(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395936
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】テストソケット
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20180913BHJP
G01R 1/067 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
G01R1/073 D
G01R1/067 C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-527520(P2017-527520)
(86)(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公表番号】特表2017-524146(P2017-524146A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】KR2015002982
(87)【国際公開番号】WO2016027953
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2017年2月7日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0109655
(32)【優先日】2014年8月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517040445
【氏名又は名称】リーノ インダストリアル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】パク,サン−ドク
【審査官】
小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−43874(JP,A)
【文献】
特開2012−220438(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0325415(US,A1)
【文献】
特開2013−137241(JP,A)
【文献】
特開平11−307210(JP,A)
【文献】
米国特許第4781624(US,A)
【文献】
韓国登録特許第10−1193556(KR,B1)
【文献】
韓国登録特許第10−1269919(KR,B1)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0123193(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06−1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の電気的特性を検査するテストソケットであって、
検査方向に伸縮可能な複数のプローブと、
前記複数のプローブの一端が前記被検査体の被検査接点に接触するように突出するように支持するプローブ支持体と、
前記プローブ支持体の下側に配置され、電子部品が実装され、前記複数のプローブのうち少なくとも一つの他端が接触する少なくとも一つの第1パッド、及び前記第1パッドの反対側に形成された少なくとも一つの第2パッドを有する印刷回路基板(PCB)であり、前記第1パッドから延びて前記実装された電子部品に連結される第1電気的経路及び前記第2パッドから延びて前記実装された電子部品に連結される第2電気的経路が当該印刷回路基板(PCB)の両面に形成された、印刷回路基板(PCB)と、
前記印刷回路基板(PCB)の下側に配置され、前記複数のプローブに対応する少なくとも一つの導電部を支持する下部支持体とを備え、
前記印刷回路基板(PCB)は、前記少なくとも一つの第1パッドに接触する少なくとも一つのプローブを除いた残りのプローブの他端が通過する開孔を有し、
前記開孔を貫通したプローブの他端は、前記導電部に接触することを特徴とするテストソケット。
【請求項2】
前記プローブ支持体は下部の溝部を有し、
前記印刷回路基板(PCB)及び前記下部支持体は前記溝部に少なくとも部分的に収容されることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項3】
前記溝部内には前記電子部品を収容する第2溝部が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載のテストソケット。
【請求項4】
前記電子部品として抵抗又はキャパシターを含むことを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項5】
前記導電部は検査方向に伸縮可能であることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の電気的特性を検査するためのテストソケット、特に、特性の難しい電子装置を検査するために部品付き印刷回路基板(Printed Circuit Board:PCB)を有するテストソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップは、微細な電子回路が高密度で集積して形成されており、製造工程中に各電子回路が正常であるか否かがテストされる。
【0003】
半導体チップのテストには、半導体チップの端子とテスト信号を印加する検査回路基板の接点(パッド)とを電気的に連結する半導体検査用コンタクトプローブが用いられる。一般に、半導体チップは非常に微細なパターンの端子の配列を含んでいる。したがって、非常に微細なパターンの端子に接触させて検査を行うためには、非常に微細な大きさのコンタクトプローブをプローブ支持部に集積して支持する必要がある。
【0004】
特性の難しい半導体チップを検査するためのテストソケットは、信号経路を短くするためにコンタクトプローブの長さを短くして、テストで発生する損失を最小化することができる。しかし、コンタクトプローブの長さを短くすると、テスト時に加える圧力を十分に吸収し得る弾性を与えにくいという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、韓国特許登録第10−1193556号公報では、電子部品を実装した印刷回路基板とテストソケットとを一体化した例を開示している。
【0006】
かかる従来のテストソケットは、印刷回路基板に複数の貫通孔を配置し、貫通孔の内壁は伝導性被膜を形成し、貫通孔にはコンタクトプローブ(導電性ゴム)を配置して印刷回路基板の電子部品と連結する構造である。
【0007】
しかしながら、かかる従来のテストソケットは、コンタクトプローブ(導電性ゴム)、電子部品、及び導電性経路を単一基板に形成しているため、ファインピッチの被検査体を検査するためのテストソケットには適用し難いという問題があった。
【0008】
また、テストソケットの設計が非常に複雑であり、製造コストが嵩むという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の従来の問題を解決するために、ファインピッチの被検査体テストに適した電子部品付きPCBを有するテストソケットを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、構造を簡単化して製造コストを軽減できる電子部品付きPCBを有するテストソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の第1実施例に係る被検査体の電気的特性を検査するためのテストソケットは、検査方向に伸縮可能な複数のプローブと、前記複数のプローブの一端が前記被検査体の被検査接点に接触するように突出するように支持するプローブ支持体と、前記プローブ支持体の下側に配置され、電子部品が実装され、前記複数プローブのうち少なくとも一つの他端が接触する少なくとも一つの第1パッド及び該第1パッドの反対側に形成された少なくとも一つの第2パッドを有し、前記第1パッド及び第2パッドから延びて前記実装された電子部品に連結される電気的経路が形成された印刷回路基板(PCB)と、を備えることを特徴とする。
【0012】
前記テストソケットは、前記印刷回路基板(PCB)の下側に配置され、前記少なくとも一つの第2パッドに接触する少なくとも一つの第1導電部を支持する下部支持体をさらに備えることができる。
【0013】
前記印刷回路基板(PCB)は、前記少なくとも一つの第1パッドに接触する少なくとも一つのプローブを除いた残りのプローブの他端が通過する第1開孔を有し、前記下部支持体は、前記第1開孔を貫通したプローブの他端が通過する第2開孔を有することができる。
【0014】
前記印刷回路基板(PCB)は、前記少なくとも一つの第1パッドに接触する少なくとも一つのプローブを除いた残りのプローブの他端が通過する開孔を有し、前記下部支持体は、前記第1開孔を貫通したプローブの他端に接触する第2導電部を有することができる。
【0015】
前記印刷回路基板(PCB)は、前記第1パッドに接触する少なくとも一つのプローブを除いた残りのプローブの他端が接触する第3パッド及び該第3パッドの反対側に形成された第4パッドを有し、前記第3パッドと第4パッドとがスールーホール連結部を介して電気的に連結されてもよい。
【0016】
前記プローブ支持体は下部の溝部を有し、前記印刷回路基板(PCB)及び下部支持体は前記溝部に少なくとも部分的に収容されてもよい。
【0017】
前記溝部内には前記電子部品を収容する第2溝部が形成されてもよい。
【0018】
前記電子部品として抵抗又はキャパシターを含んでもよい。
【0019】
前記第1パッドに接触するプローブは、前記開孔を貫通するプローブと異なることができる。
【0020】
前記導電部は検査方向に伸縮可能であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単な構造で電子部品が実装されたPCBをテストソケットに追加することによって、ファインピッチの被検査体の検査に適用することができ、製造コストも軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係るテストソケットの斜視図である。
【
図4】第1実施例に係るテストソケットの断面図である。
【
図5】第2実施例に係るテストソケットの断面図である。
【
図6】第3実施例に係るテストソケットの断面図である。
【
図7】本発明に係る印刷回路基板(PCB)の平面図である。
【
図8】本発明に係る印刷回路基板(PCB)の底面図である。
【
図9】本発明に係る印刷回路基板(PCB)の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して本発明について詳しく説明する。以下の実施例は、本発明の思想と直接関連している構成に関してのみ説明し、その他の構成に関しては説明を省略する。しかし、このように説明を省略した構成が、本発明の思想が適用された装置又はシステムを具現する際に不要であるということを意味するわけではないことに留意されたい。説明の便宜上、本発明と直接関連していない部分は省略し、明細書全体を通じて同一又は類似の構成要素には同一の参照符号を付与するものとする。
【0024】
図1〜
図4には本発明の第1実施例に係るテストソケット1を示す。
図4に示すように、本発明に係る被検査体10の電気的特性を検査するためのテストソケット1は、プローブ支持体100、複数のプローブ200、電子部品302,304が実装された印刷回路基板(PCB)300、及び下部支持体400を備えることができる。
【0025】
プローブ支持体100は、上記複数のプローブ200の一端(上部プランジャー)203が部分的に突出するように支持されている。上記プローブ200の部分突出した一端は検査時に被検査体10の被検査接点(バンプなど)12と接触することができる。この時、検査時に被検査体10に加えられる圧力によってプローブ200の他端は検査方向に移動可能である。
【0026】
プローブ200は検査方向に伸縮可能に構成され得る。プローブ200は、バレル201、バレルの内部に収容されたスプリング202、及びバレル201内に部分的に収容され、内部のスプリング202を挟んで配置された上下プランジャー203,204を備えることができる。勿論、プローブ200として様々な形態のプローブを適用してもよい。例えば、プローブ200は、バレルの一側に部分収容されてスプリングを圧縮するように移動可能な一つのプランジャーを有し、他側にはバレルと一体化した固定プランジャーを有する構造が適用されてもよい。
【0027】
印刷回路基板(PCB)300はプローブ支持体100の下側に配置され、少なくとも一つの電子部品302,304、例えば、抵抗、キャパシターなどが実装されている。
【0028】
印刷回路基板(PCB)300は、上記プローブ支持体100に支持された複数のプローブ200の他端(下部プランジャー)204が貫通する第1開孔306を有することができる。
【0029】
印刷回路基板(PCB)300は、上記複数のプローブ200の一部のプローブ200−1の他端(下部プランジャー)204−1が接触する第1パッド308−1,309−1、及び上記第1パッドに対応するように裏面に配置された第2パッド308−2,309−2を有することができる。
【0030】
印刷回路基板(PCB)300は、上記第1パッド308−1,309−1から電子部品302,304に連結される第1電気的経路305−1,307−1、及び第2パッド308−2,309−2から電子部品302,304に連結される第2電気的経路305−2,307−2を有することができる。第1電気的経路305−1,307−1と第2電気的経路305−2,307−2はそれぞれ印刷回路基板300の両面に配置される。
【0031】
印刷回路基板300は、プローブ支持体100への固定のための固定孔324及び整列のための整列孔322を有する。
【0032】
図4に示すように、下部支持体400は、上記プローブ200の他端(下部プランジャー)204が貫通する第2開孔406、及び上記第2パッド308−2,309−2に対応する位置で上記第2開孔406に挿入された導電部410を有することができる。
【0033】
上記第2開孔406を貫通した上記プローブ200の他端(下部プランジャー、204)は、下部に配置している検査回路20の検査接点22に接触することができる。また、導電部410の一端は上記第2パッド308−2,309−2に接触し、他端は検査回路20の検査接点22に接触することができる。
図4には導電部410が検査方向に伸縮しない単一体として例示されているが、プローブ200と同じ検査方向に伸縮可能な構造が適用されてもよい。
【0034】
図4で、上記第2開孔406を貫通した上記プローブ200は、第1パッド308−1,309−1に接触するプローブ200−1より長く形成することが好ましい。
【0035】
結果的に、第1パッド308−1,309−1と第2パッド308−2,309−2は、第1電気的経路305−1,307−1と第2電気的経路305−2,307−2を介して電子部品302,304に連結され得る。したがって、特定の検査信号は、電子部品302,304を経て検査回路20の検査接点22又は被検査体10の被検査接点12に、特性が調節されて伝達され得る。
【0036】
図3の底面図に示すように、印刷回路基板300と下部支持体400がプローブ支持体100の下側溝部内に装着され、テストソケット1の全厚を縮小することができる。印刷回路基板300と下部支持体400は固定ねじ354でプローブ支持体100の下側溝部内に装着され得る。また、プローブ支持体100のプローブ200と、印刷回路基板300の第1開孔306及び第1パッド308−1,309−1と、下部支持体400の第2開孔406及び導電部410とが正確に整列されることが重要であるため、整列孔408及び整列ピン352を用いることができる。
【0037】
印刷回路基板300の電子部品302,304は印刷回路基板300の平面から突出しているため、プローブ支持体100の溝部内に電子部品を収容する第2溝部がさらに設けられていることが好ましい。
【0038】
図5には、本発明の第2実施例に係るテストソケット1を示す。第2実施例のテストソケット1に関しては、
図4の第1実施例と異なる点についてのみ説明し、同一の部分については説明を省くものとする。
【0039】
図5に示すように、下部支持体400の第2開孔406はいずれも導電部410を含む。したがって、複数プローブ200のうち、印刷回路基板300の第1開孔306を貫通したプローブ200の他端は、導電部410の一端に直接接触することができる。すなわち、下部支持体400の導電部410は、プローブ200と検査回路20の検査接点22との間で検査信号を中継する役割を担うことができる。このような構造の長所は、プローブ支持体100に支持されるプローブ200を全て同一のデザインにすることができるという点である。印刷回路基板300として非常に薄いフレキシブルPCBを用いることによって、第1パッド308−1,309−1に接触するプローブにも第1開孔306を通過するプローブにも同一のデザインのプローブを適用することができる。
【0040】
図6に示すように、本発明に係る第3実施例は、印刷回路基板300の一面に、複数のプローブ200に対応する複数の第1パッドを形成し、他面に上記複数の第1パッドに相応する第2パドル形成した後、それらのうち、電子部品を経由する必要のある第1パッド及び第2パッドには、それぞれ、電子部品に連結する第1及び第2電気的経路を配設し、電子部品を経由する必要のない第1パッド及び第2パッドには、導電体で詰められたスルーホールのように直接連結する第3電気的経路(コネクター)303を配設することができる。
【0041】
上述した実施例によれば、電子部品の搭載されたPCBがシンプルな構造でテストソケットに追加され、これによってファインピッチを有する被検査体を検査することができる他、製造コストも軽減することができる。
【0042】
上記の実施例は例示のものに過ぎず、当該技術の分野における通常の知識を有する者にとっては様々な変形及び同等な他の実施例が可能である。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は添付の特許請求項の範囲に記載される発明の技術的思想によって定められるべきであろう。
【符号の説明】
【0043】
1 テストソケット
10 被検査体
12 被検査接点
20 検査回路
22 検査接点
100 プローブ支持体
200 プローブ
300 印刷回路基板(PCB)
400 下部支持体