特許第6396572号(P6396572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396572
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】車両用サイドカーテンエアバッグ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2342 20110101AFI20180913BHJP
   B60R 21/232 20110101ALI20180913BHJP
【FI】
   B60R21/2342
   B60R21/232
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-501353(P2017-501353)
(86)(22)【出願日】2015年4月8日
(65)【公表番号】特表2017-521313(P2017-521313A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】KR2015003539
(87)【国際公開番号】WO2016010233
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年2月1日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0088489
(32)【優先日】2014年7月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510136301
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】キム、チ ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ヨン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】クワン、テ イク
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−001197(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/111073(WO,A1)
【文献】 特開2014−037159(JP,A)
【文献】 特開2012−214114(JP,A)
【文献】 特開2015−066997(JP,A)
【文献】 特開2006−137413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内部側面に沿って膨張および展開する一連のメインチャンバと、
前記メインチャンバの前側に配置され、前記車両の内部に向かって前記メインチャンバよりも更に突出する突出チャンバと、
エアバッグの非膨張時に前記突出チャンバが前記メインチャンバの一部と重複するように、前記突出チャンバを前記メインチャンバから部分的に切り離すために前記メインチャンバと前記突出チャンバとの間に配設される切断線と
前記車両のフロントピラーから下向きに展開するように、前記メインチャンバの前端部から前記車両の前側に向かって延在する最前チャンバとを備え、
前記突出チャンバは、突出チャンバ壁によって画定され、前記メインチャンバと前記最前チャンバとの間に配置され、
前記突出チャンバ壁は、前記エアバッグの下方部分から上向きに突出する縦壁と、前記縦壁の上端部から前記車両の前記前側に向かって延在し、前記カーテンエアバッグの上方端部から所定の距離だけ離間する横壁とを備え、
前記切断線は、前記縦壁および前記横壁の周囲の非膨張領域内に形成されることを特徴とするサイドカーテンエアバッグ。
【請求項2】
前記横壁の上側の非膨張領域内の第1の上方点および第2の上方点は、前記横壁の上側の上方部分が少なくとも1つの折り畳み線を通って折り畳まれた後に、第1の接続手段によって互いに連結され、
前記メインチャンバの下側の非膨張領域内の第1の下方点および前記突出チャンバの下側の非膨張領域内の第2の下方点は、前記突出チャンバおよび前記メインチャンバが互いに重複した後に、第2の接続手段によって互いに連結される、請求項に記載のエアバッグ。
【請求項3】
前記第1の下方点は、前記車両の後側に向かって前記第1の上方点から第1の距離だけ離間した位置に配置され、
前記第2の下方点は、前記車両の前記前側に向かって前記第2の上方点から第2の距離だけ離間した位置に配置される、請求項に記載のエアバッグ。
【請求項4】
前記横壁の上側の前記上方部分は、前記第2の上方点が前記車両の後方向に移動するようにジグザグ方向に折り畳まれる、請求項に記載のエアバッグ。
【請求項5】
前記突出チャンバは、前記突出チャンバの前側が、前記車両のハンドル本体から膨張および展開する運転席側のエアバッグによって支持されるように構成される、請求項1乃至4の何れか1項に記載のエアバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の側面衝突または横転時に車両の内部側面に沿って膨張および展開するように構成される、車両用サイドカーテンエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には高いレベルの安全性能が求められている。この傾向は、世界中の国々に共通であり、現在、ほとんどの車両は、車両用安全装置としてエアバッグを標準装備している。車両の開発に従事する企業は、継続的な安全性の向上を主要な開発ガイドラインとして採用している。これに伴って、新しいエアバッグが継続的に開発されている。
【0003】
車両の安全性を評価するための基準は国ごとに異なり、企業は、製品が複数の国の評価基準を満たすことができるように製品開発に取り組んでいる。例えば、自動車保有台数が世界最大である米国では、国家道路交通安全局(NHTSA)から連邦政府自動車安全基準(FMVSS)が公布されている。FMVSSの規則制定提案告示(NPRM)において、「側面衝突または横転した場合に、放出防止システムを使用して、乗員がサイドウィンドウから車外に放出される可能性を減少する」ことを目的とした要件が提案されている。この要件は、サイドカーテンエアバッグが放出防止システムを構成するように、車両からの放出を減少させることを目的とする装置としてサイドカーテンエアバッグを提供することにより、満たすことができる。
【0004】
車両用サイドカーテンエアバッグは、車両衝突時に膨張および展開するように車内の上方端部に横方向に長く設置される。サイドカーテンエアバッグは、車両の横転および側面衝突時に高いレベルの安全性能を提供する。
【0005】
衝突信号に応じてインフレータが作動すると、インフレータから発生したガスがカーテンエアバッグに導入されてカーテンエアバッグを膨張させ、膨張したカーテンエアバッグが車内で展開して車両衝突から乗員を保護する。
【0006】
一般に、インフレータから発生したガスが膨張可能なチャンバ内に流入して膨張可能なチャンバを膨張させるように、インフレータは、カーテンエアバッグの上方後部分または中心部分に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、乗員が投げ出されるのを早期に防止するために、車両の側面衝突または横転時に、車両のサイドウィンドウに沿って膨張および展開するメインチャンバに対して車両の内部に向かってさらに突出する突出チャンバを含む、車両用サイドカーテンエアバッグを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、乗員の頭部が、カーテンエアバッグと運転席側のエアバッグとの間の間隙を通って車両の前側に向かって投げ出されるのを防止するために、カーテンエアバッグと運転席側のエアバッグとの間の間隙を塞ぐことができる車両用サイドカーテンエアバッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、車両用カーテンエアバッグが提供される。エアバッグは、車両の内部側面に沿って膨張および展開する一連のメインチャンバと、メインチャンバに対して車両の内部に向かってさらに突出するように、メインチャンバの前側に配置される突出チャンバと、エアバッグの非膨張時に突出チャンバがメインチャンバの一部と重複するように、突出チャンバをメインチャンバから部分的に切り離すためにメインチャンバと突出チャンバとの間に配設される切断線とを含む。
【0010】
エアバッグは、車両のフロントピラーから下向きに展開するように、メインチャンバの前端部から車両の前側に向かって延在する最前チャンバをさらに含んでもよく、突出チャンバは、メインチャンバと最前チャンバとの間に配置されてもよい。
【0011】
突出チャンバは、突出チャンバ壁によって画定されてもよく、突出チャンバ壁は、エアバッグの下方部分から上向きに突出する縦壁と、縦壁の上端部から車両の前側に向かって延在し、カーテンエアバッグの上方端部から所定の距離だけ離間する横壁とを含んでもよく、切断線は、縦壁および横壁の周囲の非膨張領域内に形成されてもよい。
【0012】
横壁の上側の非膨張領域内の第1の上方点および第2の上方点は、横壁の上側の上方部分が少なくとも1つの折り畳み線を通って折り畳まれ得た後に、第1の接続手段によって互いに連結されてもよく、メインチャンバの下側の非膨張領域内の第1の下方点および突出チャンバの下側の非膨張領域内の第2の下方点は、突出チャンバおよびメインチャンバが互いに重複した後に、第2の接続手段によって互いに連結されてもよい。
【0013】
第1の下方点は、車両の後側に向かって第1の上方点から第1の距離だけ離間した位置に配置されてもよく、第2の下方点は、車両の前側に向かって第2の上方点から第2の距離だけ離間した位置に配置されてもよい。
【0014】
横壁の上側の上方部分は、第2の上方点が車両の後方向に移動するようにジグザグ方向に折り畳まれてもよい。
【0015】
突出チャンバは、突出チャンバの前側が、車両のハンドル本体から膨張および展開する運転席側のエアバッグによって支持されるように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によれば、突出チャンバによって、車両衝突時に乗員の頭部が車両の前側に向かって投げ出されるのが早期に防止される。
【0017】
本発明の実施形態によれば、エアバッグの膨張時に、突出チャンバが運転席側のエアバッグによって支持される。したがって、カーテンエアバッグと運転席側のエアバッグとの間の間隙が塞がれ、それによって乗員の頭部を保護する効果を高める。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による車両用サイドカーテンエアバッグの構成を示す側面図である。
【0019】
図2】本発明の実施形態による膨張していない車両用サイドカーテンエアバッグの拡張状態を示す図である。
【0020】
図3図2の線III−IIIに沿った断面図である。
【0021】
図4図2の突出チャンバが形成される部分が完全に拡張された状態を示す図である。
【0022】
図5】本発明の実施形態に従って、車両用サイドカーテンエアバッグの突出チャンバが拡張された状態を示す部分側面図である。
【0023】
図6】本発明の実施形態に従って、車両用サイドカーテンエアバッグの突出チャンバがメインチャンバと重複した状態を示す部分側面図である。
【0024】
図7】本発明の実施形態に従って、車両用サイドカーテンエアバッグの膨張状態を示す図である。
【0025】
図8図7の線VIII−VIIIに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
これ以降、添付の図面を参照して、本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例が実現され得る。本発明の実施形態は、本発明の開示を完全なものにし、当業者に本発明の範囲を完全に理解させるために提供される。
【0027】
以下の説明において、横方向は、車両の前後方向を指し、それに沿って本発明の実施形態によるサイドカーテンエアバッグが設置され、縦方向は、車両の上下方向を指し、それに沿って本発明の実施形態によるサイドカーテンエアバッグが車内で展開する。
【0028】
これ以降、本発明の種々の例示的な実施形態による車両用サイドカーテンエアバッグについて記載するが、それらは実質的に、車両のフロントピラーからリアピラーに延在するように折り畳まれた状態でルーフパネルの側方部分に設置され、そうすることで、側面衝突または横転時に、サイドカーテンエアバッグが車両の内部側面に沿ってカーテン状に膨張および展開する。
【0029】
車両は、車両のルーフを支持するために少なくとも2つのピラーを含む。セダン型車両は3つのピラーを含み、その3つのピラーは、通常、Aピラー、Bピラー、およびCピラーと称される。一方で、ワゴン型車両は、車両のバックドアに隣接するDピラーをさらに含む。これ以降、一例として、3つのピラーを含むセダン型車両について記載する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態による車両用サイドカーテンエアバッグの構成を示す側面図である。
【0031】
図1を参照すると、サイドカーテンエアバッグ装置1は、車体10の窓の上側の上方縁部に位置するルーフサイドレール3に、横方向に沿って拡張状態で設置される。
【0032】
車体10は、フロントピラー11、センターピラー13、リアピラー15、ならびにピラー11、13、および15のそれぞれの上方端部に連結されたルーフサイドレール17を含む。ルーフサイドレール17は、車両10の前後方向に沿って延在し、ルーフ19を支持する。ルーフサイドレール17は、ルーフ19の縁部に沿って設置される。
【0033】
車体10は、フロントピラー11とセンターピラー13との間に設置されるフロントサイドドア21と、センターピラー13とリアピラー17との間に設置されるリアサイドドア22とを含む。フロントウィンドウ23は、フロントサイドドア21の上方部分に配設され、リアウィンドウ24は、リアサイドドア22の上方部分に配設される。
【0034】
サイドカーテンエアバッグ装置1は、ルーフサイドレール17に設置される。サイドカーテンエアバッグ装置1は、フロントサイドウィンドウ23およびリアサイドウィンドウ24の上方縁部に沿って、折り畳まれた状態でルーフサイドレール17に取り付けられるサイドカーテンエアバッグ100(これ以降、「エアバッグ」と称される)と、車両衝突時にガスを発生するためのインフレータ3とを含む。
【0035】
インフレータ3は、エアバッグ100の上方中心部分に連結される。別の実施形態において、インフレータ3は、エアバッグ100の上方後端部または上方前端部に連結されてもよい。
【0036】
所定のレベルを超える衝撃が車両10の側方部に加わると、インフレータ3からガスが発生し、インフレータ3から発生したガスがエアバッグ100に供給される。エアバッグ100は、フロントサイドウィンドウ23およびリアサイドウィンドウ24に沿って下向きに展開する。
【0037】
図2は、本発明の実施形態による膨張していないサイドカーテンエアバッグの拡張状態を示す側面図であり、図3は、図2の線III−IIIに沿った断面図である。
【0038】
図2および図3を参照すると、エアバッグ100は、互いに向き合うインナーパネル101およびアウターパネル103を含む。インナーパネル101およびアウターパネル103は、気密性および可撓性を有する材料を含む。上方壁105、下方壁106、前壁107、および後壁108は、インナーパネル101およびアウターパネル103の縁部に沿って形成され、その中をガスが流れる基本チャンバを形成する。
【0039】
エアバッグ100は、エアバッグ100の膨張時に、フロントサイドウィンドウ23およびリアサイドウィンドウ24等の車両の内部側面に沿って展開する一連のメインチャンバ110と、メインチャンバ110に対して車両の内部に向かって突出する少なくとも1つの突出チャンバ130とを含む。
【0040】
突出チャンバ130は、車両衝突時に、乗員の頭部が車両の前側に向かって投げ出されるのを早期に防止するように構成される。
【0041】
エアバッグ100は、メインチャンバ110の前端部から車両の前側に向かって延在する最前チャンバ150をさらに含む。最前チャンバ150は、車両のフロントピラー11から下向きに膨張および展開する。
【0042】
突出チャンバ130は、メインチャンバ110と最前チャンバ150との間に介在するため、エアバッグ110の膨張および展開時に、突出チャンバ130は、メインチャンバ110および最前チャンバ150に対して車両の内部に向かってさらに突出する。
【0043】
突出チャンバ130は、メインチャンバ110の前方部分と部分的に重複するように構成される。本発明の別の実施形態において、車両の後部座席に座っている乗員の頭部が車両の前方に向かって投げ出されるのを防止することができるように、突出チャンバ130は、車両の後部座席側に配置されてもよい。
【0044】
例えば、メインチャンバ110は、車両の前側に配置されるフロントチャンバ111、車両のセンターピラー13に実質的に対応する中間チャンバ113、および車両の後側に配置されるリアチャンバ115を含む。
【0045】
突出チャンバ130は、フロントチャンバ111のインナーパネル101と重複するように構成される。この構成によって、エアバッグの早期展開時に、突出チャンバ130は、車両の後側に向かって突出しながら展開する。したがって、乗員の頭部が車両の前側に向かって投げ出されるのを早期に防止することができる。
【0046】
フロントチャンバ111、中間チャンバ113、およびリアチャンバ115は、メインチャンバ壁201、203、および205によって画定される。最前チャンバ150および突出チャンバ130は、突出チャンバ壁220によって画定される。中間チャンバ113は、車両のセンターピラー13に隣接して配置され、実質的に四角い形状を有する閉鎖チャンバ壁207によって画定される「U字」形状を実質的に含む。
【0047】
メインチャンバ壁201、203、および205、突出チャンバ壁220、ならびに閉鎖チャンバ壁207は、インナーパネル101およびアウターパネル103が互いに重複した後に、インナーパネル101およびアウターパネル103を縫合または接合することによって形成されてもよい。代替として、メインチャンバ壁201、203、および205、突出チャンバ壁110、ならびに閉鎖チャンバ壁207は、一枚織りスキームを用いて形成されてもよい。
【0048】
メインチャンバ壁201、203、および205は、下方壁106から所定の長さだけエアバッグ100の上方部分に向かって突出する。メインチャンバ壁201、203、および205の上端部は、フロントチャンバ111、中間チャンバ113、およびリアチャンバ115の上方部分が開放するように、所定の距離だけ上方壁105から離間している。
【0049】
突出チャンバ壁220は、下方チャンバ壁106から上向きに延在する縦壁221と、縦壁221の上方端部から車両の前側に向かって延在し、エアバッグ100の上方壁105から所定の距離だけ離間した横壁223とを含む。縦壁221は、縦壁221の上方端部が実質的に車両の後側に向かって湾曲するように構成される。
【0050】
横壁223は、開放部Oが形成されるように下方壁106から所定の距離だけ離間しており、これにより突出チャンバ130が最前チャンバ150と流体連通することが可能となる。
【0051】
接続チャンバ160は、横チャンバ223によって突出チャンバ130の上側に形成される。接続チャンバ160は、フロントチャンバ111が最前チャンバ150と流体連通することを可能にする。この構成によって、ガスが最前チャンバ150を介して突出チャンバ130に流入する。
【0052】
突出チャンバ壁220は、メインチャンバ110のインナーパネル101上に置かれ、メインチャンバ壁201は、突出チャンバ130の外側に配置される。この構成によって、メインチャンバ110のフロントチャンバ111が、最前チャンバ150に実質的に隣接する。
【0053】
後に記載する、突出チャンバ130の上側の上方非膨張領域A1内の2つの点は、第1の接続手段251によって互いに接続され、後に記載する、突出チャンバ130の下側の下方非膨張領域A2内の2つの点は、第2の接続手段253によって互いに接続される。結果として、第1の接続手段251および第2の接続手段253が配設される2つの点は、エアバッグの膨張時に突出チャンバ130のヒンジ点となる。
【0054】
フロントストラップ191の一方の端部は、エアバッグ100の前端部の中央部分に連結され、フロントストラップ191の反対側の端部は、フロントピラー11等の車両の前部車体に連結される。フロントストラップ191は、エアバッグ100に横方向の張力を与え、それによってエアバッグ100の展開時にエアバッグ100が車両の後側に向かって展開するのを防止する。
【0055】
図4は、図2の突出チャンバが形成される部分が完全に拡張された状態を示す図である。
【0056】
図4を参照すると、エアバッグの初期製造時に、メインチャンバ110、突出チャンバ130、および最前チャンバ150が、重複しないように同じ平面上に置かれる。
【0057】
切断線261は、メインチャンバ110と突出チャンバ130との間の非膨張領域A3内に形成される。切断線261は、メインチャンバ110のフロントチャンバ111を画定するフロントチャンバ壁201と、突出チャンバ130を画定する突出チャンバ壁220との間の非膨張領域A3内に形成される。
【0058】
切断線261は、突出チャンバ130が、メインチャンバ110のインナーパネル101と重複できるようにする。
【0059】
第1の上方点P1および第2の上方点P2は、突出チャンバ130の上側の上方非膨張領域A1内に提供され、第1の下方点P3および第2の下方点P4は、突出チャンバ130の下側の下方非膨張領域A2内に提供される。
【0060】
第1の下方点P3は、第1の上方点P1から車両の後側に向かって第1の距離L1だけ離間した位置に配置され、第2の下方点P4は、第2の上方点P2から車両の前側に向かって第2の距離L2だけ離間した位置に配置される。
【0061】
本発明の別の実施形態において、第1の上方点P1および第1の下方点P3は、同じ縦線上に配置されてもよく、第2の上方点P2および第2の下方点P4は、同じ縦線上に配置されてもよい。
【0062】
図5は、本発明の実施形態に従って、車両用サイドカーテンエアバッグの突出チャンバが拡張された状態を示す部分側面図であり、図6は、本発明の実施形態に従って、車両用サイドカーテンエアバッグの突出チャンバがメインチャンバと重複した状態を示す部分側面図である。
【0063】
図2および図5を参照すると、最初に、エアバッグが初期に製造されるとき、インナーパネル101は、アウターパネル103の上に置かれる。
【0064】
次に、上方壁105および下方壁106、前壁107および後壁108、メインチャンバ壁201、203、および205、突出チャンバ壁220、ならびに閉鎖チャンバ壁207が形成される。これらの壁は、縫合、接合、および一枚織りスキーム等の種々のスキームによって形成されてもよい。
【0065】
図5を参照すると、突出チャンバ130の上側の上方部分、すなわち、接続チャンバ160が形成される部分は、ひだ織りスキーム等の折り畳みスキームによって折り畳まれる。
【0066】
最初に、第1の上方点P1と第2の上方点P2との間の接続チャンバ160部分が、第1の上方点P1および第2の上方点P2が互いに重複するように、ジグザグ矢印方向Bの少なくとも2つの折り畳み線F1およびF2を通って折り畳まれる。
【0067】
図6を参照すると、突出チャンバ130が切断線261によってメインチャンバ110のフロントチャンバ111から部分的に切り離されているため、エアバッグ100の接続チャンバ160部分が折り畳まれると、突出チャンバ130は、メインチャンバ110のフロントチャンバ111と重複する。結果として、第1の下方点P3および第2の下方点P4が互いに重複する。さらに、フロントチャンバ111を画定するフロントチャンバ壁201は、実質的に突出チャンバ130の外側に配設される。したがって、フロントチャンバ111は、最前チャンバ150に隣接する。
【0068】
前述のように互いに重複する第1の上方点P1および第2の上方点P2は、第1の接続手段251によって互いに接続される。互いに重複する第1の下方点P3および第2の下方点P4は、第2の接続手段253によって互いに接続される。
【0069】
ここでは、第1の下方点P3は、第1の上方点P1から車両の後側に向かって第1の距離L1だけ離間した位置に配置され、第2の下方点P4は、第2の上方点P2から車両の前側に向かって第2の距離L2だけ離間した位置に配置される。したがって、第1の下方点P3および第2の下方点P4が互いに重複し、第1の下方点P3および第2の下方点P4が第2の接続手段253によって互いに連結されると、突出チャンバ130部分は、第1の上方点P1および第2の上方点P2が第1の接続手段251によって互いに連結される接続点の周りを時計回りに回転する。
【0070】
この構成によって、カーテンエアバッグの展開時に、突出チャンバ130が車両の内部に向かって突出するという特徴が改善され、それによって乗員の頭部が車両の前側に向かって投げ出されるのを防止する効果を高める。
【0071】
第1の接続手段251および第2の接続手段253は、縫合線、接合線、無線周波数溶接線、ヒートシール線等を含む。
【0072】
以下の説明において、第1の上方点P1および第2の上方点P2が第1の接続手段25によって互いに連結される点は、「上方ヒンジ点H1」と称され、第1の下方点P3および第2の下方点P4が第2の接続手段253によって互いに連結される点は、「下方ヒンジ点H2」と称される。これ以降、前述のように構成されるサイドカーテンエアバッグの動作原理について記載する。
【0073】
図7は、本発明の実施形態に従って、車両用サイドカーテンエアバッグの膨張状態を示す図であり、図8は、図7の線VIII−VIIIに沿った断面図である。
【0074】
図7および図8を参照すると、車両の側面衝突または横転時には、最初に、車両に設けられたセンサ(図示せず)が衝撃を感知し、点火信号がインフレータ3に送信される。結果として、インフレータ3内のガス発生機が燃焼する。発生したガスは、エアバッグ100に供給される。インフレータ3からガスを受けると、エアバッグ100が車両の内部側面に沿って下向きに膨張および展開し、それによって乗員を保護する。
【0075】
インフレータ3から発生したガスは、エアバッグ100の前側および後側に向かって流れる。
【0076】
ガスは、車両の前側に向かって流れる一方で、中間チャンバ113の前方部分、フロントチャンバ111、そして次に最前チャンバ150へと流れ、そうすることで、中間チャンバ113、フロントチャンバ111、および最前チャンバ150が膨張および展開する。この場合、最前チャンバ150内のガスは、開放部Oを通って突出チャンバ130に流入する。
【0077】
さらに、ガスは、エアバッグの後側に向かって流れる一方で、中間チャンバ113の後方部分、そして次にリアチャンバ115へと流れ、そうすることで、中間チャンバ113およびリアチャンバ115が膨張および展開する(図2を参照)。
【0078】
前述のように、エアバッグの膨張および展開時に、突出チャンバ130は、フロントチャンバ111の膨張力によって車両の内部に向かって加圧される。結果として、突出チャンバ130は、車両の前側に向かって上方ヒンジ点H1および下方ヒンジ点H2の周りを若干回転しながら膨張する。
【0079】
突出チャンバ130は、エアバッグの初期膨張時にフロントチャンバ111のインナーパネル101と重複するように配置されるため、突出チャンバ130は、実質的に車両の後側に誘導されながら展開する。結果として、車両衝突時に、乗員の頭部(D:図7におけるダミーの頭部)が車両の前側に向かって投げ出されるのが早期に防止され、それによって乗員の頭部を効果的に保護する。
【0080】
本発明の実施形態において、突出チャンバ130は、ハンドル本体Wから車両の後側に向かって膨張および展開する運転席側のエアバッグ300によって支持されるように構成される。
【0081】
この構成によって、突出チャンバ130は、カーテンエアバッグ100と運転席側のエアバッグ300との間の間隙を塞ぎ、そうすることで、乗員の頭部がカーテンエアバッグ100と運転席側のエアバッグ300との間の間隙に挿入されるのを防止することができ、それによって乗員の頭部が車両の前側に向かって投げ出されるのを防止する。
【0082】
別の実施形態において、突出チャンバ130が膨張時に車両の前側に向かって誘導されるのを防止するために、突出チャンバ130は、テザー、紐、および他の同等の部材等の拘束部材によって拘束されてもよい。この構成において、乗員の頭部が車両の前側に向かって投げ出されるのが早期に防止される。
【0083】
本発明のさらに別の実施形態において、カーテンエアバッグは、切断線261なしで構成されてもよい。この場合、突出チャンバ130の部分は、実質的に、第1の上方点P1および第2の上方点P2が互いに重複し、第1の下方点P3および第2の下方点P4が互いに重複するように折り畳まれる。突出チャンバ130部分が折り畳まれた後、第1の上方点P1および第2の上方点P2は、第1の接続手段251によって互いに連結され、第1の下方点P3および第2の下方点P4は、第2の接続手段253によって互いに連結される。
【0084】
本発明の例示的な実施形態について記載してきたが、当業者が本発明を容易に実現するのに役立つ例示的な実施形態は、これらの例示的な実施形態および添付の図面に限定されるべきではないことを理解されたい。したがって、本発明の技術的精神から逸脱することなく、当業者によって種々の変更および修正が明らかに行われ得る。また、当業者によって容易に変更され得る部分は、これ以降に請求される本発明の主旨および範囲内であることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8