特許第6395836号(P6395836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6395836有機一酸及びセルロースポリマーを含む組成物を用いて毛髪を処置する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395836
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】有機一酸及びセルロースポリマーを含む組成物を用いて毛髪を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20180913BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180913BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   A61K8/36
   A61K8/73
   A61Q5/04
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-533756(P2016-533756)
(86)(22)【出願日】2013年8月13日
(65)【公表番号】特表2016-530255(P2016-530255A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】BR2013000305
(87)【国際公開番号】WO2015021517
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】カミラ・ビアト
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0045862(US,A1)
【文献】 特開2008−231098(JP,A)
【文献】 特開平08−092043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を処置する方法であって、少なくとも2種の次式(I)の有機一酸:
【化1】
(式中、Xは、炭素原子を表し、Rは、アルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基を表し、これらは、1から20個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状、又は環状アルキル基、2から20個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状、又は環状アルケニル基、6から20個の炭素原子を含むアリール又はアラルキル基であり、これらの基は最終的に、ハロゲン原子、及びヒドロキシル、トリフルオロメチル、アルコキシC1〜C4基から選択される1つ又は複数の基によって置換される)、及び
少なくとも1種のセルロースポリマーを含む組成物を毛髪に適用する工程と、100℃超の温度で毛髪を加熱する工程とを含む、方法。
【請求項2】
有機一酸が、カルボン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機一酸が、次式(I)の化合物(式中、Xは、炭素原子であり、R基は、アルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基であり、これらは、1から20個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状又は環状アルキル基、2から20個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状又は環状アルケニル基、6から20個の炭素原子を含むアリール又はアラルキル基であり、これらの基は、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換され、前記アルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基は最終的に、ハロゲン原子、及びトリフルオロメチル、アルコキシC1〜C4基から選択される1つ又は複数の他の基によって置換される)から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
有機一酸が、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、サリチル酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、これらの立体異性体、これらの有機若しくは無機塩、又はこれらの対応する溶媒和物から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2種の式(I)のモノカルボン酸を含有する組成物を用いて行う、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
組成物が、少なくともグリコール酸及び少なくとも1種の追加の式(I)のモノカルボン酸を含む、請求項1、2、4及び5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
有機一酸、その立体異性体、その有機若しくは無機塩、又はその対応する溶媒和物が、組成物の総質量に対して、0.1質量%から50質量%の量で組成物中に存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
組成物が、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性セルロースポリマーから選択される少なくとも1種のセルロースポリマーを含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
組成物が、会合性セルロースポリマー又は非会合性セルロースポリマーから選択される少なくとも1種のセルロースポリマーを含有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
組成物が、(C1〜C4)アルキルセルロース、(ポリ)ヒドロキシ(C1〜C4)アルキルセルロース、(ポリ)ヒドロキシ(C1〜C4)アルキル-(C1〜C4)アルキルセルロースから選択される非会合性の非イオン性セルロースポリマーから選択される少なくとも1種のセルロースポリマーを含有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
セルロースポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースから選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
セルロースポリマーが、組成物の総質量に対して、0.05質量%から10質量%の範囲の量で存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
組成物がヒドロアルコールである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
組成物が、酸性pHを示す、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
加熱する工程が、150から250℃の温度で行われる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
組成物を乾燥した毛髪に適用し、少なくとも10分のポージング時間の後、毛髪にブラシをかけ、次いで少なくとも150℃の温度のフラットアイロンを用いてまっすぐにする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
スタイルの維持並びに/又はボリュームの低減及び/若しくは縮れの低減のための、少なくとも2種の次式(I)の有機一酸:
【化2】
(式中、Xは、炭素原子を表し、Rは、アルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基を表し、これらは、1から20個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状、又は環状アルキル基、2から20個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状、又は環状アルケニル基、6から20個の炭素原子を含むアリール又はアラルキル基であり、これらの基は最終的に、ハロゲン原子、及びヒドロキシル、トリフルオロメチル、アルコキシC1〜C4基から選択される1つ又は複数の基によって置換される)、及び
少なくとも1種のセルロースポリマーを含む組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機一酸及びセルロースポリマーを含む組成物を用いて毛髪を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪分野において、消費者は、自分の毛髪に一時的な変化をもたらし、生じる作用に対して良好な摩耗特性を目標にしながら変化をもたらすことが可能になる組成物の入手を望んでいる。一般に、この変化は、最短でも15日間、実際には前記変化の性質に応じて更に長期間のシャンプー操作に耐えることが望ましい。
【0003】
毛髪の色又は形状、またある程度の毛髪の質感を改質する処置は既に存在している。毛髪の質感を改質する既知の処置の1つは、熱とホルムアルデヒド含有組成物との組合せからなる。この処置は、傷んだ毛髪により良い外観を付与する上で、且つ/又は長髪や縮毛を処置する上で特に有効である。
【0004】
熱の使用は、アイロン(フラットトング又はクリンピングアイロン)の使用によるものでよく、その温度は、一般に200℃以上に達し得る。
【0005】
しかし、このような物質は、毛髪及びその他のケラチン物質に攻撃性があると判明することがあり、その使用を回避する要望が強まっている。
【0006】
したがって、出願WO2011/104282は、毛髪を半永久的に滑らかにする新規な方法であって、α-アセト酸溶液を15から120分間、毛髪に適用し、次いで乾燥して、最後に約200℃の温度のアイロンで毛髪を滑らかにすることにある方法を提供した。使用するα-アセト酸は、好ましくは、グリオキシル酸である。
【0007】
しかし、グリオキシル酸は、特に頭皮がデリケートな場合及び/又は炎症がある場合、常に良好に許容されるとは限らないことが判明している。その揮発性が、熱間プロセスと組み合わせると、問題を起こす可能性もある。
【0008】
更に、従来技術の化粧用配合物は、毛髪に悪影響を及ぼす及び/又はその色に悪影響を及ぼすことがある。実際には、望ましい処置は、極めて特定的に、人工的に染色した毛髪を修復することを目的とする。したがって、強化効果を与えることができても、同時に毛髪及び/又はその人工着色に悪影響を及ぼす一因となる活性剤の使用は回避することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2011/104282
【特許文献2】米国特許第4 131 576号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、毛髪線維の統合性及び/又は色に悪影響を与えずに、毛髪を滑らかにする且つ/又はまっすぐにする等、毛髪の態様を変化させる方法を開発することである。本発明の別の目的は、毛髪の態様を変化させ、水に対して耐性がある方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の主題は、毛髪を処置する方法であって、少なくとも1種の有機一酸及び少なくとも1種のセルロースポリマーを含む組成物を毛髪に適用する工程と、100℃超の温度で毛髪を加熱する工程とを含む、方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明による方法によって、長持ちし、過去又は未来のいかなる種類の毛髪処置法にも適合するやり方で毛髪を処置するための解決法を得ることが可能になることが判明している。
【0013】
特に、本発明による方法は、線維の統合性に悪影響を及ぼさないであろう。更に、使用品質、及び毛髪の機械的性質、例えば水分に対する耐性、及びツヤを改善し、ボリューム及び縮れを低減するであろう。また、毛髪の色の変更を低減するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記述において、「少なくとも1つの」という表現は、「1つ又は複数の」という表現と同義である。
【0015】
本発明の方法は、式(I)の化合物:
【0016】
【化1】
【0017】
[式中、Xは、炭素原子(カルボン酸)、P-OH基(ホスホン酸)、P-H基(ホスフィン酸)又はS=O基(スルホン酸)を表し、Rは、アルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基を表し、これらは、1から20個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状、又は環状アルキル基、2から20個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状、又は環状アルケニル基、6から20個の炭素原子を含むアリール又はアラルキル基であり、これらの基は最終的に、ハロゲン原子、及びヒドロキシル、トリフルオロメチル、アルコキシC1〜C4基から選択される1つ又は複数の基によって置換される]、
その立体異性体、その有機若しくは無機塩、又はその対応する溶媒和物から選択される少なくとも1種の有機一酸を含む組成物を用いて行う。
【0018】
式(I)の一酸の中でも、グリコール酸(ヒドロキシ酢酸とも呼ばれる)、乳酸、1-ヒドロキシ-1-シクロプロパンカルボン酸、2-ヒドロキシ-3-ブテン酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、グリセリン酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシ-2-メチル酪酸、2-ヒドロキシペンタン酸、3-ヒドロキシペンタン酸、4-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシ吉草酸、1-ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、マンデル酸、2-ヒドロキシ-3-メチル吉草酸、2-トリフルオロメチル-2-ヒドロキシプロピオン酸、ヘキサヒドロキシマンデル酸、2-ヒドロキシオクタン酸、3-フェニル乳酸、3-ヒドロキシマンデル酸、4-ヒドロキシマンデル酸、2-ヒドロキシノナン酸、3-メトキシマンデル酸、4-メトキシマンデル酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)乳酸、b-クロロ乳酸、1-シクロペンタノール-1-カルボン酸、1,2-ジヒドロキシシクロブタンカルボン酸、2-エチル-2-ヒドロキシ酪酸、b-ヒドロキシイソカプロン酸、b-ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、グルコン酸、サリチル酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、4-ヒドロキシヘキサン酸、5-ヒドロキシヘキサン酸、6-ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシプロピルスルホン酸、メタンスルホン酸、メタンホスホン酸、メチルホスフィン酸、並びにこれらの立体異性体、有機又は無機塩、及び溶媒和物を挙げることができる。
【0019】
特に好ましい式(I)の一酸は、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、サリチル酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、4-ヒドロキシヘキサン酸、5-ヒドロキシヘキサン酸、6-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、3-ヒドロキシペンタン酸、4-ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシプロピルスルホン酸、これらの立体異性体、これらの有機若しくは無機塩、又はこれらの対応する溶媒和物から選択される。
【0020】
好ましい実施形態において、一酸は、モノカルボン酸である。この実施形態では、モノカルボン酸は、好ましくは、R基が少なくとも1つのヒドロキシル基で置換される。この好みに応じて、R基は、特にアルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基であり、1から20個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状又は環状アルキル基、2から20個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状又は環状アルケニル基、6から20個の炭素原子を含むアリール又はアラルキル基であり、これらの基は、カルボニル(carboy)基からのα又はβ位にあることが好ましい少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換され、これらの基は最終的に、ハロゲン原子、及びトリフルオロメチル、アルコキシC1〜C4基から選択される1つ又は複数の他の基によって置換される。
【0021】
この好みに応じて、式(I)の一酸は、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、サリチル酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、これらの立体異性体、これらの有機若しくは無機塩、又はこれらの対応する溶媒和物から選択される。
【0022】
より好ましくは、式(I)の一酸は、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、サリチル酸、これらの立体異性体、これらの有機若しくは無機塩、又はこれらの対応する溶媒和物から選択される。
【0023】
特定の実施形態によれば、本発明の方法は、少なくとも2種の式(I)の有機一酸を含む組成物を用いて、特に少なくとも2種の式(I)のモノカルボン酸を用いて行う。
【0024】
特定の実施形態によれば、本発明の方法は、少なくともグリコール酸、及び好ましくは少なくとも1種の追加の式(I)のモノカルボン酸を含む組成物を用いて行う。好ましくは、組成物は、グリコール酸及びサリチル酸を含有する。
【0025】
本発明の方法において有用な組成物中の一酸、その立体異性体、その有機若しくは無機塩、又はその対応する溶媒和物の量は、大きく変化する。しかし、一酸、その立体異性体、その有機若しくは無機塩、又はその対応する溶媒和物は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から50質量%、特に0.1質量%から20質量%、好ましくは1質量%から5質量%の範囲の濃度で組成物中に存在することが好ましい。
【0026】
本発明の方法において有用な組成物は、セルロースポリマーを含有する。
【0027】
セルロースポリマーは、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性ポリマーでよい。
【0028】
用語「セルロース」ポリマーとは、本発明によれば、β-1,4結合を介して共に結合されたグルコース残基の配列をその構造中に有する任意の多糖類化合物を意味し、非置換セルロースに加えて、セルロース誘導体は、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性でよい。したがって、本発明のセルロースポリマーは、微結晶形態を含めた非置換セルロース及びセルロースエーテルから選択することができる。これらのセルロースポリマーの中でも、セルロースエーテル、セルロースエステル及びセルロースエステルエーテルが優れている。セルロースエステルの中でも、セルロースの無機エステル(硝酸、硫酸、リン酸セルロース等)、有機セルロースエステル(セルロースモノアセテート、トリアセテート、アミドプロピオネート、アセテートブチレート、アセテートプロピオネート、及びアセテートトリメリテート等)、及びセルロースの混合有機/無機エステル、例えばセルロースアセテートブチレートスルフェート及びセルロースアセテートプロピオネートスルフェートがある。セルロースエステルエーテルの中でも、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び硫酸エチルセルロースを挙げることができる。
【0029】
本発明の特定の一実施形態によれば、セルロースポリマーは、非会合性(non-associative)である。
【0030】
本発明の「非会合性」セルロースポリマーは、脂肪鎖を含まない、すなわち好ましくはその構造中にC10〜C30鎖を含まないセルロースポリマーである。
【0031】
第1の変形形態によれば、セルロースポリマーは、非イオン性である。(C1〜C4)アルキルセルロース、例えばメチルセルロース及びエチルセルロース、例えばDow Chemical社製のEthocel standard 100 Premium;(ポリ)ヒドロキシ(C1〜C4)アルキルセルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、例えばAqualon社製のNatrosol 250 HHR及びヒドロキシプロピルセルロース、例えばAqualon社製のKlucel EF;混合(ポリ)ヒドロキシ(C1〜C4)アルキル-(C1〜C4)アルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばDow Chemical社製のMethocel E4M;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、例えばAkzo Noble社製のBermocoll E 481 FQ及びヒドロキシブチルメチルセルロースを挙げることができる。
【0032】
第2の変形形態によれば、セルロースポリマーは、アニオン性である。アニオン性セルロースエーテルの中でも、(ポリ)カルボキシ(C1〜C4)アルキルセルロース及びその塩を挙げることができる。例として、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース(例えばAqualon社製のBlanose 7M)及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、並びにこれらのナトリウム塩を挙げることができる。
【0033】
第3の変形形態によれば、セルロースポリマーは、カチオン性である。カチオン性セルロースの中でも、水溶性第四級アンモニウムモノマーでグラフトされたセルロースコポリマー又はセルロース誘導体等の、特に米国特許第4 131 576号に記載のカチオン性セルロース誘導体、例えば、特にメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム又はジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフトされた(ポリ)ヒドロキシ(C1〜C4)アルキルセルロース、例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピルセルロースを挙げることができる。この定義に相当する市販製品は、より具体的には、National Starch社により名称Celquat(登録商標)L 200及びCelquat(登録商標)H 100で販売されている製品である。
【0034】
本発明の特定の他の一実施形態によれば、セルロースポリマーは、会合性である。
【0035】
本発明の「会合性」セルロースポリマーは、脂肪鎖を含む、すなわち好ましくはその構造中にC10〜C30鎖を含むセルロースポリマーである。
【0036】
会合性セルロースポリマーは、カチオン性でもよい。これらのカチオン性会合性セルロースポリマーの中でも、少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基等の少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で修飾されている四級化(ポリ)ヒドロキシエチルセルロース又はこれらの混合物が好ましい。上記の四級化セルロース又はヒドロキシエチルセルロースによって保持されるアルキル基は、好ましくは8から30個の炭素原子を含む。アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジル、ナフチル又はアントリル基を意味する。C8〜C30脂肪鎖を有する四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例として、Aqualon社により販売されている製品Quatrisoft LM 200a、Quatrisoft LM-X 529-18-Aa、Quatrisoft LM-X 529-18-Ba (C12アルキル)及びQuatrisoft LM-X 529-8a (C18アルキル)、Croda社により販売されている製品Crodacel QMa、Crodacel QLa (C12アルキル)及びCrodacel Qsa (C18アルキル)並びにAqualon社により販売されている製品Softcat SL 100aを挙げることができる。
【0037】
会合性セルロースポリマーは、非イオン性でよい。これらの中でも、好ましい非イオン性の会合性セルロースポリマーは、アルキル、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基等の少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で修飾されているセルロース又はその誘導体又はこれらの混合物であり、ここで、アルキル基は、C8〜C30アルキル基、具体的には、非イオン性アルキルヒドロキシエチルセルロース、例えばAqualon社により販売されている製品Natrosol Plus Grade 330 CS及びPolysurf 67(C16アルキル);非イオン性ノノキシニル(nonoxynyl)ヒドロキシエチルセルロース、例えばAmerchol社により販売されている製品Amercell HM-1500;非イオン性アルキルセルロース、例えばBerol Nobel社により販売されている製品Bermocoll EHM 100である。
【0038】
セルロースポリマーは、好ましくは、非イオン性であり、脂肪鎖を含まない(非会合性の非イオン性アルキルセルロースポリマー)。好ましくは、本発明において有用なセルロースポリマーは、非イオン性セルロースエーテル、例えば(C1〜C4)アルキルセルロース、(ポリ)ヒドロキシ(C1〜C4)アルキルセルロース;(ポリ)ヒドロキシ(C1〜C4)アルキル-(C1〜C4)アルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース;ヒドロキシエチルエチルセルロース;ヒドロキシブチルメチルセルロース;ヒドロキシメチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースから選択される。
【0039】
セルロースポリマーは、組成物の総質量に対して、0.05質量%から10質量%、特に0.1質量%から5質量%、好ましくは0.2質量%から3質量%の範囲の量で、本発明において有用な組成物中に存在していてよい。
【0040】
本発明の方法において使用される組成物は、好ましくは、着色剤又は還元剤を含有しない。
【0041】
用語「着色剤」は、本発明によれば、ケラチン繊維を着色する作用剤、例えば直接染料、顔料又は酸化染料前駆体(ベース及び発色剤)を意味するものと理解される。これらが存在する場合、これらの含有量は、組成物の総質量に対して0.001質量%を超えない。その理由は、この含有量で組成物のみが染色されると思われるからであり、すなわち、ケラチン繊維の染色効果は観察されないと思われるからである。
【0042】
酸化染料前駆体、酸化ベース及び発色剤は、無色又はほんの僅かに有色の化合物であり、酸化剤の存在下での縮合反応によって、有色実体が得られることを記憶しておくべきである。直接染料に関しては、これらの化合物は有色であり、ケラチン繊維に対して親和性度を示す。
【0043】
用語「還元剤」は、本発明によれば、毛髪のジスルフィド結合を還元できる作用剤、例えばチオール、アルカリ金属亜硫酸塩、水素化物又はホスフィンから選択される化合物を意味するものと理解される。
【0044】
本発明に従って使用される組成物は、従来使用されてきた任意の配合物形態で、具体的には水溶液、アルコール溶液若しくは水/アルコール溶液若しくは懸濁液又は油性溶液若しくは懸濁液;ローション又はセラムタイプの溶液又は分散液;O/W、W/O又は多重タイプの、特に液体又は半液体の粘稠性を有するエマルション;(O/W)又は(W/O)クリームタイプのソフトな粘稠性を有する懸濁液又はエマルション;水性又は無水ゲルの形態、或いはその他の任意の化粧用形態で生成することができる。
【0045】
組成物は、1種又は複数の有機溶剤、例えば水溶性溶剤、例えばC1〜C7アルコールを含むことができ、脂肪族C1〜C7モノアルコール、芳香族C6〜C7モノアルコール、C3〜C7ポリオール又はC3〜C7ポリオールエーテルを挙げることができ、これらは単体で又は水との混合物として用いることができる。
【0046】
本発明の組成物は、水性でも無水でもよい。有利には、組成物は、組成物の総質量に対して20から95%の水を含む。
【0047】
より好ましくは、組成物はヒドロアルコール(hydro alcoholic)組成物である。
【0048】
本発明の方法において使用される組成物は、例えば、油;脂肪アルコール、脂肪エステル等の固体脂肪物質;非イオン性界面活性剤、界面活性剤;日焼け防止剤;保湿剤;ふけ防止剤;酸化防止剤;キレート剤;真珠光沢剤及び乳白剤;可塑剤若しくは合体剤;充填剤;シリコーン、特にアミノシリコーン;セルロースポリマー以外の増粘剤;ゲル化剤;乳化剤;コンディショニング若しくはスタイリングポリマー;香料;塩基性化剤若しくは酸性化剤;シラン;又は架橋剤から選択される少なくとも1種の追加の成分を追加で含むことができる。
【0049】
追加の成分は、これらの性質及び組成物の目的に応じて、当業者によって容易に決定できる量で存在し得る。
【0050】
本発明の方法において、組成物は、好ましくは酸性pH、より好ましくは4未満のpHを示す。好ましい実施形態において、pHは、1から3、好ましくは1.5から3、より良好には1.7から3まで変化し得る。
【0051】
pHは、本発明の有機一酸以外の酸性作用剤、例えば無機酸[塩酸若しくはリン酸]によって、又は塩基性作用剤、例えば無機塩基性作用剤(アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物)若しくは有機塩基性作用剤、例えばアルカノールアミンによって調節することができる。
【0052】
これらの組成物は、連射式スプレー又はエアロゾル容器にパッケージング化することができ、蒸発(ラッカー)形態又はムース形態の組成物の適用を実現する。このようなパッケージング形態は、例えば、毛髪の処置用にスプレー又はムースを入手することが望まれる場合に指示される。このような場合、組成物は、好ましくは、少なくとも1種の噴射剤を含む。
【0053】
本発明による方法は、ヘア製品、具体的にはヘアケア、スタイリング又はシェーピング製品の形態で提供され得る。本方法は、とりわけ、ヘアスタイルの維持若しくは毛髪のシェーピング、又はボリューム及び縮れの低減のための有利な用途がある。更なる利点は、毛髪のコンディショニング、シェーピング、補強、及び/又は修復に、具体的には毛髪のもつれ、スムージング、櫛通り、扱いやすさ及びやわらかさの改善にある。
【0054】
本発明の方法は、150℃超、好ましくは150から250℃の範囲の温度で加熱する工程を含む。加熱する工程は、温度を150℃から250℃の範囲の値まで上げることができるフラットアイロン、フラットトング又はクリンピングアイロン等のアイロンを用いて行うことができる。
【0055】
特定の実施形態によれば、組成物は、乾燥した毛髪に適用される。ポージング時間、通常、少なくとも10分、好ましくは15から45分の間、より好ましくは約30分の後、毛髪にブラシをかけ、次いで少なくとも150℃、好ましくは200から250℃の範囲の温度でフラットアイロンによってまっすぐにする。次いで、毛髪を水で濯ぎ、乾燥する。
【0056】
組成物の適用前、毛髪をシャンプー洗浄し、乾燥してもよい。
【0057】
本発明の方法は、好ましくは、還元剤又はpH10超の組成物を使用する変形工程を含まずに使用される。
【0058】
以下の実施例は、本発明を例示するために役立つが、限定的な特徴を示すものではない。
【実施例】
【0059】
以下の組成物を、使用時に調製し(質量%で表す)、組成物のpHは2.2±0.2に調節した。
【0060】
【表1】
【0061】
上記の組成物を、シャンプー洗浄し、ドライヤーで乾燥した生まれつきの巻毛に適用した。組成物を30分間毛髪に付けたままにした後で、毛髪にブラシをかけ、次いで200〜250℃の温度のフラットアイロンで加熱した。次いで、毛髪を濯いだ。
【0062】
本発明の方法を使用することによって、こうして処置した毛髪は、実質的にボリュームの低減を示す。