(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396586
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】印刷スリーブおよび印刷スリーブを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B41N 1/22 20060101AFI20180913BHJP
B41N 1/16 20060101ALI20180913BHJP
B41C 1/05 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
B41N1/22
B41N1/16
B41C1/05
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-516059(P2017-516059)
(86)(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公表番号】特表2017-529266(P2017-529266A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2015065275
(87)【国際公開番号】WO2016058714
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】102014220850.5
(32)【優先日】2014年10月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501158848
【氏名又は名称】コンテイテヒ・エラストマー−ベシヒトウンゲン・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】フュルグラーフ・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ゼンネ・アルミン
(72)【発明者】
【氏名】レシュナー・イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ラシュドルフ・トルステン
【審査官】
藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭52−086802(JP,A)
【文献】
特開平09−099663(JP,A)
【文献】
特開平11−254845(JP,A)
【文献】
特表2013−508196(JP,A)
【文献】
特許第3209928(JP,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0345482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 1/00 − 1/22
B41C 1/00 − 1/18
B41F 5/24
B41F 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のおよび半径方向内側の層(11)であって、
印刷シリンダ(10)の外側と直接接触するための内側(11a)および
前記内側(11a)の半径方向に反対側の外側(11b)
を有する第1のおよび半径方向内側の層(11)と、
第2のおよび半径方向外側の層(12)であって、
印刷表面を構成するための外側(12b)および
前記外側(12b)の半径方向に反対側の内側(12a)
を有する第2のおよび半径方向外側の層(12)と
を有する印刷スリーブ(1)であって、
前記第1のおよび半径方向内側の層(11)の前記外側(11b)と、前記第2のおよび半径方向外側の層(12)の前記内側(12a)とが互いに直接当接し合うこと、および前記第1のおよび半径方向内側の層(11)が、円周方向(U)におよび/または長手方向(L)に生じる力と、半径方向(R)に生じる圧力との両方を吸収できるように構成されること、
前記第1のおよび半径方向内側の層(11)が、圧縮性ゴム化合物を有する不織布および/または開孔織布および/またはメッシュ構造を有し、その結果、前記不織布および/または前記開孔織布および/または前記メッシュ構造が円周方向(U)におよび/または長手方向(L)に生じる力を吸収し得、および前記圧縮性ゴム化合物が半径方向(R)に生じる圧力を吸収し得るようにする、
ことを特徴とする印刷スリーブ(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷スリーブ(1)を製造するための方法であって、以下のステップ:
不織布および/または開孔織布および/またはメッシュ構造をシリンダの上に適用するステップと、
圧縮性ゴム化合物を、前記不織布および/または前記開孔織布および/または前記メッシュ構造に組み込むステップであって、それにより、円周方向(U)および/または長手方向(L)に生じる力と、半径方向(R)に生じる圧力との両方を吸収し得る第1のおよび半径方向内側の層(11)を構成するステップと、
第2の化合物を、前記第1のおよび半径方向内側の層(11)の外側(11b)に適用するステップと、
前記第2の化合物を、前記第1のおよび半径方向内側の層(11)の前記外側(11b)の上で成形し、それにより、第2のおよび半径方向外側の層(12)を形成するステップであって、前記第2のおよび半径方向外側の層(12)の外側(12b)が印刷表面として構成されているステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部による印刷スリーブに関し、および、請求項4および6によるこの種類の印刷スリーブを製造するための2つの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷において、寸法的に安定した補強部材を有する(印刷)スリーブ、いわゆるベーススリーブが、印刷版として採用され、外側に向けられるその印刷表面は、エラストマー材料から構成されるまたはそのような材料を有する(個々に)、すなわちゴムコーティングされている。これらの印刷版は印刷シリンダ上で使用され、印刷シリンダの上に、印刷版は半径方向に膨張される間に押圧により密着される。このため、半径方向に膨張するのが難しい寸法的に安定した印刷スリーブは、圧縮空気によって内側から膨張される;このため、前記印刷スリーブは気密である必要がある。この半径方向の伸びまたは膨張により印刷シリンダ上への押圧による密着が可能になる。いったん圧縮空気が停止されると、印刷スリーブはその初期状態へ戻るように収縮される、すなわちその実際の直径を再び取る。このため、印刷シリンダへの印刷スリーブの確実な密着が達成され、印刷シリンダの外径は、収縮された状態において、すなわち非膨張状態において、印刷スリーブのベーススリーブの内径よりも少なくともわずかに大きい。
【0003】
印刷スリーブは通常3つの層で構成され、具体的には内側から外側まで、補強部材としてのベーススリーブと、圧縮層と、印刷層として機能し得るカバー層とを有し;ここで、3つの層の間のどの潜在的な結合剤も層としてみなされない。
【0004】
GRP材料(ガラス繊維で補強されたプラスチック材料)が現在ベーススリーブとして使用されている。ベーススリーブはねじれ力を吸収する働きをする。印刷シリンダへの押圧による密着の間に機能する運動摩擦値が、ベーススリーブの、特にベーススリーブの内側の設計によって、設定され得るまたは影響を及ぼされ得る(個々に)。
【0005】
圧縮性または非圧縮性のどちらかであり得るエラストマーシートまたは化合物が、次いで、この種類のベーススリーブ上に適用される。この圧縮層は、振動を低減するために、および表面印刷を改善するために、圧縮力を吸収する働きをする。圧縮層はベーススリーブとカバー層の間の接続を形成する。
【0006】
カバー層は、この印刷層上で印刷される物体を描くことができるように彫刻可能である、例えばレーザ彫刻可能である。前記カバー層は、インクのポジティブな転写を保証するように、およびできるだけ少ない嵩高を有するように、作られる。これらすべての層は印刷された画像に継ぎ目が描かれないように継ぎ目のないように作製される。
【0007】
この種類の3層または3階層印刷スリーブは現在、例えば以下のように作製される:
・ベーススリーブは第1作業ステップにおいて形成され、第1作業ステップにおいて、不織布が、例えば、エポキシ樹脂で浸され、例えば、シリンダの周りに巻かれ、その後、対応する圧力において加熱処理によって硬化される。さらなるステップにおいて完全に乾燥されたベーススリーブは次いで通常は研磨される。
・次に圧縮性または非圧縮性の層が、完全に仕上げられたベーススリーブの上にゴムシートブランクとして適用され、例えば、加熱され、続いて研磨される。これらの間の相互結合を可能にするまたは補強する(個々に)ためのこれら2つの層の間の結合剤の使用は、同じく通例のやり方である。
・次に印刷層としてのエラストマーカバー層が、圧縮性または非圧縮性層(個々に)の上に適用される。
【0008】
特許文献1は、3層構造を有する、印刷シリンダ用の印刷スリーブに関し、および、この種類のスリーブを形成するための製造方法に関する。
【0009】
通常の印刷スリーブの場合において、またはその製造の場合において(個々に)、以下のことが欠点である、すなわち、前記印刷スリーブは、完成した印刷スリーブの場合に実質的に1つの機能をそれぞれが担う様々な層を有すること、および、対応して多くの異なる製造ステップが同じく様々な層に対して必要とされることが欠点である。これは労力と費用をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6703095号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、始めに記載された種類の印刷スリーブであって、同じまたはより優れた機能を備えて、より単純なおよび/またはより費用対効果に優れた方法で構成され、および/またはより単純な、より費用対効果に優れた、および/またはより速い方法で製造され得る印刷スリーブを提供することが本発明の目的である。特に、この種類の印刷スリーブを製造するための作業ステップの数、およびそのためにかかる費用は、削減され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1による特徴を有する印刷スリーブによって、および請求項4または6(個々に)によるステップを含む印刷スリーブを製造するための方法によって、本発明により達成される。有利な発展は従属項に記載される。
【0013】
従って本発明は、請求項1の前提部による印刷スリーブに関する。この印刷スリーブは、第1のおよび半径方向内側の層の外側と、第2のおよび半径方向外側の層の内側とが互いに直接当接し合うこと、および第1のおよび半径方向内側の層が、円周方向および/または長手方向に生じる力と、半径方向に生じる圧力との両方を吸収できるように構成されることを特徴とする。
【0014】
このようにして、今日までの公知の印刷スリーブの場合においてベーススリーブにおよび圧縮層に別々に割り当てられてきた特性または機能(個々に)が、1つの共通層によって担われ得る。そのために、本発明による印刷スリーブの構造および製造は、層の数をこれまでの3層から2層だけに減らすことによって、単純化され、より優れた費用対効果が与えられる。半径方向の印刷スリーブの厚さも同じく低減され得る。
【0015】
本発明の一態様によれば、第1のおよび半径方向内側の層は、(ガラス)繊維で補強された圧縮性化合物を有し、その結果、(ガラス)繊維が、円周方向および/または長手方向に生じる力を吸収し得、および、圧縮性化合物要素が、半径方向に生じる圧力を吸収し得るようにする。このようにして、今日までベーススリーブおよび圧縮層において別々に機能する材料は、1つの共通層の中に組み合わせられ、1つの共通層の中で前記材料はそれぞれそれらの機能を果たし得る。前記材料は従って、それぞれの他の材料の欠点または弱点(個々に)を補い、その結果、本発明により、ベーススリーブのおよび圧縮層の機能が1つの共通層において利用され得るようにする。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、第1のおよび半径方向内側の層は、圧縮性ゴム化合物を有する不織布および/または開孔織布および/またはメッシュ構造を有し、その結果、不織布および/または開孔織布および/またはメッシュ構造が円周方向および/または長手方向に生じる力を吸収し得、および圧縮性ゴム化合物が半径方向に生じる圧力を吸収し得るようにする。今日まで分けられていた材料または層(個々に)が、この実施形態の変形において、1つの共通層の中に同じく組み合わせられる。
【0017】
本発明はまた、第1のおよび内側の層が、前に記載されたものと原理上同一である方法で製造され得るが圧縮性ゴム化合物の代わりに非圧縮性ゴム化合物を提供される非圧縮層であり得るということを含む。このようにして、2つの層を有する非圧縮性印刷スリーブが同じく製造され得る。
【0018】
圧縮性または非圧縮性(個々に)の第1のおよび内側の層のゴム化合物が通常のベーススリーブまたは圧縮層(個々に)の場合よりも印刷層に対するより優れた結合を実現することが可能であり得るということが全ての場合において有利である。それというのも、印刷層が同じくエラストマー材料を有し、および2つのゴム化合物が直接相互に接触するためである。
【0019】
本発明はまた、上に記載したような印刷スリーブを製造するための方法に関し、前記方法は以下のステップ:
第1の(ガラス)繊維で強化された圧縮性化合物をシリンダ上に適用するステップと、
第1の化合物をシリンダ上で成形し、それにより、第1のおよび半径方向内側の層を形成するステップであって、第1のおよび半径方向内側の層は、円周方向におよび/または長手方向(L)に生じる力と、半径方向に生じる圧力との両方を吸収し得るステップと、
第2の化合物を第1のおよび半径方向内側の層の外側に適用するステップと、
第2の化合物を第1のおよび半径方向内側の層の外側の上で成形し、それにより、第2のおよび半径方向外側の層を形成するステップであって、第2のおよび半径方向外側の層の外側は印刷表面として構成されているステップと
を含む。
【0020】
上に記載される利点を有する本発明による印刷スリーブは、この種類の方法を用いて製造され得る。第1および第2の化合物の両方は、好ましくはエラストマー化合物、すなわちゴム化合物である。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、第1の(ガラス)繊維で補強された圧縮性化合物のシリンダへの適用は、繊維がカレンダ加工プロセスを介して方向付けられるようにカレンダ加工プロセスを用いて実行される。カレンダ加工を用いたこの製造ステップの実行は有利である。それというのも、完成された印刷スリーブ中の前記繊維が円周方向および/または長手方向に生じる力を吸収し得るように単純な方法で材料中の繊維の各向きが達成され得るためである。
【0022】
本発明はまた、以下のステップ:
不織布および/または開孔織布および/またはメッシュ構造をシリンダの上に適用するステップと、
圧縮性ゴム化合物を、不織布および/または開孔織布および/またはメッシュ構造に組み込むステップであって、それにより、円周方向および/または長手方向に生じる力と、半径方向に生じる圧力との両方を吸収し得る第1のおよび半径方向内側の層を構成するステップと、
第2の化合物を、第1のおよび半径方向内側の層の外側に適用するステップと、
第2の化合物を、第1のおよび半径方向内側の層の外側の上で成形するステップであって、それにより、第2のおよび半径方向外側の層を形成し、第2のおよび半径方向外側の層の外側が印刷表面として構成されているステップと
を含む方法に関する。
【0023】
上に記載される利点を有する本発明による印刷スリーブは、この種類の方法を用いて同じく製造され得る。第1および第2の化合物の両方は、好ましくはエラストマー化合物、すなわちゴム化合物である。
【0024】
これより本発明の例示的な実施形態およびさらなる利点を以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明による印刷スリーブの概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明による印刷スリーブ1の概略的な断面図を示す。この図は、その長手方向Lの方向に円筒状に延在する印刷スリーブ1の断面を示している。印刷スリーブ1は、第1のおよび半径方向内側の層11を有し、それは円周方向Uにおいて継ぎ目なしに閉じられるように構成されている。
【0027】
印刷スリーブ1はその第1のおよび半径方向内側の層11を介して印刷シリンダ10に密着されている。このため、前記印刷スリーブ1は、圧縮空気を用いて、内側から半径方向に膨張された。ここで、印刷スリーブ1は、第1のおよび半径方向内側の層11の内側表面11aを介して、印刷シリンダ10の外側表面に力による密着式に当接している。印刷スリーブ1はさらに第2のおよび半径方向外側の層12を有し、それはその内側表面12aを介して第1のおよび半径方向内側の層11の外側表面11bに直接当接している。第2のおよび半径方向外側の層12の外側表面12bは印刷表面として構成される。
【0028】
第1のおよび半径方向内側の層11は、前記層11が従来のベーススリーブの機能と、同時に圧縮層の機能との両方を担い得るようなやり方で、例えば繊維強化された圧縮性化合物として、または不織布で補強された圧縮性化合物として構成される。このようにして、これら2つの層の機能および機能モードは、本発明により1つの共通層の中に組み込まれ、この共通層は公知の印刷スリーブとの関連において単純であり、および本発明による印刷スリーブの組立費用を削減する。
【符号の説明】
【0029】
L 長手方向
R 長手方向Lに対して垂直な半径方向、半径、
U 円周方向
1 印刷スリーブ、スリーブ
10 印刷シリンダ
11 印刷スリーブ1の第1のおよび半径方向内側の層または階層(個々に)
11a 第1のおよび内側の層11の内側表面または内側(個々に)
11b 第1のおよび内側の層11の外側表面または外側(個々に)
12 印刷スリーブ1の第2のおよび半径方向外側の層または階層(個々に)
12a 第2のおよび外側の層11の内側表面または内側(個々に)
12b 第2のおよび外側の層11の外側表面または外側(個々に)