特許第6395960号(P6395960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395960
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】ロック手段を備えたロードキャリア
(51)【国際特許分類】
   B60R 9/055 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   B60R9/055
【請求項の数】17
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-567718(P2017-567718)
(86)(22)【出願日】2016年7月1日
(65)【公表番号】特表2018-520933(P2018-520933A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】EP2016065480
(87)【国際公開番号】WO2017001651
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2018年2月23日
(31)【優先権主張番号】15174983.5
(32)【優先日】2015年7月2日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502308561
【氏名又は名称】スーリー スウェーデン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥルラフマン・チュリュセ
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・フリッシェ
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−089329(JP,A)
【文献】 特開2010−149558(JP,A)
【文献】 特開2000−213220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部(3)および蓋(4)を具備したルーフボックスであって、該ルーフボックスは、前記基部(3)および/または前記蓋(4)に配置されて、前記蓋(4)を前記基部(3)にロックするためのロック手段(10)を具備し、該ロック手段(10)は、互いから所定の距離だけ離れて配置され且つロック位置とロック解除位置との間を動作可能な、少なくとも第1および第2の移動可能なロック要素(40)を具備し、該第1および第2ロック要素(40)は、前記ロック位置に配置された場合、相手側の前記基部(3)または蓋(4)に配置された第1および第2ロック部材(41)とそれぞれ係合するように配置され、前記ロック手段(10)は、前記第1および第2ロック要素と協働して作動する細長い作動要素(30)をさらに具備し、アクチュエータ(21)が配置されて、前記細長い作動要素(30)をロック位置から第1位置へと移動させ、これにより前記第1および第2ロック要素(40)を前記ロック位置から前記ロック解除位置へと移動させ、前記細長い作動要素(30)は、前記第1および第2ロック要素(40)との協働した作業において、並進によって移動するように構成されたルーフボックスにおいて、
前記第1ロック要素(40)および前記第2ロック要素(40)は、前記細長い作動要素(30)に対して移動可能に接続され、これにより前記第1および第2ロック要素は、前記ロック解除位置から前記ロック位置へと順次的に移動することが可能である、ルーフボックス
【請求項2】
前記第1ロック要素(40)は移動して、前記細長い作動要素(30)の移動無しに第1ロック部材(41)と係合することが可能であり、好適に前記第1ロック要素(40)は、所定の距離および/または所定の角度だけ移動し、好適に前記第2ロック要素(40)は、前記ロック位置へと戻る移動から、前記細長い作動要素(30)を保持する、請求項1に記載のルーフボックス
【請求項3】
前記細長い作動要素(30)は、前記第1および第2ロック要素(40)がロック位置からロック解除位置へと同時に移動した後に、第1中間位置へと戻る、請求項1または2に記載のルーフボックス
【請求項4】
前記細長い作動要素(30)および前記第2ロック要素(40)は、ロック位置へと同時に移動することが可能である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項5】
前記細長い作動要素(30)は、第1固定位置である位置へと移動可能であり、当該位置において、前記第1および第2ロック要素(40)は、前記ロック解除位置へと移動することを防止されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項6】
前記第1および第2ロック要素(40)は、第1および第2付勢部材(46)により個々のロック位置に向かって個別に付勢されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項7】
前記第1および第2ロック要素(40)は第1中心軸(A1)に沿って伸び、該第1中心軸(A1)は前記細長い作動要素(30)と平行である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項8】
前記第1および第2ロック要素(40)は、ロック位置からロック解除位置へと、前記細長い作動要素(30)と共に同時に移動する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項9】
前記細長い作動要素(30)は、ロッドのような剛体要素であるか、またはワイヤのような可撓性要素、もしくは平坦な細長い作動要素(30)である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項10】
前記第1および第2ロック要素(40)は、回転および/または並進移動接続部を通じて前記細長い作動要素(30)に対して移動可能に接続された、請求項1〜9のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項11】
前記第1および/または前記第2ロック要素(40)は、ガイドトラック(50)および突起(51)を通じて前記細長い作動要素(30)に接続されて、前記ガイドトラック(50)は、前記突起(51)が前記細長い作動要素(30)に対して好適に3〜40mm、より好適に5〜30mmの限定された距離だけ移動することを許容しており、好適に前記ガイドトラック(50)は、前記細長い作動要素(30)に形成された溝または開口部(50’、50”)であり、前記突起(51)は前記ロック要素に形成されており、前記溝または開口部(50’、50”)は好適に細長く、3〜40mm、好適に5〜30mm、より好適に15〜25mmの主伸びを有する、請求項10に記載のルーフボックス
【請求項12】
前記ロック位置へは、前記第1ロック要素(40)および前記第2ロック要素(40)が順次的に移動可能であり、前記ロック位置は予備ロック位置であり、前記第1ロック要素(40)および前記第2ロック要素(40)は、引き続いて順次的にまたは同時に完全ロック位置へと配置されることが可能である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項13】
少なくとも前記第1ロック要素(40)は、好適に前記第2ロック要素(40)もが、予備ロック位置に配置されることが可能であり、前記予備ロック位置において、前記第1ロック要素(40)は対応したロック部材(41)と係合し、ならびに/または前記第1ロック要素(40)および/もしくは前記第2ロック要素(40)は、引き続いて完全ロック位置に配置されることが可能であり、当該完全ロック位置において、前記第1および/もしくは第2ロック要素(40)の移動は、前記細長い作動要素(30)により防止され、ならびに/または前記ロック手段(10)は、少なくとも1つのロック要素ブロック部材(70)をさらに具備し、該ロック要素ブロック部材(70)は、展開位置にある場合に、前記第1ロック要素(40)が前記ロック位置に到達することを一時的に阻止するように配置されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項14】
前記アクチュエータ(21)は移動可能な指示器(60)を形成しているか、または具備しており、前記移動可能な指示器(60)は前記細長い作動要素(30)に配置されて、これにより前記移動可能な指示器(60)は、前記細長い作動要素(30)の移動機能として移動される、請求項1〜13のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項15】
前記第1および第2ロック要素(40)は、前記細長い作動要素(30)に直接接続されており、好適に前記第1および第2ロック要素(40)は、前記細長い作動要素(30)に対して移動可能に接続されており、および/または前記第1および第2ロック要素(40)は、前記細長い作動要素(30)の伸びの方向に対応した方向に、もしくは略対応した方向に移動可能である、請求項1〜14のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項16】
前記アクチュエータ(21)は、前記アクチュエータをロックおよび/またはロック解除するための鍵(63)を具備し、該鍵(63)は、すべての前記ロック要素(40)がロック位置にある場合にのみ取り外し可能である、請求項1〜15のいずれか一項に記載のルーフボックス
【請求項17】
ロック手段(10)を具備した、請求項1〜16のいずれか一項に記載のルーフボックスをロックおよびロック解除するための方法であって、該方法は、
− 前記アクチュエータ(21)を使用した並進により前記細長い作動要素(30)を移動させ、前記第1および第2ロック要素(40)をロック解除するステップと;
− 前記ロック要素(40)を順次的に前記ロック位置に戻すステップと;
− 最後の前記ロック要素(40)と共に、前記細長い作動要素(30)をロック位置に戻し、好適に前記ロック要素を前記細長い作動要素(30)の伸びの方向に移動させるステップと;
を含んだ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの個別のロック部位を含んだロック手段を備え、ロック手段の各ロック部位の逐次的なロックを可能にした、自動車のためのロードキャリア、特に自動車に搭載可能なロードキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のためのロードキャリア、特に自動車のためのルーフボックスは広く使用されて、自動車への荷物積載能力を増強させている。自動車のためのルーフボックスは、それらが他には使用されない自動車の空間を使用するので、特に役に立つ。
【0003】
ルーフボックスは、一般的に基部およびロック可能な蓋、ならびに非常に頻繁に細長い形状を備え、比較的低い風の抵抗を有する良好な容積を提供している。ルーフボックスの細長い形状により、ロック手段は特別な要求に直面する。複数のロック部位において蓋をロックし、基部に対して安全な様式で効果的に蓋を保持することが望まれる。さらに、ルーフボックスは、一般的に繊維強化複合材料のような軽量の材料から製造されている。そのような材料は強固且つ頑丈であるが、特に大型の部品が使用された場合、わずかな可撓性しか示さない。
【0004】
安全の観点から、使用者が自動車を運転する前に、ルーフボックスが正確にロックされることが非常に重要である。不十分にロックされたルーフボックスは、動作の際に突発的に開く危険性が存在し得る。不十分にロックされたルーフボックスは、事故の場合に突発的に開くかもしれないといったさらに高い危険性がある。
【0005】
ルーフボックスのための3つのロック部位を備えた1つのロックシステムが、特許文献1に開示されている。ロック部位はスライドバーを介して相互接続されており、個別のロック部位を操作して、同時に開放および閉鎖可能にしている。同様に、特許文献2は、全体的に駆動バーとして参照される回転可能なロッドを備えた類似の解決策を開示しており、そのロッドは3つのラッチアセンブリの間の回転的な接続を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2 322 382号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0118926号明細書
【特許文献3】独国実用新案登録出願第202 09 786号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の解決策は欠点を有する。それらの解決策は、正確にロックされたように見える一方で、ロックボルトまたは対応した嵌合部と完全に嵌合しないことがあるロックピンが、依然として存在しており、したがって不十分なロックとなり得るロック手段を提供する。さらに、使用者は、ロック手段が正確にロックされたかどうかの限定された情報のみを得る。
【0008】
良好なロック手段は、ロックが容易なことだけではなく、正確なロックが容易であるべきである。ロック手段が正確にロックされたかどうかの明確且つ信頼性の高い指標が存在するべきである。良好なロックシステムはさらに、使用を意図される特定のロードキャリアへの適合可能性の観点において、柔軟であるべきである。
【0009】
特許文献3は、請求項1の前段によるロードキャリアを開示している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、前述の欠点の解決策を提供すること、または前述の欠点を少なくとも減少すること、もしくは役に立つ代替案を提供することである。目的は、基部および蓋を具備したロードキャリアに少なくとも部分的に適合させることである。ロードキャリアは、基部および/または蓋に配置されて、蓋を基部にロックするためのロック手段を具備している。ロック手段は、互いから所定の距離だけ離れて配置され且つロック位置とロック解除位置との間を動作可能な、少なくとも第1および第2の移動可能なロック要素を具備している。第1および第2ロック要素は、ロック位置に配置された場合、相手側の基部または蓋に配置された第1および第2ロック部材とそれぞれ係合するように配置されている。ロック手段は、第1および第2ロック要素と協働して作動する細長い作動要素をさらに具備している。アクチュエータが配置されて、細長い作動要素をロック位置から第1位置へと移動させ、それにより第1および第2ロック要素をロック位置からロック解除位置へと移動させる。第1ロック要素および第2ロック要素は、細長い作動要素に接続され、これによりそれらは、ロック解除位置からロック位置へと順次的に移動することが可能である。
【0011】
第1ロック要素および第2ロック要素が順次的に移動され得るロック位置は、予備ロック位置であってよく、第1ロック要素および第2ロック要素は、順次的にまたは同時に、完全ロック位置に引き続き配置され得る。
【0012】
本発明のロードキャリアは、改良されたロック手段を備えたロードキャリアを提供している。好適にロードキャリアは、ルーフキャリアまたはそれに類似したような、自動車に搭載可能なロードキャリアである。ロック手段は、正確なロックを容易にする観点から強固である。蓋は、例えば使用者が片手のみを使用して押し下げることが可能であり、各ロックの同時のロックを必要としない。個別のロック要素は予備ロック位置に配置されて、残りのロック要素が押されて対応したロック部材と係合した場合に、個別のロック要素が完全にロックされることを許容することが可能である。
【0013】
ロードキャリアには3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のような、2つ以上のロック要素が設けられ、それらのロック要素は細長い作動要素と協働する
【0014】
第1ロック要素は好適に回転、または並進、もしくはそれらの組み合わせにより移動して、細長い作動要素の移動無しに第1ロック部材と係合し得る。好適に第1ロック要素は、所定の距離および/または所定の角度だけ移動し得る。各ロック要素は細長い作動要素、すなわち接続要素に対して限定された自由度を有し得る。このことは、ロック要素が細長い作動要素に対して限定された距離だけ移動されることを許容している。限定された距離は、細長い作動要素内に形成された細長い開口部の長さによって、または例えばガイドトラックの長さによって決定され得る。
【0015】
第2ロック要素は、ロック位置へと戻る移動から、細長い作動要素を保持する。第1ロック要素が、細長い作動要素に対して限定された距離だけ移動した場合に、細長い作動要素は第1位置に有利に保持され、すべてのロック要素が移動して対応したロック部材と係合するまで、ロック位置に戻らない。細長い作動要素は、多様な様式において第1位置に保持され得る。残りのロック要素が細長い作動要素と協働して、第1位置においてまたは中間位置において、細長い作動要素を保持することは、有利であると理解された。
【0016】
細長い作動要素は、第1および第2ロック要素を、好適に同時にロック位置からロック解除位置へと移動させた後に、第1中間位置に戻り得る。
【0017】
細長い作動要素および第2ロック要素は、同時にロック位置へと移動することが可能である。第1ロック要素がロック位置へと、または予備ロック位置へと移動した場合、残りの第2ロック要素は、細長い作動要素と共にロック位置へと移動することが可能である。ロック手段が2つより多くのロック要素を具備している場合、最後のロック要素は、細長い作動要素と共にロック位置へと同時に移動する。したがって、細長い作動要素は、すべてのロック要素がすべてのロック部材と係合するまでロック位置に戻らない。
【0018】
細長い作動要素は、第1および第2ロック要素がロック解除位置へと移動することを防止された、第1固定位置である位置へと移動され得る。細長い作動要素は、この位置において、第1および第2ロック要素がロック位置から移動することを防止している。それは独立して、ロック要素の非順次的ロックを可能にしている。
【0019】
第1および第2ロック要素は、第1および第2付勢部材により個々のロック位置に向かって個別に付勢されている。各ロック要素は、好適に個々のロック位置に向かって付勢されている。ロック要素がロック解除位置へと移動した場合、付勢部材は好適に引っ張られ、これにより付勢力はロック要素に連続的に作用する。前述の通り、第1および第2ロック要素は、ロック位置にある場合に、基部または蓋の相手側に配置された第1および第2ロック部材と個々に係合するように配置されている。
【0020】
第1および第2ロック要素は第1中心軸に沿って伸びてもよく、第1中心軸は細長い作動要素と平行である。細長い作動要素の移動の方向は、好適に少なくとも第1中心軸を備えた細長い作動要素の一部に沿って平行である。同じ中心軸に平行にそれらを移動させることにより、小さい空間を必要とする比較的薄いロック手段を提供している。ロック手段はロードキャリアの内側に配置され得るので、空間は全体的に貴重である。
【0021】
第1および第2ロック要素は、ロック位置からロック解除位置へと、細長い作動要素と共に同時に移動され得る。したがって、すべてのロック要素は、一体に且つ同時にロック解除されることが可能である。
【0022】
細長い作動要素は、多様な材料から製造され得る。それは、ロッドのような剛体要素、またはワイヤのような可撓性要素であってよい。細長い作動要素は、好適に平坦な細長い作動要素であり、並進を許容する、すなわち長手方向において安定的に形成されているが、曲げることが可能であるという観点から、幾分可撓性を有する材料から好適に形成されている。このことは、細長い作動要素が、例えばロードキャリアの湾曲した側壁に沿ったような、例えばロードキャリアの内部に沿って形成されることを可能にしている。適切な平坦な細長い作動要素は、1〜3mmの厚さ、5〜50mmの幅、および500〜3000mmの長さである。
【0023】
細長い作動要素は並進移動により移動する。移動は、好適に細長い作動要素の長手方向における細長い作動要素の並進によって作用される。
【0024】
第1および第2ロック要素が細長い作動要素に移動可能に接続された場合、好適にすべてのロック要素が細長い作動要素に移動可能に接続された場合に、利点が見いだされた。ロック要素は、接続部を介して細長い作動要素に好適に接続されており、接続部は、細長い作動要素がロック要素を作動することを許容しているが、各ロック要素が細長い作動要素に対して移動され、好適に並進されることをさらに許容している。
【0025】
第1および/または第2ロック要素は、ガイドトラックおよび突起のようなガイドトラック協働要素を介して細長い作動要素に接続されてもよい。ガイドトラックは、ガイドトラック協働要素が、細長い作動要素に対して限定された距離だけ移動することを許容している。限定された距離は好適に3〜40mm、より好適に5〜30mmである。限定された距離は、細長い要素および細長い要素の縦の伸びと好適に略平行または平行である。
【0026】
ガイドトラックは、細長い作動要素に形成された溝または開口部とし得る。突起は、ロック要素に形成され得る。溝および/または開口部は好適に細長く、3〜40mm、好適に5〜30mm、より好適に15〜25mmの主伸びを有する。
【0027】
細長い作動要素は、ハウジングの内側の少なくとも第1ロック要素と第2ロック要素との間に伸びている。細長い作動要素は保護ハウジングの内側に位置し、細長い作動要素がロードキャリアによって運搬される任意の荷物に引っ掛かることを防止している。そのようなハウジングは、例えばロック要素のための支持を構造的に提供するためにも使用され得る。
【0028】
ハウジングは開口部、好適に細長い開口部を具備してもよく、第1および第2ロック要素は、その開口部を通じて細長い作動要素と係合している。開口部の数は、細長い作動要素に形成されたガイドトラックの数または開口部の数に好適に一致している。ハウジングの細長い開口部の伸びは、細長い作動要素の溝または開口部の主伸びに略一致している。
【0029】
少なくとも第1ロック要素は、好適に第2ロック要素も、予備ロック位置に配置され得る。予備ロック位置において、第1ロック要素および/または第2ロック要素は、対応したロック部材と係合する。予備ロック位置において、ロードキャリアの蓋はベースに保持されているが、そこに完全にはロックされていない。このことは、使用者が容易に蓋をロックし、続いて残りのロック要素が対応したロック部材と係合するまで、ロック要素を係合することを可能にしている。
【0030】
第1ロック要素および/または第2ロック要素は、続いて完全ロック位置に配置され得る。その位置において、第1および/または第2ロック要素は、細長い作動要素により移動を防止される。したがって、細長い作動要素は、すべてのロック要素に対するロックとして機能し、それらがロック位置からロック解除位置へと移動されることを防止するように機能することが可能である。したがって、第1および/または第2ロック要素は、予備ロック位置におよび完全ロック位置に配置され得ることが理解されるべきである。
【0031】
アクチュエータが、アクチュエータをロック/ロック解除するための鍵を含んでいる場合、すべてのロックがロックされている場合、すなわちすべてのロック要素が完全ロック位置にまたはロック位置にある場合にのみ、鍵は取り外し可能である。随意的に、細長い作動要素がロック位置にある場合にのみ、鍵は取り外し可能であり、すなわちロック位置からロック解除位置へのロック要素の移動を防止している。
【0032】
ロック手段は、少なくとも1つのロック要素ブロック部材をさらに具備し得る。ロック要素ブロック部材は、展開位置にある場合に、第1ロック要素がロック位置に到達することを一時的に阻害するように配置されている。各ロック要素には、対応したロック要素ブロック部材が設けられている。予備ロック位置に配置されたロック要素は、すべてのロック要素ブロック部材が押し下げられた場合に、ロック位置に配置されることが可能である。1つのみのロック要素がロック位置へと移動されない場合、鍵は取り外し可能にならない。
【0033】
ロック要素ブロック部材は、付勢部材によって展開位置に向かって付勢され得る。述べられた付勢部材は、蓋を開方向に押すように適合された力をロック要素ブロック部材に与えるように配置され得る。ロック要素ブロック部材は、蓋を閉じた場合に、ロック部材と係合するように好適に配置されている。ロック要素ブロック部材はロック部材を付勢して、それにより蓋を開放するように形成され得る。したがって、蓋がロック解除された場合に、少なくとも所定の距離だけ蓋が上向きに押されて、使用者が残りの距離だけ蓋を開くために蓋の周囲を握り得るという観点から、蓋は自己開放であり得る。
【0034】
ロック手段ならびに好適に第1および第2ロック要素は、蓋ヒンジ手段の一部を形成して、蓋を基部に回転可能に接続し、2つの異なった側から蓋が開放されることを可能にしてもよい。したがって、蓋は、互いに平行に配置された2つの異なった回転軸の周囲を回転するように形成されてもよい。
【0035】
前述のとおり、ロック手段は、ロック位置から第1位置へと細長い作動要素を移動させるように配置されたアクチュエータを具備し、それにより第1および第2ロック要素をロック位置からロック解除位置へと移動させる。アクチュエータは、移動可能な表示器を形成し得るか、または具備し得る。移動可能な表示器は、細長い作動要素に配置され、これにより移動可能な表示器は、細長い作動要素の移動に応じて移動され得る。このことは、ロック要素の状態を特定するために使用可能である。したがって、使用者は、蓋が基部に対して正確にロックされたか否かを知り得る。ここに開示されたアクチュエータが、ここに開示されたロック手段とは別個に使用され得ることが理解されるべきである。これにより、アクチュエータおよび部品、ならびにアクチュエータに関連した特徴は、他のロック手段と共に使用され得る。
【0036】
アクチュエータは、第1回転軸の周りに回転可能とされ得る。第1回転軸は、細長い作動要素に略直交して配置され得る。回転可能なアクチュエータに替えて、移動はスライド可能なハンドル、またはそれに類似したもののような並進アクチュエータにより、実行され得る。
【0037】
アクチュエータは、歯車を介して細長い作動要素に回転可能に連結され得る。
【0038】
アクチュエータは、鍵を介して動作可能なキーシリンダを具備し得る。キーシリンダは、歯車に連結され得る。したがって、鍵の回転動作は歯車に伝達され得る。細長い作動要素には、歯車と協働して作動するように配置されるように形成されたカムトラックが設けられ得る。
【0039】
アクチュエータは、突出支持部材のような、少なくとも1つの鍵受容部を具備し得る。少なくとも1つの突出支持部材は、鍵に対する構造的支持部を設けるように配置されて、少なくとも1つの突出支持部材の回転により、好適にキーシリンダ内での鍵の回転を可能にし得る。このことは、使用者が鍵を回転させてロック手段をロック解除した場合に、鍵の突発的な破壊を防止することを補助し得る。
【0040】
ロック手段は少なくとも1つのロック要素ブロック部材を具備してもよく、この部材は、対応したロック要素がロック解除位置からロック位置へと、および/または予備ロック位置へと移動することを防止するように形成されている。少なくとも1つのロック要素ブロック部材は、蓋にまたは対向した基部もしくは蓋に配置された、対応したロック部材により移動されるように構成されている。
【0041】
ここに記載されたロードキャリアは、使用者がロードキャリアの蓋を片手のみを使用して閉じることが可能であるという観点から、良好な人間工学的特性を提供している。それはさらに、使用者に視覚的、潜在的、および/または可聴的フィードバックを提供し得る。それはさらに、使用者が蓋を基部にロックする場合に、使用者に視覚的、潜在的、および/または可聴的フィードバックを連続して提供し得る。例えば、各ロック要素が対応したロック部材と係合する場合に、使用者はクリックの反応を獲得し得る。
【0042】
ロック手段はモジュール式且つ対称であり、例えばロードキャリア内に左右対称に組み付けられ得る。このことは、同じロック手段がロードキャリアの内部の左または右の位置に単独で使用可能であるので、より安価な製造コストとすることが可能となり得る。
【0043】
本発明の非限定的な実施形態が、添付図を参照してより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】2つのロック手段を具備したルーフボックス形式のロードキャリアを示した図である。
図2a】ルーフボックスを除いたロック手段を示した図である。
図2b】ここに開示されたロック手段の原理を示した図である。
図2c】ここに開示されたロック手段の原理を示した図である。
図2d】ここに開示されたロック手段の原理を示した図である。
図2e】ここに開示されたロック手段の原理を示した図である。
図2f】ここに開示されたロック手段の原理を示した図である。
図2g】ここに開示されたロック手段の原理を示した図である。
図3図2aのロック手段を示した斜視図である。
図4】第2ロック部位をより詳細に示した部分的な分解図である。
図5】第1ロック部位をより詳細に示した部分的な分解図である。
図6図5に示された第1ロック部位であるが、ロック手段の下部を向いた方向から示した斜視図である。
図7】第2ロック部位が開位置および閉位置、すなわちロック位置、ロック解除位置、および再度のロック位置にある場合の、第2ロック部位をより詳細に且つ異なった位置から示した図である。
図8】第2ロック部位が開位置および閉位置、すなわちロック位置、ロック解除位置、および再度のロック位置にある場合の、第2ロック部位をより詳細に且つ異なった位置から示した図である。
図9】第2ロック部位が開位置および閉位置、すなわちロック位置、ロック解除位置、および再度のロック位置にある場合の、第2ロック部位をより詳細に且つ異なった位置から示した図である。
図10】第2ロック部位が開位置および閉位置、すなわちロック位置、ロック解除位置、および再度のロック位置にある場合の、第2ロック部位をより詳細に且つ異なった位置から示した図である。
図11】第2ロック部位が開位置および閉位置、すなわちロック位置、ロック解除位置、および再度のロック位置にある場合の、第2ロック部位をより詳細に且つ異なった位置から示した図である。
図12】第2ロック部位が開位置および閉位置、すなわちロック位置、ロック解除位置、および再度のロック位置にある場合の、第2ロック部位をより詳細に且つ異なった位置から示した図である。
図13】第2ロック部位が開位置および閉位置、すなわちロック位置、ロック解除位置、および再度のロック位置にある場合の、第2ロック部位をより詳細に且つ異なった位置から示した図である。
図14a】閉じる工程の間のロック部位の要素をより詳細に示した図である。
図14b】閉じる工程の間のロック部位の要素をより詳細に示した図である。
図14c】閉じる工程の間のロック部位の要素をより詳細に示した図である。
図14d】閉じる工程の間のロック部位の要素をより詳細に示した図である。
図14e】閉じる工程の間のロック部位の要素をより詳細に示した図である。
図14f】閉じる工程の間のロック部位の要素をより詳細に示した図である。
図14g】閉じる工程の間のロック部位の要素をより詳細に示した図である。
図14h】閉じる工程の間のロック部位の要素をより詳細に示した図である。
図15a】ロック要素、ロック要素ブロック部材、および蓋部材を、それらの協働を図示するために、多様な位置から示した図である。
図15b】ロック要素、ロック要素ブロック部材、および蓋部材を、それらの協働を図示するために、多様な位置から示した図である。
図15c】ロック要素、ロック要素ブロック部材、および蓋部材を、それらの協働を図示するために、多様な位置から示した図である。
図15d】ロック要素、ロック要素ブロック部材、および蓋部材を、それらの協働を図示するために、多様な位置から示した図である。
図15e】ロック要素、ロック要素ブロック部材、および蓋部材を、それらの協働を図示するために、多様な位置から示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、ルーフボックス2の形態のロードキャリア1を示している。ルーフボックス2は、従来の手段により自動車(図示略)のルーフに取り付けられるように構成されている。ルーフボックス2は、基部3および蓋4を具備している。蓋4は、回転手段5を通じて基礎部材に取り付けられている。回転手段は、蓋4が、図1に示されたような開位置と閉位置(図示略)との間を回転することを可能にしている。ロードキャリア1には、別の蓋取り付けシステムが設けられることが可能であり、蓋4は、例えば基部3に対してスライド可能に連結され得るか、または単に被せられているだけとされ得ることが理解されるべきである。しかしながら、回転手段が好適である。
【0046】
ロードキャリア1は、少なくとも1つのロック手段10を具備している。しかしながら、ロードキャリア1には、2つ以上のロック手段10が設けられ得る。図示された実施形態においては、図1を参照して記載されたロードキャリア1は、第1ロック手段10および第2ロック手段11を備えている。ロック手段10、11は、それらが、蓋4が二方向から開放されることを可能にしているという意味で、協働している。そのような手段は、蓋ヒンジ手段としても参照されている。蓋4は、第1および第2回転軸の周りに、基部3の第1および第2長手側に沿って回転して開くことが可能である。第1および第2ロック手段10、11は、図1の実施形態に示されたように同じ種類であってよいが、本発明の境界の範囲内では、ロードキャリア1は第1ロック手段10、および異なった種類の別の回転手段またはロック手段を具備していることに、注目されるべきである。第1および第2ロック手段10、11は、基部3および蓋4の側壁上に配置され、基部3および蓋4を回転可能に連結している。
【0047】
図2aは、第1ロック手段10をより詳細に示している。第1ロック手段10は、第1、第2、および第3ロック部位15、16、17を具備している。各ロック手段10、11には、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上のロック部位のような、2つ以上のロック部位が設けられ得る。ロック部位は、対応したロック部材と共同してロックに寄与するロック要素を備えていると、一般的に認識されている。
【0048】
第1ロック部位15は、アクチュエータ21の形式の動作機構20を具備している。アクチュエータ21は、使用者がロック手段10を操作し、蓋4をロック解除して、ロードキャリア1の内部へのアクセスを許容することを可能にするように設けられている。各ロック部位15、16、17は連続的にロックされ、および/または少なくとも連続的に予備ロック位置に配置されている。ロック手段10、11、または1つのみしか存在しない場合、その1つのロック手段は、基部3ではなく蓋4に配置されることが可能であることが理解されるべきである。
【0049】
本発明によるロック手段の作動原理は、図2b〜図2gを参照して一般的な用語において記載される。図2bはロック部位15、16、17を示しており、各々がロック要素40およびロック部材41を具備して、ロック位置にある。すべてのロック部位は、この位置においてロックされており、基部3および蓋4を保持している。ロック部位はロック要素40およびロック部材41を具備し、それらは、ロックされた場合に、保持する態様において互いに係合するように形成されている。これらの構成は、以下により詳細に記載されている。ロック要素40およびロック部材41は、基部3および蓋4のためのヒンジ手段を随意的に形成し得るが、本発明の目的に関しては、それは必要ではない。
【0050】
図2cは、ロック部位15、16、17のロック解除、すなわちロック要素40およびロック部材41を同時に係合解除したことを示している。蓋4は、図2dにおいて矢印により示されたように、ここでは開放可能である。蓋4が閉じられた場合、ロック要素はロック位置に逐次配置され得る。図2eにおいて、ロック位置は予備ロック位置であり、それはロック要素40がロック部材41と完全に係合していないことにより、視覚化されている。
【0051】
図2fにおいて、別のロック部位、この場合第1ロック部位15の別のロック要素が、予備ロック位置に移動されている。理解され得るように、最後のロック要素はまだロック解除されており、ロック部材41とは全く係合していない。使用者が最後のロック部材41を押下した場合、他のロック部位の他のロック要素40と一体となって、そのロック部位のロック要素40は、図2gに示されたような、完全ロック位置へと同時に移動される。ロック要素40は、例えば以下に詳細に示されたような駆動バーのような作動要素を通じて操作される。しかしながら、この操作は、他の方法により実行され得る。
【0052】
図3は、図2aをより詳細に斜視図により示している。図3は、第1ロック手段10、第1、第2、および第3ロック部位15、16、17、ならびにアクチュエータ21を示している。図3は、細長い作動要素30または作動バー30も示している。細長い作動要素30は、この場合平坦な細長い作動要素31であり、好適に幾分かの可撓性を有し、細長い作動要素30がわずかに湾曲することを許容している。図3から理解可能であるように、細長い作動要素30はわずかに湾曲されており、ロードキャリア1の基部3の湾曲形状を補っている。細長い作動要素30は、第1、第2、および第3ロック部位15、16、17を一体に連結しており、アクチュエータ21が各ロック部位15、16、17を操作することを可能にしている。アクチュエータ21が作動すると、第1、第2、および第3ロック部位15、16、17の各々は、例えばロック解除可能である。細長い作動要素30は、ハウジング32を介して基部3の内部に移動可能に取り付けられ、この場合スライド可能に取り付けられている。ハウジング32はこの場合わずかに湾曲されて、基部3の輪郭に沿っている。
【0053】
ロック手段10の個別の部品は、ここではより詳細には記載されない。
【0054】
図4は、第2ロック部位16をより詳細に示している。第2ロック部位16および第3ロック部位17は、機能および構造において同一であり、一方で第1ロック部位15は、アクチュエータ21がさらに設けられている観点において異なっている。第1、第2、および第3ロック部位15、16、17のようなロック部位は、ロック要素40を具備している。ロック要素40は、蓋4に配置された協働するロック部材41(図1に示されている)と係合または嵌合するように形成されている。ロック要素40は、ロック位置とロック解除位置との間を移動可能である。ロック位置において、ロック要素40は、蓋4のロック部材41と完全に係合している。以下に記載されたように、ロック要素40は、さらに予備ロック位置に配置されることが可能である。
【0055】
ロック要素40は、この場合ピン43の形状の係合部42を具備している。基部3への蓋4のロックは、この場合ロック要素40のピン43がロック部材41に配置された開口部44と嵌合する。ピン43を備える代わりに、係合部はフックまたはそれに類似したものとすることが可能である。ロック要素40は、細長い作動要素30と同じ方向にまたは少なくとも略同じ方向に移動させられ、ロック解除位置へと平行移動し、これは以下により詳細に記載されている。
【0056】
付勢部材46は、ロック要素40をロック位置に向かって、この場合図4に示された視点では左に向かって付勢している。付勢部材46は、図4に示されたようにつる巻きバネとすることが可能であるが、板バネ、ゴム部材またはそれに類似したもののような弾性部材等の、他の付勢部材とすることが可能である。ロック要素40に押圧力をかけるのではなく、反対側の位置に付勢部材を配置して、付勢部材が引張力をかけることによりロック要素40をロック位置に向かって付勢し得るようにすることも可能である。
【0057】
注目されたように、ロック要素40は、ロックハウジング47内にスライド可能に配置されている。ロックハウジング47は、ガイドトラック48をロック要素40に提供している。ガイドトラック48は、ロック要素40のための所定のトラックを提供し、ロック要素が所定のトラックに沿ってスライドすることを許容し、これによりロック要素40はロック部材41と正確に係合することが可能である。ロックハウジング47は付勢部材支持面49を具備し、この面に対して、ロック要素40を付勢した場合に、付勢部材46は静止することが可能である。
【0058】
ロック要素40は、第1中心軸A1に沿って伸びた主伸びを有する。係合部42はこの場合ピン43であり、第2中心軸A2に沿って伸びた主伸びを有する。注目されたように、第1中心軸A1は細長い作動要素30と平行、または細長い作動要素30と略平行である。
【0059】
ロック要素40は、細長い作動要素30に移動可能に接続されている。ロック要素40は、細長い作動要素30に対して有限の角度の自由度を有し、これにより細長い作動要素は、ロック要素40に対して有限の距離だけ移動可能であり、または図示された実施形態においては平行移動可能である。有限の移動は、細長い作動要素30に配置された少なくとも1つのガイドトラック50およびロック要素40に配置された少なくとも1つの突起51を介して可能とされている。図示された実施形態においては、ロック要素40には、2つの突起51が設けられ、細長い作動要素30には、細長い開口部50’、50”が設けられている。この場合2つの開口部である2つのガイドトラックと協働する2つの突起は、ロック要素40および細長い作動要素30の移動に安定性を提供している。
【0060】
図5は、第1ロック部位15をより詳細に示した分解図である。図7は、図6の第1ロック部位15の分解図を示しており、その機構のいくつかをより良好に示した下からの視点で示している。図6はロック要素40、ロードキャリアの蓋(図示略)に取り付けられたロック部材41、ロックハウジング47、細長い作動要素30、および細長い作動要素30を覆うように形成されたハウジング32を示している。図6は、動作機構20も示している。動作機構またはアクチュエータ21は、述べられたように、使用者が関連したロック手段を操作することが可能であるように設けられている。アクチュエータ21は回転可能ハンドル60を具備し、その回転により細長い作動要素30は関連した各々のロック要素40を移動させる。
【0061】
位置表示ディスク61は回転可能ハンドル60の後方に配置され、細長い作動要素30と共に細長い作動要素30に関連したロック要素40の位置を参照する機能を備えている。位置表示ディスク61は、図示された実施形態においては回転可能ではなく、ロック手段10に固定的に配置されている。
【0062】
回転可能ハンドル60にさらに関連して、このハンドルは鍵63を介して操作可能なロックシリンダ62である。回転可能ハンドル60は、ロックシリンダ62内に挿入された後に鍵63と係合するように構成された鍵係合要素64を具備している。したがって、回転可能ハンドル60を回転させた場合、鍵63も回転される。このことは、使用者が鍵を誤って破壊することに対する保護に寄与している。鍵係合要素64は、図示された実施形態においては突出スロットにより提供され、その内部に鍵63が挿入可能である。有利な特徴は、すべてのロック要素がロック部材に完全に係合されるまで、または細長い作動要素30が原位置に戻る前に、鍵63はロックシリンダ62から抜き取られることが不可能なことである。
【0063】
回転可能ハンドル60に関連して図6を参照すると、このハンドルはトルク転換手段65でもある。トルク転換手段は、回転可能ハンドル60の回転動作を、細長い作動要素30を移動させる並進動作に転換する。トルク転換手段65は、図示された実施形態においては、歯車66およびカムトラック67を具備している。回転可能ハンドル60の回転は歯車66に伝達されて、カムトラック67を移動させる。カムトラック67は、続いて細長い作動要素30に間接的に接続されており、したがって、その並進を細長い作動要素30に伝達する。
【0064】
付勢部材はカムトラック67に作用して、カムトラック67、ひいては細長い作動要素30をロック位置に向かって付勢する。したがって、細長い作動要素30は、ロック位置に向かって戻ろうとする。
【0065】
ロック手段10の機能および動作は、これ以降により詳細に記載される。図7は、ロック手段10の一部をより詳細に示しており、より具体的には第2ロック部位16である。使用者がアクチュエータ21を回転させた場合、細長い作動要素30は右側へ並進を開始し、ひいては矢印により示された移動方向に沿って移動する。アクチュエータ21の回転動作は、水平方向において細長い作動要素30を並進させる。
【0066】
細長い作動要素30を覆ったハウジング32は、保護シートとして機能し、図7図13においては、ロック要素40の移動をより良好に視覚化するために、透明として示されている。ハウジング30は選択的なものであり、細長い作動要素30は、所望された場合に、ロードキャリアの内部に同様に露出され得ることが理解されるべきである。
【0067】
図8において、細長い作動要素30は、細長い作動要素30の細長い開口部50’、50”により定義された距離を移動させられている。細長い作動要素30は、ロック要素40の突起51の周りを把持し、蓋4(図示略)のロック部材41との係合からすべてのロック要素40をほぼ退避させるところである。
【0068】
図9は、細長い作動要素30が、係合位置すなわちロック位置から蓋4のロック部材とともにロック要素40をどのようにして退避させたかを示している。注目され得るように、ロック要素40のピン42、およびより正確には係合部42、この場合ピン43は、蓋4のロック部材41から完全に係合解除される。ロック要素40が、図9に示されたロック解除位置へと退避された場合、ロック部材41ひいては蓋4は、自由に開放される。有利な選択的特徴は、蓋4がロック要素ブロック部材70により上向きに付勢された場合である。ロック要素ブロック部材70は、ロック要素40が付勢されて、ロック位置に戻ることを回避し、準備位置に滞在させるように形成されている。蓋4がロック部材41を通じて付勢された場合、蓋4は図9の矢印により示されたように押し開けられる。ロック要素ブロック部材70が、図9に示されたような退避位置または上昇位置にある場合、ロック要素40は、ロック位置に戻る移動を阻止されている。ロック要素ブロック部材70はロック要素40をブロックする必要はなく、単純に蓋への付勢部材として作動し得ることが理解されるべきである。ロック要素40は、選択的にまたは付加的に停止ピンによりブロックされ得て、それは例えば図14a〜図14fを参照して記載されている。
【0069】
図10は、細長い作動要素30の細長い開口部51’、51”により定義された長さに対応した距離を戻るように移動した後の、細長い作動要素30を示している。理解され得るように、ロック要素40は、ここでは一時的に細長い作動要素30との係合から解除されており、ロック要素ブロック部材70がロック要素40の移動を阻止し得ない場合に、蓋のロック部材41との係合位置へと対応した距離を戻るように移動することが可能である。細長い作動要素30が、ロック要素40に対する相対移動をある程度許容しているために、各ロック要素40は、ロック位置および/または予備ロック位置へと戻るように個別に移動することが可能である。
【0070】
図11は、下方に押下されて、ロック要素ブロック部材70と係合した、すなわち使用者が(図1に示された)ロードキャリア1の蓋4を閉じている状態にある、蓋4のロック部材41を示している。注目され得るように、ロック要素ブロック部材70は、図10に示されたブロック位置から移動され、ロック要素40が蓋4のロック部材との係合状態に自動的に跳ね戻ることを許容している。付勢部材46(図4に示されている)は、図11には示されていないことに注目されるべきである。しかしながら、図11において、ロック要素40はロック部材41と完全には係合しておらず、細長い作動要素30により完全係合を制限されている。ロック要素の突起は、細長い作動要素の細長い開口部の終端により停止させられている。ロック要素は、この予備ロック位置においては蓋のロック部材を保持しているが、蓋のロック部材と完全には未だ係合していない。したがって、蓋のロック部材は、ロック要素ブロック部材から除去または係合解除されることを防止しているが、ロックは完全にはロックされていない。
【0071】
理解され得るように、3つのロック要素40のうちの2つが図11に示されたように配置された場合、第3ロック要素40は図10に示されたように配置され、したがって細長い作動要素30を、さらに左に移動されるように保持している。
【0072】
実際に、使用者は(図1に示された)蓋4を片手で且つ各ロック部位を選択的に予備ロックして閉じることが可能である。それは、各ロック部位の順次的ロックを許容している。ロック手段は、蓋が蓋の表面全体に均一に押圧されて、ロック要素が対応したロック部材と係合することを必要としていない。
【0073】
図12は、部分的に透明な蓋のロック部材41を示している。最後のロック要素ブロック部材70が蓋のロック部材41により下方に移動させられた場合、最後のロック要素40はロック要素ブロック部材70と自由に係合し、これにより予備ロック位置に停止することなく直接ロック位置へと向かう。次に、細長い作動要素30は左に向かって自由に移動し、これにより第3および最後のロック要素40は、ロック位置へと移動することが可能である。ロック要素40は、ここでは蓋のロック部材41と完全に係合している。
【0074】
図13は、細長い作動要素30が、元の始点であるロック位置に戻り、その位置において細長い作動要素30が、各ロック要素40がロック位置からロック解除位置に向かって移動することを防止していることを示している。したがって、細長い作動要素30は、ロック要素保持器として作動し、ロック要素40が蓋4のロック部材41と係合解除することを保持している。
【0075】
図14a〜図14hを参照すると、ロック安全機能が、ロック手段のロック部位の要素に関連してより詳細に記載されている。
【0076】
図14aを参照すると、ロック安全機能は、使用者が誤ってまたは意図的にロック要素ブロック部材70を押下することを防止しており、これによりロック要素40は阻害位置に配置され、ロック部材41がロック要素40と係合すること、これにより蓋が相応に閉じられることを防止するように構成されている。ロック安全機能は、ロック要素ブロック部材70上に、それ自身に、またはその近傍に配置された停止ピン80により提供されている。図示された実施形態においては、停止ピン80はロック要素ブロック部材70上に配置され、ロック要素ブロック部材70と同期して垂直方向に移動可能である。
【0077】
ロックピン80は、この場合ロック要素ブロック部材70を付勢した付勢部材と同じバネ81により、起き上がった位置に向かって付勢されている。図14aは、蓋(図示略)が開放された場合のロック部位、すなわちロック要素40および対応した蓋のロック部材41を示している。ロック要素40は、ロック要素ブロック部材70上に静止している。ロック要素40は、ロック要素ブロック部材70に接触して静止する、すなわちそこに隣接して配置される多様な面を備えてもよく、この場合、その面はピン42に配置されているのではなく、ロック要素40の別の面に配置されている。図14bは、ロック要素ブロック部材70への接触面をより良好に示した、明確性のためにバネ81を除いた図14aを示している。したがって、それはロック要素40のスライド部であり、そこには接触面が設けられ、ロック要素ブロック部材70に隣接して配置されるように形成されている。
【0078】
図14cはアクチュエータ21、ロック要素40、ロック要素ブロック部材70、ロック部材41、ロックピン80、およびバネ81の部分を示している。ロック要素40に作用する付勢部材46も示されている。図14aおよび図14bのように、ロック要素ブロック部材70は、停止ピン80およびその機能をより良好に見せるために、わずかに透明に示されている。停止ピン80は図4にも示されている。図14cを参照すると、ロック要素40は、停止ピン80と協働するように形成された停止面82を具備し、それは好適に停止ピン80の上端と共に示されている。停止ピン80およびロック要素40の停止面82は、使用者が例えば指でロック要素ブロック部材70を押下した場合であっても、ロック要素40が阻害位置に移動することを防止している。ロック要素ブロック部材70および停止ピン80は同時に移動させられ、停止ピン80が図9に示されたような閉じ込められた空間内にある場合に、指によりロック要素ブロック部材70を押下する使用者は、ロック要素ブロック部材70および停止ピン80の両方を完全に押下することが不可能である。
【0079】
図14dにおいて、蓋が閉じられた場合、ロック部材41は垂直下向き方向に移動する。注目され得るように、ロック部材41の先端の傾斜面41’は、ロック要素40に隣接して配置されている。傾斜面41’により、ロック要素40は押し戻されて、図14dおよび図14eに示された視点からみた場合に、ロック部材41が垂直下向き方向にさらに移動させられることが可能である。それに続いた図14fおよび図14gにおいて、ロック部材41は完全に下方に押下され、これによりロック要素40はロック部材41と嵌合して、蓋は開放したままに保持されることが可能である。
【0080】
図示された様式において、各ロック部位には、ロック要素40がロック部材41を阻害することを防止する保護安全機能が設けられている。その機能は、下方に移動した場合に、ロック要素40を押し退けることが可能なロック部材41の傾斜面41’により達成されているが、ロック要素40が停止ピン80により阻害位置に移動させられることを防止することによっても、すなわちロック要素ブロック部材70によっても達成されている。ロックピン80およびその機能は、ロック要素ブロック部材70に対して別個の部材により提供され得るが、停止ピンはロック要素ブロック部材70の一部により形成されることが好適である。
【0081】
図15a〜図15dは、ロック要素40、ロック要素ブロック部材70、蓋部材41、および停止ピン80を、異なった視点からそれらの協働作業について示している。
【0082】
本発明の目的は、蓋を基部にロックするための、蓋および基部を具備したロードキャリアのためのロック手段を提供することである。ロック手段は、ロック位置とロック解除位置との間を動作可能な、少なくとも移動可能な第1ロック要素、好適に少なくとも第1および第2ロック要素を具備している。第1要素は、ロック位置に位置した場合に、相手側の基部または蓋に配置された第1ロック部材と係合するように配置されている。ロック手段は、少なくとも1つのロック要素ブロック部材をさらに具備し得る。ロック要素ブロック部材は、展開位置にある場合、第1ロック要素がロック位置に到達することを一時的に阻害し、および/またはロック部材を付勢するための押上部材として作動してもよく、したがって、そこに接続された蓋は開位置に向かって押し上げられ、前述の2つの機能のうちの後者は、実施形態における唯一の機能とし得る。ロック手段はロック安全機能をさらに具備し、ロック要素が阻害位置に到達することを防止し得る。ロック手段は、好適にバネまたはそれに類似したものにより付勢され且つロック要素の停止面と協働する停止ピンを具備し、ロック要素が阻害位置に到達することを防止し得る。停止ピンはロック要素ブロック部材と一体に、または個別の部品として形成され得る。
【0083】
ここに記載された特徴は、組み合わせについての明確な表現または記載がなくても、多様な方法において組み合わせられることが可能であることが、理解されるべきである。同様に、ここに開示された特徴の組み合わせは、組み合わせられる必要性はなく、単独または他の組み合わせにおいて使用され得る。
【符号の説明】
【0084】
1 ・・・ロードキャリア
2 ・・・ルーフボックス
3 ・・・基部
4 ・・・蓋
5 ・・・回転手段
10 ・・・第1ロック手段
11 ・・・第2ロック手段
15 ・・・第1ロック部位
16 ・・・第2ロック部位
17 ・・・第3ロック部位
20 ・・・動作機構
21 ・・・アクチュエータ
30 ・・・作動要素
32 ・・・ハウジング
40 ・・・ロック要素
41 ・・・ロック部材
42 ・・・係合部
43 ・・・ピン
44 ・・・開口部
46 ・・・付勢部材
47 ・・・ロックハウジング
48 ・・・ガイドトラック
49 ・・・付勢部材支持面
50 ・・・ガイドトラック
51 ・・・突起
60 ・・・回転可能ハンドル
61 ・・・位置表示ディスク
62 ・・・ロックシリンダ
63 ・・・鍵
64 ・・・鍵係合要素
65 ・・・トルク転換手段
66 ・・・歯車
67 ・・・カムトラック
70 ・・・ロック要素ブロック部材
80 ・・・停止ピン
81 ・・・バネ
82 ・・・停止面
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図14c
図14d
図14e
図14f
図14g
図14h
図15a
図15b
図15c
図15d
図15e