【文献】
British Journal of Pharmacology, 2006, Vol.147, p.335-345
【文献】
J. Med. Chem., 2000, Vol.43, p.721-735
【文献】
Current Medicinal Chemistry, 2010/9, Vol.17(28), p.3162-3214
【文献】
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2008, Vol.18, p.6549-6552
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記炎症が、COPD、喘息、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、冠動脈疾患、ARDS、急性肺傷害、風邪、インフルエンザウイルス感染、又は炎症性関節炎に関連した炎症である、請求項1に記載の使用。
前記組成物が、薬学的に許容される担体をさらに含み、前記担体が任意選択でリポソーム、ナノ粒子、マイクロ粒子、又は環式オリゴ糖を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
式(I)の化合物が、多糖、シクロデキストリン、又は2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含む巨大分子体との包接錯体の形態にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
本発明を説明及び特許請求するに際して、以下の用語は、下記に示した定義に従って使用される。
【0023】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、その冠詞の文法的目的語の1つ又は複数(つまり、少なくとも1つ)を参照するために使用される。例として、「an element」は、1つ又は複数の元素を意味する。
【0024】
用語「約」は、本明細書で使用される場合、およそ、〜の領域に、ほぼ、又はあたりを意味する。用語「約」は、数値範囲と共に使用される場合、示されている数値の上及び下の境界を拡張することにより、その範囲を変更する。例えば、1つの態様では、用語「約」は、本明細書では、記載値の上及び下に数値を20%変動させることにより変更するために使用される。炎症の調節異常は、全てのヒト疾患の根底にあるため、本発明は、広範囲の用途並びに広範囲の疾患及び障害を包含する。
【0025】
用語「約」は、本明細書で使用される場合、数値又は範囲を参照する場合、その値又は範囲のある程度の変動、例えば、記載されている数値又は記載されている数値の限界の10%以内又は5%以内を許容する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「個体」(治療の対象のような)は、哺乳動物及び非哺乳動物の両方を意味する。哺乳動物には、例えば、ヒト;非ヒト霊長類、例えば、類人猿及び猿;並びに非霊長類、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、並びにウサギ、マウス、ラット、及びフェレットを含むげっ歯動物が含まれる。非哺乳動物には、例えば、魚及び鳥が含まれる。
【0027】
用語「疾患」又は「障害」又は「不調」は、同義的に使用され、その疾患又は状態に関与する生化学機序に炎症が役割を果たす疾患又は状態を参照するために使用される。
表現「有効量」は、障害を罹患している個体に対する療法を記述するために使用される場合、個体の組織の炎症を予防、阻害、又は別の方法で治療するのに有効であり、アミノペプチダーゼ標的の活性の変更が、有益な治療効果をもたらすのに十分な程度に生じる本発明の化合物又は組成物の量を指す。
【0028】
合成方法の状況における「もたらすのに好適な条件下で」又は「産出するのに十分な条件下で」等の語句は、本明細書で使用される場合、時間、温度、溶媒、及び反応物濃度等の、実験者が変更する通常の技術内にある、有用な量又は収量の反応生成物を提供する反応条件を指す。所望の反応生成物を単離することができるか又は別の方法で更に使用することができれば、所望の反応生成物が唯一の反応生成物である必要はなく、又は出発物質が完全に消費される必要はない。
【0029】
「実質的に」は、この用語が本明細書で使用される場合、完全に又はほとんど完全にを意味しており、例えば、ある成分を「実質的に含んでいない」組成物は、その成分を全く有しないか、又はごく微量しか含有しないため、その組成物のいかなる関連する機能特性も、その微量の存在により影響を受けないか、又は「実質的に純粋」な化合物には、無視できる微量の不純物しか存在しない。
【0030】
本願の範囲において、「治療する」又は「治療」は、障害若しくは疾患に関連する症状を緩和すること、それら症状の更なる進行若しくは悪化を阻害すること、又は疾病若しくは障害を防止若しくは予防すること、又は疾患若しくは障害を治癒することを指す。同様に、本明細書で使用される場合、本発明の化合物の「有効量」又は「治療上有効量」は、障害若しくは状態に関連する症状を全体的に又は部分的に緩和するか、又はそれら症状の更なる進行若しくは悪化を停止若しくは遅延させるか、又は障害若しくは状態の防止若しくは予防を提供する化合物の量を指す。特に、「治療上有効量」は、所望の治療結果を達成するために必要な用量及び期間で有効な量を指す。また、治療上有効量は、治療上有益な効果が、本発明の化合物のあらゆる毒性及び有害効果を上回る量である。
【0031】
「化学的に実現可能な」とは、一般的に了解されている有機構造の規則が破られていない結合配置又は化合物を意味する。例えば、天然には存在しないであろう五価の炭素原子をある状況で含有することになる請求項の定義内の構造は、請求項内ではないことが理解されるであろう。本明細書で開示された構造は、それらの実施形態の全てが、「化学的に実現可能な」構造のみを含むことが意図されており、例えば、変更可能な原子又は基と共に示されている構造の、化学的に実現可能ではないあらゆる列挙されている構造は、本明細書で開示又は特許請求することが意図されていない。
【0032】
置換基が、指定の種類の原子(複数可)又は「結合」であると指定されている場合、配置は、置換基が、指定の置換基と直接隣接する基が化学的に実現可能な結合配置で互いに直接接続されている「結合」である場合を指す。
【0033】
特定の立体化学又は異性体形態が具体的に指示されていない限り、構造の全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ形態が意図されている。本発明で使用される化合物には、描写から明白であるように、ありとあらゆる不斉原子において、任意の濃縮の度合いで濃縮又は分離された光学異性体が含まれ得る。ラセミ及びジアステレオマー混合物の両方並びに個々の光学異性体は、それらの鏡像異性体又はジアステレオマーのパートナーを実質的に含まないように分離又は合成することができ、それらは全て、本発明の範囲内にある。
【0034】
自然界における原子の天然同位体分布とは異なる1つ又は複数の原子の同位体形態を分子中に含むことは、その分子の「同位体標識形態」と呼ばれる。原子の特定の同位体形態が指示されていない限り、原子の全て同位体形態が、任意の分子の組成物中に選択肢として含まれる。例えば、分子中の任意の水素原子又はその組は、水素の同位体形態のいずれか、つまり、あらゆる組み合わせのプロチウム(
1H)、重水素(
2H)、又はトリチウム(
3H)であり得る。同様に、分子中の任意の炭素原子又はその組は、
11C、
12C、
13C、又は
14C等の炭素の同位体形態のいずれか、又は分子中の任意の窒素原子又はその組は、
13N、
14N、又は
15N等の窒素の同位体形態のいずれかであり得る。分子は、その分子を形成する構成原子にあらゆる組み合わせの同位体形態、独立して選択されている分子を形成するあらゆる原子の同位体形態を含むことができる。化合物の多分子試料では、全ての個々の分子が、同じ同位体組成を有するとは限らない。例えば、化合物の試料は、トリチウム又は
14C放射性標識試料等の、種々の異なる同位体組成物を含有し、巨視的試料を形成する分子の組のある程度の割合のみが放射性原子を含む分子を含んでいてもよい。それら自体が人工的に同位体濃縮されていない多数の元素は、
14N及び
15N、
32S及び
34S等の天然同位体形態の混合物であることも理解される。本明細書に列挙されている分子は、分子中の各位置にその全ての構成元素の同位体形態を含むと定義される。当技術分野で周知のように、同位体標識化合物は、同位体標識前駆体分子で置換する以外に、通常の化学合成法により調製することができる。同位体、放射性標識体、又は安定体は、原子炉における前駆体核種の中性子吸収による、サイクロトロン反応による、又は質量分析による等の同位体分離による生成等の当技術分野で公知の任意の方法により得ることができる。同位体形態は、任意の特定の合成径路で使用するのに必要な前駆体に組み込まれる。例えば、
14C及び
3Hは、原子炉中で生成されるニュートロンを使用して調製することができる。核変換後、
14C及び
3Hを前駆体分子に組み込み、その後必要に応じて更に生成を行う。
【0035】
用語「アミノ保護基」又は「N保護」は、本明細書で使用される場合、合成手順中に望ましくない反応からアミノ基を保護するためであり、後に除去してアミンを露出させることができる基を指す。一般的に使用されるアミノ保護基は、Protective Groups in Organic Synthesis、Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.,John Wiley&Sons、New York、NY、(第3版、1999年)に開示されている。アミノ保護基には、以下のものが含まれる:ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、及び4−ニトロベンゾイル等のアシル基;ベンゼンスルホニル、及びp−トルエンスルホニル等のスルホニル基;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニリル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−トリメチルシリルエチルオキシカルボニル(Teoc)、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル(Fmoc)、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、及びフェニルチオカルボニル等のアルコキシ−又はアリールオキシ−カルボニル基(それらは、保護アミンとウレタンを形成する);ベンジル、トリフェニルメチル、及びベンジルオキシメチル等のアラルキル基;並びにトリメチルシリル等のシリル基。また、アミン保護基には、フタロイル、及びヘテロ環にアミノ窒素が組み込まれているジチオサクシニミジル等の環式アミノ保護基が含まれる。典型的には、アミノ保護基には、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、フェニルスルホニル、Alloc、Teoc、ベンジル、Fmoc、Boc、及びCbzが含まれる。目的の合成課題に適切なアミノ保護基を選択及び使用することは、十分に当業者の技術内にある。
【0036】
用語「ヒドロキシル保護基」又は「O保護」は、本明細書で使用される場合、合成手順中に望ましくない反応からOH基を保護するためであり、後に除去してアミンを露出させることができる基を指す。一般的に使用されるヒドロキシル保護基は、Protective Groups in Organic Synthesis、Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.,John Wiley&Sons、New York、NY、(第3版、1999年)に開示されている。ヒドロキシル保護基には、以下のものが含まれる:ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、及び4−ニトロベンゾイル等のアシル基;ベンゼンスルホニル、及びp−トルエンスルホニル等のスルホニル基;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニリル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−トリメチルシリルエチルオキシカルボニル(Teoc)、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル(Fmoc)、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、及びフェニルチオカルボニル等のアシルオキシ基(それらは、保護アミンとウレタンを形成する);ベンジル、トリフェニルメチル、及びベンジルオキシメチル等のアラルキル基;並びにトリメチルシリル等のシリル基。目的の合成課題に適切なアミノ保護基を選択及び使用することは、十分に当業者の技術内にある。
【0037】
一般的に、「置換」は、そこに含まれる水素原子との1つ又は複数の結合が、これらに限定されないが、ハロゲン(つまり、F、Cl、Br、及びI);ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基、カルボン酸を含むカルボキシル基、カルボキシラート、及びカルボン酸エステル等の基の酸素原子;チオール基、アルキル及びアリールスルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホニル基、並びにスルホンアミド基等の基の硫黄原子;アミン、ヒドロキシルアミン、ニトリル、ニトロ基、N−オキシド、ヒドラジド、アジド、及びエナミン等の基の窒素原子;並びに種々の他の基の他のヘテロ原子等の非水素原子との1つ又は複数の結合と置換されている、本明細書で定義されているような有機基を指す。置換炭素(又は他の)原子に結合することができる置換基の非限定的な例には、F、Cl、Br、I、OR’、OC(O)N(R’)
2、CN、NO、NO
2、ONO
2、アジド、CF
3、OCF
3、R’、O(オキソ)、S(チオノ)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R’)
2、SR’、SOR’、SO
2R’、SO
2N(R’)
2、SO
3R’、C(O)R’、C(O)C(O)R’、C(O)CH
2C(O)R’、C(S)R’、C(O)OR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)
2、OC(O)N(R’)
2、C(S)N(R’)
2、(CH
2)
0〜2N(R’)C(O)R’、(CH
2)
0〜2N(R’)N(R’)
2、N(R’)N(R’)C(O)R’、N(R’)N(R’)C(O)OR’、N(R’)N(R’)CON(R’)
2、N(R’)SO
2R’、N(R’)SO
2N(R’)
2、N(R’)C(O)OR’、N(R’)C(O)R’、N(R’)C(S)R’、N(R’)C(O)N(R’)
2、N(R’)C(S)N(R’)
2、N(COR’)COR’、N(OR’)R’、C(=NH)N(R’)
2、C(O)N(OR’)R’、又はC(=NOR’)R’が含まれ、R’は、水素又は炭素系部分であってもよく、炭素系部分はそれ自体が、更に置換されていてもよい。
【0038】
置換基は、例えばF又はCl等の一価である場合、それが単結合により置換している原子に結合されている。置換基は、二価であるO等の一価を超えるものである場合、それが複数の結合により置換している原子に結合されていてもよく、つまり、二価置換基は、二重結合により結合されており、例えば、Oで置換されたCは、カルボニル基C=Oを形成し、これは「CO」、「C(O)」、又は「C(=O)」と記載することもでき、C及びOは、二重結合で結合されている。炭素原子が、二重結合酸素(=O)基で置換されている場合、酸素置換基は、「オキソ」基と呼ばれる。NR等の二価置換基が、炭素原子と二重結合で結合されている場合、その結果生じるC(=NR)基は、「イミノ」基と呼ばれる。S等の二価置換基が、炭素原子と二重結合で結合されている場合、その結果生じるC(=S)基は、「チオカルボニル」基と呼ばれる。
【0039】
或いは、O又はS等の二価置換基は、2つの単結合により2個の異なる炭素原子に結合していてもよい。例えば、二価置換基であるOは、2個の隣接炭素原子の各々と結合してエポキシド基を提供してもよく、又はOは、「オキシ」基と呼ばれる、隣接又は非隣接炭素原子間の架橋エーテル基、例えば、シクロヘキシル基の1,4−炭素を架橋して、[2.2.1]−オキサビシクロ系を形成してもよい。更に、任意の置換基が、(CH
2)
n又は(CR’
2)
n等のリンカーにより、炭素又は他の原子に結合されていてもよく、式中nは、1、2、又は3以上であり、各R’は、独立して選択される。同様に、メチレンジオキシ基は、例えばフェニル環の2個の隣接炭素原子に結合されているような場合、置換基であり得る。
【0040】
C(O)及びS(O)
2基は、炭素原子にではなく、窒素等の1個又は2個のヘテロ原子に結合していてもよい。例えば、C(O)基が、1個の炭素原子及び1個の窒素原子と結合されている場合、その結果生じる基は、「アミド」又は「カルボキサミド」と呼ばれる。C(O)基が、2個の窒素原子に結合されている場合、この官能基は、尿素と呼ばれる。S(O)
2基が、1個の炭素原子及び1個の窒素原子に結合されている場合、その結果生じる単位は、「スルホンアミド」と呼ばれる。S(O)
2群が、2個の窒素原子に結合されている場合、その結果生じる単位は、「スルファマート」と呼ばれる。
【0041】
また、置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、及びシクロアルケニル基、並びに他の置換基には、水素原子との1つ又は複数の結合が、炭素原子との、又はこれらに限定されないが、カルボニル基(オキソ)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、イミド基、ウレタン基、及び尿素基の酸素;並びにイミン、ヒドロキシイミン、オキシム、ヒドラゾン、アミジン、グアニジン、及びニトリルの窒素等のヘテロ原子との、二重結合又は三重結合を含む1つ又は複数の結合により置換されている基が含まれる。
【0042】
また、置換されたシクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、及びへテロアリール基等の置換環式基には、水素原子との結合が、炭素原子との結合で置換されている環及び融合環系が含まれる。したがって、また、置換されたシクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、及びへテロアリール基は、本明細書で定義されているようなアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基で置換されていてもよい。
【0043】
「環系」とは、この用語が本明細書で使用される場合、1つ、2つ、又は3つ以上の環を含む部分を意味しており、それらは、非環式基又は他の環系又はその両方と置換されていてもよく、完全に飽和していてもよく、部分的に不飽和であってもよく、完全に不飽和であってもよく、又は芳香族であってもよく、環系が単環を超えるものを含んでいる場合、環は、融合環でもよく、架橋環でもよく、又はスピロ環でもよい。「スピロ環」とは、当技術分野で周知のように、2つの環が、単一の四面体炭素原子で融合されているクラスの構造を意味する。
【0044】
1つ又は複数の置換基を含む本明細書に記載のあらゆる基に関して、そのような基は、無論、立体的に非現実的な及び/又は合成的に実現不能ないかなる置換又は置換パターンも含んでいないことが理解される。加えて、本開示の主題の化合物には、これら化合物の置換から生じる立体化学的異性体が全て含まれる。
【0045】
本明細書に記載の化合物内の選択された置換基は、再帰的に存在する。この状況では、「再帰的置換基」は、置換基が、それ自体の別の出現を繰り返してもよいことを意味する。そのような置換基は、再帰的な性質を持つため、理論的には任意の所与の請求項に多数存在していてもよい。医薬品化学及び有機化学の当業者であれば、そのような置換基の総数は、目的の化合物の所望の特性により合理的に制限されることを理解する。そのような特性には、例であり、限定ではないが、分子量、可溶性、又はlogP等の物理的特性、目的の標的に対する活性等の応用特性、及び合成のし易さ等の実用的特性が含まれる。
【0046】
再帰的置換基は、開示された主題の意図する態様である。医薬品化学及び有機化学の当業者であれば、そのような置換基の多用途性を理解する。開示された主題の請求項に再帰的置換基が存在する程度について、その総数は、上記のように決定されるべきである。
【0047】
アルキル基には、1〜約20個の炭素原子、及び典型的には1〜12個の炭素、又は幾つかの実施形態では、1〜8個の炭素原子を有する直鎖及び分岐アルキル基及びシクロアルキル基が含まれる。直鎖アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等の1〜8個の炭素原子を有するものが挙げられる。分岐アルキル基の例としては、これらに限定されないが、イソプロピル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、及び2,2−ジメチルプロピル基が挙げられる。代表的な置換アルキル基は、上記に列挙されている基、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、チオ基、アルコキシ基、及びハロゲン基のいずれかで1回又は複数回置換されていてもよい。
【0048】
シクロアルキル基は、これらに限定されないが、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等の環式アルキル基である。幾つかの実施形態では、シクロアルキル基は、3から約8〜12個の環員を有していてもよいが、他の実施形態では、環炭素原子の数は、3から4、5、6、又は7の範囲である。シクロアルキル基には、これらに限定されないが、ノルボルニル基、アダマンチル基、ボルニル基、カンフェニル基、イソカンフェニル基、及びカレニル(carenyl)基等の多環式シクロアルキル基、及びこれらに限定されないが、デカリニル(decalinyl)等の融合環が更に含まれる。また、シクロアルキル基には、上記で定義されている直鎖又は分岐鎖アルキル基で置換された環が含まれる。代表的な置換シクロアルキル基は、これらに限定されないが、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、チオ基、アルコキシ基、及びハロゲン基で置換されていてもよい2,2−、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−二置換シクロヘキシル基、又は一置換、二置換、又は三置換ノルボルニル又はシクロヘプチル基等、一置換又は複数置換されていてもよい。用語「シクロアルケニル」は、単独で又は組み合わせで、環式アルケニル基を示す。
【0049】
用語「炭素環式」、「カルボシクリル」、及び「炭素環」は、シクロアルキル基又はアリール基等の、環の原子が炭素である環構造を示す。幾つかの実施形態では、炭素環は、3〜8個の環員を有するが、他の実施形態では、環炭素原子の数は、4、5、6、又は7個である。具体的にそうではないと指示されていない限り、炭素環式環は、多くともN−1の置換基(Nは、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、へテロアリール基、ヘテロシクリル基、ニトロ基、チオ基、アルコキシ基、及びハロゲン基、又は上記に列挙されているような他の置換基を含む環炭素のサイズ)で置換されていてもよい。カルボシクリル環は、シクロアルキル環、シクロアルケニル環、又はアリール環であってもよい。カルボシクリルは、単環式又は多環式であってもよく、多環式の場合、各環は、独立してシクロアルキル環、シクロアルケニル環、又はアリール環であってもよい。
【0050】
(シクロアルキル)アルキル基は、シクロアルキルアルキルとも記され、上記で定義されているアルキル基であり、アルキル基の水素結合又は炭素結合が、上記で定義されているシクロアルキル基との結合で置換されている。
【0051】
アルケニル基には、少なくとも1つの二重結合が2個の炭素原子間に存在する以外は上記で定義されている直鎖及び分岐鎖及び環式アルキル基が含まれる。したがって、アルケニル基は、2〜約20個の炭素原子、及び典型的には2〜12個の炭素、又は幾つかの実施形態では2〜8個の炭素原子を有する。例としては、これらに限定されないが、中でも、ビニル、−CH=CH(CH
3)、−CH=C(CH
3)
2、−C(CH
3)=CH
2、−C(CH
3)=CH(CH
3)、−C(CH
2CH
3)=CH
2、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、及びヘキサジエニルが挙げられる。
【0052】
シクロアルケニル基には、少なくとも1つの二重結合を2個の炭素間に有するシクロアルキル基が含まれる。したがって、例えば、シクロアルケニル基には、これらに限定されないが、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基、及びシクロヘキサジエニル基が含まれる。シクロアルケニル基は、3から約8〜12個の環員を有していてもよいが、他の実施形態では、環炭素原子の数は、3から5、6、又は7の範囲である。シクロアルキル基には、これらに限定されないが、ノルボルニル基、アダマンチル基、ボルニル基、カンフェニル基、イソカンフェニル基、及びカレニル基等の多環式シクロアルキル基、及びこれらに限定されないが、デカリニルの融合環等が更に含まれるが、ただし、それらは、少なくとも1つの二重結合を環内に含む。また、シクロアルケニル基には、上記で定義されている直鎖又は分岐鎖アルキル基で置換されている環が含まれる。
【0053】
(シクロアルケニル)アルキル基は、上記で定義されているアルキル基であり、アルキル基の水素結合又は炭素結合が、上記で定義されているシクロアルケニル基との結合で置換されている。
【0054】
アルキニル基には、少なくとも1つの三重結合が2個の炭素原子間に存在する以外は、直鎖及び分岐鎖アルキル基が含まれる。したがって、アルキニル基は、2〜約20個の炭素原子、及び典型的には2〜12個の炭素、又は幾つかの実施形態では2〜8個の炭素原子を有する。例としては、これらに限定されないが、中でも、−C≡CH、−C≡(C(CH
3)、−C≡C(CH
2CH
3)、−CH
2C≡CH、−CH
2C≡C(CH
3)、及び−CH
2C≡C(CH
2CH
3)が挙げられる。
【0055】
用語「ヘテロアルキル」は、別様の記載がない限り、単独で又は別の用語と組み合わせて、表示されている数の炭素原子並びにO、N、及びSからなる群から選択される1個又は2個のヘテロ原子で構成されており、窒素原子及び硫黄原子が、任意に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子が、任意に四級化されてもよい安定的な直鎖又は分岐鎖アルキル基を意味する。ヘテロ原子(複数可)は、ヘテロアルキル基の残りの部分とそれが結合されている断片との間を含む、ヘテロアルキル基の任意の位置に配置されていてもよく、ヘテロアルキル基の最遠位炭素原子に結合されてもよい。例としては、−O−CH
2−CH
2−CH
3、−CH
2−CH
2CH
2−OH、−CH
2−CH
2−NH−CH
3、−CH
2−S−CH
2−CH
3、−CH
2CH
2−S(=O)−CH
3、及び−CH
2CH
2−O−CH
2CH
2−O−CH
3が挙げられる。例えば、−CH
2−NH−OCH
3又は−CH
2−CH
2−S−S−CH
3等、最大2個のヘテロ原子が連続してもよい。
【0056】
「シクロヘテロアルキル」環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含むシクロアルキル環である。シクロヘテロアルキル環は、下述のように「ヘテロシクリル」と呼ばれる場合もある。
【0057】
用語「ヘテロアルケニル」は、別様の記載がない限り、単独で又は別の用語と組み合わせて、表示されている数の炭素原子並びにO、N、及びSからなる群から選択される1個又は2個のヘテロ原子で構成されており、窒素原子及び硫黄原子が、任意に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子が、任意に四級化されてもよい安定的な直鎖又は分岐鎖一不飽和又は二不飽和炭化水素基を意味する。最大2個のヘテロ原子が連続的に配置されていてもよい。例としては、−CH=CH−O−CH
3、−CH=CH−CH
2−OH、−CH
2−CH=N−OCH
3、−CH=CH−N(CH
3)−CH
3、−CH
2−CH=CH−CH
2−SH、及び−CH=CH−O−CH
2CH
2−O−CH
3が挙げられる。
【0058】
アリール基は、環にヘテロ原子を含まない環式芳香族炭化水素である。したがって、アリール基には、これらに限定されないが、フェニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニル基、インダセニル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、トリフェニルエニル基、ピレニル基、ナフタセニル基、クリセニル基、ビフェニルエニル基、アントラセニル基、及びナフチル基が含まれる。幾つかの実施形態では、アリール基は、基の環部分に約6〜約14個の炭素を含む。アリール基は、上記で定義されているように、非置換でもよく又は置換されていてもよい。代表的な置換アリール基は、これらに限定されないが、炭素基又は上記に列挙されているもの等の非炭素基で置換されていてもよい2−、3−、4−、5−、若しくは6−置換フェニル基又は2〜8置換ナフチル基等、一置換でもよく又は多置換でもよい。
【0059】
アラルキル基は、上記で定義されているアルキル基であり、アルキル基の水素結合又は炭素結合が、上記で定義されているアリール基との結合で置換されている。代表的なアラルキル基には、ベンジル基及びフェニルエチル基、4−エチル−インダニル等の、融合(シクロアルキルアリール)アルキル基が含まれる。アラルケニル基は、上記で定義されているアルケニル基であり、アルキル基の水素結合又は炭素結合が、上記で定義されているアリール基との結合で置換されている。
【0060】
ヘテロシクリル基又は用語「ヘテロシクリル」は、その1つ又は複数が、これらに限定されないが、N、O、及びS等のヘテロ原子である3つ以上の環員を含む芳香族及び非芳香族環式化合物を含む。したがって、ヘテロシクリルは、シクロヘテロアルキルであってもよく、又はへテロアリールであってもよく、又は多環式の場合はそれらの任意の組み合わせであってもよい。幾つかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、3〜約20個の環員を含むが、他のそのような基は、3〜約15個の環員を有する。C
2−ヘテロシクリルと称されるヘテロシクリル基は、2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子を有する5員環、2個の炭素原子及び4個のヘテロ原子を有する6員環等であってもよい。同様に、C
4−ヘテロシクリルは、1個のヘテロ原子を有する5員環、2個のヘテロ原子を有する6員環等であってもよい。炭素原子数+ヘテロ原子数は、加算すると環原子の総数と等しい。また、ヘテロシクリル環は、1つ又は複数の二重結合を含んでいてもよい。へテロアリール環は、ヘテロシクリル基の具体例である。語句「ヘテロシクリル基」は、融合芳香族及び非芳香族基を含むものを含む融合環式種を含む。例えば、本願の範囲において、ジオキソラニル環及びベンズジオキソラニル環系(メチレンジオキシフェニル環系)は、両方ともヘテロシクリル基である。また、この語句は、これに限定されないが、キヌクリジル(quinuclidyl)等の、ヘテロ原子を含む多環系を含む。ヘテロシクリル基は、非置換であってもよく、又は上記で考察されているように置換されていてもよい。ヘテロシクリル基には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、インドリル基、ジヒドロインドリル基、アザインドリル基、インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、アザベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、イミダゾピリジニル基、イソオキサゾロピリジニル基、チアナフタレニル基、プリニル基、キサンチニル基、アデニニル基、グアニニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、キノキサリニル基、及びキナゾリニル基。代表的な置換ヘテロシクリル基は、これらに限定されないが、上記に列挙されているもの等の基で、2−、3−、4−、5−、若しくは6−置換されているか又は二置換されているピペリジニル又はキノリニル基等、一置換でもよく又は多置換でもよい。
【0061】
へテロアリール基は、その1つ又は複数が、これらに限定されないが、N、O、及びS等のヘテロ原子である5つ以上の環員を含む芳香族環式化合物である。例えば、へテロアリール環は、5から約8〜12個の環員を有していてもよい。へテロアリール基は、芳香族の電子構造を有する様々なヘテロシクリル基である。C
2−ヘテロアリールと称されるヘテロアリール基は、2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子を有する5員環、2個の炭素原子及び4個のヘテロ原子を有する6員環等であってもよい。同様に、C
4−ヘテロアリールは、1個のヘテロ原子を有する5員環、2個のヘテロ原子を有する6員環等であってもよい。炭素原子数+ヘテロ原子数は、加算すると環原子の総数と等しい。ヘテロアリール基には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:ピロリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、インドリル基、アザインドリル基、インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、アザベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、イミダゾピリジニル基、イソオキサゾロピリジニル基、チアナフタレニル基、プリニル基、キサンチニル基、アデニニル基、グアニニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、キノキサリニル基、及びキナゾリニル基。ヘテロアリール基は、非置換であってもよく、又は上記で考察されているような基で置換されていてもよい。代表的な置換へテロアリールは、上記に列挙されているもの等の基で1回又は複数回置換されていていもよい。
【0062】
アリール基及びへテロアリール基の追加の例には、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:フェニル、ビフェニル、インデニル、ナフチル(1−ナフチル、2−ナフチル)、N−ヒドロキシテトラゾリル、N−ヒドロキシトリアゾリル、N−ヒドロキシイミダゾリル、アントラセニル(1−アントラセニル、2−アントラセニル、3−アントラセニル)、チオフェニル(2−チエニル、3−チエニル)、フリル(2−フリル、3−フリル)、インドリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、キナゾリニル、フルオレニル、キサンテニル、イソインダニル、ベンズヒドリル、アクリジニル、チアゾリル、ピロリル(2−ピロリル)、ピラゾリル(3−ピラゾリル)、イミダゾリル(1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル)、トリアゾリル(1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル)、オキサゾリル(2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、チアゾリル(2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、ピリジル(2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリミジニル(2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル)、ピラジニル、ピリダジニル(3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル)、キノリル(2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル)、イソキノリル(1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル)、ベンゾ[b]フラニル(2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル、4−ベンゾ[b]フラニル、5−ベンゾ[b]フラニル、6−ベンゾ[b]フラニル、7−ベンゾ[b]フラニル)、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル(2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、6−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、7−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[b]チオフェニル(2−ベンゾ[b]チオフェニル、3−ベンゾ[b]チオフェニル、4−ベンゾ[b]チオフェニル、5−ベンゾ[b]チオフェニル、6−ベンゾ[b]チオフェニル、7−ベンゾ[b]チオフェニル)、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル、(2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、6−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、7−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、インドリル(1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル)、インダゾール(1−インダゾリル、3−インダゾリル、4−インダゾリル、5−インダゾリル、6−インダゾリル、7−インダゾリル)、ベンズイミダゾリル(1−ベンズイミダゾリル、2−ベンズイミダゾリル、4−ベンズイミダゾリル、5−ベンズイミダゾリル、6−ベンズイミダゾリル、7−ベンズイミダゾリル、8−ベンズイミダゾリル)、ベンゾオキサゾリル(1−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(1−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾチアゾリル、4−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアゾリル、6−ベンゾチアゾリル、7−ベンゾチアゾリル)、カルバゾリル(1−カルバゾリル、2−カルバゾリル、3−カルバゾリル、4−カルバゾリル)、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン(5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−1−イル、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−2−イル、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−3−イル、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−4−イル、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−5−イル)、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−1―イル、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−2−イル、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−3−イル、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−4−イル、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−5−イル)等。
【0063】
ヘテロシクリルアルキル基は、上記で定義されているアルキル基であり、アルキル基の水素結合又は炭素結合が、上記で定義されているヘテロシクリル基との結合で置換されている。代表的なヘテロシクリルアルキル基には、これらに限定されないが、フラン−2−イルメチル、フラン−3−イルメチル、ピリジン−3−イルメチル、テトラヒドロフラン−2−イルエチル、及びインドール−2−イルプロピルが含まれる。
【0064】
ヘテロアリールアルキル基は、上記で定義されているアルキル基であり、アルキル基の水素結合又は炭素結合が、上記で定義されているへテロアリール基との結合で置換されている。
【0065】
用語「アルコキシ」は、上記に定義されているように、シクロアルキル基を含むアルキル基に接続されている酸素原子を指す。直鎖アルコキシ基の例としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシ等が挙げられる。分岐アルコキシの例としては、これらに限定されないが、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、イソペンチルオキシ、及びイソヘキシルオキシ等が挙げられる。環式アルコキシの例には、これらに限定されないが、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、及びシクロヘキシルオキシ等が挙げられる。アルコキシ基は、酸素原子に結合された1から約12〜20個の炭素原子を含んでいてもよく、二重結合又は三重結合を更に含んでいてもよく、またヘテロ原子を含んでいてもよい。例えば、本願の範囲において、アリルオキシ基はアルコキシ基である。また、メトキシエトキシ基は、構造の2個の隣接原子がそれで置換されている状況のメチレンジオキシ基のように、本願の範囲においてアルコキシ基である。
【0066】
それら自体又は別の置換基の一部として、用語「ハロ」又は「ハロゲン」又は「ハロゲン化物」は、別様の記載がない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子、例えば、フッ素、塩素、又は臭素を意味する。
【0067】
「ハロアルキル」基には、モノ−ハロアルキル基、ハロ原子が全て同一であってもよく又は異なっていてもよいポリ−ハロアルキル基、及び水素原子が全てフルオロ等のハロゲン原子により置換されているペル−ハロアルキル基が含まれる。ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、1,1−ジクロロエチル、1,2−ジクロロエチル、1,3−ジブロモ−3,3−ジフルオロプロピル、及びペルフルオロブチル等が挙げられる。
【0068】
「ハロアルコキシ」基には、モノ−ハロアルコキシ基、ハロ原子が全て同一であってもよく又は異なっていてもよいポリ−ハロアルコキシ基、及び水素原子が全てフルオロ等のハロゲン原子により置換されているペル−ハロアルコキシ基が含まれる。ハロアルコキシの例としては、トリフルオロメトキシ、1,1−ジクロロエトキシ、1,2−ジクロロエトキシ、1,3−ジブロモ−3,3−ジフルオロプロポキシ、及びペルフルオロブトキシ等が挙げられる。
【0069】
用語「(C
x〜C
y)ペルフルオロアルキル」(x<y)は、最低x個の炭素原子及び最大y個の炭素原子を有し、水素原子が全てフッ素原子で置換されているアルキル基を意味する。1つの実施形態では(C
x〜C
y)ペルフルオロアルキルは、−(C
1〜C
6)ペルフルオロアルキルである。1つの実施形態では、(C
x〜C
y)ペルフルオロアルキルは、−(C
1〜C
3)ペルフルオロアルキルである。1つの実施形態では、(C
x〜C
y)ペルフルオロアルキルは、−CF
3である。
【0070】
用語「(C
x〜C
y)ペルフルオロアルキレン」(x<y)は、最低x個の炭素原子及び最大y個の炭素原子を有し、水素原子が全てフッ素原子で置換されているアルキル基を意味する。1つの実施形態では、(C
x〜C
y)ペルフルオロアルキレンは、−(C
1〜C
6)ペルフルオロアルキレンである。1つの実施形態では、(C
x〜C
y)ペルフルオロアルキレンは、−(C
1〜C
3)ペルフルオロアルキレンである。1つの実施形態では、(C
x〜C
y)ペルフルオロアルキレンは、−CF
2−である。
【0071】
用語「アリールオキシ」及び「アリールアルコキシ」は、それぞれ、酸素原子に結合されたアリール基、及びアルキル部分で酸素原子に結合されたアラルキル基を指す。例としては、これらに限定されないが、フェノキシ、ナフチルオキシ、及びベンジルオキシが挙げられる。
【0072】
「アシル」基は、この用語が本明細書で使用される場合、カルボニル部分を含み、カルボニル炭素原子を介して結合されている基を指す。また、カルボニル炭素原子は、アルキル、アリール、アラルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、へテロアリール、及びヘテロアリールアルキル基等の一部であってもよい別の炭素原子に結合されている。カルボニル炭素原子が水素に結合されている特別の場合には、この基は、「ホルミル」基、その用語が本明細書で定義されているようなアシル基である。アシル基は、カルボニル基に結合されている0から約12〜20個の追加の炭素原子を含んでいてもよい。本願の範囲において、アシル基は二重結合又は三重結合を含んでいてもよい。アクリロイル基は、アシル基の一例である。また、本願の範囲において、アシル基はヘテロ原子を含んでいてもよい。ニコチノイル基(ピリジル−3−カルボニル)基は、本願の範囲におけるアシル基の一例である。他の例としては、アセチル、ベンゾイル、フェニルアセチル、ピリジルアセチル、シンナモイル、及びアクリロイル基等が挙げられる。カルボニル炭素原子に結合されている炭素原子を含む基がハロゲンを含む場合、その基は、「ハロアシル」基と呼ばれる。一例は、トリフルオロアセチル基である。
【0073】
用語「アミン」は、例えば、式N(基)
3を有する第一級、第二級、及び第三級アミンを含み、式中、各基は、独立してH、又はアルキル及びアリール等の非Hであってもよい。アミンには、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:R−NH
2、例えばアルキルアミン、アリ−ルアミン、アルキルアリールアミン;ジアルキルアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミン、及びヘテロシクリルアミン等の、各Rが独立して選択されるR
2NH;及びトリアルキルアミン、ジアルキルアリールアミン、アルキルジアリールアミン、及びトリアリールアミン等の、各Rが独立して選択されるR
3N。また、用語「アミン」は、本明細書で使用される場合、アンモニウムイオンを含む。
【0074】
「アミノ」基は、−NH
2、−NHR、−NR
2、−NR
3+の形態の置換基であり、式中、各Rは、独立して選択され、プロトン化することができない−NR
3+を除いて、各々のプロトン化された形態にある。したがって、アミノ基で置換されているあらゆる化合物は、アミンとして見ることができる。本願の範囲において、「アミノ基」は、第一級、第二級、第三級、又は第四級アミノ基であってもよい。「アルキルアミノ」基は、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及びトリアルキルアミノ基を含む。
【0075】
「アンモニウム」イオンは、非置換アンモニウムイオンNH
4+を含むが、別様の指示がない限り、それは、あらゆるプロトン化又は四級化形態のアミンも含む。したがって、本願の範囲において、トリメチルアンモニウム塩酸塩及び塩化テトラメチルアンモニウムは両方ともアンモニウムイオン及びアミンである。
【0076】
用語「アミド(amide)」(又は「アミド(amido)」)は、C−アミド基及びN−アミド基、つまり、それぞれ−C(O)NR
2及び−NRC(O)R基を含む。したがって、アミド基には、これらに限定されないが、第一級カルボキサミド基(−C(O)NH
2)及びホルムアミド基(−NHC(O)H)が含まれる。「カルボキサミド」基は、式C(O)NR
2の基であり、式中Rは、H、アルキル、アリール等であってもよい。
【0077】
用語「アジド」は、N
3基を指す。「アジド」は、有機アジドであってもよく、又はアジド(N
3−)陰イオンの塩であってもよい。用語「ニトロ」は、有機部分に結合されているNO
2基を指す。用語「ニトロソ」は、有機部分に結合されているNO基を指す。用語ニトラートは、有機部分に結合されているONO
2基、又はニトラート(NO
3−)陰イオンの塩を指す。
-
用語「ウレタン」(「カルバモイル」又は「カルバミル」)は、N−ウレタン基及びO−ウレタン基、つまりそれぞれ−NRC(O)OR及び−OC(O)NR
2基を含む。
【0078】
用語「スルホンアミド(sulfonamide)」(又は「スルホンアミド(sulfonamido)」)は、S−スルホンアミド基及びN−スルホンアミド基、つまりそれぞれ−SO
2NR
2及び−NRSO
2R基を含む。したがって、スルホンアミド基には、これらに限定されないが、スルファモイル基(−SO
2NH
2)が含まれる。式−S(O)(NR)−により表わされる有機硫黄構造は、酸素原子及び窒素原子が両方とも、硫黄原子に結合されており、硫黄原子が、2個の炭素原子にも結合されているスルホキシミンを指すと理解される。
【0079】
用語、「アミジン」又は「アミジノ」は、式−C(NR)NR
2の基を含む。典型的には、アミジノ基は、−C(NH)NH
2である。
用語「グアニジン」又は「グアニジノ」は、式−NRC(NR)NR
2の基を含む。典型的には、グアニジノ基は、−NHC(NH)NH
2である。
【0080】
当技術分野で周知であるように「塩」は、イオン形態の、カウンターイオンと組み合わされたカルボン酸、スルホン酸、又はアミン等の有機化合物を含む。例えば、陰イオン形態の酸は、金属陽イオン、例えばナトリウム及びカリウム等の陽イオンと共に、NH
4+等のアンモニウム塩又はテトラメチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム塩等を含む、種々のアミンの陽イオンと共に、又はトリメチルスルホンイウム等の他の陽イオンと共に、塩を形成することができる。「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」塩は、塩化物塩又はナトリウム塩等の、ヒト消費が承認されており、一般的に無毒であるイオンで形成されている塩である。「双性イオン」は、少なくとも2つのイオン化可能基を有する分子に形成され得るもの等の分子内塩であり、一方は陰イオンを形成し、他方は陽イオンを形成し、それらは互いにバランスを保つ役目を果たす。例えば、グリシン等のアミノ酸は、双性イオンの形態で存在することができる。「双性イオン」は本願の範囲における塩である。本発明の化合物は、塩の形態をとっていてもよい。用語「塩」は、本発明の化合物である遊離酸又は遊離塩基の付加塩を包含する。塩は、「薬学的に許容される塩」であってもよい。用語「薬学的に許容される塩」は、毒性特性が、医薬品応用に有用性をもたらすことができる範囲内である塩を指す。にもかかわらず、薬学的に許容できない塩は、例えば、本発明の化合物の合成、精製、又は製剤化のプロセスに有用性がある等、本発明の実施に有用性を有する高い結晶化度等の特性を有する場合がある。
【0081】
好適な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸又は有機酸から調製することができる。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸が挙げられる。適切な有機酸は、以下のものから選択することができる:脂肪族系酸、脂環式酸、芳香族系酸、アラリファティック(araliphatic)酸、ヘテロ環式酸、カルボン酸、及びスルホン酸クラスの有機酸、それらの例には、以下のものが含まれる:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸。薬学的に許容できない酸付加塩の例としては、例えば、過塩素酸塩及びテトラフルオロホウ酸塩が挙げられる。
【0082】
化合物の好適な薬学的に許容される塩基付加塩には、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、並びに例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、及び亜鉛塩等の遷移金属塩を含む金属塩が含まれる。また、薬学的に許容される塩基付加塩には、例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、及びプロカイン等の塩基性アミンで作られた有機塩が含まれる。薬学的に許容できない塩基付加塩の例としては、リチウム塩及びシアン酸塩が挙げられる。薬学的に許容できない塩は、一般的に薬剤として有用ではないが、そのような塩は、化合物の合成における中間体として、例えば再結晶化によるそれらの精製に有用であり得る。これら塩は全て、例えば、適切な酸又は塩基を化合物と反応させることにより、対応する化合物から従来手段により調製することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、無毒性の無機又は有機の酸及び/又は塩基付加塩を指す。例えば、Litら、Salt Selection for Basic Drugs(1986年)、Int J. Pharm.、33巻、201〜217頁を参照されたい。この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
「水和物」は、水分子と共に組成物中に存在する化合物である。組成物は、一水和物又は二水和物等、化学量論的な量の水を含んでいてもよく、又は無作為の量の水を含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「水和物」は固体形態を指す。すなわち、水溶液中の化合物は水和されている場合があるが、本明細書で使用される用語としての水和物ではない。
【0084】
「溶媒和物」は、水以外の溶媒が水を置換していることを除いて、同様の組成物である。例えば、メタノール又はエタノールは、「アルコラート」を形成していてもよく、それは、化学量論的であってもよく、又は化学量論的でなくともよい。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」は固体形態を指す。すなわち、溶液の溶媒中の化合物は溶媒和されている場合があるが、本明細書で使用される用語としての溶媒和物ではない。
【0085】
当技術分野で周知であるように「プロドラッグ」は、患者に投与することができ、酵素等の患者体内の生化学物質の作用によりin vivoで活性医薬品成分に変換される物質である。プロドラッグの例としては、ヒト及び他の哺乳動物の血流中に見出されるような内因性エステラーゼにより加水分解され得る、カルボン酸基のエステルが挙げられる。好適なプロドラッグ誘導体を選択及び調製するための従来手順は、例えば、「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard編、Elsevier、1985年に記載されている。
【0086】
加えて、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群の観点で記載されている場合、当業者であれば、それにより本発明が、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーの亜群の観点でも記載されていることを認識するであろう。例えば、X群が、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群から選択されると記載されている場合、Xが臭素である請求項、並びにXが臭素及び塩素である請求項が、十分に記載されている。更に、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群の立場から記載されている場合、当業者であれば、それにより本発明が、マーカッシュ群の個々のメンバー又はメンバーの亜群の組み合わせの観点でも記載されていることを認識するであろう。したがって、例えば、Xが、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群から選択され、Yが,メチル、エチル、及びプロピルからなる群から選択されると記載されている場合、Xが臭素であり、Yがメチルである請求項が、十分に記載されている。
【0087】
必ず整数である変数の値、例えば、アルキル基にある炭素原子の数又は環にある置換基の数が、範囲として、例えば、0〜4と記載されている場合、それが意味するのは、その値が、包括的に0〜4の間の任意の整数、つまり、0、1、2、3、又は4であるということである。
【0088】
種々の実施形態では、本発明の方法で使用されるもの等の化合物又は化合物の組は、上記に列挙されている実施形態の組み合わせ及び/又はサブ組み合わせのいずれか1つであってもよい。
【0089】
種々の実施形態では、実施例のいずれか又は例示的な化合物に示されている化合物が提供される。
開示された分類又は実施形態のいずれかに、ただし書きの条件を適用し、他の上記で開示された実施形態又は種のいずれか1つ又は複数をそのような分類又は実施形態から除外してもよい。
【0090】
例示的な実施形態
本発明は、炎症悪化に由来する病理学的疾患に、ロイコトリエンA
4ヒドロラーゼ(LTA
4H)活性並びにそのエポキシヒドロラーゼ(LTA
4H EH)活性及びアミノペプチダーゼ(LTA
4H AP)活性が関与することに関する。ロイコトリエンA
4ヒドロラーゼのヒドロラーゼ活性の産物は、ロイコトリエンB
4(LTB
4)である。LTB
4は、5−リポキシゲナーゼ経路で産生されるアラキドン酸代謝物であり、マスト細胞、好中球、単球、マクロファージ、及びリンパ球等を含む種々の細胞で生合成され、炎症の重要なメディエータとしての役割を果たす。LTB
4は、白血球の走化性、凝集、及び脱顆粒、白血球の蓄積を誘導し、血管透過性、浮腫形成、並びに組織破壊及び瘢痕化を加速する。特に高レベルのLTB
4が、喘息、COPD、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、冠動脈疾患、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、及び急性肺傷害(ALI)、風邪、及び炎症性関節炎等の炎症性疾患の病変部位に検出されている。LTA
4H AP活性は、有害炎症の解消に重要な役割を果たすことができ(Braberら、2011年; Gaggarら、2010年;Hardisonら、2009年;Jacksonら、2011年;Snelgroveら、2010年;Xuら、2011年)、任意にLTA
4H EH活性を阻害すると共にAP活性を増強する作用剤は、特に、異常な又は正常ではない炎症等の炎症に関連する状態又は疾患を予防、阻害、又は治療するのに有用である場合がある。
【0091】
1つの実施形態では、本発明は、COPD又は肺気腫を有するか又は有すると疑われる哺乳動物の炎症に関連する1つ又は複数の症状を予防、阻害、又は治療する方法を提供する。1つの実施形態では、AP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を、又は生体適合性担体及びLTA
4H AP活性等のAP活性を増強又は増大する化合物を有する組成物を、哺乳動物に投与する。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、肺又は鼻道に、例えば吸入により投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、静脈内投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、経口投与される。1つの実施形態では、投与される量は、LTA
4Hに関連する炎症を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、肺に対する炎症性細胞浸潤を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、肺の浮腫を減少又は除去するのに有効である。
【0092】
1つの実施形態では、本発明は、冠動脈疾患を有するか又は有すると疑われる哺乳動物の炎症に関連する1つ又は複数の症状を予防、阻害、又は治療する方法を提供する。1つの実施形態では、AP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を、又は生体適合性担体及びAP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を有する組成物を、哺乳動物に投与する。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、静脈内投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、経口投与される。1つの実施形態では、投与される量は、LTA
4Hに関連する炎症を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、冠状動脈、例えば、介入手順等により疾患性又は傷害性である冠状動脈への炎症性細胞浸潤を減少又は除去するのに有効である。
【0093】
1つの実施形態では、本発明は、関節リウマチを有するか又は有すると疑われる哺乳動物の炎症に関連する1つ又は複数の症状を予防、阻害、又は治療する方法を提供する。1つの実施形態では、AP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を、又は生体適合性担体及びAP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を有する組成物を、哺乳動物に投与する。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、例えば、注射により静脈内投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、経口投与される。1つの実施形態では、投与される量は、LTA
4Hに関連する炎症を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、関節に対する炎症性細胞浸潤を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、関節の浮腫を減少又は除去するのに有効である。
【0094】
1つの実施形態では、本発明は、哺乳動物の炎症性腸疾患の炎症に関連する1つ又は複数の症状を予防、阻害、又は治療する方法を提供する。1つの実施形態では、AP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を、又は生体適合性担体及びAP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を有する組成物を、哺乳動物に投与する。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、静脈内投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、経口投与される。1つの実施形態では、投与される量は、LTA
4Hに関連する炎症を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、腸組織に対する炎症性細胞浸潤を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、腸組織の浮腫を減少又は除去するのに有効である。
【0095】
1つの実施形態では、本発明は、嚢胞性線維症を有する哺乳動物の炎症に関連する1つ又は複数の症状を予防、阻害、又は治療する方法を提供する。1つの実施形態では、AP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を、又は生体適合性担体及びAP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を有する組成物を、哺乳動物に投与する。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、肺又は鼻道に、例えば吸入により投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、静脈内投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、経口投与される。1つの実施形態では、投与される量は、LTA
4Hに関連する炎症を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、肺組織に対する炎症性細胞浸潤を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、肺組織の浮腫を減少又は除去するのに有効である。
【0096】
1つの実施形態では、本発明は、哺乳動物のARDS(急性呼吸促迫症候群)及びALI(急性肺傷害)の炎症に関連する1つ又は複数の症状を予防、阻害、又は治療する方法を提供する。1つの実施形態では、AP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を、又は生体適合性担体及びAP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を有する組成物を、哺乳動物に投与する。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、肺又は鼻道に、例えば吸入により投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、静脈内投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、経口投与される。1つの実施形態では、投与される量は、LTA
4Hに関連する炎症を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、肺組織に対する炎症性細胞浸潤を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、肺組織の浮腫を減少又は除去するのに有効である。
【0097】
1つの実施形態では、本発明は、哺乳動物の喘息又は風邪の炎症に関連する1つ又は複数の症状を予防、阻害、又は治療する方法を提供する。1つの実施形態では、AP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を、又は生体適合性担体及びAP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を有する組成物を、哺乳動物に投与する。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、肺又は鼻道に、例えば吸入により、例えば鼻腔スプレーを使用して投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、静脈内投与される。1つの実施形態では、化合物又は組成物は、経口投与される。1つの実施形態では、投与される量は、LTA
4Hに関連する炎症を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、肺組織に対する炎症性細胞浸潤を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、肺組織の浮腫を減少又は除去するのに有効である。
【0098】
1つの実施形態では、本発明は、哺乳動物のインフルエンザウイルス感染に関連する1つ又は複数の症状を予防、阻害、又は治療する方法を提供する。1つの実施形態では、AP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を、又は生体適合性担体及びAP活性、例えばLTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物を有する組成物を、経口で又は吸入により哺乳動物に投与する。1つの実施形態では、投与される量は、肺組織に対する炎症性細胞浸潤を減少又は除去するのに有効である。1つの実施形態では、投与される量は、肺組織の浮腫を減少又は除去するのに有効である。
【0099】
本発明は、式(I)〜(IV)の化合物等の、本発明の単離された化合物を更に包含する。表現「単離された化合物」は、本発明の化合物の調製物又は本発明の化合物の混合物を指し、単離された化合物は、化合物の合成において使用された試薬及び/又は形成された副産物から分離されている。「単離された」は、調製物が技術的に純粋(均質)であることを意味しないが、治療に使用することができる形態の化合物としては十分に純粋である。「単離された化合物」は、総重量の少なくとも10重量パーセントの量の本発明の指定の化合物又は化合物の混合物を含有する、本発明の化合物の調製物又は本発明の化合物の混合物を指す場合がある。調製物は、総重量の少なくとも50重量パーセント、総重量の少なくとも80重量パーセント、及び1つの実施形態では、調製物の総重量の少なくとも90パーセント、少なくとも95パーセント、又は少なくとも98重量パーセントの量の指定の化合物又は化合物の混合物を含有しうる。本発明の化合物及び中間体は、それらの反応混合物から単離され、ろ過、液液抽出、固相抽出、蒸留、再結晶化、又はフラッシュカラムクロマトグラフィ若しくはHPLCを含むクロマトグラフィ等の標準的技術により精製されてもよい。
【0100】
1つの実施形態では、式(I)の化合物は、AR
1−Q−AR
2又はその任意の薬学的に許容される塩であり、式中AR
1及びAR
2は、独立して、任意に置換されたアリール又はへテロアリールであり、アリールは、C6〜C10炭素環式芳香族単環系又は二環系であり、へテロアリールは、N、NR
a、O、及びS(O)
qからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5〜9員芳香族単環系又は二環系であり、R
aは、H又は(C1〜C6)アルキルであり、q=0、1、又は2であり;任意のアリール又はへテロアリールが、0〜3Jで置換されており;Jは、OR
b、ハロ、アルキル、アリール、又はへテロアリールであり;Qは、CR
a2であり;R
bは、H又は(C1〜C3)アルキルであり;式(I)の化合物は、任意に巨大分子体との包接錯体の形態にある。
【0101】
上記の式(I)の種々の実施形態では、AR
1及びAR
2は、各々独立して非置換又は置換フェニルであり、AR
1及びAR
2の少なくとも1つは、置換フェニルである。1つの実施形態では、AR
1及びAR
2の少なくとも1つは、アルコキシ、アルキル、ハロ、又はへテロアリールで置換されたフェニルである。1つの実施形態では、AR
1又はAR
2を置換するアルコキシは、メトキシである。1つの実施形態では、AR
1又はAR
2を置換するへテロアリールは、ピロリル又はイミダゾリルである。
【0102】
上記の式(I)の種々の実施形態では、AR
1及びAR
2の少なくとも1つは、非置換又は置換へテロアリール基である。1つの実施形態では、AR
1及びAR
2は両方とも、独立して非置換又は置換へテロアリール基である。1つの実施形態では、各へテロアリール基は、独立してピロリル基、N−メチルピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、又はピリミジニル基である。
【0103】
1つの実施形態では、式(Ia)の化合物は、AR
1−Q−AR
2又はその任意の薬学的に許容される塩であり、式中AR
1及びAR
2は、独立して、任意に置換されたアリール又はへテロアリールであり、アリールは、C6〜C10炭素環式芳香族単環系又は二環系であり、へテロアリールは、N、NR
a、O、及びS(O)
qからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5〜9員芳香族単環系又は二環系であり、R
aは、H又は(C1〜C6)アルキルであり、q=0、1、又は2であり;任意のアリール又はへテロアリールが、0〜3Jで置換されており;Jは、OR
b、ハロ、アルキル、アリール、又はへテロアリールであり;Qは、CR
a2であり;R
bは、H又は(C1〜C6)アルキルであり;式(Ia)の化合物は、任意に巨大分子体との包接錯体の形態にある。
【0104】
上記の式(Ia)の種々の実施形態では、AR
1及びAR
2は、各々独立して非置換又は置換フェニルであり、AR
1及びAR
2の少なくとも1つは、置換フェニルである。1つの実施形態では、AR
1及びAR
2の少なくとも1つは、アルコキシ、アルキル、ハロ、又はへテロアリールで置換されたフェニルである。1つの実施形態では、AR
1又はAR
2を置換するアルコキシは、メトキシである。1つの実施形態では、AR
1又はAR
2を置換するへテロアリールは、ピロリル又はイミダゾリルである。
【0105】
上記の式(Ia)の種々の実施形態では、AR
1及びAR
2の少なくとも1つは、非置換又は置換へテロアリール基である。1つの実施形態では、AR
1及びAR
2は両方とも、独立して非置換又は置換へテロアリール基である。1つの実施形態では、各へテロアリール基は、独立してピロリル基、N−メチルピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、又はピリミジニル基である。
【0106】
1つの実施形態では、本発明は、式(II)の化合物、式(II)の化合物を有する組成物、及び式(II)の化合物を使用する方法を提供する。式(II)の化合物は、
【0108】
であり、
式中、X
1及びX
2は、各々独立して選択されるN、O、S(O)
q、又はCR
3であり、
破線は、X
1及びX
2を含む環が芳香族である場合、各結合が単結合であってもよく又は二重結合であってもよいことを示し、
R
1、R
2、及びR
3は、各々独立して選択されるH、アルキル、ハロゲン、アリール、へテロアリール、又はアルコキシである。
【0109】
1つの実施形態では、本発明は、式(III)の化合物:
【0111】
を提供し、
式中、Yは、CR
a、NH、又はN−CH
3であり、
各々独立して選択されるRは、H、アルキル、アルコキシ、アリール、へテロアリール、又はハロゲンである。
【0112】
1つの実施形態では、本発明は、化学式(IV)の化合物:
【0114】
又はその任意の薬学的に許容される塩を提供し、
式中、Z
1、Z
2、及びZ
3は、各々独立してCR
a又はNであり、
Z
4は、H、アルキル、シクロアルキル、非置換又は置換フェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、又はピリジニルである。
【0115】
本発明の組成物に有用な他の化合物には、これらに限定されないが、以下の文献に開示されているものが含まれる:米国特許出願公開第2005/0043378号;第2005/0043379号;第2005/0085487号;第2007/0004695号;第2008/0234237号;第2009/0111794号;第2009/0258854号;第2010/0292208号、及び第2011/0159563号、並びにPCT/US2010/34597号、国際公開第2009/126806号(米国特許出願公開第2009/040070号);国際公開第2009/058347号(米国特許出願公開第2008/012339号)、又は国際公開第2008/100564号(米国特許出願公開第2008/001949号)。これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
LTA
4H AP活性を変更するのに有用な化合物は、他のアミノペプチダーゼ、例えばアミノペプチダーゼN(CD13)の活性を変更することにも有用である場合がある。
医薬組成物
1つの実施形態では、本発明は、LTA
4H AP活性を増強又は増大する化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本発明の組成物は、化合物を単独で又は別の薬剤と組み合わせて提供することができる。本明細書に示されているように、化合物には、その立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、及び混合物が含まれる。化合物を含有する組成物は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995年に記載されている従来技術により調製することができ、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。組成物は、従来の形態、例えば、カプセル剤、錠剤、エアゾール剤、液剤、懸濁剤、局所塗布剤の形態であってもよい。
【0117】
典型的な組成物は、化合物、及び担体又は希釈剤であってもよい薬学的に許容される賦形剤を含む。例えば、活性化合物は、通常、担体と混合されるか又は担体により希釈されるか、又はアンプル、カプセル、サシェ、紙、又は他の容器の形態であってもよい担体内に封入される。活性化合物が担体と混合される場合、又は担体が希釈剤としての役目を果たす場合、それは、活性化合物の媒体、賦形剤、又は媒介物として作用する固体、半固体、又は液体材料であってもよい。活性化合物は、例えば、サシェに含有されている顆粒固体担体に吸着されていてもよい。好適な担体の幾つかの例は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエトキシ化ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、ゼラチン、ラクトース、白土(terra alba)、スクロース、デキストリン、炭酸マグネシウム、糖、シクロデキストリン、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸、又はセルロース、ケイ酸、脂肪酸、脂肪酸アミン、脂肪酸モノグリセリド、及びジグリセリドの低級アルキルエーテル、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンである。同様に、担体又は希釈剤は、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の当技術分野で公知の任意の徐放性材料を単独で又はワックスと混合して含んでいてもよい。
【0118】
製剤は、活性化合物と有害反応を起こさない助剤と混合することができる。そのような添加剤には、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、及び/又は着色物質 保存剤、甘味剤、又は香味剤が含まれ得る。組成物は、必要に応じて殺菌することもできる。
【0119】
投与経路は、経口、経鼻、肺性、頬側、皮下、皮内、経皮、又は非経口、例えば、直腸、デポー、皮下、静脈内、尿道内、筋肉内、鼻腔内、眼科用液剤又は軟膏等の、適切な又は所望の作用部位に活性化合物を効果的に輸送するあらゆる径路であり得る。
【0120】
固体担体が経口投与に使用される場合、調製物は、錠剤化されていてもよく、粉末又はペレットの形態で硬ゼラチンカプセルに配置されていてもよく、又はトローチ若しくはロゼンジの形態であってもよい。液体担体が使用される場合、調製物は、シロップ、乳剤、軟ゼラチンカプセル、又は水性若しくは非水性液体懸濁液若しくは溶液等の無菌注射用液体の形態であってもよい。
【0121】
注射可能な剤形には、一般的に、水性懸濁液又は油状懸濁液が含まれ、それらは、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して調製することができる。注射可能な形態は、溶媒又は希釈剤を用いて調製される溶液相又は懸濁液の形態であってもよい。許容される溶媒又は媒体には、滅菌水、リンゲル液、又は等張性生理食塩水溶液が含まれる。或いは、無菌油を、溶媒又は懸濁化剤として使用することができる。1つの実施形態では、油又は脂肪酸は不揮発性であり、それらには天然又は合成油、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドが含まれる。
【0122】
また、注射の場合、製剤は、上述のような適切な溶液を用いて再構成するのに好適な粉末であってもよい。これらの例には、これらに限定されないが、凍結乾燥、回転乾燥、又は噴霧乾燥された粉末、非晶質粉末、果粒、沈殿物、又は微粒子が挙げられる。注射の場合、製剤は、任意に、安定剤、pH調整剤、界面活性剤、生物学的利用能調整剤、及びこれらの組み合わせを含有していてもよい。化合物は、ボーラス注入又は持続点滴等による注入により非経口投与するために製剤化することができる。注射用の単位剤形は、アンプル又は多用量(multi-dose)容器中にあってもよい。
【0123】
本発明の製剤は、当技術分野で周知の手順を使用することにより患者に投与した後、活性成分の迅速送達、保持送達、又は遅延送達を提供するように設計することができる。したがって、製剤は、制御放出又は遅延放出用に製剤化することもできる。
【0124】
本発明により企図される組成物は、例えば、ミセル又はリポソーム、又はナノ粒子を含む集団等の幾つかの他の封入形態を含んでいてもよく、又は生分解性ポリマーで形成されている持続放出形態で投与して長期の保存及び/又は送達効果を提供することができる。ナノ粒子は、平均直径が約1nm〜約250nm、平均直径が約1nm〜約200nm、平均直径が約1nm〜約100nm、又は平均直径が約1nm〜約20nmの範囲のサイズである。方法で使用されるナノ粒子のサイズは、それらの特定の使用又は応用の必要に応じて様々である。
【0125】
製剤は、ペレット又は円筒に圧縮されて、デポー注入として筋肉内又は皮下に移植することができる。そのような移植片には、シリコーン及び生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸−ポリグリコリド等の公知の不活性材料を使用することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(酸無水物)が挙げられる。
【0126】
経鼻投与の場合、調製物は、エアゾール用の水性担体等の液体担体に溶解又は懸濁された本発明の化合物を含有することができる。担体は、可溶化剤、例えばプロピレングリコール、界面活性剤、レシチン(ホスファチジルコリン)又はシクロデキストリン等の吸収促進剤、又はパラベン等の保存剤等の添加剤を含有することができる。
【0127】
非経口応用の場合、特に好適なのは、ポリヒドロキシル化ヒマシ油に溶解された活性化合物を有する水溶液等の注射用溶液又は懸濁液である。
タルク及び/又は炭水化物担体又は結合剤等を有する錠剤、糖剤、又はカプセル剤は、経口応用に特に好適である。1つの実施形態では、錠剤、糖剤、又はカプセル剤用の担体には、ラクトース、コーンスターチ、及び/又はジャガイモデンプンが含まれる。シロップ又はエリキシルは、加糖媒体を使用することができる場合に使用することができる。
【0128】
医薬品使用
種々の実施形態では、本発明は、哺乳動物を、有効量又は有効濃度の本発明の化合物又は組成物と接触させることを含む炎症調節法を提供する。
【0129】
より詳しくは、この接触は、ヒト患者のin vivoであってもよい。種々の実施形態では、化合物又は組成物の量又は濃度は、AP活性を選択的に調節するのに有効であり得る。他の実施形態では、ヒト患者の体内における有効量又は有効濃度の本発明の化合物は、炎症を効果的に予防、阻害、又は治療することができる。
【0130】
種々の実施形態では、本発明は、炎症の調節が医学的に必要な患者の状態を治療する方法であって、式(I)〜(IV)のいずれかの化合物又は本発明の組成物を、患者に有益な効果を提供するのに十分な用量、頻度、及び継続期間で患者に投与すること含む方法を提供する。より詳しくは、状態には、喘息、COPD、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、冠動脈疾患、急性呼吸促迫症候群(ARDS)及び急性肺傷害(ALI)、風邪、インフルエンザウイルス感染、及び炎症性関節炎が含まれ得る。
【0131】
本発明の化合物又は組成物は、状態のそのような治療、予防、除去、緩和、又は回復を必要とする哺乳動物、特にヒトに投与することができる。また、そのような哺乳動物には、家畜動物、例えば家庭ペット、農場動物、及び野生生物等の非家畜動物の両方の動物が含まれる。
【0132】
本発明の化合物は、幅広い用量範囲にわたって効果的である。例えば、成人ヒトの治療では、1日当たり約0.05〜約5000mg、約1〜約2000mg、又は約2〜約2000mgの用量を使用することができる。典型的な用量は、1日当たり約10mg〜約1000mgである。患者の投薬計画を選択する際には、より高い用量で始める必要があり、状態が制御できるようになったら、用量を減らす場合が多い。正確な用量は、化合物の活性、投与方法、所望の療法、投与される形態、治療される対象及び治療される対象の体重、並びに担当の医師又は獣医師の好み及び経験に依存することになる。
【0133】
一般的に、本発明の化合物は、1単位用量当たり約0.05mg〜約1000mgの活性成分を薬学的に許容される担体と一緒に含む単位用量に調剤される。
通常、経口投与、経鼻投与、肺性投与、又は経皮投与に好適な剤形には、約125□g〜約1250mg、約250□g〜約500mg、又は約2.5mg〜約250mgの、薬学的に許容される担体又は希釈剤と混合された化合物を含む。
【0134】
剤形は、1日1回、又は1日2回若しくは3回等の1日複数回投与してもよい。或いは、処方する医師が望ましいと判断すれば、剤形は、1日おき又は週1回等の、1日1回よりも少ない頻度で投与してもよい。
【0135】
以下の非限定的な例により本発明を更に説明する。
実施例1
ヒト疾患の病因にLTA
4Hが果たす役割を調査するために、エラスターゼ誘導性肺気腫(実施例1)及びLPS誘導性急性肺傷害(実施例3)のマウスモデルを試験した。マウス肺気腫のエラスターゼ用量依存的重症度を確立するために、漸増用量のブタエラスターゼを、鼻腔内経路で129Jバックグラウンドのマウス肺に浸潤させた。エラスターゼを浸潤させた4週間後、マウス肺を一括回収し、1%低融点アガロースゲル(LMPA:low melting point agarose gel)を用いて、25cmの融解1%LMPA圧力にて膨張させた。その後、肺をホルムアルデヒドで一晩固定した。これら肺は、H&E切片の目視検査及び組織学的検査により、漸増用量の鼻腔内エラスターゼに対応した全肺気量の増加を示した。これにより、鼻腔内エラスターゼ投与が、用量依存的な様式で肺気腫を誘導することができることが確認された。
【0136】
LTB
4及びLTA
4Hを研究するために、エラスターゼ誘導性マウス肺気腫モデルを使用することの妥当性は、これら肺におけるLTB
4産生の上方制御を評価することにより確認された。LTA
4Hは、LTB
4生合成の律速酵素とみなされており、LTB
4産生は、鼻腔内エラスターゼ接触後に上方制御された。予想した通り、エラスターゼの鼻腔内接触は、全肺気管支肺胞洗浄液中のLTB
4の検出可能な量を著しく増加させた。
【0137】
Jiangら(2008年)は、1−メトキシ−4−フェノキシベンゼンが、in vitroでLTA
4H AP活性を上方制御することを示した。この分子を更に特徴付けたところ、本発明者らは、この分子は、pH6.7緩衝液中で化学的に不安定であり、極端に毒性で、マウス前臨床モデルに85%を超える死亡率を引き起こすため、in vivoでの特徴付けには不適当であることを見出した。その後、他のビス−アリールを合成し、下記で考察されているように、LTA
4H AP活性の調節に関して試験した。
【0138】
肺気腫の病因におけるLTA
4H AP活性の生物学的な役割を確立するために、野生型マウスを、鼻腔内径路でブタエラスターゼに接触させ、その後1つのLTA
4H AP活性促進因子(化合物66、MDM)、LTA
4H AP活性阻害剤(化合物67、PDM)、又は媒体(落花生油)で処理した。MDMの合成は、ジメチルホルムアミド溶媒中の4−ベンジルフェノールを水酸化カリウムで処理し、その後ヨウ化メチルで処理することにより達成した(
図1)。化合物PDMの合成は、ジメチルホルムアミド溶媒中の4−ベンジルフェノールを水酸化カリウムで処理し、その後ヨウ化ブチルで処理することにより達成した(
図1)。化合物のペプチダーゼ活性は、Jiang及び同僚ら(2008年)の方法に従って決定した。MDM(赤色)は、LTA
4H AP活性を増大させることが示され、PDM(青)は、LTA
4H AP活性を減少させることが示された(
図2)。Jiangら(2008年)は、1−メトキシ−4−フェノキシベンゼンが、LTA
4H AP活性を上方制御することを示した。しかしながら、この分子を更に特徴付けたところ、下述のように、この分子は、pH6.7緩衝液中で化学的に不安定であり、極端に毒性で、マウス前臨床モデルに85%を超える死亡率を引き起こすため、in vivoでの特徴付けには不適当であることが判明した。
【0139】
エラスターゼ(マウス体重1gm当たり0.75μgのエラスターゼ)を、鼻腔内径路で浸潤させた。4週間後、マウスに麻酔をかけ、挿管し、Sireq社製Flexiventで換気して、死亡前に肺コンプライアンスを測定した。より重症の肺気腫を有する肺は、より多くの弾性を失うことになり、したがって、小型動物換気装置で測定した際に、それらの肺コンプライアンスは、より大きくなるであろうということが理解された(
図3)。肺コンプライアンスを測定した後で、マウスを安楽死させた。外部被覆を損傷させずに、肺を一括回収した。回収したら、1%低融点アガロースゲル(LMPA)を用いて、25cmの融解1%LMPAゲル圧力にて肺を膨張させた。膨張させた後、全肺気量を容積置換技術により測定した(
図4)。より重症の肺気腫を有する肺は、より多くの弾力を失うことになり、したがって、一定の圧力で膨張させると、それらの肺容量はより大きくなるであろうということが理解された。全肺気量を測定した後、肺をパラホルムアルデヒドで一晩固定した。翌日、肺全体を撮影した(
図5)。より重症の肺気腫を有する肺は、より多くの弾性を失うことになり、したがって、パラホルムアルデヒドで固定すると、それら肺はより大きくなるであろうと考えられた。その後、肺をパラフィン包埋し、パラフィン切片をH&E染色した(
図6A)。体型測定は、NIH ImageProソフトウェア及び特別に書かれた一連のマクロを使用することにより実施した(Shimら、2006年;Shimら、2010年;Zhengら、2000年;Zuら、1999年)。各群の少なくとも8匹の動物から肺胞切片を算出及び平均して各群の弦長を得た(
図6B)。より重症の肺気腫を有する肺に由来する肺胞は、より多くの弾性を失った後、より大きくなり、したがって、それらの肺胞の弦長はより長くなるであろうということが理解された。
【0140】
これらの結果を組み合わせると、LTA
4H AP活性の増大が、マウス肺の気腫性破壊を著しく改善する一方で、LTA
4H AP活性の阻害は、マウス肺の気腫性破壊に効果を及ばさなかったことが確認された。
【0141】
実施例2
上記に示されているように、MDM化合物は、抗炎症療法用の優れた化合物であるが、その水溶性により、その幅広い適用可能性が制限される場合がある。幾つかの異なる手法及び例えばα、β(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)又はγシクロデキストリン等のシクロデキストリン(Merkusら、1999年)、リポソーム(例えば、ホスファチジルコリン、ジオレオリルホスファチジルコリン(dioleolylphosphatidylcholine)及び又は界面活性剤様分子の混合物等のリン脂質で形成されるもの、デオキシコール酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベータ−カゼイン−ジオレオイルホスファチジルコリン/ジデカノイルフォスファチジルグリセロール(DOPC/DPPG)を有するリポソーム、及び多糖系ポリマー性ミセル等のポリマー性封入剤、例えば、デキストラン−g−ポリエチレン酸化物セチルエーテル(Dex−g−PEO−C16)又はヒドロキシプロピルセルロース−g−ポリエチレン酸化物セチルエーテル(Francisら、2005年a;Francisら、2005年b)等の作用剤のうち、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(「CDX」)によるMDMの封入化を選択した。CDXとMDMとの比率がより高いと、疎水性MDMが親水性環境から遮蔽される可能性がより高いため、水溶性の増強が促進されやすい可能性が高い。CDXとMDMと比率が低いと、MDMの生物活性が保存されやすい可能性が高い。
【0142】
a.封入方法及び水中での平衡溶解性試験。
5.3mg(1.0当量)のMDMに、160.0mg(4.0当量)のCDXを添加し、その後4.8mLの水を添加した。懸濁液を12時間にわたって撹拌して清澄溶液を得て、それを0.22マイクロメートルのナイロンフィルター(Restek社、カタログ番号26148、ロット番号19783、25mm)でろ過した。溶液の均質性をHPLCで分析した。
【0143】
可溶性測定。装置:島津製作所製LC20ADポンプ(2×)、DGU−2A3脱気装置、SIL−HTAオートサンプラー、SPD−2A UV―Vis検出器、Waters Symmetry社製C18 5μm(4.6×250mm)カラム(シリアル番号02143702313617)。方法:定組成80:20のアセトニトリル−水、1.0mL/分、インジェクション容積=5μL、λ=250nmをモニター。
【0144】
結果。封入化MDMは、96時間にわたって、1,432,521.5±4.4%のピーク面積で6.699分の滞留時間を示し、溶液が均質であったことを示唆した。したがって、化合物は、溶液中にて平衡状態で可溶性であるとみなした。
【0145】
b.封入方法及びPBS中での平衡溶解性試験。
この方法は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Ampresco社、20×濃縮液、pH7.5;500μLのPBS濃縮液を9500μLの水に添加した)を用いて実施した。6.0mg(1.0当量)のMDMに、180.0mg(4.0当量)のCDXを添加し、その後5.8mLの水を添加した。懸濁液を12時間にわたって撹拌して清澄溶液を得て、それを0.22マイクロメートルのナイロンフィルター(Restek社、カタログ番号26148、ロット番号19783、25mm)でろ過した。溶液の均質性をHPLCで分析した。
【0146】
可溶性測定。上記と同じ。
結果。封入化MDMは、48時間にわたって、1,551,513.8±0.9%のピーク面積で6.678分の滞留時間を示し、溶液が均質であったことを示唆した。したがって、化合物は、溶液中にて平衡状態で可溶性であるとみなした。
【0147】
c.封入方法及び低濃度のシクロデキストリンを有するPBS中の平衡溶解性試験。
この方法を上記のように実施した。2.4mg(1.0当量)のMDMに、0.035g(2.0当量)のCDXを添加し、その後2.4mLのPBS溶液を添加した。懸濁液を12時間にわたって撹拌して清澄溶液を得て、それを0.22マイクロメートルのナイロンフィルター(Restek社カタログ番号26148、ロット番号19783、25mm)でろ過した。溶液の均質性をHPLCで分析した。5.04mM。
【0148】
可溶性測定。上記と同じ。
結果。この配合物は、6.745分の滞留時間及び949,269のピーク面積を示した。溶液は5.04mMの濃度を示すと算出された。標準曲線は、2.95mMの濃度を示し、MDM:CDXが1:2の比率であるこの平衡溶液は、均質溶液中に59%のMDMを含むことが示唆された。したがって、2当量のCDXを有する化合物の可溶性は、PBS溶液中で0.59mg/mLであると推定した。
【0149】
したがって、1つの実施形態では、これに基づくと、CDXとMDMとの比率は、およそ2CDX:1MDM〜4CDX:1MDMである。両比率は、水中で均質なCDX封入化MDM(CDX−MDM)をもたらした。in vitroアミノペプチダーゼ活性アッセイを実施して、この組成物がAP活性を維持したことを確認した(
図7)。
【0150】
実施例3
LTA
4H AP活性の増大が、LTA
4Hの調節異常活性により引き起こされることが見出されている他の疾患を治療するのに効果的であり得ることを示すために、CDX−MDMの治療有益性を、肺気腫以外に前臨床マウス疾患モデルで試験した。この目的のために、LPS誘導性急性呼吸促迫症候群/急性肺傷害の前臨床モデルを選択し、LTA
4Hがこれら疾患に果たす重要な生物学的役割に基づき、CDX−MDMを試験した(Hicksら、2010年;Loickら、1994年;Sunら、1990年;Spragueら、1990年;Goldmanら、1986年)。
【0151】
研究は、急性呼吸促迫/急性肺傷害を誘導するために、マウスを鼻腔内LPSに接触させることにより実施した。0μg/マウス〜10μg/マウスの範囲のLPS用量(1マウス当たり0、1、2.5、5、又は10μg/50μL容積)を考慮し、LPS用量5μg/マウスを選択した。マウス肺は、鼻腔内LPS後、ほとんど好中球及び単球からなる著しい白血球浸潤を発症した。以前の報告により、BALF中のLTB
4レベルにより測定したLTA
4H酵素活性が大きく上方制御されたことが示されている。
【0152】
鼻腔内LPS接触により急性肺傷害を誘導した後、CDX−MDMを鼻腔内径路でマウス肺に浸潤させた。CDX−MDMは、リン酸緩衝水(PBS)中で2部のCDXを1部のMDMと混合することにより調製した。動物の1群(n=5〜8)を、鼻腔内LPS接触後にPBS中のCDX−媒体で1日1回治療し、第2の群を、鼻腔内LPS後、鼻腔内CDX−MDMで1日1回治療した。CXD−MDMで治療したマウスの経験した炎症は、全肺BALF中の白血球、単球、及び好中球数の総数、及び組織学的観察により評価したところ、非常に少なかった(
図8及び10)。CDX−MDMの有益効果は、治療を開始した5日後に最も顕著であった(
図8及び10)。肺水腫は、CDX−媒体で治療したマウス肺と比較して、CDX−MDMで治療したマウス肺で著しくより少なかったことも示された(
図9)。これにより、CDX−MDM治療が、炎症細胞及び肺水腫の浸潤を緩和することにより、鼻腔内LPSに由来する急性肺傷害の重症度を緩和することができることが示された。
【0153】
上述の知見に基づくと、ビス−アリールメタン及び関連類似体は、LTA
4H AP活性の生物学的に利用可能な上方制御物質であり得る。したがって、基本骨格アリール−CH2−アリール’を有する化合物は、LTA
4Hアミノペプチダーゼの生物学的に利用可能な促進因子であり得る。例えば、アリールは、特に必ずしもアリール’と同じである必要はなく、アリールは、任意のモノ芳香族環系、ジ芳香族環系、若しくはトリ芳香族環系、置換芳香族環、又は融合芳香族環系、又は芳香族基のバイオアイソスター(bioisostere)を指してもよい。分子の代表的な例を下記に示す:
【0155】
以下、上記の実施形態から把握できる技術的思想を付記する。
(付記1)
炎症を予防、阻害、又は治療する方法であって、
LTA
4H AP活性を増強又は増大させる化合物を有する有効量の組成物を、その必要のある哺乳動物に投与することを含み、前記化合物が、式(I)を有するか又はその薬学的に許容される塩であり、
AR
1−Q−AR
2(I)
式中、AR
1及びAR
2が、独立して、任意に置換されたアリール又はへテロアリールであり、アリールが、C6〜C10炭素環式芳香族単環系又は二環系であり、へテロアリールが、N、NR
a、O、及びS(O)
qからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5〜9員芳香族単環系又は二環系であり、R
aが、H又は(C1〜C6)アルキルであり、q=0、1、又は2であり、
式中、任意のアリール又はへテロアリールが、0〜3Jで置換されており、
Jが、OR
b、ハロ、アルキル、アリール、又はへテロアリールであり、
Qが、CR
a2であり、
R
bが、H又は(C1〜C3)アルキルであり、
式(I)の化合物が、任意に巨大分子体との包接錯体の形態にある方法。
(付記2)
前記哺乳動物がヒトである、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記哺乳動物が、COPD、喘息、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、冠動脈疾患、ARDS、急性肺傷害、風邪、インフルエンザウイルス感染、又は炎症性関節炎を有する、付記1又は2に記載の方法。
(付記4)
前記投与が局所的である、付記1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(付記5)
前記投与が全身性である、付記1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(付記6)
前記投与が静脈内である、付記1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(付記7)
前記投与が注射による、付記1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(付記8)
前記組成物が鼻腔内投与される、付記1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(付記9)
前記組成物が、式(I)の化合物及び薬学的に許容される担体を含む、付記1〜8のいずれか1項に記載の方法。
(付記10)
前記担体がリポソームを含む、付記9に記載の方法。
(付記11)
前記担体がナノ粒子又はマイクロ粒子を含む、付記9に記載の方法。
(付記12)
前記担体が環式オリゴ糖を含む、付記9に記載の方法。
(付記13)
式(I)の前記有効量の組成物が、LTA
4のLTBへの変換を阻害する、付記1〜12のいずれか1項に記載の方法。
(付記14)
前記LTBがLTB
4である、付記13に記載の方法。
(付記15)
式(I)の前記化合物が、多糖を含む巨大分子体との包接錯体の形態にある、付記1〜14のいずれか1項に記載の方法。
(付記16)
前記多糖がシクロデキストリンを含む、付記15に記載の方法。
(付記17)
前記シクロデキストリンが、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである、付記16に記載の方法。
(付記18)
AR
1及びAR
2が、各々独立して非置換又は置換フェニルであり、AR
1及びAR
2の少なくとも1つが置換フェニルである、付記1〜17のいずれか1項に記載の方法。
(付記19)
AR
1及びAR
2の少なくとも1つが、アルコキシ、アルキル、ハロ、又はへテロアリールで置換されたフェニルである、付記18に記載の方法。
(付記20)
AR
1又はAR
2を置換するアルコキシがメトキシである、付記19に記載の方法。
(付記21)
AR
1又はAR
2を置換するヘテロアリールが、ピロリル又はイミダゾリルである、付記19に記載の方法。
(付記22)
AR
1及びAR
2の少なくとも1つが、非置換又は置換へテロアリール基である、付記1〜17のいずれか1項に記載の方法。
(付記23)
AR
1及びAR
2が両方とも、独立して非置換又は置換へテロアリール基である、付記22に記載の方法。
(付記24)
各へテロアリール基が、独立して、非置換又は置換ピロリル、N−メチルピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、又はピリミジニル基である、付記22又は23に記載の方法。
(付記25)
式(I)の化合物が、
(a)式(II)の化合物
【0157】
(式中、X
1及びX
2は、各々独立して選択されるN、O、S(O)
q、又はCR
3であり、
破線は、X
1及びX
2を含む環が芳香族である場合、各結合が単結合であってもよく又は二重結合であってもよいことを示し、
R
1、R
2、及びR
3は、各々独立して選択されるH、アルキル、ハロゲン、アリール、へテロアリール、又はアルコキシである)、又は
(b)式(III)の化合物
【0159】
(式中、Yは、CR
a、NH、又はN−CH
3であり、
各々独立して選択されるRは、H、アルキル、アルコキシ、アリール、へテロアリール、又はハロゲンである)、又は
(c)式(IV)の化合物
【0161】
(式中、Z
1、Z
2、及びZ
3は、各々独立してCR
a又はNであり、
Z
4は、Hであるか、又は非置換若しくは置換アルキル、シクロアルキル、フェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、又はピリジニルである)、
又はそれらの任意の薬学的に許容される塩のいずれかである、付記1〜24のいずれか1項に記載の方法。
(付記26)
式(I)の前記化合物が、
【0163】
である、付記1〜24のいずれか1項に記載の方法。
(付記27)
前記組成物が、シクロデキストリンを更に含む、付記26に記載の方法。
(付記28)
前記シクロデキストリンが、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである、付記27に記載の方法。
(付記29)
式(I)の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(付記30)
前記担体が液体である、付記29に記載の組成物。
(付記31)
前記担体が水性液体である、付記30に記載の組成物。
(付記32)
前記液体が水である、付記31に記載の組成物。
(付記33)
前記液体が生理食塩水である、付記31に記載の組成物。
(付記34)
鼻腔内送達用に製剤化されている、付記29に記載の組成物。
(付記35)
付記1で定義されている式(I)の前記化合物及びシクロデキストリンを含む組成物。
(付記36)
式(I)の前記化合物が、
【0165】
である、付記35に記載の組成物。
(付記37)
前記シクロデキストリンが、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである、付記35又は36に記載の組成物。
(付記38)
式(I)の化合物が、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンとの分子錯体の形態にある、付記37に記載の組成物。
【0166】
参考文献
Asakura et al., J Allergy Clin Immunol, 2004. 114(2): p. 310-5.
Avis et al., Faseb J, 2001. 15(11): p. 2007-9.
Bouchelouche et al., Eur J Gastroenterol Hepatol, 1995. 7(4): p. 349-56.
Braber, S., et al., Lung Cellular and Molecular Physiology, 2011. 300(2): p. L255-65.
Callow, K.A., et al., Clinical allergy, 1988. 18(2): p. 119-29.
Capra et al., Curr Med Chem, 2006. 13(26): p. 3213-26.
Carpagnano et al., Am J Respir Crit Care Med, 2003. 167(8): p. 1109-12.
Chibana et al., J Immunol, 2003. 170(8): p. 4290-5.
Cromwell et al., Adv Prostaglandin Thromboxane Leukot Res, 1982. 9: p. 251-7.
Del Prete et al., Blood, 2007. 109(2): p. 626-31.
Diaz-Gonzalez, F., et al., Ann Rheum Dis, 2007. 66(5): p. 628-32.
Ellis et al., Am J Respir Crit Care Med, 1994. 149(1): p. 118-22.
Espinosa et al., J Allergy Clin Immunol, 2003. 111(5): p. 1032-40.
Francis, M.F., et al., Pharmaceutical research, 2005b. 22(2): p. 209-19.
Francis, M.F., M. Cristea, and F.M. Winnik, Biomacromolecules, 2005a. 6(5): p. 2462-7.
Fretland et al., Inflammation, 1995. 19(2): p. 193-205.
Fretland et al., Inflammation, 1989. 13(5): p. 601-5.
Gaggar, A., et al., The open respiratory medicine journal, 2010. 4: p. 32-8.
Gaudreault et al., Prostaglandins Other Lipid Mediat, 2005. 75(1-4): p. 25-34.
Goldman, D.W., et al., J Immunol, 1986. 137(6): p. 1971-6.
Hardison, M.T., et al., J Immunol, 2009. 182(7): p. 4423-31.
Hawkey, C.J., et al.,Gastroenterology, 1997. 112(3): p. 718-24.
Hicks, A., et al., Prostaglandins & other lipid mediators, 2010. 92(1-4): p. 33-43.
Hubbard et al., J Clin Invest, 1991. 88(3): p. 891-7.
Hullot et al., Arzneimittelforschung, 1997. 47(1): p. 51-8.
Jackson et al., J Pharmacol Exp Ther, 1999. 288(1): p. 286-94.
Jackson, P.L., et al., European journal of pharmacology, 2011.
Jiang et al., Bioorg Med Chem Lett, 2008. 18(24): p. 6549-52.
Kostikas, K., et al., Chest, 2005. 127(5): p. 1553-9.
Lawrence et al., Clin Exp Immunol, 1992. 89(2): p. 321-4.
Lawrence et al., Lancet, 1993. 342(8869): p. 465-9.
Lawrence et al., Clin Exp Immunol, 1994. 98(1): p. 12-6.
Linsel-Nitschke et al., Clin Sci (Lond), 2008. 115(10): p. 309-15.
Lobos et al., Dig Dis Sci, 1987. 32(12): p. 1380-8.
Loick, H.M. and J.L. Theissen, Anasthesiologie, Intensivmedizin, Notfallmedizin, Schmerztherapie: AINS, 1994. 29(1): p. 3-9.
Maycock et al., J Biol Chem, 1982. 257(23): p. 13911-4.
Mehta et al., Circulation, 1989. 79(3): p. 549-56.
Mehta, J.L., et al., Prostaglandins Leukot Med, 1987. 29(2-3): p. 259-67.
Merkus, F.W., et al., Adv Drug Deliv Rev, 1999. 36(1): p. 41-57.
Nielsen et al., Scand J Clin Lab Invest, 1987. 47(6): p. 605-11.
O'Driscoll et al., Clin Exp Immunol, 1984. 55(2): p. 397-404.
Peters-Golden et al., Am J Respir Crit Care Med, 2002. 165(2): p. 229-35.
Pettersson et al., J Leukoc Biol, 2005. 77(6): p. 1018-25.
Profita et al., Am J Physiol Cell Physiol, 2000. 279(4): p. C1249-58.
Profita et al., Allergy, 2005. 60(11): p. 1361-9.
Radeau et al., Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids, 1990.41(2): p.131-8.
Roberts, W.G., et al., Gastroenterology, 1997. 112(3): p. 725-32.
Sayers et al., Clin Exp Allergy, 2003. 33(8): p. 1103-10.
Schmitt-Grohe, S. and S. Zielen, Paediatric drugs, 2005. 7(6): p. 353-63.
Scott et al., Clin Diagn Lab Immunol, 2004. 11(5): p. 936-41.
Senoh et al., Cardiovasc Res, 1993. 27(12): p. 2194-9.
Shim et al., J Immunol, 2006. 177(3): p. 1918-24.
Shim, Y.M., et al., American journal of physiology. Lung cellular and molecular physiology, 2010. 299(6): p. L749-59.
Showell et al.,. J Pharmacol Exp Ther, 1995. 273(1): p. 176-84.
Snelgrove, R.J., et al., Science, 2010. 330(6000): p. 90-4.
Sperling et al., Arthritis Rheum, 1992. 35(4): p. 376-84.
Sprague, R.S., et al., Prostaglandins, 1990. 39(4): p. 439-50.
Sprague, R.S., et al., Critical care clinics, 1989. 5(2): p. 315-29.
Stenson et al., J Biol Chem, 1984. 259(19): p. 11784-9.
Sun, R.Z., et al., Chin Med J (Engl), 1990. 103(7): p. 595-8.
Tanno et al., Am J Chin Med, 1988. 16(3-4): p. 145-54.
Tarlowe et al., J Immunol, 2003. 171(4): p. 2066-73.
Topol et al., Hum Mol Genet, 2006. 15 Spec No 2: p. R117-23.
Turner et al., J Clin Invest, 1996. 97(2): p. 381-7.
Vargaftig et al., Am J Respir Cell Mol Biol, 2003. 28(4): p. 410-9.
Wardlaw et al., J Allergy Clin Immunol, 1989. 84(1): p. 19-26.
Widegren, H., et al., Respiratory medicine, 2011. 105(7): p. 997-1006.
Wilborn et al., J Clin Invest, 1996. 97(8): p. 1827-36.
Xu, X., et al., PLoS One, 2011. 6(1): p. e15781.
Zheng, T., et al., J Clin Invest, 2000. 106(9): p. 1081-93.
Zhu et al., J Immunol, 2002. 168(6): p. 2953-62.
Zhu et al., J Clin Invest, 1999. 103(6): p. 779-88.
Zhu, Z., et al., J Immunol, 2002. 168(6): p. 2953-62.
Zhu, Z., et al.,J Clin Invest, 1999. 103(6): p. 779-88.
出版物、特許、及び特許出願は全て、参照により本明細書に組み込まれる。先述の明細書において、本発明は、そのある好ましい実施形態に関して説明されており、多くの詳細が例示の目的で示されているが、本発明には追加の実施形態の余地があり、本明細書に記載の詳細のあるものは、本発明の基本原理から逸脱せずに、相当程度に変更することができることは、当業者であれば明らかであろう。