(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396596
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】色彩恒常性を有するルミナンス変更画像処理
(51)【国際特許分類】
G06T 5/00 20060101AFI20180913BHJP
H04N 5/20 20060101ALI20180913BHJP
H04N 5/57 20060101ALI20180913BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
G06T5/00 740
H04N5/20
H04N5/57
H04N1/407
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-535893(P2017-535893)
(86)(22)【出願日】2015年10月22日
(65)【公表番号】特表2018-508862(P2018-508862A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2015074501
(87)【国際公開番号】WO2016110341
(87)【国際公開日】20160714
【審査請求日】2018年4月12日
(31)【優先権主張番号】15150555.9
(32)【優先日】2015年1月9日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】バン ダー フルーテン レナトス ヨセフス
(72)【発明者】
【氏名】ステッセン ジェローン フーベルト クリストッフェル ヤコブス
【審査官】
岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/056679(WO,A1)
【文献】
特開2003−209763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 5/00
H04N 1/407
H04N 5/20
H04N 5/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のルミナンスダイナミックレンジを有する入力画像のピクセルの赤色成分、緑色成分及び青色成分によって規定された入力色を、第2のルミナンスダイナミックレンジを有する出力画像のピクセルの出力色に変換するための画像色処理装置であって、第1及び第2のルミナンスダイナミックレンジは少なくとも1.5倍範囲が異なり、前記画像色処理装置は、
前記入力画像の前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分の各々にそれぞれの重み付け又は非重み付け関数を適用して、その結果、修正された赤色成分、緑色成分及び青色成分が得られるユニットであって、前記関数の各々は、非線形関数、前記入力色の成分に重みを乗算する線形スケーリング関数、又は入力成分若しくは前記入力成分の結合の単位関数のうちの1つであり、少なくとも1つの修正された成分は、非単位実数値によって重み付けされた前記入力画像の前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分のうちの1つを表現する当該ユニットと、
少なくとも、3つの前記修正された成分の最大値を算出するための最大値算出ユニットと、
関数を前記最大値に適用して出力値を得るための輝度マッパであって、前記関数は、前記最大値の最高値に対する前記出力値が1.0よりも高くなることができないという制約を持って、あらかじめ決められた、輝度マッパと、
前記出力値を前記最大値で除算したものと等しいスケーリングパラメータを算出するためのスケーリングパラメータ算出器と、
前記入力色の前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分に前記スケーリングパラメータを乗算し、前記出力色の前記色成分を得るための乗算器と、
を備える、
画像色処理装置。
【請求項2】
前記入力画像に関連付けられたデータソースから3つの重みが得られる、請求項1に記載の画像色処理装置。
【請求項3】
前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分からルミナンス又はルマを前記入力色の第4の成分として算出するためのルミナンス算出ユニットを備え、前記ルミナンス又はルマにルミナンス重みを乗算し、第4の入力として前記最大値算出ユニットに入力される出力結果を得るためのルミナンス乗算器を備える、請求項1又は2に記載の画像色処理装置。
【請求項4】
前記重みのうちの1つが1.0に設定される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像色処理装置。
【請求項5】
前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分のための少なくとも1つの重みが0.5未満であり、少なくとも画像のセットの処理される予定の画像の少なくとも1つに対して、ルミナンス重みが1.0である、請求項3又は請求項3に従属する請求項4に記載の画像色処理装置。
【請求項6】
非線形関数を前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分のうちの少なくとも1つに適用するための少なくとも1つの非線形関数適用ユニットを備え、前記最大値算出ユニットは、前記非線形関数を前記色成分に適用した結果の他に、前記少なくとも1つの非線形関数適用ユニットによって処理されるために選択されなかった前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分のうちの2つの色情報を包含する少なくとも2つの他の色成分を入力として有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像色処理装置。
【請求項7】
前記入力色を解析し、それから、少なくとも前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分の前記重みを決定するための色分析ユニットを包含する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像色処理装置。
【請求項8】
前記入力色を分析し、それから、前記関数のうちの少なくとも1つの非線形関数の関数形状を決定するための色分析ユニットを包含する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の画像色処理装置。
【請求項9】
第1のルミナンスダイナミックレンジを有する入力画像のピクセルの赤色成分、緑色成分及び青色成分によって規定された入力色を、第2のルミナンスダイナミックレンジを有する出力画像のピクセルの出力色に変換するための画像色処理の方法であって、第1及び第2のルミナンスダイナミックレンジは少なくとも1.5倍範囲が異なり、前記方法は、
前記入力画像の前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分の各々にそれぞれの重み付け又は非重み付け関数を適用して、その結果、修正された赤色成分、緑色成分及び青色成分が得られるステップであって、前記関数の各々は、非線形関数、前記入力色の成分に重みを乗算する線形スケーリング関数、又は入力成分若しくは前記入力成分の結合の単位関数のうちの1つであり、少なくとも1つの修正された成分は、非単位実数値によって重み付けされた前記入力画像の前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分のうちの1つを表現する当該ステップと、
少なくとも、3つの前記修正された成分の最大値を算出するステップと、
関数を前記最大値に適用して出力値を得るステップであって、前記関数は、前記最大値の最高値の前記出力値が1.0よりも高くなることができないという制約を持って、あらかじめ決められている、ステップと、
前記出力値を前記最大値で除算したものと等しいスケーリングパラメータを算出するステップと、
前記入力色の前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分に前記スケーリングパラメータを乗算し、前記出力色の前記色成分を得るステップと、
を含む、
画像色処理の方法。
【請求項10】
前記最大値が、赤色成分、緑色成分及び青色成分の3つに加えて、また、ルミナンス重みでスケールされたルミナンス又はルマから算出される、請求項9に記載の画像色処理の方法。
【請求項11】
前記最大値の算出が、前記赤色成分、前記緑色成分及び前記青色成分のうちの少なくとも1つの非線形変換である少なくとも1つの入力を有する、請求項9又は10に記載の画像色処理の方法。
【請求項12】
前記重みのうちの少なくとも1つがピクセル色の分析に基づいて決定される、請求項9乃至11の何れか一項に記載の画像色処理の方法。
【請求項13】
請求項9乃至12の何れか一項に記載の画像色処理の方法の少なくとも1つの方法のステップをコード化したコードであって、実行すると、プロセッサが前記方法を実施することを可能にする当該コードを備える、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のルミナンスを有するピクセル色を有する画像を、第2の、より低い、又はより高いルミナンスを有するピクセル色を有する画像に変換するための装置及び方法、並びにデータストレージ、伝送プロダクト又は信号のような、結果として得られるプロダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
色処理技術において、色写像の有用なカテゴリは、ピクセル色のルミナンスが変化するが、それにもかかわらず、例えば、CIE1976(u’,v’)のような色度を用いて特徴付けることができる固有色自体は、結果として生じる出力色と、処理されるべき入力色とで同じであるものである。これは、実際には、本質的に照光の変化に対応する色写像である。オブジェクトスペクトルを、光スペクトルを有する、より多くの光で照明すると、増大するルミナンス(又は別のルミナンス相関、例えば、この相関への変換後のルマ(luma)のようなルミナンス相関)を有するが、それにもかかわらず、同じ色度を有する色が作り出される。この種の処理は、近年重要になった技術、即ち、画像及びビデオのためのダイナミックレンジ写像である。現在、ディスプレイは、100nit前後のPBを有する、レガシーのいわゆる低ダイナミックレンジ(low dynamic range、LDR)ディスプレイよりも高いピーク輝度(peak brightness、PB)値を持つようになってきている。それが少なくとも1000nitのPBを有する場合には、高ダイナミックレンジ(high dynamic range、HDR)ディスプレイと言うことができ、通例、例えば、2000、5000又は10000nitのディスプレイが近い将来のために想定されている。
【0003】
同じ画像がLDRディスプレイ及びHDRディスプレイの両方の上にレンダリングされ、両方の上で良好な外観を有することは不可能である。例えば、HDR画像(通例、少なくとも1000:1のルミナンス比を有するオブジェクトピクセルルミナンスを有し、且つ通例、相当量の明るいピクセル、及び相当量の暗いピクセル、即ち、明るいものよりもおよそ1000倍暗いピクセルの両方を有するルミナンス分布を有し得る画像)が写像されずにLDRディスプレイ上にレンダリングされた場合には、シーンの一部は区別不可能な黒色のオブジェクトを生じさせることになる。また逆に、LDR画像は、例えば、3000nitのPBのディスプレイ上に直接レンダリングされると、不必要に明るく見えるオブジェクトを有し得る。そのため、HDR参照モニタに対応し、より高いPB(例えば、1000nit、又は関連付けられた最小使用可能PBよりも高いPB)のディスプレイ上にレンダリングされるために適した、取り込まれた(又はコンピュータによって生成された)シーンのHDRグレーディング画像を、LDR参照モニタに関連付けられた、LDR画像に色写像しなければならない(並びに、画像、又はより正確には、それらの関連付けられた参照モニタのダイナミックレンジは、少なくとも1.5倍、換言すれば、およそ少なくとも1絞り、又は2倍異なる。ただし、それはまた、例えば、4倍又は10倍以上大きくてもよい)。LDR画像及びHDR画像(又はそれらの参照モニタ)においては、また、画像伝送のための技術的なルマコードと、参照モニタ上にレンダリングする時のそれらのルマに対応する実際のルミナンスとの関係を固定する、異なる標準電気−光変換関数(electro−optical transfer function、EOTF)が規定されて存在し得ることに留意されてもよい。LDRは、例えば、レガシーのRec.709ガンマ型EOTFを用いてもよく、HDR画像/ビデオは通例、例えば、バーテンコントラスト感度関数のような、人間の視覚特性に従う、その関数形状の規定において少なくとも部分的に指数関数的(逆対数的)特徴を有するEOTFに従って符号化されてもよい。ところで、これはまた、HDR画像が、必ずしも色成分ごとにLDR画像よりも多くの量のビットを有するわけではないことも意味することを強調したい。それらは両方とも、例えば、3x10ビットRGBフォーマットで規定されてもよく(このフォーマットは、[0−1.0]でスケールされた成分規定として解釈されることが可能であり、伝送されるべき結果のための元のフォーマット及び最終的なフォーマットが何であれ、この規定が色写像前の画像のコード化になることを前提とする)、相違は、符号化された色がどのように解釈されなければならないのか、即ち、所与のそれぞれのEOTFにより規定された(及び良好な対応する外観、即ち、両方のグレーディングにおいて同じオブジェクトに対して異なるオブジェクトルミナンスを有する外観を得るために最適にカラーグレーディングされた)ルミナンス又はルマ分布に従ってどのように解釈されなければならないのかにのみ存する。
【0004】
本発明及びその技術的寄与を明瞭にするために最適である従来技術は、HDR対応ビデオコーデックに関する出願人からの先行研究である。出願人はこれを本明細書により更に改善する。出願人は、1つは通例、LDRグレーディングであり、第2のものは、通例、HDRグレーディングである、より高いダイナミックレンジのものである、シーンの少なくとも2つの(又は2つを超える)グレーディングを符号化することを可能にするコーディングシステムを開発した。符号化は、2つのグレーディングのうちの一方を実際の画像として符号化することによって動作し、これは通例、例えば、MPEG−HEVCのようなビデオコーディング規格からの、古典的なビデオ符号化コンテナを用いて行うことができる。いくつかの変形例では、データは不適合な仕方で再フォーマットされる。例えば、YCrCb色平面はYu’v’データで埋められるが、データが、利用可能なメモリ空間の量に収まり、元の画像が復号されることが可能であるかぎり、このような原理は使用可能であり、少なくとも、例えば、衛星伝送システムなどのような、最終的な復号を行う必要がない技術的構成要素のためのレガシー技術に適合する。
【0005】
図1はこのような符号化装置100の一例を示す。画像ソース120、例えば、ハードディスクは、第1のルミナンスダイナミックレンジ、例えば、HDRグレーディング(グレーディングは、創作アーティストにとって、画像内のオブジェクトルミナンスが、関連付けられた参照ディスプレイ上にレンダリングされた時に正しく見えるような、画像内のオブジェクトルミナンスの決定である。参照ディスプレイのPBは通例、画像と共に画像種記述メタデータとして符号化される)の入力画像Im_R1を送出する。カラーマッパ121を用いて、グレーダ(grader)は、例えば、ユーザデータUIを介して、カラーグレーディングキーボードから、及びグレーディングソフトウェア内で、1つ以上の関数及びそれらのパラメータを選定し、HDR画像(即ち、Im_R1)ごとに第2のグレーディングされた画像、例えば、LDR画像を導出することができる。例えば、ユーザは、例として、何らかのS字曲線を適用することによって、LDR画像を作成する。この関数をFと呼ぶ。この関数は、Im_R1の全ての入力色Ciを、結果として得られる画像Im_oの、結果として得られる出力色Coに変換する(無論、様々な色写像、例えば、飽和度補正などを行うことができる)。符号化器101への出力として、2つの画像Im_R1及びIm_oの一方が、シーンの基本画像符号化、即ち、全てのオブジェクトの幾何学的外観を符号化し、加えて、1つの対応する参照モニタのための正しい表色的外観を有する符号化として選択される。また、色変換を一意的に指定するために必要とされる全てのデータも符号化器101へ関数メタデータFとして伝送される。これは、S字曲線の例の場合には、例えば、中央の傾斜部分の端点、即ち、2つの座標の2倍であってもよい。符号化器101はこのデータを規定のフォーマットに従う数値として表現する。例えば、符号化器101は、Im_R2のDCTベースの画像成分を作成し、関数メタデータをSEIメッセージ、又は同様のものの内部に記憶し、データ出力130を介して、それをデータ通信技術131(これは、図では、例えば、BDディスクであるが、これはまた、VODのためのインターネットサーバなどであることもできる)へ送信する。
【0006】
しかし、このようなダイナミックレンジ変換は決して明白ではない。現実の物理的世界では、これは、上述のようにルミナンスをスケールすることを必要とするのみであろうが、実際の技術は技術的な制限に対処しなければならない。純粋なスケーリングどころか、RGBディスプレイのための色変換は単純な仕方ではほとんど何もスケールすることができない。実際のディスプレイが、バックライト(又は非バックライト式ディスプレイのための駆動)のその固定された最大量のために、テント形であるが、青色の原色では黄色の付近よりもはるかに低い、スキューの大きいテントである、限られた色域を有するだけでなく、全ての数学的RGB空間までもが同じ特性を有する。したがって、単なるスケーリングでは、再現不可能な色に到達してしまうというリスクがあり、これは、慎重に取り扱わなければ、通例、クリッピング、及び結果の色の誤りを生じさせる(少なくとも飽和度の変化を生じさせるが、また、色相の変化を生じさせる可能性も高い)。芸術的に、これは、グレーダが所望するものではなくなる恐れがあり、例えばヒトデのためにユーザがうまく選定したオレンジっぽい色が、他のグレーディングでは、突然、大部分黄色っぽくなってしまう。理想的には、グレーダはルミナンスの変化を気にせず、より強く期待すらしないであろうが、ユーザは、特別注意深く選定したオレンジ色が、ユーザの原版のグレーディング(例えば、HDR原グレーディング)から出発して算出された全てのグレーディングにおいて、同じままであってもらいたいと思う。
【0007】
WO2014/056679において、出願人は、異なる出力ルミナンス、しかし、同じ色度をもたらす、入力画像(Im_R1)内の様々なあり得るオブジェクトルミナンスのためのルミナンス写像手法を指定することを可能にするルミナンス変更変換を説明している。即ち、これは、関数Fの特定の変形例を指定するための枠組みである。本特許の
図2はその原理の主要な諸態様を再要約している。任意の入力ピクセル色が線形RGB表現に変換される。原理を明瞭にするためにコアの構成要素のみを示すが、無論、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の色成分を決定する前に様々な色変換が存在していてもよく、例えば、基本画像(Im_R2)のものが飽和度を処理されているなどしてもよい。カラーマッパ200は、受信された基本画像、及び少なくとも、ルミナンス写像関数(F)の関数色写像メタデータに基づいて元の画像を算出する復号器の構成要素であってもよいが、グレーダが最良の外観のための様々な可能な関数Fをなおも試し、その最良の外観のためのデータをデータ出力130を通じて最終的に出力している場合には、カラーマッパ200は、同様に、符号化器内に組み込まれていてもよい。最大値算出ユニット201は、3つの成分のうちのどれがこのピクセルについて最も高いのかを算出する。ピクセルが属するオブジェクトが青色である場合には、その成分は、例えば、青色成分になり得る。これより、最大値Mが得られる。次に、(輝度部分に関するかぎり、ダイナミックレンジの変更が必要とされる色写像を実現する)所定の関数FがMに適用され、F(M)が得られる。
図2の例では、この関数は最も暗い色を増強し、次に、中間の色をそれらの元の値とほぼ等しく保ち、明るい値をある程度再び増強する。これは、例えば、HDRグレーディングをLDRグレーディングに写像するために有用な関数になることができるであろう。この関数をルミナンス自体に適用する代わりに、輝度マッパ202はこの関数(部分関数で構成されるか、又はLUTとして実現されてもよい)をMに適用する。スケーリングパラメータ算出器203は、F(M)をMで除算することによってスケーリングパラメータaを算出する。最後に、乗算器204はこのスケーリングパラメータaを用いて、それに各色成分(R,G及びB)を乗算し、適切にスケールされた色成分(Rs、Gs、Bs)が得られる。このアクションによって、結果として生じるピクセル色のために正しい出力ルミナンスが得られるが、元の色度が保存される。輝度マッパは、この原理を用いることによってRGB色域のテント形状をある程度、デスキューする。写像関数205が、最大値入力(M=1.0)に対して、出力F(M)が1よりも高くならないように決定されることを確実にするかぎり、このとき、全ての色度について、処理は上方色域境界に正しくスケールされ、そのため、クリッピングによる表色的な誤りは生じ得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、これは、グレーダに、自分の画像の外観に対する優れた表色制御を与える強力なシステムである。しかし、それには小さな問題が付随する。多くの画像については、結果は良好であるが、いくつかの画像については、ノイズの問題が生じることが観察され得る。セルロイドからスキャンされた映画はフィルム粒子を有する。これは、例えば、陰画内の暗部において発生し、陽画内の明部についても同様である(即ち、たとえ、原版の陰画がスキャンされた場合でも、陰画−陽画算出の後に生じる)。また、内在する、予想されるルミナンス依存性の光子ノイズであって、人間の視覚系が、あまり感受性がないように共進化した光子ノイズも、反転、及び任意のルミナンス写像のゆえに他のグレー値に再配分される。要するに、ノイズが望まれないであろう様々なオブジェクト内にノイズが存在し得る。これは、レガシーLDRディスプレイ上では煩わしいほどには目に見えなかったが、HDRディスプレイの高いPBが、あらゆるものを美しくするだけでなく、より目に見えるようにするがために、粒子もそのように、時として、不快感を与えるほどに非常によく目に見えるようになってしまうことになる。しかし、LDRディスプレイ上でも、時として、LDRグレーディングをもたらす色写像されたHDRグレーディングのノイズが非常によく目に見えるようになり得る。
【0009】
この問題は、スケーリングパラメータaが、支配的な色成分内のノイズを拾い上げ、それにより、それ自体ノイズが大きくなるために発生する。例えば、空中、又は若干青色である、ほぼ無彩色のような(常にノイズの顕著性に関する悪領域となる)比較的一様な区域を有する。それゆえ、それらのピクセルの全て又はほとんどについての最大値成分は青色成分であることになり、青色成分は、画像のいくつかの形式に対して通例ノイズが多くなり得る。このとき、M値は例えば0.7の値前後で小刻みに動くことになる。関数写像は例えば3の乗算に対応してもよい。しかし、それだけでなく、0.7前後で関数F内に鋭い不連続が存在する場合には、より高いM値は3によって増強されてもよく、0.7よりも低い値は、例えば、1を乗算されてもよい。これは、スケールされた色(Rs、Gs、Bs)に対してノイズの多くなる効果を示す。スケールされた色は、時には著しく輝度が増強され、時には増強されないが、それは、散在したピクセルごとに生じる。即ち、時として、他の全ての面では、画像の表色的外観は完璧であっても、ノイズは、容認できないレベルまで増強され得る。そして無論、理想的には、コンテツ制作者は、受信側ディスプレイが空間的ぼかしを遂行することを望まない。なぜなら、それもまた、画像の所望の部分の鮮明度を減少させ得るからである。この問題に対する解決策はそれほど簡単ではない。例えば、スケーリングパラメータ自体を滑らかにすることができるであろうと考えるかもしれないが、それが好結果をもたらすとは思われない。以下において、このノイズの問題のための解決策を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
低下したノイズ感受性を有しつつ色度を大部分保存するルミナンス写像を有するという目的は、第1のルミナンスダイナミックレンジを有する入力画像(Im_R2)のピクセルの赤色、緑色及び青色成分によって規定された入力色(R、G、B)を、第2のルミナンスダイナミックレンジを有する出力画像(Im_res)のピクセルの出力色(Rs、Gs、Bs)に変換するために配置された画像色処理装置(200)であって、第1及び第2のダイナミックレンジは少なくとも1.5倍範囲が異なり、画像色処理装置(200)は、
− 入力色の少なくとも3つの成分のうちの最大値(M)を算出するために配置された最大値算出ユニット(201)と、
− 関数(F)を最大値に適用し、出力値(F(M))を得るために配置された輝度マッパ(202)であって、関数は、最大値(M)の最高値の出力値が1.0よりも高くなることができないという制約を持って、あらかじめ決められた、輝度マッパ(202)と、
− 出力値(F(M))を最大値(M)で除算したものと等しいスケーリングパラメータ(a)を算出するために配置されたスケーリングパラメータ算出器(203)と、
− 入力色の赤色、緑色及び青色成分(R、G、B)にスケーリングパラメータ(a)を乗算し、出力色の色成分を得るために配置された乗算器(204)と、
を備え、
色処理装置(200)は、入力色の成分(B)に、最大値算出ユニット(201)内へのその成分の入力前に、実数である重み(wB)を乗算し、スケールされた成分(Bw)を得るために配置された少なくとも1つの成分乗算器(303)を備え、少なくとも3つの成分は、赤色、緑色及び青色成分の各々のそれぞれの重み付け又は非重み付け関数を含む、画像色処理装置(200)によって実現される。重みは通例、0.0〜1.0(包含的)の間にあることになる。
【0011】
重みのいくつかの組み合わせを有することが有用になり得ることを検証した。原理的には、1つの重みを設定するのみでよく(他のものは通例、デフォルトで1.0であり、これは、装置の構築に関しては、実際の乗算器が存在しないことを意味し得る)、例えば、たとえルミナンスが第4の入力として用いられない時でも、青色チャネルの重みを0.5又は0.75に設定し、赤色及び緑色の重みを1.0に設定してもよい。映画の特定のシーンのために、ルミナンス(又はガンマ空間内では、ルマ)入力のためのより高い重みを1.0に設定し、RGBの重みを低く設定してもよい。しかし、他のシーンでは、ルミナンスの重みを例えば0.25に低下させ、色成分の重みを高く設定することが有用になる場合がある。3つ若しくは4つの入力、又は追加の入力はまた、R、G、B色成分の非線形関数及び/又は結合であってもよい。したがって、最大値算出器への1つ以上の入力成分は1.0であってもよく、他の成分は、通例、1.0よりも低い、他の値の重みを有してもよい。重み付け関数と言う場合、単位関数も適用され、非重み付け単位関数は、元の、例えば、赤色成分そのものを意味するが、入力のうちの少なくとも1つは、最大値決定の前に非単位値によって重み付けされるべきであることを理解するべきである。
【0012】
WO2014/056679の基本的変形例と共通して、最大値算出ユニットに、通例、赤色、緑色及び青色成分の最大値Mを決定させる。この最大値は色の輝度に関するいくらかの情報を(色度に依存した仕方によるものであれ、しかし、それは、輝度処理を扱うために望むものは、色域に適応した仕方であるということであれ)与えるだけでなく、最大値は、特定の色のための輝度の利用可能な範囲を知り、クリッピング輝度写像関数を明示的に設計しないかぎり、クリッピングが起きるはずがないことを保証する(即ち、少なくとも、赤色、緑色及び青色成分そのものが最大値算出のための正確な入力である時、即ち、wR=wG=wB=1.0である時)。特に、線形色表現では、次に、スケーリングは、本質的に線形再照光と同様である輝度処理を行うことができ、グレーダは、例えば、雰囲気の効果のために部屋の隅を暗くし、例えば、テーブル、及びその上のオブジェクトのグレー値のコントラストを増大させるために、所望するいかなる輝度写像関数205をも設計することができる。
【0013】
しかし、ここで異なることは、入力成分のうちの少なくとも1つは、それを用いて色の輝度の位置が判定される前に、重み付けすることができることである。例えば、画像のノイズ特性が、青色がノイズ導入にとって危険チャネルであるようなものである場合には、このとき、青色の係数を低く、例えば、0.25、又は更に、0.1に設定することができる。これは、最大値動作において(重み付けされた)青色成分が選択されることはめったになくなり、例えば、通常は問題とならない、緑色のものが選択されることになることを保証する。ほぼ無彩色の場合には、色成分はおおよそ等しく、そのため、どの成分が選択されるのかは問題にならない。また、例えば、シアンの場合には、その緑色成分をその青色成分と同様に用いることができ、赤色群は通常、青色のスケーリング係数が何であれ、赤色成分が最大値となるであろう。純粋な青色(例えば(0,0 128)*4)のような、いくつかの色の場合にのみ、小さいwBに対してさえも、青色が依然として最大値成分として選択されるであろう。しかし、それらの色は頻繁に生じず、このとき、ノイズの問題は視覚的に問題にならなくてもよい。
【0014】
重み係数は通例、グレーダによって、例えば、映画内のシーン、即ち、同じ表色を有する画像のショット、又は更に、映画全体のために、その取り込み技術のノイズ特性に基づいて事前設定されてもよい(前者のシーンごとのアプローチは、グレーダが、いくらかのノイズを著しく増強し得るか、又は増強し得ない、シーンに対して行いたいと思う色処理の種類に基づいてノイズの著しさに対処することができるという利点を有する)。グレーダはノイズの挙動を見て、スライダを用いて2つの重み設定を試験してもよいか、又はグレーダは、ノイズ特性に基づく自動重み設定アルゴリズムの助けを借り、その後、微調整してもよい。例えば、自動分析は、著しいノイズの問題を有する特定の色領域を突き止め、次に、グレーダの注意をそれらに向けさせるためにそれらを点滅させてもよい。例えば、デジタルスキャンされたセルロイドベースの映画素材に対しては、重みの優れたセットは、wR=0.55、wG=1.0、wB=0.25であってもよい。3つの色成分にのみ重み付けする場合には、関係は、ピクセルルミナンスによって正しくスケールされたままとどまるため、1つの重みを1に固定することが有利である。
【0015】
図5は、受信されたHDRグレーディング基本画像からLDRグレーディングを導出するための写像であり得ると考えられるものの一例を概略的に示す(この場合、グレーダは主に、中域コントラストを増強し、ランプであった可能性のある明部内では、いくらかのクリッピングを許容しようと決めた)。画像の領域について、平均青色成分の周りに広がる青色の高い値B1及びB2を有するいくつかの色に着目する。青色が最大値として選択された場合には、下のグラフ上の位置B1及びB2においてa係数を得ることになる。2つのグラフの形状に依存して、係数aは、B1を有する色対B2を有する色に関して、かなり異なり得、そのため、相当一様に見えるはずである領域でさえも、かなりのノイズパターンを拾い上げ得る(ノイズパターンは、比較的暗い青色成分内のノイズが明るい緑色成分内に漏れるために、目に見えるようになる。これは、赤色成分及び緑色成分に、その同じノイズの係数が乗算されるためである)。スケールされた青色成分を用いることによって、それらはおそらく選択されないことになる。例えば、若干青っぽい明るい白っぽい空を有する場合には、それらのピクセルの緑色成分はB1及びB2とほぼ同じ値を有することになるが、緑色成分はよりノイズが少ないことになり、そのため、隣り合ったピクセルについて、あり得る選択最大値G1、G2、G3、・・・の間に存在する広がりはより小さいことになり、それゆえ、写像グラフの連続性によって、a係数の差も通例、より小さいことになる。しかし、青色成分が最大値として選択された場合には、本実施形態では、スケールされた青色成分が写像曲線205への入力として選択される。そのため、このとき、本発明者らはこのより低い位置においてa係数を得る。従来技術の方法は、最大値成分の値が何であれ、その値はその理論的最大値よりも高くスケールされ得ないであろうことを確実にしたが(例えば、1023、及び表色的規定による他の2つの成分は、同じ高さになるか、又はより低くしかなり得ないであろう)、今度は、このようなより低い領域では、どの関数をグレーダが選定したのかに依存して、1.0を十分に上回るa係数スケーリングが存在し得る。そのa係数を入力画像内の明るいピクセル色(例えば(240,180,55)*4)に適用することで、少なくとも1つの成分のクリッピングが生じ得るであろう。そのため、今度は、いくらかの色ずれが生じ得るが、グレーダは、重みaを設定する新技術を用いて、ノイズの多さと色の正確さとの間のトレードオフを制御する(最悪の場合でも、ユーザは、全ての重みを1.0に設定することによって以前の挙動を回復することができる)。
【0016】
画像色処理装置(200)が入力色の3つの成分の各々のために乗算器を備え、成分が赤色、緑色及び青色であると、有利である。通常は、線形RGBである色表現を用いて作業することが都合良いであろう。技術的には、色チャネルごとに乗算器を設計してもよく、それにより、重みは、好ましくはグレーダによって、又は自動画像分析ソフトウェアによって設定されることが可能である。乗算器のうちの少なくとも1つは1.0に設定されることがあってもよい。その場合には、乗算器は存在しなくても差し支えないであろうが(例えば、短絡又は迂回される)、有利には、乗算器が存在する。
【0017】
有利に、画像色処理装置(200)は、入力画像(Im_R2)に関連付けられたデータソースから3つの重み(wR、wG、wB)を得る。コンテンツ作成装置内の符号化器側において、グレーダは、ビデオの少なくともいくつかの画像、又は単一の静止画像のみが処理対象である場合には、画像の特徴を見ながらソフトウェア内で重みを設定し得る。(例えば、セットトップボックス(settopbox、STB)、コンピュータ、テレビ、映画館内のデジタルシネマ受信器などの内部の)復号側においては、通例、重みは決定されており、復号器はそれらをソースから読み込む。例えば、それらはメタデータとしてBDディスク又はその他のメモリ製品上に記憶されてもよいか、伝送されたテレビ信号内のデータフィールドとして受信されるなどしてもよい。データは、重みのうちのいくつかを受信器において算出するための数学的手法を含んでもよいが、通常は、符号化器及び復号器において得られる結果は同じになることをユーザは望む。
【0018】
有利に、画像色処理装置(200)の諸実施形態は、赤色、緑色及び青色成分からルミナンスを入力色の第4の成分として算出するために配置されたルミナンス算出ユニット(306)を備え、ルミナンス(Y)にルミナンス重み(wY)を乗算し、第4の入力として最大値算出ユニット(201)に入力される出力結果を得るために配置されたルミナンス乗算器(304)を備える。当業者は、ルミナンスを、選定された表現の表色、即ち、原色の色度、及び選定された白色点に依存する、RGB色成分と、固定された係数との線形結合として算出する仕方を知っている。ルミナンスに基づいてスケーリングを行うことは、現実の照光に対応し、そのため、それは、少なくとも、例えば、飽和していない色のために、或いは上方の色域境界が白色に比べて降下しすぎない色平面の領域(即ち、例えば、黄色及びシアンであるが、青色は該当しない)のために所望し得る。適切な重みを選定すること、例えば、wY=1.0に、及びwR、wG、wBをより低く選定することによって、このとき、少なくとも、色空間の一部の領域については、通例、ルミナンスは、量を決定する乗算係数として選択されることになり、それゆえ、処理はほとんどルミナンススケーリングとして挙動することになる。色成分の重みは、最大値の決定においてどこで重みに支配してもらいたいのかに依存して、例えば、0.5以下において、設定することができる。
【0019】
有利に、画像色処理装置(200)の諸実施形態は、非線形関数を赤色、緑色及び青色成分のうちの少なくとも1つに適用するために配置された少なくとも1つの非線形関数適用ユニット(401)を備え、最大値算出ユニット(201)は、非線形関数を色成分に適用した結果(NR)の他に、少なくとも1つの非線形関数適用ユニット(401)によって処理されるために選択されなかった赤色、緑色及び青色成分のうちの2つの色情報を包含する少なくとも2つの他の色成分を入力として有する。これはいくつかの可能な適用を有する。一方で、それは、グレーダが、線形領域内ではなく、例えば、ガンマ領域内で写像関数205を設計することを可能にする。その場合には、3つの関数は、例えば、赤色、緑色及び青色成分の二乗根を適用してもよい。スケーリングは関数の設計自体において行うことができる。しかし、非線形関数を単に1つの成分、例えば、青色成分のみに適用することもできるであろう。これは、色域形状により緊密且つ単純に合致する輝度推定値を作成することを可能にする。このとき、他の2つの成分は通例、線形関数を経たのか、それとも非線形関数を経たのかにかかわらず、赤色及び緑色であることになる。技術的実現に関しては、例えば、これらのユニットへの別個の接続を有するICを設計してもよく、そのため、最大値算出ユニット内には、例えば、7つの入力がある。入力のうちのいくつかが必要でない時には、それらの重みは0に設定することができる。設計者が接続のうちのいくつかは全く必要ないと考える代替的な諸実施形態はまた、例えば、単に、RGB成分の処理されたバージョンへの3つの接続を有するのみであってもよい。この場合、例えば、所望の場合には、処理関数を線形関数に設定する。
【0020】
画像色処理装置(200)の有利な諸実施形態は、入力色を解析し、それから、少なくとも赤色、緑色及び青色成分の重み(wR、wG、wB)を決定するために配置された色分析ユニット(410)を包含する。例えば、開始重みのセットが存在してもよいが、(同様の仕方で)符号化器及び復号器が、例えば、少なくとも、現在のピクセルの色は何かを分類し、それから適切な重みを決定する、何らかの色分析アルゴリズムを用いることができれば、有利であり得る。例えば、色の飽和度が閾値S_Tを下回る場合には、このとき、重みwR、wG、wBは、その条件を満たすピクセルに対しては、低い値に設定されてもよく、そのため、ルミナンスは最大値から得られる。例えば、空、又はノイズを被りやすい同様の色が多く存在する場合には、最大値算出器内への青色成分の重みは、1.0よりも相当に低く、研究室などで事前に決定された値に設定されてもよい。これは、継続的に更新される重みを用いる1つの構成要素としてのIC内で実現されるのか、それとも一方は、例えば、低飽和度の色を処理するための固定された重みを有する、2つの構成要素に並列に渡すのかどうかは、単なる設計的事項にすぎない。
【0021】
有利に、画像色処理装置(200)の諸実施形態は、入力色を分析し、それから、少なくとも1つの非線形関数適用ユニット(401)の少なくとも1つの非線形関数のうちの少なくとも1つの関数形状を決定するために配置された色分析ユニット(410)を包含する。同様に、現在処理されている色についての色の表色条件に応じて、異なる関数を選定することができる。例えば、飽和していない色に対しては、ルミナンスが最大値の決定において常に又は大抵勝る線形手法が用いられてもよく、強い青色の色セクタ内では、例えば、少なくとも、青色非線形入力NBなどが得られる、何らかの非線形関数が選択されてもよい。例えば、少なくとも、色域の特定の領域に対しては、最大値決定算出器の青色の入力が通例低くなり、その結果、ルミナンスが最大値の選択から得られるように、非線形形状を設計することができる。
【0022】
また、有利な変形例は、例えば、第1のルミナンスダイナミックレンジを有する入力画像(Im_R2)のピクセルの入力色(R、G、B)を、第2のルミナンスダイナミックレンジを有する出力画像(Im_res)のピクセルの出力色(Rs、Gs、Bs)に変換するための画像色処理の方法であって、第1及び第2のダイナミックレンジは少なくとも1.5倍範囲が異なり、本方法は、
− 入力色の少なくとも3つの成分のうちの最大値(M)を算出するステップと、
− 関数(F)を最大値に適用し、出力値(F(M))を得るステップであって、関数は、最大値(M)の最高値の出力値が1.0よりも高くなることができないという制約を持って、あらかじめ決められている、ステップと、
− 出力値(F(M))を最大値(M)で除算したものと等しいスケーリングパラメータ(a)を算出するステップと、
− 入力色の3つの色成分(R、G、B)にスケーリングパラメータ(a)を乗算し、出力色の色成分を得るステップと、
を含み、
最大値の算出を遂行する前に、少なくとも3つの成分のうちの少なくとも1つの成分に、実数である重みが乗算され、スケールされた成分(Bw)がその最大値算出のための入力として得られる、方法である。実際には、実数は無論、十分な精度を有する実数に変換され得るよう、十分な量のビットを有する整数として表現され、例えば、伝送されてもよい。これらの重みの精度はそれほど重要ではなくてもよく、このときには、例えば、1%の正確さであれば良いであろう。
【0023】
変形例は、最大値が、赤色、緑色及び青色の3つの色成分に加えて、また、ルミナンス重み(wY)でスケールされたルミナンス(Y)から算出される、画像色処理の方法である。
【0024】
変形例は、最大値の算出が、赤色、緑色及び青色成分のうちの少なくとも1つの非線形変換である少なくとも1つの入力を有する、請求項10又は11に記載の画像色処理の方法である。
【0025】
変形例は、重み(wR、wG、wB、wY)のうちの少なくとも1つがピクセル色の分析に基づいて決定される、上述の方法クレームのうちの1つに記載の画像色処理の方法である。
【0026】
変形例は、上述の方法クレームの少なくとも1つに記載のステップをコード化しており、それにより、実行すると、プロセッサがその方法を実施することを可能にするコードを備えるコンピュータプログラム製品である。
【0027】
変形例は、画像信号(S_im)であって、この画像信号(S_im)は、ピクセルのマトリックスの色の符号化と、それに加えて、符号化されたメタデータとして、上述の装置又は方法の1つにおいて利用可能な重み(wR、wG、wB、wY)のうちの少なくとも1つとを含み、これは通例、受信器が、重みが何を意味しているのか、即ち、重みが、最大値の算出の前にそれぞれの色成分のための重みとして用いられることを意図されていること一意的に知るように信号が規定されているという形で実現されることになる、画像信号(S_im)である。通例、例えば、例として、赤色、緑色、青色、並びにルミナンス(又は信号が非線形領域内で規定されているか、若しくは処理されるべきである場合には、ルマ)の順序で、4つの重みが後に続くことを指示するヘッダを有する、メタデータ内のプレースホルダが存在してもよい。
【0028】
当業者は、本発明の諸実施形態は、多くの技術的変形体の形で実現されることが可能であり、例えば、画像色処理装置(200)は、例えば、セットトップボックス、又はディスプレイ、又はカメラなどの内部に含まれているとおりの、画像/ビデオ符号化器若しくは復号器として実現されるか、又はその内部に含まれていてもよいことを理解する。
【0029】
本発明に係る方法及び装置の任意の変形体のこれら及びその他の態様は、以下に説明されている実装形態及び実施形態から明白であり、それらを参照すると共に、添付の図面を参照して明らかにされるであろう。図面は単に、より大まかなコンセプトを例示する非限定的な特定の実例の役割を果たすにすぎない。図面において、破線は、構成要素が任意選択的なものであることを指示するために用いられており、破線で示されていない構成要素は必ずしも必須であるとは限らない。破線はまた、必須であると説明されている要素がオブジェクトの内部に隠れていることを指示するため、又は例えば、オブジェクト/領域の選択、チャート内の値レベルの指示等などの無形物のために用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】グレーディングのうちの1つの画像のセットとしての必要情報、及び受信側において、画像の第1のセットを、他のグレーディングである第2のセットに色写像するために用いられるべき関数を復元することが可能になるためのデータを符号化し、通例、レガシービデオ通信技術を介して、伝送することに基づいて、異なるルミナンスダイナミックレンジの少なくとも2つのグレーディングを符号化するための方法を概略的に示す図である。
【
図2】WO2014/056679において公開したとおりの、ダイナミックレンジ変換のための基本的輝度写像技術を概略的に示す図である。
【
図3】RGB色成分のうちの少なくともいくつかが、通例、最大値算出ユニット内に入力される前に1以下のスケール係数で重み付けされ、ルミナンス入力も存在し得る、本発明のより単純な変形例を概略的に示す図である。
【
図4】色成分を非線形的に写像するためのユニット(401、・・・)、色成分の任意の線形若しくは非線形結合を算出するためのユニット(404)、及び重みを設定するための色分析ユニットなどの、追加の入力を最大値算出ユニットへ送出するための他の構成要素が存在する、より複雑な実施形態を概略的に示す図である。
【
図5】いくつかの最大値の選択が、グレーダによる所定の写像関数205を介して、色処理を最終的に行うための乗算係数(a)をどのように導くのかを概略的に示す図である。
【
図6】入力色成分のうちの最大のものの決定に基づく色変換の同じ原理であるが、非線形又はガンマ領域内におけるものを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図3は、本発明がどのように具体化されることが可能であるのかについての一例を示す。入力画像のピクセルの線形の赤色、緑色及び青色成分(R、G、B)に、乗算器(301、302、303)によって、利用可能な重み(wR、wG、wB)が乗算され、その結果、重み付けされた入力、例えば、重み付けされた青色Bw=wB*Bが得られる。また、ルミナンスを、色表現系、例えば、P3、Rec.709、Rec.2020などに依存した固定定数a1、a2、a3を用いて、a1*R+a2*G+a3*Bとして算出する、ルミナンス算出ユニット(306)が存在してもよい。実用的な装置及び方法では、本記載のユニットの前及び後の色処理、例えば、異なる色基底への変換が存在してもよいが、それは、本発明を理解するために必要でなく、説明を不必要に複雑にするのみであろう。ルミナンス入力が存在する場合には、たとえ、1.0を乗算する場合であっても、ルミナンス乗算器304が含まれて存在してもよいが、それが常に1.0を乗算する場合には、その構成要素はなくてもよい(しかし、ビデオ信号は依然として4つの重みを明示的に包含し得る。この場合には、たとえ、重みを有するルミナンス乗算器を設ける代わりに、ルミナンス重みを無視した場合でも、ルミナンス乗算器を有しないハードウェアは依然として正しく処理することができる)。
【0032】
次に、最大値算出ユニット(201)が、入力のうちのどれが最も高いのかを算出し、それをMと呼ぶ(例えば、成分のワード長が例えば10ビットである場合には、180*4の値を有する、緑色成分)。次に、輝度マッパ(202)が、グレーダによって、結果として生じる画像が良好な外観を有することを確実にするように以前に設計された関数をMに適用する。この画像は、例えば、原版のHDRグレーディングから算出された、100nit前後のPBのディスプレイ上にレンダリングされるべきLDRグレーディングであってもよい。受信側において、原版のHDR画像、及び関数のデータは、例えば、BDのようなメモリ製品から読み込まれるか、又はアンテナを介してテレビ信号として受信されるか、又はインターネットを通じて何らかの遠隔データベースから読み込まれるなどしてもよい。最後に、スケーリングパラメータ算出器(203)がa=F(M)/Mを算出し、乗算器(204)がRGB色成分にこのaを乗算し、出力画像内のピクセルのための出力色(Rs、Gs、Bs)が得られる。出力色は、出力画像信号内に、例えば、出力画像信号をSTBからTVへ伝えるための規格などに従ってフォーマットされてもよい。
【0033】
図4は、より複雑な実施形態において可能であるものを示す。例えば、映画の画像のショットの開始と同期して入って来る重みを単に読み込む代わりに、即ち、ショットの最初の画像を処理しなければならない少し前に、重みがもとから存在しており、少なくとも、いくつかの状況のために上書きされなければならないのか、それとも(重みは伝達されないが、それらを導出するための1つ以上のアルゴリズムが伝達される場合に)オンザフライで算出されなければならないのかにかかわらず、色分析ユニット(410)が重みを算出することができる。原理的には、色の状況の任意の分析は、典型的には、単に、ピクセルそのものの色を見ることで行うことができるが、また、ノイズが目立つであろうかどうかを推定するために、例えば、周囲のピクセルの、画像の他の色が評価されてもよく、また、必要とされるグレーディングのPB、視聴環境条件、コンテンツの価格に照らして容認可能な品質等などの、必要とされるものに依存して行うことができる。
【0034】
非線形色成分(NR、NG、NB)を最大値算出ユニットへの入力として提供するための非線形関数適用ユニット(401、402、403)が存在してもよい。これは、例えば、例として、対数軸系上などで、異なってサンプリングされる写像関数205を設計したい場合に、有利である。また、非線形変換ユニットが、最大値算出ユニットの出力において(即ち、ユニット201及び202の間において)存在してもよく、即ち、最大値Mを、それが線形色成分及び又は非線形色成分から入力として選択されたのかどうかにかかわらず、非線形的に変換する。また、非線形関数は、例えば、1つ以上の固定された実数の代わりに、色成分の重み関数、例えば、wB=B−cBを作成することによって実現されることも可能である。
【0035】
また、色成分結合ユニット(404)が存在してもよい。これを用いれば、例えば、ルミナンス以外の何らかの輝度推定値SBCを、例えば、b1*R+b2*G+b3*Bとして算出することができる。色成分結合ユニット(404)はまた、非線形成分NR、NG、NBを線形的若しくは非線形的に結合してもよいか、又は実際には、可能な入力色の立方体にわたり単一の実数値パラメータが得られるあらゆる非線形関数を算出する(この関数は、典型的には、1つ以上のLUTとして具体化されてもよい。LUTは、例えば、どのカメラが、及び場合によっては、どのような条件の下でコンテンツを取り込んだのか、例えば夜対昼、コンテンツはどのような形式であるのか、例えば、自然映画対漫画、或いは場合によっては、チュートリアル又はニュースのような、グラフィックス、又はいくらかのグラフィックスを包含するコンテンツなどのような、コンテンツの特定の種類のために最適化されていてもよい)。
【0036】
最後に、特に、全てのこのような実施形態の場合と同様に、本技術が符号化側装置内で具体化される場合には、メタデータ符号化器450が、全ての重み、非線形関数の形状を規定するパラメータ、又はパラメータの算出、又はLUTのデータ、又は処理される予定の画像の特定の表色特性を分類するアルゴリズム等などの、全てのパラメータを収集し、これを事前合意されたフォーマットでフォーマットした後に、これを、通信技術451、例えば、最終顧客への後の供給のためにインターネットに接続されたサーバ、又は顧客への直接リンクなどへ送信することになる。当業者は、本実施形態群を、例えば、ビデオ供給システム、画像又はビデオ処理ソフトウェア、画像分析又は再処理システムなどのような、様々な画像関連技術内にどのように組み込むことができるのかを理解することができる。
【0037】
図6は、同じ原理を、非線形RGB表現、典型的には、例えば、Rec.709に従って、例えば、(EOTFを介して、線形色成分、例えばRと、ルマコードR’との間、及びその逆の写像を規定する)光−電子変換関数によって規定されているとおりの、線形光RGB色のほぼ二乗根である、古典的なガンマR’G’B’バージョンにおいてどのように適用することができるのかを示す図である(色の非線形性は別にして、色域の形状は、選定された赤色、緑色及び青色の原色に対して、同じままであることに留意されたい)。
【0038】
この単なる説明のための例では(HDR−LDR色変換の例が示されたが、当業者は、例えば、LDR画像を取得し、例えば5000又は1000nitのディスプレイのために、それらのHDRバージョンを導出することを必要とする受信器において、LDR−HDR装置を同様に設計できることを理解できるだろう)、HDR入力信号を有する。それは、SMPTE2084(いわゆるPQ曲線)にあるような、HDR符号化のために適した新しい高度に非線形のEOTFによって規定されたルマY’’を用いて規定されたと仮定したが、無論、これは一選択肢にすぎない。
【0039】
マトリックス算出器601がピクセル色のこのY’’CbCr表現を高度に非線形の(ほぼ対数的な)R’’、G’’、B’’表現に変換する。非線形関数算出ユニット602が、固定された非線形関数を適用し、それらの成分を、古典的なルマ成分R’G’B’、即ち、通例、例えば、次式のように規定されたRec.709関数に従って規定された成分に変換する:
R’=4.5*R、R<0.0018である場合、又は =1.099*power(R;0.45)−0.099、R>=0.018である場合
【0040】
また、線形RGB成分から出発して規定される場合には、G及びBに対して同じ式となるが、今度は、PQ成分R’’G’’B’’から出発することになる。これは、通例、LUTを先験的に一度算出することによって行われることになる。
【0041】
この回路内において、ルミナンス算出ユニット603を追加した。なぜなら、非線形空間内でルミナンスを算出する場合には、何らかの非定常ルミナンスの問題がある程度生じるからである。このユニットが行うことは、線形領域を介して次式を算出することである。即ち:
Y’=power([CR*R’^gam+CG*G’^gam+CB*B’^gam];1/gam)。ここで、gamは例えば2.0に等しく、^は累乗演算を指示し、CR、CG及びCBは、RGB原色の色度、及び白色点が分かっていれば、表色的に一意的に算出することができる、ルミナンスの算出のための既知の成分重みである。したがって、このように、ピクセルルマの、その実際のルミナンスに対応する現実的な値を得る。
【0042】
最大値算出ユニット604は、先と同様に、発明が可能にする重み付け成分の最大値算出の実施形態のうちの任意のものであり、スケール係数算出ユニット202203は、乗算処理のための最大値からスケール係数への入力輝度相関V’の変換を含む。即ち、ユニット202及び203が行うことを含む。最後に、乗算器605、606、及び607がスケール係数aを介して出力色(Rs、GS、Bs)への色変換を実現する。出力色は、本実施形態では、色マトリックス化器608によってY’CbCrに再びマトリックス化されるが、これは今度はガンマ領域内である。即ち、Y’コードは、例えば、通例、Rec.709のEOTFに従って規定される。
【0043】
本文書において開示されているアルゴリズム構成要素は、実際には、ハードウェア(例えば、特定用途向けICの部分)として、又は専用デジタル信号プロセッサ、又は汎用プロセッサなどの上で実行するソフトウェアとして(全体的又は部分的に)実現されてもよい。それらは、少なくとも何らかのユーザ入力が(例えば、工場、又は消費者入力、又はその他の人間の入力において)存在してもよい/存在したことがあってもよいという意味で、半自動的であってもよい。
【0044】
本発明者らの提示から、当業者には、どの構成要素が任意選択的な改善になり得るのか、及び他の構成要素と組み合わせて実現することができるのか、並びに方法の(任意選択的な)ステップが装置のそれぞれの手段にどのように対応するのか、及びその逆が理解可能であるはずである。いくつかの構成要素は本発明において特定の関係で(例えば、単一の図において特定の構成で)開示されているという事実は、他の構成は、本明細書において特許のために開示されているとおりの同じ発明の思想の下の実施形態として可能でないことを意味するわけではない。また、実際的理由のために、限られた範囲の実施例のみが説明されたという事実は、他の変形例は請求項の範囲に含まれ得ないことを意味するわけではない。実際に、本発明の構成要素は、任意の利用連鎖(use chain)に沿った異なる変形体において具体化されることができる。例えば、符号化器のような作成側の全ての変形体は、分解されたシステムの消費側における対応する装置、例えば、復号器と同様であるか、又はそれらに対応してもよく、その逆も同様である。諸実施形態のいくつかの構成要素は、符号化器と復号器との間の任意の伝送技術等における、伝送、又は調整などの更なる利用のために信号内の特定の信号データとして符号化されてもよい。本出願における単語「装置」は、その最も広い意味、即ち、特定の目的の実現を可能にする手段の群という意味で用いられており、それゆえ、例えば、IC(の小部分)、又は専用機器(ディスプレイを有する機器など)、又はネットワーク化されたシステムの一部分などであることができる。「機構(Arrangement)」又は「システム」もまた、最も広い意味で用いられることが意図されており、したがって、それは、とりわけ、単一の物理的な、購入可能な装置、装置の一部分、協働する装置(の部分)の集合などを含み得る。
【0045】
コンピュータプログラム製品の外延は、汎用若しくは専用プロセッサが、一連のロードステップ(中間言語、及び最終的なプロセッサ言語への翻訳などの、中間変換ステップを含んでもよい)の後に、コマンドをプロセッサ内に入力し、発明の特徴機能のうちの任意のものを実行することを可能にするコマンドの集合の任意の物理的実現を包含すると理解されるべきである。特に、コンピュータプログラム製品は、例えばディスク又はテープなどの担体上のデータ、メモリ内に存在するデータ、ネットワーク接続 − 有線式若しくは無線式 − を介して伝わるデータ、又は書面上のプログラムコードとして実現されてもよい。プログラムコードとは別に、プログラムのために必要とされる特徴データもまた、コンピュータプログラム製品として具体化されてもよい。このようなデータは任意の仕方で(部分的に)供給され得る。
【0046】
本発明、又はビデオデータのような、本記載の諸実施形態の任意の原理に従って利用可能な任意のデータはまた、光ディスク、フラッシュメモリ、着脱式ハードディスク、無線手段を介して書き込み可能なポータブルデバイスなどのような着脱式メモリであってもよい、データ担体上の信号として具体化されてもよい。
【0047】
データ入力ステップ及び出力ステップ、標準ディスプレイ駆動などのよく知られた通例組み込まれている処理ステップ等などの、任意の提示された方法の動作のために必要とされるステップのいくつかは、コンピュータプログラム製品、又は本明細書に記載されている任意のユニット、装置若しくは方法内に記述される代わりに、プロセッサ、又は(本発明の諸実施形態の特質を有する)本発明の任意の装置の諸実施形態の機能性内にもとから存在していてもよい。上述の諸実施形態は本発明を限定するのではなく、例示していることに留意されたい。当業者が、提示された例の、請求項の他の領域への対応付けを容易に認識することができる場合には、簡潔にするために、これらの選択肢全てに深く言及しなかった。請求項内で組み合わせられているとおりの本発明の要素の組み合わせとは別に、要素の他の組み合わせも可能である。要素の任意の組み合わせは単一の専用要素内で実現されることが可能である。
【0048】
請求項内の括弧の間のいずれの参照符号も、請求項を限定するために意図されているのではなく、また、図面内のいずれの特定の記号も同様である。単語「〜を備える(comprising)」は、請求項において列挙されていない要素又は態様の存在を除外しない。要素に先行する単語「a」又は「an」は複数のこのような要素の存在を除外しない。