(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A)55〜95重量部の、芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネート、
B)1.0〜20.0重量部の、
B1)所望により、少なくとも一種の、エマルション重合方法により製造したグラフト重合体および
B2)少なくとも一種の、塊状、懸濁または溶液重合方法により製造したグラフト重合体、
を含んでなり、B2)が、成分Bに対して少なくとも50重量%の量で存在する、ゴム変性したグラフト重合体、
C)1.0〜20.0重量部の、少なくとも一種の式(X)の環状ホスファゼン:
【化1】
(式中、
kは、1または1〜10の整数、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5の数を表し、
三量体含有量(k=1)が、成分Cに対して、65〜85mol%であり、
Rは、それぞれの場合に、同一であるか、または異なるものであって、アミンラジカル、C
1〜C
8アルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピルまたはブチル、それぞれ所望によりハロゲン化、好ましくはフッ素でハロゲン化されている、C
1〜C
8アルコキシ、好ましくはメトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシ、C
5〜C
6シクロアルキル、それぞれ所望によりアルキル、好ましくはC
1〜C
4アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素により置換されている、C
6〜C
20アリールオキシ、好ましくはフェノキシ、ナフチルオキシ、それぞれ所望によりアルキル、好ましくはC
1〜C
4アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素、臭素および/またはヒドロキシにより置換されている、C
7〜C
12アラルキル、好ましくはフェニル−C
1〜C
4アルキル、それぞれ所望によりアルキル、好ましくはC
1〜C
4アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素により置換されている、またはハロゲンラジカル、好ましくは塩素、またはOHラジカルを表す。)、
D)0〜15.0重量部の、ゴムを含まない、ビニル(共)重合体またはポリアルキレンテレフタレート、
E)0〜15.0重量部の添加剤、
F)0.05〜5.00重量部の滴防止剤、
を含んでなり、全ての重量部が好ましくは、組成物中の全ての成分A+B+C+D+E+Fの重量部の合計が100になるように、正規化され、
成分Bが、それぞれの場合に成分Bに対して、B1を10〜45重量%の量で、およびB2を55〜90重量%の量で含んでなる、組成物。
成分Cが、プロポキシホスファゼン、フェノキシホスファゼン、メチルフェノキシホスファゼン、アミノホスファゼンおよびフルオロアルキルホスファゼンを含んでなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
それぞれの場合に成分Cに対して、前記三量体含有量(k=1)が、65〜85mol%、前記四量体含有量(k=2)が10〜20mol%であり、より高級のオリゴマー状ホスファゼン(k=3、4、5、6および7)の含有量が5〜15mol%であり、k>=8のホスファゼンオリゴマーの含有量が0〜1mol%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
成分Eとして、難燃性相乗剤、潤滑剤および離型剤、核形成剤、安定剤、帯電防止剤、着色剤、顔料および充填剤および補強材料を含んでなる群から選択された少なくとも一種の添加剤を含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
成分B1のグラフトベースが、ジエンゴム、EP(D)Mゴム、アクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレンおよびエチレン/酢酸ビニルゴムを含んでなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の概要】
【0019】
したがって、本発明の目的は、良好なノッチ付き衝撃強さ、温度安定性、弾性率、流動性および加水分解安定性が顕著であり、一方一貫して良好な1.5mmにおけるUL94V0区分を有する難燃性成形組成物を提供することである。
【0020】
成形組成物は、好ましくは難燃性であり、薄い壁厚(即ち、1.5mmの壁厚)でもV−0によるUL94の必要条件に適合する。
【0021】
驚くべきことに、本発明の目的は、
A)55〜95重量部、好ましくは65〜90重量部、より好ましくは70〜85重量部、特に好ましくは76〜88重量部の、芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネート、
B)1.0〜20.0重量部、好ましくは3.0〜18.0重量部、特に好ましくは7.0〜15.0重量部の、
B1)所望により、少なくとも一種の、エマルション重合方法により製造したグラフト重合体および
B2)少なくとも一種の、塊状、懸濁または溶液重合方法により製造したグラフト重合体
を含んでなり、B2)は、成分Bに対して少なくとも50重量%の量で存在する、ゴム変性したグラフト重合体、
C)1.0〜20.0重量部、好ましくは4.5〜18.0重量部、より好ましくは6.0〜15.0重量部、特に好ましくは8.5〜12.0重量部の、少なくとも一種の式(X)の環状ホスファゼン:
【化1】
(式中、
kは、1または1〜10の整数、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5の数を表し、
三量体含有量(k=1)が、成分Cに対して、60〜98mol%、より好ましくは65〜95mol%、特に好ましくは65〜90mol%、最も好ましくは65〜85mol%、特に70〜85mol%であり、
Rは、それぞれの場合に、同一であるか、または異なるものであって、アミンラジカル、C
1〜C
8アルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピルまたはブチル、それぞれ所望によりハロゲン化、好ましくはフッ素でハロゲン化されている、C
1〜C
8アルコキシ、好ましくはメトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシ、C
5〜C
6シクロアルキル、それぞれ所望によりアルキル、好ましくはC
1〜C
4アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素により置換されている、C
6〜C
20アリールオキシ、好ましくはフェノキシ、ナフチルオキシ、それぞれ所望によりアルキル、好ましくはC
1〜C
4アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素、臭素および/またはヒドロキシにより置換されている、C
7〜C
12アラルキル、好ましくはフェニル−C
1〜C
4アルキル、それぞれ所望によりアルキル、好ましくはC
1〜C
4アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素により置換されている、またはハロゲンラジカル、好ましくは塩素、またはOHラジカルを表す。)、
D)0〜15.0重量部、好ましくは2.0〜12.5重量部、より好ましくは3.0〜9.0重量部、特に好ましくは3.0〜6.0重量部の、ゴムを含まない、ビニル(共)重合体またはポリアルキレンテレフタレート、
E)0〜15.0重量部、好ましくは0.05〜15.00重量部、より好ましくは0.2〜10.0重量部、特に好ましくは0.4〜5.0重量部、の添加剤、
F)0.05〜5.00重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部、特に好ましくは0.1〜1.0重量部、の滴防止剤
を含んでなり、全ての重量部が好ましくは、本願では、組成物中の全ての成分A+B+C+D+E+Fの重量部の合計が100になるように、正規化することにより、達成されることが分かった。
【0022】
好ましい実施態様では、組成物は、成分A〜Fのみからなる。
【0023】
好ましい実施態様では、組成物は、無機難燃剤および難燃性相乗剤、特に水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水酸化物およびヒ素および酸化アンチモンを含まない。
【0024】
好ましい実施態様では、組成物は、さらなる有機難燃剤、特にビスフェノール−Aジホスファートオリゴマー、レゾルシノールジホスファートオリゴマー、トリフェニルホスファート、オクタメチル−レゾルシノールジホスファートおよびテトラブロモ−ビスフェノール−Aジホスファートオリゴカーボネートを含まない。
【0025】
好ましい実施態様は、個別にまたは相互の組合せで行うことができる。
【0026】
本発明は、同様に、成形組成物の製造方法、および成形組成物の、成形製品の製造における使用、および限定されたオリゴマー分布を有する環状ホスファゼンの、本発明の組成物の製造における使用を提供する。
【0027】
本発明の成形組成物は、あらゆる種類の成形製品の製造に使用できる。成形製品は、射出成形、押出しおよび吹込み成形方法により製造できる。さらなる加工形態は、予め製造したシートまたはフィルムから、深絞りによる成形製品の製造である。
【0028】
そのような成形製品の例は、フィルム、形材、あらゆる種類のケーシング部品、例えば家庭用電気製品、例えばジュース抽出器、コーヒーマシーン、ミキサー、オフィスマシーン、例えばモニター、フラットスクリーン、ノートブック、プリンター、コピー機、シート、チューブ、電気設置用導管、窓、ドア−および建設分野向けのさらなる形材(室内用備品および屋外用途)並びにエレクトロニクスおよび電気工学用部品、例えばスイッチ、プラグおよびソケット、並びに商業的車両用、特に自動車分野における、車体構造および室内部品である。
【0029】
特に、本発明の成形組成物は、例えば下記の成形製品または成形品、即ち、鉄道車両、船舶、航空機、バスおよび他の自動車の室内仕上げ、小型トランスを含む電気装置のケーシング、情報処理および伝達用装置のケーシング、医療用装置のケーシングおよびカバー、機密保持装置用のケーシング、衛生および浴室用備品の成形品、ベンチレータ開口部用カバーグリッド、および園芸用装置のケーシングの製造に使用できる。
【0030】
成分A
本発明に好適な成分Aによる芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートは、文献中で公知であるか、または、文献中で公知の方法により製造することができる(芳香族ポリカーボネートの製造に関しては、例えばSchnell、「ポリカーボネートの化学および物理学(Chemistry and Physics of Polycarbonates)」、Interscience Publishers、1964およびDE−AS 1495626、独国特許出願公開第2232877号、第2703376号、第2714544号、第3000610号、第3832396号参照、芳香族ポリエステルカーボネートの製造に関しては、例えば独国特許出願公開第3007934号参照)。
【0031】
芳香族ポリカーボネートの製造は、例えばジフェノールと炭酸ハロゲン化物、好ましくはホスゲン、および/または芳香族ジカルボン酸ジハロゲン化物、好ましくはベンゼンジカルボン酸ジハロゲン化物の、界面プロセスにより、所望により連鎖停止剤、例えばモノフェノール、を使用し、および所望により官能性が3以上である枝分かれ剤、例えばトリフェノールまたはテトラフェノール、を使用して反応させることにより、行われる。ジフェノールと、例えばジフェニルカーボネートの反応による、溶融重合方法による製造も可能である。
【0032】
芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートを製造するためのジフェノールは、好ましくは式(I)のジフェノール:
【化2】
(式中、
Aは、単結合、C
1〜C
5アルキレン、C
2〜C
5アルキリデン、C
5〜C
6シクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO
2−、C
6〜C
12アリーレンであり、そこには所望により異原子を含むさらなる芳香族環が縮合することができ、
Bは、それぞれの場合にC
1〜C
12アルキル、好ましくはメチル、ハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素であり、
xは、それぞれ相互に独立して、0、1または2であり、
pは、1または0である。)、
または式(II)または(III)のラジカルである。
【化3】
【化4】
(式中、
R
5およびR
6は、各X
1に対して個別に選択することができ、それぞれ相互に独立して、水素またはC
1〜C
6アルキル、好ましくは水素、メチルまたはエチルであり、
X
1は、炭素であり、
mは、4〜7の整数、好ましくは4または5であるが、ただし、少なくとも一個のX
1上で、R
5およびR
6は、同時にアルキルである。)
【0033】
好ましいジフェノールは、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス−(ヒドロキシフェニル)−C
1〜C
5アルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−C
5〜C
6シクロアルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス−(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(ヒドロキシフェニル)スルホンおよびα、α−ビス−(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピル−ベンゼン、および環上で臭素化および/または塩素化された誘導体である。
【0034】
特に好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびそれらのジ−およびテトラ−臭素化または塩素化された誘導体、例えば2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンまたは2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンである。2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。ジフェノールは、それ自体で、または任意の混合物の形態で使用できる。ジフェノールは、文献中で公知であるか、または文献で公知の製法により得られる。
【0035】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートの製造に好適な連鎖停止剤は、例えばフェノール、p−クロロフェノール、p−tert−ブチルフェノールまたは2,4,6−トリブロモフェノールであるが、独国特許出願公開第2842005号による長鎖アルキルフェノール、例えば4−[2−(2,4,4−トリメチルペンチル)]−フェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)−フェノールまたはアルキル置換基中に合計8〜20個の炭素原子を有するモノアルキルフェノールもしくはジアルキルフェノール、例えば3,5−ジ−tert−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノールおよび2−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールである。使用すべき連鎖停止剤の量は、一般的に特定の場合に使用するジフェノールのモル合計に対して0.5mol%〜10mol%である。
【0036】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、平均分子量(重量平均M
w、ポリカーボネート標準によるGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)で測定)が15,000〜80,000g/mol、好ましくは19,000〜32,000g/mol、特に好ましくは22,000〜30,000g/molである。
【0037】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、公知の様式で、使用するジフェノールの合計に対して好ましくは0.05〜2.0mol%の、3以上の官能性を有する化合物、例えば3個以上のフェノール基を有する化合物、を配合することにより、枝分かれさせることができる。直鎖状ポリカーボネート、より好ましくはビスフェノールAを基剤とする化合物の使用が好ましい。
【0038】
ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートの両方が好適である。本発明による成分Aのコポリカーボネートの製造には、使用するジフェノールの総量に対して1〜25重量%、好ましくは2.5〜25重量%、のヒドロキシアリールオキシ末端基を有するポリジオルガノシロキサンを使用することもできる。これらの化合物は公知(米国特許第3419634号)であり、文献中で公知の製法により製造することができる。ポリジオルガノシロキサンを含むコポリカーボネートも好適であり、ポリジオルガノシロキサンを含むコポリカーボネートの製造は、例えば独国特許出願公開第3334782号に記載されている。
【0039】
芳香族ポリエステルカーボネートを製造するための芳香族ジカルボン酸ジハロゲン化物は、好ましくはイソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル4,4’−ジカルボン酸およびナフタレン−2,6−ジカルボン酸のジ酸ジクロライドである。
【0040】
イソフタル酸およびテレフタル酸の比1:20〜20:1のジ酸ジクロライドの混合物が特に好ましい。
【0041】
ポリエステルカーボネートの製造では、さらに炭酸ハロゲン化物、好ましくはホスゲン、を二官能性酸誘導体として同時に使用する。
【0042】
芳香族ポリエステルカーボネートを製造するための好適な連鎖停止剤は、すでに述べたモノフェノールに加えて、そのクロロ炭酸エステルおよび芳香族モノカルボン酸の酸塩化物であり、芳香族モノカルボン酸は、所望によりC
1〜C
22アルキル基またはハロゲン原子により置換されていてよい、並びに脂肪族C
2〜C
22モノカルボン酸クロライドである。
【0043】
v連鎖停止剤の量は、フェノール系連鎖停止剤の場合、ジフェノールのモルに対して、モノカルボン酸クロライド連鎖停止剤の場合、ジカルボン酸ジクロライドのモルに対して、それぞれの場合に0.1〜10mol%である。
【0044】
芳香族ポリエステルカーボネートの製造には、一種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸をさらに使用できる。
【0045】
芳香族ポリエステルカーボネートは、公知の様式(これに関して独国特許出願公開第2940024号および独国特許出願公開第3007934号参照)で直鎖状および分岐鎖状の両方でよいが、直鎖状ポリエステルカーボネートが好ましい。
【0046】
枝分かれ剤として、例えば3以上の官能性を有するカルボン酸クロライド、例えばトリメシン酸トリクロライド、シアヌル酸トリクロライド、3,3’−,4,4’−ベンゾフェノン−テトラカルボン酸テトラクロライド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸テトラクロライドまたはピロメリト酸テトラクロライド、を0.01〜1.0mol%(使用するジカルボン酸ジクロライドに対して)、または3以上の官能性を有するフェノール、例えばフロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6,−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタ−2−エン、4,6−ジメチル−2,4,6,−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシ−フェニル)−シクロヘキシル]−プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェノール、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンジル)−4−メチル−フェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、テトラ−(4−[4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル]−フェノキシ)−メタン、1,4−ビス[4,4’−ジヒドロキシトリフェニル)−メチル]ベンゼン、を、使用するジフェノールに対して、0.01〜1.0mol%で使用することができる。フェノール系枝分かれ剤は、ジフェノールと共に容器の中に入れることができ、酸塩化物枝分かれ剤は、酸ジクロライドと共に導入することができる。
【0047】
熱可塑性芳香族ポリエステルカーボネートにおけるカーボネート構造単位の含有量は、任意に変えることができる。カーボネート基の含有量は、エステル基およびカーボネート基の合計に対して、好ましくは100mol%まで、特に80mol%まで、特に好ましくは50mol%までである。芳香族ポリエステルカーボネートに含まれるエステルおよびカーボネートの両方共、重縮合生成物中に、ブロックの形態で、または不規則に分布して存在することができる。
【0048】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは、それら自体で、または任意の混合物で使用できる。
【0049】
成分B
成分Bは、成分B1およびB2を、好ましくは下記の量で、即ち、それぞれの場合に成分Bに対して、
B1 0〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、特に好ましくは10〜30重量%、
B2 50〜100重量%、好ましくは55〜90重量%、特に好ましくは70〜90重量%
を含んでなる。
【0050】
成分B1
成分B1は、エマルション重合方法により製造された、好ましい実施態様では、
B1.1)成分B1に対して、5〜95重量%、好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは20〜60重量%の
B1.1.1)B1.1に対して65〜85重量%、好ましくは70〜80重量%、の、ビニル芳香族化合物(例えばスチレン、α−メチルスチレン)、環上で置換されたビニル芳香族化合物(例えばp−メチルスチレン、p−クロロスチレン)およびメタクリル酸(C1〜C8)−アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート)の群から選択された少なくとも一種のモノマー、および
B1.1.2)B1.1に対して15〜35重量%、好ましくは20〜30重量%、の、シアン化ビニル(例えば、不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)、(メタ)アクリル酸(C1〜C8)−アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート)および不飽和カルボン酸の誘導体(例えば酸無水物およびイミド)(例えば無水マレイン酸およびN−フェニル−マレイミド)の群から選択された少なくとも一種モノマー、
の混合物の
B1.2)成分B1に対して、95〜5重量%、好ましくは90〜30重量%、特に好ましくは80〜40重量%の少なくとも一種のエラストマー状グラフトベース
上へのグラフト重合体である。
【0051】
グラフトベースは、ガラス転移温度が好ましくは<0℃、より好ましくは<−20℃、特に好ましくは<−60℃である。
【0052】
本発明で他に指示が無い限り、ガラス転移温度は、標準DIN EN 61006により示差走査熱量測定(DSC)により、加熱速度10K/minで、中間点温度(正接法)としてTgの定義で、保護ガスとして窒素を使用して測定する。
【0053】
成分B1におけるグラフト粒子は、好ましくは平均粒子径(d
50値)が0.05〜5μm、好ましくは0.1〜1.0μm、特に好ましくは0.2〜0.5μmである。
【0054】
平均粒子径d
50は、それぞれの場合に粒子の50重量%が、それを超えるおよびそれ未満である直径である。本願で他に指示が無い限り、平均粒子径は、超遠心機測定により決定できる(W.Scholtan, H.Lange, Kolloid, Z.und Z.Plymere 250(1972), 782−1796)。
【0055】
好ましいモノマーB1.1.1は、モノマーのスチレン、α−メチルスチレンおよびメチルメタクリレートの少なくとも一種から選択し、好ましいモノマーB1.1.2は、モノマーのアクリロニトリル、無水マレイン酸およびメチルメタクリレートの少なくとも一種から選択する。
【0056】
特に好ましいモノマーは、B1.1.1スチレンおよびB1.1.2アクリロニトリルである。
【0057】
グラフト重合体B1に好適なグラフトベースB1.2は、例えばジエンゴム、ジエン−ビニルブロック共重合体ゴム、EP(D)Mゴム、即ちエチレン/プロピレンおよび所望によりジエンを基剤とするゴム、アクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレンおよびエチレン/酢酸ビニルゴム、並びにそのようなゴムの混合物、またはシリコーンおよびアクリレート成分が化学的に一つに連結している(例えばグラフト化により)シリコーン−アクリレート複合体ゴムである。
【0058】
好ましいグラフトベースB1.2は、ジエンゴム(例えばブタジエンまたはイソプレンを基剤とする)、ジエン−ビニルブロック共重合体ゴム(例えばブタジエンおよびスチレンブロックを基剤とする)、ジエンゴムとさらなる共重合可能なモノマー (例えばB1.1.1およびB1.1.2による) の共重合体および上記ゴムの種類の混合物である。純粋なポリブタジエンゴムおよびスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムが特に好ましい。
【0059】
グラフト重合体のゲル含有量は、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%(アセトン中で測定)である。
【0060】
本発明で他に指示が無い限り、グラフト重合体のゲル含有量は、溶剤としてのアセトンに不溶な画分として25℃で測定する(M.Hoffmann, H.Kroemer, R.Kuhn, Polymeranalytik I und II, Georg Thieme−Verlag, Stuttgart 1977)。
【0061】
グラフト重合体B1は、ラジカル重合により製造する。
【0062】
グラフト重合体B1は、一般的に、その製造の結果、B1.1.1およびB1.1.2の遊離共重合体、即ちゴムベースに化学的に結合していない共重合体、を含んでなり、好適な溶剤(例えばアセトン)に溶解し得るという事実により区別される。
【0063】
成分B1は、好ましくは、B1.1.1およびB1.1.2の遊離共重合体を含んでなり、これは、標準としてポリスチレンによるゲル透過クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量(M
w)が好ましくは30,000〜150,000g/mol、特に好ましくは40,000〜120,000g/molである。
【0064】
成分B2
本発明の組成物は、所望により成分B2として、塊状、溶液または懸濁重合方法により製造されたグラフト重合体を含むことができる。好ましい実施態様では、これらの重合体は、
B2.1)成分B2に対して5〜95重量%、好ましくは80〜93重量%、特に好ましくは85〜92重量%、最も好ましくは87〜93重量%の
B2.1.1)混合物B2.1に対して65〜85重量%、好ましくは70〜80重量%、のビニル芳香族化合物(例えばスチレン、α−メチルスチレン)、環上で置換されたビニル芳香族化合物(例えばp−メチルスチレン、p−クロロスチレン)およびメタクリル酸(C1〜C8)−アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート)の群から選択された少なくとも一種のモノマーおよび
B2.1.2)混合物B2.1に対して15〜35重量%、好ましくは20〜30重量%、のシアン化ビニル(例えば不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)、(メタ)アクリル酸(C1〜C8)−アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート)および不飽和カルボン酸の誘導体(例えば酸無水物およびイミド)(例えば無水マレイン酸およびN−フェニル−マレイミド)の群から選択された少なくとも一種のモノマー
の混合物の、
B2.2)成分B2に対して95〜5重量%、好ましくは20〜7重量%、特に好ましくは15〜8重量%、最も好ましくは13〜7重量%
の少なくとも一種のグラフトベース上のグラフト重合体である。
【0065】
グラフトベースは、ガラス転移温度が、好ましくは<0℃、より好ましくは<−20℃、特に好ましくは<−60℃である。
【0066】
成分B2におけるグラフト粒子は、好ましくは平均粒子径(d
50値)が0.1〜10μm、好ましくは0.2〜2μm、特に好ましくは0.3〜1.0μm、最も好ましくは0.3〜0.6μmである。
【0067】
好ましいモノマーB2.1.1は、モノマーのスチレン、α−メチルスチレンおよびメチルメタクリレートの少なくとも一種から選択され、好ましいモノマーB2.1.2は、モノマーのアクリロニトリル、無水マレイン酸およびメチルメタクリレートの少なくとも一種から選択される。
【0068】
特に好ましい単量体は、B2.1.1スチレンおよびB2.1.2アクリロニトリルである。
【0069】
グラフト重合体B2に好適なグラフトベースB2.2は、例えばジエンゴム、ジエン−ビニルブロック共重合体ゴム、EP(D)Mゴム、即ちエチレン/プロピレンを基剤とするゴムおよびそのようなゴムの混合物である。
【0070】
好ましいグラフトベースB2.2は、ジエンゴム(例えばブタジエンまたはイソプレンを基剤とする)、ジエン−ビニルブロック共重合体ゴム(例えばブタジエンおよびスチレンブロックを基剤とする)、ジエンゴムとさらなる共重合可能なモノマー (例えばB2.1.1およびB2.1.2による) の共重合体および上記ゴムの種類の混合物である。スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムおよびスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムと純粋なポリブタジエンゴムの混合物がグラフトベースB2.2として特に好ましい。
【0071】
グラフト重合体B2のゲル含有量は、好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは15〜30重量%、最も好ましくは17〜23重量%(アセトン中で測定)である。
【0072】
特に好ましい重合体B2は、例えばラジカル重合により製造されたABS重合体であり、好ましい実施態様では、それぞれの場合にグラフト重合体B2に対して10重量%まで、特に好ましくは5重量%まで、特に好ましくは2〜5重量%のn−ブチルアクリレートを含んでなる。
【0073】
グラフト重合体B2は、一般的に、製造の結果、B2.1.1およびB2.1.2の遊離共重合体、即ちゴムベースに化学的に結合していない共重合体、を含んでなり、好適な溶剤(例えばアセトン)に溶解し得るという事実により区別される。
【0074】
成分B2は、好ましくは、B2.1.1およびB2.1.2の、標準としてポリスチレンによるゲル透過クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量(M
w)が、好ましくは50,000〜200,000g/mol、特に好ましくは70,000〜150,000g/mol、特に好ましくは80,000〜120,000g/molである遊離共重合体を含んでなる。
【0075】
成分C
本発明で使用する成分Cによるホスファゼンは、式(X)による環状ホスファゼンである。
【化5】
(式中、
Rは、それぞれの場合に、同一であるか、または異なるものであって、
−アミンラジカル、
−C
1〜C
8アルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピルまたはブチル、それぞれ所望によりハロゲン化、好ましくはフッ素でハロゲン化されている、より好ましくはモノハロゲン化されている、
−C
1〜C
8アルコキシ、好ましくはメトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシ、
−C
5〜C
6シクロアルキル、それぞれ所望によりアルキル、好ましくはC
1〜C
4アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素により置換されている、
−C
6〜C
20アリールオキシ、好ましくはフェノキシ、ナフチルオキシ、それぞれ所望によりアルキル、好ましくはC
1〜C
4アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素、臭素および/またはヒドロキシにより置換されている、
−C
7〜C
12アラルキル、好ましくはフェニル−C
1〜C
4アルキル、それぞれ所望によりアルキル、好ましくはC
1〜C
4アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素により置換されている、または
−ハロゲンラジカル、好ましくは塩素またはフッ素、または
−OHラジカルを表し、
kは、上記の意味を有する。)
【0076】
プロポキシホスファゼン、フェノキシホスファゼン、メチルフェノキシホスファゼン、アミノホスファゼンおよびフルオロアルキルホスファゼン、並びに下記の構造を有するホスファゼンが、好ましい。
【化6】
上記の化合物中、k=1、2または3である。
【0077】
k=1(Cl)のオリゴマー含有量60〜98mol%を有するフェノキシホスファゼン(全てのR=フェノキシ)が好ましい。
【化7】
【0078】
式(X)のホスファゼンが、例えば不完全反応した出発材料から生じた、リン上でハロ−置換されている場合、このリン上でハロ−置換されたホスファゼンの含有量は、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは500ppm未満である。
【0079】
ホスファゼンは、それ自体で使用できるか、または混合物の形態でも使用できる、即ち、ラジカルRは、同一であるか、または式(X)中の2個以上のラジカルが異なっていてもよい。ホスファゼンのラジカルRは、好ましくは同一である。
【0080】
さらなる好ましい実施態様では、同一のRを有するホスファゼンだけを使用する。好ましい実施態様では、四量体(k=2)(C2) の含有量は、成分Cに対して、2〜50mol%、より好ましくは5〜40mol%、さらに好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは10〜20mol%である。
【0081】
好ましい実施態様では、より高級のオリゴマー状ホスファゼン(k=3、4、5、6および7)(C3)の含有量は、成分Cに対して、0〜30mol%、より好ましくは2.5〜25mol%、さらに好ましくは5〜20mol%、特に好ましくは6〜15mol%である。
【0082】
好ましい実施態様では、k>=8(C4)のオリゴマーの含有量は、成分Cに対して、0〜2.0mol%、好ましくは0.10〜1.00mol%である。
【0083】
さらなる好ましい実施態様では、成分Cのホスファゼンは、含有量(C2〜C4)に関して上記の3条件全てを満たす。
【0084】
成分Cは、好ましくはフェノキシホスファゼンの三量体含有量(k=1)が、成分Cに対して、65〜85mol%、四量体含有量(k=2)が10〜20mol%、より高級なオリゴマー状ホスファゼン(k=3、4、5、6および7)の含有量が5〜20mol%、およびk>=8のホスファゼンオリゴマーの含有量が、0〜2mol%である。
【0085】
成分Cは、特に好ましくはフェノキシホスファゼンの三量体含有量(k=1)が、成分Cに対して、70〜85mol%、四量体含有量(k=2)が10〜20mol%、より高級なオリゴマー状ホスファゼン(k=3、4、5、6および7)の含有量が6〜15mol%、およびk>=8のホスファゼンオリゴマーの含有量が、0.1〜1mol%である。
【0086】
さらなる特に好ましい実施態様では、成分Cは、フェノキシホスファゼンの三量体含有量(k=1)が、成分Cに対して、65〜85mol%、四量体含有量(k=2)が10〜20mol%、より高級なオリゴマー状ホスファゼン(k=3、4、5、6および7)の含有量が5〜15mol%、およびk>=8のホスファゼンオリゴマーの含有量が、0〜1mol%である。
【0087】
nは、下記の式によるkの秤量した算術平均である。
【数1】
(式中、x
iは、オリゴマーk
iの含有量であり、従って、全てのx
iの合計は1である。)
【0088】
代わりの実施態様では、nは、1.10〜1.75、好ましくは1.15〜1.50、より好ましくは1.20〜1.45、特に好ましくは1.20〜1.40(範囲の限界を含む)の範囲内である。
【0089】
ホスファゼンおよびそれらの製造は、例えば欧州特許出願公開第728811号、独国特許出願公開第1961668号および国際公開第97/40092号パンフレットに記載されている。
【0090】
ブレンド試料中のホスファゼンのオリゴマー組成物は、配合後、
31PNMR(化学シフト、δ三量体6.5〜10.0ppm、δ四量体−10〜−13.5ppm、δより高級なオリゴマー−16.5〜−25.0ppm)によっても検出および定量できる。
【0091】
成分D
成分Dは、一種以上の熱可塑性ビニル(共)重合体またはポリアルキレンテレフタレートを含んでなる。
【0092】
ビニル(共)重合体Dとしては、ビニル芳香族化合物、ビニルシアン化物(不飽和ニトリル)、(メタ)アクリル酸(C
1〜C
8)−アルキルエステル、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体(酸無水物およびイミド)の群からの少なくとも一種のモノマーの重合体が好適である。特に好適なのは、
D.1 50〜99重量部、好ましくは60〜80重量部のビニル芳香族化合物および/または環上で置換されたビニル芳香族化合物(例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン)および/または(メタ)アクリル酸(C
1〜C
8)−アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート)、および
D.2 1〜50重量部、好ましくは20〜40重量部のビニルシアン化物(不飽和ニトリル)、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、および/または(メタ)アクリル酸(C
1〜C
8)−アルキルエステル、例えばメチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、および/または不飽和カルボン酸、例えばマレイン酸、および/または不飽和カルボン酸の誘導体、例えば酸無水物およびイミド(例えば無水マレイン酸およびN−フェニルマレイミド)
の(共)重合体である。
【0093】
ビニル(共)重合体Dは、樹脂状で熱可塑性であり、ゴムを含まない。D.1スチレンとD.2アクリロニトリルの共重合体が特に好ましい。
【0094】
Dの(共)重合体は、公知であり、ラジカル重合、特にエマルション、懸濁、溶液または塊状重合、により製造できる。(共)重合体は、好ましくは平均分子量M
w(重量平均、光散乱または沈降により測定)が15,000〜200,000g/mol、特に好ましくは100,000〜150,000g/molである。
【0095】
特に好ましい実施態様では、Dは、77重量%スチレンおよび23重量%アクリロニトリルの、重量平均分子量M
wが130,000g/molの共重合体である。
【0096】
好適な成分Dとして、本組成物は、本発明により、一種類の、または二種以上の異なったポリアルキレンテレフタレートの混合物を含んでなる。
【0097】
本発明の範囲内のポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸(またはその反応性誘導体、例えばジメチルエステルまたは酸無水物)およびアルカンジオール、環状脂肪族または芳香脂肪族ジオールおよびそれらの混合物、例えばプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールおよびシクロヘキシルジメタノール、から誘導されたポリアルキレンテレフタレートであり、本発明のジオール成分が3個以上の炭素原子を含む。従って、成分Dとして、好ましくはポリブチレンテレフタレートおよび/またはポリトリメチレンテレフタレート、最も好ましくはポリブチレンテレフタレートを使用する。
【0098】
本発明のポリアルキレンテレフタレートは、ジ酸のモノマーとして、5重量%までのイソフタル酸も含んでなる。
【0099】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、公知の方法により、テレフタル酸(またはその反応性誘導体)および3〜21個の炭素原子を有する脂肪族または環状脂肪族ジオールから製造することができる(Kunststoff−Handbuch, Vol. VIII, P.695 ff, Karl−Hanser−Verlag, Munich 1973)。
【0100】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、ジオール成分に対して少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも90mol%の1,3−プロパンジオールおよび/または1,4−ブタンジオールラジカルを含んでなる。
【0101】
テレフタル酸ラジカルと共に、好ましいポリアルキレンテレフタレートは、20mol%までの、8〜14個の炭素原子を有する他の芳香族ジカルボン酸の、または4〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸のラジカル、例えばフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シクロヘキサンジ酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸のラジカルを含むことができる。
【0102】
1,3−プロパンジオールまたは1,4−ブタンジオールと共に、好ましいポリアルキレンテレフタレートは、20mol%までの、3〜12個の炭素原子を有する他の脂肪族ジオール、または6〜21個の炭素原子を有する環状脂肪族ジオール、例えば1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールおよび2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,4−ジ−(β−ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラ−メチル−シクロブタン、2,2−ビス−(3−β−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシ−フェニル)−プロパンのラジカル(独国特許出願公開第2407674号、第2407776号、第2715932号)を含むことができる。
【0103】
ポリアルキレンテレフタレートは、例えば独国特許出願公開第1900270号および米国特許出願公開第3692744号に記載されているように、比較的少量の三価または四価のアルコールもしくは三または四塩基性カルボン酸を配合することにより、分岐させることができる。好ましい枝分かれ剤の例は、トリメシン酸、トリメリト酸、トリメチルロールーエタンおよび−プロパンおよびペンタエリトリトールである。
【0104】
酸成分に対して、1mol%以下の枝分かれ剤を使用することが推奨される。
【0105】
テレフタル酸からのみ、またはその反応性誘導体(例えばそのジアルキルエステル、例えばジメチルテレフタレート)および1,3−プロパンジオールおよび/または1,4−ブタンジオールから製造されたポリアルキレンテレフタレート(ポリプロピレンおよびポリブチレンテレフタレート)およびそのようなポリアルキレンテレフタレートの混合物が特に好ましい。
【0106】
上記の酸成分の少なくとも2種類から、および/または上記のアルコール成分の少なくとも2種類から製造されたコポリエステルも、好ましいポリアルキレンテレフタレートであり、特に好ましいコポリエステルは、ポリ−(1,3−プロピレングリコール/1,4−ブタンジオール)テレフタレートである。
【0107】
ポリアルキレンテレフタレートは、それぞれの場合にフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1重量部)中で25℃で測定して、一般的に固有粘度が約0.4〜1.5dl/g、好ましくは0.5〜1.3dl/gである。
【0108】
代わりの実施態様では、本発明により製造されたポリエステルは、他のポリエステルおよび/またはさらなる重合体との混合物でも使用することができ、ポリアルキレンテレフタレートと他のポリエステルの混合物が好ましい。
【0109】
さらなる添加剤E
組成物は、さらなる従来の重合体添加剤、例えば滴防止剤以外の難燃性相乗剤、潤滑剤および離型剤(例えばペンタエリトリトールテトラステアレート)、核形成剤、安定剤(例えばUV/光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、エステル交換反応防止剤、加水分解安定剤)、帯電防止剤(例えば導電性ブラック、カーボン繊維、カーボンナノチューブ並びに有機帯電防止剤、例えばポリアルキレンエーテル、アルキルスルホネートまたはポリアミド含有重合体)並びに着色剤、顔料、充填剤および補強材料、特にガラス繊維、鉱物補強材料および炭素繊維を含むことができる。
【0110】
好ましくは、安定剤として、立体障害フェノールおよびホスファイトまたはそれらの混合物、例えばIrganox(登録商標)B900(Ciba Speciality Cemicals)、を使用する。ペンタエリトリトールテトラステアレートは、好ましくは離型剤として使用する。カーボンブラックは、さらに黒色顔料として使用する(例えばBlackpearls)。
【0111】
所望により使用するさらなる添加剤を含んでなると共に、特に好ましい成形組成物は、成分Eとして離型剤を、特に好ましくはペンタエリトリトールテトラステアレートを、0.1〜1.5重量部、好ましくは0.2〜1.0重量部、特に好ましくは0.3〜0.8重量部の量で含んでなる。
【0112】
所望により使用するさらなる添加剤を含んでなると共に、特に好ましい成形組成物は、成分Eとして少なくとも一種の安定剤、例えば立体障害フェノール、ホスファイトおよびそれらの混合物の群から選択された、および特に好ましくはIrganox(登録商標)B900を、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.03〜0.4重量部、特に好ましくは0.06〜0.3重量部の量で含んでなる。
【0113】
PTFE(成分F)、ペンタエリトリトールテトラステアレートおよびIrganox B900と、成分C)としてリンを基剤とする難燃剤の組合せも特に好ましい。
【0114】
成分F
滴防止剤として、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはPTFE含有組成物、例えばPTFEと、スチレン−またはメチルメタクリレート含有重合体もしくは共重合体の、粉体形態の、または例えば成分Bと凝固した混合物の形態のマスターバッチ、を使用する。
【0115】
滴防止剤として使用するフッ素化ポリオレフィンは、高分子量を有し、−30℃を超える、一般的に100℃を超えるガラス転移温度を有し、フッ素含有量が好ましくは65〜76重量%、特に70〜76重量%であり、平均粒子径d
50が0.05〜1000μm、好ましくは0.08〜20μmである。一般的に、フッ素化ポリオレフィンは、密度が1.2〜2.3g/cm
3である。好ましいフッ素化ポリオレフィンは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンおよびエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体である。フッ素化ポリオレフィンは公知である(Schildknechtによる「ビニルおよび関連する重合体(Vinyl and Related Polymer)」、John Wiley & Sons, Inc., New York, 1962, 頁484−494、Wallによる「フルオロ重合体(Fluorpolymers)」、Wiley−Interscience, John Wiley & Sons, Inc., New York, Volume 13, 1970、頁623−654、「最新プラスチック事典(Modern Plastics Encyclopedia)」、1970−1971,Volume 47, No. 10A, 1970年10月、McGraw−Hill, Inc., New York, 頁27、28および472およびUS−PS 3671487、3723373および3838092参照)。
【0116】
フッ素化ポリオレフィンは、公知の方法により、例えば水性媒体中でテトラフルオロエチレンを、フリーラジカル形成触媒、例えばナトリウム、カリウムまたはアンモニアペルオキソジサルフェート、で、圧力7〜71kg/cm
2および温度0〜200℃、好ましくは温度20〜100℃で重合させることにより製造できる(さらなる詳細に関しては、例えば米国特許第2393967号参照)。フッ素化ポリオレフィンが使用される形態に応じて、これらの材料の密度は、1.2〜2.3g/cm
3でよく、平均粒子径は、0.05〜1000μmでよい。
【0117】
本発明で好ましいフッ素化ポリオレフィンは、平均粒子径が0.05〜20μm、好ましくは0.08〜10μm、密度が1.2〜1.9g/cm
3である。
【0118】
粉体形態で使用できる好適なフッ素化ポリオレフィンFは、平均粒子径が100〜1000μmで、密度が2.0g/cm
3〜2.3g/cm
3であるテトラフルオロエチレン重合体である。好適なテトラフルオロエチレン重合体粉体は、市販製品であり、例えばDuPontにより商品名テフロン(登録商標)で供給されている。
【0119】
所望により使用するさらなる添加剤と共に、特に好ましい難燃性組成物は、成分Fとして、フッ素化ポリオレフィンを、0.05〜5.0重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部、特に好ましくは0.1〜1.0重量部の量で含んでなる。
【実施例】
【0120】
以下に記載する例により、本発明をさらに説明する。
【0121】
成分A
ビスフェノールAを基剤とする直鎖状ポリカーボネート、重量平均分子量M
w27,500g/mol(標準としてポリカーボネートで、ジクロロメタン中でGPCにより測定)
【0122】
成分B1
ABSグラフト重合体、ABS重合体に対して、アクリロニトリル27重量%およびスチレン73重量%の混合物43重量%を、ABS重合体に対して、粒子状架橋したポリブタジエンゴム(平均粒子径d
50=0.35μm)57重量%の存在下でエマルション重合により製造。
【0123】
成分B2
A:B:S比21:10:65重量%およびn−ブチルアクリレート含有量4重量%で、塊状重合により製造した、ABSタイプのn−ブチル−アクリレート変性したグラフト重合体。超遠心により測定したグラフト粒子直径のd
50値は0.5μmである。グラフト重合体の基となるグラフトベースは、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(SBR)である。アセトン中で測定したグラフト重合体のゲル含有量は、20重量%である。ポリスチレンを標準として、ジメチルホルムアミド中、20℃でGPCにより測定した、遊離n−ブチル−アクリレート変性したSAN、即ちゴムに化学的に結合していない、またはゴム粒子中にある、アセトンに不溶な形態のSAN、の重量平均分子量M
wは、110kg/molである。
【0124】
成分C
式(XI)の、k=1のオリゴマー含有量70mol%、k=2のオリゴマー含有量18mol%、およびk≧3のオリゴマー含有量12mol%を有するフェノキシホスファゼン。
【化8】
【0125】
成分E1
潤滑剤/離型剤としてのペンタエリトリトールテトラステアレート。
【0126】
成分E2
熱安定剤Irganox(登録商標)B900(80%Irgafos(登録商標)168および20%Irganox(登録商標)1076の混合物、BASF AG、Ludwigshafen/Irgafos(登録商標)168(トリス(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)ホスファイト)/Irganox(登録商標)1076(2,6−ジ−tert−ブチル−4−(オクタデカノキシカルボニルエチル)フェノール)
【0127】
成分F
ポリテトラフルオロエチレン粉体、CFP 6000 N、DuPont
【0128】
成形組成物の製造および試験
表1に挙げた物質を、速度225rpmおよび処理量20kg/h、機械温度260℃、双軸スクリュー押出機(ZSK−25)(Werner und Pfleiderer)で配合し、造粒した。
【0129】
完成した顆粒を、射出成形機械で、対応する試験試料(溶融温度240℃、工具温度80℃、流動フロント速度240mm/s)に加工した。
【0130】
材料の特性を試験するために、下記の方法を使用した。
【0131】
IZODノッチ付き衝撃強さは、ISO 180/1Aにより、寸法80mmx10mmx4mmの片側でオーバー成形した試験バーで測定した。
【0132】
引張弾性率は、ISO 527により、170mmx10mmx4mmの肩付き試験バーで測定した。
【0133】
熱変形耐性は、ISO 306(Vicat軟化温度、方法B、50N負荷、加熱速度120K/h)により、寸法80mmx10mmx4mmの片側でオーバー成形した試験バーで測定した。
【0134】
流動性は、ISO 11443(融成物粘度)で測定した。
【0135】
融成物流動性は、ISO 1133により、温度260℃、ダイ負荷5kgで測定した、融成物体積流量(MVR)を基にして評価した。
【0136】
調製した組成物の加水分解安定性の尺度として、顆粒を7日間95℃、相対湿度100%で貯蔵(「FWL貯蔵」)に対して、ISO 1133により、温度260℃、ダイ負荷5kgで測定したMVRの変化を使用した。対応する貯蔵前のMVR値と比較して、MVR値の増加をΔMVR(加水分解)として計算したが、これは、下記の式により定義される。
MVR(FWL貯蔵後)−MVR(貯蔵前)
ΔMVR(加水分解)=―――――――――――――――――――・100%
MVR(貯蔵前)
【0137】
火中の挙動は、UL 94Vにより、127x12.7x1.5mmのバーに対して測定した。
【0138】
表1から、例1、2および3の、塊状重合法により製造した、ABSの総量に対して100%〜58%ABSの組成物は、本発明の目的、即ち良好なノッチ付き衝撃強さ、温度安定性、弾性率、流動性(1000s
−1で<300Pas)および加水分解安定性(7d/95℃/100%相対湿度で貯蔵後の、MVR260℃/5kgの出発値からの偏差<50%)の組合せを有し、1.5mmでUL 94V−0区分を達成したことが明らかである。
【0139】
【表1】