(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記入力接点からそれぞれ入力された複数のデータを多重化して前記送信部に送信させるマルチプレクサ及び前記受信部に受信された多重化データを元のデータに分割して複数の前記出力接点のそれぞれに出力させるデマルチプレクサのうち少なくとも一方を、さらに備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデータ伝送装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように実施形態に係るプラント制御システム10は、複数のデータ伝送装置20(20a,20b)、センサ11(11a,11b)の検出信号の入力装置12(12a,12b)、及びアクチュエータ13(13a,13b)の駆動信号の出力装置14(14a,14b)がそれぞれ装着されている複数のコネクタ15を有するバックプレーン16と、複数のデータ伝送装置20のそれぞれに接続されるとともにセンサ11の検出信号に基づいてアクチュエータ13の駆動信号を演算する複数の演算部17(17a,17b)と、を備え、スイッチ29a(
図2)が連通に設定されているデータ伝送装置20aに接続されている演算部17aが常用設定され、スイッチ29bが遮断に設定されているデータ伝送装置20bに接続される演算部17bが待機設定され、この常用設定された演算部17aにより演算された駆動信号が出力装置14からアクチュエータ13に出力される。
【0010】
プラントは、温度計11aや圧力計11b等といったプラントの構成要素の物理状態を検出した信号を出力する複数のセンサ11と、ポンプ13aや開閉弁13b等といった物理的な駆動動作によってプラント運転を制御するアクチュエータ13とを含んでいる。
信号伝送ユニット18は、データ伝送装置20、入力装置12及び出力装置14を収容する空間を有するキャビネットと、対応するピン同士をデータバス19により相互接続した複数のコネクタ15を配列させた回路基板であるバックプレーン16とから構成されている。
【0011】
入力装置12(12a,12b)は、ライン接続する複数のセンサ11(11a,11b)の検出信号を集約して入力し、デジタルデータに変換して、データバス19に伝送させるものである。
データ伝送装置20a,20bは、データバス19に伝送される検出信号のデジタルデータを取得するようにコネクタ15に着脱自在に装着され、それぞれには、別々の演算部17a,17bが物理的に接続されている。
なお、実施形態においてデータバス19は、デジタルの出入力データ(DI,DO)を転送するものが例示されているが、アナログの出入力データを転送するものも含まれる。
【0012】
演算部17a,17bは、それぞれ同一の構成を有しており、いずれか一方が常用設定され、他方が待機設定されている。
常用設定されている側のデータ伝送装置20aは、後述するように、スイッチ29a(
図2)が連通に設定され、データバス19に伝送されている検出信号を、両方の演算部17a,17bに伝送する。
【0013】
それぞれの演算部17a,17bは、伝送された検出信号に基づいて所定の演算を実行した演算信号を、物理的に直接接続されているデータ伝送装置20a,20bのそれぞれに伝送する。
常用設定されている側のデータ伝送装置20aは、演算部17aから伝送された演算信号を、データバス19に伝送する。
一方で、待機設定されている側のデータ伝送装置20bでは、演算部17bから伝送された演算信号、及びデータバス19から伝送された検出信号は、遮断されて伝送されない。
【0014】
出力装置14(14a,14b)は、複数のアクチュエータ13(13a,13b)にライン接続し、データバス19を伝送している演算部17aの演算信号を取得し駆動信号に変換してそれぞれのアクチュエータ13に出力する。
データ伝送装置20(20a,20b)、入力装置12(12a,12b)及び出力装置14(14a,14b)は、信号伝送ユニット18に設けられたバックプレーン16のコネクタ15に着脱自在に装着され、キャビネットの内部に収容される。
【0015】
なお、実施形態において、待機設定の演算部17b及びデータ伝送装置20bは、一組のみ開示されているが、複数の組みが設けられていても良い。
この場合、3組以上の演算部17及びデータ伝送装置20のうちいずれか一つの組みが常用設定され、残りの組みが待機設定されることになる。
【0016】
図2に示すようにデータ伝送装置20(20a,20b)は、データバス19に接続するコネクタ15に対し接点群21を着脱自在に連結させる基板22(22a,22b)と、データバス19を通過するデータを接点群21のうちの入力接点21xから入力し第1回路23を介して外部に送信させる送信部24と、外部からデータを受信して第2回路25を介して接点群21のうちの出力接点21yからデータバス19に出力させる受信部26と、第1回路23の途中から分岐する第3回路27aの終端に設けられ他のデータ伝送装置20b上の第3回路27bの終端と相互に電気的に連結させる連結接点28(28a,28b)と、第1回路23の途中経路及び第2回路25の途中経路を切替自在に連通/遮断し、連通設定時(29a参照)は送信部24に出力するデータを連結接点28aからも出力させ、遮断設定時(29b参照)は連結接点28bから入力したデータを送信部24に出力させるスイッチ29(29a,29b)と、を備えている。
【0017】
データ伝送装置20(20a,20b)のそれぞれは、スイッチ29の設定により、接続する演算部17(17a,17b)のそれぞれを、常用設定にしたり待機設定にしたりするが、共通の構成を有している。
【0018】
基板22(22a,22b)は、図面において符号で示される各種機能部や回路が実装されており、少なくともこれらの機能は、PLD等の集積論理素子で実現され、ソフトプログラムで動作するCPUプロセッサにより実現されることはない。
そして、基板22の縁端には、複数の入力接点21x、出力接点21y及び連結接点28aを含む接点群21が形成されている。
これら接点群21は、コネクタ15内の接点と物理的に接触して、対応するデータバス19に電気的に接続する。
なお、実施形態において接点群21を構成するそれぞれの接点は、データバス19のそれぞれのバスに対して1対1で接続されているが、データを乗せるタイミングを知らせる制御線(図示略)とともに、1対n(n≧2)で接続される場合もある。
【0019】
マルチプレクサ33は、複数の入力接点21xからそれぞれ入力された複数のデータを多重化する。そして、多重化したデータは、第1回路23と連通設定されたスイッチ29aとを介して、送信部24から外部の演算部17(
図1)に送信される。
さらに、第1回路23を伝送するデータは、第1回路23の途中から分岐する第3回路27aにも伝送される。
【0020】
第3回路27aの終端には、連結接点28が設けられ、データバス19のライン(DX)を介して、他のデータ伝送装置20b上の第3回路27bの終端と相互に電気的に連結する。なおこのライン(DX)は、一つのデータ伝送装置20a上の第3回路27aと他のデータ伝送装置20b上の第3回路27bとにデータを相互に伝送させるものであるために、入力装置12や出力装置14が連結されるコネクタ15に接続する必要はない。
【0021】
また、一つのデータ伝送装置20a上の第3回路27aの終端の連結接点(図示略)と他のデータ伝送装置20b上の第3回路27bの終端の連結接点(図示略)とを基板22a,22bの側端に設け、コネクタ15を介さずに、これら連結接点を直接ケーブル接続する形態も取り得る。
【0022】
データ伝送装置20bは、スイッチ29bが待機設定されているので、第3回路27bを経由して伝送されたデータは、送信部24bから出力される。
なお、スイッチ29bのように待機設定されている場合は、自身の基板22bの入力接点21xから入力されたデータは、第1回路23の途中で伝送が遮断されて、自身の基板22bの送信部24b及び連結接点28bから出力されない。
ところで、連結接点28(28a,28b)は、図示されるようにコネクタ15に連結する接点群21に含まれる場合もあるし、基板22の側端に設けられ(図示略)相互にケーブル接続されるように構成される場合もある。
【0023】
受信部26は、外部の演算部17で演算され多重化されたデータを受信して第2回路25に伝送させる。
この多重化されたデータは、連通設定されたスイッチ29aと第2回路25とを介して、デマルチプレクサ34に伝送される。
デマルチプレクサ34は、受信された多重化データを元のデータに分割し、これらデータを、複数の出力接点21yからそれぞれのデータバス19に出力させる。
なお、スイッチ29bのように待機設定されている場合、受信部26で受信したデータは、第2回路25の途中で遮断され、データバス19に伝送されない。
【0024】
なお、マルチプレクサ33を用いずに、複数の入力接点21xから入力されたデータを多重化せずに、そのままパラレルで送信部24から送信する場合もある。
同様にデマルチプレクサ34を備えず、演算部17から複数の信号をパラレルで受信して、複数の出力接点21yからそのままデータバス19に出力させる場合もある。
【0025】
このように、常用設定(ON設定)されたスイッチ29aは、第1回路23及び第2回路25を連通させて、入力接点21xに入力したデータを送信部24a及び連結接点28aに出力させ、受信部26で受信されたデータを出力接点21yから出力させる。
そして、待機設定(OFF設定)されたスイッチ29bは、第1回路23及び第2回路25を遮断して、同じ基板22b上の入力接点21xに入力したデータ及び受信部26で受信されたデータの伝送を遮断する。
さらに、待機設定(OFF設定)されたスイッチ29bは、常用設定側の入力接点21xから入力されたデータを、連結接点28を介して伝送し、待機設定側の送信部24bに出力させる。
【0026】
設定部31(31a,31b)は、入力接点21xのデータ入力を検知するポートxと、受信部26のデータ受信を検知するポートyと、送信部24からのデータ送信を検知するポートzと、を有している。
そして、設定部31(31a,31b)は、これらポートx,y,zの検知状態に応じて、スイッチ29の連通/遮断の設定を自動的に変更することができる。
【0027】
なお第3回路27の終端は、二つの整流器に挟まれて第1回路23に接続されており、連結接点28から入力したデータがポートxに検知されないように構成されている。
また、起動時におけるスイッチ29の連通/遮断の初期設定は、記載を省略する別の方法に則って行われている。
【0028】
そして
図3に示すように、常用設定されている演算部17a及びデータ伝送装置20aは、正常である限り、設定部31aの全てのポートx,y,xにおいて、データが検知される。
この場合、データ伝送装置20aの設定部31aは、スイッチ29に対し、連通設定(ON設定)が持続するように働きかける。
そして、常用設定されている演算部17a及びデータ伝送装置20aに、故障が発生した場合は、ポートx,y,xのうち少なくとも一つにおいて、データが非検知となる。
この場合、データ伝送装置20aの設定部31aは、スイッチ29aに対し、連通設定(ON設定)から遮断設定(OFF設定)に変更するように働きかけ、待機状態にさせる。
【0029】
一方において、待機設定されている演算部17b及びデータ伝送装置20bは、正常である限り、設定部31aのポートy,xにおいてデータが検知され、ポートyでは非検知である。
この場合、データ伝送装置20bの設定部31bは、スイッチ29に対し、遮断設定(OFF設定)が持続するように働きかける。
そして、常用設定されている演算部17a及びデータ伝送装置20aに故障が発生した場合は、データ伝送装置20aのスイッチ29aが遮断設定(OFF設定)になるために、データ伝送装置20bの設定部31bのポートyにおいて、データが非検知となる。
この場合、データ伝送装置20bの設定部31bは、スイッチ29bに対し、遮断設定(OFF設定)から連通設定(ON設定)に変更するように働きかけ、待機から常用に状態変化させる。
【0030】
このように常用設定されているデータ伝送装置20aは、送信部24からのデータ送信及び受信部26からのデータ受信のうち少なくとも一方が停止したことを察知した場合はスイッチ29aの設定を連通から遮断に切り替え、待機設定される。
一方、待機設定されているデータ伝送装置20bは、第3回路27bにおける連結接点28bからのデータ入力が停止したことを察知した場合はスイッチ29bの設定を遮断(OFF)から連通(ON)に切り替えて、常用設定される。
【0031】
図1を参照して、常用/待機の設定が切り替わる前から、センサ11(11a,11b)の検出信号は、両方の演算部17a,17bに伝送されて演算されている。
しかし、常用/待機の設定が切り替わった後は、新しく常用設定された演算部17bの演算信号が、物理接続されているデータ伝送装置20bを介して伝送され、アクチュエータ13を駆動する。
【0032】
ID付与部32(
図2)は、入力接点21xから入力されたデータに、コネクタ15を識別するIDデータを付与するものである。なお、コネクタ15の識別は、接続しているデータバス19のバスからの情報に基づいて行うことができる。
これにより、常用設定されているか待機設定されているかについては、データ伝送装置20(20a,20b)のスイッチ29(29a,29b)の設定にのみ依存するところ、演算部17(17a,17b)においても識別することが可能となる。
【0033】
またデータ伝送装置20は、自己診断機能(図示略)を具備し、待機期間中に診断結果を、演算部17に出力して潜在エラーを事前に把握することができる。
【0034】
以上述べた少なくともひとつの実施形態のデータ伝送装置によれば、常用/待機の切替ロジックを単純化することができるため、制御の多重化による冗長化機能を集積論理素子で実現することが可能となり設計の透明性を確保することができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。