(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記歯のそれぞれが、前記第1部材の前記表面上で前記第1部材に接合される近位部と、前記近位部に直接隣接し、前記歯のそれぞれの先端部に向かってテーパー形状になっている遠位部とを備え、前記近位部と前記遠位部とが互いに異なるテーパー度を有する、請求項1に記載の方法。
前記歯のそれぞれが、四角形の形状、六角形の形状、八角形の形状、及びそれらを組み合わせたものからなる群から選択される形状を有する基部を有する、請求項4に記載の方法。
前記歯が、前記断面長の次元又は前記断面幅の次元のいずれにも平行ではない直線に沿って配置される2つの隣接する歯どうしの間に、1.9mm以下の歯間離間距離を有する、請求項6に記載の方法。
前記第1部材と前記第2部材とが最大係合状態になる場合に、前記第1部材及び前記第2部材が、前記第2部材の上面と前記第1部材の下面との間にクリアランスを有し、前記分離性延出要素が、前記ステップc)後に熱による損傷から実質的に無傷である、請求項13に記載の方法。
前記歯のそれぞれが、前記第1部材の前記表面上で前記第1部材に接合される近位部と、前記近位部に直接隣接し、前記歯のそれぞれの先端部に向かってテーパー形状になっている遠位部とを備え、前記近位部と前記遠位部とが互いに異なるテーパー度を有する、請求項17に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「吸収性物品」という用語には、生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポン、陰唇間装置、創傷被覆材、おむつ、成人用失禁物品、拭き取り用品等の使い捨て物品が含まれる。更に、本明細書に開示される方法及び装置によって生産される吸収性部材は、研磨パッド、ドライモップパッド(SWIFFER(登録商標)パッド等)等の他のウェブにおいても有用であり得る。このような吸収性物品のうちの少なくとも一部は、経血又は血液、膣分泌物、尿及び糞便などの体液の吸収を目的とする。拭き取り用品は、体液を吸収するために使用されてもよく、又は、表面を清拭するなどの他の目的に使用されてもよい。上記に述べた様々な吸収性物品は通常、液体透過性トップシートと、このトップシートに接合された液体不透過性バックシートと、トップシートとバックシートとの間の吸収性コアと、を備える。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「吸収性コア」は、液体を収容する役割を主に果たす吸収性物品の構成要素を指す。したがって、吸収性コアは、典型的には吸収性物品のトップシート又はバックシートを含まない。
【0016】
特徴又は領域に関して本明細書で使用するとき、用語「隣接した」は、互いに近い、又は近接しているが、接触している必要はないことを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「開口部」という用語は、穴を指す。開口部の周囲の材料が、開口部の形成前にウェブと同一平面上にあるように、開口部がウェブを通してきれいに穿孔されてもよく(「二次元」開口部)、あるいは、開口部の周囲の材料の少なくとも一部がウェブの平面から押し出される穴が形成されてもよい。後者の場合、開口部は、その中に開口部を有する突出部又は陥凹に似ていてもよく、本明細書において開口部のサブセットである、「三次元」開口部と称されてもよい。
【0018】
本明細書で使用するとき、吸収性物品の「構成要素」という用語は、トップシート、捕捉層、液体処理層、吸収性コア又は吸収性コアの層、バックシート、並びに障壁層及び障壁カフ等の障壁等、吸収性物品の個々の構成成分を指す。
【0019】
本明細書で使用するとき、「機械横方向」又は「CD」という用語は、ウェブの平面内で機械方向に垂直な経路を意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、「変形可能な材料」という用語は、印加された応力又はひずみに反応して、その形状又は密度を変化させることが可能である材料である。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「分離性の」は、別個であること又は接続されていないことを意味する。用語「分離性の」が形成部材上の形成要素に対して使用されるとき、(例えば、形成要素の基部どうしは、ロールの同一表面中に形成され得るにもかかわらず)形成要素の遠位(又は放射状に最も外側の)端どうしは、機械及び機械横方向を含む全方向でそれぞれ他とはまったく別個であるか、又は接続されていないことを意味する。
【0022】
本明細書で使用するとき、「形成要素」という用語は、形成装置の1つの部材の表面上の任意の要素であって、ウェブを変形させることが可能であるものを指す。
【0023】
用語「層」は、第1次元がX−Yである、即ち、その長さ(又は長手方向)及び幅(又は横方向)に沿っている、吸収性部材を指すために本明細書で使用される。用語「層」が必ずしも材料の単一層又はシートに限定されないことが理解されるべきである。したがって、層は、必要なタイプの材料の幾つかのシート若しくはウェブの積層体又は組み合わせを含むことができる。したがって、「層」という用語は、「層(複数を含む)」及び「層状」という用語を含む。
【0024】
「機械方向」又は「MD」は、ウェブ等の材料が製造プロセス中に通って進む経路を意味する。
【0025】
本明細書で使用するとき、「マクロ的」という用語は、見る人の目とウェブとの間の垂直距離が約30cm(12インチ)である場合に、20/20の視力を有する人が容易に見ることができ、かつはっきりと識別できる構造的特徴又は要素を指す。反対に、「ミクロ的」又はという用語は、かかる条件下で容易に見ることができず、かつはっきりと識別できないかかる特徴を指す。
【0026】
本明細書で使用するとき、「対をなす要素」という用語は、形成装置の1つの部材の表面上の任意の要素であって、ウェブを変形させるための形成要素に係合することが可能であるものを指す。
【0027】
本明細書で使用するとき、「機械的変形」という用語は、プロセスを指す。機械的な力が材料に対して行使されて、二次元的又は三次元的構造物が、ウェブ上に形成されることを指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、「囲まれた」という用語は、他の領域及び/又は開口部により、完全にかつ連続的に囲まれていることと、不連続的に囲まれていることとの双方を指す。
【0029】
本発明は、ウェブに開口部を形成するための方法及び装置を対象とする。更なる特性を有するウェブを提供する、ウェブ中の新しい構造を形成することが可能である、方法及び装置が開示される。その方法と装置は、ウェブの流体排水性を改善し、柔軟性も改善するようにマクロ開口部を形成することにより、三次元構造を有する有孔ウェブを作製することが可能である。
【0030】
用語「有孔ウェブ」が本明細書で利用されるが、目的は、かかる有孔ウェブから吸収性物品のための吸収性部材(又は非吸収性構成要素)等の構成要素を作成することであることが理解されるべきである。このような場合において、有孔ウェブは、吸収性物品の個々の構成要素に合わせて切り分けられる。有孔ウェブはまた、吸収性物品以外の製品でも使用され得るが、例としては梱包材料及びごみ袋が挙げられるものの、これらに限定されない。
【0031】
前駆体ウェブ
孔を形成する前駆体ウェブは、例えば、織布、不織布、ポリマーフィルムのような任意の好適な変形可能な材料を含むことが可能である。本発明の前駆体ウェブは、ポリマーフィルム、及び任意追加で、不織布ウェブ、織布、紙製ウェブ、ティッシュウェブ、又は編物生地を含む、複合体又は積層体であることが可能である。
【0032】
前駆体ウェブは、ポリマーフィルムウェブであり得る。ポリマーフィルムウェブは、変形可能なものであり得る。変形可能とは、本明細書で使用する場合、弾性限度を超えて伸長させると、新たに形成された形態を実質的に保持する材料を説明する。このような変形可能な材料は、ホモポリマー及びポリマーブレンドのように、化学的に均質であっても不均質であってもよく、平面シート又はラミネートのように、構造的に均質であっても不均質であってもよく、又は、これらの材料のいずれかの組み合わせであってもよい。
【0033】
用いることのできる変形可能なポリマーフィルムウェブは、材料の固体状態の分子構造の変化が起こる形質転換温度範囲を有することができる。この構造変化としては、結晶構造の変化及び/又は固体状態から溶融状態への変化を挙げることができる。結果として、形質転換温度範囲より高温では、材料の特定の物理的特性が実質的に変化する。熱可塑性フィルムでは、形質転換温度範囲は、そのフィルムの溶融温度範囲であり、この温度より高い場合には、フィルムは、溶融状態にあると共に、熱機械前歴の実質的にすべてを失う。
【0034】
ポリマーフィルムウェブは、そのポリマーの組成及び温度に左右される特徴的なレオロジー特性を有する熱可塑性ポリマーを含むことができる。このような熱可塑性ポリマーは、そのガラス転移温度よりも低い温度において、硬質、堅固及び/又は脆性であり得る。ガラス転移温度よりも低い温度においては、分子は、強固な、固定された一定の位置にある。ガラス転移温度よりも高いが、溶融温度範囲よりも低い温度においては、熱可塑性ポリマーは粘弾性を呈する。この温度範囲では、熱可塑性材料は一般に、ある程度の結晶化度を有し、概ね可撓性であり、力を受けると、ある程度変形可能である。このような熱可塑性物質の変形性は、変形速度、変形量(寸法的な量)、変形する時間の長さ、及び温度によって決まる。1つの実施形態においては、この粘弾温度範囲内にある熱可塑性ポリマー、特に熱可塑性フィルムを含んでいる材料を形成するために、プロセスを用いることができる。
【0035】
ポリマーフィルムウェブは、特定の量の延性を有することが可能である。本明細書で使用する場合、延性とは、材料が破損(破裂、破断、又は分離)する前に、材料を変形させたときに起こる恒久的且つ回復不能な塑性ひずみの量である。本明細書に記載されているように用いることができる材料は、少なくとも約10%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、又は少なくとも約200%の最低延性を有することができる。
【0036】
ポリマーフィルムウェブは、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエステルなどのように、フィルムとして標準的に押し出されるか、又はキャストされる材料を含むことができる。前記フィルムは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、並びに、これらの材料をかなりの割合で含むコポリマー及びブレンドなどの、熱可塑性材料であり得る。このようなフィルムを表面改質剤で処理して、ロータス効果を付与するなど、親水性又は疎水性特性を付与することができる。後述するように、ポリマーフィルムウェブには、完全に平坦かつ平面的な構成から、織目構造をつけるかその他の方法で変形を施すことが可能である。
【0037】
本発明の前駆体ウェブは、不織布ウェブであり得る。本明細書で使用するとき、「不織布ウェブ」という用語は、個々の繊維又は糸が入り組んだ構造を有するものであるが、ランダムに配向された繊維を典型的には有せず、個々の繊維又は糸が繰り返しパターンとして入り組んではいる織布又は編布とは異なる構造を有するウェブのことを指す。不織布ウェブ又は布地は、例えば、メルトブロー、スパンボンド、水流交絡、風成、湿式、空気通過乾式製紙プロセス、及びカード熱接着を含む接着カードウェブプロセス等、多くのプロセスから形成されてきた。不織布ウェブは非接着繊維、絡合繊維、トウ繊維などを含むことができる。繊維は、延伸性及び/又は弾性を有し得るが、加工に備えて事前に伸長させてもよい。繊維は、スパンボンド法で作られた繊維のように連続的であるか、又はカードプロセスで典型的に用いられる繊維のように、ある長さに切断することができる。繊維は、吸収性を有し得るが、繊維性吸収ゲル化材料を含むことができる。繊維は、2成分、多成分、成形、けん縮、又は、不織布ウェブ及び不織繊維の技術分野において既知であるその他の任意の配合又は構成のものであってもよい。不織布ウェブは、有孔ウェブを形成するために十分な伸長性を有するポリマー繊維を含む。一般に、ポリマー繊維は、化学的結合(例えば、ラテックス又は接着剤結合)、圧力接着、又は熱接着のいずれかによって結合可能であることができる。下記の結合プロセスで熱接着技術を用いる場合、熱可塑性粉末又は熱可塑性繊維のような熱可塑性材料を特定の割合で用いることが可能である。
【0038】
本発明のウェブは、2つ以上の前駆体ウェブの複合体又は積層体であることが可能であるが、本発明のウェブは、2種類以上の不織布ウェブ、又は、ポリマーフィルム、不織布ウェブ、織布、紙製ウェブ、ティッシュウェブ、若しくは網布を組み合わせたものを含むことが可能である。一般に、積層前駆体ウェブから形成されるウェブは、その側壁が1種類以上の前駆体ウェブ材料を含む開口部6を持つ。
【0039】
ウェブはまた、有孔ウェブの視覚的外観を改善するために、必要に応じて、材料に色を与えるために使用される顔料、レーキ、トナー、染料、インク、又は他の薬剤などの着色剤を含むことができる。本明細書において好適な顔料には、無機顔料、真珠光沢顔料、干渉顔料等が挙げられる。
【0040】
前駆体ウェブはまた、有孔ウェブの視覚的外観を改善するために、必要に応じて、材料に色を与えるために使用される顔料、レーキ、トナー、染料、インク、又は他の薬剤などの着色剤を含むことができる。本明細書において好適な顔料には、無機顔料、真珠光沢顔料、干渉顔料等が挙げられる。
【0041】
1つの非制限的実施形態においては、前駆体ウェブは、その中に形成される分離性延出要素を備え、分離性延出要素は、開放した近位端部と、開放又は閉塞した遠位端部と、側壁とを備える。分離性延出要素は、柔軟な触感を提供する織目構造を提供するための有孔突出部、無孔突出部、又は微細繊維でもあり得る。分離性延出要素は、約500マイクロメートル未満の直径を有し、分離性延出要素は、少なくとも約0.2のアスペクト比を有し、かつ/又は前駆体ウェブは、1cm
2当たり少なくとも約95個の分離性延出要素を備える。
【0042】
ウェブが、使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用される場合、柔軟性は有益である。本発明による方法は、特に、開口部6が使い捨て吸収性物品生産ラインで作成される場合において、ミクロ織目構造の分離性延出要素2を、熱による損傷なしに維持させるのに効果的である。このように、使い捨て吸収性物品用の、柔軟で、順応性のあるトップシートは、物品の身体に面する面として第2面14が分離性延出要素2を有する状態で有孔ウェブが、用いられた場合に調製され得る。
【0043】
開口部を形成するための方法及び装置
本発明は、流体排水性を向上し、着用者の肌に対する柔軟性をもたらす、ミクロ織目構造と四角形の形状のマクロ開口部とを備えるウェブを作製するための方法と装置に関して説明される。
【0044】
本発明の機械的開口部形成プロセスは、任意の好適な種類(複数を含む)の形成構造を含み得る、任意の好適な装置で実施され得る。好適な種類の形成構造としては、それらの間にニップを画定する一対のロール、対のプレート、ベルト等が挙げられるがこれらに限定されない。ロール付きの装置の使用は、連続プロセスの場合、特に、プロセス速度が所望である場合に有益であり得る。装置は、便宜上主にロールの観点から本明細書に記載されるが、記載は、任意の他の好適な構成を有する形成構造に適用できることが理解されるべきである。
【0045】
本明細書に記載される装置及び方法で使用されるロールは、典型的には、概して円筒形である。「概して円筒形」という用語は、本明細書において用いられる場合には、完全に円筒形であるロールだけでなく、その表面上に要素を有しうるような円筒形のロールをも包含する。用語「概して円筒形」はまた、ロールの端部付近のロールの表面上等、直径の減少を有する可能性があるロールも含む。ロールはまた典型的には、剛性(つまり、実質的に非変形性)である。本明細書で使用するとき、用語「実質的に非変形性」は、本明細書に記載されるプロセスの実施で使用される条件下で、典型的には変形又は圧縮させない表面(及びその上の任意の要素)を有するロールを指す。ロールは、鋼、アルミニウム、又は硬質プラスチックが挙げられるがこれらに限定されない、任意の好適な材料から作製されてもよい。鋼は、ステンレス鋼等の耐食及び耐摩耗性鋼から作られてもよい。ロールは、加熱されてもよく、又はされなくてもよい。加熱される場合、熱機械プロセスの当業者によく知られている慣習にしたがって、熱膨張効果の考慮が適応されなければならない。
【0046】
ロールは、それらの表面(又は表面構成)上に、ウェブに四角形の形状のマクロ開口部を形成するための任意の好適な種類の要素を有してもよい。ロールは、それらの表面(又は表面構成)上に任意の好適な種類の要素を有してもよい。個々のロールの表面には、成形要素が提供されるが、同要素は、例えば、四角形の形状の開口部を形成するための形状を有してジグザグパターンに配列される分離性突起物及び歯のような雄型要素、例えば、ロール表面内の分離性空隙部のような、凹みをはじめとする雌型要素、又はそれらの任意の好適な組み合わせを備える。雌型要素は、下面を有するもの(陥凹若しくは窪みと称されうるもの)であってもよく、又はそれらは、開口部(ロールの表面の貫通穴)の形態であってもよい。
【0047】
成形要素は、任意の好適な構成を有してもよい。本発明において有用な雄型要素の1種類は、例えば八角形、六角形、及び四角形のような概ね多角形形状の基部を有し、ある特定の断面長と断面幅とを有する歯である。本明細書において「多角形形状」という用語は、角に丸みをつけた多角形を含むように意図されている。歯は、ウェブ上に四角形の形状の開口部を形成するために好適な、任意のアスペクト比(断面幅に対する断面長の比)を有する。断面長は断面幅より長くてよいが、断面長と断面幅とが同じ長さであるケースを含まない。1つの実施形態においては、歯は、概ね六角形形状の基部を有する。1つの実施形態においては、歯は、概ね四角形形状の基部を有する。
【0048】
雄型要素は、平坦な、丸みのある、又は鋭く尖った先端部を有することが可能である。ある特定の実施形態では、雌型要素の形状は、任意の噛み合う雄型要素の形状とは異なり得る。
【0049】
本発明による方法は、その第1面から外側方向に延出する複数の分離性延出要素を有する前駆体ウェブから、複数のマクロ開口部を前駆体ウェブに連続的に形成することにより、有孔ウェブを作製することが可能である。
【0050】
本発明の1つのプロセスを
図1に模式的に示す。前駆体ウェブ20は、機械方向に動いて成形装置100に至り、そこで開口部6が形成されて、有孔ウェブ1が製造される。前駆体ウェブ20は、供給ロール152(若しくは、複数のウェブを積層した積層体の場合に必要なように複数の供給ロール)、又は、フェストゥーンウェブのように、当該技術分野において既知のその他の任意の供給手段から供給することが可能である。1つの実施形態においては、前駆体ウェブ20は、ポリマーフィルム押出成形機のようなウェブ作製装置から直接供給することができる。形成後、保管のため及び他の製品の構成要素として更に加工するために、有孔ウェブ1を供給ロール160に巻き取ることができる。あるいは、使い捨て吸収製品のような完成品に組み込むための変換作業を含む、更なる後プロセスへ有孔ウェブ1を直接送ってもよい。
【0051】
図1を参照すると、本発明による方法は、複数の分離性延出要素が前駆体ウェブ20に形成されている三次元前駆体ウェブ20から、前駆体ウェブ20上にマクロ開口部を形成することにより有孔ウェブを製造可能である。第1の表面12は、前駆体ウェブ20の第1の側面、及び有孔ウェブ1の第1の側面に相当する。第2の表面14は、前駆体ウェブ20の第2の側面、及び有孔ウェブ1の第2の側面に相当する。一般に、「側面」という用語は、本明細書では、フィルムのような概ね2次元のウェブの2つの主表面を説明する用語の一般的な使い方で用いられる。当然、複合又は積層体構造物では、有孔ウェブ1の第1の表面12は、最も外側の層又はプライのうちの一方の第1の側面であり、第2の表面14は、他方の最も外側の層又はプライの第2の側面である。
【0052】
1つの実施形態においては、前駆体ウェブ20は、当該技術分野で既知の使い捨て吸収性製品のトップシートとしての使用に好適なポリマーフィルムウェブであり得る。
【0053】
前駆体ウェブ20は、例えば、放射加熱、強制空気加熱、対流加熱によるか、又は、油加熱したローラー上で加熱するなど、当該技術分野において既知の手段によって予熱することができる。前駆体ウェブ20には、しるし、デザイン、ロゴ、又は他の可視若しくは不可視の印刷パターンを予め印刷してもよい。例えば、デザイン及び色を、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、又はオフセット印刷のような当該技術分野において既知の手段によって印刷して、前駆体ウェブ20の少なくとも部分の色を変えることができる。印刷に加えて、前駆体ウェブ20を界面活性剤、ローション、接着剤などのようなコーティングで処理してもよい。前駆体ウェブ20の処理は、噴霧、スロットコーティング、押出加工、又は別の方法で片方又は両方の表面にコーティングを塗布するなど、当該技術分野において既知の手段によって実現することができる。
【0054】
前駆体ウェブ20が、様々なアイドラーローラー、張力制御ローラーなど(これらのいずれも図示せず)のいずれかの上又は周囲を含め、当該技術分野において既知の手段によって、機械方向で、対の逆回転の噛み合いロール102及び104から形成されるニップ116に移動するにつれて、供給ロール152が
図1の矢印で示されている方向に回転する対の噛み合いロール102及び104は、ウェブ20に開口部を形成して、有孔ウェブ1を形成するように動作する。噛み合いロール102及び104を
図2により詳細に示す。
【0055】
図1及び
図2を参照すると、有孔ウェブ1に開口部を作成するための成形装置100の部位が、より詳細に図示されている。装置100のこの部位は、成形装置100として
図2では示されており、それぞれ反対方向に回転する一対の噛み合いロール102及び104を備える。成形装置100は、前駆体ウェブ20が、ある回転角度にわたってロール104上に残るように設計することが可能である。
図1は、ニップ116に真っ直ぐに入っていく前駆体ウェブ20と、ニップ116から真っ直ぐに出てくる有孔ウェブ1を示しているが、前駆体ウェブ20又は有孔ウェブ1は、ニップ116に入る前(前駆体ウェブ20の場合)又はニップ116から出た後(有孔ウェブ1の場合)に、ロール102又は104上に、所定の回転角度にわたって、部分的に巻かれることも可能である。例えば、ニップ116から出た後、有孔ウェブ1は、開口部が、ロール104の歯110上に乗り、「嵌った」まま残るように所定の回転角度にわたってロール104上に巻かれるようにすることが可能である。
【0056】
ローラー102及び104は、鋼、アルミニウム、合金、及び剛性プラスチック製であり得る。1つの実施形態においては、ローラーはステンレススチール製であり得る。一般に、ローラー102及び104は、耐食性かつ耐摩耗性の金属で作製することができる。
【0057】
ロール102は、ロール104の歯110の1つ以上が噛み合う1つ以上の分離性陥凹部又は空隙108を備えることが可能である。陥凹部108は、歯110の基部と同じ形状で、すべての縁部及びサイドで、歯110の基部よりもわずかに大きな寸法を有し得る。陥凹部の深さは、歯110の高さよりも深くなっていてよい。陥凹部はテーパー形状であっても、そうでなくてもよい。その場合には、ウェブ上に形成される開口部どうしの離間距離は、ロール102上の陥凹部どうしの離間距離により制限される。したがって、ロール102の陥凹部どうしの中心間距離よりも小さい中心間距離を有する開口部をウェブに形成することは不可能であろう。
【0058】
ロール104は、ロール104の少なくとも一部の周りに、隔置関係で延びている、複数列の周方向に離間された歯110を含む。歯110は、ジグザグパターンに配列されている。歯110は、ロール102の陥凹部108と係合するように、ロール102の面から径方向外向きに延出している。この係合については、
図3の断面図により詳細に示されており、また後述する。
【0059】
歯110は、ローラー104と接合することができる。「接合した」という用語は、要素の1つの面全体にわたり要素が完全に別の要素に固定されている構成に加え、要素が別の要素の選択された位置に固定されている構成を包含する。「接合した」という用語は、要素が固定され得る任意の既知の方法を含み、例としては機械的もつれが挙げられるがこれに限定されない。溶接、圧縮嵌め合い、又は別の方法で歯を接合して取り付けることが可能である。しかし、「接合」には、ローラー104から余分な材料を取り除くことによって機械加工された歯の場合のような一体的な取り付けも含まれる。歯110がローラー104に接合される位置は、その基底部である。基底部に平行な任意の横断面の位置で、それぞれの歯は非丸形の横断面エリアを有することができる。代替実施形態においては、歯は、対応する開口部の所望の形によって、ダイヤモンド形、長方形、又は正方形のピンを備え得る。
【0060】
図3は、噛み合いロール102及び104の、代表的な歯110を含む一部位の断面を示す。図示されているように、歯110は、歯高TH、係合深さE、及びギャップクリアランスCを有する。歯高THは、約0.5mm〜約10mmの範囲に及び得る。係合深さEは、ロール102及び104が係合しているレベルの尺度であり、ロール102の上面から、ロール104の歯110の先端部112まで測定される。ギャップクリアランスCは、ロール102及び104が最大量で係合した場合のロール102の上面と、ロール104の下面との間の距離である。ギャップクリアランスは、好ましくは、前駆体ウェブに形成される分離性延出要素に、例えば、マクロ開口部形成ステップで熱による損傷が加えられないようにするのに十分に広く、それにより、分離性延出要素が、マクロ開口部形成プロセス中、実質的に無傷であり続け、ウェブの柔軟性が犠牲にされないばかりか、むしろ向上さえするようになっている。熱による損傷には、分離性延出要素の少なくとも一部の恒久的な変形や、熱にさらされた結果として、分離性延出要素の一部が硬化することが挙げられる。分離性延出要素が熱によって損傷するのを防ぐギャップクリアランスは、前駆体ウェブの特性、前駆体ウェブの厚さ、ミクロ織目構造の高さ、並びに、例えば、ロールの温度及び生産スピードのようなマクロ開口部形成プロセスの諸条件を考慮して決定することが可能である。1つの実施形態においては、ギャップクリアランスは、例えば、前駆体ウェブ上に形成された分離性延出要素のようなミクロ織目構造の、平均高さ以上である。別の1つの実施形態においては、クリアランスは約1.5mm以上、又は約1.6mm未満であり得る。
【0061】
いかなる特定の理論にも縛られずに言えば、吸収性物品の着用者に面する表面の少なくとも一部を形成するよう意図され、ウェブの当該表面が、着用者の肌と少なくとも部分的に接触する場合、ウェブの表面上にある損傷を受けていない分離性延出要素が、柔軟性を肌に対して提供することが可能であると考えられる。
【0062】
歯の先端112のサイズ及び形状は、先端部半径TRを介して指定し得る。係合深度E、歯高TH、及びクリアランスCは、前駆体ウェブ20の特性及び有孔ウェブ1に望まれる特性に応じて、所望によって変えることができる。有孔ウェブ1の特性及び特徴を変化させるために、歯110のサイズ、形状、向き、及び間隔を、ロール104の周囲及び幅に沿って変化させることが可能であるということも考えられる。
【0063】
ロール102及び104の両方又はいずれかを、熱油入ローラー又は電気加熱ローラーを組み込むことによるなど、当該技術分野において既知の手段によって加熱することができる。あるいは、ロールの両方又はいずれかを、表面対流によって、又は表面放射によって加熱してもよい。
【0064】
また、例えば、ローション、インク、界面活性剤などのような物質は、ニップ116に入る前若しくは入った後で、噴霧、コーティング、スロットコーティング、押し出し加工、又はその他の方法で、有孔ウェブ1に塗布することが可能である。上のような当該技術分野において既知で、トリートメント剤を塗布するための任意のプロセスを採用することが可能である。
【0065】
図4Aは、有孔ウェブ1を製造するために有用な複数の歯110を有する、ローラー104の1つの実施形態の1つの部位を示す。
図4Bは、有孔ウェブ1を製造するために有用な、ジグザグパターンで配列された複数の陥凹部108を有する、ローラー102の1つの実施形態の1つの部位を示す。
【0066】
歯100の例示的構成の斜視図が、
図5Aに示されている。
図5Aに示すように、各々の歯110は、基部111、歯先端部112、縁部113、及び側面114を有する。歯110は、概ね多角形形状の基部を有することが可能である。横断面が概ね円形の、丸い、ピンのような形状とは対照的に、歯110は、1つの次元又は2つの次元において細長く延ばされており、概ね非円形の、細長い横断面形状を有することが可能である。例えば、その基部111において、歯110の横断面は、歯横断面長TL及び歯横断面幅TWを有することが可能であるが、それらにより示される、歯のアスペクト比AR(TL/TW)は、3.3以下、2.5以下、2以下、又は1.9以下である。1つの実施形態においては、歯のそれぞれは、四角形形状の基部を有する。歯110は、基部から先端部に向かってテーパー状になっているが、テーパーの度合いは、歯の高さに沿って一定ではない。歯110は、成形装置の1つの部材と接合される近位部120と、近位部に直接隣接し、歯先端部112に向かってテーパー状になっている遠位部130とを有し得る。歯110は、近位部、遠位部、及び近位部120と遠位部130との間の中間部を有し得る。近位部と遠位部とは、互いに異なる度合いのテーパーを有し得る。1つの実施形態においては、遠位部130は、近位部120よりもテーパーの程度が高くなっている。別の1つの実施形態においては、近位部120と遠位部130のうちの少なくとも1つが、一定の度合いのテーパーを有する。近位部は一般に、例えば四角形の形状及び六角形の形状のような、概ね多角形の形状の基部から頂点に向かうテーパー状の切頭体形状である。
図5Aに示すように、近位部120は、4つの側面114を有し得るが、それぞれの側面は概ね(等脚の)長方形である。2つの側面の頂部で、縁部ができる。縁部113の頂部は比較的鋭くなっていることが可能であるが、あるいは、丸い曲率半径を有するように機械加工することも可能である。
図5Aに示すように、遠位部130は、少なくとも4つの側面114’を有する概ねピラミッド形状を有することができるが、それぞれの側面は、実質的に三角形であり、遠位部の底側から、歯の先端部に向かって、テーパー形状になっている。遠位部130の2つの側面の頂部で、縁部ができる。縁部113’の頂部は比較的鋭くなっていることが可能であるが、あるいは、丸い曲率半径を有するように機械加工することも可能である。歯先端部112は、概ね尖っているか、鈍く尖っているか、及び/又は前駆体ウェブ20を伸張及び穿孔するようなその他形状をしている。歯の最も外側の先端部112は、前駆体材料に切れ目が入ったり破れたりしてしまうのを回避するために、丸められ得る側面を有している。
【0067】
別の1つの実施形態においては、開口部を作るために、他の形状が歯には用いられる。例えば、
図5Aに示す遠位部130の概ね錘体形は、頭部を切ることが可能であり、先端部112の先端に向かう特性を除去し、歯110の遠位端部に、平坦化された領域が作り出される。平坦化された領域は、細長くてもよく、すなわち、幅寸法より大きい長さ寸法及び歯110のアスペクト比に対応するアスペクト比ARを有することができる。1つの実施形態においては、平坦な領域は、概して鋭い頂点で側面114に移行することができるか、あるいは、その移行がある曲率半径を持ち、滑らかで、丸く、平らな歯の先端部をもたらすことができる。理論に束縛されるものではないが、比較的鋭い先端を歯110に有することは、歯110が前駆体ウェブ20を「きれいに」、すなわち局所的かつ明確に、穿刺貫通することを可能にするので、結果的にもたらされる有孔ウェブ1は、主に「エンボス加工」のものというよりむしろ主に「孔を形成した」のものとして説明され得る。一実施形態では、前駆体ウェブ20の穿刺はウェブ20をほとんど変形しないきれいな穿刺であるので、結果的にもたらされるウェブは実質的に2次元の穿孔ウェブとなる。
【0068】
歯100の別の例示的構成が、
図5Bに示されている。横断面長さTLと横断面幅TWとを有する歯110が、歯間離間距離P
Lを、横断面長の次元で隣接する2つの歯どうしの間に、歯間離間距離P
Wを、横断面幅の次元で隣接する2つの歯どうしの間に、かつ、歯間離間距離Psを、横断面長の次元と、あるいは横断面幅の次元のいずれにも平行にならない列に沿って隣接する2つの歯どうしの間に有するジグザグパターンに配向される。歯110は、歯の構成に応じて、異なる歯間離間距離長P
S、P
S1、及びP
S2を有し得る。
図5A及び
図5Bを参照すると、
図5B中の歯においては、基部111は、近位部の2つの対向する縁部113をわずかに切り欠いた六角形の形状を有する。近位部の互いに対向する縁部113に対応する、遠位部130の縁部113’もまた切り欠いてもよい。
【0069】
1つの実施形態においては、歯間離間距離P
Sは、約1.9mm以下、1.7mm以下、又は約1.5mm以下である。別の1つの実施形態においては、歯間離間距離P
L及びP
Wの少なくとも1つは、約1.9mm超、約1.7mm超、又は約1.5mm超である。
【0070】
もちろん、歯間離間距離P
L、P
w、及び/又はP
S、歯横断面長さTL、並びに、歯横断面幅TWは、それぞれ独立して変化させて、開口部6の所望のサイズ、離間距離、及び面密度を実現することが可能である。
【0071】
前駆体ウェブ20は、複数の分離性延出要素を備える。1つの非制限的な実施形態においては、分離性延出要素は、約500ミクロン未満の直径を有し、分離性延出要素は、少なくとも約0.2のアスペクト比を有し、かつ/又はウェブは、1cm
2当たり少なくとも約95個の分離性延出要素を備える。分離性延出要素はまた、柔軟な触感を提供する織目構造を提供するための有孔突出部、無孔突出部、又は微細繊維でもあり得る。
【0072】
本発明の別の1つのプロセスは、第1面と第1面の反対側にある第2面とを有する前駆体ウェブを提供すること、前駆体ウェブの第1面から外方向に延出する複数の分離性延出要素を形成すること、及び前駆体ウェブの第2面から外方向に延出した複数のマクロ開口部を、上に開示された方法によって連続的に形成することを含む。
【0073】
このような複数の分離性延出要素を開示している特許公報としては、国際特許出願公開第WO 01/76842号、同第WO 10/104996号、同第WO 10/105122号、同第WO 10/105124号、及び米国特許出願公開第20120277701A1号が挙げられる。
【0074】
分離性延出要素を有するウェブは、当該技術分野において既知の任意のプロセスを用いて提供することが可能である。ウェブに分離性延出要素を設けることにより、ウェブの外側表面に、より柔軟で、より布のような織目構造を与えることになり、ウェブにより布のような外見を与えることになり、ウェブ全体の厚さを増すことになる。分離性延出要素プロセスの例としては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:液圧成形、真空成形、機械変形、フロック加工、超音波加工、多孔質表面から粘稠な溶解物を剥離する加工法、毛髪状印刷、ブラシ加工、及びそれらを任意に組み合わせたもの。
【0075】
1つの実施形態においては、分離性延出要素を備える三次元的表面構造が、水等を含む高圧の流体ジェットを、形成されたウェブのプライの1つの面に、好ましくは形成されたウェブのプライの反対側の面に隣接してバキュームを適用しながら、塗布することによって形成される。一般に、形成されたウェブのプライは、対向する層を有する成形構造体の1つの層上に支持される。成形構造体には、それを貫通する多数の開口部が設けられ、対向する層を、互いに流体連通状態にする。このような開口方法は、「液圧成形法」として知られており、詳細は、米国特許第4,609,518号、同第4,629,643号、同第4,637,819号、同第4,681,793号、同第4,695,422号、同第4,778,644号、同第4,839,216号、及び同第4,846,821号に記載されている。
【0076】
真空成形法は、米国特許第4,463,045号に開示されている。
【0077】
機械的変形法の例は、米国特許第4,798,604号、同第4,780,352号、同第3,566,726号、同第4,634,440号、国際特許出願公開第WO97/40793号、及び欧州特許第525,676号に開示されている。
【0078】
フロック加工の例は、国際特許出願公開第WO 98/42289号、同第WO 98/36721号、及び欧州特許第861,646号に開示されている。
【0079】
超音波法の例は、米国特許第5,269,981号に開示されている。
【0080】
粘稠な溶解物の剥離加工法の例は、米国特許第3,967,623号及び国際特許出願公開第WO 99/06623号に開示されている。
【0081】
毛髪状印刷法の例は、米国特許第5,670,110号に開示されている。
【0082】
ブラシ加工の例は、国際特許出願公開第WO 99/06623号に開示されている。
【0083】
有孔ウェブ
図6A及び6Bを参照すると、本発明による方法によって作製された有孔ウェブ1は、ウェブ1の第1面12から外方向に延出する複数の分離性延出要素2(
図6Bには不図示)と、複数の、互いに離間した四角形の形状のマクロ開口部6とを備える。
【0084】
マクロ開口部は、平面的で二次元的であったり、又は三次元的であったりしてよい。「平面的」で「二次元的」であるということは、側壁を有する開口部6の形成により付与された、明確な、平面外のZ軸方向の三次元性を有する有孔ウェブ1と比較して、ウェブが平坦であることを意味しているだけである。「平面的」及び「二次元的」とは、いかなる特定の平坦度、平滑度、又は次元性をも示唆することを意図していない。1つの実施形態においては、本発明によるウェブは、複数の三次元的マクロ開口部を備える。
【0085】
図6A及び
図6Cに示すように、本発明のウェブは、第2面に向かって延出するマクロ開口部を備え、そのマクロ開口部は、長軸寸法と短軸寸法とを有し、ジグザグパターンに配列されている。開口部6は、ウェブ1の第2面14から遠ざかるように延出し、他方、分離性延出要素2は、ウェブ1の第1面12から遠ざかるように延出しているが、その結果、開口部6と分離性延出要素2とは反対方向に形成されている。マクロ開口部は互いに分離しており、例えば長方形、正方形、及びひし形のような、実質的に四角形の形状である。本明細書において「四角形の形状」という用語は、角に丸みをつけた四角形を含むように意図されている。驚くべきことに発明者は、後述するように、ウェブ上の四角形の形状の開口部は、木綿のような感触を増やす一方で、不自然で鋭く不快な感触を減らすことにより、柔らかな感触の向上をもたらすということを見出した。
【0086】
マクロ開口部は、長軸寸法の短軸寸法に対する比率が、3.3以下、2.5以下、又は2以下であり得る。別の1つの実施形態においては、マクロ開口部の長軸は、ウェブ1のMDと実質的に平行である。別の1つの実施形態においては、マクロ開口部の長軸は、ウェブ1のCDと実質的に平行である。別の1つの実施形態においては、マクロ開口部の長軸は、MDに対して一定の角度で配向されている。「長軸」及び「短軸」という用語を用いてはいるが、長軸と短軸とが同じ長さである可能性もあるように意図されている。
【0087】
本発明による方法によって作製されたウェブは、柔軟性が改善されている。本発明によるフィルムの平面の走査電子顕微鏡画像である6A、及びその断面の走査電子顕微鏡画像である6Cに示すように、本発明による方法によって調製されるウェブは、熱による損傷を実質的に受けていない実質的に無傷の分離性延出要素2を有する。いかなる特定の理論にも縛られずに言えば、吸収性物品の着用者に面する表面の少なくとも一部を形成するよう意図され、ウェブの当該表面が、着用者の肌と少なくとも部分的に接触する場合、ウェブの表面上にある損傷を受けていない分離性延出要素が、柔軟性を肌に対して提供することが可能であると考えられる。
図7A〜7Cは、市販の生理用パッド(
図7A:Kimberly Clark社(シンガポール)製Kotex U;
図7B:Kleannara社(韓国)製Lilian;
図7C:Hengan Industrial社(中国)製、7 Space Teens)のフィルムのトップシートの平面の走査電子顕微鏡画像であり、円形又は楕円形の開口部と、相当程度損傷を受けたミクロ構造を示すものである。
【0088】
また、本発明による方法によって調製されたウェブは、改善された木綿のような感触を示し、かつ不自然で鋭く不快な感触を減らしており、これらがすべて、ウェブの全般的な柔軟性に寄与している。木綿のような感触は、高ければ高いほどよい。不自然で鋭く不快な感触は、低ければ低いほどよい。
図10に示すように、四角形の形状の開口部、ダイヤモンド及び正方形のマクロ幾何形状を有するウェブは、木綿のような感触においてよりよい点数を示し、不自然で鋭く不快な感触が減少し、最も高い柔軟性の値を示す。
【0089】
更に、本発明による方法によって調製されたウェブは、流体排水試験の結果を示す、平面の走査電子顕微鏡画像である
図8及び
図9A〜9C(
図8:本発明による方法によって作製されたウェブのトップシートを有するパッド;
図9A:Kimberly Clark社(シンガポール)製Kotex U;
図9B:Kleannara社(韓国)製Lilian;及び
図9C:Hengan Industrial社(中国)製、7 Space Teens)に示されるように、流体排水性の改善を示す。
図9A〜9Cのトップシートは、円形状又は楕円形状のマクロ開口部を有する。
【0090】
ウェブの一部の実施形態においては、平面視した場合の個々のマクロ開口部の面積は、約0.5mm
2、1mm
2、5mm
2、10mm
2、又は15mm
2以上であり得るが、マクロ開口部どうしの間の任意の範囲に存在してよい。有孔ウェブ1の単位面積あたりの開口部6の数、すなわち、開口部6の面密度は、1cm
2あたり、約5〜60個の開口部で変動し得る。1つの実施形態においては、ウェブ1は、ウェブ1cm
2あたり約10〜約50個の、又は約20〜約40個のマクロ開口部が存在するマクロ開口部密度で、マクロ開口部を備える。最終的な用途に応じて、1cm
2あたり少なくとも20個の開口部6が存在し得る。一般的に、面密度は、有孔ウェブ1の全領域に渡って均一である必要はないが、開口部6は、線、ストライプ、バンド、円などのような、所定の形状を有する領域内のような、有孔ウェブ1のある領域内にのみに存在し得る。例えば有孔ウェブ1が生理用ナプキンのトップシートとして使用される1つの実施形態においては、開口部6は流体の浸入が生じるパッドの中央部に対応する領域のみに存在してもよい。
【0091】
図1を参照すると、前駆体ウェブ20がニップ116を通過するにつれて、ロール104の歯110は、ロール102の凹み108に係合し、同時に材料を前駆体ウェブ20の平面から押し出して、火山のような形状の、恒久的な開口部6を形成する。実質的に、歯110は前駆体ウェブ20を「押す」又は「穿刺」する。歯110の先端が前駆体ウェブ20を押し貫く間に、ウェブ材料は、歯110によって、前駆体ウェブ20の平面から押し出されて伸長され、かつ/又はZ軸方向に塑性変形されて、その結果、開口部6が形成される。前駆体ウェブの延性、及び、ガラス転移温度及び結晶性のような他の材料特性は、比較的恒久的な三次元変形を有孔ウェブ1がどれだけ保持するかを決定する。
【0092】
有孔ウェブ1の特性及び特徴を変化させるために、歯110のサイズ、形状、及び間隔を、ロール104の周囲及び幅に沿って変化させることが可能であるということも考えられる。開口部6の数、間隔、及びサイズは、歯110の形状、数、間隔、配向、及びサイズを変化させること、並びにロール104及び/又はロール102に、必要に応じた、対応する寸法上の変化を加えることにより変動し得る。このバリエーションは、前駆体ウェブ20に可能なバリエーションとともに、また、例えばラインの速度、ロールの温度のような加工処理におけるバリエーション、及びその他の後処理におけるバリエーションは、多くの目的に適した様々な有孔ウェブ1を製造するのを可能にするものである。
【0093】
図6A及び6Bを参照すると、本発明による方法によって作製された有孔ウェブ1は、複数の第1領域8と複数の第2領域10とを更に備え得る。
【0094】
第1領域8のそれぞれは、4つの独自の第2領域10により囲まれている。第1領域8のそれぞれを囲んでいる4つの独自の第2領域10は、第1方向に沿って配置される2つの隣接するマクロ開口部6と、第1方向に対して直交する第2方向に沿って配置される別の2つの隣接するマクロ開口部6とにより接続される。第2領域10のそれぞれは、2つの隣接する第1領域8と、第3方向又は第4方向のいずれかに沿って配置される2つの隣接するマクロ開口部6とによって囲まれているが、第3方向又は第4方向のいずれも、第1方向及び第2方向のいずれにも平行ではない。
【0095】
第3方向に隣接する2つのマクロ開口部の中心間距離及び/又は第4方向に隣接する2つのマクロ開口部の中心間距離は、第1方向に隣接する2つのマクロ開口部の中心間距離及び/又は第2方向に隣接する2つのマクロ開口部の中心間距離中心間距離よりも短い。1つの実施形態においては、第3方向に隣接する2つのマクロ開口部の中心間距離及び第4方向に隣接する2つのマクロ開口部の中心間距離は、第1方向に隣接する2つのマクロ開口部の中心間距離及び第2方向に隣接する2つのマクロ開口部の中心間距離中心間距離よりも短い。2つの隣接する開口部どうしの中心間距離は、2つの隣接する開口部の中心間の測定値である。1つの開口部の長軸と短軸とが互いに交差する点が、開口部の中心として規定され得る。
【0096】
図8に示すように、
図6Aを参照すると、第2領域10は、より良い流体排水性(例えば後述する流体排水試験により測定される)を有する。いかなる特定の理論にも縛られずに言えば、第2領域の短い上面長は、流体を排水し、流体が分離性延出要素のようなミクロ構造体間の谷部に囚われるのを防ぐのに効果的であると考えられる。
【0097】
ウェブ1は、単一の層の前駆体ウェブから作られる単一の層のウェブ、2つ以上の層若しくはプライを有する積層若しくは複合前駆体ウェブであり得る。一般に、積層前駆体ウェブから形成されるウェブ1は、その側壁が1種類以上の前駆体ウェブ材料を含む開口部6を持つ。
【0098】
なお、「有孔ウェブ」という用語が本明細書において用いられるが、その目的は、そのような有孔ウェブから、吸収性物品の構成要素を作成することであることを理解すべきである。このような場合において、有孔ウェブは、吸収性物品の個々の構成要素に合わせて切り分けられる。有孔ウェブはまた、吸収性物品以外の製品にも使用することが可能である。
【0099】
試験方法
流体排水試験
人工月経液模擬物質(「AMFS」)の準備
この試験で使用された人工月経液模擬物質(以下本明細書では「AMFS」と呼ぶ)は、ヒツジの脱線維素血液70%、及び溶解ゼラチン、アニオン性ポリアクリルアミド凝集剤、及びリン酸緩衝生理食塩水からなる溶液30%で構成される。このようなAMFSは、米国特許第7,659,372号により詳細に記載されている。
【0100】
溶解ゼラチンは、7gの食用グレードの無香料ゼラチンと、85gの滅菌蒸留水とを混合することによって調製される。構成成分を加熱し、溶解するまで撹拌する。溶液を4℃の冷蔵庫の中で一晩凝固させる。リン酸緩衝生理食塩水は、0.138%の水性一塩基性リン酸ナトリウム及び0.85%の塩化ナトリウムを含有する22gの溶液と、0.14%の無水二塩基性リン酸ナトリウム及び0.85%の塩化ナトリウムを含有する70gの溶液とを混合することによって調製される。アニオン性ポリアクリルアミド凝集剤(Kemira社からSuperfloc(商標)A−150として入手可能)は、1gの凝集ビーズと1%の塩化ナトリウム溶液とを滅菌蒸留水の中で混合することによって調製される。この溶液を室温で1週間置く。
【0101】
100mLのAMFSを調製するために、7gの固化したゼラチンを21.5gのリン酸緩衝生理食塩水に加え、目で見えるほど溶解するまで35℃のホットプレート上で加熱する。この溶液を25℃まで冷やす。次に、1.5gのアニオン性ポリアクリルアミド凝集剤を加えた後、Cleveland Scientific社から入手可能な70gのヒツジの脱線維素血液を加える。構成要素を確実に混合するために、得られたAMFSを10回反転させた後、4℃の冷蔵庫の中に一晩入れる。
【0102】
AMFSの粘度を、TA Instruments社製AR1500又はAR2000回転レオメータを使用して、試験への適合性に関してチェックする。AMFSバッチを25℃まで温めた後、剪断速度を0.5から30 1/sまで傾斜的に変化させる、500〜1000マイクロメートルの隙間を有している鋼製の40mmの0°板を使用して、25℃の計器温度でこれを試験する。得られた剪断曲線に直線回帰を適用し、20 1/sの剪断速度の粘度を計算する。20 1/sで17〜23センチポアズのAMFS粘度は、本明細書の試験方法で用いるのに許容可能であると考えられる。
【0103】
流体排水性
a)試験対象の吸収性物品を広げ、すべての剥離紙/フィルム/テープから取り外した。吸収性物品を平らにして、吸収性物品のバックシートの裏側に塗布した接着剤を用いて、A4の紙の上に固定する。
b)吸収性物品を、任意追加でデジタルカメラを装着した、例えばオリンパス社製SZX 12のような光学顕微鏡の下に配置する。焦点距離と光の強度を、総合倍率16倍の下で調節する。
c)人工月経液模擬物質(「AMFS」)調製法にしたがって、2mLのAMFSを用意して、ピペットを用いて約5秒間、吸収性物品の焦点に塗布する。AMFSの排水を、顕微鏡に接続されたビデオで、AMFS塗布から3分間にわたり記録する。
d)AMSFの排水にそれ以上進展が見られなくなってから3秒後の吸収性物品の写真を、記録した映像から選抜する。
【実施例】
【0104】
実施例1:流体排水試験
本発明によるウェブフィルムの非制限的な1つの例が、ミクロ孔を有する70メッシュのポリエチレンフィルムを、
図5Bに示す歯を有する
図1及び
図2に示す成形装置にかけて製造された。歯はジグザグパターンに配列され、かつそれぞれの長軸をMD方向に、短軸をCD方向に向けられている。フィルムは温度60〜90℃で活性化した。
図6は、得られたウェブフィルムの大きく拡大した部位であり、SEM(日立(日本)社製TM3000)により得られた画像である。得られたフィルムをトップシートとして用いて、生理用パッドが用意された。
【0105】
実施例1で用意したパッドと市販の生理用パッドの流体排水性を、試験方法のセクションで説明した流体排水試験の手順にしたがって試験した。結果を
図8及び
図9A〜9Cに示す。図示されているように、実施例1で用意したパッドは、優れた流体排水性を示す。
【0106】
実施例2:柔軟性試験
本発明によるウェブフィルムの非制限的な1つの例が、ミクロ孔を有する70メッシュのポリエチレンフィルムを、
図5Bに示す歯を有する
図1及び
図2に示す成形装置にかけて製造された。歯はジグザグパターンに配列され、かつそれぞれの長軸をMD方向に、短軸をCD方向に向けられている。フィルムは温度60〜90℃で活性化した。ダイヤモンド形状の開口部を、1cm
2あたり29個の密度で有するフィルム(「ダイヤモンド」サンプル)が調製された。ダイヤモンドサンプルの場合と同じ前駆体ウェブから同じプロセスにより、様々な開口部の幾何学的形状を有するウェブフィルムが作製された。
【0107】
長方形:長方形の形状の開口部で、1.05mm×0.78mmの寸法のもの。ウェブの1cm
2あたり25個の開口部
円2:直径2.0mmの円形の開口部で、ウェブの1cm
2あたり18個の開口部
円2.5:直径2.5mmの円形の開口部で、ウェブの1cm
2あたり12個の開口部
六角形:一辺が1.15mm、幅が1.50mm、及び高さが2.5mmの六角形の形状の開口部で、ウェブの1cm
2あたり16個の開口部
【0108】
吸収性コアとバックシートは同じものを用いて、上で得られたフィルムのそれぞれをトップシートに用いて生理用パッドが調製された。
【0109】
12名の専門家によるパネルが、0〜8のスケールで、それぞれのサンプルの木綿のような感触(製品が、けば立てた綿のように感じる程度であって、0が全く木綿のような感触がなく、8が極めて木綿のような感触である)、不自然な感触(不自然な感触の程度であって、0が全く不自然な感触がなく、8が極めて不自然な感触である)、鋭く不快な感触(粗さ、とげ、鋭利さを表し、0が鋭く不快な感触が全くなく、8が極めて鋭く不快な感触がある)を測定した。結果を
図10に示す。
【0110】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「90°」として開示される寸法は、「約90°」を意味するものとする。
【0111】
本明細書の全体を通して示されているすべての最大数値の限定は、それよりも小さい数値限定を、こうしたより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのごとく、包含するものと理解すべきである。本明細書全体を通して与えられるあらゆる最小数値限定は、それより高いあらゆる数値限定を、そのようなより高い数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通して与えられるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るより狭いあらゆる数値範囲を、そのような狭い数値範囲がすべて本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0112】
発明を実施するための形態において引用されたすべての文献は、関連部分において参照により本明細書に組み込まれている。いかなる文献の引用も、本発明に関する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。本明細書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲においては、本明細書においてその用語に付与した意味又は定義を適用するものとする。
【0113】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのようなすべての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。