特許第6395804号(P6395804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6395804エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395804
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   C08L23/08
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-505481(P2016-505481)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公表番号】特表2016-515655(P2016-515655A)
(43)【公表日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】US2014025304
(87)【国際公開番号】WO2014159844
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年2月1日
(31)【優先権主張番号】61/806,103
(32)【優先日】2013年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】メフメット・デミローズ
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・ピー・カージャラ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリ・ダブリュ・マッケンナ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・エス・ジンジャー
【審査官】 松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/009514(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0046061(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/009511(WO,A1)
【文献】 特開2002−029009(JP,A)
【文献】 特開2004−051831(JP,A)
【文献】 特表2014−520914(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0134364(US,A1)
【文献】 特表2013−521382(JP,A)
【文献】 特表2016−504442(JP,A)
【文献】 特表2015−520276(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0100343(US,A1)
【文献】 特表2014−521759(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0113090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
80重量%超のエチレンに由来する単位と、20重量%以下の1つ以上のアルファオレフィンコモノマーに由来する単位とを含む、吹込みフィルム用エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーであって、前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーは、0.910〜0.918g/cmの範囲の密度と、0.5〜1.1g/10分の範囲のメルトインデックスIと、8〜10の範囲のメルトフロー比I10/Iと、3〜6cNの範囲の溶融強度と、結晶化溶出分別(CEFによって判定される8〜15%の範囲の最高温の画分と、96〜100℃の範囲の結晶化溶出分別(CEFによる最高ピーク温度の画分と、2〜5%の範囲の結晶化溶出分別(CEFからの最低温の画分と、120〜124℃の範囲の最高温側の溶融ピークを有する3つの溶融ピークを有するDSC熱曲線と、40〜50%の範囲の結晶化度と、を有し、
10は、ASTM D1238−10、条件190℃/10kgに従って測定されるメルトインデックスである、
前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー。
【請求項2】
請求項1に記載の前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーを含む、吹込みフィルム。
【請求項3】
前記吹込みフィルムは、20%未満の範囲の全ヘイズを有することを特徴とし、前記フィルムは、0.0254mm(1ミルの厚さを有し、1つ以上のブロッキング防止剤と、1つ以上のスリップ剤と、をさらに含む、請求項2に記載の前記吹込みフィルム。
【請求項4】
前記吹込みフィルムは、20%未満の範囲の全ヘイズを有することを特徴とし、前記フィルムは、0.0254mm(1ミルの厚さを有する、請求項2に記載の前記吹込みフィルム。
【請求項5】
請求項1に記載の前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーと、1つ以上のフリーラジカル重合により高圧で生産される低密度ポリエチレン(LDPEまたは1つ以上の線状低密度ポリエチレン(LLDPEと、を含む、組成物。
【請求項6】
1つ以上の層を含む物品であって、前記層のうちの少なくとも1つは、請求項1に記載の前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーを含む、物品。
【請求項7】
前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーは、1つ以上のフリーラジカル重合により高圧で生産される低密度ポリエチレン(LDPEまたは1つ以上の線状低密度ポリエチレン(LLDPEと混合される、請求項6に記載の前記物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2013年3月28日に出願された米国特許仮出願第61/806,103号の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、吹込みフィルム用途に適するエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物、及びそれから作製される吹込みフィルムに関する。
【0003】
包装用途に適するフィルムを形成するためのポリエチレン等のポリマー材料の使用は、一般的に周知である。そのようなフィルムは、任意の従来のフィルムプロセス、例えば、吹込みフィルムプロセスを介して形成される、単層もしくは多層フィルムであり得る。
【0004】
しかしながら、酸素透過率ならびに水蒸気透過率の許容レベルを維持しながら、改善された加工性ならびに光学特性を提供するポリエチレン組成物の必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、吹込みフィルム用途に適するエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物、及びそれから作製される吹込みフィルムを提供する。
【0006】
1つの実施形態では、本発明は、80重量%超のエチレンに由来する単位と、20重量%以下の1つ以上のアルファオレフィンコモノマーに由来する単位と、を含む吹込みフィルム用途に適するエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物を提供し、該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーは、0.910〜0.918g/cmの範囲の密度と、0.5〜1.1g/10分の範囲のメルトインデックスIと、8〜10の範囲のメルトフロー比I10/Iと、3〜6cNの範囲の溶融強度と、CEFによって判定される11〜14%の範囲の最高温度分別と、96〜100℃の範囲のCEFによる最高ピーク温度分別と、2〜5%の範囲のCEFからの最低温度分別と、120〜124℃の範囲の最高温度溶融ピークを有する3つの溶融ピークを有するDSC熱曲線と、40〜50%の範囲の結晶化度と、を有する。
【0007】
別の代替の実施形態では、本発明は、本発明のエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物を含む吹込みフィルムをさらに提供する。
【0008】
代替の実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかに記載の吹込みフィルムを提供するが、但し、該吹込みフィルムは、20未満、例えば、15未満の範囲の全ヘイズを有することを特徴とすることを除き、該フィルムは、1ミルの厚さを有し、該ポリオレフィン組成物は、1つ以上のブロッキング防止剤、及び1つ以上のスリップ剤をさらに含み得、該フィルムは、該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物の必要な特性範囲以外の1つ以上の特性を有する別のエチレン系ポリマーより、少なくとも10%の生産率の増加を有する吹込みフィルムプロセスを介して生産される。
【0009】
代替の実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかに記載の吹込みフィルムを提供するが、但し、該エチレン系ポリマーは、該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物の必要なメルトインデックス範囲以外のメルトインデックスを有することを除く。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明を説明する目的のために、図において、例示的な型が示されているが、しかしながら、本発明は、示される正確な配置ならびに説明図に限定されるものではないということが理解される。
【0011】
図1】は、比較組成物1ならびに本発明の組成物1のDSC(W/gにおける熱フロー対℃における温度)による加熱曲線を説明するグラフである。
図2】は、比較組成物1ならびに本発明の組成物1のDSC(W/gにおける熱フロー℃における温度)による冷却曲線を説明するグラフである。
図3】は、比較組成物1ならびに本発明の組成物1の190℃での動的機械的分光粘度データ(Pa−秒における複素粘度対rad/秒における周波数)を説明するグラフである。
図4】比較組成物1ならびに本発明の組成物1の190℃での溶融強度(cNにおける溶融強度対mm/秒における速度)を説明するグラフである。
図5】は、比較組成物1ならびに本発明の組成物1のゲル浸透クロマトグラフィー曲線(dWf/dLogM対GPCによるLog分子量)を説明するグラフである。 Mw
図6】は、比較組成物1ならびに本発明の組成物1の結晶化溶出分別データ(質量あるいはdWf/dT及びLog Mwであり、Mwは、g/molにおけるMw対℃における温度である)を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、吹込みフィルム用途に適するエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物、及びそれから作製される吹込みフィルムを提供する。吹込みフィルム用途に適する該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物は、80重量%超のエチレンに由来する単位と、20重量%以下の1つ以上のアルファオレフィンコモノマーに由来する単位と、を含み、該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーは、0.910〜0.918g/cmの範囲の密度と、0.5〜1.1g/10分の範囲のメルトインデックスIと、8〜10の範囲のメルトフロー比I10/Iと、3〜6cNの範囲の溶融強度と、CEFによって判定される11〜14%の範囲の最高温度分別と、96〜100℃の範囲のCEFによる最高ピーク温度分別と、2〜5%の範囲のCEFからの最低温度分別と、120〜124℃の範囲の最高温度溶融ピークを有する3つの溶融ピークを有するDSC熱曲線と、40〜50%の範囲の結晶化度と、を有する。
【0013】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、(a)100%以下、例えば、少なくとも80%、または少なくとも90%のエチレンに由来する単位と、(b)20重量%未満、例えば、15重量%未満、または10重量%未満の1つ以上のα−オレフィンコモノマーに由来する単位と、を含む。用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物」は、50モル%を上回る重合エチレンモノマー(重合可能なモノマーの総量に基づいて)を含有するポリマーを言及し、任意で、少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。
【0014】
該α−オレフィンコモノマーは、典型的に、20個を超えない炭素原子を有する。例えば、該α−オレフィンコモノマーは、好ましくは、3〜10個の炭素原子、及びより好ましくは、3〜8個の炭素原子を有し得る。例示的なα−オレフィンコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び4−メチル−1−ペンテンを含むが、これらに限定されない。該1つ以上のα−オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから成る群から、または別の方法では、1−ヘキセン及び1−オクテンから成る群から選択され得る。
【0015】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、0.910〜0.918g/cm、例えば、0.910〜0.917g/cmの範囲の密度を有する。例えば、該密度は、0.910、0.911、または0.912g/cmの下限から0.916、0.917、または0.918g/cmの上限までであり得る。
【0016】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、3.0〜5.0の範囲の分子量分布(M/M)を有する。例えば、該分子量分布(M/M)は、3.0、3.1、または3.2の下限から4.0、4.5、または5.0の上限までであり得る。
【0017】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、0.1〜2.0g/10分、例えば、0.5〜1.5g/10分、または0.5〜1.1g/10分の範囲のメルトインデックス(I、190℃/2.16kgで)を有する。例えば、該メルトインデックス(I190℃/2.16kg)は、0.1、0.5、0.6、または0.7g/10分の下限から1.1、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0g/10分の上限までであり得る。
【0018】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、8〜10、例えば、8〜9.5、または別の方法では、8.2〜9.4の範囲のメルトフロー比I10/Iを有する。
【0019】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、2〜8cN、例えば、3〜6cN、4〜5cNの範囲の溶融強度を有する。
【0020】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、CEFによって判定される6〜15%、例えば、例えば、10〜15、または別の方法では、11〜14、または別の方法では、8.4〜13.3の範囲の最高温度分別を有する。
【0021】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、95〜105℃,例えば、96〜100℃の範囲の、CEFによる最高ピーク温度分別を有する。
【0022】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、1〜5%、例えば、2〜5%、または別の方法では、2〜4の範囲のCEFからの最低温度分別を有する。
【0023】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、120〜124℃,例えば、121〜123℃の範囲の最高温度溶融ピークを有する3つの溶融ピークを有するDSC熱曲線を有する。
【0024】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、40〜50%、例えば、42〜47%、または別の方法では、43〜46%の範囲の結晶化度を有する。
【0025】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、1つ以上の添加剤等の追加の構成成分をさらに含み得る。そのような添加剤は、帯電防止剤、カラーエンハンサー、染料、潤滑剤、TiOまたはCaCO等の充填剤、乳白剤、核剤、加工助剤、色素、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、UV安定剤、抗ブロック、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤、臭気低減剤、抗真菌薬、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。該エチレン系ポリマー組成物は、そのような添加剤を含む該エチレン系ポリマー組成物の重量に基づいて、そのような添加剤の約0.05〜約10総合重量%を含有し得る。
【0026】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、1つ以上のポリマー材料、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)または別の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とさらに混合され得る。そのようなLLDPEは、Dow Chemical Companyから、DOWLEX、ELITE、ELITE AT、及びATTANEの商標で市販されている。そのようなLLDPEは、典型的に、0.900〜0.950g/cmの範囲の密度、及び0.5〜10g/10分の範囲のメルトインデックスIを有する。
【0027】
該低密度ポリエチレン(LDPE)は、フリーラジカル重合によって高圧で生産される。高圧フリーラジカル開始の重合プロセスに関して、2つの基本型の反応器が周知である。第1の型は、1つ以上の反応帯を有する撹拌型オートクレーブ容器(オートクレーブ反応器)である。第2の型は、1つ以上の反応帯を有するジャケット管(管型反応器)である。
【0028】
該プロセスの各オートクレーブならびに管型反応器ゾーンの圧力は、100MPa〜400MPa、例えば、120MPa〜360MPa、または別の方法では、150MPa〜320MPaである。
【0029】
該プロセスの各管型反応器ゾーンの重合温度は、100℃〜400℃、例えば、130℃〜360、または別の方法では、140℃〜330℃である。
【0030】
該プロセスの各オートクレーブ反応器ゾーンの重合温度は、150℃〜300℃、例えば、165℃〜290℃、または別の方法では、180℃〜280℃である。
【0031】
いかなる従来の重合プロセスは、該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物を生産するために使用され得る。そのような従来の重合プロセスは、1つ以上の従来の反応器、例えば、ループ反応器、等温反応器、撹拌槽型反応器、並列直列回分反応器、及び/またはそれらのいかなる組み合わせを使用する溶液重合プロセスを含むが、これらに限定されない。
【0032】
該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、例えば、1つ以上のループ反応器、等温反応器、及びそれらの組み合わせを使用する液相重合プロセスを介して生産され得る。
【0033】
概して、該液相重合プロセスは、115℃〜250℃、例えば、115℃〜200℃の範囲の温度で、300〜1000psi、例えば、400〜750psiの範囲の圧力で、1つ以上のループ反応器または1つ以上の球状の等温反応器等の1つ以上のよく撹拌された反応器内で生じる。1つの実施形態では、二重反応器において、第1の反応器温度内の温度は、115〜190℃、例えば、115〜150℃の範囲であり、第2の反応器温度は、150〜200℃、例えば、170〜195℃の範囲である。別の実施形態では、単一反応器において、反応器温度内の温度は、115〜190℃、例えば、115〜150℃である。液相重合プロセスにおける滞留時間は、典型的に、2〜30分、例えば、10〜20分の範囲である。エチレン、溶媒、1つ以上の触媒システム、任意で1つ以上の共触媒、任意で1つ以上のコモノマーは、1つ以上の反応器に継続的に供給される。例示的な溶媒は、イソパラフィンを含むが、これに限定されない。例えば、そのような溶媒は、ExxonMobil Chemical Co.、Houston、TexasからのISOPAR Eという名称で市販されている。該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物と溶媒との結果として得られる混合物は、その後、該反応器から取り除かれ、該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物は、分離される。溶媒は、典型的に、溶媒回収装置、すなわち、熱交換器及び気液分離ドラムを介して回収され、その後、該重合システムへ再循環される。
【0034】
1つの実施形態では、該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、二重反応器システムにおける溶液重合プロセス、例えば、二重ループ反応器システムを介して生産され得、エチレン及び任意で1つ以上のα−オレフィンは、1つ以上の触媒システムの存在下で重合化される。さらに、1つ以上の共触媒は、存在し得る。
【0035】
別の実施形態では、該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物は、単一反応器システムにおける溶液重合プロセス、例えば、単一のループ反応器システムを介して生産され得、エチレン及び任意で1つ以上のα−オレフィンは、1つ以上の触媒システムの存在下で重合化される。さらに、1つ以上の共触媒は、存在し得る。
【0036】
最終用途
本発明による該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物は、フィルムに形成されることができ、様々な包装用途、例えば、食品包装用途に使用される。本発明のエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物は、例えば、吹込みフィルムプロセスを介してフィルムに形成され得る。1つの実施形態では、該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物は、吹込みフィルムプロセスを介して単層フィルムに形成される。別の実施形態では、エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物は、多層吹込みフィルム構造に形成され得る。別の実施形態では、該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物は、1つ以上の基板に関連する単層または多層吹込みフィルム構造に形成され得る。本発明によって調製される吹込みフィルムは、様々な包装用途、例えば、切りたての農産物及びスナック等の食品包装用途に使用され得る。本発明による該吹込みフィルムは、1.25ミル〜4ミルの範囲の厚さを有する。本発明による該吹込みフィルムは、23℃及び0%の相対湿度で測定された、600〜800、例えば、650〜750、例えば、約700ccミル/100平方インチ−日−気圧の範囲の酸素透過率を有する。本発明による該吹込みフィルムは、38℃、100%の相対湿度で、1.1〜1.4、例えば、約1.2gmミル/100平方インチ−日の範囲の水蒸気透過率を有する。
【実施例】
【0037】
以下の実施例は、本発明を説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施例は、本発明の該エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物が、酸素透過率ならびに水蒸気透過率の許容レベルを維持しながら、改善された加工性ならびに光学特性を提供することを証明する。
【0038】
比較例1
比較例は、0.9155g/cmの密度と、1.47g/10分のメルトインデックスIと、を有するエチレン−オクテンインターポリマーであり、The Dow Chemical CompanyからELITE(商標)5500Gの商品名で市販されている。
【0039】
本発明の実施例1の生産
本発明の組成物1は、表1〜4に報告される条件に従って以下のプロセスによって調製する。
【0040】
すべての原料(エチレン、1−オクテン)及びプロセス溶媒(ExxonMobil Chemical CorporationからIsopar Eの商品名で市販されている、狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒)は、反応環境への導入前に分子篩で精製する。高純度水素を、共有されるパイプラインによって供給し、それを、反応器への配送前に、500psigの反応圧力以上に機械的に加圧し、いかなる潜在的な残留湿気を分子篩4Aを介して除去する。反応器モノマー供給(エチレン)ストリームを、500psigの反応圧力以上に機械的圧縮器を介して加圧する。溶媒供給物を500psigの反応圧力以上に機械的に加圧する。コモノマー(1−オクテン)供給物もまた、500psigの反応圧力以上に機械的に加圧し、第2の反応器に対する組み合わされた供給ストリームへ直接注入する。3つの触媒構成成分を第1の反応器へ注入する(表1に定義される、CAT−B、RIBS−2、及びMMAO−3A)。RIBS−2触媒構成成分を最適濃度まで希釈する。CAT−BならびにMMAO−3A触媒構成成分を、反応器への注入前に、精製された溶媒(Isopar E)で最適濃度までさらに回分式で希釈する。2つの触媒構成成分を第2の反応器へ注入する(Ziegler−Natta premix、及びトリエチルアルミニウム(TEA)。すべての触媒構成成分を500psigの反応圧力以上に独立的に機械的に加圧する。すべての反応器触媒供給フローを質量フローメーターで測定し、容積型定量ポンプ型で独立に制御した。
【0041】
継続溶液重合反応器は、直列配置で操作する、2つの、液体が入った、非断熱、等温、循環する、独立に制御されたループで構成される。各反応器は、全ての未使用の溶媒、モノマー、コモノマー、水素、ならびに触媒構成成分供給物の独立した制御を有する。各反応器への組み合わされた溶媒、モノマー、コモノマー、ならびに水素供給物は、供給ストリームを一連の熱交換機に通過させることによって、10℃〜50℃の間、典型的に、15℃まで独立的に温度制御する。重合反応器への未使用のコモノマー供給物は、第1の反応器、第2の反応器、またはその後、共有される溶媒供給物分割に比例して、両方の反応器の間で分割される共通の溶媒の3つの選択肢のうちの1つにコモノマーを添加するために整列させることができる。本実施例では、コモノマーは、第2の反応器へ供給する。各重合反応器への総未使用供給物は、各注入位置の間でほぼ同等な反応器量で、1つの反応器あたり2つの位置で反応器へ注入される。第1の反応器への未使用の供給物は、総未使用供給物質量フローの半分を受ける各注入器で典型的に制御する。連続する第2反応器への未使用の供給物は、典型的に、各注入器の近くの総エチレン質量フローの半分を維持するために制御し、第1反応器からの未反応エチレンは、より低い圧力の未使用の供給物に隣接する第2の反応器へ進入するため、この注入器は、大抵、第2の反応器への総未使用の供給物質量フローの半分未満を有する。第1の反応器に対する触媒構成成分を、特別に設計された注入針を通して重合反応器へ注入し、反応器の前に接触時間を有さずに、第1の反応器における同じ相対的位置へ、それぞれ別々に注入する。第2の反応器に対する触媒構成成分(Ziegler−Natta premix及びTEA)を、特別に設計された注入針を通して第2の重合反応器へ注入し、第2の反応器における同じ相対的位置へ、それぞれ注入する。
【0042】
各反応器に対する1番目の触媒構成成分供給物(第1の反応器に対してCAT−B及び第2の反応器に対してZiegler−Natta premix)を、特定の目標値に個々の反応器モノマー濃度を維持するためにコンピューター制御する。共触媒構成成分(第1の反応器に対してRIBS−2ならびにMMAO−3A、及び第2の反応器に対してTEA)を、1番目の触媒構成成分に対する計算された特定のモル比に基づいて供給する。各未使用の注入位置(供給物または触媒のいずれか)の直後に、供給ストリームを、Kenics静的混合要素を有する循環重合反応器の内容物と混合する。各反応器の内容物を、反応の熱の多くを除去することに関与する熱交換器を通し、特定の反応器温度での等温反応環境を維持することに関与する冷却剤側の温度で継続的に循環させる。各反応器ループの周りの循環は、ねじポンプによって提供される。第1の重合反応器からの流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒構成成分、及び溶解したポリマーを含有する)は、第1の反応器ループを出て、制御弁(特定の目標値に第1の反応器の圧力を制御することに関与する)を通過して、同様の設計の第2の重合反応器へ注入する。ストリームが第2の反応器を出た後、それを、反応を停止させるために水に接触させる。ストリームを、その後、水性触媒獲得物及びいかなる添加物を均等に分散させるために、Kenics静的混合要素の別の組に通す。
【0043】
添加剤の添加後、流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒構成成分、及び溶解したポリマーを含有する)を、他のより低い沸騰反応構成成分からのポリマーの分離に備えてストリーム温度を上昇させるために、熱交換器を通過させる。ストリームは、その後、二段階分離、及びポリマーが、溶媒、水素、及び未反応モノマーならびにコモノマーから除去される液化システムに進入する。再生ストリームを、再度、反応器に進入する前に精製する。分離され、液化されたポリマー溶解物を、その後、単一スクリュー押出機によってプロセスへ注入されるポリマー溶解物内に含有される追加の添加剤の小さい付随するストリームと組み合わせる。これらの添加剤を、Kenics静的混合要素の別の組によって主なプロセスのポリマー溶解物と混合する。十分に添加剤を充填させたポリマーストリームは、その後、水中でのペレット化のために特別に設計された金型に進入し、均一な固体のペレットに切り分け、乾燥させ、ホッパーに移動させる。
【0044】
液化ステップで除去された非ポリマー部分は、システムから除去され、冷却され、機械的に圧縮され、再利用のために軽質炭化水素処理工場へパイプラインを介して送り戻されるモノマーのほとんどを分離する設備の様々な部品を通過する。溶媒及びコモノマーのほとんどは、精製土台を通過後に反応器へ再循環させる。この溶媒は、先述の通りに反応器に再進入する前に未使用のコモノマーで強化される未反応コモノマーをその中にまだ有することができる。コモノマーのこの強化は、生産物密度制御法の不可欠な部分である。この再利用溶媒は、目標のポリマー分子量を得るために、その後、未使用の水素で強化されるいくつかの溶存水素を含有することができる。非常に少量の溶媒は、システムから一時的に離れ、それは、精製され、再使用されるか、または副産物としてシステムから除かれる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
比較例ならびに本発明の実施例の特性化
本発明の組成物1及び比較組成物1を、それらの特性に対して試験し、結果を表5〜12に報告する。表5は、メルトインデックス及び密度データを含む。表6は、示差走査熱量測定(DSC)データを要約する。表7ならびに8は、190℃で測定された動的機械的分光(DMS)データを要約する。表9は、190℃で測定された溶融強度データを含む。表10は、ゲル浸透クロマトグラフィーデータを要約する。表11は、結晶化溶出分別(CEF)データを要約する。
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】
【0054】
【表9】
【0055】
【表10】
【0056】
【表11】
【0057】
【表12】
【0058】
吹込みフィルムの生産
本発明の組成物1及び比較組成物1を、以下のプロセスに従って、それぞれ、本発明のフィルム1及び比較フィルム1に形成した。単分子層吹込みフィルムを、ポリエチレン「Davis標準バリアIIねじ」で「8インチ金型」上で作製した。空気環による外部冷却及び内部バブル冷却を使用した。各吹込みフィルムを生産するために使用される一般的な吹込みフィルムパラメータを、表13に報告する。ポリマーは、金型を通して押し出されるため、温度は、増加する順番で、パレットホッパー(バレル1)に最も近い温度である。
【0059】
【表13】
【0060】
吹込みフィルムの最大生産率の判定のためのフィルムの生産
本発明の組成物1及び比較組成物1を、以下のプロセスに従って、それぞれ、本発明のフィルム1及び比較フィルム1に形成した。サンプルを、制御した速度で、及び最大速度で作製した。制御された速度は、250lb/時であり、それは、10.0lb/時/インチの金型の円周の生産率と同等であった。最大生産試験のために使用された金型の直径は、例として、制御した速度に対して、金型の円周の「lb/時」と「lb/時/インチ」との間の変換が、以下の方程式で示されるように、8インチの金型であった。同様に、そのような方程式は、「lb/時/インチ」の金型の円周を判定するための以下の方程式に最大速度を代入することによって、最大速度等の他の速度に対して使用することができる。
Lb/時/インチの金型の円周=(250Lb/時)/(8π)=10
【0061】
規定のサンプルに対する最大速度は、バブルの安定性が、制限要因となる時点まで生産率を増加させることによって判定した。押出機プロファイルは、両方のサンプル(標準速度及び最大速度)に対して維持したが、しかしながら、溶融温度は、より高いモーター速度(rpm、1分あたりの回転)を有する増加したせん断速度のために、最大速度のサンプルのほうが高かった。最大のバブルの安定性は、バブルが、空気環に座っていなくなる時点までバブルを持っていくことによって判定した。その時点で、速度を、バブルが空気環に再び座るまで減少させ、その後、サンプルを収集した。バブルの冷却は、空気環を調整し、バブルを維持することによって調整した。これを、バブルの安定性を維持しながら、最大生産率として取った。
【0062】
本発明のフィルム1の特性を測定し、表14に報告する。得られた最大吹込みフィルム速度を表15に記載する。
【0063】
【表14】
【0064】
【表15】
【0065】
試験方法
試験方法は、以下を含む。
【0066】
密度
密度測定のためのサンプルをASTM D4703−10に従って調製した。
サンプルを374°F(190℃)で、5分間、10,000psi(68MPa)で加圧した。温度を374°F(190℃)で5分間維持し、その後、圧力を3分間、30,000psi(207MPa)まで増加した。この後、70°F(21℃)で、30,000psi(207MPa)で、1分間保持した。測定は、ASTM D792−08、方法Bを使用して、1時間以内のサンプルの加圧で行った。
【0067】
メルトインデックス
メルトインデックス(I)は、ASTM D1238−10、条件190℃/2.16kg、方法Aに従って測定し、10分あたりの溶出したグラムで報告した。
【0068】
メルトインデックス(I10)は、ASTM D1238−10、条件190℃/10kg、方法Aに従って測定し、10分あたりの溶出したグラムで報告した。
【0069】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
サンプルを高温GPC機器(モデルPL220、Polymer Laboratories,Inc.、現在Agilent)で分析した。従来のGPC測定を使用して、ポリマーの重量平均分子量(Mw)ならびに数平均分子量(Mn)を判定し、分子量分布、MWD、またはMw/Mnを判定した。z平均分子量、Mzも判定した。方法は、流体力学的容積の概念に基づく周知の万能較正方法を使用し、較正は、140℃のシステム温度で操作する3つの10μm混合Bカラム(Polymer Laboratories,Inc.、現在Agilent)と共に、狭いポリスチレン(PS)基準を使用して行った。ポリエチレンサンプルは、サンプルを160℃のTCB中で4時間ゆっくりと撹拌することによって、1,2,4−トリクロロベンゼン溶媒の2mg/mlの濃度で調製した。流量は、1.0mL/分であり、注入サイズは、200マイクロリットルであった。クロマトグラフ溶媒及びサンプル調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有した。両方の溶媒源は、窒素でまき散らした。ポリスチレン基準の分子量は、文献(T.Williams and I.M.Ward,Polym.Letters,6,621−624(1968))で議論される通り、0.4316の修正係数を使用してポリエチレン等価分子量に変換した。三次多項式を使用して、それぞれの基準のポリエチレン等価分子量を観察された溶出量に合わせた。
【0070】
結晶化溶出分別(CEF)法
コモノマー分布分析は、結晶化溶出分別(CEF)(スペインのPolymerChar)で行った(B Monrabal et al,Macromol.Symp.257,71−79(2007)。600ppmの抗酸化ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を有するオルトジクロロベンゼン(ODCB)を、溶媒として使用する。サンプル調製は、4mg/mlでの振動下で、2時間、160℃のオートサンプラーで行う(別途指定されない限り)。注入量は、300μlである。CEFの温度プロファイルは、110℃〜30℃での3℃/分の結晶化、5分間、30℃での熱平衡、30℃〜140℃での3℃/分の溶出である。結晶化の間の流量は、0.052ml/分である。結晶化の間の流量は、0.50ml/分である。データは、1データ点/秒で収集する。CEFカラムは、1/8インチのステンレス管で、125μm±6%のガラスビーズ(MO−SCI Specialty Products)で、Dow Chemical Companyによって充填される。ガラスビーズは、Dow Chemical Companyからの要求で、MO−SCI Specialtyによって酸洗いされる。カラム体積は、2.06mlである。カラム温度較正は、ODCB中のNIST標準参照材料線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とEicosane(2mg/ml)との混合物を使用することによって行う。温度は、NIST線状ポリエチレン1475aが、101.0℃のピーク温度を有し、Eicosaneが、30.0℃のピーク温度を有するように、溶出加熱速度を調整することによって較正する。CEFカラム分離は、NIST線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とヘキサコタン(Fluka、purum、≧97.0%、1mg/ml)との混合物で計算する。ヘキサコタンならびにNISTポリエチレン1475aのベースライン分離が得られる。ヘキサコタン(35.0〜67.0℃)の面積対NIST1475aの面積67.0〜110.0℃は、半々であり、35.0℃以下の可溶性画分の量は、<1.8重量%である。CEFカラム分離は、以下の方程式で定義される。
【0071】
【数1】
【0072】
カラム分離は、6.0である。
【0073】
溶融強度
溶融強度測定を、Gottfert Rheotester2000毛管レオメータに取り付けられたGottfert Rheotens71.97(Goettfert Inc.Rok Hill、SC)上で実行した。融解サンプル(約25〜30グラム)を、30mmの長さの平らな入口角(180度)、2.0mmの直径、ならびに15のアスペクト比(長さ/直径)を備えるGottfert Rheotester2000毛管レオメータで供給した。190℃で10分間サンプルを平衡化した後、0.265mm/秒の一定ピストン速度でピストンを作動させた。標準試験温度は、190℃であった。サンプルを、2.4mm/秒の加速度で、金型の下100mmに配置される1組の加速ニップへ一軸的に引き出した。張力をニップロールの巻き取り速度の機能として記録した。らせん構造が破壊する前に、溶融強度をプラトー力(cN)として記録した。以下の条件を、溶融強度測定で使用した。プランジャー速度=0.265mm/秒、車輪加速度=2.4mm/秒、キャピラリー直径=2.0mm、キャピラリー長さ=30mm、及びバレル直径=12mm。
【0074】
動的機械的分光(DMS)
樹脂を、空気中で、1500psiの圧力下で5分間350°Fで、「3mmの厚さ×1インチ」の円形プラークへ圧縮成形した。サンプルを、その後、プレス機から取り出し、冷却させるためにカウンター上に配置した。
【0075】
一定の温度周波数掃引は、窒素でパージしながら、25mm(直径)の平行板を備えるTA Instruments「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を使用して行った。サンプルを板の上に配置し190℃で5分間融解させた。板を、その後、「2mm」のギャップまで閉じ、サンプルを切り取り(「25mmの直径」の板の円周を超えて延びる余分なサンプルを除去した)、その後、試験を開始した。方法は、温度平衡を可能にさせるために、追加の5分遅延を組み込ませた。実験は、0.1〜100rad/秒の周波数範囲にわたって、190℃で行った。ひずみ振幅は、10%で一定であった。複素粘度η、タン(δ)またはタンデルタ、0.1rad/秒(V0.1)での粘度、100rad/秒(V100)での粘度、及び粘度比(V0.1/V100)をこれらのデータから計算した。
【0076】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの融解ならびに結晶化挙動を測定した。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)及びオートサンプラーを備えたTA Instruments Q1000DSCを使用して、この分析を行った。試験の間、50ml/分の窒素パージガスフローを使用した。各サンプルを約175℃で薄フィルムへ融解加圧し、融解サンプルを、その後、室温(約25℃)まで空冷した。フィルムサンプルは、「0.1〜0.2グラム」のサンプルを、175℃で、1,500psiで、30秒加圧することによって形成し、「0.1〜0.2ミルの厚さ」のフィルムを形成した。3〜10mg、6mm直径の試料を、冷却されたポリマーから抽出し、重量を計り、軽アルミニウム皿(ca50mg)に配置し、波形に閉じた。その後、その熱特性を判定するために分析を行った。
【0077】
サンプルの熱挙動は、熱フロー対温度プロファイルを作成するために、サンプル温度を上げ下げすることによって判定した。まず、サンプルは、その熱履歴を取り除くために、180℃まで急速に加熱し、5分間等温を保持した。次に、サンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、5分間−40℃で等温を保持した。サンプルを、その後、10℃/分の加熱速度で150℃(これは、「第2の熱」上昇)まで加熱した。冷却ならびに第2の加熱曲線を記録した。冷却曲線は、結晶化の開始から−20℃までのベースライン終点を設定することによって分析した。熱曲線は、−20℃から融解の終了までのベースライン終点を設定することによって分析した。判定された値は、ピーク融解温度(T)、ピーク結晶化温度(T)、融解熱(H)(1グラムあたりのジュールで)及び%結晶化度=(H)/(292J/g)×100を使用する、ポリエチレンサンプルに対する計算された%結晶化度であった。融解熱(H)及びピーク融解温度を第2の熱曲線から報告した。ピーク結晶化温度を冷却曲線から判定する。
【0078】
フィルム試験
以下の物理的特性は、実験項目に記載される通りにフィルム上で測定した。
【0079】
総(全)ヘイズ及び内部ヘイズ:内部ヘイズ及び総ヘイズをASTM D1003−07に従って測定した。内部ヘイズは、フィルムの各表面にコーティングとして塗った鉱油(小さじ1−2)を使用して屈折率整合を介して得た。Hazegard Plus(BYK−Gardner USA、Columbia、MD)を試験のために使用した。各試験に対して、5つのサンプルを検査し、平均を報告した。サンプルの寸法は、「6インチ×6インチ」であった。
【0080】
45°グロス:ASTM D2457−08(平均5枚のフィルムサンプル;各サンプル「10インチ×10インチ」)。
【0081】
透明度:ASTM D1746−09平均5枚のフィルムサンプル;各サンプル「10インチ×10インチ」)。
【0082】
2%割線係数−MD(機械方向)ならびにCD(横方向):ASTM D882−10(各方向で平均5枚のフィルムサンプル;各サンプル「1インチ×6インチ」)。
【0083】
MDならびにCDエルメンドルフ引裂度:ASTM D1922−09(各方向で平均15枚のフィルムサンプル;各サンプル「3インチ×2.5インチ」の半月型)。
【0084】
MDならびにCD引張強度:ASTM D882−10(各方向で平均5枚のフィルムサンプル;各サンプル「1インチ×6インチ」)。
【0085】
ダート衝撃強度:ASTM D1709−09(50%の失敗率を得るための最低20回の落下;典型的に10枚の「10インチ×36インチ」の細長い片)。
【0086】
酸素透過は、ccミル/100平方インチ−日−atmで、23℃及び0%の相対湿度の較正されたMocon OX−TRAN(登録商標)2/21ユニットを介したASTM D−3985を介して測定した。
【0087】
水蒸気透過率は、38℃及び100%の相対湿度の較正されたMocon PERMATRAN−W(登録商標)700ユニットを介したASTM F−1249を介して測定した。
【0088】
本発明は、その精神及び本質的な属性から逸脱することなく他の形で具体化され得、それに応じて、本発明の範囲を示す通りに、前述の明細書ではなく、添付の請求項への言及を行うべきである。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
80重量%超のエチレンに由来する単位と、20重量%以下の1つ以上のアルファオレフィンコモノマーに由来する単位とを含む、吹込みフィルム用途に適するエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物であって、前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーは、0.910〜0.918g/cmの範囲の密度と、0.5〜1.1g/10分の範囲のメルトインデックスIと、8〜10の範囲のメルトフロー比I10/Iと、3〜6cNの範囲の溶融強度と、CEFによって判定される8〜15%の範囲の最高温度分別と、96〜100℃の範囲のCEFによる最高ピーク温度分別と、2〜5%の範囲のCEFからの最低温度分別と、120〜124℃の範囲の最高温度溶融ピークを有する3つの溶融ピークを有するDSC熱曲線と、40〜50%の範囲の結晶化度と、を有する、前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物。
[2]
[1]に記載の前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物を含む、吹込みフィルム。
[3]
前記吹込みフィルムは、20%未満の範囲の全ヘイズを有することを特徴とし、前記フィルムは、1ミルの厚さを有し、前記ポリオレフィン組成物は、1つ以上のブロッキング防止剤と、1つ以上のスリップ剤と、をさらに含み、前記フィルムは、前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物の必要な特性範囲以外の1つ以上の特性を有する別のエチレン系ポリマーより、少なくとも10%の生産率の増加を有する吹込みフィルムプロセスを介して生産される、[2]に記載の前記吹込みフィルム。
[4]
前記別のエチレン系ポリマー組成物は、前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物の必要なメルトインデックス範囲以外のメルトインデックスを有する、[3]に記載の前記吹込みフィルム。
[5]
前記吹込みフィルムは、20%未満の範囲の全ヘイズを有することを特徴とし、前記フィルムは、1ミルの厚さを有し、前記フィルムは、前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物の必要な特性範囲以外の1つ以上の特性を有する別のエチレン系ポリマーより、少なくとも10%の生産率の増加を有する吹込みフィルムプロセスを介して生産される、[2]に記載の前記吹込みフィルム。
[6]
[1]に記載の前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物と、1つ以上のLDPEまたは1つ以上のLLDPEと、を含む、組成物。
[7]
1つ以上の層を含む物品であって、前記層のうちの少なくとも1つは、[1]に記載の前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物を含む、物品。
[8]
前記エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー組成物は、1つ以上のLDPEまたは1つ以上のLLDPEと混合される、[7]に記載の前記物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6