(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤と、25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤が、組成物の総質量に対して12質量%以上の総含有率で存在する、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
式(I)の25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤と、式(I)の25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤がそれぞれ、式(I)の25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤と、式(I)の25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤との質量比が、1/5から5の範囲になる総含有率で存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
少なくとも1種の膜形成ポリマー粒子の少なくとも1種の水性分散体を含み、膜形成ポリマー粒子が、予め調製しておいた膜形成ポリマー水性分散体の形態で、組成物の調製物に取り入れられる、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
- 第1の相において、ハードワックス及び任意選択の追加のワックスを、その(それらの)融点より高い温度で加熱してワックスを融解させ、両方とも式(I)の少なくとも1種の25℃でHLB値が8未満の非イオン界面活性剤及び少なくとも1種の25℃でHLB値が8以上の非イオン界面活性剤を含む少なくとも1つの乳化系を添加し、水を添加し、使用する水の含有率が、この第1の相の総質量に対して25質量%超であり、ハードワックス及び任意選択の追加のワックスの総含有率並びに乳化系の総含有率は、ワックスと追加のワックス/乳化系の質量比が1.75以下となるものであり、着色料を添加し、任意選択により他の任意の濃化性の化合物を添加し(添加する順番は重要ではない)、ワックスの融点より高い温度で混合物全体を撹拌して乳化させる工程、
- 第2の相において、両端を含む0から45℃の間の温度の容器中に、膜形成ポリマー粒子の水性分散体を仕込む工程(第1の相と第2の相を調製する順番は重要ではない)、
- 依然としてワックスの融点より高い温度で、第1の相を、両端を含む0から45℃の間の温度を有する第2の相を含有する容器に注入することによって、第1の相と第2の相とを一緒にする工程、
- 混合物の温度が、両端を含む0から45℃の間の温度に安定するまで撹拌し続ける工程、
- 任意選択で保存系を添加する工程
からなる、請求項1から17のいずれか一項に規定のケラチン繊維をコーティングするための化粧用組成物を調製する方法。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下の説明を通して、別段指定されない限り:
- 「アルキル」という用語は、飽和の、直鎖状又は分枝状のC
8〜C
24、更に良好にはC
12〜C
20、より優先的にはC
14〜C
18炭化水素系鎖を意味する。
- 「アシル」という用語は、カルボキシル官能基、置き換えられたヒドロキシル官能基(-OH)を含む、飽和の、直鎖状又は分枝状のC
8〜C
24、更に良好にはC
12〜C
20、より優先的にはC
14〜C
18炭化水素系鎖を意味する。
- 「追加のワックス」という用語は、ハードワックス以外の任意のワックス、したがってソフトワックスを意味するものと理解される。
【0051】
上記の組成物及び方法の両方に関係し、上記の課題のうち少なくとも1つを解決することを目的とした、本発明の特に好ましい実施形態によれば:
- エマルションは、水中ワックス型のものである;
- 水性相は、組成物の総質量に対して、30質量%から80質量%、好ましくは40質量%から70質量%を占める;
- 前記組成物は、水性相中に分散する脂肪相を含み、脂肪相は、優先的には1種以上の水性分散体の形態で存在するハードワックス粒子を主に含む;
- 25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤のうちの少なくとも1種は、以下から選択される;
* (ポリ)オキシアルキレン化糖エステル及びエーテル;
* 脂肪酸、特にC
8〜C
24、好ましくはC
16〜C
22脂肪酸と、(ポリ)オキシアルキレン化ポリオール、特に(ポリ)オキシアルキレン化グリセロール又はオキシアルキレン化ソルビトール、好ましくは(ポリ)オキシアルキレン化グリセロールとのエステル;
* (ポリ)オキシアルキレン化アルコール;
並びにこれらの混合物;好ましくは(ポリ)オキシアルキレン化アルコール;
- 25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤のうちの少なくとも1種は、C
8〜C
24脂肪族アルコールとポリエチレングリコールとのエーテルを含む(ポリ)オキシアルキレン化アルコールを含み、前記エーテルが、1〜10個、更に良好には2から6個の間のエチレングリコール単位を含む;
- 25℃でのHLB値が8以上、好ましくは10以上の非イオン界面活性剤は、以下から選択される;
* (ポリ)オキシアルキレン化グリセロールエーテル、
* (ポリ)オキシアルキレン化アルコール、
* ポリエチレングリコールの(ポリ)オキシアルキレン化脂肪酸エステル、
* 脂肪酸とグリセロールエーテルとの(ポリ)オキシアルキレン化エステル、
* 脂肪酸とソルビトールエーテルとの(ポリ)オキシアルキレン化エステル、
並びにこれらの混合物、好ましくは(ポリ)オキシアルキレン化アルコール;
- 25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤のうちの少なくとも1種は、C
8〜C
24脂肪族アルコールとポリエチレングリコールとのエーテルを少なくとも1種含む(ポリ)オキシアルキレン化アルコールを含み、前記エーテルが、少なくとも20個のエチレングリコール単位、更に良好には20から200個の間のエチレングリコール単位を含む;
- 好ましくは式(I)に対応する、25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤は、組成物の総質量に対して5質量%以上、好ましくは組成物の総質量に対して8質量%から20質量%の間の含有率で存在する;
- 好ましくは式(I)に対応する、25℃でのHLB値が8以上、好ましくは10以上の非イオン界面活性剤は、組成物の総質量に対して5質量%以上、好ましくは組成物の総質量に対して8質量%から20質量%の間の含有率で存在する;
- 25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤と、25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤は、好ましくは両方とも式(I)に対応し、組成物の総質量に対して10質量%以上、更に良好には12質量%以上、特に15質量%から25質量%の間の総含有率で存在する;
- 25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤と、25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤は、好ましくは両方とも式(I)に対応し、それぞれ、25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤と、25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤との質量比が、1/5から5、好ましくは1/3から3、好ましくは2/3から3/2の範囲になるような総含有率で存在する;
- ハードワックス及び任意選択の追加のワックスの総含有率並びに乳化系の総含有率は、ハードワックス+追加のワックス/乳化系の質量比が1.75以下、好ましくは1.5以下、特に1/3から1.25の間になるものである;
- ハードワックス及び任意選択の追加のワックスの総含有率、並びに25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤及び25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤の総含有率は、ハードワックス+追加のワックス/25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤及び25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤の質量比が、1.75以下、好ましくは1.5以下、特に1/3から1.25の間になるものである;
- ハードワックス及び任意選択の追加のワックスの総含有率、並びに25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤の総含有率は、ハードワックス+追加のワックス/25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤の質量比が、4以下、好ましくは3以下、特に2/5から5/2の間になるものである;
- ハードワックス及び任意選択の追加のワックスの総含有率、並びに25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤の総含有率は、ハードワックス+追加のワックス/25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤の質量比が、4以下、好ましくは3以下、特に2/5から5/2の間になるものである;
- ハードワックスの総含有率、及び25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤の総含有率は、ハードワックス/25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤の質量比が、4以下、好ましくは3以下、特に2/5から5/2の間になるものである;
- ハードワックスの総含有率、及び25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤の総含有率は、ハードワックス/25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤の質量比が、4以下、好ましくは3以下、特に2/5から5/2の間になるものである;
- ハードワックスの総含有率、並びに25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤及び25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤の総含有率は、ハードワックス/25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤及び25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤の質量比が、1.75以下、好ましくは1.5以下、特に1/3から1.25の間になるものである;
- 前記組成物は、油又は有機溶媒を含まない;
- 脂肪相は、組成物の総質量に対して、15質量%から30質量%を占める;
- 前記組成物の固体含有率は、42%以上、優先的には45%以上、より優先的には48%以上、又は50%以上さえも占める;
- 前記(最終)組成物中のハードワックス粒子は、5μm以下、優先的には2μm以下、より一層優先的には1μm以下、例えば0.01から5μmの間、より優先的には0.05から2μmの間の、「有効」な体積平均径D[4,3]で表される平均粒径を有する;
- 前記組成物中の、1種以上の水性分散体の形態で前記組成物に取り入れられる膜形成ポリマー粒子は、5μm以下、優先的には2μm以下、より一層優先的には1μm以下、例えば0.01から5μmの間、より優先的には0.5から2μmの間の、「有効」な体積平均径D[4,3]で表される平均粒径を有する;
- 前記組成物は、水性分散体の形態で優先的に存在するハードワックス粒子を、組成物の総質量に対して12質量%以上、好ましくは15質量%以上、好ましくは18質量%以上、より優先的には20質量%以上、例えば組成物の総質量に対して16質量%から30質量%の間の総含有率で含む;
- 前記組成物は、1種以上の水性分散体の形態で優先的に存在するハードワックス粒子を、ワックスの総質量に対して、少なくとも80質量%、優先的には少なくとも90質量%、より優先的には100質量%を占める総含有率で含む;
- 1種以上の水性分散体の形態で優先的に存在するハードワックス粒子の総含有率は、粒子の総質量に対して、30質量%以上、優先的には40質量%以上である;
- 1種以上の水性分散体の形態で優先的に存在するハードワックス粒子の総含有率は、脂肪性物質の総質量に対して、少なくとも80%を占める;
- 1種以上の水性分散体の形態で優先的に存在する、粒子の形態のハードワックスは、極性である;
- ハードワックスは、予め調製しておいた粒子の水性分散体の形態で、本発明による化粧用組成物、優先的にはマスカラの製造に取り入れない;
- 膜形成ポリマーの粒子は、予め調製しておいた膜形成ポリマーの水性分散体の形態で組成物の調製に取り入れられる。
【0052】
実際、ハードワックスの分散は、粉末形態のハードワックス又は脂肪性物質を用い、第1の調製相中にエマルションを形成し、第2の相中で、任意選択で膜形成ポリマーの水性分散体から生じる水が、ハードワックス粒子の水性分散体をもたらすように、膜形成ポリマーの水性分散体を好ましくは含有する水性相中で乳化したハードワックスを一緒にすることによって、その場で実施する;
- 前記組成物は、1種以上の水性分散体の形態で存在する膜形成ポリマー粒子を、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは15質量%以上の総含有率で含む;
- ハードワックスとは対照的に、本発明による膜形成ポリマーは、本発明による化粧用組成物、優先的にはマスカラの製造中、予め分散された膜形成ポリマー粒子の水性分散体の形態で取り入れられ、有利には使用する膜形成ポリマーの化学特性に従って変化する特定の乳化系を有する;
- 膜形成ポリマー粒子は、特定の乳化系、すなわち本発明による乳化系とは異なる系、より特定すると、ハードワックスを分散させるのに好適な、25℃で8以上又は好ましくは10以上のHLB値を有する非イオン界面活性剤とは異なる系を有する;
- ハードワックス粒子及び膜形成ポリマー粒子の水性分散体は、それぞれ乳化系、より正確に言えば、それぞれ界面活性剤を有する;
- 1種以上の水性分散体の形態で存在する膜形成ポリマー粒子の総含有率は、固体粒子の総質量に対して、30質量%以上、優先的には40質量%以上である;
- 1種以上の水性分散体の形態で存在する膜形成ポリマー粒子は、ラジカルタイプ又は重縮合タイプの合成ポリマー、天然起源のポリマー、及びこれらの混合物から選択される;
- 1種以上の水性分散体の形態で存在する膜形成ポリマー粒子は、アクリルポリマー分散体、ポリウレタン分散体、スルホポリエステル分散体、ビニル分散体、酢酸ポリビニル分散体、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルプロピルメタクリルアミドアンモニウムクロリドターポリマー分散体、ポリウレタン/ポリアクリルハイブリッドポリマー分散体、コアシェルタイプ粒子の分散体、及びこれらの混合物から選択され、好ましくはアクリルポリマー分散体、ポリウレタン/ポリアクリルハイブリッドポリマー分散体、及びこれらの誘導体、並びにこれらの1つ以上の混合物から選択され、優先的には、アクリルポリマー、特にスチレン-アクリルポリマーの分散体、及びポリウレタン、特にポリエステルポリウレタン及びこれらの誘導体の分散体、並びにこれらの1つ以上の混合物から選択される;
- 優先的には両方とも1種以上の水性分散体の形態で存在するハードワックス粒子及び膜形成ポリマー粒子それぞれの総含有率は、ハードワックス粒子と膜形成ポリマー粒子との質量比が、1/2以上、好ましくは2/3超、有利には1/2から2の間、好ましくは2/3から3/2の間になるものである;
- 前記組成物は、25℃で8以上、好ましくは10以上のHLB値を有する非イオン界面活性剤、25℃で8未満のHLB値を有する非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される、好ましくは25℃で8未満のHLB値を有する非イオン界面活性剤から選択される、1種以上の追加の界面活性剤[すなわち、式(I)の界面活性剤とは別のもの]を含む;
- 前記組成物は、少なくとも1種の水溶性の膜形成ポリマーを含み、より優先的には、前記組成物は、水溶性の膜形成ポリマーを含まない;
- 前記組成物は、1種以上の粉末着色料、好ましくは金属酸化物、特に酸化鉄から選択される少なくとも1種の着色料を含む;
- 金属酸化物は、好ましくは、組成物の総質量に対して2質量%以上の含有率で存在し、有利には、組成物の総質量に対して両端を含む3質量%から22質量%の間の含有率で存在する;
- 前記組成物は、少なくとも1種の親水性及び/又は親油性のゲル化剤、好ましくは少なくとも1種の親水性ゲル化剤を含む;
- 前記組成物は、特にRheomat RM100(登録商標)機器を用いて測定して、25℃で5から50Pa.sの範囲の粘度を有する;
- 前記組成物は、メーキャップ用組成物、メーキャップ用ベース若しくはベースコート、又はメーキャップの上から適用する「トップコート」用組成物であってもよい;
【0053】
本発明の他の特徴、特性及び利点は、以下に続く説明及び実施例を読むことで一層明らかとなる。
【0054】
水性相
本発明による組成物は、組成物の連続相を形成することができる水性相を含む。
【0055】
水性相は、水を含む。また、少なくとも1種の水溶性溶媒も含むことができる。
【0056】
本発明において、「水溶性溶媒」という用語は、室温で液体であり、水と混和性である化合物を指す。
【0057】
本発明による組成物に使用することができる水溶性溶媒は更に、揮発性であってもよい。
【0058】
本発明による組成物に使用することができる水溶性溶媒のうち、特に、1〜5個の炭素原子を有する低級モノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、並びに2〜8個の炭素原子を有するグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びジプロピレングリコールを挙げることができる。
【0059】
水性相(水、場合によっては水混和性溶媒)は、一般的に、組成物の総質量に対して30質量%から80質量%の範囲の含有率で、好ましくは組成物の総質量に対して40質量%から70質量%の範囲の含有率で、本出願による組成物中に存在する。この水性相含有率は、本発明による膜形成ポリマーの水性分散体、及び適切な場合、ハードワックスの水性分散体に由来する水だけではなく、必要に応じて意図的に組成物に添加された水も含む。
【0060】
固体含有率
本発明による組成物の固体含有率は、有利には、42%以上、特に45%以上、又は更に48%以上、優先的には50%以上を占める。
【0061】
本発明の意味の中で、「固体含有率」は、不揮発物の含有率を示す。
【0062】
本発明による組成物の固体含有率(SCと略される)は、Mettler Toledo社から市販されているハロゲン乾燥装置「Halogen Moisture Analyzer HR 73」を使用して測定される。測定は、ハロゲン加熱によって乾燥される試料の質量損失に基づいて実行され、したがって、水及び揮発物が蒸発した時点での残留物の百分率を表す。
【0063】
この技法は、Mettler Toledo社によって供給される装置のマニュアルに完全に記載されている。
【0064】
測定プロトコルは、以下の通りである:
【0065】
およそ2gの組成物(以降、試料と呼ぶ)を金属皿の上に広げ、これを上記のハロゲン乾燥装置に入れる。試料を次いで、恒量が得られるまで105℃の温度にかける。その初期の質量に対応する試料の湿質量、及びハロゲン加熱後のその質量に対応する試料の乾燥質量を、精密天秤を使用して測定する。
【0066】
測定に伴う実験エラーは、プラス又はマイナス約2%である。
【0067】
固体含有率は、以下の方式において算出される。
【0069】
本発明による組成物は、ワックスの粒子、膜形成ポリマーの粒子、及び少なくとも1つの特定の乳化系を含む。
【0070】
乳化系
本発明による組成物は、以下を含む、少なくともハードワックスを分散させることができる乳化系を含む:
*25℃でのHLB値が8未満の、少なくとも1種の非イオン界面活性剤、及び
*25℃でのHLB値が8以上の、少なくとも1種の非イオン界面活性剤
であって、
25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤のうちの少なくとも1種、及び25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤のうちの少なくとも1種は、以下の式(I)に対応する:
(ALK-[C(O)]
a-[O]
b)
c-X (I)
[式(I)中、
- ALKは、C
7〜C
23、好ましくはC
11〜C
21、より優先的にはC
15〜C
17のアルキル基であり、
- a及びbは、0から100の間の整数であり、cは、1から100、特に1から3の間、好ましくは1に等しい整数であり、a及びbは、好ましくは0に等しく、
- Xは、任意選択によりヒドロキシル基によって置換及び/又は終端した(ポリ)オキシアルキレン化基であり、Xは、好ましくはオキシエチレン基(CH
2CH
2O)
n又は(OCH
2CH
2)
nであり、nは、1以上、例えば1から200の間であり、前記(ポリ)オキシアルキレン基は、好ましくは、ポリエチレングリコールであり、又はヒドロキシル基の少なくとも1つの置換によって生じるもの、好ましくは(ポリ)グリセロールから選択されるものである。]
【0071】
X基は、好ましくは、以下から選択される:
i) HO-(ALK-O)
z-CH2-CH[(OALK)
y-OH]-CH2-(O-ALK)
x-(
*)
式中:
- ALKは、同一でも異なっていてもよく、C
1〜C
6、特にC
1〜C
4のアルキレン基、好ましくはエチレンを表し、
- x、y及びzは、0から200の間の整数であり、x+y+zは0以外であり、好ましくはx+y+zは両端を含む1から150の間であり、特に20から60の間であると解される。
ii) H-(ALK-O)
x-(
*)及びH-(O-ALK)
x-(
*)、好ましくはH-(O-ALK)
x-(
*)
式中:
- ALKは、同一でも異なっていてもよく、C
1〜C
6、特にC
1〜C
4のアルキレン基、好ましくはエチレンを表し、
- xは、0以外、好ましくは1から200の間の整数である。
【0072】
25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤、及び25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤は、以下の式(I')に対応する:
ALK-(O-CH
2-CH
2)
n-OH (I')
[式(I')中、
- ALKは、C
8〜C
24、好ましくはC
12〜C
22、より優先的にはC
16〜C
18のアルキル基であり、
nは、25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤では、0以外で、1から200の間、好ましくは1から10の間、より一層良好には2から6の間の整数であり、25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤では、好ましくは20から200の間の整数である。]
【0073】
この乳化系は、ハードワックス及び任意選択の追加のワックスそれぞれの粒子を分散させることができる。また、これは、膜形成ポリマー粒子も分散させることができるが、膜形成ポリマー粒子は、ハードワックス及び任意選択の追加のワックスそれぞれの粒子を分散させることができるものとは異なる特定の乳化系を有することができる。
【0074】
GriffinによるHLB(親水性-親油性バランス)値は、J. Soc. Chem.、1954年(第5巻)、249〜256頁で定義されている。界面活性剤の乳化特性及び機能の定義については、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、22巻、333〜432頁、第3版、1979年、Wiley、特にこの文献の347〜377頁を参照してもよい。
【0075】
25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤
Griffinの意味の範囲内で25℃でのHLB値が8以上の非イオン界面活性剤は、有利には、以下から選択することができる:
- 特にオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されている、20〜200個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を含むことができる(ポリ)オキシアルキレン化グリセロールエーテル;
- (ポリ)オキシアルキレン化アルコール、特に、20〜200個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位、好ましくは20〜100個のオキシエチレン単位を含むことができるオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化アルコール、特にエトキシ化脂肪族アルコール、とりわけC
8〜C
24、好ましくはC
12〜C
18の脂肪族アルコール、例えば20個のオキシエチレン単位を含むエトキシ化ステアリルアルコール(CTFA名:ステアレス-20)、例えばUniqema社によって販売されているBrij 78、30個のオキシエチレン単位を含むエトキシ化セテアリルアルコール(CTFA名:セテアレス-30);
- (ポリ)オキシアルキレン化脂肪酸のエステル、特に脂肪酸、特にC
8〜C
24、好ましくはC
16〜C
22の脂肪酸と、ポリエチレングリコール(又はPEG)(20〜200個のオキシエチレン単位を含むことができる)とのエステル、例えばUniqema社によってMyrj52P(登録商標)の名称で販売されているステアリン酸PEG-50及びモノステアリン酸PEG-40;
- 脂肪酸、特にC
8〜C
24、好ましくはC
16〜C
22の脂肪酸と、特にオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されている(20〜200個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を含むことができる)、(ポリ)オキシアルキレン化グリセロールエーテルとのエステル、例えば、SEPPIC社によってSimulsol220TM(登録商標)の名称で販売されている、200個のオキシエチレン単位を含むモノステアリン酸ポリオキシエチレン化グリセリル、Goldschmidt社によって販売されている製品Tagat S(登録商標)等の30個のオキシエチレン単位を含むステアリン酸ポリオキシエチレン化グリセリル、Goldschmidt社によって販売されている製品Tagat O(登録商標)等の30個のオキシエチレン単位を含むオレイン酸ポリオキシエチレン化グリセリル、Sherex社によって販売されている製品Varionic LI13(登録商標)等の30個のオキシエチレン単位を含むヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン化グリセリル、Goldschmidt社によって販売されている製品Tagat L(登録商標)等の30個のオキシエチレン単位を含むイソステアリン酸ポリオキシエチレン化グリセリル、及びGoldschmidt社製の製品Tagat I(登録商標)等の30個のオキシエチレン単位を含むラウリン酸ポリオキシエチレン化グリセリル;
- 脂肪酸、特にC
8〜C
24、好ましくはC
16〜C
22の脂肪酸と、特にオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されている(20〜200個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を含むことができる)、(ポリ)オキシアルキレン化ソルビトールエーテルとのエステル、例えば、Uniqema社によってTween60(登録商標)の名称で販売されているポリソルベート60;
- 並びにこれらの混合物、好ましくは、20〜200個のオキシエチレン単位(又はエチレングリコール単位)を好ましくは含む(ポリ)オキシアルキレン化アルコール。
【0076】
好ましくは、組成物は、C
8〜C
24、好ましくはC
12〜C
22、より優先的にはC
16〜C
18の脂肪族アルコールとポリエチレングリコールとの少なくとも1種のエーテルから選択され、前記エーテルが、少なくとも20個のエチレングリコール単位、更に良好には20から200個の間のエチレングリコール単位を含む、Griffinの意味の範囲内で25℃でのHLB値が8以上、好ましくは10以上の非イオン界面活性剤を少なくとも1種含む。
【0077】
本発明による組成物は、Griffinの意味の範囲内で25℃でのHLB値が8以上、好ましくは10以上の、本発明による非イオン界面活性剤を、組成物の総質量に対して5質量%以上、好ましくは組成物の総質量に対して8質量%から20質量%の間の含有率で有する。
【0078】
25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤
Griffinの意味の範囲内で25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤は、有利には、以下から選択することができる:
- (ポリ)オキシアルキレン化糖エステル及びエーテル;
- 脂肪酸、特にC
8〜C
24、好ましくはC
16〜C
22脂肪酸と、(ポリ)オキシアルキレン化ポリオール、特に(ポリ)オキシアルキレン化グリセロール又は(ポリ)オキシアルキレン化ソルビトール、好ましくは(ポリ)オキシアルキレン化グリセロールとのエステル;
- (ポリ)オキシアルキレン化アルコール;
- 並びにこれらの混合物、好ましくは、1〜10個のオキシエチレン単位を好ましくは含む(ポリ)オキシアルキレン化アルコール。
【0079】
「(ポリ)オキシアルキレン化」という用語は、1〜10個のオキシエチレン基(又は単位)、更に良好には2〜6個のオキシエチレン基を意味すると理解される。
【0080】
25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤のうちの少なくとも1種は、好ましくは、C
8〜C
24脂肪族アルコールとポリエチレングリコールとのエーテルを含む(ポリ)オキシアルキレン化アルコールを含み、前記エーテルが、1〜10個、更に良好には2から6個の間のエチレングリコール単位を含む。
【0081】
本発明による組成物は、Griffinの意味の範囲内で25℃でのHLB値が8未満の非イオン界面活性剤を、組成物の総質量に対して5質量%以上、好ましくは組成物の総質量に対して8質量%から20質量%の間の含有率で有する。
【0082】
好ましくは、本発明による組成物は、陰イオン界面活性剤を含まない。
【0083】
好ましくは、本発明による組成物は、両性界面活性剤を含まない。
【0084】
その上、乳化系は、10〜26個の炭素原子、更に良好には12〜24個の炭素原子、より一層良好には14〜22個の炭素原子を含む脂肪族アルコールから選択される1種以上の補助界面活性剤を含んでもよい。
【0085】
ラメラ相Lβ
好ましくは、水中の粒子の分散を促進させる本発明による界面活性剤系は、ラメラ相Lβ、又は準結晶相Lβ、又はラメラゲル相の形態で組織化される。
【0086】
この組成物は、25℃の室温で安定しており、RM100(登録商標)Rheomatを使用して25℃の室温で測定して、優先的には5〜50Pa.sの範囲の粘度を有する。
【0087】
「ラメラゲル相」又は「準結晶相Lβ」という用語は、その相の中で、界面活性剤分子及び/又はより一般的には両親媒性化合物の分子が、水溶性葉状晶によって分離される生体分子層の形態で組織化されるようになる相を意味することを意図する。生体分子層の内部で、分子は、六角形状に従って分配され、その炭化水素系鎖は、結晶状態であり、生体分子層の面に対して垂直に配向されるが、これらの層の面において、互いに対して任意の特定の配向を有さない。
【0088】
準結晶相Lβは、その内部で脂肪鎖が固体状態であり、互いに対して無作為に配置される準安定相であり、その内部で脂肪鎖が液体状態であるミセル、六方晶、立方晶及び流体ラメラ(Lα)準結晶相、並びにその内部で脂肪相が固体状態であり、互いに対して規則的に配向される結晶相とは対照的である。偶然にも、本出願者は、特定の含有率による界面活性剤を含むタイプの特定の系を用いて、安定した準結晶相Lβを得ることを可能にする特定の界面活性剤系、及び安定しており、快適に適用され、長持ちする、ケラチン繊維、特に睫をコーティングするための化粧用組成物を発見した。
【0089】
様々な技法、特にX線回折法を用いて、本発明の組成物中に存在する乳化系のラメラゲル相又は準結晶相Lβを特定することができる。
【0090】
広角X線散乱(WAXS)
X線図は、50kV及び50mAで操作する回転式陽極X線発生装置FR591(Bruker社、Courtaboeuf、France)に搭載されたMar345画像版検出器(Maresearch社、Norderstedt、Germany)で集めた。CuKa単色光線(k=1.541A°)は、楕円断面多層Montelミラー(Incoatec社、Geesthacht、Germany)に二重反射させることによって320mmの350lm焦点で焦光した。ビームは、鏡(500lm)の前に配置された4つの電動カーボンタングステンスリット(JJXray社、Roskilde、Denmark)によって真空下で限定された。4つの追加ガードスリットを、スリットの分離距離が220mmでの焦点に位置した。マイカ窓を出た後の流量は、3・108フォトン/秒であった。試料及び検出器を360mmに位置させた後、直径2mmのリードビーム円形絞りを150mmで空中に位置させた。したがって、X線図を、逆格子スペーシングq = 4p*sinh/k(式中、hは回折角である)の範囲0.03〜1.8A°_1について記録した。繰り返し距離d=2p/qは、200A°から3.5A°の間であるべきである。試料を、1.2〜1.3mmのガラス毛管(Glas W.Muller、Germany)に入れ、制御された温度で最大20個まで毛管を維持できる自家製の毛管ホルダーに移した。
【0091】
粒子
本発明による組成物は、優先的には1種以上の水性分散体の形態で存在する、ハードワックス粒子、及び好ましくは膜形成ポリマー粒子を含む。
【0092】
これらの粒子は、平均粒径によって特徴付けられ得る。特に実質的に球形状又は球形状のこのような粒子は、一般的に等方性である。
【0093】
粒径
粒径は、様々な技法によって測定することができる。特に、(動的及び静的)光錯乱技法、コールターキャプチャー技法、(ストークスの法則によるサイズに関する)沈降速度の測定及び顕微鏡検査を挙げることができる。
【0094】
これらの技法は、粒径、また、一部の粒子の場合には粒径分布を測定することを可能にする。
【0095】
好ましくは、本発明による組成物の粒径及び粒径分布は、市販の粒径分析器のMalvern社製のMasterSizer 2000型を用いて、静的光散乱により測定する。データは、ミー散乱理論に基づいて処理される。等方性粒子に厳密であるこの理論は、非球形粒子の場合、「有効な」粒径を求めることを可能にする。この理論は、具体的には、Van de Hulst, H.C.による刊行物「Light Scattering by Small Particles」第9章及び第10章、Wiley、ニューヨーク、1957年に記載されている。
【0096】
本発明との関係においては、「平均粒径」は、以下の方法で規定される「有効な」体積平均直径D[4,3]として表される:
【0098】
式中、V
iは、有効直径d
iの粒子の体積を表す。このパラメータは、特に、粒径分析器の技術文書に記載されている。
【0099】
測定は、25℃で希釈した粒子分散体に対して行う。「有効な」直径は、水の屈折率を1.33及び粒子の平均屈折率を1.45にすることによって得られる。
【0100】
したがって、優先的には、本発明による組成物の粒子は、優先的には水性分散体の形態で存在する、少なくとも1種のハードワックス、及び好ましくは少なくとも1種の膜形成ポリマーを含み、「有効な」体積平均直径D[4,3]として表す平均サイズが5μm以下、特に厳密には5μm未満、より優先的には2μm未満、より一層優先的には1μm以下である。このような粒径は、優先的には、最終組成物の粒径に対応する。
【0101】
配合が困難であるか又は不可能でさえあり、顆粒状で、過度に濃厚で、適用不可であり(密集しすぎて分解不可であり)、不快であり、顔料及び充填剤の分散が不満足であり、マットな色を有するマスカラをもたらすより大きなサイズのハードワックス粒子及び膜形成ポリマー粒子を含む組成物と比較して、この平均粒径は、本発明による組成物の使用面で有利である。
【0102】
乳化系は、水性相と、ハードワックス粒子及び任意選択の膜形成ポリマー粒子との界面に位置する傾向があり、そのためこれらを安定化させることを理解されたい。したがって粒径の測定は、界面活性剤の存在下で行われるが、これは界面活性剤が粒子から解離するのが困難なためである。サイズの測定と結果には、この特殊性が考慮される。
【0103】
組成物の他の粒子、例えば着色料及び充填剤に関しては、これらの化合物は、本明細書の別の項で独立に対処するが、この種の粒子のサイズの特徴は、本発明によるワックス及び膜形成ポリマーの粒径と比較して異なる。
【0104】
粒子は、有利には、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して30質量%以上、より良好には組成物の総質量に対して35質量%から60質量%の範囲の含有率で存在する。
【0105】
ワックス
ワックスは、一般的に、室温(25℃)で固体であり、固体/液体の可逆的状態変化が可能であり、30℃以上の融点を有し、200℃まで、特に120℃までの融点を有し得る親油性化合物である。
【0106】
本発明の趣旨の範囲内で、融点は、ISO規格11357-3(1999年)に記載の熱分析(DSC)で観察される最も大きな吸熱ピークの温度に対応する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社によりDSC Q2000の名称で販売されている熱量計を使用して測定できる。
【0107】
好ましくは、ワックスは、70J/g以上の融解エンタルピーΔHfを示す。
【0108】
好ましくは、ワックスは、X線観測によって観察できる結晶性部分を少なくとも1つ含む。
【0109】
測定プロトコルは、以下の通りである:
るつぼに入れたワックスの試料5mgに、-20℃から120℃への第1の温度上昇を加熱速度10℃/分で与え、次いで、120℃から-20℃に冷却速度10℃/分で冷却し、最後に、-20℃から120℃への第2の温度上昇を加熱速度5℃/分で与える。第2の温度上昇の間、以下のパラメータを測定する:
- 吸収された力の差の変化を温度の関数として表す、観察された融解曲線の吸熱ピークの最高温度に対応する、上記のワックスの融点(M.p.)、
- 得られた融解曲線全体の積分に対応する、ワックスの融解エンタルピー:ΔHf。このワックスの融解エンタルピーは、化合物を固体状態から液体状態に変化させるために必要とするエネルギーの量である。それは、J/gで表される。
【0110】
ワックスは、炭化水素系ワックス、フルオロワックス及び/又はシリコーンワックスであってよく、植物、鉱物、動物及び/又は合成起源のものであってよい。
【0111】
ワックスは、組成物の総質量に対して10質量%以上、更に良好には、組成物の総質量に対して15質量%の総含有率で存在することができる。この(これらの)ワックスは、好ましくは、組成物の総質量に対して10質量%〜30質量%、更に良好には15質量%〜30質量%の範囲の含有率で存在する。本発明による組成物は、好ましくはワックス粒子の水性分散体の形態で組成物の調製物中に存在する、少なくとも1種のハードワックスを含む。
【0112】
ハードワックス
本発明によれば、組成物は、より具体的には、少なくとも1種のハードワックスを含む。
【0113】
本発明の目的のために、「ハードワックス」という用語は、65〜120℃、より優先的には70から100℃の間の範囲の融点を有するワックスを意味すると理解される。
【0114】
有利には、本発明の目的のために、「ハードワックス」という用語は、20℃で、5MPa超、特に5〜30MPaの範囲、好ましくは6MPa超、更に良好には6〜25MPaの範囲の硬度を示すワックスを意味すると理解される。
【0115】
こうした硬度測定を実施するために、ワックスを、ワックスの融点+20℃に等しい温度で融解する。そのために、30gのワックスを、50mlのものと同じ直径の100mlビーカーの中に入れ、マグネチックスターラーホットプレート上に置く。
【0116】
およそ15gの量の溶けたワックスを、直径80mm、深さ15mmのステンレス製容器に注ぎ入れ、オーブン中で45℃まで予熱する。次いで、ワックスを20℃の恒温室中で24時間放置して再結晶させ、その後で測定を行う。
【0117】
ワックス又はワックス混合物の力学的性質を、直径2mmのステンレス製シリンダを備えた、Swantech社によってTA-XT2iの名称で販売されているテクスチャ分析器を用いて、20℃の恒温室中で求める。
【0118】
測定は、3つのステップを含む:第1のステップで、スピンドルが0.1mm/sの測定速度で動き、貫通深度0.3mmまでワックスを貫通し、ソフトウェアが到達した最大力の値を記録する、試料の表面の自動検出の後、緩和ステップとも呼ばれる第2のステップで、スピンドルは、この位置に1秒間留まり、1秒の緩和の後に力が記録され、最後に、引き抜きステップとも呼ばれる第3のステップでは、スピンドルが、1mm/sの速度で最初の位置に戻り、プローブ引き抜きエネルギー(負の力)を記録する。
【0119】
硬度の値は、測定した最大圧縮力(ニュートン)を、ワックスと接触するテクスチャ分析器のシリンダ表面積(mm
2)で割ったものである。得られた硬度値は、メガパスカル又はMPaで表される。
【0120】
ハードワックスの例として、特に、カルナウバワックス、カンデリラワックス、ビス-PEG-12ジメチコンカンデリレート、例えばKoster Keunen社によって販売されているシリコニルキャンデリラワックス、水添ホホバワックス、例えばDesert Whale社によって販売されている製品、水添パーム油、例えばSIO社によって販売されている製品、米糠ワックス、ハゼワックス(sumach wax)、セレシンワックス、ローレルワックス、シナワックス(Chinese insect wax)、セラックワックス、水添オリーブ油、例えばSoliance社からのワックスオリーブ(Waxolive)、C12〜C18鎖を含む脂肪族アルコールでエステル化したオリーブ油を水素添加することによって得られるワックス、例えばSophim社によってPhytowax Olive 12L44、14L48、16L55及び18L57の商標名で販売されているもの等、セチル又はベヘニルアルコールでエステル化したヒマシ油を水素添加することによって得られるワックス、例えばSophim社によってPhytowax Ricin 16L64及びPhytowax Ricin 22L73の名称で販売されているもの、水添カメリンワックス、オーリクリーワックス、モンタンワックス、オゾケライトワックス、例えばStrahl & Pitsch社によって販売されているWax SP1020P、微晶ワックス、例えばParamelt社によってMicrowax HWの商標名で販売されている製品、ラウリン酸、パルミチン酸、セチル酸及びステアリン酸のトリグリセリド(INCI名:水添ココグリセリド)、例えばSasol社によってSoftisan100の商標名で販売されている製品、ポリメチレンワックス、例えばSasol社によってCirebelle303の商標名で販売されている製品、ポリエチレンワックス、例えばNew Phase Technologies社によってPerformalene400ポリエチレン、Performalene655ポリエチレン及びPerformalene500-Lポリエチレンの商標名で販売されている製品、アルコール-ポリエチレンワックス、例えばBareco社によってPerformacol425アルコールの名称で販売されている製品、Honeywell社によってAC540 waxの商標名で販売されているエチレン/アクリル酸の95/5コポリマー、ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル、例えばAkzo社によってl'Elfacos C26の商標名で販売されている製品、ステアリン酸オクタコサニル、例えばKoster Keunen社によってKester Wax K82Hの名称で販売されている製品、ステアリン酸ステアリル、例えばLipo Chemicals社によってLiponate SSの名称で販売されている製品、ジステアリン酸ペンタエリスリチル、例えばCognis社によってCutina PESの名称で販売されている製品、アジピン酸ジベヘニル、アジピン酸ジオクタデシル及びアジピン酸ジエイコサニルの混合物(INCI名:C18〜22アジピン酸ジアルキル)、アジピン酸ジラウリル及びアジピン酸ジテトラデシルの混合物(INCI名:C12〜14アジピン酸ジアルキル)、セバシン酸ジオクタデシル、セバシン酸ジドコシル及びセバシン酸ジエイコシルの混合物(INCI名:C18〜22セバシン酸ジアルキル)、オクタデカン二酸ジオクタデシル、オクタン二酸ジドコシル及びオクタン二酸ジエイコシルの混合物(INCI名:C18〜22オクタン二酸ジアルキル)、例えばCognis社によって販売されているもの、テトラステアリン酸ペンタエリスリチル、例えばLipo Chemicals社からのLiponate PS-4、ステアリン酸テトラコンタニル、例えばKoster Keunen社からのKester Wax K76H、安息香酸ステアリル、例えばFinetex社からのFinsolv116、フマル酸ベヘニル、例えばAkzo Bernel社からのMarrix222、テトラステアリン酸ジ(トリメチロール-1,1,1-プロパン)、例えばHeterene社によってHest2T-4Sの名称で提供されている製品、ジステアリン酸ジドトリアコンタニル、例えばKoster Keunen社からのKester Wax K82D、4つのオキシエチレン単位(PEG-4)を含むモンタン酸ポリエチレングリコール、例えばClariant Licowax KST1の名称で販売されている製品、ジサリチル酸ヘキサンジオール、例えばCP Hall社によって販売されているBetawax RX-13750、ヘキサステアリン酸ジペンタエリスリチル、例えばHeterene社によってHest 2P-6Sの商標名で販売されている製品、テトラベヘン酸ジトリメチロールプロパン、例えばHeterene社によってHest 2T-4Bの商標名で販売されている製品、ホホバエステル、例えばFloratech社によってFloraester HIPの商標名で販売されている製品、(C20〜C40)直鎖状カルボン酸/飽和炭化水素の混合物(INCI名:C20〜C40酸ポリエチレン)、例えばNew Phase Technologies社からのPerformacid 350、Fischer-Tropschタイプの合成ワックス、例えばRoss社によってRosswax100の参照名で販売されている製品、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、炭酸ジオクタデシル、例えばCutina KE3737、ポリベヘン酸スクロース、例えばCroda社からのCrodaderm B、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0121】
また、例えば、Koster Keunen社から、Koster KPC-56の名称で市販の混合物(87.5質量%のステアリン酸セチル、7.5質量%のベヘニルアルコール及び5質量%のパーム核グリセリドの混合物)、KPC-60の名称で市販の混合物(87.5質量%のステアリン酸ステアリル、7.5質量%のベヘニルアルコール及び5質量%のパーム核グリセリドの混合物)、KPC-63の名称で市販の混合物(87.5質量%のステアリン酸ベヘニル、7.5質量%のベヘニルアルコール及び5質量%のパーム核グリセリドの混合物)、及びKPC-80の名称で市販の混合物(86質量%の合成ビーズワックス、7.5質量%の硬化植物油及び6.5質量%のベヘニルアルコールの混合物)の形態の上記のワックスも使用してもよい。
【0122】
好ましくは、植物起源のワックス、例えばカルナウバワックス、カンデリラワックス、水添ホホバワックス、ハゼワックス、Sophim社によって販売されている、Phytowax範囲(12L44、14L48、16L55及び18L57)の、C12〜C18鎖を含む脂肪族アルコールでエステル化したオリーブ油を水素添加することによって得られるワックス、米糠ワックス、ステアリルアルコール及びベへニルアルコール、ローレルワックス又はオーリクリーワックスが使用される。
【0123】
好ましくは、本発明による組成物の調製物中に使用するワックスの粒子は、特許出願FR2 687 569又はFR2 815 849に記載の、事前に調製されたハードワックスの微粒分散体の形態では取り入れられない。実際、本発明による組成物中に使用されるハードワックスは、粉末又は固体脂肪性物質の形態で取り入れられる。しかし、最終組成物は、ハードワックスの水性分散体を含むものとして定義することができる。実際、本製造方法によれば、ハードワックスの分散は、その場で実施され、驚くべきことに、有利には、本発明による化粧用組成物を製造することを目的として事前に調製しておいたハードワックスの微粒分散体を取り入れる場合には達成できないと思われた高固体含有率及びハードワックスの高含有率を実現することを可能にする。実際、本発明において、膜形成ポリマーの水性分散体から生じる水は、ハードワックスの分散を実施する働きをする。
【0124】
ハードワックスは、好ましくは、極性である。
【0125】
本発明の目的のために、「極性ワックス」という用語は、その融点を超える、算出される溶解度パラメータδ
aが0(J/cm
3)
1/2ではないワックスを意味すると理解される。
【0126】
特に、「極性油」という用語は、化学構造が炭素原子及び水素原子から本質的に形成される、実際に炭素原子及び水素原子からなりさえするワックスであって、少なくとも1個の電気陰性度の高いヘテロ原子、例えば酸素原子、窒素原子、ケイ素原子又はリン原子を含むワックスを意味すると理解される。
【0127】
ハンセンの3次元溶解度空間における溶解度パラメータの定義及び計算は、C.M. Hansenによる論文、「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol.、39巻、105頁(1967年)に記載されている。
【0128】
このハンセン空間によれば、
- δ
Dは、分子の衝突中に誘起される双極子の形成から生じるロンドン分散力を特徴付け;
- δ
pは、永久双極子間のデバイ相互作用力、また、誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴付け;
- δ
hは、特定の相互作用力(水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)を特徴付け;
- δ
aは、式:δ
a=(δ
p2+δ
h2)
1/2によって求められる。
【0129】
パラメータδ
p、δ
h、δ
D及びδ
aは、(J/cm
3)
1/2で表される。
【0130】
本発明による組成物は、優先的には水性分散体の形態で存在するハードワックスを、組成物の総質量に対して10質量%以上、更に良好には組成物の総質量に対して15質量%以上の含有率で含む。
【0131】
より一般的には、本発明による組成物は、有利には、優先的には水性分散体の形態で存在するハードワックスを、組成物の総質量に対して、10質量%〜30質量%、更に良好には15質量%〜30質量%の範囲の総含有率で含む。
【0132】
有利な一実施形態によれば、本発明による組成物は、優先的には水性分散体の形態で存在するハードワックスの粒子を、ワックスの総質量に対して、少なくとも80質量%、優先的には少なくとも90質量%、より優先的には100質量%を占める総含有率で含む。
【0133】
好ましくは、優先的には水性分散体の形態で存在するハードワックスの総含有率は、固体粒子の総質量に対して、30質量%以上、優先的には40質量%以上である。
【0134】
有利な一実施形態によれば、優先的には水性分散体の形態で存在するハードワックスの総含有率は、脂肪性物質の総質量に対して、少なくとも80質量%、優先的には少なくとも90質量%、より優先的には100質量%を占める。
【0135】
更に、本発明による組成物は、任意選択により、ワックスの粒子の水性分散体の形態で存在する、すなわち融点が厳密に50℃未満であり、任意選択により硬度が厳密に5MPa未満であるワックスの粒子の水性分散体の形態で存在する、少なくとも1種のソフトワックスを含んでもよい。
【0136】
しかし、本発明による組成物は、好ましくは、ソフトワックスを、5質量%未満、好ましくは2質量%未満含み、より一層優先的には、ソフトワックスを含まない。
【0137】
膜形成ポリマー
本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種の膜形成ポリマー粒子の水性分散体及び任意選択の少なくとも1種の追加膜形成ポリマー(水溶性膜形成ポリマー等の粒子の水性分散体の形態で存在しない)を含む。
【0138】
本出願において、「膜形成ポリマー」という用語は、単独でそれ自体によって又は追加の膜形成剤の存在下で、連続付着層、好ましくは凝集性付着層、更に良好には、例えば前記付着層が、こびりつかない表面、例えばテフロン(登録商標)加工された又はシリコーン塗布された表面の上に注ぐことによって調製される場合に、前記付着層が単離でき、また単離において扱うことができるような凝集性及び力学的性質を有する付着層を巨視的に形成することができるポリマーを意味すると理解される。
【0139】
本発明による組成物は、好ましくは、膜形成ポリマーを、組成物の総質量に対して5質量%以上、好ましくは10質量%以上、更に良好には組成物の総質量に対して12質量%以上の総乾物含有率で含む。
【0140】
本発明による組成物は、好ましくは、膜形成ポリマーを、組成物の総質量に対して10質量%〜30質量%、更に良好には12%〜25%の範囲の総乾物含有率で含む。
【0141】
本発明による組成物は、より具体的には1種以上の膜形成ポリマーから形成される粒子の水性分散体を少なくとも1種含むことが好ましい。
【0142】
また、少なくとも1種の水溶性膜形成ポリマーも含むこともできる。したがって、組成物は、水性分散体の形態で存在する膜形成ポリマーの粒子とは異なる追加の膜形成ポリマーを少なくとも1種含むことができる。この(これらの)水溶性と称する追加の膜形成ポリマーの含有率は、組成物の総質量に対して、好ましくは10質量%以下であり、組成物の総質量に対して、より一層優先的には5質量%以下、更に良好には2質量%以下である。
【0143】
水性分散体としての膜形成ポリマー
組成物の前記調製物中に水性分散体として粒子の形態で存在する、こうした膜形成ポリマーは、一般的に(疑似)ラテックス、すなわちラテックス又は疑似ラテックスとして知られる。これらの分散体を調製する技法は、当業者に周知である。
【0144】
本発明に適した分散体は、1種以上の粒子を含むことができ、これらの粒子は、それらのサイズ、構造及び/又は化学的性質の面で様々であってもよい。
【0145】
本発明による組成物は、水性分散体の形態の膜形成ポリマー粒子を、10質量%以上の総乾物含有率で含む。
【0146】
有利には、本発明による組成物は、水性分散体の形態の膜形成ポリマーの粒子を、組成物の総質量に対して12質量%以上、好ましくは組成物の総質量に対して15質量%以上の総乾物含有率で含む。
【0147】
本発明による組成物は、好ましくは、膜形成ポリマーの粒子を、組成物の総質量に対して10質量%〜30質量%、更に良好には12質量%〜25質量%の範囲の総乾物含有率で含む。
【0148】
1種以上の水性分散体の形態で存在する膜形成ポリマー粒子の総含有率は、粒子の総質量に対して、好ましくは30質量%以上、優先的には40質量%以上である。
【0149】
これらの粒子は、陰イオン、陽イオン又は中性の性質のものであってもよく、様々な性質の粒子の混合物を構成してもよい。
【0150】
本発明の組成物に用いることができる膜形成ポリマーのうち、フリーラジカルタイプ又は重縮合物タイプの合成ポリマー、天然起源のポリマー、及びこれらの混合物を挙げることができる。一般的に、これらのポリマーは、ランダムポリマー、タイプA-B、A-B-A若しくはそうでなければABCDのマルチブロック等のブロックコポリマー、又はグラフトポリマーでさえもあり得る。
【0151】
フリーラジカル膜形成ポリマー
「フリーラジカルポリマー」という用語は、不飽和、特にエチレン性不飽和モノマーの重合によって得られるポリマーを意味し、各モノマーが(重縮合物と異なり)単独重合できると理解される。
【0152】
フリーラジカルタイプの膜形成ポリマーは、特にアクリル及び/又はビニルのホモポリマー又はコポリマーであってもよい。
【0153】
ビニル膜形成ポリマーは、少なくとも1つの酸性基を含有するエチレン性不飽和モノマー及び/又はこれらの酸性モノマーのエステル及び/又はこれらの酸性モノマーのアミドの重合から得ることができる。
【0154】
使用してもよい少なくとも1つの酸性基を有するエチレン性不飽和モノマー又は酸性基含有モノマーは、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸又はイタコン酸を含む。(メタ)アクリル酸及びクロトン酸が特に使用され、より特定すると(メタ)アクリル酸が使用される。
【0155】
酸性モノマーのエステルは、有利には、{(メタ)アクリレートとしても知られる}(メタ)アクリル酸エステル、特にアルキル、特にC
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
8アルキルの(メタ)アクリレート、アリール、特にC
6〜C
10アリールの(メタ)アクリレート、及びヒドロキシアルキル、特にC
2〜C
6ヒドロキシアルキルの(メタ)アクリレートから選択される。
【0156】
アルキル(メタ)アクリレートのうち、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート及びラウリルメタクリレートを挙げることができる。
【0157】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのうち、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及び2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができる。
【0158】
アリール(メタ)アクリレートのうち、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレートを挙げることができる。
【0159】
(メタ)アクリル酸エステルは、特にアルキル(メタ)アクリレートである。
【0160】
本発明によれば、エステルのアルキル基は、フッ素化されているか、全フッ素化されているかのいずれかとすることができ、すなわち、アルキル基の水素原子のいくつか又はすべてが、フッ素原子で置き換えられている。
【0161】
酸性モノマーのアミドの例として挙げることができるのは、(メタ)アクリルアミド、特にN-アルキル(メタ)アクリルアミド、特にC
2〜C
12アルキルのN-アルキル(メタ)アクリルアミドである。N-アルキル(メタ)アクリルアミドのうち、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド及びN-t-オクチルアクリルアミドを挙げることができる。
【0162】
ビニル膜形成ポリマーも、ビニルエステル及びスチレンモノマーから選択されるモノマーの単独重合又は共重合によって得ることができる。特に、これらのモノマーは、酸性モノマー及び/又はそのエステル及び/又はそのアミド、例えば前述したものによって重合してもよい。
【0163】
ビニルエステルの例として挙げることができるのは、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル及びt-ブチル安息香酸ビニルである。
【0164】
挙げることができるスチレンモノマーには、スチレン及びα-メチルスチレンが含まれる。
【0165】
列挙されるモノマーは限定されず、アクリルモノマー及びビニルモノマーのカテゴリー(シリコーン鎖で修飾されたモノマーを含む)に含まれる、当業者に公知のモノマーをいずれも使用することが可能である。
【0166】
ビニルポリマーとして、シリコーン含有アクリルポリマーも使用できる。
【0167】
ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリエステルアミド及び/又はアルキドからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーの既存の粒子の内部及び/又は部分的な表面で、1種以上のフリーラジカルモノマーがフリーラジカル重合することによって生じるポリマーも挙げることができる。これらのポリマーは、一般的に、「ハイブリッドポリマー」と呼ばれる。
【0168】
重縮合物
重縮合タイプの膜形成ポリマーとして、陰イオン、陽イオン、非イオン又は両性のポリウレタン、ポリウレタン-アクリル、ポリウレタン-ポリビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素/ポリウレタン、シリコーンポリウレタン、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0169】
膜形成ポリウレタンは、例えば、単独の又は混合物としての以下から選択される少なくとも1つのブロックを含む、脂肪族、脂環式又は芳香族ポリウレタン、ポリ尿素/ウレタン又はポリ尿素コポリマーであってもよい:
- 脂肪族及び/若しくは脂環式及び/若しくは芳香族ポリエステル起源のブロック、並びに/又は
- 分枝状若しくは非分枝状のシリコーンブロック、例えばポリジメチルシロキサン若しくはポリメチルフェニルシロキサン、並びに/又は
- フルオロ基を含むブロック。
【0170】
本発明において定義される膜形成ポリウレタンはまた、分枝状若しくは非分枝状ポリエステルから得ることができ、或いはジイソシアネート及び二官能性有機化合物(例えばジヒドロキシ、ジアミノ又はヒドロキシアミノ)との反応によって修飾される不安定水素を含み、またカルボン酸若しくはカルボキシレート基、又はスルホン酸若しくはスルホネート基、又は代替として中和可能な第3級アミン基若しくは第4級アンモニウム基のいずれかも含む、アルキドからも得ることができる。
【0171】
膜形成重縮合物のうち、ポリエステル、ポリエステルアミド、脂肪鎖ポリエステル、ポリアミド及びエポキシエステル樹脂も挙げることができる。
【0172】
ポリエステルは、公知の方法において、ポリオール、特にジオールを用いてジカルボン酸を重縮合することによって得ることができる。
【0173】
ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式又は芳香族であってもよい。このような酸の例として、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸を挙げることができる。これらのジカルボン酸モノマーは、単独で、又は少なくとも2つのジカルボン酸モノマーの組み合わせとして使用することができる。これらのモノマーのうち、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸が特に選択される。
【0174】
ジオールは、脂肪族、脂環式及び芳香族ジオールから選択してもよい。特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール及び4-ブタンジオールから選択されるジオールを使用する。使用することができる他のポリオールは、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール及びトリメチロールプロパンである。
【0175】
ポリエステルアミドは、ポリエステルの場合と同様な方法で、二酸とジアミン又はアミノアルコールとの重縮合によって得ることができる。使用することができるジアミンは、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びメタ-又はパラ-フェニレンジアミンである。使用することができるアミノアルコールは、モノエタノールアミンである。
【0176】
天然起源のポリマー
本発明において、任意選択により修飾された天然起源のポリマー、例えばセラック樹脂、サンダラック樹脂、ダンマル、エレミ、コーパル、水不溶性セルロース系ポリマー、例えばニトロセルロース、特にカルボキシアルキルセルロースエステル等の変性セルロースエステル、例えば特許出願US2003/185774に記載のもの、及びこれらの混合物を使用することができる。
【0177】
本発明の特定の一実施形態によれば、分散状態の前記少なくとも1種の膜形成ポリマーは、アクリルポリマー分散体、ポリウレタン分散体、スルホポリエステル分散体、ビニル分散体、酢酸ポリビニル分散体、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルプロピルメタクリルアミドアンモニウムクロリドターポリマー分散体、ポリウレタン/ポリアクリルハイブリッドポリマー分散体、コアシェルタイプの粒子の分散体、及びこれらの混合物から選択される。
【0178】
特に市販されており、本発明による組成物を調製する上で好適な様々なタイプの水性分散体を、以下に詳述する。
【0179】
1/ したがって、本発明の好ましい一実施形態によれば、ポリマーの粒子の水性分散体は、アクリルポリマーの水性分散体である。
【0180】
特に、アクリルポリマーは、スチレン/アクリレートコポリマーとすることができ、特に、少なくとも1つのスチレンモノマーと、少なくとも1つのC
1〜C
18アルキル(メタ)アクリレートモノマーとの重合から生じるコポリマーから選択されるポリマーとすることができる。
【0181】
本発明において使用することができるスチレンモノマーとして、例えば、スチレン又はα-メチルスチレン、特にスチレンを挙げることができる。
【0182】
C
1〜C
18アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、特にC
1〜C
12アルキル(メタ)アクリレート、より特定するとC
1〜C
10アルキル(メタ)アクリレートである。C
1〜C
18アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレートから選択することができる。
【0183】
本発明によれば、BASF社によってJoncryl SCX-8211(登録商標)の名称で販売されている若しくはInterpolymer社によってSyntran 5760CGの名称で販売されているスチレン/アクリレートコポリマーのアクリルポリマー、BASF社によってAcronal(登録商標)DS-6250の参照名によって販売されているアクリルポリマー、又はBASF社からのJoncryl(登録商標)95のアクリルコポリマーの水性分散体を使用することができる。
【0184】
2/ 本発明の一変形形態によれば、ポリマー粒子の水性分散体は、特に陰イオンのポリエステル-ポリウレタン及び/又はポリエーテル-ポリウレタンの粒子の水性分散体である。
【0185】
本発明に従って使用されるポリエステル-ポリウレタン及びポリエーテル-ポリウレタンの陰イオン性は、それらの構成単位中の、カルボン酸又はスルホン酸官能基を含む基の存在に起因する。
【0186】
本発明に従って使用されるポリエステル-ポリウレタン又はポリエーテルポリウレタンの粒子は、一般的に、水性分散体の形態で販売されている。
【0187】
現在市販されている前記分散体の粒子含有率は、分散体の総質量に対しておよそ20質量%からおよそ60質量%の範囲である。
【0188】
本発明による組成物中に使用することができる陰イオンのポリエステル-ポリウレタン分散体のうち、特にNoveon社によってAvalure UR 405(登録商標)の名称で販売されている製品又はBayer Material Science社によってBaycusan C1004の名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0189】
本発明に従って使用することができる陰イオンのポリエーテル-ポリウレタンの粒子の分散体のうち、特にNoveon社によってAvalure UR 450(登録商標)の名称で販売されているもの及びDSM社によってNeorez R 970(登録商標)の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0190】
本発明の特定の一実施形態によれば、上で規定した陰イオンのポリエステルポリウレタンの粒子、及び上で規定した陰イオンのポリエーテル-ポリウレタンの粒子からなる市販の分散体の混合物を使用することができる。
【0191】
例えば、Noveon社によって販売されている分散体で、Sancure 861(登録商標)の名称で販売されている分散体からなる混合物又はAvalure UR 405(登録商標)の名称で販売されている製品とAvalure UR 450(登録商標)の名称で販売されている製品との混合物を使用することができる。
【0192】
3/ 本発明の別の特定の実施形態によれば、使用する水性分散体は、それぞれのガラス転移温度(Tg)の面で異なっている、粒子の形態の少なくとも2つの膜形成ポリマーの混合物を含む。
【0193】
特に、本発明の一実施形態によれば、本発明による組成物は、分散状態の少なくとも1種の第1の膜形成ポリマー及び分散状態の少なくとも1種の第2の膜形成ポリマーを含むことができ、前記第1のポリマー及び第2のポリマーは、異なるTgを有し、好ましくは第1のポリマーのTg(Tg1)は、第2のポリマーのTg(Tg2)よりも高い。特に、Tg1及びTg2の差は、絶対値で少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃である。
【0194】
より具体的には、許容される水性媒体中、以下を含む:
a) 20℃以上のガラス転移温度Tg1を少なくとも1つ有する第1の膜形成ポリマーの、水性媒体中に分散した粒子、及び
b) 70℃以下のガラス転移温度Tg2を少なくとも1つ有する第2の膜形成ポリマーの、水性媒体中に分散した粒子。
【0195】
この分散体は、一般的に、2種の膜形成ポリマーの水性分散体の混合物から生じる。
【0196】
第1の膜形成ポリマーは、20℃以上、特に20℃〜150℃の範囲、有利には40℃以上、特に40℃〜150℃の範囲、特に50℃以上、特に50℃〜150℃の範囲のガラス転移温度Tg1を少なくとも1つ、特に1つ有する。
【0197】
第2の膜形成ポリマーは、70℃以下、特に-120℃〜70℃の範囲、特に50℃未満、特に-60℃〜+50℃の範囲、より特定すると-30℃〜30℃の範囲のガラス転移温度Tg2を少なくとも1つ、特に1つ有する。
【0198】
ポリマーのガラス転移温度(Tg)の測定は、以下に記載のDMTA(動的機械温度分析)によって実施する。
【0199】
ポリマーのガラス転移温度(Tg)を測定するために、膜の試料に対して、Polymer laboratories社製のDMTA装置を用いて粘弾性試験(viscoelasticimetry test)を実施する。この膜は、テフロン(登録商標)加工したテンプレート中の膜形成ポリマーの水性分散体をキャストし、次いで120℃で24時間乾燥することによって調製する。次いで、膜を得、(例えば穴開け器を使用して)この膜から試験体を切断する。これらの試験体は、通常、約150μmの厚さ、5〜10mmの幅があり、約10〜15mmの有用な長さを有する。この試料は引張応力を受ける。試料は0.01Nの静的力を受け、1Hzの周波数で+/-8μmの正弦波変位(sinusoidal displacement)を重畳する。したがって、ひずみが低レベルの線形範囲で操作を行う。1分当たり3℃の温度変化で-150℃〜+200℃の範囲の温度にて、試料にこの引張応力を印加する。
【0200】
次いで、試験したポリマーの複素弾性率E
*=E'+iE''を温度の関数として測定する。
【0201】
これらの測定から、動的係数E'、E''及び減衰能:tgδ=E''/E'を推定する。
【0202】
次に、温度の関数としてのtgδ値の曲線をグラフ化すると、この曲線は少なくとも1つのピークを示す。ポリマーのガラス転移温度Tgは、このピークの頂点の温度に対応する。
【0203】
曲線が少なくとも2つのピークを有する場合(この場合、ポリマーは少なくとも2つのTgを有する)、試験したポリマーのTg値は、曲線が最も高い振幅のピークを示す温度として見なされる(すなわち、tgδの最大値に対応し、この場合、「優勢な」Tgのみが試験したポリマーのTg値と考えられる)。
【0204】
本発明において、転移温度Tg1は、第1の膜形成ポリマーが少なくとも2つのTgを有する場合、その(先に規定した意味の範囲内の)「優勢な」Tgに対応し、ガラス転移温度Tg2は、第2の膜形成ポリマーが少なくとも2つのTgを有する場合、その「優勢な」Tgに対応する。
【0205】
第1の膜形成ポリマー及び第2の膜形成ポリマーは、独立に互いに、フリーラジカルポリマー、重縮合物、及び先に規定したガラス転移温度の特徴を有する、先に規定したような、天然起源のポリマーから選択することができる。
【0206】
水性分散体中の第1の膜形成ポリマーとして、DSM社によるNeoRez R-989(登録商標)、BASF社によるJoncryl95及びJoncryl(登録商標)8211の各名称で販売されているポリマーの水性分散体を使用してもよい。
【0207】
水性分散体中の第2の膜形成ポリマーとして、例えば、Noveon社によるAvalure(登録商標)UR-405及びAvalure(登録商標)UR-460、ICAP社によるAcrilem IC89RT(登録商標)又はDSM社によるNeocryl A-45の各名称で販売されているポリマーの水性分散体を使用してもよい。
【0208】
Avalure(登録商標)UR-460水性分散体の膜形成ポリマーは、ポリ(テトラメチレンオキシド)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びジメチロールプロピオン酸の重縮合によって得られるポリウレタンである。
【0209】
本発明の最も特定的に好ましい一実施形態によれば、スチレン/アクリレートポリマー分散体、例えばBASF社によってJoncryl 8211(登録商標)の参照名で販売されている分散体と、アクリルポリマー分散体、例えばDSM社によってNeocryl A-45(登録商標)の参照名で販売されている分散体との組み合わせを、水性分散体中の第1の膜形成ポリマー及び第2の膜形成ポリマーとして使用する。
【0210】
本発明の上記の項目3/の特定の実施形態とは別の好ましい実施形態によれば、アクリルポリマーの分散体、例えばBASF社によってJoncryl 95(登録商標)の参照名で販売されている分散体を、水性分散体中の第1の膜形成ポリマーとして使用し、DSM社によってAvalure UR405(登録商標)の参照名で販売されている陰イオンポリウレタンポリマーの分散体を、第2の膜形成ポリマーとして使用する。
【0211】
膜形成ポリマーの水性分散体として、以下を使用することができる:
- BASF社によるAcronal DS-6250(登録商標)、DSM社によるNeocryl A-45(登録商標)、Neocryl XK-90(登録商標)、Neocryl A-1070(登録商標)、Neocryl A-1090(登録商標)、Neocryl BT-62(登録商標)、Neocryl A-1079(登録商標)及びNeocryl A-523(登録商標)、BASF社によるJoncryl 95(登録商標)及びJoncryl 8211(登録商標)、Daito Kasey Kogyo社によるDaitosol 5000 AD(登録商標)又はDaitosol 5000 SJ、Interpolymer社によるSyntran 5760 CGという各名称で販売されているアクリル分散体、
- DSM社によるNeorez R-981(登録商標)及びNeorez R-974(登録商標)、Noveon社によるAvalure UR-405(登録商標)、Avalure UR-410(登録商標)、Avalure UR-425(登録商標)、Avalure UR-450(登録商標)、Sancure 875(登録商標)、Avalure UR 445(登録商標)及びAvalure UR 450(登録商標)、Bayer社によるImpranil 85(登録商標)並びにBayer Material Science社によるBaycusan C1004(登録商標)の各名称で販売されているポリウレタンの水性分散体、
- EASTMAN CHEMICAL PRODUCTS社によってEastman AQ(登録商標)の商標名で販売されているスルホポリエステル、
- ビニル分散体、例えばMexomere PAM、酢酸ポリビニルの水性分散体、例えばNisshin Chemical社製のVinybran(登録商標)又はUnion Carbide社によって販売されているもの、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルプロピルメタクリルアミドアンモニウムクロリドターポリマーの水性分散体、例えばISP社製のStyleze W(登録商標)、
- ポリウレタン/ポリアクリルハイブリッドポリマーの水性分散体、例えばAir Products社によってHybridur(登録商標)の参照名で販売されているもの又はNational Starch社製のDuromer(登録商標)、
- コアシェルタイプの粒子の分散体、例えばArkema社によってKynar(登録商標)の参照名で販売されているもの(コア:フルオロ-シェル:アクリル)又はUS 5 188 899(コア:シリカ-シェル:シリコーン)に記載のもの、及びこれらの混合物。
【0212】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、アクリル系膜形成ポリマー及び誘導体、特にスチレン-アクリルポリマー及び誘導体の水性分散体、並びにポリウレタンポリマー、特にポリエステル-ポリウレタン及びその誘導体の水性分散体、並びにこれらの混合物から選択される粒子の水性分散体を含む。
【0213】
有利な一実施形態によれば、ハードワックスの総含有率及び膜形成ポリマー粒子の総含有率は、ハードワックスと膜形成ポリマー粒子との質量比が1/2以上、更に良好には2/3以上になるとしたものである。好ましくは、この比は、両端を含む1/2から2の間、より一層優先的には2/3から3/2の間である。
【0214】
有利な一実施形態によれば、ハードワックス及び膜形成ポリマー粒子は、両方とも優先的には水性分散体中の粒子の形態で存在し、膜形成ポリマーが、アクリル系膜形成ポリマー及び誘導体、特にスチレン-アクリル系膜形成ポリマー及び誘導体の水性分散体、並びにポリエステル-ポリウレタンハイブリッドポリマーの水性分散体、並びにこれらの混合物から選択され、これらの各総含有率は、ハードワックス粒子と前記膜形成ポリマー粒子との質量比が1/2以上、更に良好には2/3以上である。
【0215】
好ましくは、この比は、両端を含む1/2から2の間、より一層優先的には2/3から3/2の間である。
【0216】
水溶性膜形成ポリマー
本発明による組成物は、少なくとも1種の水溶性膜形成ポリマーを含む。
【0217】
好ましくは、本発明による組成物は、水溶性膜形成ポリマーを含まない。しかし、「水溶性膜形成ポリマー」の総乾物含有率は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜10質量%、好ましくは0.5質量%〜8質量%、更に良好には1質量%〜5質量%の範囲であってもよい。
【0218】
例えば、以下の水溶性膜形成ポリマーを挙げることができる:
- タンパク質、例えばコムギ若しくはダイズタンパク質等の植物起源のタンパク質、又はケラチン、例えばケラチン加水分解物及びスルホン性ケラチン等の動物起源のタンパク質、
- セルロースポリマー、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース又はカルボキシメチルセルロース、及びまた四級化セルロース誘導体、
- アクリルポリマー又はコポリマー、例えばポリアクリレート又はポリメタクリレート、
- ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルとリンゴ酸無水物とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー、ポリビニルアルコール、
- 陰イオン、陽イオン、両性又は非イオンのキチン又はキトサンポリマー、
- アラビアゴム、グアーガム、キサンタン誘導体、カラヤゴム又はアカシアゴム、
- アルギネート及びカラギーナン、
- グリコアミノグリカン、ヒアルロン酸及びその誘導体、
- デオキシリボ核酸、
- ムコ多糖、例えばコンドロイチン硫酸、
並びにこれらの混合物。
【0219】
ゲル化剤
親水性ゲル化剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の親水性又は水溶性のゲル化剤も含むことができ、以下から選択することができる:
- アクリル酸若しくはメタクリル酸又はこれらの塩及びこれらのエステル、特にAllied Colloid社によるVersicol F(登録商標)又はVersicol K(登録商標)、Ciba-Geigy社によるUltrahold 8(登録商標)の各名称で販売されている製品又はSynthalen Kタイプのポリアクリル酸のホモポリマー又はコポリマー、
- Reten(登録商標)の名称でHercules社によって、そのナトリウム塩の形態で販売されている、アクリル酸とアクリルアミドとのコポリマー、及びHydagen F(登録商標)の名称でHenkel社によって販売されているポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、
- Pemulenタイプのポリアクリル酸/アルキルアクリレートコポリマー、
- Clariant社によって販売されているAMPS(アンモニア水で部分的に中和され、高架橋されているポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、
- SEPPIC社によって販売されているSepigel(登録商標)又はSimulgel(登録商標)タイプのAMPS/アクリルアミドコポリマー、並びに
- AMPS/ポリオキシエチレン化アルキルメタクリレートコポリマー(架橋又は非架橋)、及びこれらの混合物、
- 会合性ポリマー、特に会合性ポリウレタン、例えばElementis社製のC
16-OE
120-C
16ポリマー(Rheolate FX1100の名称で販売されており、その分子はウレタン官能基を有し、質量平均分子量は1300であり、OEはオキシエチレン単位である)、Rheox社によって販売されている、尿素官能基を有するRheolate 205、又は更にRheolate 208若しくは204(これらのポリマーは純粋な形態で販売されている)、或いはC
20アルキル鎖を有し、ウレタン結合を有する、Rohm & Haas社製の水中の活性物質に対して20%で販売されているDW 1206B。また、これらの会合性ポリウレタンの、特に、水又は水性/アルコール性媒体中の溶液又は分散体を使用することも可能である。このようなポリマーの例として、Elementis社によって販売されているRheolate FX1010、Rheolate FX1035、Rheolate 1070、Rheolate 255、Rheolate 278及びRheolate 244を挙げることができる。Rohm & Haas社製の製品DW 1206F及びDW 1206J、更にAcrysol RM 184又はAcrysol 44、或いは更にBorchers社製のBorchigel LW44を使用することも可能である、
- 並びにこれらの混合物。
【0220】
いくつかの水溶性膜形成ポリマーも水溶性ゲル化剤として作用する。
【0221】
親水性ゲル化剤は、組成物の総質量に対して0.05質量%〜10質量%、好ましくは0.1質量%〜5質量%、更に良好には0.5質量%〜2質量%の範囲の含有率で、本発明による組成物中に存在することができる。
【0222】
本発明による組成物は、有利には、好ましくはAMPS(アンモニア水で部分的に中和され、高架橋されているポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、AMPS/アクリルアミドコポリマー、及びこれらの混合物から選択される、上記のゲル化剤の1つを含む。
【0223】
親油性ゲル化剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の親油性又は脂溶性のゲル化剤を含んでもよい。
【0224】
使用することができるゲル化剤は、有機又は鉱物の、ポリマー又は分子の親油性ゲル化剤であってもよい。
【0225】
無機親油性ゲル化剤として、クレイ、改質クレイ、例えばElementis社製のBentone 38 VCG、及び任意選択により疎水的に表面処理されたヒュームド・シリカを挙げることができる。
【0226】
親油性有機ポリマーゲル化剤は、例えば、三次元構造の、部分的に又は完全に架橋された弾性オルガノポリシロキサン、例えばShin-Etsu社によってKSG6(登録商標)、KSG16(登録商標)及びKSG18(登録商標)の各名称で販売されているもの、Dow Corning社によってTrefil E-505C(登録商標)及びTrefil E-506C(登録商標)の各名称で販売されているもの、Grant Industries社によってGransil SR-CYC(登録商標)、SR DMF10(登録商標)、SR-DC556(登録商標)、SR 5CYCゲル(登録商標)、SR DMF 10ゲル(登録商標)及びSR DC 556ゲル(登録商標)の各名称で販売されているもの、General Electric社によってSF 1204(登録商標)及びJK 113(登録商標)の各名称で販売されているもの;エチルセルロース、例えばDow Chemical社によってEthocel(登録商標)の名称で販売されている製品;(α)少なくとも32個の炭素原子を含有するジカルボン酸、例えば脂肪酸ダイマーから選択される少なくとも1種の酸と、(β)アルキレンジアミン、特にエチレンジアミン(ポリアミドポリマーは、12〜30個の炭素原子を含有する少なくとも1種の飽和直鎖状モノアルコール又はモノアミンでエステル化又はアミド化された少なくとも1つのカルボン酸末端基を含む)との間の縮合から生じるポリアミドタイプの重縮合物、特にエチレンジアミン/ステアリルジリノレエートコポリマー、例えばArizona Chemical社によってUniclear 100 VG(登録商標)の名称で販売されている製品;ポリオルガノシロキサンタイプのシリコーンポリアミド、例えば文書US-A-5 874 069、US-A-5,919,441、US-A-6,051,216及びUS-A-5,981,680に記載のもの、例えばDow Corning社によってDow Corning 2-8179及びDow Corning 2-8178 Gellantの参照名で販売されているもの、「ジブロック」、「トリブロック」又は「ラジアル」型のブロックコポリマー、ポリスチレン/ポリイソプレン又はポリスチレン/ポリブタジエン型のブロックコポリマー、例えばBASF社によってLuvitol HSB(登録商標)の名称で販売されている製品、ポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)型のブロックコポリマー、例えばShell Chemical社によってKraton(登録商標)の名称で販売されている製品、又はポリスチレン/コポリ(エチレン-ブチレン)型のブロックコポリマー、及びトリブロックコポリマーとラジアル(星形)コポリマーとのイソドデカン中混合物、例えばPenreco社によってVersagel(登録商標)の名称で販売されているもの、例えばブチレン/エチレン/スチレントリブロックコポリマーとエチレン/プロピレン/スチレン星形コポリマーとのイソドデカン中混合物(Versagel M5960)がある。
【0227】
本発明による組成物は、親油性ゲル化剤として非乳化シリコーンエラストマーも含むことができる。親油性ゲル化剤のうち、オルガノゲル化剤も挙げることができる。
【0228】
本発明による組成物は、好ましくは、親油性ゲル化剤を含まない。
【0229】
着色料
本発明による組成物は、少なくとも1種の着色料を含む。
【0230】
この(又はこれらの)着色料は、好ましくは、粉末着色料、脂溶性染料、水溶性染料及びこれらの混合物から選択される。
【0231】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の粉末着色料を含む。粉末着色料は、顔料及び真珠光沢剤、好ましくは顔料から選択することができる。
【0232】
顔料は、白色でも有色であってもよく、無機及び/又は有機であってよく、被覆又は非被覆のものであってよい。無機顔料のうち、任意選択により表面処理された金属酸化物、特に二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛又は酸化セリウム、更に酸化鉄、酸化チタン又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー(ferric blue)を挙げることができる。有機顔料のうち、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びバリウム、ストロンチウム、カルシウム又はアルミニウムのコチニールカルミン系レーキを挙げることができる。
【0233】
真珠光沢剤は、二酸化チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ等の白色真珠光沢顔料、酸化鉄を含む酸化チタン被覆マイカ、特にフェリックブルー若しくは酸化クロムを含む酸化チタン被覆マイカ、又は上述のタイプの有機顔料を含む酸化チタン被覆マイカ等の有色の真珠光沢顔料、更にオキシ塩化ビスマス系真珠光沢顔料から選択することができる。
【0234】
脂溶性染料は、例えばSudan red、D&C Red 17号、D&C Green 6号、β-カロテン、ダイズ油、Sudan brown、D&C Yellow 11号、D&C Violet 2号、D&C Orange 5号、キノリンyellow及びアナットである。
【0235】
好ましくは、本発明による組成物中に存在する顔料は、金属酸化物から選択される。
【0236】
これらの着色料は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜30質量%、特に組成物の総質量に対して、3質量%〜22質量%の範囲の含有率で存在することができる。
【0237】
好ましくは、着色料は、組成物の総質量に対して、2質量%以上、有利には、組成物の総質量に対して、両端を含む3質量%から22質量%の間の含有率で存在する1種以上の金属酸化物から選択される。
【0238】
充填剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の充填剤も含むことができる。
【0239】
充填剤は、当業者に周知で、化粧用組成物に一般的に使用されるものから選択してもよい。充填剤は、無機でも有機でもよく、また層状でも球状でもよい。マイカ、タルク、シリカ、カオリン、ポリアミド粉末、例えばAtochem社によってOrgasol(登録商標)の名称で販売されているNylon(登録商標)、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマーの粉末、例えばTeflon(登録商標)、ラウロイルリジン、デンプン、窒化ホウ素、膨張ポリマー中空微小球、例えばポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのもの、例えばNobel Industrie社によってExpancel(登録商標)の名称で販売されている製品、アクリル粉末、例えばDow Corning社によってPolytrap(登録商標)の名称で販売されているもの、ポリメチルメタクリレート粒子及びシリコーン樹脂マイクロビーズ[例えばToshiba社製のTospearls(登録商標)]、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球[Maprecos社製のSilica Beads(登録商標)]、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、8〜22個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子を有する有機カルボン酸由来の金属せっけん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛及びミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0240】
充填剤は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜15質量%、特に0.5質量%〜10質量%を占めることができる。
【0241】
美容活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の美容活性剤も含むことができる。
【0242】
本発明による組成物に使用することができる美容活性剤として、特に、酸化防止剤、保存料、香料、中和剤、皮膚軟化剤、可塑剤、保湿剤、ビタミン及び遮蔽剤、特に日焼け止め剤、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0243】
言うまでもなく、当業者は、予定した添加によって本発明による組成物の有利な特性が有害な影響を受けない又は実質的に受けないように、任意選択の追加の添加剤及び/又はその量の選択に対して注意を払う。
【0244】
好ましくは、本発明による組成物は、付けてそのままにしておく(leave-in)組成物である。有利には、組成物は、メーキャップ用組成物、特にマスカラである。
【0245】
油又は有機溶媒
本発明による組成物は、少なくとも1種の油又は有機溶媒を含むことができる。
【0246】
本発明による組成物は、特に、少なくとも1種の不揮発性油、少なくとも1種の揮発性油、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油を含むことができる。
【0247】
不揮発性油
「油」という用語は、室温の大気圧下で液体である脂肪性物質を意味すると理解される。
【0248】
「不揮発性油」という用語は、室温及び周囲圧力下で皮膚又はケラチン繊維の上に残留する油を意味すると理解される。より特定すると、不揮発性油は、厳密に0.01mg/cm
2/min未満の蒸発速度を示す。
【0249】
この蒸発速度を測定するために、試験を受ける油又は油混合物15gを、温度が25℃に調節されて相対湿度が50%に湿度測定法で調節された約0.3m
3の大きなチャンバ内にある天秤上に置かれた直径7cmの結晶皿に入れる。液体は、撹拌せずに自由に蒸発させ、その間、前記油又は前記混合物を含む結晶皿の上に垂直に配置した送風機(Papst-Motoren社、参照名8550N、2700rpmで回転)で換気を行い、送風機の羽根は、結晶皿の底部から20cm離れたところで、結晶皿の方に向いている。結晶皿中に残留している油の質量を、一定の間隔で測定する。蒸発速度は、単位時間(分)当たりの、単位表面積(cm
2)当たりに蒸発した油(mg)で表す。
【0250】
前記少なくとも1種の不揮発性油は、炭化水素系油及びシリコーン油、並びにこれらの混合物、好ましくは炭化水素系油から選択することができる。
【0251】
本発明に好適な不揮発性炭化水素系油は、特に、以下から選択することができる:
- 植物起源の炭化水素系油、例えば、脂肪酸とグリセロールとのエステルで構成されるトリグリセリド(これらの脂肪酸はC
4〜C
28の様々な鎖長を有することができ、これらの鎖は、直鎖状若しくは分枝状、飽和若しくは不飽和であることが可能であり;これらの油は、具体的には、コムギ胚芽油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ゴマ油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、ダイズ油、スイートアーモンド油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、パーム油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ種子油、キュウリ油、ブラックカラント油、月見草油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、サフラワー油、ククイ油、パッションフラワー油及びジャコウバラ油;或いは代替としてカプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社により販売されているもの、若しくはSasol社によりMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の各名称で販売されているもの;
- 10〜40個の炭素原子を有する合成エーテル;
- 鉱物又は合成起源の直鎖状又は分枝状炭化水素であり、本発明によるポリマー以外のもの、例えばペトロラタム、ポリブテン、ポリデセン、スクアラン及びこれらの混合物;
- 合成エステル、例えば、式R
1COOR
2の油(式中、R
1は、1〜40個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分枝状の脂肪酸残基を表し、R
2は、炭化水素系鎖を表し、特に、1〜40個の炭素原子を含む分枝状の炭化水素系鎖を表すが、但し、条件として、R
1+R
2≧10である)、例えば、Purcellin oil(オクタン酸セテアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C
12〜C
15安息香酸アルキル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、又はアルコール若しくはポリアルコールのオクタノエート、デカノエート若しくはリシノレート、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール;ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、若しくはリンゴ酸ジイソステアリル;並びにペンタエリトリトールエステル;
- 室温で液体であり、12〜26個の炭素原子を有する分枝状の及び/又は不飽和の炭素系鎖を含む脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール又は2-ウンデシルペンタデカノール;
- 高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びこれらの混合物。
【0252】
本発明に好適な不揮発性シリコーン油は、特に、以下から選択することができる:
- 本発明による組成物に使用することができる不揮発性シリコーン油は、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)であって、アルキル基又はアルコキシ基を含み、これらの基がペンダント状である、且つ/又はシリコーン鎖の末端にあり、これらの基それぞれが2〜24個の炭素原子を含有するポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及びトリメチルシロキシケイ酸2-フェニルエチルであってもよい。
【0253】
本発明による組成物は、任意選択により、植物起源の少なくとも1種の不揮発性炭化水素系油、例えば脂肪酸エステルとグリセロールとからなるトリグリセリド(脂肪酸はC
4〜C
28の様々な鎖長を有することができる)、特にパーム油及び水添ホホバ油を含む。本発明による組成物は、好ましくは、不揮発性シリコーン油を含まない。
【0254】
本発明による組成物は、好ましくは、不揮発性油を含まない。しかし、本発明による組成物中の不揮発性油の総含有率は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%、特に0.1質量%〜8質量%、好ましくは0.25質量%〜5質量%の範囲であってもよい。
【0255】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、5質量%未満の不揮発性油を含む。
【0256】
揮発性油
本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発性油を含んでもよい。
【0257】
「揮発性油」という用語は、室温及び大気圧下で、皮膚と接触して1時間未満で蒸発することができる油(又は非水性媒体)を意味すると理解される。揮発性油は、室温で液体である揮発性化粧用油である。より特定すると、揮発性油は、0.01から200mg/cm
2/minの間(上下限値を含む)の蒸発速度を示す。
【0258】
この揮発性油は、炭化水素系油であってもよい。
【0259】
揮発性炭化水素系油は、7〜16個の炭素原子を有する炭化水素系油から選択することができる。
【0260】
本発明による組成物は、1種以上の揮発性分枝状アルカンを含むことができる。「1種以上の揮発性分枝状アルカン」という用語は、区別せずに、「1種以上の揮発性分枝状アルカン油」を意味すると理解される。
【0261】
7〜16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素系油として、特に、分枝状C
8〜C
16アルカン、例えばC
8〜C
16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、例えばIsopar又はPermethylの各商標名で販売されている油、分枝状C
8〜C
16エステル、例えばネオペンタン酸イソヘキシル、及びこれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、8〜16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素系油は、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン及びこれらの混合物から選択され、特にイソドデカンである。
【0262】
本発明による組成物は、1種以上の揮発性直鎖状アルカンを含むことができる。「1種以上の揮発性直鎖状アルカン」という用語は、区別せずに、「1種以上の揮発性直鎖状アルカン油」を意味すると理解される。
【0263】
本発明に好適な揮発性直鎖状アルカンは、室温(約25℃)及び大気圧(760mmHg)下で液体である。
【0264】
本発明に好適な「揮発性直鎖状アルカン」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg、すなわち101,325Pa)下で、皮膚と接触して1時間未満で蒸発することができ、室温で液体であり、特に、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)下で0.01〜15mg/cm
2/minの範囲の蒸発速度を有する、化粧用の直鎖状アルカンを意味すると理解される。
【0265】
好ましくは植物起源の直鎖状アルカンは、7〜15個の炭素原子、特に9〜14個の炭素原子、より特定すると11〜13個の炭素原子を含む。
【0266】
本発明に好適な直鎖状アルカンの例として、特許出願WO2007/068371又はWO2008/155059に記載の、Cognis社製のアルカン(少なくとも1個の炭素が異なる別個のアルカンの混合物)を挙げることができる。これらのアルカンは、それ自体がヤシ油又はパーム油から得られる脂肪族アルコールから得られる。
【0267】
本発明に好適な直鎖状アルカンの例として、n-ヘプタン(C
7)、n-オクタン(C
8)、n-ノナン(C
9)、n-デカン(C
10)、n-ウンデカン(C
11)、n-ドデカン(C
12)、n-トリデカン(C
13)、n-テトラデカン(C
14)、n-ペンタデカン(C
15)及びこれらの混合物、特にCognis社製の出願WO2008/155059の実施例1に記載のn-ウンデカン(C
11)及びn-トリデカン(C
13)の混合物を挙げることができる。参照名Parafol 12〜97及びParafol 14〜97で、それぞれSasol社によって販売されている、n-ドデカン(C
12)及びn-テトラデカン(C
14)、並びにこれらの混合物も挙げることができる。
【0268】
単独、又は少なくとも1個の炭素数が互いに異なる少なくとも2種の別個のアルカンの混合物、特に少なくとも2個の炭素数が互いに異なる10〜14個の炭素原子を含む少なくとも2種の別個の直鎖状アルカンの混合物、特に揮発性直鎖状C
11/C
13アルカンの混合物又は直鎖状C
12/C
14アルカンの混合物、具体的にはn-ウンデカン/n-トリデカン混合物(このような混合物は、WO2008/155059の実施例1又は実施例2に従って得ることができる)としての直鎖状アルカンを使用してもよい。
【0269】
代替形態において又は追加的には、調製された組成物は、少なくとも1種の揮発性シリコーン油又は化粧用途に対応する溶媒を含むことができる。
【0270】
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含む、特にSi-O基を含む油を意味すると理解される。一実施形態によれば、前記組成物は、組成物の総質量に対して、10質量%未満、より一層良好には5質量%未満の不揮発性シリコーン油を含むか、又はシリコーン油を含まない。
【0271】
揮発性シリコーン油として、環状ポリシロキサン及び直鎖状ポリシロキサン、並びにこれらの混合物を挙げることができる。揮発性直鎖状ポリシロキサンとして、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン及びヘキサデカメチルヘプタシロキサンを挙げることができる。揮発性環状ポリシロキサンとして、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサンを挙げることができる。
【0272】
変形形態として、又は追加的には、調製された組成物は、少なくとも1種の揮発性フッ化油を含んでもよい。
【0273】
「フッ化油」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味すると理解される。
【0274】
揮発性フッ化油として、ノナフルオロメトキシブタン又はペルフルオロメチルシクロペンタン、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0275】
本発明による組成物は、好ましくは、不揮発性油を含まない。しかし、少なくとも1種の揮発性油が、0.1質量%〜10質量%の範囲の総含有率で存在することができる。特に、揮発性油は、組成物中に、組成物の総質量に対して0.5質量%〜5質量%の範囲の含有率で存在することができる。
【0276】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、5質量%未満の揮発性油を含む。
【0277】
アセンブリ
本発明に好適な、ケラチン繊維をコーティングするためのアセンブリは、ケラチン繊維をコーティングするための前記化粧用組成物を塗布するように構成された塗布器、及び必要に応じて、前記組成物を収容するのに好適な包装装置を含むことができる。特定の一実施形態によれば、このようなアセンブリは、本発明による組成物を加熱する手段を含んでもよい。
【0278】
加熱手段
本発明による組成物は、塗布前及び/又は塗布中に加熱手段にかけることができる。
【0279】
こうした加熱手段は、ケラチン繊維をコーティングするためのアセンブリ、より特定するとケラチン繊維をコーティングするための前記化粧用組成物を塗布するように構成された塗布器、及び必要に応じて、前記組成物を収容するのに好適な包装装置に剛結合されてもよい。
【0280】
こうすると、これらの加熱手段は、脂肪相の少なくとも1部、特に乳化系の少なくとも1部、並びに適切な場合には、ソフトワックスの少なくとも1部、及び任意選択のハードワックス粒子の少なくとも1部を溶解する上で好適である。ワックス粒子を、一部の結晶性鎖のみが溶解されるように、温度T
cで加熱する。
【0281】
また、加熱手段は、加熱しようとする組成物に接触させてもよく、又は組成物の反対側にあってもよい。
【0282】
組成物は、包装装置中に含有されたまま、加熱してもよい。
【0283】
組成物は、少なくとも部分的に周囲空気に晒したまま、加熱してもよい。
【0284】
組成物は、45℃以上、又は更には50℃以上、又はそうでなければ55℃以上の温度で局所的に加熱してもよい。組成物の温度は、塗布の瞬間に火傷の危険性を一切もたらしてはならない。これは、組成物を適用前に加熱した時に、組成物を加熱する瞬間と、ケラチン物質への適用の瞬間との間に、場合によって待ち時間が必要となるためである。
【0285】
一実施形態の変形形態によれば、組成物は、ケラチン繊維へのその適用と同時に加熱される。
【0286】
別の変形形態によれば、組成物は、ケラチン繊維へのその適用の前とその適用中に加熱される。
【0287】
少なくとも1部の組成物を加熱する温度は、両端を含めて45℃から95℃、更に良好には50℃から85℃、より一層良好には55℃から75℃の間であってもよい。
【0288】
温度は、例えば、赤外線高温計[例えばFluke(登録商標)ブランド]を用いて表面で測定してもよい。
【0289】
本発明による組成物は、固体状態から少なくとも部分的に液体、又は完全に液体の状態に可逆的に変化できる。
【0290】
固体/液体の状態変化は、結晶部分、特に本明細書において上述したワックスの溶解に起因して少なくとも部分的である。
【0291】
組成物の総融解エンタルピーは、-20℃から120℃の間に組成物が消費するエンタルピーである。組成物の総融解エンタルピーは、TA Instruments社によりMDSC 2920の名称で販売されている熱量計等の示差走査熱量計(DSC)を使用して、ISO規格11357-3(1999年)に従って、1分当たり5℃又は10℃の温度上昇をして得られたサーモグラムの曲線下面積に等しい。
【0292】
測定プロトコル:
組成物の試料5mgをるつぼに入れ、10℃/分の加熱速度で、-20℃から120℃に上がる第1の温度上昇にかけ、次いで10℃/分の冷却速度で、120℃から-20℃に冷却する。試料を-20℃に5分間維持し、最後に、5℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃に上がる第2の温度上昇にかける。
【0293】
第2の温度上昇中に、空のるつぼが吸収する力と、組成物の試料を含有するるつぼが吸収する力との差の変化を、温度の関数として測定する。化合物の融点は、吸収された力の差の変化を温度の関数として示す曲線のピークの先端に対応する温度値である。
【0294】
温度T
cで消費される組成物の融解エンタルピーは、化合物を、-20℃の固体又は粘性の状態から温度T
cの組成物の状態にさせるのに必要なエネルギー量である。それは、J/gで表される。
【0295】
本発明の一実施形態によれば、組成物は、-20℃からT
cの間で製品が消費するエンタルピーと-20℃から120℃の間で消費される総エンタルピーとの比が、0.7以下となるように選択される。
【0296】
この関係は、例えば、組成物の温度T
cが45℃から80℃の間であることが確認される。
【0297】
したがって、加熱手段によって組成物が達する温度T
cの選択は、前記の比が0.7以下、例えば両端を含む0.3から0.6の間になるような方法でなされ得る。言い換えると、加熱は、組成物の試料を温度T
cに加熱するために供給されるエンタルピーと総エンタルピーとの比が0.7以下になるような温度で行い、このようなパラメータは上記のDSCプロトコルに従って測定される。
【0298】
塗布中、加熱した組成物のみがケラチン繊維、例えば睫に接触することができる。
【0299】
塗布器
塗布器は、特に歯、剛毛又はその他の突出部の形態の、ケラチン繊維、例えば睫又は眉毛を滑らかにし、且つ/又は分けることを可能にする手段を備えてもよい。
【0300】
塗布器は、睫又は眉毛に組成物を塗布するように設計されており、例えばブラシ又は櫛を備えてもよい。
【0301】
また、塗布器は、組成物でメーキャップした又は組成物が付着した睫又は眉毛の領域にわたって、メーキャップの仕上げを施すために使用することもできる。
【0302】
ブラシは、ねじれた芯と、芯の各曲がり目の間にある剛毛とを備えてよく、又は更に別の仕様で作られていてもよい。
【0303】
櫛は、例えば、プラスチックを成形することによって単体構成部品から製造される。
【0304】
いくつかの実施例において、曲げることができる心棒の末端部に塗布要素を搭載し、これは、適用中の快適さを改善するのに役立てることができる。
【0305】
包装装置
包装装置は、ケラチン繊維をコーティングするための組成物を収容することを意図した容器を備えてもよい。次いで、その中に塗布器を沈めることによって、この組成物を容器から取り出すことができる。
【0306】
この塗布器は、容器を閉める要素と一体になっていてもよい。この閉鎖要素は、塗布器を把持する部材を構成することができる。この把持部材は、キャップを構成し、ねじ留め、スナップ閉じ、押し込み等の任意の好適な手段によって、前記容器の上に取り外し可能に設置することができる。したがって、このような容器は、可逆的に前記塗布器を収容することができる。
【0307】
この容器は、塗布器によって取り出された余分な生成物を除去する上で好適なワイパーを任意選択により備えていてもよい。
【0308】
本発明による組成物を睫又は眉毛に塗布する方法は、以下の工程も含むことができる:
- 睫又は眉毛の上に化粧用組成物の付着層を形成する工程、
- 睫又は眉毛の上の付着層を放置することにより該付着層を乾燥させることが可能な工程。
【0309】
別の実施形態によれば、塗布器が、生成容器を形成することができることに留意すべきである。このような場合、容器は、例えば、把持部材中に設けられ得、内部チャンネルは、この把持部材を突出塗布要素に内部連結させることができる。
【0310】
最後に、包装及び適用のアセンブリが、キットの形態で提供可能であり、塗布器及び包装装置を一度で別々に収容し、同一の包装物品とすることを可能にすることに留意すべきである。
【0311】
前述の実施例及び以下の実施例は、本発明の例示として提示されるものであり、その範囲を限定することはできない。
【実施例】
【0312】
本発明によるマスカラ用組成物を以下に記載する。
【0313】
【表2】
【0314】
こうした組成物は、以下のように調製した。
【0315】
i. 相Aの調製
使用するすべての出発物質を、天秤(精度0.01g)を使用して注意深く検量する。500mlのジャケット加熱パン中、熱油を循環させて温度を制御しながら、種々のワックスを溶解する。加熱は、約95〜98℃で行う。ワックスが溶解したら、回転子-固定子型のスターラーであるMoritzスターラーを用いて撹拌することによって、均質化を実施する。これは、固定部で構成され、その内部で、第2の可動部が可変速度で回転しており、この装置は、かなりの高剪断を可能にするので、エマルションを調製するために使用される。
【0316】
ワックスが溶解し、均質化されたら、次いでオキシエチレン化モノステアリン酸グリセリル(30OE)を添加し、混合物を10分間乳化する。
【0317】
ii. 相Bの調製
成分を検量し、本発明によるステアレス2及び20を80℃で溶解し、次いで電気ボイラー中で予め95℃に加熱しておいた水と、顔料とを添加する。
【0318】
iii. 相Bと相Aとの混合
相Aを相Bに注ぎ入れ、Moritzスターラー中、95℃で5分間乳化を実施する。
【0319】
iv. 相Cの調製
水を5℃の恒温槽に注ぎ入れる。
【0320】
v. 相A+Bと相Cとの混合
相A+B(95℃の高温エマルション)を、相Cを含有する恒温槽に注ぎ入れる。
【0321】
vi. 相Dの追加
混合物の温度が45℃以下のときに、相Dを相A+B+Cの混合物に注ぎ入れる。
【0322】
vii. 配合の仕上げ
こうして得たマスカラを密閉した瓶に移して、空気との接触による乾燥を防ぎ、次いで配合物が均質になり、顔料が正しく分散されるのを確実とするために、24時間待つ必要がある。
【0323】
有利な一実施形態によれば、水性分散体である少なくとも1種の膜形成ポリマーを、水/ブチレングリコール/保護ラウリルエーテル硫酸ナトリウム混合物中40%の水性エマルションであるアクリルとスチレン/アクリルとのコポリマー(Interpolymer社製のSyntran 5760 CG)等の調製物に添加することができることに留意すべきである。これを行うために、このポリマーを水性分散体で相C(すなわち、5℃の恒温槽)に添加してもよい。
【0324】
以下の調製要素を考慮すると同時に、その他のマスカラ配合物を調製できることに留意すべきである。特に、以下が推奨される:
- 第1の相中、加熱しようとする化合物に、濃化化合物(ワックス、及び必要に応じて、例えば、ゲル化剤、特に水溶性の膜形成ポリマー、充填剤、ペースト状の脂肪性物質等から選択される化合物)、水、1つ以上の乳化系(使用する含水率は、この第1の相の総質量に対して25質量%超、好ましくは30質量%超、又は第1の相の総質量に対して、35質量%超でさえあり、ハードワックス及び任意選択の追加のワックスの総含有率と、乳化系の総含有率は、ワックスと追加のワックス/乳化系の質量比が1.75以下、好ましくは1.5以下、特に1/3から1.25の間になるものとする)、及び着色料を取り入れるところ、化合物を添加する順番は重要ではないことを念頭におくが、しかし早期の蒸発を回避するために水は最初に存在しないことが好ましいことを理解し;混合物全体を、最大融点を有するワックスの融点より高い温度で撹拌して乳化し、
- 第2の相中、膜形成ポリマー粒子の水性分散体を任意選択により含む、又は任意選択によりこれで構成される水性相を、容器に入れ、該容器中の温度を、両端を含む0から45℃の間に調節し(温度5℃が先に例証されたが、両端を含む0から45℃の間、より優先的には両端を含む0から20℃の間のいずれの温度でも、本発明による方法に従って調製される組成物をもたらす)、
- 第1の相と第2の相を調製する順序は重要ではなく、
- ワックスの最大融点より高い温度で、第1の相を、第2の相を含む、0から45℃の間、好ましくは0から20℃の間に調節された温度の容器中に注ぎ入れ、
- 混合物の温度が調節された温度に安定するまで撹拌し続け、
- 保存系を用いる場合、有利には、第1の相及び第2の相の混合を行ったら、優先的には混合物の温度が低下したら、有利には混合物が0から45℃の間、好ましくは0から20℃の間に調節された温度に達したら、この保存系を加えてもよい。
【0325】
この「第1の相」の一部であるいくつかの化合物を独立に調製することができるが、後続して高温のままでワックスと一体化させることができることに留意することが重要である。例えば、顔料は、ワックスとは別々に調製してもよいが、後続して高温のままワックスと一緒に添加される(「高温のまま」とは、すべてのワックスを融解状態にすることができるワックスの融点より高い又はこれと等しい温度を意味する)。したがって、この「第1の相」は、最初から又は連続ステップの中で、高温のままワックスと共に乳化操作を経て、その後に冷温で水性相と、また任意選択により冷温で膜形成ポリマーの水性分散体と混合する化合物をすべて含む(「冷温で」とは、水性相又は水性分散体が、0から45℃の間に任意選択により調節する温度であることを意味する)。
【0326】
この調製プロトコルは、驚くべきことに、予想と反して、滑らかで光沢のある外観で、濃い色を有し、適用が容易で快適であるが、それにも関わらず、高含有率のワックスを取り入れたために所望のボリューム効果を有し、高含有率の膜形成ポリマー粒子の存在に起因して良好な耐水性を有する化合物を、特に高固体含有率、例えば45%超の固体含有率の存在下で得ることを可能にする。
【0327】
記載した製造方法によって調製された組成物が、95℃で融解するワックスの第1の相を調製し、予め90〜92℃に加熱しておいた水を95℃のワックスに添加し、次いで一般的には屋外でこれを室温に冷却させるものである、従来の製造方法によるものと比較して、独特且つ有利な構造特性及び機能特性を有することに留意すべきである。実際、本発明による方法において、特にワックスを含有する相を、冷温の水性相に急遽浸漬させ、ワックス分散体の有利な特性及び美容品質をもたらす。したがって、ハードワックスを乳化するための膜形成ポリマーの水性分散体を本発明に従って使用することは意外なことであり、更に濃い色且つ質感が優れた(より流体の)組成物を得ることを可能にする。
【0328】
2/ プロトコル及び結果
調製された組成物を、肉眼で、また顕微鏡下で観察し、次いで汚れていない睫の試験試料に、ブラシを用いてこれらの組成物を適用することによって試験する。
【0329】
本発明による組成物は、肉眼で、また顕微鏡下で、微細でよく分布された(均質な)粒のワックスを有する微細エマルションを示す。本発明による組成物は、適用が快適で、流体状の質感[Rheomat RM100(登録商標)機器を用いて測定した25℃での粘度は、14.4Pa.sである]を有し、付着物が層の上に層を構成し、組成物は、睫を十分コーティングし、メーキャップの結果は一様であり、睫の縁はよく作られる。更に、得られた組成物は、優れており、光沢がある。その上、顔料は、よく分散されており、組成物は濃い黒色である。更に、これらの組成物は4℃及び45℃で2ヶ月間は安定している。
【0330】
本発明との関係において実施される、光沢及び黒色の強度を測定するプロトコルが、特許出願FR2968978、44頁、1〜21行目に記載されていることに留意すべきである。
【0331】
本発明との関係において、化合物又は化合物のファミリーのために与えられている質量百分率は、常に、当該の化合物の乾物質量として表されると理解される。
【0332】
本出願を通して、「を含む」という語句は、別段指定されない限り、「少なくとも1を含む」という意味である。