【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の農業用フィルム11の製造方法は、長尺の筒状に成形したフィルムを平らに潰して一定幅の帯体19とする偏平化工程と、
前記帯体19の外周面に防曇塗膜を形成する防曇膜形成工程と、
前記防曇塗膜の乾燥の後に前記帯体19の下側フィルム23または上側フィルム21の一方を幅方向における略中央で前記帯体19の成形方向である長手方向に沿ってスリット37を入れてカットしスリット端縁61,61を形成するカット工程と、
前記帯体19を、前記スリット端縁61,61形成位置における前記下側フィルム23または上側フィルム21の他方を折り畳み中心とし前記外周面側を谷(谷折り部47)として折り、前記スリット端縁61,61が外側となるように両スリット端縁61,61と前記谷折りの位置を揃えて重ね、かつ前記幅方向の両端縁53,55を重ねて四重に折り畳む折り畳み工程と、
前記四重に折り畳まれ、
折り畳まれた後の幅方向の一方側49で一対の山折り部45,45が上下で重なり、
折り畳まれた後の幅方向の他方側51で前記両スリット端縁61,61が一つの山折り部45を挟んで重ねた半折り帯体とされた帯体19を、ロール状に巻き取る巻き取り工程と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
この農業用フィルム11の製造方法では、筒状の農業用フィルム11が帯体19に偏平化され、その外周面に防曇塗膜が形成される。帯体19は、幅方向略中央に入れられたスリット37に沿って、スリット37が外側となって折り畳まれることで、半折り帯体19となる。半折り帯体19は、幅方向の一方側49で一対の山折り部45が上下で重なり、幅方向の他方側51で一つの山折り部45とスリット端縁61とが重なる。つまり、半折り帯体19は、略M字状に折り畳まれて4層となる。このことから、幅広な農業用フィルムであっても、巻き取り状態がコンパクトとなる。
【0009】
本発明の請求項2記載の農業用フィルム11の製造方法は、長尺の筒状に成形したフィルムを平らに潰して一定幅の帯体19とする偏平化工程と、
前記帯体19の外周面に防曇塗膜を形成する防曇膜形成工程と、
前記防曇塗膜の乾燥の後に前記帯体19の下側フィルム23または上側フィルム21の一方を幅方向における所定箇所で前記帯体19の成形方向である長手方向に沿ってスリット37を入れてカットするカット工程と、
前記帯体19を、前記幅方向の両端縁53,55を重ね、前記スリット37が内側となるように前記スリット37に沿って前記帯体の下側フィルム23または上側フィルム21の他方を折って四重に折り畳み半折り帯体とする折り畳み工程と、
前記四重に折り畳まれた半折り帯体19を、ロール状に巻き取る巻き取り工程と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
この農業用フィルム11の製造方法では、筒状の農業用フィルム11が帯体19に偏平化され、その外周面に防曇塗膜が形成される。帯体19は、幅方向略中央に入れられたスリット37に沿って、スリット37が内側に折り畳まれることで、半折り帯体19となる。半折り帯体19は、幅方向の一方側49で一対の山折り部45が上下で重なり、幅方向の他方側51で一つの山折り部45となる。つまり、半折り帯体19は、4層となる。防曇塗膜は、これら山折り部45の各外側に形成されており、山折り部45の農業用フィルム11を挟んで内側となる部分、すなわち、谷折り部47には形成されていない。これにより、谷折り部47において、防曇塗膜のある面が対面して重ねられることによる展開後のひび割れ等が生じにくくなる。
【0011】
本発明の請求項3記載の農業用フィルム11の製造方法は、請求項1記載の農業用フィルムの製造方法であって、
前記折り畳み工程における前記帯体19の折り位置を、前記スリット37に沿うとともに、スリット端縁から0〜10cmの位置とすることを特徴とする。
【0012】
この農業用フィルム11の製造方法では、折り曲げ位置をスリット37の位置から0〜10cmずれた位置としており、折り畳まれた帯体19は4層となり、幅方向の一方側49で一対の山折り部45が上下で重なり、幅方向の他方側51ではフィルムが重なり二重の山折り部45,46となるとともにこの幅方向の他端側51には二重の谷折り部47,48が形成される。スリット37の端縁から折り曲げ位置(折曲端縁57)までの折り返し部分はフラップ状縁部59とされて、展開後の農業用フィルム11としての予備端縁部分となり、農業用ハウス等に展張した際の固定用の端縁部分とすることができる。
【0013】
本発明の請求項4記載の農業用フィルム11の製造方法は、請求項2または3記載の農業用フィルム11の製造方法であって、
前記折り畳み工程において前記帯体19の幅方向両側の両端縁53,55を所定量ずらして折り畳むことを特徴とする。
【0014】
この農業用フィルム11の製造方法では、重なり合った両端縁53,55の長くずれて位置している一方側の端縁53を手がかりにして、他方側の端縁55に対して捲るように操作することが可能となり、互いを容易に引き離すことが可能となる。
【0015】
本発明の請求項5記載の農業用フィルム11の製造方法は、請求項4記載の農業用フィルム11の製造方法であって、
前記所定量が、1〜30mmの範囲であることを特徴とする。
【0016】
この農業用フィルム11の製造方法では、ずれ量が1mm以下である場合の手がかり量の不足が生じないとともに、ずれ量が30mm以上となってずらし部が折れたり、ずれて位置している一方側端縁53と他方側端縁55の距離が長くなりすぎたりして逆に捲りにくくなることがない。
【0017】
本発明の請求項6記載の農業用フィルムは、長尺の筒状に成形したフィルムを平らに潰し偏平化して一定幅の帯体19とした後、該帯体19の外周面に防曇塗膜を形成し、該帯体19の折り畳み部となる幅方向略中央の一方のフィルム側を長手方向に沿ってカットして、該カット部分を外側にカット端縁61,61と他方のフィルム側の折り部を揃え、且つ前記帯体19の幅方向両端縁53,55を重ねるように折り畳んで四重に成形し、
折り畳まれた後の幅方向の一方側49で一対の山折り部45,45が上下で重なり、
折り畳まれた後の幅方向の他方側51で前記両カット端縁61,61が一つの山折り部45を挟んで重ねた半折り帯体とされてロール状に巻き取られていることを特徴とする農業用フィルム。
【0018】
この農業用フィルム11では、筒状のフィルムが帯体19に偏平化され、折り畳み部となる箇所である幅方向略中央に長手方向に沿ってカットされスリット37が形成され、このスリット37が外側になるよう折り畳まれることで、半折りの帯体19となる。この半折りの帯体19は、幅方向の一方側49で一対の山折り部45が上下で重なり、幅方向の他方側51で一つの山折り部45と両スリット端縁61,61とが重なる。つまり、半折りの帯体19は、略M字状に所謂観音四つ折りとなって4層となる。
【0019】
本発明の請求項7記載の農業用フィルムは、長尺の筒状に成形したフィルムを平らに潰し偏平化して一定幅の帯体19とした後、該帯体19の外周面に防曇塗膜を形成し、該帯体19の折り畳み部となる箇所の一方のフィルム側を長手方向に沿ってカットして、該カット部分を折り畳み中心として該カット部分を内側に折り畳んで四重に成形し、
折り畳まれた後の幅方向の一方側49で一対の山折り部45,45が上下で重なり、前記折り畳み中心側の
折り畳まれた後の幅方向の他方側51で内側に前記カット部分を収めた一つの山折り部45となる半折りの帯体とされて、ロール状に巻き取られていることを特徴とする。
【0020】
この農業用フィルム11では、外周面に防曇塗膜が形成された筒状のフィルムが帯体19に偏平化され、折り畳み部となる箇所である幅方向略中央に長手方向に沿ってカットされスリット37が形成され、このスリット37が折り畳み中心として内側になるよう折り畳まれることで、半折りの帯体19となる。この半折りの帯体19は、幅方向の一方側49で一対の山折り部45が上下で重なり、幅方向の他方側51で一つの山折り部45となる。つまり、半折りの帯体19は、所謂観音四つ折りとなって4層となる。防曇塗膜は、外周面に形成され、これら山折り部45の各外側に形成されており、山折り部45を挟んで内側となる部分、すなわち、谷折り部47には形成されていない。これにより、谷折り部47において、防曇塗膜のある面が対面して重ねられることによる展開後のひび割れ等が生じにくくなる。
【0021】
本発明の請求項8記載の農業用フィルムは、長尺の筒状に成形したフィルムを平らに潰し偏平化して一定幅の帯体19とした後、該帯体19の外周面に防曇塗膜を形成し、該帯体19の折り畳み部となる箇所の一方のフィルム側を長手方向に沿ってカットして、該カット部分の端縁から0〜10cmの位置を折り畳み中心として該カット部分を内側に折り畳んで四重に成形し、
折り畳まれた後の幅方向の一方側49で一対の山折り部45,45が上下で重なり、前記折り畳み中心側の
折り畳まれた後の幅方向の他方側54で二重の山折り部45,45となるとともに、該山折り部45
の内側に前記カット部分(スリット37)が位置する半折りの帯体とされて、ロール状に巻き取られていることを特徴とする。
【0022】
この農業用フィルム11では、筒状のフィルムが帯体19に偏平化された後に、幅方向略中央の長手方向に沿う位置を折り曲げ位置とし、この折り曲げ位置から0〜10cmずらした位置がカット部分とされスリット37が形成されている。折り畳まれた帯体19は4層となり、幅方向の一方側49で一対の山折り部45が上下で重なり、幅方向の他方側51ではフィルムが重なり二重の山折り部45,46となるとともにこの幅方向の他端側51には二重の谷折り部47,48が形成される。スリット37の端縁から折り曲げ位置(折曲端縁57)までの折り返し部分はフラップ状縁部59とされて、展開後の農業用フィルム11としての予備端縁部分となり、農業用ハウス等に展張した際の固定用の端縁部分とすることができる。
【0023】
本発明の請求項9記載の農業用フィルムは、請求項7または8記載の農業用フィルム11であって、
前記帯体19の幅方向両側の両端縁53,55が所定量ずらして折り畳まれていることを特徴とする。
【0024】
この農業用フィルム11では、重なり合った両端縁53,55の長くずれて位置している一方側の端縁53を手がかりにして、他方側の端縁55に対して捲るように展開操作することが可能となり、互いを容易に引き離すことが可能となる。
【0025】
本発明の請求項10記載の農業用フィルムは、請求項9記載の農業用フィルム11であって、
前記所定量が、1〜30mmの範囲であることを特徴とする。
【0026】
この農業用フィルム11では、ずれ量が1mm以下である場合の手がかり量の不足が生じないとともに、ずれ量が30mm以上となってずらし部が折れたり、ずれて位置している一方側端縁53と他方側端縁55の距離が長くなりすぎたりして逆に捲りにくくなることがない。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る請求項1記載の農業用フィルムの製造方法によれば、幅広な農業用フィルムであっても、成形後に四重に折り畳まれることで、巻き取り状態をコンパクトにすることができる。
【0028】
本発明に係る請求項2記載の農業用フィルムの製造方法によれば、防曇塗膜を形成した農業用フィルムの折り部でのひび割れや剥離を生じにくくし、耐久性に優れた農業用フィルムを得ることができる。
【0029】
本発明に係る請求項3記載の農業用フィルムの製造方法によれば、折り畳まれた農業用フィルムを展張した後の端縁部分を、固定用の端縁部分として使用することができる。
【0030】
本発明に係る請求項4記載の農業用フィルムの製造方法によれば、折り畳まれた農業用フィルムを展張させる際に、容易に展張を行うことができる。
【0031】
本発明に係る請求項5記載の農業用フィルムの製造方法によれば、重なり合った両端縁を容易に引き離すことができる。
【0032】
本発明に係る請求項6記載の農業用フィルムによれば、幅広の農業用フィルムであっても、巻き取り状態をコンパクトにすることができる。
【0033】
本発明に係る請求項7記載の農業用フィルムによれば、防曇塗膜を形成した面を外側に、山折りとして折り畳むので、折り部でのひび割れや剥離を生じにくくし、作業性が良好で、耐久性に優れる効果を得ることができる。
【0034】
本発明に係る請求項8記載の農業用フィルムによれば、展張した状態での端縁部分を農業用フィルム固定用の端縁部分として使用することができる。
【0035】
本発明に係る請求項9記載の農業用フィルムによれば、折り畳まれた農業用フィルムを展張させる際に、両端縁が予め所定量ずれていることから容易に展張を行うことができる。
【0036】
本発明に係る請求項10記載の農業用フィルムによれば、手がかり量の不足が生じないとともに、ずらし部が折れたり、ずれて位置している一方側端縁と他方側端縁の距離が長くなりすぎて捲りにくくなることがなく、重なり合った両端縁を容易に引き離すことができ、作業性が良好となる。