特許第6396593号(P6396593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6396593仮眠の回復値を増加させるためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396593
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】仮眠の回復値を増加させるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20180913BHJP
   A61M 21/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   A61M21/02 G
   A61M21/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-529070(P2017-529070)
(86)(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公表番号】特表2018-500968(P2018-500968A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】IB2015059057
(87)【国際公開番号】WO2016087983
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2018年7月12日
(31)【優先権主張番号】62/086,934
(32)【優先日】2014年12月3日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア モリナ ゲイリー ネルソン
【審査官】 立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−220649(JP,A)
【文献】 特開2012−226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の睡眠セッションを管理するシステムであって、
前記システムは、
前記睡眠セッション中に前記被験者に感覚刺激を提供する1つ以上の感覚刺激装置と、
前記被験者の脳活動に関連する情報を伝達する出力信号を生成する1つ以上のセンサと、
1つ以上の物理コンピュータプロセッサと、を含み、
前記1つ以上の物理コンピュータプロセッサは、コンピュータ可読命令によって、
前記出力信号に基づいて前記被験者の睡眠段階を示す前記被験者の脳活動パラメータを決定し、さらに、
前記脳活動パラメータに基づいて前記被験者の前記睡眠段階を決定し、前記睡眠段階は、第1の睡眠段階と、前記第1の睡眠段階より深い第2の睡眠段階と、前記第1の睡眠段階及び前記第2の睡眠段階より深い第3の睡眠段階と、を含み、さらに、
前記脳活動パラメータに基づいて前記第2の睡眠段階から前記第3の睡眠段階への移行を予測し、さらに、
前記被験者が前記第1の睡眠段階から前記第2の睡眠段階に入ることに応じて、前記被験者に感覚刺激を提供するように、及び、
前記被験者が前記第3の睡眠段階に入ろうとしていることを示す前記第2の睡眠段階から前記第3の睡眠段階への移行の予測に応じて、前記被験者に感覚刺激を提供するのを中止するように、
前記1つ以上の感覚刺激装置を制御し、前記1つ以上の物理コンピュータプロセッサは、
前記第1の睡眠段階が、REM睡眠、NREM段階N1睡眠、又はNREM段階N2睡眠の浅い部分、のうちの1つ以上を含み、
前記第2の睡眠段階が、NREM段階N2睡眠の深い部分を含み、
前記第3の睡眠段階が、NREM段階N3睡眠を含む、
ように構成される
システム。
【請求項2】
前記1つ以上のセンサは、前記出力信号がEEG信号を含むように構成され、
前記1つ以上の物理コンピュータプロセッサは、前記脳活動パラメータを決定することが、
前記EEG信号のベータ帯域におけるパワーと前記EEG信号のデルタ帯域におけるパワーとの比率、前記EEG信号のアルファ帯域におけるパワーと前記EEG信号のシータ帯域におけるパワーとの比率、前記EEG信号のシグマ帯域におけるパワーと前記EEG信号の前記デルタ帯域における前記パワーとの比率、又は前記EEG信号の高速周波数帯域におけるパワーと前記EEG信号の低速周波数帯域におけるパワーとの比率、のうちの1つ以上を含む、1つ以上のマクロパラメータを決定することと、
瞬き、緩徐眼球運動、紡錘波、又は徐波、のうちの1つ以上を含む、1つ以上のマイクロイベントを決定することと、
を含むように構成され、
前記1つ以上の物理コンピュータプロセッサは、前記1つ以上のマクロパラメータと前記1つ以上のマイクロイベントとに基づいて前記睡眠段階が決定されるように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の物理コンピュータプロセッサは、前記被験者が前記第3の睡眠段階に入ったことを示す前記脳活動パラメータに応じて、感覚刺激を加えて前記被験者を起こすように、前記1つ以上の感覚刺激装置を制御する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01] 本開示は、仮眠の回復値を増加させるためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[02] 睡眠をモニタするためのシステムが知られている。睡眠中の感覚刺激が知られている。睡眠中の感覚刺激は、しばしば、連続的に、及び/又は被験者の睡眠パターンへ影響を及ぼさない間隔で、与えられる。感覚刺激は、典型的には、仮眠中に加えられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[03] したがって、本開示の1つ以上の態様は、被験者の睡眠セッションを管理するように構成されるシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このシステムは、1つ以上の感覚刺激装置、1つ以上のセンサ、1つ以上の物理コンピュータプロセッサ、及び/又は他の構成要素を含む。1つ以上の感覚刺激装置は、睡眠セッション中に被験者に感覚刺激を提供するように構成される。1つ以上のセンサは、被験者の脳活動に関連する情報を伝達する出力信号を生成するように構成される。1つ以上の物理コンピュータプロセッサは、コンピュータ可読命令によって、出力信号に基づいて被験者の脳活動パラメータを決定し、脳活動パラメータは被験者の睡眠段階を示し、さらに、脳活動パラメータに基づいて被験者の睡眠段階を決定し、睡眠段階は、第1の睡眠段階と、第1の睡眠段階より深い第2の睡眠段階と、第1の睡眠段階及び第2の睡眠段階より深い第3の睡眠段階と、を含み、さらに、脳活動パラメータに基づいて第2の睡眠段階から第3の睡眠段階への移行を予測し、さらに、被験者が第1の睡眠段階から第2の睡眠段階に入ることに応じて、被験者に感覚刺激を提供するように、且つ、被験者が第3の睡眠段階に入ろうとしていることを示す第2の睡眠段階から第3の睡眠段階への移行の予測に応じて、被験者に感覚刺激を提供するのを中止するように、1つ以上の感覚刺激装置を制御する、ように構成される。
【0005】
[04] 本開示の別の態様は、管理システムによって被験者の睡眠セッションを管理するための方法に関する。このシステムは、1つ以上の感覚刺激装置、1つ以上のセンサ、1つ以上の物理コンピュータプロセッサ、及び/又は他の構成要素を含む。この方法は、1つ以上のセンサによって、被験者の脳活動に関連する情報を伝達する出力信号を生成することと、1つ以上の物理コンピュータプロセッサによって、出力信号に基づいて被験者の脳活動パラメータを決定することと、を含み、脳活動パラメータは、被験者の睡眠段階を示し、この方法はさらに、1つ以上の物理コンピュータプロセッサによって、脳活動パラメータに基づいて被験者の睡眠段階を決定することを含み、睡眠段階は、第1の睡眠段階と、第1の睡眠段階より深い第2の睡眠段階と、第1の睡眠段階及び第2の睡眠段階より深い第3の睡眠段階とを含み、この方法はさらに、1つ以上の物理コンピュータプロセッサによって、脳活動パラメータに基づいて第2の睡眠段階から第3の睡眠段階への移行を予測することと、1つ以上の物理コンピュータプロセッサによって、被験者が第1の睡眠段階から第2の睡眠段階に入ることに応じて、被験者に感覚刺激を提供するように、且つ、被験者が第3の睡眠段階に入ろうとしていることを示す第2の睡眠段階から第3の睡眠段階への移行の予測に応じて、被験者に感覚刺激を提供するのを中止するように、1つ以上の感覚刺激装置を制御することと、を含む。
【0006】
[05] 本開示のさらに別の態様は、被験者の睡眠セッションを管理するように構成されるシステムに関する。このシステムは、睡眠セッション中に被験者に感覚刺激を提供するための手段と、被験者の脳活動に関連する情報を伝達する出力信号を生成するための手段と、出力信号に基づいて被験者の脳活動パラメータを決定するための手段と、を含み、脳活動パラメータは、被験者の睡眠段階を示し、このシステムはさらに、脳活動パラメータに基づいて被験者の睡眠段階を決定するための手段を含み、睡眠段階は、第1の睡眠段階と、第1の睡眠段階より深い第2の睡眠段階と、第1の睡眠段階及び第2の睡眠段階より深い第3の睡眠段階とを含み、このシステムはさらに、脳活動パラメータに基づいて第2の睡眠段階から第3の睡眠段階への移行を予測するための手段と、被験者が第1の睡眠段階から第2の睡眠段階に入ることに応じて被験者に感覚刺激を提供するように、且つ、被験者が第3の睡眠段階に入ろうとしていることを示す第2の睡眠段階から第3の睡眠段階への移行の予測に応じて、被験者に感覚刺激を提供するのを中止するように、感覚刺激を提供するための手段を制御するための手段と、を含む。
【0007】
[06] 本開示のこれら及び他の目的、特徴、及び特性は、構造の関連要素の動作方法及び機能、並びに部品の組み合わせ及び製造の経済性と合わせて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を、添付図面を参照して考慮することによってより明らかとなろう。図面はすべて、本明細書の一部を形成する。同様の参照符号は、種々の図面において対応する部品を指示する。ただし、図面は例示及び説明することだけを目的とするものであり、本開示の限定を定義しようとするものでないことを明確に理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[07]被験者の睡眠セッションを管理するように構成されるシステムの概略図である。
図2】[08]深睡眠中の被験者に一連の聴覚トーン(auditory tones)が提供される場合に発生する睡眠徐波が増強する様子を示す図である。
図3】[09]睡眠セッション中の、徐波活動、REM睡眠期間及び徐波睡眠期間を示すヒプノグラム、並びに時間の関数としての睡眠圧を示す図である。
図4】[10]被験者の35分の仮眠についての情報を示す図である。
図5】[11]システムの動作の例を示す図である。
図6A】[12]仮眠中の被験者における睡眠段階の推移を示す図である。
図6B】[13]上記仮眠について、時間経過とともにlogベータ/デルタ比率がヒプノグラムに非常に密接に追従する様子を示す図である。
図6C】[14]logベータ/デルタ比率の睡眠段階N1、N2、及びN3についての箱型図である。
図7】[15]被験者の睡眠セッションを管理するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[16] 本明細書において使用される「a」、「an」、及び「the」という単数形は、文脈上特に明確に定めがない限り、複数の言及を含む。本明細書において使用される、2つ以上の部分又は構成要素が「結合される」という記述は、これらの部分が直接的に又は間接的に、即ちリンクが発生する限り1つ以上の中間部分又は構成要素を通じて、一緒に連結されるか、一緒に動作することを意味するものとする。本明細書において使用される「直接結合される」は、2つの要素が互いに直接接触していることを意味する。本明細書において使用される「固定的に結合される」又は「固定される」は、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら一体となって移動するように結合されることを意味する。
【0010】
[17] 本明細書において使用される「単一体の(unitary)」という言葉は、1つの構成要素が単一のピース又はユニットとして作成されることを意味する。即ち、別個に作成された後1つのユニットとして一緒に結合されるピースを含む構成要素は、「単一体の」構成要素又は物体ではない。本明細書において用いられる、2つ以上の部分又は構成要素が互いに「係合する(engage)」という記述は、これらの部分が、直接的に又は1つ以上の中間部分又は構成要素を通じて互いに対して力を及ぼすことを意味するものとする。本明細書において用いられる「数」という用語は、1又は2以上の整数(即ち、複数)を意味するものとする。
【0011】
[18] 本明細書で使用される方向の表現、例えば、上、下、左、右、上方、下方、前、後ろ、及びそれらの派生語は、これらに限定はされないが、図面において示される要素の向きに関し、請求項において明確に記載されていない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
[19] 図1は、被験者12の睡眠セッションを管理するように構成されるシステム10の概略図である。いくつかの実施形態では、システム10は、感覚刺激装置16、センサ18、物理コンピュータプロセッサ20、電子記憶装置22、ユーザインターフェース24、及び/又は他の構成要素のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、睡眠セッションは仮眠であり、システム10は、感覚刺激によって仮眠中の被験者12における睡眠徐波を増強する及び/又は維持することによって仮眠の回復値を増加させるように構成される。
【0013】
[20] 図2は、深睡眠(例えば、後述の段階N3睡眠)中の被験者12(図1)に一連の聴覚トーン202及び/又は他の感覚刺激が提供される場合に発生する睡眠徐波204が増強する様子(200)を示す図である。図2は、時間208にわたる脳波(electroencephalogram(EEG))信号206を示す。トーン202(例えば、この例では、個々のトーンは、長さが約50ミリ秒であり、約1秒の実質的に一定のトーン間の間隔を有する)の提供に応じて発生する徐波活動(SWA)曲線(例えば、後述の0.5〜4Hz帯域における瞬時EEGパワー)212の上昇210は、徐波増強効果を示す。こうした刺激202の効果は、SWAに関して評価される。これは、SWAが、睡眠の回復値に関連しているからである。
【0014】
[21] 睡眠の必要性(又は、睡眠圧)は、眠ることによって解消する。睡眠の必要性の解消の生じ方は、SWAの時間的動特性とリンクしている。SWAは、睡眠セッションの周期変動全体を通じて典型的な挙動を有する。SWAは、ノンレム(non−rapid eye movement(NREM))睡眠中に高まり、レム(rapid−eye−movement(REM))睡眠の開始の前に低下し、REM睡眠中は低いまま変わらない。連続NREMサイクルの間のSWAのレベルは、次第に低くなる。これを、図3に示す。
【0015】
[22] 図3は、睡眠セッション中の、SWA300、REM睡眠期間304及び徐波睡眠期間306を示すヒプノグラム302、並びに時間の関数としての睡眠圧308を示す図である。時間の関数としての睡眠圧308は、睡眠セッション中に初期睡眠圧310から最終睡眠圧312まで減少する。図3は、時間の関数としての睡眠圧308が、SWA300及び/又は徐波睡眠306の期間中に、より急速に減少すること(320)を示す。睡眠の必要性が解消する速度は、被験者12におけるSWAに比例する。この関係は、以下に示す式(1)及び(2)で説明される。
【数1】
【0016】
[23] S(t)は睡眠の必要性であり、SWA(t)は、時間tにおける徐波活動であり、γは比例定数である。睡眠開始「t=0」から任意の時間tまで式(1)の両辺の積分を取ると、式(2)となる。Sは、睡眠セッションの開始時における睡眠の必要性である。睡眠開始から時間tまでのSWAの和は、累積SWA又はCUMSWA(t)と称される。「t」時間単位の睡眠持続時間後の睡眠の必要性の減少(S−S(t))は、CUMSWA(t)に正比例する。このため、CUMSWA(t)は、睡眠の回復値の判定の目安となる。
【0017】
[24] 典型的には、被験者12の回復睡眠を増強し、被験者12が覚醒しないようにするために、感覚刺激は、深睡眠(例えば、段階N3睡眠)中に加えられる。システム10は、より浅いNREM睡眠段階中(例えば、後述の段階N2の一部の間)に被験者12に感覚刺激を加えながら、それでも覚醒しないようにすることによって、仮眠中の回復睡眠を増強するように構成される。いくつかの実施形態では、システム10は、深睡眠(例えば、段階N3睡眠)へ移行しないように被験者12に感覚刺激を加えることによって「パワーナップ(powernap)」を容易にするように構成される。
【0018】
[25] 図1に戻って、感覚刺激装置16は、被験者12に感覚刺激を提供するように構成される。感覚刺激装置16は、睡眠セッションの前、睡眠セッション中、及び/又は他の時に、被験者12に感覚刺激を提供するように構成される。例えば、感覚刺激装置16は、被験者12においてより深い睡眠を誘発するために、睡眠セッション中に特定の睡眠段階(例えば、後述のNREM段階N2睡眠)における睡眠を維持するために、睡眠セッションにおける深睡眠(例えば、徐波睡眠)中に睡眠のより浅い段階に移行しやすくするために、並びに/又は他の理由で及び/若しくは他の時に、被験者12に感覚刺激を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、感覚刺激装置16は、被験者12において睡眠徐波を誘発、増加、増強、維持、及び/又は減少するように構成される。
【0019】
[26] 感覚刺激装置16は、非侵襲的脳刺激及び/又は他の刺激を容易にするように構成される。感覚刺激装置16は、感覚刺激を使用して非侵襲的脳刺激を容易にするように構成され得る。感覚刺激は、臭い、音、視覚刺激、接触、味、体性感覚刺激、触力覚(haptic)、及び/又は他の刺激を含む。例えば、感覚刺激装置16は、被験者12に音響トーン(acoustic tones)を提供するように構成され得る。感覚刺激装置16の例には、音楽プレーヤ、トーン発振器、被験者12の頭皮上における電極の集まり、振動刺激を加えるユニット、脳の皮質を直接刺激するために磁場を生成するコイル、光発生器、香りディスペンサ、及び/又は他のデバイスのうちの1つ以上が含まれる。いくつかの実施形態では、感覚刺激装置16は、被験者12に提供される刺激の強度を調整するように構成される。
【0020】
[27] センサ18は、被験者12の脳活動に関連する情報を伝達する出力信号を生成するように構成される。被験者12の脳活動は、被験者12の現在の睡眠段階に対応する。被験者12の現在の睡眠段階は、レム(REM)睡眠、ノンレム(NREM)睡眠、及び/又は他の睡眠に関連付けられる。被験者12の現在の睡眠段階は、NREMの段階N1睡眠、段階N2睡眠、若しくは段階N3睡眠、REM睡眠、及び/又は他の睡眠段階のうちの1つ以上である。センサ18は、こうしたパラメータを直接測定する1つ以上のセンサを含む。例えば、センサ18は、被験者12の脳内の電流の流れに起因する被験者12の頭皮に沿った電気的活動を検出するように構成される脳波(EEG)電極を含み得る。センサ18は、被験者12の脳活動に間接的に関連する情報を伝達する出力信号を生成する1つ以上のセンサを含み得る。例えば、1つ以上のセンサ18は、被験者12の心拍数に基づいて出力を生成してもよいし(例えば、センサ18は、被験者12の胸上に置かれた心拍数センサであってよく、被験者12の手首上のブレスレットとして構成されてもよく、及び/又は被験者12の別の四肢上に置かれていてもよい)、被験者12の動きに基づいて出力を生成してもよいし(例えば、センサ18は、アクチグラフィ信号を使用して睡眠を分析し得るように、被験者12の手首及び/又は足首の周囲に巻かれる、加速度計を備えたブレスレットを含んでよい)、被験者12の呼吸、及び/又は被験者12の他の特性に基づいて出力を生成してもよい。センサ18は、被験者12の近くの単一の場所に示されているが、これは、限定することを意図するものでない。センサ18は、例えば、感覚刺激装置16内にある(又は、これと通信する)、被験者12の衣服に(着脱可能な手法で)結合される、被験者12によって(例えば、ヘッドバンド、リストバンド等として)装着される、被験者12の睡眠中に被験者12を向くように位置付けられる(例えば、被験者12の動きに関連する出力信号を伝達するカメラ)、及び/又は他の場所にある等、複数の場所に配置されるセンサを含み得る。
【0021】
[28] プロセッサ20は、システム10において情報処理能力を提供するように構成される。このため、プロセッサ20は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されるデジタル回路、情報を処理するように設計されるアナログ回路、状態マシン、及び/又は電気的に情報を処理するための他のメカニズムのうちの1つ以上を含む。プロセッサ20は、図1では単一のエンティティとして示されているが、これは、単に例示のためである。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、複数の処理ユニットを含む。これらの処理ユニットは、物理的に同じデバイス(例えば、感覚刺激装置16)内に置かれてもよく、プロセッサ20は、協調して動作する複数のデバイスの処理機能を表してもよい。
【0022】
[29] 図1に示されるように、プロセッサ20は、1つ以上のコンピュータプログラム構成要素を実行するように構成される。この1つ以上のコンピュータプログラム構成要素は、脳活動構成要素30、睡眠段階構成要素32、制御構成要素34、及び/又は他の構成要素のうちの1つ以上を含む。プロセッサ20は、ソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア、及び/若しくはファームウェアの何らかの組み合わせ;並びに/又はプロセッサ20において処理能力を構成するための他のメカニズムによって、構成要素30、32、及び/又は34を実行するように構成される。
【0023】
[30] 構成要素30、32、及び34は、図1では単一の処理ユニット内に一緒に配置されているものとして示されているが、プロセッサ20が複数の処理ユニットを含む実施形態では、構成要素30、32、及び/又は34のうちの1つ以上が、その他の構成要素から遠く離れた場所に置かれてもよいことを理解されたい。後述の異なる構成要素30、32、及び/又は34によって提供される機能の説明は、例示の目的であって、限定することを意図するものでない。これは、構成要素30、32、及び/又は34のうちのいずれかが、説明される機能よりも多くの又は少ない機能を提供してもよいからである。例えば、構成要素30、32、及び/又は34のうちの1つ以上が省略され、その機能の一部又は全部が、他の構成要素30、32、及び/又は34によって提供されてもよい。別の例として、プロセッサ20は、構成要素30、32、及び/又は34のうちの1つに属すると以下で説明される機能の一部又は全部を実行する1つ以上の追加構成要素を実行するように構成されてもよい。
【0024】
[31] 脳活動構成要素30は、被験者12の1つ以上の脳活動パラメータを決定するように構成される。脳活動構成要素30は、センサ18からの出力信号及び/又は他の情報に基づいて1つ以上の脳活動パラメータを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、1つ以上の脳活動パラメータを決定することは、被験者12の睡眠セッションについての脳波図(EEG)及び/又は眼電図(electrooculogram(EOG))を生成及び/又はモニタすることを含む。EEG及び/又はEOGは、例えば、ユーザインターフェース24によって表示される。いくつかの実施形態では、脳活動構成要素30は、1つ以上の脳活動パラメータが、周波数、振幅、位相、及び、紡錘波、K複合波、睡眠徐波、アルファ波などの特定の睡眠パターンの存在、並びに/又は、EEG信号及び/若しくはEOG信号の他の特性、であるように及び/又はこれらと関連しているように構成される。いくつかの実施形態では、1つ以上の脳活動パラメータは、EEG信号及び/又はEOG信号の周波数、振幅、及び/又は他の特性に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、決定される脳活動パラメータ、並びに/又はEEG及び/若しくはEOGの特性は、本明細書で説明されるREM睡眠段階及び/又はNREM睡眠段階に対応する睡眠状態であってもよいし、及び/又は当該睡眠状態を示してもよい。
【0025】
[32] 例えば、NREM睡眠中の典型的なEEG特性は、睡眠段階N1についてはアルファ波(例えば、約8〜12Hz)からシータ波(例えば、約4〜7Hz)への移行、睡眠段階N2については睡眠紡錘波(例えば、約11〜16Hz)及び/若しくはK複合波(例えば、睡眠徐波と同様)の存在、睡眠段階N3についてはピーク間の振幅が約75uVより大きい、睡眠徐波としても知られる、デルタ波(例えば、約0.5〜2Hz)の存在、並びに/又は他の特性を含む。
【0026】
[33] いくつかの実施形態では、脳活動構成要素30は、脳活動パラメータを決定することは1つ以上のマクロパラメータを決定することを含むように構成される。1つ以上のマクロパラメータは、EEG信号のベータ帯域(約15〜30Hz)におけるパワーとEEG信号のデルタ帯域(約0.5〜4Hz)におけるパワーとの比率、EEG信号のアルファ帯域(約8〜12Hz)におけるパワーとEEG信号のシータ帯域(約4〜7Hz)におけるパワーとの比率、EEG信号のシグマ帯域(約11〜15Hz)におけるパワーとEEG信号のデルタ帯域(約0.5〜4Hz)におけるパワーとの比率、及び/又は他のマクロパラメータ、のうちの1つ以上を含む。一般に、1つ以上のマクロパラメータは、EEG信号の「高速」(例えば、約10〜50Hz)周波数帯域(例えば、ベータ、シグマ、アルファ、ガンマ)(及び/又は、一方又は両方の限界が、高アルファ10〜12Hz、ベータ15〜30Hz、シグマ11〜16Hz、ガンマ30〜50Hzなど、10〜50Hzの間隔内に入るサブバンド)におけるパワーとEEG信号の「低速」周波数帯域(例えば、デルタ、シータ)におけるパワーとの、NREM睡眠中の睡眠の深さの特性を示すことができるいかなる比率も含む。
【0027】
[34] いくつかの実施形態では、脳活動構成要素30は、脳活動パラメータを決定することは1つ以上のマイクロイベントを決定することを含むように構成される。1つ以上のマイクロイベントは、瞬き、緩徐眼球運動、紡錘波、徐波、及び/又は他のマイクロイベントのうちの1つ以上を含む。瞬きの存在は、被験者12における(例えば、目を開けて)目覚めた状態を示す。緩徐眼球運動は、被験者12における目覚めた状態から睡眠への移行の特性である。紡錘波は、典型的には、段階N2睡眠の特性である。徐波は、典型的には、段階N3睡眠において存在する。形状が同様のK複合波は、典型的には、N2において存在する。
【0028】
[35] 睡眠段階構成要素32は、被験者12における睡眠段階を決定するように構成される。睡眠段階は、出力信号、脳活動パラメータ、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、睡眠段階は、1つ以上のマクロパラメータと1つ以上のマイクロイベントとに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、睡眠段階を決定することは、出力信号、脳活動パラメータ、マクロパラメータ、マイクロイベント、及び/又は他の情報に基づいて睡眠段階を検出することであり、及び/又はこうした情報に基づいて睡眠段階を検出することを含む。前述のように、被験者12の睡眠段階は、目覚めた状態、REM睡眠、段階N1睡眠、段階N2睡眠、及び/又は段階N3睡眠のうちの1つ以上を含み、及び/又はこれらのうちの1つ以上に対応する。いくつかの実施形態では、徐波睡眠及び/又は徐波活動は、段階N3睡眠に対応する。いくつかの実施形態では、段階N2睡眠及び/又は段階N3睡眠は、徐波睡眠であり、及び/又は徐波活動に対応する。いくつかの実施形態では、睡眠段階構成要素32は、センサ18の出力信号によって伝達される情報、脳活動構成要素30によって決定されるパラメータ、及び/又は他の情報の分析に基づいて、被験者12の睡眠段階を決定する。この分析は、被験者12の睡眠セッションについてのEEG及び/又はEOGをモニタすることを含む。
【0029】
[36] いくつかの実施形態では、この分析は、徐波睡眠比率に基づいて睡眠段階を決定することを含む。いくつかの実施形態では、この比率は次のようになる。
【数2】
ここで、(上記のように)β及びδは、それぞれ、EEGのベータ帯域におけるパワー(例えば、通常、周波数範囲15〜30Hzにおけるパワーとして定義されるが、ただし、この周波数範囲の限界の変動は非常に一般的である)、及びEEGのデルタ帯域におけるパワー(通常、0.5〜4.5Hzの周波数範囲におけるパワーとして定義されるが、ただし、ベータ帯域の場合と全く同様に、周波数限界の標準定義はない)を表す。いくつかの実施形態では、睡眠段階構成要素32は、瞬時パワーβ(t)及びδ(t)に基づいて推定される瞬時徐波睡眠比率ρ(t)が、所与の期間(例えば、段階N2については第1の閾値/時間、及び段階N3については第2の閾値/時間)より長い間閾値比率を下回ったままで推移することに応じて、被験者12における睡眠段階を決定するように構成される。システム10においては、段階N2睡眠の検出は重要である。これは、N2睡眠を検出するということは、睡眠が開始されていることを示しており(N1睡眠は移行状態であり)、刺激はN2睡眠中に加えられる(後述する)からである。いくつかの実施形態では、閾値比率及び/又は所与の期間は、被験者12の以前の睡眠セッション及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、閾値比率及び/又は所与の期間は、製造時にプログラムされる。(閾値については、以下でさらに説明する。)
【0030】
[37] 一般に、決定される睡眠段階は、第1の睡眠段階と、第1の睡眠段階より深い第2の睡眠段階と、第1の睡眠段階及び第2の睡眠段階より深い第3の睡眠段階とを含む少なくとも3つの睡眠段階であってよく、及び/又はこれらの睡眠段階を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の睡眠段階、第2の睡眠段階、及び第3の睡眠段階は、前述の睡眠段階(例えば、目覚めた状態、REM、NREM段階N1、NREM段階N2、NREM段階N3)のうちの1つ以上を含み、及び/又は1つ以上に対応する。例えば、いくつかの実施形態では、第1の睡眠段階は、REM睡眠、NREM段階N1睡眠、又はNREM段階N2睡眠の浅い部分、のうちの1つ以上を含む。第2の睡眠段階は、NREM段階N2睡眠の深い部分を含む。第3の睡眠段階は、NREM段階N3睡眠を含む。この例では、段階N2睡眠は、(第1の睡眠段階に含まれる)NREM段階N2睡眠の浅い部分と、NREM段階N2睡眠の深い部分とにさらに分割される。いくつかの実施形態では、決定される睡眠段階は、4つ以上の睡眠段階であり、及び/又は4つ以上の睡眠段階を含む。例えば、第1の睡眠段階は、N1及び/又は他のより浅い(例えば、REM)睡眠段階を含んでよく、第2の睡眠段階は、NREM段階N2睡眠の浅い部分を含んでよく、第3の睡眠段階は、NREM段階N2睡眠の深い部分を含んでよく、第4の睡眠段階は、NREM段階N3睡眠を含んでよい。(これについては、図4で示し、以下でさらに説明する。)
【0031】
[38] いくつかの実施形態では、睡眠段階構成要素32は、被験者12における睡眠段階の移行を予測するように構成される。いくつかの実施形態では、睡眠段階の移行を予測することは、移行が発生しようとしている可能性を決定することであり、及び/又はこの可能性を決定すること含む。いくつかの実施形態では、第2の睡眠段階(例えば、NREM段階N2の深い部分)から第3の睡眠段階(例えば、N3)への移行が予測される。いくつかの実施形態では、これらの予測は、脳活動パラメータ及び/又は他の情報に基づく。いくつかの実施形態では、睡眠段階の移行は、1つ以上のマクロパラメータと1つ以上のマイクロイベント、及び/又は他のパラメータに基づいて予測される。例えば、log(β/δ)比率(例えば、マクロパラメータ)が、段階N3への移行を示すlog(β/δ)についての閾値レベルに近づいている及び/又はこの閾値レベルを超えたという理由で、被験者12が段階N3睡眠へ入ろうとしていると予測するように、睡眠段階構成要素32は構成される。いくつかの実施形態では、段階N3への移行を示すlog(β/δ)についての閾値レベルは、log(β/δ)に関する実際のN3移行検出閾値より低い。移行の予測は、log(β/δ)が(実際の移行検出閾値を超えなくても)上記の移行を示す閾値を超えている状態が約30秒間(例えば、典型的な睡眠エポックの持続時間)以上継続する場合にこれに応じて発生する。いくつかの実施形態では、睡眠段階構成要素32は、こうした予測を、睡眠セッションの間継続して、睡眠セッション中に一定時間間隔で、製造時にプログラムされた間隔で、及び/又は他の時に実施する。いくつかの実施形態では、N1からN2、N2からN3、及び/又は他の睡眠段階の移行を検出するのに使用されるlogベータ/デルタ比率に関する閾値は、被験者12の以前の睡眠セッションからの情報、被験者12と同様の被験者の母集団についての人口統計学的情報、較正睡眠セッション、及び/又は他の情報を使用して決定される。
【0032】
[39] いくつかの実施形態では、睡眠段階構成要素32は、睡眠セッションについての被験者12の1つ以上の覚醒レベルを決定するように構成される。1つ以上の覚醒レベルは、被験者12における目覚めのレベルを示す。1つ以上の覚醒レベルは、センサ18の出力信号、脳活動構成要素30によって決定されるパラメータ、電子記憶装置22に記憶される情報、睡眠セッションの前に実行されるテスト、ユーザインターフェース24を介して受信及び/若しくは選択される情報、並びに/又は他の情報に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の覚醒レベルは、EEG及び/又はEOGに関連する情報の分析に基づいて決定される。例えば、覚醒についての可能性は、短い時間窓(典型的には、例えば、約1.5秒の長さ)におけるベータ帯域におけるEEGパワーから定量化されてもよい。ベータ帯域におけるパワーが、事前定義された閾値を突破したことに応じて、システム10は、覚醒が存在すると判断する。いくつかの実施形態では、覚醒のためのベータ帯域パワー閾値は、被験者12の以前の睡眠セッションに基づいて、被験者12と人口統計学的に同様の被験者の母集団に関連する情報に基づいて、及び/又は他の情報に基づいて決定される。例えば、ベータ帯域パワー閾値は、較正夜間睡眠(calibration night of sleep)に基づいて決定されてもよく、この睡眠中、被験者12のEEGが測定され、その睡眠セッション全体を通したベータパワーの統計情報が、閾値を設定するために分析される。別の例として、ベータ帯域パワー閾値は、被験者の母集団についてのベータ閾値を含むデータベースを介して決定されてもよい。被験者12についてのベータ帯域パワー閾値は、このデータベース内に存在する被験者と被験者12を人口統計学的にマッチングすることに基づいて決定されてもよい。
【0033】
[40] 制御構成要素34は、被験者12に感覚刺激を提供するように感覚刺激装置16を制御する、ように構成される。いくつかの実施形態では、被験者が第1の睡眠段階(例えば、段階N1及び/又はNREM段階N2の浅い部分)から第2の睡眠段階(例えば、NREM段階N2の深い部分)に入ることに応じて、感覚刺激を被験者12に提供する、ように感覚刺激装置16は制御される。制御構成要素34は、感覚刺激装置16を制御することが、被験者12に提供される刺激のタイミング、周波数、強度、及び/又は他のパラメータを決定することを含むように構成される。被験者12に提供される刺激のタイミング、周波数、強度、及び/又は他のパラメータは、睡眠セッション中の被験者12における、例えば睡眠徐波を維持、増加、及び/又は減少させるように制御されてよい。いくつかの実施形態では、制御構成要素34は、睡眠セッション中の被験者12における段階N2睡眠を維持するために、並びに/又は(例えば、被験者12の入眠時、及び/若しくは被験者12を起こす時等)睡眠状態間及び/又は睡眠段階間の移行を容易にするために、被験者12に感覚刺激を加えるように感覚刺激装置16を制御する。タイミング、周波数、強度、及び/又は他のパラメータの決定は、被験者12の以前の睡眠セッションや、被験者12に関連する被験者の代表群の睡眠セッションに基づいて決定されるが、製造時に決定されてもよく、及び/又は他の方法によって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、制御構成要素34は、感覚刺激(例えば、聴覚トーン)のタイミングが、被験者12に加えられる個々の刺激間に一定の反復時間間隔を含むように、及び/又は不規則な間隔を有するように、感覚刺激装置16を制御するように構成される。非限定的な例として、トーンの持続時間は、約50ミリ秒から約200ミリ秒までの間隔であってよい。トーンとトーンの間のトーン間間隔は可変であってよい。例えば、典型的な平均トーン間間隔は約5秒である。こうした比較的長い平均トーン間間隔の場合、トーンの強度は、N3睡眠において一般的に適用されるものと比較してより高く(例えば、50dBより大きく)なってもよい。
【0034】
[41] いくつかの実施形態では、制御構成要素34は、複数の睡眠段階を通って段階N3睡眠に向かう移行を加速するように、感覚刺激装置16を制御する。こうした実施形態では、制御構成要素34は、感覚刺激装置16を制御して、例えば、連続聴覚刺激を加えてもよい。これは、パワーナップの持続時間を最適化する。
【0035】
[42] いくつかの実施形態では、制御構成要素34は、感覚刺激が意図せずに被験者12を起こすことがないように及び/又は被験者12を深(段階N3)睡眠へ移行させることがないように、睡眠セッション中に感覚刺激を提供するように感覚刺激装置16を制御する。意図せずに被験者12を睡眠から覚醒させることがないように及び/又は被験者12を深睡眠へ移行させることができないように、感覚刺激を提供するように感覚刺激装置16を制御することは、この刺激のタイミング、周波数、強度、及び/又は他のパラメータを制御することによって達成される。例えば、制御構成要素34は、被験者12が睡眠状態のまま維持されるべき場合には低い強度レベルで感覚刺激を提供し、被験者12が深睡眠から覚醒されるべき場合には高い強度レベルで感覚刺激を提供するように、感覚刺激装置16を制御してもよい。別の例としては、被験者12の入眠中ではなく、被験者12が入眠した直後に、睡眠徐波を増加させるため(例えば、段階N2睡眠への移行を早めるため)に、制御構成要素34は、感覚刺激装置16に、被験者12に音響刺激を加えさせてもよい。いくつかの実施形態では、被験者12が第3の睡眠段階に入ろうとしていることを示す第2の睡眠段階から第3の睡眠段階への移行の予測に応じて、被験者12への感覚刺激の提供を中止するように、感覚刺激装置16は制御される。いくつかの実施形態では、被験者12が第3の睡眠段階に入ったことを示す脳活動パラメータ及び/又は他の情報に応じて、感覚刺激を加えて被験者12を起こすように、感覚刺激装置16は制御される。いくつかの実施形態では、刺激中、及び/又は刺激が開始される前に、システム10によって覚醒の可能性が検出されると、進行中の刺激をすべて停止するように、及び/又は刺激の開始が遅延されるように、制御構成要素34(図1)は、感覚刺激装置16を制御する。
【0036】
[43] 図4は、被験者12(図1)の35分の仮眠400についての情報を示す図である。図4は、この仮眠についてのヒプノグラム475、EEG信号480、累積SWA(CUMSWA)485に及ぼす感覚刺激の効果、及び/又はEEGベータパワー/デルタパワー比率の対数(log)の曲線490(例えば、図1に示される脳活動構成要素30によって決定されるパラメータ)を示す。仮眠中、睡眠段階N2 404の深い部分403中に、(例えば、図1に示される制御構成要素34によって制御される感覚刺激装置16を介して)感覚刺激が加えられ(402)て、SWAを増強させ、したがってCUMSWAを増加させ(406)、この結果、(上記の式(2)に示されているように)睡眠の必要性の解消が増強される。刺激が与えられると、CUMSWAがさらに迅速に増加する。SWAの増加により、(例えば、図1に示される睡眠段階構成要素32によって決定されるように)N3への移行が予測される/移行の可能性があるような場合、刺激は中止される(408)。
【0037】
[44] 図4に示されているように、システム10(図1)は、EEGベータパワー/デルタパワー比率のlog430に基づいて、睡眠段階間の移行が決定されるように構成される。いくつかの実施形態では、睡眠段階は、logベータ/デルタの閾値440、442、及び444を超えたことに基づいて(図1に示される睡眠段階構成要素32によって)決定される。図4では、例えば、睡眠段階N1から睡眠段階N2(例えば、睡眠段階N2の浅い部分)への移行は、閾値440を超えたことに応じて検出される。(例えば、段階N2の浅い部分から)段階N2の深い部分への移行は、閾値442を超えたことに応じて検出される。睡眠段階N3への移行は、閾値444を超えたことに応じて検出されるであろう。図4では、(例えば、閾値442を超えたことに応じて)睡眠段階N2の深い部分への移行が検出されると、感覚刺激が加えられ(402)、N3への移行が予測されると、これを理由に、感覚刺激が中止される(408)。
【0038】
[45] いくつかの実施形態では、閾値は、睡眠段階(目覚めている状態、REM、N1、N2、及びN3)の間の旧来の移行に対応する。いくつかの実施形態では、(例えば、図4に示されているように)、1つ以上の閾値が、個々の睡眠段階の部分間の移行(例えば、N2の浅い部分とN2の深い部分との間の移行)に対応する。いくつかの実施形態では、閾値は、製造時にプログラムされたり、ユーザインターフェース24を介してユーザによって設定され(て、例えば、図1に示される睡眠段階構成要素32によって受信され)たり、被験者12の以前の睡眠に基づいて(例えば、睡眠段階構成要素32によって)決定されたり、及び/又は他の方法によって決定されたりする。本開示では、閾値が被験者に依存しないものであっても(例えば、以前にテストされた被験者の母集団に基づいて製造時にプログラムされても)よく、及び/又は被験者特有のものであっても(例えば、被験者12の以前の睡眠セッションに基づいて被験者12について決定されても)よい、と考えられる。いくつかの実施形態では、睡眠段階構成要素32は、被験者12の複数の睡眠セッションに基づいて、時間が経つうちに閾値を学習及び/又は調整するように構成されてもよい。
【0039】
[46] logベータ/デルタ及びこれに関する閾値の説明は、限定することを意図するものでない。システム10は、本明細書で説明されているようにシステム10(図1)が機能することを可能にする任意のパラメータについて、閾値及び/又は他の任意の際立った特徴に基づいて睡眠段階を決定するように構成される。
【0040】
[47] 図5は、システム10の動作の例を示す。図5は、被験者12を段階N3睡眠に入らせることなく累積SWA(CUMSWA)を増加する(560)ように感覚刺激を加えること(550)を示す。図5は、被験者12によって装着され、検出電極504と、生体信号増幅器506と、ワイヤレスオーディオデバイス508とを含むヘッドバンド500を示す。検出電極504及び生体信号増幅器506は、例えば、図1のセンサ18に相当する。ワイヤレスオーディオデバイス508は、例えば、図1に示される感覚刺激装置16に相当する。覚醒イベントの可能性(520)は、EEG信号522(例えば、センサ18からの出力信号)に基づいて検出される。刺激中(524)にシステム10によって覚醒の可能性が検出される場合、制御構成要素34(図1)は、進行中の刺激がすべて停止する(526)ように、及び/又は刺激の開始を遅延させる(528)ように、感覚刺激装置16を制御する。覚醒が検出されない場合、マクロパラメータ530、(図1に示される脳活動構成要素30によって決定される)マイクロイベント532、及び/又は他のパラメータを使用して、被験者12の睡眠段階(例えば、REM、NREM段階N1、N2の浅い部分、N2の深い部分、N3)を決定する(540)。深睡眠(N3)が検出される場合、被験者12を起こすために聴覚刺激が加えられる(542)。段階N3もN2(例えば、段階N2の深い部分)も検出されない(544)場合、感覚刺激は加えられず、EEG信号522が引き続きモニタされる。段階N2及び/又は、例えば、前述の段階N2の深い部分を検出する(548)ことに応じて、被験者12を段階N3睡眠に入らせることなく累積SWA(CUMSWA)を増加する(560)ために、被験者12に感覚刺激が加えられる(550)。
【0041】
[48] 図6Aは、仮眠(睡眠セッション)中の被験者(例えば、図1に示される被験者12)における睡眠段階602、604、606、608、610の推移を示す図である。仮眠中、システム10(図1)は、高い特異性(例えば、0.8より大きい)及び適度な感度(例えば0.7より大きい)で睡眠段階N2を検出する。睡眠段階N2の検出への状態マシンアプローチ600を図6Aに示す。このモデルにおける初期状態602は、「目を開けて目覚めている状態」である。システム10は、瞬きが検出される限り、被験者12がこの初期状態になっていると引き続き決定する。瞬きが検出されなくなって、アルファ帯域におけるパワーが増加する(EEGにおいてアルファ波が存在する)場合、システム10は、被験者12が第2の状態604即ち「目を閉じて目覚めている状態」に移行したと決定する。アルファ帯域におけるパワーが減少し、シータ帯域におけるパワーが増加すると、システム10は、被験者12がN1睡眠606に移行したと決定する。N2 608及びN3 610を検出するために、パワー比率ベータ/デルタのlogが使用される。図6Bは、上記仮眠626について、時間624の経過とともにlogベータ/デルタ620比率がヒプノグラム622に非常に密接に追従する様子を示す図である。図6Cは、logベータ/デルタ比率の睡眠段階N1、N2、及びN3についての箱型図650、652、654を示す。箱形図は、NREM睡眠段階N1、N2、及びN3についてのlogベータ/デルタ比率の分布、及び被験者12における睡眠段階を決定するためにlogベータ/デルタに関する閾値がどのように使用されるかを示す。いくつかの実施形態では、N1からN2への移行を検出する閾値は、約−1.75に設定され、N2からN3への移行を検出する閾値は、約−2.5に設定される。
【0042】
[49] 図7は、管理システムにより被験者の睡眠セッションを管理するための方法700を示す図である。このシステムは、1つ以上の感覚刺激装置、1つ以上のセンサ、1つ以上の物理コンピュータプロセッサ、及び/又は他の構成要素を含む。1つ以上の物理コンピュータプロセッサは、コンピュータプログラム構成要素を実行するように構成される。コンピュータプログラム構成要素は、脳活動構成要素、睡眠段階構成要素、制御構成要素、及び/又は他の構成要素を含む。以下に提示される方法700の動作は、例示を目的とするものである。いくつかの実施形態では、方法700は、説明されていない1つ以上の動作を追加して、及び/又は記載されている動作のうちの1つ以上を実行せずに、達成され得る。追加的に、方法700の動作群の、図7に示され以下で説明される順序は、限定することを意図するものでない。
【0043】
[50] いくつかの実施形態では、方法700は、1つ以上の処理デバイス(例えば、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態マシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他のメカニズム)において実装される。1つ以上の処理デバイスは、電子記憶媒体上に電子的に記憶される命令に応答して方法700の動作の一部又は全部を実行する1つ以上のデバイスを含む。1つ以上の処理デバイスは、方法700の動作のうちの1つ以上を実行するために特に設計されるようにハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって構成される1つ以上のデバイスを含む。
【0044】
[51] 動作702において、脳活動に関連する情報を伝達する出力信号が生成される。いくつかの実施形態では、この出力信号は、被験者の仮眠中に生成される。いくつかの実施形態では、システム10は、この出力信号に基づいてEEGを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、動作702は、(図1に示され、本明細書で説明される)センサ18と同一又は同様の1つ以上のセンサによって実行される。
【0045】
[52] 動作704において、1つ以上の脳活動パラメータが決定される。いくつかの実施形態では、脳活動パラメータは、EEG、出力信号、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、この脳活動パラメータは、被験者の睡眠段階を示している。いくつかの実施形態では、脳活動パラメータを決定することは、1つ以上のマクロパラメータを決定することを含む。1つ以上のマクロパラメータは、EEG信号のベータ帯域におけるパワーとEEG信号のデルタ帯域におけるパワーとの比率、EEG信号のアルファ帯域におけるパワーとEEG信号のシータ帯域におけるパワーとの比率、EEG信号のシグマ帯域におけるパワーとEEG信号のデルタ帯域におけるパワーとの比率、EEG信号の高速周波数帯域におけるパワーとEEG信号の低速周波数帯域におけるパワーとの比率、及び/又は他のパラメータ、のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、脳活動パラメータを決定することは、1つ以上のマイクロイベントを決定することを含む。1つ以上のマイクロイベントは、瞬き、緩徐眼球運動、紡錘波、徐波、及び/又は他のマイクロイベントのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、動作704は、(図1に示され、本明細書で説明される)脳活動構成要素30と同一又は同様のプロセッサ構成要素によって実行される。
【0046】
[53] 動作706において、被験者の睡眠段階が決定される。睡眠段階は、脳活動パラメータに基づいて決定される。睡眠段階は、第1の睡眠段階と、第1の睡眠段階より深い第2の睡眠段階と、第1の睡眠段階及び第2の睡眠段階より深い第3の睡眠段階とを含む。いくつかの実施形態では、第1の睡眠段階は、REM睡眠、NREM段階N1睡眠、又はNREM段階N2睡眠の浅い部分のうちの1つ以上を含む。第2の睡眠段階は、NREM段階N2睡眠の深い部分を含む。第3の睡眠段階は、NREM段階N3睡眠を含む。いくつかの実施形態では、睡眠段階は、1つ以上のマクロパラメータと1つ以上のマイクロイベントとに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、動作706は、(図1に示され、本明細書で説明される)睡眠段階構成要素32と同一又は同様のプロセッサ構成要素によって実行される。
【0047】
[54] 動作708において、被験者における睡眠段階移行が予測される。いくつかの実施形態では、第2の睡眠段階から第3の睡眠段階への移行が予測される。いくつかの実施形態では、この予測は、脳活動パラメータ及び/又は他の情報に基づいている。いくつかの実施形態では、睡眠段階移行は、1つ以上のマクロパラメータと1つ以上のマイクロイベントとに基づいて予測される。いくつかの実施形態では、動作708は、(図1に示され、本明細書で説明される)睡眠段階構成要素32と同一又は同様のプロセッサ構成要素によって実行される。
【0048】
[55] 動作710において、被験者に感情刺激を提供するように、感情刺激装置が制御される。いくつかの実施形態では、被験者が、第1の睡眠段階から第2の睡眠段階に入ることに応じて、被験者に感情刺激を提供するように、感情刺激装置は制御される。いくつかの実施形態では、被験者が第3の睡眠段階に入ろうとしていることを示す第2の睡眠段階から第3の睡眠段階への移行の予測に応じて、被験者に感情刺激を提供するのを中止するように、感情刺激装置は制御される。いくつかの実施形態では、被験者が第3の睡眠段階に入ったことを示す脳活動パラメータに応じて、感情刺激を加えて被験者を起こすように、1つ以上の感情刺激装置が制御される。いくつかの実施形態では、動作710は、(図1に示され、本明細書で説明される)制御構成要素34と同一又は同様のプロセッサ構成要素によって実行される。
【0049】
[56] 図1に戻って、電子記憶装置22は、情報を電子的に記憶する電子記憶媒体を含む。電子記憶装置22の電子記憶媒体は、システム10と一体的に提供される(即ち、実質的に着脱ができない)システム記憶装置、及び/又は、例えばポート(例えば、USBポート、firewireポート等)若しくはドライブ(例えば、ディスクドライブ等)を介してシステム10に着脱可能に接続可能な着脱可能記憶装置、のうちのどちらか一方又は両方を含む。電子記憶装置22は、光学的に読み取り可能な記憶媒体(例えば、光ディスク等)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブ等)、電荷ベースの記憶媒体(例えば、EPROM、RAM等)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ等)、及び/又は他の電子的に読み取り可能な記憶媒体、のうちの1つ以上を含む。電子記憶装置22は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ20によって決定される情報、ユーザインターフェース24及び/若しくは外部コンピューティングシステムを介して受信される情報、並びに/又はシステム10を適切に機能させることができる他の情報を記憶する。電子記憶装置22は、(全体的に又は部分的に)システム10内の別個の構成要素であってよく、システム10の1つ以上の他の構成要素(例えば、プロセッサ20)と(全体的に又は部分的に)一体的に提供されてもよい。
【0050】
[57] ユーザインターフェース24は、システム10と、被験者12と、及び/又は他のユーザとの間のインターフェースを提供するように構成され、このインターフェースを介して、被験者12及び/又は他のユーザはシステム10に情報を提供し、システム10から情報(例えば、ターゲット睡眠段階)を受信し得る。この結果、ひとまとめにして「情報」と称される、データ、キュー、結果、及び/又は命令、並びに任意の他の通信可能なアイテムを、ユーザ(例えば、被験者12)と、感覚刺激装置16、センサ18、プロセッサ20、及び/又はシステム10の他の構成要素のうちの1つ以上との間で通信することができる。例えば、EGGは、ユーザインターフェース24を介して介護者に表示されてもよい。
【0051】
[58] ユーザインターフェース24内に含めるのに適したインターフェースデバイスの例には、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示スクリーン、タッチスクリーン、スピーカ、マイクロフォン、表示灯、音響警報装置、プリンタ、触覚フィードバックデバイス、及び/又は他のインターフェースデバイスが含まれる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース24は、複数の別個のインターフェースを含む。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース24は、感覚刺激装置16及び/又はシステム10の他の構成要素と一体的に提供される少なくとも1つのインターフェースを含む。
【0052】
[59] 本開示では、ハードワイヤード又はワイヤレスのいずれかの他の通信技術も、ユーザインターフェース24として考えられるということが理解されるべきである。例えば、本開示では、ユーザインターフェース24は、電子記憶装置22によって提供される着脱可能な記憶装置インターフェースと統合されてもよい、と考えられる。この例では、ユーザがシステム10の実装をカスタマイズすることを可能にする情報が、着脱可能な記憶装置(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、着脱可能なディスク等)からシステム10内へロードされる。ユーザインターフェース24としてシステム10と一緒に使用するように適合される他の入力デバイス及び技術の例としては、RS−232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル等)を含むが、これらに限定はされない。手短に言えば、本開示では、システム10と情報を通信するためのいかなる技術も、ユーザインターフェース24と考えられる。
【0053】
[60] 特許請求の範囲内において括弧で囲まれた参照符号はすべて、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「含む(comprising)」又は「含む(including)」という言葉は、請求項に列挙された要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。いくつかの手段を列挙する装置請求項においては、これら手段のうちの複数の手段が、ハードウェアの全く同一のアイテムにより具現化されてもよい。要素の前に付く「a」又は「an」という言葉は、そのような要素が複数存在することを排除するものではない。いくつかの手段を列挙するどの装置請求項においても、これら手段のうちの複数の手段が、ハードウェアの全く同一のアイテムにより具現化されてもよい。所定の要素が、相互に異なる従属請求項に記載されるという事実だけで、これらの要素を組み合わせて使用することができないことを示すわけではない。
【0054】
[61] 前述の説明は、最も実際的で好ましい実施形態であると現在考えられるものに基づいて、説明のために詳細を提供しているが、こうした詳細は、その目的のためだけにあり、本開示は、明確に開示される実施形態に限定されないどころか、添付の請求項の趣旨及び範囲内にある変形及び均等な構成を網羅するように意図されるということが理解されるべきである。例えば、本開示では、可能な限り、任意の実施形態の1つ以上の特徴を、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができると考えられるということが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7