特許第6396340号(P6396340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キアゲン ゲーエムベーハーの特許一覧

特許6396340化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管、管配列、管配列における使用のためのキャリア、管の使用、ならびに管を形成するための方法
<>
  • 特許6396340-化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管、管配列、管配列における使用のためのキャリア、管の使用、ならびに管を形成するための方法 図000002
  • 特許6396340-化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管、管配列、管配列における使用のためのキャリア、管の使用、ならびに管を形成するための方法 図000003
  • 特許6396340-化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管、管配列、管配列における使用のためのキャリア、管の使用、ならびに管を形成するための方法 図000004
  • 特許6396340-化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管、管配列、管配列における使用のためのキャリア、管の使用、ならびに管を形成するための方法 図000005
  • 特許6396340-化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管、管配列、管配列における使用のためのキャリア、管の使用、ならびに管を形成するための方法 図000006
  • 特許6396340-化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管、管配列、管配列における使用のためのキャリア、管の使用、ならびに管を形成するための方法 図000007
  • 特許6396340-化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管、管配列、管配列における使用のためのキャリア、管の使用、ならびに管を形成するための方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396340
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管、管配列、管配列における使用のためのキャリア、管の使用、ならびに管を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   C12M1/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-560683(P2015-560683)
(86)(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公表番号】特表2016-508730(P2016-508730A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】EP2014054302
(87)【国際公開番号】WO2014135613
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2016年12月13日
(31)【優先権主張番号】13158035.9
(32)【優先日】2013年3月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507214038
【氏名又は名称】キアゲン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ラゼフスキー, ササ
(72)【発明者】
【氏名】フォイト, トマス
【審査官】 山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−167865(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0031760(US,A1)
【文献】 特開平10−142229(JP,A)
【文献】 特開平07−303850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
C12Q 1/00−3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAPLUS/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管(1)と、キャリア(4)とを伴う、管配列であって、前記キャリア(4)は、サーマルサイクラのデバイス内に位置付けられることができるアダプタとして形成されるように適合され、前記管(1)は、位置決め要素を有し、前記位置決め要素は、前記管(1)の外部の突起(3)を備え、前記キャリア(4)は、開口部5を備え、前記開口部(5)は、前記突起(3)を受容するように適合され、位置決めされる、管配列。
【請求項2】
前記サーマルサイクラのデバイスは、ロータである、請求項1に記載の管配列。
【請求項3】
前記キャリア(4)は、ストリップまたは閉鎖リングとして形成される、請求項1または2に記載の管配列。
【請求項4】
前記位置決め要素は、前記管(1)の一体部分として形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の管配列。
【請求項5】
前記位置決め要素は、キャップ(7)の一体部分として形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の管配列。
【請求項6】
前記位置決め要素は、別個に提供される、請求項1から3のいずれか一項に記載の管配列。
【請求項7】
前記位置決め要素および/または前記キャリア(4)は、前記管(1)の枢動を可能にする、請求項1から6のいずれか一項に記載の管配列。
【請求項8】
前記突起(3)は、前記管の本体の縦方向に平行に延在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の管配列。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の管配列を使用し、前記管配列をサーマルサイクラのデバイス内に位置付けるステップを含む、インビトロ増幅測定を行うための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的、生物学的、および生物工学的プロセスの分野で使用される管に関する。特に、本発明は、インビトロ増幅反応、PCR、および/または遺伝子型判定のための流体を含有することができる管に関する。
【背景技術】
【0002】
インビトロ増幅手技は、サーマルサイクラまたは別の実験室デバイス内に位置付けられることができる、小型の反応管の中で実施されることができる。サーマルサイクラは、要求される具体的温度、特に、ポリメラーゼ連鎖反応のために要求される具体的温度を達成するために、PCR管を加熱および冷却する。サーマルサイクラは、特に、管(ロータ)を回転させ、および/または加熱かつ冷却するための管等の反応容器を取り扱うためのロータまたはブロックを提供することができる。
【0003】
管内の具体的物質の温度および/または量を検出するために、光学測定が、実施される。光学測定は、管内の流体の光学特性、例えば、蛍光シグナルを判定する。したがって、管は、光ビームを用いて照射されることができ、光を用いた照射によって生じたシグナルが、検出されることができる。そのような測定のための実施例は、QIAGEN(Germany)(www.qiagen.com)のQIAsymphony RGQシステムである。
【0004】
第WO2012/006668A1号(特許文献1)は、リング本体と、複数の伸長管とを備え、各伸長管が、リング本体と一体的に形成され、各管の縦方向アクセスがリング本体の回転軸と略平行である、初期位置と、各管の縦方向アクセスがリング本体の回転軸に対して傾斜される、最終位置との間でリング本体に枢動可能に接続される、多重容器リングを開示している。
【0005】
管の使用は、実際は、光学測定のために使用される光ビームにおける管の整列が理想的ではなく、管毎に異なることを理由として、困難を生じさせることが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2012/006668A1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、管の内容物の調査のために使用される光学光ビームに対する管の整列の困難性を克服する、管を提供することである。
【0008】
本目的は、独立請求項の主題によって解決される。
【0009】
本発明による管を提供することによって、単に、異なる位置決めの結果としての逸脱した測定結果が回避されることができ、光学光ビーム内に同一の条件下で各管を位置付けることが可能となる。管の整列は、キャリア上/キャリア内の対応する構造によって画定されることができる。本対応する構造は、管の位置決め要素に対応する構造を有することができる。さらに、単一製造管を提供することによって、サーマルサイクラの中に配列される各管内の温度は、全管において同一と見なされることができる。
【0010】
管は、使い捨て管であることができ、インビトロ増幅プロセスのために好適なプラスチック材料から射出成形することによって生産されることができる。好ましくは、管は、間隔0.1〜2.0ml、特に好ましくは、0.2〜0.6mlの容積を有する。
【0011】
用語「位置決め要素」は、サーマルサイクラのキャリアおよび/またはロータ内の管の位置決めおよび/または整列のための基準点としての役割を果たすことができる、任意の幾何学形状を包含する。位置決め要素は、ピン、フック、ナット、空洞、冠着部品、または同等物として形成されることができる。
【0012】
用語「化学的、生物学的、または生物工学的物質」は、特に、血液、DNA、RNA、核酸、オリゴヌクレオチド、および/またはアプタマを包含する。
【0013】
好ましい実施形態では、管は、位置決め要素と一体的に形成され、管の製造のために必要なステップの数を減少させることができる。さらに、位置決め要素とともに単一部品内に管を提供することによって、製造プロセスは、管上に位置決め要素を形成するための特定の整列が必要なくなるので、単純となる。さらに、管が、キャップを備える場合、位置決め要素は、管のキャップと一体的に形成されることができる。代替として、位置決め要素は、管上の別個の部品として、例えば、カラーとして位置することができる。
【0014】
好ましい実施形態では、管の位置決め要素および/またはキャリアの対応する構造は、管の枢動を可能にする。したがって、位置決め要素は、キャリア内への管の位置付け、ならびに管の枢動を可能にし、管を取り扱うために必要な要素の数を減少させる。好ましい実施形態では、位置決め要素は、管を枢動させるための枢動軸を画定することができる、枢動要素として形成される。したがって、枢動要素は、管を枢動させるための要素としての役割を果たすことができる。特に、継手要素は、キャリアの継手ソケット内に枢動搭載される継手ヘッドであることができる。
【0015】
好ましくは、位置決め要素は、管本体の縦方向に平行、好ましくは、管の伸長部分に平行に延在する、突起を備える。好ましい実施形態では、突起は、バー上に形成され、バーは、管の開口部に対して横方向に延在する。
【0016】
好ましい実施形態では、キャリアは、4本以上の管、特に、直線状に整列された4本の管またはリング形状に整列された72本の管が位置付けられ得るように提供されることができる。さらに、管は、96ウェルプレート配列であってもよい。好ましくは、キャリアは、キャリアが直線状に整列された管を提供する場合、管を受容するための円周方向開放受台を有する。好ましくは、キャリアは、キャリアがリング形状の整列を提供する場合、管を受容するための円周方向閉鎖受台を有する。キャリアは、管の個別の位置決め要素と係合するための位置決め要素を有することができる。キャリアを製造するために使用される材料は、管のために使用される材料と同一であることができるが、しかしながら、低コストおよび機械的需要に関する要件を満たす、材料、好ましくは、プラスチックが、選定され得る。
【0017】
用語「キャリア」は、管およびキャリアが、ユニットとして取り扱われることができるような4本以上の管の位置決めを可能にする、あらゆる構造を包含し、特に、キャリアは、アダプタとして形成されることができる。したがって、キャリアの把持は、キャリア内に位置付けられた管の取扱および/または移動あるいは搬送を可能にすることにつながる。キャリアは、例えば、サーマルサイクラのロータまたは類似デバイス内に位置付けられることができる。サーマルサイクラのデバイスは、それぞれ、1本の管を収容するための複数の開口部を備える、公知のデバイスである。アダプタとしてのキャリアは、デバイスの開口部に適合される。キャリアの幾何学的構造は、デバイスの幾何学的構造に適合されることができる。キャリアは、サーマルサイクラ内に管を収容し得るデバイスの付加的要素であることができる。
【0018】
好ましい実施形態では、管配列が、提供される、または4本以上の管では、キャリア内に位置付けられ、キャリアは、管と非一体的形態である。本管配列は、サーマルサイクラ内への管の位置決めを可能にし、各管は、管内に含有される流体サンプルの調査のために使用される光学光ビームに関して同一の光学特性を有する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
化学的、生物学的、または生物工学的物質のための管(1)と、キャリア(4)とを伴う、管配列であって、前記キャリア(4)は、サーマルサイクラのデバイス内に位置付けられることができるアダプタとして形成されるように適合され、前記管(1)は、位置決め要素を有し、前記位置決め要素は、前記キャリア(4)の中に提供される対応する構造内に係合するために成形される、管配列。
(項目2)
前記サーマルサイクラのデバイスは、ロータである、項目1に記載の管配列。
(項目3)
前記キャリア(4)は、ストリップまたは閉鎖リングとして形成される、項目1または2に記載の管配列。
(項目4)
前記位置決め要素は、前記管(1)の一体部分として形成される、項目1から3のいずれか一項に記載の管配列。
(項目5)
前記位置決め要素は、キャップ(7)の一体部分として形成される、項目1から4のいずれか一項に記載の管配列。
(項目6)
前記位置決め要素は、別個に提供される、項目1から5のいずれか一項に記載の管配列。
(項目7)
前記位置決め要素および/または前記キャリア(4)は、前記管(1)の枢動を可能にする、項目1から6のいずれか一項に記載の管配列。
(項目8)
前記位置決め要素は、前記管の本体の縦方向に平行に延在する、突起(3)を備える、項目1から7のいずれか一項に記載の管配列。
(項目9)
項目1から8に記載の管配列を使用し、前記管配列をサーマルサイクラのデバイス内に位置付けるステップを含む、インビトロ増幅測定を行うための方法。

【0019】
本願の他の目的、特徴、利点、および側面は、以下の説明および従属請求項から当業者に明白となるであろう。しかしながら、以下の説明、従属請求項、および具体的実施例は、本願の好ましい実施形態を示すが、例証のみとして与えられることを理解されたい。開示される発明の精神および範囲内の種々の変更および修正は、実際、以下を熟読することによって、当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
ここで、本発明の実施例が、付随の図面を参照して説明される。
図1図1は、斜視図における、キャリア内に位置付けられる4本の管を図式的に示す。
図2図2は、図1の断面図である。
図3図3は、断面図における、キャリア内に位置付けられる管を図式的に示す。
図4図4は、ロータによって支持される、キャリア内に位置付けられる管を図式的に示す。
図5図5は、管を枢動させた後の図4によるロータ内に位置付けられた管を示す。
図6図6は、図5の拡大図を示す。
図7図7は、拡大図における、図4および5によるキャリアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、4本の管1を示す。各管1は、開放端および閉鎖端を有する。各管1は、流体が充填され得る、伸長本体を有する。開放端には、バー2が、管1の開放端に対して横方向に延在する。図2においてさらに見られ得るように、突起3が、伸長管本体の縦方向に平行に延在する。突起3は、管1をキャリア4内に位置決めするための位置決め要素である。
【0022】
図1に示されるキャリア4では、管1は、直線状に整列している。キャリア4は、開口部5を備える。各開口部5は、突起3を受容するように適合され、位置付けられる。開口部5は、管1の突起3と係合するための位置決め要素である。
【0023】
さらに、キャリア4は、側壁6を備える。2つの隣接する側壁6間の距離は、バー2の幅に対応する。側壁6のため、キャリア4に対する管1のさらなるまたは代替位置決めが、提供されることができる。
【0024】
図1に示される管1はさらに、それぞれ、閉鎖部またはキャップ7を備える。図1に示される実施形態では、管1、バー2、突起3、およびキャップ7は、一体的に形成される。キャリア4は、非一体的に形成されるが、管1と異なるステップで製造される。管1は、開口部5内の突起3および/または2つの側壁6間のバー2の整列によって、キャリア4内に位置付けられる。
【0025】
図3は、キャリア4内に位置付けられる位置決め要素としての突起3を伴う管1を図式的に示す。止まり穴8が、突起3を受容するために、キャリア4内に形成される。キャリア4は、キャリア4に対して管1を枢動させるための継手9を備える。図3に示される実施形態では、継手9は、一体型ヒンジとして提供される。管1を受容するキャリア4の区分11と離間される区分10が、サーマルサイクラのロータ上に搭載または固定されることができる。
【0026】
図4および5では、本発明による管1は、枢動要素12として使用される位置決め要素によって、キャリア4内に位置付けられる。キャリア4は、サーマルサイクラのロータ14内に位置付けられる。図4では、管1は、その初期位置に示される。図5では、管は、ロータ14に対してその枢動位置に示される。図3では、キャリア4は、管1を枢動させるための継手を備えるように示されるが、図4から7に示される実施形態では、管1の枢動は、図4に示される位置から図5に示される枢動位置に管1を移動または押動させるためのキャリア4に対する要素の移動によって得られる。
【0027】
枢動要素12は、管1と一体的に形成される。枢動要素12は、キャリア4の継手ソケット13内に位置付けられる、継手ヘッドとして形成される。管1は、キャリア4内に形成される切り込み15によって、図5に示される枢動位置に保持される(図7参照)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7