特許第6396317号(P6396317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6396317制御リングを含む、選択可能なモータ駆動制御及び手動制御を有する円形ステープラ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396317
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】制御リングを含む、選択可能なモータ駆動制御及び手動制御を有する円形ステープラ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   A61B17/115
【請求項の数】16
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2015-548030(P2015-548030)
(86)(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公表番号】特表2016-500302(P2016-500302A)
(43)【公表日】2016年1月12日
(86)【国際出願番号】US2013075242
(87)【国際公開番号】WO2014099703
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】13/716,313
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】スウェイズ・ジェフリー・エス
(72)【発明者】
【氏名】バクスター・ザ・サード・チェスター・オー
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン・グレゴリー・ダブリュ
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−112783(JP,A)
【文献】 特開2011−078773(JP,A)
【文献】 特開2009−106752(JP,A)
【文献】 特表2004−532704(JP,A)
【文献】 特開2007−216012(JP,A)
【文献】 特開2009−112795(JP,A)
【文献】 特開2012−170820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織をステープル留めするための円形の外科用ステープラであって、
(a)ステープル留めヘッドアセンブリであって、前記ステープル留めヘッドアセンブリは、
(i)組織をアンビルに当ててクランプするように動作可能である閉鎖アセンブリ、及び
(ii)少なくとも1つのステープルを、前記アンビルに向かって、組織を貫通させて打ち込むように動作可能である発射アセンブリ
を含む、ステープル留めヘッドアセンブリと、
(b)前記ステープル留めヘッドアセンブリと連絡した回転駆動軸と、
(c)前記回転駆動軸に結合される本体アセンブリであって、前記本体アセンブリは、組織クランプモードと発射モードとの間で選択を行うように動作可能であるモード選択器を含み、前記回転駆動軸は、前記組織クランプモードの選択に応じて前記閉鎖アセンブリを作動させるように動作可能であり、前記回転駆動軸は、前記発射モードの選択に応じて前記発射アセンブリを作動させるように動作可能である、本体アセンブリと、
を備え、
前記本体アセンブリがハウジングを更に含み、前記モード選択器が、前記本体アセンブリの前記ハウジングに対して移動可能な環状部材を含み、
前記本体アセンブリの前記ハウジングが複数のスロットを更に画定し、前記モード選択器が、前記環状部材から突出するピン部材を更に含み、前記ピン部材は、前記モード選択器によるモード選択中に前記複数のスロットを横断するように構成される、ステープラ。
【請求項2】
前記モード選択器が、前記組織クランプモードと前記発射モードとの間で選択を行うために、前記回転駆動軸を第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間で並進させるように動作可能である、請求項1に記載のステープラ。
【請求項3】
前記モード選択器が近位位置と遠位位置との間で移動可能であり、前記近位位置は前記発射モードに関連付けられ、前記遠位位置は前記組織クランプモードに関連付けられる、請求項1に記載のステープラ。
【請求項4】
前記モード選択器が、前記アンビルを前記ステープル留めヘッドアセンブリに対して閉じるべく前記回転駆動軸の回転をトリガするために、第1の方向に回転可能である、請求項に記載のステープラ。
【請求項5】
前記モード選択器が、前記アンビルを前記ステープル留めヘッドアセンブリに対して開くべく前記回転駆動軸の回転をトリガするために、第2の方向に回転可能である、請求項に記載のステープラ。
【請求項6】
前記モード選択器が、前記少なくとも1つのステープルを、前記ステープル留めヘッドアセンブリから前記アンビルに向かって、組織を貫通させて打ち込むべく前記回転駆動軸の回転をトリガするために、第1の方向に回転可能である、請求項に記載のステープラ。
【請求項7】
前記発射アセンブリが、ナイフを、組織を貫通させて打ち込むように更に動作可能である、請求項1に記載のステープラ。
【請求項8】
前記本体アセンブリがスイッチを含み、前記スイッチは、前記ステープル留めヘッドアセンブリを選択的に稼動するように構成され、前記スイッチは、前記モード選択器の回転に応じて稼動されるように位置付けられる、請求項1に記載のステープラ。
【請求項9】
モータを更に備え、前記モータは前記回転駆動軸を駆動するように動作可能である、請求項1に記載のステープラ。
【請求項10】
前記回転駆動軸の手動回転を提供するために前記モータを前記回転駆動軸から選択的に係合解除するように動作可能である手動動作選択器を更に備える、請求項に記載のステープラ。
【請求項11】
制御アセンブリを更に備え、前記制御アセンブリは、
(i)前記ステープル留めヘッドアセンブリの動作に関連付けられた1つ又は2つ以上の状態を検知するように構成されるセンサ、及び
(ii)前記センサ及び前記モータと通信している制御モジュールであって、前記制御モジュールは、前記センサからの信号に少なくとも一部基づき前記モータの動作を制御するように動作可能である、制御モジュール
を含む、請求項に記載のステープラ。
【請求項12】
(a)フィードバック機構であって、前記フィードバック機構は、前記ステープル留めヘッドアセンブリの動作に関連付けられた状態を指示するために音声フィードバック又は視覚フィードバックのうちの1つ又は両方を操作者に提供するように動作可能である、フィードバック機構と、
(b)制御アセンブリであって、
(i)前記ステープル留めヘッドアセンブリの動作に関連付けられた1つ又は2つ以上の状態を検知するように構成されるセンサ、及び
(ii)前記センサ及び前記フィードバック機構と通信している制御モジュールであって、前記制御モジュールは、前記センサからの信号に少なくとも一部基づき前記フィードバック機構を駆動するように動作可能である、制御モジュール、
を含む、制御アセンブリと、
を更に備える、請求項1に記載のステープラ。
【請求項13】
前記ステープラが、手動動作モードとモータ駆動動作モードとの間で切り換わるように構成され、前記制御アセンブリが、前記手動動作モードが選択されているのか、それとも前記モータ駆動動作モードが選択されているのかを指示するために前記フィードバック機構を駆動するように動作可能である、請求項12に記載のステープラ。
【請求項14】
前記制御アセンブリが、前記組織クランプモードが選択されているのか、それとも前記発射モードが選択されているのかを指示するために前記フィードバック機構を駆動するように動作可能である、請求項12に記載のステープラ。
【請求項15】
前記制御アセンブリが、前記アンビルと前記ステープル留めヘッドアセンブリとの間の距離を指示するために前記フィードバック機構を駆動するように動作可能である、請求項12に記載のステープラ。
【請求項16】
前記本体アセンブリがハンドルを画定する、請求項1に記載のステープラ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
いくつかの環境では、外科医は、患者の開口部を通して外科用器具を位置付け、この器具を使用して、患者の体内で組織を調節する、位置付ける、取付ける、及び/又は別の方法で組織との相互作用を求めることがある。例えば、いくつかの外科処置では、望ましくない組織を排除するか又は他の理由で、胃腸管の部分を切り離し除去することがある。一旦所望の組織を除去すると、残りの部分を互いに再結合することが必要になる場合がある。これらの吻合処置を達成するための1つのかかる用具は、患者の開口部を通して挿入される円形ステープラである。
【0002】
円形の外科用ステープラの例としては、「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」と題される1993年4月27日に発行された米国特許第5,205,459号、「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」と題される1993年12月21日に発行された米国特許第5,271,544号、「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」と題される1994年1月4日に発行された米国特許第5,275,322号、「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」と題される1994年2月15日に発行された米国特許第5,285,945号、「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」と題される1994年3月8日に発行された米国特許第5,292,053号、「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」と題される1994年8月2日に発行された米国特許第5,333,773号、「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」と題される1994年9月27日に発行された米国特許第5,350,104号、及び「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」と題される1996年7月9日に発行された米国特許第5,533,661号に記載されているものが挙げられる。これらの米国特許のそれぞれの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。かかるステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、ステープルを、組織層を貫通させて打ち込むことによって、切断された端部付近で切断された組織層をともに実質的に封止するように動作可能であり、それにより、解剖学的管腔の2つの切断された端部を接合する。
【0003】
更なるあくまで例示の他の外科用ステープラは、米国特許第4,805,823号(1989年2月21日発行の「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」)、同第5,415,334号(1995年5月16日発行の「Surgical Stapler and Staple Cartridge」)、同第5,465,895号(1995年11月14日発行の「Surgical Stapler Instrument」)、同第5,597,107号(1997年1月28日発行の「Surgical Stapler Instrument」)、同第5,632,432号(1997年5月27日発行の「Surgical Instrument」)、同第5,673,840号(1997年10月7日発行の「Surgical Instrument」)、同第5,704,534号(1998年1月6日発行の「Articulation Assembly for Surgical Instruments」)、同第5,814,055号(1998年9月29日発行の「Surgical Clamping Mechanism」)、同第6,978,921号(2005年12月27日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E−Beam Firing Mechanism」)、同第7,000,818号(2006年2月21日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」)、同第7,143,923号(2006年12月5日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」)、同第7,303,108号(2007年12月4日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi−Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」)、同第7,367,485号(2008年5月6日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」)、米同第7,380,695号(2008年6月3日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」)、同許第7,380,696号(2008年6月3日発行の「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two−Piece E−Beam Firing Mechanism」)、同第7,404,508号(2008年7月29日発行の「Surgical Stapling and Cutting Device」)、同第7,434,715号、2008年10月14日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」)、及び同第7,721,930号(2010年5月25日発行の「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」)に開示されている。これらの米国特許のそれぞれの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。参考として上述した外科用ステープラは、内視鏡手技において使用されるものとして記載されているが、かかる外科用ステープラは、開口手技及び/又は他の非内視鏡手技でも使用することができることを理解されたい。
【0004】
様々な種類の外科用ステープル器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、付属の請求項に記載されている本発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にその権利を請求する、特許請求の範囲によって完結するが、本技術は、以下の特定の実施例の説明を、添付図面と併せ読むことで、より良く理解されるものと考えられ、図面では、同様の参照符号は、同じ要素を特定する。
図1】代表的な円形ステープル留め外科用器具の側面図である。
図2A】開位置にある代表的なアンビルを示す、図1の器具の代表的なステープル留めヘッドアセンブリの拡大縦断面図である。
図2B】閉位置にあるアンビルを示す、図2Aのステープル留めヘッドアセンブリの拡大縦断面図である。
図2C】発射した位置にある代表的なステープルドライバ及びブレードを示す、図2Aのステープル留めヘッドアセンブリの拡大縦断面図である。
図3】アンビルに対抗して形成される代表的なステープルの拡大部分断面図である。
図4A】発射されてない位置にあるトリガ及びロック位置にあるロックアウト機構を示す、本体の一部分を取り除いた図1の外科用器具の代表的なアクチュエータハンドルアセンブリの拡大側面図である。
図4B】発射した位置にあるトリガ及びロック解除位置にあるロックアウト機構を示す、図4Aのアクチュエータハンドルアセンブリの拡大側面図である。
図5】インジケータ窓及びインジケータレバーを示す、図1の外科用器具の代表的なインジケータアセンブリの拡大部分斜視図である。
図6】代表的なインジケータバー及びそれに対応する代表的なステープル表現を示す、図5のインジケータ窓の概略図である。
図7】別の代表的な円形ステープル留め外科用器具の斜視図を示す。
図8図7の器具のハンドル及び軸アセンブリの分解図を示す。
図9図7の器具のハンドルアセンブリの断面図を示す。
図10図7のモータ及び電池アセンブリの拡大部分断面図を示す。
図11A】第1の歯車が第2の歯車から係合解除された状態の、図7の器具の動作モード選択アセンブリの側面立面図を示す。
図11B】第1の歯車が第2の歯車と係合した状態の、図11Aの動作モード選択アセンブリの側面立面図を示す。
図12図11Aの動作モード選択アセンブリの第1の歯車の正面立面図を示す。
図13図11Aの動作モード選択アセンブリの第2の歯車の斜視図を示す。
図14図7の器具のハンドルアセンブリの拡大部分斜視図を示す。
図15A】アンビルがトロカールに結合されている様子を示す、モータ駆動動作モードが選択された状態の、図7の器具の断面図を示す。
図15B】組織クランプ位置における、モータ駆動動作モードが選択された状態の、図7の器具の断面図を示す。
図15C】発射位置における、モータ駆動動作モードが選択された状態の、図7の器具の断面図を示す。
図16】手動動作モードが選択されている様子を示す図7の器具のハンドルアセンブリの断面図を示す。
図17A】アンビルがトロカールに結合されている様子を示す、手動動作モードが選択された状態の、図7の器具の断面図を示す。
図17B】組織クランプ位置における、手動モード動作が選択された状態の、図7の器具の断面図を示す。
図17C】発射位置における、手動動作モードが選択された状態の、図7の器具の断面図を示す。
図18図7の器具とともに使用するための代表的な制御アセンブリの概略図を示す。
図19】別の代表的な動作モード選択アセンブリの部分斜視図を示す。
図20図19の動作モード選択アセンブリの正面図を示す。
【0006】
図面は、決して限定することを意図するものではなく、本技術の様々な実施形態は、必ずしも図面に示されないものも含めた、様々な他の方法で実施し得ることが想到される。本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付図面は、本技術のいくつかの態様を示し、説明文と共に、本技術の原理を説明する役割を果たすものであるが、それを理解した上で、本技術は、示される厳密な配置構成に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本技術の特定の実施例に関する以下の説明は、本技術の範囲を限定するために使用されるべきではない。本技術のその他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び有利点は、例として、本技術を実施するために想到される最良の形態の1つである以下の説明から、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書で説明される本技術は、全て本技術から逸脱することなく、その他種々の明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明文は、例示的な性質のものであって限定的なものと見なすべきではない。
【0008】
I.代表的な円形ステープル留め外科用器具の概要
図1〜6は、それぞれより詳細に後述される、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)、軸アセンブリ(60)、及びアクチュエータハンドルアセンブリ(70)を有する、代表的な円形外科用ステープル留め器具(10)を示す。軸アセンブリ(60)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)から遠位側に延在し、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)は軸アセンブリ(60)の遠位端に連結される。概して、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)のステープルドライバ(24)を作動させて、複数のステープル(66)をステープル留めヘッドアセンブリ(20)から送り出すように動作可能である。ステープル(66)は曲げられて、器具(10)の遠位端に取り付けられたアンビル(40)によって完全なステープルを形成する。結果的に、図2A〜2Cに示される組織(2)が、器具(10)を使用してステープル留めされてもよい。
【0009】
本実施例では、器具(10)は閉鎖システム及び発射システムを備える。閉鎖システムは、トロカール(38)、トロカールアクチュエータ(39)、及び回転ノブ(98)を備える。アンビル(40)は、トロカール(38)の遠位端に連結されてもよい。回転ノブ(98)は、トロカール(38)をステープル留めヘッドアセンブリ(20)に対して長手方向で並進させ、それによって、アンビル(40)がトロカール(38)に連結されているときにアンビル(40)を並進させて、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(20)との間で組織をクランプするように動作可能である。発射システムは、トリガ(74)、トリガ作動アセンブリ(84)、ドライバアクチュエータ(64)、及びステープルドライバ(24)を備える。ステープルドライバ(24)は、ステープルドライバ(24)を長手方向で作動させると組織を切断するように構成されたナイフ(36)を含む。それに加えて、ステープルドライバ(24)を長手方向で作動させると、ステープルドライバ(24)がステープル(66)も遠位側に駆動するように、ステープル(66)は、ステープルドライバ(24)の複数のステープル駆動部材(30)の遠位側に位置付けられる。したがって、トリガ(74)を作動させ、ドライバアクチュエータ(64)を介してトリガ作動アセンブリ(84)がステープルドライバ(24)を作動させると、ナイフ(36)及び部材(30)がほぼ同時に組織(2)を切断すると共にステープル(66)をステープル留めヘッドアセンブリ(20)に対して遠位側で組織へと送り込む。閉鎖システム及び発射システムの構成要素と機能性について、次により詳細に記載する。
【0010】
A.代表的なアンビル
図1〜2Cに示されるように、アンビル(40)は、器具(10)に選択的に連結して表面を提供することができ、その表面に対抗してステープル(66)が曲げられて、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)とアンビル(40)との間に収容された物質をステープル留めしてもよい。本実施例のアンビル(40)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)に対して遠位側に延在する、トロカール又は先の尖ったロッド(38)に選択的に連結可能である。図2A〜2Cを参照すると、アンビル(40)は、アンビル(40)の近位軸(42)をトロカール(38)の遠位先端に連結することによって、選択的に連結可能である。アンビル(40)は、全体的に円形のアンビルヘッド(48)と、アンビルヘッド(48)から近位側に延在する近位軸(42)とを備える。図示される実施例では、近位軸(42)は、アンビル(40)をトロカール(38)に選択的に連結する、弾性的に付勢される保定クリップ(46)を有する管状部材(44)を備えるが、これは単に任意のものであり、アンビル(40)をトロカール(38)に連結する他の保定機構が同様に使用されてもよいことが理解されるべきである。例えば、C型クリップ、クランプ、ねじ切り、ピン、接着剤などが、アンビル(40)をトロカール(38)に連結するのに用いられてもよい。それに加えて、アンビル(40)はトロカール(38)に選択的に連結可能なものとして記載されているが、いくつかの型においては、近位軸(42)は、アンビル(40)が一旦取り付けられるとアンビル(40)をトロカール(38)から除去できないような、一方向の連結機構を含んでもよい。単に例示の一方向特徴部は、かかり、一方向スナップ、コレット、カラー、留め金、バンドなどを含む。勿論、アンビル(40)をトロカール(38)に結合するための更に他の構成は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。例えば、トロカール(38)は、代わりに中空軸であってもよく、近位軸(42)は、中空軸に挿入可能な尖らせたロッドを備えてもよい。
【0011】
本実施例のアンビルヘッド(48)は、アンビルヘッド(48)の近位面(50)に形成された複数のステープル形成ポケット(52)を備える。結果的に、図2Cに示されるように、アンビル(40)が閉位置にあり、ステープル(66)がステープル留めヘッドアセンブリ(20)から送り出されてステープル形成ポケット(52)に送り込まれると、ステープル(66)の脚部(68)が曲げられて、完成したステープルが形成される。
【0012】
アンビル(40)を別個の構成要素として、アンビル(40)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)に連結されるのに先立って、組織(2)の一部分に挿入され固定されてもよいことが理解されるべきである。単なる一例として、アンビル(40)は、組織(2)の第1の管状部分に挿入され固定されてもよく、器具(10)は、組織(2)の第2の管状部分に挿入され固定されてもよい。例えば、組織(2)の第1の管状部分は、アンビル(40)の一部分又はその周りに縫合されてもよく、組織(2)の第2の管状部分は、トロカール(38)又はその周りに縫合されてもよい。
【0013】
図2Aに示されるように、アンビル(40)は次にトロカール(38)に連結される。本実施例のトロカール(38)は、最遠位の作動位置で示される。かかるトロカール(38)の伸長位置は、アンビル(40)の取付けに先立って組織(2)が連結されてもよい、より広い面積を提供してもよい。それに加えて、トロカール(38)の伸長位置はまた、トロカール(38)に対するアンビル(40)の取付けをより簡単にしてもよい。トロカール(38)は先細の遠位先端を更に含む。かかる先端は、組織を穿孔し、かつ/又はトロカール(38)上へのアンビル(40)の挿入を支援することが可能であってもよいが、先細の遠位先端は単に任意のものである。例えば、他の型においては、トロカール(38)は鈍端部を有してもよい。それに加えて、又はその代わりに、トロカール(38)は、アンビル(40)をトロカール(38)に向かって引き付けてもよい、磁性部分(図示なし)を含んでもよい。当然ながら、アンビル(40)及びトロカール(38)の更なる別の構成及び配置は、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるであろう。
【0014】
アンビル(40)がトロカール(38)に連結される際、アンビル(40)の近位面とステープル留めヘッドアセンブリ(20)の遠位面との間の距離によって、間隙距離dが規定される。本実施例のトロカール(38)は、より詳細に後述するように、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)の近位端に位置する調節ノブ(98)を介して、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)に対して長手方向で並進可能である。結果的に、アンビル(40)がトロカール(38)に連結されると、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)に対してアンビル(40)を作動させることにより、調節ノブ(98)の回転によって間隙距離dが拡大又は縮小する。例えば、図2A〜2Bに連続的に示されるように、アンビル(40)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して初期の開位置から閉位置へと近位側に作動して示されており、それによって間隙距離dが縮小し、組織(2)の2つの部分の間の距離が接合される。一旦間隙距離dが所定の範囲内になると、図2Cに示されるように、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)が発射されて、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(20)との間の組織(2)をステープル留めし、切断してもよい。ステープル留めヘッドアセンブリ(20)は、より詳細に後述するように、ユーザがアクチュエータハンドルアセンブリ(70)のトリガ(74)を枢動させることによって、組織(2)をステープル留めし切断するように動作可能である。
【0015】
上述したように、間隙距離dは、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(20)との間の距離に相当する。器具(10)が患者に挿入されると、この間隙距離dは簡単に視認できないことがある。結果的に、図5〜6に示される可動のインジケータバー(110)が、トリガ(74)の反対側に位置付けられたインジケータ窓(120)を通して視認できるように設けられる。インジケータバー(110)は、インジケータバー(110)の位置が間隙距離dを表すように、調節ノブ(98)の回転に反応して移動するように動作可能である。図6に示されるように、インジケータ窓(120)は、アンビルの間隙が所望の動作範囲(例えば、緑色の範囲若しくは「グリーンゾーン(greenzone)」)内にあることを示す目盛(130)と、目盛り(130)の各端部にあるそれに対応するステープル圧縮表示とを更に備える。単なる一例として、図6に示されるように、第1のステープル画像(132)は大きなステープル高さを描写し、第2のステープル画像(134)は小さなステープル高さを描写する。結果的に、ユーザは、インジケータバー(110)及び目盛(130)を介して、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)に対する連結されたアンビル(40)の位置を視認することができる。ユーザは、次に、調節ノブ(98)を介してアンビル(40)の位置決めを適宜調節してもよい。
【0016】
再び図2A〜2Cを参照すると、ユーザは、アンビルヘッド(48)がステープル留めされる組織(2)の一部分内に位置するようにして、組織(2)の一部分を管状部材(44)の周りで縫合する。組織(2)がアンビル(40)に取り付けられると、保定クリップ(46)及び管状部材(44)の一部分が組織(2)から突出するので、ユーザはアンビル(40)をトロカール(38)に連結してもよい。組織(2)がトロカール(38)及び/又はステープル留めヘッドアセンブリ(20)の別の部分に連結された状態で、ユーザは、アンビル(40)をトロカール(38)に取り付け、アンビル(40)をステープル留めヘッドアセンブリ(20)に向かって近位側に作動させて、間隙距離dを縮小させる。一旦器具(10)が動作範囲内になると、ユーザは次に、組織(2)の端部を互いにステープル留めし、それによって組織(2)の実質的に連続した管状部分が形成される。
【0017】
アンビル(40)は、更に、参照により開示が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,205,459号、米国特許第5,271,544号、米国特許第5,275,322号、米国特許第5,285,945号、米国特許第5,292,053号、米国特許第5,333,773号、米国特許第5,350,104号、米国特許第5,533,661号の教示の少なくとも一部にしたがって、及び/又は、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるであろう他の構成にしたがって構築されてもよい。
【0018】
B.代表的なステープル留めヘッドアセンブリ
本実施例のステープル留めヘッドアセンブリ(20)は、軸アセンブリ(60)の遠位端に連結され、スライド可能なステープルドライバ(24)を収納する管状ケーシング(22)と、ステープルポケット(32)内に収容された複数のステープル(66)とを備える。ステープル(66)及びステープルポケット(32)は、管状ケーシング(22)の周りの円形アレイ内に配設される。本実施例では、ステープル(66)及びステープルポケット(32)は、ステープル(66)及びステープルポケット(32)の同心の環状列の対の形で配設される。ステープルドライバ(24)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)のトリガ(74)の回転に反応して、管状ケーシング(22)内で長手方向で作動するように動作可能である。図2A〜2Cに示されるように、ステープルドライバ(24)は、トロカール開口部(26)と、中央凹部(28)と、中央凹部(28)の周りに円周方向で配設されると共に、軸アセンブリ(60)に対して遠位側に延在する複数の部材(30)とを有する、フレア形状の円筒状部材を備える。各部材(30)は、複数のステープル(66)のうち対応するステープル(66)に接触し、それをステープルポケット(32)内で係合するように構成される。結果的に、ステープルドライバ(24)をアクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して遠位側に作動させると、各部材(30)が、管状ケーシング(22)の遠位端に形成されたステープルアパーチャ(34)を通して、対応するステープル(66)をそのステープルポケット(32)から送り出す。各部材(30)はステープルドライバ(24)から延在するので、複数のステープル(66)は、ほぼ同時にステープル留めヘッドアセンブリ(20)から送り出される。アンビル(40)が閉位置にあるとき、ステープル(66)はステープル形成ポケット(52)に送り込まれてステープル(66)の脚部(68)が曲がり、それによってアンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(20)との間に位置する物質をステープル留めする。図3は、部材(30)によってアンビル(40)のステープル形成ポケット(32)に送り込まれて脚部(68)を曲げる、1つの単なる代表的なステープル(66)を示す。
【0019】
ステープルドライバ(24)は、トロカール開口部(26)と同軸であってステープルポケット(32)から差し込まれる、円筒状のナイフ(36)を更に含む。本実施例では、円筒状のナイフ(36)は中央凹部(28)内に配設されて、ステープルドライバ(24)と共に遠位側に並進する。アンビル(40)がトロカール(38)に固定されると、上記したように、アンビルヘッド(48)が表面を提供し、それに接して円筒状のナイフ(36)が、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(20)との間に収容された物質を切り離す。いくつかの型においては、アンビルヘッド(48)は、(例えば、協働する剪断縁部を提供することによって)物質を切り離すのを支援するため、円筒状のナイフ(36)のための凹部(図示なし)を含んでもよい。それに加えて、又はその代わりに、アンビルヘッド(48)は、鋏式の切断作用が提供されてもよいように、円筒状のナイフ(36)から片寄った1つ又は2つ以上の向かい合った円筒状のナイフ(図示なし)を含んでもよい。更なる他の構成が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。ステープル留めヘッドアセンブリ(20)は、したがって、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)による作動に反応して、組織(2)のステープル留め及び切断の両方をほぼ同時に行うように動作可能である。
【0020】
当然ながら、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)は、更に、参照により開示が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,205,459号、米国特許第5,271,544号、米国特許第5,275,322号、米国特許第5,285,945号、米国特許第5,292,053号、米国特許第5,333,773号、米国特許第5,350,104号、米国特許第5,533,661号の教示の少なくとも一部にしたがって、及び/又は、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるであろう他の構成にしたがって構築されてもよい。
【0021】
上記したように、ステープルドライバ(24)はトロカール開口部(26)を含む。トロカール開口部(26)は、トロカール(38)がステープル留めヘッドアセンブリ(20)及び/又は軸アセンブリ(60)に対して長手方向でスライドできるように構成される。図2A〜2Cに示されるように、トロカール(38)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)を参照してより詳細に後述するように、回転ノブ(98)の回転によってトロカール(38)を長手方向で作動させることができるようにして、トロカールアクチュエータ(39)に連結される。本実施例では、トロカールアクチュエータ(39)は、トロカール(38)に連結される細長く比較的剛性の軸を備えるが、これは単に任意のものである。いくつかの型においては、アクチュエータ(39)は、器具(10)の部分が使用中に選択的に曲げられるか又は湾曲されてもよいように横方向の曲げが可能な、長手方向で剛性の材料を備えてもよく、あるいは、器具(10)は事前設定された曲げ軸アセンブリ(60)を含んでもよい。1つの単なる代表的な材料はニチノールである。アンビル(40)がトロカール(38)に連結されると、トロカール(38)及びアンビル(40)は、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(20)との間の間隙距離dを調節するため、アクチュエータ(39)を介して並進可能である。トロカール(38)を長手方向で作動させるアクチュエータ(39)の更なる別の構成は、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるであろう。
【0022】
C.例示の軸アセンブリ
ステープル留めヘッドアセンブリ(20)及びトロカール(38)は、図2A〜2Cに示されるように、軸アセンブリ(60)の遠位端に位置付けられる。本実施例の軸アセンブリ(60)は、外側管状部材(62)及びドライバアクチュエータ(64)を備える。外側管状部材(62)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)の管状ケーシング(22)に、かつアクチュエータハンドルアセンブリ(70)の本体(72)に連結され、それによって中の作動構成要素の機械的接地がもたらされる。ドライバアクチュエータ(64)の近位端は、後述するアクチュエータハンドルアセンブリ(70)のトリガ作動アセンブリ(84)に連結される。ドライバアクチュエータ(64)の遠位端は、トリガ(74)の回転によってステープルドライバ(24)を長手方向で作動させるように、ステープルドライバ(24)に連結される。図2A〜2Cに示されるように、ドライバアクチュエータ(64)は、トロカール(38)に連結されたアクチュエータ(39)がドライバアクチュエータ(64)内でそれに対して長手方向で作動してもよいように、開いた長手方向軸線を有する管状部材を備える。当然ながら、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるように、他の構成要素がドライバアクチュエータ(64)内に配設されてもよいことが理解されるべきである。
【0023】
軸アセンブリ(60)は、更に、参照により開示が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,205,459号、米国特許第5,271,544号、米国特許第5,275,322号、米国特許第5,285,945号、米国特許第5,292,053号、米国特許第5,333,773号、米国特許第5,350,104号、米国特許第5,533,661号の教示の少なくとも一部にしたがって、及び/又は、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるであろう他の構成にしたがって構築されてもよい。
【0024】
D.代表的なアクチュエータハンドルアセンブリ
次に図4A〜5を参照すると、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、本体(72)、トリガ(74)、ロックアウト機構(82)、トリガ作動アセンブリ(84)、及びトロカール作動アセンブリ(90)を備える。本実施例のトリガ(74)は、本体(72)に枢動可能に装着され、トリガ(74)を発射されてない位置(図4Aに示される)から発射した位置(図4Bに示される)へと回転させることによって、上記のドライバアクチュエータ(64)を作動させるように、トリガ作動アセンブリ(84)に連結される。ばね(78)は、本体(72)及びトリガ(74)に連結されて、トリガ(74)を発射されてない位置に向かって付勢する。ロックアウト機構(82)は、本体(72)に連結される枢動可能な部材である。第1のロック位置では、ロックアウト機構(82)は、ロックアウト機構(82)がトリガ(74)を係合し、ユーザによるトリガ(74)の作動に機械的に抵抗するように、上方へと本体(72)から離れる方向に枢動される。図1及び4Bに示されるような、第2のロック解除位置では、ロックアウト機構(82)は、トリガ(74)をユーザによって作動させてもよいように、下方へと枢動される。結果的に、ロックアウト機構(82)が第2の位置にあると、トリガ(74)はトリガ作動アセンブリ(84)を係合して、器具(10)を発射することができる。
【0025】
図4A〜4Bに示されるように、本実施例のトリガ作動アセンブリ(84)は、ドライバアクチュエータ(64)の近位端と係合されたスライド可能なトリガキャリッジ(86)を備える。キャリッジ(86)は、キャリッジ(86)の近位端上に、トリガ(74)から延在する一対のトリガアーム(76)を保定し係合する一連のタブ(88)を含む。結果的に、トリガ(74)を枢動させると、キャリッジ(86)が長手方向で作動し、長手方向の運動をドライバアクチュエータ(64)に伝達する。図示される実施例では、キャリッジ(86)はドライバアクチュエータ(64)の近位端に固定的に連結されるが、これは単なる任意のものである。実際には、1つの単なる代表的な代替例では、キャリッジ(86)は単に、遠位側のばね(図示なし)がドライバアクチュエータ(64)を、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して近位側に付勢している状態で、ドライバアクチュエータ(64)に当接してもよい。
【0026】
トリガ作動アセンブリ(84)は、更に、参照により開示が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,205,459号、米国特許第5,271,544号、米国特許第5,275,322号、米国特許第5,285,945号、米国特許第5,292,053号、米国特許第5,333,773号、米国特許第5,350,104号、米国特許第5,533,661号の教示の少なくとも一部にしたがって、及び/又は、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるであろう他の構成にしたがって構築されてもよい。
【0027】
本体(72)はまた、調節ノブ(98)の回転に反応してトロカール(38)を長手方向で作動させるように構成された、トロカール作動アセンブリ(90)を収納する。図4A〜5に最も良く示されるように、本実施例のトロカール作動アセンブリ(90)は、調節ノブ(98)、溝付きシャンク(94)、及びスリーブ(92)を備える。本実施例の溝付きシャンク(94)は、トロカールアクチュエータ(39)の遠位端に位置するが、溝付きシャンク(94)及びトロカールアクチュエータ(39)は、その代わりに、係合して長手方向移動を伝達する別個の構成要素であってもよいことが理解されるべきである。調節ノブ(98)は、本体(72)の近位端によって回転可能に支持され、内部タブ(図示なし)を介して溝付きシャンク(94)と係合されたスリーブ(92)を回転させるように動作可能である。本実施例の溝付きシャンク(94)は、溝付きシャンク(94)の外表面に形成された連続的な溝(96)を備える。結果的に、調節ノブ(98)を回転させると、内部タブが溝(96)内で浮かび、溝付きシャンク(94)がスリーブ(92)に対して長手方向で作動する。溝付きシャンク(94)はトロカールアクチュエータ(39)の遠位端に位置するので、調節ノブ(98)を第1の方向で回転させることによって、トロカールアクチュエータ(39)がアクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して遠位側に前進する。結果的に、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(20)との間の間隙距離dが増加する。調節ノブ(98)を反対方向に回転させることによって、トロカールアクチュエータ(39)がアクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して近位側に作動して、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(20)との間の間隙距離dが減少する。したがって、トロカール作動アセンブリ(90)は、調節ノブ(98)の回転に反応してトロカール(38)を作動させるように動作可能である。当然ながら、トロカール作動アセンブリ(90)の他の構成は、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるであろう。
【0028】
本実施例の溝(96)は、軸線方向距離当たりの溝のピッチ又は数が様々である、複数の異なる部分(96A、96B、96C)を備える。本例の溝(96)は、遠位部分(96A)、中間部分(96B)、及び近位部分(96C)に分割される。図5に示されるように、遠位部分(96A)は、溝付きシャンク(94)の短い軸線距離にわたって微細なピッチ又は多数の溝を備えるので、短い軸線距離を横断するのに調節ノブ(98)を多数回回転させることを要する。中間部分(96B)は、軸線距離当たりの溝のピッチが比較的まばらであるか、又は溝の数がより少ない区画を備えるので、長い軸線距離を横断するのに要する回転数が比較的少ない。結果的に、間隙距離dは、調節ノブ(98)の比較的少数回の回転によって迅速に減少してもよい。本実施例の近位部分(96C)は、遠位部分(96A)に実質的に類似しており、溝付きシャンク(94)の短い軸線距離にわたって微細なピッチ又は多数の溝を備えるので、短い軸線距離を横断するのに多数回の回転を要する。本実施例の近位部分(96C)は、より詳細に後述するように、アンビル(40)がステープル留めヘッドアセンブリ(20)の実質的に近くにあるとき、スリーブ(92)内に位置付けられるので、インジケータバー(110)は目盛(130)に沿ってインジケータ窓(120)内で移動して、アンビル間隙が所望の動作範囲内にあることを示唆する。結果として、タブが溝(96)の近位部分(96C)内にあるとき、調節ノブ(98)を一回転させる毎に間隙距離dが少量減少して、微細な調整が提供されてもよい。
【0029】
トロカール作動アセンブリ(90)は、更に、参照により開示が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,205,459号、米国特許第5,271,544号、米国特許第5,275,322号、米国特許第5,285,945号、米国特許第5,292,053号、米国特許第5,333,773号、米国特許第5,350,104号、米国特許第5,533,661号の教示の少なくとも一部にしたがって、及び/又は、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるであろう他の構成にしたがって構築されてもよい。
【0030】
図4A〜4Bに示される実施例では、U字型のクリップ(100)が、溝付きシャンク(94)の遠位側に位置するトロカールアクチュエータ(39)の中間部分に取り付けられる。本例では、調節ノブ(98)が回転された時に、トロカールアクチュエータ(39)がその軸を中心にして回転するのを防止するために、トロカールアクチュエータ(39)の拡張部分がハンドルアセンブリ(70)のハウジング内のスロットと係合する。いくつかの他の変形例では、U字状クリップ(100)は、調節ノブ(98)が回転される時にトロカールアクチュエータ(39)がその軸を中心にして回転するのを実質的に防止するために本体(72)の一部分と係合している。本例のU字状クリップ(100)は、ねじ、ボルト、ピン、クリップなどの取り付け部材を受容するためにそれの両側のそれぞれの上に細長いスロット(102)を更に含む。これにより、目盛(130)に対してインジケータバー(110)を較正する目的でトロカールアクチュエータ(39)に対してU字状のクリップ(100)の細長いスロット(102)の長手方向位置を選択的に調節する。
【0031】
図5に示されるように、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、インジケータ(104)を係合し枢動させるように構成されたインジケータブラケット(140)を更に含む。本実施例のインジケータブラケット(140)は、本体(72)に形成された一対のスロットに沿って、本体(72)に対してスライド可能である。インジケータブラケット(140)は、長方形のプレート(144)、インジケータアーム(146)、及び角度付きのフランジ(142)を備える。角度付きのフランジ(142)は、長方形のプレート(144)の近位端に形成され、トロカールアクチュエータ(39)及び/又は溝付きシャンク(94)上にスライド可能に装着するためのアパーチャ(図示なし)を含む。コイルばね(150)は、フランジ(142)をU字型のクリップ(100)に対して付勢するため、フランジ(142)とボス(152)との間に挟み込まれる。結果的に、U字型のクリップ(100)がトロカールアクチュエータ(39)及び/又は溝付きシャンク(94)によって遠位側に作動すると、コイルばね(150)はインジケータブラケット(140)を付勢して、U字型のクリップ(100)と共に遠位側へと移動させる。それに加えて、トロカールアクチュエータ(39)及び/又は溝付きシャンク(94)が近位側に並進すると、U字型のクリップ(100)は、インジケータブラケット(140)をボス(152)に対して近位側に付勢し、それによってコイルばね(150)が圧縮される。当然ながら、いくつかの型においては、インジケータブラケット(140)は、トロカールアクチュエータ(39)及び/又は溝付きシャンク(94)に固定的に取り付けられてもよいことが理解されるべきである。
【0032】
本実施例では、インジケータブラケット(140)が、アンビル間隙が所望の動作範囲(例えば、緑色の領域又は「グリーンゾーン」)内にあるときに相当しない長手方向位置にあるとき、ロックアウト機構(82)の一部分がインジケータブラケット(140)の表面(141)に当接する。アンビル間隙が所望の動作範囲(例えば、緑色の領域又は「グリーンゾーン」)内にあるとき、インジケータブラケット(140)が狭窄して、インジケータアーム(146)のどちらかの側に一対の間隙(145)がもたらされて、ロックアウト機構(82)が枢動することが可能になり、それによってトリガ(74)が解放される。結果的に、ロックアウト機構(82)及びインジケータブラケット(140)は、アンビル(40)が所定の動作範囲内になるまで、ユーザがトリガ(74)を解放し操作するのを実質的に防ぐことができる。当然ながら、いくつかの型においては、ロックアウト機構(82)は全体的に省略されてもよいことが理解されるべきである。
【0033】
この動作範囲は、簡潔に上記した、目盛(130)に対して示されるインジケータ(104)のインジケータバー(110)を介して、ユーザに視覚的に通信されてもよい。インジケータブラケット(140)の遠位端には、インジケータ(104)の移動を制御するため、横方向に突出する指(148)で終端する、遠位側に突出するインジケータアーム(146)がある。図5に最も良く示される、インジケータアーム(146)及び指(148)は、インジケータブラケット(140)を長手方向で作動させると、インジケータ(104)が枢動されるようにして、インジケータ(104)のタブ(106)を係合するように構成される。本実施例では、インジケータ(104)は、インジケータ(104)の第1の端部で本体(72)に枢動可能に連結されるが、これは単に任意のものであり、インジケータ(104)の他の枢動点が、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるであろう。インジケータバー(110)は、インジケータブラケット(140)の作動に反応してインジケータバー(110)が移動するように、インジケータ(104)の第2の端部に位置付けられる。結果的に、上記したように、インジケータバー(110)は、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(20)との間の相対間隙距離dを示すため、目盛(130)(図6に示される)に対してインジケータ窓(120)を通して表示される。
【0034】
当然ながら、インジケータブラケット(140)、インジケータ(104)、及び/又はアクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、更に、参照により開示が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,205,459号、米国特許第5,271,544号、米国特許第5,275,322号、米国特許第5,285,945号、米国特許第5,292,053号、米国特許第5,333,773号、米国特許第5,350,104号、米国特許第5,533,661号の教示の少なくとも一部にしたがって、及び/又は、本明細書の教示を考慮して当業者には明白となるであろう他の構成にしたがって構築されてもよい。
【0035】
II.選択可能な制御を有する代表的なモータ駆動式円形ステープル留め外科用器具
場合によっては、器具(10)のモータ駆動制御を提供することが望ましいことがある。ユーザが円形外科用ステープル留め器具(10)のモータ駆動式変形例のモータ駆動制御又は手動制御のどちらかの間で選択を行うことを可能にすることが更に望ましい場合がある。例えば、器具(10)は、ユーザが、自動化されたモータ駆動された回転作動システムを係合解除し、そのシステムの手動作動を提供することを許す、動作モード選択アセンブリを含んでもよい。また、単一の回転駆動のモードを組織クランプモードと組織切断/ステープル留めモードとの間で変更するための切り換えアセンブリを提供することが望ましい場合もある。換言すれば、このような切り換えアセンブリは、単一の回転駆動が、アンビル(40)クランプ機構を作動させること、又は器具(10)のナイフ(36)及びステープル打ち込み機構を作動させることのどちらかを行うことを可能にしてもよい。以下の例は、単一のモータを用いて、単一の回転駆動を介して組織のクランプ及び切断/ステープル留めの両方を制御することができ、操作者はモータ駆動動作と手動動作との間で選択を行うことができる器具(10)、並びにモータ駆動動作及び手動動作時に単一の回転駆動に応じるステープル留めヘッドカートリッジアセンブリの単なる例示的な変形例を含むに過ぎない。
【0036】
A.代表的な動作モード選択アセンブリ
図7は、器具(10)の選択的モータ駆動式変形例である、別の代表的な円形ステープル留め器具(210)を示す。この例の器具(210)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)と、アンビル(240)と、軸アセンブリ(260)と、ハンドルアセンブリ(270)と、を備える。ステープル留めヘッドアセンブリ(220)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)はアンビル(240)と選択的に結合するという点で、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)と同様である。ステープル留めヘッドアセンブリ(220)は、組織をステープルポケット(32)とアンビル(240)のステープル形成ポケット(52)との間でクランプするように動作可能である。ステープル留めヘッドアセンブリ(220)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)とアンビル(240)との間に捕捉された組織を切断するように動作可能である円筒状ナイフ(36)を含む。ステープル留めヘッドアセンブリ(220)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)とアンビル(240)との間に捕捉された組織にステープル(66)を打ち込み、貫通させる。ステープル留め器具(210)は、患者の消化管内又はその他の場所にしっかりした吻合(例えば、端々吻合)を作り出すために用いられてもよい。
【0037】
ステープル留めヘッドアセンブリ(220)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)は、全て軸アセンブリ(260)を介して伝達される単一の回転入力に応じて組織をクランプし、組織を切断し、組織をステープル留めするように動作可能であるという点で、ステープル留めヘッドアセンブリ(20)と異なる。したがって、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)は並進クラッチ機構を含んでもよいが、軸アセンブリ(260)を通じて直線的に並進される作動入力はステープル留めヘッドアセンブリ(220)に必要ない。単なる一例として、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)の少なくとも一部は、「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Modular End Effector」と題し、本出願と同日付で出願された、米国特許出願第[弁護士整理番号END7161USNP.0597922]号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成されてもよい。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。本明細書の教示に鑑みれば、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)のその他の好適な構成が当業者には明らかであろう。
【0038】
軸アセンブリ(260)は、軸アセンブリ(260)はハンドルアセンブリ(270)をステープル留めヘッドアセンブリ(220)と結合するという点で、軸アセンブリ(60)と同様である。軸アセンブリ(260)は、軸アセンブリ(260)は単一の作動機構、図8に示される回転ドライバアクチュエータ(264)、を含むという点で、軸アセンブリ(60)と異なる。ドライバアクチュエータ(264)は、組織をクランプし、組織を切断し、組織をステープル留めするべくステープル留めヘッドアセンブリ(220)を駆動するように動作可能である。したがって、回転ドライバアクチュエータ(264)は、組織クランプモードと組織切断/ステープル留めモードとの間で移動するために長手方向に並進してもよいが、軸アセンブリ(260)を通じた直線作動は必要ない。例えば、ドライバアクチュエータ(264)は、ドライバアクチュエータ(264)の回転がステープル留めヘッドアセンブリ(220)における組織のクランプを提供する、第1の長手方向位置から、ドライバアクチュエータ(264)の回転がステープル留めヘッドアセンブリ(220)における組織の切断及びステープル留めを提供する、第2の長手方向位置へ並進してもよい。軸アセンブリ(260)のいくつかの変形例は1つ又は2つ以上の可撓性部分を含んでもよい。可撓性部分を有するように構成され、軸アセンブリ(260)内に組み込まれてもよい軸アセンブリの一例が、「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Lockable Flexible Shaft」と題し、本出願と同日付で出願された、米国特許出願第[弁護士整理番号END7163USNP.0597933]号に開示されている。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。代替的に、軸アセンブリ(260)は軸アセンブリ(260)の長さに沿って硬質であるか、又は何らかの他の様式で構成された1つ又は2つ以上の可撓性部分を有してもよい。
【0039】
図8図10に、ハンドルアセンブリ(270)が示される。ハンドルアセンブリ(270)は、ハンドルハウジング(272)と、モータハウジング(274)と、モータ(280)と、電池(281)と、回転ノブ(298)と、動作モード選択アセンブリ(図11A図11Bに示される)と、発射リング(252)と、を含む。モータハウジング(274)はハンドルハウジング(272)内に位置付けられる。ハンドルハウジング(272)は、図9に示されるように、モータハウジング(274)を支持するためにハンドルハウジング(272)内へ内向きに延びるリブ(255、256、257)を含む。電池(281)はモータハウジング(274)内においてモータ(280)の近位側に位置付けられる。電池(281)は、交換、廃棄、又は充電されるためにモータハウジング(274)から取り外されてもよい。図10に最もうまく見られるように、電池(281)は、電池(281)から遠位側に延びる電気接点(231、232)を含む。モータ(280)は、モータ(280)から近位側に延在する電気接点(233、234)を含む。電池の電気接点(232)及びモータの電気接点(234)は導電性金属帯(242)を介して結合される。ねじ(243)が帯(242)をモータハウジング(274)に結合し、モータハウジング(274)に対する帯(242)の位置を固定する。その結果、帯(242)は、電池の電気接点(232)及びモータの電気接点(234)を常に結合するように構成される。
【0040】
図10に示されるように、電池の電気接点(231)は導電性金属帯(245)に結合される。金属帯(245)は導電性のねじ(247)を介してモータハウジング(274)に固定される。モータの電気接点(233)は導電性金属帯(244)に結合される。金属帯(244)は導電性のねじ(246)を介してモータハウジング(274)に固定される。モータハウジング(274)は電気絶縁性材料(例えば、プラスチック)で形成され、モータハウジング(274)の周囲に巻かれた環状接点(284、286)を含む。ねじ(246、247)は各々、それぞれの環状接点(284、286)と結合され、電池の電気接点(231)及びモータの電気接点(233)を環状接点(284、286)にそれぞれ電気結合する。
【0041】
ハンドルハウジング(272)には別の導電性金属帯(282)が固定される。金属帯(282)のそれぞれの端部はそれぞれのばね接点(283、285)を形成する。モータハウジング(274)はハンドルハウジング(272)に対して近位側及び/又は遠位側に並進し、ばね接点(283、285)を環状接点(284、286)と選択的に結合し、及び/又は切り離す。具体的には、モータハウジング(274)が遠位位置(図15A)にあるときには、ばね接点(283)は環状接点(284)と係合し、ばね接点(285)は環状接点(286)と係合し、電池(281)をモータ(280)と結合し、モータ(280)に電力を供給する。ばね接点(283、285)は同じ導電性金属帯(282)の部分であるため、かつ接点(232、234)は帯(242)を介して元から結合されているため、ばね接点(283、285)と環状接点(284、286)との間の係合は電池(281)とモータ(280)との間の回路を完成させることを理解されたい。この位置付けは、以下において更に詳細に説明されるように、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)のモータ駆動作動を提供するために用いられる。モータハウジング(274)が近位位置(図17A)にあるときには、ばね接点(283、285)は環状接点(284、286)から切り離され、そのため、電池(281)はモータ(280)から切り離され、モータ(280)は電力を受け取らない。この位置付けは、以下において更に詳細に説明されるように、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)の手動作動を提供するために用いられる。環状接点(284、286)の環状形状は、ハンドルハウジング(272)内のモータハウジング(274)の角度位置にかかわらず、ばね接点(283、285)と環状接点(284、286)との間の適切な接触を可能にする。いくつかの変形例では、帯(282)は、外部スイッチと結合される開路を含んでもよく、それにより、ユーザは、モータハウジング(274)が遠位位置に来た後に、電池(281)とモータ(280)との間の結合を完成させるために外部スイッチを作動させてもよい。
【0042】
モータハウジング(274)の近位端は、図8に示されるように、回転ノブ(298)にしっかりと固定される。回転ノブ(298)はハンドルハウジング(272)から近位側に突出し、回転ノブ(298)から遠位側に延びるスプライン(296)を含む。ハンドルハウジング(272)は、スプライン(296)と選択的に係合するための対応する歯(251)を含む。回転ノブ(298)を引っ張り、及び/又は押し、モータハウジング(274)をハンドルハウジング(272)内で並進させる。回転ノブ(298)が近位位置にあるときには(図17A)、スプライン(296)はハンドルハウジング(272)から係合解除され、それにより、回転ノブ(298)及びモータハウジング(274)はハンドルハウジング(272)に対して自由に回転する。この位置付けは、以下において更に詳細に説明されるように、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)の手動作動を提供するために用いられる。回転ノブ(298)が遠位位置にあるときには(図15A)、スプライン(296)はハンドルハウジング(272)内の対応する歯(251)と係合し、回転ノブ(298)及びモータハウジング(274)をハンドルハウジング(272)に対して回転しないようにロックする。それゆえ、スプライン(296)及び歯(251)は、ハンドルハウジング(272)に対するモータハウジング(274)のためのメカニカルグラウンドを提供する。この位置付けは、以下において更に詳細に説明されるように、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)のモータ駆動作動を提供するために用いられる。回転ノブ(298)はハンドルハウジング(272)内の弾性部材(279)によって遠位位置へ付勢される。具体的には、弾性部材(279)はハンドルハウジング(272)のリブ(255)から遠位側に、モータハウジング(274)の遠位端に一体的に固定される第1の歯車(278)まで延在する。回転ノブ(298)が近位位置にあるときには、弾性部材(279)は第1の歯車(278)とリブ(255)との間で縮み、ハンドルハウジング(272)を遠位位置へ弾性的に付勢する。
【0043】
動作モード選択アセンブリは、ハンドルハウジング(272)内においてモータハウジング(274)の遠位側に位置付けられる。図11図13に示されるように、動作モード選択アセンブリは第1の歯車(278)及び第2の歯車(276)を含み、第1の歯車(278)は第2の歯車(276)の周りに同軸状に摺動自在に配設される。第1の歯車(278)は、図12に示されるように、第1の歯車(278)の内側開口部を囲むように整列された四角い歯(277)を含む。歯(277)は、円周方向に離間配置された凹部のアレイを画定する。第2の歯車(276)は、図13に示されるように、軸(273)、スプライン(275)、及び環状フランジ(258)を含む。軸(273)は、遠位側に向けられた開口部(259)を有する。遠位側に向けられた開口部(259)は六角形であり、同じく六角形である(図8)、ドライバアクチュエータ(264)の近位端(263)を受容する。軸(273)はまた、半円形である近位側に向けられた開口部(図示せず)を有し、モータ(280)から遠位側に延びる駆動軸(287)を補完し、受容する。第2の歯車(276)を軸(263、287)と結合するために、軸(263、287)のその他の好適な形状及び構成が用いられてもよい。
【0044】
第2の歯車(276)のスプライン(275)は軸(273)の近位端上に位置付けられ、遠位側に延びる。スプライン(275)は第1の歯車(278)の歯(277)に対応し、それにより、スプライン(275)は、歯(277)の間に画定された凹部内に嵌合するように構成される。一対の環状フランジ(258)が軸(273)の遠位端に位置付けられて外向きに延び、ハンドルハウジング(272)の内向きに延びる環状リブ(253)と係合し、それにより、ハンドルハウジング(272)内の第2の歯車(276)の長手方向位置を固定する。環状リブ(253)はハンドルハウジング(272)内の第2の歯車(276)の長手方向位置を固定するが、それにもかかわらず、環状リブ(253)は、第2の歯車(276)がハンドルハウジング(272)に対して回転することを許す。本明細書における教示に基づき、第2の歯車(276)を長手方向に固定するためのその他の好適な係合機構が当業者には明らかであろう。
【0045】
第1の歯車(278)は、図11A図11Bに示されるように、第2の歯車(276)の周囲に位置付けられる。第1の歯車(278)はモータハウジング(274)の遠位端に固定して結合され、それにより、第1の歯車(278)はモータハウジング(274)とともに一体的に並進し、回転する。図11B及び図17Aに示されるように、モータハウジング(274)が近位位置にあるときには、モータ(280)及び第1の歯車(278)も近位位置にある。この位置では、モータ(280)の駆動軸(287)は第2の歯車(276)から係合解除され、第1の歯車(278)の歯(277)は第2の歯車(276)はスプライン(275)と係合する。それゆえ、回転ノブ(298)が回転すると、モータハウジング(274)及び第1の歯車(278)も回転する。その結果、この位置付けは、以下において更に詳細に説明されるように、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)の手動作動を提供する。第1の歯車(278)の歯(277)がスプライン(275)と係合すると、その結果、回転ノブ(298)は第2の歯車(276)をモータハウジング(274)に対して回転させる。図11A及び図15Bに示されるように、モータハウジング(274)が遠位位置にあるときには、モータ(280)及び第1の歯車(278)も遠位位置にある。モータ(280)は軸(287、273)を介して第2の歯車(276)と係合する。第1の歯車(278)は第2の歯車(276)の軸(273)上を摺動し、スプライン(275)を係合解除する。それゆえ、その結果、モータ(280)の駆動軸(287)の回転が第2の歯車(276)を回転させる。その結果、この位置付けは、以下において更に詳細に説明されるように、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)のモータ駆動作動を提供する。換言すれば、図11A及び図15Bに示されるようにノブ(298)及びモータハウジング(274)が遠位位置にあるときには、モータ(280)が第2の歯車(276)を回転させる。図11B及び図17Aに示されるようにノブ(298)及びモータハウジング(274)が近位位置にあるときには、ノブ(298)が第2の歯車(276)を回転させる。
【0046】
図8図9を再び参照すると、第2の歯車(276)の遠位端はドライバアクチュエータ(264)に結合され、それにより、第2の歯車(276)の回転はドライバアクチュエータ(264)を回転させる。ドライバアクチュエータ(264)はドライバアクチュエータ(64)と同様である。したがって、第2の歯車(276)が回転されると、ドライバアクチュエータ(264)は、アンビル(240)とステープル留めヘッドアセンブリ(220)との間の間隙距離dを調整するように回転される。ハンドルハウジング(272)は発射リング(252)及び結合部材(268)を更に含む。結合部材(268)は、図8に示されるように、ドライバアクチュエータ(264)の凹部(261)を囲むようにして固定される。したがって、結合部材(268)はドライバアクチュエータ(264)とともに並進するが、ドライバアクチュエータ(264)は結合部材(268)内で自由に回転する。結合部材(268)は、結合部材(268)を発射リング(252)に接続する外向きに延びる突出部を含む。結合部材(268)の突出部は、図14に示されるように、ハウジングアセンブリ(272)のスロット(265、266、267)を貫いて延出する。スロット(265)は、ハンドルアセンブリ(272)の部分の周りに円周方向に延びる。スロット(266)は、スロット(265)から近位側に延びる。スロット(267)は、スロット(266)から横に延び、スロット(265)と実質的に平行である。発射リング(252)は、ハンドルハウジング(272)の周囲に巻かれ、結合部材(268)の突出部をスロット(265、266、267)を通して手動で駆動するために、ハンドルハウジング(272)に対して回転可能かつ並進可能になっている。
【0047】
発射リング(252)が遠位位置にあるときには、結合部材(268)の突出部は、ハンドルハウジング(272)のスロット(265)内に位置付けられる。結合部材(268)がスロット(265)内に位置付けられるときには、結合部材(268)は、ドライバアクチュエータ(264)をアンビル(240)とステープル留めヘッドアセンブリ(220)との間の間隙距離dを調整するように動作可能であるステープル留めヘッドアセンブリ(220)内の機構と結合する。例えば、結合部材(268)がスロット(265)内で時計回りに回転された場合には、間隙距離dは減少され、アンビル(240)をステープル留めヘッドアセンブリ(220)に対して閉じる。結合部材(268)がスロット(265)内で反時計回りに回転された場合には、間隙距離dは増大され、アンビル(240)をステープル留めヘッドアセンブリ(220)に対して開く。結合部材(268)を遠位側に付勢するために、弾性部材(269)が結合部材(268)の近位側に位置付けられる(図8)。次に、発射リング(252)の結合部材(268)はスロット(266)を通ってスロット(267)へ近位側に並進されてもよい。発射リング(252)が近位位置にあるときには、結合部材(268)の突出部はスロット(267)内に位置付けられる。結合部材(268)がスロット(267)内に位置付けられるときには、結合部材(268)はドライバアクチュエータ(264)を、ドライバアクチュエータ(264)の回転に応じてナイフ(36)及びステープル(66)を駆動するステープル留めヘッドアセンブリ(220)内の機構と結合する。例えば、結合部材(268)がスロット(267)内で時計回りに回転された場合には、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)はナイフ(36)及びステープル(66)を駆動する。スロット(367)の構成は、結合部材(268)が反時計回りに回転されることを防止する。本明細書における教示に鑑みれば、その他の好適な結合部材(268)の回転の構成が当業者には明らかであろう。
【0048】
図9に示されるように、スイッチ(248)がハンドルハウジング(272)内に結合部材(268)と整列するように位置付けられる。モータ駆動動作モードが選択されているときには、スイッチ(248)は、スイッチ(248)が押されているときには、モータ(280)及び電池(281)を電気結合するように構成され、スイッチ(248)は、スイッチ(248)が押されていないときには、モータ(280)及び電池(281)を電気的に切り離すように構成される。結合部材(268)は、結合部材(268)が回転されると、スイッチ(248)と係合し、それを押すように構成される。例えば、結合部材(268)が中立位置にあるときには(例えば、結合部材(268)がそれぞれのスロット(266)と整列しているときには)、スイッチ(248)は押されず、モータ(280)は電池(281)から切り離される。結合部材(268)が中立位置から離れる方向に回転されると、結合部材(268)はスイッチ(248)と係合してスイッチ(248)を押し、モータ(280)を電池(281)と結合して器具(210)を動作させる。ハウジング(272)は3つのスイッチ(248)を含んでもよいことを理解されたい。例えば、1つのスイッチ(248)は、発射リング(252)が近位位置にある間に(例えば、結合部材(268)がスロット(267)内にある状態で)時計回りに回転された際の稼動のために位置付けられ、別のスイッチ(248)は、発射リング(252)が遠位位置にある間に(例えば、結合部材(268)がスロット(265)内にある状態で)時計回りに回転された際の稼動のために位置付けられ、更に別のスイッチ(248)は、発射リング(252)が遠位位置にある間に反時計回りに回転された際の稼動のために位置付けられてもよい。制御論理が、発射リング(252)が遠位位置にある間に回転された際に稼動されるスイッチ(248)と連絡してもよい。このような制御論理は、モータ(280)による回転の方向を選択的に逆転させ、それにより、発射リング(252)が回転される方向に依存して、間隙距離dを調整するためにトロカール(238)及びアンビル(240)の選択的前進又は後退を提供するように動作可能であってもよい。
【0049】
発射リング(252)及び結合部材(268)は、ドライバアクチュエータ(264)をアンビルクランプモード(結合部材(268)が遠位位置にあるとき)から切断/ステープル留めモード(結合部材(268)が近位位置にあるとき)へ移動させるためのクラッチコントロールの役割を果たすことを理解されたい。ドライバアクチュエータ(264)の位置付けのこのような変更に応じるステープル留めヘッドアセンブリ(220)の一例が、「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Modular End Effector」と題し、本出願と同日付で出願された、米国特許出願第[弁護士整理番号END7161USNP.0597922]号に開示されている。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。本明細書の教示に鑑みれば、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)がとり得る他の好適な形態が当業者には明らかであろう。アクチュエータハンドルアセンブリ(270)には外側管状部材(262)が結合される。外側管状部材(262)は外側管状部材(62)と同様であり、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)とハンドルアセンブリ(270)との間のメカニカルグラウンドを提供する。
【0050】
1.モータ駆動動作
図15A図15Cはモータ駆動動作中の器具(210)を示す。図15Aは、アンビル(240)がトロカール(238)に結合されている様子を示す。アンビル(240)は、アンビル(40)及びトロカール(38)に関して上述したものと同様の仕方でトロカール(238)と結合する。モータ駆動動作が選択されているときには、回転ノブ(298)は遠位位置にある。遠位位置では、回転ノブ(298)のスプライン(296)はハンドルハウジング(272)内の対応する歯(251)と係合し、回転ノブ(298)をハンドルハウジング(272)に対して回転しないようにロックする。回転ノブ(298)が遠位位置にあるときには、モータハウジング(274)も遠位位置にある。モータハウジング(274)が遠位位置にあるときには、ばね接点(283、285)は環状接点(284、286)と整列し、電池(281)の電気接点(231)をモータ(280)の電気接点(233)と結合する。結合部材(268)が回転され、スイッチ(248)を押すと、電池(281)からモータ(280)へ電力が供給される。モータ(280)は軸(287、273)を介して第2の歯車(276)と係合され、第1の歯車(278)はスプライン(275)から係合解除され、それにより、第2の歯車(276)が第1の歯車(278)、モータハウジング(274)、及びハンドルハウジング(272)に対して回転することを許す。結合部材(268)の突出部は遠位側にハンドルハウジング(272)のスロット(265)内に位置付けられ、発射リング(252)及びドライバアクチュエータ(264)の長手方向位置をロックする。
【0051】
図15Bに示されるように、発射リング(252)は時計回りに回転され、結合部材(268)をスロット(267)内で並進させる。結合部材(268)が回転されると、スイッチ(248)が押され、モータ(280)及び電池(281)を結合し、モータ(280)に電力を供給する。それゆえ、モータ(280)が稼動され、軸(287)を回転させる。その結果、軸(287)は第2の歯車(276)を回転させる。第2の歯車(276)はドライバアクチュエータ(264)に結合されているので、第2の歯車(276)の回転はドライバアクチュエータ(264)も回転させる。ドライバアクチュエータ(264)のこの回転は、アンビル(240)とステープル留めヘッドアセンブリ(220)との間の間隙距離dを調整するためのステープル留めヘッドアセンブリ(220)内の機構を駆動する。アンビル(240)がステープル留めヘッドアセンブリ(220)に対する所望の位置に来ると、発射リング(252)は中立位置へ反時計回りに回転され、スイッチ(248)を解放し、それにより、モータ(280)は電池(281)から切り離される。次に、図15Cに示されるように、器具(210)は発射されてもよい。発射リング(252)を並進させ、結合部材(268)をスロット(265)の中からスロット(267)内の近位位置に位置付ける。結合部材(268)がスロット(267)まで近位側に並進されると、結合部材(268)はドライバアクチュエータ(264)も近位側に並進させ、ドライバアクチュエータ(264)を、ナイフ(36)を遠位側に打ち込み、クランプされた組織(2、4)をステープル留めして吻合を作り出すべくステープル(66)をアンビル(240)内に打ち込むように動作可能であるステープル留めヘッドアセンブリ(220)内の機構と結合する。発射リング(252)はスロット(267)内で時計回りに回転され、スイッチ(248)を押して電池(281)をモータ(280)と再び結合し、モータ(280)に電力を供給する。結合部材(268)及びドライバアクチュエータ(264)が近位位置にある状態で、モータ(280)は再び回転される。この回転は駆動軸(287)及び第2の歯車(276)を介してドライバアクチュエータ(264)へ伝達され、それにより、ドライバアクチュエータ(264)へ伝達され、組織(2、4)を切断し、ステープル留めする。次に、発射リング(252)はスロット(267)内で中立位置まで反時計回りに回転され、スイッチ(248)を解放し、モータ(280)を電池(281)から切り離す。
【0052】
2.動作モードの選択
図16に示されるように、器具(210)はモータ駆動動作から手動動作に切り換えられる。ユーザは回転ノブ(298)を握り、回転ノブ(298)を遠位位置から近位位置へ並進させてもよい。近位位置では、回転ノブ(298)のスプライン(296)はハンドルハウジング(272)内の対応する歯(251)から係合解除し、回転ノブ(298)がハンドルハウジング(272)に対して回転することを許す。これは、モータハウジング(274)及び第1の歯車(278)がハンドルハウジング(272)に対して回転することも許す。回転ノブ(298)が近位位置にあるときには、モータハウジング(274)も近位位置にある。モータハウジング(274)が近位位置にあるときには、ばね接点(283、285)は環状接点(284、286)からずらされ、電池(281)をモータ(280)から切り離し、それにより、電力はモータ(280)に供給されない。第1の歯車(278)は近位側に並進し、第2の歯車(276)のスプライン(275)と係合する。その結果、回転ノブ(298)の回転が、モータハウジング(274)、第1の歯車(278)、第2の歯車(276)、及びドライバアクチュエータ(264)を回転させる。ユーザはまた、モータ駆動動作を再選択するために回転ノブ(298)を遠位側に押し戻してもよい。回転ノブ(298)を、モータ駆動動作と手動動作との間で選択を行うためのアクチュエータとして用いることによって、ロックアウト又はスイッチがモータ(280)への電力を同時に除去する必要性が解消される。それゆえ、回転ノブ(298)は、器具(210)が手動動作モードで完全に動作することを可能にすると同時に、モータ駆動動作の「脱出」システムを提供する。したがって、たとえ、操作者は最初、器具(210)をモータ駆動モードで使用していても、操作者は、器具(210)の基本的機能性を犠牲にすることなく、単に回転ノブ(298)を引くことによって器具(210)を素早く容易に手動動作モードに変えることができることを理解されたい。
【0053】
3.手動動作
図17A図17Cは手動動作中の器具(210)を示す。図17Aは、アンビル(240)がトロカール(238)に結合されている様子を示す。上述したように、回転ノブ(298)は近位位置にある。図17Bに示されるように、回転ノブ(298)を回転させ、モータハウジング(274)をハンドルハウジング(272)に対して回転させる。これにより、モータハウジング(274)は第1の歯車(278)を回転させる。第1の歯車(278)はスプライン(275)と係合し、第2の歯車(276)を回転させる。第2の歯車(276)はドライバアクチュエータ(264)に結合されているので、第2の歯車(276)の回転はドライバアクチュエータ(264)も回転させる。ドライバアクチュエータ(264)のこの回転は、アンビル(240)とステープル留めヘッドアセンブリ(220)との間の間隙距離dを調整するためのステープル留めヘッドアセンブリ(220)内の機構を回転させる。図17Cに示されるように、アンビル(240)がステープル留めヘッドアセンブリ(220)に対する所望の位置に来ると、器具(210)は発射されてもよい。発射リング(252)を遠位位置からスロット(265)の外へ、スロット(267)による近位位置まで並進させる。結合部材(268)がスロット(267)まで近位側に並進されると、結合部材(268)はドライバアクチュエータ(264)も近位側に並進させ、ドライバアクチュエータ(264)を、ナイフ(36)を遠位側に打ち込み、クランプされた組織(2、4)をステープル留めして吻合を作り出すべくステープル(66)をアンビル(240)内に打ち込むように動作可能であるステープル留めヘッドアセンブリ(220)内の機構と結合する。結合部材(268)及びドライバアクチュエータ(264)が近位位置にある状態で、回転ノブ(298)は再び回転される。この回転は第1の歯車(278)及び第2の歯車(276)を介してドライバアクチュエータ(264)へ伝達され、それにより、ドライバアクチュエータ(264)へ伝達され、組織(2、4)を切断し、ステープル留めする。
【0054】
4.制御アセンブリ
図18は、器具(210)とともに用いるための代表的な制御アセンブリ(228)を示す。制御アセンブリ(228)は、センサ(222)、制御モジュール(224)、及びフィードバック機構(226)を備える。フィードバック機構(226)は、視覚フィードバック、音声フィードバック、及び/又は触覚フィードバック(LED灯、LEDディスプレイ、スピーカ、振動発生器等)を提供するように動作可能であってもよい。センサ(222)は器具(210)に結合され、器具(210)のドライブトレイン内の運動を検出するように構成される。例えば、センサ(222)は、ドライバアクチュエータ(264)、又はドライブトレインの何らかの他の回転する構成要素(例えば、回転するが、同様に並進はしない構成要素)の回転を検出するために位置付けられるエンコーダを含んでもよい。センサ(222)は制御モジュール(224)と結合され、検知された信号を制御モジュール(224)に提供する。制御モジュール(224)は、検知された信号を処理するように構成され、器具(210)の選択された動作モード、アンビル(240)とステープル留めヘッドアセンブリ(220)との間の間隙距離d、及び/又はナイフ(36)及びステープル(66)の発射を判定してもよい。本例では、制御モジュール(224)は器具(210)及びフィードバック機構(226)と結合される。しかし、制御モジュール(224)は器具(210)又はフィードバック機構(226)のどちらかと結合されてもよい。制御モジュール(224)はまた、スイッチ(248)が押されるとモータ(280)を作動させるためのスイッチ(248)と結合されてもよい。センサ(222)、制御モジュール(224)、及びフィードバック機構(226)のそれぞれは器具(210)内又は器具(210)から遠隔に位置してもよい。
【0055】
検知された信号に基づき、制御モジュール(224)は、器具(210)及び/又はフィードバック機構(226)を作動させるように動作可能である。例えば、制御モジュール(224)は、器具(210)の選択された動作モードを指示するためにフィードバック機構(226)を作動させてもよい。いくつかの変形例では、フィードバック機構(226)は、モータ駆動動作モードに対応する第1のLED、及び手動動作モードに対応する第2のLEDを有してもよい。センサ(222)は回転ノブ(298)及び/又はモータハウジング(274)の近位位置及び/又は遠位位置を検出し、情報を制御モジュール(224)に提供してもよい。次に、制御モジュール(224)は、センサ(222)が近位位置を検出した場合には、モータ駆動動作モードが選択されていることを指示するために、第1のLEDを光らせてもよい。制御モジュール(224)は、センサ(222)が遠位位置を検出した場合には、手動動作モードが選択されていることを指示するために、第2のLEDを光らせてもよい。代替的に、フィードバック機構(226)は、動作モードを指示するために光らせるか若しくは光らせないかのどちらかのただ1つのLEDを有してもよいか、又はフィードバック機構(226)は、動作モードが変更された際に音を提供するためのスピーカを有してもよい。
【0056】
いくつかの変形例では、制御モジュール(224)は、ステープル留めアセンブリ(220)の選択されたモードを指示するためにフィードバック機構(226)を作動させてもよい。フィードバック機構(226)は、組織クランプモードに対応する第1のLED、及び発射モードに対応する第2のLEDを有してもよい。センサ(222)は、発射リング(252)、結合部材(268)及び/又はドライバアクチュエータ(264)の近位位置及び/又は遠位位置を検出し、情報を制御モジュール(224)に提供してもよい。次に、制御モジュール(224)は、センサ(222)が遠位位置を検出した場合には、組織クランプモードが選択されていることを指示するために、第1のLEDを光らせてもよい。制御モジュール(224)は、センサ(222)が近位位置を検出した場合には、発射モードが選択されていることを指示するために、第2のLEDを光らせてもよい。代替的に、フィードバック機構(226)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)のモードを指示するために光らせるか若しくは光らせないかのどちらかのただ1つのLEDを有してもよいか、又はフィードバック機構(226)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(220)のモードが変更された際に音を提供するためのスピーカを有してもよい。
【0057】
加えて、又は代わりに、制御モジュール(224)は、アンビル(240)とステープル留めヘッドアセンブリ(220)との間の間隙距離dを指示するためにフィードバック機構(226)を作動させてもよい。センサ(222)はドライバアクチュエータ(264)の回転数を検出してもよい。次に、制御モジュール(224)は、検知された信号に基づき間隙距離dを判定し、フィードバック機構(226)を作動させてもよい。フィードバック機構(226)は、間隙距離dを指示するために個々に光る複数のLEDを備えてもよい。間隙距離dが増大するにつれて、LEDは、間隙距離dに対応するように光ってもよい。間隙距離dが減少するにつれて、LEDは、間隙距離dに対応するように消えてもよい。別の単なる例示の例として、フィードバック機構(226)は、間隙距離dのリアルタイム指示を提供するLEDディスプレイ画面を備えてもよい。フィードバック機構(226)はまた、音高又は音量のどちらかが変化する音を発し、対応する間隙距離dを指示するスピーカを有してもよい。代替的に、特定の間隙距離dに達した時にそれを指示するために1つのLEDが用いられてもよいか、又は特定の間隙距離dに達した時に音が提供されてもよい。
【0058】
フィードバック機構(226)が、触覚フィードバックを操作者に提供する能力を含む変形例では、このような触覚フィードバックを提供するために種々の従来の構成要素がハンドルアセンブリ(270)内に組み込まれてもよいことを理解されたい。触覚フィードバックはモータ(280)を通じて提供されてもよいことも理解されたい。単なる一例として、フィードバック機構(226)は、正弦波信号をモータ(280)に提供し、本質的に、駆動軸(287)を時計回りに若干回転させ、その後、すぐにそれを反時計回りに全く同じ量、若干回転させるように構成されてもよい。正味の結果は駆動軸(287)の0の回転変位となるであろう。このシーケンスが(例えば、高速で連続的に)繰り返されると、駆動軸(287)の運動によって、ハンドルアセンブリ(270)は、操作者が、ハンドルアセンブリ(270)を握る手を通じてそれを感じるのに十分に振動するか又は別の仕方で震え得る。このフィードバックアルゴリズムを通じた駆動軸(287)の0の正味運動によって、ドライバアクチュエータ(264)は遠位位置にあるのか、それとも近位位置にあるのかにかかわらず、触覚フィードバックはヘッドアセンブリ(220)内のいずれのものの正味作動も生じさせなくてすむ。このような触覚フィードバックは、ステープル留めストロークの終わりを指示するため、ロックアウト状態を指示するため、及び/又は何らかの他の状態を指示するために提供されてもよい。本明細書における教示に鑑みれば、音声フィードバック、視覚フィードバック、及び/又は触覚フィードバックが提供され得る様々な他の好適な方法が当業者には明らかであろう。
【0059】
いくつかの変形例では、制御モジュール(224)は器具(210)を作動させてもよい。センサ(222)は、ナイフ(36)及びステープル(66)が発射された際にそれを検出するように構成されてもよい。それゆえ、ナイフ(36)及びステープル(66)が発射されると、制御モジュール(224)はモータ(280)を自動的に逆転させてもよい。制御モジュール(224)はまた、器具(210)が発射されたことをユーザに指示するためにフィードバック機構(226)を作動させてもよい。本明細書における教示に鑑みれば、センサ(222)、制御モジュール(224)、及びフィードバック機構(226)が用いられ得るその他の好適な方法が当業者には明らかであろう。所望の場合にはこのような機構は単に省かれてもよいことも理解されたい。
【0060】
B.代表的な切り換えアセンブリ
上述したように、外科用ステープル留め器具(10、210)は、吻合を作り出すために、2つのサブシステム、(組織をアンビル(40、240)とステープル留めヘッドアセンブリ(20、220)との間でクランプするための)閉鎖サブシステム、並びに(ナイフ(36)及びステープル(66)をアンビル(40、240)に向かって遠位側に打ち込むための)発射サブシステム、を有する。追加のモータ及び伝動装置のコスト及び実装を無くすために、単一の回転モータを用いて両方のサブシステムに動力を供給することが望ましい場合がある。図19図20は、単一の回転モータ(380)を用いて2つのサブシステムに動力を供給するように構成される代表的な駆動アセンブリ(371)を示す。器具(210)は単一の回転駆動軸を用いて閉鎖及び発射を提供したが、この例の駆動アセンブリ(371)は、単一のモータ(380)によって駆動される2本の別個の回転駆動軸を通じて閉鎖及び発射を提供する。駆動アセンブリ(371)は、モータ(380)、伝動軸(392)、ソレノイド(390)、閉鎖ロッド(364)、及び発射ロッド(362)を含む。モータ(380)は、モータ(380)から延びる軸(368)、及び軸(368)に結合される歯車(370)を含む。伝動軸(392)は、モータ(380)の歯車(370)と係合する歯車(372)を含む。伝動軸(392)の反対側の端部上に歯車(377)が位置付けられる。
【0061】
図18に示されるように、枢動するスイングアーム(391)が伝動軸(392)の周囲に巻かれ、伝動軸(392)はスイングアーム(391)に対して自由に回転し得るようにしている。スイングアーム(391)は伝動軸(392)から延び、歯車(376)を含む。歯車(376)はスイングアーム(391)にしっかり固定されている。ピン(394)がスイングアーム(391)から延び、歯車(376)と同軸になっている。ピン(394)はブラケット(393)によって枢動可能に支持され、それにより、スイングアーム(391)は、歯車(376)の回転に応じてブラケット(393)に対してピン(394)を中心として枢動可能である。ソレノイド(390)は、ラック(371)に結合される歯車(374)を含む。ラック(371)はまた、スイングアーム(391)の歯車(376)と係合する歯車(375)に結合される。代替的に、ソレノイド(390)の歯車(374)はスイングアーム(391)の歯車(376)に直接結合してもよい。閉鎖ロッド(364)は歯車(378)を含む。発射ロッド(362)は閉鎖ロッド(364)に隣接してそれと実質的に平行に位置付けられる。発射ロッド(362)は歯車(379)を含む。伝動軸(392)の歯車(377)は、閉鎖ロッド(364)の歯車(378)又は発射ロッド(362)の歯車(379)のどちらかと係合するために選択的に振れる。
【0062】
図19図20に示されるように、伝動軸(392)は、閉鎖ロッド(364)と係合するように位置付けられる。その結果、モータ(380)が稼動されると、軸(368)は歯車(370)を回転させる。それにより、歯車(370)は歯車(372)及び伝動軸(392)を回転させ、歯車(377)を回転させる。歯車(377)は歯車(378)と係合しているため、それにより、伝動軸(392)は閉鎖ロッド(364)を回転させる。閉鎖ロッド(364)は、アンビル(40、240)とステープル留めヘッドアセンブリ(20、220)との間の間隙距離dを調整するために用いられてもよい。ユーザが発射サブシステムに切り換えたいと所望する場合には、ソレノイド(390)が作動されてもよい。ソレノイド(390)が作動されると、ソレノイド(390)は歯車(374)を回転させ、ラック(371)を並進させる。すると、ラック(371)は歯車(375)及びスイングアーム(391)の歯車(376)を回転させる。それにより、歯車(376)はスイングアーム(391)を枢動させる。スイングアーム(391)が枢動するにつれて、スイングアーム(391)は伝動軸(392)を並進させ、それにより、伝動軸(392)は閉鎖ロッド(364)を係合解除し、発射ロッド(362)と係合する。その結果、モータ(380)が稼動されると、軸(368)は歯車(370)を回転させる。それにより、歯車(370)は歯車(372)及び伝動軸(392)を回転させ、歯車(377)を回転させる。歯車(377)は今度は歯車(379)と係合しているため、それにより、伝動軸(392)は発射ロッド(362)を回転させる。発射ロッド(364)は、ナイフ(36)及びステープル(66)をアンビル(40、240)に向かって遠位側に打ち込むために用いられてもよい。その後、ソレノイド(390)は、切り換えアセンブリ(371)がスイングアーム(391)を介して閉鎖サブシステムに切り換えるように再び作動されてもよい。
【0063】
ソレノイド(390)はボタンで稼動されるか又はさもなければ手動で稼動されてもよい。代替的に、切り換えアセンブリ(371)は、ソレノイド(390)が自動的に稼動されるように、論理を組み込んでもよい。例えば、ユーザは、図19に示されるように、ユーザ入力(310)を制御モジュール(312)に入力することによって駆動アセンブリ(371)を作動させてもよい。制御モジュール(312)はモータ(380)及びソレノイド(390)に結合され、ユーザ入力(310)に基づきモータ(380)及び/又はソレノイド(390)を選択的に作動させる。制御モジュール(312)は器具(10、210)と一体であってもよいか、又は制御モジュール(312)は別個のアセンブリであってもよい。本明細書における教示を鑑みれば、好適な制御モジュール(312)の構成が当業者には明らかであろう。
【0064】
III.その他
本明細書で述べる教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書で述べるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。上述した教示、表現、実施形態、実施例などはしたがって、互いに対して分離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせ得る種々の適切な方法が、本明細書の教示を考慮することで、当業者には容易に明らかになるであろう。こうした変更形態及び変形形態は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0065】
本明細書における教示のうちの少なくともいくつかは、「Surgical Staples Having Compressible or Crushable Members for Securing Tissue Therein and Stapling Instruments for Deploying the Same」と題し、2010年9月14日に発行された、米国特許第7,794,475号の1つ又は2つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。同特許の開示は本明細書において参照により組み込まれている。それらの教示を組み合わせることのできる様々な適切な方法は、当業者には明白であろう。
【0066】
同様に、本明細書における教示のうちの少なくともいくつかは、「Trans−Oral Circular Anvil Introduction System with Dilation Feature」と題し、2012年12月4日に出願された、米国特許出願第13/693,430号の1つ又は2つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。それらの教示を組み合わせることのできる様々な適切な方法は、当業者には明白であろう。
【0067】
同様に、本明細書における教示のうちの少なくともいくつかは、「Surgical Staple with Integral Pledget for Tip Deflection」と題し、2012年11月29日に出願された、米国特許出願第13/688,951号の1つ又は2つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。それらの教示を組み合わせることのできる様々な適切な方法は、当業者には明白であろう。
【0068】
同様に、本明細書における教示のうちの少なくともいくつかは、「Surgical Stapler with Varying Staple Widths Along Different Circumferences」と題し、2012年12月6日に出願された、米国特許出願第13/706,827号の1つ又は2つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。それらの教示を組み合わせることのできる様々な適切な方法は、当業者には明白であろう。
【0069】
同様に、本明細書における教示のうちの少なくともいくつかは、「Pivoting Anvil for Surgical Circular Stapler」と題し、2012年11月29日に出願された、米国特許出願第13/688,992号の1つ又は2つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。それらの教示を組み合わせることのできる様々な適切な方法は、当業者には明白であろう。
【0070】
同様に、本明細書における教示のうちの少なくともいくつかは、「Circular Anvil Introduction System with Alignment Feature」と題し、2012年12月4日に出願された、米国特許出願第13/693,455号の1つ又は2つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。それらの教示を組み合わせることのできる様々な適切な方法は、当業者には明白であろう。
【0071】
同様に、本明細書における教示のうちの少なくともいくつかは、「Circular Stapler with Selectable Motorized and Manual Control」と題し、本出願と同日付で出願された、米国特許出願第米国特許出願第[弁護士整理番号END7159USNP.0597920]号の1つ又は2つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。それらの教示を組み合わせることのできる様々な適切な方法は、当業者には明白であろう。
【0072】
同様に、本明細書における教示のうちの少なくともいくつかは、「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Lockable Flexible Shaft」と題し、本出願と同日付で出願された、米国特許出願第[弁護士整理番号END7163USNP.0597922]の1つ又は2つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。それらの教示を組み合わせることのできる様々な適切な方法は、当業者には明白であろう。
【0073】
同様に、本明細書における教示のうちの少なくともいくつかは、「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Lockable Flexible Shaft」と題し、本出願と同日付で出願された、米国特許出願第[弁護士整理番号END7163USNP.0597933]の1つ又は2つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。同出願の開示は本明細書において参照により組み込まれている。それらの教示を組み合わせることのできる様々な適切な方法は、当業者には明白であろう。
【0074】
本明細書に参照により援用されると言及されたいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容も、その全体又は一部において、援用された内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に援用されることが認識されるべきである。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込んだ任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込むと称されているが現行の定義、記載、又は本明細書に記載されている他の開示物と矛盾するいずれの事物、又はそれらの部分は、組み込まれた事物と現行の開示事物との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれるものとする。
【0075】
上述の装置の変形例は、医療専門家によって行われる従来の治療及び処置での用途だけでなく、ロボット支援された治療及び処置での用途も有することができる。ほんの一例として、本明細書の様々な教示は、ロボットによる外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者には明らかとなることであるが、本明細書の様々な教示は、参照によってその開示内容が本明細書に組み込まれる、2004年8月31日公開の米国特許第6783524号、名称「超音波焼灼及び切断器具を備えたロボット手術用具(Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument)」の様々な教示と容易に組み合わされ得る。
【0076】
上述の変形例は、1回の使用後に処分されるように設計されてもよく、あるいは、それらは、複数回使用されるように設計されることもできる。諸形態は、いずれの場合も、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整することは、装置を分解する工程、それに続いて特定の部品を洗浄又は交換する工程、並びにその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含んでよい。特に、装置の変形物によっては分解されてもよく、また、装置の任意の数の特定の部片又は部品が、任意の組み合わせで選択的に交換されるか、あるいは取り外されてもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置の変形物によっては、再調整用の施設で、又は外科的処置の直前にユーザによって、その後の使用のために再組み立てされてよい。装置の再調整では、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用できることが、当業者には理解されよう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0077】
ほんの一例として、本明細書で説明した形態は、処置の前及び/又は後に滅菌してもよい。1つの滅菌技術では、装置は、プラスチック又はTYVEKバッグなど、閉められかつ密閉された容器に入れられる。次いで、容器及び装置は、γ放射線、X線、又は高エネルギー電子など、容器を透過し得る放射線場に置かれてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させることができる。次に、滅菌された装置は、後の使用のために、滅菌した容器内に保管され得る。装置はまた、限定されるものではないが、ベータ若しくはガンマ放射線、エチレンオキシド、又は水蒸気を含め、当該技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0078】
本発明の様々な実施形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる改変が、当業者による適切な変更により、本発明の範囲を逸脱することなく達成され得る。そうした可能な変更形態の幾つかについて述べたが、その他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上で議論した例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の「特許請求の範囲」から考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示し説明した構造及び操作の細部に限定されると解釈されるものではない。
【0079】
〔実施の態様〕
(1) 組織をステープル留めするための装置であって、
(a)ステープル留めヘッドアセンブリであって、前記ステープル留めヘッドアセンブリは、
(i)組織をアンビルに当ててクランプするように動作可能である閉鎖アセンブリ、及び
(ii)少なくとも1つのステープルを、前記アンビルに向かって、組織を貫通させて打ち込むように動作可能である発射アセンブリ
を含む、ステープル留めヘッドアセンブリと、
(b)前記ステープル留めヘッドアセンブリと連絡した回転駆動軸と、
(c)前記回転駆動軸に結合される本体アセンブリであって、前記本体アセンブリは、組織クランプモードと発射モードとの間で選択を行うように動作可能であるモード選択器を含み、前記回転駆動軸は、前記組織クランプモードの選択に応じて前記閉鎖アセンブリを作動させるように動作可能であり、前記回転駆動軸は、前記発射モードの選択に応じて前記発射アセンブリを作動させるように動作可能である、本体アセンブリと、
を備える、装置。
(2) 前記モード選択器が、前記組織クランプモードと前記発射モードとの間で選択を行うために、前記回転駆動軸を第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間で並進させるように動作可能である、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記本体アセンブリがハウジングを更に含み、前記モード選択器が、前記本体アセンブリの前記ハウジングに対して移動可能な環状部材を含む、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記本体アセンブリの前記ハウジングが複数のスロットを更に画定し、前記モード選択器が、前記環状部材から突出するピン部材を更に含み、前記ピン部材は、前記モード選択器によるモード選択中に前記複数のスロットを横断するように構成される、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記モード選択器が近位位置と遠位位置との間で移動可能であり、前記近位位置は前記発射モードに関連付けられ、前記遠位位置は前記組織クランプモードに関連付けられる、実施態様1に記載の装置。
【0080】
(6) 前記モード選択器が、前記アンビルを前記ステープル留めヘッドアセンブリに対して閉じるべく前記回転駆動軸の回転をトリガするために、第1の方向に回転可能である、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記モード選択器が、前記アンビルを前記ステープル留めヘッドアセンブリに対して開くべく前記回転駆動軸の回転をトリガするために、第2の方向に回転可能である、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記モード選択器が、少なくとも1つのステープルを、前記ステープル留めヘッドアセンブリから前記アンビルに向かって、組織を貫通させて打ち込むべく前記回転駆動軸の回転をトリガするために、第1の方向に回転可能である、実施態様5に記載の装置。
(9) 前記発射アセンブリが、ナイフを、組織を貫通させて打ち込むように更に動作可能である、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記本体アセンブリがスイッチを含み、前記スイッチは、前記ステープル留めヘッドアセンブリを選択的に稼動するように構成され、前記スイッチは、前記モード選択器の回転に応じて稼動されるように位置付けられる、実施態様1に記載の装置。
【0081】
(11) モータを更に備え、前記モータは前記回転駆動軸を駆動するように動作可能である、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記回転駆動軸の手動回転を提供するために前記モータを前記回転駆動軸から選択的に係合解除するように動作可能である手動動作選択器を更に備える、実施態様11に記載の装置。
(13) 制御アセンブリを更に備え、前記制御アセンブリは、
(i)前記ステープル留めヘッドアセンブリの動作に関連付けられた1つ又は2つ以上の状態を検知するように構成されるセンサ、及び
(ii)前記センサ及び前記モータと通信している制御モジュールであって、前記制御モジュールは、前記センサからの信号に少なくとも一部基づき前記モータの動作を制御するように動作可能である、制御モジュール
を含む、実施態様11に記載の装置。
(14) (a)フィードバック機構であって、前記フィードバック機構は、前記ステープル留めヘッドアセンブリの動作に関連付けられた状態を指示するために音声フィードバック又は視覚フィードバックのうちの1つ又は両方を操作者に提供するように動作可能である、フィードバック機構と、
(b)制御アセンブリであって、
(i)前記ステープル留めヘッドアセンブリの動作に関連付けられた1つ又は2つ以上の状態を検知するように構成されるセンサ、及び
(ii)前記センサ及び前記フィードバック機構と通信している制御モジュールであって、前記制御モジュールは、前記センサからの信号に少なくとも一部基づき前記フィードバック機構を駆動するように動作可能である、制御モジュール、
を含む、制御アセンブリと、
を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記装置が、手動動作モードとモータ駆動動作モードとの間で切り換わるように構成され、前記制御アセンブリが、前記手動動作モードが選択されているのか、それとも前記モータ駆動動作モードが選択されているのかを指示するために前記フィードバック機構を駆動するように動作可能である、実施態様14に記載の装置。
【0082】
(16) 前記制御アセンブリが、前記組織クランプモードが選択されているのか、それとも前記発射モードが選択されているのかを指示するために前記フィードバック機構を駆動するように動作可能である、実施態様14に記載の装置。
(17) 前記制御アセンブリが、前記アンビルと前記ステープル留めヘッドアセンブリとの間の距離を指示するために前記フィードバック機構を駆動するように動作可能である、実施態様14に記載の装置。
(18) 前記本体アセンブリがハンドルを画定する、実施態様1に記載の装置。
(19) 組織をステープル留めするための装置であって、
(a)ステープル留めヘッドアセンブリであって、前記ステープル留めヘッドアセンブリは、組織クランプモード又は組織ステープル留めモードで選択的に動作するように構成され、前記ステープル留めヘッドアセンブリは、前記組織クランプモードでは組織をクランプするためにアンビルを駆動するように動作可能であり、前記ステープル留めヘッドアセンブリは、前記組織ステープル留めモードでは組織をステープル留めするように動作可能である、ステープル留めヘッドアセンブリと、
(b)前記ステープル留めヘッドアセンブリを前記組織クランプモードで駆動するように動作可能である回転駆動軸であって、前記回転駆動軸は、前記ステープル留めヘッドアセンブリを前記組織ステープル留めモードで駆動するように更に動作可能である、回転駆動軸と、
(c)前記回転駆動軸と結合される本体であって、前記本体は、
(i)軸回転機構であって、前記軸回転機構は、前記回転駆動軸を回転させるように動作可能である、軸回転機構、及び
(ii)軸並進機構であって、前記軸並進機構は、前記回転駆動軸を第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間で並進させるように動作可能である、軸並進機構、
を含む本体と、
を備え、
前記回転駆動軸は、前記回転駆動軸が前記第1の長手方向位置にあることに応じて前記ステープル留めヘッドアセンブリを前記組織クランプモードで駆動するように動作可能であり、
前記回転駆動軸は、前記回転駆動軸が前記第2の長手方向位置にあることに応じて前記ステープル留めヘッドアセンブリを前記組織ステープル留めモードで駆動するように動作可能である、装置。
(20) 組織をステープル留めするための装置であって、
(a)組織クランプモード又は組織ステープル留めモードで選択的に動作するように構成されるステープル留めヘッドアセンブリと、
(b)前記ステープル留めヘッドアセンブリを前記組織クランプモードで駆動するように動作可能である駆動アセンブリであって、前記駆動アセンブリは、前記ステープル留めヘッドアセンブリを前記組織ステープル留めモードで駆動するように更に動作可能である、駆動アセンブリと、
(c)前記ステープル留めヘッドアセンブリを前記組織クランプモードと前記組織ステープル留めモードとの間で移行させるように動作可能であるモード選択器と、
(d)前記モード選択器によるモード選択の指示を提供するように動作可能であるフィードバック機構と、
を備える装置。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20