特許第6395879号(P6395879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6395879発熱分解しやすい化合物を含む充填された配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395879
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】発熱分解しやすい化合物を含む充填された配合物
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/32 20060101AFI20180913BHJP
   C08F 2/01 20060101ALI20180913BHJP
   C08F 10/00 20060101ALN20180913BHJP
   C08F 12/00 20060101ALN20180913BHJP
【FI】
   C08F4/32
   C08F2/01
   !C08F10/00 510
   !C08F12/00 510
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-24519(P2017-24519)
(22)【出願日】2017年2月14日
(62)【分割の表示】特願2014-157859(P2014-157859)の分割
【原出願日】2009年7月3日
(65)【公開番号】特開2017-133014(P2017-133014A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2017年3月14日
(31)【優先権主張番号】08159819.5
(32)【優先日】2008年7月7日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/086,208
(32)【優先日】2008年8月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel Chemicals International B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ワーンダース,ペトラス,パウラス
(72)【発明者】
【氏名】ロク,ヨハネス,ハーマナス,ジェラルダス
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/020000(WO,A1)
【文献】 特表2004−516310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D88/00− 90/66
C08F 2/01
C08F 4/32
C08F 6/00−246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ペルオキシドである発熱分解しやすい化合物と、場合によっては1つ又はそれ以上の有機希釈剤とを含む充填された配合物であって、ガスを放出するためのガス抜き口を備え、かつ、ビカットB軟化温度が、(a)配合物が希釈剤を何ら含有しないならば、発熱分解しやすい化合物の暴走温度以下であり、又は、(b)配合物が有機希釈剤を実際に含有するならば、希釈剤の沸騰温度以下であるか、または配合物が希釈剤の混合物を含有する場合は、当該混合物が沸騰範囲を有するならば沸騰範囲の最低限界以下であり、当該混合物が共沸混合物であるならば共沸物の沸点以下であり、または当該混合物が個々の沸点を有する場合は、希釈剤の総重量の少なくとも50wt%が沸騰する温度以下である、熱可塑性材料から作製される、体積が少なくとも250リットルである容器において充填される充填された配合物。
【請求項2】
前記「希釈剤の沸騰温度」、または希釈剤の混合物の場合は、前記「沸騰範囲の最低限界」、前記「共沸物の沸点」、または前記混合物が個々の沸点を有する場合は、前記「希釈剤の総重量の少なくとも50wt%が沸騰する温度」が、前記熱可塑性材料の軟化温度よりも少なくとも5℃高い、請求項に記載の充填された配合物。
【請求項3】
前記有機希釈剤が、イソドデカン及び鉱油からなる群より選択される、請求項1又は2に記載の充填された配合物。
【請求項4】
前記発熱分解しやすい化合物と、1つ又はそれ以上の有機希釈剤と、さらなる希釈剤としての水とを含む乳化物である、請求項1からのいずれか一項に記載の充填された配合物。
【請求項5】
前記熱可塑性材料が高密度ポリエチレン(HDPE)である、請求項1からのいずれか一項に記載の充填された配合物。
【請求項6】
前記容器の壁が0.5mm〜5mmの範囲における平均厚さを有する、請求項1からのいずれか一項に記載の充填された配合物。
【請求項7】
前記容器が0.5bar〜2.0barの範囲における破裂圧力を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の充填された配合物。
【請求項8】
前記容器が、注ぎ口開口部と、注ぎ口開口部の周囲に沿った首部と、注ぎ口開口部を覆うための本体部プレートを含むガス抜き用カバー部とを有し、前記本体部プレートには、ガス抜き開口部があり、かつ、前記首部の外側面における対応する締結手段と共同するための締結手段を備える内側の周囲表面を有するフランジがその周囲に沿って配置されて存在しており、前記ガス抜き開口部が、前記首部の前記締結手段と、前記フランジの前記締結手段との間に固定されるシートであることにおいて特徴づけられるガス透過性フィルターによって覆われる、請求項1からのいずれか一項に記載の充填された配合物。
【請求項9】
有機ペルオキシドである発熱分解しやすい化合物と、場合によっては1つ又はそれ以上の希釈剤とを含む配合物を貯蔵及び/又は輸送するための方法であって、前記配合物が、ガスを放出するためのガス抜き口を備え、かつ、ビカットB軟化温度が、(a)配合物が希釈剤を何ら含有しないならば、発熱分解しやすい化合物の暴走温度以下であり、又は、(b)配合物が有機希釈剤を実際に含有するならば、希釈剤の沸騰温度以下であるか、または配合物が希釈剤の混合物を含有する場合は、当該混合物が沸騰範囲を有するならば沸騰範囲の最低限界以下であり、当該混合物が共沸混合物であるならば共沸物の沸点以下であり、または当該混合物が個々の沸点を有する場合は、希釈剤の総重量の少なくとも50wt%が沸騰する温度以下である、熱可塑性材料から作製される、体積が少なくとも250リットルである容器において貯蔵及び/又は輸送される、方法。
【請求項10】
ポリマーを、有機ペルオキシドをフリーラジカルの供給源として使用するラジカル重合プロセスによって製造するための方法であって、請求項に記載される充填された配合物を重合装置のところに輸送すること、及び、前記配合物を重合プロセスに導入することを伴う、方法。
【請求項11】
請求項に記載される充填された配合物をポリマー修飾装置のところに輸送すること、及び、前記配合物をプロセスに導入することによる、(コ)ポリマーを修飾する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)発熱分解しやすい化合物を含む充填された配合物、(ii)前記配合
物の貯蔵及び/又は輸送、並びに、(iii)前記貯蔵された配合物を使用してポリマー
を製造及び修飾するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱分解しやすい化合物、例えば、有機ペルオキシドなどは、ある臨界温度を超えると
分解して、ガス及び熱を生じさせることがある。生じた熱により、さらなる分解が促進さ
れる。これらの化合物の貯蔵及び輸送は、分解ガスが輸送容器又は貯蔵容器に蓄積するこ
とにより、ペルオキシドを入れている容器をばらばらにする激しい危険な爆発が引き起こ
される可能性があるという点で、特に面倒である。この問題を認識して、国際的な安全法
規及び基準により、これらの化合物の輸送及び貯蔵が規制される。
【0003】
容器が大きくなるほど、その表面積対体積比が小さくなり、かつ、熱分解した場合には
周囲への熱の伝達が困難になる。従って、発熱分解しやすいペルオキシド及び他の化合物
の貯蔵及び輸送は、容器の体積が増大するときにはより危険になる。
【0004】
輸送及び貯蔵の安全性を改善するために、有機ペルオキシドは一般に、ペルオキシドを
、例えば、懸濁物、乳化物又は溶液の形態で1つ又はそれ以上の液体により希釈されて含
有する容器において貯蔵及び輸送される。水性のペルオキシド乳化物又はペルオキシド懸
濁物が一般には、安全な配合物であると見なされている。これは、ペルオキシドが、分解
しているペルオキシド分子の熱を、例えば、対流及び/又は蒸発によって除くために十分
に適する水相に分散されるからである。しかしながら、有機希釈剤を含有するペルオキシ
ド配合物は、はるかにより危険であると見なされる。
【0005】
大きい体積の非水性のペルオキシド混合物を貯蔵及び/又は輸送するための容器は一般
に、爆発時に及ぼされる圧力に耐えることができるスチールから作製される。従来の様々
なプラスチックタンクはこれまで、それらの容易な破砕のために、そのような混合物のた
めに好適であるとは見なされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
驚くべきことに、今回、容器が、ガスを放出するためのガス抜き口を有し、かつ、ビカ
ットB軟化温度が希釈剤の沸騰温度以下であり、又は、希釈剤が存在しない場合には有機
ペルオキシドの暴走(run-away)温度以下である熱可塑性材料から作製される限り、大容
量のプラスチック容器が非水性のペルオキシド混合物の安全な貯蔵及び輸送のために使用
され得ることが見出された。
【0007】
そのような容器においては、容器内の温度が発熱分解のために上昇するならば、容器の
壁(の一部)が、ガスの蓄積が危険なほどに高くなる前に軟化し、強度において低下する
ことが見出された。この軟化は、容器の破砕又は爆発的破断を伴うことなく、容器が崩壊
すること、及び/或いは、1つ又はそれ以上の容器壁が裂けることを生じさせ、それによ
り、ガス及び/又は液体を穏やかな形で放出させる。
【0008】
従って、本発明は、発熱分解しやすい化合物と、場合によっては1つ又はそれ以上の有
機希釈剤とを含む充填された配合物であって、ガスを放出するためのガス抜き口を備え、
かつ、ビカットB軟化温度が、(a)配合物が希釈剤を何ら含有しないならば、発熱分解
しやすい化合物の暴走温度以下であり、又は、(b)配合物が有機希釈剤を実際に含有す
るならば、希釈剤の総重量の少なくとも50wt%の沸騰温度以下である熱可塑性材料か
ら作製される、体積が少なくとも250リットルである容器において充填される充填され
た配合物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は2つの主要な実施形態を包含する。第1の主要な実施形態において、
配合物は、少なくとも1つの発熱分解しやすい化合物を含有し、希釈剤を含有しない。す
なわち、有機希釈剤を含有せず、同様に、水性希釈剤を含有しない。この場合、「希釈剤
を含有しない」は、1wt%未満(好ましくは0.5wt%未満)の希釈剤として定義さ
れる。この実施形態において、熱可塑性材料のビカットB軟化温度が、発熱分解しやすい
化合物の暴走温度以下であることが必須である。この暴走温度は、自己加速分解温度(Se
lf Accelerating Decomposition Temperature)(SADT)+40℃として定義される
。SADTは、自己加速分解が、充填された物質に関して生じ得る最低温度であり、UN
試験H.4に従って測定される。実際には、暴走は、温度がSADTを40℃以上越えな
いうちは始まらない。そういうわけで、本明細書では、暴走温度が、SADT+40℃と
して定義される。
【0010】
熱可塑性材料のビカットB軟化温度は、好ましくは、発熱分解しやすい化合物の暴走温
度よりも少なくとも0℃低く、より好ましくは、発熱分解しやすい化合物の暴走温度より
も少なくとも10℃低く、一層より好ましくは、発熱分解しやすい化合物の暴走温度より
も少なくとも20℃低く、最も好ましくは、発熱分解しやすい化合物の暴走温度よりも少
なくとも30℃低い。
【0011】
第2の主要な実施形態において、配合物は有機希釈剤を含有する。この実施形態におい
て、熱可塑性材料のビカットB軟化温度は、希釈剤の総重量の少なくとも50wt%の沸
騰温度以下である。
【0012】
純粋な希釈剤が使用されるならば、沸騰温度は、標準圧力におけるこの希釈剤の沸点と
して定義される。
【0013】
希釈剤が、標準圧力における沸点範囲を有する液体化合物の混合物からなるならば、沸
騰温度は、標準圧力における前記混合物の沸点範囲の最低限界として定義される。
【0014】
希釈剤が液体化合物の共沸混合物からなるならば、沸点温度は、標準圧力における共沸
物の沸点として定義される。希釈剤を形成する液体化合物の混合物が個々の沸点又は沸点
範囲を標準圧力において有するならば、この混合物は2つ以上の沸騰温度を有する。その
場合、配合物に存在する希釈物の総重量の少なくも50wt%、好ましくは、配合物に存
在する希釈物の総重量の少なくも60wt%、より好ましくは、配合物に存在する希釈物
の総重量の少なくも70wt%、一層より好ましくは、配合物に存在する希釈物の総重量
の少なくも80wt%、最も好ましくは、配合物に存在する希釈物の総重量の少なくとも
90wt%が、熱可塑性材料のビカットB軟化温度と少なくとも等しい沸騰温度を有しな
ければならず、しかし、好ましくは、熱可塑性材料のビカットB軟化温度よりも高い沸騰
温度を有しなければならない。
【0015】
熱可塑性材料の軟化温度と、希釈剤の沸騰温度(2つ以上の沸騰温度を有する希釈剤の
混合物の場合には、軟化温度を超える最も低い沸騰温度)との温度差は少なくとも0℃で
あり、好ましくは少なくとも5℃であり、より好ましくは10℃〜400℃であり、最も
好ましくは50℃〜300℃である。
【0016】
ビカットB軟化温度は、ASTM D1525−00に従って測定される。
【0017】
好ましくは、容器の壁は平均厚さを0.5mm〜5.0mmの範囲に有しており、より
好ましくは0.5mm〜3.5mmの範囲に有し、最も好ましくは0.5mm〜2.5m
mの範囲に有する。そのような比較的薄い壁は、配合物の温度が軟化温度を越えて上昇す
るとき、壁の比較的迅速な軟化を可能にする。
【0018】
容器の破裂圧力は好ましくは0.5bar〜4.0barの間であり、より好ましくは
0.5bar〜3.0barの間であり、最も好ましくは0.5bar〜2.0barの
間である。この破裂圧力は、容器を水で満たし、水圧を、容器が破裂するまで上げること
によって求められる。
【0019】
希釈剤の沸騰温度及び発熱分解しやすい化合物の暴走温度に依存するが、容器を構成す
るために好適であり得る熱可塑性材料の例には、高密度ポリエチレン(HDPE;ビカッ
トB軟化温度:およそ70℃)、ポリプロピレン(PP;ビカットB軟化温度:およそ9
0℃)、ポリビニルクロリド(PVC;ビカットB軟化温度:およそ85℃)、低密度ポ
リエチレン(LDPE;ビカットB軟化温度:およそ55℃)、線状低密度ポリエチレン
(LLDPE;ビカットB軟化温度:およそ75℃)、スチレンアクリロニトリル(SA
N;ビカットB軟化温度:およそ100℃)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(A
BS;ビカットB軟化温度:およそ100℃)、ポリメチルメタクリラート(PMMA;
ビカットB軟化温度:およそ100℃)、ポリスチレン(PS;ビカットB軟化温度:お
よそ95℃)、アクリロニトリルスチレンアクリラート(ASA;ビカットB軟化温度:
およそ95℃)、熱可塑性デンプンポリマー(TPS;ビカットB軟化温度:およそ85
℃)、セルロースアセタートブチラート(CAB;ビカットB軟化温度:およそ65℃)
、セルロースアセタート(CA;ビカットB軟化温度:およそ70℃)、ポリブタジエン
(PB;ビカットB軟化温度:およそ85℃)がある。熱可塑性材料はまた、上記熱可塑
性材料の2つ以上のコポリマー又はターポリマーからなる場合がある。
【0020】
好ましい熱可塑性材料がHDPEである。
【0021】
熱可塑性材料に依存するが、配合物における使用のために好適であり得る有機希釈剤の
例が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及び、酸素添加炭化水素(例えば、エーテル、
エポキシド及びエステルなど)である。
【0022】
好ましい希釈剤の例が、イソドデカン(沸点範囲:175℃〜195℃)、鉱油(一般
には200℃を超えて沸騰する)、n−パラフィン系オイル(一般には110℃を超えて
沸騰する)、無臭のミネラルスピリット(一般には110℃を超えて沸騰する)、イソパ
ラフィン系オイル(一般には110℃を超えて沸騰する)、ホワイトオイル(一般には2
00℃を超えて沸騰する)、トルエン(一般には沸点:110℃)、エチルベンゼン(沸
点:136℃)、キシレン(沸点範囲:138℃〜144℃)、イソプロピルベンゼン(
沸点範囲:152℃〜154℃)、ジイソプロピルベンゼン(沸点範囲:203℃〜21
0℃)、ケロシン(沸点範囲:175℃〜325℃)、ディーゼル燃料、プタラート(pt
halate)類(一般には230℃を超えて沸騰する)、及び、アジパート類(一般には23
0℃を超えて沸騰する)、沸点が110℃を超えるエーテル、エポキシド(例えば、エポ
キシ化ダイズ油(200℃を超えて沸騰する)など)、沸点が110℃を超えるアルコー
ル、グリコール(一般には110℃を超えて沸騰する)、並びに、沸点が110℃を超え
るケトン又はアルデヒドである。希釈剤はまた、上記化合物のいずれか2つ以上の混合物
である場合がある。
【0023】
最も好ましい有機希釈剤がイソドデカン及び鉱油である。
【0024】
有機希釈剤は、均一な液体を形成するために、発熱分解しやすい化合物を(化合物が固
体である場合には)溶解するか、又は、前記化合物を(化合物が液体である場合には)希
釈するかのどちらかである。代替では、有機希釈剤及び発熱分解しやすい液体化合物は、
さらなる希釈剤としての水と一緒になって、乳化物を形成する。
【0025】
希釈剤はまた、フレグマタイザー(phlegmatiser)として公知である。
【0026】
熱可塑性材料及び有機希釈剤の好適な組合せが、HDPE及びイソドデカンであり、ま
た、HDPE及び鉱油である。
【0027】
発熱分解しやすい化合物の例が有機ペルオキシド及びアゾ開始剤である。
【0028】
アゾ開始剤の例が、2,2’−アゾジ(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾジ(2
−メチルブチロニトリル)及び1,1’−アゾジ(1−シクロヘキサンニトリル)である
【0029】
発熱分解しやすい化合物は好ましくは有機ペルオキシドである。
【0030】
有機ペルオキシドはどれも、第2の主要な実施形態において、すなわち、有機希釈剤を
含有する配合物において使用することができ、そのような有機ペルオキシドには、ヒドロ
ペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシ酸、ジアルキルペルオキシド、トリオキ
セパン、ペルオキシエステル、ペルオキシカルボナート、ジアシルペルオキシド、ペルオ
キシジカルボナート、ペルオキシケタール、環状ケトンペルオキシド、(2つ異なるペル
オキシジェン(peroxygene)含有成分を1つの分子において含有する)混合ペルオキシド
、及び、これらのペルオキシドの2つ以上の混合物が含まれる。
【0031】
有機ペルオキシドは実際には、オリゴマー状又はポリマー状のものが可能であるが、有
機ペルオキシドは分子あたり1つ又は2つ又は3つのペルオキシジェン結合を含むことが
好ましい。第2の主要な実施形態による充填された配合物において存在し得るペルオキシ
ドの例が、下記のペルオキシドである:
・(ジ)ペルオキシエステル、例えば、1,1,4,4−テトラメチルブチル−1,4
−ジ(ペルオキシ−2−メチルプロパノアート)、tert−ブチルペルオキシネオデカ
ノアート、tert−アミルペルオキシネオデカノアート、1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルペルオキシネオデカノアート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチル−1−
ペルオキシネオデカノアート、クミルペルオキシネオデカノアート、tert−ブチルペ
ルオキシネオヘプタノアート、tert−アミルペルオキシネオヘプタノアート、1,1
,3,3−テトラメチルブチル−1−ペルオキシネオヘプタノアート、1,1−ジメチル
−3−ヒドロキシブチル−1−ペルオキシネオヘプタノアート、tert−ブチルペルオ
キシジエチルアセタート、tert−アミルペルオキシジエチルアセタート、1,1,3
,3−テトラメチルブチル−1−ペルオキシジエチルアセタート、1,1−ジメチル−3
−ヒドロキシブチル−1−ペルオキシジエチルアセタート、クミルペルオキシネオヘプタ
ノアート、tert−ブチルペルオキシピバラート、tert−アミルペルオキシピバラ
ート、1,1,3,3−テトラメチルブチル−1−ペルオキシピバラート、1,1−ジメ
チル−3−ヒドロキシブチル−1−ペルオキシピバラート、tert−ブチルペルオキシ
2−エチルヘキサノアート、tertアミルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート、1
,1,3,3−テトラメチルブチル−1−ペルオキシ2−エチルヘキサノアート、1,1
−ジメチル−3−ヒドロキシブチル−1−ペルオキシ2−エチルヘキサノアート、ter
t−ブチルペルオキシベンゾアート、tert−アミルペルオキシベンゾアート、1,1
,3,3−テトラメチルブチル−1−ペルオキシベンゾアート、1,1−ジメチル−3−
ヒドロキシブチル−1−ペルオキシベンゾアート、tert−ブチルペルオキシ3,3,
5−トリメチルヘキサノアート、tert−アミルペルオキシ3,3,5−トリメチルヘ
キサノアート、1,1,3,3−テトラメチルブチル−1−ペルオキシ3,3,5−トリ
メチルヘキサノアート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチル−1−ペルオキシ3,
3,5−トリメチルヘキサノアート、tert−ブチルペルオキシアセタート、tert
−アミルペルオキシアセタート、1,1,3,3−テトラメチルブチル−1−ペルオキシ
アセタート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチル−1−ペルオキシアセタート、t
ert−ブチルペルオキシイソブチラート、tert−アミルペルオキシイソブチラート
、1,1,3,3−テトラメチルブチル−1−ペルオキシイソブチラート、1,1−ジメ
チル−3−ヒドロキシブチル−1−ペルオキシイソブチラート及び1,4−ジ−(ter
t−ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサンなど、
・ジアルキルペルオキシド、例えば、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジ−ter
t−アミルペルオキシド、tert−ブチルtert−アミルペルオキシド、ジ(ter
t−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(te
rt−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルヒドロペルオキシド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジクミルペル
オキシド及びtert−ブチル3−イソプロペニルクミルペルオキシドなど、
・ジアシルペルオキシド、例えば、ジイソブチリルペルオキシド、ジ(3,5,5−ト
リメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジオクタノイルペル
オキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(4−メチルベン
ゾイル)ペルオキシド及びジ(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシドなど、
・ペルオキシジカルボナート、例えば、ジ(3−メトキシブチル)ペルオキシジカルボ
ナート、ジイソプロピルペルオキシジカルボナート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカ
ルボナート、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナート、ジ
(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカルボナート、ジセチルペルオキシジカルボナート
及びジミリスチルペルオキシジカルボナートなど、
・ペルオキシカルボナート、例えば、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカルボ
ナート、tert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカルボナート、tert−アミ
ルペルオキシ2−エチルヘキシルカルボナート及びtert−ブチルペルオキシステアリ
ルカルボナートなど、
・ヒドロペルオキシド、例えば、イソプロピルクミルヒドロペルオキシド、1,1,3
,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド及びtert
−アミルヒドロペルオキシドなど、
・ペルオキシケタール、例えば、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3
,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−アミルペルオキシ)−3,3
,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−アミルペルオキシ)シクロヘ
キサン、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(te
rt−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ジ(tert−アミルペルオキシ)ブタン、
ブチル4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレラート及び2,2’−ビス(4,
4−ジ−(tert−ブチル−ペルオキシ−シクロヘキシル)プロパン)など、
・環状ペルオキシド、例えば、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1
,4,7−トリペルオキソナン及び3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−ト
リオキセパンなど、
・ケトンペルオキシド、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、2,4−ペンタン
ジオンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキ
シド、アセチルアセトンペルオキシド及びジ(1−ヒドロキシシクロヘキシル)ペルオキ
シドなど。
【0032】
第1の主要な実施形態による充填された配合物において、すなわち、希釈剤を含有しな
い配合物において存在し得るペルオキシドの例が、ジ−tert−アミルペルオキシド、
tert−ブチルクミルヒドロペルオキシド及びジ−tert−ブチルペルオキシドであ
る。
【0033】
本発明による充填された配合物は、好ましくは、発熱分解しやすい化合物を10wt%
〜100wt%の量で含有し、より好ましくは10wt%〜95wt%の量で含有し、一
層より好ましくは20wt%〜80wt%の量で含有し、最も好ましくは30wt%〜7
0wt%の量で含有する。有機希釈剤は好ましくは0wt%〜90wt%の量で存在し、
より好ましくは5wt%〜90wt%の量で存在し、一層よりより好ましくは20wt%
〜80wt%の量で存在し、最も好ましくは30wt%〜70wt%の量で存在する。
【0034】
そうすることが所望されるならば、配合物はさらに他の成分を含有することができ、例
えば、懸濁化剤又は乳化剤などを含有することができ、例えば、ポリビルアルコールを含
有することができる。配合物はまた、有機希釈剤及び発熱分解しやすい化合物に加えて水
を含有し得ること(従って、乳化物を形成すること)、しかし、配合物は好ましくは非水
性であることに留意しなければならない。
【0035】
容器は体積が少なくとも250リットルであり、好ましくは少なくとも600リットル
であり、より好ましくは少なくとも800リットルであり、最も好ましくは少なくとも1
,000リットルである。容器の体積は好ましくは20,000リットル以下であり、よ
り好ましくは10,000リットル以下である。
【0036】
容器は、容器内で形成されるガスを放出するためのガス抜き口を有しなければならない
。この開口部の要求サイズ(ガス抜き口面積)は、例えば、容器の体積、並びに、容器に
存在する発熱分解しやすい化合物のタイプ及び濃度に依存する。このガス抜き口は、膜の
形態、通気口(breather)の形態、圧力開放弁の形態、又は、容器からのガスの放出を可
能にするどのような他の形態でも有することができる。
【0037】
好ましい実施形態において、容器は、国際公開第2008/020000号に開示され
るように構築される;すなわち、容器は、注ぎ口開口部と、注ぎ口開口部の周囲に沿った
首部と、注ぎ口開口部を覆うための本体部プレートを含むガス抜き用カバー部とを有し、
但し、本体部プレートには、ガス抜き開口部があり、かつ、首部の外側面における対応す
る締結手段と共同するための締結手段を備える内側の周囲表面を有するフランジがその周
囲に沿って配置されて存在しており、ガス抜き開口部が、首部の締結手段と、フランジの
締結手段との間に固定されるシートであることにおいて特徴づけられるガス透過性フィル
ターによって覆われる。
【0038】
このシートは、例えば、プラスチック材料のホイルが可能である。シートの厚さは、例
えば、約5マイクロメートル〜約0.5mmの間で可能であり、例えば、約10マイクロ
メートル〜約0.1mmの間で可能である。シートをガスについて透過性にするために、
シートに穴をあけることができる。貫通孔の細孔直径は、例えば、約10マイクロメート
ル〜約2mmの間で可能であり、例えば、約0.1mm〜約1.5mmの間で可能である
【0039】
ガス抜き用カバー部は、例えば、スクリューキャップが可能である。この目的を達成す
るために、上記の締結手段を、注ぎ口開口部の首部の外側面における外側のスクリューね
じ山と、ガス抜き用カバー部のフランジにおける対応する内側のスクリューねじ山とによ
って形成することができる。
【0040】
場合により、ガス抜き用カバー部におけるガス抜き開口部には、ポップオフ(pop-off
)式キャップが備え付けられる。この目的を達成するために、ガス抜き開口部は、ポップ
オフ式キャップの周囲フランジにぴったりと嵌合する首部によって取り囲むことができ、
この場合、首部及びフランジの相互に向き合う面が、取り外し可能なスナップジョイント
(snap joint)を形成するために型出しされる。この型出しは、スナップジョイント技術
の分野では一般に使用されるような相互に共同するビーズ及びくぼみを含むことができる
。これは、好適な柔軟性を有する材料を選択し、かつ、ビーズ及びくぼみの大きさを最適
化することによって、スナップジョイントが、ある所定の過剰圧力で、例えば、0.1b
ar〜0.5bar又はそれ以上の範囲における圧力ではずれるような様式で、スナップ
ジョイントが特定の寸法に合わせて作製されることを可能にする。ガス抜きカバー部は、
例えば、10cm〜30cmの直径を有することができ、例えば、約15cmの直径を有
することができる。ポップオフ式キャップは、例えば、5cm〜12cmの直径を有する
ことができ、例えば、約7cmの直径を有することができる。しかしながら、ガス抜き用
カバー部及び/又はポップオフ式キャップ(存在する場合)についての他の大きさもまた
、そのようなことが所望されるならば、使用することができる。
【0041】
本発明はさらに、ポリマーを、有機ペルオキシドをフリーラジカルの供給源として使用
するラジカル重合プロセスによって製造するための方法であって、本発明による充填され
たペルオキシド配合物を重合装置のところに輸送すること、及び、そのペルオキシド配合
物を重合プロセスに導入することを伴う方法に関する。そのような重合プロセスの例が、
ポリビニルクロリド、ビニルクロリドのコポリマー、ポリ(メタ)アクリラート(コ)ポ
リマーなどを作製するためのプロセスである。好ましくは、そのようなプロセスはスチレ
ン懸濁(共)重合プロセス又は高圧エチレン(共)重合プロセスである。エチレンの(共
)重合プロセスにおいて使用され得るコモノマーは従来タイプのものであり、そのような
コモノマーには、アルケン、例えば、プロペン、(シクロ)ヘキセン及び(シクロ)オク
テンなど、並びに、ビニルアセタートが含まれる。
【0042】
スチレンの(共)重合プロセスにおいて使用され得るコモノマーは従来タイプのもので
あり、そのようなコモノマーには、ジビニルベンゼンが含まれる。これらの従来の(共)
重合プロセスにおいて使用されるペルオキシドの量は、重合温度、重合熱の除去能力、使
用されたコモノマーの種類、及び、加えられている圧力に依存して変化する。通常、モノ
マーの総重量に基づいて0.001wt%〜25wt%のペルオキシドが用いられる。好
ましくは、0.001wt%〜15wt%のペルオキシドが用いられる。
【0043】
本発明はまた、本発明による充填されたペルオキシド配合物をポリマー修飾装置のとこ
ろに輸送すること、及び、そのペルオキシド配合物をプロセスに導入することによって、
(コ)ポリマーを、例えば、架橋プロセス、グラフト化プロセス及び制御分解プロセスな
どで修飾するためのプロセス(例えば、別の分子量及び/又は分子量分布を有するポリプ
ロピレンの形成のためのプロセス)に関する。
【実施例】
【0044】
実施例1
1000リットルの体積、約2mmの平均肉厚及び約1.3barの破裂圧力を有し、
5.3cmの直径を有する緊急ガス抜き開口部を備え、HDPE(ビカットB軟化温度:
およそ70℃)から作製され、かつ、金属フレームの中に配置される中型ばら荷容器(I
BC)を、イソドデカンにおける40wt%のt−ブチルペルオキシピバラート(TBP
P)の900リットルにより満たした。自己加速分解をシミュレーションするために、低
い加熱速度(すなわち、0.12℃/分)を加えた。試験を窒素雰囲気下での完全閉じ込
めタンクで行った。開始後およそ4時間45分で、IBCは上部が膨らみ始めた。温度が
55℃に達した後、IBC内の圧力はさらに増大し、ガス抜き開口部を覆っているキャッ
プがおよそ0.1bargでゆっくりはずれることを引き起こした。その下にある二重層
のプラスチックシートが0.4bargで裂けた。その後、容器内部の温度がおよそ18
0℃に急上昇した;多量の煙及び蒸気が形成された。生成物がおよそ6.2mm/分の速
度で爆燃した。
【0045】
高温のために、IBCの側壁及び上部部分が軟化/溶融し、底部まで崩れたようであっ
た;破裂は認められなかった。金属フレームは、試験後は損傷していなかった;金属フレ
ームは上部がほんのわずかに膨らんだだけであった。
【0046】
実施例2
実施例1を、IBCがイソドデカンにおける50wt%のジ−(3,5,5−トリメチ
ルヘキサノイル)ペルオキシド(DTMHP)の900リットルにより満たされたことを
除いて繰り返した。
【0047】
充填された配合物を0.14℃/分の速度により加熱した。開始後およそ4時間46分
で、IBCは上部がわずかに膨らみ始めた。容器内部の温度が76℃に達した後、IBC
内の圧力はさらに増大し、ガス抜き開口部を覆っているキャップがおよそ0.1barg
でゆっくりはずれることを引き起こした。その下にある二重層のプラスチックシートが0
.4bargで裂けた。温度がおよそ188℃に急上昇した;多量の煙及び蒸気が形成さ
れた。生成物がおよそ41mm/分の速度で爆燃した。
【0048】
高温のために、IBCの側壁及び上部部分が軟化/溶融し、底部まで崩れたようであっ
た;破裂は認められなかった。金属フレームは、試験後は損傷していなかった;金属フレ
ームは上部がほんのわずかに膨らんだだけであった。
【0049】
実施例3
実施例1を、加熱速度が0.10℃/分であり、かつ、ペルオキシド配合物が遠心ポン
プにより循環されたことを除いて繰り返した。この試験は、均一な分解というより悪い事
例シナリアをシミュレーションするために役立った。
【0050】
開始後、温度が徐々に上昇し、およそ11時間後、IBCは上部がわずかに膨らみ始め
た。配合物の温度が70℃に達した後、IBC内の圧力はさらに増大し、キャップがおよ
そ0.1bargでゆっくりはずれることを引き起こした。二重層のプラスチックシート
が0.2bargで裂けた。分解液体及び分解ガスの激しい流れがおよそ1分間にわたっ
てガス抜き口から認められた;ポンプ及びヒーターのスイッチを切った。さらなる圧力上
昇が認められ、IBCが、P=0.93bargで(底部左側で)破れて、穴があいた。
均一な暴走により、最高180℃への速い温度上昇が生じた;多量の煙及び蒸気が形成さ
れた。
【0051】
高温のために、IBCの側壁及び上部部分が軟化/溶融し、底部まで崩れたようであっ
た;爆発的な破裂は認められなかった。金属フレームは上部及び側壁がわずかに膨らんだ
が、試験後は損傷していなかった。
【0052】
実施例4
実施例3を、イソドデカンにおける50wt%のt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘ
キサノアート(TBPEH)を用いて繰り返した。0.23℃分の加熱速度を加えた。
【0053】
実験期間中、温度が徐々に上昇し、約3.5時間後、圧力が上昇し、IBCが膨らみ始
めた。キャップがおよそ0.1bargでゆっくりはずれた;ポンプのスイッチを切り、
熱交換器を冷水により冷却した。
【0054】
二重層のプラスチックシートが0.2bargで裂け、激しい流れがガス抜き開口部か
ら認められた。圧力がさらに上昇し、IBCが、P=0.84bargで上部で破れて、
穴があいた。ふたが吹き飛ばされ、均一な暴走により、およそ120℃への速い温度上昇
をもたらされた。
【0055】
高温のために、IBCの側壁及び上部が、ある程度溶融したようであった;爆発的な破
裂は認められなかった。金属フレームは上部及び側壁がわずかに膨らんだが、試験後は損
傷していなかった。
【0056】
上記の実験から、これらの充填された配合物はUN基準を満たしていると結論することができる。試験された最も過激な配合物(TBPP)の均一な熱性暴走の最悪事例条件のもとでさえ、内側容器及び/又は金属フレームの爆発的な破裂が生じなかった。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
発熱分解しやすい化合物と、場合によっては1つ又はそれ以上の有機希釈剤とを含む充填された配合物であって、ガスを放出するためのガス抜き口を備え、かつ、ビカットB軟化温度が、(a)配合物が希釈剤を何ら含有しないならば、発熱分解しやすい化合物の暴走温度以下であり、又は、(b)配合物が有機希釈剤を実際に含有するならば、希釈剤の総重量の少なくとも50wt%の沸騰温度以下である熱可塑性材料から作製される、体積が少なくとも250リットルである容器において充填される充填された配合物。
項2.
前記発熱分解しやすい化合物が有機ペルオキシドである、項1に記載の充填された配合物。
項3.
希釈剤の総重量の少なくとも50wt%が、前記熱可塑性材料の軟化温度よりも少なくとも5℃高い沸騰温度を有する、項1又は2に記載の充填された配合物。
項4.
前記有機希釈剤が、イソドデカン及び鉱油からなる群より選択される、項1から3のいずれか一項に記載の充填された配合物。
項5.
前記発熱分解しやすい化合物と、1つ又はそれ以上の有機希釈剤と、さらなる希釈剤としての水とを含む乳化物である、項1から4のいずれか一項に記載の充填された配合物。
項6.
前記熱可塑性材料が高密度ポリエチレン(HDPE)である、項1から5のいずれか一項に記載の充填された配合物。
項7.
前記容器の壁が0.5mm〜5mmの範囲における平均厚さを有する、項1から6のいずれか一項に記載の充填された配合物。
項8.
前記容器が0.5bar〜2.0barの範囲における破裂圧力を有する、項1から7のいずれか一項に記載の充填された配合物。
項9.
前記容器が、注ぎ口開口部と、注ぎ口開口部の周囲に沿った首部と、注ぎ口開口部を覆うための本体部プレートを含むガス抜き用カバー部とを有し、前記本体部プレートには、ガス抜き開口部があり、かつ、前記首部の外側面における対応する締結手段と共同するための締結手段を備える内側の周囲表面を有するフランジがその周囲に沿って配置されて存在しており、前記ガス抜き開口部が、前記首部の前記締結手段と、前記フランジの前記締結手段との間に固定されるシートであることにおいて特徴づけられるガス透過性フィルターによって覆われる、項1から8のいずれか一項に記載の充填された配合物。
項10.
発熱分解しやすい化合物と、場合によっては1つ又はそれ以上の希釈剤とを含む配合物を貯蔵及び/又は輸送するための方法であって、前記配合物が、ガスを放出するためのガス抜き口を備え、かつ、ビカットB軟化温度が、(a)組成物が希釈剤を何ら含有しないならば、発熱分解しやすい化合物の暴走温度以下であり、又は、(b)組成物が有機希釈剤を実際に含有するならば、希釈剤の総重量の少なくとも50wt%の沸騰温度以下である熱可塑性材料から作製される、体積が少なくとも250リットルである容器において貯蔵及び/又は輸送される、方法。
項11.
ポリマーを、有機ペルオキシドをフリーラジカルの供給源として使用するラジカル重合プロセスによって製造するための方法であって、項2に記載される充填された配合物を重合装置のところに輸送すること、及び、前記配合物を重合プロセスに導入することを伴う、方法。
項12.
項2に記載される充填された配合物をポリマー修飾装置のところに輸送すること、及び、前記配合物をプロセスに導入することによる、(コ)ポリマーを修飾する方法。