に示すように、遊技制御部200は、まず、遊技状態が高確率状態か否かを判断し(S2401)、高確率状態であると判断すると(S2401でYes)、高確率状態用のテーブルを選択して、大当たり乱数および大当たり図柄乱数の事前判定を行う(S2402)。一方、S2401でNoと判断した場合には、低確率状態用のテーブルを選択して、大当たり乱数および大当たり図柄乱数の事前判定を行う(S2403)。
【0171】
S2402またはS2403の大当たり乱数および大当たり図柄乱数の事前判定の後、遊技制御部200は、遊技状態が時短状態か否かを判断し(S2404)、時短状態であると判断すると(S2404でYes)、時短状態用のテーブルを選択して、リーチ乱数の事前判定を行う(S2405)。さらに、時短状態用のテーブルを選択して、変動パターン乱数の事前判定を行う(S2406)。
一方、S2404でNoと判断した場合には、時短無状態用のテーブルを選択して、リーチ乱数の事前判定を行う(S2407)。さらに、時短無状態用のテーブルを選択して、変動パターン乱数の事前判定を行う(S2408)。
【0172】
この後、遊技制御部200は、上述のとおり得られた大当たり乱数の事前判定の結果、大当たり図柄乱数の事前判定の結果、リーチ乱数の事前判定の結果、および変動パターンの事前判定の結果を、事前判定情報として事前判定情報格納領域に記憶する(S2409)。さらに、演出制御部300に事前判定情報を送信するために、事前判定情報を含む事前判定結果コマンドをRAM203にセットする(S2410)。
【0173】
ここで、上述の事前判定は、始動口121、122への遊技球の入賞に応じて取得された乱数値(
図9のS903、S910参照)と、大当たり判定処理で用いられる判定テーブル(
図20参照)と同様の構成の判定テーブルとを用いて行った。すなわち、使用する判定テーブルを選択した後の判定自体は、大当たり判定処理における判定(
図12のS1201参照)と同様である。そこで、本実施の形態では、特別図柄処理(
図11参照)で用いた大当たり判定処理のサブルーチン(
図11のS1108および
図12参照)を呼び出し、上記の事前判定における乱数の判定を行う。
【0174】
このような構成としたことにより、本実施の形態では、事前判定処理における乱数の判定を行うために、大当たり判定処理とは別に乱数を判定する処理機能(サブルーチン)を用意する必要がない。そのため、制御命令の数を削減し、大当たり判定処理および事前判定処理に関するプログラムのサイズの増大を抑制することができる。また、上記のように、事前判定に用いる判定テーブルを大当たり判定で用いる判定テーブルと同様の構成とする場合には、大当たり判定で用いる判定テーブルを事前判定においても用いるようにしても良い。
【0175】
また、ここでは特別図柄抽選に関する事前判定(大当たりか否か)についてのみ説明したが、本実施の形態では、特別図柄の変動表示および停止表示を行う際の変動パターンについても、先読み(事前判定)を行う。特別図柄抽選における変動パターンの選択は、始動口121、122への遊技球の入賞に応じて取得された変動パターン選択用の乱数値(
図9のS903、S910参照)と変動パターンテーブル(
図21参照)とを用いて行われる(
図11のS1109および
図13参照)。したがって、変動パターンの先読みにおいても、入賞時に取得した変動パターン選択用の乱数値と、特別図柄処理の変動パターン選択処理で用いた変動パターンテーブルと同様の構成の先読みテーブルを用いて、選択される変動パターンを先読みすることができる。
【0176】
この場合、変動パターン選択処理で選択される変動パターンを先読みするために、特別図柄処理(
図11参照)で用いた変動パターン選択処理のサブルーチン(
図11のS1109および
図13参照)を呼び出して用いることができる。また、変動パターン選択の先読みに用いる先読みテーブルに関しても、特別図柄処理の変動パターン選択処理で用いられる変動パターンテーブルを用いて良い。このように構成すれば、変動パターン選択の先読みに関する制御命令の数を削減し、プログラムのサイズの増大を抑制することができる。
【0177】
なお、事前判定処理と特別図柄変動時の大当たり判定処理とを、同様の判定テーブル群を用い同じサブルーチンにて行った場合、各処理の実行時が異なるために、事前判定結果と特別図柄変動時の大当たり判定処理による判定結果とが異なる場合があり得る。すなわち、事前判定処理の実行後、特別図柄変動開始時までにパチンコ遊技機100の遊技状態(高確率状態か低確率状態か、時短状態か時短無状態か)が変化した場合である。この場合、判定テーブルは遊技状態に応じて異なる種類のものが用いられるため、事前判定処理の実行時と大当たり判定処理の実行時とでは、判定に用いられる具体的な判定テーブルが異なることになる。そのため、始動口121、122への入賞時に獲得した同一の乱数値を使用しても、事前判定結果と大当たり判定処理の判定結果と異なる場合がある。このような場合、演出制御部300において、事前判定処理の実行後、特別図柄変動の開始時までに遊技状態が変化する場合は、事前判定結果に基づく演出を不実行とする(禁則)制御等を行っても構わない。
【0178】
〔コマンドの構成および伝送方式〕
ここで、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンド(演出制御用コマンドおよび設定用コマンド)の構成および伝送方式について説明する。
図24−2は、コマンドの構成を示す図である。
図24−2(a)はコマンドのデータ構造を示し、
図24−2(b)はコマンドのビット列としての構造を示す。
【0179】
図24−2(a)に示すように、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンドは、1コマンドが2バイトで構成される。このコマンドは、第1データ部としての1バイトの「コード」と、第2データ部としての1バイトの「データ」で構成されている。「コード」は、コマンドの種類を示し、「データ」は、コマンドの値を示す。このコマンドは、1本のシリアル信号により調歩同期を用いて、遊技制御部200から演出制御部300へ送信される。なお、より一般的には、第1データ部である「コード」は、aビット(aは2以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定され、第2データ部である「データ」は、n×aビット(nは1以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている。
【0180】
調歩同期を用いるため、コマンドを構成する「コード」および「データ」の各々の先頭には1ビットのスタートビット(図中、「S」と記載されたビット)が設けられ、最後尾には1ビットのエンドビット(図中、「E」と記載されたビット)が設けられる。また、コマンドを構成する「コード」および「データ」の各々には1ビットのパリティビット(図中、「P」と記載されたビット)が設けられる。
【0181】
図24−2(a)に示したように、コマンドを構成する「コード」と「データ」とは、どちらも1バイト(8ビット)のデータサイズを有する。そして、伝送される際、「コード」および「データ」には、それぞれ、スタートビット、エンドビットおよびパリティビットが設けられる。そのため、コマンドを受信する演出制御部300において、受信したデータ列がコマンドの「コード」であるのか「データ」であるのかを、データ列の外形から識別することは容易ではない。そこで、本実施の形態では、「コード」と「データ」とを識別するためのフラグを設定する。具体的には、「コード」を構成する8ビット値の特定箇所の値と、「データ」を構成する8ビット値のうち「コード」の特定箇所に対応する箇所の値とが異なるようにする。
【0182】
図24−2(b)に示す例では、「コード」および「データ」のそれぞれの先頭の1ビットをフラグとして用いている。すなわち、「コード」を構成する8ビット値においては、先頭の1ビットの値を「1」とし、「データ」を構成する8ビット値においては、先頭の1ビットの値を「0」とする。これにより、演出制御部300は、受信したデータ列のスタートビットに続く先頭の1ビットの値を調べることにより、そのデータ列が「コード」か「データ」かを識別することができる。なお、フラグの具体的な値は例示に過ぎず、「コード」と「データ」とを識別可能であれば、上記に示す値とは異なる値を用いても良い。
【0183】
ここで、「コード」は先頭の1ビットの値が「1」に特定されているので、「コード」が取り得る値の範囲は、10000000B(=80H)から11111111B(=FFH)までの128個である。なお、各値に付された文字「B」は2進数表記であることを示し、文字「H」は16進数表記であることを示す。また、「データ」は先頭の1ビットの値が「0」に特定されているので、「データ」が取り得る値の範囲は、00000000B(=00H)から01111111B(=7FH)までの128個である。すなわち、
図24−2(a)、(b)に示す構成によれば、各々128種類の値を取り得る、128種類のコマンドを設定することができる。
【0184】
ところで、パチンコ遊技機100では、遊技状態や特別図柄抽選の判定結果等に応じて多くの種類の演出が実行される。そのため、演出制御用のコマンドも多くのコマンド数が用意される。特に、コマンドの具体的な内容を示す値である「データ」は、上記の128個では不足することもあり得る。一方、コマンドの種類を示す「コード」は、通常、上記の128個よりも小さい数で足りる。そこで、「コード」のビット列の一部を、「データ」の値を記述するために用いることが考えられる。
【0185】
例えば、「コード」の最後尾の1ビットを「データ」の値の記述に用いる場合を考える。以下、「コード」および「データ」を構成する8ビットのビット列における各ビットを、第1ビット〜第8ビットと呼ぶ。また、「コード」を構成するビット列とは別に、実際にコマンドの種類を示す「コード」の値を「コード値」と呼び、「データ」を構成するビット列とは別に、実際にコマンドの値を示す「データ」の値を「データ値」と呼ぶ。すると、コード値は、「コード」のビット列のうち、第1ビットから第7ビットまでを用いて記述され、データ値は、「データ」のビット列の全て(第1ビットから第8ビットまで)と、「コード」の第8ビットとを用いて記述される。
【0186】
このように構成すれば、コード値の取り得る範囲は、第1ビットの値が「1」に特定されており、全体で7ビットのサイズであるので、1000000B(=40H)から1111111B(=7FH)までの64個である。また、データ値の取り得る範囲は、第1ビットの値が「0」に特定された「データ」の8ビットで表現される128個と「コード」の第8ビットの値「0」、「1」とを合わせて、256個である。したがって、データ値として256種類の値を持つコマンドを設定することが可能となる。
【0187】
なお、「コード」の一部を用いてデータ値を記述する場合における上記の構成は例示に過ぎず、具体的なビット数や値は上記の構成例には限定されない。例えば、「コード」の第7ビットおよび第8ビットを用いてデータ値を記述するように構成しても良い。より一般的には、第1データ部である「コード」を構成する所定のビットと、第2データ部である「データ」を構成するビットとを用いて、所定の種類のデータ(データ値)が記録される。そして、第1データ部である「コード」における上記の所定のビットを除く残りのビットを用いて、所定の種類のデータ(データ値)とは異なる他の種類のデータ(コード値)が記録される。言い換えると、第2データ部である「データ」を構成するaビットと、第1データ部である「コード」を構成するbビット(bはa−1よりも小さく、1以上の整数)とを用いて、(a+b)ビットのサイズのデータ値が記録される。
【0188】
また、扱うことができるデータ値の数を増やす手段としては、データ値を記述する「データ」のビット列を増やすことも考えられる。例えば、データ値を記述するビット列として、「第1データ」と「第2データ」とを用意することが考えられる。この場合、各ビット列を8ビットとすれば、合計で16ビットのビット列によりデータ値を記述することが可能となる。「第1データ」と「第2データ」とを識別するために、8ビットのビット列のうち第2ビットをフラグとして用いることにすると、例えば、「第1データ」の第1ビットおよび第2ビットを「00B」とし、「第2データ」の第1ビットおよび第2ビットは「01B」とすることができる。なお、第1ビットは、「コード」と識別するためのフラグとして値「0」となっている。すなわち、第2データ部である「データ」は、個々のデータ値を表すビット列(「第1データ」、「第2データ」、……)のサイズである8ビットごとに(より一般的には、上記aビットごとに)、先頭の1ビットの値と同じ値が設定される。
【0189】
このように構成すると、「第1データ」の取り得る値の範囲は、00000000B(=00H)から00111111B(=3FH)までの64個であり、「第2データ」の取り得る値の範囲は、01000000B(=40H)から01111111B(=7FH)までの64個であるので、合計で4096(=64×64)個となる。なお、ここでは、「コード」と「データ」(「第1データ」および「第2データ」)を識別するためのフラグとして第1ビットを用い、「第1データ」と「第2データ」とを識別するためのフラグとして第2ビットを用いることとしたが、第1、第2ビットを用いて4種類のビット列を識別するためのフラグを設定しても良い。例えば、「コード」は第1、第2ビットの値を「11B」とし、「データ」は第1、第2ビットの値を「00B」、「01B」、「10B」の何れかとすることが考えられる。
【0190】
〔遊技制御部のRAMにおけるコマンド出力のための構成例〕
図24−3は、RAM203におけるコマンド格納領域の構成例を示す図である。
図24−3に示すように、遊技制御部200のRAM203は、
図8に示した主制御処理等の各種の処理により生成される個々のコマンドが割り当てられたコマンド格納領域(記憶領域)を有する。
図24−3に示す例では、領域r1から領域r31までの31個のコマンド格納領域がRAM203に設定されている。ここで、各コマンド格納領域に対するコマンドの割り当ては、必ずしも1対1の対応関係とはならない。例えば、同時に生成されることがない複数のコマンドを、同一のコマンド格納領域に割り当てることが可能である。
図24−3に示す例では、領域r1、領域r9、領域r12、領域r19、領域r20、領域r21、領域r22、領域r23、領域r30に対して複数のコマンドが割り当てられており、その他のコマンド格納領域にはそれぞれ1個ずつのコマンドが割り当てられている。
【0191】
図24−3に示す例において、領域r1には、電源投入に関するコマンドが割り当てられている。電源投入に関するコマンドには、RAMクリア時の電源投入を制御するコマンドと、復旧時の電源投入を制御するコマンドとがある。これらのコマンドは、生成される場面が異なるので同時に生成されることがなく、いずれも領域r1に割り当てられている。
【0192】
領域r2〜r4には、第1始動口121への入賞に関する3つのコマンド(図では「始動口1入賞」と記載)が割り当てられている。第1始動口121への入賞に関するコマンドの一つは、第1始動口121への入賞に基づく事前判定(
図9のS904参照)における判定(先読み)結果を示すコマンド(図では「特
図1図柄先読み」と記載)であり、領域r2に割り当てられている。他の一つは、判定結果と共に特定される変動パターンの先読み(事前判定)結果を示すコマンド(図では「特
図1変動パターン先読み」と記載)であり、領域r3に割り当てられている。さらに他の一つは、第1始動口121への入賞に基づき特別図柄抽選の保留数を更新(ここでは値を1増加)したことを示すコマンド(図では「特
図1保留(+1)」と記載)であり、領域r4に割り当てられている。
【0193】
領域r5〜r7には、第2始動口122への入賞に関する3つのコマンド(図では「始動口2入賞」と記載)が割り当てられている。第2始動口122への入賞に関するコマンドの一つは、第2始動口122への入賞に基づく事前判定(
図9のS911参照)における判定結果を示すコマンド(図では「特
図2図柄先読み」と記載)であり、領域r5に割り当てられている。他の一つは、判定結果と共に特定される変動パターンの先読み結果を示すコマンド(図では「特
図2変動パターン先読み」と記載)であり、領域r6に割り当てられている。さらに他の一つは、第2始動口122への入賞に基づき特別図柄抽選の保留数を更新(ここでは値を1増加)したことを示すコマンド(図では「特
図2保留(+1)」と記載)であり、領域r7に割り当てられている。
【0194】
領域r8〜r10には、普通図柄抽選に関する5つのコマンド(図では、それぞれ「普図保留」、「普図種類」、「普図確定」、「普図開閉」、「普図保留」と記載)が割り当てられている。普通図柄抽選に関するコマンドのうち、「普図保留」コマンドの一つは、遊技球がゲート124を通過したことに基づき普通図柄抽選の保留数を更新(ここでは値を1増加)したことを示すコマンド(図では「普図保留(+1)」と記載)であり、領域r8に割り当てられている。「普図種類」コマンドは、普通図柄抽選において、判定結果を表す普通図柄を指定し、普通図柄表示器223の変動表示を開始したことを示すコマンド(図では「普通図柄変動開始」と記載)であり、領域r9に割り当てられている。「普図確定」コマンドは、普通図柄抽選において、普通図柄表示器223を停止表示させ、普通図柄抽選の判定結果を表す普通図柄を確定させたことを示すコマンド(図では「普通図柄確定」と記載)であり、領域r9に割り当てられている。「普図開閉」コマンドは、普通図柄抽選の判定結果に基づき普通電動役物である電動チューリップ123を作動させること(補助遊技)を示すコマンド(図では「普電開放・閉鎖」と記載)であり、領域r9に割り当てられている。「普図保留」コマンドの他の一つは、普通図柄抽選の処理が行われたことにより保留数を更新(ここでは値を1減少)したことを示すコマンド(図では「普図保留(−1)」と記載)であり、領域r10に割り当てられている。
【0195】
ここで、普通図柄抽選の処理において、普通図柄の変動表示、普通図柄の停止表示、補助遊技による電動チューリップ123の作動は、一連の操作として順次実行される。そして、電動チューリップ123の作動中に他の遊技球がゲート124を通過したことに基づく普通図柄の変動表示が開始されることはない(
図16参照)。そのため、上記の「普図種類」、「普図確定」、「普電開閉」の3種類のコマンドは、いずれも同時に生成されることはない。そこで、
図24−3に示す例では、これら3種類のコマンドを同一のコマンド格納領域(領域r9)に割り当てている。
【0196】
領域r11〜r14には、特別図柄抽選に関する9つのコマンド(図では、「特図変動」、「特図特電」と記載)が割り当てられている。特別図柄抽選に関するコマンドのうち、「特図変動」コマンドの一つは、パチンコ遊技機100の現在の遊技状態(高確率状態か低確率状態か、時短状態か時短無状態か)を示すコマンド(図では「遊技状態」と記載)であり、領域r11に割り当てられている。「特図変動」コマンドの他の一つは、特別図柄抽選において、特別図柄抽選の判定結果を表す特別図柄を指定し、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222の変動表示を開始したことを示すコマンド(図では「特図指定」と記載)であり、領域r12に割り当てられている。「特図変動」コマンドのさらに他の一つは、特別図柄抽選において行われる特別図柄変動の変動パターンを特定するコマンド(図では「変動パターン」と記載)であり、領域r13に割り当てられる。「特図変動」コマンドのさらに他の一つは、特別図柄抽選の処理が行われたことにより保留数を更新(ここでは値を1減少)したことを示すコマンド(図では「特図保留(−1)」と記載)であり、領域r14に割り当てられている。
【0197】
一方、「特図特電」コマンドの一つは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを示すコマンド(図では「客待ち」と記載)であり、領域r12に割り当てられている。「特図特電」コマンドの他の一つは、特別図柄抽選の判定結果に基づき特別電動役物である大入賞口125を作動させること(特別遊技、大当たり遊技)を示すコマンド(図では「特電開放」と記載)であり、領域r12に割り当てられている。「特図特電」コマンドのさらに他の一つは、大当たり遊技のオープニング動作が開始されたことを示すコマンド(図では「大当たりOP」と記載)であり、領域r12に割り当てられている。「特図特電」コマンドのさらに他の一つは、大当たり遊技のエンディング動作が開始されたことを示すコマンド(図では「大当たりED」と記載)であり、領域r12に割り当てられている。「特図特電」コマンドのさらに他の一つは、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222を停止表示させ、特別図柄抽選の判定結果を表す特別図柄を確定させたことを示すコマンド(図では「特図確定」と記載)であり、領域r12に割り当てられている。
【0198】
ここで、特別図柄抽選の処理において、特別図柄の変動表示、特別図柄の停止表示、特別遊技による大入賞口125の作動は、一連の操作として順次実行される。そして、特別遊技の実行中に他の遊技球の入賞に基づく特別図柄の変動表示が開始されることはない(
図11参照)。また、大当たり遊技では、オープニング動作、大入賞口125の作動、エンディング動作が、一連の操作として順次実行される。そのため、上記の「特図変動」コマンドにおける「特図指定」コマンドおよび5種類の「特図特電」コマンドは、いずれも同時に生成されることはない。そこで、
図24−3に示す例では、これら6種類のコマンドを同一のコマンド格納領域(領域r12)に割り当てている。
【0199】
領域r15〜r18には、スイッチ検出に関する4つのコマンド(図では「スイッチ通過」と記載)が割り当てられている。スイッチ検出に関するコマンドの一つは、遊技領域111の左側のゲート124Lを遊技球が通過したことを示すコマンド(図では「左ゲート通過」と記載)であり、領域r15に割り当てられている。スイッチ検出に関するコマンドの他の一つは、遊技領域111の右側のゲート124Rを遊技球が通過したことを示すコマンド(図では「右ゲート通過」と記載)であり、領域r16に割り当てられている。スイッチ検出に関するコマンドのさらに他の一つは、第2始動口122に遊技球が入賞したことを示すコマンド(図では「始動口SW2通過(電チュー)」と記載)であり、領域r17に割り当てられている。スイッチ検出に関するコマンドのさらに他の一つは、大入賞口125に遊技球が入賞したことを示すコマンド(図では「大入賞口入賞」と記載)であり、領域r18に割り当てられている。
【0200】
領域r19〜r30には、エラーに関するコマンド(図では「エラー」と記載)が割り当てられている。パチンコ遊技機100の遊技制御部200が検出するエラーとしては、例えば、払出球が皿153(
図1、
図2(b)参照)に一杯になったことを示す満タンエラー、枠部材150の前面枠が開状態となっていることを示す扉開放エラー、払い出しユニットによる遊技球の払い出しができなくなったことを示す払い出しエラー、ゲートスイッチ214や始動口スイッチ211、212等の各種の検知スイッチが未接続となっていることを示すスイッチ未接続エラー等がある。
図24−3に示す例では、これらのエラーが、それぞれ領域r19〜r23に割り当てられている。また、エラーごとに、各エラーが発生したことを示すコマンド(図では「〜エラー開始」と記載)と、各エラーが解消したことを示すコマンド(図では「〜エラー終了」と記載)とが、同一のコマンド格納領域に割り当てられている。
【0201】
この他、パチンコ遊技機100の仕様や機能に応じて種々の制御項目やエラー項目を設定し、制御項目に応じたコマンド、エラーが発生したことを示すコマンド、エラーの種類によってはエラーが解消したことを示すコマンド等を生成するように構成して良い。そして、これらのコマンドを、コマンド格納領域に適宜割り当てることができる。
図24−3に示す例では、領域r24〜r30に、種々のエラーに関するコマンドが個別に割り当てられている。また、領域r31に、特定の入賞を検出して通知するためのコマンド(図では「入賞通知指定」と記載)が割り当てられている。
【0202】
以上のように、遊技制御部200のRAM203に設けられたコマンド格納領域は、1つのコマンド格納領域に対して一種類または複数種類のコマンドが対応付けられている。そして、
図8に示した主制御処理において、遊技制御部200は、生成したコマンドを、そのコマンドに対応付けられているコマンド格納領域に格納していく。
ここで、主制御処理では、1サイクルの処理が実行される度に、必ずしも全てのコマンドが生成される訳ではない。例えば、第1始動口121や第2始動口122への入賞がないときは、上記の始動口121、122への入賞に関するコマンドや「特図変動」コマンドは生成されない。また、普通図柄抽選に関するコマンドのうちの「普図開閉」コマンドや「特図特電」コマンドは、これらの電動役物を作動させるべきタイミングでなければ生成されない。また、エラーの発生に関するコマンドは、そもそもエラーが発生していなければ生成されない。
したがって、主制御処理の出力処理(
図8のS806参照)が行われる際には、通常、RAM203に設けられたコマンド格納領域のうち、いくつかのコマンド格納領域にはコマンドが格納されており、他のコマンド格納領域にはコマンドが格納されていない状態となる。
【0203】
〔コマンドの出力動作〕
図24−4は、出力制御部240による出力処理の内容を示すフローチャートである。
本実施の形態では、出力制御部240は、
図24−3に示したRAM203のコマンド格納領域の上から順に(領域番号の順に)着目し、各コマンド格納領域に格納されているコマンドを出力する。
【0204】
図24−4に示すように、遊技制御部200の出力制御部240は、まず、RAM203に設けられたコマンド格納領域のうち、先頭のコマンド格納領域(
図24−3に示す例では領域r1)に着目し(S2411)、コマンドが格納されているか否かを調べる(S2412)。そして、コマンドが格納されているならば(S2412でYes)、出力制御部240は、格納されているコマンドを読み出して演出制御部300へ出力する(S2413)。
【0205】
着目したコマンド格納領域(初期的には領域r1)にコマンドが格納されていなかった場合(S2412でNo)、またはS2413でコマンド格納領域に格納されていたコマンドを出力した後、出力制御部240は、次の領域番号のコマンド格納領域が有るか否かを調べる(S2414)。次のコマンド格納領域が有る場合(S2414でYes)、出力制御部240は、そのコマンド格納領域に着目し(S2415)、S2412へ戻って、コマンドの有無の確認(S2412)、出力(S2413)を繰り返す。そして、最後のコマンド格納領域(
図24−3に示す例では領域r31)に対して処理を行ったならば、次の領域番号のコマンド格納領域が無いので(S2414でNo)、出力処理を終了する。
【0206】
〔コマンドの出力順の設定〕
主制御処理においては、
図9乃至
図19を参照して説明した各処理においてコマンドが生成されると、通常、直ちに生成されたコマンドがRAM203の対応するコマンド格納領域に格納される。すなわち、コマンド格納領域へのコマンドの格納は、一般に、コマンドが生成された順に行われる。
一方、
図24−4を参照して説明したように、出力制御部240による出力処理では、一定の順序(上記の例では領域番号の順)で各コマンド格納領域に着目し、格納されているコマンドを出力する。すなわち、コマンドの出力は、コマンドが生成された順に関わらず、予め定められた特定の順序で行われる。これは、コマンドに基づく演出制御部300の演出制御において混乱を防ぐために、特定のコマンドに関しては特定の順序で演出制御部300に送信されることが望ましい場合があるためである。すなわち、演出制御部300は遊技制御部200から受信した順にコマンドに基づく演出制御を実行するため、コマンドを受信する順番が異なることによって、演出制御に矛盾が生じる等の混乱が生じる場合があるので、これを防止する必要がある。
【0207】
〔演出制御部の動作〕
次に、演出制御部300の動作を説明する。
図25は、演出制御部300の動作を示すフローチャートである。
演出制御部300の動作は、
図25(a)に示すメイン処理と、
図25(b)に示す割り込み処理とからなる。
図25(a)を参照すると、演出制御部300は、まず起動時に初期設定を行い(S2501)、CTC(Counter/Timer Circuit)の周期設定を行った後(S2502)、設定された周期にしたがって、演出制御において用いられる乱数を更新しながら(S2503)、割り込み処理を受け付ける。
【0208】
割り込み処理は、S2502で設定された周期にしたがって定期的に行われる。
図25(b)を参照すると、この割り込み処理において、演出制御部300は、遊技制御部200からのコマンドを受信してコマンド受信処理を行う(S2511)。このコマンド受信処理において、演出内容(演出パターン)が選択される。また、演出制御部300は、遊技者による演出ボタン161等の操作を受け付けるための演出ボタン処理を行う(S2512)。この後、演出制御部300は、選択した演出パターンの情報を含むコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送信するコマンド送信処理を行う(S2513)。これにより、画像表示部114への画像表示や音響出力、可動役物115の動作、盤ランプ116や枠ランプ157の発光等による演出が行われる。
【0209】
〔演出制御部によるコマンド受信処理〕
図26は、コマンド受信処理(
図25(b)のS2511)の内容を示すフローチャートである。
このコマンド受信処理において、演出制御部300は、まず、事前判定結果コマンドおよび保留数増加コマンドを受信したか否かを判断する(S2601)。なお、事前判定結果コマンドおよび保留数増加コマンドは、遊技制御部200において、
図9に示した始動口スイッチ処理においてセットされ(S906、S907、S913、S914)、
図8に示した出力処理(S806)で演出制御部300へ送信されたコマンドである。
そして、演出制御部300は、事前判定結果コマンドおよび保留数増加コマンドを受信したと判断した場合(S2601でYes)、RAM303に保持されている保留数の値を1加算する(S2602)。さらに、演出制御部300は、事前判定結果コマンドおよび保留数増加コマンドに基づいて、事前判定演出選択処理を行う(S2603)。なお、事前判定演出選択処理の内容については後に説明する。
【0210】
受信したコマンドが事前判定結果コマンドおよび保留数増加コマンドでない場合(S2601でNo)、演出制御部300は、受信したコマンドが変動開始コマンドか否かを判断する(S2604)。この変動開始コマンドは、遊技制御部200において、
図11に示した特別図柄処理においてセットされ(S1111)、
図8に示した出力処理(S806)で演出制御部300へ送信されたコマンドである。
受信したコマンドが変動開始コマンドであった場合(S2604でYes)、演出制御部300は、演出選択処理を実行する(S2605)。また、変動開始コマンドを受信した際は、演出選択処理において用いられる演出制御用の乱数値が取得される。この乱数値は、
図25(a)に示すメイン処理のS2503で定期的に更新される乱数値である。演出選択処理の詳細については後述する。
【0211】
受信したコマンドが事前判定結果コマンド、保留数増加コマンドおよび変動開始コマンドでない場合(S2601およびS2604でNo)、演出制御部300は、受信したコマンドが変動停止コマンドか否かを判断する(S2606)。この変動停止コマンドは、遊技制御部200において、
図11に示した特別図柄処理においてセットされ(S1114)、
図8に示した出力処理(S806)で演出制御部300へ送信されたコマンドである。
受信したコマンドが変動停止コマンドであった場合(S2606でYes)、演出制御部300は、変動演出終了中処理を実行する(S2607)。変動演出終了中処理の詳細については後述する。
【0212】
受信したコマンドが事前判定結果コマンド、保留数増加コマンド、変動開始コマンドおよび変動停止コマンドでない場合(S2601、S2604およびS2606でNo)、演出制御部300は、受信したコマンドが大当たり遊技のオープニング動作を開始するためのオープニングコマンドか否かを判断する(S2608)。このオープニングコマンドは、
図14に示した停止中処理においてセットされ(S1418)、
図8に示した出力処理(S806)で演出制御部300へ送信されたコマンドである。
受信したコマンドがオープニングコマンドであった場合(S2608でYes)、演出制御部300は、大当たり演出選択処理を実行する(S2609)。大当たり演出選択処理の詳細については後述する。
【0213】
受信したコマンドが事前判定結果コマンド、保留数増加コマンド、変動開始コマンド、変動停止コマンドおよびオープニングコマンドでない場合(S2601、S2604、S2606およびS2608でNo)、演出制御部300は、受信したコマンドが大当たり遊技のエンディング動作を開始するためのエンディングコマンドか否かを判断する(S2610)。このエンディングコマンドは、
図17に示した大入賞口処理においてセットされ(S1713)、
図8に示した出力処理(S806)で演出制御部300へ送信されたコマンドである。
受信したコマンドがエンディングコマンドであった場合(S2610でYes)、演出制御部300は、エンディング演出選択処理を実行する(S2611)。エンディング演出選択処理の詳細については後述する。
【0214】
受信したコマンドが事前判定結果コマンド、保留数増加コマンド、変動開始コマンド、変動停止コマンド、オープニングコマンドおよびエンディングコマンドでない場合(S2601、S2604、S2606、S2608およびS2610でNo)、次に演出制御部300は、受信したコマンドが客待ち状態に移行するための客待ちコマンド受信処理を実行する(S2612)。客待ちコマンド受信処理の詳細については後述する。
【0215】
図27は、モードフラグの設定例を示す図である。
演出制御部300により演出が行われる場合、設定される演出モードに基づき、種々の演出パターンが選択されて実行される。この演出モードは、RAM303にセットされるモードフラグによって決定される。ここで、モードフラグは、0〜4の値のいずれかが設定されており、それぞれAモードからEモードまでの5種類の演出モードが割り当てられている。なお、モードフラグは、特別図柄抽選の抽選結果または特別図柄抽選の抽選回数に応じて設定される。
高確率図柄Aの大当たりにはモードフラグ1が、低確率図柄Aの大当たりにはモードフラグ2が、高確率図柄Bおよび低確率図柄Bの大当たりにはモードフラグ3が、潜確図柄の大当たりおよび小当たりにはモードフラグ4が、それぞれ割り当てられている。ここで、これらの図柄の種類は、
図20(b)に示したものと同様である。何れの大当たりにもモードフラグ0は割り当てられていない。なお、モードフラグ1〜4において、特別図柄抽選を所定回数実行することでモードフラグ0が設定される。
さらに、
図27に示す例では、変動演出終了中処理で用いられるパラメータM(M値)が、Aモードを除く各モードに対して個別に設定されている。後述するように、パラメータMの値は、特別図柄変動が行われ、停止する度に1ずつ減算される。
【0216】
図28は、
図26の事前判定演出選択処理(S2603)および演出選択処理(S2605)の内容を示すフローチャートである。
事前判定演出選択処理において、演出制御部300は、まず、遊技制御部200から受信した事前判定結果コマンドを解析する(S2801)。さらに、演出制御部300は、遊技制御部200から受信した保留数増加コマンドを解析する(S2802)。そして、演出制御部300は、事前判定結果コマンドおよび保留数増加コマンドに基づいて、事前判定演出で用いられる演出パターン(事前判定演出パターン)を選択する(S2803)。
【0217】
ここで、事前判定演出パターンとしては、特別図柄処理による乱数の判定結果に基づく変動の開始以前に、その特別図柄処理による乱数の判定結果を予告するような各種の演出パターンを設けることができる。例えば、保留表示演出や、連続予告演出等の演出を事前判定演出パターンとして設けることができる。本実施の形態では、保留球が発生した際、保留球数を表す表示を、表示器130の第1特別図柄保留表示器218および第2特別図柄保留表示器219に表示する(
図2参照)と共に、画像表示部114に保留の発生や保留数を示唆する保留表示を行う(保留表示演出)。そこで、この保留表示演出において、保留表示の表示態様等に事前判定結果を反映させることにより、その保留球に関して、その後に特別図柄処理による乱数の判定が行われた際の判定結果を遊技者に示唆する事前判定演出とすることができる。
【0218】
なお、ここでは保留表示演出を事前判定演出として用いる場合について説明したが、特別図柄処理による乱数の判定結果に基づく変動の開始以前に行われる各種の演出内容に反映させることで、多様な予告演出を行うことが可能になる。例えば、画像表示部114に表示される演出画像を用いた演出、盤ランプ116や枠ランプ157の発光による演出、可動役物の動作による演出、楽曲や効果音等の音響出力による演出等を事前判定演出パターンとして設定することができる。
【0219】
また、事前判定演出は、事前判定が行われた入賞球(保留球)に対する図柄変動よりも先に行われる他の入賞球に対する図柄変動に伴って実行される。本実施の形態では、保留球は、一つの始動口(第1始動口121または第2始動口122)につき4個を上限としている(
図9参照)。また、第2始動口122の保留球の消化を優先するものとする。この場合、例えば、第2始動口122のある保留球について事前判定を行ったならば、その保留球についての図柄変動が行われる前に、現在変動中の変動(当該変動と呼ぶ)を含め、最大で4個の入賞球についての図柄変動が行われることとなる。事前判定が行われた保留球に係る予告演出において、その保留球についての図柄変動が行われる前に複数回の図柄変動が行われる場合、その複数回の図柄変動にまたがる予告演出(連続予告演出)を行っても良い。
【0220】
そして、演出制御部300は、加算後の保留数の値と、事前判定演出選択処理において選択された事前判定演出パターンの情報とが含まれる保留数コマンドをRAM303にセットする(S2804)。なお、保留数コマンドには、画像/音響制御部310のCPU311に対して選択された事前判定演出パターンを通知するために、当該パターンを示す情報が含まれる。CPU311は保留数コマンドを受信することで、選択された事前判定演出パターンに対応する画像や音響をVDP314に描画、出力処理させるためのディスプレイリスト等の作成を行う。VDP314は当該ディスプレイリスト等に基づいて、選択された事前判定演出パターンを表すための画像データや音響データをCGROM315やSNDROM316から読み出して、事前判定演出を画像表示部114やスピーカ156を用いて表現する。
【0221】
演出選択処理において、演出制御部300は、まず、受信した変動開始コマンドを解析する(S2811)。また、演出制御部300は、RAM303の設定からパチンコ遊技機100の現在のモードフラグを参照し(S2812)、RAM303に保持されている保留数の値を1減算する(S2813)。そして、演出制御部300は、変動開始コマンドの解析結果から得られる各種の設定情報(大当たりの種類、大当たり遊技後の遊技状態、変動パターン等の情報)およびモードフラグにより決定される演出モードに基づき、その演出モードで画像表示部114に表示する画像による図柄変動の変動演出パターンを選択する(S2814)。
【0222】
最後に、演出制御部300は、選択した演出の実行開始を指示する変動演出開始コマンドをRAM303にセットする(S2815)。なお、変動演出開始コマンドには、CPU311に対して選択された変動演出パターンを通知するために、当該パターンを示す情報が含まれる。CPU311は保留数コマンドを受信することで、選択された変動演出パターンに対応する画像や音響をVDP314に描画、出力処理させるためのディスプレイリスト等の作成を行う。VDP314は当該ディスプレイリスト等に基づいて、選択された変動演出パターンを表すための画像データや音響データをCGROM315やSNDROM316から読み出して、変動演出を画像表示部114やスピーカ156を用いて表現する。
【0223】
詳述しないが、S2814における図柄変動の変動演出パターンの選択処理では、演出モードと変動パターンと演出乱数(
図25(a)のS2503において更新されている乱数の一つであり、変動開始コマンド受信時に演出乱数値を取得している)とに基づいて変動演出パターンが決定される。ここで決定された変動演出パターンに基づいて、装飾図柄の変動表示、背景演出および予告演出等が決定される。なお、装飾図柄の変動表示とは、第1特別図柄表示器221または第2特別図柄表示器222で行われる特別図柄の変動表示に伴い、画像表示部114にて行われる演出表示である。この装飾図柄の変動表示において、リーチ演出等が実行される。
【0224】
図29は、
図26の変動演出終了中処理(S2607)の内容を示すフローチャートである。
この変動演出終了中処理において、演出制御部300は、まず受信した変動停止コマンドを解析する(S2901)。また、演出制御部300は、RAM303の設定からパチンコ遊技機100の現在のモードフラグを参照する(S2902)。そして、演出制御部300は、変動停止コマンドの解析の結果から得られる特別図柄変動が停止した際の図柄の種類を示す情報に基づいて特別図柄抽選の抽選結果が大当たりまたは小当たりか否かを判断する(S2903)。大当たりまたは小当たりである場合は(S2903でYes)、その大当たりの種類または小当たりに応じて、
図27に示した設定例に基づきRAM303にセットされているモードフラグを変更する(S2904)。
【0225】
一方、特別図柄抽選の抽選結果が大当たりまたは小当たりでない場合(S2903でNo)、次に演出制御部300は、モードフラグの値が0か否かを調べる(S2905)。モードフラグが0でない場合(S2905でNo)、演出制御部300は、パラメータMを1減算し(S2906)、Mの値が0になったか否かを調べる(S2907)。すなわち、パラメータMの値は、変動停止コマンドを受信した際に0となっていない限り、変動停止コマンドを受信する度に(すなわち特別図柄変動が停止する度に)1ずつ減算される。Mの値が0になったならば(S2907でYes)、演出制御部300は、モードフラグを0に設定する(S2908)。
【0226】
S2905でモードフラグが0であった場合(S2905でYes)、S2907でパラメータMの値が0にならなかった場合(S2907でNo)、またはS2908でモードフラグを0に設定した後、あるいはS2904でモードフラグを変更した後、演出制御部300は、図柄変動の演出の終了を指示するための変動演出終了コマンドをRAM303にセットして、変動演出終了中処理を終了する(S2909)。ここで、
図27を参照すると、S2904でモードフラグを変更した場合は、変動演出終了後の演出モードは大当たりの種類に応じた演出モードとなる。また、S2905でモードフラグが0であった場合およびS2908でモードフラグを0に設定した場合は、変動演出終了後の演出モードはAモードとなる。また、S2907でパラメータMの値が0にならなかった場合は、これまでの演出モードが継続される。
【0227】
図30は、
図26の大当たり演出選択処理(S2609)の内容を示すフローチャートである。
この大当たり演出選択処理において、演出制御部300は、まず受信したオープニングコマンドを解析し(S3001)、モードフラグに基づく演出モードの内容に応じて演出のパターン(大当たり演出パターン)を選択する(S3002)。そして、演出制御部300は、選択した大当たり演出パターンによる演出に用いられる画像データや音響データをROM302から読み出し、これらのデータと共に、選択した演出を指示する大当たり演出開始コマンドをRAM303にセットして、大当たり演出選択処理を終了する(S3003)。これにより、大当たり中の演出が決定される。なお、大当たり演出パターンの選択(S3002)において、コマンド受信時に取得される乱数値に基づく判定を行っても良い。
【0228】
図31は、
図26のエンディング演出選択処理(S2611)の内容を示すフローチャートである。
このエンディング演出選択処理において、演出制御部300は、まず受信したエンディングコマンドを解析し(S3101)、モードフラグに基づく演出モードの内容に応じて演出のパターン(エンディング演出パターン)を選択する(S3102)。そして、演出制御部300は、選択したエンディング演出パターンによる演出に用いられる画像データや音響データをROM302から読み出し、これらのデータと共に、選択した演出を指示するエンディング演出開始コマンドをRAM303にセットして、エンディング演出選択処理を終了する(S3103)。なお、エンディング演出パターンの選択(S3102)において、コマンド受信時に取得される乱数値に基づく判定を行っても良い。
【0229】
図32は、
図26の客待ちコマンド受信処理(S2612)の内容を示すフローチャートである。
演出制御部300は、客待ち状態に移行するための客待ちコマンドを受信したか否かを判断する(S3201)。客待ちコマンドを受信した場合(S3201でYes)、演出制御部300は、経過時間の計測を開始し(S3202)、RAM303において計測フラグをONにする(S3203)。一方、受信したコマンドが客待ちコマンドでなかった場合(S3201でNo)、演出制御部300は、RAM303に保持されている計測フラグがONになっているか否かを判断する(S3204)。計測フラグがOFFであれば(S3204でNo)、客待ちコマンド受信処理を終了する。
【0230】
計測フラグがONである場合(S3204でYesまたはS3203でONにした後)、次に演出制御部300は、計測時間があらかじめ定められたタイムアップ時間に達したか否かを判断する(S3205)。タイムアップしていない場合(S3205でNo)、客待ちコマンド受信処理を終了する。一方、タイムアップした場合(S3205でYes)、演出制御部300は、RAM303に保持されている計測フラグをOFFにし(S3206)、客待ち演出を行うための客待ち演出コマンドをRAM303にセットして客待ちコマンド受信処理を終了する(S3207)。
【0231】
以上のようにしてコマンド受信処理が完了すると、RAM303には、変動演出開始コマンド、変動演出終了コマンド、大当たり演出開始コマンド、エンディング演出開始コマンド、客待ち演出コマンドの何れかがセットされている。
【0232】
図33は、演出ボタン処理(
図25(b)のS2512)の内容を示すフローチャートである。
この演出ボタン処理において、演出制御部300は、まず遊技者による演出ボタン161等の操作手段が操作されたか否かを判断する(S3301)。ここで、操作手段の操作とは、演出ボタン161が押下されてONとなること、演出キー162の中央キーや周囲キーが押下されてONとなることを含む。また、タッチパネル等、演出ボタン161および演出キー162以外の操作用デバイスがパチンコ遊技機100に設けられている場合は、そのデバイスの操作を検知したことを含む。演出制御部300は、これらのデバイスのコントローラから操作信号を受け付けて、操作が行われたことを検知する。
【0233】
演出ボタン161等の操作手段が操作されたならば(S3301でYes)、演出制御部300は、操作手段の操作内容を示す情報を含む演出ボタンコマンドをRAM303にセットして演出ボタン処理を終了する(S3302)。
【0234】
この後、演出制御部300は、
図25(b)のコマンド送信処理(S2513)を行って、上記のコマンド受信処理および演出ボタン処理でRAM303にセットされたコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送信する。そして、画像/音響制御部310およびランプ制御部320が、受信したコマンドに基づき、画像表示部114への画像表示、音響出力、可動役物115の動作、盤ランプ116や枠ランプ157の発光等を制御して、設定された演出を実行する。
【0235】
〔可動役物115の一部を構成する演出装置3について〕
次に、本実施の形態の可動役物115の構成を説明する。本実施の形態では、可動役物115は、画像表示部114(
図1参照)の前に配置される演出装置3を含んで構成されている。以下、演出装置3について説明する。
なお、本実施の形態に係る遊技盤110(
図1参照)の本体を、光を透過する樹脂製の板状部材である透明遊技板110aで構成しており、かかる透明遊技板110aの背後に演出装置3が位置する(
図51参照)。透明遊技板110aは、遊技盤本体ということもできる。
演出装置3は、遊技盤110の透明遊技板110aと画像表示部114との間に位置する。
【0236】
図34は、本実施の形態に係る演出装置3の外観を示す正面図であり、
図35はその背面図である。
例えば
図34に示すように、演出装置3は、画像表示部114の表示領域の周囲に配置されている複数の装飾部材ないし装飾板3a〜3kを持つ。
演出装置3の装飾板3a〜3kについての具体的な説明は後述するが、
図34および
図35に図示される装飾板3a〜3kの具体的な構成から一般化される技術思想について説明する。かかる技術思想の説明では、装飾板3a〜3kの代わりに装飾部材を用いて説明する。
【0237】
複数の装飾部材の各々は、大きさや形状、向き(姿勢)が異なって統一されておらず、しかも単独ではほぼ意味をなさないものである。その一方で、複数の装飾部材の全体で有意なものになるように配置されている。言い換えると、複数の装飾部材の各々は単独では個性を持たず、他の装飾部材との配置の仕方ないし並び方で意味を持つものである。
付言すると、複数の装飾部材によって有意なものとなる配置の場合に、そのような有意なものに寄与しない装飾部材が存在する構成も考えられる。すなわち、必ずしも全体で有意なものになるような配置とする場合には限られない。
また、本実施の形態では、複数の装飾部材のうち矢印形状の装飾部材を備えており、これに限っては単独で意味を持っている。
【0238】
また、装飾部材は他の装飾部材と合体可能である。ここにいう合体とは、複数の装飾部材が互いに隣接する位置にある場合をいい、互いに接している場合のほか、互いに接していない場合も含まれる概念である。すなわち、合体とは、演出装置3を見る者が、複数の装飾部材が一つのかたまりになっているような認識を持つことが可能な状態を含む。そのようなかたまりは、必ずしも有意なものである場合とは限らない。
また、複数の装飾部材の端面同士が互いに対向する状態ないし向かい合わせの状態を合体ということができる。また、複数の装飾部材が集まっている状態(集合状態)を合体ということもできる。
さらには、ここにいう合体は、複数の装飾部材が
図34の紙面垂直方向(前後方向)に関して同じ位置にある場合に限られず、複数の装飾部材が同図の紙面垂直方向に関して異なる位置にある場合も含まれる概念である。
複数の装飾部材の各々が必ずしも合体していなければならないわけではなく、単独で配置することも可能である。
また、装飾部材は、他の装飾部材と接近可能である。ここにいう接近とは、近くに位置することをいい、上述の合体する場合や、離れている場合、互いに重なり合う場合等が含まれる。
また、装飾部材は、他の装飾部材の面と向かい合うことが可能である。ここにいう向かい合うとは、面同士が近くに位置して向かい合う場合のほか、面同士が比較的に離れて位置して向かい合う場合も含まれる。後者の場合には、装飾部材同士の間に他の装飾部材が位置しないことをいうが、他の装飾部材が位置する状態を含ませることも考えられる。
【0239】
さらに説明すると、複数の装飾部材の一部または全部が可動に構成されている。このため、複数の装飾部材における相対的な位置関係を変えることが可能であり、配列全体を変更することで別の有意なものになる。ここにいう別の有意なものは、一つだけの場合のほか、複数の場合も考えられる。
このように、複数の装飾部材の少なくとも一部を可動にすることで、正面視における複数の有意な配列状態ないし配置状態に切り替え可能である。配置状態を切り替えると、複数の装飾部材により形成される形態が変わる。すなわち、一の形態の場合に複数の装飾部材の少なくとも一部を動かすことで他の形態に形成可能であり、この意味において、演出装置3は複数の形態を形成可能であると言える(形態の変更可能)。なお、このような形態の変更は、複数の装飾部材により形成される所定形状が他の形状に変わることから、変形と言うこともできる。
【0240】
なお、本実施の形態では、複数の装飾部材の各々が単独では有意なものではないが、一部または全部を単独で有意なものであるように構成することが考えられる。また、本実施の形態では、正面視での複数の装飾部材の各々の大きさや形状は変わらないが、例えば伸縮性のある部材や折りたたみ構造等を用いることで大きさおよび/または形状を変えて正面視での見え方を変更するような構成も考えられる。
【0241】
演出装置3において、複数の装飾部材の一部または全部が動く場合の動き方としては、姿勢を維持しながら移動する平行移動と、回転軸回りに回転する回転と、が考えられる。例えば、遊技盤110の盤面すなわち
図34の紙面と略平行な方向にその姿勢を維持しながら移動する平行移動や、盤面と交差する方向に延びる部材である回転軸周りないし同方向に伸びる仮想回転軸周りに回転する回転、盤面に略平行な方向に延びる回転軸周りないし仮想回転軸周りに回転する回転等を挙げることができる。
本実施の形態に係る演出装置3は、複数の装飾部材の少なくとも一部が盤面と略平行な方向に移動する際に盤面に対して略垂直な方向に延びる回転軸回りを回転する回転平行移動を行う駆動機構を備えている。本実施の形態では、このような回転平行移動により、複数の装飾部材の動き演出を実行している。
なお、複数の装飾部材の一部または全部は、発光源としてのLEDを備え、発光演出を実行可能に構成することが考えられる。
【0242】
パチンコ遊技機100内で演出装置3に割り当てられる空間は限られていることから、可動の装飾部材がより大きな動きを行うことで、装飾部材の各可動領域が他の装飾部材と重複する場合が想定される。そのような複数の装飾部材の可動領域が共通する場合には、相互の干渉を回避するために、共通する可動領域(共通可動領域ないし重複可動領域)を通過する順番を事前に規定することになる。
より詳細には、動き演出において共通可動領域を通過する場合と通過しない場合とで駆動制御を分ける構成が考えられる。すなわち、共通可動領域を通過する動き演出の場合には、例えば動き出しのタイミングが互いに異なるようにしたり動き出しのタイミングが同じであるときにはいずれかを途中でいったん停止させて時間稼ぎをしたりする制御を行って、装飾部材が同時期に共通可動領域を通ることを防止する。その一方で、共通可動領域を通過しない動き演出の場合には、装飾部材を同時に動作開始してもよいことから別の制御を行うことになる。
また、このような共通可動領域に対する制御は、いずれか一の装飾部材の停止位置に対応する空間の少なくとも一部を他の装飾部材が通過することになる場合にも適用することが考えられる。
なお、共通可動領域を通過する動き演出の場合と通過しない動き演出の場合とで、制御を分けない構成も考えられる。
また、複数の装飾部材の可動領域が共通する場合に、共通する可動領域の通過を、上述した所定の順番を事前に規定するほか、事前に規定しないランダム性を持つ変形例が考えられる。
【0243】
次に、本実施の形態について具体的な説明を行う。
本実施の形態に係る演出装置3は、
図34または
図35に示すように、演出装置3における上側に位置する上側ユニット31と、下側に位置する下側ユニット32と、上側ユニット31および下側ユニット32を互いに連結するフレーム33と、を含んで構成されている。
【0244】
また、演出装置3は、上述した複数の装飾板3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3i、3j、3kを含んで構成されている。これら複数の装飾板3a〜3kは、遊技者側に向いている表面を持つ。なお、複数の装飾板3a〜3kは、正面視で正方形ないし長方形以外の多角形の形状であり、少なくとも一つの斜面を有する。
そして、複数の装飾板3a〜3kのうち装飾板3a〜3gが上側ユニット31に取り付けられ、装飾板3h〜3kが下側ユニット32に取り付けられている。また、複数の装飾板3a〜3kのうち装飾板3a、3b、3d、3e、3f、3h、3i、3j、3kは、可動に構成されているものであり(可動板)、残りの装飾板3c、3gは可動ではなく固定である(固定板)。なお、装飾板3a、3b、3d、3e、3f、3h、3i、3j、3kを可動板といい、装飾板3c、3gを固定板ということがある。
上側ユニット31には、装飾板3a、3b、3d、3e、3fの各々を駆動する駆動機構が取り付けられ、また、下側ユニット32には、装飾板3h、3i、3j、3kの各々を駆動する駆動機構が取り付けられている。また、下側ユニット32には、装飾板3kが装飾板3jに対して回転駆動する駆動機構が取り付けられている。すなわち、装飾板3kは、装飾板3jに軸支され、装飾板3jと共に移動するものであり、かつ、装飾板3jに対して回転可能である。これらの駆動機構についての詳細は後述する。
【0245】
可動板を含む装飾板3a〜3gは、
図34に示す場合(待機状態)では、いわゆる星型に配置されている。完全な星型ではないが、それを連想させるような配置である。さらに説明すると、上側ユニット31の装飾板3a〜3gは、一つのかたまりであるという認識が可能なように配置されている。言い換えると、装飾板3a〜3gの各々は、隣接する他の装飾板と合体している(合体配置)。その一方で、下側ユニット32の装飾板3hと装飾板3iと装飾板3jとは合体しておらず、互いに離間して配置されている(点在配置)。また、装飾板3h、3i、3kもまた合体しておらず、互いに離間して配置されている。なお、装飾板3j、3kは、前後方向に位置が違うように配置され、正面視では重なり合っている。
【0246】
上側ユニット31において、可動の装飾板3a、3b、3d、3e、3fは、盤面に対する表面の位置が略同じであり、その一方で、固定の装飾板3c、3gは、可動の装飾板3a、3b、3d、3e、3fよりも盤面から離れて位置する。より具体的には、装飾板3cと隣り合う装飾板3b、3dの端側部分は、装飾板3cの奥側に入り込んでいる。すなわち、装飾板3b、3dが正面視で装飾板3cと部分的に重なり合っている。
【0247】
〔装飾板3a〜3kにより形成される形態の変更について〕
次に、演出装置3の装飾板3a〜3kにより形成される形態が変更される場合について説明する。
本実施の形態では、装飾板3a〜3kにより形成される星形状の態様からアルファベットのA形状の態様に変更される構成を採用する。
図36は、装飾板3a〜3kによる形態を説明する正面図であり、(a)は星形状の形態、(b)はA形状の形態を示す。なお、(a)は待機状態の形態、(b)は演出状態の形態を示している。
同図の(a)に示す形態では、上述したように、装飾板3a〜3kの全体配置による星形状に形成されている。かかる星形状は、完全ではないものの、星を連想させるものである。本実施の形態では、演出装置3以外の他の演出装置との位置関係により完全な星形状でない。すなわち、他の演出装置が配置されている場所に装飾板3a〜3kを配置できないことから、不完全な星形状になっている。もしそのような制約がなければ、装飾板3a〜3kの全体配置を、鋭角の頂点を5つ持つ多角形である完全な星形状ないしそれにより近い形状にすることが考えられる。
【0248】
本実施の形態では、装飾板3a〜3gが折れ曲がった一続きの形状になるように配置され、これにより星形状の一部が形成されている。
また、装飾板3hおよび装飾板3iはそれぞれ単独で位置するが、装飾板3hは、隣り合う装飾板3eと共に仮想延長線により鋭角の頂点が1つ形成されるように向きが設定されている。また、装飾板3iは、隣り合う装飾板3hと共に仮想延長線により鋭角の頂点が1つ形成されるように向きが設定されている。
また、装飾板3j、3kは、隣り合う装飾板3iと共に仮想延長線により鋭角の頂点が1つ形成され、かつ、隣り合う装飾板3aと共に仮想延長線により鋭角の頂点が1つ形成されるように設定されている。
このように、不完全ではあるものの、装飾板3a〜3kの全体配置により星形状に形成されている。
【0249】
図36の(b)に示す状態は、アルファベットのA形状に形成されている。かかるA形状は、可動板である装飾板3a、3b、3d、3e、3h〜3kにより形成されている。A形状には、可動板である装飾板3fおよび固定板である装飾板3c、3gが用いられていないが、完全な形状である。なお、A形状を不完全なものとすることも考えられる。
このように、星形状を形成する装飾板3a、3b、3d、3e、3h〜3kの相対的な位置関係を変えることで、星形状とは異なるA形状を形成する。言い換えると、パズルを組み立てるように、装飾板3a、3b、3d、3e、3h〜3kの配置換えを行うことで、他の形状にしている。
なお、上述したように、装飾板3a、3b、3d、3e、3h〜3kの移動は、姿勢を維持しながら盤面に平行に移動する平行移動ではなく、姿勢を変えながら盤面に平行に移動する回転平行移動である。言い換えると、星形状の場合とA形状の場合とで装飾板3a、3b、3d、3e、3h〜3kの姿勢が変わっており、同じ姿勢のものはない。本実施の形態の変形例として、同じ姿勢のものがあるように構成することも考えられる。
【0250】
付言すると、本実施の形態では、装飾板3fは、平行移動のみであり、回転移動しないが、回転移動する構成も考えられる。すなわち、装飾板3fを回転移動する構成とし、可動の装飾板3a、3b、3d〜3fのすべてが回転移動することで星形状の形態からA形状の形態に移行する変形例である。また、本実施の形態では、固定板である装飾板3c、3gを備えているが、装飾板3c、3gを可動板とする変形例も考えられる。このような本実施の形態ないし変形例の場合には、星形状の態様と、星形状の態様において各々の一部または全部が回転して変形するA形状の態様と、を形成可能である。
【0251】
本実施の形態では、装飾板3d、3a、3b、3jによりA形状の左側縦線を構成し、装飾板3e、3h、3iによりA形状の右側縦線を構成する。そして、装飾板3kにより、左側縦線と右側縦線とを互いに結ぶA形状の横線を構成する。
このように、本実施の形態では、装飾板3a〜3kの相対的な位置関係が変わって星形状の形成からA形状の形成に移行する。そして、星形状の場合とA形状の場合とを比べると、配列の仕方ないし並びが異なっている。このような配置の仕方が異なるのは、可動板である装飾板3a、3b、3d、3e、3h〜3kが回転しながら変位することで実現される。そして、かかる回転変位によって、装飾板3a〜3kにより形成される形状が変形する。
言い換えると、星形状を形成する装飾板3a〜3kのうち可動板3a、3b、3d、3e、3h〜3kがそれぞれバラバラになり、向きを変えつつ移動して再集合してA形状を形成する。可動板3a、3b、3d、3e、3h〜3kの各々は、星形状における位置からA形状における位置まで最短距離で移動するのではなく、いわば無駄な動きをしながら移動する。すなわち、可動板3a、3b、3d、3e、3h〜3kの各々は、星形状における位置とA形状における位置とを直線的に結ぶ移動ルートとは異なる移動ルートで、移動する。可動板3a、3b、3d、3e、3h〜3kの各々の動き方については後述する。
【0252】
上述したように、
図36の(a)に示す星形状の場合には、装飾板3a〜3g同士は隣り合う装飾板と一続きに見えるように視認可能に配置されている。すなわち、装飾板3a〜3g同士は隣り合う装飾板と合体する。そして、残りの装飾板3h、装飾板3iおよび装飾板3j、3kは、他の装飾板と離間している。その一方で、同図の(b)に示すA形状の場合には、装飾板3a、3b、3d、3e、3h〜3k同士が隣り合う装飾板と一続きに見えるように視認可能に配置され、合体している。なお、上述したように、固定の装飾板3c、3gは、他の装飾板と離間している。
本実施の形態における
図36の(a)に示す星形状と同図の(b)に示すA形状との相互の変更が可能である。
なお、本実施の形態では、装飾板3a〜3iの一部(すなわち、可動板である装飾板3a、3b、3d、3e、3h〜3kの一部または全部)を移動乃至回転することで、星形状の態様とアルファベットのA形状の態様との相互の変更を行う場合を説明するが、これに限られない。例えば、装飾板3a〜3iの代わりに、画像表示部114(
図1参照)とは別に画像を表示する可動表示部(不図示)を用いる構成が考えられる。すなわち、可動表示部を複数備える構成において、可動表示部が動くことで異なる態様が形成されるようにするものである。そして、可動表示部の動きとして、回転する動きや姿勢が変わらない直線的な動き、両者を含む動きが考えられる。
【0253】
〔上側ユニット31の構成〕
上述した上側ユニット31の構成について、以下
図37〜
図52を用いてより詳細に説明する。
図37は上側ユニット31の正面図であり、
図38はその背面図である。なお、両図は、待機状態すなわち星形状の場合を示す。
上側ユニット31は、例えば
図37に示すように、装飾板3a〜3gが取り付けられる板状部材の上側ベース部材31aを含んで構成されている。装飾板3a〜3gのうち装飾板3a、3b、3d、3e、3fは可動板であり、装飾板3c、3gは固定板である。
かかる上側ベース部材31aは、正面視で横方向に延びる幅広の横長形状の横長部分31a1と、横長部分の正面視右端からわずかに下方に延びる縦部分31a2と、その反対端すなわち左端からより長く下方に延びる縦部分31a3と、を含んで形成されている。
【0254】
上側ベース部材31aには、例えば
図38に示すように、装飾板3a、3b、3d〜3fを動かすための各種の駆動機構が背面側に取り付けられている。本実施の形態では、一つのモータM1の駆動力により装飾板3a、3b、3d〜3fを動かす構成を採用する。このため、ここにいう駆動機構は、上側ユニット31において可動の装飾板3a、3b、3d〜3fが他の装飾板と連動する機構を含んでいる。なお、複数のモータを備えることにより装飾板3a、3b、3d〜3fの一部ないし全部を独立して動かすことが可能な構成を採用し、モータ制御により各々の動きを連動可能にする変形例が考えられる。
装飾板3a、3b、3d〜3fの各々には、光源としてのLEDを搭載する基板(不図示)が取り付けられている。そして、かかる基板からの配線を中継する中継基板31bや他の中継基板が、
図38に示すように、上側ベース部材31aに取り付けられている。中継基板31bは上側ベース部材31aの背面に取り付けられている。なお、中継基板31bには、破損防止や静電気対策等のための樹脂製の透明カバー31b1が取り付けられる。
なお、上側ユニット31は、装飾板3a、3b、3d〜3fを持つと共に、装飾板3a、3b、3d〜3fを支持する上側ベース部材31aを持つ。
【0255】
図39は、上側ユニット31の概略分解斜視図である。同図は、上側ユニット31の上側ベース部材31aを後方上側から見下ろした状態を示し、説明の便宜のために固定の装飾板3c、3gの図示を省略している。
同図に示すように、上側ベース部材31aは、上側ベース部材31aの表面を構成する上側ベース前本体31aaと、上側ベース前本体31aaの後ろ側に位置する上側ベース後本体31abと、を備えている。なお、上側ベース前本体31aaは、周縁部に後方に突出する補強リブを備えている。
詳細は後述するが、上側ベース前本体31aaは、装飾板3d〜3f用の貫通穴であるガイド穴31aa1、31aa2、31aa3を持つ。また、上側ベース後本体31abは、装飾板3a、3b用の貫通穴であるガイド穴31ab1を持ち、かかるガイド穴31ab1は、区間31ab2、31ab3を持つ。
【0256】
モータM1により発生した駆動力が出力歯車G1に出力されると、分岐歯車31c1、分岐ラック31d1および分岐歯車31e1の各々に分配伝達される。分岐歯車31c1および歯車31e1は出力歯車G1と噛合する。分岐ラック31d1は、引っ張られると元に戻ろうとする引張りコイルバネ31d0を介して後述のラック31c3と係合する。
分岐歯車31c1に伝達される駆動力で装飾板3aおよび装飾板3bが動く。また、分岐ラック31d1に伝達される駆動力で装飾板3dおよび装飾板3fが動き、さらに、分岐歯車31e1に伝達される駆動力で装飾板3eが動く。
【0257】
〔分岐歯車31c1からの駆動伝達系〕
まず、分岐歯車31c1からの駆動伝達系について説明する。
分岐歯車31c1に伝達される駆動力は、歯車31c2からラック31c3に伝達され、ラック31c3に固定取り付けされているスライド部材31c4が横方向に移動する。かかるスライド部材31c4には、歯車31c5、31c6、31c7が歯車列を構成するように取り付けられている。
歯車31c5に取り付けられているピン31c8は、上側ベース後本体31abのガイド穴31ab1に沿って移動可能に構成されている。そして、ガイド穴31ab1は、スライド部材31c4が横方向に移動することに伴って、ピン31c8がガイド穴31ab1に進んでも歯車31c5、31c6、31c7が回転しない区間31ab2と、ピン31c8がガイド穴31ab1に進むと歯車31c5、31c6、31c7が回転する区間31ab3と、を備えている。
【0258】
スライド部材31c4には、装飾板3a、3bが回転可能に取り付けられている。すなわち、装飾板3aのピン部3aa、3abが円弧板31c9の円弧穴と係合し、かつ、装飾板3bのピン部3baが装飾板3aの円弧穴と係合している。このため、装飾板3aは円弧板31c9の円弧穴に沿って移動可能であり、装飾板3bは、装飾板3aの円弧穴に沿って移動可能である。
そして、スライド部材31cがガイド穴31ab1に沿って移動する場合、ピン31c8が区間31ab2に位置するときの装飾板3a、3bの挙動と、区間31ab3に位置するときの装飾板3a、3bの挙動と、が異なる。すなわち、後述するように、ピン31c8が区間31ab2に位置する場合、移動しない装飾板3aに対して装飾板3bが移動する。また、ピン31c8が区間31ab3に位置する場合、装飾板3aおよび装飾板3bが一体になって回転する。
【0259】
このような上側ユニット31の駆動機構による装飾板3a、3bの挙動について
図40を用いて具体的に説明する。
図40は、装飾板3a、3bの駆動機構を示す背面図である。同図の(a)は、装飾板3a、3bが待機状態にある場合(
図36(a)に図示される星形状の態様)、(b)は演出状態にある場合(
図36(b)に図示されるA形状の態様)を示している。
図40の(a)に示す待機状態の場合には、ピン31c8がガイド穴31ab1の一端に位置する。そして、歯車31c2に駆動力が伝達され、ラック31c3およびスライド部材31c4が歯車31c2に対して左右方向ないし横方向(同図の左方向)に直線的に移動すると、歯車31c5のピン31c8がガイド穴31ab1に沿って移動する。これにより、装飾板3aは位置を変えず、かつ、装飾板3bが装飾板3aに対して回転し始める。より詳細には、装飾板3bは装飾板3aの縁回りを回転しながら移動する。
さらにピン31c8がガイド穴31ab1に沿って移動して装飾板3bが装飾板3aに対して中間位置になると、装飾板3bが装飾板3aに対する移動端に達し、装飾板3a、3bは、一列に並ぶように整列配列される。その後、装飾板3a、3bは列を乱さずに一体で回転し始め、さらに
図40の(b)に示す位置で回転を停止すると、今度はスライド移動(平行移動)し始める。
【0260】
〔分岐ラック31d1からの駆動伝達系〕
次に、
図39に戻って分岐ラック31d1からの駆動伝達系について説明する。
図39に示す分岐ラック31d1は、上側ベース前本体31aaの後ろ側で横方向にスライド移動可能に保持されている。そして、分岐ラック31d1は、引張りコイルバネ31d0を介してラック31c3と接続されており、引張りコイルバネ31d0によりラック31c3の方向に付勢されている。また、分岐ラック31d1は、ラック31c3から装飾板3d側に突出する突出部31c3aと当接可能である。
また、分岐ラック31d1には、長板31d2を介して装飾板3dが連結されている。より詳細には、装飾板3dの一端3daが長板31d2と回転自在に取り付けられている。装飾板3dの一端3daと長板31d2とを接続するピンは、上側ベース前本体31aaの左右方向略中央に円弧形状に形成されたガイド穴31aa1を通っている。そして、装飾板3dの他端3dbは上側ベース前本体31aaに軸支されている。すなわち、装飾板3dの一端3daは移動可能で、他端3dbの位置は変わらない。言い換えると、装飾板3dは、回転中心位置が動かない。このため、装飾板3dは、分岐ラック31d1の直線移動に伴って他端3dbの回りを回転する。
【0261】
また、分岐ラック31d1に、装飾板3fが連結されている。このため、装飾板3dは、分岐ラック31d1の直線移動に伴って同じ方向に直線移動する。なお、上側ベース前本体31aaには、装飾板3fのためのガイド穴31aa2が直線状に形成されている。
このように、分岐ラック31d1は、装飾板3dおよび装飾板3fを動かす作用を奏する。
【0262】
このような上側ユニット31の駆動機構による装飾板3dの挙動について
図41を用いて具体的に説明する。なお、装飾板3fの挙動は、分岐ラック31d1と共にスライド移動するものゆえ、その図示および説明を省略する。
図41は、装飾板3dの駆動機構を示す背面図である。同図の(a)は、装飾板3dが待機状態にある場合(星形状の態様)、(b)は演出状態にある場合(A形状の態様)を示している。
装飾板3dが待機状態の場合には、
図41の(a)に示すように、分岐ラック31d1が引張りコイルバネ31d0に引っ張られている。そして、歯車31c2の回転によりラック31c3が横方向(同図の左方向)にスライド移動し始めると、最初は分岐ラック31d1がスライド移動せずその位置のままである。なお、これに伴い、引張りコイルバネ31d0のバネ長が短くなっていくが、分岐ラック31d1は、引張りコイルバネ31d0により付勢され続けている。
その後のスライド移動によって、ラック31c3の突出部31c3aが分岐ラック31d1に接触する。そして、分岐ラック31d1がラック31c3により押されると、長板31d2を介して分岐ラック31d1に接続されている装飾板3dが、他端3dbを中心にして回転し始め、その後、
図41の(b)に示す状態に移行し、演出状態の形態になる。
【0263】
〔分岐歯車31e1からの駆動伝達系〕
次に、
図39に戻って分岐歯車31e1からの駆動伝達系について説明する。
図39に示すように、分岐歯車31e1に伝達される駆動力は、歯車31e2からアーム部材31e3の順に伝達される。アーム部材31e3の先端には、装飾板3eの一端3eaが連結されている。装飾板3eの他端3ebは、上側ベース前本体31aaに直線部と円弧形状部とで形成されたガイド穴31aa3に沿って移動可能に軸支されている。このため、装飾板3eは、分岐歯車31e1の回転に伴って他端3eb回りを回転する。なお、装飾板3eは、上述した装飾板3dとは異なり、回転中心位置が移動する。
【0264】
このような上側ユニット31の駆動機構による装飾板3eの挙動について
図42を用いて具体的に説明する。
図42は、装飾板3eの駆動機構を示す背面図であり、(a)は装飾板3eが待機状態にある場合(
図36(a)に図示される星形状の態様)、(b)は演出状態にある場合(
図36(b)に図示されるA形状の態様)を示している。
装飾板3eが待機状態の場合には、
図42の(a)に示すように、装飾板3eの他端3ebが上側ベース前本体31aaのガイド穴31aa3の上端に位置する。そして、歯車31e2からの駆動力によりアーム部材31e3が回転すると、装飾板3eの一端3eaが他端3ebを中心に回転し始める。これに伴い、装飾板3eの他端3ebがガイド穴31aa3の下端に向かって進み、同図の(b)に示す演出状態の形態に移行する。
【0265】
〔装飾板3a、3b、3d、3e、3f相互の挙動〕
次に、上側ユニット31における装飾板3a〜3gのうち可動板である装飾板3a、3b、3d、3e、3f相互の挙動について
図43−1および
図43−2を用いて説明する。
図43−1および
図43−2は、上側ユニット31における装飾板3a、3b、3d、3e、3f相互の挙動を説明する概略正面図であり、装飾板3a、3b、3d〜3f以外の構成を捨象して図示している。また、
図43−1に(a)、(b)および(c)を示し、
図43−2に(d)、(e)および(f)を示す。なお、
図43−1および
図43−2を「
図43」ということがある。
図43(a)は、破線で星形状に形成される待機状態の装飾板3a、3b、3d〜3fを示し、同図(f)は、実線でA形状に形成される演出状態の装飾板3a、3b、3d〜3fを示し、(a)〜(f)の順に装飾板3a、3b、3d〜3fの各位置を時系列に示したものである。また、(a)〜(f)には、一つ前の位置を破線で示す。
図43(a)に破線で図示される待機状態から(f)に実線で図示される演出状態に移行する場合、モータM1(
図39参照)の駆動力により、(b)に示すように、可動の装飾板3a、3b、3d〜3fのうち装飾板3a、3b、3eがまず移動を開始している一方で、残りの装飾板3d、3fは移動を開始していない。
図43(b)に示す段階では、モータM1(
図39参照)の駆動力が、分岐歯車31c1(
図39参照)から歯車31c2(
図40参照)を介してラック31c3(例えば
図40参照)に伝達されると共に分岐歯車31e1から歯車31e2を介してアーム部材31e3(
図42参照)に伝達されるものの、アーム部材31e3から分岐ラック31d1を介して長板31d2には伝達されていない(例えば
図41(a)参照)。すなわち、ラック31c3の突出部31c3aがまだ分岐ラック32d1と接触しておらず、駆動力が分岐ラック32d1に伝達されていない。このような分岐ラック32d1に駆動力が伝達されない状態がまだ維持される。
【0266】
装飾板3aおよび装飾板3bは共に、
図43(a)に実線で示すように、正面視右側にスライド移動し、これにより、装飾板3a、3bは、それまで合体していた固定板の装飾板3cと離間していく。より詳細には、装飾板3aがスライド移動する際、装飾板3bは同じ方向にスライド移動すると共に、装飾板3aの回りを正面視反時計回りに回転し始める。すなわち、装飾板3aがスライド移動し、装飾板3bはスライド移動しながら回転する。このような装飾板3a、3bによる互いに異なる動きは、装飾板3a、3bが一列に整列する
図43(c)の段階まで行われる。このため、(a)、(b)に示すように、装飾板3aおよび装飾板3bは、互いに接続(隣接)し続ける両者だけで形成される形態が変化するような動きを行う。
かかる装飾板3bの装飾板3aに対する回転は、装飾板3bに向かい合う端面が変わらないように行われる。このような装飾板3a、3bの相互の関係は、地球と月との位置関係に類似するものであるということができる。なお、装飾板3bの回転中心は、装飾板3aの領域内に位置する歯車31c7(例えば
図40(a)参照)である。
【0267】
装飾板3a、3bが一列に整列した
図43(c)の段階の後には、(d)、(e)に示すように、スライド移動を引き続き行うほか、一体で回転し始める。すなわち、単独で回転していた装飾板3bが、整列後は、それまでは回転していなかった装飾板3aと共に回転する。
【0268】
ここで、(f)の段階では装飾板3a、3bは回転しなくなり、一体でスライド移動するだけの動きになるように構成することが考えられる。このような一体のスライド移動により、演出状態の形態において装飾板3a、3bのいずれかと隣接する装飾板3d、3e、3i、3jがすでに演出状態の形態になってから、装飾板3a、3bを演出状態の形態における対応領域にスライド移動させる手順が考えられる。
【0269】
装飾板3eは、
図43(a)〜(f)に示すように、正面視右側にスライド移動しながら反時計方向に回転する。装飾板3eのスライド移動および回転の度合い(動きの変化)は、動きの間にわたって一定ではない。すなわち、装飾板3eの動き出し(最初)では、回転の度合いは小さくスライド移動の度合いが大きい一方で、終盤にかけては回転の度合いが大きくスライド移動の度合いが小さくなる。かかる動きの変化は、上側ベース前本体31aaのガイド穴31aa3(
図42参照)の形状に因るものであり、他の動きの変化とすることも考えられる。
なお、装飾板3eの回転中心位置は、正面視右端にある他端3eb(
図42参照)である。
【0270】
装飾板3dおよび装飾板3fは
図43(c)に示す段階で初めて動き出す。装飾板3dは正面視右方向にスライド移動すると共に正面視反時計方向に回転し始め、また、装飾板3fは正面視右方向にスライド移動し始め、(d)〜(f)に示すように演出状態の形態に移行していく。(c)に示す段階では、装飾板3a、3b、3eが既に動き出しており、動き続けている。
このように、本実施の形態では、可動板3a、3b、3d〜3fのすべてが一斉に移動を開始するのではなく、その一部(装飾板3a、3b、3e)がまず移動を開始し、残り(装飾板3d、3f)は一部が動き終えるまでの間に移動を開始する。
【0271】
図43(a)〜(f)を参照すると、装飾板3a、3b、3d〜3fは、待機状態の形態では合体することで所定形状(星形状の一部)になるように整列し、演出状態の形態に移行する際、例えば(c)を参照すると明らかなように、装飾板3a、3bと、装飾板3c、3dと装飾板3eと装飾板3fとに分割される。装飾板3a、3bは合体状態を維持し、装飾板3c、3dも合体状態を維持している。このように、一つの合体形態から複数の合体形態に分割される。その後、例えば(d)に示すように、装飾板3a、3bが合体状態を維持するものの、装飾板3c、3dは離間し合体状態ではなくなっている。
さらに説明すると、(f)に示す演出状態の形態は、集合することで形成される(a)に示す待機状態の形態からいったんバラバラになった装飾板3a、3b、3d〜3fが再集合して形成されたものである。
【0272】
〔装飾板3a、3b、3d、3eの相互の位置関係〕
ここで、星形状の場合とA形状の場合との違いについて装飾板3a、3b、3d、3eに着目して観察する。すなわち、星形状の場合とA形状の場合における装飾板3a、3b、3d、3eの相互の位置関係の変化について
図36を用いて説明する。なお、直線移動の装飾板3fについての説明を省略する。
図36の(a)に破線で示す場合には、装飾板3dと装飾板3eが合体し、かつ、装飾板3bと装飾板3aが合体することで、星形状の一部(第1形態の一例)を形成する。そして、同図の(b)に示す場合には、装飾板3dと装飾板3aが合体することで、A形状の一部(第2形態の一例)を形成する。
星形状の場合に互いに離れて位置する装飾板3dおよび装飾板3aは、A形状の一部を構成する場合に互いに隣接する。すなわち、星形状の場合に合体していない装飾板3dおよび装飾板3aが、A形状の場合には合体する。言い換えると、星形状の場合に装飾板3eと合体する装飾板3dは、星形状の場合に装飾板3bと合体する装飾板3aとA形状の場合には合体する。
このように、本実施の形態では、複数の装飾板3a、3b、3d、3eによる合体の仕方が異なる演出を実現可能に構成し、躍動感ある演出を実行可能である。
【0273】
なお、装飾板3aおよび装飾板3bに着目すると、星形状の場合でもA形状の場合でも両者は互いに隣接して合体している。また、装飾板3dおよび装飾板3eに着目すると、星形状の場合でもA形状の場合でも両者は互いに隣接して合体している。
すなわち、星形状の場合に互いに隣接する装飾板3aおよび装飾板3bや装飾板3dおよび装飾板3eは、いったん離間した後にA形状の場合でも互いに隣接する。
このように、装飾板3aおよび装飾板3bや装飾板3dおよび装飾板3eは、星形状の場合とA形状の場合とで合体の状態が変わっている。より詳細には、装飾板3aおよび装飾板3bにおいて、星形状の場合に装飾板3aの上側に装飾板3bが隣接し、A形状の場合は上下逆の位置関係になり、装飾板3aの下側に装飾板3bが隣接する。また、装飾板3dおよび装飾板3eにおいては、星形状の場合に横向きの状態で隣接し、A形状の場合は縦向きの状態で隣接する。
なお、装飾板3aと装飾板3bが星形状の場合に合体するものの、星形状以外の形状の場合には、装飾板3aと装飾板3bが合体しない変形例も考えられる。また、装飾板3dと装飾板3eが星形状の場合に合体するものの、星形状以外の形状の場合には、装飾板3dと装飾板3eが合体しない変形例も考えられる。
【0274】
〔装飾板3d、3e、3hの相互の位置関係〕
またここで、星形状の場合とA形状の場合との違いについて装飾板3d、3e、3hに着目して観察する。すなわち、星形状の場合とA形状の場合における装飾板3d、3e、3hの相互の位置関係の変化について
図36を用いて説明する。
図36の(a)に示す星形状の場合では、装飾板3dと装飾板3eが合体する一方で、装飾板3hは装飾板3dおよび装飾板3eとは離間して位置する。そして、同図の(b)に示すA形状の場合には、装飾板3eは装飾板3dと合体すると共に装飾板3hとも合体する。
より詳細には、星形状の場合に合体する装飾板3dおよび装飾板3eにおいて、装飾板3dの端面3d1と装飾板3eの端面3e1とが互いに全体に亘って接続し、また、装飾板3dの端面3d2と装飾板3eの端面3e2とは離間するものの互いに対向する。このように、装飾板3dおよび装飾板3eは、端面3d1と端面3e1とで互いに合体する。端面3d1と端面3e1は、互いに略同じ長さである。
なお、装飾板3eの端面3e3は、装飾板3dの端面3d1、3d2と接続しておらず、対向してもいない。
このような端面3d1、3d2、3e1、3e2、3e3は、装飾板3d、3eにおける中央の部分を囲む端側の部分ということができ、また、図形の辺に相当するものであるということができる。
【0275】
そして、A形状の場合、合体する装飾板3dと装飾板3eに着目すると、装飾板3dの端面3d2と装飾板3eの端面3e3とが互いに接続する。すなわち、装飾板3dと装飾板3eは、端面3d2と端面3e3とで互いに合体する。装飾板3eの端面3e3は、装飾板3dの端面3d2よりも長いことから、端面3d2に接続していない部分がある。このような端面3d2に接続していない端面3e3の部分は、装飾板3aの端面と接続する。なお、端面3d2に接続していない端面3e3の部分は、装飾板3dの端面3d1と互いに対向する位置関係にある。
なお、装飾板3dの端面3d2は、星形状の場合には上を向いているが、A形状の場合には下向きに変わっている。
【0276】
上述したように、星形状の場合には、装飾板3dの端面3d1と装飾板3eの端面3e1(一の部分の一例)とが向かい合わせに位置し、A形状の場合には、装飾板3dの端面3d2と装飾板3eの端面3e3とが向かい合わせに位置する。すなわち、星形状の場合(第1形態の一例)、装飾板3dの端面3d1(一の部分の一例)と装飾板3eの端面3e1(一の部分の一例)とが向かい合わせに位置し、A形状の場合には(第2形態の一例)、装飾板3dの端面3d1(一の部分の一例)と装飾板3eの端面3e1(一の部分の一例)とが向かい合わせの位置にはない。すなわち、A形状の場合には端面3d1、3e1は互いに向かい合わない。さらに説明すると、A形状の場合には装飾板3dの他の端面3d2(他の部分の一例)と装飾板3eの他の端面3e3(他の部分の一例)とが向かい合わせに位置する。星形状の場合とA形状の場合とで、装飾板3d、3eが隣り合う端面が異なり、隣接位置が入れ替わる。
すなわち、星形状の場合とA形状の場合とで、互いに異なる端面が向かい合う。別の見方をすると、星形状の場合に互いに向かい合う装飾板3dの端面3d1と装飾板3eの端面3e1は、合体によるA形状の場合には、互いに向かい合う位置にない。
このように、本実施の形態では、複数の装飾板3d、3e、3hの組み合わせにより効率的な装飾形態を形成することが可能である。
【0277】
なお、本実施の形態では、装飾板3d、3e、3hを前後方向における位置が略同じように構成しているが、前後方向における位置が互いに異なるように位置する構成も考えられる。すなわち、装飾板3d、3e、3hの端面が前後方向にずれて位置する構成であり、かかる構成でも、端面同士が向かい合わせに位置するものである。
【0278】
ここで、星形状の場合とA形状の場合とで、装飾板3d、3e、3h以外の装飾板同士の関係を、
図36の(a)および(b)を用いて説明する。
装飾板3a、3bに着目すると、
図36(a)に示す星形状の場合に装飾板3aの端面3a1と装飾板3bの端面3b1が向かい合い、
図36(b)に示すA形状の場合に装飾板3aの端面3a1と装飾板3bの端面3b1が向かい合わない。すなわち、A形状の場合に端面3b1は、端面3a1と反対側に位置する端面3a2と向かい合う。すなわち、隣接位置が入れ替わる。
また、装飾板3h、3iに着目すると、星形状の場合に装飾板3hと装飾板3iは互いに近接せずに離間するものの、装飾板3hの端面3h1と装飾板3iの端面3i1とが近接して向かい合う。そして、A形状の場合には、複数の装飾板3h、3iが集合し、端面3h1は、装飾板3iの端面3i1とは別の端面3i2と向かい合う。なお、星形状の場合に互いに離間する装飾板3h、3iの端面同士が向かい合わない例も考えられる。
装飾板3h、3i、3jに着目すると、星形状の場合に装飾板3h、3i、3jが分散し、A形状の場合には装飾板3hの端面3j1と装飾板3hの端面3h2および装飾板3iの端面3j3とが向かい合っている。
このような装飾板3a、3b、3d、3e、3h〜3jの向かい合う関係ないし近接する関係については、上述の
図43にも符号を用いて示している。
【0279】
〔下側ユニット32〕
次に、上述した下側ユニット32の構成について、
図44〜
図48を用いてより詳細に説明する。
図44は下側ユニット32の正面図であり、
図45はその背面図である。なお、両図は、待機状態すなわち星形状の場合を示す。
下側ユニット32は、例えば
図44に示すように、装飾板3h〜3kが取り付けられる板状部材の下側ベース部材32aを含んで構成されている。装飾板3h〜3kのすべてが可動板である。
下側ユニット32には、例えば
図45に示すように、装飾板3h〜3kを動かすための各種の駆動機構が背面側に取り付けられている。本実施の形態では、前面側に位置する一つのモータM2の駆動力により、背面側の装飾板3h〜3kを動かす構成を採用する。このため、ここにいう駆動機構は、下側ユニット32において可動の装飾板3h〜3kが他の装飾板と連動する機構を含んでいる。なお、複数のモータを備えることにより装飾板3h〜3kの一部ないし全部を独立して動かすことが可能な構成を採用し、モータ制御により各々の動きを連動可能にする変形例が考えられる。
なお、下側ユニット32は、装飾板3h〜3kを持つと共に、装飾板3h〜3kを支持する下側ベース部材32aを持つ。
また、下側ユニット32は、装飾板3kを装飾板3jに対して回転させるためのモータM3を備えている(
図46参照)。装飾板3h〜3kの各々には、光源としてのLEDを搭載する基板(不図示)が取り付けられている。
【0280】
図46は、下側ユニット32の概略分解斜視図である。同図は、下側ユニット32の下側ベース部材32aを後方上側から見下ろした状態を示す。
同図に示すように、下側ベース部材32aは、下側ベース本体32aaを備えている。下側ベース本体32aaは、装飾板3g用の貫通穴であるガイド穴32aa1と、装飾板3j、3k用の貫通穴であるガイド穴32aa2とを持つ。なお、ガイド穴32aa1は、背面視左端(正面視右端)で上方に延びる縦部分に形成されており、また、ガイド穴32aa2は、背面視右側(正面視左側)で上方に延びる縦部分に形成されている。
図46に示すように、下側ベース本体32aaにおけるガイド穴32aa1の下側位置に、歯先が上向きに形成された円弧歯車が形成されている。
【0281】
モータM2により発生した駆動力が出力歯車G2に出力されると、分岐歯車32b1および分岐ラック32c1の各々に分配伝達される。分岐歯車32b1および分岐ラック32c1は出力歯車G2と噛合する。
分岐歯車32b1に伝達される駆動力で装飾板3h、3iが動き、また、分岐ラック32c1に伝達される駆動力で装飾板3j、3kが共に動く。
【0282】
〔分岐歯車32b1からの駆動伝達系〕
分岐歯車32b1からの駆動伝達系について説明する。
図46に示すように、モータM2の駆動力が分岐歯車32b1から円弧歯車32b2に伝達される。円弧歯車32b2は、軸支部32b21で下側ベース本体32aaに回転可能に保持されている。すなわち、円弧歯車32b2は、下側ベース本体32aaに対して軸支部32b21を中心にして回転可能である。
そして、円弧歯車32b2には、上述の装飾板3iが取り付けられているので、モータM2の駆動力により、装飾板3iを下側ベース本体32aaに対して動かすことが可能である。装飾板3iは、円弧歯車32b2に対する姿勢を維持しつつ下側ベース本体32aaに対して回転する。なお、装飾板3iを円弧歯車32b2に対する姿勢を可変にする構成も考えられる。
【0283】
円弧歯車32b2に伝達された駆動力は、さらに歯車32b3を含む第1歯車列(公転運動用歯車列)を介してアーム部材32b4に伝達される。アーム部材32b4は、円弧歯車32b2に対してギア部を中心として回転することが可能である。アーム部材32b4には、上述の装飾板3hが取り付けられているので、アーム部材32b4が円弧歯車32b2に対して回転することで装飾板3hが回転する。
さらには、アーム部材32b4には、歯車32b5、32b6を含む第2歯車列(自転運動用歯車列)が取り付けられている。そして、歯車列の下流端に位置する歯車32b6が、装飾板3hの回転軸3haと連結されている。このため、装飾板3hは、アーム部材32b4が回転する際に、円弧歯車32b2に対して回転するほか(公転運動)、回転軸3haを中心としてくるくると回転する(自転運動)。
より詳細には、かかる歯車32b5は大径ギアと小径ギアの二段ギアであり、大径ギアは、第2歯車列のうち隣接する他の歯車と噛合し、小径ギアは、上述した下側ベース本体32aaのガイド穴32aa1近傍の円弧歯車(
図57参照)と噛合し、円滑な公転運動に寄与する。
【0284】
なお、本実施の形態では、装飾板3hとアーム部材32b4との間に位置する装飾補助板3hbは、装飾板3hと一緒に回転するものではないが、装飾板3hと一緒に回転するように構成されることが考えられる。また、装飾補助板3hbは、装飾補助板3hbとは別にアーム部材32b4に対して回転可能に構成される場合や、全く回転しないように構成される場合も考えられる。
【0285】
このような下側ユニット32の駆動機構による装飾板3h、3iの挙動について
図47を用いて具体的に説明する。
図47は、装飾板3h、3iの駆動機構を示す背面図であり、(a)は待機状態の形態(
図36(a)参照)を示し、(b)は演出状態の形態(
図36(b)参照)を示す。
装飾板3hが待機状態の場合には、
図47の(a)に示すように、アーム部材32b4に保持される歯車32b4がガイド穴32aa1の一端(背面視左端)に位置し、かつ、アーム部材32b4は起立する姿勢である。これに対し、装飾板3hが演出状態の場合には、同図の(b)に示すように、歯車32b4がガイド穴32aa1の他端(背面視右端)に位置し、かつ、アーム部材32b4は傾斜する姿勢であり、装飾板3iの上側に隣接する。なお、歯車32b3を含む第1歯車列(公転運動用歯車列)を構成する各歯車の回転中心位置は移動せず、変位しない。
【0286】
また、装飾板3iが待機状態の場合には、
図47の(a)に示すように、装飾板3iと連結されている円弧歯車32b2が横方向に延びるような姿勢であり、また、装飾板3iが演出状態の場合には、同図の(b)に示すように、円弧歯車32b2が縦方向に延びるような姿勢である。このような動きを行う円弧歯車32b2と噛合する分岐歯車32b1および歯車32b3の各回転中心位置は移動せず、変位しない。
このように、装飾板3h、3iは、モータM2(
図46参照)の駆動力により、
図47の(a)に示す互いに離間する状態(待機状態)と、同図の(b)に示す互いに隣り合う状態(演出状態)と、を切り換え可能に構成されている。
【0287】
〔分岐ラック32c1からの駆動伝達系〕
次に、
図46に戻って分岐ラック32c1からの駆動伝達系について説明する。
図46に示すように、分岐ラック32c1には、その一端(背面視右端)にスライド部材32c2が一体に取り付けられている。すなわち、スライド部材32c2は、分岐ラック32c1と共に左右方向ないし横方向にスライド移動するものであり、分岐ラック32c1と同じ方向および同じ量を移動する。
そして、スライド部材32c2は、歯車32c3、32c4を含む第3歯車列を保持し、かつ、かかる第3歯車列を覆うカバー部材32c5を有する。さらに説明すると、スライド部材32c2に保持される歯車32c3は、下側ベース本体32aaに固定された固定ラック32c6と噛合する。また、スライド部材32c2に保持される歯車32c4は、装飾板3jの一部を構成する装飾補助板3jaが持つ円弧歯車3jbと噛合する。装飾補助板3jaは、円弧歯車3jbの中心位置にある回転中心部3jcを有する。
【0288】
このため、モータM2の駆動力により分岐ラック32c1およびスライド部材32c2がスライド移動すると、固定ラック32c6に対して歯車32c3がスライド移動する。また、かかるスライド移動による歯車32c3の回転によって歯車32c4が回転し、さらには装飾補助板3jaが回転中心部3jcを中心に回転する。
なお、このような歯車32c4の回転による装飾板3jの回転は、装飾板3jに軸支される装飾板3kも同じように回転する。
【0289】
このような下側ユニット32の駆動機構による装飾板3j、3kの挙動について
図48を用いて具体的に説明する。
図48は、装飾板3j、3kの駆動機構を示す背面図であり、(a)は待機状態の形態(
図36(a)参照)を示し、(b)は演出状態の形態(
図36(b)参照)を示す。
装飾板3j、3kが待機状態の場合には、
図48の(a)に示すように、スライド部材32c2に保持される歯車32c3が固定ラック32c6の一端(背面視右端)で噛合している。また、装飾板3kの矢印が下向きの姿勢である。
そして、装飾板3j、3kが演出状態の場合には、
図48の(b)に示すように、歯車32c3が固定ラック32c6の他端(背面視左端)で噛合している。装飾板3kの矢印が背面視左向きの姿勢である。
【0290】
〔モータM3による駆動伝達系〕
次に、
図46に戻って、モータM3の駆動力により装飾板3kを装飾板3jに対して回転させる構成について説明する。なお、上述したように、装飾板3kは装飾板3jに軸支されている。
図46に示すように、モータM3により発生した駆動力は、出力歯車G3から歯車32d1に伝達される。歯車32d1は、装飾板3kのボス部3kaと係合する。装飾板3kのボス3kaの位置は、装飾板3jの回転中心部3jcとは異なる位置にある。
歯車32d1とボス部3kaとは互いに一体に回転可能なように接続されている。このため、モータM3が作動すると、装飾板3kは装飾板3jに対して回転する。より具体的には、モータM3が正転作動すると装飾板3kは一方向(例えば時計方向)に回転し、逆転作動すると装飾板3kは他方向(例えば反時計方向)に回転する。
なお、モータM3の作動タイミングとしては、演出状態の形態(
図36(b)参照)の場合に作動することが考えられるが、これ以外の場合に作動することも考えられる。
【0291】
〔装飾板3h〜3k相互の挙動〕
次に、下側ユニット32における装飾板3h〜3k相互の挙動について
図49を用いて説明する。
図49は、下側ユニット32における装飾板3h〜3k相互の挙動を説明する概略正面図であり、装飾板3h〜3k以外の構成を捨象して図示している。
図49では(a)、(b)および(c)を時系列で示している。
図49の(a)は、星形状に形成される待機状態の装飾板3h〜3kを破線で示し、同図の(c)は、A形状に形成される演出状態の装飾板3h〜3kを実線で示したものである。(a)〜(c)には、一つ前の位置を破線で示す。
図49(a)に破線で図示される待機状態の装飾板3h〜3kの各々は、モータM2(
図46参照)が作動すると移動を開始する。すなわち、
図49(a)〜(c)に実線および破線で示すように、装飾板3hは、アーム部材32b4のギア部(
図46参照)を中心とする回転(公転運動)を行うと共に回転軸3ha(同図参照)を中心とする回転(自転運動)を行う。また、装飾板3iは、円弧歯車32b2の中心位置を中心とする回転を行う。
このように、待機状態で上方に位置する装飾板3hが円弧状の軌跡で降下し(反時計方向の回転)、待機状態で下方に位置する装飾板3iが円弧状の軌跡で上昇し(正面視時計方向の回転)、そして、上下方向中間位置で装飾板3h、3iが互いに隣り合うように配置される。その際、装飾板3hはくるくると回転している。
【0292】
また、装飾板3j、3kは、
図49(a)〜(c)に実線および破線で示すように、ボス部3ka(
図46参照)を中心とする回転を行う。そして、装飾板3j、3kは、円弧状の軌跡で上昇し、互いに合体する装飾板3h、3iの正面視左側に配置される。なお、装飾板3jは、前後方向(紙面垂直方向)に関し装飾板3h、3iと同じであるが、装飾板3kは、装飾板3h、3i、3jよりも前後方向前寄りに位置する。このため、装飾板3kは、装飾板3h、3i、3jの一部を覆う。
【0293】
なお、本実施の形態では、装飾板3h〜3kの動作開始のタイミングはほぼ同一であり、動作終了のタイミングもほぼ同一であるが、動作開始や動作終了のタイミングをずらす動き方も考えられる。例えば、装飾板3h、3iが合体した後に装飾板3j、3kがさらに合体する例である。
上述したように、装飾板3kはモータM3(
図46参照)の駆動力により装飾板3jに対して回転可能であり、そのようなモータM3の動作タイミングとしては、モータM2が作動終了した後に動作させる場合のほか、モータM2が作動中に作動させる場合も考えられる。
【0294】
〔上側ユニット31と下側ユニット32との関係〕
上述したように、上側ユニット31は、自身が持つ可動板である装飾板3a、3b、3d〜3fをモータM1(
図39参照)で駆動することで可動役物115ないし演出装置3による動き演出の一部を担う。また、下側ユニット32は、自身が持つ可動板である装飾板3h〜3kをモータM2(
図46参照)で駆動することで可動役物115ないし演出装置3による動き演出の一部を担う。このようなモータM1、M2の駆動制御は、ランプ制御部320のCPU321により行われる(
図4参照)。
【0295】
ここで、動き演出における上側ユニット31の装飾板3a、3b、3d〜3fの可動領域と、下側ユニット32の装飾板3h〜3kの可動領域の関係について説明する。
パチンコ遊技機100内部の空間は外形寸法の制約や他の構成部材等の配置があることから制約されるものであり、一般的に、可動体同士はその可動領域が重複しないように設定される。しかしながら、本実施の形態では、より広い領域を使って動き演出を行うため、装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kの各可動領域のうち、装飾板3eの可動領域と装飾板3hの可動領域とが互いに重複してしまう。すなわち、上側ユニット31の装飾板3eはモータM1(
図39参照)で駆動され、下側ユニット32の装飾板3hはモータM2(
図46参照)で駆動されるものであり、このように互いに異なるモータM1、M2で駆動される装飾板3eおよび装飾板3hには、後述するように、部分的に重複する可動領域34(重複可動領域34ないし共通可動領域34)が設定されている。
このような装飾板3e、3hの重複可動領域34について具体的に説明する。
【0296】
なお、かかる重複可動領域34について説明する場合、待機状態の形態(
図36(a)参照)が第1形態の一例であり、演出状態の形態(同図(b)参照)が第2形態の一例である。また、装飾板3e、3hのいずれか一方が第1演出体の一例であり、他方が第2演出体の一例である。また、所定位置の一例としての重複可動領域34は、装飾板3e、3hが第1形態から第2形態に移行する場合に通過する領域であるが、停止する第2形態の位置とすることも考えられる。
また、装飾板3eが所定演出体の一例であり、装飾板3dが第1合体演出体の一例であり、装飾板3hが第2合体演出体の一例である。待機状態の形態(
図36(a)参照)から演出状態の形態(同図(b)参照)に移行する場合(後述の
図50(a)参照)は、移行演出の一例であり、また、待機状態の形態から演出状態の形態には移行しない場合(後述の
図50(b)参照)は非移行演出の一例である。
【0297】
〔装飾板3e、3hの重複可動領域34について〕
図50は、装飾板3e、3hの重複可動領域34を説明する正面図である。
図50の(a)は、装飾板3e、3hが待機状態の形態(
図36(a)参照)から演出状態の形態(同図(b)参照)に移行する場合の動き演出を示したものであり、星形状に形成される待機状態の形態からA形状に形成される演出状態の形態に移行する場合の装飾板3e、3hの姿勢および位置の変化を段階的に示す。
図50の(b)は装飾板3e、3hが重複可動領域34を通過せずに行う動き演出を示す。
以下、装飾板3e、3hの変化をより明確にするために、星形状の場合における装飾板3eの角部3em1および装飾板3hの角部3hm1に着目して図示説明する。
【0298】
星形状からA形状に移行する場合、
図50(a)に示すように、装飾板3eは正面視反時計方向に回転して姿勢が変化し、かつ、装飾板3eの角部3em1は、角部3em2、3em3、3em4の位置を経て角部3em5に変位し(装飾板3e’参照)、A形状の一部を分担する。また、装飾板3hは正面視時計方向に回転して姿勢が変化し、かつ、装飾板3hの角部3hm1は、角部3hm2、3hm3、3hm4、3hm5の位置を経て角部3hm6に変位し(装飾板3h’参照)、A形状の一部を分担する。
【0299】
さらに説明すると、星形状の場合、装飾板3eの端部3e1が正面視左向きであり、装飾板3hの端部3h1が正面視右上向きであり、端部3e1、3h1は互いに離間している。その一方で、A形状の場合には、端部3e1が正面視下向きであり、端部3h1が正面視上向きである。そして、端部3e1、3h1が互いに対向しており、装飾板3e、3hは合体する。
【0300】
このような星形状とA形状の相互移行の場合に、装飾板3eの可動領域と装飾板3hの可動領域とが互いに重なり合う重複可動領域34が存在する。すなわち、装飾板3eの角部3em1が角部3em4の位置にある場合に装飾板3eが重複可動領域34に進入している(太い破線参照)。また、装飾板3hの角部3hm1が角部3hm3、3hm4、3hm5の位置にある場合に装飾板3hが重複可動領域34に進入している(太い破線参照)。したがって、装飾板3eが角部3em4の位置にあるときに装飾板3hが角部3hm3〜3em5の位置にあると、重複可動領域34において装飾板3e、3hの相互干渉が発生する。
すなわち、装飾板3e、3hのいずれか一方は、待機状態の形態(
図36(a)参照)における位置から所定位置(
図50(a)に示す重複可動領域34)に移動し、他方は、演出状態の形態における位置に移動する際に所定位置(重複可動領域34)に対応する領域の少なくとも一部に移動する。
別のとらえ方をすると、装飾板3e、3hのいずれか一方は、待機状態の形態における位置から演出状態の形態(
図36(b)参照)における位置に移動し、他方は、待機状態から演出状態に移動する際に一方が演出状態に移動する際通過する領域の少なくとも一部(
図50(a)に示す重複可動領域34)を通過する。
【0301】
このため、演出装置3により星形状からA形状へ移行およびA形状から星形状へ移行の動き演出を行う場合には、ランプ制御部320のCPU321(
図4参照)は、重複可動領域34で装飾板3e、3hが干渉し合わないように制御する必要がある。
かかる重複可動領域34は、星形状からA形状へ移行する場合に後半段階に通過する領域である。そして、上述したように、演出装置3において装飾板3e、3hをそれぞれ単一のモータM1、M2の駆動力でリンク機構を用いて動かしていることから、軌跡は常にほぼ同一である。
【0302】
〔重複可動領域34における装飾板3e、3hの相互干渉防止〕
そこで、本実施の形態では、重複可動領域34における装飾板3e、3h相互の干渉を防止する演出制御を採用する。以下、具体的に演出制御の一例と他の例について説明する。なお、以下の説明において、時間t0、t1、t2、t3の順で時間が経過するものとする。
演出制御の一例としては、演出開始時点である時点t0において装飾板3eが
図50(a)に示す角部3em1の場合であり、装飾板3hが角部3hm1の場合であるところ、時点t1では装飾板3eが角部3em4の場合であり、装飾板3eが重複可動領域34を通過するのは時点t1である。また、時点t2では装飾板3hが角部3hm3、3hm4または3hm5の場合であり、装飾板3hが重複可動領域34を通過するのは時点t2である。このように、装飾板3e、3hの各々が重複可動領域34を通過する時間に差を持たせている。すなわち、かかる演出制御では、先に装飾板3eが重複可動領域34を通過し、その後に装飾板3hが重複可動領域34を通過する。
なお、演出終了時点である時点t3では、装飾板3eが角部3em5の場合であり、装飾板3hが角部3hm6の場合である。
【0303】
演出制御の他の例では、時点t0および時点t3では、上述した演出制御の一例と同じであり、その説明を省略する。
時点t1で装飾板3hが角部3hm3、3hm4または3hm5の場合であり、時点t2で装飾板3eが角部3em4の場合である。すなわち、装飾板3hが時点t1で重複可動領域34に位置し、装飾板3eが時点t2で重複可動領域34に位置する。言い換えると、上述した演出制御の一例とは逆に、装飾板3hが先に重複可動領域34を通過し、装飾板3eによる重複可動領域34の通過はその後になる。
【0304】
このように、重複可動領域34における装飾板3e、3h相互の干渉を防止するために、装飾板3eが重複可動領域34に達する時間と装飾板3hが重複可動領域34に達する時間とに差を持たせるような制御を行う。例えば、動き出しを制御したり移動速度を制御したりすること等が考えられる。すなわち、動き出しおよび/または移動速度の制御を行うこと等である。
上述した装飾板3e、3hの制御をする場合において、装飾板3eが装飾板3dと合体する待機状態の形態(
図36(a)参照)から装飾板3eが装飾板3hと合体する演出状態の形態(同図(b)参照)に移行する動き演出(移行演出)のとき、装飾板3eおよび装飾板3hは、いずれか一方を先に他方を後というような所定のタイミングで動作を開始することになる。
【0305】
より具体的には、動き演出開始の際に装飾板3e、3hが同時に動き出すと重複可動領域34にほぼ同時に到達する場合には、動き演出開始の際に動き出すタイミングを、いずれか一方を先に動かし他方をその後に動かす制御を採用する。また、動き演出の際の移動速度をいずれか一方を速く動かし他方を遅く動かす制御を行うことでも、装飾板3e、3hが重複可動領域34を通過する際に所定の時間差を持たせることができる。また、速度の差を持たせるという意味では、いずれかを途中でいったん停止させて時間稼ぎを行う制御も考えられる。
【0306】
なお、このような装飾板3e、3h相互の干渉防止制御は、装飾板3eを含む複数の装飾板をモータM1(
図39参照)で駆動し、装飾板3hを含む複数の装飾板を別のモータM2(
図46参照)で駆動する本実施の形態における構成のほかに、各種の変形例が考えられる。単一のモータで装飾板3eだけを駆動し、他のモータで装飾板3hだけを駆動する例にも適用することが考えられる。
また、このような制御ではなく、相互に干渉し得る装飾板3e、3hを、リンク機構により駆動し、重複可動領域34を同時に通過しないようにリンク機構を設計する例も考えられる。
【0307】
〔重複可動領域34を持つ装飾板3e、3hの他の演出制御〕
ここで、演出装置3の動き演出が、装飾板3e、3hのいずれか一方または両方が重複可動領域34に進入しないものである場合には、上述の干渉防止制御を行う必要がない。以下、装飾板3e、3hのいずれも重複可動領域34に進入しない動き演出について説明する。なお、装飾板3e、3hのいずれか一方が重複可動領域34に進入しない場合は、以下の説明に準じるものゆえ、その説明を省略する。
【0308】
図50(b)に示す場合は、重複可動領域34を通過せずに行う装飾板3e、3hの動き演出である。かかる動き演出としては、待機状態の形態(
図36(a)参照)から演出状態の形態(
図36(b)参照)に至らないで待機状態の形態に戻る動作を繰り返し行うものである。
なお、
図50(a)に示す待機状態の形態(
図36(a)参照)から演出状態の形態(
図36(b)参照)に移行する場合の動き演出を移行演出とすると、
図50(b)に示すような演出状態の形態(
図36(b)参照)に移行しない動き演出を非移行演出ということができる。
【0309】
図50(b)に示すように、装飾板3eおよび装飾板3hはいずれも、待機状態の形態(
図36(a)参照)から動作を開始し、重複可動領域34に至る前に待機状態の形態に戻る動きを行う。すなわち、装飾板3e、3hは、演出状態の形態(
図36(b)参照)に移行せずに待機状態の形態ないしこれに近い形態に戻るという非移行演出を行う場合は、小刻みな往復動を繰り返す。このような小刻みな動きは、装飾板3eおよび装飾板3hのいずれも重複可動領域34に進入しない。したがって、非移行演出のときは、装飾板3e、3hは、
図50(a)に示す移行演出とは異なり、同時ないしほぼ同時に動作を開始することになる。
このように、ランプ制御部320のCPU321(
図4参照)は、
図50(b)に示す非移行演出のときには、装飾板3e、3hは、同時に動作を開始し、
図50(a)に示す移行演出のときには、所定の順番で動作を開始するように演出制御を行う。
【0310】
なお、このような小刻みな動きは、例えば特別図柄抽選の結果を装飾図柄の変動および停止の態様で報知する変動演出で実行する適用例が考えられる。また、先読み結果を報知ないし示唆する先読み演出で実行する適用例のほか、例えば大当たり遊技中にラウンド数の増加や大当たり遊技後の確変遊技状態への移行を報知する昇格演出で実行する適用例等が考えられる。
【0311】
〔遊技盤110の概略構成〕
次に、遊技盤110の概略構成について説明する。
図51は、遊技盤110の概略構成を説明する分解斜視図である。
図51に示すように、遊技盤110は、可動役物115の一部を構成する上述の演出装置3と、演出装置3の前側に位置する上述の透明遊技板110aと、演出装置3の後ろ側に位置し表示部114aを持つ上述の画像表示部114と、演出装置3および画像表示部114の周囲を覆うカバー部材4と、を備えている。
本実施の形態では、透明遊技板110aとカバー部材4により遊技盤110の外面の少なくとも一部が構成され、そして、透明遊技板110aとカバー部材4により形成される内部空間に演出装置3および画像表示部114が位置する。なお、かかる内部空間の外側に演出装置3が配置される例や、内部空間の外側に画像表示部114が配置される例が考えられる。また、画像表示部114が内部空間に配置される場合に画像表示部114とは別の画像表示器(不図示)を内部空間の外側に配置する例も考えられる。
【0312】
ここで、上述の演出装置3(上側ユニット31、下側ユニット32)、透明遊技板110aおよび画像表示部114は、カバー部材4に対して位置決めされるということができる。また、画像表示部114の表示部114aは、カバー部材4に対して位置決めされているということができ、また、表示部114aはカバー部材4に支持されているということができる。そして、画像表示部114がカバー部材4内に位置決め収容されている状態では、画像表示部114は、表示部114aを持つと共に表示部114aを支持するカバー部材4を持つということができる。
【0313】
図51に示すカバー部材4は、前面開口部の周縁フランジ部に取付け部ないし取付け穴が形成されており、かかる取付け穴を用いて、カバー部材4と透明遊技板110aとが互いに取り付けられている。これにより、遊技盤110の前面は透明遊技板110aが担い、その側周面や後面はカバー部材4で構成されている。カバー部材4の後面には、比較的大きな開口部4aが形成されている。かかる開口部4aには、上述した例えば遊技制御基板等の各種の基板が位置する。
こうして、完成体としての遊技盤110は、カバー部材4や透明遊技板110a、画像表示部114等を備えるほか、他の機構部品や電気部品、電子部品等を備える。なお、スイッチング電源等の部品は、カバー部材4の外面に外付けされる。
【0314】
〔演出装置3のフレーム構造〕
次に、演出装置3のフレーム構造について説明する。
図52および
図53は、演出装置3における上側ユニット31、下側ユニット32およびフレーム33の位置関係を説明する図である。
図52は正面図、
図53はその分解斜視図である。
図52に示すように、装飾板3a〜3gを持つ上側ユニット31と装飾板3h〜3kを持つ下側ユニット32とは、破線で図示のフレーム33で互いに連結されている。さらに説明すると、演出装置3は、透明遊技板110aに取り付けられる前の状態であっても、複数の装飾板3a〜3kが星形状の形態(
図34または
図36(a)に図示される待機状態)とA形状の形態(
図36(b)に図示される演出状態)との間を移行可能であり、その途中でも停止可能である。すなわち、演出装置3は、可動板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kを移動させるための移動機構および駆動源を自身が備えるという完成した形で透明遊技板110aに取り付けられる。
なお、上側ユニット31および下側ユニット32は、フレーム構造によって強固かつ高い組み立て精度で一体に組み立てられる。
【0315】
かかるフレーム構造は、上述のフレーム33により形成されている。
図53に示すように、フレーム33は、上側ユニット31および下側ユニット32の背面に取り付けられる。そして、フレーム33は、上下方向に延びるフレーム部材3381と、フレーム部材3381の下端と一端が連結する左右方向に延びるフレーム部材3382と、フレーム部材3382の他端と連結する下端を持ち、上下方向に延びるフレーム部材3383と、を含んで構成されている。また、フレーム33は、フレーム部材3381の上端とフレーム部材3383の上端とを互いに連結するフレーム部材3384を含んで構成されている。
【0316】
〔高剛性のフレーム構造〕
より詳細には、上下方向に延びるフレーム部材3381、3383は、互いに離間して位置する。フレーム部材3381は背面視左側に位置し、フレーム部材3383は背面視右側に位置する。
また、フレーム部材3382、3384は左右方向に延び、互いに離間して位置する。フレーム部材3382は下側に位置し、フレーム部材3384は上側に位置する。
このようなフレーム部材3381〜3384を隣り合うもの同士連結することで、フレーム部材3381〜3384を骨組みとする矩形形状の枠となる。すなわち、フレーム構造は、外力をフレーム構造全体で受ける高い剛性ないし強度を持つ構造体として機能する(高剛性)。
【0317】
さらに説明すると、フレーム部材3382は、フレーム部材3381、3383と連結されると共に下側ユニット32に取り付けられるものである。また、フレーム部材3384は、フレーム部材3381、3383と連結されると共に上側ユニット31に取り付けられるものである。
すなわち、横方向に延びるフレーム部材3382は、下側ユニット32を補強する機能を持つもの(補強部材)であるといえる。また、横方向に延びるフレーム部材3384は上側ユニット31を補強する機能を持つ補強部材であるといえる。
このようなフレーム部材3382、3384によって、フレーム構造の剛性を一層高めることが可能になる。
上述したように、本実施の形態では、上側ユニット31は可動板3a、3b、3d〜3fを備え(例えば
図37参照)、下側ユニット32は可動板3h〜3kを備える(例えば
図44参照)。したがって、上側ユニット31および下側ユニット32に高い剛性が求められることから、本実施の形態では、このようなフレーム構造を採用する。
【0318】
なお、フレーム構造の変形例として、フレーム部材3382、3384を省略することが考えられる。すなわち、上側ユニット31および下側ユニット32を補強する必要がない場合には、フレーム構造がフレーム部材3382とフレーム部材3384のいずれか一方または両方を含まない構成とすることが考えられる。かかる変形例の場合、フレーム部材3381、3383を上側ユニット31および下側ユニット32に取り付ける構造となる。
また、本実施の形態では、正面視四角形枠のフレーム構造を採用するが、他の形状、正面視で例えば三角形や他の多角形とする場合も考えられる。また、正面視で一方向に開口する例えばコ字状のフレーム構造とすることも考えられる。
【0319】
〔フレーム構造の位置決め〕
また、フレーム部材3381、3383の上側部分が上側ユニット31に取り付けられ、フレーム部材3381、3383の下側部分が下側ユニット32に取り付けられる。すなわち、可動板3a、3b、3d〜3fを備える上側ユニット31と可動板3h〜3kを備える下側ユニット32とは、縦方向に延びるフレーム部材3381、3383により相互に連結されている。言い換えると、上側ユニット31と下側ユニット32とは、フレーム部材3381、3383により相対的な位置決めが行われる。このため、フレーム部材3381、3383は、上側ユニット31と下側ユニット32とを互いにつないで両者間の位置決めを行うための部材ということができる。
【0320】
このようなフレーム構造の位置決めは、上述したように、上側ユニット31の装飾板3a〜3gと下側ユニット32の装飾板3h〜3jとにより所定形状を形成する演出装置3(
図36参照)を持つ本実施の形態では、重要になる。
さらに説明すると、上側ユニット31における装飾板3eの可動領域と下側ユニット32における装飾板3hの可動領域との間に重複可動領域34が存在することもあり(
図50参照)、高い精度が求められる。
【0321】
このような背景から、本実施の形態では、フレーム部材3381、3383で上側ユニット31と下側ユニット32の相対的な位置関係を決定することが可能なフレーム構造を採用する。
そして、本実施の形態では、フレーム構造と下側ユニット32および上側ユニット31との組み立ては、不図示の治具を用いて行われ、これにより、組み立て精度を確保する。
図53を参照すると、フレーム部材3381〜3384の各々には、不図示の治具との位置決めを行うための位置決め穴が形成されている。
【0322】
なお、コ字状の上側ユニット31における右端部31Rと左端部31Lの高さ位置が互いに異なり、同じく、コ字状の下側ユニット32における右端部32Rと左端部32Lの高さ位置が互いに異なる(例えば
図35、
図52または
図53参照)。より詳細には、上側ユニット31の右端部31Rと下側ユニット32の右端部32Rとの境界位置KPRと、上側ユニット31の左端部31Lと下側ユニット32の左端部32Lとの境界位置KPLと、が同じではなく、互いに異なる。より具体的には、右側の境界位置KPRは、左側の境界位置KPLよりも高い。言い換えると、上側ユニット31と下側ユニット32は、境界位置KPR、KPLの高さ位置が揃っておらず互い違いになるような形状である(左右非対称形)。
このような上側ユニット31と下側ユニット32の互い違い形状によって、可動板である装飾板3a、3b、3d〜3fが移動する際の剛性を確保することが可能になる。
【0323】
〔フレーム構造の技術的な意義〕
ここで、演出装置3が複数の装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kによる動き演出を行う場合、装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kの動きに関して高い要求がされることがある。
そこで、演出装置3の可動部である装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kの動きに対する要求に対応可能な遊技機を提供するために、以下の構成を採用する。
◆すなわち、本実施の形態に係る遊技機は、複数の演出体(例えば装飾板3a〜3k)を備える遊技機(例えばパチンコ遊技機100)であって、前記複数の演出体(例えば装飾板3a〜3k)に含まれる少なくとも第1演出体(例えば装飾板3a、3b、3d〜3f)が移動する、第1装置(例えば上側ユニット31)と、前記複数の演出体(例えば装飾板3a〜3k)に含まれる少なくとも第2演出体(例えば装飾板3h〜3k)が移動する、第2装置(例えば下側ユニット32)と、を備え、前記複数の演出体(例えば装飾板3a〜3k)のうち少なくとも前記第1演出体(例えば装飾板3a、3b、3d〜3f)および前記第2演出体(例えば装飾板3h〜3k)の移動により所定態様を形成可能であり、前記第1装置(例えば上側ユニット31)を取り付ける取付け部材(例えばフレーム33)に前記第2装置(例えば下側ユニット32)が取り付けられる、ことを特徴とするものである。
かかる構成によれば、演出装置3の可動部である装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kの動きに対する要求に対応可能になる。また、装飾装置3において、装飾板3a〜3gを持つ上側ユニット31と装飾板3h〜3kを持つ下側ユニット32とを相対的に位置決めしてから組み立てる手順が可能になり、組み立て作業性の向上を図ることが可能になる。
【0324】
〔演出装置3の下側ユニット32〕
次に、カバー部材4に収容される演出装置3の下側ユニット32における構成について説明する。なお、上述したように、演出装置3は、カバー部材4の内部空間に配置されている。そして、演出装置3の下側ユニット32は、可動板としての装飾板3h〜3kを備える(例えば
図52参照)。そして、4つの装飾板3h〜3kのうち装飾板3jは、モータM2(
図46参照)が作動すると、回転中心部3jcを中心に所定角度の回転が可能である(
図48参照)。また、矢印形状の装飾板3kは、モータM3(
図46参照)が作動すると、装飾板3jに対してボス部3kaの位置を中心とする回転が可能であり、かかる回転は、時計方向の1周を超える回転運動や反時計方向の1周を超える回転運動を含む。
【0325】
図54は、下側ユニット32の装飾板3kとカバー部材4との位置関係を説明する部分拡大正面図である。同図は、待機状態にある演出装置3の正面視左下の部分を拡大して示し(例えば
図34参照)、説明の便宜のためにカバー部材4の図示を一部省略したり全て省略したりしている。
図54に示す装飾板3kは待機状態にあり(例えば
図36(a)参照)、矢印形状に形成された先端部3kbがボス3kaよりも下側に位置し、矢印が下向きの状態である。そして、先端部3kbとカバー部材4の内壁面4bとの間にはわずかの隙間しかなく、先端部3kbは、内壁面4bのきわめて近い位置にいる。より詳細には、回転中心部3jcを中心とする回転をより大きなものとするために、装飾板3kの先端部3kbがなるべく回転中心部3jcから離れた位置になるようにしたものであり、結果として、先端部3kbは、内壁面4bに近接している。
【0326】
このため、装飾板3kが回転中心部3jc周りを回転する際、装飾板3kの先端部3kbが、カバー部材4の内壁面4bと干渉するおそれがあり、かかる干渉により例えば装飾板3kが破損したり演出装置3の故障になったりする原因になり得る。
そこで、本実施の形態では、装飾板3kが内壁面4bと干渉するのを防止ないし抑制する構造を備える。以下、具体的に説明する。
なお、装飾板3kにおけるボス3kaの位置は、長さ方向の略中央ではなく、先端部3kb寄りである。そして、そのような位置が回転中心となって装飾板3kが回転する演出を行うと、遊技者は装飾板3kの回転に違和感を持ち、装飾板3kによる演出に対して強い印象を与えることが可能である。
【0327】
本実施の形態では、
図54に示すように、下側ユニット32とカバー部材4の内壁面4bとの間に、弾性体であるゴム部材32eが位置する。なお、ゴム部材32eは、下側ユニット32の下面側に位置する。すなわち、本実施の形態では、ゴム部材32eが、演出装置3の下方に位置するが、他の位置例えば演出装置3の側方に位置する例も考えられ、また、上方に位置する例も考えられる。また、ゴム部材32eはゴムで形成されているが、ゴム以外の弾性体例えば樹脂で形成することも考えられる。
かかるゴム部材32eは、下側ユニット32の下面部32fから突出する突出部分32e1を有する。
より詳細には、遊技盤110としての組立体の状態(例えば
図51参照)では、下側ユニット32の下面部32fはカバー部材4の内壁面4bと対向することから、突出するゴム部材32eは、内壁面4bを押圧する。なお、この場合にゴム部材32eに押圧される内壁面4bは、底面になる部分である。
【0328】
ここで、ゴム部材32eに少なくとも演出装置3の質量の一部が加重されることから、ゴム部材32eがその荷重で変形する(変形状態ないし押圧状態)。ゴム部材32eは、このような変形状態であっても、例えばゴム部材32eが押しつぶされて下側ユニット32の下面部32fがカバー部材4の内壁面4bと接触する所謂「底づき」はしない。このため、下面部32fと内壁面4bとの間に常にゴム部材32eが介在することから、ゴム部材32e以外の場所で隙間が生じ、両者が互いに接触し合わないようになっている。
なお、このような変形状態にあるゴム部材32eの変形量は、機種開発時に計算等で求めることが可能であり、製造誤差や組み立て誤差、カバー部材4の変形量等を考慮することで、装飾板3kの先端部3kbがカバー部材4の内壁面4bと接触しないように設計することが可能である。
【0329】
図55は、ゴム部材32eが装着される下側ユニット32の部分を説明する分解斜視図であり、(a)は下側ユニット32を前側から見下ろした状態を示し、(b)は後ろ側から見上げた状態を部分的に示す。
図55に示すように、下側ユニット32は、ゴム部材32eを取り付けるための取付け部32eaを下面部32f(
図54参照)に備える。
かかる下面部32fの取付け部32eaは、少なくとも一方向に開口する凹形状に形成されている。そして、ゴム部材32eの装着は、取付け部32eaの開口側から挿入されることで行われる。本実施の形態では、取付け部32eaの前方からゴム部材32eの挿入が行われる。
【0330】
また、取付け部32eaは、ゴム部材32eを収容する内部空間を持つと共に下面部32fにおいて部分的に下方に突出するように形成された突出部32ebを備えている。また、取付け部32eaは、
図55(b)に図示されるように、突出部32ebの底面に形成され、前後方向に延びるスリット32ecと、突出部32bの奥側に位置する仕切り壁32edと、仕切り壁32edに形成された略円形状の貫通穴32eeと、を備えている。
また、取付け部32eaは、
図55(a)に示すように、上方に延びて突出部32ebを補強するリブ状の補強部32efを備えている。すなわち、演出装置3の一部をゴム部材32eの突出部分32e1で支えることになり、その重さの一部が取付け部32eaに作用することから、取付け部32eaを補強部32efで補強する構成を採用する。
【0331】
ゴム部材32eは、取付け部32eaに挿入される際に、取付け部32eaの貫通穴32eeを通る一端部(挿入方向先端部)32e1を備えている。かかる一端部32e1は、棒状に延びるように形成されている。そして、ゴム部材32eの他端部(挿入方向後端部)は、取付け部32eaの形状に対応する外形形状になっている。
また、ゴム部材32eは、取付け部32eaに挿入される際にスリット32ecから外部に露出する突出片32e2を備えている。
【0332】
このようなゴム部材32eを取付け部32eaに挿入する際には、ゴム部材32eの一端部32e1が取付け部32eaの貫通穴32eeに入ることで両者が互いに係合することから、ゴム部材32eと取付け部32eaとの間で相対的なある程度の位置決めがなされる。このため、作業者は、ゴム部材32eのその後の挿入方向をある程度予測することが可能になる。
そして、さらに挿入していくと、ゴム部材32eの突出片32e2が取付け部32eaのスリット32ecから飛び出た状態になり(
図54参照)、ゴム部材32eが取付け部32eaに強固に取り付け固定される。
【0333】
図56は、下側ユニット32の装飾板3kとカバー部材4との位置関係を説明する部分拡大背面図であり、
図54の部分拡大正面図に対応するものである。
図56に示すように、ゴム部材32eの突出片32e2が取付け部32eaの下端から飛び出ている飛び出し量が寸法S1であり、また、取付け部32eaの下端から待機状態にある装飾板3kの先端部3kbまでの隙間は、寸法S2である。なお、上述したように、ゴム部材32eは、演出装置3の重さ等を受けることで変形しても「底づき」はせず、取付け部32eaの下端とカバー部材4の内壁面4b(
図54参照)との間にゴム部材32eの一部が位置する。
さらに説明すると、例えば
図56に示すように、取付け部32eaは、装飾板3kが待機状態にある場合の先端部3kbに近い位置に形成されている。これにより、先端部3kbとカバー部材4の内壁面4b(
図54参照)との間の隙間として、寸法S1からゴム部材32eの変形量を減じた値と寸法S2とを加算した値を確保することが可能になる。
このような隙間の確保は、上述した取付け部32eaの先端部3kbに対する相対位置の関係により行われる。また、上述したように、下側ユニット32にはフレーム部材3382が取り付けられることから、下側ユニット32自体のゆがみ量を抑制することが可能になり、隙間の確保に寄与する。
なお、ゴム部材32eが装着されていないときには、先端部3kbとカバー部材4の内壁面4b(
図54参照)との間の隙間は寸法S2となり、直ちに先端部3kbが内壁面4bに当たってしまうことが回避される。
【0334】
なお、
図56から明らかなように、待機状態にある場合の装飾板3kの先端部3kbの対応する下側ユニット32の部分に切欠きが形成されている。これにより、遊技盤110の後方から、カバー部材4(
図51参照)を通じて、装飾板3kの先端部3kbがカバー部材4の内壁面4b(
図54参照)に接触していないかの確認を行うことが可能である。このような確認は、パチンコ遊技機100の組立作業の段階で有用である。すなわち、組立作業において、仮にゴム部材32eを装着し忘れた場合には寸法S2だけのマージンがあり、またゴム部材32eが装着されていた場合には上述したように、寸法S2よりも大きいマージンがあるものの、組み立て精度等の問題で先端部3kbが内壁面4bに当たってしまうことも想定される。組立作業における確認によって、そのような不具合のあるパチンコ遊技機100を見つけ出すことが可能になる。
【0335】
〔下側ユニット32における取付け部32ea及びゴム部材32eの技術的な意義〕
ここで、演出装置3が複数の装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kによる動き演出を行う場合、装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kの動きに関して高い要求がされることがある。
そこで、演出装置3の可動部である装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kの動きに対する要求に対応可能な遊技機を提供するために、以下の構成を採用する。
◆すなわち、本実施の形態に係る遊技機は、演出を行う遊技機(例えばパチンコ遊技機100)であって、動き演出を行う可動部(例えば装飾板3k)および当該可動部(例えば装飾板3k)を支持する第1基部(例えば下側ユニット32)を持つ可動装置(例えば演出装置3)と、画像演出を行う表示部(例えば表示部114a)および当該表示部(例えば表示部114a)を支持する第2基部(例えばカバー部材4)を持つ表示装置(例えば画像表示部114)と、を備え、前記表示装置(例えば画像表示部114)の前記第2基部(例えばカバー部材4)は、当該第2基部(例えばカバー部材4)と前記可動装置(例えば演出装置3)の前記第1基部(例えば下側ユニット32)とに接する部材(例えばゴム部材32e)を介して伝わる荷重を受ける、ことを特徴とするものである。
かかる構成によれば、演出装置3の可動部である装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kの動きに対する要求に対応可能になる。
【0336】
〔カバー部材4の位置決め構成について〕
次に、カバー部材4の位置決め構成について説明する。ここにいうカバー部材4の位置決め構成は、演出装置3(上側ユニット31、下側ユニット32)を位置決めするものである。
まず、カバー部材4にスペーサ34を取り付けることによるカバー部材4の位置決め構成について
図57、
図58および
図59を用いて説明し、次にスペーサ34を用いないカバー部材4単独による位置決め構成について
図60を用いて説明する。なお、
図57〜
図59に示す位置決め構成と
図60に示す位置決め構成を組み合わせることも考えられる。
【0337】
図57および
図58は、スペーサ34を用いるカバー部材4の位置決め構成を説明する図である。
図57の(a)はスペーサ34を取り付ける前の状態を示すカバー部材4の斜視図であり、後方から見下ろした状態を示す。
図57の(b)は、カバー部材4のスペーサ34を取り付ける取り付け構造を説明する断面図である。
図58は、スペーサ34を取り付けた状態を示すカバー部材4の説明図であり、位置決め構成が実現される状態である。
図58(a)は
図57(a)に対応する斜視図であり、
図58(b)は概略右側面図である。
図57の(a)に示すように、本実施の形態では、カバー部材4にスペーサ34が取り付けられる。より具体的には、スペーサ34は、内壁面4bに取り付けられるものである。このため、取り付けられたスペーサ34は、カバー部材4の内部空間に位置する。
スペーサ34は、カバー部材4に取り付けられることでカバー部材4の内部空間において他の部品が取り付けられる際の位置決めを行う。
【0338】
スペーサ34は、厚さが略一定の板状部材であり、カバー部材4の内壁面4bに取り付けた場合に上側の部分と下側の部分とで前後方向における長さが異なるように二段形状に形成されている。本実施の形態では、上側の部分が下側の部分よりも短い。なお、これとは逆すなわち、上側の部分が下側の部分よりも長い構成例が考えられる。
また、上側の部分と下側の部分の長さが互いに同じであるスペーサ34の構成例(段差無し)も考えられる。また、上側の部分と下側の部分とその間の部分の各前後方向長さが互いに異なるスペーサ34の構成例(三段形状)も考えられ、さらに段差を細分化した構成例も考えられる。
かかるスペーサ34の大きさや寸法は、カバー部材4に収容される演出装置3の形状等に応じて定めることができる。すなわち、カバー部材4を複数の機種にわたって用いられる共通部品とする場合、カバー部材4に収容される演出装置3等の各種の装置は、機種ごとに異なる個別部品である。
そのような個別部品を共通部品であるカバー部材4に収容するために、スペーサ34を用いることで、様々な形状となってしまう個別部品をカバー部材4に収容可能に構成している。
【0339】
スペーサ34は、端面34a、34b、34c、34dを備えている。スペーサ34において、端面34aは、カバー部材4の後ろ側(
図57(a)の手前側)に位置し、端面34b〜34dは、カバー部材4の前側(同図の奥側)に位置する。
そして、スペーサ34の端面34aには、取付けねじ(めねじ)34a1、34a2が形成されている。かかる取付けねじ34a1、34a2は、スペーサ34をカバー部材4に取り付ける際に用いられるものである。
なお、カバー部材4に取り付けられたスペーサ34の端面34b〜34dのすべてまたはその一部は、カバー部材4に収容される演出装置3(
図51参照)の位置決めを行う。このため、端面34b〜34dを位置決め面ということができる。位置決めされる対象は、演出装置3であり、言い換えると上側ユニット31、下側ユニット32およびフレーム33(
図52参照)である。
【0340】
このようなスペーサ34をカバー部材4に取り付ける構造は、次のようなものである。すなわち、
図57の(a)に示すように、カバー部材4の外面において内方へ窪む窪み部が形成され、かかる窪み部により画成される取付け面4cには、スペーサ34を取り付けるための取付け穴4d1、4d2、4d3、4e1、4e2、4e3が穿設されている。これら取付け穴4d1〜4d3、4e1〜4e3は、スペーサ34の取付けねじ34a1、34a2に対応する形状である。
取付け面4cはカバー部材4の外壁面であり、後側に面している。このため、取付け穴4d1、4d2、4e1、4e2のいずれかを用いてカバー部材4にスペーサ34を取り付ける際、取付けねじを後ろ側から取付け穴4d1、4d2、4e1、4e2にねじ込むことになる。
【0341】
取付け穴4d1〜4d3、4e1〜4e3についてさらに説明する。
図57に示すカバー部材4の取付け穴4d1〜4d3と取付け穴4e1〜4e3の種類は、互いに異なる。すなわち、取付け穴4d1〜4d3は、内径が板厚方向に変化するように内周面が傾斜(縮径)するサラ穴であり、残りの取付け穴4e1〜4e3は、板厚方向に内径が一様な平穴である。言い換えると、取付け穴4d1〜4d3は、頭部が平らに形成された皿小ねじ35a用のものであり、取付け穴4e1〜4e3は一般的なナベ小ねじ35b(
図59参照)用のものである。
なお、本実施の形態では、取付け穴4d1〜4d3、4e1〜4e3にザグリを設けていないが、そのようなザグリを設けることも考えられる。
【0342】
ここで、
図57の(b)に示すように、スペーサ34の取付けには、取付け穴4d1〜4d3、4e1〜4e3のうち取付け穴4d1、4d2、4e1、4e2が用いられる。
異種の取付け穴4d1と取付け穴4e1とが互いに近接して位置し、また、異種の取付け穴4d2と取付け穴4e2とが互いに近接して位置する。そして、同種の取付け穴4d1と取付け穴4d2との穴間距離L1と、同種の取付け穴4e1と取付け穴4e2との穴間距離L1とは互いに略等しい(L1=L1)。このため、皿小ねじ35aで取り付ける場合とナベ小ねじ(通常ねじ)35bで取り付ける場合の両方に対応することが可能である。
そして、
図57の(a)に示す場合には、スペーサ34を皿小ねじ35aでカバー部材4に取り付けている。皿小ねじ35aを用いると、ねじ頭が取付け面4cからほとんど突出せず、取付け面4cが平たんである。このため、カバー部材4において取付け面4cと外面とにより画成される空間に、例えばケーブル等の他の部材を収容しても破損等のおそれを低減させることが可能になる。
【0343】
そして、
図58(a)に示すように、カバー部材4にスペーサ34が取り付けられると、カバー部材4の内部空間が変更される。スペーサ34は、演出装置3の取付けに対応する形状であり、演出装置3の取付け面を形成する。これにより、
図58(b)に示すように、カバー部材4の内部空間における演出装置3の位置決めを行うことが可能になり、演出装置3を所定位置に取り付けることが可能になる。
【0344】
なお、
図58(b)に示す本実施の形態では、カバー部材4の上側に固定されるスペーサ34によって演出装置3の上側ユニット31ないし上側ベース部材31aを位置決めする例を図示するが、これに限られず、演出装置3の下側ユニット32の取り付け位置に対応する位置にスペーサ34を固定することで、下側ユニット32ないし下側ベース部材32aの位置決めを行うことも可能である。言い換えると、本実施の形態では、スペーサ34をカバー部材4の正面視右側面に取り付ける場合を説明するが、スペーサ34をもう一つ例えば正面視左側面に取り付けてもよく、また、他のスペーサを他の場所に取り付けることもできる。
【0345】
また、
図58(b)に示す本実施の形態では、スペーサ34の端面34bにより上側ユニット31の前後方向における位置決めを行い、かつ、端面34dにより上側ユニット31の上下方向における位置決めを行っているが、これに限られない。例えば、前後方向の位置決めをスペーサ34の端面34cで行う例も考えられる。また、スペーサ34の端面34bと端面34cの両方で前後方向の位置決めを行う例も考えられる。
また、スペーサ34により前後方向だけの位置決めを行い、上下方向の位置決めを行わない例も考えられる。かかる例の場合には、位置決めされる位置決め対象としての上側ユニット31は、スペーサ34の端面34dに接触しない。
【0346】
また、他の例として、スペーサ34により左右方向(
図58(b)の紙面垂直方向)に関する位置決めを行うことが可能なようにスペーサ34を形成することも考えられる。すなわち、スペーサ34の厚さが異なる段形状をスペーサ34に形成し、かかる段形状により、正面視左右方向の位置を規定する例である。
なお、このような左右方向、前後方向、上下方向に関する位置決めのいずれか一または組み合わせをスペーサ34の形状により実現することが可能である。
【0347】
スペーサ34の端面34aとは反対の側に位置する端面34b〜34dのすべてまたはいずれかに取付けねじ(めねじ)を設ける例が考えられる。そのような例の場合には、例えば別のスペーサをさらに取り付け可能とし、異なる機種に複数のスペーサを用いることで、スペーサの共用化を図ることが可能になる。その逆に、端面34bに取付けねじを設けない例も考えられる。
また、本実施の形態では、スペーサ34をカバー部材4の内面に取り付ける構成を採用するが、カバー部材4の外面に取り付けられるものではない。
【0348】
図59は、スペーサ34を用いるカバー部材4の位置決め構成を説明する図であり、スペーサ34を取り付ける前の状態を示すカバー部材4の斜視図である。同図は
図57(a)に対応するものである。
図59に示す構成は、
図57に示すスペーサ34およびカバー部材4と同じものである一方で、スペーサ34をカバー部材4に取り付ける際に用いられる締結部材が異なる。すなわち、
図59に示す構成は、皿小ねじ35aでスペーサ34をカバー部材4に取り付ける上述の
図57に示す場合とは異なり、スペーサ34をナベ小ねじ35bでカバー部材4に取り付ける。
さらに説明すると、
図59に示す場合には、取付け穴4d1〜4d3、4e1〜4e3のうち取付け穴4e1、4e2を用いてスペーサ34がカバー部材4に取り付けられる。スペーサ34における取付けねじ34a1、34a2の位置は
図57の場合と同じであることから、
図59に示す場合には、スペーサ34のカバー部材4に対する上下方向に関する相対的な位置が
図57(a)の場合とは異なる。
【0349】
なお、スペーサ34に、取付け穴4d1、4d2に対応する取付け穴を設けるほか、取付け穴4e1、4e2に対応する取付け穴を設ける構成例も考えられる。かかる構成例の場合には、4つの取付け穴がスペーサ34に形成されているが、取付け穴4d1、4d2を用いる場合と取付け穴4e1、4e2を用いる場合とで、4つの取付け穴のうちいずれか2つを用いてスペーサ34が取り付けられることから、皿小ねじ35aで取り付ける場合とナベ小ねじ35bで取り付ける場合とで、スペーサ34のカバー部材4に対する上下方向に関する相対的な位置を同じにすることが可能になる。
付言すると、
図59に示すナベ小ねじ35bの代わりに不図示のタッピングねじを用い、スペーサ34には取付けねじ34a1、34a2の代わりに不図示の下穴が形成される例も考えられる。すなわち、不図示のタッピングねじがスペーサ34の下穴にメネジを成形しながら締め付けられる例である。
【0350】
図60は、スペーサ34を用いないカバー部材4の位置決め構成を説明する図であり、
図58に対応するものである。なお、
図60に示す構成例に、上述した種々の例を適用することは、記載されていなくても可能である。
図60に示すカバー部材4には、位置決め面4f、4g、4hが形成されている。位置決め面4f、4g、4hは、上述したスペーサ34の端面34b、34c、34dにそれぞれ対応するものである。すなわち、カバー部材4の位置決め面4f〜4gのすべてまたはその一部は、カバー部材4に収容される演出装置3(
図51参照)の位置決めを行う。
【0351】
このように、カバー部材4とは別の部材であるスペーサ34を用いずに、カバー部材4の形状により位置決め構成を実現している。これにより、構成部品を省略することが可能になり、また、組み立て工数の低減による作業性の向上を図ることが可能である。
なお、上述したように、
図60の位置決め構成に、
図57〜
図59の位置決め構成を組み合わせることも可能であり、かかる場合には、より多くの機種への対応が可能になり、カバー部材4の汎用性をより高めることが可能になる。
【0352】
〔カバー部材4における他の構成について〕
次に、カバー部材4の他の構成について説明する。
図61は、カバー部材4の他の構成を説明する断面図であり、(a)はカバー部材4にねじ座36を取り付ける場合を示し、(b)は、ねじ座36を介してカバー部材4に部材37を取り付ける場合を示す。
図61の(a)に示すように、遊技盤110(
図51参照)の一部を構成するカバー部材4には、取付け穴4iが平面視右端と左端の各々に形成されている。取付け穴4iは、カバー部材4の外側から皿ねじが取付け可能なサラ穴である。そして、このような取付け穴4iを使ってねじ座36がカバー部材4に取り付けられる。ねじ座36は、カバー部材4の内壁面4b側に位置する。
なお、左端のねじ座36と右端のねじ座36は互いに同じものを用いているが、異なるものを用いることも考えられる。
【0353】
2つのねじ座36の各々には、板厚方向に形成されている取付けねじ(めねじ)36a、36bが所定間隔をあけて形成されている。そして、ねじ座36は、皿小ねじ35aをカバー部材4の取付け穴4iから取付けねじ36aに螺合することでカバー部材4の内壁面4b側に取り付けられる。このようにねじ座36をカバー部材4に取り付けても、カバー部材4の外面に飛び出る部分がない。すなわち、ねじ座36の取付け前と取り付け後とでカバー部材4の最大外形寸法に変わりがない。
このように、カバー部材4の背面すなわち遊技盤110の後ろ側のフラット状態がねじ座36の取付けによって維持されることから、ホール店設置の際に制約される遊技盤110における奥行き方向寸法を抑えることが可能になる。
【0354】
図61の(b)に示すように、予めカバー部材4に固定されたねじ座36にナベ小ねじ35bで部材37を取り付ける。すなわち、ねじ座36の取付けねじ36bにナベ小ねじ35bを螺合させることで、部材37をねじ座36に固定する。このように、カバー部材4にねじ座36を皿小ねじ35aで取り付けて固定した後、ねじ座36に部材37をナベ小ねじ35bで取り付けて固定する。部材37は長手部材である。
【0355】
こうして、部材37は、ねじ座36を介してカバー部材4に取り付けられる。その際、ねじ座36の取付けに皿小ねじ35aを用い、部材37の取付けにナベ小ねじ35bを用いる。
付言すると、ナベ小ねじ35bは、ねじ座36に対して皿小ねじ35aとは反対の方向に位置する。すなわち、皿小ねじ35aは、カバー部材4の後側からねじ座36に外側で締め付けられる一方で、ナベ小ねじ35bは、カバー部材4の前側からねじ座36に内壁面4b側で締め付けられる。
【0356】
部材37をカバー部材4に取り付ける場合、本実施の形態では、部材37を直接カバー部材4に取り付けるのではなく、ねじ座36を介して取り付ける構造を採用する。このような構造を採用するのは以下の理由による。
【0357】
カバー部材4にサラ穴を形成し、カバー部材4の外側から締め付けるおねじとして皿小ねじ35aを用いることによって、カバー部材4の外面側に出っ張りが生じないようになる。その一方で、サラ穴同士の穴間寸法の精度が低いとねじ締めできなくなる等の不具合が発生することから、サラ穴間寸法には高い精度が求められる。サラ穴同士の穴間の寸法が長ければ長いほど高い精度を要求するのは部品の製造コストがかかり、また、組み立て作業性が低下することから、コスト削減を実現するのが困難になってしまう。
そこで、本実施の形態では、
図61(a)に示すように、カバー部材4の2つの取付け穴(サラ穴)4iに2つのねじ座36を取り付けている。すなわち、2つの取付け穴4iのうち一方の取付け穴4iに1つのねじ座36を取付け、他方の取付け穴4iに残りのねじ座36を取り付ける。このように2つの取付け穴4iに別々のねじ座36を皿小ねじ35aで取り付けることで、カバー部材4の外面側の出っ張りが生じなくなるようにすると共に、サラ穴間寸法での高精度要求の必要性をなくした。
そして、
図61(b)に示すように、2つのねじ座36に部材37をナベ小ねじ35bで取り付けることで、サラ穴の場合よりも精度を下げることができる平穴間寸法とし、コスト削減を実現し易いようにしている。一つのねじ座36に一つの皿小ねじ35aを用い、複数のねじで取り付けられる部材37には、低い穴間精度でも対応可能なナベ小ねじ35bを用いている。
言い換えると、一つのねじで取り付け可能な部材(ねじ座)には、皿小ねじ35aを用いる一方で、複数のねじで取り付けられる部材(部材37)には、ナベ小ねじ35bを用いることで、2つの要求(出っ張り防止とコスト削減)の実現を図っている。
【0358】
本実施の形態では、ねじ座36をカバー部材4と部材37との間に介装していることから、ねじ座36の厚さによってカバー部材4と部材37との間の離間距離が定まる。そのため、カバー部材4に対する部材37の位置決めを、ねじ座36の厚さで行い得る。
したがって、ねじ座36の厚さを所定のものとすることで、カバー部材4に対する部材37の位置決めを行うことが可能になる。
【0359】
〔カバー部材4の構成についての技術的な意義〕
ここで、パチンコ遊技機100のある機種で用いられる部品を他の機種に用いることが可能であれば、部品の汎用性を高めることでコスト削減を図ることが可能になる。
そこで、部品の汎用性を高めることが可能な遊技機を提供するために、以下の構成を採用する。
◆すなわち、本実施の形態に係る遊技機は、演出を行う遊技機(例えばパチンコ遊技機100)であって、動き演出を行う可動部(例えば装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3k)および当該可動部(例えば装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3k)を支持する第1基部(例えば上側ユニット31の上側ベース部材31a、下側ユニット32の下側ベース部材32a)を持つ可動装置(例えば演出装置3)と、画像演出を行う表示部(例えば表示部114a)および当該表示部(例えば表示部114a)を支持する第2基部(例えばカバー部材4)を持つ表示装置(例えば画像表示部114)と、を備え、前記可動装置(例えば演出装置3)の前記第1基部(例えば上側ユニット31の上側ベース部材31a、下側ユニット32の下側ベース部材32a)は、前記第2基部(例えばカバー部材4)に対して位置決めされることを特徴とするものである。
言い換えると、上側ユニット31は、装飾板3a、3b、3d〜3fを持つと共に、装飾板3a、3b、3d〜3fを支持する上側ベース部材31aを持つ(
図37参照)。また、画像表示部114は、表示部114aを持つと共に、表示部114aを支持するカバー部材4を持つ(
図51参照)。そして、カバー部材4は、上側ベース部材31aを位置決め可能である(
図58、
図60参照)。こうして、上側ベース部材31aとカバー部材4とが相対的に位置決めされる。かかる位置決めされる上側ベース部材31aの所定位置は、例えばスペーサ34を用いたりカバー部材4の形状を利用したりすることで、変更可能であることから、かかる構成によれば、部品例えばカバー部材4の汎用性を高めることが可能になる。
【0360】
〔演出装置3による動き演出と画像演出との連動〕
上述した演出装置3による動き演出は、画像表示部114の表示部114aに表示される画像による画像演出と連動させることが可能なものである。
次に、可動役物115の演出装置3による動き演出と画像演出とが連動する演出である連動演出について説明する。
このような連動演出は、例えば、潜伏報知演出(確変か否かを報知する演出)、リーチ演出(当たりか否かの演出)、疑似連演出(変動表示を繰り返す演出)または、大当たりの種類(確変大当たりあるいは通常大当たり)を報知する演出に利用することが考えられる。また、例えば、時短移行演出(時短に移行するか否かの演出)、昇格演出(確変に昇格するか否かを大当たり中に報知する演出)または、ST演出(大当たり遊技終了後の所定回転数が経過するまで維持される確変状態の場合に行われる演出)に利用することも考えられる。また、例えば先読み予告演出(留保された保留球について事前に乱数判定(事前判定)を行う保留先読みの結果を報知する演出)に利用することが考えられる。
このように、演出装置3と画像表示部114による連動演出を潜伏報知演出等に利用することが考えられるが、その一例として、連動演出をリーチ演出に適用する場合について説明する。なお、遊技者が操作する操作部例えば演出ボタン161の操作を含む連動演出を行うことも考えられる。
【0361】
図62は、リーチ演出における連動演出例を説明する図であり、(a)、(b)、(c)および(d)の順に時系列で示す。同図(a)〜(d)では、画像表示部114の表示部114a(
図51参照)に装飾図柄(右図柄、中図柄、左図柄)を変動表示して特別図柄判定の結果を報知する変動演出を示す。
図62の連動演出例では、同図(a)に示すように、右図柄および左図柄が「7」で中図柄が変動中であるSPリーチにおいて、演出装置3が待機状態であり、星型配置である。その後、同図(b)に示すように、演出装置3における可動の装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kのうち一部が移動する。すなわち、待機状態の装飾板3h〜3kが移動する。かかる装飾板3h〜3kの移動は、待機状態の位置と演出状態(
図36(b)参照)の位置の間の中間位置への移行であり、演出状態への移行はしない。
より詳細には、装飾板3h〜3kは、待機状態の位置から中間位置へ移動した後に待機状態の位置に戻る動作を繰り返す。かかる装飾板3h〜3kは、上述した下側ユニット32(例えば
図44参照)が備えるものである。
【0362】
なお、本実施の形態では、可動の装飾板3a、3b、3d〜3f、3h〜3kのうち一部が待機状態の位置と中間位置との間を往復移動する場合を示すが、その全部が往復移動する動き演出も考えられる。また、演出に応じて、一部が往復移動する動き演出のほか、全部が往復移動する動き演出を実行する例も考えられる。
【0363】
そして、連動演出において、
図62(c)に示すように、演出装置3が演出状態に移行してA型配置になり、次に、同図(d)に示すように、演出装置3が待機状態に戻った後に、画像表示部114の表示部114aには、右図柄、中図柄および左図柄の各々が「7」で停止する。これにより、特別図柄判定の結果は大当たりであることが報知される。
なお、
図62(c)に示す場合には、画像表示部114に右図柄、中図柄および左図柄が表示されておらず、図柄変動中であることを示す図柄である所謂第4図柄(不図示)が明示される。なお、画像表示部114への第4図柄表示の代わりに、第4図柄専用の発光部を持ち、かかる発光部の発光を行う例も考えられる。
【0364】
かかる連動演出について他の変形例が考えられる。
例えば、
図62(b)から(c)に移行する前に、演出ボタン161(例えば
図1参照)の操作を要求する画像(操作要求画像)を画像表示部114に表示する画像演出の実行である。かかる要求に応える操作が行われると、それを契機に演出装置3が演出状態に移行する動き演出が考えられる。
また、操作要求画像の表示が開始される前に、上述の往復移動の動き演出を終了する演出制御が考えられ、また、そのような動き演出を終了しない演出制御が考えられる。
【0365】
また、演出装置3の演出状態を想起する不図示の想起画像を、
図62(d)に示す状態に移行する前に画像表示部114に表示する例も考えられる。なお、かかる想起画像の表示は、特別図柄判定の結果が大当たりの場合の他、外れの場合にも行われることで、想起画像の表示によるあおり効果を高めることが可能になる。
また、変動演出に疑似連演出を含ませ、疑似連の回数を画像表示部114に表示することも考えられる。
【0366】
〔応用例〕
ここで、可動役物115の演出装置3をパチンコ遊技機100以外の遊技機例えばスロットマシンに応用する応用例が考えられる。
図63は、スロットマシン900への応用例を説明する右側面図である。
図63に示すスロットマシン900は、回転しながら複数種類の図柄を例えば上から下へと循環させるように表示するリール901と、メダルが投入されるメダル投入口903と、リール901の回転を開始させるために操作される操作レバー905と、リール901の回転を停止させるために操作されるストップボタン907と、メダルが払い出されるメダル払出口909と、遊技に応じて表示による演出や情報表示を行う液晶ディスプレイ911と、液晶ディスプレイ911の前面を覆う透明板913とを備える。
そして、かかるスロットマシン900は、液晶ディスプレイ911と透明板913との間の前後方向における空間に可動役物115の演出装置3を備えている。
【0367】
なお、本実施の形態では、遊技制御部200の主制御処理において、主制御処理の各処理で生成されたコマンドを最後にまとめて演出制御部300へ出力する動作について説明した(
図8参照)。
また、本実施の形態では、電源復帰時に、遊技制御部200により初期的に実行される基本処理において、設定の初期化を指示するコマンド等を演出制御部300へ出力するために、主制御処理で用いられる出力制御部240の機能(サブルーチン)を呼び出して実行することについて説明した(
図6参照)。
また、本実施の形態では、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンドを「コード部」と「データ部」とで構成し、各々の先頭ビットに識別用のフラグを設けることについて説明した(
図24−2参照)。
また、本実施の形態では、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンドの「コード部」の一部を、データ値を記述するために用いる構成について説明した。
【0368】
〔本実施の形態の技術的特徴〕
◆上記のように、本実施の形態では、遊技制御手段の動作を制御する制御命令の増加を削減するため、遊技制御部200により所定の時間間隔で繰り返し実行される主制御処理において、1サイクルの主制御処理の最後に、その1サイクルの実行で生成されたコマンドをまとめて、演出制御部300へ出力することとした。すなわち、上記の目的を達成する遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する一連の処理である主制御処理を所定の条件にしたがって繰り返し実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、一連の前記主制御処理を1サイクル実行する度に、当該1サイクルの実行により生成された前記データを、当該1サイクルの実行における最後のデータの生成が行われた後に出力する出力手段(例えば、出力制御部240)と、前記出力手段(例えば、出力制御部240)から出力されたデータを受け付け、受け付けたデータに基づき演出を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備える。
このようにすれば、生成されたデータごとに出力処理を行う必要がないため、出力処理を行うための制御命令を削減し、プログラムサイズの増大を抑制することができる。また、データが生成される度に出力処理を行う必要がないため、出力処理全体に要する時間を短縮することができる。
また、より詳細には、上記の遊技機において、前記主制御処理で生成されたデータを、データごとに設定された記憶領域(例えば、コマンド格納領域)に記憶する記憶手段(例えば、RAM203)をさらに備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)は、前記主制御処理において生成した前記データを、生成したデータに対応付けられた前記記憶領域(例えば、コマンド格納領域)に記憶させ、前記出力手段(例えば、出力制御部240)は、前記記憶手段(例えば、RAM203)の各記憶領域に対してデータが記憶されているか否かを調べ、データが記憶されている記憶領域からデータを読み出して出力する。
このようにすれば、出力処理を行う度に、各記憶領域を確認して、記憶されているデータを出力するので、データ出力の漏れを防止することができる。
【0369】
◆また、上記の目的を達成する他の遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する一連の処理である主制御処理を所定の条件にしたがって繰り返し実行し、当該主制御処理とは異なる条件にしたがって当該主制御処理とは異なる特別処理を実行する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、前記データに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記主制御処理において前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)による処理は、遊技の進行に基づく処理を行うと共に、当該処理を実行して得られた情報を含むデータを生成する1または複数の第1の処理手段(例えば、遊技制御部200)を呼び出して実行する部分と、前記第1の処理手段(例えば、遊技制御部200)の実行により生成されたデータを前記演出制御手段(例えば、演出制御部300)へ出力する第2の処理手段(例えば、出力制御部240)を呼び出して実行する部分と、を含み、前記特別処理において前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)による処理は、遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)の設定を行う設定処理を実行する部分と、前記設定処理において生成されたデータを、前記主制御処理における前記第2の処理手段(例えば、出力制御部240)を呼び出して、前記演出制御手段(例えば、演出制御部300)へ出力する部分と、を含む、構成とすることができる。
このようにすれば、特別処理で生成されたデータの出力処理を行うために個別の制御命令を用意する必要がないため、出力処理を行うための制御命令を削減し、プログラムサイズの増大を抑制することができる。
また、より詳細には、上記の遊技機において、前記主制御処理で生成されたデータを、データごとに設定された記憶領域に記憶する記憶手段(例えば、RAM203)をさらに備え、前記主制御処理における前記第1の処理手段(例えば、遊技制御部200)は、処理の実行により生成した前記データを、生成したデータに対応付けられた前記記憶領域(例えば、コマンド格納領域)に順次記憶させ、前記主制御処理における前記第2の処理手段(例えば、出力制御部240)は、前記記憶手段(例えば、RAM203)の各記憶領域に対してデータが記憶されているか否かを調べ、データが記憶されている記憶領域からデータを読み出して出力し、前記特別処理における前記設定処理では、前記設定処理において生成されたデータを、前記記憶手段(例えば、RAM203)における所定の前記記憶領域に記憶させる。
このようにすれば、出力処理を行う度に、各記憶領域を確認して、記憶されているデータを出力するので、データ出力の漏れを防止することができる。
【0370】
◆また、本実施の形態では、遊技制御手段から演出制御手段へのデータ伝送の精度を向上させるため、第1データ部である「コード」の所定のビットと、第2データ部である「データ」の所定のビットを、「コード」と「データ」とを識別するためのフラグとして用いた。すなわち、上記の目的を達成する遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する主制御処理を実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成して出力する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、受け付けたデータに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データは、aビット(aは2以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定されている第1データ部(例えば、「コード」)と、n×aビット(nは1以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部(例えば、「コード」)の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている第2データ部(例えば、「データ」)と、を含む、構成とすることができる。
このようにすれば、先頭の1ビットの値を認識することにより、第1データ部と第2データ部とを明確に区別することができるため、遊技制御手段から演出制御手段へのデータ伝送の精度を向上させることができる。
また、より好ましくは、上記の遊技機において、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データの前記第2データ部(例えば、「データ」)は、先頭からaビットごとに、先頭の1ビットの値と同じ値が設定される。
このようにすれば、第2データ部のサイズが大きい場合でも、特定のサイズごとに切り分けて、各々が第2データ部であることを識別することが容易となる。
【0371】
◆また、本実施の形態では、実行対象の変動パターンを特定するコマンドを送信する場合のように、大きなサイズのデータを送る必要がある場合にも、遊技制御手段から演出制御手段へ送られるデータ全体のサイズの増大を抑制するため、第1データ部である「コード」の所定のビットをデータ値を記述するために用い、「コード」の一部と第2データ部である「データ」とでデータ値を記述する手法を提案した。すなわち、上記の目的を達成する遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する主制御処理を実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成して出力する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、当該データに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データは、aビット(aは3以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定されている第1データ部(例えば、「コード」)と、n×aビット(nは1以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部(例えば、「コード」)の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている第2データ部(例えば、「データ」)と、を含み、前記第1データ部(例えば、「コード」)を構成する所定のビットと、前記第2データ部(例えば、「データ」)を構成するビットとを用いて、所定の種類のデータが記録され、当該第1データ部(例えば、「コード」)における当該所定のビットを除く残りのビットを用いて、当該所定の種類のデータとは異なる他の種類のデータが記録される構成とすることができる。
また、上記の目的を達成する他の本発明による遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する主制御処理を実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成して出力する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、当該データに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データは、aビット(aは3以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定されている第1データ部(例えば、「コード」)と、aビットのサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部(例えば、「コード」)の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている第2データ部(例えば、「データ」)と、を含み、前記第1データ部(例えば、「コード」)を構成するbビット(bはa−1よりも小さく、1以上の整数)と、前記第2データ部(例えば、「データ」)を構成するaビットとを用いて、(a+b)ビットのサイズのデータが記録される構成とすることができる。
上記のような構成とすれば、第1データ部および第2データ部の合計サイズを変えることなく、第2データ部に記録されるべきデータのサイズを、より大きくすることが可能となるため、遊技制御手段から演出制御手段へ大きなサイズのデータを送る場合に、伝送されるデータ全体のサイズの増大を抑制することができる。
【0372】
なお、パチンコ遊技機100(
図1参照)は遊技機の一例である。遊技制御部200(
図3参照)は遊技制御手段の一例である。演出制御部300(
図3参照)は演出制御手段の一例である。出力制御部240(
図5参照)は出力手段の一例である。RAM203(
図3参照)は記憶手段の一例である。コマンド格納領域は記憶領域の一例である。