(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記布はがし行程において、前記ノズルからの放水により前記一部の洗濯物に加圧された水を当てる制御を実行した後、前記ドラム内周面の洗濯物に働く遠心加速度が1G未満となるように前記ドラムを回転させる制御を行うことを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。
前記制御手段は、前記布はがし行程において、前記ノズルからの放水により前記一部の洗濯物に加圧された水を当てる制御を実行した後、前記ドラムを間欠的に回転させる制御を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のドラム式洗濯機。
前記制御手段は、前記布はがし行程において、前記ノズルからの放水により前記一部の洗濯物に加圧された水を当てる制御を実行した後、前記ドラムの正転と反転を繰り返す制御を行うことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のドラム式洗濯機。
前記制御手段は、前記布はがし行程において、前記ノズルからの放水により前記一部の洗濯物に加圧された水を当てる制御を実行した後、前記アンバランス検知手段の検知結果に基づき、前記ドラムの回転を、前記アンバランスの位置が前記ドラムの上部になる位置で停止することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のドラム式洗濯機。
前記制御手段は、前記布はがし行程において、前記ノズルからの放水により前記一部の洗濯物に加圧された水を当てる制御を実行した後、前記ドラムが揺動するように正反転させる制御を行うことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のドラム式洗濯機。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態について、
図1から
図6を参照して説明する。
図2に示すように、外箱1はドラム式洗濯機(以下、単に洗濯機という)の外殻を形成する箱状をなし、その前面側(同図の左側)の中央部には、洗濯物出入口2が形成されると共に、当該出入口2を開閉する扉3が設けられている。また、外箱1前面部の上部には操作パネル4が設けられており、その裏側に運転制御用の制御装置5が設けられている。
【0009】
外箱1の内部には、軸線が前後方向を指向する横軸円筒状の水槽6が配設されている。水槽6は、複数(例えば左右一対)のサスペンション7によって、外箱1の底板1a上に前上がりの傾斜状態で弾性支持されている。水槽6の後端側中心部には、例えばブラシレスDCモータからなるモータ8が配設されている。モータ8は、アウターロータ形のもので、その中心部の回転軸9を水槽6の内部に挿通し、ドラム10の後端側中央部に連結している。
【0010】
前記ドラム10は、水槽6内部に配設されており、洗濯物を収容する洗濯槽として機能する。ドラム10は、軸線が前後方向を指向する横軸円筒状をなし、モータ8の回転軸9に連結されて水槽6と同軸状の前上がりの傾斜状態に支持されている。こうして、ドラム10は、これを回転駆動するモータ8によりダイレクトドライブ方式で駆動される。ドラム10の周壁(胴部)には、洗濯物掻き上げ用の複数のバッフル10bが周方向に等間隔で設けられている。また、ドラム10は、その周壁に通水及び通風を可能とする多数の小孔10aが全域にわたって形成される一方、水槽6は、略無孔状をなして貯水可能に構成されている。ドラム10及び水槽6は、夫々の前面部に開口部11及び12を有している。水槽6の開口部12と前記洗濯物出入口2との間に、環状のベローズ12aが装着されている。これにより、洗濯物出入口2は、ベローズ12a、水槽6の開口部12、及びドラム10の開口部11を介して、ドラム10の内部に連ねられている。
【0011】
水槽6の背面側の底部には、排水口13が形成されている。この排水口13には、機内排水ホース14の一端部が接続されている。外箱1の底板1aには、前側部に位置させてフィルタケース15が設けられている。フィルタケース15には、上部に機内排水ホース14の他端部が接続されるホース接続口15aが設けられ、前端部にキャップ16が装着されている。図示は省略するが、フィルタケース15の内部には、キャップ16と一体的に設けられたリントフィルタが収納されている。また、フィルタケース15の下部には、排水弁17が接続され、この排水弁17の出口側に排水パイプ18が接続されている。排水パイプ18の先端部は、外箱1の底板1aから機外に臨み、図示しない機外排水ホースに接続される。
【0012】
前記フィルタケース15の後端部には、循環ポンプ19が設けられている。この循環ポンプ19は、水槽6及びドラム10内の水を排水口13、機内排水ホース14及びフィルタケース15を介して吸引するものである。循環ポンプ19における周側部の上側には、送水ホース20の一端部が接続される吐出口19aが設けられている。送水ホース20は、中間部が前記ベローズ12aの周側方から上方へ延びており、先端部が水槽6の前面開口部12の上部に形成された噴水ノズル21に接続されている。
【0013】
詳しくは後述するように、噴水ノズル21は、水をドラム10の内下部(厳密には正面視にてやや右寄りの下部(
図1(b)参照))に向けて、矢印A方向に噴射するように構成されている。こうして、水槽6内の水を、排水口13、機内排水ホース14、フィルタケース15及び送水ホース20を介して、噴水ノズル21からドラム10内にシャワー状に放水する送水管路22(循環水路)が形成される。また、詳しくは後述するように、噴水ノズル21、循環ポンプ19及び送水管路22は、当該ポンプ19で加圧した水によりドラム10内の洗濯物に外力を及ぼす状態変化手段に相当する(
図1(b)参照)。
【0014】
フィルタケース15の前方上部には、エアトラップ23が設けられている。一方、外箱1内の最上部には水位センサ24が配設されていて、これらエアトラップ23と水位センサ24が、エアチューブ25によって接続されている。これにより、水位センサ24は、水槽6内の水位を、機内排水ホース14、フィルタケース15、エアトラップ23及びエアチューブ25を介して検出する水位検出手段として構成されている。
【0015】
外箱1内の最上部には、給水装置を構成する給水弁26及び注水ケース27が、両者26,27を接続する接続パイプ28を介して連設されている。図示は省略するが、給水弁26には水道の蛇口に接続される機外給水ホースが接続され、注水ケース27の内部には、洗剤貯留部が設けられている。注水ケース27と水槽6の上部との間は、機内給水ホース29により接続されている。これにより、水道から給水弁26を介して供給される水は、接続パイプ28、注水ケース27の洗剤貯留部及び給水ホース29を介して水槽6内に供給される。
【0016】
上記洗濯機は、乾燥手段として洗濯物を乾燥するための乾燥ユニットを備えている。この乾燥ユニットは、送風ファン31を備えた送風装置と、ヒータ32を備えた加熱装置と、図示しない除湿手段を備えた循環ダクト30とから構成されている。循環ダクト30は、水槽6の下部に連通し背面側から上方及び前方にわたって延びており、その上方端部は水槽6の前方上部に連通接続されている。この循環ダクト30の上方部位に、送風手段たる送風ファン31を、ヒータ32の上流側に設けている。こうして、乾燥ユニットは、水槽6内から排出された空気中の水分を除湿し、次いで加熱して、水槽6内に戻す循環を行わせることにより、ドラム10内の洗濯物を乾燥させるよう構成されている。尚、乾燥手段は、圧縮機、凝縮器、絞り弁、及び蒸発器を備えた所謂ヒートポンプ(冷凍サイクル)で構成してもよい。
【0017】
水槽6上部の前部と後部には、それぞれ振動センサ34a,34b(
図2、
図3参照)が配設されている。この振動センサ34a,34bは何れも例えば加速度センサからなり、前記ドラム10が回転するときにアンバランスがあると、そのドラム10の振動に起因する水槽6の振動を検知するようになっている。振動センサ34a,34bと制御装置5は、ドラム10回転時の回転周期を検出すると共に、水槽6の振動を検出する手段として構成されている。
【0018】
図3は、電気的構成を示すブロック図である。制御装置5は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、ドラム10内の洗濯物の洗濯、脱水、乾燥を行う洗い行程〜乾燥行程の他、後述する布はがし行程を含む洗濯機の動作全般を制御する制御手段である。制御装置5は、記憶手段として、例えばROM35a、RAM35b及びEEPROM35cを有する。ROM35aには、洗濯機における洗濯運転等の運転全般を制御する制御プログラムや各種データが記憶されている。
【0019】
制御装置5には、前記操作パネル4が有する各種の操作スイッチから成る操作部36からの各種操作信号、モータ8の回転位置を検出するための位置センサ37u,37v,37wからの検出信号、水槽6の振動を検出するように設けた振動センサ34a,34bからの検出信号、モータ8に流れる電流を検知するように設けた電流センサ38からの検知信号等が入力される。制御装置5は、位置センサ37u〜37wの検出値に基づき回転速度やロータ位置を算出する。具体的には、位置センサ37u〜37wは何れもホールICからなり、モータ8に対して夫々電気角で60度相当の間隔となるように配置されている。制御装置5は、位置センサ37u〜37wの信号出力パターンに基づき、モータ8の回転速度を演算すると共に、回転速度を積分してモータ位置(電気角)を算出することで、機械角を算出する。また、制御装置5は、振動センサ34a,34bの検出値に基づき振幅(振動値)を算出し、或は電流センサ38から電流検知信号に基づき後述のq軸電流を算出する。
【0020】
制御装置5はモータ8をベクトル制御する。ベクトル制御では、電機子巻線に流れる電流を、界磁である永久磁石の磁束方向と、それに直交する方向とに分離してそれらを独立に調整し、磁束と発生トルクとを制御する。電流制御には、モータ8のロータと共に回転する座標系、いわゆるd−q座標系で表わした電流値が用いられるが、d軸はロータに取り付けた永久磁石の作る磁束方向であり、q軸はd軸に直交する方向である。巻線に流れる電流のq軸成分であるq軸電流は回転トルクを発生させる成分であり(トルク成分電流)、同d軸成分であるd軸電流は磁束を作る成分である(励磁または磁化成分電流)。従って、ドラム10内の洗濯物の偏りによる偏荷重(つまりアンバランス状態)が生じ、その回転トルクが大きくなるとq軸電流も大きくなる。よって、q軸電流の大きさに基づいてモータ8のトルク変動の大きさを検知することができる。
【0021】
ここで、
図1(a)に示すように、洗濯物Wがドラム10内の周方向において偏り、最大偏荷重となる位置(洗濯物Wのうち当該位置の洗濯物をW1とする)が最下位置にあるとする。ドラム10が所定の方向へ回転する際のトルク(q軸電流)は、
図4(a)に曲線Tで示すように、洗濯物Wに作用する重力との関係上、ドラム10内周面に張り付いた洗濯物W1が最上位置になるとき最大となり、洗濯物W1が最下位置になるとき最小となる。そして、トルクは、同図に示すようにドラム10の1回転毎に周期的な曲線を描くように変動することから、前述したロータ位置(ドラムの位置)に対応させてアンバランスの位置を検出することができる。従って、制御装置5は、電流センサ38及び位置センサ37u〜37wと共にドラム10内における洗濯物Wのアンバランスの位置を検知するアンバランス検知手段として構成されている。
【0022】
また、制御装置5は、q軸電流の所定値として例えばdi/dtが正から負に移行する、曲線Tで上に凸となる変曲点(最大値)を監視する。これにより検知された変曲点は、洗濯物W1が最上位置にあり、当該変曲点の時間間隔から回転周期が演算される。こうして、制御装置5及び電流センサ38は、ドラム10の回転周期を検出する回転周期検出手段として構成されている。また、前記ROM35aには、アンバランス検知手段により検出されるアンバランス量を判定するための閾値Hが予め記憶されている。本実施形態では、例えば、q軸電流の値がアンバランス量に対応するものとし、制御装置5はq軸電流の最大値が閾値H以上か否かを判定するようになっている。
【0023】
そして、制御装置5は、上記した入力信号や検出信号、並びに予めROM35aやEEPROM35cに記憶された制御プログラム及びデータに基づいて、設定内容などを表示する表示部40、前記給水弁26、モータ8、排水弁17、送風ファン31を駆動するモータ31a、ヒータ32、及び循環ポンプ19のポンプモータ19bを駆動する駆動回路41に駆動制御信号を与えるようになっている。
【0024】
次に、上記構成の作用を説明する。
先ず、使用者が、洗濯機の操作部36の電源スイッチ(図示せず)をオン操作し、洗濯運転の設定操作をすると、制御装置5は、例えば洗い行程、すすぎ行程、脱水行程、布はがし行程、乾燥行程の順に洗濯運転を実行する。尚、本実施形態の洗濯運転とは、前記洗い行程〜乾燥行程のうち何れかの行程を含む運転を総称するものであり、各種の洗濯運転を包含する。
【0025】
洗い行程では、給水装置の給水弁26を通じて水槽6からドラム10内に給水され、モータ8が駆動されることにより、ドラム10が低速で正逆両方向に交互に回転される。すすぎ行程においても、上記洗い行程と同様の動作が行われる。これらの行程では、ドラム10内への給水後、ドラム10を前記のように回転させつつ、循環ポンプ19を駆動させることができる。即ち、ポンプモータ19bを回転させて循環ポンプ19を駆動させることにより、ドラム10内へシャワー状に放水し、洗濯物Wへの洗濯水の強制浸透を図り、或はシャワーすすぎによるすすぎの効果を高めることができる。すすぎ行程を終えると、ドラム10及び水槽6内の水は機外に排出される。
【0026】
脱水行程では、モータ8を高速回転させてドラム10内の洗濯物Wの遠心脱水をする。また、脱水行程において、制御装置5は、例えば当該脱水行程終了時の水位が、ドラム10の下端より低く、且つ機内排水ホース14を含む送水管路22に水が貯留されるように排水弁17を制御する。脱水行程が終了すると、例えば
図1(a)に示すように洗濯物Wがドラム10の内周面に張り付いた状態となる。そこで、脱水行程の終了後、乾燥行程に移行するまでの間に、布はがし行程を行う。即ち、
図5のフローチャートに示すように、脱水行程の終了により、ドラム10が一旦停止した後、制御装置5は再びドラム10を回転させると共に、電流センサ38及び位置センサ37u〜37wからの検知信号に基づいて、その回転時のアンバランス量とアンバランスの位置を検知する(ステップS1)。尚、アンバランス量の検知は、脱水行程終了間際におけるドラム10の回転時に行うようにしてもよい。
【0027】
次いで、制御装置5は、検知したアンバランス量(q軸電流の最大値)と、予め設定された閾値Hとを比較する(ステップS2)。ここで、アンバランス量が閾値H未満の場合(ステップS2にてNO)、ステップS1で検知したアンバランスの位置の洗濯物W1に対して、噴水ノズル21から噴射される水が当たるように、ドラム10の回転により移動させる(ステップS3)。
【0028】
具体的には
図1(b)に例示するように、噴水ノズル21から噴射される水は、ドラム10内における所定の位置(同図中、右寄りの下部)に当たる。従って例えば、その水が当たるドラム10の周方向の位置と、アンバランスの位置がドラム10の最下部に位置するときの角度のずれ(機械角)をEEPROM35c等の記憶手段に記憶しておくことで、ドラム10を
図1(b)に示す位置まで移動させることができる。このドラム10の停止状態で、ポンプモータ19bを回転させて循環ポンプ19を駆動させることにより、循環ポンプ19で加圧された水が、噴水ノズル21から噴射されて洗濯物W1に当たる。この水により、洗濯物W1は、外力が作用しただけでなく、含水した分、他の洗濯物よりも重く且つ柔らかくなることで、剥がれ易い状態に変化する。
【0029】
こうした状態変化手段の動作が終了した後、或はアンバランス量が閾値H以上の場合(ステップS2にてYES この場合、既に状態変化が終了したのと同等と見做せる)には状態変化手段を動作させることなく(ステップS4)、ステップS5に移行する。ステップS5では、
図6に示すように、ドラム10内周面の洗濯物Wに働く遠心加速度が1G未満となるようにドラム10を所定方向(正方向)に低速回転させる制御を行う。前記のように、洗濯物W1は剥がれ易い状態となっているため、当該低速回転時に、洗濯物W1の自重によりドラム10の内周面から剥がれて落下する。これに伴い、洗濯物W1の周りの洗濯物W2も連鎖的に剥がれることとなる。一方、アンバランス量が閾値H以上の場合には、ドラム10内における洗濯物の偏り(偏荷重)が大きくなっている。このため、状態変化手段を動作させることなく、ドラム10の低速回転により、洗濯物は自重によりドラム10の内周面から剥離して落下する。
【0030】
こうして、ドラム10の内周面から剥がれた洗濯物Wは、ドラム10の回転に伴い持ち上がって落下する所謂タンブリングの状態となる。このときのトルク変動は、
図4(b)に示すようにドラム10の回転周期と同期しなくなる。このため、制御装置5は、電流センサ38の検知信号に基づいて、ドラム10の回転周期と一致しないタンブリング状態と判断した場合、ドラム10の回転を停止させ、布はがし行程を終了する。
尚、ステップS5では、予め設定した時間が経過することにより、ドラム10の回転を停止するように構成してもよい。乾燥行程では、上記した布はがし行程を経て実行されるため、洗濯物Wを充分に解すことができ、洗濯物Wの間に充分に温風を行き渡らせることが可能となり、乾燥効率を向上させることができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の洗濯機は、ドラム10の回転時に、当該ドラム10内における洗濯物Wのアンバランスの位置を検知するアンバランス検知手段と、ドラム10内の洗濯物W1に外力を及ぼす状態変化手段とを備え、制御装置5は、布はがし行程において、アンバランス検知手段の検知結果に基づきアンバランスの位置に向けてドラム10内の洗濯物W1に外力を及ぼすように状態変化手段を制御する。
【0032】
これによれば、アンバランス検知手段により、ドラム10内において洗濯物Wが偏るアンバランスの位置を検知する。このため、脱水行程を経てドラム10の内周面に張り付いた洗濯物Wの分布状態に応じて、状態変化手段により洗濯物W1に対して効果的に外力を及ぼすことができる。これにより、アンバランスの位置の洗濯物W1を剥離し、或は剥離し易くすることができ、効率的な布はがし行程を行うことができる。
【0033】
制御装置5は、布はがし行程において、前記状態変化手段により洗濯物W1に外力を及ぼした後、ドラム10内周面の洗濯物Wに働く遠心加速度が1G未満となるようにドラム10を回転させる制御を行う。これによれば、当該ドラム10の簡単な回転制御で、洗濯物Wを自重により落下させることが可能となる。この点、アンバランス位置の洗濯物W1は、他の洗濯物W2より重く、落下し易くなっているため、状態変化手段により外力が及ぼされていることも相俟って、より洗濯物W1の剥離を促進し、落下させることができる。
【0034】
制御装置5は、布はがし行程において、アンバランス検知手段の検知結果に基づき、アンバランスの状態が解消されたと判断した場合、当該布はがし行程を終了するように構成されている。これによれば、洗濯物W1がドラム10の内周面から剥がれた時点でアンバランスの状態が解消されることから、布はがし行程での無駄な動作を省き、洗濯機の運転時間を短縮することができる。尚、本実施形態では、電流センサ38をアンバランスに係る検知手段として構成したが、振動センサ34a,34b(或は歪センサ)をその検知信号に基づきドラム10の回転周期を検知するなどアンバランス検知手段として構成してもよい。
【0035】
制御装置5は、アンバランス検知手段により洗濯物Wのアンバランス量を更に検知し、そのアンバランス量が予め設定された閾値H以上の場合には、前記状態変化手段により洗濯物W1へ外力を及ぼさない構成とした。アンバランス量が比較的大きく、従って洗濯物Wがドラム10内で大きく偏った状態で張り付いている場合も想定される。このような場合には、例えば前述したドラム10の低速回転のみで、洗濯物W1を自重によりドラム10から剥離させることが可能となるため、布はがし行程での無駄な動作を省き、運転時間をより短縮することができる。
また、本実施形態では、アンバランスの位置を、トルク変動に基づき適確に把握することができると共に、トルク変動検出手段を、モータ8に流れる電流を検知する電流センサ38を用いて構成する等、比較的安価で簡単な構成とすることができる。
【0036】
<その他の実施形態>
図7〜
図10は、第2〜第5実施形態を示すものであり、既述の部分と同一部分には同一符号を付す等して説明を省略し、以下異なる点につき説明する。
図7は、第2実施形態を示す
図6相当図である。同図に示すように、制御装置5は、前記ステップS5に代えて、ドラム10を間欠的に回転させる制御を行う。これにより、布はがし行程におけるドラム10の回転速度を変化させ、停止時にもドラム10内で上方にある洗濯物Wを自重により落下させることができる。従って、ドラム10の正方向への回転と停止とを繰り返す簡単な回転制御で、洗濯物Wの剥離を促進することができる。
【0037】
図8は、第3実施形態を示す
図6相当図である。同図に示すように、制御装置5は、前記ステップS5に代えて、ドラム10の正転と反転とを繰り返す制御を行う。これにより、洗濯物Wはドラム10の回転の向きが変わることにより、その周方向への慣性力で洗濯物Wの剥離を促進することができる。第2及び第3実施形態におけるドラム10の回転速度は、第1実施形態と同様にドラム10内周面の洗濯物Wに働く遠心加速度が1G未満となるように設定してもよい。
【0038】
図9は、第4実施形態を示すものであり、噴水ノズル21を省略して示している。同図に示すように、制御装置5は、前記ステップS5に代えて、ステップS1でのアンバランスに係る検知結果に基づき、アンバランスの位置(洗濯物W1)がドラム10の上部に移動した位置でドラム10の回転を停止する(
図9(b)参照)。アンバランス位置の洗濯物W1は、他の洗濯物W2より重く、落下し易くなっているため、状態変化手段により外力が及ぼされていることも相俟って、より洗濯物W1の剥離を促進し、落下させることができる。
【0039】
図10は第5実施形態を示している。
図10(a)に示すように、制御装置5は、第4実施形態と同様に洗濯物W1がドラム10の上部に移動するようにドラム10を回転させる。その後、洗濯物W1がドラム10の上半部に位置する範囲内で揺動するようにドラム10を正反転させる制御を行う(
図10(b)参照)。これによれば、洗濯物Wに対してドラム10の周方向の慣性力を作用させ、特に上部の洗濯物W1をより確実に落下させることができる。尚、当該ドラム10の正反転は、第4実施形態との組み合わせによらずに、つまりアンバランスの位置をドラム10の上部に位置させることなく行うようにしてもよい。ドラム10の回転制御は、
図7に示したドラム10の間欠的な回転、或いは
図8に示した正転と反転とを繰り返した後、洗濯物W1をドラム10の上部に移動させた位置でドラム10の回転を停止させ、揺動する等、第2〜第5実施形態の動作を任意に組み合わせて行うことができる。
【0040】
前記第1実施形態における布はがし行程に代えて、以下の布はがし行程を実施するようにしてもよい。即ち、脱水行程の終了により、ドラム10が一旦停止した後、制御装置5は、アンバランスの位置を検知することなく、循環ポンプ19を駆動させる。これにより、洗濯物W1の位置に係わりなく、噴水ノズル21から噴射される水が洗濯物Wに当たり、当該洗濯物Wが含水して重くなる。この結果、噴水ノズル21から噴射される水が当たる洗濯物Wの位置がアンバランスの位置として決定されることとなる。
【0041】
こうして、制御装置5は、噴水ノズル21、循環ポンプ19及び送水管路22と共に洗濯物のアンバランスの位置を決定するアンバランス位置決定手段として構成される。その後、制御装置5は、前述したドラム10の低速回転、或は決定したアンバランスの位置がドラム10の上部となる位置でドラム10の回転を停止させ、揺動する等、ドラム10の回転制御を行う。この回転制御により、アンバランスの位置にある洗濯物Wに向けて、ドラム10の周方向の回転作用による慣性力が及ぶと共に、或は鉛直方向の重力により下方へ落ちやすくなる。この場合、洗濯物Wは含水して重くなり剥がれ易い状態となっているため、当該ドラム10の回転制御より、ドラム10の内周面から剥がれて落下する。従って、モータ8及びドラム10は、制御装置5による回転制御が行われることで、アンバランスを解消するアンバランス解消手段として機能する。
【0042】
このように、洗濯機は、ドラム10内における洗濯物Wのアンバランスの位置を決定するアンバランス位置決定手段と、ドラム10内の洗濯物Wに外力を及ぼしてアンバランスを解消するアンバランス解消手段とを備えた構成とし、制御装置5は、布はがし行程において、アンバランス位置決定手段により決定されたアンバランスの位置に向けてドラム10内の洗濯物Wに外力を及ぼすようにアンバランス解消手段を制御する。この構成によっても、上記した実施形態と同様の効果を奏する。
【0043】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略,置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、状態変化手段として、前記乾燥ユニットの送風装置によって、洗濯物W1に向けて送風することで外力を及ぼすように構成してもよい。また、状態変化手段として、洗濯物W1に向けて当接する当接部を備えたアクチュエータを設け、当接部が洗濯物W1に直接当接することで洗濯物W1が剥離し易いように状態を変化させてもよい。