(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6395919
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 5/06 20060101AFI20180913BHJP
G11C 5/04 20060101ALI20180913BHJP
G11C 7/10 20060101ALI20180913BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20180913BHJP
G06F 12/06 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
G11C5/06 200
G11C5/04 210
G11C7/10 420
G06F12/00 564D
G06F12/06 525A
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-238392(P2017-238392)
(22)【出願日】2017年12月13日
【審査請求日】2017年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】須藤 直昭
【審査官】
後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0281096(US,A1)
【文献】
特開2015−056105(JP,A)
【文献】
特開2008−130184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 5/06
G11C 5/04
G11C 7/10
G06F 12/00
G06F 12/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリチップを含む半導体記憶装置であって、
複数のメモリチップの各々は、データを出力するための出力回路と、前記出力回路から出力されるデータのタイミングを定義するデータストローブ信号を出力するDQS出力回路とを有し、
半導体記憶装置はさらに、
複数のメモリチップの各出力回路から出力されるデータを外部に出力可能な複数の出力端子と、
前記データストローブ信号を外部に出力するための1つのDQS端子とを有し、
複数のメモリチップの各DQS出力回路から出力されるデータストローブ信号が前記1つのDQS端子に供給され、
各メモリチップの出力回路は、データを出力するためのn個の並列のインバータを含み(nは、2以上の整数)、各メモリチップのDQS出力回路は、前記出力回路のn個の並列のインバータを複製したn個の並列のインバータを含み、
各DQS出力回路は、n個の並列のインバータよりも少ない数のインバータから出力されるデータストローブ信号をDQS端子に供給する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数のメモリチップは積層される、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
m個のメモリチップが積層されるとき(mは、2以上の整数)、各メモリチップのDQS出力回路は、n/m個の並列のインバータから出力されるデータストローブ信号をDQS端子に供給する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
第1のメモリチップのDQS出力回路から出力される第1のデータストローブ信号は、第1のメモリチップの出力回路から出力されるデータの第1のタイミングを定義し、
第2のメモリチップのDQS出力回路から出力される第2のデータストローブ信号は、第2のメモリチップの出力回路から出力されるデータの第2のタイミングを定義し、
前記DQS端子は、前記第1のデータストローブ信号と前記第2のデータストローブ信号に基づき第3のタイミングで第1および第2のメモリチップの各出力回路から出力されるデータを定義する第3のデータストローブ信号を出力する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記複数の出力端子の数は、複数のメモリチップの各出力回路が出力するデータビット数に等しい、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
メモリチップは、NAND型のメモリセルアレイを含む、請求項1ないし5いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
半導体記憶装置はさらに、外部からクロック信号を受け取るクロック端子を含み、複数のメモリチップの各出力回路は、前記クロック端子から入力されたクロック信号に同期してデータを出力する、請求項1ないし6いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
複数のメモリチップは、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)を搭載する、請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
複数のメモリチップを含む半導体記憶装置のデータストローブ信号の出力方法であって、
複数のメモリチップの各出力回路から出力されるデータが複数の外部端子に供給されるように、各出力回路の出力ノードと前記複数の外部端子とを接続し、
複数のメモリチップの各DQS出力回路から出力されるデータストローブ信号が1つのDQS端子に供給されるように、各DQS出力回路の出力ノードと前記1つのDQS端子とを接続し、
前記外部端子から外部にデータが出力されるとき、前記1つのDQS端子は、前記外部端子から出力されるデータのタイミングを定義するデータストローブ信号を外部に出力し、
各メモリチップの出力回路は、データを出力するためのn個の並列のインバータを含み(nは、2以上の整数)、各メモリチップのDQS出力回路は、前記出力回路のn個の並列のインバータを複製したn個の並列のインバータを含み、
m個のメモリチップが積層されるとき(mは、2以上の整数)、各メモリチップのDQS出力回路がn/m個の並列のインバータからデータストローブ信号をDQS端子に供給するように、各DQS出力回路が動作される、データストローブ信号の出力方法。
【請求項10】
前記複数のメモリチップは積層される、請求項9に記載の出力方法。
【請求項11】
複数のメモリチップを積層した半導体記憶装置の製造方法であって、
データを出力する出力回路がn個の並列のインバータを含み(nは、2以上の整数)、各メモリチップのデータストローブ信号を出力するDQS出力回路が、前記出力回路のn個の並列のインバータを複製したn個の並列のインバータを含むメモリチップをm個用意し(mは、2以上の整数)、
m個のメモリチップを積層し、
m個のメモリチップの各DQS出力回路がn/m個の並列のインバータから出力されるデータストローブ信号が1つのDQS端子に供給されるように、各DQS出力回路の動作を設定する、半導体記憶装置の製造方法。
【請求項12】
前記設定は、ワイヤボンドによるオプションまたはフューズによるオプションを用いて実行される、請求項11に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のダイまたはチップをスタックした半導体記憶装置に関し、特に、データストローブ信号(DQS信号)を出力する機能を搭載したフラッシュメモリに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチチップパッケージは、1つのパッケージ内に同種または異種のチップまたはダイを複数スタックするものであり、例えば、同種のメモリチップをスタックすることでメモリ容量を拡大したり、異種のメモリチップをスタックすることで異なるストレージ機能を提供することができる。例えば、特許文献1の不揮発性半導体記憶装置は、複数のメモリアレイチップと、メモリアレイチップの制御を行う制御チップとを積層し、メモリアレイチップの貫通電極と制御チップの貫通電極とを位置合わせし、両貫通電極の電気的な接続を行っている。また、特許文献2の半導体デバイスは、マスタフラッシュメモリチップと、スレーブフラッシュメモリチップとを積層し、スレーブフラッシュメモリチップの非コア回路を欠如させ、マスタフラッシュメモリチップからスレーブフラッシュメモリチップにデバイス動作のための必要な信号および電圧を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−300469号公報
【特許文献2】特開2014−57077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つのパッケージ内に複数のメモリチップを含ませることで、事実上、メモリデバイスのストレージ容量を増加させることができる。また、複数のメモリチップを含ませることで、メモリデバイスが入出力できるデータビット幅を増加させることも可能である。
【0005】
フラッシュメモリデバイスにおいても、複数のメモリチップをスタックすることでメモリ容量を増加させることが行われている。また、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)機能を搭載したフラッシュメモリチップでは、外部から供給されるシリアルクロック信号に同期してデータの入出力を行うことが可能であり、シリアルクロック信号の周波数をより高くすることで、入出力データの高速化を図っている。
【0006】
フラッシュメモリデバイスから出力されるデータの高速化が進むと、ホストコンピュータにおいて、データの取り込むときのタイミングが非常にセンシティブになる。そこで、フラッシュメモリデバイスに、出力データのタイミングを定義するデータストローブ信号(以下、DQS信号)を出力するDQS端子を設け、ホストコンピュータは、DQS信号から出力されるDQS信号を見て、フラッシュメモリデバイスから出力されるデータの取り込みを行っている。
【0007】
図1に、複数のメモリチップを積層した従来のフラッシュメモリデバイスの概略構成を示す。フラッシュメモリデバイス10は、メモリチップ(ダイ1)20と、メモリチップ20にスタックされたメモリチップ(ダイ2)30と、これらのメモリチップに電気的に接続された外部端子部40とを含む。メモリチップ20は、例えば、4ビット幅のデータを入出力するための入出力回路22と、入出力回路22から出力されるデータのタイミングを定義するDQS信号を出力するためのDQS出力回路24とを有し、入出力回路22の4つの出力ノードは、外部端子部40の入出力端子IO_0〜IO_3にそれぞれ電気的に接続され、DQS出力回路24の出力ノードは、外部端子部40のDQS端子に電気的に接続される。
【0008】
メモリチップ30は、メモリチップ20と同一の構成を有しており、メモリチップ30の入出力回路32の出力ノードは、外部端子部40の入出力端子IO_4〜IO_7にそれぞれ電気的に接続される。但し、1つのフラッシュメモリデバイス10には、1つのDQS端子が設けられるため、メモリチップ30のDQS出力回路34の出力ノードは、未接続であり、つまり、DQS端子には接続されない。
【0009】
DQS出力回路24(34)は、入出力回路22(32)から出力されるデータと同一の遅延特性を備えたDQS信号を生成するため、入出力回路22(32)の出力ドライバーを複製した出力ドライバーを含む。
図2に、DQS出力回路に含まれる出力ドライバーの一例を示す。出力ドライバーは、複数のインバータを含み、各インバータのゲートには、共通の信号(例えば、クロック信号)が入力され、各インバータの出力ノードQnが共通に接続され、出力ノードQnからDQS信号が出力される。DQS出力回路の出力ドライバーは、入出力回路の出力ドライバーの複製であるため、DQS出力回路から出力されるDQS信号は、入出力回路から出力されるデータと同じゲート遅延を持って出力される。
【0010】
ここで、メモリチップは、要求される動作条件を満足させるように設計され、製造されるが、それでも製造誤差やマージン等によりメモリチップ間の回路にはバラツキが生じる。
つまり、メモリチップ20から出力されるデータのタイミングと、メモリチップ30から出力されるデータのタイミングにはズレが生じ得る。
【0011】
図3に、メモリチップ20、30から出力されるデータとDQS信号とのタイミングの関係を例示する。時刻t1において、DQS出力回路24がLレベルからHレベルに立ち上がるDQS信号を出力するとき、このタイミングに一致するデータがメモリチップ20の入出力回路22から出力される。つまり、DQS端子に表れるDQS信号と、入出力端子IO_0〜3に表れるデータとのタイミングは一致している。しかしながら、もし、メモリチップ30から出力されるデータの遅延時間がメモリチップ20から出力されるデータの遅延時間よりも大きければ、時刻t1から時間td経過後の時刻t2において、メモリチップ30から出力されるデータが入出力端子IO_4〜7に表れることになる。つまり、DQS端子に表れるDQS信号と、入出力端子IO_4〜7に表れるデータとのタイミングには、時間tdのズレが生じてしまう。ズレtdが大きいと、ホストコンピュータは、DQS信号に基づきメモリチップ30から出力されるデータを正確に取り込めないという課題が生じてしまう。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、複数のメモリチップから出力されるデータとDQS信号のズレを抑制する半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る複数のメモリチップを積層した半導体記憶装置は、複数のメモリチップの各々は、データを出力するための出力回路と、前記出力回路から出力されるデータのタイミングを定義するデータストローブ信号を出力するDQS出力回路とを有し、半導体記憶装置はさらに、複数のメモリチップの各出力回路から出力されるデータを外部に出力可能な複数の出力端子と、前記データストローブ信号を外部に出力するための1つのDQS端子とを有し、複数のメモリチップの各DQS出力回路から出力されるデータストローブ信号が前記1つのDQS端子に供給される。
【0014】
ある実施態様では、各メモリチップの出力回路は、データを出力するためのn個の並列のインバータを含み(nは、2以上の整数)、各メモリチップのDQS出力回路は、前記出力回路のn個の並列のインバータを複製したn個の並列のインバータを含み、各DQS出力回路は、n個の並列のインバータよりも少ない数のインバータから出力されるデータストローブ信号をDQS端子に供給する。ある実施態様では、 m個のメモリチップが積層されるとき(mは、2以上の整数)、各メモリチップのDQS出力回路は、n/m個の並列のインバータから出力されるデータストローブ信号をDQS端子に供給する。ある実施態様では、第1のメモリチップのDQS出力回路から出力される第1のデータストローブ信号は、第1のメモリチップの出力回路から出力されるデータの第1のタイミングを定義し、第2のメモリチップのDQS出力回路から出力される第2のデータストローブ信号は、第2のメモリチップの出力回路から出力されるデータの第2のタイミングを定義し、前記DQS端子は、前記第1のデータストローブ信号と前記第2のデータストローブ信号に基づき第3のタイミングで第1および第2のメモリチップの各出力回路から出力されるデータを定義する第3のデータストローブ信号を出力する。ある実施態様では、前記複数の出力端子の数は、複数のメモリチップの各出力回路が出力するデータビット数に等しい。ある実施態様では、メモリチップは、NAND型のメモリセルアレイを含む。ある実施態様では、半導体記憶装置はさらに、外部からクロック信号を受け取るクロック端子を含み、複数のメモリチップの各出力回路は、前記クロック端子から入力されたクロック信号に同期してデータを出力する。ある実施態様では、複数のメモリチップは、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)を搭載する。
【0015】
本発明に係る複数のメモリチップを積層した半導体記憶装置のデータストローブ信号の出力方法は、複数のメモリチップの各出力回路から出力されるデータが複数の外部端子に供給されるように、各出力回路の出力ノードと前記複数の外部端子とを接続し、複数のメモリチップの各DQS出力回路から出力されるデータストローブ信号が1つのDQS端子に供給されるように、各DQS出力回路の出力ノードと前記1つのDQS端子とを接続し、前記外部端子から外部にデータが出力されるとき、前記1つのDQS端子は、前記外部端子から出力されるデータのタイミングを定義するデータストローブ信号を外部に出力する。
【0016】
ある実施態様では、各メモリチップの出力回路は、データを出力するためのn個の並列のインバータを含み(nは、2以上の整数)、各メモリチップのDQS出力回路は、前記出力回路のn個の並列のインバータを複製したn個の並列のインバータを含み、m個のメモリチップが積層されるとき(mは、2以上の整数)、各メモリチップのDQS出力回路がn/m個の並列のインバータからデータストローブ信号をDQS端子に供給するように、各DQS出力回路が動作される。
【0017】
本発明に係る複数のメモリチップを積層した半導体記憶装置の製造方法は、データを出力する出力回路がn個の並列のインバータを含み(nは、2以上の整数)、各メモリチップのデータストローブ信号を出力するDQS出力回路が、前記出力回路のn個の並列のインバータを複製したn個の並列のインバータを含むメモリチップをm個用意し(mは、2以上の整数)、m個のメモリチップを積層し、m個のメモリチップの各DQS出力回路がn/m個の並列のインバータから出力されるデータストローブ信号が1つのDQS端子に供給されるように、各DQS出力回路の動作を設定する。
【0018】
ある実施態様では、前記設定は、ワイヤボンドによるオプションまたはフューズによるオプションを用いて実行される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、各メモリチップのDQS出力回路から出力されるDQS信号を1つのDQS端子に供給するようにすることで、各メモリチップの出力データとDQS信号との時間的なズレを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】複数のスタックされたメモリチップを有する従来のフラッシュメモリデバイスの概略構成を示す図である。
【
図2】従来のメモリチップのDQS出力回路の出力ドライバーの一例を示す図である。
【
図3】従来のDQS信号と各メモリチップの出力データとのタイミングの関係を示す図である。
【
図4】本発明の実施例に係るフラッシュメモリデバイスの概略構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施例に係るスタックされたメモリチップのDQS出力回路の出力ドライバーの一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施例に係るDQS信号と各メモリチップの出力データとのタイミングの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る半導体記憶装置は、1つのパッケージ内に複数のメモリチップを含むマルチチップのデバイスであり、好ましい態様では、複数のNAND型のフラッシュメモリチップをスタックさせたフラッシュメモリデバイスである。但し、本発明に係る半導体記憶装置は、NAND型のメモリチップと異種のNOR型のメモリチップやDRAM等のメモリチップを包含するものであってもよい。さらに、フラッシュメモリチップは、シリアルクロック信号に同期してデータの入出力が可能なシリアルインターフェース機能を搭載するものであることができる。
【実施例】
【0022】
図4に、本発明の実施例に係るフラッシュメモリデバイスの概略構成を示す。フラッシュメモリデバイス100は、例えば、2つのメモリチップ200、300と、外部のホストコンピュータとのインターフェースを提供する外部端子部400とを含んで構成される。ここでは、2つのメモリチップがスタックされる例を示すが、スタックされるメモリチップの数は3つ以上であってもよい。フラッシュメモリデバイス100は、例えば、BGAまたはCSPパッケージから構成される。BGAパッケージでは、スタックされたメモリチップ200、300がフレキシブル回路基板上にフリップチップ実装され、あるいはワイヤボンディングにより回路基板に電気的に接続され、フレキシブル回路基板の裏面側には、外部端子を構成する複数のボール端子が形成される。
【0023】
メモリチップ200とメモリチップ300とは、同一のチップを用いて構成される。ある実施態様では、例えば、フューズメタルオプションまたはボンディングオプションにより、一方のメモリチップ200をマスタチップに割り当て、他方のメモリチップ300をスレーブチップに割り当てるようにしてもよい。
【0024】
メモリチップ200は、複数のNANDストリングユニットが形成されたメモリセルアレイ210、行デコーダ/駆動回路、ページバッファ/センス回路、列デコーダ、コントローラ、内部電源発生回路等を含む周辺回路220、入出力回路230およびDQS信号を出力するDQS出力回路240を含む。メモリチップ200は、読出し動作が行われるとき、メモリセルアレイ210から読み出されたページデータを入出力回路230から出力させ、あるいはプログラム動作が行われるとき、入出力回路230から入力されたデータをメモリセルアレイ210の選択ページにプログラムする。また、メモリチップ200は、消去動作が行われるとき、メモリセルアレイ210の選択ブロックの消去を行う。
【0025】
メモリチップ300は、メモリチップ200と同様の構成を有し、メモリセルアレイ310、周辺回路320、入出力回路330およびDQS出力回路340を含む。ある実施態様では、メモリチップ200のメモリセルアレイ210のアドレス空間とメモリチップ300のメモリセルアレイ310のアドレス空間は同一であり、ホストコンピュータからフラッシュメモリデバイス100にアクセスがあったとき、メモリチップ200とメモリチップ300とが同時に選択される。例えば、読出し動作が行われるとき、メモリチップ200で読み出されたデータと、メモリチップ300で読み出されたデータとが、同時に、入出力端子IO_0〜7から出力される。
【0026】
メモリチップ200の入出力回路230は、例えば、4ビット幅のデータ構成(×4)であり、入出力回路230の4つの出力ノードが外部端子部400の入出力端子IO_0〜3にそれぞれ電気的に接続される。同様に、メモリチップ300の入出回路330の4つの出力ノードが入出力端子IO_4〜7にそれぞれ電気的に接続される。また、本実施例では、メモリチップ200のDQS出力回路240のDQS信号を出力する出力ノードと、メモリチップ300のDQS出力回路340のDQS信号を出力する出力ノードとの双方が、外部端子部400の1つのDQS端子に共通に電気的に接続される。言い換えれば、1つのDQS端子には、DQS出力回路240から出力されるDQS信号と、DQS出力回路340から出力されるDQS信号とが供給され、2つのDQS信号の合成された成分がDQS端子に表れる。
【0027】
なお、外部端子部400には、入出力端子IO_0〜7、DQS端子の他にも、例えば、制御信号(アドレスラッチイネーブル、コマンドラッチイネーブル等)を入力するための端子、ビジー信号/レディ信号を出力する外部端子、クロック信号を入力する端子などが含まれても良い。外部端子部400は、フラッシュメモリデバイス100とホストコンピュータとの間で送受する信号等のインターフェースを提供する。
【0028】
次に、本実施例によるメモリチップ200、300のDQS出力回路240、340の詳細について説明する。1つのメモリチップの入出力回路が、
図2に示すような4個の並列のインバータを接続した出力ドライバーを有する仮定すると、DQS出力回路は、その出力ドライバーを複製した4個の並列のインバータを接続した出力ドライバーを有する。メモリチップ200またはメモリチップ300が単一のチップとしてパッケージ内に収容される場合には、DQS出力回路240、340は、4個の並列のインバータを接続した出力ドライバーからDQS信号を出力する。
【0029】
本実施例では、メモリチップ200とメモリチップ300とが1つのパッケージ内にスタックされる場合には、DQS出力回路240、340に、4個の並列のインバータよりも少ない数のインバータによりDQS信号を出力させる。1つの好ましい態様では、
図5に示すように、DQS出力回路240の出力ドライバーが2個の並列のインバータにより動作されるようにし、同様に、DQS出力回路340の出力ドライバーが2個の並列のインバータにより動作されるようにし、DQS出力回路240の半分のインバータの出力ノードQn−1と、DQS出力回路340の半分のインバータの出力ノードQn−2とがDQS端子に接続される。
【0030】
インバータの半分を動作不能にする方法は、任意であるが、例えば、メモリチップがスタックされる場合(マルチチップとして使用される場合)、フューズオプションまたはメタルオプションまたはボンディングオプションにより、2個の並列のインバータの出力ノードがDQS端子に接続されるようにし、残りの2個の並列のインバータの出力ノードがDQS端子から切り離されるようにする。
【0031】
こうして、メモリチップ200とメモリチップ300とがスタックされた場合には、1つのDQS端子には、DQS出力回路240の2個の並列のインバータの出力ノードQn−1から出力されるDQS信号と、DQS出力回路340の2個の並列のインバータの出力ノードQn−2から出力されるDQS信号とが供給される。
【0032】
図6は、本実施例によるフラッシュメモリデバイスのDQS信号と各メモリチップから出力されるデータとのタイミングの関係を例示する図である。ここで、メモリチップ300から出力されるデータの遅延量(出力インバータのゲート遅延など)は、メモリチップ200から出力されるデータの遅延量よりも相対的に大きいものとする。同一のメモリチップであっても、製造時の誤差、バラツキ等により、両者の回路要素にはバラツキが生じる。例えば、両メモリチップの出力ドライバーのトランジスタのサイズが異なってしまう。従って、メモリチップ200の入出力回路240の出力ドライバーから出力されるデータの遅延量と、メモリチップ300の入出力回路340の出力ドライバーから出力されるデータの遅延量とが一致するとは限らない。
【0033】
例えば、フラッシュメモリデバイス100の読出し動作が行われるとき、
図6に示すように、時刻t1でメモリチップ200で読み出されたデータが入出力端子IO_0〜3に表れ、メモリチップ200よりも相対的にデータ出力が遅延するメモリチップ300で読み出されたデータは、時刻t3で入出力端子IO_4〜7に表れる。一方、DQS信号は、時刻t1と時刻t3のほぼ中間の時刻t2で、入出力端子IO_0〜7に出力データが表れることを示すため、LレベルからHレベルに遷移する。ホストコンピュータは、時刻t2でDQS信号がHレベルに遷移することに応答して、フラッシュメモリデバイス100の入出力端子IO_0〜7に表れる出力データを取り込む。
【0034】
DQS信号は、
図5に示すように、メモリチップ200のDQS出力回路240の2個の並列の出力ドライバーから出力されたDQS信号と、メモリチップ300のDQS出力回路340の2個の並列の出力ドライバーから出力されたDQS信号を合成したものである。メモリチップ200から出力されるデータの遅延量がメモリチップ300よりも相対的に小さいということは、メモリチップ200の出力ドライバーを構成するPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタのサイズが、メモリチップ300の出力ドライバーを構成するPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスのサイズよりも大きく、駆動能力が高いと推測される。
【0035】
トランジスタの駆動能力が大きければ、出力ノードをプルアップまたはプルダウンするときの駆動電流が大きくなり、遷移するときの傾きが急になり、動作速度が速くなる。他方、トランジスタの駆動能力が小さければ、出力ノードをプルアップまたはプルダウンするときの駆動電流が小さくなり、その傾きが緩やかになり、動作速度が遅くなる。本実施例では、1つのDQS端子に、メモリチップ200の出力ドライバーから出力されるDQS信号とメモリチップ300の出力ドライバーから出力されるDQS信号とが供給されるため、DQS端子には、2つのDQS信号の成分が合成されたDQS信号が表れることになる。その結果、DQS端子には、メモリチップ200のDQS信号が遷移するタイミングとメモリチップ300のDQS信号が遷移するタイイングとのほぼ中間地点で遷移するDQS信号が表れることになる。このため、フラッシュメモリ100の入出力端子IO_0〜3に表れる出力データとDQS端子に表れるDQS信号とのタイミングのズレは、時刻t1〜t2の時間td1であり、入出力端子IO_4〜7に表れる出力データとDQS端子に表れるDQS信号とのタイミングのズレは、時刻t2−t3の時間td2であり、従来のフラッシュメモリデバイスにおけるタイミングのズレtdよりも小さくすることができる。
【0036】
上記実施例では、DQS出力回路および入出力回路が4個の並列のインバータを接続した出力ドライバーを有する例を示したが、これは一例であり、接続されるインバータの数は、要求される駆動特性に応じて任意である。また、上記実施例では、2つのメモリチップをスタックする例を示したが、スタックするメモリチップの数は、3つ以上であってもよい。仮に、1つのメモリチップのDQS出力回路がn個の並列のインバータを接続した出力ドライバーを備えているとき、そのようなメモリチップがm個スタックされた場合には、各メモリチップのDQS出力回路は、n/m個の並列のインバータがイネーブルされた出力ドライバーからDQS信号を出力し、1つのDQS端子には、n/m個の並列のインバータを接続した出力ドライバーから出力されるm個のDQS信号が供給される。
【0037】
上記実施例では、メモリチップのデータ入出力が×4の構成を例示したが、これに限らず、×1、×8、×16等であってもよい。上記実施例では、フラッシュメモリチップをスタックする例を示したが、本発明は、フラッシュメモリチップ以外のメモリチップにも適用することができる。さらに本発明は、フラッシュメモリチップと異種のメモリチップをスタックするメモリデバイスにも適用することができる。
【0038】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
100:フラッシュメモリデバイス 200:メモリチップ
210:メモリセルアレイ 220:周辺回路
230:入出力回路 240:DQS出力回路
300:メモリチップ 310:メモリセルアレイ
320:周辺回路 330:入出力回路
340:DQS出力回路 400:外部端子部
【要約】
【課題】 複数のメモリチップから出力されるデータとDQS信号のズレを抑制する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】 本発明のフラッシュメモリデバイス100は、積層されたメモリチップ200、300と、データを入出力可能な複数のIO端子と、1つのDQS端子とを含む。メモリチップ200、300の各々は、データを出力するための出力回路と、当該出力回路から出力されるデータのタイミングを定義するDQS信号を出力するDQS出力回路とを有する。1つのDQS端子には、メモリチップ200、300の各DQS出力回路から出力されるDQS信号が供給される。
【選択図】
図4