(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排気孔として、前記中皿から下方に向かって突出する筒状体内に形成された筒状排気孔を有しており、前記排気制御装置として、前記昇降機構により該中皿を繰り下げたときに、全体又は一部が該筒状排気孔に挿入された状態で該筒状排気孔を閉鎖する空気栓を設けた、請求項1又は2に記載の棒状化粧料容器。
前記空気栓は、前記筒状排気孔への挿入方向の先端側に設けられ、前記筒状排気孔に挿入されても空気の流通が維持される細長い形状の第1挿入部と、前記挿入方向の後端側に設けられ、該筒状排気孔に挿入されると空気の流通が遮断される第2挿入部とを有し、前記筒状排気孔に前記第1挿入部のみを挿入した状態で該筒状排気孔に仮固定可能になされている、請求項3に記載の棒状化粧料容器。
前記筒状排気孔の閉鎖状態において、前記空気栓の前記筒状排気孔内に挿入されている部分の体積が、該筒状排気孔内の容積の50%以上を占める、請求項3〜5の何れか1項に記載の棒状化粧料容器。
前記筒状体は、前記筒状排気孔に前記第1挿入部のみが挿入された状態で、前記筒状体の内周壁と前記第1挿入部の外周面との間に、前記筒状排気孔の空気を外部に流通させる空気流通部を有し、
前記第2挿入部は、前記空気流通部の上方の位置において、前記筒状排気孔の空気の流通を遮断可能な形状に形成されている、請求項4〜7の何れか1項に記載の棒状化粧料容器。
前記空気流通部は、前記筒状体の下部に形成され、該筒状体をその内周壁から外周壁に向けて厚み方向に切り欠いた切欠き部からなる、請求項8に記載の棒状化粧料容器。
前記仮固定部は、前記第1挿入部の外周面上に形成された複数対の突起部からなり、各対の突起部が、前記空気栓の前記挿入方向に沿って配されている、請求項11に記載の棒状化粧料容器。
前記排気孔が前記中皿の周壁部又は底部に形成されており、前記排気制御装置が該排気孔の開口部に密着して該排気孔を閉鎖する栓部材である、請求項1又は2に記載の棒状化粧料容器。
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の昇降機構及び該中皿を収容する外筒を備えた棒状化粧料容器と、前記収容空間内に前記下端域が収容されている前記棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品における前記棒状化粧料の前記中皿からの脱落を防止する棒状化粧料の脱落防止方法であって、
前記中皿には、前記収容空間の内外を連通する排気孔が設けられており、
前記棒状化粧料容器には、前記中皿を繰り下げることにより前記排気孔を閉鎖する排気制御装置が設けられており、
前記昇降機構により前記中皿を繰り出した状態下に、前記中皿の収容空間に、該収容空間内の空気を前記排気孔を介して排出させつつ前記棒状化粧料の前記下端域を挿入する工程と、
前記下端域が挿入された前記中皿を前記昇降機構により繰り下げ、それによって、前記排気制御装置により前記排気孔を閉鎖させる工程とを備えた、棒状化粧料の脱落防止方法。
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の昇降機構及び該中皿を収容する外筒を備えた棒状化粧料容器と、前記収容空間内に前記下端域が収容されている前記棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品の製造方法であって、
前記中皿には、前記収容空間の内外を連通する排気孔が設けられており、
前記棒状化粧料容器には、前記中皿を繰り下げることにより前記排気孔を閉鎖する排気制御装置が設けられており、
前記昇降機構により前記中皿を繰り出した状態下に、前記中皿の収容空間に、該収容空間内の空気を前記排気孔を介して排出させつつ前記棒状化粧料の前記下端域を挿入する工程と、
前記下端域が挿入された前記中皿を前記昇降機構により繰り下げ、それによって、前記排気制御装置により前記排気孔を閉鎖させる工程とを備えた、棒状化粧料製品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2には、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料容器1及び棒状化粧料製品3が示されている。棒状化粧料製品3は、棒状化粧料容器1と、中皿10の収容空間内に下端域が収容されている棒状化粧料2とを備えている。
図1には、棒状化粧料製品3が棒状化粧料容器1と棒状化粧料2とから構成されている状態が示されているが、棒状化粧料製品3は、これらの構成要素に加えて、
図1に二点鎖線で示すキャップ4を備えていてもよい。
【0014】
棒状化粧料製品3の構成要素の一つである棒状化粧料容器1は、中皿10を備えている。中皿10は、環状の周壁部11及び底部12を有する有底筒状の形状をした部材である。環状の周壁部11の横断面形状は例えば円形とすることができる。中皿10においては、環状の周壁部11と底部12とで、上方に向けて開口した空間Sが画成されている。この空間Sは、棒状化粧料2の下端域2aの収容が可能な収容空間となっている。空間Sと棒状化粧料2の下端域2aとは概ね相補形状になっている。
【0015】
中皿10の底部12には、該中皿10の昇降機構20が連設されている。昇降機構20は、昇降基部21を有している。昇降基部21は筒状の形状をしており、その外周面に、周方向に沿って延びる複数の環状段差部を有している。複数の環状段差部は昇降基部21の上下方向に沿って距離を隔てて形成されている。複数の環状段差部のうち、最も下側に位置する第1段差部21aは、昇降機構20が、後述する本体基部40内に収容されたときに、
図1に示すとおり、該本体基部40の内周壁に突設された係合用突起部42と係合するようになっている。第1段差部21aよりも上下方向の上方の位置には第2段差部21bが形成されている。第2段差部21bは、
図1に示すとおり、後述する外筒30内に昇降機構20が収容された状態において、該外筒30の下端域に形成された係合用環状突起部31と係合するようになっている。第2段差部21bよりも上下方向の上方の位置には第3段差部21cが形成されている。第3段差部21cには、
図2に示すとおり、Oリング24が取り付けられている。Oリング24は、外筒30内に昇降機構20が収容された状態において、該外筒30と昇降機構20との間にがたつき等が生じないようにするために用いられる。
【0016】
図1に示すとおり、昇降基部21はこれを横断面視したときに、その中央域が空間21sになっている。この空間21sは昇降基部21の上下方向に沿って延びており、上部において開口している。この空間21sを画成する内周壁には雌ネジ21dが設けられている。空間21s内には、第1昇降部22が挿入される。第1昇降部22は略円筒形をした部材であり、その外面に雄ネジ22aが設けられている。この雄ネジ22aは、上述した昇降基部21の雌ネジ21dと螺合するようになっている。したがって第1昇降部22を昇降基部21の空間21s内に挿入するときには、第1昇降部22をその軸周りに回転させて、雄ネジ22aと雌ネジ21dとの螺合を進行させる。螺合の進行によって第1昇降部22は降下する。第1昇降部22の回転方向を反転させることで、第1昇降部22は上昇する。第1昇降部22の降下は、該第1昇降部22の上端に設けられているフランジ部22cが、昇降基部21の上端近傍の段差部に当接することで規制されるようになっている。
【0017】
図1に示すとおり、略円筒形をしている第1昇降部22には、その内部に形成された空間を画成する内周壁に、雌ネジ22bが設けられている。第1昇降部22の内部の空間内には、第2昇降部23が挿入される。第2昇降部23は略円柱形をした部材であり、その外面に雄ネジ23aが設けられている。この雄ネジ23aは、上述した第1昇降部22の雌ネジ22bと螺合するようになっている。第2昇降部23を第1昇降部22の空間内に挿入するときには、第2昇降部23をその軸周りに回転させて、雄ネジ23aと雌ネジ22bとの螺合を進行させる。螺合の進行によって第2昇降部23は降下する。第2昇降部23の回転方向を反転させることで、第2昇降部23は上昇する。
【0018】
第1実施形態における第2昇降部23は、横断面視したときの中央域に、上下方向に沿って延びる排気孔5を有している。排気孔5は、第2昇降部23及び第2昇降部23の上部に連設されている中皿10の底部12を上下方向に貫通しており、一端に、底部12の上面に開口する上端開口部5aを有し、他端に、第2昇降部23の下端の中央域に開口する下端開口部5bを有している。第1実施形態における、排気孔5を有する第2昇降部23及び排気孔5は、本発明における「中皿から下方に向かって突出する筒状体」及び「筒状排気孔」である。
【0019】
排気孔5は、排気孔5が空気栓50により閉鎖されていない状態(以下、排気孔の非閉鎖状態ともいう)においては、棒状化粧料2の下端域2aが収容される収容空間Sの内外を連通し、棒状化粧料2の下端域2aを中皿10の収容空間Sに挿入する際に、収容空間S内の空気を収容空間S外に排出する空気抜き用の孔として機能する。空気栓50は、第1実施形態における排気制御装置であり、
図1又は
図4(e)に示すように、排気孔5が空気栓50により閉鎖されている状態(以下、排気孔の閉鎖状態ともいう)においては、排気孔5を介した空気の流通が遮断され、収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止される。排気孔5の横断面形状は、本実施形態においては円形であるが、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形や楕円形等の他の形状であっても良い。空気栓50の詳細については、後述する。
第2昇降部23の降下は、該第2昇降部23に連設されている中皿10が、昇降基部21の上端部に当接するか、又は
図4(d)に示すように、本体基部40の底部40bに押圧された空気栓50により排気孔5が閉鎖されることで規制されるようになっている。
【0020】
棒状化粧料容器1は外筒30を備えている。外筒30は薄肉の円筒形をした部材であり、その内部に、上述した中皿10及び昇降機構20を収容可能になっている。外筒30の下端縁は、該外筒30の軸線と直交する平面上に位置している。これとは対照的に外筒の上端縁30aは、斜円柱の底面の周形状をしている。したがって上端縁30aは、最上点30bと最下点30cとを有している。外筒30の下端域には、該外筒30の周方向に沿って延びる係合用環状突起部31が形成されている。係合用環状突起部31は、外筒30の内部の空間へ向けて突出している。係合用環状突起部31は、上述したとおり、昇降機構20の昇降基部21における第2段差部21bと係合するようになっている。
【0021】
棒状化粧料容器1は本体基部40を備えている。本体基部40はその外形が、稜線が丸みを帯びた略角柱状をしている。本体基部40は、これを横断面視したときに、その中央域が空間41になっている。この空間41は本体基部40の上下方向に沿って延びており、上部において開口している。空間41内には、外筒30及び昇降機構20、並びに棒状化粧料の下端域2aが収容される。本体基部40の空間41を画成する内周壁には、その下端域に係合用突起部42が突設されている。この係合用突起部42は、上述したとおり、昇降機構20の昇降基部21における第1段差部21aと係合するようになっている。本体基部40は、本実施形態においては稜線が丸みを帯びた略角柱状であるが、これに代えて横断面が円形や楕円形であっても良く、あるいは横断面が三角形、四角形、五角形及び六角形等の多角形等の他の形状であっても良い。
【0022】
図3(a)ないし
図3(c)には、空気栓50の拡大図が示されている。空気栓50は、収容空間Sの内外を連通する前述した排気孔5内に挿入される挿入部51と、排気孔5内に挿入されない台座部57とを備えている。また空気栓50は、挿入部51に、排気孔5に挿入されても排気孔5を介した空気の流通が維持される第1挿入部52と、排気孔5に挿入されると排気孔5を介した空気の流通が遮断される第2挿入部56とを有している。第1挿入部52は、棒状化粧料容器1の上下方向に沿って延びる中心軸部52aと、中心軸部52aの周囲に、該中心軸部52aから放射状に広がるように形成された複数の突片52bとを有している。複数の突片52bは、細長い板状の形状を有しており、それぞれ中心軸部52aに沿って延びている。第1挿入部52の周方向において隣り合う突片52b間には、溝部53が形成されている。
図3に示す空気栓50の第1挿入部52は、十字状に横断面形状を有し、突片52bの数が4枚であるが、突片52bの数は4枚に限られず、例えば、2枚から20枚の範囲から選択される適宜の枚数とすることができる。なお、
図3(a)ないし
図3(c)を纏めて
図3ともいう。
【0023】
第1挿入部52は、突片52bの先端に接する外接円の直径L〔
図3(b)参照〕が、排気孔5の内径よりやや大きく形成されており、
図4(a)に示すように、空気栓50は、第1挿入部52のみを排気孔5に挿入するだけで、空気栓50を、排気孔5から抜け落ちないように排気孔5に仮固定することができる。第1挿入部52の外接円の直径Lは、排気孔5に挿入することによる仮固定を可能とする観点から、排気孔5の内径の、100%以上110%以下であることが好ましく、より好ましくは100%超110%以下であり、更に好ましくは100%超105%以下である。
【0024】
空気栓50の第2挿入部56は、その横断面形状が排気孔5の横断面形状と略一致している。具体的には、第2挿入部56は円柱状であり、その外径が排気孔5の内径と略一致している。第2挿入部56の直径L又は横断面の面積は、排気孔5を気密に閉鎖させる観点から、排気孔5の内径又は横断面の面積の、100%以上110%以下であることが好ましく、より好ましくは100%超110%以下であり、更に好ましくは100%超105%以下である。
台座部57は、第2挿入部56より外径の大きな円柱状をなしており、第2挿入部56の周縁から延出する環状の上面57aが、排気孔5の下端開口部5bの周囲に位置する部分に当接することで、第2挿入部56による排気孔5の閉鎖状態が一層安定化する。
本発明に用いる空気栓は、本実施形態の空気栓50のように、排気孔5(筒状排気孔)に第1挿入部52を挿入するだけで、排気孔5に仮固定可能であることが好ましいが、空気栓を、他の手段によって仮固定可能とすることもできる。例えば、空気栓50の第2挿入部56や台座部57等に、筒状排気孔の外面や下端等に係合する係合手段を設けて仮固定可能とすることができる。
【0025】
排気孔5に残存する空気の熱膨張により棒状化粧料2が抜けやすくなることを防止する観点から、
図1又は
図4(d)に示す排気孔5の閉鎖状態において、空気栓50の排気孔5内に挿入されている部分の体積は、筒状排気孔5内の容積の、50%以上100%以下を占めることが好ましく、50%以上100%未満を占めることがより好ましく、65%以上98%以下を占めることが更に好ましい。排気孔5内に挿入されている部分の体積が筒状排気孔5内の容積の65%以上98%以下を占める空気栓の好ましい形状としては、例えば、
図5、
図6、
図7又は
図8に示す空気栓の形状が挙げられる。なお、第1挿入部52は、排気孔5に残存する空気量を低減する目的のみで設けても良く、第1挿入部52は、それを排気孔5に挿入した状態で、空気栓50を排気孔5に仮固定可能なものに限られない。
【0026】
以上の構成を有する棒状化粧料容器1を用い、これに棒状化粧料2を固定することで、目的とする棒状化粧料製品3が得られる。この工程を
図4(a)ないし
図4(d)を参照しながら説明する。なお、
図4(a)ないし
図4(d)を参照して説明する各工程は、本発明の棒状化粧料の脱落防止方法の好ましい実施形態及び本発明の棒状化粧料製品の製造方法の好ましい実施形態がそれぞれ具備する工程である。
まず
図4(a)に示すとおり、本体基部40内に、中皿10を含む昇降機構(図示せず)、及び外筒30を組み付ける。組み付けに際しては、組み付けに先立ち、第1昇降部22に形成された排気孔5に、空気栓50の第1挿入部52を挿入して、その空気栓50を排気孔5に仮固定し、その状態で、第1昇降部22及び第2昇降部23を回転させて、中皿10を繰り出した状態とする。そして、その中皿10を繰り出した状態の昇降機構及び外筒30を本体基部40に組み付ける。
【0027】
次に、繰り出した状態の中皿10の収容空間Sに、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、棒状化粧料2の下端域2aを挿入して収容させる。
第1挿入部52のみを排気孔5に挿入した状態においては、第1挿入部52の周囲に形成された個々の溝部53の内面と排気孔5の内周面との間に、空気の流路5sが確保されるので、排気孔5を介した空気の流通が維持される。そのため、第1挿入部52のみを排気孔5に挿入して仮固定した状態下に、棒状化粧料2の下端域2aを収容空間Sに挿入した場合であっても、その挿入の際には、挿入の進行に伴い収容空間S内の空気が排気孔5を介して収容空間S外に排出される。そのため、棒状化粧料2の挿入が容易である。斯かる効果は、棒状化粧料2の下端域2aを、その周囲を中皿10の内面に接触させつつ、収容空間Sに挿入する場合に一層有利である。
【0028】
棒状化粧料2が中皿10の収容空間S内に収容されたら、外筒30を把持した状態で本体基部40を軸周りに回転させる。これによって
図4(c)に示すように、繰り出し状態になっている中皿10が次第に繰り下げられる。
そして、この繰り下げによって、空気栓50の下端が本体基部40の底部40bに当接する。そして、更に繰り下げる操作を続けると、空気栓50が本体基部40の底部40bによって押圧され、それによって、空気栓50の第2挿入部56が排気孔5内へと挿入される。
図1又は
図4(d)に示すように、第2挿入部56が排気孔5に挿入された状態においては、排気孔5を介した空気の流通が遮断される。排気孔5を介した空気の流通が遮断されると、排気孔5を介して収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止されるとともに、排気孔5を介して収容空間S内の空気が収容空間S外に流出することも阻止される。
そして、排気孔5を介して収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止されることにより、棒状化粧料2の下端域2aが、中皿10の収容空間S内に確実に保持される。このようにして、目的とする棒状化粧料製品3〔
図1参照〕が得られる。
【0029】
以上のとおり、本実施形態の棒状化粧料容器1、本実施態様の棒状化粧料の脱落防止方法、並びに本実施態様の棒状化粧料製品3及びその製造方法によれば、棒状化粧料2を中皿10の収容空間Sに収容しても、特許文献1の技術とは異なり、中皿10を所定の位置まで繰り下げなければ、収容空間Sの内外を連通する排気孔5が閉鎖されない。そのため、棒状化粧料2を中皿10の収容空間Sに収容した後、所望のタイミングで中皿10を繰り下げることにより、所望のタイミングで、棒状化粧料2の収容空間S内への挿入状態を固定することができる。例えば、棒状化粧料の挿入後に棒状化粧料の外観チェックを行い、その結果に問題がない場合は中皿を繰り下げて、その棒状化粧料の挿入状態を固定する一方、その結果に問題がある場合は中皿を繰り下げずに棒状化粧料を引き抜き、別の棒状化粧料を再度挿入するといった対応も可能である。
また、中皿10を繰り下げ、空気栓50により排気孔5を閉鎖した状態においては、棒状化粧料2の下端域2aと中皿10の内面との間に空気が流入することが阻止されるため、棒状化粧料容器1に上下方向の振動等が作用して棒状化粧料2が中皿10の底部12から離れそうになっても、棒状化粧料2と中皿10の内面との間に負圧の空間が形成されるため棒状化粧料2が中皿10から抜けにくい。そのため、棒状化粧料2が収容空間S内に保持された状態が安定に維持される。
【0030】
また、本実施形態の棒状化粧料容器1においては、
図4(d)に示すように、空気栓50により排気孔5が一旦閉鎖された後においては、
図4(e)に示すように、棒状化粧料2の下端域2aが収容された中皿10を再び繰り出しても、空気栓50による排気孔5の閉鎖状態が維持される。これにより、本実施態様の棒状化粧料の脱落防止方法、又は本実施態様の棒状化粧料製品の製造方法により得られた棒状化粧料製品3は、消費者が中皿10を繰り出して棒状化粧料2を使用している際や、消費者等が中皿10を繰り出した状態で、運搬したり保管している場合等においても、棒状化粧料2の中皿10からの抜けが効果的に防止される。
【0031】
また、棒状化粧料容器や棒状化粧料製品が通常具備する昇降機構を利用し、その昇降機構により中皿を繰り下げることにより空気栓50が排気孔5内に挿入されて、排気孔5が閉鎖状態となるようにしたため、空気栓50を排気孔5内に挿入する機構を別に設ける場合に比して、棒状化粧料容器や棒状化粧料製品の構成が複雑化しない。
更に、その昇降機構の一部を構成する第2昇降部23に貫通孔を設けて、「筒状排気孔を備えた筒状体」として用いたため、棒状化粧料容器や棒状化粧料製品の構成が一層複雑化しない。
なお、空気栓50は、一部が排気孔5内に挿入されるものであっても良いが、台座部57を有さず、その全体が排気孔5内に挿入されるものであっても良い。
【0032】
また、昇降機構の中心軸部に位置する第2昇降部23に貫通孔を設けて、「筒状排気孔を備えた筒状体」として用いたため、空気栓50の配置スペースの確保が容易である。
また、前述した空気栓50は、第1挿入部の挿入により排気孔5に仮固定可能であったが、仮固定可能であることは、棒状化粧料容器1の組み立てや、組み立て後のハンドリングが容易となる等の利点がある。
また、
図4(d)に示すように中皿10を最も繰り下げた段階で、空気栓50により排気孔5が閉鎖されるようにすることは、空気栓50を排気孔5に押し込む力を効果的に空気栓50に加えることができ、空気栓50の排気孔5に対する挿入及びそれによる排気孔5の閉鎖が確実となる観点から好ましい。
【0033】
本発明に用いられる空気栓は、
図3に示す横断面十字状の第1挿入部52に代えて、
図5に示す横断面形状の第1挿入部52Aを有するものであっても良い。
図5に示す第1挿入部52Aは、円柱状の中央部分52dと、該中央部分52dの周面に、中央部分52dの周方向に間隔を開けて突設された複数の突条部52eとを備えている。中央部分52dの中心線及び複数の突条部52eは、何れも、棒状化粧料容器1の上下方向に一致させる第1挿入部52Aの高さ方向に沿って延びている。第1挿入部52Aを有する空気栓は、第1挿入部52Aを排気孔5に挿入することによって排気孔5に仮固定可能である〔
図4(a)参照〕。また第1挿入部52Aのみを排気孔5に挿入した状態においては、隣り合う突条部52e間に位置する中央部分52dの周面と排気孔5の内周面5cとの間に、空気の流路5sが確保されるので、排気孔5を介した空気の流通が維持され、収容空間S内から収容空間S外への空気の排出が可能である。
【0034】
図6(a)及び
図6(b)には、空気栓の別の実施形態が示されており、
図7(a)及び
図7(b)には、空気栓の更に別の実施形態が示されている。以下、
図6(a)及び
図6(b)を纏めて
図6、
図7(a)及び
図7(b)を纏めて
図7ともいう。
図6に示す空気栓50´及び
図7に示す空気栓50´´は、何れも、
図3に示した空気栓50と同様に、排気孔5に挿入されても排気孔5を介した空気の流通が維持される第1挿入部52と、排気孔5に挿入されると排気孔5を介した空気の流通が遮断される第2挿入部56と、排気孔5内に挿入されない台座部57とを有している。
図3に示した空気栓50との相違点は、
図6に示す空気栓50´は、第1挿入部52の横断面形状が多角形状であり、
図7に示す空気栓50´´は、第1挿入部52の横断面形状が星形である点である。空気栓50´及び空気栓50´´は、何れも第1挿入部52を、棒状化粧料容器1の排気孔5に挿入することによって、その排気孔5に仮固定可能である。また第1挿入部52のみを排気孔5に挿入した状態においては、第1挿入部52と排気孔5の内周面5cとの間に空気の流路5sが確保されるので、排気孔5を介した空気の流通が維持され、収容空間S内から収容空間S外への空気の排出が可能である。
図6に示す空気栓50´は、第1挿入部52の横断面形状が六角形状であるが、第1挿入部52の横断面形状を、三角形、四角形、五角形、七角形等の六角形以外の多角形状とすることもできる。
【0035】
図3に示す空気栓50、
図6に示す空気栓50´及び
図7に示す空気栓50´´の第1挿入部52、並びに
図5に示す第1挿入部52´は、何れも、棒状化粧料容器1の上下方向に一致する高さ方向Xに直交する横断面の形状がその高さ方向の全域又は略全域に亘って同形状であり、突片52bの先端部等の、排気孔5の内周面5cに当接する部分を含めた第1挿入部52,52´の縦断面形状が
図8(a)に示す形状であるが、それらの第1挿入部52,52´は、排気孔5の内周面5cに当接する部分の断面を含む縦断面形状を、
図8(b)又は
図8(c)に示すような形状とすることも好ましい。
図8(b)又は
図8(c)に示す縦断面形状を有する第1挿入部52,52´は、突片52bの先端部等の、排気孔5の内周面5cに当接する部分に、凸部52fと凹部52gとを、空気栓の高さ方向Xに沿って交互に形成したものであり、
図8(b)は、縦断面形状がドーム状の凸部52fを形成した場合、
図8(c)は、縦断面形状が長方形状の凸部52fを形成した場合である。
図8(d)には、
図3に示す空気栓50の突片52bの先端部に、縦断面形状がドーム状の凸部52fを高さ方向Xに間欠的に形成した空気栓50の変形例を示した。
【0036】
第1挿入部52,52´における排気孔5の内周面5cに当接する部分に、高さ方向Xに沿って間欠的に凸部52f又は凹部52gを形成することは、排気孔5への挿入時の抵抗が少なくなり、第1挿入部52,52´を排気孔5へ挿入し易くなる観点から好ましい。他方、
図8(a)に示すように、第1挿入部52,52´における排気孔5の内周面5cに当接する部分に、そのような凹凸がないことは、排気孔5の閉鎖状態において、空気栓50の排気孔5に挿入されている部分の体積を大きくして、排気孔5に残存する空気の熱膨張により棒状化粧料2が抜けやすくなることを防止する観点から好ましい。
【0037】
また本発明に用いられる空気栓は、例えば
図9に示す空気栓のように、高さ方向Xにおける第1挿入部52と第2挿入部56との間に、第2挿入部56の周縁部から第1挿入部52の中心線52hに向かって斜めに上昇する傾斜面58を有することが、空気栓を排気孔5に押し込む際に、排気孔5内に残存する空間内をできるだけ加圧しないようにする観点から好ましい。排気孔5内に残存する空間を加圧することは、棒状化粧料2の保持を弱めるからである。
図9は、
図3に示す空気栓50の第2挿入部56の上面を傾斜させることによって、上記の傾斜面58を設けた例であるが、
図6に示す空気栓50´や
図7に示す空気栓50´´、
図5に第1挿入部を示す空気栓についても、同様にして傾斜面58を設けることができる。
【0038】
傾斜面58を形成する場合と同様の観点から、本発明に用いられる空気栓は、例えば
図10に示す空気栓のように、高さ方向Xにおける第1挿入部52と第2挿入部56との間に、空気の流路となるスリット59を有することも好ましい。
図10は、
図3に示す空気栓50の第2挿入部56にその周面から上面に亘るスリット59を設けた例であるが、
図6に示す空気栓50´や
図7に示す空気栓50´´、
図5に第1挿入部を示す空気栓についても、同様にしてスリット59を設けることができる。なお、第1挿入部52の中心線52hを含む平面によるスリット59の縦断面形状は、三角形状、四角形状、半円状等とすることができる。
【0039】
図11及び
図12には、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料容器1A及び棒状化粧料製品3Aが示されている。第2実施形態に係る棒状化粧料容器1A及び棒状化粧料製品3Aは、中皿に連設された昇降機構の第2昇降部に空気栓を挿入して、排気孔を閉鎖する構成が第1実施形態と相違する。そのためここでは、第2昇降部及び空気栓を中心に説明し、特に説明しない点は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態の説明が適宜適用される。
【0040】
図11及び
図12に示すように、棒状化粧料製品3Aは、棒状化粧料容器1Aと、棒状化粧料2とを備えている。棒状化粧料容器1Aは、中皿10と、該中皿10の昇降機構20Aと、空気栓50Aと、外筒30と、本体基部40Aとを有している。
【0041】
昇降機構20Aは、中皿10の底部12に連設されており、昇降基部21と、第1昇降部22と、第2昇降部23Aとを有している。
図13(a)に示す通り、第2昇降部23Aは、略円柱形をした部材であり、その外周面に雄ネジ23aが設けられている。この雄ネジ23aは、第1昇降部22の雌ネジ22bと螺合するようになっている。第2昇降部23Aを第1昇降部22の空間内に挿入するときには、第2昇降部23Aをその軸周りに回転させて、雄ネジ23aと雌ネジ22bとの螺合を進行させる。螺合の進行によって第2昇降部23Aは降下する。一方、第2昇降部23Aの回転方向を反転させることで、第2昇降部23Aは上昇する。
【0042】
第2昇降部23Aは、横断面視したときの中央域に、上下方向に沿って延びる排気孔5を有している。排気孔5は、第2昇降部23A及び第2昇降部23Aの上部に連設されている中皿10の底部12を上下方向に貫通しており、一端に、底部12の上面に開口する上端開口部5aを有し、他端に、第2昇降部23Aの下端の中央域に開口する下端開口部5bを有している。なお、第2実施形態においても、排気孔5を有する第2昇降部23A及び排気孔5は、本発明における「中皿から下方に向かって突出する筒状体」及び「筒状排気孔」である。排気孔5は、非閉鎖状態においては、棒状化粧料2の下端域2aが収容される収容空間Sの内外を連通し、棒状化粧料2の下端域2aを中皿10の収容空間Sに挿入する際に、収容空間S内の空気を収容空間S外に排出する空気抜き用の孔として機能する。
【0043】
図13(b)に示すように、第2昇降部23Aの内周壁23bには、内方に向かって延出する環状リブ13が形成されている。環状リブ13は、第2昇降部23Aの軸方向を中心に、第2昇降部23Aの内周壁23bの周方向に沿って形成されおり、空気栓50Aの後述する第1挿入部52Aの一対の突起部52cと係合可能に形成されている。環状リブ13は、排気孔5に空気栓50Aの第1挿入部52Aのみが挿入され、排気孔5に押し込まれることで一対の突起部52cが環状リブ13を越えた後、空気栓50Aに挿入方向と反対方向の力が作用した場合においても、一対の突起部52cと係合することで、空気栓50Aを排気孔5に仮固定された状態にするための延出部として機能する。なお、第2実施形態においては延出部は環状であるが、一対の突起部52cと係合可能な形状であれば、間欠的な形状等であっても良い。
また
図13(b)及び
図13(c)に示すように、排気孔5は、上端開口部5aから環状リブ13に向かって先細り形状に形成されると共に、下端開口部5bから環状リブ13に向かって先細り形状に形成されている。このように、下端開口部5bから環状リブ13に向かって先細り形状に形成されることで、例えば、空気栓50Aを排気孔5に挿入し易くなり、上端開口部5aから環状リブ13に向かって先細り形状に形成されることで、例えば、空気栓50で排気孔5を閉鎖した後に、空気栓50Aが排気孔5から抜け難くなる。なお、排気孔5の横断面形状は、第2実施形態においては円形であるが、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形や楕円形等の他の形状であっても良い。
【0044】
図13(a)及び
図13(b)に示すように、第2昇降部23Aの下端部には、第2昇降部23Aの雄ネジ23aを含む外周壁23cの一部を、内周壁23bから外周壁23cに向けて厚さ方向の全域にわたり切り欠いて貫通させた貫通部14が形成されている。貫通部14は、第2昇降部23Aの排気孔5に、空気栓50Aの第1挿入部52Aのみを挿入させた状態〔
図17(a)及び(b)参照〕で、第2昇降部23Aの内周壁23bと空気栓50Aの第1挿入部52Aの外周面との間の空気を外部に流通させる空気流通部として機能する。
貫通部13は、下端開口部5bから、第2昇降部23Aの軸方向に沿って、環状リブ13の下方の位置まで設けられている。つまり、第2昇降部23Aは、貫通部14の上方の位置に環状リブ13が形成された形状になっている。そして、貫通部14の上端と環状リブ13の下端との間が、空気栓50Aの後述する第2挿入部56Aにより密閉される密閉部となる。このように、貫通部14の上方で排気孔5を閉鎖するので、排気孔5の下端で閉鎖するよりも、閉鎖された後の排気孔5の残存空間をより低減させることが可能になる。
第2実施形態においては、
図13(d)に示すように、第2昇降部23Aには、一対の貫通部14,14が設けられている。一対の貫通部14,14は、180度異なる位置で互いに対向するように配されており、180度異なる位置で互いに対向するように一対の貫通部14,14を設けることで、第2昇降部23Aの一対の貫通部14,14が設けられた領域が撓み易くなり、空気栓50Aの第1挿入部52Aを挿入し易くなる。なお、第2実施形態では、一対の貫通部14,14を180度異なる位置で互いに対向するように設けたが、一対の貫通部14,14は必ずしも対向する位置に設ける必要はなく、例えば、90度以上異なる位置に設ければ良い。
【0045】
また、第2実施形態においては、第2昇降部23Aの外周壁23cの一部を、内周壁23bから外周壁23cに向けて厚み方向に切り欠いた切欠き部として、厚み方向の全域にわたり切り欠いて貫通させた一対の貫通部14,14を用いて説明したが、これに代えて、例えば、
図14(a)及び
図14(b)に示すように、第2昇降部23Aの内周壁23bの一部を、内周壁23bから外周壁23cに向けて厚み方向に切り欠いて薄肉状に形成した一対の薄肉部14´を設ける構成であっても良い。一対の薄肉部14´,14´も、下端開口部5bから、第2昇降部23Aの軸方向に沿って、環状リブ13の下方の位置まで形成すると良く、180度異なる位置で互いに対向するように設けると良い。第2昇降部23Aの内周壁23bの一部に一対の薄肉部14´,14´を設ける場合においても、第2昇降部23Aの排気孔5に、空気栓50Aの第1挿入部52Aのみを挿入させた状態で、第2昇降部23Aの内周壁23bと空気栓50Aの第1挿入部52Aの外周面との間の空気を外部に流通させる空気流通部として機能させることができる。
同様に、
図14(c)及び
図14(d)に示すように、一対の貫通部14,14に代えて、第2昇降部23Aの外周壁23cに、内周壁23bから外周壁23cに向けて厚さ方向の全域にわたり切り欠いて貫通させた一対の貫通口14´´,14´´を設ける構成であっても良い。一対の貫通口14´´,14´´は、下端開口部5bと連通しない位置で上述した環状リブ13と下端開口部5bとの間に設けると良く、180度異なる位置で互いに対向するように設けると良い。第2昇降部23Aの環状リブ13と下端開口部5bとの間に一対の貫通口14´´,14´´を設ける場合においても、第2昇降部23Aの排気孔5に、空気栓50Aの第1挿入部52Aのみを挿入させた状態で、第2昇降部23Aの内周壁23bと空気栓50Aの第1挿入部52Aの外周面の空気を外部に流通させる空気流通部として機能させることができる。
【0046】
第2昇降部23Aの下降は、該第2昇降部23Aに連設されている中皿10が、昇降基部21の上端部に当接するか、又は
図17(f)に示すように、本体基部40の底部40bに押圧された空気栓50Aにより排気孔5が閉鎖されることで規制されるようになっている。
【0047】
空気栓50Aは、第2実施形態における排気制御装置であり、
図11又は
図17(g)に示すように、排気孔5の閉鎖状態においては、排気孔5を介した空気の流通が遮断され、収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止される。
【0048】
図15(a)には、空気栓50Aの拡大図が示されている。空気栓50Aは、収容空間Sの内外を連通する前述した排気孔5内に挿入される略円柱形状に形成された挿入部51を備えている。挿入部51は、排気孔5への挿入方向の先端側に設けられ、排気孔5に挿入されても排気孔5を介した空気の流通が維持される細長い形状の第1挿入部52と、第1挿入部52の挿入方向の後端側に設けられ、前述した一対の貫通部14,14を越えて挿入されると排気孔5を介した空気の流通が遮断される第2挿入部56と、とを有している。また、第2挿入部56の挿入方向の後端側には、第2昇降部23Aの排気孔5への組み付け時に摘まれる摘み部57が設けられている。
【0049】
第1挿入部52Aは、挿入方向に細長い略円柱状に形成されている。第1挿入部52Aの挿入方向における先端部には、外周面から突出し、排気孔5に挿入された状態で前述した環状リブ13に係合可能な一対の突起部52c,52cが形成されている。一対の突起部52c,52cは、180度異なる位置で互いに対向するように配されている。
一対の突起部52c,52cは、環状リブ13よりも軟質材料により形成されており、
図17(a)及び
図17(b)に示すように、排気孔5に挿入された状態で挿入方向に押し込まれると弾性変形により環状リブ13を越え、環状リブ13を越えた後は、排気孔5内で環状リブ13と係合して、空気栓50Aを第2昇降部23Aに仮固定できるように形成されている。つまり、一対の突起部52c,52cは、環状リブ13と係合することで空気栓50Aを第2昇降部23Aに仮固定させる仮固定部として機能する。
一対の突起部52c,52cは、仮固定部として機能させる観点から、排気孔5に挿入された状態で挿入方向に押し込まれると環状リブ13を越え、環状リブ13を越えた後は、排気孔5内で環状リブ13と係合して抜けにくくなる形状に形成すると良い。例えば、挿入方向の先端側から後端側に向かって、徐々に突起が大きくなる形状や、後端側に環状リブ13と係合する係合面を有する形状にすると良い。
【0050】
なお、第2実施形態では、第2昇降部23Aの環状リブ13と係合可能な突起部が一対設けられているが、環状リブ13と係合可能な突起部を1つ以上有すれば良い。つまり、第1挿入部は、弾性変形により環状リブ13を越え、環状リブ13を越えた後は環状リブ13と係合可能な突起部を1つ以上有する構成であればよい。
また例えば、
図16(a)に示すように、2対の突起部52c,52c,52d,52dを有し、1対の突起部52c,52cと1対の突起部52d,52dとが第1挿入部52Aの挿入方向に沿って、挿入方向における異なる位置に配されている構成であっても良い。具体的には、一対の突起部52c,52cを挿入方向の先端側に配置し、一対の突起部52d,52dを一対の突起部52c,52cの挿入方向における後端側に配する構成とすると良い。このとき、挿入方向における異なる位置に加え、1対の突起部52c,52cと1対の突起部52d,52dとを周方向における異なる位置に配すると良い。このように配することで、例えば、挿入方向の後端側に配される一対の突起部52d,52dと環状リブ13との係合が外れた場合においても、挿入方向の先端側に配された一対の突起部52c,52cが環状リブ13と係合することで、確実に空気栓50Aを中皿10に仮固定させることができるようになる。
また、
図16(b)に示すように、挿入方向に形成された1箇所の空気流通路52fを有する突起部52eを周方向に環状に配する構成(環状の間欠形状)としても良い。このように構成することで、環状リブ13と突起部52eとの接触面積を大きくすることが可能になり、環状リブ13と突起部52eとの係合を外れ難くすることができる。
更にまた、
図16(a)〜
図16(c)の突起部を組み合わせた構成にしても良い。
【0051】
図15(a)に示すように、第2挿入部56Aは、第2昇降部23Aの内周壁23bに当接して排気孔5を閉鎖可能な複数の環状リブを備えている。第2実施形態では、第2挿入部56Aは、挿入方向に沿って配された、第1環状リブ56a、第2環状リブ56b及び第3環状リブ56cの3段の環状リブから構成されている。第1環状リブ56aは、挿入方向の先端側に配されており、その外径L1が第2昇降部23Aの、貫通部14の上端と環状リブ13の下端との間の内周壁23bの内径と略一致している。具体的には、第1環状リブ56aの外径L1は、第2昇降部23Aの内周壁に当接して、排気孔5の内部で固定される観点から、貫通部14の上端と環状リブ13の下端との間の内周壁23bの内径、100%以上110%以下であることが好ましく、より好ましくは100%超110%以下である。
第2環状リブ56bは、第1環状リブ56aの挿入方向の後端側に配されており、その外径L2が第1環状リブ56aの外径L1よりも大きくなっている。具体的には、第2環状リブ56bの外径L2は、第1環状リブ56aの挿入方向後端側で固定される観点から、第1環状リブ56aの外径L1の、100%超110%以下であることが好ましい。
第3環状リブ56cは、第2環状リブ56bの挿入方向の後端側に配されており、その外径L3が第2環状リブ56bの外径L2よりも大きくなっている。具体的には、第3環状リブ56cの外径L3は、第2環状リブ56bの挿入方向の後端側で固定される観点から、第2環状リブ56bの外径L2の、100%超110%以下であることが好ましい。
このように、第2挿入部56Aを3段の環状リブで構成することで、各第1〜第3環状リブ56a,56b,56cを段階的に排気孔5Aに挿入可能になる。そのため、各環状リブ56a,56b,56cを挿入する際の挿入抵抗が、連続して径が大きくなる形状のものよりも小さくなり、第2挿入部56Aを排気孔5に挿入させ易くなる。
また、各第1〜第3環状リブ56a,56b,56cは、後端側の環状リブほど外径が大きくなっているので、排気孔5の密閉性を向上させることができる。特に、第2実施形態の排気孔5のように下端開口部5bから環状リブ13に向かって先細り形状に形成されている場合においても、排気孔5の密閉性が損なわれることが防止される。
なお、第2実施形態においては、3つの第1〜第3環状リブ56a,56b,56cを設けたが、環状リブは複数あることが好ましく、挿入性及び密閉性の観点から、3つであることが好ましい。
【0052】
持ち手部57Aは、空気栓50Aの下端部に設けられており、使用者が把持可能な略円柱状に形成されている。持ち手部57Aを設けることで、空気栓50Aの挿入方向を間違え難くなり、例えば、空気栓50Aを排気孔5Aに挿入させる場合における作業性を向上させることができる。
なお、第2実施形態では、第2挿入部56Aを3段の環状リブ56a,56b,56cから構成したが、排気孔5の空気の流通を遮断可能な形状であればよい。また、
図16(c)に示すように、第1実施形態の第2挿入部56と同様の略円柱状に形成してもよい。この場合においても、第1実施形態と同様に、第2挿入部56の下端に、台座部57を設ける構成とすると良い。台座部57は、
図15(a)、
図16(a)及び
図16(b)の空気栓にも設ける構成にしても良い。
【0053】
図11及び
図12に示すように、棒状化粧料容器1は本体基部40Aを備えている。本体基部40Aは、略円筒状に形成された第1本体基部43と、上端が開口し、下端が封止された略円筒状に形成され、開口部から第1本体基部43が嵌合される第2本体基部44とを備えている。第2本体基部44に第1本体基部43が嵌合された状態の本体基部40Aは、これを横断面視したときに、その中央域が空間41になっている。この空間41は本体基部40の上下方向に沿って延びており、上部において開口している。空間41内には、中皿10、昇降機構20A、外筒30及び棒状化粧料の下端域2aが収容される。本体基部40Aの空間41を画成する内周壁には、その下端域に係合用突起部42が突設されている。なお、第2実施形態では、第1本体基部43と第2本体基部44とを備えた本体基部40Aを用いて説明したが、第1本体基部と第2本体基部とが一体化した形状の本体基部を用いてもよい。また、本体基部40Aは、第2実施形態においては略円筒状であるが、これに代えて、横断面が、稜線が丸みを帯びた略四角形状や楕円形であっても良く、あるいは横断面が三角形、四角形、五角形及び六角形等の多角形等の他の形状であっても良い。
【0054】
以上の構成を有する棒状化粧料容器1Aを用い、これに棒状化粧料2を固定することで、目的とする棒状化粧料製品3Aが得られる。この工程を
図17(a)ないし
図17(g)を参照しながら説明する。なお、
図17(a)ないし
図17(g)を参照して説明する各工程は、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料2の脱落防止方法及び本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料製品3Aの製造方法がそれぞれ具備する工程である。
【0055】
まず
図17(a)に示す通り、中皿10及び空気栓50Aの持ち手部57Aを把持し、中皿10に連設された第2昇降部23aの排気孔5に空気栓50Aの第1挿入部52Aを挿入する。
第1挿入部52Aを排気孔5に挿入させると、一対の突起部52c,52cが環状リブ13に接触する。一対の突起部52c,52cが環状リブ13に接触すると、第1挿入部52Aを更に排気孔5に押し込む。第1挿入部52Aを更に排気孔5に押し込むと、一対の突起部52c,52cが弾性変形して環状リブ13を越える。一対の突起部52c,52cが環状リブ13を越えると、
図17(b)に示すように、一対の突起部52c,52cが元の形状に戻り、環状リブ13と一対の突起部52c,52cとが係合することで、中皿10に空気栓50Aが仮固定された状態になる。
中皿10に空気栓50Aが仮固定されると、中皿10を昇降機構20Aに組み付け、中皿10が組み付けられた昇降機構20A及び外筒30を本体基部40Aに組み付ける。本体基部40Aへの組み付けに際しては、空気栓50Aが中皿10に仮固定された状態で、第2昇降部23Aを回転させて、中皿10を昇降機部21から繰り出した状態とする。そして、その中皿10を繰り出した状態の昇降機構20A及び外筒30を本体基部40に組み付ける。
なお、空気栓50Aの第2昇降部23Aへの仮固定に関しては、昇降基部21に第1昇降部22及び第2昇降部23Aを組み付け、昇降基部21に組み付けられた状態の第2昇降部23Bに、上述の要領で空気栓50Aを挿入して仮固定しても良い。
【0056】
次に、繰り出した状態の中皿10の収容空間Sに、
図17(c)及び
図17(d)に示すように、棒状化粧料2の下端域2aを挿入して収容させる。
第1挿入部52Aのみを排気孔5に挿入した状態においては、第1挿入部52Aの外周面と第2昇降部23Aの内周面23bとの間に、空気の流路5sが確保されるので、排気孔5Aを介した空気の流通が維持される。そのため、第1挿入部52Aのみを排気孔5に挿入して仮固定した状態下に、棒状化粧料2の下端域2aを収容空間Sに挿入した場合であっても、その挿入の際には、挿入の進行に伴い収容空間S内の空気が排気孔5を介して収容空間S外に排出される。そのため、棒状化粧料2の挿入が容易である。斯かる効果は、棒状化粧料2の下端域2aを、その周囲を中皿10の内面に接触させつつ、収容空間Sに挿入する場合に一層有利である。
【0057】
棒状化粧料2が中皿10の収容空間S内に収容されたら、外筒30を把持した状態で本体基部40Aを軸周りに回転させる。これによって、繰り出し状態になっている中皿10Aが次第に繰り下げられる。
そして、この繰り下げによって、
図17(e)に示すように、空気栓50Aの下端が本体基部40Aの底部40bに当接する。そして、更に繰り下げる操作を続けると、空気栓50Aが本体基部40Aの底部40bによって押圧され、それによって、空気栓50Aの第2挿入部56Aが排気孔5内へと挿入される。
図11又は
図17(f)に示すように、第2挿入部56Aが排気孔5に挿入された状態においては、排気孔5を介した空気の流通が遮断される。排気孔5を介した空気の流通が遮断されると、排気孔5を介して収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止されるとともに、排気孔5を介して収容空間S内の空気が収容空間S外に流出することも阻止される。
そして、排気孔5を介して収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止されることにより、棒状化粧料2の下端域2aが、中皿10の収容空間S内に確実に保持される。このようにして、目的とする棒状化粧料製品3〔
図11参照〕が得られる。
【0058】
以上のとおり、第2実施形態の棒状化粧料容器、第2実施形態の棒状化粧料の脱落防止方法、並びに第2実施形態の棒状化粧料製品及びその製造方法によれば、第1実施形態と同様の構成により奏する効果に加え、以下の効果を奏する。例えば、第2実施形態の棒状化粧料容器及び棒状化粧料製品は、貫通部14の上方で排気孔5を閉鎖しているため、排気孔5の下端で閉鎖するよりも、閉鎖された後の排気孔5の残存空間をより低減させることが可能になる。これにより、例えば、排気孔5の残存空間の空気が熱膨張した場合においても、排気孔5の下端で閉鎖した場合よりも膨張の程度が小さく、第1実施形態に係る構成よりも更に、棒状化粧料2が中皿10から脱落することを防止することができる。
【0059】
図18及び
図19には、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料容器1B及び棒状化粧料製品3Bが示されている。第3実施形態に係る棒状化粧料容器1B及び棒状化粧料製品3Bは、中皿に連接された昇降機構の中皿昇降部に空気栓を挿入して、排気孔を閉鎖する構成が第1及び第2実施形態と相違する。具体的には、上述した第1及び第2実施形態では、昇降機構が第1昇降部及び第2昇降部の2段で昇降するように構成したが、第3実施形態では、昇降機構が1段で昇降するようになっている。また、上述の第1実施形態では排気孔を下端で閉鎖し、第2実施形態では排気孔を上端と下端との間で閉鎖したが、第3実施形態では排気孔を上端で閉鎖している。そのためここでは、1段で昇降する昇降機構の中皿昇降部及び空気栓を中心に説明し、特に説明しない点は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態の説明が適宜適用される。
【0060】
図18及び
図19に示すように、棒状化粧料製品3Bは、棒状化粧料容器1Bと、棒状化粧料2とを備えている。棒状化粧料容器1Bは、中皿10と、該中皿10の昇降機構20Bと、空気栓50Bと、外筒30と、本体基部40Aとを有している。
【0061】
昇降機構20Bは、中皿10の底部12に連設されており、昇降基部21と、中皿昇降部23Bとを有している。
図20(a)に示す通り、中皿昇降部23Bは、略円柱形をした部材であり、その外周面に雄ネジ23aが設けられている。この雄ネジ23aは、昇降基部21の雌ネジ21bと螺合するようになっている。中皿昇降部23Bを昇降基部21の空間内に挿入するときには、中皿昇降部23Bをその軸周りに回転させて、雄ネジ23aと雌ネジ21bとの螺合を進行させる。螺合の進行によって中皿昇降部23Bは降下する。一方、中皿昇降部23Bの回転方向を反転させることで、中皿昇降部23Bは上昇する。
【0062】
中皿昇降部23Bは、横断面視したときの中央域に、上下方向に沿って延びる排気孔5を有している。排気孔5は、中皿10の底部12に設けられた排気孔5Bと連通しており、下端の中央域に下端開口部5bを有している。
【0063】
排気孔5,5Bは、非閉鎖状態においては、棒状化粧料2の下端域2aが収容される収容空間Sの内外を連通し、棒状化粧料2の下端域2aを中皿10の収容空間Sに挿入する際に、収容空間S内の空気を収容空間S外に排出する空気抜き用の孔として機能する。
【0064】
空気栓50Bは、第3実施形態における排気制御装置であり、
図18又は
図22(d)に示すように、排気孔5Bが空気栓50Bにより閉鎖されている閉鎖状態においては、排気孔5Bを介した空気の流通が遮断され、収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止される。
【0065】
図21には、空気栓50Bの拡大図が示されている。空気栓50Bは、排気孔5に挿入されても排気孔5を介した空気の流通が維持される第1挿入部52Bと、第1挿入部52の挿入方向の先端側に設けられ、排気孔5Bに挿入されると排気孔5Bを介した空気の流通が遮断される第2挿入部56Bとを有している。
【0066】
第1挿入部52Bは、棒状化粧料容器1Bの上下方向に沿って延びる中心軸部52aと、中心軸部52aの周囲に、該中心軸部52aから放射状に広がるように形成された複数の突片52bとを有している。複数の突片52bは、細長い板状の形状を有しており、それぞれ中心軸部52aに沿って延びている。第1挿入部52Bの周方向において隣り合う突片52b間には、溝部53が形成されている。
図21に示す空気栓50Bの第1挿入部52は、十字状に横断面形状を有し、突片52bの数が4枚であるが、突片52bの数は4枚に限られず、例えば、2枚から20枚の範囲から選択される適宜の枚数とすることができる。
第1挿入部52Bは、突片52bの先端に接する外接円の直径L〔
図21参照〕が、排気孔5の内径よりやや大きく形成されており、
図22(a)に示すように、空気栓50Bは、第1挿入部52Bを排気孔5に挿入することで、空気栓50Bを、排気孔5から抜け落ちないように排気孔5に仮固定することができる。第1挿入部52Bの外接円の直径Lは、排気孔5に挿入することによる仮固定を可能とする観点から、中皿昇降部23Bの内周壁の内径(排気孔5の内径)の、100%以上110%以下であることが好ましく、より好ましくは100%超110%以下である。
【0067】
空気栓50Bの第2挿入部56Bは、その横断面形状が排気孔5Bの横断面形状と略一致している。具体的には、第2挿入部56Bは円柱状であり、その外径が排気孔5Bの内径と略一致している。第2挿入部56Bの直径又は横断面の面積は、排気孔5Bを気密に閉鎖させる観点から、排気孔5Bの内径又は横断面の面積の、100%以上110%以下であることが好ましく、より好ましくは100%超110%以下である。また、第2挿入部56Bの挿入方向における長さは、排気孔5Bの深さよりも短くなるように形成されている。第3実施形態では、第2挿入部56Bの挿入方向における長さは、排気孔5Bの深さと略同じ長さになっており、第2挿入部56Bの先端が、収容空間S内に突出しないようになっている。
【0068】
なお、第3実施形態では、第2挿入部56Bは横断面形状を排気孔5Bの横断面形状と略一致させた円柱状に形成したが、横断面形状を排気孔5Bの横断面形状よりも僅かに小さな略円柱形状にし、外周面に周方向に沿った環状リブを設け、環状リブで排気孔5Bを閉鎖しても良い。
【0069】
以上の構成を有する棒状化粧料容器1Bを用い、これに棒状化粧料2を固定することで、目的とする棒状化粧料製品3Bが得られる。この工程を
図22(a)ないし
図22(e)を参照しながら説明する。なお、
図22(a)ないし
図22(e)を参照して説明する各工程は、本発明の棒状化粧料の脱落防止方法の好ましい実施形態及び本発明の棒状化粧料製品の製造方法の好ましい実施形態がそれぞれ具備する工程である。
【0070】
まず
図22(a)に示すとおり、本体基部40内に、中皿10を昇降機構20Bに組み付け、中皿10が組み付けられた昇降機構20B及び外筒30を本体基部40Aに組み付ける。本体基部40Aへの組み付けに際しては、組み付けに先立ち、中皿昇降部23Bに形成された排気孔5に、空気栓50Bの第1挿入部52B及び第2挿入部56Bを挿入して、その空気栓50を排気孔5に仮固定する。その状態で、中皿昇降部23Bを回転させて、中皿10を昇降機部21から繰り出した状態とする。そして、その中皿10を繰り出した状態の昇降機構20B及び外筒30を本体基部40Aに組み付ける。
【0071】
次に、繰り出した状態の中皿10の収容空間Sに、
図22(a)及び
図22(b)に示すように、棒状化粧料2の下端域2aを挿入して収容させる。
第1挿入部52B及び第2挿入部56Bを排気孔5に挿入した状態においては、第1挿入部52の周囲に形成された個々の溝部53の内面と排気孔5の内周面との間に、空気の流路5sが確保されるので、排気孔5を介した空気の流通が維持される。そのため、第1挿入部52B及び第2挿入部56Bを排気孔5に挿入して仮固定した状態下に、棒状化粧料2の下端域2aを収容空間Sに挿入した場合であっても、その挿入の際には、挿入の進行に伴い収容空間S内の空気が排気孔5を介して収容空間S外に排出される。そのため、棒状化粧料2の挿入が容易である。斯かる効果は、棒状化粧料2の下端域2aを、その周囲を中皿10の内面に接触させつつ、収容空間Sに挿入する場合に一層有利である。
【0072】
棒状化粧料2が中皿10の収容空間S内に収容されたら、外筒30を把持した状態で本体基部40Aを軸周りに回転させる。これによって
図22(c)に示すように、繰り出し状態になっている中皿10が次第に繰り下げられる。
そして、この繰り下げによって、空気栓50Bの下端が本体基部40Aの底部40bに当接する。そして、更に繰り下げる操作を続けると、空気栓50が本体基部40Aの底部40bによって押圧され、それによって、空気栓50Bの第2挿入部56Bが排気孔5B内へと挿入される。
図18又は
図22(d)に示すように、第2挿入部56Bが排気孔5Bに挿入された状態においては、排気孔5Bを介した空気の流通が遮断される。排気孔5Bを介した空気の流通が遮断されると、排気孔5Bを介して収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止されるとともに、排気孔5Bを介して収容空間S内の空気が収容空間S外に流出することも阻止される。
そして、排気孔5Bを介して収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止されることにより、棒状化粧料2の下端域2aが、中皿10の収容空間S内に確実に保持される。このようにして、目的とする棒状化粧料製品3B〔
図18参照〕が得られる。
【0073】
以上のとおり、第3実施形態の棒状化粧料容器1B、第3実施態様の棒状化粧料の脱落防止方法、並びに第3実施態様の棒状化粧料製品3B及びその製造方法によれば、第1実施形態と同様の構成により奏する効果に加え、以下の効果を奏する。例えば、第3実施形態の棒状化粧料容器及び棒状化粧料製品は、空気栓50Bの挿入方向の先端部に設けられた第2挿入部56Bで排気孔5Bを閉鎖する。そのため、排気孔5の下端又は排気孔5の途中で閉鎖するよりも、閉鎖された後の排気孔5Bの残存空間をより低減させることが可能になる。これにより、例えば、排気孔5Bの残存空間の空気が熱膨張した場合においても、第1実施形態に係る構成よりも更に、棒状化粧料2が中皿10から脱落することを防止することができる。
【0074】
図23(a)ないし
図23(c)に、本発明の棒状化粧料容器,棒状化粧料の脱落防止方法、並びに棒状化粧料製品及びその製造方法の第4実施形態を示し、
図24(a)ないし
図24(c)に、本発明の棒状化粧料容器,棒状化粧料の脱落防止方法、並びに棒状化粧料製品及びその製造方法の第5実施形態を示した。
【0075】
第4実施形態に係る棒状化粧料容器1Cは、第1実施形態に係る棒状化粧料容器1と同様に、昇降基部21、第1昇降部22及び第2昇降部23を備えた中皿10の昇降機構20を有するが、その第2昇降部23には排気孔が設けられておらず、その代わりに、中皿10の周壁部11の下端部に、中皿10の収容空間の内外を連通する排気孔5Cが設けられている。また、本体基部40の底部上ではなく、昇降基部21上に栓部材60が設けられている。栓部材60は、好ましくは所定の高さを有する環状体であり、外筒30の内面に沿うように配置されている。栓部材60は、図示の高さ位置に固定しても良いし、固定しなくても良い。固定する場合の固定方法としては、接着剤や熱融着により固定する方法、環状体の外径を外筒30の内径よりやや大きくすることによって高さ方向にずれないようにする方法等が挙げられる。
【0076】
第4実施形態においても、
図23(a)に示すように、昇降機構20により中皿10を繰り出した状態において、棒状化粧料2の下端域2aを、中皿10の収容空間S内に挿入して収容させる。その挿入の際には、排気孔5Cは開放されているため、挿入の進行に伴い収容空間S内の空気が排気孔5Cを介して収容空間S外に排出される。そのため、棒状化粧料2の下端域2aをスムーズに収容空間Sに収容することができる。そして、棒状化粧料2の収容後に、昇降機構20により中皿10を繰り下げると、
図23(c)に示す最も繰り下げた状態において栓部材60が排気孔5Cに密着して、排気孔5Cが閉鎖される。そして、その排気孔5Cの閉鎖状態においては、排気孔5Cを介して中皿10の収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止されるため、棒状化粧料2の下端域2aが中皿10の収容空間S内に保持された状態が安定に維持される。なお、排気孔5Aは、中皿10の周壁部11に単数設けても良く複数設けても良い。また、排気孔5Cを閉鎖する栓部材60は、環状のものに限られず、単数設けても良く複数設けても良い。個々の排気孔5Cに対応させて、排気孔5Cと同数の栓部材60を配置することもできる。
【0077】
第5実施形態に係る棒状化粧料容器1Dは、第1実施形態に係る棒状化粧料容器1と同様に、昇降基部21、第1昇降部22及び第2昇降部23を備えた中皿10の昇降機構20を有するが、その第2昇降部23には排気孔が設けられておらず、その代わりに、中皿10の底部12に、中皿10の収容空間Sの内外を連通する排気孔5Dが設けられている。また、本体基部40の底部上ではなく、昇降機構20の第1昇降部22上に栓部材61が設けられている。栓部材61は、中央に貫通孔を有する円盤体である。第1昇降部22上への栓部材61の配置は、第1昇降部22のフランジ22c上に直接配置しても良いし、第1昇降部22がフランジ部22cを有しない場合等には第1昇降部22上に所定の面積を有する支持部材を配してその上に栓部材61を配置しても良い。栓部材61は、栓部材61又は栓部材61上に配した支持部材等に固定しても良いし、固定しなくても良い。固定する場合の固定方法としては、接着剤や熱融着により固定する方法等、任意の方法を採用することができる。
【0078】
第6実施形態においても、
図25(a)に示すように、昇降機構20により中皿10を繰り出した状態において、棒状化粧料2の下端域2aを、中皿10の収容空間S内に挿入して収容させる。その挿入の際には、排気孔5Eは開放されているため、挿入の進行に伴い収容空間S内の空気が排気孔5Eを介して収容空間S外に排出される。そのため、棒状化粧料2の下端域2aをスムーズに収容空間Sに収容することができる。そして、棒状化粧料2の収容後に、昇降機構20により中皿10を繰り下げると、
図25(c)に示す最も繰り下げた状態において栓部材61が排気孔5Eに密着して、該排気孔5Eが閉鎖される。そして、その排気孔5Eの閉鎖状態においては、排気孔5Eを介して中皿10の収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止されるため、棒状化粧料2の下端域2aが中皿10の収容空間S内に保持された状態が安定に維持される。排気孔5Eは、中皿10の底部12に単数設けても良く複数設けても良い。また、栓部材61は、中央に貫通孔を有する円盤体に限られず、単数又は複数の排気孔5Eの全部を覆える大きさのものを用いることができ、また、個々の排気孔5Eに対応させて、排気孔5Eと同数の栓部材61を配置することもできる。
【0079】
第4実施形態及び第5実施形態のいずれにおいても、棒状化粧料2の下端域を中皿10の収容空間Sに収容した後であっても、中皿10を所定の位置まで繰り下げなければ、排気孔5C,5Dが閉鎖されないため、棒状化粧料2の挿入後に、所望のタイミングで、棒状化粧料2の収容空間S内への挿入状態を固定することができ、例えば、棒状化粧料の挿入後に棒状化粧料の外観チェックを行い、その結果に問題がない場合は中皿を繰り下げて、その棒状化粧料の挿入状態を固定する一方、その結果に問題がある場合は中皿を繰り下げずに棒状化粧料を引き抜き、別の棒状化粧料を再度挿入するといった対応も可能である。
【0080】
図25(a)ないし
図25(d)に、本発明の棒状化粧料容器,棒状化粧料の脱落防止方法、並びに棒状化粧料製品及びその製造方法の第6実施形態を示した。
第6実施形態に係る棒状化粧料容器1Eは、第1実施形態に係る棒状化粧料容器1と同様に、昇降基部21、第1昇降部22及び第2昇降部23を備えた中皿10の昇降機構20を有するが、第2昇降部23に設けられた排気孔5Eが、第2昇降部23を上下方向に貫通していない。第6実施形態における排気孔5Eは、一端に、底部12の上面に開口する上端開口部5aを有し、他端に、第2昇降部23の側面に開口する下端開口部5bを有している。第6実施形態における排気孔5Cは、中皿10の底部に形成されている。また、本体基部40の底部上ではなく、第1昇降部22上に栓部材62が設けられている。栓部材62は、好ましくは所定の厚みを有する環状体であり、第2昇降部23の周囲を囲むように配置されている。第1昇降部22上への栓部材62の配置は、第1昇降部22上に直接配置しても良いし、第1昇降部22上に所定の面積を有する支持部材を配してその上に栓部材62を配置しても良い。
【0081】
第6実施形態においても、
図25(a)に示すように、昇降機構20により中皿10を繰り出した状態において、棒状化粧料2の下端域2aを、中皿10の収容空間S内に挿入して収容させる。その挿入の際には、排気孔5Eは開放されているため、挿入の進行に伴い収容空間S内の空気が排気孔5Eを介して収容空間S外に排出される。そのため、棒状化粧料2の下端域2aをスムーズに収容空間Sに収容することができる。そして、棒状化粧料2の収容後に、昇降機構20により中皿10を繰り下げると、
図25(b)又は
図25(c)に示す状態を経て、
図25(d)に示す最も繰り下げた状態となる。
【0082】
図25(b)に示す状態を経て
図25(d)に示す状態となる場合とは、
図25(a)に示すように中皿10を繰り出した状態において、外筒30を把持した状態で本体基部40を軸周りに回転させたときに、昇降基部21と第1昇降部22との間の螺合が、第1昇降部22と第2昇降部23との間の螺合よりも優先して進行するように設計した場合である。他方、
図25(c)に示す状態を経て
図25(d)に示す状態となる場合とは、同様に、外筒30を把持した状態で本体基部40を軸周りに回転させたときに、第1昇降部22と第2昇降部23との間の螺合が、昇降基部21と第1昇降部22との間の螺合よりも優先して進行するように設計した場合である。
【0083】
図25(b)に示す状態を経て
図25(d)に示す状態となる場合には、
図25(d)に示す最も繰り下げた状態において、排気孔5Eに栓部材62が密着して排気孔5Eが閉鎖される。
図25(c)に示す状態を経て
図25(d)に示す状態となる場合には、
図25(c)に示す繰り下げの途中の段階で、排気孔5Eに栓部材62が密着して排気孔5Eが閉鎖される。
何れの場合も、排気孔5Eの閉鎖状態においては、排気孔5Eを介して中皿10の収容空間S外の空気が収容空間S内に流入することが阻止されるため、棒状化粧料2の下端域2aが中皿10の収容空間S内に保持された状態が安定に維持される。また、何れの場合も、棒状化粧料2の下端域を中皿10の収容空間Sに収容した後であっても、中皿10を所定の位置まで繰り下げなければ、排気孔5Eが閉鎖されないため、棒状化粧料2の挿入後に、所望のタイミングで、棒状化粧料2の収容空間S内への挿入状態を固定することができ、例えば、棒状化粧料の挿入後に棒状化粧料の外観チェックを行い、その結果に問題がない場合は中皿を繰り下げて、その棒状化粧料の挿入状態を固定する一方、その結果に問題がある場合は中皿を繰り下げずに棒状化粧料を引き抜き、別の棒状化粧料を再度挿入するといった対応が可能である。
【0084】
第4実施形態、第5実施形態及び第6実施形態のいずれにおいても、排気孔5C,5D,5Eに栓部材60,61,62を密着させて排気孔5C,5D,5Eを閉鎖するため、また栓部材60,61,62による排気孔5C,5D,5Eの閉鎖状態を維持するために、栓部材60,61,62に接着剤を塗布しておいても良い。
【0085】
以上の各実施形態において用いられる棒状化粧料2としては、例えば口紅、リップクリーム、リップグロス、スティックアイシャドウ、アイブロー、アイライナー、スティックファンデーションなど棒状の形状を有する化粧料であれば、その種類に特に制限はない。
【0086】
棒状化粧料2の処方は、この種の化粧料に用いられている処方と同様とすることができる。棒状化粧料2は一般にワックス類、ペースト類及びオイル類を主成分として含んでおり、更に着色顔料、パール顔料等の着色剤、体質顔料等の粉体、ポリマー、増粘剤、ゲル化剤、防腐剤、保湿剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含んでいる。ワックス類としては、植物ワックス、動物ワックス、石油ワックス及び鉱物ワックス等の天然ワックス又は合成ワックスのいずれでもよく、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ヒマワリ種子ロウ、水素添加ホホバ油、ミツロウ、硬化ひまし油、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレンプロピレンオリゴマー、シリコーンワックス等を適宜配合したものを用いることができる。一方オイル類としては、トリグリセライド、ジグリセライド、モノエステル、ジエステル等のエステル油、その他ポリイソブテン、スクワラン等の分岐炭化水素油、シリコーン油、フッ素油、高級アルコール、ポリグリセリンエステル、コレステロールエステル、フィトステロールエステル、揮発性シリコーン等を用いることができる。これらワックス類及びオイル類はそれぞれ一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0087】
以上の第1〜第3実施形態において用いられる空気栓の形成材料としては、該空気栓が挿入される第2昇降部、又は中皿昇降部よりも軟質材料により形成されることが好ましく、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等のゴムや、ポリエチレン、プロピレン等のポリオレフィン樹脂、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、AS、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)等の合成樹脂が挙げられる。特に、密閉性及び挿入性の観点から、ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。
同様に、第4〜第6実施形態において用いられる栓部材の形成材料としては、シリコーンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等のゴムや、ポリエチレン、プロピレン等のポリオレフィン樹脂、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、AS、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)等の合成樹脂が挙げられる。
また、該空気栓が挿入される第2昇降部、又は中皿昇降部の形成材料としては、空気栓よりも硬質材料により形成されることが好ましく、例えば、ポリアセタール(POM)が好ましい。
空気栓や栓部材の形成材料の硬度は、中皿の形成材料の硬度と同等又はそれ以下であることが、中皿10の基本性能を維持しつつ、空気栓や栓部材の密閉性を高める観点から好ましい。材料の硬度は、ロックウェル硬度、ショアD硬度、ショアA等により測定、および比較することができる。
【0088】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、中皿の昇降機構は、中皿の昇降機構として公知の各種の機構を用いることができ、第1昇降部及び第2昇降部の何れか一方を有しないものであっても良い。また、上述した空気栓50,50´,50´´は、排気孔5内に挿入される挿入部と、排気孔5内に挿入されない台座部57とを備え、排気孔5内に挿入部の一部である第1挿入部52の一部が挿入された状態においては、排気孔5を介した収容空間S内の空気の排出が可能である一方、挿入部が更に挿入されて第2挿入部56が排気孔5内に挿入されると排気孔5が気密に閉鎖されるものであったが、本発明における空気栓は、そのような第2挿入部56がなく、排気孔5内に挿入部の一部が挿入された状態においては、排気孔5を介した空気の排出が可能である一方、該挿入部を更に挿入して、台座部57の上面を排気孔5の下端開口部の周囲に位置する部分に当接させることによって、排気孔57を気密に閉鎖可能なものであってもであっても良い。
また、前記の各実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に組み合わせることが可能である。
【0089】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の付記(棒状化粧料容器、棒状化粧料製品、棒状化粧料の脱落防止方法及び棒状化粧料製品の製造方法等)を開示する。
<1>
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒とを備えた棒状化粧料容器であって、
前記中皿に前記収容空間の内外を連通する排気孔が設けられており、且つ前記中皿を繰り下げることにより前記排気孔を閉鎖する排気制御装置が設けられている棒状化粧料容器。
【0090】
<2>
前記排気孔は、棒状化粧料の下端域を前記中皿の収容空間に挿入する際に、該収容空間内の空気を収容空間外に排出する空気抜き用の孔として機能する、前記<1>に記載の棒状化粧料容器。
<3>
前記排気制御装置は、前記中皿を繰り下げて前記排気孔を閉鎖した後、該中皿を再び繰り出しても前記排気孔の閉鎖状態を維持する、前記<1>又は<2>に記載の棒状化粧料容器。
<4>
前記排気孔として、前記中皿から下方に向かって突出する筒状体内に形成された筒状排気孔を有しており、前記排気制御装置として、前記昇降機構により該中皿を繰り下げたときに、全体又は一部が該筒状排気孔に挿入された状態で該筒状排気孔を閉鎖する空気栓を設けた、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<5>
前記空気栓は、前記筒状排気孔に挿入されても空気の流通が維持される第1挿入部と該筒状排気孔に挿入されると空気の流通が遮断される第2挿入部とを有する、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
【0091】
<6>
前記空気栓は、前記筒状排気孔に第1挿入部のみを挿入した状態で前記筒状排気孔に仮固定可能になされている、前記<5>に記載の棒状化粧料容器。
<7>
前記空気栓は、前記筒状排気孔に第1挿入部を挿入するだけで、前記筒状排気孔に仮固定可能になされている、前記<6>に記載の棒状化粧料容器。
<8>
第1挿入部は、中心軸部と、該中心軸部の周囲に、該中心軸部から放射状に広がるように形成された複数の突片とを有している、前記<5>〜<7>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<9>
第1挿入部の横断面形状が、多角形状又は星形である、前記<5>〜<7>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<10>
第1挿入部の外接円の直径が、前記筒状排気孔の内径の100%以上110%以下であり、好ましくは100%超110%以下、更に好ましくは100%超105%以下である、前記<6>〜<9>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
【0092】
<11>
第2挿入部の横断面形状が前記筒状排気孔の横断面形状と略一致している、前記<5>〜<10>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<12>
前記空気栓が、その高さ方向における第1挿入部と第2挿入部との間に、第2挿入部の周縁部から第1挿入部の中心線に向かって斜めに上昇する傾斜面を有する、前記<5>〜<11>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<13>
前記空気栓は、前記筒状排気孔内に挿入される挿入部と、該筒状排気孔内に挿入されない台座部とを備え、前記筒状排気孔内に前記挿入部の一部が挿入された状態においては、該筒状排気孔を介した空気の排出が可能である一方、該挿入部を更に挿入して、前記台座部の上面を前記筒状排気孔の下端開口部の周囲に位置する部分に当接させることによって、該筒状排気孔を気密に閉鎖可能である、前記<4>〜<12>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<14>
前記筒状排気孔の閉鎖状態において、前記空気栓の前記筒状排気孔内に挿入されている部分の体積が、該筒状排気孔内の容積の50%以上を占める、前記<4>〜<13>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<15>
前記筒状排気孔の閉鎖状態において、前記空気栓の前記筒状排気孔内に挿入されている部分の体積が、該筒状排気孔内の容積の50%以上100%以下を占め、好ましくは50%以上100%未満を占め、更に好ましくは65%以上98%以下を占める、前記<4>〜<14>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
【0093】
<16>
前記筒状排気孔を備えた前記筒状体が、前記昇降機構の一部を構成している、前記<4>〜<15>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<17>
前記筒状体は、前記筒状排気孔に前記第1挿入部のみが挿入された状態で、前記筒状体の内周壁と前記第1挿入部の外周面との間に、前記筒状排気孔の空気を外部に流通させる空気流通部を有し、前記第2挿入部は、前記空気流通部の上方の位置において、前記筒状排気孔の空気の流通を遮断可能な形状に形成されている、前記<5>〜<16>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<18>
前記空気流通部は、前記筒状体の下部に形成され、該筒状体をその内周壁から外周壁に向けて厚み方向に切り欠いた切欠き部からなる、前記<17>に記載の棒状化粧料容器。
<19>
前記筒状体は、内周壁から内方に延出する延出部を有し、前記第1挿入部は、前記筒状排気孔に挿入されると、弾性変形により該延出部を越え、該延出部を越えると、該延出部と係合することで前記空気栓を該筒状排気孔に仮固定する仮固定部を有する、前記<5>〜<18>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<20>
前記延出部は、前記筒状体の周方向に沿って形成される環状リブからなり、前記仮固定部は、前記第1挿入部の外周面上に形成された突起部からなる、前記<19>に記載の棒状化粧料容器。
【0094】
<21>
前記仮固定部は、前記第1挿入部の外周面上に形成された複数対の突起部からなり、各対の突起部が、前記空気栓の前記挿入方向に沿って配されている、前記<19>に記載の棒状化粧料容器
<22>
前記第2挿入部は、前記筒状体の内周壁に当接して前記筒状排気孔を閉鎖可能な複数の環状リブを備え、前記複数の環状リブは、前記挿入方向に沿って配されると共に、前記挿入方向に沿う後端側の環状リブほど、直径が大きくなっている、前記<5>〜<21>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<23>
前記筒状体が硬質材料により形成され、前記空気栓が前記筒状体よりも軟質材料により形成されている、前記<5>〜<22>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<24>
前記筒状排気孔における挿入方向の先端側に前記排気孔が配されており、前記空気栓は、前記筒状排気孔への前記挿入方向の後端側に設けられ、前記筒状排気孔に挿入されても空気の流通が維持される細長い形状の第1挿入部と、前記挿入方向の先端側に設けられ、前記排気孔に挿入されると空気の流通が遮断される第2挿入部とを有し、前記筒状排気孔に前記第1挿入部の少なくとも一部を挿入した状態で該筒状排気孔に仮固定可能になされている、前記<4>に記載の棒状化粧料容器。
<25>
前記第2挿入部は、前記第1挿入部の先端に形成された凸状部からなり、該凸状部を前記排気孔に挿入することで、該排気孔が閉鎖可能になされている、前記<24>に記載の棒状化粧料容器。
【0095】
<26>
前記排気孔が前記中皿の周壁部又は底部に形成されており、前記排気制御装置が該排気孔の開口部に密着して該排気孔を閉鎖する栓部材である、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<27>
前記排気制御装置は、前記中皿を最下位置まで繰り下げたときに前記排気孔を閉鎖するように設けられている、前記<1>〜<26>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<28>
前記中皿は、円筒状の周壁部と平面視円形の底部とを備える、前記<1>〜<27>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<29>
前記収容空間は、該収容空間に挿入される棒状化粧料の下端域と相補形状になっている、前記<1>〜<28>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<30>
前記昇降機構は、内部に空間を有する昇降基部、該昇降基部の内側に螺合する第1昇降部、及び第1昇降部の更に内側に螺合する第2昇降部を備え、前記昇降基部を第2昇降部の軸周りに回転させることで前記中皿を昇降可能である、前記<1>〜<29>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
【0096】
<31>
前記空気栓における前記筒状排気孔に挿入される部分が、該筒状排気孔の内周面に当接する部分に、凸部と凹部とを該空気栓の高さ方向に沿って交互に有している、前記<4>〜<30>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<32>
前記空気栓又は前記栓部材の形成材料の硬度が、前記中皿の形成材料の硬度と同等又はそれ以下である、前記<1>〜<31>の何れか1に記載の棒状化粧料容器。
<33>
前記<1>〜<32>の何れか1に記載の棒状化粧料容器と、該棒状化粧料容器の前記収容空間内に下端域が収容されている棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品。
<34>
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の昇降機構及び該中皿を収容する外筒を備えた棒状化粧料容器と、前記収容空間内に前記下端域が収容されている前記棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品における前記棒状化粧料の前記中皿からの脱落を防止する棒状化粧料の脱落防止方法であって、
前記中皿には、前記収容空間の内外を連通する排気孔が設けられており、
前記棒状化粧料容器には、前記中皿を繰り下げることにより前記排気孔を閉鎖する排気制御装置が設けられており、
前記昇降機構により前記中皿を繰り出した状態下に、前記中皿の収容空間に、該収容空間内の空気を前記排気孔を介して排出させつつ前記棒状化粧料の前記下端域を挿入する工程と、
前記下端域が挿入された前記中皿を前記昇降機構により繰り下げ、それによって、前記排気制御装置により前記排気孔を閉鎖させる工程とを備えた、棒状化粧料の脱落防止方法。
<35>
前記棒状化粧料製品が、前記<33>に記載の棒状化粧料製品である、棒状化粧料の脱落防止方法。
【0097】
<36>
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の昇降機構及び該中皿を収容する外筒を備えた棒状化粧料容器と、前記収容空間内に前記下端域が収容されている前記棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品の製造方法であって、
前記中皿には、前記収容空間の内外を連通する排気孔が設けられており、
前記棒状化粧料容器には、前記中皿を繰り下げることにより前記排気孔を閉鎖する排気制御装置が設けられており、
前記昇降機構により前記中皿を繰り出した状態下に、前記中皿の収容空間に、該収容空間内の空気を前記排気孔を介して排出させつつ前記棒状化粧料の前記下端域を挿入する工程と、
前記下端域が挿入された前記中皿を前記昇降機構により繰り下げ、それによって、前記排気制御装置により前記排気孔を閉鎖させる工程とを備えた、棒状化粧料製品の製造方法。
<37>
前記棒状化粧料製品が、前記<33>に記載の棒状化粧料製品である、棒状化粧料の脱落防止方法。