特許第6396518号(P6396518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6396518二光子ルビジウム遷移を使用して超安定周波数基準を発生させるための方法および光システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396518
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】二光子ルビジウム遷移を使用して超安定周波数基準を発生させるための方法および光システム
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/137 20060101AFI20180913BHJP
   H01S 1/06 20060101ALI20180913BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H01S3/137
   H01S1/06
   H01S3/00 A
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-6683(P2017-6683)
(22)【出願日】2017年1月18日
(62)【分割の表示】特願2012-86646(P2012-86646)の分割
【原出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2017-103473(P2017-103473A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2017年2月13日
(31)【優先権主張番号】13/400,348
(32)【優先日】2012年2月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・アール.・ウィルキンソン
(72)【発明者】
【氏名】トッド・オー.・クラッターバック
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ティー.・キャッシェン
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル・エヌ.・プライス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー・エル.・サバラ
【審査官】 島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−100833(JP,A)
【文献】 特開平11−145542(JP,A)
【文献】 特開2006−073755(JP,A)
【文献】 特開2000−236130(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0086713(US,A1)
【文献】 米国特許第06472889(US,B1)
【文献】 国際公開第2007/119449(WO,A1)
【文献】 特開平06−260713(JP,A)
【文献】 特開平03−238885(JP,A)
【文献】 特開2009−283810(JP,A)
【文献】 特開昭53−042843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S3/00−3/30
H01S1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定化キャビティと、
前記安定化キャビティにロックされた安定化されたレーザー出力を発生させるように構成されているレーザー光源と、
安定化された前記レーザー出力を受け取り、周波数を2倍にされた安定化レーザー出力を形成するために、安定化された前記レーザー出力の周波数を2倍にするよう構成されている周波数二倍器と、
少なくとも二光子ルビジウム遷移を引き起こすために、前記周波数を2倍にされた安定化レーザー出力により呼びかけられるよう構成されているルビジウムセルと、
前記二光子ルビジウム遷移の自然崩壊に起因する蛍光を検出し、安定化された前記レーザー出力をさらに安定化するために、検出された前記蛍光の周波数で検出器出力を発生させるように構成されている検出器と、
を具備する光システム。
【請求項2】
記レーザー光源は、前記安定化キャビティと前記二光子ルビジウム遷移の前記自然崩壊との両方にロックされる、
請求項1に記載の光システム。
【請求項3】
前記安定化キャビティは、寸法安定光学キャビティであり、超低膨張(ULE)ガラスファブリー・ペローキャビティを具備し、
前記レーザー光源の出力は、パウンド・ドレバー・ホール安定化技術を使用して、前記寸法安定光学キャビティに予め安定化される、
請求項2に記載の光システム。
【請求項4】
超安定周波数基準を発生させる際に使用するための光学出力を発生させるために、安定化された前記レーザー出力にロックされた周波数コム安定器をさらに備える、請求項1に記載の光システム。
【請求項5】
前記周波数コム安定器は、
周波数コムと、
ゼロ周波数に対して前記周波数コムを安定化させるための第1の制御ループと、
前記周波数コムの周波数コム間隔を安定化させるための第2の制御ループと、
を含む、請求項4に記載の光システム。
【請求項6】
前記周波数コムは、非線形ファイバーを含むファイバーベースの周波数コムを具備し、
前記ファイバーベースの周波数コムは、少なくともオクターブスパニングを具備する光波長のスーパーコンティニュームを発生させるためにある、
請求項5に記載の光システム。
【請求項7】
前記周波数コム安定器は、前記超安定周波数基準を発生させる際に使用するための光波長のスーパーコンティニュームを発生させるために、安定化された前記レーザー出力にロックされ、
前記検出器は、安定化された前記レーザー出力を発生させるためにレーザー光源をロックするため、前記蛍光の波長において検出器出力を提供するように構成されている、
請求項4に記載の光システム。
【請求項8】
光波長のスーパーコンティニュームから前記超安定周波数基準を発生させるRF発生回路をさらに具備し、
前記超安定周波数基準は、1つ以上の超安定マイクロ波信号またはRF出力信号を具備する、
請求項7に記載の光システム。
【請求項9】
前記RF発生回路は、
前記光波長のスーパーコンティニュームを1組のマイクロ波信号に変換するフォト検出器と、
前記フォト検出器の出力から1組のマイクロ波クロック信号または基準信号を発生させるためのマイクロ波周波数コムと、
を備え、
前記1組のマイクロ波クロック信号または基準信号は、前記安定化されたレーザー出力の安定度を近似する安定度を有する、
請求項8に記載の光システム。
【請求項10】
前記光波長のスーパーコンティニュームを1組の光基準信号に変換するための光基準信号発生回路をさらに具備する、請求項7に記載の光システム。
【請求項11】
前記二光子ルビジウム遷移は、5s準位から5d準位への二光子ルビジウム遷移であり、
前記検出された蛍光は、6p準位から前記5s準位への前記自然崩壊に起因し、
前記ルビジウムセルは、ルビジウム87を具備するルビジウム蒸気セルである、
請求項1記載の光システム。
【請求項12】
超安定周波数基準を発生させるための方法において、
定化されたレーザー出力を発生させるために、レーザー光源を安定化キャビティにロックすることと、
周波数を2倍にされた安定化レーザー出力を発生させるために、安定化された前記レーザー出力の周波数を2倍にすることと、
少なくとも二光子ルビジウム遷移を引き起こすために、前記周波数を2倍にされた安定化レーザー出力によりルビジウムセルに呼びかけることと、
前記二光子ルビジウム遷移の自然崩壊に起因する蛍光を検出し、検出された前記蛍光の周波数で出力を発生させることと、
検出された前記蛍光の周波数での前記出力にもとづいて安定化された前記レーザー出力をさらに安定化するために、前記レーザー光源を前記二光子ルビジウム遷移の前記自然崩壊にさらにロックすることと、
具備する方法。
【請求項13】
超安定周波数基準を発生させる際に使用するための光出力を発生させるために、周波数コム安定器を、前記周波数を2倍にされた安定化されたレーザー出力にロックすることを更に具備する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記周波数コム安定器を安定化された前記レーザー出力にロックすることは、光波長のスーパーコンティニュームを発生させ、
前記方法は、さらに、前記スーパーコンティニュームから前記超安定周波数基準を発生させることを具備する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記周波数コム安定器は、非線形ファイバーを含むファイバーベースの周波数コムを具備し、
前記方法は、前記ファイバーベースの周波数コムを用いて、少なくともオクターブスパンを具備する光波長のスーパーコンティニュームを発生させることを備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
安定化されたレーザー出力を生成するように構成されているキャビティ安定化基準レーザーと、
周波数を2倍にされた安定化されたレーザー出力を形成するために、前記安定化されたレーザー出力の周波数を2倍にするよう構成されている周波数二倍器と、
前記周波数を2倍にされた安定化されたレーザー出力を受け取り、蛍光を生成するように構成されているルビジウムセルと、
前記蛍光を検出し、安定化された前記レーザー出力をさらに安定化するために、検出された前記蛍光の周波数で検出器出力を発生させるように位置付けられている検出器と、
を具備する光システム。
【請求項17】
前記キャビティ安定化基準レーザーは、安定化キャビティにロックされたレーザー光源を具備し、
前記検出器は、前記キャビティ安定化基準レーザーをロックするために、検出器出力を前記レーザー光源に向ける、
請求項16に記載の光システム。
【請求項18】
定化された前記レーザー出力にロックされ、光波長のスーパーコンティニュームを生成するように構成されている周波数コム安定器と、
前記光波長のスーパーコンティニュームを受け取り、超安定周波数基準を発生させるよう構成されているRF発生回路と、
をさらに具備する、請求項16に記載の光システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
政府の権利
本発明は、米国政府の支援により製作されていない。米国政府は、本発明において特定の権利を有していない。
【技術分野】
【0002】
実施形態は、精密発振器と、超安定周波数基準の発生とに関する。いくつかの実施形態は、フォトニック発振器に関する。いくつかの実施形態は、周波数基準発生および通信のシステムに関する。いくつかの実施形態は、レーダーシステム用および航空機搭載システム用の低位相ノイズ超安定発振器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の多くの周波数基準に関する1つの問題は、安定度である。10−14またはより良好な範囲中の周波数安定度(すなわち、Δf/f)に達するための従来の技術は、低温冷却された水晶発振器、セシウムファウンテン時計、および/または、高安定光時計を使用する。これらの従来の周波数基準の多くは、その大きなサイズ、重さ、複雑さ、および/または、電力消費のせいで、魅力的でない。
【0004】
したがって、超安定周波数基準を発生させるための、改善された精密発振器および方法に対する一般的な必要性がある。従来の多くのシステムよりも複雑でない、超安定周波数基準を発生させるための精密発振器および方法に対する一般的な必要性もある。レーダーシステム、通信システム、および、信号収集システムでの使用に適した、低位相ノイズおよび超安定発振器に対する必要性もある。同期化を要求するシステムで使用するための超安定発振器に対する必要性もある。困難なEMI環境での使用に適した超安定発振器に対する必要性もある。10−14を超える周波数安定度を提供することができる超安定周波数基準に対する必要性もある。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態では、超安定周波数基準発生システムは、安定化されたレーザー出力を発生させるために安定化キャビティにロックされているレーザー光源を含む、キャビティ安定化基準レーザーと、安定化されたレーザー出力により呼び掛けられ(インタロゲートされ)て、少なくとも二光子ルビジウム遷移を引き起こすように構成されているルビジウムセルと、この上準位ルビジウム遷移の自然崩壊に起因する蛍光を検出する検出器とを具備する。検出器は、キャビティ安定化基準レーザーをロックして、安定化されたレーザー出力を発生させるために、蛍光の波長において出力を提供してもよい。安定化されたレーザー出力にロックして、広いスペクトル範囲をカバーする超安定周波数基準を発生させる際に使用するための光波長のスーパーコンティニュームを発生させる周波数コム安定器を具備してもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、レーザー光源を安定化キャビティにロックして、予め安定化されたレーザー出力を発生させるキャビティロックループと、二光子励起を使用する上準位ルビジウム遷移の崩壊にレーザー光源をさらにロックして、安定化されたレーザー出力を発生させる周波数制御ループとを具備する超安定周波数基準発生システムが提供されている。システムは、周波数コムをゼロ周波数に対して安定化させる第1の周波数コム安定器制御ループと、周波数コム間隔を安定化させる第2の周波数コム安定器制御ループとを有する周波数コム安定器も具備してもよい。周波数コムは、フェムト秒周波数コムであってもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、超安定周波数基準を発生させるための方法が提供されている。これらの実施形態では、レーザー光源は、予め安定化されたレーザー出力を発生させるために、安定化キャビティにロックされている。レーザー光源はさらに、安定化されたレーザー出力を発生させるために、二光子ルビジウム遷移の崩壊にロックされている。周波数コム安定器は、安定化されたレーザー出力にロックされ、超安定周波数基準を発生させる際に使用するための光出力を発生させる。
【0008】
特許請求の範囲は、ここで開示するさまざまな実施形態のうちのいくつかに向けられている。しかしながら、図面とともに考えるときに、詳細な説明は、さまざまな実施形態のより完全な理解を提示し、同一の参照番号は、図面全体を通して類似するアイテムのことを指す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、いくつかの実施形態にしたがった、超安定周波数基準発生システムの機能ダイヤグラムである。
図2A図2Aは、いくつかの実施形態にしたがった、ルビジウム遷移を示している。
図2B図2Bは、いくつかの実施形態にしたがった、周波数基準として使用してもよい超微細遷移のサンプルのスペクトルを示している。
図3図3は、いくつかの実施形態にしたがった、超安定周波数基準発生システムに対する周波数制御ループを示している。
図4図4は、いくつかの実施形態にしたがった、超安定周波数基準発生システムに対するキャビティロックループを示している。
図5図5は、いくつかの実施形態にしたがった、超安定周波数基準発生システムに対する周波数コム安定器を示している。
図6図6は、いくつかの実施形態にしたがった、超安定周波数基準を発生させるための手順である。
【詳細な説明】
【0010】
以下の説明および図は、当業者がそれらを実施することができるように特定の実施形態を十分に示している。他の実施形態は、構造的な変更、論理的な変更、電気的な変更、プロセスの変更、および、他の変更を組み込んでもよい。いくつかの実施形態の一部および特徴は、他の実施形態の一部および特徴に含まれていてもよく、あるいは、他の実施形態の一部および特徴と置き換えてもよい。特許請求の範囲で述べる実施形態は、これらの特許請求の範囲のすべての利用可能な均等物を含んでいる。
【0011】
図1は、いくつかの実施形態にしたがった、超安定周波数基準発生システムの機能ダイヤグラムである。超安定周波数基準発生システム100は、5x10−14を超える周波数安定度を有する超安定周波数基準117を発生させるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、超安定周波数基準発生システム100は、場合によってはおよそ10−15を超える周波数安定度を有する超安定周波数基準117を発生させてもよいが、実施形態の範囲はこの点で限定されない。
【0012】
ここで使用する周波数安定度は、一般的に、1秒における周波数変動、または、1秒平均での周波数変動のことを指す。例えば、10−15の周波数安定度は、測定当たり平均化時間が1秒以内の一連の周波数測定の標準偏差のことを指す。
【0013】
いくつかの実施形態では、超安定周波数基準発生システム100は、安定化キャビティ104にロックされているレーザー光源102を含む、キャビティ安定化基準レーザー112を含んでいてもよい。システム100は、キャビティ安定化基準レーザー112の安定化されたレーザー出力105により呼び掛けられることがあるルビジウム(Rb)セル108も含んでいてもよく、キャビティ安定化基準レーザー112の安定化されたレーザー出力105は、少なくとも(上準位への)二光子ルビジウム遷移をルビジウムセル108内で引き起こしてもよい。検出器110は、上準位ルビジウム遷移の自然崩壊に起因する、ルビジウムセル108内の蛍光109を検出してもよい。これらの実施形態では、検出器110は、蛍光の波長において検出器出力111を提供して、キャビティ安定化基準レーザー112をロックし、安定化されたレーザー出力113を発生させてもよい。これらの実施形態では、レーザー光源102は、安定化キャビティ104とルビジウムセル108内のルビジウム遷移との双方にロックしている。
【0014】
いくつかの実施形態では、超安定周波数基準発生システム100は、安定化されたレーザー出力105の周波数を2倍にする周波数二倍器106も含んでいてもよい。2倍にされた安定化レーザー出力107は、レーザー光源102をルビジウム遷移にロックする際に使用するための出力を発生させるためにルビジウムセル108に呼び掛けるように構成されていてもよい。
【0015】
超安定周波数基準発生システム100は、周波数コム安定器114も含んでいてもよく、周波数コム安定器114は、安定化されたレーザー出力113にロックされてもよい。周波数コム安定器114は、光波長のスーパーコンティニューム115を含む光波長の出力を発生させてもよい。スーパーコンティニューム115は、オクターブスパンの波長であってもよいが、実施形態の範囲はこの点で限定されない。いくつかの実施形態では、光コムの歯の間の間隔は、周波数コムを発生させるのに使用してもよいフェムト秒レーザーのフェムト秒レーザーパルス繰り返し周波数により決定されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、超安定周波数基準発生システム100は、光波長のスーパーコンティニューム115から超安定周波数基準117を発生させるRF発生回路116も含んでいてもよい。超安定周波数基準117は、1つ以上の超安定RF出力信号またはマイクロ波出力信号を含んでいてもよいが、実施形態の範囲はこの点で限定されない。RF発生回路116は、数ある中で、光波長のスーパーコンティニューム115を超安定周波数基準117に変換するフォト検出器を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、超安定周波数基準117は、1組のRF信号またはマイクロ波信号を含んでいてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、周波数コム安定器114は、数ある中で、ファイバーポンプと、f−2fロッキング干渉計と、ファイバーベースの周波数コム(すなわち、ファイバーコム)とを含んでいてもよい。ファイバーベースの周波数コムは、光波長のスーパーコンティニューム115を発生させるための非線形ファイバーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、周波数コム安定器114は、周波数コムをゼロ周波数に対して安定させる第1の制御ループと、周波数コムの間隔を安定させる第2の制御ループとを含んでいる。これらの実施形態は以下でさらに詳細に論じる。
【0018】
いくつかの実施形態では、ルビジウムセル108は、ルビジウム85およびルビジウム87のような、ルビジウムのさまざまな同位体を含むルビジウム蒸気セルであってもよいが、実施形態の範囲はこの点で限定されない。これらの実施形態では、ルビジウム蒸気セルが呼び掛けられて(光源により照射されて)、光子励起が引き起こされる。
【0019】
図1で示されているように、2つの補足的なロックループを使用して、安定化されたレーザー出力113を発生させてもよい。キャビティロックループ121は、安定化キャビティ104にレーザー光源102をロックしてもよい。キャビティロックループ121は、システム100の短期位相ノイズ性能を助長することができる。周波数制御ループ123は、ルビジウムセル108内のルビジウム遷移にレーザー光源102をロックしてもよい。周波数制御ループ123は、より長期の安定度の達成を助長するために、長期の環境ドリフトの減少を助長してもよい。これらの実施形態では、周波数制御ループ123は、二光子励起を使用する上準位ルビジウム遷移の崩壊にレーザー光源をロックして、安定化されたレーザー出力を発生させることができる。
【0020】
これらの実施形態では、レーザー光源102を安定化キャビティ104にロックすることにより、キャビティ安定化基準レーザー112のレーザー周波数の変動を減少させてもよい。キャビティ安定化基準レーザー112の出力を原子遷移(すなわち、二光子ルビジウム遷移)にロックすることにより、レーザー周波数の変動はさらに減少される。何らかのロッキングループを使用しないと、レーザー出力の周波数は、数分の間に、数MHzだけドリフトするかもしれない。安定化キャビティ104にロックすることは、このドリフトを実質的に(例えば、だいたい数百万回強だけ)減少させることができる。二光子ルビジウム遷移にロックすることは、依然として残っている何らかのスロードリフトを除去することができる。したがって、周波数の揺らぎおよびドリフトが除去され、または、少なくとも大幅に減少され、それにより、出力113は安定化されたと見なされる。
【0021】
システム100は、長期の安定度においてかなりの改善を提供し、従来の多くのシステムを越える位相ノイズが達成される。例えば、超安定周波数基準発生システム100により発生される超安定周波数基準117は、少なくとも5x10−14の周波数安定度を、または、より高い周波数安定度を有していてもよく、5x10−15を超える周波数安定度を有することさえあるが、実施形態の範囲はこの点で限定されない。超安定周波数基準117は、さらに、例えば、10GHzキャリアから離れた1Hzにおいて、−100dBc/Hzより小さい位相ノイズを有していてもよい。
【0022】
超安定周波数基準発生システム100は、チップスケール周波数基準として実現されてもよく、ハンドヘルドGPS受信機のような小型で安価なデバイスで現在使用されている従来の多くの水晶発振器よりも、さらに良好な性能を提供することができる。いくつかの実施形態では、超安定周波数基準発生システム100は、宇宙船システムまたは航空機搭載システムに統合するのに適したパッケージで実現されてもよい。
【0023】
超安定周波数基準発生システム100は、レーダーシステム、通信システム、および、信号収集システムでの使用にも適していてもよい。超安定周波数基準発生システム100は、同期化を要求するシステムでの使用にも適していてもよい。超安定周波数基準発生システム100は、困難なEMI環境での使用にも適していてもよい。
【0024】
図1では、いくつかの別個の機能エレメントを有するものとして超安定周波数基準発生システム100が示されているが、機能エレメントのうちの1つ以上を組み合わせてもよく、機能エレメントのうちの1つ以上は、デジタル信号プロセッサ(DSP)を含む処理エレメントのような、ハードウェアエレメントとソフトウェア構成エレメントの組み合わせにより、および/または、他のハードウェアエレメントにより、実現されてもよい。例えば、いくつかのエレメントは、1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、無線周波数集積回路(RFIC)、ならびに、少なくともここで説明する機能を実行するためのさまざまなハードウェアおよび論理回路の組み合わせを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、超安定周波数基準発生システム100の機能エレメントは、1つ以上の処理エレメント上で動作する1つ以上のプロセスのことを指してもよい。
【0025】
図2Aは、いくつかの実施形態にしたがった、ルビジウム遷移を示している。上記で論じたように、安定化されたレーザー出力107(図1)によるルビジウムセル108(図1)の呼び掛け(インタロゲーション)は、少なくとも二光子ルビジウム遷移203を引き起こしてもよい。示されているように、二光子ルビジウム遷移203は、5s準位202から5d準位204への二光子ルビジウム遷移であってもよい。崩壊遷移207として示されている、6p準位206から5s準位202への自然崩壊は、検出器110(図1)により検出されることがある蛍光を、結果として生じさせることがある。励起された原子は、上準位(例えば、準位206)から、正確な波長において蛍光を発する下準位(例えば、準位202)へと自然に崩壊する。
【0026】
これらの実施形態では、5s準位202から5d準位204への二光子ルビジウム遷移203は、正確に778.1nmの波長におけるものであってもよい。崩壊遷移207および検出される蛍光109(図1)は、正確に420.2nmの波長におけるものであってもよい。これらの実施形態では、検出器出力111(図1)は、崩壊遷移207の波長(例えば、420.2nm)におけるものであってもよく、検出器出力111(図1)を使用して、キャビティ安定化基準レーザー112(図1)をさらにロックして、安定化されたレーザー出力113(図1)を発生させてもよい。これらの実施形態では、崩壊遷移207の波長に敏感であるように検出器110が選択されてもよい。
【0027】
いくつかの例示的な実施形態では、レーザー光源102は、1556nm波長を発生させる1556nmファイバーレーザーであってもよい。波長分割器106(図1)により半減されたときに、778nm波長が生成されてもよく、778nm波長は、ルビジウムセル108内で二光子遷移203を引き起こすために使用されることがある。これらの例示的な実施形態では、1556nm波長の正確に半分である、正確に778nmにおいて、二光子ルビジウム遷移203が起こるので、1556nmファイバーレーザーが使用される。二光子ルビジウム遷移203を引き起こすための778nm波長を発生させるために、他のレーザー光源および波長分割器/逓倍器の組み合わせも使用してもよい。いくつかの実施形態では、波長分割器106は、1556nm波長を778nm波長に変換するための非線形光学の構成部分を含んでいてもよいが、これは必要条件ではない。
【0028】
図2Aはまた、ルビジウム85に対する超微細分裂212と、ルビジウム87に対する超微細分裂214とを示している。示されているように、この超微細分裂は、結果として、異なる遷移になり、5s準位202および5d準位205に対して起こることがある。いくつかの実施形態にしたがって、ルビジウムの同位体のうちの1つにおける最も強い遷移が、安定化のために使用されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、安定化キャビティ104(図1)は、寸法安定光学キャビティ(dimensionally-stable optical cavity)であってもよく、超低膨張(ULE)ガラスファブリー・ペローキャビティであってもよいが、これは、必要条件ではない。パウンド・ドレバー・ホール(PDH)安定化技術を使用して、レーザー光源102の出力を光学キャビティに予め安定化させてもよい。この予めの安定化により、超安定周波数基準発生システム100の短期の安定度を改善することができる。例示的な実施形態では、7.75cmの長さと、150,000より大きいか、または、150,000に等しい高フィネスとを有するファブリー・ペローキャビティを使用してもよい。いくつかの実施形態では、10,000のフィネスを持つノッチドマウントキャビティ(notched mount cavity)を使用してもよい一方で、他の実施形態では、150,000のフィネスを持つミッドプレーンマウントキャビティ(mid-plane mount cavity)を使用してもよい。レーザー光源102を高フィネスキャビティに予め安定化することは、その短期の周波数安定度を改善するが、より長い時間では、キャビティ長の熱ドリフトが、望ましくない周波数のふらつきを引き起こすかもしれない。レーザー光源102の周波数を時不変二光子ルビジウム遷移にロックすることにより、この周波数のふらつきを除去してもよい。
【0030】
図2Bは、いくつかの実施形態にしたがった、周波数基準として使用してもよい超微細遷移のサンプルのスペクトルを示している。5S1/2(F=2)−>5D5/2(F=4,3,2,1)の超微細遷移のサンプルのスペクトルが示されており、これは、5S1/2の基底状態から5D5/2の励起状態への遷移のスペクトルを含んでいる。スペクトルは、超微細基底状態F=2から超微細励起状態(左から)F=4、F=3、F=2、および、F=1への87Rbにおける遷移であり、これもまた示されている。
【0031】
図3は、いくつかの実施形態にしたがった、超安定周波数基準発生システムに対する周波数制御ループを示している。周波数制御ループ300は、レーザー光源102(図1)をルビジウム遷移207(図2A)にロックするための周波数制御ループ123(図1)として使用するのに適していてもよい。
【0032】
以前に論じた、レーザー光源102と、波長分割器106と、ルビジウムセル108と、検出器110とに加えて、周波数制御ループ300は、安定化されたレーザー出力105を変調するために、音響光学変調器(AOM)312のような変調器を含んでいてもよい。周波数制御ループ300は、波長を周波数コム安定器114(図1)に結合するカプラ125の前に、AOM312の変調された出力を増幅させるために、エルビウム添加ファイバー増幅器(EDFA)314のような増幅器も含んでいてもよい。周波数制御ループ300はまた、検出器からの出力信号111上で動作して、レーザー光源102の周波数制御に対する誤差信号319を発生させるために、ロックイン増幅器316と比例積分微分(PID)制御装置318とを含んでいてもよい。FM源322は、AOM312にFM信号を提供してもよく、周波数変調器324により変調されてもよい。周波数変調器324は、レーザー光源102の周波数制御のために、誤差信号319上にディザを提供するために使用されてもよい。予め安定化された基準レーザーを、ルビジウムにおける二光子共鳴の周波数にロックするのに使用される誤差信号319を発生させるために、プローブビームは、周波数ディザリング(frequency dithered)されていてもよく、ロックイン増幅器316を使用して結果の蛍光を復調してもよい。いくつかの実施形態では、検出器110は、光電子倍増管(PMT)を含んでいてもよい。
【0033】
図4は、いくつかの実施形態にしたがった、超安定周波数基準発生システムに対するキャビティロックループを示している。キャビティロックループ400は、レーザー光源102をキャビティ104にロックするためのキャビティロックループ121(図1)として使用するのに適していてもよい。キャビティロックループ400の使用は、改善された短期位相ノイズ性能の達成を助長することができる。
【0034】
キャビティロックループ400は、安定化キャビティ104の何らかの周波数オフセットを補償するAOM412と、安定化されたレーザー出力105をAOM312(図3)に結合するタップカプラ127とを含んでいてもよい。キャビティロックループ400はまた、位相変調器414と、サーキュレータ416と、高速フォトダイオード418と、ミキサー420と、レーザー光源102にフィードバック信号423を提供するフィードバックループ中に配置されているフィルタおよびPIDエレメント422とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、圧電作動(piezo-actuated)ミラーを制御するレーザー光源102の圧電入力に、フィードバック信号423が提供されてもよい。
【0035】
いくつかの例示的な実施形態では、安定化キャビティ104は、真空筐体432内に提供されてもよいULEキャビティ430を含んでいてもよい。安定化キャビティ104は、音および振動の絶縁も含んでいてもよいが、キャビティ安定化のために他の技術を使用してもよいので、これらは必要条件ではない。
【0036】
図5は、いくつかの実施形態にしたがった、超安定周波数基準発生システムに対する周波数コム安定器を示している。周波数コム安定器500は、超安定周波数基準発生システム100(図1)の周波数コム安定器114(図1)内で使用するのに適していてもよいが、他のコンフィギュレーションも適していることがある。周波数コム安定器500は、安定化されたレーザー出力113(図1)からスーパーコンティニューム115を発生させてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、スーパーコンティニューム115は、少なくともオクターブスパンの波長を含んでもよい。
【0037】
図5において示されているように、周波数コム安定器500は、周波数コムをゼロ周波数に対して安定化させる第1の周波数コム安定器制御ループ503と、周波数コムの間隔を安定化させる第2の周波数コム安定器制御ループ505とを含んでいる。
【0038】
周波数コム安定器500は、光波長のスーパーコンティニューム115を発生させる非線形ファイバーを含む、ファイバーベースの周波数コム502を含んでいてもよい。f−2f干渉計508のような干渉計は、波長発生器510の出力と混合してPID制御装置518に入力を提供するために、スーパーコンティニューム115からうなりトーンを発生させ、PID制御装置518は、制御ループ503の一部として、ファイバーベースの周波数コム502へのフィードバック519として、キャリアエンベロープオフセット(CEO)周波数を発生させてもよい。
【0039】
制御ループ505は、安定化されたレーザー出力113(図1)とファイバーコム502の出力とを組み合わせてRFうなりトーンを発生させる50−50カプラ512を含んでいてもよく、RFうなりトーンは、波形発生器514からの出力と混合されて、PID制御装置516に入力を提供する。PID制御装置516は、ファイバーコム502に対するフィードバックを発生させてもよい。いくつかの実施形態では、光信号をフィルタリングして検出ノイズを減少させるために、ファイバーブラッググレーティング(FBG)504とサーキュレータ506を、制御ループ505中に含めてもよい。
【0040】
図1の参照に戻ると、いくつかの実施形態では、RF発生回路116は、フォト検出器に加えて、フォト検出器の出力から複数のマイクロ波信号を発生させるマイクロ波周波数コムを含んでいてもよい。これらの複数のマイクロ波信号は、1組のクロック信号または基準信号を含んでいてもよく、(例えば、1秒平均において、およそ5x1015〜の5x1014の、)安定化されたレーザー出力113の安定度を近似する安定度を有していてもよい。複数のマイクロ波信号は、超安定周波数基準117(図1)に対応していてもよい。これらの実施形態では、1組のクロック信号および基準信号は、共通の基準を有する複数のクロック信号を使用するシステム中でクロック信号として使用するのに適していてもよいが、実施形態の範囲はこの点で限定されない。いくつかの実施形態では、他のレーザーをロックするのに使用してもよい、および/または、光学センサーのための基準として使用してもよい、1組の光基準信号を発生させてもよい。
【0041】
図6は、いくつかの実施形態にしたがった、超安定周波数基準を発生させるための手順である。超安定周波数基準発生システム100(図1)のような、超安定周波数基準発生システムにより、手順600を実行してもよいが、他の超安定周波数基準発生システムも、手順600を実現する際に使用するのに適していることがある。
【0042】
動作602は、レーザー光源を安定化キャビティにロックして、予め安定化されたレーザー出力を発生させることを含む。いくつかの実施形態では、キャビティロックループ121(図1)のコンポーネントが使用されてもよい。
【0043】
動作604は、予め安定化されたレーザー出力によりルビジウムセルに呼び掛けて、少なくとも二光子ルビジウム遷移を引き起こすことを含む。いくつかの実施形態では、二光子ルビジウム遷移203(図2A)は、778.1nm波長による、ルビジウムセル108(図1)の呼び掛けに起因してもよい。
【0044】
動作606は、二光子ルビジウム遷移の自然崩壊に起因する蛍光を検出して、蛍光の波長において出力を提供することを含む。蛍光は、崩壊遷移207(図2A)に起因してもよい。
【0045】
動作608は、キャビティ安定化基準レーザーを、検出した蛍光の出力にロックして、安定化されたレーザー出力を発生させることを含む。いくつかの実施形態では、周波数制御ループ123(図1)のコンポーネントが使用されてもよい。
【0046】
動作610は、周波数コム安定器を、安定化されたレーザー出力にロックして、光波長のスーパーコンティニュームを発生させることを含む。動作610は、例えば、周波数コム安定器114(図1)により実行されてもよい。
【0047】
動作612は、光波長のスーパーコンティニュームから超安定周波数基準を発生させることを含む。動作612は、例えば、RF発生回路116(図1)により実行されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、システム100(図1)は、原子共鳴(すなわち、ルビジウム遷移)を参照するフォトニック発振器を含んでいてもよい。原子共鳴を参照する発振器の周波数安定度(Δf/f)は、基本的には、以下の式に基づいて、二光子遷移の測定されたQと、信号対ノイズ比(SNR)の双方により限定されてもよい。
【0049】
【数1】
【0050】
Qは、遷移の測定された線幅で除算した遷移の周波数(v/Δv)として規定されてもよく、τは、平均化時間である。さまざまな広がりのメカニズムに帰因して、測定された線幅が、固有の線幅を超えることがある。広がりを最小化するために、ルビジウムセル108の周囲に磁気遮蔽が提供されてもよい。これは、350kHzの固有幅に近い測定された線幅に結果としてなるゼーマン広がりを、大きく減少させることができる。信号対ノイズレベルを増加させるために、ショットノイズ制限レジームで蛍光検出が動作されてもよく、420.2nm蛍光のかなり大幅な部分を収集し、周波数2倍プロセスを778nmに最大化し、420.2nm動作のために検出器を最適化し、迷光をなくし、ジョンソンノイズのような検出器ノイズを最小化し、高Rb蒸気圧力によりクロックを動作することにより、ショットノイズ制限レジームが達成されてもよい。二光子遷移の固有の線幅で制限されているQは、Q=2.6x109であり、15000の実際のSNRでは、システムの安定度は、1秒間におおよそ2.3x10−14であってもよく、2分未満の集積では10−15に近づく。この安定度をマイクロ波/RFドメインに翻訳するために、システム100は、コンパクトな手段を利用して、光ドメインから分割してもよい。回路116(図1)中でフェムト秒レーザーベース周波数コムを使用して、これを達成してもよい。安定度を光からマイクロ波に移すために、フェムト秒周波数コムがキャビティ安定化レーザー112にロックされてもよい。
【0051】
ファイバーベース周波数コム502(図5)を外部からの安定化基準レーザー(すなわち、レーザー出力113)に安定化させるためのプロセスでは、周波数コム安定器500として、図5において示されているように、エンベロープオフセット(CEO)安定化が使用される。制御ループ503は、周波数コムをゼロ周波数に対して安定化させる。高非線形ファイバーを通して周波数コム502内でスーパーコンティニューム115が発生されてもよい。スーパーコンティニューム115は、オクターブスパニングを実現し、スペクトルの基本部分の間にうなりトーンを発生させ、基本波のオクターブの第二高調波は、ゼロからの周波数コムオフセットを表す。このトーンは、その後、デジタル位相検出器中で、統制された任意波形発生器(AWG)510から発生されたRFトーンと混合される。ミックスダウンされた信号は、モードロックされたファイバーベース周波数コム502へのポンプ電力を調節するPID制御装置518中に供給される。
【0052】
他の制御ループ505は、周波数コム間隔を安定化させてもよい。モードロックされたファイバーベース周波数コムのキャビティ長を安定化させることにより、これが達成されてもよい。例示的な実施形態では、FBG504を通して、おおよそ100nmから0.1nmへと、最初にスペクトルが狭められてもよく、その中心波は、キャビティ安定化レーザーの中心波に等しい。この狭めるプロセスは、周波数コムを安定させるために使用されるRFうなりトーンを発生させるフォト検出器上のショットノイズを制限することができる。狭めた後に、50−50カプラ512を使用して、周波数コムをキャビティ安定化レーザーと結合し、これは、結果として、コムの線とキャビティ安定化レーザーとの間の周波数差を示すRFうなりトーンを生じさせる。InGaAsフォト検出器によりRFうなりトーンが発生されてもよく、InGaAsフォト検出器は、50−50カプラ512の一部であってもよい。結果のRF信号は、デジタル位相検出器中で、第2の統制されたAWG514に対して混合されてもよい。デジタル位相検出器は、30ラジアンの位相偏差にわたる誤差信号を発生させることが可能であってもよく、これは、位相検出器としてアナログミキサーを使用するのと比較して、10x多くの位相偏差を許容する。デジタル位相検出器からの出力は、PID制御装置516にルーティングされ、PID制御装置516は、コム間隔フィードバックに対する誤差信号を発生させる。いくつかの実施形態では、おおよそ10kHzの帯域幅を持つファイバーベースの周波数コム内の圧電作動(piezo-actuated)ミラーを、誤差信号が制御してもよい。
【0053】
ハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアのうちの1つであるいはそれらの組み合わせで、実施形態を実現してもよい。ここで説明した動作を実行するために、少なくとも1つのプロセッサによって読み取られて実行される、コンピュータ読取可能記憶デバイス上に記憶されている命令として、実施形態を実現してもよい。コンピュータ読取可能記憶デバイスは、機械(例えば、コンピュータ)により読み取り可能な形態で情報を記憶するために、何らかの一時的でないメカニズムを含んでいてもよい。例えば、コンピュータ読取可能記憶デバイスは、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、ならびに、他の記憶デバイスおよび媒体を含んでいてもよい。いくつかの実施形態は、1つ以上のプロセッサにより実現されてもよく、コンピュータ読取可能記憶デバイス上に記憶されている命令で構成されていてもよい。
【0054】
技術的な開示の性質および要旨を読者が把握できるようにする要約書を要求する米国特許法施行規則セクション1.72(b)を遵守するように、要約書が提供されている。特許請求の範囲の範囲または意図を限定するあるいは解釈するために要約書が使用されないという理解で、要約書は提出されている。以下の特許請求の範囲は、ここでは詳細な説明に組み込まれており、各請求項は、別の実施形態として、それ自身で自立している。
【0055】
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
超安定周波数基準発生システムにおいて、
安定化されたレーザー出力を発生させるために安定化キャビティにロックされているレーザー光源を含む、キャビティ安定化基準レーザーと、
前記安定化されたレーザー出力により呼び掛けられて、少なくとも二光子ルビジウム遷移を引き起こすように構成されているルビジウムセルと、
前記ルビジウム遷移の自然崩壊に起因する蛍光を検出する検出器と、
前記安定化されたレーザー出力にロックされ、超安定周波数基準を発生させる際に使用するための光出力を発生させる周波数コム安定器と、を具備する超安定周波数基準発生システム。
[C2]
前記周波数コム安定器は、
周波数コムと、
前記周波数コムをゼロ周波数に対して安定化させる第1の制御ループと、
前記周波数コムの周波数コムの間隔を安定化させる第2の制御ループと、を含む[C1]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C3]
前記周波数コムは、フェムト秒周波数コムである[C2]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C4]
前記超安定周波数基準を発生させる際に使用するための、光波長のスーパーコンティニュームを発生させるために、前記周波数コム安定器は前記安定化されたレーザー出力にロックされ、
前記検出器は、前記キャビティ安定化基準レーザーをロックして、前記安定化されたレーザー出力を発生させるために、前記蛍光の波長において検出器出力を提供するように構成されている[C3]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C5]
前記二光子ルビジウム遷移は、5s準位から5d準位への二光子ルビジウム遷移であり、
前記検出した蛍光は、6p準位から前記5s準位への前記自然崩壊に起因し、
前記ルビジウムセルは、ルビジウム87を含むルビジウム蒸気セルである[C2]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C6]
前記安定化されたレーザー出力の波長を半減する波長分割器をさらに具備し、
前記半減された安定化レーザー出力は、前記ルビジウムセルに呼び掛けて、前記キャビティ安定化基準レーザーを前記ルビジウム遷移にロックする際に使用するための出力を発生させるためのものである[C5]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C7]
前記安定化キャビティは、寸法安定光学キャビティであり、超低膨張(ULE)ガラスファブリー・ペローキャビティを含み、
パウンド・ドレバー・ホール安定化技術を使用して、前記レーザー光源の出力は前記光学キャビティに予め安定化される[C2]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C8]
前記周波数コムは、非線形ファイバーを含むファイバーベースの周波数コムを備え、
前記ファイバーベースの周波数コムは、少なくともオクターブスパンを含む光波長のスーパーコンティニュームを発生させるためのものである[C2]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C9]
前記光波長のスーパーコンティニュームから前記超安定周波数基準を発生させるRF発生回路をさらに具備し、前記超安定周波数基準は、1つ以上の超安定マイクロ波信号またはRF出力信号を含む[C2]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C10]
前記RF発生回路は、
前記光波長のスーパーコンティニュームを1組のマイクロ波信号に変換するフォト検出器と、
前記フォト検出器の出力から1組のマイクロ波クロック信号または基準信号を発生させるマイクロ波周波数コムと、を備え、
前記1組のマイクロ波クロック信号または基準信号は、前記安定化されたレーザー出力の安定度を近似する安定度を有する[C9]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C11]
前記光波長のスーパーコンティニュームを1組の光基準信号に変換する光基準信号発生回路をさらに具備する[C2]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C12]
前記安定化されたレーザー出力は、およそ10−15の安定度を有する[C1]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C13]
超安定周波数基準を発生させるための方法において、
レーザー光源を安定化キャビティにロックして、予め安定化されたレーザー出力を発生させることと、
前記レーザー光源を二光子ルビジウム遷移の崩壊にさらにロックして、安定化されたレーザー出力を発生させることと、
周波数コム安定器を前記安定化されたレーザー出力にロックして、超安定周波数基準を発生させる際に使用するための光出力を発生させることと、を含む方法。
[C14]
前記周波数コム安定器を前記安定化されたレーザー出力にロックすることは、光波長のスーパーコンティニュームを発生させ、
前記方法は、前記スーパーコンティニュームから前記超安定周波数基準を発生させることをさらに含む[C13]記載の方法。
[C15]
前記周波数コム安定器は、非線形ファイバーを含むファイバーベースの周波数コムを備え、
前記方法は、前記ファイバーベースの周波数コムにより、少なくともオクターブスパンを含む前記光波長のスーパーコンティニュームを発生させることを含む[C14]記載の方法。
[C16]
前記予め安定化されたレーザー出力によりルビジウムセルに呼び掛けて、少なくとも上準位への前記二光子ルビジウム遷移を引き起こすことと、
前記上準位ルビジウム遷移の自然崩壊に起因する蛍光を検出して、前記レーザー光源をさらにロックする際に使用するために、検出した出力を前記蛍光の波長において提供することと、をさらに含む[C15]記載の方法。
[C17]
前記ルビジウムセルは、ルビジウム87を含むルビジウム蒸気セルであり、
前記二光子ルビジウム遷移は、5s準位から5d準位への二光子ルビジウム遷移であり、
前記検出した蛍光は、6p準位から前記5s準位への前記自然崩壊に起因する[C16]記載の方法。
[C18]
前記ルビジウムセルに呼び掛けて、前記キャビティ安定化基準レーザーを前記ルビジウム遷移にロックする際に使用するための出力を発生させる前に、前記安定化されたレーザー出力の周波数を2倍にすることをさらに含む[C17]記載の方法。
[C19]
超安定周波数基準発生システムにおいて、
レーザー光源を安定化キャビティにロックして、予め安定化されたレーザー出力を発生させるキャビティロックループと、
二光子励起を使用する上準位ルビジウム遷移の崩壊に前記レーザー光源をさらにロックして、安定化されたレーザー出力を発生させる周波数制御ループと、
周波数コムをゼロ周波数に対して安定化させる第1の周波数コム安定器制御ループと、周波数コム間隔を安定化させる第2の周波数コム安定器制御ループとを有する周波数コム安定器とを具備し、
前記周波数コム安定器を前記安定化されたレーザー出力にロックして、超安定周波数基準を発生させる際に使用するための光波長を発生させる超安定周波数基準発生システム。
[C20]
前記キャビティロックループは、前記安定化キャビティにロックされている前記レーザー光源を含むキャビティ安定化基準レーザーを備え、
前記周波数制御ループは、
前記安定化されたレーザー出力により呼び掛けられて、少なくとも二光子ルビジウム遷移を引き起こすように構成されているルビジウムセルと、
前記遷移の自然崩壊に起因する蛍光を検出する検出器と、を備え、
前記検出器は、前記キャビティ安定化基準レーザーをロックして、前記安定化されたレーザー出力を発生させるために、前記蛍光の波長において検出器出力を提供するように構成されている[C19]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C21]
前記ルビジウムセルは、ルビジウム87を含むルビジウム蒸気セルであり、
前記二光子ルビジウム遷移は、5s準位から5d準位への二光子ルビジウム遷移であり、
前記検出した蛍光は、6p準位から前記5s準位への前記自然崩壊に起因する[C20]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C22]
前記周波数制御ループは、前記安定化されたレーザー出力の波長を半減させる波長分割器をさらに備え、
前記半減された安定化レーザー出力は、前記ルビジウムセルに呼び掛けて、前記キャビティ安定化基準レーザーを前記ルビジウム遷移にロックする際に使用するための出力を発生させる[C21]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C23]
前記周波数コム安定器は、非線形ファイバーを含むファイバーベースの周波数コムを備え、
前記ファイバーベースの周波数コムは、少なくともオクターブスパンを含む前記光波長のスーパーコンティニュームを発生させるためのものである[C20]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C24]
前記周波数コムは、フェムト秒周波数コムである[C19]記載の超安定周波数基準発生システム。
[C25]
超安定周波数基準を発生させるための方法において、
安定化キャビティにロックされているレーザー光源を含むキャビティ安定化基準レーザーから、安定化されたレーザー出力を発生させることと、
前記安定化されたレーザー出力によりルビジウムセルに呼び掛けて、少なくとも二光子ルビジウム遷移を引き起こすことと、
前記ルビジウム遷移の自然崩壊に起因する蛍光を検出して、前記蛍光の波長において、検出した出力を提供することと、
前記キャビティ安定化基準レーザーを、前記蛍光の前記波長にロックすることと、
周波数コム安定器を、前記安定化されたレーザー出力にロックして、光波長のコンティニュームを発生させることと、を含む方法。
[C26]
前記光波長のコンティニュームから超安定周波数基準を発生させることをさらに含む[C25]記載の方法。
[C27]
前記周波数コム安定器をロックすることは、
第1の制御ループにより、周波数コムをゼロ周波数に対して安定化させることと、
第2の制御ループにより、前記周波数コムの周波数コム間隔を安定化させることと、を含む[C26]記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6