特許第6395831号(P6395831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6395831被膜植え込みシステム、および、被膜とステントとをそれぞれ植え込むシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395831
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】被膜植え込みシステム、および、被膜とステントとをそれぞれ植え込むシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/954 20130101AFI20180913BHJP
   A61F 2/07 20130101ALI20180913BHJP
   A61F 2/966 20130101ALI20180913BHJP
【FI】
   A61F2/954
   A61F2/07
   A61F2/966
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-530344(P2016-530344)
(86)(22)【出願日】2014年8月13日
(65)【公表番号】特表2016-525007(P2016-525007A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】CN2014084320
(87)【国際公開番号】WO2015196538
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2016年2月2日
(31)【優先権主張番号】201410293146.X
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517453243
【氏名又は名称】北京天助瑞▲暢▼医▲療▼技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100117422
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 かおり
(72)【発明者】
【氏名】レイ リー
【審査官】 落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−518620(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/104324(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0338760(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0101563(US,A1)
【文献】 米国特許第5571172(US,A)
【文献】 特表2001−522292(JP,A)
【文献】 特表2001−519694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/954
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ガイドワイヤ(203)、前記本体ガイドワイヤ(203)に移動可能にスリーブとして取り付けられたガイドコア(205)、および被膜を解放可能に収納するガイドシース(206)を含み、前記ガイドシース(206)が前記ガイドコア(205)の外部に移動可能にスリーブとして取り付けられ、前記ガイドシース(206)が前記被膜を解放した後に、前記被膜の軸方向位置を調整する調整機構を備え、当該調整機構が前記被膜に解放可能に接続されており、
前記被膜が円筒状構造に形成された本体部(201)と当該本体部(201)に接続された分枝部(202)とを含み、
分枝部(202)を貫通する分枝ガイドワイヤ(204)をさらに備え、前記調整機構が当該分枝ガイドワイヤ(204)に設置されたストッパノット(211)を含み、前記分枝部(202)に当該ストッパノット(211)の前方に位置するストッパホール(210)が設置され、前記ストッパノット(211)のサイズが前記ストッパホール(210)のサイズより大きい、被膜植え込みシステム。
【請求項2】
前記調整機構が前記本体部(201)の前端に解放可能に接続された前端制御ワイヤ(207)および転回伝動構造(209)を含み、前記前端制御ワイヤ(207)が前記転回伝動構造(209)により後方に転回しながら伸びており、前記ガイドシース(206)と前記ガイドコア(205)が前記本体部(201)の前端から後方に伸び、前記転回伝動構造(209)が前記ガイドコア(205)に設置され、前記前端制御ワイヤ(207)が前記本体部(201)の前端から引き出されて前記転回伝動構造(209)により転回しながら前記ガイドコア(205)を貫通して後方に伸びている、請求項1に記載の被膜植え込みシステム。
【請求項3】
前記被膜が円筒状構造に形成された本体部(201)を含み、前記調整機構が前記本体部(201)の前端に解放可能に接続された前端制御ワイヤ(207)を含み、且つ当該前端制御ワイヤ(207)が前記ガイドコア(205)に接続されている、請求項1に記載の被膜植え込みシステム。
【請求項4】
前記調整機構は、前記本体部(201)の後端に解放可能に接続される後端制御ワイヤ(208)をさらに含み、当該後端制御ワイヤ(208)が後方に伸びている、請求項1に記載の被膜植え込みシステム。
【請求項5】
前記ストッパホール(210)は、接続線を介して前記分枝部(202)に接続されたストッパリングから形成され、前記ストッパリングが前記分枝部(202)の前端縁と間隔をあけて設置されている、請求項1に記載の被膜植え込みシステム。
【請求項6】
前記接続線は、複数本であって、前記分枝部の円周方向に沿って均一に前記分枝部(202)に解放可能に接続されている、請求項5に記載の被膜植え込みシステム。
【請求項7】
前記ストッパノット(211)は、前記分枝ガイドワイヤ(204)に解放可能に設置されている、請求項1に記載の被膜植え込みシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の被膜植え込みシステムと、ステントを解放可能に収納して輸送するステント輸送装置(214)とを含む、被膜とステントをそれぞれ植え込む植え込みシステム。
【請求項9】
前記ステント輸送装置(214)が前記ガイドコア(205)の外部にスリーブとして取り付けられ、且つ前記植え込みシステムは、前記ガイドコア(205)を前記ガイドシース(206)に対して固定するガイドコアロック部材(213)をさらに含み、前記ガイドコアロック部材(213)が前記ガイドコア(205)に固定して接続され且つ第一のロック部(2131)と第二のロック部(2132)を有し、前記第一のロック部(2131)と前記第二のロック部(2132)がそれぞれガイドコア(205)をロック解除可能にロックし且つ前記ガイドコア(205)の軸方向に沿って間隔をあけて設置されている、請求項8に記載の植え込みシステム。
【請求項10】
前記ガイドコアロック部材(213)は、第一のロック位置と第二のロック位置とを有し、
前記第一のロック位置において、前記第一のロック部(2131)がロックを解除し、当該前記第一のロック部(2131)の前方に位置する前記第二のロック部(2132)が前記ガイドコア(205)をロックし、前記ガイドコア(205)にスリーブとして取り付けられた前記ステント輸送装置(214)が前記ガイドコア(205)に沿って前記第一のロック部(2131)と第二のロック部(2132)の間にスライドし、
前記第二のロック位置において、前記第一のロック部(2131)が前記ガイドコア(205)をロックし、前記第二のロック部(2132)がロックを解除し、前記ステント輸送装置が前記第二のロック部(2132)により前方へ移動する、請求項9に記載の植え込みシステム。
【請求項11】
前記ステント輸送装置は、前記ガイドコア(205)の外部にスリーブとして取り付けられ、前記ガイドコア(205)は、前記本体ガイドワイヤ(203)が貫通するためのガイドワイヤホール(2053)および当該ガイドワイヤホール(2053)の周りに設置された制御ワイヤホール(2052)を含み、当該制御ワイヤホール(2052)が前記ガイドコア(205)の側壁に形成されて前記ガイドコア(205)と同じ方向に伸び、且つ前記ガイドコア(205)の外壁が前記ステント輸送装置の成形面に接続された非円形断面構造を有し、当該非円形断面構造が前記制御ワイヤホール(2052)を形成する突出部を有する、請求項8に記載の植え込みシステム。
【請求項12】
前記植え込みシステムは、大動脈弓血管の3本の分枝血管に前記被膜とステントを植え込むことに用いられる、請求項8に記載の植え込みシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被膜ステントの被膜植え込み分野に関し、具体的には被膜植え込みシステムならびに当該被膜植え込みシステムを使用し、被膜とステントとをそれぞれ植え込むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の到来に伴い、心血管疾患が増加している。大動脈弓に病変が発生する場合、血液と患部を隔離して、大動脈弓の血管壁の圧力を軽減させる必要がある。大動脈弓は、曲げ且つ複数の分枝を有する大血管であり、大動脈弓の腕頭動脈、左頸動脈および左鎖骨下動脈が存在する3本の分枝が大きく変異し、直径がそれぞれ異なり、間隔および大動脈弓との角度もそれぞれ異なる。それに関して、被膜ステントが必要となり、それらの被膜が人工血管の役割を果たして血流を3本の分枝にガイドし、それらのステントが被膜を半径方向に支持してアンカリングする役割を果たす。従来技術において、この被膜ステントの植え込み方式は、被膜とステントとが同時に植え込まれ、即ち被膜が事前にステントにコーティングされてステントと同時に血管に植え込まれる。しかし、この方式は、以下の問題を有する。
1.被膜ステントが植え込まれた植え込みシステムのサイズが大きすぎ、血管での輸送に不便を与える、
2.被膜の本体部と分枝部とは、3本の分枝血管に位置決めされることが困難であり、植え込み難度が高い、
3.被膜の内部漏出率が高く、治療効果が悪い、
4.異なる患者に対して異なる被膜をカスタマイズする必要があるので、患者が手術を待つ時間が長く、且つコストが高い。
【0003】
したがって、上記の少なくとも一つの問題を解決できる被膜およびその植え込みシステムの改良は明確な意義がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、解放された被膜の軸方向の位置調整を実現できる被膜植え込みシステムおよび当該被膜植え込みシステムを使用する、被膜およびステントをそれぞれ植えシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による被膜植え込みシステムは、本体ガイドワイヤ、前記本体ガイドワイヤに移動可能にスリーブとして取り付けられたガイドコア、および被膜を解放可能に収納するガイドシースを含み、前記ガイドシースが前記ガイドコアの外部に移動可能にスリーブとして取り付けられ、前記被膜植え込みシステムは、前記ガイドシースが前記被膜を解放した後に、前記被膜の軸方向位置を調整する調整機構を備え、当該調整機構が前記被膜に解放可能に接続される。
【0006】
好ましくは、前記被膜が円筒状構造に形成された本体部を含み、前記調整機構が前記本体部の前端に解放可能に接続された前端制御ワイヤおよび転回伝動構造を含み、前記前端制御ワイヤが前記転回伝動構造により後方に転回しながら伸びる。
【0007】
好ましくは、前記被膜が円筒状構造に形成された本体部を含み、前記調整機構が前記本体部の前端に解放可能に接続された前端制御ワイヤを含み、且つ当該前端制御ワイヤが前記ガイドコアに接続される。
【0008】
好ましくは、前記ガイドシースと前記ガイドコアが後方に伸び、前記転回伝動構造が前記ガイドコアに設置され、前記前端制御ワイヤが前記本体部の前端から引き出されて前記転回伝動構造により転回されて前記ガイドコアを貫通して後方に伸びる。
【0009】
好ましくは、前記転回伝動構造は、前記前端制御ワイヤが貫通するための転回ホール構造である。
【0010】
好ましくは、前記ガイドコアに前記本体部の前方に位置するガイドヘッドが固定され、当該ガイドヘッドが前記ガイドシースの前方に位置して流線型構造を有し、前記転回伝動構造は、前記ガイドヘッドに設置される。
【0011】
好ましくは、前記調整機構は、前記本体部の後端に解放可能に接続される後端制御ワイヤをさらに含み、当該後端制御ワイヤが後方に伸びる。
【0012】
好ましくは、前記被膜が円筒状構造に形成された本体部と当該本体部に接続された分枝部を含み、前記被膜植え込みシステムは、分枝部を貫通する分枝ガイドワイヤをさらに含み、前記調整機構が当該分枝ガイドワイヤに設置されたストッパノットを含み、前記分枝部に当該ストッパノットの前方に位置するストッパホールが設置され、前記ストッパノットのサイズが前記ストッパホールのサイズより大きい。
【0013】
好ましくは、前記ストッパホールは、接続線を介して前記分枝部に接続されたストッパリングから形成され、前記ストッパリングが前記分枝部の前端縁と間隔をあけて設置される。
【0014】
好ましくは、前記接続線は、複数本であって円周方向に沿って均一に前記分枝部に解放可能に接続される。
【0015】
好ましくは、前記ストッパノットは、前記分枝ガイドワイヤに解放可能に設置される。
【0016】
好ましくは、被膜植え込みシステムは、前記ガイドコアを前記ガイドシースに対して固定するガイドコアロック部材をさらに含む。
【0017】
本発明の別の態様による被膜とステントをそれぞれ植え込む植え込みシステムは、本発明による被膜植え込みシステムおよびステントを解放可能に収納して輸送するステント輸送装置を含む。
【0018】
好ましくは、前記ステント輸送装置は、前記ガイドコアの外部にスリーブとして取り付けられ、且つ前記植え込みシステムは、前記ガイドコアを前記ガイドシースに対して固定するガイドコアロック部材をさらに含み、前記ガイドコアロック部材が前記ガイドコアに固定して接続され且つ第一のロック部と第二のロック部を有し、前記第一のロック部と前記第二のロック部がそれぞれガイドコアをロック解除可能にロックし且つ前記ガイドコアの軸方向に沿って間隔をあけて設置される。
【0019】
好ましくは、前記ガイドコアロック部材は、第一のロック位置と第二のロック位置を含み、前記第一のロック位置に、前記第一のロック部がロックを解除し、当該前記第一のロック部の前方に位置する前記第二のロック部が前記ガイドコアをロックし、前記ガイドコアにスリーブとして取り付けられた前記ステント輸送装置が前記ガイドコアに沿って前記第一のロック部と第二のロック部の間にスライドし、前記第二のロック位置に、前記第一のロック部が前記ガイドコアをロックし、前記第二のロック部がロックを解除し、前記ステント輸送装置が前記第二のロック部により前方へ移動する。
【0020】
好ましくは、前記ステント輸送装置は、前記ガイドコアの外部にスリーブとして取り付けられ、前記ガイドコアは、前記本体ガイドワイヤが貫通するためのガイドワイヤホールおよび当該ガイドワイヤホールの周りに設置された制御ワイヤホールを含み、当該制御ワイヤホールが前記ガイドコアの側壁に形成されて前記ガイドコアと同じ方向に伸び、且つ前記ガイドコアの外壁が前記ステント輸送装置の成形面に接続された非円形断面構造を有し、当該非円形断面構造が前記制御ワイヤホールを形成する突出部を有する。
【0021】
好ましくは、前記植え込みシステムは、大動脈弓血管の3本の分枝血管に前記被膜とステントを植え込むことに用いられる。
【0022】
本発明の別の態様によるステントと被膜をそれぞれ植え込むという植え込む方法は、順次行われる被膜植え込みステップとステント植え込みステップを含み、前記植え込みステップにおいて、まず本体ガイドワイヤを血管に挿入し、そして前記本体ガイドワイヤに沿って当該本体ガイドワイヤの内部に移動可能にスリーブとして取り付けられたガイドコアを血管に植え込み、次に被膜が解放可能に収納されたガイドシースを前記ガイドコアの外部に移動可能にスリーブとして取り付けて当該ガイドコアに沿って前記血管に植え込み、ガイドシースが前記被膜を解放した後に、調整機構により被膜の軸方向位置を調整し、且つ前記被膜調整が終了した後に、前記調整機構と前記被膜の接続を解放する。
【0023】
好ましくは、前記被膜の本体部の軸方向位置を調整する場合、前記本体部の前端を接続し且つ後方に転回して体外に伸びる前端制御ワイヤにより前記本体部の前方移動を実現する。
【0024】
好ましくは、前記本体部の後端を接続して後方に転回して体外に伸びる後端制御ワイヤにより前記本体部の後方移動を実現する。
【0025】
好ましくは、前記被膜植え込みステップにおいて、前記血管の分枝血管に分枝ガイドワイヤを挿入し、そして前記被膜の分枝部を前記分枝ガイドワイヤに移動可能にスリーブとして取り付け、前記被膜の分枝部の軸方向位置を調整する場合、前記分枝ガイドワイヤを操作することで前記分枝部の前方移動を実現することをさらに含む。
【0026】
好ましくは、前記ステント植え込みステップにおいて、ステントをステント輸送装置に解放可能に収納し、そして当該ステント輸送装置を前記ガイドコアに移動可能にスリーブとして取り付けて当該ガイドコアに沿って前記被膜に移動する。
【0027】
好ましくは、前記ステント輸送装置が前記ガイドコアにスリーブとして取り付けられ且つそれに沿って移動する過程において、前記ガイドコアは、常にガイドシースに対してロックされる。
【0028】
前記技術的解決手段により、本発明による被膜に解放可能に接続された調整機構は、解放された被膜の軸方向位置を調整することができるだけではなく、調整が終了した後に患者の血管の正常な動作に影響を与えない。
【0029】
本発明の他の特徴と利点を以下の具体的な実施形態部分において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の好ましい実施形態による被膜ステント植え込みシステムが大動脈弓の3本の血管内に被膜を植え込む構造の模式図である。
図2】本発明の好ましい実施形態による被膜ステント植え込みシステムの体外側の操作部分の構造の模式図である。
図3】本発明の好ましい実施形態による被膜ステント植え込みシステムの外部形状構造の模式図である。
図4】本発明の好ましい実施形態によるステント輸送装置の構造の模式図である。
図5】本発明の好ましい実施形態におけるガイドコアの断面構造の模式図である。
図6】本発明の好ましい実施形態による被膜の構造の模式図である。
図7図6の線A−Aに沿って切り出された断面構造の模式図である。
図8図6の線B−Bに沿って切り出された断面構造の模式図である。
図9】本発明の好ましい実施形態によるステントの平面構造の模式図である。
図10】本発明の好ましい実施形態によるステントの側面構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面は本発明に対するさらなる理解のために提供し、且つ説明書の一部を構成し、以下の具体的な実施形態と共に本発明を解釈することに用いられるが、本発明に対する制限を構成しない。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳しく説明する。ここに記載される具体的な実施形態は、本発明を説明して解釈するためだけであるが、本発明を制限することに用いられるものではないと理解すべきである。
本発明において、逆に説明しない場合、使用する方位単語例えば「内、外」が通常対応する物体の輪郭の内側と外側であり、「遠、近」がある部材の別の部材に対する遠近位置であり、「前、後」が通常ステントおよび関連部材が血管に沿う植え込み方向を基にして定義されるものであり、即ち対応する部材が前方へ血管に入り、後方へ血管から離脱する。これらの方位単語は、本発明を説明するためのだけであるが、本発明を制限することに用いられるものではない。
【0032】
従来技術の問題を解決するために、本発明による被膜ステント植え込み方法は、まず被膜を植え込み、次に被膜が精確に位置決められた後にステントを植え込み、即ち順次行われる被膜植え込みステップとステント植え込みステップとを含み、被膜とステントのそれぞれの植え込みを実現し、それによって被膜とステントとの構造を、正確に大動脈弓の3本の分枝血管壁に貼り合わることができる。本発明による被膜ステント植え込みシステム、方法は、大動脈弓の3本の分枝血管以外、被膜間に植え込む必要がある他の血管にも用いることができ、その応用位置の変形がいずれも本発明の保護範囲に含まれる。この植え込みシステムに加えて、本発明は、被膜とステントとの構造をさらに改良し、以下は被膜植え込み、ステント植え込み、被膜構造、ステント構造の4つの部分に分けて本発明を詳しく説明する。
【0033】
[被膜植え込み]
まず、以下に図1図3を参照して被膜ステントの被膜の植え込みシステム、方法を説明する。図1は本発明による被膜植え込みシステムの体内部分の構造を示し、図2は本発明による被膜植え込みシステムの体外側の構造を模式的に示し、図3は本発明による被膜植え込みシステムの全体外観構造を模式的に示す。
本発明による被膜植え込みシステムにおいて、被膜は、円筒状構造に形成された本体部201と当該本体部201に接続された分枝部202を含む。分枝部202の個数は、使用される血管の位置、例えば本発明の大動脈弓の3本の分枝血管の位置に依存し、それが第一の分枝部2021、第二の分枝部2022及び第三の分枝部2023を含み、それぞれ腕頭動脈、左頸動脈および左鎖骨下動脈に適応する。
本発明による被膜植え込み方法、システムは、体外側に被膜の軸方向位置を調整することができる。被膜の本体部201の前端と後端および分枝部202の前端に対する軸方向位置の調整を含む。具体的には、体外の一端に、例えば後端に被膜の本体部201に対して両端方向に向かう軸方向位置調整を行うことができる。また、分枝血管のガイドワイヤにより被膜の分枝部202に対して軸方向位置調整を行うことができる。それによって被膜を正確に3本の分枝の血管壁に貼り合わせることを実現する。さらに、本発明による被膜植え込みシステムは、その後のステント植え込み過程に位置決められた被膜位置が変化しないことを確保し、それによってステント全体の正確な位置決めを確保することができる。
【0034】
具体的には、被膜植え込みステップにおいて、まず本体ガイドワイヤ203を血管に挿入し、かつ本体ガイドワイヤ203に沿って移動可能に該本体ガイドワイヤ内のガイドコア205が血管に植え込まれる。次に被膜が解放可能に収納されたガイドシース206をガイドコア205の外部に移動可能にスリーブとして取り付けて、ガイドコア205に沿って血管に植え込み、ガイドシース206が被膜を解放した後、調整機構により被膜の軸方向位置を調整し、且つ被膜調整が終了した後、調整機構と前記被膜との接続を解放する。
【0035】
図1に示すように、本発明による被膜植え込みシステムは、本体ガイドワイヤ203、ガイドコア205とガイドシース206を含み、そのうち、ガイドコア205が本体ガイドワイヤ203に移動可能にスリーブとして取り付けられ、ガイドシース206が被膜の本体部201と分枝部202を収納し、且つガイドシース206がガイドコア205の外部に移動可能にスリーブとして取り付けられる。
被膜植え込みシステムは、ガイドシース206が被膜を解放した後に、被膜の軸方向位置を調整する調整機構を備え、調整機構が被膜に解放可能に接続される。これにより、被膜とその後のステントの植え込みが終了した後、被膜から解放して血管の外部に離脱することができる。
【0036】
さらに具体的には、本体ガイドワイヤ203は、好ましく超硬質のガイドワイヤであって、後方から血管に挿入され、その後の部材へのガイド役割を果たす。ガイドコア205に被膜の本体部201の前方に位置するガイドヘッド2051が固定され、当該ガイドヘッド2051が円錐形またはその他の流線型構造を有して、ガイドコア205を、血管壁に沿って移動するように非破壊的にガイドすることができる。ガイドコア205の内部は中空構造であって本体ガイドワイヤ203の外部にスリーブとして取り付けられて当該本体ガイドワイヤ203の軸方向に沿って移動する。分枝ガイドワイヤ204の個数は、分枝血管の個数に依存し、本発明の大動脈弓の3本の分枝血管の位置に、分枝ガイドワイヤ204が第一のガイドワイヤ2041、第二の分枝ガイドワイヤ2042と第三の分枝ガイドワイヤ2043を含んでそれぞれ大動脈の3本の分枝血管に対応する。ガイドシース206は、中空構造であって圧縮された被膜を収納でき、且つガイドシース206は、後方へ体外側に伸びることで制御することができ、例えば体外側のハンドルに位置する。ガイドシース206は、同様に後方へ伸びるガイドコア205の外側に移動可能にスリーブとして取り付けられて、制御されてガイドコア205と伴って同期に運動することだけでなく、ガイドコア205に沿って移動することができる。また、ガイドシース206の前端がガイドヘッド2051と接続関係を有さず、例えばガイドヘッド2051に当接してよく、ガイドヘッド2051と一定の間隔をあけて位置決められてもよい。被膜を解放する必要がある場合、ガイドシース206が後方へ被膜を離脱するように制御され、それによって被膜を解放する。この場合、ガイドシース206は、フィルムを被覆するまで離脱すればよく、その後のステントが植え込まれる場合の通路をとして用いられる。
【0037】
被膜を解放した後に被膜の本体部201の軸方向位置に対する精確な調整および位置決めを実現するため、本発明による調整機構は、前端制御ワイヤ207と後端制御ワイヤ208を含む。この2つの制御ワイヤは、それぞれ様々な本分野に既知の解放可能なモード、例えば電気的解放、機械的解放モードで被膜の本体部201の前端と後端に接続される。電気的解放モードが関連するワイヤにより体外に電流を印加して接続構造を溶融して解放して対応する部分の分離を実現するモードである。また、制御ワイヤの個数と接続位置が制限されなく、被膜の本体部201を安定に引っ張ることができればよい。例えば、本発明の好ましい実施形態において、前端制御ワイヤ207と後端制御ワイヤ208とはいずれも3本であり、且つ本体部201の円周方向に沿って等間隔で配置される。このようにして被膜の本体部201を安定して引っ張って前方または後方へ移動することを実現できる。図1において後端制御ワイヤ208と分枝ガイドワイヤ204とを明らかに表示するために、3本の後端制御ワイヤ208を、円周方向に沿って等間隔で配置するように表示しないが、これは、本発明に対する制限を構成するものではない。
【0038】
具体的には、被膜の本体部201の軸方向位置を調整する場合、本体部の前端を接続し且つ後方へ転回して体外の前端制御ワイヤ207に延びて前記本体部の前方移動を実現する。体外の一端に両側へ本体部201を引っ張って調整することを実現し、好ましい実施形態として、本発明の調整機構は、転回伝動構造209を含み、当該転回伝動構造209が対応する制御ワイヤを転回させることができる。本発明の好ましい実施形態において、前端制御ワイヤは、当該転回伝動構造209により後方に転回して伸びると、後方の体外側に被膜の前端を引っ張ることを実現でき、後方へ伸びる後端制御ワイヤ208と組み合わせて、本発明による植え込みシステムは、後方の体外側に被膜の両端を引っ張ることを実現できる。具体的には、転回伝動構造209は、被膜の本体部201の前方に設置さればよい。他の実施形態において、後端に前方へ被膜の前端を調整するモードにより、前端制御ワイヤ207をガイドコア205に接続することができる。具体的には、直接にガイドコア205に接続するまたはガイドヘッド2051に接続して間接にガイドコア205に接続することができる。このようにして前方へ被膜の前端を調整する必要がある場合、前方へガイドコア205をプッシュするだけでよい。また、他の実施形態において、被膜の後端を引っ張ることを実現するモードに対して、後端制御ワイヤ208を使用するモードだけではなく、他のモードがあってもよい。例えば後端制御ワイヤ208を設置せず、血流だけで被膜の後端をプッシュして血管壁に緊密に貼りつける。このような変形モードは、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0039】
本発明の好ましく実施形態において、具体的には、前端制御ワイヤ207は、ガイドコア205を移動可能に貫通し、転回伝動構造209が、ガイドコア205に設置され、好ましくは、ガイドヘッド2051に設置される。転回伝動構造209は、ガイドヘッド2051に形成された転回ホールであってよく、当該転回ホールは、直接にガイドヘッド2051にホールを開けることで得ることができ、ガイドヘッド2051に接続されたガイドリングを設置することで得ることもできる。このようにして、前端制御ワイヤ207は、被膜の本体部201の前端から引き出されてガイドコア205を貫通してガイドコア205に沿って後方へ伸びることができる。したがって、前側へ本体部201を移動する必要がある場合、後方の体外側に前端制御ワイヤ207を引っ張るのみで、本体部201を前方へ引っ張ることを実現でき、構造全体がシンプルであり且つ精巧である。
【0040】
また、本体部201の後端を接続して後方へ体外の後端制御ワイヤに伸ばすことで、本体部201の後方移動を実現する。具体的には、後端制御ワイヤ208は、直接に解放可能モードで本体部201の後端に接続され、そして後端から引き出されてガイドシース206を貫通してガイドシース206に沿って後方へ伸ばすことができる。このようにして、後方へ本体部201を引っ張る必要がある場合、直接に後方の本体外側に操作して後端制御ワイヤ208を後方へ引っ張ると、本体部201を後方へ移動させることができる。したがって、本発明による植え込みシステム及び方法により、1方の体外側に被膜の本体部201の軸方向位置に対する精確な調整を実現できる。
【0041】
以上、被膜の本体部201の軸方向位置の調整を説明した。以下、被膜の分枝部202の軸方向位置の調整を説明する。このため、被膜植え込みステップにおいて、被膜の分枝部202を分枝ガイドワイヤ204に移動可能にスリーブとして取り付ける。本発明の構想は、被膜の分枝部の軸方向位置調整を行う場合に、分枝ガイドワイヤ204を操作することで分枝部202の前方移動を実現することである。具体的には、本体部201が存在するので、植え込みシステムは、分枝部202に対して前方へ引っ張って血管壁に貼りつけるだけでよく、分枝部202を後方へ引っ張る必要がない。したがって、本発明は、分枝ガイドワイヤ204を利用して分枝部202の軸方向位置を調整し、分枝ガイドワイヤ204が後方へ伸びるガイドシース206を貫通してガイドシース206に沿って後方へ伸びる。具体的には、分枝ガイドワイヤ204で分枝部202を調整することを実現するために、調整機構は、分枝ガイドワイヤ204に設置されたストッパノット211を含み、且つ分枝部202にストッパホール210が設置され、ストッパノット211のサイズがストッパホール210のサイズより大きく、ストッパホール210がストッパノット211の前方に位置する。それによって、分枝部202を前方へ引っ張る必要がある場合、分枝ガイドワイヤ204を前方へ引っ張ることだけで、ストッパノット211は、ストッパホール210に係止して分枝部202を動かして前方へ運動する。
【0042】
ストッパノット211の形成モードは、2本のガイドワイヤを絡めて形成してもよいし、ガイドワイヤに付加的な部材を接続して形成してもよい。好ましくは、ストッパノット211は、分枝ガイドワイヤ204に解放可能に設置され、例えば2本のガイドワイヤを解放可能(電気的解放、機械的解放など)に前後に絡めることで形成される。当該ストッパノット211が分枝ガイドワイヤ204から解放する必要があるかどうかは、分枝ガイドワイヤ204の最後の離脱モードに依存し、分枝ガイドワイヤ204が前方から離脱するモードを採用すると、ストッパノット211は、分枝ガイドワイヤ204から解放されるように形成され、ガイドワイヤ204が後方から離脱するモードを採用すると、ストッパノット211は、分枝ガイドワイヤ204から解放される必要がなく、直接に後方から分枝ガイドワイヤから離脱すればよい。
【0043】
また、ストッパホール210を形成するモードは、分枝部202にストッパリングを接続することで形成することができ、当該ストッパリングが人体に植え込まれることができる金属で形成することができる。サイズが小さいので、当該ストッパリングは、被膜を伴って患者の体内に留置でき、血管病変を引き起こさない。また、分枝ガイドワイヤ204のガイドに影響を与えないために、好ましくは、接続ワイヤでストッパリングを分枝部202に接続させて、両者を、間隔をあけて設置し、このようにして分枝ガイドワイヤ204の分枝部202に対する磨耗を減少することができる。被膜の分枝部202を効果的に引っ張るために、接続線が複数本であって円周方向に沿って均一に分枝部202に解放可能に接続される。従って、分枝ガイドワイヤ204がより効果的に分枝部202を引っ張るように、ストッパリングが分枝部202の半径方向中心に位置する。この場合、接続線は、分枝部202から解放でき、従って、解放した後、ストッパリングは、分枝ガイドワイヤ204に伴って前方へ離脱することができる。この場合、ストッパノットが解放可能である必要がない。このようにして、ストッパリングを離脱させた後、後の血管の流れを妨害しない。また、ストッパノット211とストッパホール210とが他の変形モードを有していても、本発明の構想から逸脱することなく、種々の変形が本発明の保護範囲内に含まれる。
【0044】
図1に示すように、後端制御ワイヤ208と分枝ガイドワイヤ204は、ガイドシース206の内部を貫通するので、後のステントの植え込みを妨害することを避けるために、ガイドシース206の内壁にガイドシース206の伸び方向に沿って伸びるガイドワイヤ収納溝を設置することができる。それによって対応するワイヤは、ガイドシース206の内壁のみに延びて依然としてガイドシース206を貫通する後のステントの植え込みに影響を与えない。
【0045】
以下、図2を参照して本発明による被膜植え込みシステムの外部制御側の構造を説明する。外部制御部が対応する制御ワイヤとガイドワイヤを解放可能に固定するワイヤ固定部材212およびガイドコア205を前記ガイドシース206に対して固定するガイドコアロック部材213を含む。ワイヤ固定部材212の個数は、本発明に用いられるガイドワイヤと制御ワイヤとの個数に依存する。その構造は、当業者に対して既知の構造であって、例えば固定プラグを使用する構造であって、即ち、対応するワイヤを固定プラグに固定し、対応するワイヤを固定する必要がある場合、固定プラグをハンドルなどの固定基材に挿入して固定するだけでよい。ワイヤ固定部材212に対する種々の変形モードは、本発明の保護範囲に含まれる。また、ガイドシース206を被膜から離脱させて前端制御ワイヤ207により被膜を制御する場合に転回伝動構造209があるガイドコア205の位置を固定する必要があり、好ましくは、ガイドコアロック部材213をガイドコア205をガイドシース206に対して固定する。ガイドシース206が体外側に伸びてハンドルなどの基材に固定されるので、ガイドコア205の位置を固定することができる。当該ガイドコアロック部材213の実施形態が複数種類である。以下に被膜とステントとのそれぞれの植え込みと組み合わせてガイドコアロック部材213を詳しく説明する。
【0046】
[ステントの植え込み]
被膜が植え込まれた場合、ステントを植え込んで被膜を支持してアンカリングし、即ちステント植え込みステップを行う必要がある。本発明による被膜とステントとをそれぞれ植え込む植え込みシステムには、ステントを解放可能に収納して輸送するステント輸送装置214が含まれる。当該ステント輸送装置は、本分野の様々なステント植え込みモードを利用してステントを収納し、輸送して解放することができる。本発明によるステント植え込みステップにおいては、ステントを解放可能にステント輸送装置214に収納し、且つ当該ステント輸送装置241をガイドコア205に移動可能にスリーブとして取り付けて当該ガイドコア205に沿って被膜に移動する。即ち、本発明において、その後のステント植え込みを行う場合、被膜植え込みシステムにおけるガイドコア205をガイドワイヤとして用いて、ステント輸送装置が移動するようにガイドすることに用い、即ちステント輸送装置214が前記ガイドコア205の外部に移動可能にスリーブとして取り付けられ、且つ被膜が解放されたガイドシース206の内部に移動でき、それによって被膜とステントとのそれぞれの植え込み過程が有機的に結合することができ、被膜ステントの植え込みを効率的に完了することが可能となる。
【0047】
本発明において、ガイドコア205を用いてステントを植え込む必要がある場合、ガイドコア205とガイドシース206との相対位置が変化しないことが確保される。即ち、ステント輸送装置214がガイドコア205にスリーブとして取り付けられてそれに沿って移動する過程において、ガイドコア205は、常にガイドシース206に対してロックされる。このため、本発明によるガイドコアロック部材213は、特殊な構造を用いる。具体的には、ガイドコアロック部材213は、ガイドシース206に固定して接続され且つ第一のロック部2131と第二のロック部2132とを有する。第一のロック部2131と第二のロック部2132は、それぞれガイドコア205をロック解除可能にロックし且つガイドコア205の軸方向に沿って間隔をあけて設置される。ガイドコアロック部材213がガイドシース206に固定して接続されるモードは、直接固定する接続であってよく、間接固定する接続であってもよい。例えばガイドシース206とガイドコアロック部材213とを、いずれも操作ハンドルなどの基材に固定することができる。具体的には、ガイドシース206の後端が操作ハンドルに固定され、ガイドコアロック部材213の前端が操作ハンドルに固定され、それによってガイドコアロック部材213とガイドシース206の間接固定する接続を実現する。また、好ましくは、ガイドコア205の後端は、ガイドシース206の後端から貫通し、第一のロック部2131と第二のロック部2132とは、それぞれガイドコア205のガイドシース206から伸びる部分にロック解除可能にロックされる。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、ガイドコアロック部材213は、棒状本体を含み、当該棒状本体がガイドシース206に固定して接続され、第一のロック部2131と第二のロック部2132とがそれぞれ棒状本体に設置されて棒状本体の長手方向に沿って間隔をあけて設置される。当該2つのロック部は、それぞれガイドコア205をロック解除可能にロックし且つガイドコア205の軸方向に沿って間隔をあけて設置される。より具体的には、第一のロック部2131と第二のロック部2132とは、棒状本体からガイドコア205へ同じ方向に伸び、且つ棒状本体に遠い端部に、ガイドコア205をロック解除可能にロックするロック構造が設置される。
【0049】
また、2つのロック部のロック構造は複数種類であってよい。本発明の好ましい実施形態において、ロック構造は、スレッドロック部材であり、ガイドコア205に当該スレッドロック部材とフィットするスレッドホールが対応して形成されている。即ちボルト構造を用いるロック構造がガイドコア205の対応するロックホールに挿入するまたはそれから取り外されることで実現される。本分野において他の既知の様々なロックモードも、本発明の保護範囲に含まれる。
【0050】
ステント植え込み過程にガイドコア205とガイドシース206とが相対的な固定を維持することを実現するために、好ましくは、ガイドコアロック部材213は、第一のロック位置と第二のロック位置とを含み、第一のロック位置と第二のロック位置の第一のロック部2131のロック状態が異なる。即ち、ガイドコア205を介してステントを植え込む必要がある場合、2つのロック部を順次にアンロックし且つ2つのロック部のロック状態とアンロック状態が異なることを確保することだけでよい。具体的には、第一のロック位置に、第一のロック部2131がロックを解除し、当該第一のロック部2131の前方に位置する第二のロック部2132がガイドコア205をロックし、ガイドコア205にスリーブとして取り付けられたステント輸送装置がガイドコア205に沿って第一のロック部2131と第二のロック部2132との間にスライドし、第二のロック位置に、第一のロック部2131がガイドコア205をロックし、第二のロック部2132がロックを解除し、ステント輸送装置が第二のロック部2132により前方へ移動して被膜内の所定位置に到達する。互いに体外に伸びて制御されるステント輸送装置を用いる場合、第一のロック部2131と第二のロック部2132との間の距離がステント輸送装置の伸び長さより以上であることを確保する必要がありステント輸送装置が第一のロック部2131のガイドコア205に対するロックを妨害することを防止する。
【0051】
それによって、ステントは、順番アンロック状態にある2つのロック部をスムーズに順次通過することができる。ロック状態を維持するロック部は、ガイドコア205とガイドシース206が相対的な固定位置にあることを確保することができる。それによって被膜の位置がステント植え込み過程に変化しないことを確保し、被膜とステントをそれぞれ植え込む方法においてステントが植え込まれた後に被膜と精確に対応する大動脈弓の3本の分枝血管壁に貼りつけることをスムーズに完了する。
【0052】
以上に、ステントを貫通してステント植え込みが実現できる植え込みシステムについて、複数種類を説明したが、ステントを収納して被膜内の対応する位置に輸送して解放するものであればよい。一つの実施形態として、図4のとおりに示すように、ステント輸送装置214は、ステントガイドシース217、ステントガイドコア216及びステントトップコア215を含む。ステントは圧縮されてステントガイドシース217に収納されてステントガイドコア216の外部にスリーブとして取り付けられるが、ステントトップコア215は、ステントガイドコア216とステントガイドシース217との間にスリーブとして取り付けられ且つステントの後端に位置し、ステントトップコア215、ステントガイドシース217及びステントガイドコア216がそれぞれ後方へ体外側に伸びて制御され且つステントトップコア215の前端に流線型構造を有するステントガイドヘッド219が固定される。従って、ステントが植え込まれた場合、ステント輸送装置214がガイドシース206に入って前方へ移動するように、ステントガイドコア216をガイドコア205の外部にスライド可能にスリーブとして取り付け、ステントガイドシース217、ステントガイドコア216及びステントトップコア215を操作することでガイドコア205を対応する位置に植え込む。ステントが対応する位置に輸送されるように操作され場合、ステントトップコア215が移動せず、後方へステントガイドシース217から離脱されることを確保すると、ステントが展開して被膜に貼りつけられる。最後、ステントトップコア215、ステントガイドコア216及びステントガイドシース217を後方へ離脱させるとステントの植え込みを完了できる。ここで、前記ステント植え込み装置に含まれるステントガイドシース217、ステントガイドコア216及びステントトップコア215の伸び長さがいずれも第一のロック部2131と第二のロック部2132との間隔より以下であって、ガイドコアロック部材213の正常な動作を妨害しない
【0053】
さらに、前端制御ワイヤ207がガイドコア205を移動可能に貫通する必要があり、且つステントがガイドコア205に沿って植え込む必要があることを考えるので、本発明は、さらにガイドコア205を改良する。具体的には、図5のとおりに示すように、ガイドコア205は、本体ガイドワイヤ203が貫通するためのガイドワイヤホール2053およびガイドワイヤホール2053の周りに設置された複数の制御ワイヤホール2052を含み、制御ワイヤホール2052がガイドコア205の側壁に形成され、
ガイドコア205と同じ方向に伸びる。より好ましくは、ガイドコア205の外壁が非円形断面構造を有し、当該非円形断面が前記制御ワイヤホール2052を形成する突出部を有する。例えば図5では三角形構造を有するが、これに限られない。従って、このような非円形断面構造の突出部により制御ワイヤホール2052を形成して前端制御ワイヤ207などの制御ワイヤを収納することができるだけではなく、且つステント輸送装置214におけるステントガイドコア216の内壁を当該ガイドコア205の外壁の形状とフィットするように設計するだけで、ガイドコア205とステントガイドコア216の間に成形面接続関係を確立でき、それによってガイドコア205を回転することでステント輸送装置214の同時回転を実現できる。これによりステントの円周方向の位置調整を実現し、このようにしてステントの位置決め精度をより確保することができる。
【0054】
前記被膜ステントの被膜とステントとのいずれもが精確に位置決められた場合、被膜植え込みシステムのガイドコア205、ガイドシース206、様々なワイヤおよびステント輸送装置を、後方へ人体の血管から離脱させて、本発明による被膜ステントの植え込みを完了することができる。本発明による被膜ステント植え込み方法においては、ステントの植え込みが本分野において既知の他のステント植え込み技術を用いることができる。本発明における図1に開示される分枝血管の植え込みモードを用いて後のステントの植え込みを行うことができ、様々なステント植え込みに対する変形モードが本発明の保護範囲に含まれる。
【0055】
[被膜の構造]
大動脈弓の3本の三分枝の様々な形状、サイズと角度に適応するために、本発明は、被膜自体をより改良して各方向の膨張および収縮に適応できる。個人の血管特徴に対して異なる被膜をカスタマイズする必要がない。
【0056】
図6図8に示すように、本発明は、さらに被膜ステントの被膜を提供する。当該被膜の被膜本体は、本体部201と本体部201に接続され且つそれと貫通する分枝部202を含み、本発明の目的を実現するために、図6に示すように、本体部201が少なくとも一部で、その軸方向に沿って圧縮されることができる第一のリップル構造に形成され、且つ被膜に弧形リップル220が形成される。当該弧形リップル220は分枝部202から本体部201に伸び、図7および図8に示すように、弧形リップル220が本体部201と分枝部202を弧形リップル220の伸び方向に直交させて圧縮することができる第二のリップル構造に構成される。
【0057】
本発明の構造を明らかに示すために、図6において弧形リップル220に対して異なる描画方法を用いた。具体的には、本体部201の左側の弧形リップルに対してそのリップル構造を示すことができる描画方法を用いるが、他の部分の弧形リップル220に対してその伸び方向を示すことができる簡略な描画方法を用い、この対照的な描画方法により弧形リップル220を明らかに示すことができる。それによって通過する本体部201と分枝部202とが弧形リップル220の伸び方向に直交して圧縮されるリップル構造に形成される。例えば、本体部201の端部は、第一のリップル構造により軸方向に沿って圧縮されるほか、弧形リップル220により径方向に圧縮されることができる。それによって、本発明による被膜は、第一のリップル構造と第二のリップル構造との本体部を有して軸方向、径方向の任意変形を実現する。またリップル構造の特徴に基づいて、第一のリップル構造を形成する本体部を軸方向に曲げることができ、従って様々な分枝血管における主血管の血管壁の形状、サイズと角度の変形に完全に適応できる。
【0058】
好ましくは、分枝部202がその軸方向に沿って圧縮することができる第三のリップル構造に形成される。よって、本発明による被膜は、分枝血管の側副血管の血管壁の角度、サイズにおける変形に適応できる。
【0059】
好ましくは、図6に示すように、構造全体を最適化するために、本体部201の端部と分枝部202の間の本体部201が第一のリップル構造に形成される。より好ましくは、分枝部202が複数である場合、隣接する分枝部202間の本体部210がそれぞれ前記第一のリップル構造に形成される。本発明の大動脈弓の3本の分枝血管のための応用分野において、分枝部は、3本である。この合理的な設計により、本体部201の任意変形を確保する場合、構造がシンプルであり、加工しやすい。
【0060】
また、本発明による被膜は、第一のリップル構造および/または第二のリップル構造および/または第三のリップル構造に設置された複数本の緊締ワイヤ211をさらに含み、各本の緊締ワイヤ211がそれぞれ第一のリップル構造および/または第二のリップル構造のピークに固定される。従って、被膜の対応するリップル構造を圧縮する必要がある場合、対応する位置のピークの緊締ワイヤ211が締められて緊締するだけでよく、それによって異なる位置に設置された緊締ワイヤ211に基づいて被膜の軸方向、径方向のサイズの変化を実現できる。即ち、本体部201と分枝部202の内径と長さ、分枝部202の本体部201に対する傾斜角度および分枝部202間の間隔などを調整できる。
【0061】
より好ましくは、緊締ワイヤ211は、弧形リップル220のコーナー位置にあるピークに固定される。即ち第二のリップル構造に形成され、当該コーナー位置が弧形リップル220の伸び方向のコーナー位置(図6における下方に示される緊締ワイヤ221)である。その具体的な位置は、本体部201の分枝部202と揃う位置に位置する。従って、当該緊締ワイヤ211が左へ緊締して本体部の長さを制御し、上下へ緊締して本体部の直径を制御することだけでなく、右へ緊締して分枝部202間の間隔を制御する。また、上へ分枝部202の緊締ワイヤと緊締して分枝部202の傾斜角度を制御する。即ち当該コーナー位置の緊締部が周りのいずれかの方向に位置する緊締ワイヤ211と緊締することができ、それによって当該コーナーに位置する緊締ワイヤ211により被膜の本体部201の直径、長さおよび分枝部202の角度の調整を完了することができる。
【0062】
従って、本発明による被膜は、体外に患者の血管の特徴に基づいて二次加工を行うことができる。それによって被膜は、異なる人の血管に適応でき、異なる人に対して異なる被膜をカスタマイズする必要がなく、コストが低く、実用性が強い。
【0063】
本発明による被膜のリップル構造の仕様は、使用される血管の形状に依存する。また、本発明による被膜は、PTFEなどの人体に植え込むことに可能な高分子材料を使用して熱プレス成形することができる。被膜のサイズ、仕様と材料などに対する様々な変形モードは本発明の保護範囲に含まれる。
【0064】
[ステントの構造]
被膜のほか、本発明は、被膜ステントのステントを改良する。被膜の分枝部202が存在するので、被膜を支持してアンカリングするためのステントが一体式構造を用いると、分枝部に対してホールブロッキングを引き起こして、分枝部の血流に影響を与える。従って、従来技術において、被膜の両端に単独するステントをそれぞれ植え込み、このようにして被膜を支持してアンカリングすることだけでなく、分枝部の血流がスムーズに流れることを維持することができる。しかし、このようにすると、ステントの植え込み過程が煩雑で、不便である。
この問題を解決するために、本発明では、一体式ステントを用いかつ分枝部に対するホールブロッキング問題を効果的に避けることができる。具体的には、図9および図10に示すように、本発明によるステントは、ステント本体230を含み、且つ当該ステント本体230に前記被膜の分枝部202に対応する切欠部233が形成されている。従って、切欠部233が存在するので、被膜の分枝部202に対してホールブロッキングを引き起こすことなく、且つ1つのステントで被膜に対する支持およびアンカリングを完了する。この特徴を取得できることが明らかではなく、分枝部202が本体部201の一側に位置し且つ本発明による植え込みシステムがステントの円周方向の位置決めを確保できるので、このようなタイプのステントを使用して、切欠部233と分枝部202とを対応させることができると説明すべである。それ以外の場合は、ステントの円周方向の位置決めを確保できないと、このような、切欠部233を有するステントを使用しない。
【0065】
本発明において、ステントの円周方向の位置決めを確保するために、ガイドワイヤを切欠部233に貫通させることができ、このようにして切欠部233の円周方向が分枝部202に対応することを基本的に確定することができる。ステントが被膜に入った場合、本発明の固有のガイドコア回転モードにより、ガイドコアを回転することでステントを回転し、それによって切欠部233と分枝部202が完全に対応することを確保する。切欠部233は、分枝部202のサイズと個数に基づいて設計することができ、切欠部233のサイズと個数の変形は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0066】
さらに、当該ステント本体230は、両端に位置する緻密部231と緻密部間の緩み部232を含み、緻密部231の骨格密度が緩み部232の骨格密度より大きく、切欠部233が緩み部232に形成される。このようにして切欠部233が正確に分枝部202に対応することができなくても、緩み部232は、骨格密度が小さいので、分枝部232に対するホールブロッキングを効果的に避けることができる。本明細書で言及する骨格密度は、ステントを製造する時に、対応する位置に設計されたワイヤ(例えば金属ワイヤ)の密度である。このようにして両端に位置する緻密部231は、ステント本体230に対する径方向を支持する役割を果たすことができるが、中間に位置する緩み部232は、緻密なワイヤの血管に対するホールブロッキングを確実に防止することができ、人体の血管の正常な動作に便利を与える。本発明の好ましい実施形態において、両端に位置する緻密部231の骨格密度は、同じである。
【0067】
また、図9および図10に示すように、本発明の好ましい実施形態において、ステント本体230は、直筒形構造に形成され、2つの緻密部231と1つの緩み部232で構成される。緻密部231と緩み部232との長さの比は1:3〜1:2である。血管に対する径方向を支持する役割をより良く果たす。一つの実施形態において、好ましくは、緩み部232の骨格密度は、軸方向に沿って均一に分布し、緩み部232の密度と緻密部231の骨格密度との比が1:10〜1:2である。別の実施形態において、好ましくは、緩み部232の骨格密度が均一に分布せず、軸方向の中心から両端への骨格密度が徐々に大きくなる。これにより、本発明によるステントは、血管をより良く支持し、且つホールブロッキング問題を効果的に解決する。
【0068】
また、ステント本体230は、タンタル線材、医療用ステンレスおよびニッケルチタン合金などのワイヤ材料を使用してZ型圧縮可能構造に織ることができる。その材料と圧縮構造との様々な本分野の既知の変形は、本発明の保護範囲に含まれる。また、大動脈弓の3本の分枝血管の3本の分枝血管に対応するために、切欠部233は、1つであってよく、同時に3つの分枝血管に対応し、複数であってよく、それぞれ異なる分枝血管に対応し、このような変形がいずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0069】
上述したように、本発明は、大動脈弓の3本の分枝血管のための被膜ステントの植え込みシステム、方法および使用される被膜およびステントを重点に説明する。これにより、被膜およびステントの位置決めが精確であり、且つ構造がシンプルで、操作がやすく、高い実用性と応用将来性とを有する。
【0070】
以上に図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明するが、本発明は、前記実施形態における具体的な詳細に限られなく、本発明の技術的思想範囲において、本発明の技術的解決手段に対して複数種類の簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形が本発明の保護範囲に属する。
前記具体的な実施形態に記載されるそれぞれの具体的な技術特徴は、矛盾しない場合で、いかなる適切なモードで組み合わせられることができ、必要以上の繰り返しを避けるために、本発明は、各種の可能な組み合わせモードを別に説明しないと説明すべきである。
また、本発明の各種の異なる実施形態は、任意に組み合わせられることができ、本発明の思想に反しない限り、それと同様に本発明において開示される内容とみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10