特許第6396574号(P6396574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6396574高強度Ni−Cr−Mo−W−Nb−Ti溶接用生成物、溶接方法およびこれを使用する溶着物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396574
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】高強度Ni−Cr−Mo−W−Nb−Ti溶接用生成物、溶接方法およびこれを使用する溶着物
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/30 20060101AFI20180913BHJP
   C22C 19/05 20060101ALI20180913BHJP
   B23K 9/23 20060101ALI20180913BHJP
   B23K 9/173 20060101ALI20180913BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20180913BHJP
   C22C 38/26 20060101ALN20180913BHJP
   C22C 38/38 20060101ALN20180913BHJP
【FI】
   B23K35/30 320Q
   C22C19/05 B
   B23K9/23 J
   B23K9/23 A
   B23K9/173 A
   !C22C38/00 301Z
   !C22C38/26
   !C22C38/38
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-503785(P2017-503785)
(86)(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公表番号】特表2017-515690(P2017-515690A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】US2015024138
(87)【国際公開番号】WO2015153905
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2017年9月22日
(31)【優先権主張番号】61/975,358
(32)【優先日】2014年4月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/989,188
(32)【優先日】2014年5月6日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516298191
【氏名又は名称】スペシャル メタルズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】SPECIAL METALS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】カイザー, サミュエル, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴリヒュー, ロナルド, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マンナン, サーワン, ケー.
【審査官】 静野 朋季
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−227693(JP,A)
【文献】 特開平11−050821(JP,A)
【文献】 特開2001−107196(JP,A)
【文献】 特開2013−052441(JP,A)
【文献】 米国特許第06544668(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/30
C22C 19/00−19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量パーセントで、17.0〜23.0%のクロム、5.0〜12.0%のモリブデン、3.0〜11.0%のタングステン、3.0〜5.0%のニオブ、0〜2.0%のタンタル、1.2〜3.0%のチタン、0.005〜1.50%のアルミニウム、0.0005〜0.100%の炭素、2.0%未満の鉄、5.0%未満のコバルト、および残部のニッケルからなり、該ニッケルは56.0〜65.0%である、溶接溶加材。
【請求項2】
最低3.5%のニオブ+タンタルを含む請求項1記載の溶接溶加材。
【請求項3】
最高6.0%のニオブ+タンタルを含む請求項1記載の溶接溶加材。
【請求項4】
ワイヤーの形態とされた請求項1乃至3のいずれか一項に記載の溶接溶加材。
【請求項5】
重量パーセントで、17.0〜23.0%のクロム、5.0〜12.0%のモリブデン、3.0〜11.0%のタングステン、3.0〜5.0%のニオブ、0〜2.0%のタンタル、1.2〜3.0%のチタン、0.005〜1.50%のアルミニウム、0.0005〜0.100%の炭素、8.0%未満の鉄、5.0%未満のコバルト、および残部のニッケルからなり、該ニッケルは56.0〜65.0%であり、
溶接された状態で、少なくとも72ksi(496MPa)の最小降伏強度を有する溶着物。
【請求項6】
最低3.5%のニオブ+タンタルを含む請求項5記載の溶着物。
【請求項7】
最高6.0%のニオブ+タンタルを含む請求項5記載の溶着物。
【請求項8】
分散された第2相粒子を含む構造を含む請求項5記載の溶着物。
【請求項9】
該第2相粒子の最大粒径が5μm未満である、請求項8記載の溶着物。
【請求項10】
溶着物の伸びは少なくとも20%である、請求項5記載の溶着物。
【請求項11】
溶着物の靱性は−50°F(−45.6℃)で少なくとも50Jである、請求項5記載の溶着物。
【請求項12】
重量パーセントで、56.0〜65.0%のニッケル、17.0〜23.0%のクロム、5.0〜12.0%のモリブデン、3.0〜11.0%のタングステン、3.0〜5.0%のニオブ、0〜2.0%のタンタル、1.2〜3.0%のチタン、0.005〜1.50%のアルミニウム、0.0005〜0.100%の炭素、2.0%未満の鉄、および5.0%未満のコバルトからなる、溶接溶加材を提供すること、
該溶接溶加材を溶融し冷却して、溶着物を作製すること、及び
溶接された溶着物が8%未満の鉄を含むように溶融及び冷却の間の溶着物の鉄による稀釈を制限すること、
を含む溶着物の生成方法であって、
該溶着物は、溶接された状態で、少なくとも72ksi(496MPa)の最小降伏強度を有する、方法。
【請求項13】
該溶接溶加材の溶融および冷却はガス金属アーク溶接(GMAW)によって行われる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
2つの鋼部品間の狭い溝の中で溶接溶加材は溶融され冷却され、該狭い溝の継ぎ目が2−5度の開先角度を有する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
2つの鋼部品間の狭い溝の中で溶接溶加材は溶融され冷却され、該鋼部品がニッケル合金で少なくとも一面がクラッドされている、請求項13記載の方法。
【請求項16】
溶着物で溶接された少なくとも2つの高強度鋼部品を含み、各高強度鋼部品が65ksi(448MPa)の最小降伏強度を持っている、溶接物であって、
該溶着物が、重量パーセントで、56.0〜65.0%のニッケル、17.0〜23.0%のクロム、5.0〜12.0%のモリブデン、3.0〜11.0%のタングステン、3.0〜5.0%のニオブ、0〜2.0%のタンタル、1.2〜3.0%のチタン、0.005〜1.50%のアルミニウム、0.0005〜0.100%の炭素、8.0%未満の鉄、および5.0%未満のコバルトからなり、溶接された状態で少なくとも72ksi(496MPa)の最小降伏強度を有する、溶接物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年4月4日に出願されたアメリカ合衆国仮出願番号61/975,358、および2014年5月6日に出願されたアメリカ合衆国仮出願番号61/989,188の優先権を主張し、それらの全体は参照され本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、高強度Ni−Cr−Mo−W−Nb−Ti溶接溶加材および溶着物に関する。また、この溶接溶加材を使用して溶着物を形成する方法、より詳しくはNi−Cr−Mo−W−Nb−Ti溶接溶加材を使用して溶接条件で高耐力の溶着物を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の記述
原油のオフショア診査、開発および生産中に、非常に高価な「海底電線敷設船(lay barges)」の利用時間を最小限にするために、迅速な速度でのパイプの敷設の必要がある。この必要は、「スプールベース(Spool Bases)」と呼ばれる設備で、陸地で末端間が溶接された長いIDクラッドパイプを「リーリング(Reeling)」するという概念によって満たされる。これらの設備は運転するのに高価であり、長い高強度のIDクラッドX−65、X−70およびX−80パイプの製造、溶接、連続的に順番に行われるNDE検査およびコーティングためにベース内に複数のステーションを有する。海では、リールの端の連結は海底電線敷設船運転の高いコストのため、スプールベースで要求されるよりさらに時間に敏感である。スプールベース・オペレーターおよび海底電線敷設船の溶接工は、プロセスを遅くし、恐らく高張力鋼パイプに対して負の効果を持つので、析出硬化によって高強度を発現するために高い温度での保持時間を要求する、析出硬化溶接金属、たとえばINCO−WELDFiller Metal 725NDURを使用したくない。
【0004】
これらの「スプールベース」を最も効率的に操作する望みにより、ガス金属アーク溶接(GMAW)が、より速い溶接のために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、サワー油とガスの用途に対して、INCONEL(登録商標)アロイ62と同等かわずかによりよい耐蝕性を示す、ガス金属アーク溶接プロセスで使用されることができる溶接ワイヤの必要がある。INCONEL(登録商標)アロイ625は、重量%で最小58.0%のNi、20.0−23.0%のCr、最大5.0%のFe、8.0−10.0%のMo、3.15−4.15%のNb、最大0.10%のC、最大0.50%のMn、最大0.50%のSi、最大0.015%のP、最大0.015%のS、最大0.40%のAl、最大0.40%のTi、最大で1.0%のCoで構成される。このワイヤーはアメリカの石油産業規格5L(API 5L)のX−65、X−70、およびX−80スチールから作られるIDクラッドの高強度のパイプを溶接するために必要であり、溶接されている素地鋼の各々より溶接された状態でより大きな降伏強度を提供しなければならない。望ましい溶接金属は、約14.5ksi(100MPa)の降伏強度であり、溶接されているパイプについて指定された最小降伏強度よりも大きい強度を有する。なぜなら、横方向の2倍厚さ(2T)180度曲がり試験(transverse two-thickness(2T)180 degree bends)が、使用されている実際のパイプについて行なわれることを要求し、横方向の引張試験ではベース金属が破壊されるに違いないからである。さらに、強度のオーバーマッチは溶接点またはその近傍においてキンキングの可能性なしで「リーリング」を促進するのに望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
本発明は以下の成分を以下の重量%で含む溶接溶加材(welding filler metal)に関する:
17.0〜23.0%のクロム、5.0〜12.0%のモリブデン、3.0〜11.0%のタングステン、3.0〜5.0%のニオブ、0〜2.0%のタンタル、1.2〜3.0%のチタン、0.005〜1.50%のアルミニウム、0.0005〜0.100%の炭素、2.0%未満の鉄、5.0%未満のコバルトおよび残部のニッケルを含み、ニッケルは56.0〜65.0%である。溶接溶加材から形成された溶着物は、溶接された状態で、少なくとも72ksi(496MPa)の最小降伏強度を有する。
【0007】
溶接溶加材は最大64.0%のニッケル、最大22.0%のクロム、最大10.5%のモリブデン、最大9.5%のタングステン、最大4.5%のニオブ、最大1.5%のタンタル、最大2.5%のチタン、最大1.25%のアルミニウム、最大0.075%の炭素、最大1.0%の鉄および最大4.0%のコバルトを含んでもよい。
【0008】
溶接溶加材は最小57.0%のニッケル、最小18.0%のクロム、最小5.5%のモリブデン、最小3.5%のタングステン、最小3.3%のニオブ、最小1.3%のチタン、最小0.10%のアルミニウムおよび最小0.005%の炭素を含んでもよい。溶接溶加材は最大62.0%のニッケル、最大21.0%のクロム、最大9.0%のモリブデン、最大8.0%のタングステン、最大4.0%のニオブ、最大1.0%のタンタル、最大2.0%のチタン、最大1.00%のアルミニウム、最大0.050%の炭素、最大0.5%の鉄および最大2.5%のコバルトを含んでもよい。溶接溶加材は最小58.0%のニッケル、最小19.0%のクロム、最小6.0%のモリブデン、最小4.0%のタングステン、最小3.5%のニオブ、最小1.4%のチタン、最小0.15%のアルミニウムおよび最小0.010%の炭素を含んでもよい。溶接溶加材は最低3.5%のニオブ+タンタルを含んでもよい。溶接溶加材は最高6.0%のニオブ+タンタルを含んでもよい。
【0009】
本発明は、溶接溶加材に関して上に記述する組成を有する溶接溶加材生成物に関する。溶接溶加材生成物から形成された溶着物は、少なくとも72ksi(496MPa)の溶接された状態での最小降伏強度を持っている。溶接溶加材生成物は、管状ワイヤまたはフラックス入りワイヤーの形をしていてもよい。
【0010】
本発明は以下の成分を以下の重量%で含む溶着物に関する:
17.0〜23.0%のクロム、5.0〜12.0%のモリブデン、3.0〜11.0%のタングステン、3.0〜5.0%のニオブ、0〜2.0%のタンタル、1.2〜3.0%のチタン、0.005〜1.50%のアルミニウム、0.0005〜0.100%の炭素、8.0%未満の鉄、5.0%未満のコバルトおよび残部のニッケルを含み、ニッケルは56.0〜65.0%である。
【0011】
溶着物は、溶接された状態で、少なくとも72ksi(496MPa)の最小降伏強度を有する。溶着物は最大64.0%のニッケル、最大22.0%のクロム、最大10.5%のモリブデン、最大9.5%のタングステン、最大4.5%のニオブ、最大1.5%のタンタル、最大2.5%のチタン、最大1.25%のアルミニウム、最大0.075%の炭素、最大7.0%の鉄および最大4.0%のコバルトを含んでもよい。
【0012】
溶着物は最小57.0%のニッケル、最小18.0%のクロム、最小5.5%のモリブデン、最小3.5%のタングステン、最小3.3%のニオブ、最小1.3%のチタン、最小0.10%のアルミニウムおよび最小0.005%の炭素を含んでもよい。
【0013】
溶着物は最大62.0%のニッケル、最大21.0%のクロム、最大9.0%のモリブデン、最大8.0%のタングステン、最大4.0%のニオブ、最大1.0%のタンタル、最大2.0%のチタン、最大1.00%のアルミニウム、最大0.050%の炭素、最大5.0%の鉄および最大2.5%のコバルトを含んでもよい。
【0014】
溶着物は最小58.0%のニッケル、最小19.0%のクロム、最小6.0%のモリブデン、最小4.0%のタングステン、最小3.5%のニオブ、最小1.4%のチタン、最小0.15%のアルミニウムおよび0.010%の炭素を含んでもよい。溶接溶加材は最低3.5%のニオブ+タンタルを含んでもよい。溶接溶加材は最高6.0%のニオブ+タンタルを含んでもよい。
【0015】
溶着物は微細に分散された第2相粒子状物質を含む微構造を有していてもよい。第2相粒子状物質は5μm未満であることができる。溶着物の伸びは少なくとも20%であることができる。溶着物の強靱さは−50°Fで少なくとも50Jであることができる。
【0016】
本発明は、上記の溶接溶加材または溶接溶加材生成物を提供し、溶接溶加材または溶接溶加材生成物を溶融し、冷却して溶着物を作成することを含む溶着物の生成方法であって、溶融と冷却の間の溶着物の鉄による稀釈を制限し、溶接された溶着物が8%未満の鉄を含み、溶接された状態で溶着物が少なくとも72ksi(496MPa)の最小降伏強度を有する方法に関する。溶接溶加材または溶接溶加材生成物の溶融および冷却は、ガス金属アーク溶接(GMAW)あるいはガス‐タングステンアーク溶接(GTAW)によって行われることができる。溶接溶加材または溶接溶加材生成物は、狭い溝継ぎ目が2−5度の開先角度を持っていることを特徴とする2つの鋼部品間の狭い溝継ぎ目の中で溶かされ冷やされてもよい。鋼部品はニッケル合金で少なくとも一面を被覆することができる。
【0017】
本発明は、上記の組成を有し、溶接された状態で少なくとも72ksi(496MPa)の最小降伏強度を有する溶着物によって接続されている、65ksi(448MPa)の最小降伏強度を有する少なくとも2つの高張力鋼成分を含む溶接物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、小さな第2相粒子を示す本発明の溶着物の1つの実施態様の微構造の走査型電子顕微鏡写真である;
図2図2は、引張試験の後の本発明の溶接溶加材HV1654で溶接されたX−65パイプのサンプルの写真である;
図3図3は、引張試験の後の本発明の溶接溶加材HV1708で溶接されたX−65パイプのサンプルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここに引用された全ての降伏強度は0.2%のオフセットで測定され、すべての組成は重量パーセントで与えられる。
【0020】
本発明は、溶接溶加材および溶着物、および溶接溶加材を使用する方法であって、よい耐蝕性を示し、好ましくはINCONEL(登録商標)アロイ625と同じかあるいはわずかによい溶着物を達成する。INCONEL(登録商標)アロイ625は以下の組成を有する。最低58.0%のNi、20.0−23.0%のCr、最大5.0%のFe、8.0−10.0%のMo、3.15−4.15%のNb、最大0.10%のC、最大0.50%のMn、最大0.50%のSi、最大0.015%のP、最大0.015%のS、最大0.40%のAl、最大0.40%のTi、そして最大1.0%のCo。サワー油とガスの用途で、溶接されている素地鋼のアメリカ石油産業規格5L(API 5L)のX−65、X−70およびX−80鉄鋼よりも、溶接された状態でより大きな降伏強度を提供する。溶着物は好ましくは溶接されているパイプの最小降伏強度より、少なくとも14.5ksi(100MPa)大きい、溶接された時の降伏強度を有する。
【0021】
65ksi(448MPa)の必要最小降伏強度を有するX−65パイプについては、典型的な降伏強度は約72−74ksi(496−510MPa)である。また、最も高い予想降伏強度は約75−77ksi(517−531MPa)である。同様に、X−70パイプについては70ksi(483MPa)の必要最小降伏強度であり、典型的な降伏強度は75−77ksi(517−531MPa)であり、最も高い予想降伏強度が約80−82ksi(552−565MPa)である。そしてX−80パイプについては、80ksi(552MPa)の必要最小降伏強度を有し、典型的な降伏強度は約84−86ksi(579−593MPa)であり、最大の予想降伏強度は約88−90ksi(607−621MPa)である。したがって、溶接されているパイプについて指定された最小降伏強度よりも少なくとも14.5ksi(100MPa)大きい降伏強度を備えた溶着物を形成するためには、X−65、X−70およびX−80のそれぞれのパイプについて、最低79.8ksi(550MPa)、最低84.8ksi(585MPa)、および最低94.5ksi(652MPa)の最小溶着物降伏強度が必要である。
【0022】
表1は、X−65、X−70およびX−80パイプの典型的で期待される最大強度、これらのパイプにおける溶着物に必要な典型的な最少降伏強度、これらのパイプにおける本発明の溶着物の望ましい最小溶接強度、それらのいくつかはX−65およびより強度の低いパイプに使用されている7つの市販の溶接溶加材の溶着物生成物の強度、および5つの本発明により作られた溶着物の強度を示す。表2は、表1に示された溶接溶加材の組成を示す。析出硬化合金INCO−WELD(登録商標)725NDURをはじめとする7つの市販の溶接溶加材の全ては、低くて一貫しない溶接強さを示し、7つの市販の溶接溶加材を使用して作られた溶着物のいずれも高強度パイプの必要条件を満たすための十分な降伏強度を持っていない。他の析出硬化、耐腐食性の溶接ワイヤは利用可能であるが、それらは十分な強さを達成するために時間を要する溶接後熱処理(pwht)を要求するので、それらは魅力がない。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
本発明は以下を含む溶接溶加材に関する:
17.0〜23.0%のクロム、5.0〜12.0%のモリブデン、3.0〜11.0%のタングステン、3.0〜5.0%のニオブ、0〜2.0%のタンタル、1.2〜3.0%のチタン、0.005〜1.50%のアルミニウム、0.0005〜0.100%の炭素、2.0%未満の鉄、5.0%未満のコバルトおよび残部のニッケルを含み、ニッケルは56.0〜65.0%である。好ましくは19.0〜213.0%のクロム、6.0〜9.0%のモリブデン、4.0〜8.0%のタングステン、3.5〜4.0%のニオブ、0〜1.0%のタンタル、1.4〜2.0%のチタン、0.20〜1.00%のアルミニウム、0.005〜0.050%の炭素、0.5%未満の鉄、2.5%未満のコバルトおよび残部のニッケルを含み、ニッケルは58.0〜62.0%である。
【0026】
ニッケル(Ni)
ニッケルは、上記の量の溶質原子を溶かすことができる延性のある耐蝕性マトリックスの提供に有益である。希望の結果を達成するために、ニッケル含有率は少なくとも56.0%、好ましくは少なくとも57.0%およびより好ましくは58.0%であるようにコントロールされる。しかしながら、過度の量のニッケルは、強度を大きくし腐食抵抗性を付与する元素の量を制限するという有害作用を持っている。従って、ニッケル含有率は高々65.0%、好ましくは高々64.0%およびより好ましくは高々62.0%であるようにコントロールされる。
【0027】
クロム(Cr)
クロムは耐蝕性および幾分かの強度向上には有益である。希望の結果を達成するために、クロム含有率は少なくとも17.0%、好ましくは少なくとも18.0%およびより好ましくは少なくとも19.0%であるようにコントロールされる。しかしながら、過度の量のクロムはCTEと延性に対して有害作用を持っている。従って、クロム含有率は高々23.0%、好ましくは高々22.0%およびより好ましくは高々21.0%であるようにコントロールされる。
【0028】
アルミニウム(Al)
アルミニウムは溶加材から酸素を除去しガンマプライム(γ’)強化を提供することには有益である。希望の結果を達成するために、アルミニウム含有量は少なくとも0.005%、好ましくは少なくとも0.10%より好ましくは少なくとも0.15%、さらに好ましくは少なくとも0.20%であるようにコントロールされる。しかしながら、過度の量のアルミニウムは熱間割抵抗性および表面清浄度に対して有害作用を持っている。従って、アルミニウム含有量は高々1.50%、好ましくは高々1.25%およびより好ましくは高々1.00%であるようにコントロールされる。
【0029】
ニオブ(Nb)
ニオブは第2相粒子の沈殿によって強度を大きくすることに有益である。希望の第2相を達成するために、ニオブ含有率は少なくとも3.0%、好ましくは少なくとも3.3%およびより好ましくは少なくとも3.5%であるようにコントロールされる。しかしながら、あまりにも多くのニオブは熱間割感度を増加させる場合がある。従って、ニオブ含有率は、最大5.0%、好ましくは最大4.5%、そしてより好ましくは最大4.0%であるようにコントロールされる。
【0030】
モリブデン(Mo)
モリブデンは耐蝕性および固溶体マトリックス強化に有益である。さらに、それは、溶接溶加材を強くするMu相を形成する。希望の結果を達成するように、モリブデン含有率は少なくとも5.0%、好ましくは少なくとも5.5%およびより好ましくは少なくとも6.0%であるようにコントロールされる。しかしながら、より高い量のモリブデンは、生産の間に溶接溶加材の熱間加工を複雑にすることがある。従って、モリブデン含有率は、高々12.0%、好ましくは高々10.5%およびより好ましくは高々9.0%であるようにコントロールされる。
【0031】
タングステン(W)
タングステンは強化と耐蝕性に有益である。希望の結果を達成するために、タングステン含有率は少なくとも3.0%、好ましくは少なくとも3.5%およびより好ましくは少なくとも4.0%、また高々11.0%、好ましくは高々9.5%およびより好ましくは高々8.0%であるようにコントロールされる。
【0032】
タンタル(Ta)
タンタルはNbのように、強化に有益で、微構造相のコントロールのためにNbと関連して調節されてもよい。市販条件の下では、故意に加えられなかったとしてもタンタルが少なくとも1ppmの量に存在すると予想されるだろう。タンタルは2.0%を超過するべきでなく、好ましくは1.5%を超過せず、より好ましくは1.0%を超過するべきでない。
【0033】
ニオブ+タンタル(Nb+Ta)
ニオブとタンタルはともに第2相を形成し、強度を高め、第2相のコントロールのために調節されることができる;しかしながら、合計は、少なくとも3.0%、好ましくは少なくとも3.3%およびより好ましくは少なくとも3.5%、また高々7.0%、好ましくは高々6.0%および好ましくは高々5.0%である。
【0034】
チタン(Ti)
チタンは、第2相形成、孔隙率コントロールおよびガンマプライム形成に有益である。希望の結果を達成するために、チタン含有率は少なくとも1.2%、好ましくは少なくとも1.3%およびより好ましくは少なくとも1.4%であるようにコントロールされる。しかしながら、あまりにも多くのチタンは、イータ相の形成を引き起こす。従って、チタン含有率は、高々3.0%、好ましくは高々2.5%およびより好ましくは高々2.0%であるようにコントロールされる。
【0035】
炭素(C)
TiとNbと協力して炭素は溶接された溶着物の粒度制御に有益であり、第2相形成にも有用である。希望の結果を達成するように、炭素含有量は少なくとも0.0005%、好ましくは少なくとも0.005%およびより好ましくは少なくとも0.010%であるようにコントロールされる、また高々0.100%、好ましくは高々0.075およびより好ましくは高々0.050%であるようにコントロールされる。
【0036】
コバルト(Co)
コバルトは、硬度および引っ張り強度、および降伏強度を測定可能に向上する、マトリックス強化元素である。しかしながら、コストのために、最大5.0%、好ましくは最大4.0%、より好ましく最大2.5%に制限することは望ましい。
【0037】
鉄(Fe)
溶接溶加材中の鉄は、溶着物の中での低い鉄含量を維持することを支援するために2.0%未満、好ましくは1.0%未満、より好ましくは0.5%未満にコントロールされるべきである。溶着物中の過度の鉄は溶接された状態で降伏強度を弱める。
【0038】
シリコン(Si)
シリコンは少量でパッドル流動性の改善には有用であるが、多量の場合には熱間割または凝固クラッキングへの増加した感度に結びつくことがある。従って、シリコン含有量は、高々0.75%、好ましくは0.50%以下あるいはより好ましくは0.25%以下および最も好ましくは0.15%以下であるようにコントロールされる。
【0039】
マンガン(Mn) − マンガンは、M23形成を避けるために高々3.0%、好ましくは2.0%以下あるいはより好ましくは1.0%以下および最も好ましくは0.20%以下であるべきである。
【0040】
硫黄(S)、リン(P)、カルシウム(Ca)およびマグネシウム(Mg)
硫黄とリンは不純物として存在し、以下のように制限されるべきである:0.002%未満の硫黄、リンの0.010%未満、そして、より好ましくは0.005%未満、カルシウムとマグネシウムは加えられ、カルシウムは0.006%未満、より好ましくは0.005%未満、マグネシウムは0.020%未満、より好ましくは0.010%未満にコントロールされるべきである。
【0041】
本発明の組成を有する5つの溶接溶加材が作成された。これらの溶接される溶加材の組成は表2に示される。力学的性質試験は、ガス‐タングステンアーク溶接(GTAW)を使用して作られた長さ方向の全溶接金属標本を使用して、溶接された状態で本発明の溶接溶着物のうちの4つについて2回行なわれた。2つの条件がテストされた。第1は、溶接溶加材の15−20%の鉄稀釈物であり、第2は溶接溶加材の5%未満の鉄の稀釈物であった。結果は表3および4に示される。その比較は、高い鉄稀釈が降伏強度に有害作用を持っていることを示す。
【0042】
表5は、5%未満の鉄稀釈である溶接された状態の5番めの本発明の溶接溶加材のシャルピーVノッチ耐衝撃試験結果を示し、溶接溶加材が9.4%のFe含む時の、表5bに与えられた値と比較することができる。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5a】
【0046】
【表5b】
【0047】
本発明の溶接される溶加材が15%−20% Feで希釈される場合、表3、4、5aおよび5bに示された機械的性質から見ることができるように、降伏強度は、鉄稀釈が5%未満である場合より約20ksi(138MPa)低い。さらに、本発明の溶接される溶加材が9%を超えるFeで希釈される場合、鉄稀釈が5%未満でコントロールされる場合より耐衝撃性が顕著に低い。したがって、溶着物中のFeは8.0%未満、好ましくは7.0%、およびより好ましくは5.0%未満に維持されるべきである。鉄の稀釈はより高い降伏強度および衝撃強度を促進しつつ、第2相粒子の微細さを維持するために、低い入熱の維持により、低い値にコントロールすることができる。降伏強度と衝撃強度の最高値については、溶接の入熱は50キロジュール/インチ未満、好ましくは45キロジュール/インチ未満、およびより好ましくは40キロジュール/インチ未満であるべきである。同時に、より低い入熱は、より多くの溶接ビードあるいはパスをもたらし、これは引き続く入熱によりビードあるいはパスの強度を大きくする。
【0048】
溶着物は少なくとも72ksi(496MPa)、好ましくは少なくとも78ksi(538MPa)およびより好ましくは少なくとも80ksi(552MPa)の降伏強度、少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%およびより好ましくは少なくとも30%の伸び、−50°Fで少なくとも50J、好ましくは−50°Fで少なくとも70Jおよびより好ましくは−50°Fで少なくとも100Jの強靱性および200−400のHVの間の硬度を有する。
【0049】
溶着物の微構造は樹木状晶間のエリア(interdendritic areas)に第2相粒子を含んでいる。第2相粒子は、本発明の溶接溶加材HV1655を使用して作られた溶着物の微構造の走査型電子顕微鏡写真である図1に示される。第2相粒子は主に5μm未満で、0.5μm未満であることができる。
【0050】
第2相粒子は、タングステンとモリブデンで堅くされたマトリックスの中への凝固およびクールダウンで促進される。また多数のウェルドビードまたはパスの強度向上効果と結び付けられたこの組み合わせは、予想外の高い降伏強度を提供する。粒子状物質の小ささおよび密度は、溶着物の非常に高い衝撃靱性および高い伸びに寄与する。先行技術の溶着物においては、強度の向上は靱性および延性を低下させたので、そのような組み合わせはまさに高強度ニッケル合金溶着物において予想外のものであった。
【0051】
ニオブおよびチタンを実質的に含まない先行技術の溶接溶加材(INCO−WELD(登録商標)C−276、INCONEL(登録商標)アロイ622、INCO−WELD(登録商標)686CPT(登録商標)、Phyweld NCW、アロイ59)の溶着材では、60−65ksi(414−448MPa)の範囲の溶着物の強さを与える。さらに、230−W(登録商標)溶加材溶着物の引張試験は、68−78ksi(469−538MPa)の範囲にある降伏強度を与える。したがって、ニオブとチタンの追加のないニッケル・マトリックス中の3%のモリブデンと14%の高いタングステンは、本発明の溶接溶加材の溶着物産物の高い強度を提供しない。3.0−5.0%のニオブと1.2−3.0%のチタンを含み、溶接溶加材中の鉄含量が低く溶接法からの鉄の稀釈が低い本発明の溶接溶加材は、約72−92ksi(496−634MPa)の降伏応力を与える。さらに、溶接溶加材中の鉄含量が低く溶接法からの鉄の稀釈が低く、溶接時の入熱が低い値にコントロールされる場合、約83−95ksi(572−655MPa)のオーダーの降伏強度が得られる。
【0052】
先行技術の溶接溶加材は、熱処理による第2相のコントロールに注目した;しかしながら、本発明の溶接溶加材の沈殿および制御装置が、溶融から凝固およびクールダウンに影響を与えるので、本発明の溶加材は高速製造ができ、高い溶着物の強度を溶接された状態で達成することができる。
【0053】
市販の4インチの直径のINCONEL(登録商標)アロイ625IDクラッドX−65パイプが、本発明の溶接溶加材の試験のために得られた。パイプの溶接されていないサンプルの機械的テストは、87.2ksi(601MPa)(4つのテストの平均、表6)の降伏強度を与えた。機械的性質に基づいて、パイプのこのロットは、X−65、X−70およびX−80パイプの2倍または3倍の能力を有する。表7は、パイプのこのロットの組成を示す。このパイプがX−65、X−70、あるいはX−80パイプの2倍または3倍の能力を有するが、X−70およびX−80パイプの典型的な組成は約1.5−1.7%でわずかに高いMnを含み類似している。
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
周溝溶接が、サイドウォールの中への非常に小さな浸透を得るために十分なサイドウォールのみが溶かされた本発明の溶接溶加材HV1654、HV1655、およびHV1708を使用して、低いFe稀釈技術でGTAWプロセスを使用するX−65パイプが生産された。横方向の引張試験が溶接管について行なわれた。T−2およびT−3標本の両方が調製されテストされた。表8は、HV1654溶接溶加材で作られた溶接管のための横方向の伸長試験の結果を示し、すべての標本が熱影響部分(heat affected zone:HAZ)および融合線から離れたベース金属で破壊されたことを示す。図2は、引張試験の後の標本のうちの2つを示す。これらの結果は、溶接されたX−65パイプを使用した時、溶接溶加材HV1654の強さが80.9ksi(558MPa)よりも大きいことを示す。横方向の曲試験も欠陥なしで行なわれた。
【0057】
表9は、溶接溶加材HV1708を使用して溶接されたX−65パイプ用の横方向の引張試験の結果を示す。標本はすべて、融合線とHAZから離れたベース金属で破壊されたことを示す。これらの結果は、X−65パイプの溶接に使用された時、溶加材HV1708の溶接強さが86.7ksi(598MPa)より大きいことを示す。図3は破壊された引張試験片を示す。
【0058】
【表8】
【0059】
【表9】
【0060】
先のデータに基づいて、高強度INCONEL(登録商標)アロイ625 ID クラッドX−65,X−70,およびX−80鋼管の連結のために本発明の溶接溶加材を使用することができ、また曲試験および引張試験において受け入れ可能な結果を提供し、ベース金属で破壊されることが理解できる。これらの溶着物は、溶接された状態でベース金属より強く、−50°FでのシャルピーVノッチ試験での非常に高い靭性を提供する。高い降伏強度と靱性の両方が溶接された状態で得られることは予想外である。特性のこの組み合わせは、モリブデンとタングステンで強化されたニッケルとクロムマトリックス内の第2相粒子の微細分散によって達成される。これらの粒子状物質は凝固とクールダウン中に溶融物から沈殿させられ、従来技術での耐腐食性のニッケルベースの溶接溶加材では達成されていない、溶接された状態での特性を提供する。ニッケル・マトリックス中のCr、MoおよびWに基づいて、これらの溶着物は、ASTM G−48環境の中でテストされた時、INCONEL(登録商標)アロイ625溶着物のそれと少なくとも等しい良好な耐蝕性を示すであろう。亀裂先端開口変位(crack tip opening displacement:CTOD)試験結果および耐疲労性はさらによいだろう。
【0061】
溶接溶加材は、管状ワイヤおよびフラックス入りワイヤーを含む任意の適切な形式で供給されてもよい。ソリッドワイヤーは従来の固溶体ニッケル合金として生産されるが、比較的高温でのアニーリングを要求し、他のニッケル合金より頻繁にアニールされるだろう。プロセスは従来の真空溶解、インゴットのキャスティングを包含し、それは再び溶かされ、インゴットを熱間加工し、鋼片を形成する。その後、鋼片はワイヤー/棒を形成するために熱間圧延される。ワイヤー/棒は200ksi(1379MPa)以上の抗張力下に冷間延伸されて、2000°F(1093°C)以上でアニールされ、最終サイズへ再度延伸される。アニール状態で、ワイヤーは120−140ksi(827−965MPa)の引張強度を有することができる。
【0062】
溶接溶加材は、任意の適切な溶接法、好ましくはガス金属アーク溶接(GMAW)あるいはガス‐タングステンアーク溶接(GTAW)で使用されてもよい。溶接中に、溶接溶加材は溶着物を形成するために溶かされ冷やされるだろう。
溶着物の溶接時間および鉄の稀釈を低減するために、溶接継手の開先角度が2−5度と小さいことは好ましく、それはしばしば狭い溝と呼ばれる。バーティヵルダウンGMAW溶接法(vertical down GMAW welding process)は、入熱を低減し、溶接法の比較的速い進行のために使用される。さらに、INCONEL(登録商標)アロイ625、あるいは類似のIDクラッド高張力鋼が溶接される時、クラッディングは、3−4mmのINCONEL(登録商標)アロイ625の基部(既に融合した継ぎ目の根)、または類似の溶接金属を提供し、鉄の稀釈量を継ぎ目のサイドウォールからのものに制限するだろう。
【0063】
上記の溶接溶加材および方法は、本発明の溶接溶加材を使用して結合され、上記の特性を持っている少なくとも2つの高張力鋼成分を含む溶接物を生産するために使用されてもよい。さらに、上記のように少なくとも2つの高張力鋼成分は、INCONEL(登録商標)アロイ625のIDクラッドを有する、X−65、X−70、あるいはX−80パイプから選ばれることができる。
【0064】
本発明は現在最も実際的なものであると考えられるものおよび好ましい実施態様に基づいた例示の目的で詳細に記述されており、そのような詳細はもっぱら上記の目的のために記載され、本発明は開示した実施態様に制限されない。そして、追加された請求項の精神およびその範囲内にある修正および等価物をカバーするように意図された。
例えば、本発明が可能な程度まで、任意の実施態様の1つ以上の特徴を他の実施態様の1つ以上の特徴と結合することができることが理解されるべきである。
図1
図2
図3