特許第6396522号(P6396522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396522
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】車両用シートのシートフレーム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20180913BHJP
   B60N 2/72 20060101ALI20180913BHJP
   B60N 2/427 20060101ALI20180913BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B60N2/68
   B60N2/72
   B60N2/427
   A47C7/40
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-27228(P2017-27228)
(22)【出願日】2017年2月16日
(62)【分割の表示】特願2016-73070(P2016-73070)の分割
【原出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2017-81565(P2017-81565A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】星 正之
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/117521(WO,A1)
【文献】 特開2012−232747(JP,A)
【文献】 特開2007−143692(JP,A)
【文献】 特開平06−062932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
A47C 7/00 − 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックフレームの左右側方に位置して上下方向に延びるサイドフレームを備えた車両用シートのシートフレームであって、
前記サイドフレームは、前記左右のサイドフレーム間に架設され、前記シートのシートバックに掛かる着座者の背凭れ荷重を受ける受圧部材を取り付けるための取付部材を備え、
前記取付部材には、シート左右方向に延在し、前方に湾曲した湾曲部が設けられており、
前記サイドフレームは、側部に設けられた側板と、該側板の前端部からシート内側後方へ湾曲した前縁部と、前記側板の後端部からシート内側へ屈曲した後縁部と、を有し、
前記取付部材は、前記サイドフレームの前記後縁部に対向する後縁部対向部を備え、
前記湾曲部は、前記後縁部対向部に設けられていることを特徴とする車両用シートのシートフレーム。
【請求項2】
シートバックフレームの左右側方に位置して上下方向に延びるサイドフレームを備えた車両用シートのシートフレームであって、
前記サイドフレームは、前記左右のサイドフレーム間に架設され、前記シートのシートバックに掛かる着座者の背凭れ荷重を受ける受圧部材を取り付けるための取付部材を備え、
前記取付部材には、シート左右方向に延在し、前方に湾曲した湾曲部が設けられており、
前記取付部材は、前記受圧部材を係止する係止部と、前記サイドフレームに取り付けられる固定部と、を備え、
前記湾曲部は、前記係止部よりもシート外側に設けられていることを特徴とする車両用シートのシートフレーム。
【請求項3】
前記係止部と前記固定部とは、前記取付部材の長尺方向において同一線上に設けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用シートのシートフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのシートフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートの着座者の背中を支持する支持構造として、シートバックのサイドフレーム間の着座者の背中に対応する位置に、樹脂製板状の受圧部材を配置し、左右両端を、上下2本のワイヤで左右のサイドフレーム側に取付ける構造が用いられている(たとえば、特許文献1)。
特許文献1では、上方のワイヤの両端部は、左右のサイドフレーム上端を連結する略コ字状の上部フレームの下部に取付けられている。
【0003】
また、下方のワイヤの両端部は、左右のサイドフレームの内面に設けられた左右のリンク部材に取付けられている。このリンク部材は、下方のワイヤを介して伝わる衝撃荷重を受けて後方へ移動することにより、受圧部材の下部を後方に移動可能である。
特許文献1では、このように、リンク部材を介して下方のワイヤの両端部をサイドフレーム側に取付けるため、後面衝突時における着座者の背中の十分な沈み込み量を確保できる。
【0004】
一方、特許文献1では、車両用シートのサイドフレームに、孔部を備えた脆弱部を形成し、後面衝突時等に衝撃エネルギーが加わった際に脆弱部を優先的に屈曲させ、衝撃エネルギーを効率よく吸収させるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−10453号公報(段落0036,0037,0039〜0042,0058〜0065,図2図3図7等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1等の受圧部材取付用のワイヤを、脆弱部の近くに取り付けようとすると、受圧部材及びワイヤが、脆弱部による衝撃吸収の効果に影響を与えてしまう虞があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、着座者の背中を支持する支持構造が、脆弱部による衝撃吸収の効果に影響を及ぼすことが抑制された車両用シート及びそのシートフレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、請求項1に係る発明によれば、シートバックフレームの左右側方に位置して上下方向に延びるサイドフレームを備えた車両用シートのシートフレームであって、前記サイドフレームは、前記左右のサイドフレーム間に架設され、前記シートのシートバックに掛かる着座者の背凭れ荷重を受ける受圧部材を取り付けるための取付部材を備え、前記取付部材には、シート左右方向に延在し、前方に湾曲した湾曲部が設けられており、前記サイドフレームは、側部に設けられた側板と、該側板の前端部からシート内側後方へ湾曲した前縁部と、前記側板の後端部からシート内側へ屈曲した後縁部と、を有し、前記取付部材は、前記サイドフレームの前記後縁部に対向する後縁部対向部を備え、前記湾曲部は、前記後縁部対向部に設けられていること、により解決される。
【0008】
このように構成しているため、後面衝突時に掛かる乗員の荷重を受圧部材が脆弱部に伝達することにより、サイドフレームの安定した変形モードを実現可能であると同時に、取付部材が、脆弱部による衝撃吸収の効果に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0010】
また、前記課題は、請求項2に係る発明によれば、シートバックフレームの左右側方に位置して上下方向に延びるサイドフレームを備えた車両用シートのシートフレームであって、前記サイドフレームは、前記左右のサイドフレーム間に架設され、前記シートのシートバックに掛かる着座者の背凭れ荷重を受ける受圧部材を取り付けるための取付部材を備え、前記取付部材には、シート左右方向に延在し、前方に湾曲した湾曲部が設けられており、前記取付部材は、前記受圧部材を係止する係止部と、前記サイドフレームに取り付けられる固定部と、を備え、前記湾曲部は、前記係止部よりもシート外側に設けられていること、により解決される。
【0011】
このとき、前記係止部と前記固定部とは、前記取付部材の長尺方向において同一線上に設けられていると好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、後面衝突時に掛かる乗員の荷重を受圧部材が脆弱部に伝達することにより、サイドフレームの安定した変形モードを実現可能であると同時に、取付部材が、脆弱部による衝撃吸収の効果に影響を及ぼすことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシートフレームの概略斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るシートバックフレームの背面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る脆弱部と取付部材の位置関係を示す背面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る脆弱部と取付部材の位置関係を示す前方斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る脆弱部と取付部材の位置関係を示す断面説明図である。
図7】本発明の変形例に係る脆弱部と取付部材の位置関係を示す前面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることはもちろんである。
また、本明細書において、後面衝突時における衝撃荷重とは、後面衝突時に生じる大きな荷重によるエネルギーであって、後方側からの乗物による大きな追突、後退走行時における大きな衝突等に伴うものであり、通常の着座時に生じる荷重と同様な荷重領域の荷重によるエネルギーは含まないものである。なお、ここで、通常の着座時に生じる荷重とは、着座するときに生じる着座衝撃、乗物の急発進によって生じる加速時の荷重などを含む。
本明細書において、車両とは、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物を含み、シートを装着できる移動用のものをいう。
また、左右方向,前後方向,上下方向,シート幅方向とは、それぞれ、車両用シートSの左右方向,前後方向,上下方向,左右の幅方向をいう。また、内側,外側とは、それぞれ、車両用シートSの内側,外側をいう。取付部材42,42´の長尺方向,幅方向とは、それぞれ、取付部材42,42´の長尺方向及び長尺方向に垂直な方向を意味し、取付部材42,42´をサイドフレーム15に取付けたときには、上下方向,水平方向となる。
【0015】
<<車両用シートSの基礎構成>>
図1乃至図6を参照して、本実施形態に係る車両用シートSについて説明する。
車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1及び着座部S2はシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。ヘッドレストS3は、不図示の芯材にクッションパッド3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。また符号19は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーである。
【0016】
車両用シートSのシートフレームは、図2で示すシートバックS1を構成するシートバックフレーム1と、着座部S2を構成する不図示の公知の着座フレームから構成されている。
シートバックS1は、シートバックフレーム1に、クッションパッド1aを載置して、クッションパッド1aの上から表皮材1bにより覆われており、乗員の背中を後方から支持するものである。そして、本実施形態に係るシートバックフレーム1は、後面衝突時等において衝撃荷重が加わった際に変形(後傾)して、その衝撃エネルギーを吸収することができるように構成されている。
【0017】
本実施形態において、シートバックフレーム1は、図2で示すように、略矩形状の枠体であり、サイドフレーム15と、上部フレーム16と、下部フレーム基礎部17及び下部フレーム架設部18とから構成される下部フレームとを備えている。
一対のサイドフレーム15は、左右方向に離間して配設され、上下方向に延在している。一対のサイドフレーム15の上端部側を連結する上部フレーム16が、サイドフレーム15から上方に延出している。上部フレーム16は、一方のサイドフレーム15から上方に延設された後、屈曲し、他方のサイドフレーム15まで延設されている。
【0018】
上部フレーム16は、図2で示すように、金属性パイプが略U字状に屈曲されてなる。側部16aは、上部フレーム16の両側で上下方向に延びて、サイドフレーム15の側板15aに対して上下方向に沿って一部が重なるように配設され、この重なり部分においてサイドフレーム15に固着接合される。
上部フレーム16のうち、左右方向に延出する上部には、図1のヘッドレストピラー19を取付けるためのピラー支持部19aが溶接固定されている。
【0019】
サイドフレーム15は、板金をプレス加工して成形され、上方よりも下方の幅が広くなるように湾曲した略板体からなる。図2で示すように、平板状の側板15aと、この側板15aの前端部からU字状に内側後方へ湾曲した前縁部15bと、後端部からL字状に内側へ屈曲した後縁部15cとを有している。
後縁部15cのシート幅方向内側の端部には、前方内側に向かって屈曲して延びるフランジ部15dが形成されている。
【0020】
左右一対の後縁部15cの下部には、図2図3に示すように、下方ほど幅が広くなった拡幅部15eが設けられている。拡幅部15eのシート内側の端部は、下方ほどシート内側に向かって傾斜している。サイドフレーム15は、拡幅部15eで、下部フレーム架設部18に連続している。
サイドフレーム15の下部であって、拡幅部15eよりも若干上方のシート外側後端には、図2に示すように、後面衝突時等においてサイドフレーム15の座屈の起点となる脆弱部30が、左右のサイドフレーム15に、左右対称になるように形成されている。脆弱部30は、孔部31と、孔部31の周囲に形成される凸部32とから構成されている。
孔部31は、図4に示すように、サイドフレーム15の下部であって、側板15aと後縁部15cとが交わる位置に形成され、側板15aの中央より後方の位置から後縁部15cの中央より外側の位置にかけて、細長く水平に延びる帯状の貫通孔からなる。
【0021】
サイドフレーム15の孔部31の周囲の部分には、孔部31を取り囲むように、帯状に延びる凸部32が形成されている。
凸部32は、孔部31よりも幅広の領域が、サイドフレーム15の他の部分の面よりもシート内側又はシート前方に向かって湾曲して突出してなる。凸部32は、側板15aの孔部31のシート前方の端部よりも前方の位置から、後縁部15cの孔部31のシート内側の端部よりも内側寄りの位置にかけて略水平に延びている。
つまり、孔部31は、凸部32の最も突出した位置に設けられている。
側板15aの前部であって、脆弱部30と同じ高さの位置には、前縁部15bに沿って、ビード15fが設けられている。ビード15fは、側板15aの面がシート内側に向かって湾曲して突出してなる。
【0022】
<<受圧部材20の構成>>
両側のサイドフレーム15の間であって、シートバックフレーム1で区画される内側領域には、クッションパッド1aを後方から支える受圧部材20と、受圧部材20をサイドフレーム15に連結するワイヤ21,22が配設されている。
【0023】
本実施形態の受圧部材20は、樹脂を板状の略矩形状に形成した部材であり、クッションパッド1aと接する側の表面には滑らかな凹凸が形成されている。受圧部材20の背面の上部側と下部側には、図3で示すように、ワイヤ21,22を係止するための爪部21n,22nが形成されている。
【0024】
本実施形態の受圧部材20は、クッションパッド1aの背面で、ワイヤ21,22に支持されている。
ワイヤ21,22は、両側のサイドフレーム15間に架設されている。ワイヤ21,22は、受圧部材20の裏側の上部側と下部側で、爪部21n,22nによって受圧部材20と係合することにより、受圧部材20を支持している。ワイヤ21,22は、ばね性を有するスチール線材から形成されている。
【0025】
特に本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、上方に位置するワイヤ21は、下方に位置するワイヤ22よりも細いワイヤで構成されている。これにより、受圧部材20は下方と比較して上方が後方へより移動しやすくなっている。
【0026】
また、ワイヤ22は太い線材で構成されるため、剛性が高く、通常の着座時は変形しにくい。したがって、通常の着座時、細い線材からなるワイヤ21によって支持される受圧部材20の上部は後方へ移動しやすく、太い線材からなるワイヤ22によって支持される受圧部材20の下部の後方への移動量は制限される。その結果、通常の着座時においては受圧部材20の上部は適度に後方へ沈み込み、下方は乗員の身体を支持するため、着座感が損なわれることがない。
【0027】
ワイヤ21,22は、屈曲又は湾曲された略W字状又は弓状に形成されていることによって、所定以上の荷重によって変形し、受圧部材20が、より多くの移動量をもって後方へ動くように構成されている。
【0028】
図2で示すように、本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、上部側に係止されたワイヤ21の両端部は、取付部材41に掛着されている。一方、下部側に係止されたワイヤ22の両端部は、取付部材42に掛着されている。
取付部材41は、両側のサイドフレーム15のうち、上部フレーム16の下端に近い位置に設けられており、取付部材42は、左右のサイドフレーム15の下部であって、側板15aの幅広の部分の上方に装着されている。
なお、本実施形態では、クッションパッド1aを後方から支える受圧部材として、樹脂製板状の受圧部材20及びワイヤ21,22を用いているが、これに限定されるものではなく、公知のSバネ等の弾性部材や、帯状の金属製又は樹脂製の板体であって、長尺方向の少なくとも一部を蛇腹状等に構成したものを用いてもよい。従って、本実施形態のように、取付部材41,42に、ワイヤ等の連結具を介して受圧部材を連結してもよいし、受圧部材を直接取付部材41,42に取付けてもよい。
【0029】
<<取付部材41,42の構成>>
取付部材41は、上方のワイヤ21の端部をサイドフレーム15に係止するために用いられるものであって、略長方形の板金が曲げ加工されてなる。
取付部材41は、図2に示すように、長尺方向の一端側で、側板15aのシート内側の面に当接して固定される側板固定部と、側板固定部のシート後方の端部で折曲げられて、シート内側に向かって延びるJフック部と、を備えている。Jフック部には、シート幅方向の中央側から延びるワイヤ21の端部が係止されている。
なお、本実施形態では、取付部材41を側板15aのみに固定しているが、側板固定部の後方端部の角部に固定してもよい。この場合、側板固定部から、サイドフレーム15の後方外側の屈曲部の内面形状に沿うように折曲げられて、後縁部15cに当接して固定される後縁部固定部を備えるように構成し、この後縁部固定部で、後縁部15cにも溶接固定するようにしてもよい。
【0030】
取付部材42は、下方のワイヤ22の端部をサイドフレーム15に係止するために用いられるものであって、略長方形の板金が曲げ加工されてなる。
取付部材42は、サイドフレーム15の後縁部15cのシート前方の面に対向する後縁部対向部42aと、後縁部対向部42aの平面部分に対して鈍角に屈曲された第一屈曲部42bと、第一屈曲部42bからシート前方内側に向かって延びる平面板状部分からなるフランジ対向部42cと、フランジ対向部42cの後縁部対向部42a逆側で、第一屈曲部42bとは逆方向にフランジ対向部42cの平面に対して鈍角に屈曲された第二屈曲部42dと、第二屈曲部42dから、後縁部対向部42aから遠ざかる方向に向かって平面板状の内側延出部42hが延び、その端部が後縁部対向部42a逆側にJ字状に湾曲した係止部42eと、を一体として連続して備えている。
【0031】
後縁部対向部42aは、図5図6に示すように、取付部材42の幅方向の一端側が、平面板状からなる固定部42fとなっており、他端側が、取付部材42の幅方向に湾曲した湾曲部42gとなっている。湾曲部42gは、取付部材42の長尺方向において同じ断面形状をしており、取付部材42の長尺方向に沿って延びる円筒を、軸方向に沿った二つの異なる切断面で切断したような形状からなる。
第一屈曲部42bと第二屈曲部42dは、いずれも直線状に延びている。第一屈曲部42bと第二屈曲部42dとは、取付部材42の幅方向において湾曲部42g側が遠くなるように、相互に鈍角の角度を持って傾斜している。
係止部42eは、Jフックからなり、第二屈曲部42dから延びる平面板状の内側延出部42hと、内側延出部42hの端部でJ字状に湾曲して延びる端部42iと、を備えている。内側延出部42h及び端部42iと、固定部42fとは、図6に示すように、下方が離間するように相互に鈍角の角度を持って傾斜している。
また、湾曲部42gは、フランジ対向部42cまで連続している。
【0032】
取付部材42は、図2図6に示すように、サイドフレーム15のシート前方内側の面であって、脆弱部30が設けられた位置に取り付けられている。取付部材42は、後面衝突時に座屈によってサイドフレーム15の脆弱部30上方が傾斜する方向と逆側の面となる前方の面に、取付けられている。
取付部材42は、後縁部対向部42aが後縁部15cに、第一屈曲部42bが後縁部15cとフランジ部15dとの間の屈曲部に、フランジ対向部42cがフランジ部15dに、それぞれ対向するように配置され、固定部42fにおいて、後縁部15cの脆弱部30より上方で凸部32の上端に隣接した位置に溶接固定されている。固定部42fは、脆弱部30を避けた位置に配置されており、脆弱部30の剛性が向上することを抑制するため、脆弱部30の領域内では、取付部材42との固定が行われないようになっている。
図6のように、固定部42f及び第一屈曲部42bは、後縁部15cに平行であり、第二屈曲部42d,内側延出部42h,端部42iは、後縁部15cに対して、下方が離間するように鈍角の角度を持って傾斜している。また、フランジ対向部42cは、フランジ部15dに平行である。
【0033】
係止部42eは、フランジ部15dよりもシート内側に突出しており、フランジ部15dよりもシート内側に突出した位置で、ワイヤ22が係止されるようになっている。
また、取付部材42は、固定部42fにおいて後縁部15cに取付けられ、フランジ対向部42cがフランジ部15dに沿って前方内側に突出してから、再度内側に向かって屈曲し、サイドフレーム15よりもシート内側に突出している。
図6に示すように、後縁部対向部42aは、上部の固定部42fで後縁部15cに溶接固定されると共に、下部の湾曲部42gは、後縁部15cから自由な状態の自由端となっている。また、湾曲部42gは、凸部32のうち後縁部15cに形成された部分との間に、隙間を置いて離間して配置されている。湾曲部42gの曲率半径は、凸部32の曲率半径よりも大きく構成されているが、これに限定されるものではない。
【0034】
湾曲部42gは、シート外側の端部側の部分が、図4図5に示すように、孔部31のうち、後縁部15cに設けられた部分のうちの一部であって、シート内側の端部側の部分を被覆するように重ねて配置されている。
本実施形態の取付部材42は、リンク機構等を持たないため、取付部材42を介して受圧部材20及びワイヤ22をサイドフレーム15側に取付けたとき、ワイヤ22の係止部とサイドフレーム15との位置関係は、不変で、固定された状態となる。
【0035】
以上のような位置関係で、脆弱部30,取付部材42,受圧部材20が形成されていることにより、後面衝突時等において、サイドフレーム15が、曲げ,圧縮,伸びなど複雑な入力荷重が発生して複雑に変形することを抑制し、安定した変形モードを実現可能である。
つまり、後面衝突時等において、まず、慣性力によって乗員が急激に後方移動し、乗員の上体の荷重が受圧部材20に掛かる。受圧部材20に連結されたワイヤ21,22の弾力により、乗員の上体が後傾し、ワイヤ21,22,取付部材42を介して、シート後方への力がサイドフレーム15に伝達される。サイドフレーム15には、脆弱部30が設けられているため、脆弱部30の凸部32が前方に湾曲されているのにガイドされ、孔部31が起点となって、サイドフレーム15のうち孔部31よりも上方の部分が、後方へ座屈する。
【0036】
<<取付部材の変形例>>
上記実施形態では、図5図6に示すように、取付部材42が、脆弱部30の上方のみでサイドフレーム15側に固定されているが、図7のように、脆弱部30の上方及び下方で固定されていてもよい。
図7の例では、取付部材42´は、湾曲部42g´の取付部材42´幅方向両側に、一対の固定部42f´,42j´を備えている。
固定部42f´,42j´は、いずれも、取付部材42´幅方向の端部に、平面板状の部分として設けられ、取付部材42´幅方向で固定部42f´,42j´に挟まれた位置に、フランジ対向部42c´が突出する側に突出する略半円筒状の湾曲部42g´が形成されている。湾曲部42g´の半円筒形状の軸は、取付部材42´の長尺方向に沿っている。
【0037】
湾曲部42g´には、取付部材42´の幅方向の中央に、湾曲部42g´の半円筒形状の軸に沿って、取付部材42´の脆弱部であるスリット42k´が形成されている。スリット42k´は、湾曲部42g´の取付部材42´長尺方向の端部から、湾曲部42g´を経て、フランジ対向部42c´の第二屈曲部42d´寄りの位置まで延びている。
このように、スリット42k´が形成されていることにより、衝撃荷重により、サイドフレーム15の脆弱部30より上方の部分が後傾した場合に、取付部材42´も、スリット42k´の部分で同じ方向に座屈するため、脆弱部30による衝撃吸収の効果に影響を与えることが抑制される。
また、後縁部対向部42a´は、固定部42f´,湾曲部42g´だけでなく、固定部42j´も、取付部材42´の幅方向に配列されてなるため、ワイヤ22が係止される係止部42e´の取付部材42´の幅よりも幅広になっており、フランジ対向部42c´の下端が、第一屈曲部42b´側よりも第二屈曲部42d´側が取付部材42´の幅方向内側に位置するように、取付部材42´の長尺方向に対して傾斜している。
【0038】
本例の取付部材42´は、図7に示すように、湾曲部42g´が、凸部32に対向するように、サイドフレーム15の後縁部15cからフランジ部15dにかけての位置に配置され、後縁部15cの凸部32を挟んだ上下の位置に、固定部42f´,42j´が溶接固定されている。
このとき、スリット42k´は、シート前後方向において、孔部31の一部と対向している。また、スリット42k´のうち、フランジ対向部42c´に設けられた部分と、孔部31及び凸部32のうち、側板15aに設けられた部分とが、上下方向において同じ高さに形成され、相互に対向している。
後縁部対向部42a´の上端及び下端は、脆弱部30に沿って配置されている。このように構成しているため、脆弱部30でのサイドフレーム15の変形がし易くなり、衝撃吸収効果が向上される。
本例では、このように、脆弱部30を挟んだ上下二箇所で取付部材42´を溶接固定するため、取付部材42´の取付剛性を向上できる。
本例の他の構成は、図1図6に示した実施形態の取付部材42及びシートSの構成と同様であるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0039】
S 車両用シート、S1 シートバック、S2 着座部、
S3 ヘッドレスト、F シートフレーム、
1 シートバックフレーム、2 着座フレーム、
1a,2a,3a クッションパッド、
1b,2b,3b 表皮材、15 サイドフレーム、
15a 側板、15b 前縁部、
15c 後縁部、15d フランジ部、
15e 拡幅部、15f ビード、16 上部フレーム、 16a 側部、
17 下部フレーム基礎部、18 下部フレーム架設部、
19 ヘッドレストピラー、19a ピラー支持部、
20 受圧部材、 21,22 ワイヤ、21n,22n 爪部、
30 脆弱部、31 孔部、32 凸部、
41,42,42´ 取付部材、42a,42a´ 後縁部対向部、
42b,42b´ 第一屈曲部、42c,42c´ フランジ対向部、
42d,42d´ 第二屈曲部、42e,42e´ 係止部、
42f,42f´,42j´ 固定部、42g,42g´ 湾曲部、
42h 内側延出部、42i 端部、42k´ スリット
図1
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図6
図7