(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395794
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】交差するボア縁をバリ取りする方法及び該方法を実施する工具
(51)【国際特許分類】
B23D 79/00 20060101AFI20180913BHJP
B23B 51/10 20060101ALI20180913BHJP
B23C 3/12 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
B23D79/00 A
B23B51/10 B
B23C3/12 B
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-240934(P2016-240934)
(22)【出願日】2016年12月13日
(65)【公開番号】特開2017-109302(P2017-109302A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2017年2月27日
(31)【優先権主張番号】10 2015 016 277.2
(32)【優先日】2015年12月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516128496
【氏名又は名称】ヒューレ ヴォルクツォイク アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】スチューダー,ハリー
(72)【発明者】
【氏名】ファエッスラー,ローマン
【審査官】
村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第02895356(US,A)
【文献】
特開平06−015515(JP,A)
【文献】
欧州特許第0446767(EP,B1)
【文献】
実開昭55−031579(JP,U)
【文献】
特表2014−527919(JP,A)
【文献】
実開昭63−201011(JP,U)
【文献】
米国特許第8540464(US,B2)
【文献】
米国特許第2620689(US,A)
【文献】
特開平01−246005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 79/00
B23B 51/10
B23C 3/12
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線的又は非曲線的形状の横ボア縁(3,6)をバリ取りするバリ取りブレード(9)を備えたバリ取り工具であって、
長手軸(50)周りに回転可能に駆動される本体(12)を備え、
前記本体の下端には、少なくとも1つの前記バリ取りブレード(9)が固定された少なくとも1つのブレードホルダ(20)が、垂直方向において回動可能に、本体側のブレード軸受(27)上に取り付けられており、
前記ブレードホルダ(20)の外周には、可撓バネ(30)の可撓性の自由端部(30a)が係合し、前記可撓バネの他端は本体(12)に連結されており、
バリ取り工程の間、前記バリ取りブレード(9)は、前記ブレード軸受(27)を通って延在するブレード軸(55)が前記本体(12)の前記長手軸に対して角度(51、52、53)をなして前記本体(12)から外側へ回動しており、前記バリ取りブレード(9)の前記ブレード軸(55)は、少なくとも1つのカッティングエッジ(39)がバリ取りすべき前記ボア縁(3,6)に当接し、当該バリ取り工具の回転の際に、前記ボア縁(3,6)の輪郭に沿ってバネ付勢された回動動作を実施し、
前記バリ取りブレード(9)は、前記角度が90度である位置から傾斜した傾斜位置(52、53)をとる、バリ取り工具において、
前記バリ取りブレード(9)に、前記角度が90度である位置へ戻る回動を防止する後戻り停止部が設けられ、
前記ブレードホルダ(20)の外周には、制御凹部(31)が、径方向において外側に向けて開口したU字形状に形成されており、U字形状の制御アームは互いに対向する制御エッジ(32,34)を形成し、前記可撓バネ(30)の前記自由端部の一側が、前記制御凹部(31)の一方の制御エッジ(32)にバネ付勢されて当接し、前記可撓バネ(30)の先端が前記制御凹部(31)内の他方の制御エッジ(34)に当接すると、前記ブレードホルダ(20)に対する前記後戻り停止部を形成する、
ことを特徴とするバリ取り工具。
【請求項2】
直線的又は非曲線的形状の横ボア縁(3,6)をバリ取りするバリ取りブレード(9)を備えたバリ取り工具であって、
長手軸(50)周りに回転可能に駆動される本体(12)を備え、
前記本体の下端には、少なくとも1つの前記バリ取りブレード(9)が固定された少なくとも1つのブレードホルダ(20)が、垂直方向において回動可能に、本体側のブレード軸受(27)上に取り付けられており、
前記ブレードホルダ(20)の外周には、可撓バネ(30)の可撓性の自由端部(30a)が係合し、前記可撓バネの他端は本体(12)に連結されており、
バリ取り工程の間、前記バリ取りブレード(9)は、前記ブレード軸受(27)を通って延在するブレード軸(55)が前記本体(12)の前記長手軸に対して角度(51、52、53)をなして前記本体(12)から外側へ回動しており、前記バリ取りブレード(9)の前記ブレード軸(55)は、少なくとも1つのカッティングエッジ(39)がバリ取りすべき前記ボア縁(3,6)に当接し、当該バリ取り工具の回転の際に、前記ボア縁(3,6)の輪郭に沿ってバネ付勢された回動動作を実施し、前記バリ取りブレード(9)は、前記角度が90度である位置から傾斜した傾斜位置(52、53)をとる、バリ取り工具において、
前記ブレードホルダ(20)は略円筒形状又は円盤形状のボディとして形成されており、本体(16)の前記ブレード軸受(27)周りに回動可能に保持されており、前記ブレードホルダ(20)の外周には、径方向において外方に開口した制御凹部(31)が配置されており、前記制御凹部(31)内には前記可撓バネ(30)の可撓性の前記自由端部が係合し、前記自由端部の先端が前記制御凹部(31)内の制御エッジ(34)に当接すると、前記ブレードホルダ(20)が前記バネ付勢と反対方向へ回動して前記角度が90度である位置へ戻るのを防止する後戻り停止部を形成する、
ことを特徴とするバリ取り工具。
【請求項3】
逆バリ取りに前記バリ取り工具を使用する場合に、前記ブレード軸(55)の傾斜位置が負の追加角度(53)だけ傾いてとられ、前記追加角度が0度から80度の間の領域にある、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のバリ取り工具。
【請求項4】
順バリ取りに前記バリ取り工具を使用する場合に、前記ブレード軸(55)の傾斜位置が正の追加角度(53)だけ傾いてとられ、前記追加角度が0度から80度の間の領域にある、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のバリ取り工具。
【請求項5】
前記バリ取りブレード(9)が、一方にカッティングエッジ(39)が配置されたシングルエッジブレードとして形成されており、前記バリ取りブレード(9)の先端部分は、滑り軸受け(24)として形成されており、前記バリ取りブレード(9)は前記滑り軸受けでワークピース(1)の管内周面(18)に摺動するように当接する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載のバリ取り工具。
【請求項6】
前記バリ取りブレード(9)のニュートラル位置は、前記角度が90度である位置から追加角度だけ傾いたニュートラル角(52)によって定義され、前記バリ取りブレード(9)の前記ニュートラル位置は、ブレードホルダ側の前記制御凹部(31)に、前記可撓バネ(30)の前記自由端部(30a)の片側が係合することで定義される、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載のバリ取り工具。
【請求項7】
前記対応する制御エッジ(32、34)は、丸みをつけられた側面を介して径方向において外方に開口している、ことを特徴とする請求項1記載のバリ取り工具。
【請求項8】
一端が固定された前記可撓バネ(30)に代えて、渦巻きバネが、前記ブレードホルダ(20)の前記ブレード軸受(27)に配置されている、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載のバリ取り工具。
【請求項9】
前記制御凹部(31)の幅は、前記可撓バネ(30)の前記制御凹部(31)に係合する端部(31a)の幅よりわずかに大きい、請求項1乃至8のいずれか一項記載のバリ取り工具。
【請求項10】
前記可撓バネ(30)は、前記角度が90度である位置からバネ予伸長ピン(28)によって傾斜位置に移動され、それによって前記可撓バネ(30)の一方の側縁のみが前記制御凹部(31)の前記制御エッジ(32)に当接する、請求項1乃至9のいずれか一項記載のバリ取り工具。
【請求項11】
前記バリ取り工具(10)の長手軸(50)に対して垂直に配置された予圧ピン(47)が、前記可撓バネ(30)することで、前記制御凹部(31)の一方の制御エッジ(32)が前記可撓バネ(30)の一方の側に当接する、請求項1乃至10のいずれか一項記載のバリ取り工具。
【請求項12】
直線的又は非曲線的形状の横ボア縁(3,6)を順バリ取りする、請求項1乃至11のいずれか一項記載のバリ取り工具を駆動する方法であって、
前記バリ取り工具は長手軸(50)周りに回転可能に駆動される本体(12)を備え、
当該本体の下端には、前記バリ取りブレード(9)が固定された少なくとも1つのブレードホルダ(20)が、垂直方向において回動可能に、本体側のブレード軸受(27)上に取り付けられており、
前記ブレードホルダ(20)の外周には、径方向において外方に向けて開口した制御凹部(31)が配置され、当該制御凹部内には可撓バネ(30)の可撓性の自由端部(30a)が係合し、前記可撓バネの他端は本体(12)に連結されており、
バリ取り工程の間、前記バリ取りブレード(9)は、前記本体(12)の前記長手軸に対して角度(51、52、53)をなして前記本体(12)から外側へ回動しており、前記バリ取りブレード(9)のブレード軸(55)は、少なくとも1つのカッティングエッジ(39)がバリ取りすべき前記ボア縁(3,6)に当接し、前記バリ取り工具の回転の際に、前記ボア縁(3,6)の輪郭に沿ってバネ付勢された回動動作が実施される、方法において、
9.1 第1の方法ステップにおいて前記バリ取り工具(10)は、棒状のバリ取りブレード(9)の自由端の先端にある滑り軸受け(24)が前記横ボア(2)の外にある間は、バリ取りすべき前記横ボア(2)の横ボア軸に対する中心で前記横ボア(2)上に進入し、
9.2 第2の方法ステップでは、この前進運動を、前記滑り軸受(24)が前記横ボア(2)の前縁にくるとすぐに中断し、
9.3 第3の方法ステップにおいて、前記バリ取り工具(10)は、前記バリ取り工具から外側へ回動した前記バリ取りブレード(9)と前記横ボア(2)との間に横方向のクリアランスが生じるまで、前記バリ取り工具(10)を横方向に移動させて前記横ボアに対して偏心させるための横方向(40)の動作を実施し、
9.4 第4の方法ステップにおいて、前記バリ取り工具(10)がバリ取り工程を開始するスタート位置に前進するまで、前記の長手方向の移動が引き続き行われ、
9.5 第5の方法ステップにおいて、前記スタート位置からバリ取り工具(10)は回転駆動され、前記バリ取り工程を実施し、前記バリ取り工具(10)が垂直方向へ前進する際に、前記バリ取りブレード(9)はカッティングエッジ(39)で前記横ボア(2)の外面に当接し、円周方向に進展する前記横ボア(3)の外縁(6)のバリ取りを行う、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記バリ取りブレード(9)のニュートラル位置は、前記角度が90度である位置から傾斜した位置をとり、前記バリ取りブレードには、前記角度が90度である位置へ戻る回動を防止する後戻り停止部が設けられている、ことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
逆バリ取りの際には、前記バリ取り工具(10)はワークピース(1)に対して垂直方向に上方へ移動し、この場合、前記バリ取りブレード(9)のブレード軸(55)は、(送り方向に反して)下方に向けて斜めに配向され、
順方向におけるボア縁のバリ取りの際には、前記バリ取り工具(10)は前記ワークピース(1)に対して垂直方向に下方へ移動し、前記バリ取りブレードのブレード軸は(送り方向に反して)上方に向けて斜めに配向される、ことを特徴とする請求項12又は13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による、交差するボア縁をバリ取りする方法及びそれに適した工具に関する。
【背景技術】
【0002】
同一出願人による欧州特許第0446767号明細書及び欧州特許出願公開第2671656号明細書によれば、長手方向に回転可能に駆動される本体を備えた、平面的及び非平面的形状のボア縁をバリ取りするバリ取り工具であって、少なくとも1つの棒状のバリ取りブレードが、回動可能に本体に取り付けられたブレードホルダに固定されているものが公知である。
【0003】
このバリ取り工具は、長手軸周りに回動可能に駆動される本体を備え、その中に、ブレードが固定された、少なくとも1つのブレードホルダが設けられており、ブレードホルダは、本体側のブレード軸受上に垂直方向に回動可能に支持されている。ブレードホルダは略円筒形状又は円盤形状のボディとして形成されており、本体の軸受ボア内に回動可能に保持されている。
【0004】
ブレードホルダの外周には、径方向に配向され外方に向けて開放された制御凹部が配置されており、この制御凹部内には可撓バネの可撓性の自由端部が係合し、可撓バネの他端は本体に連結されている。
【0005】
そのような、平面的又は非平面的形状のボア縁のバリ取りをするバリ取り工具は、すでに広く用いられている。
【0006】
バリ取り工具の定位置では、バリ取りブレードは本体の長手軸に対して90度の角度でバネ付勢され外側へ回動されている。
【0007】
動作位置では、ブレードをバネ付勢して平坦でないボア縁に当接させ、そこを削ってバリ取りを実行するために、ブレードがその90度回動された定位置から、可撓バネの撓み力によって付勢され、例えば30度の角度領域だけ、この90度外側へ回動された位置から、上方又は下方へ方向転換される。
【0008】
本発明は、そのようなよく知られたバリ取り工具を適用するものである。従って、本発明は欧州特許第0446767号明細書及び欧州特許出願公開第2671656号明細書に記載されているバリ取り工具の特徴を含んでいる。
【0009】
平坦でないボア縁からバリ取りする際の問題は、長手軸に角度をなして交差するボア孔のバリ取りに関する場合に生じる。
【0010】
第1の困難なバリ取りのケースは、例えば、管状のワークピースに、管状ワークピースの周を(斜めに又は直角に)通過することにより非対称周輪郭を管状ワークピースの壁に形成するような横ボア孔が配置されている場合であり、これは本発明に従ってバリ取りされるべきである。
【0011】
本発明では、この非対称周輪郭を障害輪郭として定義する。なぜなら、長手ボアを通過する横ボアのバリ取りは格別な困難性を伴うからであり、後述のとおり障害輪郭は、バリ取りブレードがこの障害輪郭の所定の位置につかえ、バリ取りブレードが破損するおそれがあることを意味するからである。
【0012】
障害輪郭を有するボアのバリ取りは、バリ取りブレードが球形状に形成された先端で接線方向で障害輪郭につかえ、回避できない、という問題を生じる。
【0013】
従って、バリ取りブレードのブレード軸は、破損する際に、直角にボア孔内周に接する接線に対して直角に位置する。
【0014】
このケースは、ブレード長軸がボア内周の面に対して正確に垂直に位置するためにバリ取りブレードを傾けるトルクが作用しない場合に発生し、(正又は負の)傾ける回避トルクが作用しないため、その結果、バリ取りブレードは、受動的に90度外側に回動された位置に留まり、逃げない。従って、90度外側に回動された位置から抜け出すように回動する回避可能性が与えられないために、破損するバリ取りブレードに破壊荷重がかかる。
【0015】
バリ取りブレードのブレード破損のリスクは、相互に交差するボアのボア交差部の内側のバリ取りでも、ボア交差部の外側バリ取りでも生じうる。
【0016】
別の障害ケースは、バリ取りすべき横ボアが突出したボアフランジに近接している場合であり、従って、主ボアと交差しうるバリ取りすべき横ボアも、突出したボアフランジに対向してわずかな間隔で向かい合って位置しており、横ボア孔のバリ取り中に、バリ取りブレードが突出したボアフランジにつかえ、同様に逃げられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許第0446767号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2671656号明細書
【発明の概要】
【0018】
従って、本発明の課題は、障害輪郭を有する横ボアであっても、バリ取りブレードの破損の危険なく、横部分において、容易かつ確実にバリ取りできるように、冒頭で述べたタイプの方法及びこれに適したバリ取りブレードを発展させることに基づくものである。
【0019】
この課題を解決するために、本発明は請求項1の技術的教示によって特徴づけられる。
【0020】
本発明の特徴は、バリ取りブレードのニュートラル位置が、バリ取り工具の本体から90度だけ外側に回動された位置ではなく、バリ取りブレードがブレード軸でニュートラル位置に対して傾けられた傾斜位置をとっており、バリ取りブレードに、90度の位置に戻るように回動するのを防止する、後戻り停止部が割り当てられている、ことにある。
【0021】
従って、本発明は、従来、バリ取りブレードのブレード長手軸(ブレード軸)とバリ取り工具の長手軸との間に存在した90度のニュートラル角が、本発明によれば、逆バリ取り方向におけるバリ取り工具の稼働の際に低減され、より具体的には0度から80度の間の範囲にある負の追加角度だけ低減され、順バリ取りの場合には追加角度が0度から80度までであるが、ただし正の方向である、ということにある。
【0022】
実施例として、逆バリ取りの際にバリ取り工具がワークピースに対して垂直方向に上方へ移動され又は送られる形態を示す。この場合、バリ取りブレードのブレード軸は(送り方向に反して)斜め下方向に向けられる。従って、ブレード軸の傾斜位置を表す追加角度は、「負」と表される。
【0023】
逆に、本実施例では、順方向でのボア縁のバリ取りの場合、バリ取り工具はワークピースに対して垂直方向に下方へ移動し又は送られる。この場合、バリ取りブレードのブレード軸は(送り方向に反して)斜め上方向に向けられる。従って、ブレード軸の傾斜位置を表す追加角度は、「正」と表される。
【0024】
この種の、交差するボア縁をバリ取りするためのバリ取り工具を作動させる方法は、次のようにして提供される。バリ取り工具はその長手軸が、先ず
1) 第1の方法ステップにおいて、横ボア孔の長手軸に対して中心である中心移動方向又は送り方向において、横ボアに接近又は前進し、
2) 第2の方法ステップにおいて、横ボア孔の長軸に対して垂直な移動運動を行い、バリ取り工具が横ボアの縁と衝突することなく横ボア孔へ進入することができ、
3) さらなる方法ステップにおいて、中心送り運動に対する長手軸に対して平行な、平行送り運動が行われ、当該平行送り運動によってバリ取り工具が横ボア孔に進入し、
4) さらなる方法ステップにおいて、バリ取り工具は再び、前記の横方向に対して反対方向へ横方向において移動し、具体的には横方向の中心に向けて移動し、
5) さらなる方法ステップにおいて、前述の送りは横ボアの長軸に対する中心で行われ、具体的には、バリ取り工具の開始位置がバリ取りブレードでバリ取りすべき内ボアに与えられるまで行われ、
6) 前記のさらなる方法ステップにおいて、バリ取り工具は回転して駆動され、バリ取り工具のボディから突出するバリ取りブレードがバリ取りすべきボア縁に当接し、バリ取り工具の回転駆動の下、該バリ取り工具が再び横ボアから引き出され、具体的には、横ボア内で長軸に対して中心であり同軸である、中心軸において引き出される。
【0025】
バリ取りブレードの傾斜位置によって、前述の方法の経過中に、バリ取りブレードが横ボアの障害輪郭につかえそこで破損することを招くおそれのある望ましくない死点、すなわちバリ取りブレードを傾ける力がもはや作用しない点に、バリ取りブレードが到達できないことが、後戻り停止部との関係で常に保証される。
【0026】
バリ取りブレードの意図された所定の傾斜位置、即ち、バリ取り工具の長手軸に対するバリ取りブレードの長手軸の角度位置は、常に、バリ取りブレードを1つの又は別の方向へ傾けることができるようにされており、また、バリ取りブレードの破損を招く不所望なニュートラル位置にバリ取りブレードを捉える、有害な横方向の力が、バリ取りブレードに作用しないようにされている。そのために、バリ取りブレードが90度の位置に回動することを抑制する後戻り停止部が使用される。
【0027】
本発明は、長手ボアも同様に有するワークピースに配置された横ボアのボア縁のバリ取りに限定されない。
【0028】
本発明は、いびつなボア輪郭のバリ取り全般に関するものであって、障害輪郭の用語は次のように定義される。障害輪郭は、バリ取りブレードがバリ取り工具から90度だけ突出した位置においてボア縁につかえて、(物理的条件によっては)前にも後ろにも移動できず、従ってこの場合、バリ取りブレードの破損を招く、というおそれが生じるときに常に形成される。
【0029】
本発明の対象は、個別の請求項の対象からだけでなく、個別の請求項相互の組み合わせによっても生じる。
【0030】
要約を含む資料において開示されたすべての事項及び特徴、特に図面に表された空間的構成は、それらが単独で又は組み合わせにおいて従来技術に対して新規である限り、本発明に重要であるとして主張される。
【0031】
個別の対象が「発明に必須である」又は「重要である」として記載されている限り、これは、その対象が必ず独立請求項の対象を形成しなければならない、ということを意味しない。これは、その都度有効なバージョンの独立請求項によってのみ特定される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下では、本発明を、複数の実施形態を示す図面を参照してより詳細に説明する。ここで、図面及びその説明から、本発明のさらなる発明特定事項及び効果が明らかにされる。
【
図1】管状ワークピースの横ボアのバリ取りの概略を特定の角度セグメントにおける障害輪郭の表示とともに示す図である。
【
図1a】バリ取り工具の長手軸に沿った
図1のIa方向矢視図である。
【
図1b】ブレードが破損するおそれのある回避されるべき障害ケースを示す、ワークピースの主ボア内への、
図1のIb方向矢視図である。
【
図1c】
図1bによるブレードの破損を防止するために、バリ取りブレードを本発明により傾けることを、
図1bと同じ構図で示す図である。
【
図1d】制御カーブとともに
図1cの可撓バネの端部を拡大して示す図である。
【
図2】横ボアの外側バリ取りの際に、管状ワークピースの突出フランジリングによって外側バリ取りが妨げられるバリ取りプロセスを示す図である。
【
図2a】
図1aの図と同様にバリ取り工具の長手軸の方向から見た図である。
【
図2b】中実材料からなるワークピースの横ボアの側面を示す図である。
【
図2c】傾いた、破損を回避する、バリ取りブレードの位置において、横ボア内へバリ取り工具が進入する状態を示す図である。
【
図3】90度から外れた角度位置にバネ付勢されて固定されたバリ取りブレードを有する本発明によるバリ取り工具の側面を示す図である。
【
図4】90度から外れた角度位置においてバリ取りブレードをバネ付勢して固定するための第1の実施形態を示す図である。
【
図5】バリ取り工具が横ボアに進入する第1の方法ステップを示す図である。
【
図6】バリ取り工具が横ボアに進入する第2の方法ステップを示す図である。
【
図7】バリ取り工具が横ボアに進入し、続いてバリ取りする第3の方法ステップを示す図である。
【
図8】90度のニュートラル位置から外れたバリ取りブレードがバネ付勢により固定されているバリ取り工具の第2の実施形態を示す図である。
【
図9】バリ取りブレードの変形例を示す第3の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の第1の適用ケースを示しており、ここでは、横ボア2が管状のワークピース1に配置され、この横ボア2の内縁3は、本発明のバリ取り工具10を用いてバリ取りすべきものであり、バリ取り工具10の長手軸50から斜め外側に向けてセットされたブレード9は、内縁3をバリ取りするために使用される。
【0034】
管状ワークピースは、横ボア2と交差する主ボア4を有し、バリ取りされるべき内縁3と、外縁6とを形成する。
【0035】
周知のように、管状のワークピース1は、2つの対向する端面5a、5bを有し、バリ取りブレード9は、管内周面18と一致する内側の内縁3の内側バリ取りに使用される。障害輪郭を有するいびつでバリ取りされるべき内縁3は、それゆえに、本発明によるバリ取りブレード9を用いてバリ取りされることになる。
【0036】
よりわかり易くするために、バリ取り工具10の回転位置のみを表す矢印7において、バリ取りすべき内縁3に沿って生じる扇形の領域として様々なセグメント8a、8b、8c及び8dが形成され、これらのセグメントの領域において、セグメント8cは、危機的領域、具体的には、バリ取りブレード9がニュートラル位置につかえて破損する可能性がある領域を表す。
【0037】
バリ取りブレード9が破損しやすい望ましくない位置に陥る危機的なセグメント8cは、バリ取り工具10が時計方向に駆動される場合にのみ適用され、これに対して、バリ取り工具が反時計回りの方向に駆動されると、異なるセグメント、特にセグメント8bが、内縁3の周縁部においてバリ取りブレード9を破損させるおそれのある輪郭を形成する危機的なセグメントとなる。
【0038】
バリ取り工具10は、実質的に略円筒状の本体12から構成され、その一側には長手スリット13が配置され、その中には、クランプストリップ15が、ネジ14によって取り付けられており、後述する可撓バネ30の一端に固定される。
【0039】
可撓バネ30の他方の端部は、バリ取りブレード9が連結されたブレードホルダ20に作用する。
【0040】
また、以下に述べる方法にとって重要なのは、本体12が下端部に本体の直径が縮小されたフリー部位(Freistellung)43を有しているため、本体が、直径の減少した本体部分16に移行することである。小径の本体部分16は、バリ取りブレード9を有するブレードホルダ20が配置されている部分である。バリ取りブレード9は、ブレードホルダ20に固定的に配置されていてもよいし、交換可能に配置されていてもよい(EP2671656A1参照)。
【0041】
横ボア2の内縁3が管内周面18の近くに位置するため、定義したような障害輪郭36が生じる。
【0042】
管状ワークピース8の管壁17は、管内周面18によって画定される。
【0043】
図1aは、バリ取り工具10の長手軸に沿った断面を示す図であり、ブレードホルダ20が、回転軸周り、より具体的にはブレード軸受27周りに回動可能に本体部分16に保持されており、ブレードホルダ20に固定的にクランプされたバリ取りブレード9をロックする固定ピン22が、ブレードホルダ20の側面に配置されている。
【0044】
バリ取りブレード9は、シングルエッジブレードとして形成されており、カッティングエッジ39が下方に向けて示されており、バリ取りブレード9の最も前方の部分は滑り軸受24によって形成されており、ここによってバリ取りブレードが管状のワークピース1の管内周面18を滑るように接触する。
【0045】
図1aは、バリ取りブレード9がその長手軸が斜めの角度で管内周面18に進入し、滑り軸受24がもはや逃げる可能性を有しないという、本発明によって回避すべき衝突事例を示している。滑り軸受が管内周面18上を引き続き矢印11の方向に向かって移動しており、この場合(
図1aに示されるように)、バリ取ブレードが破損するおそれがあるからである。
【0046】
このような望ましくない破損は従って、
図1を参照して説明したように、セグメント8cの矢印19において発生しうる。
【0047】
図1bに、同じケース、詳しくはセグメント8cにおける破損のケースを再び示す。ニュートラル位置に保持され、一切の回避トルクがバリ取りブレード9に作用しないので、バリ取りブレード9は、その前面に配置された滑り軸受24でニュートラル位置において管内周面18に接し、矢印26の下向きにも矢印26’の上向きにも回避あそびを有していない、ということがわかる。
【0048】
この衝突ケースは、バリ取りブレード9のブレード軸55がゼロ位置25として示され、バリ取り工具10の長手軸50に対して、90度の角度(ニュートラル角51)を形成する場合に、生じる。
【0049】
そのような破損の場合は本発明により回避されるべきである。
【0050】
ここで本発明は、
図1cに示されるように、バリ取りブレード9が
図1a及び1bのようにニュートラル位置又はゼロ位置25に置かれるのを最初からさけ、本発明では、バリ取りブレード9が、常にゼロ位置25から外れた角度位置に本体部分16において回動可能にバネ付勢されて保持され、後戻り停止部によって、90度の位置に戻るように回動することから保護されている。
【0051】
一方で、
図1cにはニュートラル角51が回避すべき角度として示されており、これは避けるべきであるが、同じ図が、本発明によればバリ取りブレード9に追加角度53が割り当てられることを示しており、従って、そのニュートラル状態は新しいニュートラル角52に相応する。
【0052】
これは、本発明によれば、可撓バネ30の下側の端部30aが制御凹部31の中へ延在するものの、可撓バネ30の一方の側縁のみが制御凹部31の一方の制御エッジ32に当接し、一方で、対向する制御エッジ34は空いたままであり、ブレードホルダ20に対する後戻り停止部を構成する、ことにより実現される。
【0053】
図1dによれば、制御凹部31は半径方向外側に向けられ、一方に開放したブレードホルダ20内の切欠きとして形成されており、その幅は制御凹部31に係合する可撓バネ30の端部30aの幅よりわずかに大きい。この切欠きは略U字形状の輪郭を有し、U字輪郭の基部アームはブレード軸受27を通る半径方向の直線に平行に配向されている。U字形状の側部アームは、対称に相互に対向して配置された制御エッジ32,34を形成し、これらは丸みをつけられた側面を介して外側に開口する。可撓バネの下側の端面30bは、U字輪郭の基部アームに対して距離を保ち、従ってクリアランス33を形成する。
【0054】
これにより、ブレードホルダ20が矢印26の方向にのみ予負荷され、
図1dから明らかなように、ブレードは、傾斜位置に基づくトルク54だけ矢印26の方向へさらに下方へ回動され、従って破損の危険が回避される。
【0055】
したがって重要なのは、可撓バネ30はその下側の端部30aで、ある距離だけ制御凹部31の中に延在し、一方の側縁部のみが一方の制御エッジ32に当接し、従ってブレードホルダが一方の方向(回避あそび26)にだけバネ付勢されて予負荷されるということであり、他の方向では可撓バネ30がその端部30aによってすぐに反対側の制御エッジ34に当接することができ、ブレードが逆方向への回動に対してブロックされる。これが本発明による後戻り停止部である。
【0056】
このようにして、バリ取りブレードは、回避された、90度から外れた、バリ取り工具10の本体部分16からの位置にバネ付勢されて保持される。
【0057】
図1dはまた、ブレード軸受27として示されるブレードの回転軸受と、管内周面18上のバリ取りブレードの作用点との間の間隔に基づいて、トルク54を得るために必要な、本発明による所期の隙間29が形成されることも示している。所望のトルク54は、バリ取りブレード9を常に望ましくない死点位置から外れるように回転させる。
【0058】
(
図1a及び
図1bに示されているような)破損ケースでは、この隙間29は存在せず、その結果、バリ取りブレードがニュートラル位置から逸れるようにすることができるトルク54も存在しない。
【0059】
可撓バネ30の左側のみが制御凹部31の一方の制御エッジ32に当接するような、可撓バネ30のたわみは、可撓バネ30の側壁に当接して可撓バネ30を斜め外向きに撓ませるバネ予伸長ピン28によって達成され、制御エッジ32は可撓バネ30に当接し、その結果、ブレードホルダ20は斜め下方に傾けられて保持されたままになる。
【0060】
ブレードホルダ20は、
図1dに示す位置では小さいあそびを有するが、これは必須ではない。
【0061】
したがって、制御エッジ34が可撓バネ30の端面30bへ当接することによって、ブレードはもはやニュートラル位置に戻ることができなくなる。
【0062】
したがって、可撓バネ30は、ニュートラルな定位置からバネ予伸長ピン28によって傾斜位置に移動され、可撓バネ30の一方の側縁のみが制御凹部31の制御エッジ32に当接するようにされる。
【0063】
更なる発展形態では、調整あそび又は可撓バネ30の逃げを、傾斜位置へ調整可能にするために、バネ予伸長ピン28が調整可能に構成されており、偏心ピンとして回動可能に構成されうる。
【0064】
図2は、本発明の別の実施例を示しており、中実のワークピース1に横ボア2が配置され、横ボア2のバリ取りはワークピース1の突出したフランジリング37によって妨げられる。
【0065】
横ボア2は、
図2に示す破損ケースが再び生じるほど、フランジリング37に近接して位置しており、従って、90度のニュートラル位置において本体部分16から外に向かって回動されたバリ取りブレード9が、その滑り軸受24によってフランジリング37の端面35につかえて、端面35は障害輪郭を形成する。
【0066】
矢印19のバリ取りセグメント8cにおいて、矢印11の方向に駆動されているブレードホルダ20が、そこにクランプされたバリ取りブレード9によって回避することができないため、また、バリ取りブレードが、その滑り軸受24で、
図2aに示されるように破損するおそれがあるため、再び衝突事象が起きうる。
【0067】
図1bの衝突事例と同様に
図2bにも衝突事例が示されており、横ボア2の領域では、右側のボア縁がフランジリング37に近接して配置され、従って衝突が起こり、バリ取り工具10から外側へ90度回動されたブレードは、やはり、上方へも下方へも回避あそび26,26’がなく、逃げることができず、結果として破損しうる。
【0068】
ここで、
図2cによれば、本発明が適応されており、時計回り方向に駆動されるバリ取り工具10において、バリ取りブレード9が、ブレード軸55のニュートラル位置として常に所定の傾斜位置を占め、従って
図2b及び2aによる衝突事例が回避される。
【0069】
図3は、既に
図1を参照して説明したバリ取り工具10のさらなる構成が示されている、第1の実施形態を示す。
【0070】
本体12には、本体部分16の下端において減少された直径が適用されており、この領域でバリ取りブレード9は、常にブレード軸55の傾斜位置にバネ付勢されて固定されている。
【0071】
図4は、第1の実施例として、どのように可撓バネ30をバネ予負荷された傾斜位置に保持するか、という1つの選択肢を示している。
【0072】
ここでは、バネ予伸長ピン28が設けられており、これが可撓バネ30の内側に当接し、可撓バネ30が斜めにバネ付勢されてバネ予伸長ピン28に支持されており、ブレードホルダ20をニュートラル位置において下方へ向けられた傾斜位置にバネ付勢されて固定するために、ブレードホルダ20がその制御凹部31によって制御エッジ32の助けで可撓バネ30の一側にだけ当接している。
【0073】
図5〜
図7は、本発明による方法を使用する一連のステップを示す。
【0074】
第1の方法ステップでは、バリ取り工具10の滑り軸受24がまだ横ボア2の外にある限り、バリ取り工具10が矢印38の方向へ横ボア2の横ボア軸56に対する中心で横ボア2に進入する。
【0075】
滑り軸受24が横ボア2の前縁にくるとすぐに、矢印38の方向への送り運動又は前進運動は中断され、後続の方法ステップでは、バリ取り工具の本体12をバリ取り工具10の横ボア軸56に対して偏心させ横方向に移動させるために、横方向40への移動が行われる。
【0076】
このようにして、既に本体12の外に突出しているバリ取りブレード9が横ボア2の右側と衝突しないようにし、クリアランス42が生じることを確実にする。
【0077】
クリアランス42が確保されるとすぐに、矢印41の方へ、横ボア2の長手軸に沿ってさらに進められ、滑り軸受24が横ボア2に沈むまで侵入し、それから初めて、バリ取り工具10の長手軸50を横ボア2の横ボア軸56と一致させるために、
図6のように矢印40’の方へ横方向に引き戻される。
【0078】
このようにして、ブレード9は、衝突の危険又は破損の危険なしに、斜めに外れた位置からさらに斜めに外れた位置にバネ付勢されて移動される。
【0079】
長手方向41における長手移動が、
図6から
図7への移行において、バリ取り工具が
図7に示すバリ取り工程を開始するためのスタート位置まで前進するまで、行われる。
【0080】
このスタート位置から、バリ取り工具10は矢印11の方向に駆動され、バリ取りブレードがカッティングエッジ39で横ボアの内面に接し、円周方向に前進して横ボア2の内縁3のバリ取りを行う、バリ取り工程を実行する。
【0081】
これは、矢印41’の方向に後退しながら行われる。
【0082】
この図から明らかなように、バリ取り位置において常にバネ付勢されて斜め下方に保持されているバリ取りブレード9において、もはや障害輪郭36での破損のおそれは生じない。
【0083】
図8は、
図4の実施例の変形実施例として、バネ予伸長ピン28を省略し、その代わりに、可撓バネ30の端部30aをテーパ状の拡幅部として形成しうることを示し、従って、テーパ状の拡幅部が制御凹部31の左側の制御エッジ32と右側の制御エッジ34の両方に当接することにより、バリ取りブレード9は、90度に立てられた位置に戻るように回動できないように、バネ付勢され斜め下方向の位置に保持される。これは後戻り停止部のさらなる実施形態である。
【0084】
図9は、別の実施例として、ブレードホルダがバリ取りブレード9に一体的に連結される必要はないことを示す。
図9は、その代わりに、バリ取りブレード9がブレードホルダ内に着脱自在に保持され、取り外し可能な固定が、バリ取りブレード9の横方向に開口した凹部に係合する保持ピン46によって達成される、というブレードホルダ20を示す。
【0085】
従って、保持ピン46を解放することで、バリ取りブレード9をブレードホルダ20から取り外すことができる。
【0086】
その他には、同じ構成部品に対しては同じ参照符号が適用される。
【0087】
図10は、別の実施例として、可撓バネ30の斜め方向への予負荷は、バリ取り工具10の長手軸50に対して垂直に配置され、同様に可撓バネ30を斜めに予圧する予圧ピン47によっても実現されうることを示し、従って、制御凹部31の一方の制御エッジ32が可撓バネ30の一方の側に当接するように保たれ、バリ取りブレード9が外側に90度回動したニュートラル位置に移動することを確実に防止できる。その代わりに、常に、斜め下方に向けられた位置にバネ付勢されて固定される。
【0088】
同じ機能が
図11の実施例に示されており、ブレードホルダ20には、低減された径の周囲凹部48が配置されており、その両側でストッパー48a、48bを形成し、周囲凹部48の領域には停止部ピン49が配置されている。
【0089】
停止ピン49は、斜め外側へ向けられたバリ取りブレード9の回避のためのストッパー制限を同様に形成し、従って、可撓バネ30が制御エッジ32に当接しているかによらず、停止ピン49による斜めの予負荷又はストッパーによる制限が達成される。
【0090】
この実施例では、可撓バネ30も省略することができ、これに代えて、渦巻きバネ又は圧縮コイルバネが、ブレードホルダ25を傾けられた位置にバネ予圧して保持することができることは明らかである。
【0091】
したがって、一端が固定された可撓バネであって、その自由端がブレードホルダに支持されている可撓バネの配置は、他のバネ予負荷装置または一般的なエネルギー蓄積器に置き換えることもできる。
【0092】
符号の説明
1 (管状の)ワークピース
2 横ボア
3 (横ボア2の)内縁
4 主ボア
5a、5b (ワークピース1の)端面
6 (横ボア2の)外縁
7 矢印方向
8a、8b、8c、8d セグメント
9 バリ取りブレード
10 バリ取り工具
11 矢印方向
12 本体
13 長手方向スリット
14 ネジ
15 クランプストリップ
16 本体部分
17 (ワークピース1の)管壁
18 管状内周面
19 矢印方向
20 ブレードホルダ
21 9’のための軸受ボア
22 固定ピン
24 滑り軸受
25 ゼロ位置
26、26’ 退避あそび
27 ブレード軸受
28 バネ予伸長ピン
29 隙間
30 可撓バネ
30a 端部
30b 端面
31 制御凹部
32 制御エッジ
33 クリアランス
34 制御エッジ
35 (ワークピース1の)端面
36 障害輪郭
37 フランジリング
38 矢印方向
39 (バリ取りブレード9の)カッティングエッジ
40、40’ 横方向
41、41’ 長手方向
42 クリアランス
43 アンダーカット(前面)
44 アンダーカット(後)
45 テーパ状の拡幅部
46 保持ピン
47 予圧ピン
48 周囲凹部
48a、48b 止め具
49 停止ピン
50 長手軸
51 ニュートラル角(旧)
52 ニュートラル角(新)
53 追加角度
54 トルク
55 ブレード軸
56 横ボア軸