(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396392
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】複数の機器に対して設定を行う設定装置及び設定システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/042 20060101AFI20180913BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
G05B19/042
G05B19/418 Z
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-215042(P2016-215042)
(22)【出願日】2016年11月2日
(65)【公開番号】特開2018-73272(P2018-73272A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2017年11月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 遼太郎
【審査官】
影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−073540(JP,A)
【文献】
特開2004−237364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/042
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器に対して、該複数の機器の機能又は動作に関する所定の設定を行う設定装置であって、
前記複数の機器のうちの少なくとも1つが第1の設置エリアから第2の設置エリアに移動したときに、移動した機器の構成に関する構成データ及び前記第2の設置エリアに関するエリアデータを前記移動した機器から取得する取得部と、
予め用意された、前記移動した機器の構成データ及び前記第2の設置エリアのエリアデータの組み合わせに対応する、前記移動した機器の機能又は動作に関する設定情報を、前記移動した機器に送信する送信部と、
を備える、設定装置。
【請求項2】
前記機器の構成はセンサを含み、前記設定情報は、前記センサにより測定された測定データの取得頻度、前記測定データの測定精度、及び、前記設定装置への前記測定データの送信頻度の少なくとも1つに関する設定を含む、請求項1に記載の設定装置。
【請求項3】
前記機器は自走式であり、前記複数の設置エリアの少なくとも1つには、前記機器と作業者の双方が進入し得る協働エリアが予め設定されており、前記設定情報は、前記協働エリアに前記機器が進入したときに作業者が既に協働エリア内に居る場合は、居ない場合よりも前記機器が低速で走行又は動作するような設定を含む、請求項1又は2に記載の設定装置。
【請求項4】
前記機器は自走式であり、かつ作業者を認識する機能を備えており、前記複数の設置エリアの少なくとも1つには、前記機器と作業者の双方が進入し得る協働エリアが予め設定されており、前記設定情報は、前記協働エリアに前記機器が進入したときに作業者が既に協働エリア内に居る場合は、居ない場合と比較して、作業者を認識する速度、作業者を認識する精度、及び、作業者を認識する距離の少なくとも1つが異なっている設定を含む、請求項1又は2に記載の設定装置。
【請求項5】
複数の機器に対して、該複数の機器の機能又は動作に関する所定の設定を行う設定装置であって、
前記複数の機器のうちの少なくとも1つが第1の設置エリアから第2の設置エリアに移動したときに、前記第2の設置エリアに関するエリアデータを前記移動した機器から取得する取得部と、
予め用意された、前記第2の設置エリアで操作可能な機器の構成データ及び前記第2の設置エリアのエリアデータの組み合わせに対応する、前記移動した機器の機能又は動作に関する設定情報を、前記移動した機器に送信する送信部と、
を備える、設定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の設定装置と、
前記設定情報を、前記複数の機器のそれぞれの構成に関する構成データ、前記複数の機器が設置され得る複数の設置エリアに関するエリアデータ、及び、前記構成データと前記エリアデータとの複数の組み合わせのそれぞれに関連付けられた情報として記憶する記憶装置と、
を備える、設定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットや工作機械等の複数の機器に対して所定の設定を行う設定装置、及び該設定装置を含む設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットや工作機械等の機器を複数台含むシステムでは、該システムで生産される製品の種類変更等に応じ、該システムに含まれる機器の一部を交換したり、いくつかの機器を移設したりして、システム構成を変更することがある。これに関連する周知技術として、例えば特許文献1には、組み換え可能な1つ以上のユニットを各々が含み、ユニットの組み換えにより複数種のユニット構成が得られる複数の機器を管理する機器管理装置が開示されている。また特許文献1には、ユニット構成の組み合わせに応じて機器ごとに適切な設定情報を設定することができる、と記載されている。
【0003】
特許文献2には、インターネットを介してデータのやり取りをしたり、共有したりすることが可能な情報処理システムを監視する装置及び方法が開示されている。また特許文献2には、大規模な情報処理システムにはハードウェア構成及びソフトウェア構成が同じものや類似する被監視装置が存在し、構成が同一あるいは類似する被監視装置では同一の監視設定情報が使える場合が多いことに着目し、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の条件を記述した流用条件を設定しておき、この流用条件と各被監視装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成を示す監視データとに基づいて、被監視装置に設定された監視設定情報が別の被監視装置の監視設定情報として流用できるかどうかを機械的に判定し、その結果をシステム管理者に提示する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/030968号
【特許文献2】特許第5018774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献では、システムを構成する機器のハードウェアやソフトウェアの構成に関するデータを利用して、ある機器と構成が同一又は類似の他の機器に対して、設定の流用が可能かを判定することができると解される。しかし、ハードウェアやソフトウェアの構成が互いに同一の機器であっても、設置場所が異なる場合はそれぞれに異なる設定が望まれる場合もあり、従来技術ではそのような場合に対応することができない。
【0006】
例えば、人手による作業を代行可能なロボットは、生産調整等で頻繁に配置換え(移設)が行われる。このようなロボットは、様々な作業を行えるように汎用性の高い構成を具備する必要になり、その結果、同一の構成を有するロボットが複数台用意されることになる。しかし、同一の構成のロボットには同一の設定を流用するというやり方では、個々の作業に応じた適切な設定をすることができない。
【0007】
そこで本発明は、機器の構成以外の情報も取得することで、該機器に対して適切な設定を行うことができる設定装置及び設定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願第1の発明は、複数の機器に対して、該複数の機器の機能又は動作に関する所定の設定を行う設定装置であって、前記複数の機器のうちの少なくとも1つが第1の設置エリアから第2の設置エリアに移動したときに、移動した機器の構成に関する構成データ及び前記第2の設置エリアに関するエリアデータを前記移動した機器から取得する取得部と、予め用意された、前記移動した機器の構成データ及び前記第2の設置エリアのエリアデータの組み合わせに対応する、前記移動した機器の機能又は動作に関する設定情報を、前記移動した機器に送信する送信部と、を備える、設定装置を提供する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記機器の構成はセンサを含み、前記設定情報は、前記センサにより測定された測定データの取得頻度、前記測定データの測定精度、及び、前記設定装置への前記測定データの送信頻度の少なくとも1つに関する設定を含む、設定装置を提供する。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記機器は自走式であり、前記複数の設置エリアの少なくとも1つには、前記機器と作業者の双方が進入し得る協働エリアが予め設定されており、前記設定情報は、前記協働エリアに前記機器が進入したときに作業者が既に協働エリア内に居る場合は、居ない場合よりも前記機器が低速で走行又は動作するような設定を含む、設定装置を提供する。
【0011】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、前記機器は自走式であり、かつ作業者を認識する機能を備えており、前記複数の設置エリアの少なくとも1つには、前記機器と作業者の双方が進入し得る協働エリアが予め設定されており、前記設定情報は、前記協働エリアに前記機器が進入したときに作業者が既に協働エリア内に居る場合は、居ない場合と比較して、作業者を認識する速度、作業者を認識する精度、及び、作業者を認識する距離の少なくとも1つ
が異なっている設定を含む、設定装置を提供する。
【0012】
第5の発明は、複数の機器に対して、該複数の機器の機能又は動作に関する所定の設定を行う設定装置であって、前記複数の機器のうちの少なくとも1つが第1の設置エリアから第2の設置エリアに移動したときに、前記第2の設置エリアに関するエリアデータを前記移動した機器から取得する取得部と、予め用意された、前記第2の設置エリアで操作可能な機器の構成データ及び前記第2の設置エリアのエリアデータの組み合わせに対応する、前記移動した機器の機能又は動作に関する設定情報を、前記移動した機器に送信する送信部と、を備える、設定装置を提供する。
【0013】
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つに係る設定装置と、前記設定情報を、前記複数の機器のそれぞれの構成に関する構成データ、前記複数の機器が設置され得る複数の設置エリアに関するエリアデータ、及び、前記構成データと前記エリアデータとの複数の組み合わせのそれぞれに関連付けられた情報として記憶する記憶装置と、を備える、設定システムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、機器のハードウェア情報やソフトウェア情報の他、該機器の設置(稼働)エリアや設置個所の情報を取得することにより、同一の構成であっても設置エリアが異なる機器に対しては異なる設定情報を送信することができ、より適切な設定の流用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の好適な実施形態に係る設定装置を含む設定システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る設定装置と、該設定装置と後述する記憶装置とを含む設定システムの一構成例を概略的に示す図である。設定システム10は、パーティション12等で画定された複数(図示例では2つ)の設置エリアと、各々が複数の設置エリアのいずれかに配置された少なくとも1つ(図示例では3つの)機器(図示例ではロボット)14a、14b及び14cと、各機器に対してその機器の機能又は動作に関する所定の設定を行う設定装置(サーバ)16とを有する。
【0017】
なお本実施形態における複数の又は異なる設置エリアとは、パーティション12のような物理的な壁、フェンス、シャッタ等で仕切られた領域の他、単純なテープや白線等で視覚的に、或いは仮想的に画定された領域も含むものとする。従って外観上は仕切り等のない1つの領域であっても、所定の条件に基づいてサーバ16等の演算処理によって仮想的に分割された領域は、異なる設置エリアとして扱われる。
【0018】
機器14a、14b及び14cは、例えば多関節ロボット、工作機械、又は生産機械であり、これらの機器の少なくとも1つは、複数の設置エリア間を移動可能又は移設可能に構成されている。またこれらの機器は、互いに異なる少なくとも2種類の構成を有し、
図1の例では、第1の構成(構成A)を有する第1のロボット14a、及び第2の構成(構成B)を有する第2のロボット14bが第1の設置エリア(エリアM)に配置され、第2の構成(構成B)を有する第3のロボット14cが第2の設置エリア(エリアN)に配置されているものとする。
【0019】
上述の構成A及び構成Bには、各機器のハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方に関するものが含まれ、ハードウェア構成の具体例としては、機器に設けられた温度センサ、粉塵センサ、湿度センサ又はミストセンサや、これらのセンサの組み合わせが含まれ得る。またソフトウェア構成の具体例としては、上述のセンサの制御のためのプログラム等が含まれ得る。
【0020】
なお本実施形態において構成が「同じ」又は「同一」とは、構成A又はB等に含まれるハードウェア及びソフトウェア構成が同一であることを意味し、必ずしもロボット等の機器を構成する全ての要素が同一であることは意味しない。換言すれば、後述する設定情報に関連する全ての要素(上述のセンサ等)が複数の機器間で同一であれば、それらの機器の構成は同一として扱うものとする。
【0021】
設定装置16は、複数の機器のうちの少なくとも1つ(図示例ではロボット14a)が第1の設置エリアMから第2の設置エリアNに移動したときに、移動した機器(ロボット14a)の構成データ及び移動先である第2の設置エリアNのエリアデータを取得する取得部18と、予め用意された(本実施例では後述する記憶装置22に記憶された)、移動した機器(ロボット14a)の構成データ及び第2の設置エリアNのエリアデータの組み合わせに対応する設定情報を、移動した機器(ロボット14a)に送信する送信部20とを備える。
【0022】
設定情報は、複数の機器のそれぞれの構成に関する構成データ、複数の機器が設置され得る複数の設置エリアに関するエリアデータ、及び、構成データとエリアデータとの複数の組み合わせのそれぞれに関連付けられた情報として、データベース等の記憶装置22に記憶されている。
【0023】
設定装置16は例えばパーソナルコンピュータであり、上述の取得部18及び送信部20は、該パーソナルコンピュータが有するプロセッサや通信モジュール等によって実現可能である。また、設定装置16は機器14の制御装置と同一でもよい。なお
図1の例では、記憶装置22は設定装置16とは別の装置として記載されているが、ハードディスクやメモリ等の形態でパーソナルコンピュータに具備させることも可能である。
【0024】
また
図1に示すように、設定システム10に含まれる各機器(ロボット)、設定装置16及び記憶装置22は、イントラネット等のネットワーク24によって互いに通信可能に接続されてもよいし、無線で通信可能となっていてもよい。各機器間でのデータ又は情報の送受信は、ネットワーク24や無線通信によって行うことができるが、他の手段を用いてもよい。
【0025】
次に、
図1に示すシステムにおける処理の内容について説明する。ここでは、第1のエリアMに設定されているロボット14aが、第2のエリアNに移設された場合を考えるが、ロボット14aの代わりに又はこれに加え新規のロボットが第2のエリアNに設置された場合も同様に扱うことができる。
【0026】
先ず、設定装置16は、第2の設置エリアNに移動したロボット14aの構成データ及び移設先である第2の設置エリアNのエリアデータを、ロボット14aから取得する。ここで構成データには、機器のハードウェア及びソフトウェアの一方又は双方の構成に関する情報が含まれ、エリアデータには、工場等における当該エリアの位置や大きさ、さらに当該エリアにおける対象機器(ここではロボット14a)の設置位置等が含まれ得る。
【0027】
次に、設定装置16は、ロボット14aの構成データ及び第2の設置エリアNのエリアデータの組み合わせに対応する設定情報を、記憶装置22から検索・取得する。
図1の例では、2種類の構成(A、B)と2種類の設置エリア(M、N)との(すなわち計4つの)組み合わせのそれぞれに関連付けられた設定情報I−IVが記憶装置22に予め記憶されており、ここでは設定装置16は、構成Aと設置エリアNとの組み合わせに関連付けられた設定IIを記憶装置22から読み出す。なお設定情報の具体例としては、各機器に設けたセンサにより測定されたデータ(測定データ)の取得頻度、測定データの測定精度、及び、取得した測定データの設定装置(サーバ)16への送信頻度の少なくとも1つに関する設定が挙げられる。
【0028】
次に設定装置16は、記憶装置22から読み出した設定情報(ここでは設定II)をロボット14aに送信・適用する。ロボット14a(の制御装置)は、設定装置16から受信した設定情報に基づく運転・操作を行う。例えば、ロボット14aの構成に温度センサ又は粉塵センサが含まれる場合、当該設定情報には、環境条件が厳しい設置エリアでは高頻度に温度データ又は粉塵データをサーバに送信することが含まれ、この温度データ又は粉塵データ情報を設置エリアの空調機器の調整等に活用することができる。ここで、データ取得を高頻度に行う場合は、データ精度を下げたり取得したデータの送信頻度を下げたりして、設定装置やロボット(の制御装置)のメモリの節約を図ることもできる。また、ロボット14aが複数のセンサからなるユニットを装備している場合、当該設定情報には、設置エリアや設置エリア内での設置位置によって、使うセンサを変更することを含むことができる。
【0029】
本実施形態におけるロボットは、自走式であってもなくてもよいが、自走式でない場合は、人力で又は台車等を用いて、比較的簡単に移動できる構造であることが好ましい。このようなロボットは例えば、急な増産が必要となったが人手が足りない場合の補完として使用することができ、より具体的には、昼間は作業者が必要な製造工程の補完として当該ロボットを使用し、夜間は当該ロボット単独で行える単純作業を行う、等の稼働形態に使用することが可能である。
【0030】
また設置エリアデータの送受信に関し、ロボット等の各機器は、自らの設置場所を検出して設定装置に発信する位置センサ等を備えることができる。或いは、各設置エリアにおいてロボットが稼働する場所に、ロボットの設置位置を検出する手段を設けてもよい。例えば、場所情報を記憶しているRFIDタグを設置したり、電源ケーブルに場所情報が記憶させたり、サーバとの間にあるネットワーク機器に物理的な場所も記憶させたりすることができる。或いは、作業者がマップ等から設置エリアデータを選択できるようにしてもよい。
【0031】
設定装置16がロボット14a等の機器から取得するエリアデータは、単に設置エリアの名称(本実施例の場合はM又はN)のみを含むものでもよいが、設置エリア内での具体的なロボットの設置個所を含んでもよく、この場合、当該設置個所に固有の設定情報を記憶装置22内に予め用意しておくこともできる。例えば、機器の作業場所が工場内の複数の特定箇所に限定されており、該特定箇所の各々で使用されるロボットの構成も1種類に限定されている場合は、記憶装置22は、エリアデータとしての特定箇所のデータと、該特定箇所で運転・操作可能なロボットの構成データとを組み合わせた設定情報を記憶しておくことができる。このようにすれば、設定装置16は移動したロボット14aの移動先(特定箇所)に関するエリアデータのみを取得すれば、構成データを取得せずとも、移動先に対応した設定情報をロボット14aに送信することができる。
【0032】
その場合、設定装置16は、移設されたロボット14aに送信した設定情報とロボット14aの実際のハードウェアやソフトウェアとを比較して、過不足があれば、不足なものや余分なものを適当なディスプレイに表示することができる。従って、設定装置(サーバ)において、特定個所と該特定個所での作業に必要なハードウェア構成やソフトウェア構成の関係と、余剰のロボットのハードウェア構成及びソフトウェア構成が管理できていれば、どのロボットをその特定箇所に設置できるかを予め知ることも可能であり、工場全体の効率化に寄与する。但しこの場合、余剰のロボットとその構成は予めネットワーク等に登録しておき、オフライン等で変更された場合は逐次更新することが好ましい。
【0033】
他の応用例として、ロボット等の機器が自走式である(すなわち移動するための機構や動力を備え、所定の命令等に基づいて自ら移動できる機器である)場合の用途としては、製品の棚卸、棚入れ、移送等を自動で行う作業が挙げられる。このような場合、自走式ロボット(の制御装置)は、工場等の設置エリア全体の地図情報と、自らの現在位置に関する情報とを認識することができる。
【0034】
複数の設置エリアの少なくとも1つには、ロボット等の機器と作業者の双方が進入し得る協働エリアが予め設定されている場合があり、この場合自走式ロボットは、該協働エリア内に進入・動作することがある。このような場合、サーバ16は、協働エリア内に作業者が居るか否かをカメラや人感センサ等を用いて認識し、自走式ロボットに対して送信する設定情報として、上述のセンサに関する設定に加え或いはこれの代わりに、協働に関する設定内容を送信することができる。具体的にはサーバ16は、協働エリアに自走式ロボットが進入したときに、作業者が既に協働エリア内に居る場合は、居ない場合よりも低速で走行又は動作するような(より具体的には、ロボットアームの各軸、アーム先端、ツール先端の速度が遅くになるような)設定情報を送信し、自走式ロボットの速度に関する設定を変更することができる。また、カメラや人感センサ等を備え作業者を認識する機能を持った機器の場合、作業者が既に協働エリア内に居る場合は、居ない場合と比較して、作業者を認識する速度、作業者を認識する精度、及び、作業者を認識する(認識可能な)距離(範囲)の少なくとも1つに関する設定を変更する(通常は高める)ような設定情報を送信することができる。
【0035】
また設置エリアの区分けとしては、上述のように物理的なシャッタやフェンスで画定する場合に加え、仕切りのない広い倉庫のような場所に仮想的な境界を設ける場合があるが、自走式ロボットを使用する場合は、作業者が進入し得るエリア(協働エリア)に隣接するエリアを仮想的に設け、安全のため、協働エリアに隣接するエリアに自走式ロボットが進入するときに該ロボットの動作を低速にする旨を設定情報に付加することもできる。但しこの場合も、作業者の存在や位置を検出するための人感センサ等を適所に設けることが望ましい。
【0036】
上述のように本実施形態では、設定装置は、ロボット等の機器が設置されている設置エリアのエリアデータに対応した設定情報を取得して該機器に送信するので、設置エリアが異なる設定情報がロボットに送信される可能性を排除することができる。従って各機器は設置エリアに応じて異なる処理や動作を行うことができるので、同一構成の機器を複数台含む工場等において生産効率の向上や生産管理の容易化を図ることができる。
【符号の説明】
【0037】
10 設定システム
12 パーティション
14a、14b、14c 機器
16 設定装置
18 取得部
20 送信部
22 記憶装置
24 ネットワーク