特許第6395862号(P6395862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6395862マルチビームアンテナシステム、およびマルチビームアンテナシステムの位相調整方法、ならびに二重偏波アンテナシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395862
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】マルチビームアンテナシステム、およびマルチビームアンテナシステムの位相調整方法、ならびに二重偏波アンテナシステム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 25/00 20060101AFI20180913BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20180913BHJP
   H01Q 3/30 20060101ALI20180913BHJP
   H01Q 3/40 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H01Q25/00
   H01Q21/24
   H01Q3/30
   H01Q3/40
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-567653(P2016-567653)
(86)(22)【出願日】2015年5月4日
(65)【公表番号】特表2017-516408(P2017-516408A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】CN2015078218
(87)【国際公開番号】WO2015172667
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】201410204330.2
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 建平
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−178604(JP,A)
【文献】 特開平10−082810(JP,A)
【文献】 特表2007−532031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/00− 3/46
H01Q 21/00− 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数ポートと、
前記無線周波数ポートに接続された1次元マルチビーム形成モジュールであって、前記1次元マルチビーム形成モジュールは、マルチビーム形成ユニットと、前記マルチビーム形成ユニットに接続された第1の位相制御ユニットとを備え、前記マルチビーム形成ユニットは、前記無線周波数ポートによって送信された無線周波数信号を異なる位相を有するM個の無線周波数信号に変換するように構成され、Mは1よりも大きい整数であり、前記マルチビーム形成ユニットは、前記M個の無線周波数信号をそれぞれ出力するように構成されたM個の出力端を有し、前記第1の位相制御ユニットは、前記M個の無線周波数信号の位相を調整するように構成される、1次元マルチビーム形成モジュールと、
前記1次元マルチビーム形成モジュールに接続された2次元マルチビーム形成モジュールであって、前記2次元マルチビーム形成モジュールは、移相器と、前記移相器に接続された第2の位相制御ユニットと、前記マルチビーム形成ユニットの前記M個の出力端にそれぞれ接続されたM個の第1の電力分割ユニットとを備え、各第1の電力分割ユニットは、1つの無線周波数信号をN個の無線周波数信号に分割するように構成され、Nは1よりも大きい整数であり、各第1の電力分割ユニットは、前記N個の無線周波数信号をそれぞれ出力するように構成されたN個の出力トリビュタリを有し、前記移相器は、前記N個の出力トリビュタ
リのP個の出力トリビュタリに配置され、Pは1以上の整数であり、前記第2の位相制御ユニットは、前記移相器の位相を調整して位相偏移を実行するように構成される、2次元マルチビーム形成モジュールと、
前記2次元マルチビーム形成モジュールに接続されたM×Nの放射素子であって、前記M×Nの放射素子は、N個の行およびM個の列を有するマトリクスを形成し、放射素子の前記M個の列は、前記M個の第1の電力分割ユニットにそれぞれ接続され、放射素子の各列のN個の放射素子は、1つの第1の電力分割ユニットの前記N個の出力トリビュタリにそれぞれ接続され、前記N個の行およびM個の列を有するマトリクスにおいて、前記M個の第1の電力分割ユニットの移相器と共に配置された出力トリビュタリに接続されたM×Pの放射素子は、P個の行およびM個の列を有するマトリクスを形成し、同じ行に出力されるM個の放射素子のM個の無線周波数信号に同位相位相偏移が実行されている、M×Nの放射素子とを備えるマルチビームアンテナシステム。
【請求項2】
各第1の電力分割ユニットは、第1の電力分割器を備え、前記第1の電力分割器はQ個の出力端を有し、前記第1の電力分割器は、1つの無線周波数信号をQ個の無線周波数信号に分割するように構成され、Qは1よりも大きい整数であり、
各第1の電力分割ユニットは、前記第1の電力分割器の前記Q個の出力端にそれぞれ接続されたQ個の第2の電力分割器をさらに備え、各第2の電力分割器は、R個の出力端を含み、各第2の電力分割器は、1つの無線周波数信号をR個の無線周波数信号に分割するように構成され、Rは1よりも大きい整数であり、Q×R=Nであり、
前記N個の行およびM個の列を有するマトリクスにおいて、放射素子の各列内の前記N個の放射素子は、前記Q個の第2の電力分割器のN個の出力端にそれぞれ接続される、請求項1に記載のマルチビームアンテナシステム。
【請求項3】
各第1の電力分割ユニットに移相器を有する出力トリビュタリ上で、前記第1の電力分割器は、前記移相器を使用することによって第2の電力分割器に接続されるか、または第2の電力分割器は、前記移相器を使用することによって放射素子に接続される、請求項2に記載のマルチビームアンテナシステム。
【請求項4】
同じ行のM個の放射素子にそれぞれ接続されたM個の移相器は、連携移相器を形成し、前記連携移相器は、複数の無線周波数信号が同じ位相で位相偏移を受けられるように構成される、請求項3に記載のマルチビームアンテナシステム。
【請求項5】
前記マルチビーム形成ユニットは、butlerマトリクスおよびS個のうちの1つのスイッチを備え、前記butlerマトリクスは、前記S個のうちの1つのスイッチを使用することによって前記無線周波数ポートに接続され、
前記butlerマトリクスは、S個の入力端を備え、Sは1よりも大きい整数であり、前記S個のうちの1つのスイッチは、S個の出力端を備え、前記S個のうちの1つのスイッチの前記S個の出力端は、前記butlerマトリクスの前記S個の入力端にそれぞれ接続され、
前記第1の位相制御ユニットは、前記S個のうちの1つのスイッチの制御端に接続され、前記第1の位相制御ユニットは、出力のために前記S個のうちの1つの出力端を選択するよう前記S個のうちの1つのスイッチを制御するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチビームアンテナシステム。
【請求項6】
前記マルチビーム形成ユニットは、第2の電力分割ユニットと、前記第2の電力分割ユニットに接続された移相ユニットとを備え、前記移相ユニットは、前記第1の位相制御ユニットに接続される、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチビームアンテナシステム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の2つのマルチビームアンテナシステムを備え、
1つのマルチビームアンテナシステムの放射素子およびもう一方のマルチビームアンテ
ナシステムの放射素子は、1対1で対応して二重偏波放射素子を形成する、二重偏波アンテナシステム。
【請求項8】
マルチビームアンテナシステムの位相調整方法であって、請求項1から6のいずれか一項に記載の前記マルチビームアンテナシステムに使用され、
マルチビーム形成ユニットによって形成されるM個の無線周波数信号の位相を、前記M個の無線周波数信号が異なる位相を有するように、調整するステップと、
各第1の電力分割ユニットにおいてN個の無線周波数信号のP個の無線周波数信号に位相偏移を実行し、M個の第1の電力分割ユニットにおいて、同じ行に出力されるM個の放射素子のM個の無線周波数信号に同位相位相偏移を実行するステップとを備える位相調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により全体を本願に援用する、2014年5月14日に中国特許庁に出願した「MULTI-BEAM ANTENNA SYSTEM AND PHASE ADJUSTMENT METHOD FOR MULTI-BEAM ANTENNA SYSTEM、AND DUAL-POLARIZED ANTENNA SYSTEM」と題する中国特許第201410204330.2号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、通信技術の分野に関し、具体的には、マルチビームアンテナシステム、およびマルチビームアンテナシステムの位相調整方法、ならびに二重偏波アンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
アンテナは、エネルギー変換器であり、送信回線上で伝播される誘導波を空間電磁波に変換する、つまり逆変換することができる。アンテナは、無線通信において電磁波を送信または受信するために使用される。無線通信システムにおいて最も一般的な従来のアンテナは、ファイバーグラス全方向性アンテナ、指向性パネルアンテナ、スモールホイップアンテナなどである。多くの場合、人々は、アンテナが最大カバレッジエリアおよび最長カバレッジ距離を有すること、すなわち、アンテナが最大ビーム幅および最大ゲインを有することを求めるが、しかしこれらはいずれも、シングルビームアンテナにとって矛盾するものである。
【0004】
マルチビームアンテナは、マルチビーム放射能力を有し、アンテナゲインを低下させることなく放射カバレッジエリアを増大させることができる。しかし、従来のマルチビームアンテナの放射カバレッジエリアは依然として、比較的小さい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、比較的大きい放射カバレッジエリアを実施するための、マルチビームアンテナシステム、およびマルチビームアンテナシステムの位相調整方法、ならびに二重偏波アンテナシステムを提供する。
【0006】
前述の技術的問題を解決するため、本発明は、以下の技術的解決策を使用する。
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、
無線周波数ポートと、
無線周波数ポートに接続された1次元マルチビーム形成モジュールであって、1次元マルチビーム形成モジュールは、マルチビーム形成ユニットと、マルチビーム形成ユニットに接続された第1の位相制御ユニットとを含み、マルチビーム形成ユニットは、無線周波数ポートによって送信された無線周波数信号を異なる位相を有するM個の無線周波数信号に変換するように構成され、Mは1よりも大きい整数であり、マルチビーム形成ユニットは、M個の無線周波数信号をそれぞれ出力するように構成されたM個の出力端を有し、第1の位相制御ユニットは、M個の無線周波数信号の位相を調整するように構成される1次元マルチビーム形成モジュールと、
1次元マルチビーム形成モジュールに接続された2次元マルチビーム形成モジュールであって、2次元マルチビーム形成モジュールは、移相器と、移相器に接続された第2の位相制御ユニットと、マルチビーム形成ユニットのM個の出力端にそれぞれ接続されたM個の第1の電力分割ユニットとを含み、各第1の電力分割ユニットは、1つの無線周波数信号をN個の無線周波数信号に分割するように構成され、Nは1よりも大きい整数であり、各第1の電力分割ユニットは、N個の無線周波数信号をそれぞれ出力するように構成されたN個の出力トリビュタリを有し、移相器は、N個の出力トリビュタリのP個の出力トリビュタリに配置され、Pは1以上の整数であり、第2の位相制御ユニットは、移相器の位相を調整して位相偏移を実行するように構成される2次元マルチビーム形成モジュールと、
【0008】
第2のマルチビーム形成モジュールに接続されたM×Nの放射素子であって、M×Nの放射素子は、N個の行およびM個の列を有するマトリクスを形成し、放射素子のM個の列は、M個の第1の電力分割ユニットにそれぞれ接続され、放射素子の各列のN個の放射素子は、1つの第1の電力分割ユニットのN個の出力トリビュタリにそれぞれ接続され、N個の行およびM個の列を有するマトリクスにおいて、M個の第1の電力分割ユニットの移相器と共に配置された出力トリビュタリに接続されたM×Pの放射素子は、P個の行およびM個の列を有するマトリクスを形成するM×Nの放射素子とを含むマルチビームアンテナシステムを提供する。
【0009】
第1の態様を参照すると、第1の態様の第1の実施手順において、各第1の電力分割ユニットは、第1の電力分割器を含み、第1の電力分割器はQ個の出力端を有し、第1の電力分割器は、1つの無線周波数信号をQ個の無線周波数信号に分割するように構成され、Qは1よりも大きい整数であり、
各第1の電力分割ユニットは、第1の電力分割器のQ個の出力端にそれぞれ接続されたQ個の第2の電力分割器をさらに含み、各第2の電力分割器は、R個の出力端を含み、各第2の電力分割器は、1つの無線周波数信号をR個の無線周波数信号に分割するように構成され、Rは1よりも大きい整数であり、Q×R=Nであり、
N個の行およびM個の列を有するマトリクスにおいて、放射素子の各列内のN個の放射素子は、Q個の第2の電力分割器のN個の出力端にそれぞれ接続される。
【0010】
第1の態様の第1の実施手順を参照すると、第1の態様の第2の実施手順において、各第1の電力分割ユニットに移相器を有する出力トリビュタリ上で、第1の電力分割器は、移相器を使用することによって第2の電力分割器に接続されるか、または第2の電力分割器は、移相器を使用することによって放射素子に接続される。
【0011】
第1の態様の第2の実施手順を参照すると、第1の態様の第3の実施手順において、同じ行のM個の放射素子にそれぞれ接続されたM個の移相器は、連携移相器を形成し、連携移相器は、複数の無線周波数信号が同じ位相で位相偏移を受けられるように構成される。
【0012】
第1の態様のいずれか1つ、または第1の態様の第1から第3の実施手順を参照して、第1の態様の第4の可能な実施手順において、マルチビーム形成ユニットは、butlerマトリクスおよびS個のうちの1つのスイッチを含み、butlerマトリクスは、S個のうちの1つのスイッチを使用することによって無線周波数ポートに接続され、
butlerマトリクスは、S個の入力端を含み、ここでSは1よりも大きい整数であり、S個のうちの1つのスイッチは、S個の出力端を含み、ここでS個のうちの1つのスイッチのS個の出力端は、butlerマトリクスのS個の入力端にそれぞれ接続され、
第1の位相制御ユニットは、S個のうちの1つのスイッチの制御端に接続され、第1の位相制御ユニットは、出力のためにS個のうちの1つの出力端を選択するようS個のうちの1つのスイッチを制御するように構成される。
【0013】
第1の態様のいずれか1つ、または第1の態様の第1から第3の実施手順を参照して、第1の態様の第5の可能な実施手順において、マルチビーム形成ユニットは、第2の電力分割ユニットと、第2の電力分割ユニットに接続された移相ユニットとを含み、移相ユニットは、第1の位相制御ユニットに接続される。
【0014】
第2の態様によれば、上記で説明される2つのマルチビームアンテナシステムを含む、二重偏波アンテナシステムが提供され、1つのマルチビームアンテナシステムの放射素子およびもう一方のマルチビームアンテナシステムの放射素子は、1対1で対応して二重偏波放射素子を形成する。
【0015】
第3の態様によれば、マルチビームアンテナシステムの位相調整方法が提供され、方法は、前述のマルチビームアンテナシステムに使用され、
M個の無線周波数信号が異なる位相を有するように、マルチビーム形成ユニットによって形成されるM個の無線周波数信号の位相を調整するステップと、
各第1の電力分割ユニットにおいてN個の無線周波数信号のP個の無線周波数信号に位相偏移を実行し、M個の第1の電力分割ユニットにおいて、同じ行に出力されるM個の放射素子のM個の無線周波数信号に同位相位相偏移を実行するステップとを含む。
【0016】
本発明において提供されるマルチビームアンテナシステム、およびマルチビームアンテナシステムのための位相調整方法、ならびに二重偏波アンテナシステムによれば、マトリクス放射素子が形成され、マトリクス放射素子の2次元の最大ゲイン方向はそれぞれ、1次元マルチビーム形成モジュールおよび2次元マルチビーム形成モジュールを使用することによって調整され、それにより比較的大きい放射カバレッジエリアを実施する。
【0017】
本発明の実施形態における技術的解決策をさらに明確に説明するため、下記では、実施形態を説明するために必要な添付の図面を簡単に説明する。明らかに、後段の説明における添付の図面は、本発明の一部の実施形態を示しているに過ぎず、当業者であれば、創造的な取り組みを伴うことなく、これらの添付の図面からその他の図面をさらに導き出すことができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1によるマルチビームアンテナシステムを示す概略構造図である。
図2】本発明の実施形態1によるもう1つのマルチビームアンテナシステムを示す概略構造図である。
図3】本発明の実施形態2による第1の電力分割ユニットを示す概略構造図である。
図4】本発明の実施形態2によるマルチビームアンテナシステムを示す概略構造図である。
図5】本発明の実施形態2によるもう1つの第1の電力分割ユニットを示す概略構造図である。
図6】本発明の実施形態2によるもう1つの第1の電力分割ユニットを示す概略構造図である。
図7】本発明の実施形態2によるもう1つの第1の電力分割ユニットを示す概略構造図である。
図8】本発明の実施形態3によるマルチビームアンテナシステムを示す概略構造図である。
図9】本発明の実施形態4による二重偏波放射素子を形成するマトリクスを示す概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
後段では、本発明の実施形態の添付の図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決策を明確および完全に説明する。
【0020】
実施形態1
図1に示されるように、本発明の実施形態は、無線周波数ポート1と、無線周波数ポート1に接続された1次元マルチビーム形成モジュール2であって、1次元マルチビーム形成モジュール2は、マルチビーム形成ユニット21と、マルチビーム形成ユニット21に接続された第1の位相制御ユニット22とを含み、マルチビーム形成ユニット21は、無線周波数ポート1によって送信された無線周波数信号を異なる位相を有するM個の無線周波数信号に変換するように構成され、Mは1よりも大きい整数であり、マルチビーム形成ユニット21は、前述のM個の無線周波数信号をそれぞれ出力するように構成されたM個の出力端を有し、第1の位相制御ユニット22は、前述のM個の無線周波数信号の位相を調整するように構成される1次元マルチビーム形成モジュール2と、1次元マルチビーム形成モジュール2に接続された2次元マルチビーム形成モジュール3であって、2次元マルチビーム形成モジュール3は、移相器32と、移相器32に接続された第2の位相制御ユニット33と、1次元マルチビーム形成ユニット2のM個の出力端にそれぞれ接続されたM個の第1の電力分割ユニット31とを含み、各第1の電力分割ユニット31は、1つの無線周波数信号をN個の無線周波数信号に分割するように構成され、Nは1よりも大きい整数であり、各第1の電力分割ユニット31は、前述のN個の無線周波数信号をそれぞれ出力するように構成されたN個の出力トリビュタリを有し、移相器32は、前述のN個の出力トリビュタリのP個の出力トリビュタリに配置され、Pは1以上の整数であり、前述の第2の位相制御ユニット33は、移相器32の位相を調整して位相偏移を実行するように構成される2次元マルチビーム形成モジュール3と、第2のマルチビーム形成モジュール3に接続されたM×Nの放射素子4であって、M×Nの放射素子4は、N個の行およびM個の列を有するマトリクスを形成し、放射素子4のM個の列は、M個の第1の電力分割ユニット31にそれぞれ接続され、放射素子4の各列のN個の放射素子は、1つの第1の電力分割ユニット31のN個の出力トリビュタリにそれぞれ接続され、N個の行およびM個の列を有する前述のマトリクスにおいて、前述のM個の第1の電力分割ユニット31の移相器32と共に配置された出力トリビュタリに接続されたM×Pの放射素子4は、P個の行およびM個の列を有するマトリクスを形成するM×Nの放射素子4とを含むマルチビームアンテナシステムを提供する。前述の第1の位相制御ユニット22および第2の位相制御ユニット33が、マルチビーム形成ユニット21および対応する制御信号を伴う移相器32をそれぞれ提供する、2つの別個のユニットであってもよいか、または図2に示されるように、前述の第1の位相制御ユニットおよび第2の位相制御ユニットは、同じ位相制御ユニット5であって、マルチビーム形成ユニット21および対応する制御信号を伴う移相器32をそれぞれ提供することに留意されたい。
【0021】
具体的には、第1に、無線周波数ポート1は、無線周波数信号をマルチビーム形成ユニット21に送信し、マルチビーム形成ユニット21は、無線周波数信号を、異なる位相を有するM個の無線周波数信号に変換して、M個の無線周波数信号をM個の第1の電力分割ユニット31にそれぞれ送信し、各第1の電力分割ユニット31は、1つの受信した無線周波数信号を複数の無線周波数信号に分割する。電力分割後の1つまたは複数の(図1において1つのみが示される)無線周波数信号は、対応する放射素子4に直接送信され、電力分割後の他の1つまたは複数の無線周波数信号は、移相器32が位相偏移を実行した後に対応する放射素子4に送信され、M×Nの放射素子4は、それぞれ受信した無線周波数信号を放射する。同じ方向の複数の放射素子の最大ゲインは、これらの放射素子の無線周波数信号の間の位相差によって決定される。第1に、マルチビーム形成ユニット21は、1次元マルチビーム形成モジュール2によって出力されたM個の無線周波数信号を異なる位相に設定し、次いで、移相器32は、各第1の電力分割ユニット31のP個の出力トリビュタリの無線周波数信号に位相偏移を実行し、M個の第1の電力分割ユニット31において、同相位相偏移が、同じ行に出力されるM個の放射素子4のM個の無線周波数信号に実行されて、移相器32が同じ行内のM個の放射素子4のM個の無線周波数信号の間の位相差を変更することのないようにする。
【0022】
たとえば、図1に示されるように、M=4、N=2、P=1、および1次元マルチビーム形成モジュール2によって出力された4つの無線周波数信号の位相はそれぞれ、-45度、-90度、-135度、および-180度である。第1の電力分割ユニット31において、各無線周波数信号は、同じ位相を有する第1の無線周波数信号および第2の無線周波数信号に分割される。4つの第1の無線周波数信号はそれぞれ、第1の行の4つの放射素子4に出力され、4つの第2の無線周波数信号は、10度の位相で位相偏移を受け、それぞれ、第2の行の4つの放射素子4に出力される。第1の行の4つの放射素子4によって受信された4つの無線周波数信号の位相はそれぞれ、-45度、-90度、-135度、および-180度である。第2の行の4つの放射素子4によって受信された4つの無線周波数信号の位相はそれぞれ、-35度、-80度、-125度、および-170度である。マトリクスにおいて、放射素子の行または列の最大ゲインの方向は、行または列の複数の放射素子の無線周波数信号の位相差によって決定される。したがって、第1の次元(横)の最大ゲイン方向は、1次元マルチビーム形成モジュール2によって調整されて決定され、第2の次元(縦)の最大ゲイン方向は、2次元マルチビーム形成モジュール3によって調整されて決定され、これにより2次元の最大ゲイン方向の別個の調整を実施する。
【0023】
本実施形態におけるマルチビームアンテナシステムによれば、マトリクス放射素子が形成され、マトリクス放射素子の2次元の最大ゲイン方向はそれぞれ、1次元マルチビーム形成モジュールおよび2次元マルチビーム形成モジュールを使用することによって調整され、それにより比較的大きい放射カバレッジエリアを実施する。
【0024】
実施形態2
実施形態1に基づいて、具体的には、図3に示されるように、各第1の電力分割ユニット31は、第1の電力分割器311を含み、第1の電力分割器311はQ個の出力端を有し、第1の電力分割器311は、1つの無線周波数信号をQ個の無線周波数信号に分割するように構成され、Qは1よりも大きい整数であり、各第1の電力分割ユニット31は、第1の電力分割器311のQ個の出力端にそれぞれ接続されたQ個の第2の電力分割器312をさらに含み、各第2の電力分割器312は、R個の出力端を含み、各第2の電力分割器312は、1つの無線周波数信号をR個の無線周波数信号に分割するように構成され、Rは1よりも大きい整数であって、Q×R=Nであり、図4に示されるように、N個の行およびM個の列を有する前述のマトリクスにおいて、放射素子4の各列内のN個の放射素子4は、Q個の第2の電力分割器(図4において第2の電力分割器は図示されない)のN個の出力端にそれぞれ接続される。
【0025】
具体的には、図3に示されるように、各第1の電力分割ユニット31の移相器32を有する出力トリビュタリ上で、第2の電力分割器312は、移相器32を使用することによって第1の電力分割器311に接続されるか、または、図5に示されるように、第2の電力分割器312は、移相器32を使用することによって放射素子4に接続されるか、または、図6に示されるように、第1の電力分割ユニット31の一部の出力トリビュタリ上で、第2の電力分割器312は、移相器32を使用することによって第1の電力分割器311に接続され、第1の電力分割ユニット31の一部の他の出力トリビュタリ上で、第2の電力分割器312は、移相器32を使用することによって放射素子4に接続される。
【0026】
具体的には、同じ行に出力されるM個の放射素子4のM個の無線周波数信号が同じ位相で位相偏移を受ける必要がないので、同じ行のM個の放射素子4にそれぞれ接続されたM個の移相器32は、連携移相器を形成し、連携移相器は、複数の無線周波数信号が同じ位相で位相偏移を受けることができるように構成され、連携移相器のコストは、複数の別個の移相器のコストよりも低い。
【0027】
図7に示されるように、各第1の電力分割ユニット31において、移相器32を有する出力トリビュタリは、移相器32を有さない出力トリビュタリによって分割されてもよいことに留意されたい。加えて、前述の放射素子4は、一般的な対称ダイポールまたは垂直偏波の方式、もしくは類似する方式で、設定されうる無線周波数信号を送信および受信するように構成され、放射素子4の間隔は、概ね半波長であるビームカバレッジエリアに従って調整されてもよい。前述のマルチビームアンテナシステムは、多入力多出力(Multiple Input Multiple Output:MIMO)アンテナに拡大されてもよい。
【0028】
マルチビームアンテナシステムの具体的な作業プロセスおよび原理は、実施形態1の場合と同じである。詳細については、本明細書において説明されない。
【0029】
この実施形態におけるマルチビームアンテナシステムによれば、マトリクス放射素子が形成され、マトリクス放射素子の2次元の最大ゲイン方向はそれぞれ、1次元マルチビーム形成モジュールおよび2次元マルチビーム形成モジュールを使用することによって調整され、それにより比較的大きい放射カバレッジエリアを実施する。加えて、マトリクス放射素子が、異なる位相を有する無線周波数信号を放射できるようにするために、各放射素子に位相偏移のために使用されるコンポーネントを別個に配置する必要はない。最初に、位相調整はある次元のビーム要件に従って実行され、次いで、位相調整は別の次元のビーム要件に従って実行されることが求められるのみである。2つの調整後の位相は、重ね合わされて、異なる位相を有する複数の無線周波数信号が取得され、最終的にマトリクス放射素子は、異なる位相を有する無線周波数信号を放射することができるので、連結移相器と共に使用されてもよい。したがって、位相偏移プロセスの位相偏移に使用されるコンポーネントの数量は、比較的少ないので、アンテナシステムの複雑さを軽減してコストを節約する。
【0030】
実施形態3
実施形態1および実施形態2に基づいて、図8に示されるように、前述のマルチビーム形成ユニット21は、butlerマトリクス23、およびS個のうちの1つのスイッチ24を含むことができ、butlerマトリクス23は、S個のうちの1つのスイッチ24を使用することによって無線周波数ポート1に接続され、butlerマトリクス23は、S個の入力端を含み、ここでSは1よりも大きい整数であり、S個のうちの1つのスイッチ24は、S個の出力端を含み、ここでS個のうちの1つのスイッチ24のS個の出力端は、butlerマトリクス23のS個の入力端にそれぞれ接続され、第1の位相制御ユニット22は、S個のうちの1つのスイッチ24の制御端に接続され、第1の位相制御ユニット22は、出力のために前述のS個のうちの1つの出力端を選択するようS個のうちの1つのスイッチ24を制御するように構成される。無線周波数信号がbutlerマトリクス23の異なる入力端に入力されると、butlerマトリクス23は、異なるモードを有し、異なるモードにおいて、butlerマトリクス23によって出力された無線周波数信号の位相は異なる。したがって、S個のうちの1つのスイッチ24は、butlerマトリクス23によって出力された無線周波数信号に位相調整を実施することができる。
【0031】
butlerマトリクスを、S個のうちの1つのスイッチと共に使用する前述の方式のコストは、比較的低い。加えて、前述のマルチビーム形成ユニットは、第2の電力分割ユニットと、前述の第2の電力分割ユニットに接続された移相ユニットとを含むことができ、移相ユニットは、第1の位相制御ユニットに接続される。この場合、第1の位相制御ユニットは、位相偏移を実行するように、移相ユニットの位相を直接調整する、つまり、第2の電力分割ユニットは、無線周波数ポートによって送信された無線周波数信号が、M個の無線周波数信号に変換されうるようにし、第1の位相制御ユニットおよび移相ユニットは、M個の無線周波数信号が異なる位相を有することができるようにする。
【0032】
マルチビームアンテナシステムの具体的な作業プロセスおよび原理は、実施形態1の場合と同じである。詳細については、本明細書において説明されない。
【0033】
この実施形態におけるマルチビームアンテナシステムによれば、マトリクス放射素子が形成され、マトリクス放射素子の2次元の最大ゲイン方向はそれぞれ、1次元マルチビーム形成モジュールおよび2次元マルチビーム形成モジュールを使用することによって調整され、それにより比較的大きい放射カバレッジエリアを実施する。加えて、マトリクス放射素子が、異なる位相を有する無線周波数信号を放射できるようにするために、各放射素子に位相偏移のために使用されるコンポーネントを別個に配置する必要はない。最初に、位相調整はある次元のビーム要件に従って実行され、次いで、位相調整は別の次元のビーム要件に従って実行されることが求められるのみである。2つの調整後の位相は、重ね合わされて、異なる位相を有する複数の無線周波数信号が取得され、最終的にマトリクス放射素子は、異なる位相を有する無線周波数信号を放射することができるので、butlerマトリクスと共に使用されてもよい。butlerマトリクスは、ブリッジを使用することによって無線周波数信号の位相調整機能を実施し、ブリッジのコストは、移相器のコストよりも低い。
【0034】
実施形態4
実施形態1、実施形態2、または実施形態3に基づいて、この実施形態は、上記で説明される2つのマルチビームアンテナシステムを含む二重偏波アンテナシステムを提供する。図9に示されるように、1つのマルチビームアンテナシステムの放射素子およびもう一方のマルチビームアンテナシステムの放射素子は、1対1で対応して二重偏波放射素子を形成する。
【0035】
各マルチビームアンテナシステムの具体的な作業プロセスおよび原理は、実施形態1の場合と同じである。詳細については、本明細書において説明されない。
【0036】
この実施形態における二重偏波アンテナシステムによれば、マトリクス放射素子が形成され、マトリクス放射素子の2次元の最大ゲイン方向はそれぞれ、1次元マルチビーム形成モジュールおよび2次元マルチビーム形成モジュールを使用することによって調整され、それにより比較的大きい放射カバレッジエリアを実施する。
【0037】
実施形態5
実施形態1、実施形態2、または実施形態3に基づいて、この実施形態は、マルチビームアンテナシステムの位相調整方法を提供し、方法は、前述のマルチビームアンテナシステムに使用され、
【0038】
ステップ101:前述のM個の無線周波数信号が異なる位相を有するように、マルチビーム形成ユニットによって形成されるM個の無線周波数信号の位相を調整する。
【0039】
ステップ102:各第1の電力分割ユニットにおいてN個の無線周波数信号のP個の無線周波数信号に位相偏移を実行し、M個の第1の電力分割ユニットにおいて、同じ行に出力されるM個の放射素子のM個の無線周波数信号に同位相位相偏移を実行する。
【0040】
マルチビームアンテナシステムの具体的な作業プロセスおよび原理は、前述の実施形態の場合と同じである。詳細については、本明細書において説明されない。
【0041】
この実施形態におけるマルチビームアンテナシステムの位相調整方法によれば、マトリクス放射素子が形成され、マトリクス放射素子の2次元の最大ゲイン方向はそれぞれ、1次元マルチビーム形成モジュールおよび2次元マルチビーム形成モジュールを使用することによって調整され、それにより比較的大きい放射カバレッジエリアを実施する。
【0042】
放射素子によって放射される無線周波数信号の位相を調整するステップは、ビーム放射パスの調整を実施することができ、前述の実施形態におけるマルチビームアンテナシステム、およびマルチビームアンテナシステムのための位相調整方法、ならびに二重偏波アンテナシステムは、ビーム放射パスが調整される必要のあるさまざまなアプリケーションシナリオに適用可能であり、たとえば、ユーザの位置が固定されず、WIFIホットスポットがユーザを追跡するために常時ビーム放射パスを調整する必要がある屋内WIFIのシナリオ、バックホールアンテナおよび基地局がポイントツーポイント送信を実行し、ビームが極めて狭幅であるためにアンテナが設置されるときに基地局を完全に配列することが困難であるスモールセルバックホールアンテナのシナリオ、前述の実施形態のマルチビームアンテナシステムにおいて、アンテナと基地局との配列は、ビーム放射パスを調整することによって実施されてもよく、アンテナの堅牢性が増大し、車両が移動状態にあり、アンテナと基地局との配列を実施するためにビーム放射パスが常時調整される必要のある車載基地局/車載バックホールアンテナのシナリオの場合であることに留意されたい。
【0043】
前述の説明は、本発明の特定の実施手段に過ぎず、本発明の保護適用範囲を限定することを意図されていない。本発明において開示される技術的範囲内の当業者により容易に考案される任意の変形または置換は、本発明の保護適用範囲に含まれるものとする。したがって、本発明の保護適用範囲は、特許請求の保護適用範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0044】
1 無線周波数ポート
2 1次元マルチビーム形成モジュール
3 2次元マルチビーム形成モジュール
4 放射素子
5 位相制御ユニット
21 マルチビーム形成ユニット
22 第1の位相制御ユニット
23 butlerマトリクス
24 スイッチ
31 第1の電力分割ユニット
32 移相器
33 第2の位相制御ユニット
311 第1の電力分割器
312 第2の電力分割器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9