特許第6395856号(P6395856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6395856固体イオン交換による金属交換された微孔質材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395856
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】固体イオン交換による金属交換された微孔質材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/30 20060101AFI20180913BHJP
   B01J 29/46 20060101ALI20180913BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20180913BHJP
   B01J 29/85 20060101ALI20180913BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20180913BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20180913BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20180913BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B01J37/30ZAB
   B01J29/46 A
   B01J29/76 A
   B01J29/85 A
   B01D53/86 222
   B01D53/94 222
   F01N3/08 B
   F01N3/10 A
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-561362(P2016-561362)
(86)(22)【出願日】2014年10月15日
(65)【公表番号】特表2017-512646(P2017-512646A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】EP2014072146
(87)【国際公開番号】WO2015154829
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2017年10月13日
(31)【優先権主張番号】PA201400200
(32)【優先日】2014年4月7日
(33)【優先権主張国】DK
(31)【優先権主張番号】PA201400476
(32)【優先日】2014年8月26日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヤンスン・トン・ヴェ・ドッベルトヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェネストラム・ピーダ・エヌ・エア
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−507361(JP,A)
【文献】 特開2002−001067(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00955080(EP,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102616804(CN,A)
【文献】 VENNESTROM PETER N R; JANSSENS TON V W; KUSTOV ARKADY; ET AL,INFLUENCE OF LATTICE STABILITY ON HYDROTHERMAL DEACTIVATION OF CU-ZSM-5 AND CU-IM-5 ZEOLITES FOR SELECTIVE CATALYTIC REDUCTION OF NOX BY NH3,JOURNAL OF CATALYSIS,米国,ACADEMIC PRESS,2013年12月 5日,VOL:309,PAGE(S):477 - 490,URL,http://dx.doi.org/10.1016/j.jcat.2013.10.017
【文献】 BLANKA WICHTERLOV; ZDENEK SOBALK; MOJMR SKOKNEK,EFFECT OF WATER VAPOUR AND AMMONIA ON THE SOLID-SOLID INTERACTION OF CU OXIDE WITH Y-TYPE ZEOLITE: PREPARATION OF CATALYST FOR REDUCTION OF NITRIC OXIDE WITH AMMONIA AT LOW TEMPERATURE,APPLIED CATALYSIS A: GENERAL,ELSEVIER,1993年 9月 1日,VOL:103, NR:2,PAGE(S):269 - 280,URL,http://dx.doi.org/10.1016/0926-860X(93)85057-V
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
B01D53/73,86−90,94−96
C01B33/20−39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属交換された結晶性微孔質材料または金属交換された結晶性微孔質材料の混合物を製造するための方法であって、a)イオン交換能を示す一種以上の結晶性微孔質材料及びb)一種以上の金属化合物を含む乾燥混合物を用意するステップ;この混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物を含むガス状雰囲気中で、上記金属化合物のイオンと結晶性微孔質材料のイオンとの固体イオン交換を開始及び実行するのに十分な時間、100℃〜300℃未満の範囲の温度に加熱するステップ;及び金属交換された結晶性微孔質材料を得るステップを含む、前記方法。
【請求項2】
結晶性微孔質材料が、ゼオライトまたはゼオタイプ材料からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ゼオライトまたはゼオタイプ材料が、AEI、AFX、CHA、KFI、LTA、IMF、ITH、MEL、MFI、SZR、TUN、BEA、BEC、FAU、FER、MOR、LEVの骨格コードを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ゼオライトまたはゼオタイプ材料が、ZSM−5、ゼオライトY、ベータゼオライト、SSZ−13、SSZ−39、SSZ−62、チャバサイト、及びSAPO−34、SAPO−44、フェリエライト、TNU−9からなる群から選択される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
結晶性微孔質材料がまたは結晶性微孔質材料の混合物が、HまたはNH型である、請求項1〜4の何れか一つに記載の方法。
【請求項6】
結晶性微孔質材料がまたは結晶性微孔質材料の混合物が、有機構造規定剤を含む、請求項1〜5の何れか一つに記載の方法。
【請求項7】
金属化合物が、金属酸化物、金属硝酸塩及びリン酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩またはこれらの組み合わせの群から選択される、請求項1〜6の何れか一つに記載の方法。
【請求項8】
金属化合物中の金属が、Fe、Co、Cuの群から選択される、請求項1〜7の何れか一つに記載の方法。
【請求項9】
金属化合物が、Cuの一種以上の酸化物を含む、請求項1〜8の何れか一つに記載の方法。
【請求項10】
窒素酸化物が、一酸化窒素及び二酸化窒素及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜9の何れか一つに記載の方法。
【請求項11】
雰囲気中のアンモニアの含有率が1体積ppmと5000体積ppmとの間である、請求項1〜10の何れか一つに記載の方法。
【請求項12】
ガス状雰囲気中の一種以上の窒素酸化物の含有率が1体積ppmと5000体積ppmとの間である、請求項1〜11の何れか一つに記載の方法。
【請求項13】
窒素酸化物に対するアンモニアのモル比が0.01超である、請求項1〜12の何れか一つに記載の方法。
【請求項14】
窒素酸化物に対するアンモニアのモル比が0.2と1との間である、請求項1〜12の何れか一つに記載の方法。
【請求項15】
雰囲気中の酸素含有率が1%以下である、請求項1〜14の何れか一つに記載の方法。
【請求項16】
ガス状雰囲気の含水率が5%以下である、請求項1〜15の何れか一つに記載の方法。
【請求項17】
混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含むガス状雰囲気中で、150℃と250℃との間の温度に加熱する、請求項1〜16の何れか一つに記載の方法。
【請求項18】
還元剤を用いた選択的接触還元によって排ガスから窒素酸化物を除去するための方法であって、排ガスを、請求項1〜16の何れか一つに記載の方法で得られた金属交換された結晶性微孔質材料を含むかまたは金属交換された結晶性微孔質材料の混合物を含む触媒と接触させることを含む、前記方法。
【請求項19】
還元剤がアンモニアまたはそれの前駆体である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
還元剤が炭化水素である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物または金属塩またはこれらの組み合わせと、イオン交換能を有する微孔質材料またはこのような材料を含む混合物との物理的混合物を、アンモニアと一種以上の窒素の酸化物とを含む雰囲気に曝すことによって、金属交換された微孔質材料をまたは金属交換された微孔質材料の混合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライト及びゼオタイプのようなCu−及びFe−交換微孔質材料は、例えば発電所の排気や、または定置型及び輸送用途両方のディーゼルエンジンの排気中でのNOxの還元のための効果的な触媒である。NOxの接触還元は、SCR(選択的接触還元)と称される。NOxを還元するためのSCRプロセスの二つの最良の既知の方法は、(1)炭化水素が還元剤として使用される炭化水素SCR(HC−SCR)、及び(2)アンモニアが還元剤として使用されるアンモニアSCR(NH−SCR)である。HC−SCRの場合には、炭化水素源は、エンジンのディーゼル燃料か、またはエンジンでの不完全燃焼が原因の排ガス中の残留炭化水素である。NH−SCRを用いるための共通の技術は、分解してSCR反応に必要なNHを生成する尿素を、排気ガス流中に注入することによる技術である。
【0003】
金属交換したゼオライトを製造するための一般的な方法は、ゼオライトを、所望の金属イオンの溶液と接触させ、その後、濾過、洗浄、乾燥及び高温(例えば>500℃)でのか焼を行う方法である。その結果、この一般的な手順に続いて、Cu、CoまたはFeイオンを含む適当な溶液、例えば硝酸銅、酢酸銅、酢酸コバルト、硝酸鉄、硫酸銅もしくは硫酸鉄を含む溶液を、Na、K、H、NH形態または異なるカチオン形態の任意のゼオライトと接触させると、炭化水素またはNHを用いたSCR反応に触媒活性を示す材料が通常生成する。金属塩のアニオンの選択は原則的に任意であるが、通常、アニオンは、十分な溶解度が得られ、製造の間に簡単に除去でき、扱うのに安全であり、そしてゼオライトと望ましくない相互作用をしないものが選択される。
【0004】
殆どのゼオライト構造は、Cu、CoまたはFeとイオン交換した後に、炭化水素SCR及びNHSCRのための活性触媒を生成し、最良の既知の例は、ZSM−5、ベータ、SSZ−13及びゼオライトYであるが、他のタイプのゼオライトも、イオン交換の後にSCRに活性を示すことが知られている。[B.Moden,J.Donohue,W.Cormier,H.Li,Stud.Surf.Sci.Catal.2008,174,1219−1222(非特許文献1);O.a Anunziata,A.R.Beltramone,Z.Juric,L.B.Pierella,F.G.Requejo,Appl.Catal.A Gen.2004,264,93−101(非特許文献2);M.Moliner,C.Franch,E.Palomares,M.Grill,A.Corma,Chem.Commun.(Camb).2012,48,8264−6(非特許文献3);C.Franch−Marti,C.Alonso−Escobar,J.L.Jorda,I.Peral,J.Hernandez−Fenollosa,A.Corma,A.E.Palomares,F.Rey,G.Guilera,J.Catal.2012,295,22−30(非特許文献4);A.E.Palomares,J..Prato,A.Corma,Catal.Today 2002,75,367−371(非特許文献5)]。事実、SCR反応への活性は、イオン交換されたCu、CoまたはFeの故であり、そして異なるゼオライト構造でのこれらのイオンの局所的な化学的環境は非常に類似しており、ゼオライトの結晶構造にはそれほど依存しない。それ故、任意のCu、Co及びFe交換ゼオライトに触媒活性を期待できるか、または一般的に、所定のカチオンが、一つのタイプのゼオライト上で相当なSCR活性を有することが知られている場合には、これは、他のゼオライトでもSCR活性を示すことが期待できる。様々なゼオライト構造の性能の差異は、ゼオライトの骨格安定性の差異またはゼオライト中での交換されたCuまたはFeの安定性から生じ得る[S.Brandenberger,O.Kroecher,M.Casapu,A.Tissler,R.Althoff,Appl.Catal.B Environ.2011,101,649−659(非特許文献6);P.N.R.Vennestroem,T.V.W.Janssens,A.Kustov,M.Grill,A.Puig−Molina,L.F.Lundegaard,R.R.Tiruvalam,P.Concepcion,A.Corma,J.Catal.2014,309,477−490(非特許文献7)]。
【0005】
ゼオライトのイオン交換能は、骨格Si原子の一部が、アルミニウムイオンまたは他のヘテロ原子で置き換えられるという事実に由来する。Siの形式電荷は4であり、Alの形式電荷は3であるため、そのような置換は、ゼオライト結晶中に有効な負の電荷を生成するか、またはSiよりも小さい形式電荷を持つ他のヘテロ原子との同形置換によって、正のイオン、例えばH、NH、NaまたはKにより釣り合わせる必要がある。Cu及びFeも、この負の電荷を釣り合わせるための適当なカチオンを形成することができ、これが、Cu及びFe交換ゼオライトが前記の方法によって製造できる理由である。ゼオライトは多孔性結晶性アルミノシリケートである。アルミナシリケートではないが、多孔性結晶構造及びイオン交換能を持つ他の材料、例えばシリコアルミノホスフェート(SAPO)などのゼオタイプ材料も存在する。イオン交換能は、同じ現象に由来して生じる:骨格原子の一部は、異なる原子価状態を持つ原子によって置き換えられ、そしてその結果、交換可能なイオンによる電荷補償が必要となる。このような材料の一例が、SAPO材料であり、これは、リン原子(形式電荷5+)の一部がSi(形式電荷4+)で置き換えられている多孔性結晶性リン酸アルミニウムである。FeまたはCuで交換したSAPO材料は、HC−SCR及びNH−SCR両方の効果的な触媒としても知られており、このような材料の最良の既知の例はCu−SAPO−34である。
【0006】
ゼオライトベースの材料及びシリコアルミノホスフェート材料のためのイオン交換方法は本質的には同じであるものの、イオン交換の効率には大きな違いがある。例えば、SSZ−13及びSAPO−34材料は、本質的に同じ細孔サイズ及び構造で、同じCHA結晶構造を持つ。しかし、Cuとの溶液ベースのイオン交換においては、Cu原子は、SSZ−13を用いた材料の全体積中に分布し、他方で、Cuは、SAPO−34を用いた結晶の外側表面中に堆積する傾向を持つ[P.N.R.Vennestroem,A.Katerinopoulou,R.R.Tiruvalam,A.Kustov,P.G.Moses,P.Concepcion,A.Corma,ACS Catal.2013,3,2158−2161(非特許文献8)]。その結果、溶液ベースのイオン交換手順で得られたSAPO−34材料中のCuイオン交換の程度は一般的に低く、そしてこの方法で得られたSAPO−34中のCu充填量は、類似のSSZ−13材料中よりも一般的にかなり低い。その結果、新しくイオン交換されたCu−SAPO−34ゼオライトは、一般的にSCRに対し低い活性を有する。SAPO−34材料を用いてSCR反応に十分に高い活性を得るためには、高温(>750℃)での活性化が必要であることが知られている。(P.N.R.Vennestroem,A.Katerinopoulou,R.R.Tiruvalam,A.Kustov,P.G.Moses,P.Concepcion,A.Corma,ACS Catal.2013,3,2158−2161)(非特許文献8).このような加熱処置は、SAPO−34結晶中へのCuの再分布をもたらし、これは、Cuイオン交換のより高い程度を示唆する。
【0007】
結晶性微孔質材料中にイオンを導入するための代替的な処置は、固体イオン交換によるものであり、これは、微孔質材料と、この微孔質結晶中に導入するべきカチオンの化合物との乾燥固体混合物を調製し、その後、カチオンを微孔質材料中に押し入れる何らかの適当な処理を行うことを含む。(G.L.Price,in:,J.R.Regalbuto(Ed.),Catalyst Preparation:Science and Engineering,CRC Press,Boca Raton,London, New York,2007,pp.283−296(非特許文献9))
特許出願US2013/0108544(特許文献1)は、金属酸化物または金属塩粒子をSAPO−34結晶の表面上に生成し、その後、500〜800℃、好ましくは650〜750℃に、例えば12〜72時間加熱して、金属カチオンを生成することによって、イオン交換された微孔質材料を製造する方法を開示している。金属酸化物粒子または金属塩粒子は、含浸または析出によってSAPO−34結晶の表面上に形成される。この方法は、慣用のイオン交換とは異なっている。というのも、実際のイオン交換ステップは、含浸または堆積に必要な液体を除去した後に行われるからである。この方法は、高い温度及び長い加熱時間を規定する。この方法は、乾燥空気または湿潤空気中で行うことができる。
【0008】
この方法の一変形が、D.Wang,L.Zhang,J.Li,K.Kamasamudram,W.S.Epling,Catal.Today(2013),DOI 10.1016/j.cattod.2013.11.040(非特許文献10)及びM.Zamadics,X.Chen,L.Kevan,J.Phys.Chem.(1992)5488(非特許文献11)に記載されている。SAPO結晶の表面上に金属酸化物粒子を生成する代わりに、H型のSAPO−34を、CuOと物理的に混合し、そして800℃に12時間加熱した。Cuイオン交換の達成は、両刊行物中で確認できた。
【0009】
CuOとH−ZSM−5との混合物の処理が、慣例的にCuイオンで交換したH−ZSM−5と類似するSCR活性を持つ材料をもたらすこと及びCuOも、H−ZSM−5も単独ではこのような活性を示さないという観察から導き出されるように、一部の固体イオン交換は、銅酸化物の混合物とH−ZSM−5ゼオライトとの間で、550℃において、アンモニアによる窒素酸化物の選択的触媒還元に典型的なガス混合物中で、すなわちN中、約500ppmのNO、530ppmのNH、5%のHO、10%のOガス混合物中で、起こり得る。(P.N.R.Vennestroem,T.V.W.Janssens,A.Kustov,M.Grill,A.Puig−Molina,L.F.Lundegaard,R.R.Tiruvalam,P.Concepcion,A.Corma,J.Catal.2014,309,477−490(非特許文献7))
排ガスの精製における窒素含有化合物を除去するための銅酸化物の混合物とゼオライト混合物の使用は、特許EP1787720(特許文献2)からも知られている。この特許の触媒は全ての場合において500℃に加熱された。
【0010】
特許EP955080(特許文献3)は、(i)アンモニウム塩、NH/NH−ゼオライトまたはN−含有化合物、及び(ii)Si/Al比が5よりも大きいゼオライト、及び(iii)Cu、Fe、Co、Mn、Pd、Rh及びPtの一種以上の金属の化合物から選択される活性化合物を、室温及び大気圧下に物理的に混合し、そしてイオン交換プロセスが完了するまで少なくとも300℃に加熱し、その後、室温まで冷却することによって、Si/Al比が5よりも大きいゼオライト中に、Cu、Fe、Co、Mn、Pd、RhまたはPtを導入する方法を開示している。好ましくは、加熱中、混合物は、一分間あたり10K超の加熱速度で、アンモニアまたはアミン含有雰囲気に曝される。
【0011】
特許出願US2013004398(特許文献4)は、ゼオライトを鉄ペンタカルボニルに曝すことによってFeをゼオライト中に導入する方法を開示している。この方法は、カチオン性位置よりも数多い鉄部位及びゼオライト中に鉄の均一な分布を有するゼオライトを生成することを可能にする。この方法を用いることで、SCR活性Fe−ベータ触媒を、200℃で製造することができた。Fe−SSZ−13(CHA)触媒の製造は、蒸気中で700℃の48時間の処理を含んでいた。
【0012】
特許出願US2010075834(特許文献5)及びWO08009453(特許文献6)は、ゼオライトと活性金属の化合物とを混合しそしてこの混合物を粉砕することによって、イオン交換(金属ドープ)されたゼオライトを製造する方法を開示している。次いでこの混合物を所定の温度まで加熱し、そしてこの温度で一定時間維持する。加熱中、反応器中の圧力は0〜200mbarに低下させる。Fe−ベータ触媒の製造のために報告されている温度は500℃である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US2013/0108544
【特許文献2】EP1787720
【特許文献3】EP955080
【特許文献4】US2013004398
【特許文献5】US2010075834
【特許文献6】WO08009453
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】B.Moden,J.Donohue,W.Cormier,H.Li,Stud.Surf.Sci.Catal.2008,174,1219−1222
【非特許文献2】O.a Anunziata,A.R.Beltramone,Z.Juric,L.B.Pierella,F.G.Requejo,Appl.Catal.A Gen.2004,264,93−101
【非特許文献3】M.Moliner,C.Franch,E.Palomares,M.Grill,A.Corma,Chem.Commun.(Camb).2012,48,8264−6
【非特許文献4】C.Franch−Marti,C.Alonso−Escobar,J.L.Jorda,I.Peral,J.Hernandez−Fenollosa,A.Corma,A.E.Palomares,F.Rey,G.Guilera,J.Catal.2012,295,22−30
【非特許文献5】A.E.Palomares,J..Prato,A.Corma,Catal.Today 2002,75,367−371
【非特許文献6】S.Brandenberger,O.Kroecher,M.Casapu,A.Tissler,R.Althoff,Appl.Catal.B Environ.2011,101,649−659
【非特許文献7】P.N.R.Vennestroem,T.V.W.Janssens,A.Kustov,M.Grill,A.Puig−Molina,L.F.Lundegaard,R.R.Tiruvalam,P.Concepcion,A.Corma,J.Catal.2014,309,477−490
【非特許文献8】P.N.R.Vennestroem,A.Katerinopoulou,R.R.Tiruvalam,A.Kustov,P.G.Moses,P.Concepcion,A.Corma,ACS Catal.2013,3,2158−2161
【非特許文献9】G.L.Price,in:,J.R.Regalbuto(Ed.),Catalyst Preparation:Science and Engineering,CRC Press,Boca Raton,London,New York,2007,pp.283−296
【非特許文献10】D.Wang,L.Zhang,J.Li,K.Kamasamudram,W.S.Epling,Catal.Today(2013),DOI 10.1016/j.cattod.2013.11.040
【非特許文献11】M.Zamadics,X.Chen,L.Kevan,J.Phys.Chem.(1992)5488
【発明の概要】
【0015】
本発明は、金属の酸化物及び/または塩と結晶性微孔質材料との物理的混合物を用いた固体イオン交換を、NO及びNHを含む雰囲気中で行った場合に、金属交換された結晶性微孔質材料の製造がかなり改善されるという観察に基づいている。NO単独ではイオン交換プロセスを向上しないという事実から見てこれは全く驚くべきことである。
【0016】
本発明の利点の一つは、金属交換された微孔質材料を、300℃未満の温度で製造できることである。これは、300℃未満の温度でのSCR活性微孔質材料のための製造経路を提供する。
【0017】
上記の観察に応じて、本発明は、金属交換された結晶性微孔質材料のまたは結晶性微孔質材料を含む混合物の製造のための固体イオン交換方法であって、a)イオン交換能を示す一種以上の結晶性微孔質材料及びb)一種以上の金属化合物を含む乾燥混合物を用意するステップ;この混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物を含むガス状雰囲気中で、上記金属化合物のイオンと結晶性微孔質材料のイオンとの固体イオン交換を開始及び実行するのに十分な温度にかつ十分な時間、加熱するステップ;及び金属交換された結晶性微孔質材料を得るステップを含む、前記方法を提供する。
【0018】
本発明の更なる詳細は、以下の本発明の説明及び従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の方法で使用できる結晶性微孔質材料は、イオン交換能を持つ任意の微孔質材料であることができる。
【0020】
好ましくは、イオン交換能を有する結晶性微孔質材料はゼオライトであり、これらは、任意の結晶構造、例えば限定はされないが、AEI、AFX、CHA、KFI、LTA、IMF、ITH、MEL、MFI、SZR、TUN、BEA、BEC、FAU、FER、MOR、LEVを有する、アルミノシリケートまたはゼオタイプ材料、例えばシリコアルミノホスフェートである。
【0021】
SCR反応での使用に関してこのような材料の最良の既知の例は、限定はされないが、ZSM−5、ゼオライトY、ベータゼオライト、SSZ−13、SSZ−39、SSZ−62、チャバサイト、及びSAPO−34、SAPO−44、フェリエライト及びTNU−9である。
【0022】
好ましい態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、ここで結晶性微孔質材料がHまたはNH−型である。
【0023】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、ここで結晶性微孔質材料が有機構造規定剤を含む。
【0024】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、金属化合物が、金属酸化物、金属硝酸塩、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属シュウ酸塩、金属酢酸塩またはこれらの組み合わせである。
【0025】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、金属化合物中の金属が、Fe、Cu及びCo、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0026】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、金属化合物が、一種以上のCu酸化物を含む。
【0027】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、ここで窒素酸化物が、一酸化窒素、二酸化窒素またはこれらの混合物である。
【0028】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、ここで該雰囲気中のアンモニアの割合が1体積ppmと5000体積ppmの間である。
【0029】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、ここで該雰囲気中の一種以上の窒素酸化物の割合が1体積ppmと5000体積ppmの間である。
【0030】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、ここでアンモニアと窒素酸化物のモル比が0.01超、好ましくは0.2と1との間である。
【0031】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、ここで該雰囲気中の酸素の割合が1体積%以下である。
【0032】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に曝し、ここで該雰囲気の含水率が5体積%以下である。
【0033】
他の態様の一つでは、上記の混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含む雰囲気に、100℃と300℃までの範囲の温度、好ましくは150℃と250℃の間の温度に曝す。
【0034】
本発明の更に別の観点は、本発明の上述の観点及び態様のいずれか一つに従う方法によって得られた、金属交換された結晶性微孔質材料または金属交換された結晶性微孔質材料の混合物である。
【0035】
本発明の更に別の観点の一つは、還元剤を用いた選択的接触還元によって排ガスから窒素酸化物を除去するための方法であって、排ガスを、本発明の上記の観点及び態様の何れか一つに従う方法で得られる金属交換された結晶性微孔質材料または金属交換された結晶性微孔質材料の混合物を含む触媒と接触させることを含む前記方法である。
【0036】
本発明による窒素酸化物の除去のための方法の一態様では、還元剤はアンモニアまたはそれの前駆体である。
【0037】
本発明による窒素酸化物の除去のための方法の一態様では、還元剤は炭化水素である。
【実施例】
【0038】
例1
CuO及びH−ZSM−5ゼオライトをCuO含有率が12.5重量%となるように混合して触媒を調製した。この触媒のサンプルを、石英製U字管反応器中に入れ、そして制御されたガス雰囲気中で250℃に10時間加熱した。加熱後、触媒を200℃に冷却し、そしてN中で500ppmのNO、533ppmのNH、5%のHO、10%のOのガス混合物に曝し、そしてNOの転化率を、2700Nl/g触媒hの空間速度で、材料のSCR活性の記録として測定した。表1は、触媒の10時間調製ステップに使用した処理ガス混合物の概要と、その後のNO転化率としてのこうして調製された触媒について測定されたSCR活性と共に示す。
【0039】
表1の結果から、最も高いSCR活性は、処理ガス中に存在するNHと加熱することによって触媒を調製した場合に得られることが明らかとなる。NOの存在は、NHの効果を増強するが、NOがNH無しに存在する場合にはこれは非常に限られた効果しかもたないかまたは効果がない。加熱中に水及び/または酸素が存在する場合には、活性が比較的小さい材料が得られ、それ故、水及び酸素の存在はあまり好ましくないと考えられる。
【0040】
【表1】
【0041】
例2
この例は、250℃での加熱期間を10時間から5時間に短縮しても、材料のSCR活性に対する影響は小さいことを示している。二つの触媒サンプルを例1に記載ように調製する。一つのサンプルは、NH及びNOを含むガス雰囲気中で10時間、250℃に加熱し、他のサンプルは、NH及びNOを含むガス雰囲気中で5時間、250℃に加熱する。例1に記載のような200℃でのNH−SCR活性測定は、5時間加熱した材料を用いた場合のNO転化率は50.8%であり、10時間加熱した材料の場合は53.0%であることを示す。これは、250℃での加熱の初期期間が、活性材料の調製において最も重要であることを示している。
【0042】
例3
この例は、本発明の方法は、活性SCR材料を生成するためのイオン交換されたゼオライトを生成するために、アンモニア及び窒素酸化物の幅広い様々な濃度を使用して使用できることを示している。触媒を例1に従って調製した。これらの触媒も、上記手順に従い試験したが、NO及びNHの濃度は表2に従い変えた。これらの結果は、NO及びNHの濃度は、広い濃度範囲で変え得ることを示している。
【0043】
【表2】
【0044】
例4
この例は、本発明の方法を、異なる結晶構造を持つゼオライトをベースとするSCR活性材料を生成するために使用できることを示している。例1に記載の手順に従い、触媒を調製しそしてNO転化率を測定したが、H−ZSM−5の代わりに、H−ベータゼオライトまたはH−SSZ−13ゼオライトを使用した。表3は、様々なゼオライト材料の使用による測定されたNO転化率を示す。
【0045】
【表3】
【0046】
例5
この例は、本発明の方法が、微孔質シリカアルミネートであるゼオライトに限られるものではなく、イオン交換能を持つ他の微孔成材料にも使用できることを示している。例1に記載の手順に従い、触媒を調製しそしてNO転化率を測定したが、H−ZSM−5の代わりに、H−SAPO−34材料を使用した。測定されたNO転化率は28.0%であった。SCR−活性SAPO−34材料は、Cuを添加した後は250℃超には加熱されなかったことが特筆される。この例は、本発明の方法が、微孔質材料にCuを添加した後に、慣例に従いイオン交換されたSAPO−34材料の場合のような高められた温度(>700℃)で活性化する必要なく[P.N.R.Vennestrom,A.Katerinopoulou,R.R.Tiruvalam,A.Kustov,P.G.Moses,P.Concepcion,A.Corma,ACS Catal.2013,3,2158−2161(非特許文献14)]、SAPO−34をベースとする活性触媒を生成する方策を提供することを例示している。
【0047】
例6
この例は、本発明の方法は、好ましくは150〜300℃の温度範囲で適用されることを示している。30mgのH−ベータゼオライトと、3mgのCuOからなる粉末混合物を反応器中に入れ、そしてN2中に500ppmのNH3及び500ppmのNOからなるガス混合物に、所定の前処理温度で5時間曝した。この前処理の後、温度を200℃に変え、そしてサンプルを、N2中に600ppmのNH、500ppmのNO、10%のO2、6%のHOのガス混合物に、300Nml/分の総流速で曝し、そしてNOの転化率を、材料のSCR活性の記録として測定した。表4は、処理温度の概要を、その後のNO転化率として測定されたこうして調製された触媒の測定されたSCR活性と共に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
表4から、NO転化率のかなりの向上が150℃超で観察され、これは、この温度範囲でのより効率の良いイオン交換を示唆している。
【0050】
例7
この例は、NH及び窒素酸化物を含むガス状雰囲気中のNH/NO比を広い範囲で変え得ることを示している。30mgのH−ベータゼオライト及び3mgのCuOからなる粉末混合物を、反応器中に入れ、そして500ppmのNO及び所定量のNHを含む処理ガス混合物に250℃で5時間曝した。この前処理の後に、このサンプルを200℃に冷却し、そしてN中の600ppmのNH、500ppmのNO、10%のO、6%のHOのガス混合物に300Nml/分の総流速で曝し、そしてNOの転化率を、材料のSCR活性の記録として測定した。表5は、処理ガス混合物中のNH含有率及びNH/NO比の概要を、その後のNO転化率として測定されたこうして調製された触媒のSCR活性と共に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
表5のデータから、本発明によるイオン交換プロセスは、NH及びNOを含む処理ガス雰囲気の広い範囲の組成にとって有効であることが分かる。NHが存在しない場合には、NOx転化率はかなり低く、これは、効率が低いイオン交換プロセスを示している。NHの存在下でのイオン交換プロセスに対するNOの有利な効果は、NH単独での処理の後の場合と比べたNO転化率の向上に明らかに見られる。
【0053】
例8
この例は、本発明の方法によるイオン交換プロセスは、低い酸素濃度においてより効果的であることを示している。30mgのH−ベータゼオライト及び3mgのCuOからなる粉末混合物を、反応器中に入れ、そして500ppmのNO、500ppmのNH、及び0、1、5もしくは10%の酸素を含む処理ガス混合物に250℃で5時間曝した。この前処理の後に、このサンプルを200℃に冷却し、そしてN中の600ppmのNH、500ppmのNO、10%のO、6%のHOのガス混合物に300Nml/分の総流速で曝し、そしてNOの転化率を、材料のSCR活性の記録として測定した。表6は、処理ガス混合物中の酸素濃度の概要を、その後のNO転化率として測定されたこうして調製された触媒のSCR活性と共に示す。
【0054】
【表6】
【0055】
表6からは、1〜10%のOを含むガス中での処理の後のNOx転化率はほぼ同じであり、他方、酸素を含まないガス中での処理後のNOx転化率は明らかにより高く、この場合でのより効率のよいイオン交換を示唆している。
【0056】
例9
この例は、本発明によるイオン交換プロセスが、300℃未満の温度でより効率がよいことを示している。30mgのH−ベータゼオライト及び3mgのCuOからなる粉末混合物を、反応器中に入れ、そして窒素中の500ppmのNO及び500ppmのNHからなる処理ガス混合物に150〜450℃の範囲の様々な温度で5時間曝した。この前処理の後に、このサンプルを200℃に冷却し、そしてN中の600ppmのNH、500ppmのNO、10%のO、6%のHOのガス混合物に300Nml/分の総流速で曝し、そしてNOの転化率を、材料のSCR活性の記録として測定した。表7は、処理温度、及び200℃でのその後のNOx転化率として測定されたこうして調製された触媒の対応するSCR活性の概要を示す。
【0057】
【表7】
【0058】
表7における結果は、200〜325℃の範囲における処理の後のNOx転化率が最も高いことを示しており、本発明によるイオン交換処置はこの温度範囲で最も効率がよいことを示唆している。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
金属交換された結晶性微孔質材料をまたは金属交換された結晶性微孔質材料の混合物を製造するための方法であって、a)イオン交換能を示す一種以上の結晶性微孔質材料及びb)一種以上の金属化合物を含む乾燥混合物を用意するステップ;この混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物を含むガス状雰囲気中で、上記金属化合物のイオンと結晶性微孔質材料のイオンとの固体イオン交換を開始及び実行するのに十分な温度にかつ十分な時間、加熱するステップ;及び金属交換された結晶性微孔質材料を得るステップを含む、前記方法。
2.
結晶性微孔質材料が、ゼオライトまたはゼオタイプ材料からなる群から選択される、上記1に記載の方法。
3.
ゼオライトまたはゼオタイプ材料が、AEI、AFX、CHA、KFI、LTA、IMF、ITH、MEL、MFI、SZR、TUN、BEA、BEC、FAU、FER、MOR、LEVの骨格コードを有する、上記2に記載の方法。
4.
ゼオライトまたはゼオタイプ材料が、ZSM−5、ゼオライトY、ベータゼオライト、SSZ−13、SSZ−39、SSZ−62、チャバサイト、及びSAPO−34、SAPO−44、フェリエライト、TNU−9からなる群から選択される、上記2または3に記載の方法。
5.
結晶性微孔質材料がまたは結晶性微孔質材料の混合物が、HまたはNH型である、上記1〜4の何れか一つに記載の方法。
6.
結晶性微孔質材料がまたは結晶性微孔質材料の混合物が、有機構造規定剤を含む、上記1〜5の何れか一つに記載の方法。
7.
金属化合物が、金属酸化物、金属硝酸塩及びリン酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩またはこれらの組み合わせの群から選択される、上記1〜6の何れか一つに記載の方法。
8.
金属化合物中の金属が、Fe、Co、Cuの群から選択される、上記1〜7の何れか一つに記載の方法。
9.
金属化合物が、Cuの一種以上の酸化物を含む、上記1〜8の何れか一つに記載の方法。
10.
窒素酸化物が、一酸化窒素及び二酸化窒素及びこれらの混合物から選択される、上記1〜9の何れか一つに記載の方法。
11.
雰囲気中のアンモニアの含有率が1体積ppmと5000体積ppmとの間である、上記1〜10の何れか一つに記載の方法。
12.
ガス状雰囲気中の一種以上の窒素酸化物の含有率が1体積ppmと5000体積ppmとの間である、上記1〜11の何れか一つに記載の方法。
13.
窒素酸化物に対するアンモニアのモル比が0.01超、好ましくは0.2と1との間である、上記1〜12の何れか一つに記載の方法。
14.
雰囲気中の酸素含有率が1%以下である、上記1〜13の何れか一つに記載の方法。
15.
ガス状雰囲気の含水率が5%以下である、上記1〜14の何れか一つに記載の方法。
16.
混合物を、アンモニアと一種以上の窒素酸化物とを含むガス状雰囲気中で、300℃未満、好ましくは100℃〜300℃未満の範囲の温度、最も好ましくは150℃と250℃との間の温度に加熱する、上記1〜15の何れか一つに記載の方法。
17.
上記1〜15の何れか一つに記載の方法によって得られる、金属交換された結晶性微孔質材料または金属交換された結晶性微孔質材料の混合物。
18.
還元剤を用いた選択的接触還元によって排ガスから窒素酸化物を除去するための方法であって、排ガスを、上記1〜15の何れか一つに記載の方法で得られた金属交換された結晶性微孔質材料を含むかまたは金属交換された結晶性微孔質材料の混合物を含む触媒と接触させることを含む、前記方法。
19.
還元剤がアンモニアまたはそれの前駆体である、上記18に記載の方法。
20.
還元剤が炭化水素である、上記18に記載の方法。