(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る発光装置および照明器具について図面を用いて説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表わすものではない。
【0014】
[実施の形態1]
実施の形態1に係る発光装置を
図1、
図2、
図4を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係る発光装置を模式的に示す平面透視図である。
図2は、
図1の発光装置を用いた照明器具80の概略回路図である。
図4(a)〜(c)は、PWM信号式調光器からのパルス信号のD/A変換を説明する図である。
【0015】
図1および
図2に示されるように、発光装置1は、アノード用電極ランド13と、カソード用電極ランド14と、前記アノード用電極ランド13および前記カソード用電極ランド14に電気的に接続して、並列に設けられた、隣接する第1の発光部5および第2の発光部6と、前記第1の発光部5および前記第2の発光部6と並列に設けられた静電容量部材9、ならびに、前記第1の発光部5および前記第2の発光部6と直列に設けられた抵抗部材(
図1では、抵抗3)を含むローパスフィルタ51とを備える。前記第1の発光部5の電気抵抗は前記第2の発光部6の電気抵抗より大きい。発光装置1は、前記第1の発光部5および前記第2の発光部6を含む発光部全体の発する光の色温度を調整可能である。
【0016】
第1の発光部5は、第1の赤色蛍光体60、第2赤色蛍光体61、緑色蛍光体70、LED素子8および透光性樹脂17を含む。第1の発光部5とカソード用電極ランド14との間には、抵抗2が電気的に直列に接続されている。
【0017】
第2の発光部6は、第1の赤色蛍光体60、第2赤色蛍光体61、緑色蛍光体70、LED素子8および透光性樹脂17を含む。
【0018】
アノード用電極ランド13およびカソード用電極ランド14のそれぞれに接続される導電性配線25と、該導電性配線25に接続される第1の配線K
1および第2の配線K
2の一部と、静電容量部材9とは、樹脂ダム10の下に配置される。
【0019】
発光装置1では、単一の電源からの電力供給によって第1の発光部5と第2の発光部6とが発光する。第1の発光部5の発する光と第2の発光部6の発する光とが混合して、発光装置1からの光として外部に発する。
【0020】
第1の発光部5と第2の発光部6へ流れる電流比率を変えると、第1の発光部5と第2の発光部6の発する光の色温度は変化しないが、各発光部の光束比率が変わる。したがって、第1の発光部5と第2の発光部6から発する光の混合光である、発光部全体からの光の色温度を変えることができる。
【0021】
実施の形態1に係る発光装置1は、第1の発光部5および第2の発光部6と並列に設けられた静電容量部材9、ならびに、第1の発光部5および前記第2の発光部6と直列に設けられた抵抗3を含むローパスフィルタ51を備える。したがって、
図1の発光装置1を、
図2に示されるように、PWM(Pulse Width Modulation)信号式調光器15に接続すると、PWM信号式調光器15からのパルス信号を直流電圧に変換することができる。よって、発光装置1は、従来のLED素子の調光回路であるPWM信号式調光器15を用いて、発光部5および発光部6を含む発光部全体の発する光の色温度を調整可能である。
【0022】
(ローパスフィルタ)
発光装置1では、静電容量部材9と抵抗3とを含む回路がローパスフィルタ51を形成している。PWM信号式調光器の電気信号がローパスフィルタ51を通過した場合の、デジタル−アナログ変換(以下、D/A変換とも記す)について、
図4を用いて説明する。なお、静電容量成分のみを第1の発光部5および第2の発光部6と並列に接続してもよいが、高周波ノイズ成分低減のため、さらにローパスフィルタを使用するのが好ましい。
【0023】
LED素子を用いた照明器具では、通常、PWM信号式調光器を用いて調光を行っている。具体的には、PWM信号式調光器は、
図4(a)に示されるようなパルス波を発し、該パルス波のデューティ比(tp/T)(tpはパルス幅を示し、Tは周期を示す)を変化させることで点灯時間を変化させて、照明器具の調光を制御している。したがって。PWM信号式調光器は、電流値の変化で調色を第1の発光部5および第2の発光部6のみからなる回路に直接適用することができない。
【0024】
本実施の形態では、PWM信号式調光器15からのパルス信号を、静電容量部材9と抵抗3とを含むローパスフィルタによって、
図4(b)に示されるような直流電圧信号にD/A変換することができる。そして、
図4(c)に示されるように、PWM信号式調光器15の発するパルス波のデューティ比(tp/T)を変化させることで、直流電圧を変化させることができる。したがって、本実施の形態では、PWM信号式調光器15を用いて、発光部5および発光部6を含む発光部全体の発する光の色温度を調整可能である。
【0025】
静電容量部材9としては、チップコンデンサ、電解コンデンサ、フィルムコンデンサなどを用いることができる。
【0026】
実施の形態1では、抵抗部材として、チップ抵抗または印刷抵抗からなる抵抗3を用いている。抵抗部材としては、チップ抵抗の代わりに、またはチップ抵抗に加えて、インダクタを用いることができる。
【0027】
静電容量部材9および抵抗3は樹脂ダムの下または樹脂ダムの外側に形成されていてもよい。これによると、発光装置1の小型化が可能となり、また、LED素子8から発する光が静電容量部材9および抵抗3で吸収されるのを低減できることや、ノイズ成分の低減という効果がある。
【0028】
(アノード用電極ランド、カソード用電極ランド、導電性配線、樹脂ダム)
アノード用電極ランド13およびカソード用電極ランド14は、外部接続用(たとえば電源供給用途)の電極であり、Ag−Ptなどの材料からなる。アノード用電極ランド13およびカソード用電極ランド14は、樹脂ダム10の外部に露出するように設けられている。アノード用電極ランド13およびカソード用電極ランド14は、それぞれ導電性配線25と電気的に接続し、該導電性配線25は第1の配線K
1および第2の配線K
2を介して発光素子と電気的に接続している。
【0029】
導電性配線25は、Ag−Ptなどからなり、スクリーン印刷方法などにより形成される。
【0030】
樹脂ダム10は、透光性樹脂17を含む第1の発光部5および第2の発光部6を堰き止めるための樹脂であり、有着色材料(白色や乳白色、赤、黄、緑の光吸収の少ない有着色材料でもよい)で構成されることが好ましい。樹脂ダム10は、導電性配線25を覆うように形成されると、LED素子から放射された光または蛍光体で変換された光の吸収低減のため好ましい。
【0031】
(第1の発光部、第2の発光部)
第1の発光部5および第2の発光部6(以下、両者を含めて「発光部」とも記す)は、LED素子8と、透光性樹脂17と、透光性樹脂中に一様に分散された第1の赤色蛍光体60、第2赤色蛍光体61、緑色蛍光体70とを含む。
【0032】
図1では、第1の発光部5と第2の発光部6とは、同一の円の内部に配置されている。前記円は線対称の4本の平行線で5分割され、中心の1区分および両サイドの2区分に第2の発光部6が配置され、第2の発光部6に挟まれる残りの2区分に第1の発光部5が配置される。
図1では、第1の発光部5と第2の発光部6とは境界線において隣接しているため、第1の発光部5および第2の発光部6のそれぞれの発光部の発する光が混ざりやすくなり、発光部全体がより均一な色温度の光を発することができる。なお、第1の発光部5および第2の発光部6は隣接して配置されることが好ましいが、第1の発光部5と第2の発光部6のそれぞれの発光部の発する光が混ざり合うことができれば、第1の発光部5と第2の発光部6とは必ずしも接触していなくてもよい。この場合は、第1の発光部5と第2の発光部6とは、それぞれの発光部の発する光が十分に混ざり合うことができる程度に近い距離に配置されることが好ましい。
【0033】
第1の発光部5と第2の発光部6を含む発光部全体の形状は、第1の発光部5および第2の発光部6のそれぞれの発光部の発する光が混ざり合うことができる形状であれば、
図1のような円形に限定されない。たとえば、発光部全体の形状は略矩形、略楕円形、多角形などの任意の形状を採用できる。発光部全体の内部に配置される第1の発光部5および第2の発光部6のそれぞれの形状も特に限定されない。たとえば、第1の発光部5と第2の発光部6のそれぞれの表面積が等しくなるような形状にすることが好ましい。このような形状は、たとえば、発光部全体を中心を通過する線で等分に2分割して得られた第1の区分に第1の発光部5を配置し、第2の区分に第2の発光部6を配置することによって得ることができる。
【0034】
また、第1の発光部と第2の発光部のそれぞれの発光部の発する光の色温度を調節可能であれは、第1の発光部と第2の発光部のそれぞれの表面積は異なっていてもよい。たとえば、第1の発光部を円状に形成し、前記第1の発光部の外周を囲むように第2の発光部をドーナツ形状に配置することができる。これによると、第1の発光部と第2の発光部のそれぞれの発光部の発する光が混ざりやすくなり、発光部全体がより均一な色温度の光を発することができる。
【0035】
発光部では、LED素子8から放射された一次光(たとえば青色光)の一部が、緑色蛍光体および赤色蛍光体によって、緑色光と赤色光とに変換される。よって、本実施形態に係る発光装置は、上記一次光と緑色光と赤色光とが混合された光を発し、好適には白色系の光を発する。なお、緑色蛍光体と赤色蛍光体との混合比率は特に制限されず、所望の特性になるように混合比率を設定することが好ましい。
【0036】
第1の発光部5および第2の発光部6のそれぞれを流れる電流の大きさを変化させることにより、第1の発光部5の発する光の光束と第2の発光部6の発する光の光束を調整することができる。
【0037】
発光部を流れる電流を定格電流値とした場合、第1の発光部5が発する光と第2の発光部6が発する光とが混ざり合った発光装置全体の発する光の色温度(以下、Tcmaxともいう)は2700K〜6500Kであることが好ましい。電流の大きさを定格電流値より小さくすると、第1の発光部5と第2の発光部6の発する光の光束が小さくなり、発光装置(発光部)全体の発する光の光束が小さくなり、色温度が低下する。発光部を流れる電流を定格電流値とした場合に発光装置全体の発する光の光束を100%とし、電流の大きさを小さくして発光装置全体の発する光の光束を20%に調整した時、発光装置全体の発する光の色温度がTcmaxよりも300K以上小さいことが、幅広い範囲の色温度を得られるという観点から好ましい。
【0038】
(抵抗)
第1の発光部5には抵抗2が接続される。抵抗2の抵抗の大きさを変化させることにより、第1の発光部5および第2の発光部6に流れる電流の大きさを調整することができる。第1の発光部5および第2の発光部6に流れる電流の大きさの変化に伴い、第1の発光部5または第2の発光部6に接続されたLED素子8の発する光の光束も変化し、第1の発光部5および第2の発光部6の発する光の光束も変化する。発光部の発する光の光束が変化すると光の色温度も変化するため、抵抗の大きさを変化させることによって、発光装置全体の発する光の色温度を調整することができる。
【0039】
抵抗2はチップ抵抗や印刷抵抗を用いることができる。
実施の形態1では、第1の発光部5のみに抵抗が接続されているが、第2の発光部6にも抵抗が接続されていてもよい。この場合は、第1の発光部の抵抗値が、第2の発光部の抵抗値よりも大きくなるように、それぞれの発光部に接続する抵抗を選択する。
【0040】
(LED素子)
LED素子8は、青色領域(波長が430nm以上480nm以下の領域)にピーク発光波長が存在する青色成分の光を含む光を放射するLED素子であることが好ましい。ピーク発光波長が430nm未満のLED素子を用いた場合には、発光装置からの光に対する青色光の成分の寄与率が低くなるので、演色性の悪化を招き、よって、発光装置の実用性の低下を招くことがある。ピーク発光波長が480nmを超えるLED素子を用いた場合には、発光装置の実用性の低下を招くことがある。特に、InGaN系のLED素子では量子効率が低下するので、発光装置の実用性の低下は顕著である。
【0041】
LED素子8は、InGaN系LED素子であることが好ましい。LED素子8の一例として、ピーク発光波長が450nm近傍のLED素子を挙げることができる。ここで、「InGaN系LED素子」は、発光層がInGaN層であるLED素子を意味する。
【0042】
LED素子8は、その上面から光が放射される構造を有する。また、LED素子8は、その表面に、第1の配線K
1または第2の配線K
2に含まれるワイヤ20を介して、隣り合うLED素子同士を接続するため、および、第1の配線K
1または第2の配線K
2を介して、LED素子8と導電性配線25とを接続するための、電極パッドを有する。
【0043】
(透光性樹脂)
発光部に含まれる透光性樹脂17は、透光性を有する樹脂であれば限定されず、たとえばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂または尿素樹脂などであることが好ましい。
【0044】
(赤色蛍光体)
第1の赤色蛍光体60および第2の赤色蛍光体61(以下、両者を含めて「赤色蛍光体」とも記す)は、LED素子8から放射された1次光によって励起され、赤色領域にピーク発光波長を有する光を放射する。赤色蛍光体は、700nm以上の波長範囲内において発光せず、且つ、550nm以上600nm以下の波長範囲内において光吸収がない。「赤色蛍光体が700nm以上の波長範囲内において発光せず」とは、300K以上の温度において700nm以上の波長範囲内における赤色蛍光体の発光強度がピーク発光波長における赤色蛍光体の発光強度の1/100倍以下であることを意味する。「赤色蛍光体が550nm以上600nm以下の波長範囲内において光吸収がない」とは、300K以上の温度において、赤色蛍光体が550nm以上600nm以下の波長範囲内における励起スペクトルの積分値が、赤色蛍光体が430nm以上480nm以下の波長範囲内における励起スペクトルの積分値の1/100倍以下であることを意味する。なお、励起スペクトルの測定波長は、赤色蛍光体のピーク波長とする。「赤色領域」とは、本明細書では、波長が580nm以上700nm未満である領域を意味する。
【0045】
赤色蛍光体の発光は700nm以上の長波長領域においてはほとんど確認できない。700nm以上の長波長領域では、ヒトの視感度は相対的に小さい。そのため、発光装置をたとえば照明用途などに用いる場合は、赤色蛍光体を用いることは非常に利点となる。
【0046】
また、赤色蛍光体は、550nm以上600nm以下の波長範囲内において光吸収がないので、緑色蛍光体からの二次光を吸収し難い。よって、赤色蛍光体が緑色蛍光体からの二次光を吸収して発光するという2段階発光が起こることを防止することができる。したがって、発光効率が高く維持される。
【0047】
赤色蛍光体は、発光装置の波長変換部に用いられるものであれば特に限定されないが、たとえば、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu系蛍光体、CaAlSiN
3:Eu系蛍光体などを用いることができる。
【0048】
(緑色蛍光体)
緑色蛍光体70は、LED素子8から放射された1次光によって励起され、緑色領域にピーク発光波長を有する光を放射する。緑色蛍光体は、発光装置の波長変換部に用いられるものであれば特に限定されないが、たとえば、一般式(1):(M1)
3-xCe
x(M2)
5O
12(式中、(M1)はY、Lu、GdおよびLaのうちの少なくとも1つを表わし、(M2)はAlおよびGaのうちの少なくとも1つを表わし、Ceの組成比(濃度)を示すxは0.005≦x≦0.20を満たす)で表わされる蛍光体などを用いることができる。「緑色領域」は波長が500nm以上580nm以下の領域を意味する。
【0049】
緑色蛍光体の蛍光スペクトルの半値幅は、緑色蛍光体を1種類用いる場合(たとえば一般照明用途などの場合)には、広い方が好ましく、たとえば95nm以上であることが好ましい。Ceを賦活剤とする蛍光体、たとえば一般式(1)で表されるLu
3-xCe
xAl
5O
12系緑色蛍光体は、ガーネット結晶構造を有する。この蛍光体はCeを賦活剤として使用するので、半値幅の広い(半値幅が95nm以上)の蛍光スペクトルが得られる。よって、Ceを賦活剤とする蛍光体は、高い演色性を得るのに好適な緑色蛍光体である。
【0050】
(添加剤)
発光部は、透光性樹脂、緑色蛍光体および赤色蛍光体以外に、たとえばSiO
2、TiO
2、ZrO
2、Al
2O
3またはY
2O
3などの添加剤を含んでいても良い。発光部がこのような添加剤を含んでいれば、緑色蛍光体および赤色蛍光体などの蛍光体の沈降を防止する効果、または、LED素子、緑色蛍光体および赤色蛍光体からの光を効率良く拡散させる効果などを得ることができる。
【0051】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る発光装置を、
図5および
図6を用いて説明する。
図5は、実施の形態2に係る発光装置21を模式的に示す平面透視図である。
図6は、
図5の発光装置21をPWM信号式調光器15に接続して作製された照明器具81の概略回路図である。
【0052】
実施の形態2に係る発光装置21は、基本的な構成としては実施の形態1に係る発光装置1と同様の構成を備える。実施の形態1と異なる点は、抵抗部材としてインダクタ11を用いている点である。抵抗部材としてインダクタを用いることで、抵抗部材として抵抗を用いた場合よりも、抵抗部材での電力損失を低減できる。実施の形態2では、コンデンサ9およびインダクタ11を用いることで、2次のローパスフィルタ52を形成しているため、出力信号のリップル成分を低減することができる。
【0053】
インダクタ11としてはコイルを用いることができる。コイルとしては、巻線構造のコイル、積層構造のコイル、フィルム構造のコイルのいずれも用いることができる。
【0054】
巻線構造のコイルは、アルミナのコアに銅線をらせん状に巻いた構造を有する。巻線構造のコイルは、低直流抵抗化が可能であり、インダクタの品質を表すパラメーターであるQ値が高く、損失が少なく優れた特性を有し、大電流対応が可能となる。
【0055】
積層構造のコイルは、セラミック材料とコイル導体とを積層して一体化したモノリシックタイプである。積層構造のコイルは、巻線構造に比べて、小型化および低コスト化が可能である。
【0056】
フィルム構造のコイルは、積層構造のコイルにおいて、コイルの形状をセラミック材料上へ高精度に実現したチップインダクタである。フィルム構造のコイルは、非常に高精度なコイルを形成できる。
【0057】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3に係る発光装置を、
図7および
図8を用いて説明する。
図7は、実施の形態3に係る発光装置31を模式的に示す平面透視図である。
図8は、
図7の発光装置31をPWM信号式調光器15に接続して作製された照明器具82の概略回路図である。
【0058】
実施の形態
3に係る発光装置31は、基本的な構成としては実施の形態1に係る発光装置1と同様の構成を備える。実施の形態1と異なる点は、抵抗3および静電容量部材9を含むローパスフィルタ51に加えて、第1の発光部5および第2の発光部6と並列に設けられた静電容量部材12、ならびに、第1の発光部5および第2の発光部6と直列に設けられた抵抗4を含むローパスフィルタ54を備えることである。すなわち、実施の形態3に係る発光装置31は、ローパスフィルタを多段階で備えている。これにより、発光装置31は、ノイズを低減し、さらに、出力信号のリップル成分を低減することができる。
【0059】
図7および
図8では、ローパスフィルタが2段階で形成されているが、ローパスフィルタの数は特に制限されず、3段階以上形成されてもよい。また、実施の形態3では、抵抗部材として抵抗を用いているが、抵抗に代えて、または抵抗に加えて、インダクタを用いることができる。
【0060】
[実施の形態4]
実施の形態4に係る発光装置を
図9〜
図15を用いて説明する。
図9は、実施の形態4に係る発光装置を模式的に示す平面透視図である。
図10は、
図9の発光装置の変形例の斜視図である。
図11は、
図9の発光装置の変形例の斜視図である。
図12は、
図9の発光装置を用いた照明器具の概略断面図である。
図13は、
図9の発光装置の変形例の斜視図である。
図14は、
図9の発光装置の変形例の斜視透視図である。
図15は、
図13の発光装置の変形例の斜視図である。
【0061】
図9に示されるように、実施の形態4に係る発光装置41は、基本的な構成としては実施の形態1に係る発光装置と同様の構成を備える。実施の形態1と異なる点は、第1の発光部5および第2の発光部6で形成される発光部全体が、発光装置を上側から見た平面視において矩形である点である。発光部の形状を矩形にすることにより、直管タイプの照明や
図12のような構造の照明器具に用いるのに適している。
図9では、第1の発光部5と第2の発光部6はそれぞれ矩形であり、それぞれの短辺同士が接触しているが、長辺同士が接触していてもよい。
【0062】
図10に示されるように、
図9の発光装置41は、2枚重ねて用いられてもよい。これにより、ほぼ全周囲方向に近い広配光の混色された発光を得ることができる。
【0063】
図11に示されるように、
図9の発光装置41は、直方体形状のヒートシンク18を挟んでヒートシンクの対向する主面の両側に固定されてもよい。これにより、放熱性を確保できる。なお、ヒートシンク18に固定される発光装置41の数は2枚に限定されず、3枚以上でもよい。
【0064】
図12に示されるように、
図9の発光装置41は、照明器具50の発光部として用いることができる。照明器具50は、略半球形状と該半球の頂点を含む領域に形成された突出部とを含む筐体22と、前記筐体22の内部を被覆するリフレクタ19と、前記筐体22の開口部に配置された前面カバー23と、前記筐体22の突出部内部に配置されたPWM信号式
調光器15と、前記PWM信号式
調光器15に接続されたG口金24とを備える。照明器具50は、従来のLED素子の調光回路であるPWM信号式調光器15を用いて、発光部5および発光部6を含む発光部全体の発する光の色温度を調整可能である。なお、
図12では、発光部として
図9の発光装置41を用いているが、
図10および
図11に示される発光装置も用いることができる。
【0065】
第1の発光部と第2の発光部との配置は、第1の発光部および第2の発光部のそれぞれの発光部の発する光が混ざり合うことができれば、特に限定されない。たとえば、
図14に示されるように、発光部を3分割して、中央の1つの区分に第1の発光部5を配置し、両側の2つの区分に第2の発光部6を配置することができる。
【0066】
図13に示されるように、第1の発光部5および第2の発光部6は、基板7上に、樹脂ダムを超える高さで立体的に形成することができる。これによると、LED素子、赤色蛍光体および緑色蛍光体から発光装置の側方に放射された光は発光部の表面で拡散反射し、発光装置の全方向に分配され、配光性の優れた発光装置411を得ることができる。
【0067】
また
図14に示されるように、第1の発光部5および第2の発光部6は、基板7上に、立体的に形成することができる。これによると、樹脂ダムやリフレクタを配置しなくても、LED素子、赤色蛍光体および緑色蛍光体から発光装置の側方に放射された光は発光部の表面で拡散反射し、発光装置の全方向に分配され、配光性の優れた発光装置412を得ることができる。
【0068】
図13の発光装置の変形例を
図15に示す。発光装置413では、基板7上に第1の発光部5と第2の発光部6が立体的に形成されている。発光部を挟んで対向してカソード用電極ランド14とアノード用電極ランド13が形成されている。これにより、細長い発光部(たとえば、幅2mm、長さ40mm)を持ち、低い色温度から高い色温度へ調色が可能な発光装置を得ることができる。
【0069】
図15の発光装置413は、特に、LED型電球の光源として最適な構造を実現できる。発光装置413は一つ或いは複数個を用いることが好ましく、複数個を用いるのが特に好ましい。また、発光装置413は複数個を貼り合わせて用いることができる。
【0070】
[実施の形態5]
本発明の実施の形態5に係る発光装置を、
図16を用いて説明する。
図16は、実施の形態5に係る発光装置を模式的に示す平面図である。
【0071】
実施の形態5に係る発光装置71は、基本的な構成としては実施の形態1に係る発光装置と同様の構成を備える。実施の形態1と異なる点は、5箇所の第1の発光部5が第1の配線K
1上で直列に接続されていること、5箇所の第2の発光部6が第2の配線K
2上で直列に接続されていること、第1の発光部5と第2の発光部6とは隣接しておらず、それぞれの発する光が十分に混ざり合うことができる程度に近い距離に配置されていることである。
【0072】
具体的には、発光装置71は、基板7上に配置されたアノード用電極ランド13と、カソード用電極ランド14と、アノード用電極ランド13とカソード用電極ランド14とを接続する第1の配線K
1、第2の配線K
2および配線パターン16とを備える。
【0073】
第1の配線K
1には抵抗2が直列に接続されており、第1の配線K
1の電気抵抗が第2の配線K
2の電気抵抗より大きい。抵抗2は、第1の発光部5と第2の発光部6とに流れる電流を調整するための部材である。なお、該電流の調整は、発光部の数を調整したり、発光する電圧値の異なるLED素子を搭載することによっても実現可能である。
【0074】
第1の発光部5および第2の発光部6と直列に抵抗3が接続されている。該抵抗3はインダクタ11に代えることができる。配線パターン16によって、第1の発光部5および第2の発光部6と並列に静電容量部材9が接続されている。
【0075】
第1の発光部5および第2の発光部6とは、それぞれの発する光が十分に混ざり合うことができる程度に近い距離に配置されているため、発光装置全体の発する光は均一な色温度の光となる。第1の発光部5と第2の発光部6との間の距離は、それぞれの発光部の外縁間の最短距離が28mm以下であることが好ましく、22mm以下であることがさらに好ましい。第1の発光部5と第2の発光部6との間の距離が28mm以下であると、第1の発光部5と第2の発光部6のそれぞれの発する光が十分に混ざり合うことができる。
【0076】
[実施の形態6]
実施の形態6に係る照明器具80を
図1および
図2を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係る発光装置を模式的に示す平面透視図である。
図2は、
図1の発光装置を用いた照明器具80の概略回路図である。
【0077】
図2に示されるように、実施の形態1に係る発光装置1は、PWM信号式
調光器に接続される。実施の形態1に係る発光装置1は、第1の発光部5および第2の発光部6と並列に設けられた静電容量部材9、ならびに、第1の発光部5および前記第2の発光部6と直列に設けられた抵抗3を含むローパスフィルタ51を備える。したがって、発光装置1をPWM(Pulse Width Modulation)信号式調光器15に接続すると、PWM信号式調光器15からのパルス信号を直流電圧に変換することができる。よって、照明器具80は、従来のLED素子の調光回路であるPWM信号式調光器15を用いて、発光部5および発光部6を含む発光部全体の発する光の色温度を調整可能である。
【実施例】
【0078】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0079】
[実施例1]
実施例1では、実施の形態1の
図1および
図2と同様の構成の発光装置を用いて試験を行った。
【0080】
基板7にはセラミック基板を用いた。抵抗2は抵抗値が60Ωのチップ抵抗である。抵抗3は抵抗値が10Ωのチップ抵抗である。静電容量部材9は、PWM周波数を10kHzとした場合、静電容量が100μF程度のチップコンデンサである。
【0081】
抵抗3と静電容量部材9とは、導電性配線K
3を介して電気的に接続され、ローパスフィルタ51を形成している。静電容量部材9の静電容量をC、抵抗3の抵抗値をRとした場合、カットオフ周波数fcは1/2πCRで表される。PWM信号周波数Fに対して、カットオフ周波数fcが大きくなると、高周波成分によるリップル成分を除去できず、電圧ばらつきが大きくなってしまうため、PWM信号周波数F>>カットオフ周波数fcとなるように設定する。実施例1では、PWM信号がローパスフィルタ51を通過することでD/A変換され、第1の配線K
1および第2の配線K
2を流れる直流電流値を制御することができる。
【0082】
第1の発光部5および第2の発光部6では、第1赤色蛍光体60(CaAlSiN
3:Eu)、第2赤色蛍光体61((Sr,Ca)AlSiN
3:Eu)、緑色蛍光体70(Lu
3Al
5O
12:Ce)および青色発光LED素子8(発光波長450nm)がシリコーン樹脂で封止されている。青色発光LED素子8および導電性配線25は第1の配線K
1または第2の配線K
2で電気的に接続され、導電性配線25はアノード用電極ランド13またはカソード用電極ランド14に電気的に接続されている。
【0083】
実施例1の発光装置の第1の発光部5の発する光の色温度は2000K、第2の発光部6の発する光の色温度は3000Kとなるように形成している。次に、第1の配線K
1および第2の配線K
2に流れる順方向電流の合計(以下、合計順方向電流ともいう)の大きさと発光装置の発する光の色温度との関係を調べた。
【0084】
合計順方向電流350mAが流れた時の発光装置全体の発する光の色温度は2900Kであり、合計順方向電流50mAが流れた時の発光装置全体の発する光の色温度は2000Kであった。
【0085】
図3は、合計順方向電流350mAの時の発光装置全体の発する光の光束を100%として、合計順方向電流を変化させた時の光の相対光束(%)と色温度との関係を示すグラフである。
図3から、相対光束が減少すると、色温度が低くなることが分かる。
【0086】
[実施例2]
実施例2では、実施の形態2の
図5および
図6と同様の構成の発光装置を用いて試験を行った。実施例2の発光装置の構成は、実施例1の発光装置の構成と基本的に同様である。実施例2の発光措置は、実施例1の抵抗3に代えて、インダクタ11を用いる点が異なる。インダクタ11はインダクタンスが10mHのコイルである。静電容量部材9は、PWM周波数を10kHzとした場合、静電容量が100μF程度のチップコンデンサである。
【0087】
インダクタ11と静電容量部材9とは、導電性配線K
3を介して電気的に接続され、2次のローパスフィルタ52を形成している。静電容量部材9の静電容量をC、インダクタ11のインダクタンスをLとした場合、カットオフ周波数fcは1/2π√(CL)で表される。PWM信号周波数Fに対して、カットオフ周波数fcが大きくなると、高周波成分によるリップル成分を除去できず、電圧ばらつきが大きくなってしまうため、PWM信号周波数F>>カットオフ周波数fcとなるように設定する。実施例2では、PWM信号がローパスフィルタ52を通過することでD/A変換され、第1の配線K
1および第2の配線K
2を流れる直流電流値を制御することができる。
【0088】
実施例2の発光装置の第1の発光部5の発する光の色温度は2700K、第2の発光部6の発する光の色温度は5000Kとなるように形成している。次に、第1の配線K
1および第2の配線K
2に流れる順方向電流の合計(以下、合計順方向電流ともいう)の大きさと発光装置の発する光の色温度との関係を調べた。
【0089】
合計順方向電流350mAが流れた時の発光装置全体の発する光の色温度は4000Kであり、合計順方向電流50mAが流れた時の発光装置全体の発する光の色温度は2700Kであった。
【0090】
[実施例3]
実施例3では、実施の形態3の
図7および
図8と同様の構成の発光装置を用いて試験を行った。
【0091】
実施例3の発光装置の構成は、実施例1の発光装置の構成と基本的に同様である。実施例3の発光
装置は、実施例1のローパスフィルタ51に加えて、静電容量部材12および抵抗4を含むローパスフィルタ54を含む点が異なる。抵抗3,4は抵抗値が10Ωのチップ抵抗である。静電容量部材9,12は、PWM周波数を10kHzとした場合、静電容量が100μF程度のチップコンデンサである。
【0092】
実施例3の発光装置の第1の発光部5の発する光の色温度は2000K、第2の発光部6の発する光の色温度は4000Kとなるように形成している。次に、第1の配線K
1および第2の配線K
2に流れる順方向電流の合計(以下、合計順方向電流ともいう)の大きさと発光装置の発する光の色温度との関係を調べた。
【0093】
合計順方向電流350mAが流れた時の発光装置全体の発する光の色温度は3000Kであり、合計順方向電流50mAが流れた時の発光装置全体の発する光の色温度は2000Kであった。
【0094】
ノイズ低減について、コンデンサのインピーダンスが、高周波になるほど低くなるため、ノイズ成分がコンデンサ側から流れることでノイズ成分が低減する。実施例3の場合、実施例1に対してノイズ成分が1/1000以下に抑制される。実施例の値は、一例であり、抵抗値、静電容量、インダクタンスを調整することで、さらにノイズ成分を低減することも可能である。
【0095】
上記によって、PWM信号式
調光器15を用いてもスムーズな調光調色発光装置が実現できる。
【0096】
[実施例4]
実施例4では、実施の形態4の
図9と同様の構成の発光装置を用いて試験を行った。実施例
4の発光装置の構成は、実施例1の発光装置の構成と基本的に同様であり、用いた各部材も実施例1と同様である。実施例4の発光装置は、発光装置を上面から見た平面視において、矩形の第1の発光部5が2箇所および矩形の第2の発光部6が3箇所形成され、発光部全体が矩形である点
が異なる。
【0097】
実施例
4の発光装置の第1の発光部5の発する光の色温度は2000K、第2の発光部6の発する光の色温度は3000Kとなるように形成している。次に、第1の配線K1および第2の配線K2に流れる順方向電流の合計(以下、合計順方向電流ともいう)の大きさと発光装置の発する光の色温度との関係を調べた。
【0098】
合計順方向電流350mAが流れた時の発光装置全体の発する光の色温度は2900Kであり、合計順方向電流50mAが流れた時の発光装置全体の発する光の色温度は2000Kであった。
【0099】
発光部を矩形にすることにより直管タイプの照明や
図12のような構造の照明器具に適した発光を得ることができる。
【0100】
また、発光部を立体的に形成することで発光装置から放射された光は発光装置の全方向に分配され、配光性の優れた発光装置を実現することができる。
【0101】
さらに発光部の形状を矩形した形状を2枚以上貼り合わせる構造を用いることで、ほぼ全周囲方向に近い広配光の混色された発光を得ることができ、特にLED型電球の光源として最適な構造を実現できる。
【0102】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。