(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定ループと前記第1の複数のリテーナとの間の前記縫合材本体の前記周辺部の少なくとも一部に表面特徴を更に含み、前記表面特徴が、前記表面特徴を超えて前記固定ループが摺動することに抗する、請求項1に記載の縫合材。
前記縫合材本体が横断長(tl)を有する断面を有し、前記固定ループが内側横断長(TL)を有し、TL:tlの比が約1:1〜約10:1である、請求項1に記載の縫合材。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
本明細書で用いられ得る特定の用語の定義は、次のものを含む。
【0031】
「アーム付き縫合材」は、縫合材展開端部において縫合針を有する縫合材を指す。
【0032】
「編み縫合糸」は、マルチフィラメント状縫合糸スレッドを含む縫合糸を指す。そのような縫合糸スレッドのフィラメントは、典型的に、一緒に編まれ、縒られ、又は織られている。
【0033】
「分解性(「生分解性」又は「生体吸収性」とも呼ばれる)縫合材」は、組織に導入された後、分解され、体に吸収される縫合材を指す。典型的に、分解プロセスは少なくとも部分的に生体系によって媒介され、又は生体系内で遂行される。「分解」は、ポリマー鎖が開裂されてブルマー(bloomer)及びモノマーになる鎖切断プロセスを指す。鎖の分断は、例えば、化学反応(例えば、加水分解、酸化/還元、酵素機構、又はこれらの組み合わせ)、あるいは熱又は光分解プロセスを含めて、様々なメカニズムを通じて生じ得る。ポリマー分解は、例えば、腐食及び分解の間にポリマーの分子量の変化を監視するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて特徴付けられ得る。分解性縫合糸材料には、ポリグリコール酸等のポリマー、グリコリドとラクチドのコポリマー、トリメチレンカルボナート及びグリコリドとジエチレングリコールのコポリマー(例えば、MAXON(商標),Tyco Healthcare Group)、グリコリド、トリメチレンカルボナート、及びジオキサンで構成されるターポリマー(例えば、BIOSYN(商標)[グリコリド(60%)、トリメチレンカルボナート(26%)、及びジオキサン(14%)],Tyco Healthcare Group)、グリコリド、カプロラクトン、トリメチレンカルボナート、及びラクチドのコポリマー(例えば、CAPROSYN(商標),Tyco Healthcare Group)を含んでもよい。これらの縫合材は、編み組まれたマルチフィラメントの形態をなしても、モノフィラメントの形態をなしてもよい。本発明で使用されるポリマーは、線状ポリマーであっても、分岐ポリマーであっても、多軸ポリマー(multi-axial polymers)であってもよい。構造内で使用される多軸ポリマーの例が、米国特許出願公開第20020161168号、同第20040024169号、及び同第20040116620号に記載されている。分解性縫合糸材料製の縫合糸は、該材料が分解するにつれて引張り強度を失う。
【0034】
「医療用装置」又は「インプラント」は、生理学的機能を回復させる目的で体内に設置される任意の物体を指し、疾患に関連した症状を軽減/緩和し、かつ/又は損傷を受けたか、若しくは罹患した臓器及び組織を修復及び/若しくは交換する。通常、外来性の、生物学的に適合する合成材料(例えば、医療等級のステンレス鋼、チタン、並びに他の金属、ポリマー、例えば、ポリウレタン、シリコーン、PLA、PLGA及び他の材料)から構成されるが、幾つかの医療用装置及びインプラントは、動物性材料(例えば、「異種移植」、例えば動物の臓器全体、心臓弁などの動物組織、天然由来又は化学的に変性された分子、例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、タンパク質、炭水化物など)、ヒトドナー(例えば、「同種移植」、例えば、臓器全体、移植骨片などの組織、移植皮膚片など)から、又は患者自身(例えば、「自家移植」、例えば、伏在静脈移植片、皮膚移植片、腱/靭帯/筋肉移植片)からの材料を含む。本発明と共に処置で使用できる医療用装置としては、整形外科用インプラント(人工関節、靱帯、及び腱;スクリュー、プレート、及び他の移植可能ハードウェア)、歯科インプラント、血管内インプラント(動脈及び静脈血管バイパス移植片、血液透析接続移植片;自家性と合成の両方)、皮膚移植片(自家性、合成)、チューブ、ドレイン、移植可能組織充填剤、ポンプ、シャント、シーラント、外科手術メッシュ(例えば、ヘルニア修復メッシュ、組織スキャフォールド)、フィステル処置、脊髄インプラント(例えば、人工椎間板、脊椎固定デバイスなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
「モノフィラメント縫合糸」は、モノフィラメント状縫合糸スレッドを含む縫合糸を指す。
【0036】
「針取付け」は、組織中への展開と同様に必要とされる縫合糸に針を取り付けることを指し、例えば、圧着する、すえ込み加工する(swaging)、接着剤を使用する等の方法を含み得る。針への縫合糸の取付け点は、すえ込み(swage)として知られる。
【0037】
「針径」は、縫合糸展開針の、当該針の最も広い点での直径を指す。「直径」という用語は多くの場合、円形の周囲に関連付けられるが、任意の形状の周囲に関連付けられる断面寸法を示すことを本明細書では理解されたい。寸法は、当該形状の周辺部の2点間の最長寸法、すなわち、互いに最遠である周辺部の2点間の距離である。
【0038】
「非分解性(「非吸収性」とも呼ばれる)縫合材」は、化学反応プロセス(例えば、加水分解、酸化/還元、酵素機構、又はこれらの組み合わせ)などの鎖の分断によって、あるいは熱又は光分解プロセスによって分解されない材料を含む縫合材を指す。非分解性縫合糸としては、ポリアミド(ナイロン6及びナイロン6.6などのナイロンとしても既知)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン)、ポリブテステルなどのポリエーテル−エステル(ブチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンエーテルグリコールのブロックコポリマー)、ポリウレタン、金属合金、金属(例えば、ステンレス鋼ワイヤ)、ポリプロピレン、ポリエチレン、絹及び綿を含み得る。非分解性縫合材料で作製される縫合材は、縫合材が永久に残存するよう意図されるか、又は身体から物理的に除去されるよう意図される用途に特に好適である。
【0039】
「リテーナ構成」は組織リテーナの構成を指し、寸法、形状、表面特性などの特性を含むことができる。これらは、「バーブ構成」とも称される。
【0040】
「自己保持縫合材」は、外科的処置中に展開されたその位置を維持するために、少なくとも一方の端部に結び目又はアンカーを必要としない縫合材を指す。これらはモノフィラメント縫合材又は編み縫合材であってよく、2段階(すなわち、展開及び取り付け)で組織内に位置付けられ、少なくとも1つの組織リテーナを含む。
【0041】
「自己保持システム」は、自己保持縫合材及び縫合材を組織中に展開するための手段を指す。このような展開手段としては、縫合針及び他の展開装置、並びに縫合材自体にある、組織に貫入するのに十分堅くかつ鋭い端部が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「縫合材展開端部」は、組織中に展開される縫合材の端部を指す。縫合針などの展開手段は、縫合材展開端部に配置されてよい、又は縫合糸は、単独で組織を貫入するのに十分鋭くかつ固い構造に形成されてよく、この鋭くかつ固い構造は、縫合材の縫合材展開端部に配置される。
【0043】
「縫合材径」は、断面で見た際の縫合材の本体の直径を指す。「直径」という用語は多くの場合、円形周辺部に関連付けられるが、本明細書では任意の形状の周辺部に関連付けられる断面寸法(又は距離、又は長さ)を示すことを理解されたい。非円形の場合、直径は、断面の周辺部の任意の2点間の最長距離であり、「断面距離」と呼ばれることもある。縫合材本体、つまり糸の断面形状は、バーブが存在しないか、縫合材本体の表面とぴったり重なるように、存在するバーブが縫合材本体に押し付けられているか、のいずれかの縫合材に沿った位置で見られる。ある実施形態において、縫合材本体、つまり糸は、概して円形の断面形状を有する。縫合材本体は、円形又は概ね円形の断面形状を有してよいが、断面形状は、非円形であってよい(例えば、三角形、四角形、五角形、又は六角形などの多角形であってよい)。縫合材本体の断面は、卵形、楕円形、長円形、又は半円形の外見を有してよい。縫合糸の寸法は、直径に基づく。縫合糸サイズの米国薬局方(「USP」)記号表示は、より大きい範囲では0〜7の値をとり、より小さい範囲では1−0〜11−0の値をとり;より小さい範囲では、ハイフンで結んだゼロに先行する値が高いほど、縫合糸径が小さい。USP命名法においては、縫合材の実直径は、縫合材料によって決まるので、例として、サイズ5−0のコラーゲン製縫合材は、0.15mmの直径を有し、一方、同じUSPサイズ記号表示を有するが、合成吸収性材料又は非吸収性材料製縫合材は、それぞれ、0.1mmの直径を有するであろう。特定の目的に対する縫合材寸法の選択は、縫合される組織の性質、及び外見の不安などの要因に依存するが、細い縫合材は、狭い手術部位を通じてより容易に操作され得ると共に、瘢痕を伴うことも少なく、所与の材料から製造された縫合材の引張り強度は、寸法の減少と共に低下する傾向がある。当然のことながら、本明細書で開示される縫合糸及び縫合糸の製造方法が、7、6、5、4、3、2、1、0、1−0、2−0、3−0、4−0、5−0、6−0、7−0、8−0、9−0、10−0、及び11−0等が挙げられるが、これらに限定されない、様々な直径に適していることを理解されたい。様々な縫合材の長さが本明細書に記載の縫合材で用いられてよいことを理解されたい。
【0044】
「縫合糸針」は、組織中に縫合糸を展開するために使用する針を指し、多くの異なる形状、形態、及び組成で提供される。外傷性針と非外傷性針の2つの主要タイプの針がある。外傷性針は、導管又は穿孔端(drilled end)(即ち、穴又は目)を有し、縫合スレッドとは別に供給され、現場で糸が通される。非外傷性針には目がなく、工場でスエージ加工して、縫合材料を針の平滑端部で導管内に挿入し、次いで、縫合材と針を一緒に保持するための最終形状に変形させることによって、縫合材に取り付けられる。したがって、無孔針は、糸を通すためにその場で余分な時間を必要とせず、針取り付け部位における縫合材端部は針本体よりも小さい。有効針においては、縫合糸が針の孔の両側から出て、これが通過する際に組織をある程度傷つける場合が多い。最新の縫合糸は、非外傷性針によるすえ込み加工である。非外傷性針は縫合材に永久的にスエージ加工されてもよく、あるいは、強く真っ直ぐに引くと縫合材から外れるように設計されてもよい。これらの「ポップオフ(pop-off)」が一般的に使用され、この場合、それぞれの縫合糸を一回だけ通してから結ぶ。非断続的なバーブ付き縫合材では、これらの非外傷性針が理想的であろう。縫合針は、その先端部の形状に従って分類されてよい。例えば、針は、(i)「テーパ状」であり、針本体が丸く先端部まで滑らかにテーパ状であり、(ii)「切削部」であり、針本体が三角形で内部に鋭い切削縁部を有し、(iii)「逆切削部」であり、切削縁部が外側にあり、(iv)「トロカール点」又は「テーパ状切削部」であり、針本体が丸く、テーパ状であるが、小さい三角形の切削点で終わる、(v)三角形の組織を縫うための「鈍い」点であり、(vi)「側部切削」又は「スパチュラ点」であり、針は上部及び下部で平坦であり、前部に沿って一方の側まで切削縁部を有し得る(これらは典型的には目の手術に使用される)。縫合針はまた、幾つかの形状のものでもよく、これには、(i)直線、(ii)半湾曲又はスキー板、(iii)1/4円、(iv)3/8円、(v)1/2円、(vi)5/8円、及び(v)複合曲線が挙げられる。縫合針は、例えば、米国特許第6,322,581号及び同第6,214,030号(Mani,Inc.,Japan)、同第5,464,422号(W.L.Gore,Newark,DE)、同第5,941,899号、同第5,425,746号、同第5,306,288号、及び同第5,156,615号(US Surgical Corp.,Norwalk,CT)、同第5,312,422号(Linvatec Corp.,Largo,FL)、同第7,063,716号(Tyco Healthcare,North Haven,CT)に記載されている。他の縫合針は、例えば、米国特許第6,129,741号、第5,897,572号、第5,676,675号、及び第5,693,072号に記載されている。本明細書で説明する縫合材は、様々な針の種類(限定するものではないが、曲線型、直線型、長尺型、短尺型、微小型などを含む)、針の切断表面(限定するものではないが、切断表面、先細表面などを含む)、及び針の取付け技術(限定するものではないが、穿孔端部、折り曲げなど)を伴って展開され得る。更に、本明細書に記載される縫合糸自体が、展開針の必要性を全くなしで済ますのに十分に堅くかつ鋭い端部を含んでもよい。
【0045】
「縫合糸」は、縫合材のフィラメント状の本体構成要素を指し、針の展開を必要とする縫合材では、縫合針を含まない。縫合糸は、モノフィラメント状、すなわち、単一のフィラメントで形成されているか、マルチフィラメント状、すなわち、2つ以上のフィラメントの組み合わせで形成されるか(例えば、3つのフィラメントが編み込み状で配列されている)であってよい。「フィラメント」及び「フィラメント状」という用語は、細長い構造体を指す通常の意味で使用され、したがって、本明細書において多くの場合、縫合糸は、細長い本体又は細長い縫合材本体とも呼ばれ、これらの用語は同じ意味で用いられる。フィラメント状縫合糸はその直径の数倍である長さを有し、様々な実施形態において、縫合糸は、糸の直径の少なくとも5倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも30倍、又は少なくとも40倍、又は少なくとも50倍の長さを有する。実際には、縫合糸の長さは、糸の直径の少なくとも100倍であってさえもよい。縫合糸は、フィラメント状であることに加えて、極めて可撓性であってよい。換言すれば、糸は、外科医が患者の組織を貫通して縫合糸を移動させる任意の方向に曲がるであろう。糸は、その保管状態をある程度記憶していることがある。例えば、糸が円形に巻かれた状態で長期間保管されていた場合、その保管容器から解放されて、巻きほどかれた後でも、その形に戻る傾向にあってよい。しかし、糸はそれにもかかわらず、糸が取り付けられる針に従って、針が組織又は創傷を貫通するか、その周囲を進む任意の経路に沿って進む。したがって糸は、可撓性、すなわち柔軟性を備えると説明できる。換言すると、任意の2つの隣接する縫合糸のセグメントは、本質的に又は極めて0に近い角度(2つのセグメントが互いの上に折り重なっている)〜180度(2つのセグメントが単一の直線に沿って縦一列に並んでいる)の任意の角度で互いに対して配置され得る。縫合糸は長さを有しており、この長さは、通常、少なくとも12.7cm、又は少なくとも25.4cm、又は少なくとも38.1cm、又は少なくとも50.8cm(5インチ、又は少なくとも10インチ、又は少なくとも15インチ、又は少なくとも20インチ)である。縫合糸は、通常、2つの端部を有し、これらは、展開端部及び/又は後端部として記載され得る。このような場合、縫合糸の展開端部は、最初に組織に貫入する、通常、針に隣接する端部であるが、縫合糸の後端部は、展開端部ではない糸の端部であろう。
【0046】
「組織挙上処置」は、より低い高度からより高い高度に組織を位置付けし直す(即ち、組織を重力の方向と反対の方向に移動する)ための外科的処置を指す。顔の保持靱帯は、顔の軟組織を正常な解剖学的位置で支持する。しかし、加齢に伴って、重力の作用がこの組織及びその下層ある靭帯を下方に牽引させ、表面顔面筋膜と顔面深筋膜との間の平面に脂肪が降下し、それによって顔面組織が垂れ下がる。フェースリフト(face-lift)処置は、これらのたるんだ組織を持ち上げるように設計され、組織挙上処置として知られる、更に一般的分類の医療処置の一例である。より一般的には、組織挙上処置は、経時的な重力の作用、及び遺伝作用などの組織をたるませる他の一時的作用に起因する外観の変化を逆転させる。挙上させずに、組織を位置付けし直すこともできることに留意すべきであり、幾つかの処置において、対称性を回復させるために、組織を外側に(正中線から離して)、内側に(正中線に向けて)、又は下方に(降下させて)位置付けし直す(即ち、体の左右を「調和させる」ように位置付けし直す)。
【0047】
「組織リテーナ」、又は単に「リテーナ」は、縫合材本体から突出するリテーナ本体と、組織に貫入するように適応されるリテーナ端部と、を有する縫合材要素を指し、組織リテーナの例はバーブである。各リテーナは、実質的に展開方向に方向付けられることにより(つまり、展開方向に引かれるときには平らになり、展開方向とは反対方向に引かれるときには開く、つまり「広がる」)、縫合材が医師によって組織中に展開される方向以外の方向に縫合材を移動することに抗するように適応される。各リテーナの組織貫入端部は、展開中に組織を貫通して移動するときは展開方向から見て外方に向いているので、この段階では組織リテーナは組織を捕らえず、又は把持しないはずである。自己保持縫合材が展開されると、別の方向(多くの場合、展開方向と実質的に反対)に及ぼされた力が、リテーナを展開位置から動かし(すなわち、縫合材本体に向かって曲がるか、これに沿って実質的に休止する)、周囲組織を捕らえて貫入するように、縫合材本体からリテーナ端部を開かせ(又は「広げ」)、結果としてリテーナと縫合材本体との間に組織を捕らえることになり、これによって自己保持縫合材を適所に「固定」又は固着する。
【0048】
「一方向性縫合材」は、展開端部と、後端部と、展開端部に向けて方向付けられたリテーナと、を有する縫合材を指す。後端部は、後端部に形成された結び目を有すること、又は縫合材の展開端部が当初挿入された組織の位置の外側に留まる固定要素が設けられることのいずれかによって、展開方向の組織から縫合材が出ることを防止するために使用されてよい(反対に、双方向性縫合材は、一方の端部に一方向に方向付けられたリテーナ、もう一方の端部に他の方向に方向付けられたリテーナを有する)。双方向性縫合糸は、典型的に、縫合スレッドのそれぞれの端部に針を装備している。双方向性縫合材は、2つのリテーナ方向の間に配置された、リテーナを持たない移行セグメントを有してよい。
【0049】
「創傷閉鎖」は、創傷を閉じるための外科的処置を指す。傷害、特に皮膚又は別の外面若しくは内面が、切断され、裂かれ、突き刺され、又はそうでなければ、破壊された場合の傷害が、創傷として知られる。創傷は、一般的に、いずれの組織の完全性が損なわれた場合にも生じる(例えば、皮膚が破壊又は焼灼し、筋肉が裂け、又は骨折する)。創傷は、銃撃、落下、若しくは外科処置などの行為によって、感染病によって、又は基礎疾患によって引き起こされ得る。外科的創傷閉鎖は、組織が裂かれ、切断され、又はそうでなければ、分離されたそれらの創傷の縁を接合するか、又は密接に近づけることによって、治癒という生物学的事象を促進する。外科的創傷閉鎖は、組織層を直接並置するか、又は近接させて、創傷の2つの縁間の間隙を架橋するために必要な新組織形成量を最小限にするのに役立つ。閉鎖は、機能的及び審美的の両目的に役立ち得る。これらの目的には、皮下組織に近づくことによる死腔の排除、慎重な表皮アラインメントによる瘢痕形成の最小化、及び皮膚縁の正確な外返しによる陥没性瘢痕の回避が含まれる。
【0050】
一方向性自己保持縫合材
自己保持縫合材(バーブ付き縫合材を含む)は、展開の後に組織内に定着させ、リテーナが面する方向と反対の方向に縫合材が移動することに抗し、それによって、縫合材展開端部が組織から出る位置に隣接する組織を互いに固着させるために、縫合材の展開端部の周囲に、さもなければ形成しなければならない結び目を排除する(「結び目のない閉鎖」)多数の微細な組織リテーナ(バーブなど)を有するという点で、従来の縫合材とは異なる。結び目の形成を排除することにより、(i)スピッティング(縫合材(通常は結び目)が皮下閉鎖の後に皮膚を貫通する状態)、(ii)感染(多くの場合において、結び目により生じる空間に細菌が付着し、成長する)、(iii)バルク/体積(結び目を含む部分により、かなりの体積の縫合材料が創傷内に残される)、(iv)滑り(結び目がほどけるか、又は緩む場合がある)、及び(v)炎症(結び目は、創傷内において大きな「異物」となる)が挙げられるがこれらに限定されない、関連する合併症が排除される。外科的処置中に形成される結び目によってもたらされる組織内の縫合材ループは、虚血(結び目は、組織を絞扼し、その領域への血流を制限し得る張力点をもたらす)及び外科創傷におけるにおける離開又は破裂のリスク増加をもたらす場合がある。糸結びはまた、労働集約的でもあり、外科創傷の閉鎖に費やす時間の相当な割合を占め得る。追加の手術処置時間は患者にとって悪いばかりでなく(麻酔下で費やされる時間とともに合併症を起こす確率が上昇する)、手術の全体的費用をも増加させる(多くの外科的処置は、手術時間1分当たり$15〜$30の費用がかかると見積もられる)。したがって、結び目のない縫合材は、患者が改善された臨床結果を経験することを可能にするだけではなく、手術の延長及び経過観察処置に伴う時間及び費用を節約する。
【0051】
創傷閉鎖のための自己保持縫合材はまた、創傷縁部の近接性を結果として良好にし、創傷の長さに沿って張力を均等に分配させ(破断するか、あるいは虚血につながる張力領域を縮小する)、創傷内に残る縫合材料の量を減少させ(処置中に形成される結び目を排除することによる)、スピッティング(縫合材料、通常は結び目が皮膚表面を貫通して突出すこと)を低減する。これらの全ての特性が瘢痕を減らし、美容術を改善し、かつ単純な縫合材又はステープルによってもたらされる創傷閉鎖に比べて創傷強度を高めると考えられる。
【0052】
自己保持縫合材はまた、様々な専門的な適用に役立つ。例えば、組織を以前の位置から移動し、新たな解剖学的位置に再配置する(これは、通常、「垂れ下がっている」組織を持ち上げ、より「若々しい」位置に固定するか、「位置から外れた」組織を移動して適切な解剖学的位置に戻す美容的処置で行われる)組織拳上処置に好適である。このような処置には、顔面美容整形、眉美容整形、胸部美容整形、殿部美容整形などが挙げられる。
【0053】
一方向性自己保持縫合材及びそれらの使用法は、上記の様々な公報に記載されてきた。一方向性自己保持縫合材の展開端部に隣接する縫合糸のセグメントには、展開方向と実質的に反対の方向に縫合材がずれるのを防止するための組織リテーナが設けられる一方で、後端部には、展開方向へのずれを防止するために(及び一方向性縫合材の後端部での外科的処置中に結び目の形成を必要とすることの、望ましくない潜在的影響を回避するために)アンカーが設けられてよい。ループ要素を有するアンカーを含む、アンカーを備える様々な一方向性縫合材は、例えば、米国特許出願公開第20050267531号、同20040060410号、同第20080255611号、及び同20100063540号に記載されている。
【0054】
ループアンカーを有する既存の一方向性自己保持縫合材に共通の幾つかの問題は、本発明の実施形態によって対応できる。例えば、上記の幾つかの公報に記載されたものなど固定ループアンカーを特徴とする一方向性縫合材は、幾つかの欠点を有し、第1の欠点は、固定ループの寸法が、通常、極めて小さいことであり(つまり、医師が最初に縫おうとする最初の縫い目の寸法よりもあまり大きくない)、このため、医師は、ループを探し、縫合材の展開端部をくぐらせるのに幾らかの努力を必要とする(したがって、幾らかの貴重な外科的時間を費やす必要がある)。本発明の縫合材には可変ループアンカーが含まれるため、医師は、縫合材の展開端部を容易にくぐらすことができる大きいループが提示される。これは、腹腔鏡手術において特に有用である。次いで、縫合材本体が組織から引き出されて、伸張された後で最初の縫い目が固定ループの最長内側直径よりも大きい場合、このような縫合材が組織から引き出されると、ループの基部(すなわち、ループと縫合材本体とが接合する部分)が組織に引き込まれることがあり、結び目の形成に関連して上述した問題など潜在的な問題が生じる。一方、縫合材本体を組織から引き出して、伸張させた後で最初の縫い目が固定ループの最長内側直径よりも小さい場合、余分なループ材が組織部位に残り、処置中に手術器具が余分な材料に引っ掛かり得るという明らかに望ましくない状態となる。本発明の場合、可変ループアンカーの調節可能な性質により、医師はこれらの困難を回避できる。
【0055】
加えて、固定ループアンカーに関連するループの一体性という物理的問題も存在する。例えば、固定ループの取り付けの問題は、本発明の可変ループ縫合材によって回避される。固定ループ縫合材のループが、その基部において縫合材に接合される別の構造体として、又は縫合材の端部を折り返して縫合材上に取り付けてループ部分を形成した縫合材の端部としてのいずれかで溶接されるか、ないしは別の方法で縫合材本体に取り付けられる場合、ループの基部(縫合材本体に接合される部分)は取り付け領域であり、縫合材が組織に引き込まれる部分でもある。したがって、組織抗力を受け、取り付け領域における破損又は剥離の恐れがある。これは、取り付け領域の長さを増加する、かつ/又は先細部若しくは小溝を設けることにより対応できるが、本発明の縫合材では、近接される組織の表面に位置する可変ループの小穴が組織に貫入する必要がなく、組織抗力を受けないため、完全に回避される。加えて、本発明の縫合材の場合、組織を伸張したときの主負荷は、小穴に代わって可変ループが受ける。その結果、小穴は、最初の縫い目を刺したときに主張力を受けず、溶接長さを短くすることができ、したがって、創傷治癒への局所的な生体材料の影響(炎症及び/又は感染のリスク)を低減する。
【0056】
本発明の一方向性自己保持縫合材では、一方の端部に可変長ループ構成及び他方の端部に展開端部が設けられる。創傷閉鎖は、近接されるべき組織を含む創傷の一方の端部において開始し、展開端部にこの組織の両縁部を貫通させ、ループ部分が組織の第1の縁部に近づくまで針を含む縫合材の端部を組織から引き、針の付いた端部を戻して装置の可変ループ部分をくぐらせることによって行われる。張力は、ループが組織上に位置付けられ、所望の保持力が達成されるまで加えられる。これで、展開端部は、先ほど位置付けられた端部で開始された創傷閉鎖を近接されるべき組織の他の終端に向いた一方向に最も容易に移動させるために医師が決定したパターンで組織を繰り返し貫通する。「J縫合」を使用してこのプロセスを完了させることができ、針は双方向構成で使用される手順と類似の手順で取り外される。
【0057】
ここで
図1A、1B、及び1Cを参照すると、本明細書において縫合糸とも呼ばれる細長い本体102に展開端部101を有する縫合材100が図示されており、この本体(つまり糸)は、断面長(断面における最長横断寸法)を有する。この断面長は
図1Bに図示されており、
図1Bは、「1B」と示される
図1Aの線に沿って切断した
図1Aの縫合材の断面図である。この断面長は
図1Bで「tl」と示されており、
図1Bには、縫合材本体102の断面及び観察者から同一の距離にはない1Bの位置に配置されていることを明確にするために異なる濃度で示されている、それぞれ104と示された3つのリテーナも示されている。縫合材の断面形状は円形に限定されるものではなく、非円形(楕円形、三角形、正方形、他の多角形など)でもあり得ることを理解されたい。
【0058】
引き続き
図1A〜1Cを参照すると、本体102は、展開端部101に向けて方向付けられた複数のリテーナ104と、縫合材本体がくぐり、したがって可変ループ108を形成する小穴112と、を有する。小穴は、本質的に固定ループであるが、組織中においては、縫合材が展開される組織の外側に位置する固定ループである。固定構造の一部として可変ループが存在することにより、アンカーに加えられる全ての力が固定ループだけに加えられないようにする。したがって、力がより広範な構造に分配され、固定ループ(小穴)又はその一部(例えば、本明細書で後述する取り付け領域)が組織に引き込まれないため、これは有用である。1つの利点は、より容易にアンカーにアクセスでき、次いで、縫合糸から切り取ることができるため、治癒の過程で縫合材の存在が不要と見なされたら、縫合糸を極めて容易に除去できることである。可変ループが不在であれば、アンカーは、小穴のみ、又は小穴と小穴をくぐるが、可変ループは形成しない縫合糸の一部との組み合わせのみで構成されるだろう。固定ループのみで形成されるか、固定ループと固定ループをくぐるが、可変ループは形成しない縫合糸との組み合わせから形成されるアンカーは、固定点において組織を圧迫することが観察され、例えば、組織壊死などの望ましくない副作用をもたらす場合がある。固定ループ(小穴)及び可変ループから形成されたアンカー並びに細長い本体(縫合糸)の一部は、組織の圧迫を軽減し、したがって、望ましくない組織壊死の機会を低減する。
【0059】
図1Cに示されるように、展開端部101は、可変ループ108をくぐってよい。可変ループ108をくぐらせた状態で展開端部101を引き続けると、展開端部101の方向から縫合糸102に張力が加えられ、より多くの縫合糸102が引かれるか、可変ループをくぐる。実際には、展開端部101は、可変ループ108をくぐる前に患者の組織を貫通し、したがって、縫合糸102が可変ループ108をくぐると、小穴112は患者の組織の表面に引き寄せられ、最終的には、展開端部101に加えられる張力又は力によってこの組織上にしっかり固定されるであろう。続いて引かれるか、力又は張力を加えられると、可変ループが所望の円周を有すると医師が判定するときなど、そのような時まで、医師が展開端部のたぐり寄せを停止し、したがってアンカーが形成されるまで、可変ループの円周は減少する傾向にあるであろう。その後、医師は、固定された縫合材を使用して患者の組織の縫合に戻るであろう。
【0060】
図1A及び1Cに示されるように、複数のリテーナが沿って設けられる縫合材本体の領域は、小穴の形成に使用される縫合材本体の領域よりも大きくてよい。更に、小穴内で縫合材を把持しやすくするためにある種のリテーナは存在してよいが、小穴には必ずしもリテーナが含まれなくてよい。リテーナは、
図1A及び1Cに示されるように、縫合材の可変ループに不在であってよいか、リテーナは、本明細書に記載の以降の図に示されるように、縫合材のこの部分に存在してよい。
【0061】
図2に示されるように、縫合材200は、縫合材本体202上にリテーナ204を有し、このリテーナは、縫合材本体202から形成される可変ループ208を含む縫合材本体202の長さの大部分に沿って延びて小穴212に接近する。リテーナ204は縫合材200の展開端部201に向けて方向付けられるため、可変ループ208の円周を小さくするために縫合材が展開方向に小穴212から引き出される(又は、小穴212が縫合材本体202の上を通って引かれる)場合、小穴212は縫合糸202及びその上に配置されているリテーナ204の上を容易に通過する。
【0062】
図2及び
図3を比較することにより示されるように、縫合材200及び300の展開端部は、それぞれ先端が尖っていてよい。
図2に示されるように、展開端部201は、縫合材本体202の端部を鋭くかつ固い構造体に変えることにより先端が尖っていてよい。又は、
図3に示されるように、縫合糸302の終端に針303を取り付けることにより、展開端部301は先端が尖っていてよい。
図3は、可変ループ縫合材300の展開端部301における針303を示す。
【0063】
ある実施形態において、本発明は、本明細書に記載のように、展開手段を備えた自己保持縫合材を含む自己保持システムを提供する。自己保持縫合材は、複数の組織リテーナを有する縫合糸と、1つ以上(通常、1つのみが必須)小穴と、を含む。小穴は、円形又は概ね円形に形成されてよく、この形状では、小穴の直径は、小穴の内側の任意の対向する2点(円の反対側の2点)の間の距離のように通常の方法で測定できる。針径は、小穴の直径を考慮して選択されてよい。例えば、針径は、小穴の直径よりも大きくてよく、例えば、針径は、小穴の直径よりも少なくとも5%大きい、又は少なくとも10%大きい、又は少なくとも15%大きい、又は少なくとも20%大きくてよい。この例では、固定ループは、縫合材本体の展開端部が小穴をくぐり、次いで縫合材の展開端部が縫合針に取り付けられると形成される。縫合針は小穴の直径よりも大きい直径を有するため、小穴が伸縮可能な可撓性材料で作製されていなければ、小穴及び/又は針を破損せずに小穴をくぐらせて縫合材の展開端部を引き戻すことはできない。本発明の縫合材本体は、通常、相当程度まで伸縮しない。したがって、ループは固定ループと見なされてよい。別の例において、針径は、小穴の直径とほぼ同一である。換言すれば、針径は小穴の直径の+/−5%であるか、別の実施形態において、小穴の直径の+/−10%である。この場合、針径及び小穴の直径はほぼ同一であり、展開端部を針に取り付けた後に、小穴をくぐらせて縫合材の展開端部を引き戻すことは困難であるか、不可能であろう。別の例において、針径は、針径が小穴の直径の90%未満である、又は80%未満である、又は70%未満である、又は60%未満である、又は小穴の直径の50%未満であるなど、小穴の直径未満であるように選択される。この場合、展開端部は針に取り付けられてよく、次いで、針は小穴をくぐってよい。このオプションは、可変ループ状の縫合材を形成する際に更なる柔軟性をもたらす。
【0064】
針径は、通常、縫合材の直径と少なくとも同一であるように選択され、様々な実施形態においては、針径は、縫合糸の直径の少なくとも110%、又は少なくとも120%、又は少なくとも130%、又は少なくとも140%、又は少なくとも150%である。
【0065】
本発明の自己保持可変ループ縫合材の使用法は、
図4A及び4Bに図示されている。これらの図において、縫合材400は、組織(斜線領域「T」として示される)を貫通した最初の縫い目に引き込まれ、次いで、細長い本体402は可変ループ408をくぐって引かれる。次いで、縫合材400が展開端部401の方向(矢印で示される)に引かれると、縫合材本体402は引き続きループ408をくぐり、可変ループを伸張させ、小穴412をくぐる際にその寸法を減少させる。したがって、縫合材は固定され、引き続き組織を貫通して展開される準備が整う。
【0066】
ある実施形態において、本発明は縫合方法を提供し、この方法は、縫合方法であって、(a)自己保持縫合材の端部に取り付けられた縫合針を含む自己保持システムを準備することであって、自己保持縫合材が、糸径を有する縫合糸と、複数の組織リテーナと、小穴と、を有し、縫合糸に小穴をくぐらせて、元の直径を有する可変ループを形成することと、(b)第1の組織位置において患者の組織に針を挿入することと、(c)第2の組織位置において患者の組織から針を引き抜くことと、(d)針及び縫合糸の少なくとも一部に可変ループをくぐらせることと、(e)第3の組織位置において患者の組織に針を挿入することと、を含む。所望により、次の説明、すなわち、縫合糸が可変ループをくぐるのと同時に可変ループの直径は減少し、所望により、その減少は元の可変ループの直径の50%超である;可変ループの直径は、糸径の10倍未満である可変ループの直径をもたらすように減少する;可変ループの直径は、可変ループが縫合糸の周囲にぴったりフィットするまで減少する;縫合糸は、小穴、可変ループ、及び縫合材本体が共に組織上にアンカーを形成するまで可変ループをくぐり、縫合針の方向に縫合糸を更に移動させようとすると、アンカーに抗される;の1つ以上が、本明細書に記載される縫合方法を提供する説明と組み合わせて使用されてよい。
【0067】
別の実施形態において、本発明は組織の縫合方法を提供し、この方法は、(a)縫合針に取り付けられる縫合糸を準備することであって、縫合糸の一部が調節可能な円周を有するループを形成することと、(b)針にループをくぐらせることと、(c)患者の組織を貫通して針を展開し、縫合糸を使用して組織を近接させることと、を含む。所望により、次の説明、すなわち、ループは、縫合糸と、固定ループ(小穴とも呼ばれる)と、を含み、固定ループは、縫合糸がくぐり、これにより調節可能な円周を有するループを形成する開口部を有する;固定ループ(本明細書において、小穴とも呼ばれる)及び固定ループが形成されるか、縫合糸に取り付けられる任意の手段は、組織が完全に近接された後で、組織の表面に全て存在する;可変ループの円周は、展開端部又は針に可変ループをくぐらせる前に所望の値に調節される;可変ループの円周は、展開端部又は針に可変ループをくぐらせた後に所望の値に調節される;ループの円周は、範囲内の所望の値に調節され、この所望の範囲は、医師の慣習及び縫合される創傷の性質に応じて、1.27〜7.62cm、又は1.27〜5.08cm、又は1.27〜2.54cm(0.5〜3インチ、又は0.5〜2インチ、又は0.5〜1インチ)であってよい;ループの円周は、所望の値、すなわち、快適性及び縫合される創傷にとって適正であるように医師が所望する値に減少する;針は、可変ループをくぐる前に第1の位置において組織に貫入し、次いで第2の位置において組織から出る;縫合糸は組織リテーナを含む;縫合糸は、縫合糸内の切り込みを含み、この切り込みは、組織リテーナを形成する。換言すれば、切り込みは、切り込みの両側の縫合糸材料を分離し、縫合糸の周辺部に近い方の縫合糸材料部分は、切り込みの他の側の縫合糸を引き上げ、そこから離して、これにより組織リテーナである構造体を形成してよい;縫合糸内に形成された切り込みは、1平面、又は切り込みの角度が縫合糸内での切り込み形成プロセス中に変化する(例えば、縫合材への第1の切り込みは比較的深いが、第1の切り込みの後の切り込みは深くない(又はあまり深くない)など)2平面に存在する;切り込みは、バーブを提供するように縫合糸内に形成される;組織リテーナは、調節可能な円周を有するループを形成する縫合糸のこの部分に存在する;組織リテーナは、調節可能な円周を有するループの部分に不在である;の1つ以上が、本明細書に記載される縫合方法を提供する説明と組み合わせて使用されてよい。
【0068】
別の実施形態において、本発明は、患者の組織のある位置においてアンカーを形成することを含む縫合方法を提供し、この方法は、(a)小穴を有する縫合糸を準備することであって、縫合糸が縫合糸の展開端部において縫合針に取り付けられていることと、(b)その位置において組織中に縫合針を展開し、出口点において組織から縫合針を引き抜くことと、(c)針に縫合糸を含むループをくぐらせることであって、ループが可変円周を有することと、(d)縫合糸の展開端部を引くことにより縫合糸に張力を加えることと、(e)これによって組織の上にアンカーを設けることであって、アンカーが、小穴と、ループと、縫合糸の一部と、を含み、アンカーが、縫合糸の展開端部方向への縫合糸の移動に抗することと、を含む。所望により、次の説明、すなわち、ループは、縫合糸と、固定ループ(小穴とも呼ばれる)と、を含み、固定ループは、縫合糸がくぐり、これにより調節可能な円周を有するループを形成する開口部を有する;固定ループ(本明細書において、小穴とも呼ばれる)及び固定ループが形成されるか、縫合糸に取り付けられる任意の手段は、組織が完全に近接された後で、組織の表面に全て存在する;可変ループの円周は、展開端部又は針に可変ループをくぐらせる前に所望の値に調節される;可変ループの円周は、展開端部又は針に可変ループをくぐらせた後に所望の値に調節される;ループの円周は、範囲内の所望の値に調節され、この所望の範囲は、医師の慣習及び縫合される創傷の性質に応じて、1.27〜7.62cm、又は1.27〜5.08cm、又は1.27〜2.54cm、又は少なくとも1.27cm、又は少なくとも2.54cm、又は少なくとも3.18cm(0.5〜3インチ、又は0.5〜2インチ、又は0.5〜1インチ、又は少なくとも0.5インチ、又は少なくとも1インチ、又は少なくとも1.5インチ)であってよい;ループの円周は、所望の値、すなわち、快適性及び縫合される創傷にとって適正であるように医師が所望する値に減少する;針は、可変ループをくぐる前に第1の位置において組織に貫入し、次いで第2の位置において組織から出る;縫合糸は組織リテーナを含む;縫合糸は、縫合糸内の切り込みを含み、切り込みは、組織リテーナを形成し、換言すれば、切り込みは、切り込みの両側の縫合糸材料を分離し、縫合糸の周辺部に近い方の縫合糸材料部分は、切り込みの他の側の縫合糸を引き上げ、そこから離して、これにより組織リテーナである構造体を形成してよい;縫合糸内に形成された切り込みは、1平面、又は切り込みの角度が縫合糸内での切り込み形成プロセス中に変化する(例えば、縫合材への第1の切り込みは比較的深いが、第1の切り込みの後の切り込みは深くない(又はあまり深くない)など)2平面に存在する;切り込みは、バーブを設けるように縫合糸内に形成される;組織リテーナは、調節可能な円周を有するループを形成する縫合糸のこの部分に存在する;組織リテーナは、調節可能な円周を有するループの部分に不在である;の1つ以上が、本明細書に記載される縫合方法を提供する説明と組み合わせて使用されてよい。
【0069】
医師が小穴を識別し、区別できるようにするという目的を果たすために、小穴付近に市場(market)を配置してよい。マーカーは、縫合材が使用される状況において外科医が容易に認識し、区別できるものにするべきである。例えば、顕微手術用途において、顕微鏡下で見えるが、裸眼では必ずしも見えるわけではないマーカーを使用してよい。内視鏡用途でも同様に、内視鏡及び関連ディスプレイシステムを通して見えるマーカーを使用する必要がある。蛍光透視による可視化を利用して縫合材が使用される場合、マーカーは放射線不透過性マーカーを含んでよい。超音波による可視化を利用して縫合材が使用される場合、マーカーはエコーマーカーを含んでよい。したがって、処置の状況及び処置で使用される走査/撮像/可視化技術に応じて、様々な状況下で様々なマーカー及び様々な種類のマーカーが適切であり得る。
【0070】
マーカーは、赤、緑、オレンジ、黄、緑、青など様々な色を含んでよい。場合によっては、手術環境において一般的ではない色をマーカーに使用することが望ましい場合がある。例えば、緑は、人体内では一般的ではないので、緑のマーカーを使用するのが望ましい場合がある。緑を目立たせ、画像の残部と干渉することなくマーカーを見やすくするようにビデオシステムをプログラム化できるため、内視鏡用途で緑を使用することは有用である。
【0071】
マーカーは、様々な従来の方法によって形成することができる。例えば、マーカーは、留置縫合材システム又はその構成要素に、コーティング、スプレー、糊付け、染色、着色又は別の方法により固着することができる。従来の着色剤塗布プロセスとしては、対象となる縫合材セクション上に着色剤を浸漬、スプレー(例えば、インクジェットにより)、塗装、印刷、塗布及び/又はコーティングすることが挙げられるが、これらに限定されない。臨界流体抽出(炭素酸化物など)も、マーキングが望まれるセクションの局所、全体又は部分に着色剤を加えるために使用されてもよい。あるいは、対象となる縫合材セクションのための着色剤は、縫合材本体を形成するために使用される縫合材材料の部分に含まれてもよく、その部分は、製造された縫合材の対象となるセクション内にある。
【0072】
更に、対象となる縫合材セクションは、エネルギー活性化着色剤を使用して境界を定めることができる。例えば、レーザー活性化着色剤(つまり、レーザーエネルギーへの曝露後に恒久的に色が変化する顔料又は染料)を使用して縫合材を着色し、次いで、レーザーエネルギーを使用して対象となる縫合材セクション内の縫合材コーティングを恒久的に変化させることにより、小穴又は他の対象となる縫合材セクションの境界を定めることができる。これは、熱、化学物質、マイクロ波、紫外線、又はX線などが挙げられるが、これらに限定されない他のエネルギー源によって活性化される他のエネルギー活性化着色剤を使用することにも適用される。例えば、次亜塩素酸ナトリウム又は過酸化水素などの漂白化学物質は、着色剤の色を恒久的に変更し、これにより小穴又は縫合材の他の領域の境界を定めることができる。
【0073】
更に、対象となる縫合材セクションの境界を定めるために採用された着色剤は、対象となるセクションにおいて縫合材上に塗布されるプラスチック生体適合性材料に含まれてもよい。このような層は、対象となる縫合材セクションをマーキングする着色剤を有するポリグリコリドコーティングなどのように吸収性であってもよく、又はシリコーンなどの非吸収性材料であってもよい。着色された材料は、合成されたものであってもよく、又はコラーゲンのように天然の材料源(材料は改質されていても又は改質されていなくても)に由来してもよい。プラスチック生体適合性材料は、縫合材本体上にリテーナが形成される前又は形成された後に縫合材に塗布されてよい。
【0074】
あるいは、小穴又は他の縫合材領域は、逆マーキング、すなわち、縫合材本体がすでに可視的に着色されている場合に、対象となるセクションの少なくとも一部が縫合材の残りの部分から外科医によって光学的に識別可能であるように、対象となるセクションの全体又は一部に着色剤が不在であってよい。かかる縫合材は、縫合材本体上にリテーナが形成される前であっても又は後であっても、縫合材本体の製造中に(例えば、押出成形による)、又は縫合材本体が製造された後に、対象となる縫合材セクションからの着色剤の除去により、対象となる領域の縫合材セクションに縫合材材料の着色剤を含まない部分を含んで製造されてもよい。着色剤は、例えば、(例えば、炭素酸化物)などの臨界流体抽出によって、局所的に除去されてもよい。対象となるセクションと縫合材の残りとの間に軍医によって感知可能な違いがある限り、縫合材の対象となるセクションから全ての着色剤を除去する必要はない。
【0075】
逆マーキングされた縫合材の別の例は、縫合材本体の残りには存在する着色された層が欠如していることである。着色剤を含有するプラスチック生体適合性材料は、縫合材の他のセクションに塗布されてもよく、少なくとも他のセクションが、対象となるセクションの境界となるところに塗布されてもよい。かかる材料の例は、上記で考察される。前述の例におけるように、対象となる縫合材セクションの境界を定めることは、リテーナの形成前であっても後であっても、縫合材製造プロセスの影響を受ける。
【0076】
逆マーキングされた縫合材の別の例は、それぞれの同軸層が異なる色を有する同軸構造を有するものであり、下の層を視覚的に露出するために、最も外側の層の一部を除去する。例えば、2層のモノフィラメントポリプロピレン縫合材は、青い外側同軸層をともなう白い内側コア(同軸間層)を備えて、生成することができ、対象となる縫合材セクションをマーキングするために、白い内側モノフィラメントを視覚的に露出するように外側層の部分を除去することができる。
【0077】
逆マーキングされた縫合材の更に別の例は、対象となる縫合材セクションの縫合材から外側コーティングが除去される(又は部分的に除去される)ものであり、コーティング又は基部縫合材のいずれかは対照的な色の違いを有する。対象となる縫合材セクションでこの材料を除去する(又は部分的に除去する)技法は、対象となる縫合材セクションの触感の境界をまた作る場合がある。
【0078】
マーキングには、無線検出可能な化合物又は磁気共鳴像検出可能な化合物が挙げられてよい。例えば、縫合材に硫酸バリウム(BaSO4)を含浸するか、硫酸バリウムを含有するコーティングを添加するなどによって硫酸バリウムを含んだ対象となる縫合材セクションは、電磁エネルギーによって検出可能になるであろう。X線検出の場合、硫酸バリウムでマーキングされた、対象となるセクションは、放射線不透過性であるであろう。同様に、コンピューター断層撮影(CT)スキャン又は断層撮影レントゲン写真(CAT)スキャンを使用して、対象となる無線検出可能セクションを検出できる。他の無線周波数も使用できるため、移行セクションの無線検出に電磁エネルギーを使用することは、X線波長を使用することに限定されない。同様に、特に磁気共鳴像(MRI)を使用して検出が行われる場合、ガドリニウム(Gd)又はガドリニウム化合物を使用して、対象となる縫合材セクションのマーキングに使用できる。無線検出可能なマーキング又は磁気共鳴像検出可能なマーキングは、腹腔鏡下の外科的処置中の外科医に有用であり得る。
【0079】
小穴の基部における可変ループの領域は、縫合材の展開中にその位置を示す目的で、又は医師が展開した縫合材を組織から除去する目的で切断するためにアンカーの位置を識別できるようにする目的のいずれかのためにマーキングされて、医師が見やすくしてよい。
図5A、5B、5C、及び5Dは、このようなマーキングを有する可変ループ縫合材の後端部を図示している。
図5Aでは、縫合材500の可変ループ508は、その基部514においてマーキングされた小穴512を含む。
図5Bの縫合材520は、小穴基部534に隣接する表面特徴536に加えて、小穴532付近に境界534を有し、特徴536は、縫合材の他の場所と比べて異なる触感を縫合材520に提供する。一方、
図5Cの縫合材540は、小穴552付近に境界554を有する可変ループ548を有し、
図5Dの縫合材560は、小穴572付近の境界534及び可変ループ568の他の場所に配置された境界576の2つの境界を有する可変ループ568を示す。
【0080】
幾つかの実施形態において、医師が知覚できる幾らかの抵抗を固定ループの末端まで引かれる可変ループにもたらすために、縫合材には、固定ループに隣接する縫合材本体の一部に表面特徴が更に設けられてよい。これらの幾つかの実施形態においては、表面特徴は、可変ループが固定ループの終端まで締め付けられないようにする必要はないが、表面機構の更に他の実施形態において、表面特徴はその通りに機能してよい。好適な表面特徴の幾つかの例としては、陥凹、小起伏、波形、粗面、鋸歯状、隆起部、フィラメントなどが挙げられるが、これらに限定されない。この関係では、
図5Bは小穴532付近に表面特徴536を含む。当然ながら、これらの表面特徴は、小穴をくぐる縫合材本体の移動に抗する、縫合材展開端部から離れる向きに方向付けられた短セグメントのリテーナの形態を取ってもよい。後者は、縫合材の残部と同一のパターンであってよいか、異なってよい。つまり、リテーナの短セグメントは、展開端部に向けて方向付けられた複数のバーブと同一又は異なる構成を有する。
【0081】
図5Cでは、縫合材の展開端部に向かって方向付けられたリテーナ544が小穴552を容易にくぐっており、一方では、リテーナ558は、小穴がリテーナを超えて引き寄せられないように幾らかの抵抗を示すように、反対方向に方向付けられる。同様に、
図5Dの縫合材560では、展開方向に方向付けられたリテーナ564及び反対に方向付けられたリテーナ578が提供される。縫合材560でもまた、医師が2つのリテーナセットの間の領域を識別できるようにするために、2つのセットの間に追加のマーキング576が提供される。
【0082】
ここで
図6Aを参照すると、本発明の実施形態による自己保持縫合材600の可変ループ部分608の図を示しており、この実施形態の固定ループの可視境界614を図示している。換言すれば、固定ループ(小穴とも呼ばれる)は、隣接する縫合糸と比較して、異なる外見又は異なる表面触感を有する。
図6Aでは、小穴612は、隣接する縫合糸602を形成する材料よりも色の濃い材料で構成される。あるいは、小穴は、隣接する縫合糸よりも色の薄い材料、又は全く異なる色の材料で形成されてよい。小穴は、マット仕上げを有する材料で形成されてよいが、隣接する縫合糸は、自然な外見又は光沢のある外見を有した。小穴は、あるいは、溝若しくは他の陥凹、又は隣接する縫合糸に存在しない隆起部を含む材料で形成されてよく、これらは、小穴領域と隣接する縫合糸との間に触感の差異をもたらす。小穴と隣接する縫合糸との間のこの可視境界によって、縫合材を使用する医師、又は場合によっては縫合材を扱うロボットが小穴を更に容易に認め、隣接する縫合糸と小穴とを区別できる。
【0083】
ここで
図6B及び6Cを参照すると、小穴は、把持係合要素を備えるか、これと組み合わせて提供されて、縫合材を組織から除去すべきと決定された場合に縫合材からアンカーを除去しやすくしてよい。
図6Bに示されるように、小穴632及び取り付け領域634を備える可変ループ628を有する縫合材620は把持係合要素としてタブ636を有するが、
図6Cの縫合材640は、可変ループ648の一体成形された小穴652の上に配置されたか、この一部として配置された把持係合要素として、バーブを有さない縫合材料656の長さを含む。把持係合要素636及び656は、小穴の一部であるか、小穴に取り付けられており、小穴及び関連のアンカーを組織から持ち上げて離す手段として医療専門家が容易に握る、掴み取る、把持する、又は保持することができる寸法及び方向である、特徴の2種類の選択肢を図示する。把持係合要素は、本明細書に記載されている各可変ループ縫合材の任意の特徴である。
【0084】
把持係合要素は、吸収性材料又は非吸収性材料のいずれかで作製され得る。(アンカーを切り離し、次いでその展開端部から縫合材を引き抜くことにより)組織から縫合材を除去することが望ましい場合には、外科医が小穴を確認し、小穴を静かに引いて縫合材本体からアンカーを除去しやすくできるように、例えば、ポリエステルフェルト又はポリテトラフルオロエチレンフェルトで作製された非吸収性把持係合要素を使用できる。吸収性材料の例には、グリコリド及びグリコリド−ラクチドポリマーが挙げられる。吸収性把持係合要素の使用は、外科医が把持係合要素を体内に残すかどうかの選択肢を有することを望むことがある、深腔組織の閉鎖に特に有用であり得る。更に、(
図6Bのタブ636の濃淡によって示されるように)把持係合要素を着色して、要素の視感度を向上できる。これには、蛍光着色剤、無線検出可能化合物、又は磁気共鳴像検出可能化合物を使用することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
製造及び材料
本明細書に記載の縫合糸は、射出成形、スタンピング、切削、レーザー、押出し成形などを含むが、これらに限定されない、任意の適切な方法によって製造されてよい。切削に関しては、ポリマー糸又はフィラメントは、縫合材本体用に製造又は購入されてもよく、その後リテーナを縫合材本体上又は縫合材本体内に切り込むことができ、リテーナは、手動切断、レーザー切断、又は切削刃、切削砥石、砥石車等を用いて機械的に機械切削されてよい。縫合スレッドは、任意の適切な生体適合性材料で製作されてもよく、縫合材の強度、弾力性、寿命、又は他の品質を向上させるために、あるいは、組織を互いに接合すること、組織を再位置決めすること、又は外的要素を組織に付着させることの他に、更なる機能を果たすように縫合材を備えるために、任意の適切な生体適合性材料で更に処理されていてもよい。当該縫合材の適用又は使用に対して適切なように、縫合材は、本明細書で参照される公報に教示されるリテーナなど、様々な構成、配置、密度などのリテーナを備えて提供されてよい。
【0086】
本発明の縫合材の可変ループは、幾つかの方法で形成されてよい。
図7に示される縫合材700を参照すると、可変ループ708は、縫合材本体702がくぐる小穴712を含む。小穴712は、そうしなければ縫合材本体702の非展開終端791であったであろう部分の周囲を通って自身の上に戻り、取り付け領域714において縫合材本体702の外側にその部分を取り付けることによって形成される。この場合、取り付け領域714は小穴712に隣接している。反対に、内側取り付け部上の縫合材本体802の後端部(非展開端部とも呼ばれる)891から形成された可変ループ808の小穴812を示す、
図8に示される縫合材800を参照すると、つまり、取り付け領域814は内側にあり、小穴を形成する構造の一部である。これらの図を参照して説明した取り付け部は、溶接、接着などによって永久的性質を有するように作製されてよい。
【0087】
注目すべきことは、縫合糸の非展開端部が取り付け領域内に配置されるときに、これが任意の特定の形状、外見、又は機能を有する必要がないことである。小穴又は本発明の可変ループ縫合材の隣接する取り付け領域のいずれもが組織に貫入することは意図されていないため、例えば、取り付け領域の貫入を促進するであろう任意の特定の形状を設けることにより、このような貫入を促進する必要はない。例えば、本発明の縫合材の非展開端部の端部又は先端部は、組織への貫入を促進するであろう角度又は傾斜を有するのではなく、隣接する縫合糸の側部と比較して直角にしてよい。実際、展開端部は、取り付け領域の組織への貫入を遅らせるように設計されるか、適合されてよい。これは、小穴が、小穴に隣接して配置された取り付け領域を有することにより形成される場合に特に関係する。この同様の問題は、取り付け領域が小穴を形成する材料の一部である場合には、関係しない。
【0088】
あるいは、小穴912は、
図9に図示される縫合材900によって示されるように、縫合材本体902と一体であってよく、この図では、可変ループ908の小穴912は、縫合材本体902と連続的である。したがって、この実施形態において、取り付け領域は存在しない。
【0089】
更に別の実施形態として、小穴は、縫合糸から独立して形成されてよく、次いで、小穴は好適な位置において縫合糸に接合される。例えば、縫合糸の非展開端部は、ロープの端部を輪に締結し得るのと同じ方法で、小穴に締結されてよい。この別の実施形態において、縫合糸と小穴とを共に接合することは、不適切な時期に小穴が縫合糸から分離されないように、堅牢な方法で行われることが望ましい。小穴と縫合糸との堅牢な固定は、例えば、小穴を縫合糸に締結するために使用される結び目を溶接することにより行われてよい。別の例では、小穴は、輪(又は多角形、又は縫合糸が通り抜け得るか、縫合糸にくぐらせる穴を画定する他の好適な形状)の形態を取ってよく、輪は、輪を縫合糸に固定するために縫合糸が通り抜け得る穴を有する。例えば、縫合糸の非展開端部は、この穴を通り抜けた後で、この穴を容易には通り抜けられないような寸法の結び目に形成されてよい。縫合糸は、この方法で小穴に固定される。最後の例として、小穴は、縫合糸に容易に固定される特徴に堅牢に接合されてよい。例えば、数字の8の形状に接合された2つの輪(この2つの輪は、必ずしも同一の直径を有さなくてよい)は、縫合糸が1つの輪に締結されてよいが、隣接する輪は小穴として機能できる構造を提供する。輪に接合された小穴を有するのではなく、小穴は、折り畳んで、縫合糸の周囲に圧着できるタブに接合されてよい。あるいは、小穴は中空の円筒に接合されてよい。この場合、縫合糸の非展開端部は円筒に挿入されてよく、次いで、円筒が圧着されて円筒内に縫合糸が固定される(縫合材の展開端部が針に対してスエージ加工される周知の方法と同様の方法で行われるが、この場合は、展開端部縫合糸の非展開端部が小穴に対してスエージ加工される)。縫合糸から独立して形成された小穴を有することにより、縫合糸及び小穴が形成される材料を選択する際に更なる柔軟性(すなわち、独立性)がもたらされる。
【0090】
小穴の寸法は様々であってよい。例えば、小穴の内側横断長(つまり、小穴を横断する最長内側寸法)は、ほぼ縫合材本体断面の横断長(つまり、断面の形状に関係なく、縫合材本体断面を横断する最長寸法)のように小さくても、縫合材本体断面の横断長の約4倍、又は更には10倍と大きくてもよい。好適であり得る内側横断長の他の範囲は、縫合材断面の横断長の1.5倍〜縫合材断面の横断長の約10倍、縫合材断面の横断長の1.5倍〜縫合材断面の横断長の4倍、又は縫合材断面の横断長の約2倍〜縫合材断面の横断長の約3倍である。
【0091】
調製後、自己保持縫合材システムは、保管、取扱い、及び使用を容易にするためにパッケージ化されてよい。好適なパッケージシステムは当該技術分野において既知であり、例示の縫合材パッケージは、米国特許出願公開第20110056859号及び同第20100230300号に記載されている。パッケージプロセス前、ただし好ましくはパッケージプロセス後に、縫合材は、例えば、放射線によって殺菌されてよい。
【0092】
ある実施形態において、自己保持縫合材システムの作製方法が提供され、この方法は、(a)縫合糸を準備することであって、縫合糸が展開端部を含み、小穴を含むか、小穴に取り付けられているかのいずれかであることと、(b)縫合糸内に複数の切り込みを形成して、複数の組織リテーナを設けることと、(c)縫合糸の展開端部に小穴をくぐらせ、これによって可変円周のループを形成することと、(d)縫合材の展開端部に可変円周のループをくぐらせて、パッケージ化の準備が整った縫合材を提供することと、(e)縫合材の保管に好適であり、パッケージ化の準備の整った縫合材に医療従事者が容易にアクセスできるようにするために好適なパッケージにパッケージ化の準備の整った縫合材を配置することと、を含む。所望により、次の説明、すなわち、方法は、縫合糸の端部に縫合針を取り付けることを更に含み、所望により、針は、縫合糸の端部に小穴をくぐらせた後に縫合糸に取り付けられるか、縫合糸の端部に可変円周のループをくぐらせた後で縫合糸に取り付けられる;縫合糸は殺菌される;小穴は、縫合糸と一体的に形成される;小穴は、縫合糸に取り付けられる;小穴は、(a)縫合糸の一部の上に縫合糸の非展開端部(縫合糸の後端部とも呼ばれる)を折り返して、取り付け領域を設けることであって、縫合材の展開端部が取り付け領域内の縫合糸の一部と接触することと、(b)非展開端部と取り付け領域内の縫合糸の一部とを互いに対して結合することであって、このような場合、結合は、非展開端部と取り付け領域内の縫合糸の一部とを溶接することにより行われてよいか、非展開端部と取り付け領域内の縫合糸の一部とを接着することにより行われてよいことと、によって形成される;小穴は、小穴の一部を形成する縫合糸の一部の上に展開端部が折り返される場合に生じるであろう取り付け領域を含む;小穴は、小穴の一部を形成しないが、小穴の基部において小穴に隣接する縫合糸の一部の上に展開端部が折り返される場合に生じるであろう取り付け領域に隣接している;の1つ以上が、自己保持縫合システムの製造方法の説明と組み合わせて使用されて、本発明を更に説明してよい。
【0093】
本明細書に記載の自己保持縫合材は、組織係合を更に促進する材料も包含してよい。リテーナにおける組織係合に加えて、少なくとも縫合材本体部分における組織係合促進材料の使用は(このような材料がリテーナの全体又は一部も構成するかどうかにかかわらず)、縫合材の所定の位置への留置機能を向上できる。このような種類の組織係合促進材料の1つは、微多孔性ポリマー及び気泡を伴って押し出し可能なポリマー(生体吸収性か、非生体吸収性かは問わない)の両方を含む、押し出しされて縫合材本体を形成できる多孔性ポリマーである。このような材料を使用して合成された縫合材は、組織係合表面積を増加し、縫合材本体自体への組織湿潤を容認し、したがって、良好な縫合材の使用を促進する主構造を有する三次元格子構造を有することができる。更に、孔径を最適化することにより、線維芽細胞の内部成長を促すことができ、更に組織中での縫合材の固定を促進する。
【0094】
このような微多孔性ポリマーの1つは、ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)である。ePTFE(及び関連微多孔性材料)を組み込んだ自己保持縫合材は、縫合材の組織湿潤が縫合材と周囲の組織の固着及び生着の向上をもたらし、したがって、より優れた保持力とより長い持ち上げ期間を提供するため、強力かつ恒久的な持ち上げを要する使用法(胸部美容整形、顔面美容整形、及び他の組織再配置処置など)に適している。
【0095】
更に、本明細書に記載の自己保持縫合材は、治癒を促進し、瘢痕形成、感染、疼痛などの望ましくない影響を防止する組成物を備えてもよい。これは、例えば、(a)処方を縫合材に直接的に固着すること(例えば、縫合材にポリマー/薬剤被膜をスプレーすることによる、若しくは縫合材をポリマー/薬液に浸漬することによる、のいずれか)、(b)縫合材にヒドロゲルなどの物質をコーティングし、これが今度は組成物を吸収することになる、(c)マルチフィラメント縫合材の場合、処方をコーティングしたスレッドを縫合材構造へと織り合わせることによる(若しくはポリマー自体をスレッドへと形成する)、(d)縫合材を処方からなる、若しくは処方でコーティングされたスリーブ若しくはメッシュ内へと挿入することによる、又は(e)縫合材自体を組成物で構成することを含む、様々な様式により達成することができる。このような組成物には、抗増殖剤、血管新生阻害剤、抗感染剤、線維化誘発剤(fibrosis-inducing agents)、抗瘢痕化剤(anti-scarring agents)、潤滑剤、エコー原性剤(echogenic agents)、抗炎症剤、細胞周期阻害剤、鎮痛薬、及び微小管阻害薬を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、リテーナが形成される前に組成物を縫合材に塗布することができるので、リテーナが係合するとき、係合表面は、実質的にコーティングを有しない。この方法において、縫合される組織は、縫合材が組み込まれるときに、縫合材がコーティングされた表面に接触するが、リテーナが係合するときは、リテーナのコーティングされていない面が組織に接触する。あるいは、例えば、選択的にコーティングされた縫合材よりも完全にコーティングされた縫合材が望ましい場合、縫合材は、縫合材上へのリテーナの形成後又は形成の間にコーティングされてもよい。更に別の実施形態では、縫合材は、縫合材の選択された部分のみをコーティングに露出することによって、リテーナの形成の間又は形成後のいずれかに選択的にコーティングされてもよい。縫合材が使用される特定目的又は組成物が、完全にコーティングされた縫合材又は選択的にコーティングされた縫合材のどちらが適切かを判定する場合があり、例えば、滑らかなコーティングについては、縫合材を選択的にコーティングし、例えば、縫合材の組織に係合する表面は、これらの表面の組織係合機能を低下させるのを防止するために、コーティングせずに残すのが望ましい場合がある。これに反して、抗感染薬剤などの組成物を含むものなどのコーティングは、適宜縫合材全体に塗布する場合があり、一方で線維化薬剤を含むものなどのコーティングは、(組織に係合する表面などの)縫合材の全体又は部分に適宜塗布される場合がある。縫合材の目的はまた、縫合材に塗布されるコーティングの種類を決定することであってよく、例えば、抗増殖剤コーティングを有する自己保持縫合材が、腫瘍切除部位を閉鎖する際に使用されてよく、一方で、線維化コーティングを有する自己保持縫合材が、組織再配置処置で使用されてよく、抗瘢痕化コーティングを有する自己保持縫合材が、皮膚上での創傷閉鎖に使用されてよい。更に、縫合材の構造は、コーティングの選択及び適用範囲に影響を与える場合があり、例えば拡大セグメントを有する縫合材は、拡大されたセグメント上に繊維化誘発組成物を含んで、このセグメントを組織内で適所に更に固定することができる。コーティングはまた、複数の組成物をともに、あるいは縫合材の異なる部分に含んでもよく、異なる目的(鎮痛剤、抗感染薬剤及び抗瘢痕薬剤の組み合わせなど)のため、又はそれらの相乗効果のためのいずれかで、複数の組成物を選択することができる。
【0096】
臨床用途
前節に記載した一般的な創傷閉鎖及び軟組織修復の用途に加えて、自己保持縫合材は、様々な他の適用例で使用され得る。
【0097】
本明細書に記載の自己保持縫合材は、様々な歯科的処置、すなわち、口腔及び顎顔面外科的処置で使用されてよい。上述の処置には、口腔手術(例えば、埋伏歯又は折れた歯の除去)、骨増強をもたらすための手術、歯顔面変形を修復する手術、外傷後の修復(例えば、顔面骨折及び損傷)、歯原性及び非歯原性腫瘍の外科治療、再建手術、口唇裂又は口蓋裂の修復、先天性頭蓋顔面変形、及び顔面美容整形手術が挙げられるが、これらに限定されない。自己保持歯科縫合材は、分解性であっても非分解性であってもよく、典型的には、USP 2−0〜USP 6−0の範囲の寸法であり得る。
【0098】
本明細書に記載の自己保持縫合材はまた、組織再配置外科的処置で使用されてよい。そのような外科処置には、制限なしに、顔面美容整形、頸部美容整形、眉美容整形、大腿部美容整形、及び胸部美容整形が挙げられる。組織再配置処置において使用される自己保持縫合材は、再配置される組織に応じて変えてもよく、例えば、より大きく、より離間したリテーナを有する縫合材を、脂肪組織等の比較的軟らかい組織で好適に採用することができる。
【0099】
本明細書で説明する自己保持縫合材はまた、外科用顕微鏡下で実施される顕微鏡下手技において使用されてもよい(したがって、「自己保持微小縫合材」と呼ばれてもよい)。そのような外科手技には、限定するものではないが、末梢神経の再付着及び修復、脊椎顕微手術、手の顕微手術、様々なプラスチック顕微手術手技(例えば、顔の再建)、男性又は女性の生殖器系の顕微手術、並びに様々な種類の再建顕微手術が挙げられる。顕微鏡下の再建術は、一次的閉鎖、二次治癒、皮膚移植、局所皮弁の移植、及び遠皮弁の移植などの他の選択肢が適切でない場合に、複雑な再建手術の問題に用いられる。留置微小縫合材は、多くの場合においてUSP 9−0又はUSP 10−0ほどである非常に小さい口径を有し、対応する大きさの取り付けられた針を有し得る。これらは、分解性であっても非分解性であってもよい。
【0100】
本明細書で説明する自己保持縫合材は、眼部の外科手技のために同様に小さな口径の範囲で使用されてよく、したがって、「眼科用自己保持縫合材」と呼ばれてもよい。そのような手技には、限定するものではないが、角膜移植、白内障、及び網膜硝子体の顕微鏡下手技が挙げられる。眼科用自己保持縫合材は、分解性又は非分解性であり得、対応する小さい口径の針を取り付けられている。
【0101】
自己保持縫合材は、動物の健康における多数の外科的及び外傷的目的で、多様な獣医学用途で使用され得る。
【0102】
本発明は、本発明のほんの例示的な実施形態に関して示され、詳細に記載されているが、当業者は、開示される特定の実施形態に対して本発明を制限することが意図されないことを理解されよう。本発明の新規の教示及び利点から実質的に逸脱することなく、特に、前述の教示を考慮に入れて、開示された実施形態に対して、様々な修正、省略、及び付加が可能である。したがって、そのような修正物、省略物、追加物、及び等価物のすべてを、以下の「特許請求の範囲」によって定義される本発明の趣旨及び範囲に含まれ得るものとして網羅することが意図されている。本発明の幾つかの特定の実施形態は、次のとおりである。
【0103】
組織を貫通するための第1の端部と、周辺部を有する細長い縫合材本体(縫合糸とも呼ばれる)と、細長い本体(縫合糸又は縫合材本体とも呼ばれる)の周辺部に存在し、第1の端部に向けて方向付けられた第1の複数のリテーナであって、第1の端部の展開方向に組織を貫通して縫合材が移動する間、縫合材本体に向かって曲がり、組織内にあるとき、第1の端部の展開方向と実質的に反対の方向に縫合材が移動することに抗する、第1の複数のリテーナと、可変円周の可変ループを有する第2の端部と、を含む自己保持縫合材であって、可変ループは、可変ループの円周を摺動させて変化させるために細長い本体に摺動自在に係合する固定ループ(小穴とも呼ばれる)を含み、第1の端部は可変ループをくぐって、アンカーとして組織を固定してよく、アンカーは、第1の端部の展開方向への縫合材の移動を防止する、自己保持縫合材。所望により、次の説明、すなわち、第1の端部は、組織に貫入するように適合される;第1の端部は、針に取り付けられる;縫合材は、固定ループ(小穴)と第1の複数のリテーナとの間の細長い本体の周辺部の少なくとも一部の上に表面特徴を更に含み、表面特徴は、固定ループが表面特徴を超えて摺動することに抗し、所望により、表面特徴は第2の複数のリテーナを含み、第2の複数のリテーナは、第1の端部から離れる向きに方向付けられており、かつ/又は表面特徴は、可変ループの円周の少なくとも一部に配設される;細長い本体は横断長(tl)を有する断面を有し、固定ループは内側横断長(TL)を有し、TL:tlの比は約1:1〜約10:1であるか、TL:tlの比は約1:1〜約4:1であるか、TL:tlの比は約1:1〜約3:1であるか、TL:tlの比は約1.5:1〜約10:1であるか、TL:tlの比は約1.5:1〜約4:1であるか、TL:tlの比は約2:1〜約3:1である;固定ループは、把持係合要素に取り付けられているか、更にこれを含む;第1の複数のリテーナの少なくとも1つは、他の第1の複数のリテーナと構成が異なる;第2の複数のリテーナは、第1の複数のリテーナと構成が異なる;固定ループは、可視マーキングを更に含む;細長い縫合材本体(縫合糸とも呼ばれる)の断面は、非円形である;細長い縫合材本体の断面は多角形である;縫合糸は更に治療薬を含む;の1つ以上が、本明細書で提供される自己保持縫合材を更に説明するために使用されてよい。
【0104】
組織を貫通するための第1の端部と、周辺部及び断面を有する細長い縫合材本体(縫合糸とも呼ばれる)であって、断面が横断長(tl)を有する細長い縫合材本体と、細長い本体(細長い縫合材本体又は縫合糸とも呼ばれる)の周辺部に存在し、第1の端部に向けて方向付けられた第1の複数のリテーナであって、第1の端部の展開方向に組織を貫通して縫合材が移動する間、縫合材本体(縫合糸とも呼ばれる)に向かって曲がり、組織内にあるとき、第1の端部の展開方向と実質的に反対の方向に縫合材が移動することに抗する、第1の複数のリテーナと、可変円周の可変ループを有する第2の端部と、を含む自己保持縫合材であって、可変ループは、可変ループの円周を摺動させて変化させるために細長い本体に摺動自在に係合する固定ループ(小穴とも呼ばれる)を含み、第1の端部は可変ループをくぐって、第1の端部の展開方向への縫合材の移動を防止するための、第3の固定ループとして組織を固定してよい、自己保持縫合材。
【0105】
自己保持縫合材であって、組織を貫通するための第1の端部と、周辺部及び断面を有する細長い縫合材本体であって、断面が横断長(tl)を有する細長い縫合材本体と、細長い本体の周辺部に存在し、第1の端部に向けて方向付けられた第1の複数のリテーナであって、第1の端部の展開方向に組織を貫通して縫合材が移動する間、縫合材本体に向かって曲がり、組織内にあるとき、第1の端部の展開方向と実質的に反対の方向に縫合材が移動することに抗する、第1の複数のリテーナと、引き結びを有する第2の端部であって、引き結びが、第1の端部の展開方向への縫合材の移動を防止するアンカーとして組織を固定するために第1の端部がくぐってよい可変円周のループを含む第2の端部と、を含む、自己保持縫合材。
【0106】
自己保持縫合材であって、組織を貫通するための第1の端部と、周辺部及び断面を有する細長い縫合材本体であって、断面が横断長(tl)を有する細長い縫合材本体と、細長い本体の周辺部に存在し、第1の端部に向けて方向付けられた第1の複数のリテーナであって、第1の端部の展開方向に組織を貫通して縫合材が移動する間、縫合材本体に向かって曲がり、組織内にあるとき、第1の端部の展開方向と実質的に反対の方向に縫合材が移動することに抗する、第1の複数のリテーナと、引き結びを有する第2の端部であって、引き結びが、第1の端部の展開方向への縫合材の移動を防止する組織内の固定ループとして組織を固定するために第1の端部がくぐってよい可変円周のループを含む、第2の端部と、を含む自己保持縫合材。
【0107】
自己保持縫合材であって、組織を貫通するための第1の端部と、周辺部及び断面を有する細長い縫合材本体であって、断面が横断長(tl)を有する細長い縫合材本体と、細長い本体の周辺部に存在し、第1の端部に向けて方向付けられた第1の複数のリテーナであって、第1の端部の展開方向に組織を貫通して縫合材が移動する間、縫合材本体に向かって曲がり、組織内にあるとき、第1の端部の展開方向と実質的に反対の方向に縫合材が移動することに抗する、第1の複数のリテーナと、可変円周の可変ループを有する第2の端部と、を含む自己保持縫合材であって、可変ループは、内側横断長(TL)を有し、可変ループの円周を摺動させて変化させるために細長い本体に摺動自在に係合する固定ループを含み、TL:tlの比は約1:1〜約10:1であり、第1の端部は、第1の端部の展開方向への縫合材の移動を防止するためのアンカーとして組織を固定するために可変ループをくぐってよい、自己保持縫合材。
【0108】
〔実施の態様〕
(1) 自己保持縫合材であって、
a.組織を貫通するための第1の端部と、
b.周辺部を有する細長い縫合材本体と、
c.前記細長い本体の前記周辺部に存在し、前記第1の端部に向けて方向付けられた第1の複数のリテーナであって、前記第1の端部の展開方向に組織を貫通して前記縫合材が移動する間、前記縫合材本体に向かって曲がり、組織内にあるとき、前記第1の端部の前記展開方向と実質的に反対の方向に前記縫合材が移動することに抗する、第1の複数のリテーナと、
d.可変円周の可変ループを有する第2の端部であって、前記可変ループが、前記可変ループの前記円周を摺動させて変化させるために前記細長い本体に摺動自在に係合する固定ループを含み、前記第1の端部が、アンカーとして組織を固定するために前記可変ループをくぐってよく、前記アンカーが、前記第1の端部の前記展開方向への前記縫合材の移動を防止する、第2の端部と、を含む、自己保持縫合材。
(2) 前記第1の端部が、針に取り付けられる、実施態様1に記載の縫合材。
(3) 前記固定ループと前記第1の複数のリテーナとの間の前記細長い本体の前記周辺部の少なくとも一部に表面特徴を更に含み、前記表面特徴が、前記表面特徴を超えて前記固定ループが摺動することに抗する、実施態様1に記載の縫合材。
(4) 前記細長い本体が横断長(tl)を有する断面を有し、前記固定ループが内側横断長(TL)を有し、TL:tlの比が約1:1〜約10:1である、実施態様1に記載の縫合材。
(5) 前記固定ループが、把持係合要素を更に含む、実施態様1に記載の縫合材。
【0109】
(6) 前記固定ループが、可視マーキングを更に含む、実施態様1に記載の縫合材。
(7) 前記細長い縫合材本体の前記断面が、非円形である、実施態様1に記載の縫合材。
(8) 治療薬を更に含む、実施態様1に記載の縫合材。
(9) 縫合方法であって、
a.自己保持縫合材の端部に取り付けられた縫合針を含む自己保持システムを準備することであって、前記自己保持縫合材が、糸径を有する縫合糸と、複数の組織リテーナと、小穴と、を含み、前記縫合糸が前記小穴をくぐって、元の直径を有する可変ループを形成する、準備することと、
b.第1の組織位置において、患者の組織に前記針を挿入することと、
c.第2の組織位置において、前記患者の組織から前記針を引き抜くことと、
d.前記針及び前記縫合糸の少なくとも一部に前記可変ループをくぐらせることと、
e.第3の組織位置において、前記患者の組織に前記針を挿入することと、を含む、縫合方法。
(10) 前記可変ループの前記直径が、前記縫合糸を前記可変ループにくぐらせると同時に、減少する、実施態様9に記載の方法。
【0110】
(11) 前記可変ループの前記直径が、前記可変ループが前記縫合糸の周囲にぴったりフィットするまで、減少する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記小穴、前記可変ループ、及び前記縫合材本体が、共にアンカーを形成するまで前記縫合糸を前記可変ループにくぐらせ、前記縫合針の方向への前記縫合糸の更なる移動が前記アンカーによって抗される、実施態様9に記載の方法。
(13) 自己保持縫合材システムの作製方法であって、
a.縫合糸を準備することであって、前記縫合糸が展開端部を含み、小穴を含むか、小穴に取り付けられているかのいずれかである、準備することと、
b.前記縫合糸内に複数の切り込みを形成して、複数の組織リテーナを設けることと、
c.前記縫合糸の前記展開端部を前記小穴にくぐらせて、それにより可変円周のループを形成することと、
d.前記縫合材の前記展開端部を前記可変円周のループにくぐらせて、パッケージ化の準備が整った縫合材を提供することと、
e.前記パッケージ化の準備の整った縫合材を、前記縫合材の保管に好適であり、かつ前記パッケージ化の準備の整った縫合材に医師が容易にアクセスできるようにするのに好適なパッケージに配置することと、を含む、方法。
(14) 縫合針を前記縫合糸の前記展開端部に取り付けることを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記針が、前記展開端部を前記小穴にくぐらせた後、前記縫合糸に取り付けられる、実施態様14に記載の方法。
【0111】
(16) 前記針が、前記展開端部を前記可変円周のループにくぐらせた後、前記縫合糸に取り付けられる、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記小穴が、前記縫合糸に取り付けられている、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記小穴が、
a.前記縫合糸の非展開端部を前記縫合糸の一部の上に折り返して取り付け領域を設けることであって、前記縫合材の前記非展開端部が、前記取り付け領域内の前記縫合糸の前記一部に接触している、取り付け領域を設けることと、
b.前記非展開端部と前記取り付け領域内の前記縫合糸の前記一部とを互いに結合することと、によって形成される、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記小穴が、前記取り付け領域を含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記小穴が、前記取り付け領域に隣接している、実施態様18に記載の方法。