(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395840
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】ToFフィンガープリント及びジオロケーションのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20180913BHJP
【FI】
G01S5/02 A
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-541947(P2016-541947)
(86)(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公表番号】特表2016-534361(P2016-534361A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】US2013065414
(87)【国際公開番号】WO2015057227
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2016年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】プレシュナー,ギャビー
(72)【発明者】
【氏名】アミズール,ユヴァル
【審査官】
東 治企
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/055718(WO,A1)
【文献】
特開2013−007719(JP,A)
【文献】
特開2011−133331(JP,A)
【文献】
特表2007−537614(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0225209(US,A1)
【文献】
特表2008−533660(JP,A)
【文献】
特表2013−508686(JP,A)
【文献】
特開2005−123662(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/148077(WO,A1)
【文献】
特表2009−515201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00−5/14
G01S 19/00−19/55
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
H03J 9/00−9/06
H04Q 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖環境におけるデバイスの位置を決定する方法であって、
受信器回路で前記デバイスからタイム・オブ・フライト(ToF)計測を受信するステップと、
前記デバイスに対する大体の位置を識別するステップと、
前記デバイスが位置している前記閉鎖環境のタイム・オブ・フライト(ToF)フィンガープリントマップと前記受信された前記ToF計測の信号属性とを比較することによって、前記大体の位置に基づく前記デバイスの略正確な位置を決定するステップと
を有し、
前記ToFフィンガープリントマップは、前記環境について先験的に生成されたものであり、複数の既知の位置を含む、
方法。
【請求項2】
前記信号属性は、タイム・オブ・フライト(ToF)、受信信号強度情報(RSSI)、到達時間(TOA)、又は到達時間差(TDOA)のうちの1つ以上を更に有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
大体のデバイスの位置を決定するステップ
を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タイム・オブ・フライト(ToF)フィンガープリントマップと前記信号属性とを比較することは、類似した信号属性を持った前記ToFフィンガープリントマップ上の少なくとも1つの位置を識別することを更に有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記デバイスの位置の経度、緯度及び高度のうちの少なくとも1つを決定するステップ
を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記デバイスは、モバイルデバイスである、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
閉鎖環境においてデバイスに対するタイム・オブ・フライト(ToF)計測を得る測定モジュールと、
前記デバイスに対する大体の位置を識別するモジュールと、 前記タイム・オブ・フライト計測を前記環境のToFフィンガープリントマップと照合し、前記ToF計測を前記ToFフィンガープリントマップ上の既知の位置と照合することによって、前記大体の位置に基づく前記デバイスの略正確な位置を識別する照合モジュールと
を有し、
前記ToFフィンガープリントマップは、前記環境について先験的に生成されたものであり、複数の既知の位置を含む、
デバイス。
【請求項8】
前記測定モジュールは、略正確な位置の経度、緯度及び高度のうちの少なくとも1つを更に決定する、
請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ToFフィンガープリントマップは、前記閉鎖環境についての位置情報を含む、
請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
当該デバイスは、モバイルデバイスである、
請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記照合モジュールは、大体の位置を識別するよう更に構成される、
請求項7に記載のデバイス。
【請求項12】
前記照合モジュールは、前記ToF計測の関数として前記大体の位置を識別するよう更に構成される、
請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ToFフィンガープリントマップは、前記環境の構造マップを更に有する、
請求項7に記載のデバイス。
【請求項14】
構造体の内部でデバイスを見つけるジオロケーションデバイスであって、
環境内の第1の位置にあるデバイスに対するタイム・オブ・フライト(ToF)計測を受信する手段と、
前記第1の位置に対する大体の位置を識別する手段と、
前記構造体のタイム・オブ・フライト(ToF)フィンガープリントマップを含むデータベースにアクセスする手段と、
前記ToFフィンガープリントマップから第2の位置を識別する手段であって、該第2の位置は、前記ToF計測を前記構造体のToFフィンガープリントマップと照合することによって、前記第1の位置に対する大体の位置の関数として、前記環境内の前記デバイスの略正確な位置を識別する、手段と
を有し、
前記ToFフィンガープリントマップは、前記環境について先験的に生成されたものであり、複数の既知の位置を含む、
ジオロケーションデバイス。
【請求項15】
前記ToFフィンガープリントマップは複数の位置推定を有し、該複数の位置推定は互いから2から4m離れている、
請求項14に記載のジオロケーションデバイス。
【請求項16】
前記略正確な位置を送信する手段
を更に有する請求項14に記載のジオロケーションデバイス。
【請求項17】
請求項14に記載のジオロケーションデバイスと、
1つ以上のアンテナと、
メモリ回路と、を含み、
前記ジオロケーションデバイスは、プロセッサ回路を有する、
ジオロケーションシステム。
【請求項18】
前記メモリ回路は、前記ToFフィンガープリントマップを更に有する、
請求項17に記載のジオロケーションシステム。
【請求項19】
前記プロセッサ回路は、前記メモリ回路と通信するよう構成され、該メモリ回路は、前記プロセッサ回路がデバイスの大体の位置を識別するための命令を含む、
請求項17に記載のジオロケーションシステム。
【請求項20】
前記プロセッサ回路は、前記メモリ回路と通信するよう構成され、該メモリ回路は、前記ToFフィンガープリントマップを含む当該メモリ回路内のデータベースにアクセスする命令を含む、
請求項17に記載のジオロケーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、屋内ジオロケーションのための方法及び装置に関する。より具体的には、本開示は、屋内環境のフィンガープリント及び実時間のタイム・オブ・フライト(ToF;Time-of-Flight)計測の関数として屋内の位置を決定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構造体の内部の人々、動物、及びモバイル端末を見つけることは、より重要になりつつある。構造体は、従来のグローバル・ポジショニング・システム(GPS;Global Positioning System)によってはアクセス不可能な遮へい構造体であり得る。従来の屋内ジオロケーション技術は、受信信号強度表示(RSSI;received signal strength indication)、到達角度(AOA;angle of arrive)、到達時間(TOA;time of arrival)及び到達時間差(TDOA;time difference of arrival)を含む情報に依存する。信号情報は、次いで、構造体の内部の送信機位置を決定するよう又はいわゆる構造体フィンガープリントをコンパイルするよう操作される。
【0003】
従来の技術は、それらが精度を確かにするためにライン・オブ・サイト(LOS;Line of Sight)に大いに依存するので、限られた位置精度しか提供しない。複雑な構造体は、エコー及び過度のマルチパス伝搬を生じ、それによって従来のLOS計測を不正確にするマルチレベル構造を有する。LOSは、周知のことだが屋内環境では利用できないので、従来の技術は、高いレベルの不正確さを免れない。
【0004】
RSSIフィンガープリントの重要な欠点は、アクセスポイント(AP;access point)の送信器電力、送信器デバイスの向き及び高さ、並びに高速フェージングに対する感受性であり、それらの全ては、フィンガープリントマップの変動を引き起こし得る。不正確さを解消するよう、RSSIフィンガープリントの精度は、更なるAP位置を提供すること及び/又は構造体の異なる地点のより大きいデータベースを作成することによって、高められる。然るに、屋内環境内の送信器デバイスの位置を正確に決定する方法及び装置が必要とされる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示のそれら及び他の実施形態は、次の例となる且つ制限されない説明図を参照して論じられる。図中、同じ要素は、同じように番号を付される。
【
図1】例となるToFフィンガープリントマップを示す。
【
図2】AP及び複数のSTAを有する通信システムを表す。
【
図3A】例となる環境の支配的なライン・オブ・サイトについての累積分布関数を示す。
【
図3B】例となる環境の非支配的なライン・オブ・サイトについての累積分布関数を示す。
【
図4】本開示の一実施形態に従ってSTAの位置を決定するフロー図である。
【
図6】本開示の実施形態を実施する例となるデバイスを示す。
【
図7】デバイス位置を決定する本開示の実施形態を概略的に表す
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の実施形態は、閉鎖環境においてデバイス位置を検出する方法に関する。閉鎖環境は、遮へい又は非遮へい空間であってよい。位置決定は、モバイルデバイス(自身の位置を探索しているもの)によって行われてよく、あるいは、それは、決定のために他のデバイス(他のモバイル、サーバ又はアクセスポイント)へ送信されてよい。
【0007】
本開示の一実施形態では、モバイルデバイスは、実時間タイム・オブ・フライト(ToF;Time-of-Flight)計測を行う。ToFは、信号がユーザからAPへ伝搬し、そしてユーザへ戻る総時間として定義される。この値は、時間を2で除し、それに光速を乗じることによって、距離に変換され得る。この方法は、モバイルデバイスで又は外部の場所で実施され得る。実時間のToF計測が得られると、それは、既存のToFフィンガープリントマップと照合され得る。ToFフィンガープリントマップは、関心のある領域を測量し、信号/距離計測を収集することによって、作成され得る。ToFは、クラウドソーシングによっても作成され得る。自身の位置を決定することに関心があるデバイスは、ToFフィンガープリントマップ上で最良の一致(例えば、最も近い場所)を探すことができる。最後に、モバイルデバイスの位置は、マップを更に発展させるようToFフィンガープリントマップに加えられ得る。マップは、モバイルデバイスで、外部のリソースで、又は両方で記憶され得る。任意に、モバイルデバイスは、最初に疎の位置を決定し、次いで略正確な位置を決定することに進んでよい。
【0008】
図1は、例となるToFフィンガープリントマップを示す。具体的に、
図1は、複数の部屋と、通路105と、扉、テーブル、シンクなどを含む他の構造的特徴とを有する構造体100を示す。複数の点が通路105において識別されている。参照を簡単にするために、最初の3つの点は110、112及び114と識別される。各点は、信号フィンガープリントが得られる構造マップ100における位置に相当する。マップ内の各点は、点の座標、APのMACアドレス、及び各APからの平均距離によっても表される。
【0009】
図2は、AP及び複数のSTAを有する通信システムを表す。
図2のネットワーク200は、ローカル無線LAN(WLAN)を含んでよい。ルータ220は、インターネット・バックボーン210と通信し、構造体205のためのローカルAPの機能を果たす。構造体205は、屋根のある建物(例えば、病院建物)、開放空間(例えば、スタジアム)、又は両方の組み合わせ(例えば、大学のキャンパス)を含む構造的環境を画定することができる。構造体205は、簡単のために長方形として示されている。しかし、構造体は、例えば、
図1の構造マップ100において示されるもののような、特徴を有することができる。AP220は、STA230、231、232、233、234、235及び236の夫々と通信する。例となるSTAには、スマートフォン、ラップトップ、タブレット又は、AP200との信号通信が可能な如何なる他のデバイスも含まれる。STAは、AP200の支配的な(直接的な)ライン・オブ・サイト(DLOS)又は非支配的な(間接的な)ライン・オブ・サイト(NDLOS)内にあることができる。
【0010】
図1を参照すると、点110、112及び114で読み出される位置どうしの間の距離は、所望の精度とデータベースのサイズとの間のトレードオフを提起する。読み出し点が互いに極めて近い場合は、位置推定は、より高い精度を享受する。しかし、データベースは、相対的に多数の点及び位置を収容できるよう有意により大きい。より大きいデータベースは、更なる記憶空間を必要とし、それによって、ローカルルータでの記憶を実現不可能にする。より大きいデータベースは、更には、より長いクエリ時間を有し、それよって、計算をより時間がかかるものとする。
【0011】
実験データは、2点間の平均距離が、点を正しく区別するために2〜4mの間にあるべきことを示す。すなわち、2メートルに満たない距離測定の偏差は、位置点を実質的に同じ位置にあるよう見えるようにする。偏差は、構造的環境及び構造体内に展開されているAPの数の関数である。
【0012】
図3Aは、例となる環境のDLOSについての累積分布関数を示す。
図3Aの例となる環境は、
図1に示されたものと同様の閉鎖構造体であることができる。データは、APに信号を送る1つ以上のSTAから収集された。距離誤差は、夫々の送信について求められ、プロットされた。
図3Aから明らかなように、距離についての累積分布関数(CDF;cumulative distribution function)は、約2mで90%をまさに越える。すなわち、位置点が2mよりも大きく離れている場合に、精度は90%を上回る。
【0013】
図3Bは、例となる環境のNDLOSについての累積分布関数を示す。
図3Bの例となる環境は、
図3Aのそれと同様である。
図3Bは、4m以上の距離について約90%のCDFを示す。すなわち、位置点が4mよりも大きく離れている場合に、精度は90%を上回る。
図3A及び3Bは、位置110、112、114(
図1)が約2〜4m離れている場合に精度が90%を越えることができることを示す。述べられているように、測定位置110、112及び114の間の距離はトレードオフを引き起こす。小さな測定距離(例えば、4m)は、ToFフィンガープリントマップのために高い精度を提供する。しかし、小さな測定距離は、有意のより多くの測定回数も必要とし、有意により大きいデータベースを引き起こす。
【0014】
図4は、本開示の一実施形態に従ってSTAの位置を決定するフロー図である。プロセス400は、STAが位置について問い合わせる場合にステップ410から開始する。位置についての問い合わせは、STAが信号を周囲のAPへ送信する場合に行われ得る。信号は如何なる信号であってもよく、位置問い合わせ信号である必要はない。信号は、STAによって送信されるルーチン識別信号の部分であってよく、あるいは、それは、実時間の位置問い合わせであることができる。STAからの信号は、ToF精密測定プロセスを起動する。
【0015】
ステップ420で、疎の位置は、STAについて決定される。疎の位置は、STAから受信された信号の関数であることができる。疎の位置を決定する従来の方法(例えば、TOA、TDOA、RSSI)は、STAの大体の位置を決定するために用いられ得る。従来のジオロケーション方法も、疎の位置を決定するために使用されてよい。疎の位置のステップは任意であるが、それは、マップ照合又は最終の位置微調整の計算要求を軽減することができる。
【0016】
図5は、STAについての例となる疎の位置を示す。具体的に、
図5は、大体においてSTA520の位置を見つけるために使用される三辺測量技術を示す。AP510(AP1)、512(AP2)及び514(AP3)の夫々は、STA520の通信範囲内にある。AP516及び518もSTAの通信範囲内にあるが、3つの最も近いAPしか必要とされない。STA520とAP510、512及び514の夫々との間の距離は、r1、r2及びr3と夫々示されている。STA520とAP516及び518との間の距離は、r4及びr5と夫々示されている。
図5は、関係r5>r4>r1>r2>r3を示す。従来の三辺測量技術並びに距離r1、r2及びr3を用いると、STA520についての疎の位置が計算され得る。
【0017】
もう一度
図4を参照すると、STA520(
図5)の疎の位置は、ToFフィンガープリントマップを促進させるために使用される。ToFフィンガープリントマップは、検討中の環境について先験的に生成され得る。ステップ430で、ステップ420の疎の位置は、疎の位置に最も近いToFフィンガープリントマップ上の位置を識別するために使用される。疎の位置がToFフィンガープリントマップ上の既知の位置と同じである場合は、STA520は、ToFフィンガープリントマップ上のその既知の位置と同じ位置にあると考えられる。疎の位置がToFフィンガープリントマップ上の如何なる既知の位置とも同じでない場合は、追加の計算が、ToFフィンガープリントマップ上の最も近い既知の位置の関数としてSTA520の正確な位置を近似するのに必要であり得る。
【0018】
既知の疎の位置がないならば、STA520の正確な位置は、検出範囲内のAPの1つ以上の関数として決定され得る。すなわち、最も近いAP(又はいずれかのAP)が識別されると、ToFフィンガープリントマップは、類似したRSSIを持った位置を識別するために使用され得る。疎の位置として大きい領域を識別することは、より容易であり得るが、より小さい領域を画定することは、より高速なフィンガープリントマップ探索を可能にする。
【0019】
ステップ440で、STA520の正確な(又は細かい)位置がSTA又は何らかの他のソースに報告される。最後に、ステップ450で、新たに見つけられたSTAの位置及びその属性は、マップデータベースを更に向上させ、アップデートし、且つ発展させるために、ToFフィンガープリントマップに任意に加えられてよい。
【0020】
フロー
図400のステップは、スマートフォン若しくは他の携帯型デバイスにおいて、又は如何なる他のプロセッサベースのデバイスでも、実施されてよい。それらのステップは、APでも実施されてよい。
図6は、本開示の実施形態を実施する例となるデバイスを示す。具体的に、
図6は、通路に沿って移動しているSTA610を有する環境600を示す。STA610はAP630と通信する。AP630は、ルータ、ピアデバイス又は、STA610から通信信号を受信し、登録することができる如何なる他のデバイスであることもできる。例となるAP630は、アンテナ642、プロセッサ回路構成640及びデータベース回路構成645を有して示されている。AP630は、例えば、フロントエンド受信器コンポーネント又は専用のジオロケーションプロセッサのような、追加のトランシーバコンポーネントを含んでよい。図示されていないが、デバイス630は、WLAN又はインターネット・バックボーンへ接続されてよい。
【0021】
STA610から入来信号を受信すると、信号は処理され、プロセッサ回路構成640へ向けられる。メモリ回路構成645は、プロセッサにSTA610から1つ以上の信号を受信、登録させる命令を含む。プロセッサ回路構成640は、次いで、STA610について疎の位置を推定する。疎の位置は、第1の位置と見なされてよい。述べられているように、この決定は、三辺測量又は他の既知の方法の関数として行われてよい。次に、プロセッサは、メモリ回路構成645に記憶されているToFフィンガープリントマップファイル647にアクセスする。ToFフィンガープリントマップファイル647は、環境600のマップを含む。マップは、構造又は建築マップを構成してよい。ファイル647は、プロセッサ640がアクセス可能な種々の情報を含むいくつかの異なるマップを更に含んでよい。ファイル647にアクセスすると、プロセッサ回路構成640は、ToFフィンガープリントマップから、第1の位置の近くにある1つ以上の位置を識別する。信号属性が正確な位置の決定をもたらす場合は、プロセッサは、STA610の位置を単に報告又は記憶する。STA610の信号属性がToFフィンガープリントマップ上の正確な位置と一致ない場合は、プロセッサ回路構成640は、信号情報及びToFフィンガープリントマップ上の既知の位置に基づきSTA610について正確な位置を計算する。
【0022】
プロセッサ640は、計算された位置を報告してよく、あるいは、情報をメモリ回路構成645に記憶してよい。ファイル647は、STA610について計算された位置及びその対応する信号属性を含むよう更新されてもよい。
図6はAPとしてAP630を示すが、同じ回路構成(プロセッサ及びメモリ)は、STA610で同じ位置問い合わせを行うためにSTA610において使用されてよいことが留意されるべきである。
【0023】
図7は、デバイス位置を決定するための本開示の実施形態を概略的に表す。
図7は、より大きいシステムの一体部分であることができる又はスタンドアローンのユニットであることができるデバイス700を示す。例えば、デバイス700は、開示されている方法を実施するよう構成されたシステム・オン・チップを定義することができる。デバイス700は、複数のアンテナ、ラジオ、及びメモリシステムを具備するより大きいシステムの部分であってよい。デバイス700は、測定モジュール710及び照合モジュール720を含む。モジュール710及び720は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであることができる。例となる実施形態では、モジュール710又は720のうちの少なくとも1つは、互いに通信するプロセッサ回路及びメモリ回路を含む。
【0024】
例となる実施形態において、測定モジュール710は、他のデバイスに対するToF計測を得るよう構成される。他のデバイスは、他のモバイルデバイス、APA、サーバ、又は基地局であることができる。実施形態において、照合モジュール720は、ToF計測をToFフィンガープリントマップと照合し、ToF計測をToFフィンガープリントマップと照合することによってデバイス位置を識別するよう構成される。位置は、疎の位置又は略正確な位置であってよい。例となる実施形態において、略正確な位置は、デバイスの実際の位置の10m範囲内である。他の例となる実施形態において、略正確な位置は、デバイスの実際の位置の4m範囲内である。更なる他の実施形態において、略正確な位置は、デバイスの実際の位置の2m範囲内である。
【0025】
以下の例は、更なる実施形態に関係がある。例1は、デバイス位置を決定する方法であって、受信器回路でデバイスから信号を受信するステップと、前記デバイスが位置している環境のタイム・オブ・フライト(ToF)フィンガープリントマップと前記信号の属性とを比較することによって、デバイス位置を決定するステップとを有する方法を含む。
【0026】
例2は、例1の方法であって、前記信号の属性は、当該信号についてのタイム・オブ・フライト(ToF)、受信信号強度情報(RSSI)、到達時間(TOA)、又は到達時間差(TDOA)のうちの1つ以上を更に有する、方法を含む。
【0027】
例3は、例1の方法であって、疎のデバイス位置を決定するステップを更に有する方法を含む。
【0028】
例4は、例1の方法であって、前記環境は閉鎖環境である、方法を含む。
【0029】
例5は、例1乃至4のいずれかの方法であって、前記タイム・オブ・フライト(ToF)フィンガープリントマップと前記信号の属性とを比較することは、類似した信号属性を持った前記ToFフィンガープリントマップ上の少なくとも1つの位置を識別することを更に有する、方法を含む。
【0030】
例6は、例1の方法であって、前記デバイス位置の経度、緯度及び高度のうちの少なくとも1つを決定するステップを更に有する方法を含む。
【0031】
例7は、例1乃至6のいずれかの方法であって、前記デバイスはモバイルデバイスである、方法を含む。
【0032】
例8は、例1乃至7の方法を実行する手段を有する装置を含む。
【0033】
例9は、実行される場合に、例1乃至7において開示されているように方法を実施又は装置を実現するマシン読み出し可能な命令を含む有形なマシン読み出し可能な記憶媒体を含む。
【0034】
例10は、他のデバイスに対するタイム・オブ・フライト(ToF)計測を得る測定モジュールと、前記タイム・オブ・フライト計測をToFフィンガープリントマップと照合し、前記ToF計測を前記ToFフィンガープリントマップ上の位置と照合することによってデバイス位置を識別する照合モジュールとを有するデバイスを含む。
【0035】
例11は、例10のデバイスであって、前記測定モジュールは、略正確な位置の経度、緯度及び高度のうちの少なくとも1つを更に決定する、デバイスを含む。
【0036】
例12は、例10乃至11のいずれかのデバイスであって、前記ToFフィンガープリントマップは、閉鎖環境についての位置情報を含む、デバイスを含む。
【0037】
例13は、例10乃至12のいずれかのデバイスであって、モバイルデバイスであるデバイスを含む。
【0038】
例14は、例10のデバイスであって、前記照合モジュールは、疎の位置を識別するよう更に構成される、デバイスを含む。
【0039】
例15は、例14のデバイスであって、前記照合モジュールは、前記ToF計測の関数として前記疎の位置を識別するよう更に構成される、デバイスを含む。
【0040】
例16は、例10乃至15のいずれかのデバイスであって、前記ToFフィンガープリントマップは、当該デバイスが位置している環境の構造マップを更に有する、デバイスを含む。
【0041】
例17は、例10乃至15のいずれかのデバイスであって、前記ToFフィンガープリントマップは、少なくとも4mは離れている複数の前に識別された位置を有する、デバイスを含む。
【0042】
例18は、例10乃至16のいずれかのデバイスであって、前記ToFフィンガープリントマップは、約2〜4mは離れている複数の前に識別された位置を有する、デバイスを含む。
【0043】
例19は、構造体の内部でデバイスを見つけるジオロケーションデバイスであって、環境内の第1の位置にあるアクセスポイントから信号を受信する手段と、前記第1の位置について疎の座標を識別する手段と、前記構造体のタイム・オブ・フライト(ToF)フィンガープリントマップを含むデータベースにアクセスする手段と、前記ToFフィンガープリントマップから第2の位置を識別する手段であって、該第2の位置は、前記第1の位置及び前記疎の座標の関数として、前記環境内の前記デバイスの略正確な位置を識別する、手段とを有するジオロケーションデバイスを含む。
【0044】
例20は、例10のジオロケーションデバイスであって、前記ToFフィンガープリントマップは、約2〜4mは離れている位置推定を有する、ジオロケーションデバイスを含む。
【0045】
例21は、例19又は20のジオロケーションデバイスであって、前記正確な位置を送信する手段を更に有するジオロケーションデバイスを含む。
【0046】
例22は、1つ以上のアンテナと、ラジオと、メモリ回路と、タイム・オブ・フライト(ToF)計測を計算し、該ToF計測をToFフィンガープリントマップと照合してデバイスの位置を識別するプロセッサ回路とを有するジオロケーションシステムを含む。
【0047】
例23は、例22のジオロケーションシステムであって、前記メモリ回路は、前記ToFフィンガープリントマップを更に有する、ジオロケーションシステムを含む。
【0048】
例24は、例22のジオロケーションシステムであって、前記プロセッサ回路は、前記メモリ回路と通信するよう構成され、該メモリ回路は、前記プロセッサ回路が前記デバイスの疎の座標を識別するための命令を含む、ジオロケーションシステムを含む。
【0049】
例25は、例22のジオロケーションシステムであって、前記プロセッサ回路は、前記メモリ回路と通信するよう構成され、該メモリ回路は、前記ToFフィンガープリントマップを含む当該メモリ回路内のデータベースにアクセスする命令を含む、ジオロケーションシステムを含む。
【0050】
本開示の原理は、ここで示されている例となる実施形態に関連して説明されてきたが、本開示の原理は、それに制限されず、その如何なる変更、変形又は置換も含む。